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【ALL】Chrono Crisis【戦闘/シリアス】

 ( なりきり掲示板(フリー) )
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時を巡る旅路 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_UxJ

進化と共に新たなる技術を生み出し、その活動域を地球全体へと広げていった人類。
彼らは常に自らの生活を豊かにすることを考え、革新的な発明を世へ送り出し続けてきた。
留まることを知らない人類の科学力は、やがて禁断の領域へと足を踏み入れていくこととなる。

西暦6990年、それまでの常識を、それどころか世界の法則さえも歪めてしまうような大発見が人類にもたらされた。
時間遡行……俗に言う"タイムマシン"を駆り、現在と過去や未来を繋ぐ手段。人は、その方法を確立した。
今まで文献を漁ることでしか様子を知ることの出来なかった過去と、思いを馳せることしか出来なかった未来。
それらへの道が開かれたことは、確かに衝撃的ではあったが、同時に新たなる問題も浮上することとなった。

タイムパラドックス。未来からやってきた人間が過去に干渉することによって起こり得る、歴史の改変。
たった一つの筋を辿るように紡がれてきた歴史に矛盾を生じさせてしまえば、世界そのものの崩壊を招きかねない。
不測の事態が発生することを恐れた時の世界政府は、直ぐ様会議を開き、"時間遡行法"を制定。
資格を持たぬ者の時間遡行を禁ずると共に、時間遡行中の行動に厳しい制約を設け、歴史の改変を未然に防ごうとした。
―――しかし、全ての人間が、その決定を黙って受け入れた訳ではない。何せ、これは空前絶後の大発見。
上手く時間遡行を利用すれば、世界を思い通りに操ることも可能……そんな邪な考えを持った人間が現れるのは、当然の流れであったのだろう。

時間遡行法の制定から数年が経過したある日、歴史の保護を目的に設立された組織、「時空防衛連盟」が、大規模な時空振動を観測する。
遙か数千年前より発せられし、時空の歪み。それは紛れもなく、今この瞬間に、"歴史の改変"が実行されていることを示していた。
改変を止めることが出来なければ、タイムパラドックスの連続によって、やがて世界は消滅してしまう。
時空振動の余波によって、世界線の境界そのものが揺らぐ中、時空防衛連盟の面々は、人類の歴史を護るための戦いに挑む。



【クリックありがとうございます。この物語の舞台は時間遡行技術が確立された未来と、能力のある者のみが人権を得ることの出来る古代、人類と魔族が熾烈な戦いを繰り広げる中世という三つの異なる時代です。歴史是正機構は禁忌である歴史の改変を実行しようとしています。彼らの思惑を阻止するべく行動する時空防衛連盟の面々と、何としてでも歴史を書き換えようとする歴史是正機構、更にはそんな両組織の戦いに巻き込まれた各時代の人々の姿を描くのが、このスレッドの主な目的です。

オリキャラでの参加は勿論、版権作品をあまり知らないオリなり民の方も歓迎ですので、オリなり民の方も、どうぞご遠慮なくご参加下さい。
なりフリー民とオリなり民、互いに協力しあうことで、よりよきスレを目指しましょう。

なお、合図があるまで書き込みは禁止ですので、ご注意下さい。まずはじめに、サブ記事の方を確認頂くようにお願いします。】

メモ2018/03/04 20:57 : 風神少女☆XQ6phrzcKMtR @infernus★F7MrHN45jw_cjE

―――現在は、第四章です―――


第四章:「昇華の革命」

中世にて起きた人類と魔族の闘争は、本来の歴史にはない、両者の和平という形によって幕を閉じることとなった。

幸いにも、時空断裂が起きることはなく、時間は止まることなく紡がれている。この"小さな"改変により、未来の人類と魔族の関係が改善されたのは、幸運というべきか。

しかし、帰還した時空防衛連盟の面々を待ち受けていたのは民衆の歓迎などではなく、未来世界にて発生した新たな問題であった。

突如として世界政府から出される非常事態宣言、錯綜する情報。そんな折に飛び込んできた、大統領が暗殺されたという報せ。

世界政府及び時空防衛連盟の情報系統が完全に混乱している隙を突いて、歴史是正機構が遂に革命を起こす。

彼らは人類を昇華へと導くため、今、この時代の"改変"を目論んでいたのだ。古代や中世の改変失敗も、全て計算の内であったのである。

まともな準備も整わない内に、この日のために準備を進めてきた相手との戦闘を強いられる時空防衛連盟。

もしも、敵が歴史是正機構だけであれば、どれだけ幸せだったことだろう。彼らは、自分達を疎ましく思う全ての勢力と、一度に対峙することを迫られたのである。


ルール&プロフィール:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-1#a

役職一覧:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-2#a

世界観・用語解説:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-3#a

各陣営の目的:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-4#a

第四章のロケーション:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-222#a


・現在イベントのあるロケーション

大統領官邸:大統領暗殺事件

時空防衛連盟本部:時空防衛連盟と歴史是正機構の全面戦争

歴史是正機構本部:時空防衛連盟と歴史是正機構の全面戦争

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氷雪の死神 @zero45 ★h2BOlEz4kD_kuu

【ロンカ村/村外れ/レイヴン・ロウ】

 帝国の脅威を退け、壊滅の窮地から脱した村に響き渡る、生き残り達の歓声。多くの犠牲を払いながらも、戦いで勝利を掴み取った彼等の表情には、笑顔が浮かんでいた。そんな姿を一瞬だけ見やると、レイヴンは再び村の外へと繋がる道を走り始めた。第二の故郷と言うべきロンカ村へと、心の中で感謝と別れの言葉を告げて。
 肌寒い大気に支配された雪道の上を駆ける中で、追憶するは過日の情景。村人達との暖かい交流、友人達と過ごした楽しい日常。村の一員として苦楽を共にして、喜びを分かち合って来た毎日。夢の様に居心地が良くて、確かな幸福に包まれていた日々は、決して忘れられない思い出として記憶に刻まれている。
 その続きを見れない事は辛い事だが、それは致し方の無い事だ。無知であったからこそ夢を見続けられたのであって、真実を知った以上は目覚めなければならない。だから、此処で終わらせる――

「……パメラ」

 ――つもりだった。突如として背後から聞こえて来た声に反応して、思わず足の動きを止めてしまい。恐る恐るに声の主の方向へと振り向く。其処には、俯いたまま拳を握り締めるパメラの姿。次の瞬間に前を向いた彼女の瞳には、涙が浮かんでいた。声を枯らす程の勢いで叫ぶ彼女を前にして、多大なる罪悪感が胸を支配して行く。
 だから、涙を流しながら右手を握って来た彼女の暖かな両手を振り解こうなどとは思わない。これ以上悲しむ彼女を見たくはないと、心の底からそう思っていたから。

「……思い出したんだよ。俺が帝国の元将軍だった事も、多くを犠牲にして来た罪深い男だって事も、全部」

 その代わりに言葉として示して行く、取り戻した自らの記憶。アラン・レイクルードを名乗り続けて来た男の真実を、包み隠さず述べて行く。それを聞いて、果たして彼女はどう反応を返すのか。憎むべき帝国の元将軍である自分を拒むのか、それを知ってなお受け入れるのか。その答えを聞く事を、恐ろしく思う。

「それでも……受け入れてくれるのか」

 そして同時に、その答えを知りたいとも思っている。だから、彼女に問う。これを聞いても尚、行くなと言ってくれるのか。いなくなったら許さないと言ってくれるのか。村の一員として、一人の友人として在る事を受け入れてくれるのか――その答えが返る瞬間を、ただただ待ちわびる。

>パメラ・エンドネル

3ヶ月前 No.401

電子の詩人 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【え、えーっと絡みよろしくお願いいたします。】

【時空防衛連盟本部/エントランス→資料室/ショパン】
 オレンジジュースの缶を取ってそのまま歩くと今度は、資料室へと向かう。
(……曲集とかあるのかな)
 ジョリー3で探索した際に発見した資料室。
 通りすがりの職員にモニター越しで何の部屋かと聞いたところ、時空観測記録や時間遡行方法などが集められた部屋だと聞く。
 『ショパン』の情報、インターネットでも限界はある。音楽史はなくとも、せめてこの世界の歴史ぐらいの流れについて知らないと。
 根源たる自身の存在が消滅する予兆が分からない、もし『彼』が生まれる前の時代に力を持った魔族が人類を滅亡させてしまう未来に塗り替えてしまったら、自分が住まう音羽館に一室空室ができてしまう。
 ダンボールを抱えたまま資料室に踏みいると、人が――――いた。
「ふあ゙あ゙あ゙ーーー!」
 小犬のように肩を震わせて唸ると、ダンボールを頭に被って甲高い声で叫ぶ。
「知らない人ーーーっ!!」
 発作のごとく発動する人見知り、クラシカロイドショパンの十八番である。
 細い体は素早く動きコート男から一歩下がって構えると、約一ヶ月ぐらいいたお陰かすぐ逃げはせずダンボール被ったまま、ずりずりと後退しながら問いかける。
「あ……あの、何……そんな所に立ってして、いるの?」
 明らかに怯えながらだが、相手の資料を調べていない様子を見て途切れ途切れに言葉を紡いで問いかけて。
>ハザマ

3ヶ月前 No.402

Charlotte @kirieru ★Android=ryLO8WYMEG

【魔帝城/庭園/リュドミラ】

「あっそ、じゃあ今後は立場をわきまえなさいよね」

リュドミラからのプレッシャーに折れたのかルーカンはすぐさま謝罪する。
ルーカンが謝罪した直後、木の物影から黒衣の女性がその姿を現した。

「オムニス、アンタもいたんだ」

リュドミラは配下であるオムニス・デューザに声をかけるとこの状況に耐えられなくなったルーカンが話の話題を変えてくる。

「未来人ね.......確かそんな話があったっけ......まぁ良いんじゃない?相手が未来人だろうが私にとっては使える奴かただの無能で切り捨てるか.....たったそれだけで済む話だし」

ルーカンが振ってきたここ最近で突如して現れた未来人による軍の編入についてはリュドミラにとっても気になっていた所でもある。
しかし彼女にとってはその未来人が自分の手駒として使えるか使えないかの問題だけでそれ以上の深い考えはないのだ。

「対等かどうかは......全ては私自身が決める事、アンタ達には関係の無い事だわ」

その未来人が魔族と対等な立場で居られるかは最高位の存在である龍族であり指揮官であるリュドミラが全て決める事だとキッパリと言い放つのだった。


>>ルーカン・ベレスフォード オムニス・デューザ

2ヶ月前 No.403

@sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【マロニス城/騎士団詰所/ゲイル・べネルド】

ひと汗かいて休息を取りながら、今後の展望に思考を巡らせる。先程は虚勢混じりの激励を飛ばしてしまったが、騎士団の全体的な練度が向上しつつあるのは間違いない。
戦いの準備段階に於いて重要となる要素は、大きく分けて二つ存在する。一つは兵站。念入りに備えるに越したことはない。目測できる範囲の出来事はもちろん、不測の事態にも対応し得る備えがあって、初めて戦いに挑めるというものだ。
そしてもう一つは熟練兵士の育成。兵員の練度が低くては、あらゆる局面で悪影響が出てしまいかねない。質より量を優先し、碌に鍛えられてもいない雑兵を山ほど送り込んだところで、決して望むような結果は得られないだろう。
単なる戦闘の技術のみならず、兵員同士の意思疎通や連携、隊全体を通しての規律の整った行動というのは、全て鍛錬の上に成り立つもの。努力の賜物に他ならない。

それを重々承知の上で日々鍛錬に励んでいるのだが…如何せん状況はかんばしくない。いくら実の詰まった"濃い"練習をしようと、人間の成長には限界がある。
卓越した技術を持った兵士の育成には、それこそ気の遠くなるような長い時間が必要だ。しかし戦況は待った無し、悪化の一途を辿っている。同じく我々騎士団にも待ったは許されない。
ゲイルはとても歯がゆい思いをしていた。せっかく技術を身に付け始めた若手騎士が、訓練も半ばだというのに戦場へ狩り出され、そのまま帰らぬ人となる。
彼らの命を預かる団長代理としても、指導を行う立場としても、これほど悔しいことはない。じっくりと時間をかけて育成する猶予が無いというのは、それだけ恐ろしいことなのだ。
もっとも、戦いの初期の頃は、こんな体たらくではなかったのだろう。まだ騎士も十分な数がいて、老練な戦士が多く存命していたであろう、騎士団の最盛期…どうすればそこへ戻れるのか、ますます頭を悩ませる。

「ザーシャ…」

そんなとき、突如として訓練所の扉が荒々しく蹴開けられる。室内に残っていた者は皆敵襲を疑い、それぞれの得物を抜いたり、柄に手をかけたりと身構えたが、ゲイルだけはそうしなかった。
激しい音を立てて内側の壁にぶつかり、やがて動きを止める両扉。その向こう側にいる人物を視認すると、ゲイルは「やっぱりか」と言わんばかりな顔をして、彼女を中へと招き入れた。
ザーシャ。決して真っすぐな性格とは言えず、騎士団の面々との信頼関係も、ハッキリ言って築けていない。複雑な経歴があるのは皆何となく察しているが、それを加味してもやはり受け入れ難いのだろう。
そのことは、敵襲でないと知れてもあからさまな警戒心を見せていることからして一目瞭然。魔族だからつまはじきにする。騎士団のみならず、王国全体に目を向けても、そういった風潮があるのは疑いようもなかった。

しかしゲイルに関してはその限りではない。確かに魔族は憎い。父と兄を奪い、母を狂わせ、家庭を崩壊させた怨敵。しかし"坊主憎けりゃ袈裟まで憎い"ではダメなのだ。
狭い視野で物事を見て、"魔族だから"という括りで一切合切を排除するのは愚か者のすること。それにザーシャが単なる憎まれ口を叩くだけの雑輩でないことは知っている。
ザーシャが自分をどう思っているかは知らないが、少なくともゲイルは彼女を嫌ってなどいない。この一事だけは確かだ。

「それは気の毒だったな。お前を冷遇する者には、俺からやめるよう言っておこう」

含みのある物言いも、感じの悪い笑みも気に留めず、淡々と対応する。その最中に警戒を解かない団員達を諫め、今後彼女への冷遇をやめない者には処置を取ることも約束した。
ただしゲイルが述べたのはそこまで。相手の口ぶりからして「人員不足の危機に手を貸してやっている」ことを強調したいのだろうが、あくまで他の面々と平等に扱うだけであり、特別扱いは断じてしないことを暗に示していた。
そもそも"そういった"風潮が蔓延している場に足を踏み入れた時点で覚悟は出来ていたはず。そして同じような境遇ながら、めげずに鍛錬に励んでいる者もいる。
そんな中でザーシャ一人を優遇するわけにはいかない。例え助太刀に来てくれた恩人だとしても、そのことに変わりはないのだ。

>>ザーシャ


【待ちわびていた絡みありがたいです(T T)よろしくお願いします】

2ヶ月前 No.404

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ロンカ村/広場→時空防衛連盟本部/総統室/ユーフォリア・インテグラーレ】

狂気の月光が消え、村の大地に安らぎが戻る。全ては終わった。暴虐の限りを尽くした皇帝は、今この瞬間、三人の抵抗者達による革命によって、消滅の時を迎えたのだ。
勝利を確認したユーフォリアは、大きく息を吐くと同時に片膝を地面につく。影響がないかのように振る舞ってはいたものの、やはり相当なダメージが蓄積していたらしい。
動けないほどではないが、さすがに連戦は厳しいと言わざるを得ないだろう。回線を開き、各地の状況を確認するユーフォリア。歴史是正機構の者達は、既にこの時代から姿を消し始めているようである。
それが何を意味するかなどは、わざわざ説明しなくとも分かるだろう。古代の改変は、未然に防がれたのだ。女帝が倒れたとの報告は入ってきていないが、あくまで時空防衛連盟の目的は帝国の打倒ではなく、歴史の保護だ。
魔道帝国はロンカ村襲撃の失敗によって、多大なる被害を被り、戦力の大半を失った。主力級が討ち取られたという情報もある。もはや、彼らの敗北は、決定的といえるだろう。

『総統、古代の時空振動が消失しました』
「分かったわ、報告ありがとう。これ以上の介入は不必要ね」

未来に残り、時空を監視し続けていた部下からの報告。時空振動の消失は即ち、歴史が正常に戻ったことを意味する。後は、時空防衛連盟が手を貸さずとも、世界は回っていくだろう。
元より、自分達はここにいるはずではない異物。あの英霊が最後にユーフォリアを狙ったのも、三人の中で最も近しい性質を持つ者であったからに他ならない。
役目を果たした今、古代に留まり続ける理由はない。彼女は雪の上に倒れ伏していた銀狼を抱えると、そのまま妖狐の元へと近付いていく。別れの時が、訪れたのだ。

「共に戦ってくれたこと、感謝するわ。私達はこの子を連れて、未来に戻る。いつかまた、再び巡り会えることを信じているわ」

真っ直ぐとした瞳で妖狐を見据え、そう告げるユーフォリア。今から7200年も先に未来に、彼女がまだ存在し続けている可能性は、残念ながら限りなく低いだろう。
しかし、妖狐は曲がりなりにも神格である。人の信仰がある限り、神が生き続けるのだとすれば、あるいは……時空を巡る戦いが終わった暁には、かつてロンカ村があった地域を訪れてみることとしよう。
それからしばらくした後、ユーフォリア達は溶けるように姿を消した。まるではじめから未来からの来訪者など存在しなかったかの如く、広場にはたった一人の妖狐が、ぽつんと佇むのみ。
されど、これは夢などではない。現実に起きたこと。人類は進化の果てに、時空への介入という禁忌を犯した。もう、世界が完全に元通りになることはない。
大筋の流れこそ保たれても、小さな範囲で確実に変化は起きているのだ。未来へと帰還した者達は、いずれ目にすることになるだろう。自らが成したことが、どれだけ重大なことであるかを―――




古代へ赴いた時と同じような浮遊感がしばらく続いた後、足の裏に重力が戻り、景色は未来へと変わる。あの雪国の村の痕跡は、どこにも残っていない。
だが、衣服に付着した雪が、今まで見てきたものが現実であったことを思い知らせてくれる。自分は確かに、古代の大地へと降り立っていたのだ。
戻ったはいいものの、休んでいる訳にはいかない。ユーフォリアは銀狼と共に救護室で手当てを受けた後、報告書をまとめ上げるため、総統室へと向かう。
今回の時間遡行の記録。正直に言って、世界政府にこれを提出する価値があるとは思えないが、仕事に私情を挟む訳にはいかない。これは、時間遡行を行った者としての義務だ。
ソファに寝かせた銀狼をちらと見やりながら、ユーフォリアは作業を続ける。歴史是正機構は次なる目標を、AD1000年代、人類と魔族の闘争の時代へと定めたらしい。
また近い内に、別の時代に向かわなくてはならないだろう。それまでに可能な限り傷を癒やし、身体に休養を与え、全力を出せる状態を整えておかなければならない。

>イアン・ガグンラーズ、(山城瑤子)、(カリギュラ)
【お相手ありがとうございました。多少時系列が前後する形とはなりますが、これにてユーフォリアら時空防衛連盟の面々は未来へ帰還となります。この後、パージルク戦終了を以て、正式に第三章中世編へと移行する予定ですので、今しばらくお待ちください】

2ヶ月前 No.405

中二病でも寂しい @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【歴史是正機構本部/個室/シエンタ・カムリ】

キラーの言葉になどは、もはや目もくれなかった。強制的に発動したプログラムによって、今の彼はどこからどう見ても、一人の少女にしか見えない状態。
確かに、人間体のボディを作って欲しいとの要望は受けた。だが、男にしろとは言われていない。性別の指定がなかったのだから、勝手にこちらが決めるのは当然であろう。
勿論、わざわざ女性にしたことには意味があるのだが、キラーにとってはどうでもいいことだろう。容姿に見合った声で講義の言葉を述べ、シエンタに歩み寄ろうとしたところで、彼は転倒した。
間抜けな声を響かせながら、彼は何とか立ち上がろうとするが……なるほど、四肢の動かし方が分からないのか。ある意味ホラーな動きをしながら、少女は地面をのたうち回っている。

「欲しい、といったのは君だろう? ならどうして元に戻す必要があるんだい? 恨むなら、ちゃんと"男の体"とボクに伝えなかった自分を恨むんだね」

実に愉快そうな表情を浮かべながら、シエンタは足にしがみついているキラーの頭を撫でる。撫でる。撫でる。次に、脇をくすぐってみる。今の彼が、これらに抵抗する手段はないだろう。
しばらくそうやって楽しんでいたが、さすがにこのまま放置というのも可哀想なので、シエンタは一度パソコンへと向き直ると、追加のプログラムをキラーにアップロードした。
それは、四肢の動かし方についてのプログラムであり、多少ぎこちなくはなるだろうが、人間らしい動きをするための方法がインプットされている。あとは彼自身が学習で適応させていけば、不自然さもなくなるだろう。
ようやく立ち上がったキラーを、シエンタは足元から舐めるように見る。こうして並んで立つと、キラーの身長は彼女と比べて、頭一つ分くらい大きい。

「キラーだなんて名前は女の子らしくない。だから、ボクがいくつか名前を用意しておいた。パッソ・カムリ、アイシス・カムリ、ラクティス・カムリ、ナディア・カムリ、イプサム・カムリ……さあ、好きなものを選ぶんだ。お姉ちゃん?」

現在、このプログラムには「キラー・カムリ」という名前が付けられている。由来がシエンタの名字にあることは言うまでもないが、この名前はどちらかというと男性らしいもの。
そこでシエンタは、予め名前の候補をいくつか用意しておき、その中からキラーが気に入ったものを選ばせ、それを正式名として採用する腹づもりでいた。
どれも嫌だ、などと言われるかも知れないが、もしそうなった場合は勝手にこちらの一存で決めてしまえばいい。最後にシエンタはわざとらしく、彼を姉呼ばわりするが、直後に何故か、表情が曇る。
一瞬、目のやりどころに困ったような様子を見せた後、あろうことかシエンタは、そのまま目の前にいるキラーの背中に手を回すような形で、抱きついた。
それもただいたずらで抱きつくのではなく、まるで子供が親に甘えるかのように、顔を身体に押し付けて。相手からすれば、何が起きたのか全く分からないだろう。

「……もう少し、このままでいさせるんだ」

いつものような強い語気ではなく、頼み込むかのようにして、シエンタは顔を押し付けたままそう呟く。こんな傍で、人肌の温もりを感じたことは、生まれて初めてかも知れない。
シエンタがこんな行動に出た理由。それは、彼女が引きこもりとなり、ネットに没頭した理由とも直結している。……が、今はまだ、その理由が明かされることはない。

>キラー・テンタクラー
【こっちもこっちで何やってんだ】

2ヶ月前 No.406

クランの猛犬 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【報告の時間だオラア!】

【時空防衛連盟/総統室/ランサー】
 本部に帰還した。
 足首に包帯が巻かれた状態で医務室から退出するランサー。
 暫くすれば治ると医師から宣告された。
 気だるそうに廊下を歩いていく。
 さて次の戦場は中世だという。
 魔帝国とマロニス王国の戦争だと聞いて、牛を巡ってコノートとの戦いを繰り広げた事を懐かしそうに思い出す。
(次はスパッとした戦いをしてえな)
 初戦は運が悪かった、串刺しにしても頭を取っても死なない薄気味悪い相手は、怪物退治のプロフェッショナルのランサーからして見れば手に負えない存在だった。
(……くそっ、アイツは一体何だったんだ)
 今まで対峙した事がないタイプの怪物に、悶々とするランサー。
 そんな筈はない、どんなに不死を誇っても倒せる方法はある筈だ。
 風穴開けても斬首しても死なないとなれば、心臓にあたる何かは別にある線が濃厚だとランサーは推測する。
(だが、奴(やっこ)さんがそう簡単に晒すワケねえよな)
 掴み所が全くなく、あの陰湿さは仮面のローブと戦いで痛感したので簡単に答えに行き着いた。
 総統室に辿り着いて、躊躇なく扉を開くと軽率そうな顔から精悍な顔で、銀狼を寝かせたお下げ頭の上司に真っ直ぐと赤い双眸を向けた。
「ユーフォリア。ちと厄介なヤツを取り逃がした」
 静かに重い口調で言葉を紡いだ。
「土手っ腹に大穴空けても生きていた黄色いローブを着たタコの足みてえな塊をしたヤツが、恐らくこの時代に生まれた実験体を連れて英雄を作るとかぬかしていた」
 ざっくりと説明をしついでに鶏舎の戦いについても付け加えると話は続く。
「もし、ヤツが嬢ちゃんに何か細工して得体の知らねえ存在になっている可能性があるって事も含めて全員に伝えてくれや」
 そして後ろを振り向くと片腕をひらひらと振って、用件が済んだので立ち去ろうと歩みはじめ。
「じゃあな。次こそ戦果上げてやるからよ、互いの武運を祈るぜ。ユーフォリア」
 あっさりと別れを告げるとアルスターの大英雄は、次の戦地へと向かう意気込みをここで誓った。
>ギルバート・トムフール

2ヶ月前 No.407

プライドへの大災厄プライド @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

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2ヶ月前 No.408

"龍炎公" @zero45 ★h2BOlEz4kD_kuu

【魔帝城/深淵の間/ヴァンレッド】

 溜息をつきながら、浮かない顔をしているのはいつもの事だろうと答えるヴェルメイユ。彼女の言う通り、誰かの目が届かない所に居る時には、この様な物憂げな表情を浮かべている事が多い。こうして時偶、二人だけで互いに素を曝け出し合いながら語らい合うからこそ解る事だ。物憂げとしている理由が何たるかも、完全であるとは言い難いが理解していると言える。
 彼女は軍を率いる身であり、魔族を統べる帝王ではあるが、あくまで人類との共存を望んでいる。然し、そうした路線の模索を拒まんとする者達がいるのだ。その筆頭格と言えるのが、あの忌々しき黒猫とかの混沌。それらの存在が在る限り、和平への道は依然として絶たれたままだろう。早急に何とか排除しなければなるまいと思う。

「……そうか。なら、今は追究しない」

 悩みはある。しかし、それを話す事が自らを危険に曝す事に繋がる――それだけで、彼女の悩みが何なのかを理解出来た。大よそ、あの黒猫に対する不平不満と言った所だろう。確かにそれを当の本人やその下僕に聞かれてしまえば、どうなるかは想像がつく。姑息な手段を使ってでも地位から引き摺り下ろすか、最悪の場合は処刑される立場にもなりかねない。
 とにかく、そう言う事であるのならば、今の所は追究を避けて然るべきだろう。此処でその悩みを明らかにしようとする行為は、今後の未来に悪影響を及ぼしかねない可能性が有るのだから。

「だが、いざと言う時は遠慮せずに打ち明けて欲しい。危険を顧みる事無く、仕える主君に尽くすのが、臣下の務めなのだからな」

 それでも、いざと言う時は。危険に曝す事を躊躇せずに、その悩みを打ち明けて欲しいと思う。仕える主が悩みを抱えたままと言うのは、当人にとっても、忠誠を誓う臣下にとっても心苦しい物。魔帝が自らを臣下として思っている様に、自らもまた魔帝を主君として思うからこそ、耐え切れなくなる前に打ち明けてくれる事を望むのだ。

>魔帝ヴェルメイユ

2ヶ月前 No.409

魔人騎士 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【魔帝城/庭園/ルーカン・ベレスフォード】

 オムニスは微笑むとふわりと地に降り立つ。
 ルーカンは彼女に寄り添う魔族に気づいていない、恐らく魔法か何か使って光や音等を感知しているのだろうと思っていた。
 ようやくリュドミラの視線から解放されて、いつもの凛々しい顔立ちに戻ると二人の意見を静かに聞いて口を開く。
「確かに争いはない方が好ましい……ですが、私は虐げられてきた事実に声を上げ尊厳を取り戻す為、魔帝軍に志願し剣を振るってきた身としては今までの犠牲を否定したくはありません」
 同等の立場であるオムニスに対して敬語で話しているのは、リュドミラがいる為である。
 ベレスフォード家に代々伝わる話、滅亡した王家の話。
 魔帝軍はその復帰の為に立ち上がったと聞き、虐げられてきた魔族に人間と同じ立場を得れると考え8年間もこの戦いに身を投じたのだった。
 一方、リュドミラはオムニスと対称的な意見を述べてきた。
 災禍龍姫らしい実力主義の意見だ。
「……切り捨てるですか、私にはとても真似はできません。皮肉や世辞でもなく純粋にそう思います」
 けれども必要以上に他者を痛め付けるのを誰よりも嫌うルーカンからすれば、オムニスよりも相容れない意見だという事は表情を固くしはっきりと述べた。
「そうですか。なるべく穏便に済まさればいいと私は願っています」
 ふと、魔族の中でも悪評高いチェルについて脳裏に浮かぶ。
 リュドミラのように血統故の誇りからくる虐げではなく、純粋に快楽としての虐げを振る舞う者が果たして、未来人を対等な扱いをするのだろうかと疑心を見せる。
 噂を聞くと自分達を嗜虐してきた主人のようなタイプだとルーカンは直感した、もしかしたら魔帝軍ごと食い物にされるのではないかと。
 ルーカンはそこだけは8年間ずっとしまいこんでいる、暗い感情だった。

>災禍龍姫のリュドミラ オムニス・デューザ

2ヶ月前 No.410

“塵殺剣” @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_kuu

【兵舎/ニア】

「亡くなった、か。事は把握した、ならばとやかくは言わん」

「軽視するつもりではないが、それでおまえに倒れられてもあらゆる部分で歪みが出る。
 短期ならばどうにでもなる歪みだが、歪みは歪みだ」

 前任者が亡くなった。過労か、あるいは雑な処分というところか。
 激務であるならば前者、後者ならば脳裏を過るのはまたぞろ“いつもの”連中だ。
 魔将軍と言ってもその人格は様々だ。道理の通らぬもの、折り合いを付けるもの、全てを見下すもの、何かに固執する者、走狗に甘んじる者、陰惨な謀略に奔走する者、そして目前のレプティラのような潤滑油足り得るものまで数多いる。
 そうした内の何人かは、こと生命というものを塵か何かとしか考えないきらいがある。正確には、自分以外の全てを然して価値あるものと思っていない節があると言い換えるべきか―――その思想自体は、どの道天命が来るまで矯正できないのだからどうでもいいとしても、そうした思想を持つものがどういったプロセスで行動を行うか、という点に関しては考えておくべきだろう。

 もちろん、前者であるという可能性はある。
 ………あるにはあるが、蛇族の長たる女がまさかそこの辺りの管理をしないはずはない。将軍という立場で事を行ったのではないとするなら本当にいち魔族の試みとなるのだろうが、単体でこれを回せるという状況が異常なのだ。
 だから、彼女は事を把握したと、ただそれだけで言い切った。
 レプティラの言葉の本意全てはさておきとして、それが幾つか敢えて触れなかったものと答えなかったものを濾過した上で出された解答であることを、女の瞳は鋭く捉えていた。
 捉えて、ただし何も追求しない。変わらず、炎のような色の瞳は、それに比例するような冷たさを備えるのみだ。

 ………彼女が善意でそれらの解答と行動をとっているのかは、敢えて語らない。
 ただ、いずれも虚偽があるものではないのだ。
 彼女からすれば、その兵舎自体の杜撰な管理に関して是正の余地ありと判断したことは真であり、彼女がレプティラの損失を歪みと例えたことから不都合に思っているのも真だ。そこにどのような意図があるかは見えない。
 その行動の全ては、他者にニアという魔将の意図を誤認させる行為に等しい。
 まるでこの女は、なにか他者には計り知れない情念を全てに優先しているのではないか、と。

 ―――例えば。去り際に、今までと趣の違う回答をして来たところも含めて。
    この宣告者は、きわめて言葉の一言足りない類の者だ。

「そうではない」

「もう一度言う。おまえは他の者とは聊かに気風が違う。
 おまえは将である動機が無い。理由が無い。生を使う原因がない。
 おまえは―――なんのために此処に居る。それも、ただ請われたからか?」

「他の者は、見れば分かる」

 だから、そうではないと評した理由が“そんなことは見れば分かる”と言う意味合いであること、とか。
 彼女が真に問いたい内容は、明らかに将軍の立場にあるような者ではないレプティラが、何故それでも他魔族たちのために心を砕くのか………その是非についてであること、とか。見れば分かるというのは、他の魔将軍たちの動機と違っておまえは分かりにくいという直球の言葉であること、とか。
 そうした内容を、彼女は語らない。
 決して意思の疎通をしないわけではないが、言えばある程度意味の通る部分のみしか語らない。
 だが幾度も繰り返した通り、ニアにとってもレプティラという人物は群を抜いて不明瞭なのだ。通りすがった序でに言葉を交わしたのは、比較的付き合いの薄い関係にある彼女に対する意思表示であるとも言える。

 ………そしてその言葉もまた、ニアという人物には何らかの理由があると判断させるには相応しい。
    宣告者の長は、そういう生き物だ。

>レプティラ

2ヶ月前 No.411

ハザマ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_kuu

【時空防衛連盟本部/資料室/ハザマ】

「―――はい?」

 不意に声がする。
 何やら素っ頓狂な声であるが、さて、もう帰還して来た人物だろうか?
 聞き慣れない声だが、振り向いて見ればすぐにでも正体は掴める。
 といっても、掴めたのは“データにない”という点だ。この世界の人間というやつならば(このカテゴリのやり方は相当に胡乱であるが)、先程ハザマはデータに収め、術式として貯蔵している。故にある程度パーソナルデータは掴んでいるわけだ。
 ところがそうではない。この陰を感じさせる華奢で気弱なケのする青年(声から判断)は、自分の持っている情報のどれとも合致しない。これがスパイであるという可能性こそなくはないが、だとしてもハザマにとって害となる要素はそこまでないだろう。なにしろ自分としては、この組織がヘマで滅ぼうがどうでもいいわけだし。

「ははあ。人の顔見て知らない人とは、いやはや中々直球な回答をブチ込んでくれますね。最もそれは悪い回答ではない、私にとっても割と貴方は『知らない人』だ。今はまだ古代で皆時空修復の作業中と思っていたんですが………」

「その様子だと、もしや欠席? 私、一応現地で概ねの顔は記憶した覚えがあるんですが。
 つーか顔が見えませんね、まったく、工作員じゃあないんですから―――よいしょっと」

 そしてこの様子。
 このダンボールを被った男がどういう意図なのかは本気で判断し難いところがある。
 が、見たところ用があるのは資料室というところか。
 それにスケープゴートとしては中々だが、あまり有益そうな相手には見えない。………あらゆる意味で、だ。

 それはそれとしてダンボールに手を引っ掛け、可能ならば外しに掛かる。
 躱されるなら二度目をやる気はないが、とりあえず居たかどうかの把握程度はしておくとしよう。

「どうも、知らない人です」
「何しているのと言われると、何かしていたという解答が最も適切になるんじゃあないかと思いましたが―――ああはいダメですよね胡散臭いですよね。順を追って、そちらの邪魔をしない程度にすぱっと説明しましょうか。
 まずは自己紹介。私、ハザマと申します。ええ、ただのハザマで結構です」

 そしてその間に、さくっと此方の会話のペースを持つ。
 別に益があるでもないが、会話の最中にも内部術式と各種資料との情報すり合わせは可能だ。
 手元で資料の一つを弄びながら、彼は会話を続けた。

「例の古代時空から帰って来たところでしてね、その序でに調べものと洒落込んでいるわけです。なにしろ此方、客人のようなものなので! ただ働きで済めばいいですが、利用された挙句ポイ捨てされる可能性もある。困るんですよねソレ。
 しかし我々の立場も何もかも違う世界では役立たぬ。自分の身を護るのは自分だけなのですから、困る困ると言っているだけで事は進まない―――というわけでこちらの世界に馴染み、身の振り方を考えるための絶賛情報収集となります。あらやだいけない、話が長くなってしまった」

「で、一問一答と行きましょうかハイ答えて。
 そちらさん―――こんなところに、こんな時間から、いったい何をしにやって来たのです? ねえ? 先程言いましたが、その声と背格好、確か古代時空への出撃者には居なかったはずなんですよ………。
 ハイ、その上でこう聞きましょう。もう一度。質問はハッキリと意味が分かるようにね。
 ・・・・・・  ・・・・・・・   、 ・・
 こんなところに、こんな時間から、いったい何をしにやって来たのです?」

 嘘は一つたりとも言っていない。
 ポイ捨てされて死にました、ではある意味困るのも事実だ。
 調べ物をしていたのも、それはまた事実だ。
 身の振り方を考えていたのも、言葉だけ捉えれば事実である。

 ―――そして。柔和な表情とは裏腹に、その饒舌さは他者を呑み込む。
    良くも悪くも彼は慇懃無礼だ。言葉の節々全て、他者への配慮なぞは微塵もないわけで。

 相手が此方で何某の作業をしていたと見るや否や、
 それに罪悪感の一つでも感じさせるような言動をすることへの躊躇いなどあるはずもないのだ。

>ショパン、(ALL)

2ヶ月前 No.412

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【マロニス城/騎士団詰所/ザーシャ】


違え、違えんだよなあ。騎士団長代理よぉ、俺は待遇をよくしろだのもっと金寄越せだの言ってるわけじゃねえんだよなあ。それを望むんなら俺が良い子ちゃんするだけで済む、んなこた柄じゃねえからやらねえけど。
俺が言ってるのはどいつもこいつも視野が狭えってことを言ってんだ、魔族だから魔族だからって阿呆みたいに喚いてりゃそりゃ気分がいいだろうよ。なんせ人間の近くにいるのは、人間に害を与えねえ奴らだからだ。
魔族側がどうかなんざ知らねえけど、少なくとも人間に力を貸す奴がいるのに一緒くたに如何こうすんのは馬鹿でしかねえ。敵と同じだからって不安になるのも分からくはねえが、過剰な予防は身を滅ぼしかねねえからな。
ま、騎士たちが血気盛んなのは良い事なんじゃねえの。向ける切っ先さえ間違わなけりゃな、少なくとも俺に向けるもんじゃねえな。はあ、扉蹴り飛ばしたくらいで気を張るんじゃねえよ。
敵襲なら城の見張りが声張り上げながら真っ先にここに来るだろうに、魔族憎しで訓練漬けになり過ぎてお頭まで緩くなってちゃあ仕方ねえな。たまには遊ばせるのもいいんじゃねえの。

「騎士団長代理殿が言ってやめるんなら、誰もやりゃあしねえよ。魔族が怖え、憎い、結構結構。んじゃあ俺にも怖えから、憎いからって殺しに来ればいいんだよ。」

溜息をつきながら、大曲剣を宙へ放り投げキャッチする。怖がるのも、憎むのも勝手にすりゃいい。だけどな、俺が言いてえのはそこじゃねえんだ。魔族が人間に手を貸してるから、そこで留まるのが下らねえって言ってんだよ。
人間に手を貸すから、迫害程度で済ませてんだろ?相手が人間を傷付けねえのが分かってるから、じゃなきゃ人間に手を貸すなんざ思いつかねえからなあ。んじゃ、迫害すんなら殺しちまえよ。
他の魔族と同じように、魔族だから殺せばいい。人間の味方をしてるから爪弾きだけで許す?下らねえ、だったら殺しちまえばいい。そうすりゃ人間様だけで魔族と戦える大義名分が出来るじゃねえか。
それをやんねえのは力借りねえといけねえのが薄々分かってるからだろうが、だが心の安寧の為に下らねえ疎外はする。は、笑っちまうな。嫌うなら殺すまでやれよ、受け入れんなら無駄な事すんなよ。
ま、この騎士団長代理はそこんとこの分別はついてるみたいだけどなあ。敵の魔族と味方の魔族をきっかり分けてる、いいんじゃねえの?まあ、そもそも俺魔族じゃねえけどな。

「でも誰も殺しになんざ来やしねえ、怖い、憎いは口だけかっての。数で勝って、こっちが襲わねえっての信じて、下らねえ自尊心満たしてりゃいいんじゃねえの?その内味方する魔族なんざいなくなって、全部の魔族が敵、御望みの展開だろうよ。なあ、騎士団長代理殿ぉ?」

背凭れから乗り出して嫌らしい笑みを向ける、俺は何か欲しいからこう言ってんじゃねえ。このままじゃ自分の首絞める変態ばかりになるから、忠告してるだけだ。
嫌われて気分のいい魔族が居るかなんて自分で当て嵌めてみりゃ簡単だろうに、気にしないやつはいてもいい気分する奴なんざいる訳がねえ。いたとしたらそりゃ壊れてるやつだ。
騎士団長代理はどう答えるんだろうなあ、過去なんざ知らねえが少なくとも魔族の中で区別しようとしていることは分かる。そうじゃなきゃ俺にも他と同じ態度を取った方が、士気を上げるだけなら簡単だからなあ。
さてさて、真っ当でもいい、面白くても良い。つまらねえ答え以外ならなんだって楽しんでやるよ、騎士団長代理?

