Google
    
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▼ページ下 >>

【ALL】Chrono Crisis【戦闘/シリアス】

 ( なりきり掲示板(フリー) )
- アクセス(5087) - ●メイン記事(1216) / サブ記事 (266) - いいね!(5)

時を巡る旅路 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_UxJ

進化と共に新たなる技術を生み出し、その活動域を地球全体へと広げていった人類。
彼らは常に自らの生活を豊かにすることを考え、革新的な発明を世へ送り出し続けてきた。
留まることを知らない人類の科学力は、やがて禁断の領域へと足を踏み入れていくこととなる。

西暦6990年、それまでの常識を、それどころか世界の法則さえも歪めてしまうような大発見が人類にもたらされた。
時間遡行……俗に言う"タイムマシン"を駆り、現在と過去や未来を繋ぐ手段。人は、その方法を確立した。
今まで文献を漁ることでしか様子を知ることの出来なかった過去と、思いを馳せることしか出来なかった未来。
それらへの道が開かれたことは、確かに衝撃的ではあったが、同時に新たなる問題も浮上することとなった。

タイムパラドックス。未来からやってきた人間が過去に干渉することによって起こり得る、歴史の改変。
たった一つの筋を辿るように紡がれてきた歴史に矛盾を生じさせてしまえば、世界そのものの崩壊を招きかねない。
不測の事態が発生することを恐れた時の世界政府は、直ぐ様会議を開き、"時間遡行法"を制定。
資格を持たぬ者の時間遡行を禁ずると共に、時間遡行中の行動に厳しい制約を設け、歴史の改変を未然に防ごうとした。
―――しかし、全ての人間が、その決定を黙って受け入れた訳ではない。何せ、これは空前絶後の大発見。
上手く時間遡行を利用すれば、世界を思い通りに操ることも可能……そんな邪な考えを持った人間が現れるのは、当然の流れであったのだろう。

時間遡行法の制定から数年が経過したある日、歴史の保護を目的に設立された組織、「時空防衛連盟」が、大規模な時空振動を観測する。
遙か数千年前より発せられし、時空の歪み。それは紛れもなく、今この瞬間に、"歴史の改変"が実行されていることを示していた。
改変を止めることが出来なければ、タイムパラドックスの連続によって、やがて世界は消滅してしまう。
時空振動の余波によって、世界線の境界そのものが揺らぐ中、時空防衛連盟の面々は、人類の歴史を護るための戦いに挑む。



【クリックありがとうございます。この物語の舞台は時間遡行技術が確立された未来と、能力のある者のみが人権を得ることの出来る古代、人類と魔族が熾烈な戦いを繰り広げる中世という三つの異なる時代です。歴史是正機構は禁忌である歴史の改変を実行しようとしています。彼らの思惑を阻止するべく行動する時空防衛連盟の面々と、何としてでも歴史を書き換えようとする歴史是正機構、更にはそんな両組織の戦いに巻き込まれた各時代の人々の姿を描くのが、このスレッドの主な目的です。

オリキャラでの参加は勿論、版権作品をあまり知らないオリなり民の方も歓迎ですので、オリなり民の方も、どうぞご遠慮なくご参加下さい。
なりフリー民とオリなり民、互いに協力しあうことで、よりよきスレを目指しましょう。