>>ゲイル・べネルド

2ヶ月前 No.413

災いを呼ぶ黒猫 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【魔帝城/魔大将の間/チェル】

ネクロニアの要求に応え、しばしの間彼女に身を預けるチェル。時には腹を見せたりしながら甘える鳴き声を発する彼女は、まさしく猫そのものであった。
抱き付いて顔を擦り付けられても、一切嫌な表情を見せない。だがそれは、裏がないという意味には直結せず。相手に悟られないようにそっぽを向きながら、チェルは嗤う。
なんと、扱いやすいのだろう。こうしている限り、彼女は自分の言いなり。決して思想が合うという訳でもないのに、無条件で後ろをついて来てくれている。
魔将軍ほどの者がこんな誘惑に負けるのもどうかとは思うが、所詮はその程度の存在でしかないということだろう。これだけ人数がいれば、格が落ちる人物だって一人くらいいる。
それにしても、パージルクとは面白い名前を出してきたものだ。記憶の限りでは、古代にてたった10年しか存続しなかった帝国を率いた人物であったはずだが。
チェルにとってみれば短期間の内に国を崩壊させた無能という認識であるが、もしかするとこのネクロニアは、その魔道帝国に属する者であったのかも知れない。
仮にそうであれば、この扱いやすさも頷けるというものだ。国が一瞬で滅ぶということは、即ちそれだけ国に人材が足りず、無能揃いということであるのだから。

「さて、今日はこのくらいで十分でしょう? まだ足りなかったら、その辺りの猫とでも戯れなさいな」

とはいえ、チェルもずっとネクロニアの好きにさせてくれるという訳ではない。こいつに自由にさせたら、きっと一生撫でられ続けることになってしまうだろう。
それではどうしようもないので、彼女はいつもこうして適当なところで切り上げさせている。勿論救済も用意されており、まだ足りなければ、周囲の猫と戯れることも可能だ。
猫は気紛れである。あれだけ乗り気であったのにも関わらず、チェルはもう冷めきった様子になっており、ネクロニアに対して媚びを売るようなことも全くしない。彼女にとっては、このギャップがむしろいいのかも知れないが。
特に話すこともないので、そのまま時間ばかりが過ぎ去っていく。相手の報告任務は済んでいる。居座られるのも面倒なので、満足したならば、早々に立ち去って欲しいところだ。

>"不死公"ネクロニア
【急激に冷める奴】

2ヶ月前 No.414

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【魔帝城/庭園/オムニス・デューザ】


リュドミラ、ベレスフォード卿と彼女の意見は細かい部分を合わせれば相容れないものであった。大きく分ければベレスフォード卿とは似た意見になるのだろう、しかし些細な部分が噛み合わない。
リュドミラの意見、それは使えるならば使ってそうでなければ斬り捨てるもの。魔将軍と言う立場で見れば決して悪くない、むしろいい判断であろう。協力者が足を引っ張るならば現在優勢である以上、不安要素は排除すべきだ。
ベレスフォード卿の意見、それはあくまでも穏便に済ませる、しかし犠牲を無駄にしない為に剣を振るってきた以上争いなく終えることは難しいと。彼の過去を詳しくは知らない彼女だが、この一点では相容れなかった。
そう、彼女は何処までも争いなく双方が幸せになることを望んでいる。具体的な方法など思いつかない、しかし彼女には神様がついているのだ。その事実だけで、彼女は成せると信じ続けている、だからこのような言葉が出るのだ。

「犠牲の上でさらに血を流すことが、果たして犠牲になった方々のためになるのでしょうか?犠牲になった方々も後世が血を流してまで何かを為すよりも、血を流さずに幸せになることを望むと思います。」

にこやかに放った言葉は理想論でしかない、しかしそうであっても彼女は出来ると信じて疑わない。人間と魔族の和平、万人への幸福、どれも可能であると信じ続けている。
そして彼女はまだ口を閉じない、今放ったのがベレスフォード卿への言葉であれば次に放たれるのは残ったリュドミラへの言葉。彼女に恐れはない、相手が魔将軍であろうとも正しいと思ったことを口にする。

「そして切り捨てる、対等である、そのどちらも皆様で決めた方が幸せな方が多いでしょう。リュドミラ様の判断も間違いではありません、ですが多くの方と語り合えばより良い判断が出来ます。」

関係なくなどない、どれだけリュドミラが高貴な生まれであっても出した答えが万人が幸せにつながるかと言われれば否である。彼女は機嫌を損なおうとは考えていない、だってこれが正しい事なのだと信じているから。
彼女は自身が正しいと思っているわけではない、神様が認めてくれたこの和平と幸せへ至ることが正しいと信じているのだ。神様が離れぬ限り、和平は成されるだろうし万人に幸福が訪れると信じている。
思い描く理想に犠牲も流れ出た血もない、机上の空論だと多くの者が吐き捨てるだろう。当然だ、当の神様と呼ばれた魔族が認めたのは彼女の思想ではなく彼女の在り方だ。
どうしようもなく互いに矛盾を孕み、その矛盾を片方は気付いているが問題ないとし、片方は気付いていながら相手に気付かせまいとする。だからこそ歪で強固な関係が出来てしまった。

「ええ、穏便に争いなく、あらゆる方々が幸せな結果になることを心から願っています。」

そう微笑む彼女、嘘偽りなく語られる純白の願い。決して叶うことなき、理想の砂城。風に吹かれ、水に流され、些細な事で崩れ去るその願い。必ず果たせると信じ、止まることはない。

>>ルーカン・ベレスフォード リュドミラ

2ヶ月前 No.415

エクセラ・ノア・アウラ @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=dgrb36F8Ll

『城塞都市ギリダン/玉座の間/エクセラ・ノア・アウラ』

「あれほどの力を残していたとはな……」

エクセラが最後の一撃を意図的に外した為に、
生きながらえた敵対者は衝撃波を発生させてエクセラ達と距離をとる。

「私は選択を誤ったとは思っていない。真に後悔する事になるのは、そなたの方だ」

エクセラが意図的に最後の一撃を外したことに後悔はしていない。
相手は馬鹿、愚か者とは言うがエクセラからすれば、相手の方がそれに該当する。
エクセラの眼にはせっかく拾った命を投げ捨てているような行動に見えたからだ。
すると砕けたクリスタルから発生した魔力の粒子が相手の両手に集まっていく。
やがてそれは膨大なエネルギーの球体となった。
それはこの宮殿を簡単に破壊できる威力を誇るものだった。
その攻撃が放たれると炎を使う少女が、奮起。
もう一人の味方も不退転の決意で相手に接近して攻撃。
エクセラも遅れてこの戦いにおける最後の詠唱を行う。
それが終わると、「ドラグーンダイブ」を発動する。
エクセラは上空に高く飛び、敵対者に向かって落下して攻撃する魔法。
即死や致命傷を与えるのを避けるため、
龍吼魔笛グラビネットを相手には向けず、蹴りを入れる姿勢となって相手を攻撃しようとした。

>>パージルク・ナズグル、ニケ・エタンセル、ソレミア・ラガルデール

2ヶ月前 No.416

ガドン @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4

【 魔帝城/舞踏場/ガドン・バルザック 】

 髪はしっかりトリートメントをするの。女の命とも呼ばれている部位だからこそ、確実に。
 体もしっかり鍛えなきゃ。イケてる男たちの前に出る時こそ、輝かしき己を曝け出すのだから。
 コーディネートはもちろん大事。けばけばしいドレスでもなく、しかし己をさらに輝かせる材料とするの。

 さあ、舞踏場へ行きましょう。
 アタシの美しい姿を前に、皆がひれ伏すわ。

 ――舞踏場へ躍り出る影。

 コルセットドレスを纏い、気品あふれる格好をした美女(らしきナマモノ)。
 彼は周囲の高貴なる魔族に経緯を払いながら、端のテーブルまで歩みを進める。
 異様な彼の姿に、誰もが釘付けにされる。
 後に、ある魔族が語った。

 ――"見惚れているだって? ありえるかそんなこと。あいつ人間だぞ、その、人間の上に……"。

「――風が生ぬるいわネ」

 美女の口からこぼれるのは、地の底より響くかのような雄々しい声。
 それは文化か、風習か、それとも――これより訪れるであろう戦火の波か。

「マ、いいわ。
 その時になればちょちょいっと前線に出るだけだもの。楽わよね、この仕事も」

 何にせよ、彼には関係ない。
 騎士団長の行方不明の一報が入った瞬間に王国を裏切り、金を持ち逃げした悪名高き傭兵団――《愛と勇気と絢爛団》。

「ンン〜美味しいわねこのワイン。
 何処から取り寄せたのかしら? 次の買収はそこにしようかしらネ。
 上手いこと回せば美味いワインが飲み放題! 世界ってすんばらしぃぃぃ!」

 その団長、ガドン・バルザックには。
 金と乙女達の事柄以外では絶対に動かない彼にとっては、政変も義憤も何もかもがどうでもよい。

>ALL

2ヶ月前 No.417

電子の詩人 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【こいうヤツですみません】

【時空防衛連盟本部/資料室/ショパン】
 知らない人が怖い、だからついこうして断絶してしまう。外に出る時は史実からの友人リストの後ろに隠れたりしている事が多い彼の態度である。
 じりじりと白いブーツを動かしながらもペラペラとコートの男は喋り続ける。
 つまりこの男は一足早く帰って来たらしい、自分に近づいてきてヒッと小さな悲鳴を上げて片腕で守ろうとするが、精一杯の抵抗は無力。赤茶けた前髪を目元まで隠した色白で鷲鼻が特徴の恐怖に染まった鬱屈そうな男の顔が見えた。
 そしてまるで、役者が劇を演じているかのような台詞回しが続き、ショパンは呆気にとられ、クラシカロイド特有の目は丸くして立ち尽くす。
 そして内心、初対面なのに急に喋り初めてなんだこいつと辛辣な評価をして話を黙って聞いていると、マイクを向けられて指を指して「僕?」という仕草をし憂い気なくすんだ黄緑の目は、どんぐり眼のままだった。
「……みんなが出ている間も。ずっと動画を作ってさっきネットで投稿した」
 まずは古代に赴けなかった理由を淡々と告げる。次にと体を少々震わせながらも次の話へと持ち込む。
「西洋音楽史……なければこの世界の歴史を……調べに来た……」
 恐怖に押し潰されぬようショパンは深呼吸すると更に踏み込んだ。
 情報収集や現場で会った人間の顔を覚えていると言ったこの類いの人間は、きっと根掘り葉掘り聞くと思ったからだ。
「僕が作った曲とか、生まれた事がなかった事にされていないか……確認する為に」
 そう怯えつつも自分の全ての答えを、ぼそぼそと消えそうな声で相手に伝え終え頭をうつ向き。
>ハザマ

2ヶ月前 No.418

"どうせ死ぬなら役に立て" @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【城塞都市ギリダン/玉座の間/パージルク・ナズグル】

「諦めない、か。 私を前にしてその言葉が出る、それだけで、ここで、私を倒すには十分のようだな!!」

ニケの言葉を聞いて、なんと頼もしい事かとパージルクは微笑む。
大地を裂いて現れた五つの焔柱によって、味方が必ずこのパージルク・ナズグルを倒してくれると確信しているのか、自分のみが傷つき、盾となる。
幾ら高い潜在能力があったとて、ニケは今まで将軍の座にも付いたことが無い、いわば近衛らしい近衛並みの戦闘能力しか持っていない人物のはずだった、だが、今、ここまで爆発的な成長を遂げて、今まさに自分の首元に迫っている、何と言う奇異。 これはまさに、一時の能力のみを見て人生を、二つの人種どちらかに振り分け、決定付けると言う考えそのものが間違っていたと証明するようなものではないか。

――あぁそうだ、お前ならば"届く"さ、どんなにそれが遠かろうと。

一方のソレミアは、自分の身を削って、紅き双剣を作り出した、だが、それで攻撃するよりも前に、あの光の塊が襲来する……だが、その直撃を受けながらも、彼女は踏み止まり、それどころかこちらに向けて歩を進めてくる。 そして、最後の敵は何らかの魔術を詠唱したかと思うと、空高く飛び上がった。

パージルクがにやりと笑う。
これでやっと終わるのかと。

ニケが両手を使えない状況であっても、必死に集めた火炎弾を頭突きで撃ち出し、ソレミアは跳躍してから、重力のままに急降下、こちらに斬撃、そしてエクセラも同じように上空からの急降下攻撃。
三つの攻撃が同時にパージルクに迫った。

「やらせるかよぉッ!!」

それを黙って見ているパージルクではなく、光で構成された帯を鞭のように振るって抵抗する……しかし、敵対者たちの攻撃は、それをいとも容易く突破した。
もう、パージルクに残された魔力が少なかったのもある、だが、それ以上に……"女帝"が超えられたのだ。

パージルクに全攻撃が降り注ぐ、皮膚が焼け、身体を引き裂かれ、壁際まで吹き飛ばされる。
だが、その全ての攻撃が、みねうちにも近い一撃、パージルクが死ぬ事はなかった、だが、先ほどのようにパージルクに反撃する力は、もう、無かった。

「ふふっ……甘い奴らだ。 だが、絶対的悪である私を前にしても、そういう行動を取る、そんなお前たちが、この世界を変えれるのかもしれん……だが駄目だよ。 エスメラルダや他の将軍が戻ってくる。 きっと私は、娘や部下に会ったら、死ねなくなってしまう、死が恐ろしくて、別れが怖くて。 だからな」

パージルクが最後の力で片手に小さな光の矢を形成する、それを、首に突き立てようとした。
……これを止めること、それ自体は、三人にとって容易な事だっただろう。 だが"改竄者の手"がそれを引き剥がす。

『どうせお前はここで死ぬ。 なら、ヘルガ様の役に立ってゴミのように死んでもらいたいねえ!?』


【城塞都市ギリダン/玉座の間/パージルク・ナズグル+Cluster】

玉座の間に向けて正門より大量の長距離ミサイルが放たれる、それは、ほとんどの防衛部隊が逃げ出したか敗北し、そしてまた、時空防衛連盟が引き上げ始めたから出来た凶行だ。

"黒翼"が空を舞い、全てをあざ笑うように急速に玉座の間に向かっていく。
初撃のミサイルは玉座の間に着弾して、パージルクの足場を崩して、転落させた。 そこに防衛連盟やロンカ村の連中が手を出せないようにクラスターはミサイルをばら撒きながら玉座の間へと接近する。

その姿は……そう、例えば、侵攻作戦を中断してここに戻ってきた将軍や近衛、そして、正門などから撤退した……そう"エスメラルダ"などからは良く見えた事だろう。

「是正機構ッ……貴様らの好きには」

パージルクがそう言ったのもつかの間、クラスターは既に眼前にまで接近しており、クラッシュアンカーをパージルクの胸に突き刺して、そこから脳を破壊する事は出来ないが、気絶させるには十分な電気を流し込んだ。
そのまま本当に、最後の、最後まで、このチャンスを見計らっていたクラスターが腕でパージルクを掴んだまま、飛行形態に変形して空高く飛び上がる。

この頃には、異変に気づいた者による集中射撃が浴びせられたかもしれない、だが。

『さようなら! パージルク様はこんな実力主義が認められない世界は嫌だとさ、ふはは、ふくくっ! あはははは!! ヘルガ様、僕を褒めてください、周りのクズ共が満足に仕事をできない中、僕はファインプレーをしたでしょう!?』

狂笑と共に、黒い翼を持ったかの物は、最初からそこに居なかったかのように、太陽の光の中で消えた。
……時空を移動したのだ。

本来の歴史の流れで起きたパージルク・ナズグルの死。 そして、今まさに起こった、拉致と言う形での消息不明。 それは確かに、この古代において意味する所は同じかもしれない、時空は一応修復されたと言っても良い。
だが、真実を知る者には、是正機構の脅威を強く認識させて、最後の是正機構に所属する敵対者は撤退した。

>ニケ・エタンセル ソレミア・ラガルデール エクセラ・ノア・アウラ (古代ALL)


【パージルク@戦線離脱。 これにて古代編は終了、となります。 皆様お相手、ありがとうございました!! 真の意味での決着は、まだ先となるのです。 ちなみにこのシーンは、ギリダン全域から観測した、と言う体で今後レス書いて頂いても大丈夫です!】

2ヶ月前 No.419

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【魔帝城/兵舎/"常山蛇勢"レプティラ】


「そう、でしょうか……?私が居なくとも……いえ、ニア様がそう言うのでしたら何らかの支障が出るのでしょう。」
「お気遣いありがとうございます、ですが本当に大丈夫ですので、はい。」

彼女は自身の労働量が測れぬ盲ではない、他の魔将軍の業務を知る術はないが彼女にとっては過剰気味であることは知っている。勿論、分かっていながらやっていることで恐らく倒れる心配は、魔将軍との兼ね合いを除けばないと言い切れるほど。
肉体的な疲労よりも精神的な疲労の方が相性が悪い、実際疲労で卒倒したのは蛇族の長から続けて魔将軍に任命された時のみである。故に、倒れる心配も、倒れても問題がないと思っていたのだが、ニアはそうでない様だ。
前任者の件は濁した以上追求はないと思っていたが、心情が如何あれそう言った心配をされるのは失礼かもしれないが驚愕していた。表情にこそ出さないよう努力はするが、不死公ネクロニアとチェルのアレを見てしまった時程度には驚いている。
少しばかりニアへの心証は良いものへと変わっている、未だ本能的な恐怖こそ抜けないものの他の魔将軍に比べればまだ怖くない方だろうと。考えていることが分からないのは変わらないが、決して悪と断ずるような意思を持っているようには思えない。
ただ、感情が読めない事も変わりなく、機嫌を損ねない為に敢えて深読みせずに返答を行っているが何を思って問うているかは依然不明。しかし、魔帝軍の現状を憂いて彼女と話をしていることは確かだろうと思うことにした。
不変の表情、見透かされるような瞳、そして彼女が感じる命を脅かすような恐怖。どれをとっても友好的には思えない、近寄りがたいと言った感想を持つものが多いニア。そのニアを彼女は良い方へと位置付けた。
人の裏側を読もうとするのは彼女も同じ、感情が豊かに見えないのも苦手なだけかもしれないと、そう思うだけで意外と平気なものだ。ただ間違っても突然出くわしたくはない、必ず最初のような情けない声を挙げてしまうだろう。

「えと、難しい……ですね。あまり考えたことがありません、少し……考えます。」

そう言うと彼女はだぼだぼの袖を絡ませながら腕組みをし、うんうんと唸り始める。実際、考えたことはなかった。が、任命されたから、その理由だけでずっと働けたかと問われればそれは嘘になる。
考える振り、と言うよりも言葉を纏めると言った方が正しいか。幾つかの理由があれど、きっとニアが納得できるものは少し難しい。これだ、と思うものこそあれど相応しい言葉が見つからない。
ニアの言葉の真意が読めたわけではない、ただお前は魔将軍として何をするためにいるのか。そう問われたような気がしただけ、自分の命を使う理由とは大げさだなとも感じながらニアの種族故の事なのかと納得する。
他の魔将軍が見れば分かると言うのも驚きだ、彼女には到底フィラッサの考えは読めない。何故魔将軍に就いているかと言った事に限定しても、何のために魔将軍をしているのかは理解できない。
ふざけた答えで良いのならばヴァンレッドと同じ立場で仕事ができると答えるだろう、彼女は強い憧憬の様な感情を抱いている。様なと称したのは彼女でもその感情を良く分かっていないからだ、ただ共に居たい、役に立ちたいと言った些細な感情ではある。
でもその答えは一部であって全部ではない、彼女が望んでいるのは医者としての見識と彼女個人としての願いを合わせたもの。だから、きっと言葉にするならば―――

「魔族の、平穏?」

首をこてんと傾けたと同時に出た言葉、彼女自身その言葉を聞いて漸く納得したかのように目を見開いた。傍から見れば簡単に思いつくような言葉でも、余計な考えが混ざるほど単純な言葉にはしにくくなる。

「そうです!魔族はかつて住んでいた場所があったんです!今こそ魔帝城に集められていますが、各々の部族で独立して生活していました。」
「私は魔族それぞれが適した場所で、穏やかに生活できる様にしたい!魔帝軍なんて解散して―――あっ」

声高らかに宣言したは良いものの、明らかに飛び出しては不味い発言に口を慌てて抑える。魔帝軍の解散は流石に言い過ぎたが、彼女が望むのは魔族が身体に合った土地で穏やかに暮らすこと。
そもそも魔帝軍は魔族の結束の為に作られたもの、今でこそ人間との戦争に力を入れているが本当の目的ではない。戦争を終わらせることが魔族の平穏につながるならば、それまでの平穏を少しでも保たせようと彼女は動いていたのだ。
人の下で奉仕するばかりで、自己を持って人の上に立つことのなかった彼女が持つ僅かな目標。ずっと心根にあったが言葉に出さなかったことで、自身もよく理解できていなかったそれがようやく明らかになったのだ。
人間との戦争ははっきり言えばどちらでもいいのだ、彼女にとって望むべくは魔族が健康に過ごせる土地で生活することであり、その近くに人間が居ようがどうでもいい。
何故ニアがそう言ったことを聞いたのかは多少なり疑問に思うが、今の彼女は明確な目標を思い出しはしゃいでしまっている。ぴょんぴょんと小躍りするように跳ねていることから明確だ。
もしも彼女が落ち着いていたならばこの後にニアの動く理由の一つでも聞いていただろう、彼女もニアの事は理解できていない故に知りたいと思っているからだ。しかし悲しいかな、彼女は年甲斐もなく跳ねて喜びまわってそれどころではないのだ。
落ち着け、蛇族の長よ。

>>ニア

2ヶ月前 No.420

Futo・Volde @nonoji2002 ★0hekQLL3eX_wNY

【城塞都市ギリダン/城下町→時空防衛連盟本部/休憩室/ソファー/スターロード】

戦術的撤退、ただ単に逃げる事を軍事的に、恥をかかないように表現した言い方だが、この戦いはとりあえず俺の勝ちってところか?
とは言え、環境が違えば断然こっちの方が不利だったのは間違いないし、大きい物では無いとはいえ、怪我をしているのは事実。今回は運が良かったって言うのがいいのかもしれない。
……にしても、どこまでもこう、抜けているというか、彼らを例えるなら、オンラインゲームで強い装備や強いランクでスキルこそあるが、人としてはまだまだ未熟な子供というか、そういう例え方がしっくり来る奴らだったな。

「とりあえず一度戻るかな。元の時代に帰れるみたいだし」

飛び交う時空防衛連盟の無線を聞く限り、どうやら古代の時空改変の阻止に成功したようだ。ともなれば、この時代に留まる理由もないわけだし、怪我の手当てもしないといけない。なにより、未来から来た俺たちが古代に長く居ればいるほど、未来にどんな形で影響を及ぼすかなんてわかった物じゃない。この時代に居る人間への接触が最低限度と決められているのもおそらくそういう影響を出来る限り阻止する目的なのだろう。

「やっぱり、人それぞれに適した時代ってのはあるのかもな」

戻ってきた現在……というには俺にはちょっと違うか。俺は別世界からこの世界へ時空の狭間を通ってやって来たわけで、“現在”とも“未来”ともちょっと違う世界に存在してた。

とりあえず、ロケットには一度、防衛連盟本部前にミラノ号を着陸させるように連絡は入れておいた。やっぱり落ち着くのは自分の船。体を休めることが出来ても、心から落ち着ける場所はやっぱり我が家だ。その“我が家”が到着するまでの間、休憩室にたくさんあるソファーの1つに深く腰掛けて、適当にあしらってきた漫画をぺらぺらとめくる。どれも見慣れない物ばかりだが、不思議と退屈はしない。

>(シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー)


【お相手感謝でした。とりあえず2章がほぼ終わったようなので帰還させます。3章で動かすかどうかは様子見です】

2ヶ月前 No.421

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【ナコーン→城塞都市ギリダン/森林→宮殿内部/魔大老エスト(残り魔具5481個 残魂数9)】


「うーん?……これでも、人間だがな。さて……」

彼女は土すら焦げた惨状を見渡す、自然の息吹など全て灼け尽きた森林の一部。木が見えるのはあの炎を受けて尚聳え立つ氷壁の向こう側だけ、此方側には焦げ茶の景色がただ広がるばかり。
悪魔使いも奇妙な姿の男も逃げ果せた、あれだけの大魔法、受ければ炭も残るまい。死して記録書の扱いを忘れた故に少し多く魔力を籠め過ぎた、結果としてあの者たちを逃がす結果となったが。まあ、良いだろう。
一人、残していったようだが薄情な奴らだ。炎を防ぐ手立てがあるかどうかも分からぬ者、それ一人を残せばどうなるか分からない奴らではないだろう。生きていれば運が良かった、そう言わざるを得ない。
その時、ギリダンの方から爆発音が響く。彼女は記録書を捲り始め、望みの頁を発見すると魔力を込める。遠視の魔術、この場から自身が認知している場所を確認することができる魔術。
その魔術を用いて見えたのは半壊した正門、そこから放たれた無数の誘導弾。それは間違いなく玉座の間に向かっており、着弾する。極めて冷静に保ちながらも、記録書を捲る指は震えている。
何度も指を滑らしながら頁を捲り続け、漸く空間転移の項目を見つける。すぐさま魔力を込め、ギリダンへと転移を開始する。最早彼女の頭にこの場に残る敵対者など残っておらず、脳内に響く警鐘に身を任せ女帝の危機へ向かうだけであった。

―――――――

魔力の制御に失敗したのか、玉座の間に直接飛ぶことなく宮殿の内部に飛ばされた。ここも戦闘の跡があり、間違いなく玉座の間に敵は侵入している。駆け出す彼女であるが崩壊する身体は容易く骨は折れ、転移して一分も掛からず地に這うことになる。
身体強化を掛けることを怠るほど彼女は焦っていた、第一に女帝が失われること。そうなれば魔道帝国は程なく崩壊する、歪ながらも生来の才能であっても努力による才能であっても等しく認められた彼女の理想の国が消える事。
そしてある意味最も予想外な原因が玉座の間を襲撃したのが歴史是正機構の存在である事、あの黒い未来技術の塊は森林に赴く前に戦場を見渡した時に確認していた。間違いがなければあれは歴史是正機構側の存在だ。
何故、と言う疑問もある。やはり、と言う確信もある。何らかの目的で協力していることが分かっていた以上、裏切られることは視野にはあった。しかし女帝へと急襲を掛ける理由が見つからない。あの組織にとって、この時代の女帝に何か重要な意味があるのだろうか。
記録書を捲り、治癒の頁をなぞり続けるが既に崩れかけの身体を癒すよりも壊れる速度の方が早い。治癒を諦め、両の腕の力ですかすかの軽い身体を引き摺る。幾ら彼女の身体が軽くとも、いつ折れてもおかしくない腕にとっては綱渡りだ。

「くっ……急がねば、焦りで判断力を鈍らせるとは阿呆でしかない!せめて、せめて安否を……!」

宮殿は広い、彼女がどれだけ地を這う速度を上げようと進んでいるようには到底思えない。そして失態で焦りを重ねたことにより、宙を浮く魔術の存在を頭から抜け落ちさせている。
先の死の影響もある、本来ならば記録書の全ての魔術を記憶している彼女だが死によってその記憶は失われた。死なず、万全であったならばこの状況であっても落ち着いた対処が出来ていただろう。
戦闘中から焦りが積み重なった結果がこれだ、心は急くが身体は鈍い。心が急くあまりに思考まで濁らせ、解決案からさらに遠ざける。悪循環に陥るがそれにも気付かない、さらなる焦りを募らせるだけ。
永く時を過ごした彼女がこれだけ心を乱すほど、女帝の存在、魔道帝国の存在がどれだけ大きいものか分かるだろう。女帝がどう思っていたかは知る由もないが、少なくとも彼女は女帝を一人の人間として慕っていた。
何かを抱えていることも、既に止まれぬ所までいたことも薄々であるが分かっていた。気付いていながら何もしない、出来ないと言っていた自身が恨めしいと思えるほどに。
いざ失う可能性が出てから狼狽えるなど救いようのない馬鹿で阿呆だと彼女は自嘲する、滅びが見えたから蓄えをしたがそれ以外に己が何をしたと。女帝の為にと言いながら結局何も成していないだろう、何と都合の良い事だろうか。
それでも、何かできる。今からでも遅くはないと信じ、冷たき床を全霊を以って這いずる。焦りのあまり見えないものが多いが、それでも女帝の助けへと向かう為、腕が折れようとも休めることはない。痛みなどないなのだ、動いて進めるならばそれでいい。
尤も、全て手遅れなのだが。彼女は日和見、自身の望みに満足し、手を尽くしたと言いながらすべきことへ目を反らし続けた。その結果がこれであるならば、報いと言う言葉が当て嵌まるだろう。

>>マロン・アベンシス(桐生戦兎 17代目葛葉ライドウ イスマリア・サルヴァトール ギギナ)


【返信が遅れてしまい申し訳ありません、これで此方も撤退させて頂きます。お相手ありがとうございました。
古代編エピローグの為、許可を得て特定相手の絡みとさせていただきます。】

2ヶ月前 No.422

芋娘 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ロンカ村/村外れ/パメラ・エンドネル】

全ての記憶を失った状態で村へと流れ着いたアラン。そんな彼は、帝国の焼き討ちによって、かつての記憶を取り戻したのだという。
曰く、彼は元は帝国に属する者であり、その方針に従って多くの命を犠牲にしてきたのだという。もし目の前にいるのが見ず知らずの存在であったら、パメラは決して許さなかっただろう。
しかし、アランは村の一員だ。彼は、魔道帝国将軍のレイヴン・ロウなどではない。ならば、受け入れないという選択をする余地など、あるはずがないではないか。

「わだすにとっておまんは村の一員だ。昔のこどなんか関係ねぇ! そんなこどさこだわっておまんを悪く言う奴ばいだら、わだすがぶっ飛ばしてやるべ!」

村の中には、元帝国軍の一員であることを知って、アランを受け入れることを拒む者がいるかも知れない。しかし、パメラはそんな者がいたらぶっ飛ばしてやると、高らかに宣言する。
大体、昔のことをいつまでも引きずっているような奴は心が狭いのだ。過去は過去、今は今。今さえよければいいのだと、彼女は考えている。
共に過ごした四ヶ月、アランの姿を見てきた。村のために積極的に働き、皆と笑い合う彼が、無慈悲に他人を殺すような人間だとは、到底思えないのだ。
絶対に、握ったこの手は離さない。パメラは今一度、アランの手を強く握り締める。この手を離さない限り、彼はどこへも行くことは出来ない。このまま自分が、村へと連れ帰る。

「当だり前だべさ! アランはわだすの連れだど!」

彼女のいう連れとは、友人のこと。彼女は、真実を知ってもなお、アランとこれまでと変わることのない関係を続けることを望んだ。
きっとニケだって同じ思いのはずだ。どんな形であれ、短い間であろうと、同じ時間を共に過ごした仲間がいなくなってしまったら、悲しむに決まっている。
パメラの目に涙は浮かんでいない。代わりに宿りしは、絶対に彼を連れて帰るのだという鋼の意志。彼女は真っ直ぐとした双眸でアランを見据え、返答を待つ。

>アラン・レイクルード
【頭わるわる状態で書くとレスがごちゃごちゃ】

2ヶ月前 No.423

"不死公" @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【魔帝城/魔大将の間/"不死公"ネクロニア】

「あぁ……チェル様、チェル様……!」

酷いぐらいに興奮した状態でチェルを撫でまくるネクロニア、その様は酷く無様で、内心チェルからも煽られており、また魔将軍の中でも、旧魔将軍のエンペラーワームに次いで序列が低いとみなされているほどに致命的な性格……いや、ある意味"性癖"をしている彼女。
可愛いと認識した者には必ず一度は声を掛けて、その残念さを露呈させると言う性質は、魔道帝国だけではなく、この魔帝軍にとっても致命的な物だ。
流石に完全に目上の相手である、過去であれば女帝、現在であるならば魔帝に対して失礼な事をしたことは無いが、それでも、魔帝軍の中でも天地がひっくり返っても無理だろうと断言できる他の魔将軍、それも性格的に無理がある"塵殺剣"や"災禍龍姫"に忍び寄り、時には主に"混沌"のせいで酷い目にあいながらも、アンデッド故に死なず、何度も復活してくる……それは、彼女の扱いを周囲に定着させるには十分な行いだった。

少なくとも、このネクロニアはチェルの思っている通り、人格面では酷い人間ではあるが、それでも、知能でも実力でも劣っていた過去の幹部たちとは違い、彼女の場合は実力だけは、チェルの印象とは裏腹に、十分過ぎる程にあり、戦闘時には、少し可愛い人間には声こそ掛けるが、基本的には屍龍の上からアンデッドの大群を率い、死を撒き散らす"不死公"の名前に相応しい活躍自体はするのだ。 だからこそ、人格面がこんな状態でも、粛清されずに魔将軍を務めているのだが。

……粛清は何度かされかけたが、一度も完全排除に至らなかった可能性というのは、この際気にしないほうが良いだろう。

「あっ、待ってください、もうちょっと、もうちょっと!!」

チェルが冷めた様子で"もういいでしょう?"と問いかけて、切り上げようとするが、それにネクロニアはだらしなくすがりつく。
もっとも、延長された事は今まで一度も無い、こうなった以上の結末は。

酷い言葉を掛けられるか、蹴りや踏み付けを食らうか、あるいはただ無視されるか。
……まぁ。

「ぐふっ……いいですもん、この子たちと遊びつくして、その後は新しい愛玩部下の捜索に行きますもの!!」

どれをされてもこんな感じなので、気にする事でもあるまい。
そして、宣言通り、ネクロニアはその場に居た猫と戯れ始める、その様は……正史において魔道帝国と共に死亡する事になる彼女が、変わった歴史によって初めて手にした、完全な幸福だったかもしれない。

数十分、いや、下手をすれば数時間ほどそうしていただろうか、ついには彼女が、ではなく周りの猫にすら飽きられ、半ば放り出されるような思いで、ネクロニアは魔大将の間を後にした。
やっぱり、チェル様や猫は手厳しい、ここはやっぱり、人間から良い感じの子を拉致って部下にするしかない!!

などと考えながらネクロニアはゴーストホースに跨り、不死公に相応しい威容を持って、酷い思考をしながら、見た目だけは雄雄しく駆けた。

>チェル


【と言うことでネクロニアは配置準備として移動させます、お相手ありがとうございました! 名指しで何人かに忍び寄ったとか言ってますが、即死させたとか拒否った上で放り出したとか、そんな感じでいいです】

2ヶ月前 No.424

中二病でも寂しい @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【歴史是正機構本部/個室/シエンタ・カムリ】

格差社会が問題となっている未来において、シエンタの出自は間違いなく恵まれているといえるものだろう。父親は資産家、母親も名家の令嬢。苦労する要素など、これっぽっちもない。
その代わり、彼女は両親から愛情を受けることは出来なかった。両親は娘のことよりも仕事や私事を優先しており、シエンタには毎月大量の金を渡すだけに留まっていたのだ。
当然不自由はしなかったが、人との付き合い方を知ることが出来なかった影響か、学校でも心からの友達を作ることが出来ず、唯一の楽しみは、インターネット。
この環境が結果として天才ハッカー、シエンタ・カムリを育てることとなる訳だが……無限ともいえる時間を活かしてありとあらゆるオンラインゲームで上位勢となり、多くの人から知られる存在となっても、寂しさが消え去ることはなかった。
所詮彼らは、ネットの友人。傍で温もりを感じることも出来なければ、毎日学校で顔を合わせる訳でもない。シエンタが心の奥底で抱いていた渇望を満たしてくれるような相手が見つかることは、遂になかったのだ。

ひょんなことから、キラー・テンタクラーというコンピューターウイルスと同居することとなるまでは。

「もういい。迷惑を掛けたね。お礼にボクの分のプリンは君にあげるよ。ただし、その格好で食べるんだ、"アイシス"。そうじゃなきゃ、ボクがもらうよ」

およそ数分の間抱き付いてただろうか。満足したのか、それともこれ以上拘束するとキラーに迷惑を掛けると思ったのか、彼女は椅子へと戻り、いつもより上機嫌な声でそう告げる。
しかし、彼を元に戻すという選択肢はないようで、先程挙げた無数の候補から勝手に名前を付けただけではなく、そのままの姿でプリンを食べることを要求した。
シエンタの表情は相変わらずにやにやとしたものだが、それはからかっているというよりも、この状況がただ単に楽しくて仕方ないかのような、そんな雰囲気を漂わせていた。

>キラー・テンタクラー

2ヶ月前 No.425

山城妖狐 @sacredfool ★x9SuwNXREl_D9v

【ロンカ村/広場/山城瑤子】

 安穏の破壊者たる皇帝に対し放つ自らの神通力の顕現は、ありとあらゆる敵対者を焼く焔のあぎと。皇帝が抱く望郷は未だ彼を立たせている。無数の魔矢とそれを受けてなお立っている。
 いや……そこに居るだけでしかない。脚をもがれては立つこともできまい。彼奴の焔は確かに倒すべき者の方を向いていた。今際の際までその念が潰えることはないのだ。そして成就することも。
 皇帝はいよいよその体を失おうとしている。月光を背に放つ銀狼の一矢。淀み無い一筋の閃光が、走ることさえ叶わなくなった皇帝を貫く。真芯へ刺さる一撃に、ついに皇帝の体は崩壊を迎えた。黄金の粒子が明かりを失った暗い空に還ってゆく。此処に一つの魂が自らの望郷に従い、殉じた。瑤子はその瞬間をしかと目に焼き付ける。国を愛し国の為に散った愚かな男の姿を。既に狂気の消え失せた、一つの敬意の眼で。
 後に残るのはしじま。雌雄は決し、この村は守られたのだ。恐怖と暴力から解放された、安らぎの夜が訪れる。やがて彼を象っていた金の粒が一つ残らず空に消えると、彼女は共に戦った仲間のもとへと歩み寄る。

「ああ……村の神として礼を言う。御苦労であった……そなたも、よく頑張ったな」

 未来の守護者は確かに口上に違わぬ勇敢さで戦い、この村を守ってみせた。罪と罰を知らぬ銀狼も、ただの獣らしからぬ身のこなしで彼らを翻弄した。帝国は自分と村の衆だけでは手に余る連中だっただけに、彼らからの助力は誠に心強いものだったと言えよう。
 彼女は頭を垂れ、守護者へ村の象徴として感謝と、銀狼へ労いの言葉を述べる。妙だったが、気風の良い連中であった。過去を守る者……未来ではそのような生業があるのだろう。なれば過去を変えようとする者がいて、それは当然人の理に反することであるがゆえに咎められる。……結局のところ人間はいつまで経とうと変わらぬことが確かなようで安心した。これから先おそらくは永劫、人間の光と闇は共に歩むだろう。人の歴史は善と悪の戦いの歴史。勝者が善、敗者が悪として語られる一方、人の心の奥に存在する善と悪は均衡を保ちながら後の世へと繋がっていくのだ。見届けようではないか。

「還るがいい――」

 気付けば、あれほど騒騒しかった村が雪の静けさを湛えている。元の月が柔らかな光を齎し、舞う雪は煌めいている。彼らは時空の流れに溶けて消え、一人残らず元の時代へと戻ったらしい。

「さ、当面は復興じゃな。まったく派手にやりおってからに……」

 それは時空が元の姿へと戻りつつあることを意味している。少なくとも、彼女達の戦いは終わったのだ。帝国も連盟が与えた打撃によって当分攻めてくることはない。村に元の平穏が完全に戻るのはもう少し先のことだが、妖狐は人の眼を欺くあの少女の姿へと戻った。静けさを取り戻した広場で一人、おどけたように溜め息を吐く瑤子。人を嘲るような笑みも健在である。やがて彼女の姿は紫炎に包まれ、どこかへ消えた。
 人の営みをこの身が亡ぶまで見届けるのが神たる者としての務めだ。この村に生きる者も、仇名すものも、時の摂理を壊す者も――

>>(ユーフォリア・インテグラーレ、イアン・ガグンラーズ、カリギュラ)


【お相手ありがとうございましたー!】

2ヶ月前 No.426

勇者 @zero45 ★h2BOlEz4kD_kuu

【王都ロンカリア/大通り→飯店/アンナローズ・フォン・ホーエンハイム】

 ゆっくりと食事が出来ると言う言葉にロコが見せる反応は、飛び跳ねながら前に出て、両手を握り締めながら同意の言葉を返すと言う物。余程食事を待ち望んでいた事が、きらきらと輝くその瞳から窺い知れよう。
 すると直後に、彼女のお腹から聞こえてきたのは空腹を示す音。突然の不意打ちを喰らった様に彼女は一瞬驚くと、その手を頭の後ろにやりながら、恥ずかしそうに苦笑いを浮かべる。
 アンナローズはそれに対して微笑みを浮かべながらも、内心で相方のその姿を可愛いと思い、愛おしく感じていた。もしも此処が衆目の中でなかったならば、突発的に抱き着いていたかもしれない程には。

「ふふ、待ちきれないって感じだね」

 大通りを歩いて行く中で見つけた王都有数の名店。世界各国の料理と、古来より伝わる郷土料理が売りのこの店で、今日は晩飯を済ませる事に決定した。一足先に店内へと踏み込んで行った相方を追いかけると、予め確保してくれていた席へと座る。
 入口付近から席まで辿り着くまでの間に再び起きた、しかも今回は店内に響き渡る程の大音量でお腹からの音を鳴らした相方の姿に、思わず悶絶しかけたのは内緒。勇者的には顔を赤らめ、もじもじとしている姿が非常に素晴らしいと感じている。その光景を永久保存する事が出来ないのが、誠に遺憾だ。

(……やっぱり今の世間じゃ仕方ないか)

 魔帝軍と激戦を繰り広げる王国内に於いて、魔族に対する評判は想像するまでも無く、"悪い"。亜人であるロコの姿を見て、怪訝な表情を浮かべる者達がいるのも仕方の無い事だ。
 しかし、一度でも彼女の見せる底無しの笑顔を目の当たりにしたのならば。少なくとも彼女が悪い子であると断言できる者はいない筈だとアンナローズは思う。そしていつかはこの風潮も、打破される時が来る事を望んでいる。人類と魔族が手を取り合える、そんな未来の到来を。

「僕はやっぱり、シチューと牛乳かな」

 世界各国の料理を楽しめるこの店だが、やっぱり一番と推したいのは郷土料理の鶏肉と羊肉のクリームシチューと、一緒に飲むロンカリア産の牛乳。シチュー自体は何度も食べた事があるものの、味と言う点ではこれに勝る物はない。間違いなく絶品と断言できる、至高の一品と言える。
 その他にもおすすめ出来る物も無くは無いのだが、先ずは是非ともこのクリームシチューを味わって貰いたい、そう言った気持ちからシチューと牛乳をおすすめするのであった。

>ロコ


【平和だなあ……】

2ヶ月前 No.427

“塵殺剣” @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_kuu

【兵舎/ニア】

 時に。
 レプティラが倒れた場合のなにが歪みなのか、彼女は一言も語らなかった。
 そもそも、それはレプティラ当人が自覚していないのだからどうしようもない事実だ。
 彼女ひとりで医務の状況が回っていること、それがもしも真ならばこれ以上の歪みなどない。それを放置したことも含めてすべて、これは短期的には捨て置ける問題であろうが長期的には必ず魔帝の治世を滅びに導く問題だった。
 魔帝は滅ぶまい。だが軍としてはいずれ朽ちる。勢力としては、腐り落ちることが見えている。

 此処で口を出していれば何か変わるやも知れなかったが、それでも女は口を開かない。
 事の全ては流れのままに。天命無きものの未来を捻じ曲げることほど愚かなことはない。
 そも、宣告者たちは神ではないのだ。それが決した結末であるとは言い切らないし、何よりその必要性を感じなかった。………だから、彼女の過労の何が歪みに繋がるかを、明確に口にすることはなかった。
 本人が気付いていようが、気付いていまいが、確実に。………最も―――。

「………平穏。平穏、か」

 当人がそもそも将の器ではないのだ。それもむべなるかな。
 だが、さらっと口にし、余計な考えを濾過した上で吐き出された望みは、恐らく魔将軍の誰もが考えもしなかった結論だろう。唯一例外があるとすれば龍炎のくらいのもので、それ以外がまかり間違ってもこの考えに到着することはない。
 それこそ、今目の前に立つ“塵殺剣”を含めた上での話だ。

「なるほど」

 背を向けたまま、ふと振り返って口を聞く。
 例の如く感情の乗らない表情と紅の双眸は、彼女の表情(序でに小躍りしている様)をまじまじと見つめて。

「おまえを何故“他の者とは違う”と考えたのか、いま分かった」

 結論が出たのか、ふむ、と頷いて再び背を向けた。

 単純明快だ。この女が他と違うのは、その欲の無さに尽きることだと言っていい。
 求めるものが烈しくもなく大きくもなく、控えめに言って凡庸なのだ。
 なにしろ、求めるものが器に釣り合わないような者ほど天命が良く見える。何処で死するのか、何処の何にその生命を奔らせるのか、自分の大半を占めるような大きなモノを抱えた生命ほど歩み方が陳腐になるからだ。
 それが良いことか悪いことかは語るまいが、魔将軍の者の大半はそうだと言っていい。
 ところがこの女はそうではない。出して来る解答は善良であるが聖者ではない。希少ではないが尊ぶべき感情だ。単に平穏を、単に生きることを望みと出来るほどの慎ましさを、彼女は然程知らない。
 塵殺剣が価値無き生命と定めて殺したものは、こうした慎ましさとは真逆の浅はかなものばかりだからだ。
 ………ただ。

「そいつはわたし以外には出さないことだ。いや、すこし訂正する。
 龍炎のと、陛下以外には出さないことだ。だから、聞かなかったことにはしておく」

 欠点もある。この女、予想よりもはるかに頭の中は抜けていると見える。

「最も。その必要があるなら、きっとそうなるのだろう………この戦争が終わった後にでも分かる話だ。
 ―――ああ、長く引き留めたな。では、これで」

 だから、たった一つ忠告だけをして、女は背を向けて歩き去った。
 解散の必要があるのなら、きっとそうなるだろうと、一言残して。
 その言葉の意味がどういうことなのかは、当然語らない。

 ―――ただそれは、彼女が平穏だけを望んでいないことの証明であるのかも知れない。

>レプティラ


【開始が近いとのことなので、一旦この辺りで〜】

2ヶ月前 No.428

ハザマ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_kuu

【時空防衛連盟本部/資料室/ハザマ】

「はあ。西洋音楽史、西洋音楽史ね。いや随分古い時代の話を………―――おっと失礼」

 ところで。
 ハザマ自体は早々に、具体的に言うと引っ掴んだ段ボールを唐突に投げ捨てた辺りで興味を失くしていた。口調、態度、立ち振る舞いのどれからも彼という男の薄皮は剥げまいし、内心を掴むことなど当然不可能。
 何故そうなのかと言えば語るでもない。彼にとって、等しくある内容以外は道端の小石に等しいモノであり、この男はほぼ掠りもしない。つまり何が言いたいのかと言えば決まって来るが、そこについては語らない。
 そして、そうなって来るとハザマの行動はほぼ決まり切っている。
 少し揺さぶるように言葉を叩き付けたのも単なる脅しと反応を確かめるだけだったが、こうした人物と■■を共感させるのは難しい。というか不可能だ。であるに、彼が何故ショパンの行動について何も反応しなかったのかと言えば解答はひとつである。

「無いとは言い切りませんが、ねえ。どうもこちらの確率事象は随分違う歴史を辿って来たようで。ぶっちゃけるとないんじゃないかと思いますよ。似たようなものは探せばあるんでしょうけど、私そこまで調べるつもりはありませんし?
 ですので、ええ、それならどうぞ御自由に」

 つまり端的に言って、要件が済んだものに時間を割く気もない。
 彼は言葉こそ丁寧にして饒舌であるが、その節々に隠すことのない無礼さがあった。
 他人との会話中に、その答えを途中から聞き流すようにしている辺りからも明白であるが、そもそもからして彼は腰の低さとは裏腹にシビアで、かつ自己中心的な男である。興味が無くなれば、飽きた玩具は玩具箱に投擲するわけだ。
 ましてや自ら取り出したものでもないのだから、尚のこと。
 ハザマは速やかに資料室の入口へと逆に歩いて行き―――。

「しかし歴史と言いますが」
「いちいち改変されるのが当たり前のこの確率事象に、果たしてどれくらい歴史の価値があるんでしょうね。
 ………最後にひとつお聞きしますが、時空修復時の改変案件、幾つあったと思われます?」

>ショパン、(ALL)

2ヶ月前 No.429

健啖の銀狼 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

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2ヶ月前 No.430

雨だれと憂事-前奏曲雨だれ- @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【クラスターさんは泣いていい……まさか本体もこうなるとは思ってなかった申し訳ない】

【時空防衛連盟本部/資料室/ショパン】
「……」
 ただ立ち尽くすだけだった。
 相手の言葉の機関銃と同居人のベートーヴェンよりは低いが自分より背丈の高い圧力によって、圧倒されるだけだった。
 本人は大きく悩んで行動しても、内向的な性格が足を引っ張って、原因となった動画を荒らしたり原因を鎮める為に祈ったり、物全て隠したりと何かと小さいのが弱点であった。
 なので急にペラペラと喋り出している男に恐怖するしか出来なかった。
 問いかけまで細い体を縮こまっていると、ふと彼が紡いだ言葉に繊細で神経質のショパンの琴線に触れて、人見知りからの恐怖は一気に冷め、若干低いトーンで重く静かに呟いた。
「……"価値がないとか"」
 ふと脳裏に浮かんだ、手紙と楽譜を机の引き出しにしまいこむショパンとよく似た顔立ちの『彼』の後ろ姿――――
「"似たようなもの"って言うなあーーーっ!」
 そこだけはと譲れないと主張するかのように、呆気と恐怖に染まっていた大きいどんぐり目を見開いて、怒声をぶつけ感情を昂らせると。
 手元には機械音らしき音共に、図形を組み合わさった紫と銀のタクトを出現させてポーランド語で勇ましく唱えた。
「私は虚無に音楽を描き出す(W nicosci tworze muzyke.)」
 確かにネットで見た。恐怖に打ち勝つ為に誰かが弾く演奏動画や楽譜の画像、そして自分の軌跡。一音一節間違いなくあれは紛れもなく自分が作った曲だ。
「世界が異なえど、『私』は確かにここにいた――――」
 先程とは凛々しい声でそう呟くと、言葉通りにタクトを振るってってムジークを描き出す。
 するとハザマの中心に雨雲を発生させ、と鬱屈と哀愁に満ちた旋律を奏で出す
 フレデリック・ショパン作曲。
 24の前奏曲の一つ作品番号は28の雨だれ、療養中ショパンは死期を悟って書かれた曲だとも言われている。
 その主旋律を静かに歌い上げるのは電子の歌声(ボーカロイド)。
 歴史に価値はある、でなければなんで自分は『最高の楽器』として音羽博士に造り出されたのだろうか。
 だからこそ無価値にしてしまったら、生み出した産み出された自分が自分で無くなってしまうからこそショパンは誰よりも恐怖していたのだ。
>ハザマ

2ヶ月前 No.431

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【魔帝城/兵舎/"常山蛇勢"レプティラ】


平穏、その言葉を噛み締めるようにニアは繰り返した。その言葉には至らなかった、口にこそしないがそのような意図を彼女は感じ取った。他の魔将軍とは違うと称していたのは、こういう事なのだろうか。
確かに彼女は他の魔将軍とは違う、だがどちらかと言えば比率から見ても異分子となるのは彼女の方。蛇族として見ても、先代までの長が一族を途絶えさせてまでも抗戦しようとした、そこから考えてもやはり異分子は彼女だ。
今でこそ蛇族は医療に専念し、比較的穏やかな種族となったが間違いなく彼女が長となった影響が大きい。戦士が死に、知識人が残ったことを踏まえても彼女の思想は魔族全体から見ても異常とまで言えるだろう。
ふと振り返ったニアの紅の視線と彼女の視線が交差する、無表情ながらに何かに納得がいった様子でなるほどと紡ぐ。他の者と違う理由が分かったと、ニアはそう言った。追求しようにも頷いた後に、また背を向けられては憚られる。
何が違うのだろうか、彼女は考える。考えようとするがそもニアが何に納得したかも分からない以上、彼女にそれが思い至るとは思えず。またニアと親しければある程度推測が付くだろうが、彼女とニアは決して深い関係ではない。
だからニアが何かを彼女に見出した、それでいいのだろう。少なくとも必要以上に語らないニアが語らないのであれば、彼女に伝える必要はないという事だろう。この会話でも必要な事は伝えられたと、彼女は感じている。

「も、勿論です。こんなことをチェル様に聞かれたら、また恐ろしい事に……ヒュッ!?ああいえ、すいません!
え、ええと確かにヴァンレッド様は似た考えをお持ちのようですが、魔帝様もですか……知りませんでした。」

あわわ、と言った音が聞こえそうなほど狼狽しながら過去のチェルの恐怖を思い出す。ふと癖で人となりを見定めようとした時に見てしまったチェルの感情、そしてその後の威圧感。思い出しただけで息が詰まるほど、現に詰まりそうになり情けない声を挙げる。
そして彼女はヴァンレッドとの交流はそれなりに、いや魔将軍の中では最も多いほどある為その心情を知る機会はあった。しかし魔帝とはそれほど会話を交わすこともなく、その考えを知ることもなかった。
故にニアが魔帝にも話しても問題ないと言った事は意外であった、そうなると少しこの魔帝軍の在り方に疑問が出てくるのだが。僅かな間で答えの出る問題ではないと、思考を一旦取りやめる。
必要があるならそうなるだろうと、ニアは言葉を残して背を向けて歩き去った。確かに戦争が終われば自然と魔帝軍も解散になるかもしれない、勝敗問わずにどちらでも双方の可能性がある。

「ええ、此方こそ長くお付き合いさせて申し訳ありません。兵舎の件、どうかよろしくお願いします。
では、また―――」

ニアの背を見送る、報告の後に再び戦場へと向かうのだろう。対する彼女は城の防衛を行う、他の魔将軍に比べ実力が劣るため攻勢に出るよりも守勢に専念したほうが効率的だ。また兵糧や怪我人の治療の指示にも、明確な発言が出来る立場が居ればより円滑に進むだろう。
医療品と椅子机の片付けを再開しながら、先に中断した思考も再開する。魔帝と魔帝軍の在り方についてだ、ニアが嘘を吐くような人物でない為魔帝が彼女と似た考えを持つのは間違いないだろう。
であれば、魔帝軍の現状はおかしい。魔族の平穏を目指す、あるいはそれに近しいものを目指すならば人間と戦争をしている場合ではなく、兵舎の有様も手間がかかるとはいえおかしいのだ。
人間と戦争をするために魔族を纏める、その為の魔帝軍なら分かりやすく魔帝の考えもそうであると思っていた。魔族ではなさそうなところも含めて、魔帝の考えとしてはこの方が現状と照らし合わせ自然なのだ。
しかし魔帝が彼女と似た考えを持つならば魔族と人間で折り合いをつけた方が余程労力が少ない、戦争の為に魔族を統合し、人間との戦争を起こす。二回も大きな争いをしなければならない。
ならば何故、こうなっているのか。魔帝とは違う意思が魔帝軍を動かしている、そう言われた方が納得できる。それが不明ではあるが、この状況下で客将を呼び共同戦線を張るのは恐ろしい。
城の防衛、支援関係の指示、客将の動き、そして魔帝軍の内情。やるべき事は多いが、目的が見つかった以上彼女は俄然張り切って取り組む。忙しくなるなと思いつつ、自室へ急ぐ。
戦端が開かれるのは、近い。

>>ニア


【了解しました、絡みありがとうございました!】

2ヶ月前 No.432

爆炎 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【城塞都市ギリダン→ロンカ村/玉座の間→村はずれ/ニケ・エタンセル】

死力を尽くして戦う三人の勇者達。皆生まれ育ちも境遇も異なるが、目指すモノは一つ。そのためなら命をも懸けられる、鋼の心臓の持ち主。
色とりどりの属性魔法と、火花を散らすような剣撃が飛び交う先には―――

未来があった。魔道帝国の頂点、パージルク・ナズグルの撃破に成功したのだ。文字通り己の全てを注ぎ込んだ戦いで勝利を収め、予てからの目標も達成できた喜びに飛び上がるニケ。
しかし、グリア村の戦いに始まる連戦と、それによる怪我は彼女の体力を根こそぎ奪っていた。足の痛みを訴える間も無く地面に崩れ落ち、意識を闇へと放り出す。
段々と滲んでいく視界に映り込むのは、肩を並べ戦った戦友達の向こうに展開される、信じ難い光景であった…



意識を取り戻した後、手当を受けたニケは、近隣の人々の助けを借りて村まで戻ってきていた。改めてロンカ村が被った被害の程を目の当たりにし、その甚大さに顔を暗くする。
彼女が素直に勝利を喜べないのは、パージルクのその後を聞いたからでもある。薄れゆく意識の中で目にした正体不明の襲撃者も、彼によって連れ去られたパージルクも、全て現実のものだったのだ。
それでも勝ちは勝ち。自分達には未来がある。よりよい社会、理想の世の中を作るため、そして何より彼女に向かって吠えたことをやり遂げるためにも、いつまでも下を向いてはいられない。
気持ちを新たにしたニケは松葉杖を受け取り、悪化した捻挫によって腫れあがってしまった右足の代わりにしながら、恋しい友人達への元へ向かう。

しかし待ち受けていたのはまたも酷な現実。本来なら終戦の喜びを噛み締め、分かち合っているはずのアランとパメラが、シリアスな雰囲気の中で言葉をぶつけあっている。
帝国に与していた過去を想起し、罪悪感からか村を去ろうとするアラン。それを引き留め、どんな過去があろうと受け止めると叫ぶパメラ。そんな中に自分のような粗暴な人間が入っていっていいものかと悩ましかったが、今言わなければ一生後悔するに違いないと気持ちを固め、パメラの横に並ぶ。

「パメラの言う通りだ。あんまり女の子を泣かしちゃいけないぜ」

歩くのもやっとな疲労のなか、精一杯の笑みを浮かべる。気取ったような軽口を飛ばしながらも、ニケの目にもまた、気付かないうちに涙が浮かんでいた。
様々な気持ちが入り混じった心から生み出される、感情の結晶。それが涙。安っぽいものでも単なる悲しみによるものでもない。友と新たな時代を生きたいと願うからこそ流れ出る、真心が形を成した宝石。

「俺達は帝国に勝った。新しい時代を手繰り寄せた。だから、過去なんかに縛られてちゃいけない。

また一から始めようぜ。この村と一緒に」

ロンカ村を襲ったノエルの軍のみならず、帝国そのものに打ち勝ったことがニケの口から語られる。力と恐怖による帝国の支配は今日でお終い。当然世の中も変わる。全く新しい時代が訪れるのだ。
それなのにいつまでも過去に縛られているなんて、勿体ないではないか。自分達には新時代を生きる権利がある。無念にも力尽きた者の分まで生きて、使命を果たす義務がある。
そう、目を向けるべきは記憶の彼方に非ず。眼前に広がる未来だ。課題は山積み、やるべきことが盛りだくさん。自分達は"担い手"。村が活気を取りもどし、息を吹き返すための起爆剤なのだから。

ロンカ村をまるで自分達と同じ"生き物"のように形容するニケ。村もそれに同調しているのか、降り始めた雪が焼け爛れた家屋に積もり、戦いの傷跡を包み込んでいった。

>>アラン・レイクルード、パメラ・エンドネル


【同じロンカ組ということで失礼します(_ _)】

2ヶ月前 No.433

氷雪に生きる者 @zero45 ★h2BOlEz4kD_kuu

【ロンカ村/村外れ/アラン・レイクルード】

 帝国に与し、その手を数多の罪無き人々の血で穢して来た事実を告げても尚、パメラは拒む事無く、村の一員なのだと力強く宣言して見せる。そして今一度強く握り締めてきた彼女の手は、絶対に村へ連れ帰らせる強い意志が込められていた。
 その言葉に強く心を打たれるレイヴンであったが、次に発せられた彼女の言葉には感動する余り、思わず落涙してしまう。真実を知った上で、彼女はこれまで通りの友人としての関係で居続ける事を望み、受け入れると言い切って見せたのだ。

「ニケ……そうだな」

 そしてパメラに続く様に、言葉を繋げるのはもう一人の友人であるニケ。松葉杖を手に歩くその姿は、先の戦いが如何に凄絶極まる物であったかを想像させる。積み重なった疲労の中で、精一杯の笑みを浮かべる彼女の瞳から流れ落ちるのは、涙。来たるべき新時代を共に生きる事を願う心が生み出した、感動の具現。
 暴力が生み出す恐怖で支配して来た帝国は、遂に滅びの時を迎えた。これからの未来の主導権を担うのは、自分達に他ならない。無念にも命を散らした者達の分も生きて、再び村に活気を取り戻させる使命がある。だから、過去に囚われたままではいけないのだ。

「ごめん、そしてありがとう、二人とも。改めて、村の一員として……友人として宜しく頼む」

 二人の顔を交互に見た後、告げるは謝罪と感謝の言葉。そして、"アラン・レイクルード"が改めて村の一員として一から始めて行くと言う意志。
 そう、全ては此処から始まる。やらねばならない課題はたくさん。村に今一度活気を取り戻す為にも、全力で取り組んで行かねばならない――しかし、その前に一つだけ確かめたい事を聞こう。

「ところで……帝国に勝ったと言う事は、奴――パージルクは死んだのか?」

 勝利が意味する所は、即ち帝国の滅亡。ならば、必然的に女帝パージルクも戦死したと考えるのが道理と言える。然し、生死が気になる彼にとっては、はっきりと明確にしたい物であった。故に、彼はニケに問う、女帝は死亡したのかどうかを。
 死亡しているのならば良し、憎むべき帝国も女帝も滅びたと言う事でその話は終わりだ。だが、仮に生存しているのならば――過去との完全な決別は、まだ出来そうにない。"レイヴン・ロウ"としての一生を終わらすには、全てに決着を着けなけばならないのだから。

>パメラ・エンドネル ニケ・エタンセル


【村への残留を決めたのに今度は未来に行く気満々ですよこの男……】

2ヶ月前 No.434

61 Destroyer Squadron @sreipnile ★1DXVdHzeIP_M0e

【城塞都市ギリダン→転移/正門/秋月】

【冬の中突っ走って乱入して即刻帰還する超多忙な秋月ちゃん】

その砲撃は結晶を放っていた者の花火、極彩色ながら巨大な物を放って爆発させ打ち消した。
驚愕しつつもその者は細い光線でゴーレムをひたすら破壊する、のではなく吹き飛ばす。明確な威力を持っても、殺す事の出来ない光線を目の当たりにしつつ、次の砲撃を準備する。

だが、その間に自分の体がほんの少しずつ、粒子状になり虚空に消えていく。それに気付かなくともそのものが狙っているゴーレムに向けて装備した徹甲弾をひたすら撃ち込む。砲撃によって、秋月の耳の音にはリズムを刻むような砲撃の音が残るのみ。
海上なら魚雷も打ちこんでいただろう。だが陸上である以上、それを使う事は出来ない。


ふとその者が消えるのを目撃するが、その時に聞いた言葉は明確にゴーレムの破壊をしておいてくれ、という意志でもあるのだろう。
だが未来に帰らなくてはならない以上、砲撃の手をやめない。


ついに7射目を撃ち終えた後徹甲弾が不足した。榴弾も検討したが、粒子状になりつつあった体は流石に待ってくれなかった。
ゴーレムもあらかた片づけた。もう既に秋月を必要としない。そう告げるように彼女は更に粒子状になっていく。

「秋月、未来へ帰還します」

もう誰もいないと思われるその場所に、彼女は声を残して消える。
唯一残ったのは、ゴーレムの残骸と装填時に落とした榴弾が1つ。

>>(エスメラルダ・ナズクル、ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン)


【とんでもないくらいの駆け足でしたが撤退します。お相手ありがとうございました。ちなみに派手男本体様、照月ではないです……】

2ヶ月前 No.435

Charlotte @kirieru ★Android=ryLO8WYMEG

【魔帝城/庭園/リュドミラ】

「アンタは甘いわね、役立たずはどこまでいっても役立たず......庇い続けるとこっちも巻き添えを喰らう事になるのよ」

ルーカンは弱者を簡単には切り捨てられないと答えた。
しかしリュドミラは弱者を庇い続けるとかえって足手まといになりやがて多くの友軍の巻き添えを喰らうとも答えた。
人命よりも戦況を優先する事が多い戦場においてリュドミラの意見も一理あるのだ。

「争いなくね......それが出来ればどうして太古から戦乱は絶えないのかしらね?」

オムニスの『穏便に争いなく、あらゆる方々が幸せな結果』という言葉にリュドミラは鼻で笑い一蹴する。
何事にも争い無く対話で解決する思想は多くの人々が望む事だろう。
しかしリュドミラは長い時間を生きてきた存在。
結果的には戦争による暴力の解決という結末を多く見てきた。
故に未だ、争いない結末等とという絵空事を呟くのがこの上なくリュドミラにとっては可笑しいのだ。

「さてと.....お茶会はもうお開き......そろそろ城に戻るわよ」

ティーカップに残った紅茶を全て飲み干すとリュドミラは手を叩き部下である魔族の兵士を数人、呼び出しティーカップ等の食器の後片付けをさせる。
椅子の代わりにしていた捕虜は首に付けられてた鎖を兵士に引っ張られながら城の奥へと消えていった。

「アンタ達がどう考えようと私達、魔帝軍の理念はひとつ......服従か滅亡か......ただそれだけよ」

あくまでも対話の道は考えずただ相手を屈服させるか完膚なきまで蹂躙させるかリュドミラにはその二卓の選択しかない。
リュドミラは二人の考えを否定し見下す様に吐き捨てながら城へと戻っていくのだった。



>>ルーカン・ベレスフォード、オムニス

2ヶ月前 No.436

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【時空防衛連盟本部/総統室/→マロニス城/ユーフォリア・インテグラーレ】

時折、カップに注がれた紅茶に口を付けながら、淡々と報告書を書き上げていくユーフォリア。世界政府の連中がまともに目を通すとは思えないが、だからといってそれは、手を抜いていい理由にはならない。
仮に不備が発覚した場合、奴らはそこを徹底的に追及して揚げ足を取ろうとしてくるに決まっている。ほんの些細なミスであろうとも、隙を曝そうものならこちらが不利になるだけだ。
まとめ上げた書類を複数回に渡ってチェックし、問題がないことを確認した彼女は、慣れた手付きで世界政府の担当者へとメールを送信する。後でまた厄介者が絡んでくるかも知れないが、気にする必要はないだろう。
続いて受信フォルダを覗いたユーフォリアは、そこにギルバートからの報告が入っていることを確認する。どうやらAD1060年頃の中世にて、時空改変の予兆らしきものが観測されているようだ。
彼女は手元にあった歴史書を捲り、当時の時代背景を調べ始める。人類と魔族の闘争の……世界中の人々を恐怖のどん底に突き落とした魔帝軍が、猛威を振るっていた時代。
歴史是正機工は彼らに手を貸すことによって、戦の勝敗を捻じ曲げ、未来を変えるつもりなのだろうか。もしそのようなことをすれば、時空断裂が引き起こされることは目に見えている。
本来ならば、然るべき手続きを踏まなければ時間遡行の許可を得ることは出来ないが、時空防衛連盟は特権として緊急時に限り、独断で遡行を行うことが法律で認められている、
世界そのものの崩壊を招きかねない此度の状況が、緊急事態に当たるかどうかなど、考えなくとも分かる。ユーフォリアは迷いなく端末の回線を開き、連盟に関わる全ての人員へ指示を出す。

「先の作戦での皆の尽力、感謝しているわ。労いの機会を設けることも出来ないことを、この場を借りて謝罪させてちょうだい。本題よ。中世にて、複数回に渡って小さな時空振動が観測されたわ。これは恐らく、歴史是正機構の介入によるもの。彼らの目的は、正史において敗北している魔帝軍を勝利に導くことであると推測されるわ。あれほどの大戦の結果を捻じ曲げてしまえば、時空断裂が起きることは間違いない。我々時空防衛連盟は彼らの目的を阻止するため、AD1074年への時間遡行を行うわ。作戦開始は2時間後。何か質問があれば、私に直接質問すること。連絡は以上よ」