なお、合図があるまで書き込みは禁止ですので、ご注意下さい。まずはじめに、サブ記事の方を確認頂くようにお願いします。】

メモ2018/03/04 20:57 : 風神少女☆XQ6phrzcKMtR @infernus★F7MrHN45jw_cjE

―――現在は、第四章です―――


第四章:「昇華の革命」

中世にて起きた人類と魔族の闘争は、本来の歴史にはない、両者の和平という形によって幕を閉じることとなった。

幸いにも、時空断裂が起きることはなく、時間は止まることなく紡がれている。この"小さな"改変により、未来の人類と魔族の関係が改善されたのは、幸運というべきか。

しかし、帰還した時空防衛連盟の面々を待ち受けていたのは民衆の歓迎などではなく、未来世界にて発生した新たな問題であった。

突如として世界政府から出される非常事態宣言、錯綜する情報。そんな折に飛び込んできた、大統領が暗殺されたという報せ。

世界政府及び時空防衛連盟の情報系統が完全に混乱している隙を突いて、歴史是正機構が遂に革命を起こす。

彼らは人類を昇華へと導くため、今、この時代の"改変"を目論んでいたのだ。古代や中世の改変失敗も、全て計算の内であったのである。

まともな準備も整わない内に、この日のために準備を進めてきた相手との戦闘を強いられる時空防衛連盟。

もしも、敵が歴史是正機構だけであれば、どれだけ幸せだったことだろう。彼らは、自分達を疎ましく思う全ての勢力と、一度に対峙することを迫られたのである。


ルール&プロフィール:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-1#a

役職一覧:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-2#a

世界観・用語解説:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-3#a

各陣営の目的:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-4#a

第四章のロケーション:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-222#a


・現在イベントのあるロケーション

大統領官邸:大統領暗殺事件

時空防衛連盟本部:時空防衛連盟と歴史是正機構の全面戦争

歴史是正機構本部:時空防衛連盟と歴史是正機構の全面戦争

切替: メイン記事(1216) サブ記事 (266) ページ: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13


 
 

豪腕剣士 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ナコーン/酒場→撤退開始/マロン・アベンシス】

常人では決して不可能な動きで、敵を圧倒し続けるマロン。魔力も持たない彼女がこれだけの戦いぶりを見せる辺り、人間の可能性は無限大であるということだろうか。
だが、彼らも感心ばかりしている場合ではないだろう。必殺級の隕石を投げ返されたということは、今度は自分達の命が危険に曝されているということなのだから。
真っ向からの力のぶつかり合いで勝つのは難しい。ただし、今回の戦いにおいて、金髪の女性とマロンの相性は驚くほどに悪かった。力押しが主体である彼女にとって、それを受け流す術を持つ者は、天敵なのだ。
渾身の力を持って投擲された隕石は、敵の護りを容易に打ち砕くかのように思われたが、なおも抵抗することを諦めない相手は、咄嗟の判断で水を呼び起こし、攻撃の勢いを和らげる。
重力に従って落下した隕石の衝撃が金髪の女性を吹き飛ばしていくが、自らの得意とする戦法が通用しないのを見たマロンは、歯を食いしばり、厳しい表情を浮かべる。

そして金髪の女性から攻撃のバトンを託されたのは、大剣使いの男だ。大地を引き裂くかの如き魔力が火柱を立ち上がらせたのを見て、再びマロンは大きな跳躍を見せ、攻撃の範囲から逃れようとする。
しかし、最初の魔法は囮であったようで、彼女の眼前には男が振り下ろした大剣が迫っていた。頭をかち割られる訳にはいかないと、マロンも大剣を頭上へ引き寄せる。
刃と刃の衝突が、空中に火花を散らす。とはいえ、単純な力勝負に持ち込んでしまえば、こちらのもの。あくまで彼女は片手で対抗しているというのに、両手を使っている男の大剣が、徐々に押し戻されていく。
安全を確保したマロンは、最後に一気に力を込め、敵を弾き飛ばすと共に反動で距離を取り、次なる攻撃に備える。その時であった。酒場に、息を荒げて彼女の部下が飛び込んできたのは。

『ほ、報告です! ロンカ村に火が放たれた模様!』
「何だと!? 嘘じゃないだろうな、確かなのか!?」

パージルクによれば、あくまでロンカ村への攻撃は制圧が目的であり、焼き討ちを行うなどという話は聞いていない。勿論、罪のない村を攻撃するというのは、マロンにとっては気の乗らないことであったのだが。
だが、よりにもよって火を放つなどとは……現地の指揮官が暴走しただけかも知れないが、これでは魔道帝国に大義など存在しない。ここで彼らを討ったところで、村を焼き払ったという汚名が消えることはないだろう。
今までは口で言うだけだったが、これ以上あいつが暴走し続けるのを、黙って見ている訳にはいかない。マロンは大剣の刃先を地面へ向けると、二人に対して語り掛ける。

「やめだ。私が勝ったところで、何の意味もない。帝国がもっと勢力を広げたところで、また洗脳されてこき使われる第二人種が増えるだけだ。力で封じ込めてたって、いつか限界が来る。きっと帝国はもうダメだ。あんなことをしてるようじゃ、人の心が付いてくるはずもない」

ただでさえ第一人種と第二人種の格差が外部から問題視され、反帝国勢力を生み出していたというのに、加えて村を焼き討ちするようでは、国の評判の悪化は止まらないだろう。
第一人種となれた者達は、それでもいいかも知れない。だが、マロンは、その影で多くの第二人種達が犠牲となり、人としてすらも扱われずに死んでいくのを、見過ごすことなど出来なかった。

「ここはお前達が好きにしていい。私は国に戻って、"あいつ"を止めてくる。だけど、こいつには手を出さないでくれ。約束だぜ、もう戦いは終わったんだ。これ以上、誰かが傷つく必要なんてないだろ」

国に戻り、女帝を止める覚悟を決めたマロンは、二人に停戦を申し込み、更に倒れ伏しほとんど動くことの出来なくなっている味方の山羊には、手を出さないようにと懇願する。
勿論、敵である彼らが素直に受け入れてくれるかどうかなど、定かではない。だが、既に勝敗が決しているというのに、無駄に血を流す必要などないだろう。
もし、二人の内のどちらかが山羊の男に手を出そうとしたら、その時はマロンも全力を懸けて彼を守ろうとするだろう。どうか、そうはならないことを祈りつつ、彼女はいち早く帝国首都へと帰還するため、踵を返すのであった。

>レオンハルト・ローゼンクランツ、シフォン・ヴァンディール、ミルグラム・ゴート
【休戦要請。断られた場合はミルグラムを護りつつ撤退戦に入ります】

3ヶ月前 No.301

指輪の女帝 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【城砦都市ギリダン/玉座の間/パージルク・ナズグル】

「出会いの形とは選べぬ物です。 願わくば、そういった関係となれるのが一番よろしかったのでしょうな。 ですが……こうなった以上、もはや仕方のないこと」

ソレミアの言葉に対して、パージルクは彼女の目をしっかりと見た上で、自嘲気味に、もし、そんな未来があればと想像する。
だが、この場はすでに戦いの場となっており、はい、やめます。 と言えないほどにお互いには背負う物がある、もはや、無意味な説得の言葉を交わす事こそ無粋。

なれば、玩具に頼るのはやめるとしよう。 そうパージルクは妖しく笑って、ビットを自分の手元から離れさせる。
もはや、五属性を使う女帝と言う肩書きは不要、本業ではない四属性でこの者たちを相手する事こそ真の侮辱に他ならぬ。
そんな玩具を通した攻撃であったが、少なくとも自分の魔力を使った甲斐あって、敵対者たちに一定の被害を与えたようだ、だが、この程度で死ぬようならば、そもそも自分に挑む資格すら無い。 語った事も、全て力なき物の妄想と化す……まぁ、そんな事が無いようで一安心といった所か。

だが、確かに消耗した相手に対してパージルクは相手の言葉に返答する形で告げる。

「共に生きる、誰もが、か。 ははははっ、それを出来るであろう奴は二人知っている、だが一人はまだ未熟だ、国は任せられん。 もう一人は妾を残してずっと前に死んだ。 少なくとも妾しか指導者になれる者は居らず、そして妾にはその世界を作るのは無理だったよ、女帝パージルク・ナズグルは紛れも無く、指導者があらゆる民を幸せにする物と考えた場合、無能であったからな!!」

だが、こんな命でも役に立てる事がある、ならば、最期までそれに尽くすまで。
さて、敵は三人とも健在、結構結構、だが……ここで消耗を見せる程度で、はて、自分に勝てる物か?

ニケが咆える、ならばこちらも答えてやるのが礼儀と言う物か。

「やってみろ! 今こそかつて第二人種から嫉妬と畏怖を集めた、双璧を成す"化け物"が片割れ、光魔術師パージルクが正面から叩き潰してくれよう!! ――ほう、闇、いや、重力魔法か。 だがそれも、影すら掻き消える極光の前には、無力」

敵対者が放つは特大サイズの火球と熱線、そして闇色の光線、その攻撃にパージルクは光魔術師と名乗った直後の事であったため、一瞬心を躍らせるが、すぐに重力魔法と聞いて落ち着く。
パージルクが両手に魔力を収縮、それを天に向けて撃ちだす……すると、おおむね到達速度が同じだった火球や光線が到達する前に、天井を粉砕して、天から無数のレーザーのような"極光"が降り注いだ。

それは国ひとつならば軽く焼き払えるような威光すらある大魔術。 本来攻撃用のそれを無理やり防御のために使っているような、魔力の無駄使いの極み。
その前には、火球も、影も、床も、何もかもが平等に消し去られる。

だがまだ敵の攻撃は捌ききれていない、接近戦を仕掛けてきたソレミアと、追尾性を持つ熱線が迫っている。
しかし、パージルクは一切避けない、というより、回避できるほどの機動力が無いために、彼女の戦闘スタイルとして、どっしりと構えている事が大半なのだ。

――光剣

ただ、それは接近戦が不可能である事を意味しない。 無論、彼女は武芸には秀でていない、しかし。

「圧倒的出力差の前にはあらゆる技能が無へと還る、それが妾の戦術でな!」

彼女の右手に生成された光剣が振るわれる、だがその速度は遅く、とてもソレミアの回転攻撃を防げる物とは思えなかった。
だが、特筆すべきは、その大きさだ。 まるで玉座の間全てをなぎ払えるような"光剣"は、いともたやすく、火力差の暴力でソレミアの勢いを削り取る。