いつも通りの淡々とした口調でそう告げ、ユーフォリアは自らも作戦の準備に取り掛かる。調査の結果、古代への介入の影響で、中世にも変化が生じ始めていることが判明した。
つまり、自分達が持っている知識が、役に立たない可能性が出てきたのだ。もしも間違った知識のままに介入を行えば、それが原因で時空断裂を引き起こしてしまうことにもなりかねない。
オペレーションルームでは、歴史の再検証が行われている真っ最中だ。非常に困難を極める作業を部下に丸投げする訳にはいかないと、彼女は可能な限りの情報を脳へと詰め込む。
そんな時であった。気絶していたはずの銀狼が目を覚ましたのは。何やら随分とうなされていたようだが、悪い夢でも見ていたのだろうか? ユーフォリアの手の動きが止まり、視線がそちらへと向けられる。
彼女が声を掛けようとするよりも早く、銀狼は予め用意しておいた飯にありついていた。そこまではよかったのだが……食べっぷりが、凄まじいの一言であった。
普通食事となれば多少なりとも時間が掛かるものだ。にも関わらず、目の前の彼女は、あれだけの量の料理を一瞬で平らげ、更におかわりまで求めてきたのである。
食事の邪魔をすまいと歴史書の方に一度は戻された視線が、一瞬にして再び銀狼へと向く。嬉しそうに尻尾を振る彼女の姿を見たユーフォリアはさすがに面食らったのか、苦笑という形であれ滅多に見せることのない笑みを浮かべていた。

「貴方ならそう言うと思っていたわ。大丈夫よ、好きなだけ食べなさい」

ユーフォリアは古代での銀狼の姿を見て、食欲が並々ならぬものであるということを予め察していた。一食で腹が満たされないであろうことは、想定済みだ。
一度後ろを向いた彼女は、合間に自分が食べようとしていた料理を、迷いもなく銀狼へと差し出す。部下の体調管理も、総統としての重要な責務。そのためであれば、多少自身が不利益を被ることになろうとも構わない。
空腹感もまだそれほどないので、仕事に支障をきたすことはないだろう。必要になった際に、再び用意すればよいこと。ユーフォリアはそう考え、料理を差し出したのだ。

「私はユーフォリア・インテグラーレ。時空防衛連盟の総統よ。よければ、貴方の名も聞かせてくれるかしら」

今一度、銀狼に真っ直ぐとした視線を向け、自己紹介を行うユーフォリア。これからは味方として行動を共にすることとなる以上、名前を知っておいた方が何かと都合がいいだろう。
回答を待っている内に、あっという間に時間は過ぎ去っていく。気付けば作戦決行の10分前。急ぎ支度を整え、時間遡行装置の元へと向かったユーフォリアは、決行時刻になると同時に、再び全員に通信を入れる。彼女の返答は、背中越しではあるがしっかりと頭に入れた。

「只今より、AD1074年への時間遡行を開始するわ。準備が整った者は、時間遡行装置子機の電源を入れてちょうだい。転移先はマロニス王国領土、もしくはディンカとなる予定よ。現地に到着した際は、必ず地図を開いて現在地を確認すること。いいわね」

今回、時間遡行装置が改良され、ゲートホルダーを介さずとも任意のタイミングで時間移動が行えるようになった。これは、歴史是正機構が先んじて開発していた機能である。
まさか彼らが独自に時間遡行装置を発展させているとは予想外であったが、活用出来るものは、積極的に取り入れていくべきであると、ユーフォリアは装置の改良を指示したのだ。
勝手に公式品に手を加えたということが露見すれば、世界政府の者達がどんなことを言ってくるか分からない。しかし、この状況において、相手に技術で遅れを取ることは、絶対に許されてはならないこと。
責任は、全て自分が取る。彼らが罰を下したとしても、他の者を巻き込むことは出来ない。あくまで自分一人の暴走であると処理すれば、少なくとも時空防衛連盟の面々は助かるだろう。
事が起きた時、矢面に立つのは、自分だけでいい。ユーフォリアはそんな決意と共に、再び時空を超える。襲い掛かる浮遊感。この感覚にも慣れてしまったのは、よい兆候なのか、それとも悪い兆候なのか。
そうして辿り着いたのはAD1074年、中世の時代。1000年以上の歴史を誇る偉大なるマロニス王国と、突如として現れた魔帝軍の全面戦争が幕を開ける年。
ユーフォリアが降り立ったのは、予想よりも遥かに目的地に近い、王都ロンカリアの路地裏。大通りに唐突に湧き出るなどということが起きなかったのは、不幸中の幸いといったところか。

マロニス城を訪れたユーフォリアは、そこで時の国王と謁見を果たし、自らの率いる時空防衛連盟が、王国の傭兵として戦争に協力する意志であることを伝えた。
未来からの来訪者であるということは敢えて伝えなかったが、歴史是正機構の者が先んじて活動を開始しているということもあり、数名は勘付いていることだろう。
かくしてここに、マロニス王国と時空防衛連盟による連合軍が結成される。未来と中世、歴史を超えて結ばれる両者。歴史是正機構と結んだ魔帝軍との戦いが、幕を開けようとしていた。

>ALL
【大変お待たせいたしました。やや急ぎ足となりましたが、これより第三章開始となります。
 メインの戦場はディンカ及び魔帝城のロケーションとなり、マロニス王国のロケーションに関しては味方の初期配置が主な役割となります。
 魔族が侵攻することも可能ですが、その場合は王宮ではなくロンカリアへの侵攻でお願いいたします】

2ヶ月前 No.437

第三章:「互いを分かつもの」 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

第三章:「互いを分かつもの」
魔帝軍は、中世の人々にとって恐怖の対象以外の何ものでもなかった。残忍であり、無慈悲。それが、人間の魔族に対する印象。
人類/魔族にとって魔族/人類は、打ち倒さなければならない怨敵であり、そこに和解の可能性など存在するはずもない。
正史においては、一人の大勇者の活躍により平定された魔帝軍。しかし歴史是正機構は、そんな魔族に手を貸し、戦争の結果を捻じ曲げようとしている。
確定した事象の方向を真逆に変えてしまえば、時空断裂が起きることはほぼ確実。時空防衛連盟もまた、世界を護るため、時空を超える。
そこで、彼らは目にすることとなる。史上最大の敵として恐れられた魔帝軍の裏に隠された、悲しい一つの真実を―――

2ヶ月前 No.438

黒谷平助/イスマリア @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4

【 王都ロンカリア/大通り(裏手)/黒谷平助 】

 幾ら王都とはいえ、一歩町から外れれば薄暗い通りが広がっている。
 太陽の光が遮られる場所には、何時だって負があるものだ。
 影があるものだ。汚物があるものだ。そして罪があるものだ。

 王都に歴史介入の魔の手と、防衛の手が伸びるころ。
 ロンカリアでは奇妙な事態が起きていた。
 住民の集団失踪。ある日を境に人が消え、そして二度と帰ってこなくなる。
 まだ、解決していない。魔族の仕業ともわからない。
 街に墜ちる不穏な影。

 ――ぐちゃり。影が死骸を押し包む。

  、  ・・・・・・・・・・・・・
 これで、この町の住民の行方不明者は"34人"に増えた。

 押し包まれた死体は地面に折り畳まれるようにして吸い込まれていき、溶けてゆく。
 体も、顔も、頭も、何もかもが無くなりその場にその人物がいたという証拠は完全に無くなった。
 殺人という立派な罪。あまつさえ死体を腐らせ消すという死者への冒涜に等しき行為。
 だがこの主犯、黒谷平助は眉一つ動かさない。眼鏡の奥の眼の光は暗く澱んでおり、たった今"始末"した者の顔も名前も全て忘れ去る。
 覚えておく意味すら、ありはしないのだから。

「……」

 何の感慨もない。ガラクタを破壊するだけの行為に、一体何の価値を見出せというのか。
 歴史是正機構というソレに流れ着いた己を待っていたのは完全実力主義の組織社会。
 目立たず、しかし役に立つだけの尖兵を演じ続けていた。何故なら、上に行けば行くほどしがらみが増えるのだから。

 この活動に関しても、意味は見出していない。

 過去の歴史の是正とそれの阻止、彼らはそれで争っているのだという。
 だが黒谷から言わせてみれば、等しく「無意味」。
 塵ほどの価値もない残骸にしがみつき、相争う彼らの姿は滑稽でしかない。

 栄えた王都ロンカリアも、何れは滅びるガラクタでしかない。
 ガラクタを残すことに何の意味があろうか。

「――まぁ、仕事は仕事ですから。賃金分は働かないと」

 一人。
 意味もなくぼやいた言葉は、嘘のように晴れやかな青空に響き渡っていった。

>ALL

【 ナコーン→移動開始/森林→移動開始/イスマリア・ザルヴァトール 】

「――、……」

 着弾と同時に噴く砂煙。鳴り響いたスマートフォン。この時代には存在するはずもない産物。
 電話に出る。一報を知らされる。撤退せよ、この時代にもう用はない。次なる作戦を開始する。
 武器の消耗度合いを見る。己の体の状態を見る。
 相手の姿は確認しきれていない。
 しかし――。

 ――納刀。

「では、失礼。
 また会うこともあるでしょう。その時は、殺します。未来のために」

 動く。
 溶けた氷の壁。撤退した魔大老。
 このまま留まれば、己も囲まれて殺されるのは見えている。
 それに――無収穫というわけでもない。戦いには負けたが、戦争ではまずまずの利益は取り返せた。
 手持ちのスマートフォンに記されたデータの羅列が、それを証明していた。

2ヶ月前 No.439

忠犬 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【王都ロンカリア/飯店→マロニス城→魔帝城/海底洞窟/ロコ】

アンナローズのおすすめは、シチューと牛乳だという。ロコは基本的に焼かれるか蒸されるかなどした肉を食うばかりで、こういった料理を食べるのは初めてだ。
厨房から漂ってくる美味しそうな匂いに、思わず鼻がひくひくとしてしまう。いけない、こんなところで野生を解放する訳にはいかないのだと、彼女は何とか自分を制する。
やがて出された料理は、真っ白なルウと呼ばれる液体……? の中に、羊肉が入ったもの。本来は鶏肉も入っているのだが、ロコは鶏肉が好みではないため、注文段階で抜いている。
どんなものかと恐る恐る口を付けてみれば、これがとてつもなく美味い。思わずもう一口がっつく。美味い。こんなに美味しい料理が、この世に存在するとは。
そして、一緒に出された牛乳も、最高の味であった。甘さは控えめであるが、すっきりとした後味が特徴であり、ほのかな甘さが口の中に残り続ける。空腹の中でこれは、もう死んでしまってもいいかも知れない。

「はふっ、ここの料理は、はふはふっ、絶品でありますな!」

食べながら喋るのがあまりよくないことだということは理解しているのだが、それでも手が止まらない。あまりにも美味しすぎて、どんどん口の中に料理が運ばれていく。
気付けば、一瞬の内に皿は空になってしまった。満足そうな表情を浮かべるロコ。これで、当面はお腹が空く心配もないだろう。この店を選んで、本当に良かった。

しかし、余韻に浸っている暇もそれほどなく、二人はマロニス城へと趣き、傭兵として魔族との戦いに志願すると共に、アンナローズの恩師であるフロレ・ゾンダーランドの姿を探した。
だが悲しいことに、彼女は数年前に魔帝軍征伐に向かったまま、行方知れずとなっているのだという。死亡の報告はまだ入ってきていないそうだが、生存は限りなく絶望的であると言わざるを得ないだろう。
アンナローズがどれだけ失望しているかなど、聞かずとも分かる。ロコは心配そうな表情を浮かべながらも、既に始まりを告げている戦いに参加するため、魔帝城を目指す。

「フロレ殿の件、残念でありましたな。ですが死んだと決まった訳ではないのであります。私達でフロレ殿を救い出すのでありますよ!」

海底洞窟。魔帝城へと続く魔境。その洞窟を超えた人間は未だいないとされ、過去に送り込まれた征伐隊の多くが、ここで魔族の襲撃を受け、命を落としてきた。
この先に、目的地がある。もしかしたら、フロレもそこに捕らわれているのかも知れない。そう思ったロコは、アンナローズを励ましながら、前へ前へと進んでいく。
未だ、敵に遭遇していないのがある意味不気味だ。しかし、地面に転がっている無数の白骨が、過去にここで起きた出来事を鮮明に物語っている。
一歩間違えば、次にそうなるのは自分達。王都では陽気にはしゃいでいたロコの表情が、引き締まる。犬の亜人ならではの優れた嗅覚は、二人を狙う者の接近を的確に探知し、見逃さない。

>アンナローズ・フォン・ホーエンハイム
【展開が急ぎすぎィ! もしフロレとの再会をお望みであれば、ここからロコと別れて行動しても大丈夫です】

2ヶ月前 No.440

健啖の銀狼 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【時空防衛連盟本部→王都ロンカリア/総統室→飯店/イアン・ガグンラーズ】

図々しくもおかわりを求めるイアンだが、女性はなんと笑みと了承で以て応えてくれた。その厚意と食のありがたみに感謝しながら追加分も平らげる。
この高速でありながら音を立てたり食材を飛び散らせたりといった下品さを伴わない食べ方は彼女独特のものであり、また速いのにしっかり噛み砕いてから飲み込んでいるという超次元ぶりを誇っている。
もしかすると彼女の口の中でも時空の振動が起きているのかもしれない。空腹というイアンにあってはならない事象を是正し、満腹という理想の形へと導いてくれる改変が。

「ボクはイアン・ガグンラーズ。百獣の王だ!」

ユーフォリア・インテグラーレと名を名乗り、自身がこの"時空防衛連盟"という組織のリーダーであることを教えてくれた女性の背中に、イアンも自分の名と肩書き(?)を投げかけて準備に移った。
包帯はそのままに着心地の悪いパジャマのような服を脱ぎ捨て、へそ出しシャツの上にジャケット、裾をくしゃっとあげたズボンという、彼女にとっては"イカした"服装に着替える。
そしてユーフォリアの後に続く形で装置の電源を入れ、水泳の飛び込みでもするかのようなフォームで飛び込んでいくのだった。



渡された見慣れない機器で現在位置の確認を済ませ(よくわからないので地図を何十回も回したが結局わからず、現在位置を示すアイコンも自分のことだとは思わなかった)、任意の行動へと移るイアン。
そんな体たらくで何故迷いもせず街を歩き回れるかというと、何の偶然か彼女が元いた時代だからである。神のいたずらと言ってもいいレベルの偶然には驚きを禁じ得なかったが、これは中世で働いてきた狼藉、盗み食い、自堕落な日々の清算をつけるチャンスとも取れる。
ならば迷っている暇はない、時は食なりだ。周りを見て何をすべきか判断し、特に思い当たらないのであれば敵組織らしき人物がいないか目を凝らす。
幸い野生の本能と獣の嗅覚にかかれば、目と鼻だけでどれだけ遠くの敵も捕捉できる。流石百獣の王イアン。ライオンが最も恐れた獣であり、狐が虎より威を借りにくるカリスマ。
まさにパーフェクトでアルティメット。一切の隙の無い嗅覚が、早速憐れな獲物を捉えた。刹那の後に視覚も続く。中世到着早々に彼女の牙にかかったのは―――

「シチュー3つに牛乳4つ!ごはんも山盛りでいいよ!あとステーキ!お魚を塩で焼いたやつも食べたい!」

食べ物である。愚かなイアン、なにが百獣の王か。飼い慣らされたワン公でも餌を前にこの反応はしない。盗み食いをしていないだけまだ立派かもしれないが、所持金を使い切らんばかりの勢いで注文を繰り出している。
最初は怪訝な顔をしていた店員も、彼女の食べっぷりに惚れたか今では腕が躍っている様子だ。そう、確かに食べることに関しては王であり究極なのだ。嘘は言っていない。

この有様では時空を守る役割など放棄しているようにしか見えないが、彼女に言わせれば「敵が襲ってきたときのための見張り」なのだろう。
事実、ロンカ村であれだけの活躍を見せたイアンが街中に居座っているというのは、魔帝軍や是正機構の面々からすれば相当の脅威…かもしれない。

>>ALL


【第三章開始おめでとうございます!早速配置させていただきます】

2ヶ月前 No.441

豪腕剣士 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【城塞都市ギリダン/宮殿内部/マロン・アベンシス】

よりよき世界のため、そして何より彼女自身のため。間違った方向へと進み続ける帝国からの離反を決意したマロンは、遂に宮殿内部へと足を踏み入れる。
その時であった、どこからか飛来した砲弾が玉座の間へと直撃したのは。激しく振動する宮殿。マロンは持ち前の力で倒れないよう踏み留まるが、無数の瓦礫が天井より降り注いでくる。
幸いにも直撃することはなかったが、さすがの彼女であっても、あれだけの重さの瓦礫に押し潰されればひとたまりもなかっただろう。持ち上げるのと上からのしかかられるのでは、訳が違う。
マロンがここへやってきたのはパージルクを止めるためであったが、今はそれどころではない。とにかく生きててもらわなければ、説得も何もあったものではない。

「パージルク! どこにいるんだ! 生きているなら返事をしてくれ!」

道を塞ぐ瓦礫を拳で粉砕しながら、マロンは宮殿中を探し回る。逃げ惑い、外へと向かう人の流れに逆らうかのように、彼女は奥へ奥へと進んでいく。
パージルクがいるとすれば、玉座の間だろう。既にそこには、敵対者が入り込んでいるのかも知れない。いや、あの砲撃が襲撃の始まりを告げるものであったのか?
既に宮殿の中にいたマロンには何が起きているのかが把握出来ないが、急がなければ取り返しの付かないことになってしまうような、そんな嫌な予感がする。
頭を目掛けて落ちてきた瓦礫を大剣で叩き割り、崩落した階段を飛び越え、あと少しで玉座の間に辿り着こうかというその時、マロンは地面を這いつくばる一人の女性を発見した。

「おいエスト! 何やってるんだ! パージルクは無事なのか!? ああくそっ、私の背中に乗れ!」

そこに倒れていたのは、エストであった。どうしてこんなことをしているのかと困惑したが、折れ曲がった彼女の足を見れば、何が起きたのかは想像がつく。
恐らく、瓦礫に当たるかなどして、骨折したのだろう。普段であれば治癒魔法を使って回復しているはずなのだが、それすらも思い付かないほどに焦っているのだろうか。
このままでは、また瓦礫が降ってきて、今度は本当に死んでしまうかも知れない。マロンは満足に身動きも取れない様子のエストを放っておけず、自分の背中に担いでやろうと手を差し出す。
しかし、非常に悪い状況だ。今宮殿に誰がいるのかも分からず、兵士達もこのパニック状態の中、パージルクの元まで案内してくれるとは思えない。更にはエストも手負いだ。
繰り返しになるが、マロンの目的はパージルクを止めることであった。だが、崩れゆく宮殿で彼女の名前を叫び、探し回る様は、エストからすれば、マロンがパージルクを救いに来たようにしか見えないだろう。

>魔大老エスト
【なんだかんだでパージルクを心配していたのは同じだったのかも知れない】

2ヶ月前 No.442

力への誘い @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【魔帝城/無限回廊/フロレ・ゾンダーランド】

無限回廊。登れど登れど頂上に辿り着くことのない階段。そんな悪魔のような階段も、敵対者が侵入していない時に限っては、至って普通の階段へと変貌を遂げる。
マロニス王国の総攻撃を前に、この場の護りを任されたのはフロレ・ゾンダーランド。魔将軍の一人であり、元は人間側の"勇者"として崇められていた人物。
そんな彼女が、何故魔帝軍に協力しているのだろうか。事の発端は、フロレがマロニス王国騎士団長として、魔帝征伐の旅へと出立した二年前まで遡る。
磨き抜かれた剣技と魔法の才能を持って、見事に海底洞窟を突破し、魔帝城に乗り込むことへと成功したフロレ。彼女はそこで、一人の魔将軍と対峙した。
混沌のフィラッサ。魔将軍の中でも群を抜いて危険であり、魔帝ですらも制御出来ない存在。彼女との対決においてフロレは相手の甘い言葉に惑わされて自分を見失い、そして―――堕ちた。
元より、魔帝を倒すことばかりを考えるあまりに、フロレは力に固執していた。より強大な力を求める、自分自身の心に、騎士団長は敗北を喫したのである。

晴れて魔族となったフロレは、自らを正しき道へと導いたフィラッサを神のように崇め、崇拝するようになった。誰も好き好んで近寄ろうとしないフィラッサに、ここまで酔狂している人物は、彼女くらいだろう。
フロレにとっては、フィラッサの言うことは全て正しく、フィラッサの抱く理想は必ずしも実現しなければならない、世界にとっての理想でもあるのだ。

「あぁ、全てはフィラッサ様のために! わたしは仇なす人類を叩き斬ってみせます!」

はぁはぁ、と息を荒げながら、今一度忠誠心を露わにするフロレにはもう、かつて勇者と呼ばれた頃の面影など、一切残っていない。そこにあるのは、ただただ力を追い求める魔物の姿だ。
多くの騎士達の憧れであり、尊敬すべき対象である騎士団長が、魔族に与しているという事実。王国の者がそれを知ったならば、果たしてどのような反応を示すのだろうか。
少なくとも、彼らの士気に多大なる影響を及ぼすことは間違いないだろう。そんなこともお構いなしと、フロレは自分にとっての神であるフィラッサから更なる信頼を勝ち取るため、今日も忠誠を誓う。

>ALL
【フィラッサの信頼(笑)】

2ヶ月前 No.443

黒鉄一輝 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4

【 ディンカ/魚市場/黒鉄一輝 】

 ぺしゃり。
 水溜まりの音。奇襲によって砕けた露店はガラクタと成り果て、市場より卸されたはずの魚は売られることなく放置されている。
 生臭さと潮の香り。つんと鼻に腐臭が突き抜ける、――戦争の臭いだ。そう、何時か立ち会った伐刀者<ブレイサー>達が立ち回る戦場。
 人はいない。
 残されているのは、営みの形跡と日常を置き去りにしたまますっぽりと抜け落ちたかのような違和感。
 真っ新でない分、余計にそれを感じさせてくる。良し悪しを問うことはしない。しかし、放り込まれたこの場所には衝撃を受けるばかり。

(本当に、戦争が起きているんだな)

 初めは何かの冗談だと思っていた。
 <異世界>。よく聞く単語だ。だが、実際その目で目にしその耳で聞いてわかる。
 既存の歴史を崩そうとする者達を止めること。それが、今回の任務。
    、   、   、   、・・・・・・
 今までの試合とはワケが違う、――殺し合い上等。
 そう、オル・ゴール率いる軍のような派手な真似が平然と許される地帯。
 瓦礫。住宅の名残。木屑。屋台の名残。ぬらりとした魚。商いの名残。

「……――やることは変わらないか」

 嘆息付く。
 この世界における歴史は、魔術至上主義。魔力が多く、学問を収めた者がそれを力として扱うことを許される。
 耳が痛い。苦笑する。魔力量は最低値。剣術一本に絞ってきた黒鉄一輝にとっては全く馴染みのない分野。
 歴史の改変を止め、本来の歴史通りに遂行するというのもそうだが――それ以前にある感情が胸中にあった。

 ――どんな強いのが、いるんだろうか。

 剣客か。
 魔術師か。
 あるいはまだ見ぬ戦闘の形式か。
 何れにせよ、――楽しみだ。どんな形とはいえ、異界における強者との邂逅は何かしら自分に齎してくれるのだから。

>ALL

2ヶ月前 No.444

"龍炎公" @zero45 ★h2BOlEz4kD_kuu

【魔帝城/深淵の間→兵舎/ヴァンレッド】

 語らい合う内に時は過ぎ、遂に戦端が開かれる。ヴァンレッドは最後に主君へと一礼して、深淵の間を抜けると、無限廊下に無限回廊を経由して魔帝城の入口付近へと移動する。現時点ではまだ、魔帝城へと侵入を果たした者はいない様子。敵を迎撃するだけの布陣を整えるまでの時間に余裕はある。
 多くの下級魔族が寝床として収容されている兵舎を訪れると、既に武装して待機していた龍族の部下達に対して手早く命令を下して行く。基本的に空路と海路を使えない王国側にとって唯一の侵入口である海底洞窟の防衛に戦力を集中させ、残った人員を各主要地点の防衛と自らの護衛へと回す。
 特に自身の護衛を務める者達は、龍族の中でも優れた実力を持つ精鋭ばかり。生半可な実力の持ち主が挑もうものならば、容易く瞬殺されてしまう事だろう。それ程までに、彼等の武芸は際立った物を持っているのだ。

「……迎撃準備は整った。後は敵を虎穴へと迎え入れるのみ」

 海底洞窟の出入口の方角を見据えながら、龍炎の騎士は鞘に納めた真紅の剣を引き抜く。瞬間、刀身より溢れ出る焔が彼の手を包み込んでは焼き尽そうとするが……仕手は余裕綽々とした表情のままに抜剣した剣を大地へと突き刺す。
 強力な焔の魔力が宿る剣の銘は、緋剣レヴァンテイン。嘗て、龍と人とが手を取り合った時代に生み出された焔の魔剣だ。この身に纏う紫鱗の鎧と共々、悪龍を打ち破った証その物である。
 その魔剣は残虐な狂暴な元の性質を表すかの如くに荒ぶる焔を常に帯びており、元来超高温に強い種族でなければ真面に扱う事の出来ない危険な代物。仮に人が扱おうとしようものなら、忽ち灼熱の焔に全身を融かし尽される事となるだろう。

「皆、警戒を怠るな。一瞬の気の隙が、我が身を滅ぼすと思え」

 周囲に侍らせる護衛に向けて、気を引き締めよと告げる。共に修練を積み重ねて来た同胞である事も、戦士としての心構えが出来ている事も十分に承知はしているが、此処は戦場であると言う事を改めて認識させる事で戦意高揚を狙う。
 その効果は推して知るべし。言葉の前後で彼等の警戒は強まり、各々が浮かべる表情には溢れんばかりの闘志が目に見えて窺える。それを確認すると、再び視線を出入口の方角に向け、敵の襲来を待ち始めるのであった。

>ALL (魔帝ヴェルメイユ)


【中世編が始まるので一旦絡みを切って再配置、お相手ありがとうございました!】

2ヶ月前 No.445

魔人騎士 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【第三章開始の為移動させて頂きます、お相手ありがとうございました】
【魔帝城/庭園→移動/ルーカン・ベレスフォード】

「それでも私は手を差し伸べるつもりです、その為の鎧と体ですから」
 リュミドラに向かってにこりと穏やかに微笑む。
 甘いと言われても巻き添えを食らっても、自分には人間よりも頑丈な体で巻き添えを一人で引き受け、家伝の鎧で弱者から守ろう。
 それがルーカンの騎士としての信念であると、同時に戦場で死ぬ覚悟を匂わせる台詞でもあった。
 だが、そう唱える彼の正史は無惨に戦死する運命だと彼はまだ知らない。
 次にオムニスはたおやかに意見を述べた途端ルーカンの表情は変わった。
「……それはその……私もそれは……」
 風が吹き黒髪とマントは揺れる。
 オムニスにそう言い切られ困ったという仕草をして、申し訳なさそうに呟く。
 自分だって弱者の蹂躙を好まない。
 蹂躙が無くなったら、魔族も人間も幸福になるそれは分かっている、分かってはいるが。
 多種多様の思想を持つ双者、時にその差異が刃となり、こうして亀裂を生んでいる世の中である。
 ならばその差異を生める何かを得る為に剣を取った。
 元奴隷のルーカンはそうこの世を見て、戦いに身を投じているのだ。
 お茶会はお開き、服従か滅亡かと言い残し立ち去ったリュミドラの背を見てルーカンは厳しい表情に戻るとがしゃがしゃと甲冑を鳴らして持ち場に戻ろうと進む。
「申し訳ない。もういかなくては行けませんね、優良な時間を感謝致します。お二人ともどうかご無事で」
 頭を垂れて丁寧な別れの言葉を交わすとルーカンは庭園から立ち去る。
「血を流さない方法か……」
 ぽつりとルーカンは呟く。
「そうだったら、私は虐げられる事は無かったかも知れないな」
 心の支えになった友人を思い浮かべながら、ルーカンは寂しそうな表情で前を睨んだ。
>災禍龍姫のリュドミラ オムニス・デューザ

2ヶ月前 No.446

地味な優等生 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【王都ロンカリア/噴水広場/ワームテイマー】

城壁で囲まれた大都市、多くの場合魔族が侵攻して来ようが城壁だけで迎撃が完了してしまうために、魔族による被害をほとんど受けず、発展を極めた場所。
とは言え、その守りが完璧であるとしたならば、そもそもこの戦いはそう激化はしなかっただろう、魔帝軍もマロニスも守りの硬い本拠地に引きこもって、どちらも決め手に欠けている、だから行われるのは局地戦ばかり、そんなツマラナイ物になってしまっていただろう。

魔族と人間の大戦争、実に古代ぶりの大陸を血で塗り潰すほどの大戦争、魔族側がこんな城壁に手をこまねくほど弱小ならば、最初からこんな戦争は起こせやしない!
なーんて格好良い事を心の中で"彼女"は思い描いて見るも、実際の所は、自分も単独で王都に忍び込んで、誘導を掛けないとこの城壁を無傷で突破できる連中は呼び寄せられない訳で、ああ、格好良く城壁を粉砕して登場とかしたかった、とはいっても、遠征を掛けたせいで手薄になっている都市の生産基盤を粉砕するのは自分にしか出来ないのだから、とりあえずやっておこう、何せ魔将軍は物騒な奴が多すぎる。

――あぁ面倒くさい。

なんて呟いて、その声の主は突如として噴水から出ている水の上に立つようにして、人々の前に姿を現した。

「やっぱり大道芸は公園とかの人が集まる所でやるに限るよね。 大通りなんかでやっちゃあ交通の邪魔だし。 ってな訳で、やあやあ皆さんぜひ最前席でご観覧ください、今なら先着30名様に殺すのは最後にしてやる券プレゼント。 どうせ全員食われるなら最後まで楽しまなきゃ損だよ」

まるで"魔術"を使っているような位置に陣取る彼女に対して、周りの人間は奇異の目線を向ける。
だが、次の瞬間、彼女はそうですと言わんばかりに、演出用であろう、攻撃能力の無い火花を発生させる魔法を乱射する。
その様は、まさしく囮役に相応しいド派手な物で、注目をさらに集めた。

いよいよ持って怪しさが全快になってきた少女に、ついに警備兵の顔もちらほらと見えてくる。
警備兵が警告しようとしたその途端、少女……いや、魔族"ワームテイマー"はその素性を曝け出すよう恐ろしげな言葉を吐いて、堂々と紫色の翼を広げて見せた。

――魔族!!

誰かの言葉が放たれた途端、そうですとも! とワームテイマーは笑顔を浮かべる。

「では、改めて自己紹介を――うぉっと、自己紹介中に攻撃する奴が何処に居るんですかここに居ますね。 ほんっと帰りたい。 まあいいや。 ……さあて、それでは役者にご登場頂き、虐殺劇の演目を行うとしましょうかね!!」

演技っぽい言葉の合間に、素らしき言葉を混ぜながらも、ワームテイマーはひらひらと手を振って魔法を発動させて飛んできた槍やら石やらを弾いてみせる。
そして最後の宣言の瞬間、地面がいくつかの場所で隆起したかと思うと、一斉に長い胴と巨大な口を持つ芋虫のような化け物……"ワーム"の大群が姿を現し、目に付いた人間を次々と食い殺したり、毒を吐きかけて食べやすいように溶かしたりといった捕食行動を始めた。

地面からの強襲、そう簡単に察知できる物でもないだろう、敵が出張ってくるまで、しばらくは食事タイムとしようと、ワームテイマーは自らが手を下すこと無く、その場で笑っていた。

>ALL

2ヶ月前 No.447

Futo・Volde @nonoji2002 ★0hekQLL3eX_sgc

【グリア村/池→移動開始/アベリィ・シルバラード】

「あんたの居る時代は私の居た時代より、選択肢が少ないようだけど、いずれ選択肢は増えて行くはずよ」

生きるか死ぬか。それは未来の戦でも同じことが言える。だが、それぞれに合った戦い方、武器、敵を生かすか殺すか。その選択はすべて個々に委ねられる。この時代は力がすべて。弱肉強食の世界においては、人はより動物的になる。人にだけ与えられた“知恵”を活かすのではなく、動物と同じ“力”を活かして、その全てを支配する。どちらが“人間”らしいかは明白だろう。

「さてと………どうやら連盟がここを抑えたみたいね。私はそろそろ元の時代に戻るとするわ。大丈夫。きっとあんたも元通りとはいかなくても、前と同じ生活に戻れるわ」

先ほどまで火の手が囲んでいたロンカ村に上がっていた、赤く大きな炎が収まりつつあるのを確認すれば、ゆっくりと腰を上げる。ここに長居する必要はもうない。設備も、装備も揃えづらいここじゃ、とてもじゃないが便利過ぎる未来に慣れたアベリィにとっては暮せない。

「また会えたら話しましょ?」

それだけを告げて、彼女に一度手を振ってからその場を後にする。彼女を未来に連れて行くことも少しは考えたが、連れて行ったところで彼女が未来に馴染める保障はないし、彼女が輝ける場所があるとしたらこの時代なんじゃないか、と考えたときにそれを口にはしなかった。ただ、もし、また会うことがあれば。今度は“仕事”としてではなく、“個人”として、会って、普通の“女子”通しであいたい物だと。

>アルクール・サンドリンガム


【遅れましたが撤退させます。とりあえず3章でアベリィは様子見ながら動かすか決めますかねえ】

2ヶ月前 No.448

ハザマ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_kuu

【時空防衛連盟本部⇒/資料室⇒/ハザマ】

 ………時に。逆鱗に触れるという言葉がある。
 竜は鱗の逆さに生えた箇所を触られることで我を失い、怒り狂う。
 普通の生物からすれば何ら理解の出来ない内容だが、竜にとってはそれが当然のものとなる。

 つまるところ、この対応はそういうものだろう。
 しかし幾度も繰り返しておいてなんだが、そもそもハザマにとってある内容以外の全ては等しく塵だ。
 どうでもいいの一言で済むものに手を煩わせる意味はなく。
 そもそも、ハザマの意図と会話の内容が微塵も噛み合っていない。で、あるならば対処は決まっている。

 ………そう、ハザマの対処はただ一つ。

「はあ、さいですか」
「それじゃ私失礼しますんで、おつかれさんっしたー」

 閉めた。
 具体的に言うと、語調が変わった瞬間に徐に扉を閉めて資料室を後にした。

 つまり、相手にしないの一点張りである。

 他人の行動に対する微塵の躊躇いもない梯子外しであるが、そもそもお互い様である。
 ハザマとして見てみれば問いかけ程度の内容だったものに、あそこまで反応されても困るというものだ。
 彼が音楽家の行動に何か目を掛けることは一切ないし、影響を受けることもない。
 唯一、ただ一つだけ例外があるが、それを持たないショパンは自分の目的にそぐわない。

「(いやあ、“大佐”ほどじゃないとはいえ人の話を聞かない御仁だ………)」

「(ですが、まあこんなもんでしょ。これは当然のことながらハズレ。
  やはり探しに行くとなれば―――おや、丁度良く通信が。探しに行くなら此方ですかね?)」

 ………それが確信出来た瞬間、もうハザマの意識は次の時空へと向けられていた。

>ショパン、(ALL)

2ヶ月前 No.449

閃剣 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【マロニス城/厨房/レーヴ・カストリス】

マロニス城の厨房はいつも慌ただしい。ここでは城に仕える者全ての食事は勿論、立ち入りが許可されている一般市民向けの料理までもが作られているのだ。
飯時には行列が出来るほどの賑わいを見せることもしばしばあり、シェフ達も客を待たせる訳にはいくまいと、大忙しに厨房を駆け回っている。
いわばここは、もう一つの戦場であるともいえるだろう。魔帝軍と戦う王国騎士団を支える裏方。彼らがいなければ、戦う者達の腹が満たされることもない。
およそ30分ほど待っただろうか。ようやく出てきた料理を前に、少しニヒルな笑みを浮かべて、フォークとナイフを持つ男が一人。彼の名前は、レーヴ・カストリス。マロニス王国騎士団に所属する、若き騎士だ。

「しかし、戦いが始まったのに待機命令とはな、オレは前線に派遣されるんじゃなかったのか?」

現在レーヴに出されている命令は、敵襲に備えての待機。ついこの間、前線部隊へと配置転換されたばかりであったので、やや困惑気味であることは否めない。
魔帝軍がこちらの大規模遠征の隙を突いて襲撃を仕掛けてくることは予想出来るため、防衛用の戦力を残しておくのは確かに理に適っているのだが……まあ、その内出撃命令が出ることだろう。
それまでは、しっかりと休んで英気を養っておくのが最善だ。訓練はもう飽きるほどやった。やり過ぎということはないだろうが、これ以上やったら本番でのパフォーマンスが落ちる。

「ったく、何も考えずに戦えばいい奴らは楽だな。どいつもこいつも、思考停止してやがる」

レーヴ自身は、魔族だからという理由で彼らを差別することを嫌うタイプの人間だ。基本的な生活は大きく変わらないどころか、人間に進んで協力する者も中にはいるくらいである。
そうした心優しき魔族に対し、人間はどんな仕打ちをしているかと問われると……正直言って、反吐が出る。人類側に付いた魔族が、自らに反抗しないことをいいことに、差別や迫害が公然と行われているのだ。
何故、そんな狭い視点でしか物事を見れないのか、と常々思う。味方は味方、敵は敵。それで十分ではないか。それとも、人間が魔族より上であるとしなければならない理由でもあるのだろうか?
考えれば考えるほど気分が悪くなってくるが、いくら悩んだところで答えは出そうにもない。周りから白い目を向けられようと、自分は自分のやり方を貫く。レーヴは辺りから聞こえてくる魔族への罵倒に辟易した表情を浮かべながら、肉を一口頬張る。

>(ミコルナ)
【要望がありましたので、戦場移動前に一度こちらに配置】

2ヶ月前 No.450

苦難の中の本質 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ディンカ/魚市場/テルン・エルウェーウィン】

人が暮らしていた名残が色濃く残る港町、ディンカ。ここが廃れてしまった理由は唯一つ。人間と本格的に戦争を始めた魔族達による、侵略行為の影響だ。
世間で魔族との共存論が受け入れられないことの背景には、こうした事象が影響しているのはいうまでもない。街一つを簡単に滅ぼすような者達と手を結べと言われて、はい分かりましたとなるはずがないだろう。
ある意味それは、人間の本質でもあった。自らよりも遥かに強大な力を持つ魔族に追い詰められた彼らは、醜き本性を露わにし、魔族への迫害を始めたのである。
冷静に考えれば、すぐに気付くことだ。あくまで脅威の対象であるのは魔帝軍に所属する魔族であり、それ以外の者の中には、人間への協力を望む者すらもいるという事実に。
それでも迫害が止まらないのは、彼らが魔族であるからに他ならない。口では人類の方が優れていると主張しながらも、本気の勝負では勝てないことが分かっているから、抵抗しない者だけを抽出してサンドバッグにし、ストレスを発散する。
実に人間らしい、と赤い修道服に身を包んだ女性、テルン・エルウェーウィンは思う。中世という時代背景がなければ、これほど美しい本質を垣間見ることも出来なかったであろう。

「魔族を前にした人の反応、実に美しい……貴方もそうは思いませんか」

腐臭を放つ魚市場に現れた青年に向けて、テルンはそう問い掛ける。あの姿からして、彼が未来人かもしくは異世界人であることは十中八九間違いない。
となれば、所属陣営は自ずと時空防衛連盟ということになる。こちら側の人間であれば、少なくとも一度は本部で顔を見たことがあるはずであるからだ。
まあ、最近になって加入してきた人物という可能性も捨て切れないため、一概には言えないのだが。敢えて手を出さずにいるのは余裕か、それとも猶予を与えているつもりか。

放置されて何ヶ月が経過したのだろう。既に白骨化し、肉が腐り落ちてしまっている人間の死体を前に、テルンは十字架を切り、簡単な供養を行う。
これだけを見れば、彼女が聖職者であるということは察せても、敵であるとは到底思えないだろう。それを判別する方法は、今のところほとんどないに等しい。
見抜くチャンスがあるとすれば、最初の一言に、聖職者にはおおよそ相応しくない危険思想が見え隠れしていることか。果たして、彼はそれに気付くのか。まるで"その時"を待っているかのように、テルンはあくまで現時点では、ごく普通の聖職者としての振る舞いを続ける。

>黒鉄一輝
【こんな危険人物に聖職を与えてはいけない(戒め)】

2ヶ月前 No.451

“塵殺剣” @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_kuu

【兵舎⇒深淵の間/ニア】

 そう………魔帝軍の解散など、話す相手によってはタブー中のタブーだ。
 軍の目的は世界の統一、人類の殲滅と魔族による征服。
 これを目的とする強欲の魔大将が解散などと聞けば、まず手を出して来るに違いない。
 アレはそういう女だ。どう世辞を並べ、どう贔屓目に見ても世界を統べる器ではないが、こと器の大きさに釣り合わぬほどの歪んだ願いを懐くものは必ず生まれる。人にも、魔族にも―――その比率が、前者の方に異様なほど多いだけ。

 他も同様。

 “龍姫”に事を話せば、冷笑と共に処分を考慮するだろう。
  アレはそういう性質を持つ者だ。自らが世界の中心であると、死が訪れる瞬間まで酔い痴れる。

 “混沌”は、どうか。丁度良い口実程度にしか思うまい。
  なにしろあれは、元々在るモノを壊すことが大層好きなようだから。

 “不死”は性根のみ見れば真っ当だが、盲目的に従う主が真っ当ではない。
  その時点でことが知れる。主が無ければ話は別だろうが、そんな“もしも”は当分来るまい。

 “渇望”もほぼ同様だ。此方はなまじ不死より遥かに盲目で、救いようがない。
  ゆえ、結果は知れたものだろう。妄信とは何も見えぬが道理ゆえに。

 唯一その事実を受け止めて和平に向かうとするならば“龍炎”だろうか。
 これと密接に在るのは我らが殿下であり、此処ならばレプティラの言葉を受け止めるに違いあるまい。

 ………そう。最早この時点で、この魔帝を上とした組織は最初から大きな歪みが出来ている。
 征服を、殲滅を、それを掲げた魔族の者達の長と上層が、真っ二つに割れている。レプティラが気付いていたかはさておきとして、彼女の喪失を待つよりも前に生まれていた遥か大きな歪みだ。
 ニアが、魔帝軍の成立直後には決して参列を決めなかった理由がそれだ。後に参入を決めたわけだが、その理由はもっと別のところにある。
 それは歪みを承知した上で、宣告者には成し遂げたいことがあったが故のこと―――彼女はそもそも、この組織の解散など待つでもなく訪れるものと達観している。


「―――失礼。報告に上がりました、殿下」


 その胸中を一切語ることはない。
 表情にも、態度にも、ありとあらゆる全て、ニアという宣告者のパーソナリティを語るに及ばない。

 彼女は恭しい態度のまま、礼節を崩すことなく殿下と呼んだ者の前へと姿を現した。
 膝を突き、礼を取り、しかしてその紅蓮の色に反する射貫くような冷たい瞳はなお健在。

「既に他将軍、ないし兵卒を派遣なされた様子。であるにご理解の上かと思われますが、
 魔帝城へ向かう敵方の先鋒と遭遇、殲滅を終えました。しかしあの程度で全軍とは思えぬ故、恐らくは第二陣、第三陣、あるいは………此方に姿を現した異界の者どもが攻め入るものと想定しております」

 語り口、遠征の結果とはこうだ。
 たまたま魔帝城に向かおうとした王国軍の一陣と単独の彼女がたまたま遭遇、
 二つ名/忌み名通りに塵殺され、屍を晒して洞窟内を骸で満たしたというだけの話。それだけであるが、しかし―――それは、両者ともにお互いの首を取りに本格的行動を起こしたという事実に他ならない。
 そのことは彼女も重々承知しているだろうから、急ぎの用事ではない。
 ないが、あくまでも義務だ。敵方の侵攻が行われたこと、加えて………今は此方に付いている異世界人というカテゴリの者達の中にも、彼方に着いた者が居るだろうという想定を話すことも、最低限情報と意思の疎通を取るべきだと判断したが故のこと。

「それから、もうひとつ」

 そして。
 必要であるからこそ、常山蛇勢/専門家に確約した打診も忘れない。

「兵舎の駐留魔族の二割程度が不調を訴えている、と耳にしました。5割は薬、3割は完治の見込みあり、2割は環境の改善が必須であるというのが“専門家”からの意見です。
 古来より軍というものが如何にして滅ぶのか、まさか知らぬ御身ではありますまい?」

「王国殲滅後も、雑多でありますが他国との戦争が続きましょう。
 それすら終結したとしても、御身がその後の治世を見据えるならば、どうか改善を検討して頂きたく」

 ………必要であると言った意味の正体が、レプティラと同じものであるかどうか。

 そんなことは口にする必要もない。だから、語らない。
 塵殺剣にとっては、魔帝軍は存続して貰わねば困るものだが、その理由を口にする意味はない。
 そしてそれは“殿下”の意思を知るにはあまりにも理に適った提案だった。
    ・・・
 ………だから、レプティラが打診するべき内容を代わりに自分で打診したのだ。

>ヴェルメイユ


【会話だけのつもりですが、戦闘前にお付き合い頂ければ幸いです〜】

2ヶ月前 No.452

黒鉄一輝 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_FXK

【 ディンカ/魚市場/黒鉄一輝 】

 歴史的背景はある程度は――把握はしていた。
 そもそも把握しなければ話にすらならないというのが実態である以上、意地でも叩き込む必要はあったのだが。

(……魔族と人間との抗争)

 抗争、――と言えるのかはやや怪しい。というのも、彼らと人類を隔てる決定的な一点はその力の差。
 人体という構造上成し得ない技術や魔力量を保持し、圧倒的な力を有する者たちも多い。
 故に人は恐れる。己より強い者に対してはどうにもならないと媚びへつらう。それが何年も続いていた。
 中には人間と友好を示そうとする魔族もいた。
 だが、人類にしてみれば右手に拳銃を持っている者と握手を交わすようなものだ。……そうそう受け入れられるはずがない。
 疑念と鬱屈が生む迫害は彼らとの間に溝を作り続ける。今も、そして、これからも。

 終わらない戦いを終わらせる方法は一つ。
 どちらかの頭を潰す。
 それが、犠牲者を最小限に留める術。

「……そうだね。
 善性とかそういうのを美化するつもりはないよ。だけど」

 背後の声。
 魔族に対する人の仕打ち、――恍惚とした表情を織り交ぜながら一輝に投げかけるのは修道女。
 簡易的とはいえ、白骨化が進んだ遺体に十字を切って供養するその姿は場所さえ除けば敬虔なソレだ。

 ……だが。

   、  、・・・・・・
「あなたは僕に下らない芝居をしに来ただけじゃないはずだ。
 それもあえて分からせるようにしていた、――違うかい?」

 ――誰でも分かる。

 第一声の時点から、彼女の声には喜悦が滲み出ていた。
 隠しきれないほどに、否、あえて隠していないとすら思えるほどの。
 邪な聖人は腐るほど見てきていたが……声音に宿る感情は、黒鉄一輝に警鐘を鳴らす。

 まだ、――構えは取らない。
 だが時空防衛連盟本拠で見ていないということは良くて現地の民、悪くて――。

>テルン・エルウェーウィン

2ヶ月前 No.453

竜狩り @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【魔帝城/兵舎/アーケオルニ】

一人、また一人。煌黒の剛刃の前に倒れていく魔族。けして彼らの実力が低かったわけではない。調子が悪かったわけでも、驕り高ぶっていたわけでもない。
相手が悪かった。ただこの一言に尽きるだろう。いくら人間の小娘と言えど、彼女は産声をあげてから今に至るまで、己が全てを魔族狩りに捧げてきたのだから。
身の丈ほどはあろうかという大剣"アトロシス"を構え、魔族の蔓延る死地に風穴を開けていく少女の名は、アーケオルニ・ランドグリーズ。"竜狩り"の異名を欲しいがままにする狩人。
最大の標的とする龍族に屈辱的な反撃を受け、あろうことか彼らと同様の存在に作り替えられる呪いをかけられたというのに、この魔族の死体をくべて走る暴走機関車は減速すら頭にない。
そんな彼女の襲撃を受けたことで、魔帝軍に戦いを挑むにあたって第一の難所となる海底洞窟は、一時的とはいえその難攻不落の威光を失いつつあった。

「…狩りはこれからのようだな」

洞窟の出口に立ち塞がる魔族達。彼らが実質的な最終防衛線であると知り、それぞれ違う色の輝きを灯す双眼で以て睨めつける。左目は煌々と燃え盛る炎の如く。右目は凍てついてなお荘厳な氷瀑の如く。
先行して挑みかかった者は火炎魔法の前に、臆せず突き進む数名は暗黒魔法の前に倒れ伏す。彼らの死を無駄にはしまいと続いた残りも、火花を散らして振り抜かれた刃を受けて命尽きる。
ここに"竜狩りのアーケオルニ"は海底洞窟の突破を達成した。囲いを貫き攻め入ったのなら、落とすべきは本丸。警備に充てられていた連中などとはまるで違う、首を取れば一生の栄誉となるであろう名うての戦士。

「"龍炎公"ヴァンレッド」

願ったり叶ったりとはこのことだろうか。視線の彼方、下級魔族の起居に用いられている建物から覗く顔…というより、彼が有する特徴の数々に確かに覚えがあった。そしてその名も存じていた。
ポツリとそれを呟くアーケオルニの瞳が、ますます狂的な煌めきに満ちていく。龍炎公ヴァンレッド…龍族の長にして齢一千を数える緋剣の龍帝。魔帝への忠誠は厚く揺ぎないものであり、また同胞からの評価も同様。
武芸の腕前のみならず、指導者としても非の打ち所のない彼だからこそ、持てる全てを注ぎ込んで討ち取る価値がある。そう踏んでの宣戦であった。
犠牲者の血に塗れた大剣を引きずりながら、彼との距離を縮めていくアーケオルニ。敗北を懸念することはない。死など恐れもしない。呪いに蝕まれた身体が、戦いの負担によって完全に再起不能となる以外に、彼女から闘争心を奪う手立ては存在しない。

>>龍炎公ヴァンレッド


【絡ませていただきます!】

2ヶ月前 No.454

電子の詩人 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【本当に申し訳ございませんでした。お手数おかけしました。】

【時空防衛連盟本部/資料室/ショパン】

 恋患った人に、花とワルツを添えて我が悲しみと題した手紙をリボンで包んで机の引き出しに残す行為(きおく)は、『無価値』なのか。
 自分の作った曲はここでは無価値なのか。
 ここでの自分の軌跡や曲は似たようなものなのか。
 インターネットだけで知ったが、ここでも同じ道程を歩いた『彼』や曲の存在を無価値に値する、違う物だと言われたのが、まるで"自分事のように"腹が立ち、その激情にかられてハザマに一雨を食らわせようとしたが相手にされず、お疲れ様と扉を閉められた。
「へ?」
 ハザマの反応に、思わず音楽は鳴り止み雨雲は消えて紫の燕尾服から白のライダー服に戻ると、きょとんとした顔でこっちが冷水をかけられてしまった。
 我に返ったショパンは腕を垂れ下げると、黙って扉を暫く見つめる。
 結局、予想外に飛んできた自分の許容範囲外に刺激されてまともに接しなかった事に反省は……しなかった。
(……聞きそびれた)
 むしろハザマに対しての問いかけの答えを聞けなかったと、淡々と処理していた。
 この怒りが未消化となり、一体どこに向ければ良いのだろうかとショパンはアンニュイな表情に戻り床に落ちた、缶とダンボールを両手に抱えるとハザマに言われなくとも御自由に調べに来たと、ショパンは一歩遅れての回答をすると。鳴り響くアナウンス。
 どうやら中世に行くらしい。
(今は、それどころじゃない)
 優先順位は自分の小さな世界だと強調すると、相変わらずの外出拒否を示して、資料室の奥へと進んでいった。



【マロニス王国/ホール/ショパン】

 鳴り響くは優美高妙、荘厳華麗な旋律。
 豪奢(ごうしゃ)な一室を満たす、拍手喝采。
 それらに包まれて、ピアノに向かって佇む華奢な背格好の伊達男。
 そんな懐かしい風景を連想させるような場所だった。

(……来てみたけど……やっぱり、こわい)
 縮こまってそう思うショパンは、少し探索と猫背気味にホールへと歩いていた。
 通りすがりのメイドは上着のような肩布がついたライダー服が珍しいのか、視線がこちらに向かわれている。
(すごく……落ちつかない)
 歩きながらそわそわとし始めるショパン、こう物珍しそうに見られるのは好ましくないし、何より『ある緊急事態』を防ぐ為に過度の人見知りを抑えている状態なので、あまり見るとこの時代から逃げ出したくなってしまうので頼む見ないでくれ。
 恐らく、ライブが嫌いなのもこんな性格も合わさって事務所から脱け出したのだろう。
 衣装合わせで落胆する要因は、これではないと思う。
「……見ないで」
 数多の視線に耐えきれずとうとう立ち止まり、ちらりと前髪から覗かせる憂いの瞳をメイド達に向けると、勇気を出してぼそりと自分なりの言葉で伝える。
 自分の好みや譲れない主張はわりとはっきりと言うタイプだが、その他はてんで受け身である。
 ネット環境に釣られて、大家の求婚騒動でのプロポーズは「幸せにしてください」と顔を紅潮させる程の奥手である。
「?」
 メイド達はポカーンと自分を見ないでと言っているのが伝わっていない。
 それを見たショパンは、暗そうな表情であと一声振り絞る。
「だからその……僕を……あまり見ないで」
 相変わらず小さな音量でそう言うと、再びホールの探索を始める。
(……魔帝軍が勝てば、みんながいなくなる)
 事務所から逃げ出したのはいいが、恐くなってクローゼットから出られなくなった時から、ずっと一緒に住んでいた音羽館のクラシカロイド達が、この時代を改変されるとみんないなくなるのだろうと資料室の歴史書で証明されたのだ。
 住み始めた頃は近寄りたくない存在だったが、今では自作の曲は盗作なのではと悩んだ事がインターネットでその曲は盗作だと疑惑に持たれた事をみんなに知られたくなかった、嫌われたくなかったと思った存在の消滅の危機に、ショパンは勇気を振り絞り奮起したのだが、小動物のように怯え眉が八の字に垂れ下がる表情が全てを台無しにしていた。
>ALL(ハザマ)

2ヶ月前 No.455

黒翼 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【ディンカ/岬/Cluster】

キィィィィンと音を立てて、この時代には不釣合いな黒い翼が飛ぶ。
破壊を撒き散らす戦闘機であり、爆撃機でもあるその者は……クラスター。
彼はあの古代での一件の後、すぐに愛しいヘルガ様に拉致した女を引き渡して、そしてさらなる功績と、お褒めの言葉を預かるためにこの中世にも出現したのだ。

何せ、ヘルガ様の真の理想を理解しない別の幹部も今回は出張ってきている、あらゆる思想はヘルガ様より優先されるべきではない、だが、あの愚か者は将官というヘルガ様の祝福と寵愛を賜りながら己の趣味を第一に生きている事は明白、許されない、許されるはずが無い。
だが、今のところは生かしておく他無い、殺してしまえば、それこそ自分が、ヘルガ様のお邪魔をしてしまう結果に繋がる。

ならば、自分こそが真の忠臣にして、並び立つに相応しい人間であると証明する必要がある。
ヘルガ様に会ってから、クラスターは一切の妥協をしたことは無い、だから当然ヘルガ様にも認められここまで上り詰めた。 だが、それは限界を意味しない、科学は常に進歩するように、正義も常に進歩する。

……そんな事を妄想しているがために、クラスターは空中に滞空しながらも、地上に一切の手を加えなかった。
魔族、人間共に困惑する、アレは何をしているのかと。

だが、人間からすると、アレは魔術を使っているのではないかと、攻撃を試みた、しかし、放たれた矢をクラスターは簡単に全て回避して見せた。
飛行形態であるため、妙な位置についているものの、二つのカメラアイが不気味に発光する。 彼の感情を表現するかのように。

「僕が崇高な未来図を描いている時に、凡人が邪魔をするんじゃない!!」

怒りの言葉と共に放たれるは無数のミサイル。
近未来兵器は、クラスターから見れば古代と何も変わらないレベルの非文明人を"敵味方問わず"焼き尽くす。

それをクラスターは見下ろし、笑う。
そして突然怒る。

「下等人種共が! 君たちはヘルガ様のように崇高な方に黙って従っていればいいんだよ!!」

>ALL

2ヶ月前 No.456

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【城塞都市ギリダン/宮殿内部/魔大老エスト(残り魔具5475個 残魂数9)】


響く聞き覚えのある声、既に人が逃げ去った宮殿を貫く声は将軍の一人、マロン・アベンシスの物であった。女帝の安否を気にかける声と共に、粉砕される音が此方にまで響く。
漸く彼女はここである程度落ち着きを取り戻すことができた、同じく焦りを持つものがいたからかは彼女自身にも判別がつかぬことである。それでも駆ける足音に真面に対応できるだけの余裕を持つことができた。
女帝の無事を確かめると同時に、状況を見てすぐに手を差し伸ばすマロン。その手を取りつつ、片手で記録書の頁を捲り治癒と身体強化の項を探し出す。双方を同時にかけることで、すぐさま立ち上がることが可能になる。
落ち着いたことで魔力を大量に投入する、それにより身体の崩壊よりも治癒の速度が上回る。焦りさえ抑えれば容易く対処できたことだ、その容易くでさえ焦りは奪ってしまっていたのだ。

「すまない、背中は遠慮する。それよりもパージルクだ!私もまだ無事を確認出来ていない!」

同じく女帝を助けに来たと思われるマロンに無事を確認できていない事を伝える、何しろ先程の誘導弾で宮殿が崩れ、さらにその中で這い蹲っていた彼女が玉座の間についていないのはこの場にいることで証明されている。
そう、彼女が恐らくマロンよりも知っているのは誰がこの状況を引き起こし、女帝が最後に何処にいたかだ。しかし肝心の女帝の安否は分からずじまい、だからこそ情報の伝達は速くすべきと判断する。

「パージルクは少なくとも玉座の間にはいた、だが歴史是正機構の何かが玉座の間ごと吹き飛ばしたのを確認している!急がねば!」

彼女は玉座の間を歴史是正側の存在が誘導弾によって破壊したことを見ている、それを見てすぐさまこの場に転移したのだからまだ怪我であれ何であれ間に合うはずだと彼女はまだ考えている。
幾ら這いずっていたとはいえ、それほど長い時間ではない。女帝が仮に重傷を負っていても彼女の持つ治癒魔術で治せる見込みもある、それに女帝が何の手立ても講じずに攻撃を受けるとも考えにくい。
だからこの場で最も重要視すべきは速さだと再認識する、共に女帝の安否を探しに来たマロン。マロンであれば阻む瓦礫も彼女より早く取り除ける、この場で出会うには最も幸運であっただろう。
急ぐ理由は察せられるはず、そうでなくともマロンも明らかに急いていた。ならばと彼女は先導し走り出す、降り注ぐ瓦礫を事前に払い。立ち塞がるものはマロンに任せるようにし、玉座の間へと限られる中で最速を目指す。
今はただ、女帝の安否のみが気掛かりだ。マロンがここにいる理由も、あの襲撃を見て救援に来たものだと彼女は信じている。だからこそこの場で互いに遺恨なく接することができる、仮にマロンが反旗を翻していたことが彼女の耳に入ればこうはなるまい。
女帝を探す理由も違うものとして、最悪女帝へ辿り着く足の引っ張り合いへとなっていた。不幸な状況ではあるが、それが幸運にもこの二名の協力を確固たるものにしていた。
駆ける、身体強化を施し治癒も完了した身体であれば崩壊の危険は薄い。尤も高度からの着地は治癒を掛けながらではあるが、それでも玉座の間を目指す際に先程の様に這う事はない。
焦る気持ちは抑えた、しかし玉座の間に着けば嫌でも焦ることになるだろう。そう、どれだけ急いでも遅すぎることに変わりはないのだ。先に居るべきものは、現在には居ない。

>>マロン・アベンシス


【互いに想いは同じでも道を違えた、もし何処かの歯車が狂ってしまえば女帝も変われたのかもしれない。
次のレスで玉座の間に移動してくださると有難いです。】

2ヶ月前 No.457

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【魔帝城/庭園/オムニス・デューザ】


彼女、と言う存在は他者から見ればただただ歪である。己で何もできず、傍にいる魔族の力を借りねば生きる事すら難しい。その様な存在が、ただただ他者の幸福を願い、自身の無力を分かったうえで理想を語る。
滑稽だ、その評価は正しい。彼女は何もできない、だのに鼻で笑えるような理想を並べ立てる。これが偽善ならば、まだよくある笑い話だ。しかし、彼女は本心でその言葉を吐き続ける。笑いを越せば呆れしかない。
自身で何も為せない、それを理解している。心から理想論を語る、そこに偽りはない。では彼女が僅かにもそれを疑わぬのがなぜか、それは神がいるからだ。彼女にとっての神が、あらゆる理想を可能だと言ったからこそ、彼女は全て為せると信じて疑わない。
だから、リュドミラが鼻で笑ったことも、言い淀むベレスフォード卿も等しく彼女は認める。古くから戦乱が続くことは知っている、では今戦乱が途絶えないと誰が言いきれようか。
吐き捨て城に戻るリュドミラ、頭を下げ丁寧に別れを告げたベレスフォード卿。両名に手を振り、月並みな別れの挨拶を告げると離れていた魔族が近づく。彼女も移動することを想定しての事だろう。

「ねえ神様、古くから絶えない争いも今治まる可能性もあるでしょう?」

『……そうだな、きっかけがあれば不可能ではない。』

彼女にとって、神様の言葉は絶対的な自信である。唯でさえ何を言われようとも鋼鉄の意思を持つ彼女、そこに信仰心による強固な信念が加われば鋼鉄を超えた人智を超えた強度となろう。
だからこそ、彼女は魔族と人間の平和が為されると信じて疑わない、それまでにどれだけの血が流れ屍が積まれたとしても出来るものと信じている。手を取り合える世界が必ず来ると、言い切れるのだ。

「ならば、私達も戦場に向かいましょう。可能性は動かなければ始まりません、行くならばやはり人の多い王国が良いでしょうか?」

『オムニス、確かにそうだが危険だ。この場で待つという事も―――』

嬉々として語る彼女を宥め様とする魔族、守らねばならないと決めた時からずっとそうであった。だが今回ばかりは危険だ、王国は人間が多く住む場所であるのは間違いない。
同時に魔族を嫌う者の総本山、彼女が住んでいた村の情報も流れていてもおかしくはない。魔族が殺すことは何も感慨がないが、彼女は人間が死んだならば流れぬ涙をさもあるかの様に泣いてしまうだろう。
だからこその提案であった、魔族は彼女が傷つくことを避けたかった。これまでに傷ついてきた彼女がこれ以上傷つくのは見ていられなかった、しかし彼女は自身の傷など意にも介さない。

「なりません、多くの人に魔族と共存できることを伝えなければ和平の道は続きません。そうですよね、神様?」

『……ああ、分かっている。』

ならば共に行きましょうと彼女は語る、魔族は巨大な腕に小さな彼女を乗せ望んだ地へと向かう。そう、彼女は神様を信仰すると同時にその在り方を明確に定めている、神様ならばこういうはずだと信じて疑わない。
彼女は神様に絶大な信仰を与え、同時に存在を決めつけた。結果魔族は彼女が望む神である限り魔将軍を凌ぐ魔族でいることができ、彼女を守ることができる。共依存に見えた、支配でしかない。
さあ、王国の民よ。和平の使者がいざ参るぞ、受け入れるも自由、石を投げるも自由。どちらも神によって然るべき対処が為されよう。

>>(リュドミラ ルーカン・ベレスフォード)


【絡みありがとうございました!此方も再配置の為撤退させて頂きます。】

2ヶ月前 No.458

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

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2ヶ月前 No.459

クランの猛犬 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【王都ロンカリア/城壁・上層/ランサー】

 退屈だ。
 ランサーは、紫煙を吐き城壁の上から見える景色を気だるそうに眺めていた。
 今回の戦いは一つの国の焼き討ちではなく、二大勢力による抗争と聞きようやく本業らしい仕事に好戦的なランサーからすれば、心を踊る仕事だった。
 早速、常駐騎士として志願し砲台に腰掛けて煙草を嗜んでいた。
(ここの時代で言うオレは嫌われモンになるんだろうな)
 種族はと聞かれて面倒な事になると思い、あえて人間と常駐騎士を率いる隊長にそう答えたが、半神半人の自分は果たして差別されるのだろうか。
(ここまで時代が進めば、流石にオレみてえな神の血が混ざった魔族はいねえだろうしな)
 神の類いは聞いた事もないし、独自の神話も聞いたこともないがこの世界にも竜が地上を蹂躙していると聞く。
 高所特有の強風が結わえた青髪を平行に持ち上げて、ドックタグをカチカチと鳴らして紫煙が顔に掛かる。
 ランサーと竜の関係は倒す側と倒される側だった。
 スカサハ自伝の鮭跳びを使って、飛竜の心臓をわし掴んで倒した話も残されている。
 なので、ここでは思う存分戦士としての戦歴が生かされ暴れまわれる事ができる。
 歪んだ歴史はちゃんと修復されると聞かされているので、魔族から生まれる未来の有望な人物の先祖を倒しても支障はないとランサーは思っているのだが、上層部から殺してはならない人物をはっきりと指示されているので動きやすい。
(どうせやるとしても夜襲だと思うが、奴(やっこ)さんくるかね)
 視界がはっきりしている昼間よりも、灯りが必須で視界が悪い夜間の方が攻めやすい。
 なので次の襲撃は夜なのだろうかと、ランサーはそう思いに更けると。
 赤い眼を細めて煙草を指で挟んで口から離すと、今はただ平穏な空気に身を委ねるだけだった。
>ALL

2ヶ月前 No.460

葛葉の一枚看板 @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_HV3

【王都ロンカリア/城壁・上層/17代目葛葉 ライドウ】

魔大老エストとの戦いを経て次の時代へやってきた、仲魔達と対策を兼ねた訓練もしたかったのだがままならないものだ。
この時代は人と人ではなく人と魔族が戦っているという、デビルサマナーであるライドウには酷く都合の悪い時代だ。
何せライドウが使う仲魔は大半が魔族と間違われても仕方ない風貌をしているのだ、まかり間違っても味方の前で英雄以外の悪魔は召喚できない。
仲魔の姿を不可視にする『隠形』という術もあるが戦いの最中で発動できる術ではない、どうしても人目が付く場所では呼べる仲魔が限られてしまう。
そう思いながら人気のない場所を探して仲魔に説明するべく誰もいないであろう城壁の上層に来たが先客がいたようだ。

「このような場所で哨戒か? 随分奇特なヒトもいたもの――」

ライドウの言葉は途中で途切れた、その姿に見覚えがある訳ではない、精々遠目で見たことがある仲間程度にしか感じていなかった。
だがこの佇まいに気配、そして葛飾北斎が言っていたサーヴァントという存在。その全てがライドウの知っている気配だった。
この男はサーヴァントと同じ気配というか霊質をしている、そしてその独特の気配、恐らく間違いない、この男は――。

「失礼、もしや貴殿は”サーヴァント”と呼ばれる英霊か? だとしたら一人だけ心当たりがある人物がいるのだが」

容姿は結構違うし仲魔である英雄は物腰が丁寧な男で、悪魔との交渉で手助けを借りることもあるほどの紳士だ。
恐らく性質こそ違うが同じ人物だと確信している、葛飾北斎が言っていた容姿とも合致するし間違いはなさそうだ。
その男はケルト神話で知らぬ者無しと言われる大英雄、朱色の魔槍を振るうクランの猛犬、光の御子、その名は――。

>ランサー、ALL

【京から復帰しました、よろしくお願いします】

2ヶ月前 No.461

ジークリンデ・エレミア @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=dgrb36F8Ll

『王都ロンカリア/大宿屋/ジークリンデ・エレミア』

ここではない遠い何処か。今ではない昔のような最近のような出来事だった。
かつて自分が住む世界とは異なる世界に呼び出されていた経験を持つ黒髪ツインテールの少女、ジークリンデ・エレミア。
その時は神の召喚を阻止するために仲間達と戦ったが、完全には阻止できずに失敗してしまった。
だが後にジークの幼馴染みを含めた戦士たちが召喚された神による統治を阻止し、神を倒した。
それら一連の騒動はジーク達5人にとっては1年前の出来事である。
今回は以前とは全く異なる理由で異世界に呼び出されている。
事情説明を受けており、ジークは快諾して時空防衛連盟に味方として加入した。
しばらく待機していると作戦実行の時間の為、
ジークの世界には存在しない時間を遡る機械を使い、中世の時代に時間遡行してやって来る。

「ここが中世の時代……」

フード付き黒のジャージ姿のまま中世の時代に来たため、
ジークはフードを深くかぶり、(少々無理があるが)この時代では旅人を自称して名乗るとしよう。
その後、少しの間王都ロンカリアの街中を(見回りするという意味を含めて)歩いていると大宿屋が見えたので一息着くために入店しようとするのだった。

>>ALL

2ヶ月前 No.462

魔帝 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【魔帝城/深淵の間/魔帝ヴェルメイユ】

しばしの語らいの後、ヴァンレッドは間もなく攻め込んでくるであろう敵を迎え撃つために前線へ向かった。彼に本心を打ち明けられぬことを、魔帝は内心悔やむ。
あの黒猫がいなければ、こうなることもなかっただろう。ならば追い出せばよいと思うかも知れないが、彼女にはそうしたくても出来ない事情がある。
チェルはヴェルメイユにとって、命の恩人なのだ。古代から中世へと流れ着き、身寄りのなかった彼女を、チェルが拾い、魔族の一員として育て上げた。
その時の恩がある以上、魔帝はチェルに対して強気の態度を取ることが出来ない。チェルを見捨てるということは即ち、恩を仇で返すということでもあるから。

「まだマロニス王国の主力部隊は確認出来ていないと聞く。本格的な戦いはこれからだろう」

そんな中、報告にやってきたのは塵殺剣の異名を持つニア。彼女の言葉を聞いた魔帝は、淡々と返答を返す。今はまだ前哨戦という段階であると見るのが妥当だろう。
ニアは既に敵の先鋒を撃破したという。魔族を率いる者としては喜んでもいいはずなのだが、ヴェルメイユの表情は微妙などころか、冴えないままであった。
こうして人を殺したところで、ラガルデール王国の復興という大きな目標に近付けるとは思えない。むしろ、彼らとの共存を目指すという意味では、遠ざかってすらいる。
魔帝が心の内に秘める本心を見抜くかのように、ニアが言葉を紡ぐ。兵舎に駐屯する下級魔族達の不調。ヴェルメイユも、ずっと以前から知り得ている事実。
対策に動くことは簡単だが、それを行うことの出来ない理由もまた、黒猫にある。元より、彼らの世話をしていた係の者を殺したのは、チェル本人なのだ。
曰く、使い捨てにすることが前提の下級魔族の体調管理など、無駄でしかないと。将たるもの、部下への気遣いくらい出来ずにどうすると言いたいところが、恩人の目の前で、その思想を全否定するような発言をする気にはなれなかった。
つまるところ、魔帝はチェルの呪縛に捕らわれているのである。切り捨てたくても切り捨てられないアンタッチャブル、ある意味魔帝軍の実質的なトップ。黒猫は、そんな地位に居座っていた。

「以前から、その話は聞き及んでいた。すぐにとはいかないが、いずれ改善することを約束しよう。……話は変わるが……ニア。お前は、人間は是が非でも殲滅しなければならないものだと思うか?」

直接改善要求を出されたことによって、魔帝が動きやすくなったのは事実だ。軍を思い通りに操ろうとしているチェルへも、正当な理由で立ち向かうことが出来る。
その上で、彼女はニアに一つの問いを投げ掛けた。魔族にとっての怨敵、人間。彼らは、自分達にとって、何が何でも葬り去らなければならない存在であるかと思うか、と。
ここまでいえば、魔帝の本心が何であるかなど、よほど鈍感な人物でない限り察することが出来るだろう。ヴァンレッド以外には、初めてさらけ出したかも知れない本心。ヴェルメイユは、人類の殲滅など、微塵も望んではいなかった。

>ニア
【魔帝らしくない魔帝】

2ヶ月前 No.463

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【王都ロンカリア/大通り(表通り)/オムニス・デューザ】