蒸発はしない、それだけ相手の剣も良い物であると言うこと、だが、だからと言って攻撃が通ると言うわけではない。
凄まじい音を立てて光剣に力がこめられ、ソレミアを、まるで鉄の壁に正面から当たった駒のように弾いて見せた。

しかし、パージルクの本業ではない接近戦は、確かに彼女に隙を生み出した。
ほぼ全ての熱線が光剣のなぎ払いによって蒸発したが、一本だけがパージルクの腕を焼いたのだ。

「まぁいい、さあ今度は攻撃にこの強大なる力、振るわせて貰おうか」

パージルクが軽く腕を振るえば、彼女の使い魔たる光の精霊が三機現れる。 それらは、出現した次の瞬間に、敵対者三人に対して、あらゆる物を消滅させる"光線"を発射する。
だが、攻撃はそれだけではない。
彼女の使っていた玩具ことビットも、自律行動が可能なのだ。

あまりにも凄まじいパージルクの攻撃と比較すると、砂の一粒に過ぎないような威力ではあるが、それでも敵を消耗させるには十分な火球を橙色のビットは乱射し、同じく氷槍を紺色のビットは発射する。

>ニケ・エタンセル ソレミア・ラガルデール エクセラ・ノア・アウラ

3ヶ月前 No.302

ギギナ @koki☆iOEaToagbI2 ★P24UIEe7ZZ_D9v

【 ナコーン/森林/ギギナ 】

 背後を取られての斬激、並みの戦士であれば即死の攻撃ではあったが細身の太刀と彼女の筋力では尖角嶺(センガ)の棘は断ち切れないと予想通り、半ばで止まったのを背景に後方へ跳躍。距離をとるためと副次的な目的である彼女の負傷にはどうやら至ることはなかった。さすがにすべて予想通りに行かない展開に苛立ちを起こすわけでもなく口元には笑み。純粋に自身の命を脅かす彼女との命の取り合いを楽しんでる笑みでもあった。

 地面に着地すると先ほどの接近戦で髪が焦げていることに気がつく、恐らく背中も同じように稲妻の影響を受けているのだろう。四肢には槍で出来た傷口から鮮血が流れていた。負傷こそしているものの動ける範囲であるし、片腕でも残っていれば戦える。対して彼女も肩口が大きく裂け血が滴っていた。こちらと同じく負傷の度合いは低いと予想。

 「…謙遜するものでもない。…それと先ほどの貴様の答えをいってやる。」

 正眼で構え相手が打つべき選択肢が少ないことは幾度の戦闘で理解していた。単純な剣技での戦闘が出来ない以上一つ一つの動作で奇襲をかけていくしかない。反応速度も咒式を使っての自身とほぼ互角。後は決め手をかけるだけだと結論付け迎撃に備えて重心を落とす。そして飛び出す相手の動きに変化が生じていた。

 刀身を鞘にしまい最低限の動きで敵を切り去る抜刀術であった。東洋の武士が行う居合いを仕掛けてきた相手に呼応するかのように跳躍、自身の腹部に近づいた刃を冷静に屠竜刀を盾にするかのように構えちょうどそこへ太刀が現れる。確かに鞘から放たれる居合いは音速を超えているだろう。しかし、鞘に刃をしまったことで抜刀される位置が固定されてしまう。柄を握る手に衝撃、骨を折らんと屠竜刀から伝わる衝撃が抜刀の速さを伝えていた。

 「…戦うことしか未来を示せない貴様は人間として欠陥品だ。貴様も私も戦いという中でしか自分を見出せないものが待つ場所は地獄じゃないといけない」

  屠竜刀に伝わる衝撃を受け流しつつ前進、遅れて背後から地面にそそり立つ稲妻の柱を背景に反転。その際に背を稲妻で焼かれるも痛みを無視し空輪龜(ゲメイラ)を発動、自身の背に噴出口が出現し圧縮空気を放てば勢いを乗せ先ほど背後を取り背を焼かれたお返しとばかりに背を向けたままの彼女へと刺突を放ち

 イスマリ (魔大老エスト 桐生戦兎 17代目葛葉ライドウ)

【お相手をしていただき嬉しく思います。久しぶりの連続しての戦闘に大変嬉しく思います。
 ただ、大変心苦しいのですが、流れとして撤退をしていくみたいなので次のレスで撤退をさせていきたいと思います。】