マロニス王国、その最大の都市である王都ロンカリア。人々が魔族の脅威に怯えながらも繁栄していることを示すその大通り、犇めき合う人混み、決して悪い雰囲気を感じさせない喧騒、今から魔族の大攻勢が始まることなど嘘の様だ。
しかし王都の一部からは楽しさを感じる様な歓声ではなく、驚愕や恐怖の入り混じった悲鳴が聞こえ始めている。それに気付き始めればこの心地よい騒ぎも、忽ち阿鼻叫喚の絵へと変貌するだろう。
それに追い打ちをかけるが如く、王都の入り口の大門が城壁と共に吹き飛ばされる。瓦礫と土埃が大通りを包み込む、その中に移る影は巨大。上半身しか見えないが、全身であれば間違いなく城壁を超すほどの巨躯。
そして何よりも異質であったのはその腕の数、ざっと見ただけでも十へと迫る。その腕も巨躯に違わず巨大であり剛腕、大門を城壁ごと吹き飛ばしたと言われても何ら不思議に思えぬ。
煙の中から出でたそれは、光の下に晒されればさらなる異質。身体が透き通っていた、見えるのはてらてらと光に照らされる輪郭のみ。その巨躯は半透明の怪物であり、魔族と称するに値する醜悪さであった。

「さて、ここが王都ですか。綺麗な都市ですね、幸せに暮らす方々が多いようで何よりです。」

響く女性の声、魔族によって得た偽りの声は突然の出来事に慌てふためく国民に驚くほど浸透した。明らかに場違いな感想、この狂乱を巻き起こした張本人が吐く言葉にしては異質。
そしてとある国民の一人が声を挙げる、あの声は魔族の物だと。何故か、それはこの国民があの女性の失われた声を知っており、その声を奪った張本人でもあったからだ。
言葉の真意など気にせず、魔族であると誰かが言えばこの現象に説明がついてしまった。魔族の襲撃であると、それが広がれば混乱が起こる。魔族がこの王国に直接攻め込んできたと、他で起こった騒動も重なりまた一つ騒ぎが大きくなる。

「お待ちください、私はこの場に争いの為に来た訳ではありません。魔族と共に過ごした人間として、共存の道を示しに来たのです。」

女性、オムニス・デューザは混乱に陥った国民へと声を掛ける。巨躯の魔族の掌から座りながらであるが決して小さくない声で語りかける、彼女の目的はあくまでも魔族と人間の争いなき和平。
この大門を吹き飛ばしたのも彼女と魔族を通さぬと守衛が宣ったからこそ、魔族だからと関わろうとしなければ和平へは進まぬ。その為にあの門は不必要だった、だからこそ神様が吹き飛ばして下さったのだ。
声を掛けられた国民は未だ混乱が治まらぬ中、敵意がない事にさえ気付ければ良かったのだ。魔族が人間を邪魔だと思う様に、人間も魔族を恐れ排他してきていた。であれば大衆にとって敵意無き魔族とは、迫害すべき対象でしかない。
誰かが石を投げた、それを皮切りにして不満の捌け口の様に罵声と物が彼女へと浴びせられる。現状の混乱、魔族への恐怖、多くの抑えられてきた感情がこの時は格好の獲物であった彼女へと向けられていた。
ああ、しかし、それを良しとしないものがいた。
彼女へと迫るその一切を叩き落とし、残る腕で群れる民衆を叩き潰す巨大な腕。それを理解した、幸運な国民は様々な悲鳴を上げながら蜘蛛の子を散らす様に逃げていく。しかし幸運は一度だけ、大通りに集まっていた彼女に危害を加えた一切はただの赤い液体となる。

「……どうしたのでしょう、突然多くの方々が居なくなってしまいました。これでは共存の道を示す方が居ません、どうすれば……」

『ここは王都だ、待っていれば人が集まるだろう。オムニス、話を聞く「人間」はお前の目には映るだろう。』

そう、ですかと返事をするも悲しそうな表情を浮かべる、彼女には一瞬の惨状は見えていない。それどころか物を投げた民衆も、暴言も見えていないし聞こえていないのだ。
彼女が見えているのは人のいなくなっただけの大通りだけ、どれだけの惨状も魔族が見せたくないと思えば見えず、聞かせたくないと思えば聞こえない。魔族にとって彼女は、これ以上酷い目に遭わなくていい存在だから、自身が殺したことで心を痛める心配をなくしていく。

血塗れの大通りに佇む巨躯の魔族と、一人の女性。魔族にとって彼女の話を聞く人間は未だ現れず、彼女にとって共存を理解してくれる人間も現れず。
この場に、双方が意味する人間は誰一人いない、いなかったのだ。

>>ALL

2ヶ月前 No.464

“塵殺剣” @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_JM6

【深淵の間/ニア】

 戦線の発端はもう止められないし、元より避けられぬ行為だ。
 それが、まさかこの期に及んで分からないほど魔帝という者は愚かではない。
 むしろ―――ニアの視点に限ってものを言うなれば、この女は“相応”に聡明だ。
 淡々とした言葉の進め方は冷徹さを保つためのもの、自らの立場を理解した者ならではの立ち振る舞い。眉一つ動かさない冷淡さは無情のそれを彷彿とさせようが、しかし決定的に違うものがある。
 ニアにあってヴェルメイユにないものの正体は、その表情だ。

「(………やはり、な)」

 そう………言葉とは裏腹に彼女の表情が優れないことくらい、見れば分かる。
 そしてそれが、凡そ気を引き締めるためのものではないことくらい、見れば分かる。
 自分でなくとも―――例えば、その手の機敏には聡い者ならば、すぐに分かるような反応だ。敢えて言うなら露骨とさえ言っても良い。だが、そこについて触れる意味はない。だから、口にすらしなければ表情にも見せない。
 恭しく礼を取り、言葉を聞き、問いと結論が来るまで一切微動だにしないそれは確かに臣下の礼であるが、元より宣告者たちは他者には靡かず、従えられない性質だ。それを従えたと魔帝が認識するのかどうか―――どうであれ、彼女の本意は何処にも見当たらない。外観だけで見るならば、彼女はただ魔帝とその軍の為に尽くすいち魔族にして武人に過ぎないのだから。

「感謝を。流石は殿下、それが歪みであると分かってはおられるようです」

「殿下が先を見据えるにせよ見据えないにせよ、戦がマロニスの件で終わりとはならぬでしょう。
 戦闘と戦争は違う、一つの生命で物事が解決出来たとするならば、それは神の所業と言えます。
 ………まして兵がチェスの駒であっても替えは効きませぬ。駒というなら無為に散らすことこそ、勝利を遠ざける愚者の行いであると私は考えております故。此度の提案は“専門家”の意見ありきでありますが、そのような意図の上であります」

 そして、すぐにとは行かないがいずれ改善はする―――それがヴェルメイユの解答だ。
 それが何を意味するのか………以前から聞いていたとなれば、実態が見えるのもすぐのこと。つまるところ、魔帝が聞き及んでいて尚手を出せなかったというわけで、彼女が唯一意を曲げる相手となれば候補はひとつに絞られてくる。

 黒猫チェル。曰くは恩人。魔帝が口を渋るならば、原因がアレにあるというのは想像に難くない。
 ………どうにもこの女は、律義な生き物であると見えた。
 そこに付け入る黒猫のに才覚が無いとは言えないが、器の差で言えば一目瞭然だろう。

 彼女はそれを“歪み”と評した。
 その問題からも垣間見えた全てを、やがてこの軍/群を食い潰すほどの歪みになるだろう、と。
 ましてや、それを愚者の行いと評した。
 そこにどのような意図があるかを彼女は口にしない。元より、塵殺剣は寡黙な女だった。そして―――。



「―――ほう。殿下はそうは思わぬと」


  、 ・・・・・・・・・・・
 ………魔帝の初めて見せた一面に、ニアが初めて違う顔を見せた。
 一切感情を宿さない紅蓮の双眸が、心なしかぞっとする冷たさに包まれたような気配すらあった。
 全く表情を変えず、恭しい態度を崩すこともないというのに。見えぬ内側にて死神の鎌が瞬いたような気配。

    無論、当然のことだが彼女はあくまで報告と、問いに応じているだけだ。
    そこに今までと何ら変わる様子はない。そのはずである。

「問いを返すようで失礼しますが」
「人に限らず、魔族も含め………モノの価値は何によって成ると思われますか、殿下」

 同じように、淡々と彼女はものを語り始めた。
 魔帝らしくない反応を見せた彼女の真意に対して、何ら驚く様子を見せずに。
 むしろ、ひとつの疑惑が確信に変わったと理解するかのように。


「私は、モノの価値はモノの終わりによって成ると理解しています。
 生命、道具。すべて、すべて。あらゆるモノは滅ぶが道理。形あるものは、いずれ死するが宿命なれば。
 死の瞬間と結末に、何を成したかを測られる………それこそが、ただモノの価値を測るための秤である、と」


 ―――死を想え、という言葉がある。

 生きとし生けるものはいずれ死ぬ。ならば、いつか来たる死を忘れることのないように。
 そして、そこに至るまでの生命を重んじるように。………ある種の生命への讃美を謳った言葉だ。
 ある者達は、そうした理念のもとに生きている。
 終わるべき時を見失った者に死を伝え、その生命の価値を護るものたちが宣告者《バンシィ》だ。
 であるに、その長がそうした思想を持つのは至極当然の話であるとも言えたが………それは質問の解答とはなっていない。彼女は淡々と、そのまま言葉を続ける。今の主である魔帝に対して、礼節を損なわぬように配慮しながら、だ。


「最も価値無き生命は、無為に“死んだ”モノ。
 今しがた繰り広げられている戦争も、それを助長する要素であると言えましょうが………ああ、誤解を招くより前に一つ訂正しておきますが、私は御身の率いる軍とマロニスの戦争を否定するわけではない。これが最後になれば良いと思っておりますし、そうなるように尽力する次第であります。
 そして、そこに関して御身の行動は英断である、とも。先はああ言いましたが、これが終われば大きな戦争はそうないと考えております。………それは大抵の魔族と生命が望んだ平穏でありましょう」

「あとは精々、あるとすれば………身から出た錆を祓うだけになりましょうが」


 その言葉は、彼女が忌み名の割に戦争そのものを好んでいないことの証明でもある。
 そこだけを掬い取り、そこだけを読み取れば、どうだ―――彼女は真実“争いの無い時代”がもしもあるのならば、それを望み、かつ尊んでいるとも読み取れよう。塵殺剣が与した最大の理由はそれであるのだ、とも。
 彼女が確かに平穏を望んでいる。“モノ”が最も無価値に失われる戦乱の世を憂いている。
 であるならば和平とも確かに思想の意味で合致もしよう。そう考えるのは間違いない。

 ………だが。


「ですが」
「殿下は、人という種の歴史をご存じでしょうか。
 ………失礼ながら、その問いへの解答とするにはこれで十分かと思われます」


 変わらぬ鋭利さを備えた瞳と、深淵の間に響き渡る冷淡な声が。
 果たして本当に“それ”へ賛同を示すのかと問われた時。何故、首を縦に振れる者が居ようか。

 ところで。
 彼女はマロニスとの争いが終われば、後はあって身内の紛争程度だと言い切った。
 少なくとも外部との大きな争いは、此処さえ潜り抜ければないだろうと、言い切るようにして。
 ・・・・・・・・・・・・
 それがどういう意味なのかを、彼女は語らない。無意味なことだからだ。

>ヴェルメイユ

2ヶ月前 No.465

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【魔帝城/兵舎→無限廊下/"常山蛇勢"レプティラ】


彼女が陣取るは魔帝へと続く、この無限廊下。魔族以外は果てなく続く廊下を進み続ける事になるこの廊下、深淵の間に続く以上侵攻してきた敵勢力への最後の砦になることは間違いない。
多くの魔将軍が魔帝城周辺で待機している、その内数人かは侵攻へと向かうだろう。決して実力の高くない彼女が、何故最後の砦となる場所を選んだのか。それは彼女が守りにおいては実力以上を発揮できるからである。
故に陣取るはこの場、魔帝城においても中心に近い以上指示を飛ばすにも好都合。未だ指示の声こそ震えているが今は非常時、慣れないからと言って躊躇できる状況でもない。
現在は城内の警備の状況、斥候からの状況を受け現地への指示、装備の分配、治療班の待機等多くの事を並行して行っている。彼女の下に訪れる魔族は絶えることなく、指示を仰ぎ受けた通りにこなしている。

「未来からの客将の動きは、……今は異常なしですか。そのまま監視を続行、何かあれば直ぐに撤退し安全を確保してください。無理をする必要はありません。」

鳥型の魔族が廊下を飛翔し、また違う魔族が彼女へと報告を行う。医療班の薬品の確認が終わった事、不足しているものもなく多くの怪我人に対応できる旨を聞き、指示あるまで待機を命ずる。
また装備も十全であることが別の魔族から伝えられる、他の魔将軍からの指示がない限りは各自が尤も扱いやすいものを選ぶように告げる。不足しているならば補給できるものは行い、出来なければ代替品を装備するよう補足を行う。
彼女が連れているのは大蛇二匹のみ、蛇族屈指の強者ではあるが彼女と同等かそれ以下でしかない。戦力としては不足、彼女自身の戦闘能力を考慮しても足りない。しかし守るだけならば道を塞げる巨体があればいい、時間を稼げば援軍も望める。
尤も彼女は自身の場所に警備を集めるつもりもなく、他の魔将軍や遠征組に多く割り振るつもりである。彼女のいる場所まで攻め入られることこそ、あってはならない。だからこそ、この場の守りは彼女一人でも問題はないのだ。

「警備は侵入者を発見次第、近場の魔将軍へ報告をお願いします。その場で交戦する必要はありません、また傷を負ったらすぐに治療部隊へ向かってください。」

魔族の切れ目なく次々と報告を受け、それに適宜指示を飛ばす彼女。前線指揮の才こそないが、守ることや耐えることに関してならばそれなりの知識はある。あくまでも戦闘の多くを魔将軍に任せ、他の魔族は支援に回る。その方が間違いなく守りにおいては良い。
魔将軍が止められなければ他の魔族では無理だ、ならばそこで無駄に攻め立てるよりも引いて他の魔将軍へと任せた方がよい。尤も、そうした時点で殺してしまう魔将軍がいるのは確かであるが、敵の目の前でまでそうしないことを祈るばかり。
突撃し無意味に命を散らすよりも、引いて生き残ったほうが良いに決まっていると彼女は言う。攻めねば褒賞が貰えぬと言う魔族に、死ねば褒賞は貰えませんと言い無理にでも命を懸ける行為を抑える。
彼女は絶えず指示を飛ばし、報告を受け続ける。ニアから言われたことを忘れたわけではないが、魔族全体への指示を出す存在が少ない以上やらなければならないだろう。
魔帝と魔帝軍の方針の相違も気になるが、調べている暇ではない。これを部下に頼めば謀反と取られるのは間違いない故、時機を逃してしまった。だが魔帝軍が残っていたならば解決すべき問題、どちらにしてもこの場を堅牢に固めるほかはない。
少なくとも彼女死すまで、魔帝城の陥落はない。同時に、彼女を討たねば魔帝へと相見えることもないだろう。

>>ALL

2ヶ月前 No.466

@sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【マロニス城/騎士団詰所/ゲイル・べネルド】

次から次へと恨み言を並べ立てるザーシャの顔を、騎士団の若きリーダーはまじまじと見つめる。「俺に言われても困る」「俺はそういう思想は持っていないから関係ない」といった、身も蓋も無い返答は一切しない。
ただしこの場に於いて最適解となる答えが思い浮かばないのも事実である。こんなとき、あの人ならばどうするのだろうか。どんな形であれ悩み、苦しみをぶつけてきた団員を、どう導いてやるのか。
いくら剣技や指導の腕が優れていても、いざ人の心に触れるとなったとき、それらのスキルは一切役に立たない。叶うことならもう一度会いたい。そしてリーダーとしての極意を学び取りたい。
もちろん不可能なのはわかっている。仮に再会できたとしても変わりはない。フロレ・ゾンダーランドは、我らが正騎士団長は、今や―――

「…そうだな。忠告感謝する」

結局、ゲイルは納得のいく答えには辿り着けず終いであった。ひどく素っ気無い言葉と共に立ち上がり、休憩するにあたって外していたグローブや防具を再度装着する。
街の見張りからの報告が飛び込んできたのは、そんなときであった。たちまちゲイルの顔に険しい色がさしていく。報せの内容は騎士団の誰もが危惧していたこと…魔帝軍による襲撃に他ならない。
既に大通りや噴水広場といった人通りの多い場所にまで出現が確認されており、死傷者の数も決して少なくはない。後手に回った。これ以上出遅れることは敗北を意味する。
最早我々には一刻の猶予もない。騎士団の誰もがその自覚を持っており、急ピッチで出撃の準備が進められていく。

「王国の運命はこの一戦にかかっている!今日この日をマロニス落日の始まりにしてはいけない。

劣勢に立たされようと、絶望的な状況に置かれようと、絶対に諦めるな。誉れ高き王国騎士団の一員として抗い抜くんだ!」

集結した騎士達の前で声を張り上げ、彼らにとって最後となるやもしれない士気の鼓舞を行う。正直な心境を言えば不安の方が大きい。騎士団の規模や兵員の練度不足といった課題の数々は、結局今日を迎えるまで解決できなかった。
しかし先頭を走る自分が弱気ではどうにもならない。だからこそ気を奮い立たせ、死地に臨むにあたっての演説とする。この時ばかりは各員が決意を固め、心を一つにしてゲイルを見上げていた。
その顔から読み取れる覚悟、闘志、憤怒、不安、恐怖…どれも特別ではない。異常でもない。それら全ての感情を、ここにいる全員が有しているはず。
短い言葉を述べ終わると共にマントを翻し、城を飛び出す。王国の守護者達は、その役目を全うすべく、方々へと散っていった。自らが反撃の狼煙、逆転の起爆剤となることを願って。

>>ザーシャ、ALL

2ヶ月前 No.467

Lzh @lllllzh☆PvKD6UICUoMc ★TuwsMa7hHI_W3T

【ナコーン/森林/万丈龍我】

――大丈夫だ! お前なら一発くらい耐えられるだろ!
「そういう問題じゃねぇ!」
戦兎が叫び、万丈が叫び返す。
万丈からすればあのいかにも厄介そうな相手を押し付けられるのはたまったもんじゃないだろう。

「まったくよぉ……って、いねぇじゃねぇか……」
万丈が嫌々相手のほうを向き直ると、相手はもうそこにはいなかった。
ついさっき爆発音がしたから、恐らくそれが関わっているのだろう。

「見つけたぞ、万丈龍我……」
と、そこにナイトローグが上空から降りてきた。

>周辺all?

――――――――
――――――
――――
――

【王都ロンカリア/大通り/桐生戦兎、万丈龍我】

「悪かったって! 機嫌直してくれよ!」
「だからなんで俺に押し付けたんだよ!」
「ナイトローグがいたからだよ! 一人ならともかく、二人もいたんだ!」
二人の男が町を歩いている。
彼らは休む間もなく、中世に行くことになった。

「納得できるか!……って、えっ?」
「どうした?」
先ほどまで怒っていた万丈の形相が一変する。
どうやら戦兎が言った言葉に反応したようだった。

「怒ってる場合じゃねぇ……」
「だからどうしたよ?」
「そのナイトローグがな……」
戦兎が聞くと、万丈が回想し、理由を伝える。

『私と一緒に来る気はないか?』
『誰がお前なんかと!』
『ほう……私は東都以外の政権を消滅させるつもりでいる。そうなれば香澄は死なずにすむ……君の冤罪はわからんがね』

「当然断った。けどな、本当にこれでいいのか俺にはわかんねぇ……」
「俺もだ……この世界のことはまだよくわかってない……もっと調べないとな……」
近くのベンチに腰掛け、心情を語る万丈。戦兎もそれに返す。

と、その時だ。

「おい、なんだ今の?」
「わからない……けど、行ったほうがよさそうだ!」
近くで騒ぎがした。近くで何かがあったようだ。
真っ先に騒ぎのもとが何なのかを問う万丈。それに対してわからないが行くべきだと考えた戦兎。
歴史改変の是非はかなり複雑そうだが、ビルド、クローズ優先だ。
二人は走り出し、騒ぎのもとに向かっていく――――

>魔族、オムニス・デューザおよび周辺all

2ヶ月前 No.468

勇者 @zero45 ★h2BOlEz4kD_kuu


【王都ロンカリア/飯店→マロニス城→魔帝城/海底洞窟/アンナローズ・フォン・ホーエンハイム】

 この飯店のメニューの中でも最もお勧めしたいと個人的に思う、鶏肉と羊肉のシチューとロンカリア産の牛乳との組み合わせ。二人一緒にその組み合わせを、但しロコの分は予め鶏肉を抜いた物を注文する。
 調理している最中の厨房から漂ってくる美味しそうな匂いに食欲がそそられるのを実感しながらも、野生の性が解き放たれそうになっている相棒の姿を見て、相当待ち焦がれているのだなと思い微笑む。
 そして料理のシチューが出されると、気になる相棒の反応がどんな感じなのかと視線を向けて。先ずは最初に一口目、ゆっくりとした動きで口へ運んで行く。続いて二口目、今度は威勢よく口へ運んで行く、其処から三口目、四口目と凄まじい勢いで食べて行く。
 一緒に出された牛乳も、彼女は美味しそうに飲み干して見せた。何とも満足気な表情を浮かべる相棒の姿を見て、思わず笑顔を浮かべ――直後に、自分の方のシチューが一向に減っていない事に気付き、今度は焦りの表情を浮かべる。
 それからは、彼女を待たせるのが申し訳ないと思いつつ、ちょっと急ぎ足で今日の食事を終えるのであった。

 一時的な休息を終え、飯店を離れると、次に赴いたのはマロニス城。魔族との戦いに挑む傭兵への志願を行うと共に、6年振りの再会となるであろう恩師、王国騎士団長フロレ・ゾンダーランドの姿を探す。
 今まで修練を積み重ねてきた剣術を披露する、絶好の機会と思い期待を寄せていたのだが、其処で告げられたのは残酷な事実。彼女は数年前に勇者として魔帝軍征伐へと向かって以来、行方知れずとなっており、生存も絶望的であると。
 思わず悲嘆に暮れそうになるが、自分達には此処で立ち止まってはならない理由を思い返す事で何とか立ち直る。全ては父の辿った真実を知る為、そして魔帝軍を倒さねばならないのだ。それに何より、恩師はまだ死んだと決まってはいないのだから。

「……うん、そうだねロコ。僕達の手で必ずフロレを助け出そう!」

 魔帝城へと繋がる海底洞窟。父との別れ際に渡されたペンダントが示した地点に近い街、ディンカを経由して侵入を果たしたのは良いのだが、奇妙な事に未だ敵と交戦する事無く突き進んでいる。
 地面に転がる征伐隊の成れの果ても相まって、厳重な警戒を敷かざるを得ない状況に、ロコと同じく表情を引き締める。剣の柄に手をかけながら、全神経
を研ぎ澄ましていつでも応戦出来る様に備える。

>ロコ


【さりげなーく強化の展開のフラグを立てておきます】

2ヶ月前 No.469

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【歴史是正機構→王都ロンカリア/時間遡行装置→大宿屋/黄衣なる者】


さてさて、そろそろ次の時代へ向かわないと何か言われそうだったからねえ。やってきました中世、王都ロンカリアってところだねえ。この格好、黄色のローブに仮面って言う怪しさ満点だけれども意外と気にしないものだねえ。
と言うよりも、魔族だって思われてるのかねえ。それで平然と王都を歩いてるから敵意無し、ってところかねえ。ああそうそう、ここまでは魔帝城とやらからビヤーキーで一飛びだったねえ。便利だねえ、大いなる存在に感謝感謝だねえ。
さあさあ、今何をしているのかと言われると不審な行動って答えるんだけどねえ。ほら、前の彼女明らかにこの時代の服装じゃないからねえ。ジャージだったかねえ、人間が運動するときによく着用するらしいねえ。
そんな彼女が入っていったのは宿屋だねえ、未来から来たにしては行動がゆっくり過ぎる気がするねえ。ほら、前の彼は見つけてすぐ戦闘だったしねえ。まあ彼と彼女、どっちが戦い慣れてるって聞かれたら彼だろうねえ。
運がいいのか警備の目にも止まらなかったようだしねえ、ほら街中で隠密使うと見えない相手とぶつかって混乱させるからねえ。だから姿を見せて堂々と追跡してるねえ、憲兵に声を掛けられずに一安心だねえ。
うんうん、どう声を掛けようか迷うねえ。彼女は上手く馴染もうと努力しているみたいだからねえ、それを崩した時にどんな表情をするのかも面白そうだけどねえ。やっぱり普通に行こうかねえ、ほら何事も普通が一番って人間が良く言うからねえ。

「おやおや、貴方も旅人ですか、奇遇ですねえ。」

そう言って彼女に近付くねえ、全身黄色のローブで身を包んだ仮面をつけた中性的な声をした存在に声を掛けられたらどう反応するんだろうねえ。ああ、勿論触手は一本も出してないねえ、ほらあくまでも正体は隠さないとねえ。
そうだねえ、旅人と言う体で話しかけた以上見破られるまでは演じようかねえ。ああ嫌だねえ、どこぞの混沌のようじゃないか。あまり影響のなさそうな人物に接触しているけれども、本当は間接的に眺める方が好みなんだよねえ。

「実は同じく旅人の身で、魔術を芸として路銀を稼いでいましてねえ。どうです、見ていきませんか?」

そういえば彼女、この時代の貨幣は持っているのだろうかねえ。彼方の組織が用意が良ければ持っているだろうけれども、彼女の服装からしてその線は薄いだろうねえ。まあ、此方も同じような事は言えるけどねえ。
だから此方は善良な国民から有難く少し頂いたけれどねえ、盗んではいないねえ、落ちていたものを目敏く拾っただけだからねえ。これだけ人が多いと意外と落ちているからねえ、彼女一人分の宿代くらいはありそうだねえ。
まあ、立場としては敵だからねえ。彼女が気付けば戦闘かねえ、苦手だけれども立場上頑張るしかないねえ。うんうん、苦手だけど頑張るかねえ。彼女の出方次第、だけどねえ。

>>ジークリンデ・エレミア


【絡ませて頂きます!よろしくお願いします!】

2ヶ月前 No.470

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【マロニス城→移動中/騎士団詰所/ザーシャ】


……駄目だ、つまらねえ。忠告っちゃあ確かにそうだが、どうせなら士気を上げる口実にでも使っても良かったんだがなあ。いいじゃねえの、憎いから殺せなんて分かりやすい事も早々ねえ。
何かしら考えてた、いやどう答えるかを考えていただな。咄嗟に切り捨てねえことだけは評価できる、だがそれだけ。正解なんてねえけどな、思ったことを口に出すだけで良かったんだがな。そんなお利口さんな答えは求めちゃいねえ。
いそいそと逃げる様に準備をする騎士団長代理、まあ襲撃だろうなあ。さっきから少し騒がしいからな、どうせ魔族が出たんだろうよ。と言うわけでこの場での暇つぶしも終わりな訳、騎士へと月並みな鼓舞してる騎士団長代理殿を後目に詰所を出る。

「……ま、精々国を守るこったな。俺は攻めてくるからよ、守りは騎士様にお任せするぜ。」

再び扉を蹴り開け、詰所を後にする。俺からしてみりゃ守るって言うよりも、殺せの方が魔族嫌いな他の騎士様には受けがいいと思うけどな。ほら、今だってすれ違う奴らは敵意か恐怖ばっかり。友好的な奴なんざ一つまみほどしかいねえ。
だからそんなに嫌なら殺しにくればいいのによお、いっそ俺から喧嘩吹っ掛けてやろうか。……いや、面倒だな。そうすりゃ他の敵対魔族と変わりゃしねえ、俺はあくまで魔族じゃねえんだからなあ。
……しっかし騎士団長代理も気が利かねえ、よりにもよって報酬だとかに拘る様に俺が見えるかってんだ。もう少し言葉ってものがねえのかよ、気の毒なのはそうに決まってるだろうが。
そんなに金にがめつい様に見えんのか、俺はそんなつもりねえんだけどなあ。……見えんのかなあ、傭兵って立場が悪い。そうだな、傭兵って名前が悪い。うん、そうに決まってる、俺がそう見える訳じゃねえ。
大曲剣を片手でくるくると回しながら城を後にする、取り敢えずは攻めだ。攻めてりゃぶん殴る方の糞親も見つかるだろうし、感謝はあるけどぶん殴る方の糞親も立場的にいるはずだ。
どちらかと言えばぶん殴る方はもう王都にいる気がしなくもねえが、まあそれは別だ。とにかく、攻める。糞親は守りにはいる以上俺は攻める、あれと同じことなんか御免だ、絶対やってやるものか。

「しっかし、魔族ねえ……。戦争は結構だけどなあ、共存に万が一にでもなっちまって、人間のこの考え方は直さねえと不味いだろ。……ま、俺には関係ねえな。糞親ぶん殴りに行くだけだ。」

取り敢えずは前線基地らしいディンカを潰さねえと話にならねえな、そこが魔族の根城に繋がるんなら余計にそうだ。敵はぶっ飛ばす、人間じゃねえならぶっ殺しても良いな。
王国がどうなろうと、人間がどうなろうと知ったこっちゃねえが俺が魔族を邪魔だと思うから手を貸してるだけだ。序でに言えばぶん殴る方の糞親の言った事を守ってるわけでもねえ、むしろ守ってんのは赤い槍の兄ちゃんの言葉だけだ。
俺はあくまで俺の誇りで動いている、俺がやりたいから動いている。これだけは糞親に言われたことでもねえ、俺自身で決めたこと。だから、王国に手を貸してる、そんだけ。
さてさて、そろそろ向かうとするかねえ。どっちにしろ魔族は殺すにしろ倒すにしろ敵対だ、遠慮なんざねえ。んじゃ、行きますかねえ。

>>(ゲイル・べネルド)


【戦闘が始まりそうなのでここで絡みを切らせて頂きます、御相手ありがとうございました!】

2ヶ月前 No.471

@sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【魔帝城/無限回廊/ゲイル・べネルド】

不退転の決意の下に出撃した騎士団は、数こそ心許ないが及第点の活躍を見せていた。民衆を脅かす魔族を退け、一時的なものとはいえ制圧していく。
ゲイル自身も先陣を切って街中を疾走し、悪しき者達の魔の手から愛する王国を救うべく剣を振るう。この一戦で王国の運命が決まってしまうともなれば、戦地に臨むのは騎士だけではない。
自衛用の槍や銃を手に立ち上がる民衆の姿は、長きに渡る戦いで疲弊していた騎士団を勇気づけてくれた。民と兵とが一つになり、愛する国を守るため力を尽くす。

そうして進撃を続けるうちに、ゲイルと数名の騎士はディンカまで到達していた。ここから先は正真正銘の死地。先駆者たちの多くが志半ばで力尽き、この底なし沼に飲み込まれていった。
かつて漁業で栄えた面影はどこにもない。魔族の前線基地へと変貌を遂げたこの場所は、もう普段住んでいる世界とは隔てられていると言ってもいい。

「よし、皆街へ戻れ。ここから先は危険だ」

騎士団の役割は、あくまで王国を護ること。自分の目的のために仲間を危険に晒すことは出来ない。況してや巻き込むなど以ての外。そう判断したゲイルは、ついてきてくれた騎士達に別れを告げる。
フロレのことがあったからか不安でたまらないと言いたげな顔をされるも、若きリーダーは一切の迷いを見せずに洞窟へと踏み入っていった。



城へ攻め込むにあたって第一関門となる海底洞窟。警備要員の魔族がウロつき、征伐隊の白骨死体があちらこちらに転がっている様は地獄そのもの。
陽気な性格の持ち主ならば海賊映画のワンシーンなどに例えられたのだろうが、生憎ゲイルにそんな余裕などありはしない。
普通に攻め入れば苦戦は必至の難所。彼が突破の策として選んだのは、「持ち前の身体能力と風魔法で駆け抜ける」という、なんとも単純明快なものであった。
しかしここの守りの厚さを考慮すれば、泥臭い戦いを避けるというのは十分理にかなっている。少なくとも警備兵の大隊に囲まれるよりかはマシなはずだ。

そして結果は成功。陽が当たらずじめじめとして薄暗い洞窟に、一陣の風が吹き抜ける。爽やかな緑色を伴うソレは、ほとんど敵の襲撃を受けることなく出口へとたどり着いた。
そのまま魔帝城へと踏み入り、歩みを進める。そう、彼の目的とはフロレ・ゾンダーランドとの再会及び決着。風の噂の真偽を確かめ、仮に真だとしたら対峙する義務が自分にはある。
邪悪な闇騎士に身を窶した彼女を止める。そして我らが団長の迎えた結末を団員達に話さなくてはならない。決意を新たにしたゲイルは、果てしなく続く階段に足をかけ、一段、また一段と踏みしめるようにして上っていくのだった。

>>フロレ・ゾンダーランド


【絡みます!すこしややこしい形になってすみません】

2ヶ月前 No.472

"龍炎公" @zero45 ★h2BOlEz4kD_kuu

【魔帝軍/兵舎/ヴァンレッド】

 難攻不落の布陣が敷かれた海底洞窟を突破し、牙城へと単身乗り込んで来た猛者の姿を。赤き左眼と青き右眼の異色の双眸を持つ女騎士。正常なる青の対を成す異常なる赤は、死せる龍が遺せし呪詛の顕れか。
 曰く、巨剣使い。曰く、龍殺し。曰く、龍となる者――その存在を示唆する言葉の断片が示す者の名は、龍殺しの騎士"アーケオルニ・ランドグリーズ"。龍帝にとっては、数多の同胞を葬られて来た因縁深き敵と言える。
 極上の獲物を前に、狂気の煌きを隠せない狩人の瞳を、龍帝は紅き双眸で捉え返す。そして大地に突き刺さった焔の魔剣の柄を右手で掴んでは、一気に引き抜いては天へと掲げ、自らの名を呼ぶ者へと応える。

「……如何にも。我こそ魔将軍が一人、"龍炎公"の異名を恣にする者」

 脅威を前に恐れ慄く事無く、威風堂々とした表情を浮かべる龍炎の騎士。掲げた緋焔の剣を構え直して、切先を敵へと向けると、刃が纏う紅蓮の乱舞を一層激化し。昂る闘志を現すが如く、主君に向ける忠義の強さを示すが如くに業火は荒ぶる。
 懸念の二文字を辞書に持たない女騎士が徐々に距離を詰める中、彼はその場に留まり静止を保ち続ける。その代わりに、先手に際する準備として魔剣に暴虐的な魔力を収束させて行く。

「一つ問おう、"龍殺しアーケオルニ"。お前は、何の為に我が首級を狙わんとする。復讐の為か、名誉の為か――或いは、死闘を求めてか?」

 眼前の敵に抱いた感情は、憎しみでも無ければ怒りでも無く、純然たる興味。彼女は何故、多くの龍を殺し、その長たる己の命をも奪い取らんとするのか。彼女の経緯から考えられる理由としては復讐が挙げられるが、彼女が宿す狂気の色は復讐者の性とは異なる。
 彼女のそれは言うなれば、飽くなき闘争心。戦に全てを捧げんとする狂戦士の性に近い。こうして挑みかかって来た理由も、全ては己の力を証明せんとするが為なのだろうか。いずれにせよ、答えが明確となるかどうかは彼女の返答次第だろう。

「もしも死闘を求めているのならば……喜ぶといい、龍殺し。お前の望みを叶えられるだけの猛者が、此処に立っているのだからな……!」

 龍炎の騎士の叫びと共に、焔の剣は揮われた。斬撃と共に放出される烈火が無数の火柱となって、一直線に敵へと向かって行く。荒ぶる龍炎が宿す熱量は暴虐の一言に尽き、焔が触れる石の床を瞬く間に溶解させて行く。人体が触れようものなら、一瞬にして消し炭となるのは想像に難くない。
 だが、彼女に猛将としての自覚があるのならば。これで戦慄し、絶望してはならない。何故ならば、かの龍帝にとってこの程度は戯れにすらならない弱火に過ぎないのだから。

>アーケオルニ

2ヶ月前 No.473

"不死公" @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

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2ヶ月前 No.474

ミラノ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_JM6

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2ヶ月前 No.475

黒谷平助 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_FXK

【 王都ロンカリア/大通り〈裏手)/黒谷平助 】

 肉を折り畳み、地面に溶かし、綺麗さっぱり消し去ったところで――来訪者が訪れる。

「はい? ――ああ、どうぞ」

 浮かべるのは笑みだ。
 第一印象だけを優先させるかのような上っ面の張り付いたソレ。
 されど、この路地裏、――光り輝く王都に一滴垂らされたドス黒い染みのような男がやるには却って逆効果か。
 装飾の施されたナイフ――《ヴィンクラ》を弄ぶ。会話に応じながらも、しかし眼鏡の奥の昏い瞳は少年を射貫いている。

 ありがちだ、と思う。擦り切れたマント。銀髪に、北欧系を思わせる顔立ち。
 場所が場所ならばゲームの世界から飛び出してきたかのような少年。
 そしてこの時代においてもあり得ないというわけではない。腐るほど見てきた。そして腐るほど消してきた。
 その全てが、もうこの世からは消えている。

 蠢いていた影は何時の間にか成りを潜め、静寂と共に現実へと帰っている。

「まぁ、少し」

 声音は変わらない。
 動くのは同時。互いに行動を起こした。
 魔力供給、――御柱<クォーツ>の支援を受けた黒谷の元へ魔力<マナ>が集う。
 半ば不意打ち気味に少年が宣告<ランゲージ>する/全く動じない黒谷が告げた。

「――残骸の掃除です。何のことはないただのゴミ処理ですよ」

 デュオ・ディアボラ・バグノ
「 《悪魔の両手》 」

 少年の手より投擲された幻影の大斧二本へぶつけられるは、黒谷の手より放たれた漆黒の弾丸。
 澱み。□き集めた泥。垂れ流されるヘドロ、――想起される色合いはソレらであり、そこから齎される影響は不浄。
 事実。斧刃二本へ着弾時に起きた現象がそれを物語っている。
 鉄を鋳溶かすかの如し奇怪な音。じゅわぁ、と鳴り響く音は焦げたようにも聞こえる。
 幻影故に残らず消滅はするだろうが――どちらにせよ人体に着弾すればどうなっていたかは想像に難くない。

 魔弾が引き起こした現象は<腐食>。
 神が鍛え上げた武器ですらも、その現象の前から逃れることは出来ない。
 肉を溶かし鉄を溶かし骨を溶かし大地を溶かし大気を腐らせ水を腐らせ空を腐らせる。

 黒谷の手<銃口>はそのまま少年へと向けられた。
 何の感慨もない。敵<ガラクタ>である以上は殺し、溶かし、消すのみ。

「しかし、――見ず知らずの相手をいきなり殴るのは良くないことでしょう」

 澱みの魔力が両手に集う。

「ですので、殴り返すとしましょうか。正当防衛ですからね――」
 デュオ・ディアボラ・バグノ
「 《悪魔の両手》 」

 ――右。左。上。下。そして、少年の胴体の順に腐食の魔弾が連射された。

 弾丸は大気を腐らせながら飛翔する。
 神鉄すらも、腐食の前には役に立たない。

>ミラノ

2ヶ月前 No.476

ハザマ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_JM6

【魔帝城/海底洞窟(用水路)/ハザマ】

 さて、歴史とは積み重ねで成立するものだという。
 一つ一つ、二度と来ることのない現在という時間を、延々と折り重ねるようにして。
 それを、その現在で勝った者にとって最も都合が良くなるように仕立て上げたのが人類史というものだ。

 ―――少なくとも。大半の確率事象ではそういう風に出来ている。例外はこの時空だけだ。

 時を捻じ曲げ、世界を揺るがし、理を破壊する。
 そうした掟破りが出来るこの世界で、歴史の価値も意味もない。幾らでも書き直し、幾らでも白紙のノートに出来てしまうもの、無くしても戻って来る程度のモノに成り下がった歴史に一切の価値はない。そんなものは只の滓だ。
 ………最も、そうでなくともハザマにとってはどうでもいい内容だった。彼の欲しいものには欠片も掠らないこの世界の歴史がどう弄られようとも、彼は精々軽い嘲笑をぶつけるだけだ。事によっては無視するレベルですらある。
 ―――つまり、どうでもいいからどうなっても構わない。どうでもいいものに殺意や敵意を振り翳すことほど馬鹿らしいことはないし、そもそもハザマにそうした感情のリソースは無い。その上で、彼の今の目的への筋道を考えてみれば、比較的正史通りの修復を行った方が“面白い”と判断したのが、事の始まりだった。

 彼は躊躇うことなくディンカと呼ばれた港町に侵入し、海底洞窟へと足を運んだ。
 そこが魔帝城―――所謂敵手の本拠地であることを理解した彼は、真っ先に海底洞窟のある場所を探した。その時に行われていた戦闘の気配こそ察知はしたが、彼としてはどうでも良かったので全力で無視した。
 序でに………ディンカの岬では、これまた見知った殺戮人形が虐殺に励んでいたが、此方も無視した。お互い揃って相手をしても益の無い組み合わせであり、ましてやあの“狂機”に対して戦術パターンが露呈したとなると、余計負けのリスクが高くなるというのもハザマの本音だった。だから、その気配がした時点で彼は徐に素通りを決め込んだというわけだ。

 ………では、そこまでして何を目論んだのかと言うと―――。


「―――やはり」

「ありますよね、流石に魔族とやらも生物だ。ないわけがない。
 というか無かったら割とどういう身体構造してんだって話でした、が………いやあ、準備しておいて良かった」


 用水路―――そう、兵舎ないし魔帝城に直接繋がる“水源”というヤツである。
 例え魔族であっても、生命維持のための水分、ないしエネルギーを必要とするものはいる………あるいは、“元”人間などが居ればなおさらの話だ。ここが絶海の孤島である以上、何処かにその用意はしているだろうと思っていたが、見事に大当たり。
 見張りならば当然居る。正確には“居た”でいいだろうか。
 適当に立てかけておいた見張りの下級魔族たちは、皆原型をとどめない無様な死体になり果てている。心臓や脳など、魔力の根本となる部分のパーツを根こそぎ抜き取られた状態は惨いと言えるものだったが、ハザマとしては特に顔色を変えるものでもない。

 そのパーツを適当に並べ、彼は術式を起動した。
 魔素を流し込み、変換した術式の駆動の為のエネルギーを、下級魔族たちの肉と魂と器で補う。苦悶の断末魔を涼し気な顔で聞き流したハザマは、出来上がった“ブツ”を素手で触れぬように配慮しながら、もう一度水源へと意識を向けた。



 ―――さて。ブツの正体について、軽く説明しておこう。

 ハザマが造り出したそれは、超高濃度の“魔素”。
 果たして………それがどのようなものであるか、この世界で知っている者はいない。
 境界を満たすその不可視の物質は、適量ならば無害だが、大量にあれば生態系と自然に悪影響を及ぼす。あまつさえ、その濃度の高い魔素に充てられた生物は死ぬ。
 それは、系統が似通う魔族とて全くの例外ではないだろう。

 つまり何が言いたいのかと言えば。
 それは、彼の居た世界での大気を疑似的に圧縮したモノであるという話だ。

 ………では、それをよりにもよって、水源で解放した場合はどのような結果になるだろう?



「さて、さて。正しい歴史とやらでは、おまえたちは見事死んで死んで死に尽くしたそうです。
 正義を詠う彼らはそういうものが御所望のようですから―――ねえ。そのようにさせて頂きましょう」



 ―――結果は、ただ一つ。

    まずは密接に繋がるだろう兵舎の魔族から、汚染された水源、混入した大量の魔素の影響を受ける。


「どうぞ、憎んで恨んで苦しんで、恨んで呪ってください。“人間は悪だ、殺すまで戦う”と!
 どうぞ、心行くまで吼え猛りなさい! どちらかが命尽き果てるその時まで!」


 良くて不調、悪ければ中毒で即死。
 あるいは気化して、まるで毒か何かのような効果を発揮するだろう。
 これを仕向けたのは紛れもなく人間だ。彼らはきっと、それを疑わない。

 そしてそうなった時、魔族たちは憎しみを露とするだろう。

      ―――果てしないほどの■■を、人間への怒りに代えて。


「なにしろ、それが正しい歴史、修復されるべき人理!
 ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・
 おまえたちの屍の上に、正しい歴史と正義があると我々は主張しているのですから!」


 かくして、彼は兵舎に繋がる用水路へと事実上の劇毒をバラ撒いた。

 それが成り、人間の所業と知られた時点で、もはや人類と魔族の和平などほぼ不可能になる。
 ましてや、仮にできたとしても何かの禍根を残すことが見えている。

 だが、しかし。魔族の滅亡と魔帝軍の消滅は正しい歴史なのだ。
 ハザマは最短効率で、出来る限り自軍に被害が無い、非道であるが合理的な手段を取ったに過ぎない。

 少なくとも………時空修復を目的としたこの組織には、彼を非難する余地などない。
 それが分かっているから、とことんまで両者の憎しみを煽るような行動に出たのだ。


 ―――何故? 決まっている。ハザマにとっては、歴史の修復がどうの是正がどうの、興味が無い。


「―――ヒ、ヒヒヒ、ハハハ」
「ヒャハ、ヒャハハハ、イヤァーッハッハッハァーーーーッ!!!!」


   、  、 ・・・・・・・・・・
 ―――ただの、嫌がらせと当てつけだ。
    時空防衛連盟と、歴史是正機構の全てに、糞でもぶつけて笑うかのような所業。

 おまえたちのやっていることは、自分のそれと全く変わらないとこき下ろすかのように。
 彼らの理念と生きて来た総てを、合理の盾を狡猾に使いながら蹂躙し。
 そこに憎しみ/■■を生じさせる所業。ハザマにとっての“ハレの日の愉しみ方”だ。

>ALL


【色々と書きましたが、要するに「用水路通して兵舎に事実上の毒をばら撒いた」になります】
【あまりにも記事進行に不都合があるなら無視してくださいませ!】

2ヶ月前 No.477

クランの猛犬 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【絡みありがとうございます】
【王都ロンカリア/城壁・上層/ランサー】

 指を挟んだ煙草の煙を燻らせていると、男の声が聞こえたので振り替えると表情は柔らかくなる。
「サーヴァントねえ……そういや、そう"呼ばれてた"事あったな」
 座の記録からその単語を引き出すと、煙草を咥え直す。
 聖杯戦争に召喚され帰還したサーヴァントは記憶ではなく、矛盾が出ないよう記録として残される。
 詳細は忘れ去れているが、聞き覚えのある単語だとランサーは答えると立ち上がり、相手と向き合った。
「オレが英霊ってのは間違いねえな。で、オレの正体を明かしに来たワケか」
 ランサーの正体に心当たりがあるという男に、勝ち気な顔を見せて青いダウンジャケットははためかせる。
「さっきの言葉。別のオレと出会ったヤツから聞いたか? それともどっかの聖杯戦争を生き抜いた魔術師なのか?
 まあどっちでもいい。まどろっこしいのはどうも好かねえ、心当たりがあるんなら当てて見せろ」
 自分は周囲に英霊とか一言も喋っていない筈だと、ランサーは思ったので物のついでに怪訝な顔で疑問に思った事を一応口にしたが本筋からそれてしまうし、正直どうでもいい事だと感想も付ける。
 分かっているのなら遠回しに言うのではなく、分かっているのならすっぱりと自分の名前で呼ばれる方が好ましいと、ランサーは真っ直ぐと炯々とした目を男に向けると、挑戦的な態度で自分の正体を当ててみろと言い放
つ。
 そして他にも英霊はいたのかとランサーは感じていた。
 戦地で見かけた事がなかったので、恐らくは後衛支援に特化した英霊なのだろうと、勝手に推測していた。
>17代目葛葉ライドウ

2ヶ月前 No.478

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【王都ロンカリア/大通り/橋川 清太郎】

一瞬で景色が移り変わる、それまでの濃密な科学技術に基づいた建築物は視界から消え去り、伝統的……否伝統そのものといえる風景が眼前を支配した。

「現在高度57m……と」

本来なら地続き気味に転移する予定だったが、若冠のズレが生じたらしい。ドローンや電線がないのでこのまま空中散歩と洒落込むのも悪くないが、生憎これは任務だ。

街の最も大きな通りに向けて着地を試みる。速度を保ちつつ地上へ接近、踏みつけるように両足を接地させることでブレーキ代わりにする。地面との摩擦で火花と重厚な金切音が巻き起こり、数秒かけて停止した。流石に大衆の視線が否応なく向けられる……がそれだけだ、好奇心によるものが大半であり明確な敵意を持っている者はいない。情報通り総統が上手く手回ししてくれたようだ。

「座標再確認……AD1074、王都ロンカリア。うん間違いない」

本部で一度休養を取ったことですっかり心機一転、兵士としての英気を養えた。勿論スーツの整備や作戦内容の確認も抜かりなく終えている。
確か、総統のユーフォリアがこの時代の国王と交渉し、傭兵の名目で軍事的支援の許可を得て同盟関係の構築に成功。逆に歴史是正機構は魔帝軍と手を組んだらしい。

(出来れば、戦う相手は歴史是正機構だけだといいな)

連盟の立場としては、さっさと機構だけを無力化して元の時代に帰りたい所だ。どうもこの戦争は人類側の専主防衛というわけではない上、発端や禍根もよくわかっていない。元を正せば人類側に非があるという可能性も十分考えられる。作戦活動時に義も益もない戦いは避けたい。

(どうしたもんかな)

どこぞの、吸血鬼を鞭で倒す人気ゲームシリーズのような事情があれば、同盟関係の破棄を直談判しに行くかもしれない。
そんなことを考えていると、巨大な怪物が街に侵入してきた。

「うおっ!? い、いきなりか!」

怪物の体にはひどく痛々しい様子の女性が乗っている。バイザーのズーム機能で調べてみると、口の動きからどうも平和を訴えているようだ……が民衆からは石や野次を飛ばされている。
当たり前だ、権力者に打診もせずこのようなある種無法といえる真似をすれば、バッシングの対象になるのは火を見るよりも明らかである。

「!」

次の瞬間、怪物が民衆を虐殺した。飛び散る命の赤が街に塗りたくられていく。
迷う必要はない、即座にバーニアを吹かし怪物の元へ接近する。

「……平和を謳う割には、しっかり専守防衛できてるみたいだね」

ハンドガン・Strikedogを装備し狙いを定めた。
専守防衛自体は戦争において残虐と評されるべきではない、寧ろ戦略の面では消極的過ぎてまず採用されないようなやり方だ。
しかし、それでも。

「言ってることとやってることが一致しないのは、関心しないな」

民衆から受け入れられないのはわかりきっていた筈なのに、わざわざこんな怪物連れで来るなど常軌を逸している。

>>大通りall

2ヶ月前 No.479

影の魔物 @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【王都ロンカリア/城壁・下層/"無音"のブロヴァンス】

開戦の狼煙は、魔族による一方的な虐殺から始まった。
華やかな噴水広場では無数のワームが市民を喰らい、賑わう大通りでは豪腕巨躯の魔人が猛威を奮う。戦う術を持たない人々は逃げ惑い、そして瞬く間に死んで逝く。
既に王都は混乱状態だ。不運にも騎士団長代理は既に出撃してしまっている。それでも、王都に残った勇猛果敢な騎士達がその務めを果たすべく、報告のあった二つの箇所へと急行していく。

……さて、この王都ロンカリアは堅牢な城壁によって守られた都市だ。個人程度の侵入ならば易いが、しかし軍が入り込むとなると一つの問題がある。大軍が進撃する為には正門を通らなければならない。しかしこの騒ぎで、正門に通ずる跳ね橋は上げられている。
跳ね橋を降ろさなければ魔帝軍の大半は侵攻出来ず、先行した精鋭の活動もじきに鎮圧されてしまうだろう。魔帝軍が本格的に王都へ侵攻する為には、誰かが跳ね橋を降ろさなければならない。では、魔帝軍にそれを成しうる者がいるのか。誰にも気取られず、たった一人で城壁内を探索し、跳ね橋を降ろすまでやってのける者がいるのか。

――いるのだ、それが。影に紛れ、何者にも姿を見せず、気付いた時には既に終わらせている。力は弱くとも、何者にも替え難い能力を持つ、一体の魔物が。

騎士が出払い、最低限の巡回兵しか残っていない城壁内部。壁に掛けられた篝火と射し込む日差しだけが光源の、薄暗い通路ばかり。カツ、カツと規則正しい鉄の靴音が石造りの通路に響き渡る。一兵卒である筈の巡回兵にあっても、その面持ちからは緊迫した様子が見てとれる。常日頃より訓練されているのだろう。彼らであれば、僅かな物音さえ聞き逃しはしない筈だ。
しかし――音も立たず、姿も見えない敵を見破るには、彼らではまだ足りない。
油断無く歩き回るその背に、忍び寄る魔手。鉤爪の様な鋭い指が、その首を刈らんと振るわれた。

『……ッ!? ガ、ぁ……』

気付いた時には、既に終わっている――影より現れた正体不明の魔物に、油断も隙も無かった筈の巡回兵は実にあっさりと命を奪われた。
倒れた兵士の代わりに薄暗い通路に立っているのは、薄汚れた黒い甲殻に身を包んだ魔物。ぎらぎらとした不気味な眼差しと、原始的な恐怖を煽る異形。それは正しく、人間にとっての『外敵』と呼ぶに相応しい。
対象が死亡したのを確認したその魔物は、暗い影に溶け込んで消えて行く。彼奴の目的はただ一つ。徒な混沌をもたらす為でなく、確実な破滅を人間に与える為に――。


『なっ……誰だ、跳ね橋を降ろしたのは!? まさか……!』

――誰かが気付いた時には、既に全てを終わらせている。
影の魔物の暗躍により、王都防衛の砦とも言える跳ね橋は降ろされた。それが何を意味するのか……正門から雪崩れ込む魔物共の咆哮で嫌でも解るだろう。
騎士達が無能だったのではない。ただ、相手が悪かったのだ。音も無く、姿も見えないその魔物が、とりわけ優れていただけなのだ。故に彼らは自らの落ち度を悔やむよりも、先ずは目前に迫る死の行軍を凌がねばならない。さもなければ、それこそ彼奴の思惑通りとなってしまうだろう。

奴に名乗る名は無い。あるとすれば、魔帝軍兵卒として与えられた記号だけだ。――"無音"のブロヴァンス。それが、奴を識別する記号だ。

……影の魔物は姿を見せない。"時"が来るのを待っているのだ。

>>(ALL)

【のっけからいきなり跳ね橋降ろして魔帝軍侵攻の足掛かりを作る魔物の鏡です。よろしくお願いします。】

2ヶ月前 No.480

わんわんお @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_JM6

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2ヶ月前 No.481

ミラノ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_JM6

【王都ロンカリア/大通り〈裏手)/ミラノ】


「あん? えー、そうだな、見ず知らずで殴ってごめんなさいゴミ処理業者サン」
「………みたいなこと言っときゃ満足する?」

 ミラノ自体、中々こころの籠らない謝罪であると自認する軽い返答だった。
 この相手に向けて殴りかかったこと自体、彼は特に間違いであると思っていない。
 理由などない、強いて言うならば生物的な勘―――概ねこの如何にも穏やかで、如何にも良識的に見えた人物が、しかしその実態はドス黒いタールのような感情を詰め込んだ存在であるということへの、半ば確信じみたものを感じていたからこその強襲だった。
 会話してもいいが、やるなら斧をぶつけて瀕死にして、それでも生きていたら割と話半分だけど聞いてやる程度の気持ちで良い。
 言葉を交わすのは、言葉が理解できる相手だけだ。そこが自分にとって信用出来る“勘”に否定されたとなるならば、これはもう後は殴り合うしかないわけで―――序でに言うと、その感覚はみごとに大当たり。それはそれとして彼は安心した。

 想起するものとしてはヘドロ。連想される単語、不浄。
 あらゆるものを腐らせ、時間を掛けて崩壊させ、残るもの全てを塵と還すマナの奔流。
 淀みにして歪み、生ける全て、あらゆるものを腐らせる殺戮の銃口。
 系統としては魔術だろうか。当て嵌めることは容易いが、ナリから戦法、何から何まで違う相手に対して、自分の知っている概念への無理矢理な当て嵌めは悪手だ。何が牙となって襲って来るか分かったものじゃない以上、結論は急くべきではない。

《ミラージュ》のタクティクスカードで作った幻影斧が相殺されて掻き消える。
 どうにも防御は困難―――近接戦闘に持ち込むのも一苦労であるのは間違いなさそうだ。


「でも、ほら。お前何処からどう見ても真っ当なアタマしてねーじゃん」

「処理の最中だったんだろ? 何処理してたのかとか、言わなくても分かるから別に良いけど。
 じゃあ特に問題ない。見ず知らずじゃなくて気に入らねーから殴るの。こういうのにそれ以上の理由が居るのかよ、なあ、魔術師?」

「お前もそのゴミ処理にしろ、気に入らねーもんがあるからやってんだろ。言い訳ナシな」


 しかしそれでも、飄々とした口調で盗賊は語る。
 理由などない。強いて言うなら、比較的には気に入らない寄りの頭だったから殴るだけ。
 聊かに自己中心であるとも言えるが、そこに彼が悪びれる要素はない。
 本人からして見れば“殴られる方が悪い”わけだ。ある意味、銀狼が培ってきた真理である。

 ―――細かいこと抜きにした自然の摂理だ。
    人間という生物は、こと攻撃の為の理由を極限まで薄めるとそうしたものになる。

 思想に合わない、噛み合わない。意に沿えない。
      ・・・・・・
 つまりは、気に入らない。
 人間はそれだけで攻撃に出られる。そこに、善悪どうこうが意を挟む余地などない。ただ比較的、ミラノからすれば“纏う空気”が気に入らないから試しに一撃入れ、
 序でに本人の所業が気に入らなかったから行動を続けようと考えているだけなのだ。
 結果的に善行ではあるかも知れないが、この一匹狼に善行の自覚はあまりない。

 ………そもそも、それを勘の理由一つで感じ取って殴る彼も彼で結構何処かが抜けているのだろうが、当たっているなら特に問題はない。結果オーライ、何も間違っていない。
 過程や方法なぞどうでもいいとはよく言うだろう。たぶんそういうことだ。

「つーわけだ。正当防衛だって良いぜ、やれるならやってみなッ!」

 だから、相手のそれを殊更否定するわけでもなく。
 殴るんだから殴られるのは上等だと、笑って―――こともあろうに更に踏み込んだ。

 澱み、腐らせ、溶かし、零に還す虚無の弾丸。
 大気そのものに断末魔を挙げさせて迫るそれに、疾風の如く飛び込む。
 その肩に担いだ斧と、斧を繋げた鎖が音を立て、同じく一個の弾丸と化して潜り抜ける。
《ミラージュ》のタクティクスカードは健在。この相手がそれ一つで打ち倒せるとは思えないが、だからこそ手段は惜しまない。獲物を狩るにも、宝を戴くにも、出し惜しみは厳禁と言うヤツだ。

 疾駆し、上下左右の弾丸を躱し。
 ギリギリの場所まで肉薄し、胴体を狙った腐食の弾丸が着弾する瞬間。


「―――そらよ、獲るぜ!」

   >Whimsical faerie of the rainbow Crystal...
   >Let thy illusions become Reality.


 タクティクスカードの真価が姿を現す。
 夢見のルビナが示す世界は変幻自在。武具の虚像程度は当然のことながら、
 その真髄は地形と自身そのものの位置転換にある。
 つまりは、自分の立ち位置そのものを一度だけ操作する―――ただ一度限りの騙しの手品、かつ応用手段の広いカードではあるが、ペースを握るには必要な手札だ。札とは使う時に使えねば意味がないというもの。

 ―――盗賊は着弾の瞬間をギリギリまで合わせ、ラグ無く黒谷の背後へと自分の位置を転換した。

 さながら一連の動作全てが、最初からただの蜃気楼《ミラージュ》であったかの如く。
 同時に薙ぐように振るわれる旋斧の一撃は、紛れもなく黒谷の胴体を打ち据え切り裂きに掛かり―――。

>黒谷平助

2ヶ月前 No.482

葛葉の一枚看板 @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_HV3

【王都ロンカリア/城壁・上層/17代目葛葉 ライドウ】

「正体を明かしに来た、というのは違うな。ただ人気のない場所を探していたら先客がいただけだ」

城壁の上層は強い風が吹いている、煙草の煙が掛からないように風上に立つと城壁にもたれかかる。
この場所に来たのは本当に偶然だ、気配を辿ってきたわけではないし、正体を暴きに来たわけでもない。
しかし、そう呼ばれていたこともあったということは今は違うのか? もう少し話を続けてみよう。

「俺は17代目葛葉ライドウ、デビルサマナーだ。悪魔召喚士ともいうがこの悪魔は人ならざるモノの総称と考えてくれ
 妖精や精霊、英雄や神の分け御霊、本物の悪魔はいないこともないが数はそこまで多くない
 その質問の答えだが、葛飾北斎というサーヴァントにざっくりとした概念を聞いた、クラスはフォーリナーと言っていたが」

まずは自己紹介をしてライドウが使役する”悪魔”の定義も先に応えておく。この辺りの説明は葛飾北斎にも行ったものだ。
そしてこの男の正体を含めた言葉は葛飾北斎に聞いたものだと答える。

「貴殿の名は”クー・フーリン”、アイルランドの光の御子、クランの猛犬。ケルト神話において一番メジャーな英雄だ
 そして俺の仲魔にも同じ名前の英雄とその師匠がいる、なんなら会ってみるか?」

クー・フーリンに影の国の女王スカアハ、この二人は今ライドウの使役する仲魔として封魔管の中にいる。
無論本物というわけではない、その英雄という概念を悪魔という定義に落とし込んだものだ。
並のサマナーでは敵わないのは同じだが、恐らく単純な強さで言えば目の前にいる男の方が強い筈だ。
本物と”悪魔の定義に落とし込んだ別側面”、本物の方が強いに決まっている。

「しかしもったいない、今でなければ悪魔使いではなく剣士として試合ってみたかったが……気付いているか?」

強い風にかすかに悲鳴が混じっていた、敵襲だろう、コウリュウの背に乗って移動すればすぐにその場に直行できる。
ランサーがどうするかは分からないが、ライドウとしては向かうしかない。

>ランサー、ALL

2ヶ月前 No.483

閃剣 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_CK7

【マロニス城/厨房/レーヴ・カストリス】

丁度肉を口へ運んだ時に、レーヴに出撃の命令が下った。前線へと派遣されていた先鋒が消息を絶ち、更には王都で不信な影が目撃され始めているとのことだ。
恐らく、いずれも魔帝軍の仕業だろう。この分だと、先鋒の生存は絶望的か。何にせよ。これ以上ここでゆったりとしている訳にはいかない。さっさと食事を済ませ、救援へ向かわなければ。
だが、こういう時にこそ厄介事は起きる訳で……背後から響いてくる、さぞかし楽しそうな声。それが傭兵のミコルナのものであると認識するのに、時間は掛からない。
普段は城に出入りすることを避けている彼女が、どうしてまたここにとも思ったが、考えてもみれば傭兵にも出撃命令が下されているのだから、不思議なことではない。
指示を聞きにきたついでに、自分に会いに来たというところか。厨房にいる他の騎士達は市民が怪訝そうな表情を浮かべるも、レーヴはそれを気にしてはないようだ。

「……っと。おいおい、今飯食ってんだから邪魔しないでくれよ。ってか、あんたはここにいて大丈夫なのか? オレは別に気にはしねえが、ここにはあんたのことをよく思わねえやつだっているだろ」

いきなり抱き付かれ、身体が後ろに引っ張られたことで、危うく肉を喉に詰まらせるところだった。幸い、水を流し込んだことによって、事なきを得たのだが。
レーヴは食事中にも関わらず邪魔をしてきたミコルナにやや怒ったような言葉を口走りつつも、同時に彼女がここにいることで不利益を被ってしまわないかを心配する。
単に魔族と言っても一枚岩ではない。勿論、ほとんどは魔帝軍に協力している者だろうが、中には人間との共存を望み、協力するミコルナのような者もいる。
敵となった者達と味方をする者達は分けて考えればいい、というのは簡単だ。実際には、人間は魔族を一括りで恐れ、たとえ協力を申し入れた者であっても、差別や迫害の対象としている。
彼は周りからどのように見られたところで気にすることはないが、ミコルナはそうとは限らない。レーヴはあくまで彼女のためを思って、忠告を行ったのだ。

「どうしても欲しいのなら構わねえが、一つ条件がある。次にあんたがどこかで飯を食った時、オレに同じだけお返しをしてもらおうか。簡単な話さ、等価交換ってやつだ。悪くない話だと思うがな」

笑みを浮かべながら耳元で囁くミコルナのお目当ては、今まさにレーヴが食べているステーキ。適当にあしらうことは出来ない。何故なら、時間を追うごとに、彼女の要求はエスカレートしているからだ。
だが、ただでくれてやる訳にはいかない。その分、何か見返りがなくては、こちらが損をするだけだろう。そこでレーヴは、次にミコルナが食事をした時に、お返しをすることを条件として打ち出す。
シェフに注文をして料理が出てくるまでは、短く見積もって10分。しかしここでレーヴの条件を飲めば、すぐにでも肉にありつける。果たして、彼女はどちらを選ぶのか。少なくともレーヴの対応は、無条件で料理を差し出してしまうような、他の骨抜きにされた者達とは違う反応であることは、間違いない。

>ミコルナ

2ヶ月前 No.484

黒谷平助 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_FXK

【 王都ロンカリア/大通り〈裏手)/黒谷平助 】

「違いない。元より、無意味な会話だったようですしね」

 銀郎の少年の言う言葉は――ああ、確かに正論だ。内心苦笑せざるを得ない。
 会話も行動も何もかも、戦場においては相手を誘い出し、激高させて我を見失わせる、あるいは油断させるための策でしかない。
 意味を成す形態としての会話を行おうだなどとはお互い考えることもない。
 結果的に行われるのは相手のことを「殺す」ための情報収集としての会話である。
 現象誘発――<腐食>の術式。『魔属』<ディアブル>の特異性たる「現象」の発生を見ているにも関わらず少年の表情には一切の曇りもない。
 あれは飄々とした態度のままに、平然と次策、そのまた次策を打って出ることのできる人種だ。しかも勘で。
 やりづらい。
 それが、ミラノに抱いた感想。
 ああいった人種はどちらかといえば人間の理を畜生の力で強引に成し遂げ――最良の成果をたたき出しに来るのだから。
 まどろっこしい策を練るよりも、真っ向から殴りつける方が早く、それが出来てしまう人種。

 まぁ、いい。

「――ええ、誰だって死にたくはありませんから」

 幻影の斧を溶かして消してからの後退<バックステップ>と共に告げられる。
 我ながら妄言を吐くものだ――上っ面でしか奏でられない言葉の羅列。

 腐食の現象を見てもなお、ミラノの足は止まらない。踏み込み。疾駆。身の丈に合わぬ大斧と大鎌を轟と鳴らし、間合いを詰めてくる。
 四肢目掛けて放たれた不浄の魔弾。彼は回避。右へ左へ、軽快な疾走<ステップ>。
 だが最後の一発。
 胴体に風穴を開けるべく駆け抜ける<腐食>は――しかし、空を切るだけに終わる。
 なぜか。彼は目の前から消えた。しかし苦悶の呻きは聞こえない。
 正面にはいない。
 では解答、――必然的に彼のいる場所は。

  、  、  、  、  フリューメン・アケロン
「短絡は身を滅ぼしますよ――《黒金の壁》」

 ――己の背後となる。

 黒谷平助を中心に広がるようにして展開されるは、「腐食の壁」。
 黒谷が見えるほどには透明度を保っていれど、内包された不浄が証明している。
 触れれば腐るを通り越して急速に「劣化」する――まず間違いなく死ぬと。
 本命の一撃を叩き込まんと距離を詰めるミラノにとっては、限りなく最良の反撃手<カウンター>。
 何故ならそのまま間合いを空けずに詰めようとして突っ込めば、死の壁が彼を包み込み殺すのだから。

 ターン。踵を擦り減らさんが勢いの高速旋回。
 ミラノを正面に捉える。行うのは追い打ち。

 デュオ・ディアボラ・バグノ
「 《悪魔の両手》 」

 その手に再び腐食の魔弾を形成。
 今度もまた――右。左。足。頭。そしてミラノの胴体の順に、連射された。

>ミラノ

2ヶ月前 No.485

Charlotte @kirieru ★Android=ryLO8WYMEG

【魔帝城/舞踏場/リュドミラ】

ここは魔帝城における舞踏場。
跳梁跋扈の魔族には似つかわしい豪華絢爛な装飾が散りばめられた舞踊館だ。
魔将軍である災禍龍姫のリュドミラのお気に入りの場所のひとつでありちょくちょく出入りをしている。
だが彼女が今ここにいる理由はそれではない。
優雅?なお茶会から城に戻って来た瞬間に知らされたロンカリアの襲撃。
リュドミラはまずこの魔帝城の唯一の突破口である海底洞窟を抜けた先の入口から一番近い位置であろうこの舞踏場にて騎士団と対峙しようとする。
庭園には既に多勢の兵士を配置しており準備は万全だ。

「でも海底洞窟にはアイツが居るし....私の出番とか無いかもね」

海底洞窟にはあの龍炎公であるヴァンレッドが防衛にあたっている。
過去に何度も海底洞窟から進軍しているのを見越してであろう。

「フフッ......果たしてここまでこれるかしら?まぁどうせこの私に殺されるのがオチだろうと思うけどね」

リュドミラは進軍してくる騎士団が虐殺されていく様を思い描きながら不敵な笑みを浮かべていくのだった。


>>All


遅くなりましたがリュドミラの配置が完了しました
必要となれば移動しますので

2ヶ月前 No.486

ジークリンデ・エレミア @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=dgrb36F8Ll

『王都ロンカリア/大宿屋/ジークリンデ・エレミア』

大宿屋に入店すると、大勢の客が居り、従業員と思われる人たちが対応に追われていた。
ジークは泊まりに来た訳ではないので、ジークは大宿屋に備え付けの椅子に腰掛ける。
風貌が風貌だが、誰もジークを怪しんだり、変な眼で見る者は今のところいない。
するとジークより少し遅れて大宿屋に入ってきた1人の人物。
黄色のマントを身に纏い仮面をつけた人物にジークは声をかけられる。
声は中性的な為、服装も合間って性別までは流石に分からなかった。
そして何より、何故かは分からないがジークにゾワッとした感覚が走る。
ジーク自身は頭では分かってはいないが、相手が何となくどういう人物なのかを感じ取ったのだろう。
普通の人とは違う何かをーーーーー

「興味あります。見せてもらっていいですか?」

ジークに声をかけた相手は旅人であるようで、魔術を芸として路銀を稼いでいるようだ。
自分に声をかけた人をこの時代の人であるとジークは多少なりとも思っているので、
断る理由も無いため、フードは外さなかったものの、なるべく怪しまれないよう相手の問いかけに答える。
ジークが目の前にいるマントの人物を敵であるという事実に気付くのに時間が掛かる事はない。

>>黄衣なる者

【絡み感謝。よろしくお願いします】

2ヶ月前 No.487

魔帝 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_CK7

【魔帝城/深淵の間/魔帝ヴェルメイユ】

魔帝の質問に、ニアは問いで回答を返す。ものの価値の決まり方。彼女はそれを、終わりによって成るものであると語る。ヴェルメイユはその言葉に、静かに耳を傾ける。
全ての価値は死の間際に測られる。なるほど、面白い理論だ。確かに、ありとあらゆる生命の評価は、死の直前まで変動し続ける。それが終わるのは、命が完全に潰えた時。
そして、無意味に死んだ命こそが最も価値なきものであると、ニアは言う。だが、内心ヴェルメイユはその理論に賛成はしていなかった。
どんな命にも、どんな人生にも、意味はある。無意味な命などは存在しない。魔帝は、そう考えている。勿論、彼女の思想を否定する訳ではないが、賛同は出来ない。
更に、ニアはあれほど物騒な二つ名を持っておきながら、戦争を好んでいるようではないと思われる発言をした。されどそれは、魔帝の望む和平路線に直結するものではない。

「勿論、知っているとも。それを理解した上での質問だ」

人類の歴史は知っている。一言でそれを現すのであれば、戦争の連続。同族であるのにも関わらず殺し合うのは、悪い意味で彼らの特徴といっても過言ではない。
古代ですらそうだった人類が、中世においても変わることはなかった。対象こそ魔族になれど、人は一度敵と見なした存在を、全て同じ括りの中で見ようとする。
魔帝の耳にも、人間に手を貸す変わった魔族がいるという話は入ってきている。しかし、そんな者達に対する人類の回答は、迫害と差別という、最悪のものであった。
実に短絡的な思考だ。いや、思考停止していると言うべきでるかも知れない。人間は彼らの本質を見ようとせず、魔族だからという理由だけで考えるのをやめてしまう。
それでも、魔帝の目的が変わることはない。ラガルデール王国を復興するためだけであれば、マロニス王国と戦う必要はないから。そして、こちらから歩み寄ることで、彼らにも変化が起きるかも知れないという淡い期待を抱いているから。
勿論、簡単な道ではないことは分かっている。だが、人間だからと一括りで見るのでは、何も変わらない。それでは多くの人間が魔族に対してしている仕打ちと同じだ。
どこかで負の連鎖を断ち切らない限り、血で血を洗う戦いに終わりは訪れない。魔族を率いる者として、新たな可能性を示すこと。それは、古代より紛れ込んだ異物に課せられた宿命なのかも知れない。

>ニア

2ヶ月前 No.488

Futo・Volde @nonoji2002 ★0hekQLL3eX_sgc

【王都ロンカリア/城壁(跳ね橋)/アベリィ・シルバラード】

王都ロンカリア。マロニス帝国の首都であり――っていうのは、アベリィが端末で調べた情報。割愛。
中世はよく、ドラマや映画では綺麗に描かれるが、実際の中世の建造物や街並みは果たして、本当に小奇麗だったのか。
アベリィの中ではそれが幼少期の頃から疑問だったが、どうやら場所によってはそれは事実のようだ。ここ、ロンカリアの街並みは綺麗という他に言葉が出てこない。
区画も整理され、街自体に手入れが行き届いているのか、薄汚れているという印象は全く受けない。やはり、城下町というだけあるのだろうか。

「少し……いやあ、かなり出遅れちゃったね」

アベリィが本部に戻る頃には既に中世への扉は開かれていた……が、彼女はすぐには中世へは向かわず、ある程度装備を今一度、整理しなおしてからこちらへと向かった。
故に、先にどれだけの人数がこの時代に来ているのかも把握できていなければ、敵の侵攻具合もイマイチ把握できていない。

「あっ……やっぱり、出遅れちゃってるわね。まあいいや」

逃げ惑う市民に兵士。そしてどこからか、聞こえてくる悲鳴。
どうやら、この城壁が突破されたのは間違いないとみていいだろう。とは言え、まだ来たばかりでは状況の把握もままならない。

アベリィはマークスマンライフルを構えながら、少しでも高い場所を、と適当な民家に上り、スコープを覗きこんで、城壁のある方へと向ける。確かあの方向には跳ね橋があったはず。

「見つからないといいんだけど。にしてもアレが魔族って奴なわけ?随分不気味な見た目してるわ」

スコープに移りこむのは大量になだれ込むように城壁内へと侵入してくる敵の兵士の姿。その容姿はやはり、事前に聞いていた通り、禍々しい姿をしている。やはり魔族というだけはあるだろう。あの姿じゃ、人が恐れおののき、忌み嫌うのも納得だ。

「さ、出来るだけ数減らすわよ」

やや遠方から、雪崩れ込む兵士という兵士の胴体、頭、腕。とにかく照準にあった場所は狙えるだけ狙って、トリガーを引きまくる。通常の弾丸がどこまで魔族に効果があるは未知数だが、とりあえず少しでも時間稼ぎになれば良い。

「大物さんってところね」

そして、スコープに移るは雪崩れ込む兵士よりも奥。まさしく、没落した城壁の先にある跳ね橋にあった。その容姿はまるでデュラハン、とでも言おうか。大きい狼、それも大きいなんてものではない。巨大だ。そんな狼に跨るのは首のない騎士。騎士は大きな鎌を持ち、もはやこれはデュラハンという表現よりも、死神という表現の方がしっくりくる。

この距離でも聞こえる遠吠えに、スコープに写る“地獄絵図”はまさしく、王国の崩落の足音を響かせている。1人で相手取るにはいささか、不相応だ。だが、このまま引きさがり、戦線を離脱するのもよろしくない。

「……やるしかないわね」

酸性弾、炸裂弾、徹甲弾と複数の弾薬を持ってきているが、今はまず、相手を知るところから。
アベリィは照準を覗き、敵の動きを伺いながら、狼の頭部に合わせて、一度。続いて間一髪入れずに、それに跨る騎士の胴に合わせて一度。トリガーを引く。

>ヘシアン・ロボ


【絡ませてもらいます】

2ヶ月前 No.489

Futo・Volde @nonoji2002 ★0hekQLL3eX_sgc

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2ヶ月前 No.490

苦難の中の本質 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_CK7

【ディンカ/魚市場/テルン・エルウェーウィン】

長きに渡る戦争は人心を疲弊させ、普段見えることのないものを露わにさせる。人とて動物。いくら理性的に取り繕うとも、その奥底には、野生の本性が潜んでいる。
いつだって世界は弱肉強食だ。人間界も自然界も変わらない。より強き者は弱き者を蹂躙し、弱き者の犠牲の上に、自らにとっての安寧の場所を作り上げる。
1000年以上の歴史を誇り、民衆からの尊敬を集めるマロニス王国とて、それは同じ。彼らも過去には、戦争によって無数の国を侵略し、滅ぼしてきたのだから。
連戦連勝。常勝伝説。崩れることなどあり得ないと思われていた盤石の王国に、今綻びが見え始めている。まさか彼らも、魔族を相手取って戦うことになるとは、思ってもみなかったのだろう。
テルンは、中世の人々の本質を覗き見ることを楽しんでいた。他種族への敵意を剥き出しにし、彼らを下に見ることで抑えきれない恐怖を覆い隠す。実に、人間らしい。

「ええ、勿論ですとも。私は全ての人の本質を見るため、ここにいるのです」

そして、目の前に立つこの青年も、彼女にとっての興味の対象。現地人と会うことが出来なかったのは悔やまれるが、異世界人の本質を見てみるというのも面白い。
彼は何を思い、ここにいるのか。時空防衛連盟に、どのような理由で協力しているのか。直接それを問い掛けたところで、取り繕った答えが返ってくるだけ。
人の本質を引き出す最大の方法。それは、苦痛を与えること。極限まで追い詰められた時、人はそれまで心の奥底にしまっていたはずの本音を曝け出し、真実の姿を露呈させるのだ。

「人の本質というものは、苦しみの中にこそあると、私は思うのです。ですから、私はこれから貴方に試練を与えることとします。その中で貴方が私に何を見せてくれるのか、期待していますよ」

問答無用ともいえる開戦宣言。テルンはあくまでこれは試練であると称し、最初の一撃を放つ。彼女の前方に描き出された、白い光を放つ十字架。
神聖な力を感じさせるそれは、邪悪なる存在に対しては特に大きな力を発揮する魔法。ただし、目の前の青年は、別段そのような性質を持っているという訳でもない。
そもそも、一般的な目線からいえば、テルン自身が邪悪なる存在だろう。本質を覗き見るため、他人に進んで危害を加える聖職者など、どう考えても普通ではない。
特攻を期待することは出来ないが、純粋な魔力によるダメージを与えることは可能。よってこれは、ほんの小手調べ。加速した十字架は、質量を伴って、青年の体を貫かんと迫りくる。

>黒鉄一輝

2ヶ月前 No.491

黒鉄一輝 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_FXK

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2ヶ月前 No.492

クランの猛犬 @akuta ★Fwax7xTHaw_ly4

【SN時系列基準の兄貴なんで一応……】

【王都ロンカリア/城壁・上層→跳ね橋/ランサー】

「つまり、おたくの世界のオレらの他に色々召喚できるってヤツか」
 まずはランサーなりの解釈を告げる。
「カツシカホクサイ? ふぉーりなー? そいつに悪りぃが"今のオレ"ははっきりと覚えちゃいねえ」
 よく分からないと言わんばかりの眉の寄せ方と表情。
 サーヴァントは制限されるものの、分霊みたいなものであり。今ここで立っているランサーが脱落すれば、本家ごと消滅せずこの戦いの記録だけ座にいる本家に持ち帰えるだけである。
 現在も似たような状況だ。ただ違うのは魔術的な肉体ではなく、人工的な肉体で現界している点だけである。
 そして自分の正体も明かされると、参った参ったと余裕ある表情で「ご名答」と言い、師匠と別世界の自分の単語で少しだけ真面目な口調になる。
「ほう、あちらさんのオレと師匠か興味はあるな」
 ライドウの世界の自分と師匠はどういう人物なのか会ってみたいと希望すると、血の香りが苦い香りと一緒に運んできた。
 それはライドウも同じだったらしい、気づいているかとこちらの視線を向けている。
「応、血の匂いがするな。奴(やっこ)さんとうとうおっぱじめたらしい」
 飢狼のごとく赤い目をぎらつかせ、荒々しく微笑むとランサーは待ちに待ったと言わんばかりに尋常ならざる疾さで駈け、血の香りがする方の端に手をついて、体をそらしてそのまま城壁の外へとダイブしそのまま落下する。
 鶏舎の戦いでげんなりしていた分もあったのだろう、赤枝の騎士としての血がたぎり落下中青い防具に身を包んで、そのまま跳ね橋へと落下していった。
 英霊とは人類最強の魂であり、その功績から後世の人々から語り継がれ信望されて英霊となり、座に登録される。
 ランサーも、アルスターの英雄として今日(こんにち)に語り継がれている存在であった。
 跳ね橋の入り口に着地すると、あたまだけと微塵切りにされた常駐兵と跳ね橋が下ろされていた。
「ほう、なかなかやるらしいな」
 自分は外の見張り担当に当たっているので跳ね橋のレバーは守衛する騎士に任せていたが、魔力を感じれる自分に気づかせずに忍び込めるとは厄介であるが敵ながら天晴れである。
 まずは存在そのものを根絶する相手に利くかは知らないが、もしここで戦わず別の何かと戦うとライドウ判断した場合、渡そうかと道に落ちていた小石を拾って探知のルーンを刻む。
 で、問題はこの惨状を作り出した大きな白と青の狼の背に乗る首なし騎士。
「微弱だが魔力を感じるな。ま、オレを呼んだんだ。当然あっちも召喚できるよな」
 同じ科学力を持つ敵組織なので、英霊召喚の芸当ぐらいはできるだろう。そう朱い魔槍を手にして、一匹と一人に構えると銃撃音が鳴り響き、風切り音は背の騎士に向かって放たれる。
「支援か、助かる」
 遠距離で攻撃している人物がいるとなれば、ここは一騎当千の活躍よりも相手の狙撃ポイントを作り、持ちこたえるのがベストだろう。
 さて、まずは狙撃手の攻撃果たして―――――
>17代目葛葉ライドウ ヘシアン・ロボ (アベリィ・シルバラード)

2ヶ月前 No.493

『小犬のカーニバル』-小犬のワルツより- @akuta ★Fwax7xTHaw_ly4

【面倒くさい男がきたぞ! お相手。よろしくお願いします。お値段以上ニ・ト・リ☆】

【マロニス王国→王都ロンカリア/ホール→噴水広場/ショパン】

 なんだか騒がしくなってきた。噴水広場で襲撃だとせわしない臣下の話を聞いて、ショパンはぎょっと丸い目を見開く。
 ついに始まったかと、背筋を凍らせて恐怖に染まり一瞬だけどうせ関係のない人達だと自分も逃げようかと思ったが、音羽館の住民の顔が、ガラス管越しで気さくに挨拶された壮年男の顔が過った。
 なんでみんながいなくなる危機に勇気を振り絞ってここまで来たのに、自分は逃げ腰になっているのか。
「……」
 ショパンの表情は髪で隠れて伺えないが無言で何かを感じ取ったのか、城内の入り口まで駆け足で目指した。

 城下町へ出ると悲鳴が繊細なショパンの心をえぐる。
 こわい、こわい、こわい、こわい、こわい、こわい。こわい。
 飛び交う立ち止まるな食われるとの単語を聞いて、経緯は省くがゾンビ化した三人組に襲われそうになった気分になり涙が出そうだ。
 だがそれでも足は止まらない、人ごみの波をかき分けて目的地へたどり着くと、芋虫が人を食らい溶解されている図を見て思わず体を俯いて吐く。
 よりよって一番グロテスクな相手に当たったと、当たりの悪さに目がくらみそうになる。だが、来てしまった以上もう逃げられないと堪忍すると、胃の中ものを全部吐き出したあと無言で芋虫を使役する白髪の女性を憂い気な目を向ける。
 白い芋虫が人々を食らう様子を見て笑っている。人間に敵わない存在だと主張しているようだ、その表情が"怒り"と感じ取ったのは何故かは知らないが紫と白いタクトを手元に出現させ、挨拶代わりに台詞を唱えた。
「私は虚無に音楽を描き出す(W nicosci tworze muzyke.)」
 体を光に包ませると白いライダー服から紫の燕尾服に着替えると、まずは一曲。この惨劇に似つかわしくない陽気で明るい円舞曲に合わせてタクトを振るった。
 この曲は『ワルツ第六番』通称『小犬のワルツ』
 フレデリック・ショパンが作曲した21のワルツの第六番。
 ショパンの伴侶であった女流作家ジョルジュ・サンドの飼い犬が元気に駆け回る様子を見て、書き上げたとされている。
 様々な犬の鳴き声が交差し、ボーカロイド達がリレー形式で犬に関する歌詞を可憐に歌い上げていく。
 弱気になったもしくはまだ餌食になっていない人間達関係なく、五線譜に包ませると個性を生かした犬に変身させ光の粒子と音符が飛び交う中、ショパンはサーカスの猛獣使いのごとく凛々しく命じた。
「みんな戻れ!」
 すると犬にされた周囲の人々は素直にその号令を聞いて一目散に自分の家や持ち場に戻っていく。一方、蹂躙していた芋虫は。人工知能を搭載されたパッド型の機械のように人間ではないので姿は変わっていないが、犬耳と尻尾だけ生やされていきなりの事態に困惑しているようだ。
「……君、敵だね」
 ショパンは知らないがど派手な演出と演技かがった喋り方を好む相手からすれば、恐らくこのムジークに高揚するのだろう。
 タクトを一旦降ろして、口調はたどたどしいがそう魔族に向かってぼそりと呟く。この状況に気づいた誰かの援護がくるまで戦闘を不得意とするショパンは果たして持つのだろうか。
 そして悲惨から混沌とした風景に塗り替えた場から、人々がいなくなるのを見計らって次のムジークを発動しようと心の中でそう思っていた。

>ワームテイマー

2ヶ月前 No.494

葛葉の一枚看板 @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_HV3

【王都ロンカリア/城壁・上層/17代目葛葉 ライドウ】

「ざっくりした言い方だとそうなるな、今は分からないということは……いや、考えても詮無きことか」

分からないことがあると思考の海に沈みそうになるのはライドウの悪い癖だ、意図してそれを振り払う。
しかし葛飾北斎を知らずともフォーリナーとかいうクラスを知らないとはどういうことだろう?
少ない材料で推察するにサーヴァントはいくつかのクラスに分けられて召喚されるようで、クー・フーリンはさしずめ『ランサー』とでも言った所か?

「ああ、紹介してやる……と言いたいところだが、今はあちらを先に片付けよう、紹介はその後だ
 来い、コウリュウ!」

ライドウは緑色に光る金属製の二本の管を取り出すと、躊躇うことなく城壁から飛び降りた。
四聖獣の長たる黄龍だが最近乗り物代わりに使ってばかりだ、本人は気にしていないようで何よりである。
コウリュウの背に乗って一直線に戦場たる跳ね橋に到着すると同時にコウリュウを管に戻して、今度は別の悪魔を呼び出す。

「首無しの騎士、デュラハンか? いや、あれはもっと別の何かだ、特に下の獣は
 来い、ヨシツネ!」

『事情は分かってる、とっとと始めようぜ17代目!』

首無しの騎士に白と青の獣、獣の口元にはおびただしい量の血が付いている。
この殺し方は敵意による殺し方ではない、もっと別の、例えば”憎しみ”による入念な殺し方だ。
殺した後に食らうではなく生きたまま食われた死体を尻目にライドウは抜刀、ヨシツネも二刀を構えて敵対者の様子を探る。

>ランサー、ヘシアン・ロボ、(アベリィ・シルバラード)ALL

2ヶ月前 No.495

ミラノ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_JM6

【王都ロンカリア/大通り〈裏手)/ミラノ】


「ハ―――余計なお世話だってのッ」

 ―――しかし、それでも相手の動きの方が一手早い。

 当然と言えば当然だ。ミラノが幾ら距離を詰めるとしても、構えて振るには二手掛かる。
 対して彼方は………予想していなかったわけではないが、ラグがない。
 読みさえ当てればこちらよりも短い手で詰めて仕掛けることが出来る順応性。外見通りの優男ではないと思っていたが、やはりと言うべきかこの男、存外に闘い慣れていると見える。何より………。

「(しかし、微塵もブレやしねえのかこいつ。アタマ良いっていうより、どっちかっつーと………)」
「薄い。………あー、そうだ。お前、薄いんだわ」

 目の前で消える曲芸/蜃気楼《ミラージュ》のタクティクスカードに対する反応が早すぎる。
 戦闘スタイルがどうのこうのという問題ではない、プラスとマイナスの揺れ幅が少なすぎる精神性。
 ブレのない視点が導き出す、冷たさと鋭利さを伴う最適解がミラノの行動を読み切っている。彼方の行動の柱は理だ。それが当人だけに理解出来る狂気の理なのかについては審議の意味を感じないので後回しにするが、兎角戦闘という点に関しては行動への起伏が小さすぎる。死にたくないなどと口にしてはいたが、あまりにも上滑りしていてむしろ寒いものさえ感じるのが正直なところだ。

「例えばオレがお前を殺しても、自分が何も知らねーヤツを平気でブン殴っても」
「何とも思わないようなツラしてる癖に、良く口は回るもんだってな―――」

 このタイプとの戦闘経験はない、となれば後は山勘だ。
 引かれたデッドラインに突っ込めば後は一本道だ。そうならない為にも―――

「―――っ、らァ!」

 まずは守勢最優先。闘ってみて分かるが、相性は間違いなく悪い方だ。
 手立てがないでもないが、そういうものは勝手に悟ってくれていた方がやりやすい。
 ………そして、守勢からの攻め手に至るまでのラグを可能な限り減らす。判断が決まれば後は行動。

 そのまま斧をどこでも良いのであてずっぽに投げ飛ばし、建物へと突き刺せば。
 手元に繋がっている鎖を辿っての三次元機動で、危うく腐食の壁への直撃を避けて追撃の弾丸を回避し切る。
 リカバリーが済めば後は反撃だ。あれの応用幅は先程から弾丸一辺倒だが、壁としても使える―――攻防一体、余計な技術も要らない殺戮の全自動化。触れれば生命を腐らせる不浄の力は打ち合いにおいて一方的有利。つまり対策方法が限られてくる。
 ひとつは反応を上回る。速度勝負になる分有利だが、相手のそもそもの有利を掻き消すほどではない。
 そしてもうひとつは―――。


 建物ごと壁を蹴り飛ばし、三角跳びの要領で強襲。
 再び左方向から速度と重力を乗せて、胴体目掛けて袈裟掛けに斬り伏せに掛かるべく接近。

 ―――そのまま行けば間違いなく、アレが貼る壁に突っ込んでジ・エンド。
    その通りだ。だから先ず、最初はフェイントを掛ける。

 つまり素通りする。攻撃の動作を掛ければ間違いなく反応するだろうから、反応しそうなギリギリで止める。
 こと置いて当てるという理屈が通用する反則技の持ち主だ、多少近距離戦闘には不利が出る。
 であるに命中させるなら、先ずは速度勝負と反応速度の格差に持ち込めばいい。そう考えた上で―――この場が裏路地であることを生かした立体機動。壁を蹴り直進して反転、壁を蹴り直進して反転を繰り返し、本命と虚を読ませない。
 蜃気楼《ミラージュ》のタクティクスカードのタネは割れている。なら使い通しても意味はないだろう。この相手が虚実で惑う手合いではないことは分かったのだから、別の仕掛け方をするだけだ。

「―――もう一発!」

 ―――繰り返すこと五度目。
    この発言もフェイク、口にしておきながら再び素通りして攪乱し。

 壁を蹴ること六度目、まさか来るまいと読ませた真正面からの斬り込み。 正確には、真正面から手持ちの斧を投擲し、その鎖を辿って本命の自身が飛び込み、掴むと同時に斬り裂きに掛かる二段構え。
 自分の動きだけを追っているならば、丁度自らが飛び込む時間に合わせてアレは壁を貼る。
 そうなった場合ミラノは行動を中断する必要があるが、それよりもワンテンポ早く飛来した斧がその胴体を切り裂くだろう。そうなれば見事肉斬骨断の成功というわけだ。
 あるいは、そう、もうひとつ………―――。

>黒谷平助

2ヶ月前 No.496

“塵殺剣” @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_JM6

【深淵の間⇒(移動中)/ニア】

 争いの根本とは、そもそも負の連鎖にある。
 撃たれてはまた撃ち返し。
 撃ち返してはまた撃たれ。
 知らず、聞かず。妬み、憎んで、その身を食い合う無為なる死の積み重ねだ。
 愚かにも生命というものは、その本能に身を委ねるが故に争うことを止められない。それなる祈りは何千年も掛けて願われて来たものであるが、何千年と掛けてもその境地に達した歴史などない。人にも、そして、実を言うなら魔族にも。
 だが、人という種族は均一だ。その命に差異はなく、その生態に魔族ほどの区別はない。
 区別が無く、個としての違いがあれど種としての違いはない。つまり、生態ゆえに争う道理はない。生命のシステムとしての不倶戴天ではない、彼らの歴史は“争い”にして同族を捕食する屍の歴史なのだ。そこにあるものを自らは知っている。

 いくつか、見て来た。
 いくつも、見て来た。
 呪わしいほどに、飽くるほどに、疑うほどに、見紛うほどに、生命の価値の大量消費がそこにあった。
 積み重なる塵の山を見るような感覚だった。だから、何時しか己には、人間という種族が―――■■に見えた。


「なるほど。殿下の意、確かに受け取らせて頂きました」
「御身のことを、私は少々誤解していたようだ」


 ………思考を顔に出すこともなければ、声色に出すこともない。
 その点において、ニアという魔将軍は極めて礼儀正しいと言えるし、感情の起伏が薄いとも言えた。
 彼女が何を、どう誤解していたと口にしたのか。それを本人は、やはり“無意味なこと”だから語らない。

「―――さて。故にもう一度問わせて頂きますが」
「御身は、その覚悟がどこにあると?」
 、  、   、   、    ・・・ ・・・・・・・・・・・・・
「それが真の望みなれば、御身は一体何処で、その意思をお示しになられたのです?」

 ―――だから。
    その瞬間に彼女が語ったのは、あくまで“魔将軍”としてのニアの言葉だ。


「この戦争を、まさかそのような心積りで始めたと仰りますか。
 御身の意図にそぐわぬこの戦争を、如何なる理屈で飾り立てるつもりでしょうか。
 和平が成就すれば、御身にとって失われる魔族の命はただの“必要な犠牲”に過ぎぬ、と?」

「………ああ。誤解なさるな、それも執政者の務めであり才能だ。
 いざ始まった戦争に犠牲が出ない道理はない。その犠牲者を選ぶのが、執政者に求められる能力ゆえ」


 それが目的ならば、戦争の意味など最初からない。歩み寄る言葉を投げかけるだけでいい。
 まさか出来ないということはないだろう。犠牲者を選ぶのが執政者の務めだ。
 それを反対する者の顔などすぐに浮かぶが、それを処断して纏め上げる事こそ主君の責務に他ならない。

「ですが、どうやら御身にとって生命の天秤は平等ではないらしい。
 ああ、なるほど。私は、殿下のことを少々誤解していたようだ………」

 つまり彼女が口にする言葉の意味など語るまでもない。“それがやりたいのなら何故そうしない”という一言に尽きて………それが本音であるならば、この戦争には如何ほどの意味があり、この争いには如何ほどの価値があるのかと口にしているのだ。


  、 個の主張による出来る出来ないなど関係ない。

  、 何故ならそれが組織と言う歯車の長に課せられた役割であり、その頂点にしか出来ないこと故に。


 それがしたいならば、チェルを斬り捨てれば良い。
 恩義がどうの、理屈がどうのではない。1を斬り捨てて9を救う最適な手段がそれだと信じるのならば、
 それをすればいいのだ。決める権利は長にある。
 何も難しい話ではない、それは10の集団を扱うモノに課せられた最大の宿命である。何故なら、その舵取りを行うモノ次第で、10の集団の生命とは一瞬にして塵に帰すことだってあるのだから。


「―――無礼が過ぎました。お許しを、殿下」
「しかし、私の答えは返したつもりです。では、これにて。必ずや勝利を」


 そうして、彼女は最後まで。一切態度を変えることなく立ち去っていく。
 一切感情を見せることなく。あくまでも、魔将軍としての礼節を保ったまま、部屋を後にする。

 ―――ところで話は変わるが。
    彼女は魔将軍の中では魔法に秀でぬとはいえ、将軍の地位故にその技術は相応のものに達する。
    その魔法の得意分野は即ち風。であるに音を運び、何処かに閉じ込め、再び届けるなど造作もない。
    ・・・・・・・・・・・
 ………それが何を意味するのかを、彼女は語らない。やはり、“必要のないこと”だからだ―――。


◇ ◆ ◇


 ………そうして、部屋を後にしてから暫く。
 臨戦態勢の状況と兵舎の異常を耳にした彼女は、しかし動じることなく行動を始めた。
 とある者を探す為に。回廊を歩き始めていく。

「御身は、それを選ぶのか」

 そして。誰の気配もない空間で、彼女はひそかに何事かを呟いた。
 誰も、なにも居ない場所。彼女はその時にだけ―――。


「過大評価をし過ぎたな。貴様は見込み違いだよ」


 一切の表情と態度を変えず歩く中で、声色に一筋の■■を乗せた。


>ヴェルメイユ(前半)

>対象なし(後半)

2ヶ月前 No.497

黒谷平助 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_FXK

【 王都ロンカリア/大通り(裏手)/黒谷平助 】
    、   、   、   、   、   、 ・・・・・・
 知と理、――積み重ねられた魔術師としての戦闘経験と破綻した自我を組み合わせた結果は、機械的な戦法。
 <腐食>の魔法、否、<腐食>という現象そのものが万人にとっての相性は非常に悪い。
 魔力防御でも施さない限りは受けた刃を上から喰らい、受けた盾を蝕み、そして受けた傷を致命傷とする澱みの現象。
 今回の戦闘がいい例だ、――こと「触れば勝ち」という一点において黒谷平助の魔法は近接戦闘主体の相手に特攻を発揮する。

 故に、逃げることしか許されない。
 ミラノの斧が舞う。腐食の壁に触れる手前で大きく距離を取る。《黒金の壁》は消えた。永続性はない故に。
 黒谷は一歩もその場を動かない。ヴィンクラを右手で軽く弄びながら、相手を待つ。ただただ、待つ。
 壁を蹴り反転。
 壁を蹴り反転。
 壁を蹴り反転、――繰り返すこと五度。
 更に壁を蹴り、反転。……突っ込んで来る。だが、ミラノの手元にあるはずの斧はない。
 何処へ――いや、それを気にする必要はない。
 ミラノは腐食の事象を明らかに警戒していた。
 そのうえで正面突破を試みるのならば、腐食の壁を超える自信があるということだが――黒谷が求めた結果はそれ以前の話。

「ガラクタは――等しく、無意味だ」

 テンパス・コンシトゥス
「《時よ、疾く》」

 ・・・・・・・・・
 黒谷が突如加速した。
 少年にしてみれば、突如として目の前から黒谷平助が消えたようにしか見えないだろう。
 否、それは人間に不可能な領域における高速機動。あるいは神経から脳への伝達速度の強化。
 それらを総称して――"自身を流れる時間を加速させる"といった行為に等しい。

 腐食の魔弾と腐食の壁。
 総じて、これらが引き起こすものは「黒谷平助の得意領域はミドルレンジと圧倒的な近接戦の対応力である」。
   、 ・・・・・・・・
 ――と、注意を向けさせること。
 マジシャンが右手を見ろと言ったならば、左手には必ずタネが仕掛けられているものだ――と、人は言ったものだ。
 考えが行き着く方が無理があるだろう。
 地水火風、万象<エレメンタル>四属性ならばまだしも、クセの強い属性を二つ所持し使いこなせるものは稀有なのだから。

 黒谷は認識する。ワンテンポ早く此方へ強襲を仕掛ける大斧。
 成る程。視線を向けさせるためのミラノの高速機動は囮。
 もしミラノを注視し、彼が飛び込むタイミングで網を張ろうものならば――先に飛んできた斧が引き裂いてくるといった寸法か。
 それを全て理解する。
 理解して――。

「その策を――全て潰す」

 透き通り――しかし氷点下にまで冷え切った声は、そう宣告する。
 ミラノの背への強襲。短剣《ヴィンクラ》が振るわれる。
 その速度、鈍が鋼を叩き切ることが出来るほどに速く、そして斬閃も鋭く一切のブレがない。
 だとしても彼は前へ逃げようとするだろう。だからそれも、許さない。

 ディアブル・テンペスタス
「《忍び寄る悪夢》」

 テンパス
 時属魔法――解除。
      ディアブル
 起動、――魔属魔法。
 黒谷平助は太陽を背にし立っており、伸びる影は必然的にミラノを覆い前へと延びている。
 その影がぐにゃりと気味の悪い粘土細工の如く蠢いた。そして、"立ち上がった"。
 それは悪い冗談<アクム>のように、ミラノへ覆いかぶさらんと抱きしめるように襲い掛かった。

 触れれば腐らせ折り畳まれて、地面へとしまいこまれる性質の悪い冗談。

>ミラノ

2ヶ月前 No.498

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【王都ロンカリア/大通り(表通り)/オムニス・デューザ】


静寂に包まれる大通り、人の姿は全て血の海へと変貌し居るのは巨躯の悪鬼、それの掌にいる彼女のみ。惨状を引き起こした本人とは思えぬほど彼女は何も知らず、傍にいる魔族も平然を保つ。
そこに現れるのは二人の青年と、一人の機械的な青年。前者は何事かと思いここに駆けつけてきたようだ、しかし魔族の襲撃の中で態々中心部に向かってくる以上ただの国民ではないだろう。服装を見れば、少なくともこの周辺の人間ではないことが分かる。
続く後者は何らかの魔法により高速接近してきた、惨状を見るや否や銃を彼女へと狙いを定めた。纏う服装が明らかに見慣れたものではなく、噂の未来人とやらだろうか。平和を謳い、反抗した国民を虐殺した、その事に苦言を呈している様だ。

「これは、話を聞いてくださる方でしょうか。ええ、丁度よかったです。先程まで話を聞いてくださっていた方々が突然居なくなってしまいました、ですがこれで共存の道を示せます。」

首を傾けながら笑顔で語るは彼女、儚さと傷跡が浮かぶ顔に喜びの笑みを浮かべながら三人の来訪者を歓迎する。仮に手が動いていたならば胸の前で合わせ、喜びの様を表していただろう。
傍らにいる魔族も向けられた銃に警戒こそすれど、それ以上の干渉は未だない。数ある腕の幾つかが彼女を守るために動いただけで、言葉を発する気も先に仕掛ける気もない。あるのは彼女を傷付けるものを排除する意志のみ。

「しかし、一致しないとはどういう事でしょうか……?専守防衛、と言った事も心当たりがありません。ただ私は人間と魔族は共存できると、それを伝えたいだけですのに……」

何度も繰り返すが彼女にあるのはあくまで争いなき共存の道、その可能性を示し実現させることだけ。だから彼女はその為に言葉を尽くし、その為に行動を行う。
そうだとも、魔族がやったことと彼女の意思は関係ない。彼女が共存を望むことと同じほど、魔族は彼女が傷つくことを恐れている。だから彼女に問うて虐殺など存ぜぬ、目の前から居なくなった人間の行方など知る訳がないのだ。
だからこそ彼女は理解できない、何故機械的な青年が専守防衛と言ったのか、何故言動が一致しないと言ったのかを。彼女にとって目の前に広がるのは血の海ではなく、魔族が見せた偽りの大通りだけなのだから。
それでも彼女は再び微笑みを浮かべ、人間のいなくなった大通りに現れた「人間」かもしれない存在に語り掛ける。相手が敵意を持っていても構わない、ただ共存できると伝え続ければいつかその心に届くのだから。

「ええ、ですのでお話し致しましょう?魔族と人間は共存できると、私が命有ってこの場にいることが何よりの証明です。さあ、貴方の意見をお聞かせください。」

純真を通り越し、心冷えする何かを感じさせる笑みを浮かべ「人間」に問う。貴方は共存できると思いますか?

>>桐生戦兎&万丈龍我 橋川 清太郎

2ヶ月前 No.499

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【マロニス城→移動中/厨房/ミコルナ】


レーヴへ背から抱き着き、お叱りと心配の言葉を貰った彼女。そう、彼女に骨抜きにされた人間は悪戯程度なら許してしまうし、彼女にとって都合のいい言葉しか言わないのだ。そんな中レーヴはありきたりな反応以外を返してくれる、だからこそ彼女が未だ飽きずにお気に入りとする理由であった。
そんなレーヴへの返答、指を顎に当て身体を数度揺らしながら考える振りをする。揺れるたびにレーヴの首に彼女の重さが加わるがきっと平気だろう、彼女は飛んでいる上に軽い、尤も首に掛かる負担は横なので大して関係はない。

「だってレーヴに会いたかったんだもん、少しの邪魔位許してよー。それにレーヴが構ってくれれば他の人なんていいもんねー!何かされても勝てちゃうし!」

小悪魔な笑みを浮かべながらレーヴの横顔に、自身の顔を寄せ唇が触れそうなほど近い距離で囁く。その後、パッと離れてレーヴにもっと構ってと暗に告げつつ、あまり気にしていない事を話す。
事実、彼女は見た目にそぐわぬ強さを持っている。近接戦こそ苦手だが、空中を自在に動けるうえに弓の名手。何かされそうなら空に逃げるし、しつこいようならそこから撃退もできる。
それに彼女に骨抜きにされた他の人間も黙っていない、特に理由なく突っかかれば勿論の事理由があっても味方し凡そ相手は多勢に無勢になる。ただレーヴは彼女に非があるなら叱る、それも新鮮だからこそ飽きが来ない。
さてそんなレーヴへのおねだりには対価が出された、今度彼女が食事をしたときに同じように分けると言ったものだった。その程度ならと彼女は即了承するだろう、実際する。

「うんうん!今度お返しするから、それ貰うね!はむっ」

即了承どころか、相手の了承を得る前に切り分けられていたステーキの一つをレーヴのフォークで食べる。返す当てはあるかと聞かれればある、傭兵としての報酬を除いても貢がれるので色々買っても少し余る程度にはお金はあるのだ。
食べている彼女は口に出さないものの満面の笑みでステーキを噛み締めている、頬に両手を置き幸せそうに食べている。艶のある唇に目を奪われがちだが、柔らかな薄く赤い頬もまた可愛らしい。
幾らかの咀嚼の後、飲み込む様子が喉の膨らみによってわかるだろう。食べる姿でもどこか背徳感を感じてしまう、老若男女問わず骨抜きにされてしまう理由の一片がここにあった。
満足そうな顔でもう一口ねだろうと試みるが、既に時間は危うい。レーヴにも出撃の命が下された以上長居は出来ない、少し名残惜しそうにしながらもレーヴから離れる。

「じゃあ、あたし行ってくるね!レーヴも頑張ってねー!」

手を可愛らしく振りながら翼をはためかせ騎士たちの頭上を駆ける、ご機嫌に揺れる尻尾から分かる様にレーヴに構ってもらい嬉しそうだ。これならば最高の状態で戦いに挑めるだろう、気分屋の彼女の戦闘能力は機嫌で変わると言っても良い。
詰まる所、超ご機嫌な彼女は今は最強なのだ。攻め入る魔族の身体も精神も撃ち抜いてしまうだろう、前で共に戦ってくれる仲間が居ればさらに撃ち抜いてしまう。
意気揚々と戦場に向かう彼女、鼻歌交じりで見た目こそ可愛いがその強さは本物。待ってろ魔族、最高にご機嫌な可愛い子に射抜かれるぞ。

>>レーヴ・カストリス


【一度ここで絡みを切らせて頂きます、また戦場で会いましょう。】

2ヶ月前 No.500


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