3ヶ月前 No.303

Lzh @lllllzh☆PvKD6UICUoMc ★TuwsMa7hHI_W3T

【ナコーン/森林/仮面ライダービルド】

「……!!」
怪物によりこちら側の攻撃が防がれてしまった。
それにしてもこの怪物はなんて見た目をしているんだ。戦兎は一瞬そう思ったが、見た目などたいした問題じゃないとすぐに確信した。
『どんな相手であれ、勝利の法則は必ずある』と――――

――――魔大老の名、伊達ではないのでな。ああ、その手からは逃げることをお勧めする。深き闇に捕らわれるのは、永遠の苦しみを味わうそうだ。

「あぁ……言われなくてもな!」
ホークガトリングの能力で飛び回り、怪物の腕を避ける。

(勝利の法則……見つけ出す!)

「!」
その途中で一瞬反応が遅れ、下半身を掴まれてしまった。
とっさにホークガトリンガーで攻撃してそれをふりほどき、再び飛び回る。

「……?」
その途中、『あること』に気づいた。
それは『怪物がどんどんどこかに吸い込まれていっている』ということだった。

「勝利の法則は、決まった!」
確信した戦兎は、攻撃を避けながらホークガトリンガーのリールを回していく。

『テン! トウェンティ! サーティ! フォーティ! フィフティ! シックスティ! セブンティ!』
怪物から距離をとり、必殺攻撃の準備にかかる。

『エイティ! ナインティ! ワアアアアアンハンドレッド! フルバレット!』
「はぁぁ!」
怪物を押し込めんとしたホークガトリンガーの必殺攻撃。
はたしてうまくいくだろうか?

>怪物、魔大老エストおよびその周辺all

【大丈夫かどうか少しわかりづらいロルです。問題あるなら修正します】

3ヶ月前 No.304

イスマリア @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4

【 ナコーン/森林/イスマリア・ザルヴァトール 】

 イスマリア・ザルヴァトールの戦い方は筋力を重視したものではなく――しなやかな肉体より繰り出される手数と速度にある。
 彼女に限らず日本刀という武装を選ぶ者はほとんどがそうだろう。刀を自在に躍らせる筋力さえあれば、後は技を磨けばいい。
 だが異能と技を両立させた分、立ち回りを重視しなければならない。
 幾万の攻撃を捌けても、幾千の軍を殺せる攻撃とは相性は悪いのは古来より最強の矛と最強の盾といった形で証明されている。

「まさか、事実ですよ」

 ――銃弾は刀で裂けるだろうが、城を壊す砲弾を切り裂けた試しは何処にもない。
   己は剣術一本に絞ってきたわけではない。これ一本に絞った戦いであればとうの昔に殺されている。

  バックスタブ
 背中からの致命は狙おうとすれば、同じように噴き出る棘によって絡め取られるだろう。
 それが出来ると証明されたなら、わざわざ狙う理由もない。
 何時か当たる、そういった希望的観測に囚われれば却って不利になる。

 抜刀、――だがこれも反応される。
 払う太刀の位置。奏でる金音<かなおと>。ギギナの屠竜刀と打ち合い、響くそれを号砲とするかのように黒雷は立ち昇った。
 だが彼は旋回した。稲妻に身を焼かれながら圧縮空気の威力を用いて反転。背後を取られた。

「ええ、知っていますよ。私は地獄へ堕ちるでしょう。 、  Donnerlicht
 しかしその上に誰かが理想を礎とする。それでよいのです―― 雷電壁 」

 相手に出来て自分に出来ないというのはあり得ない。
 出力増幅<ブースト>。身を焼く雷光を体に走らせ放流。強烈な電光の壁で以て強引に受け止める。
 当然制御などあったものではない。自信すら焼き尽くす稲妻は、彼女の体に熱傷を入れ、過剰な電圧は肉体に膨大な負荷をかける。
 肩の傷口は更に大きく開き鮮血は軍服を完全に朱に塗り替えた。
 黒く焦げる皮膚。破れる衣服。焼けた体は凡そ常人に耐えうるものではない。

 だが、未来を目指しているのなら、この程度で止まることはしない。
 未来が欲しいのだろう。イスマリア・ザルヴァトール。ならばこそ踏ん張るのは当たり前のことだ。

 押し返すようにひときわ強く放電し、大きく距離を取った。
 更に大きく円を描くように黒雷を展開。
 電光が再び槍の形を形成するが――その数は先とは大きく異なる。

 Gatling-Kanone
「黒槍、二十連弾」

 計ニ十本。
 黒い槍の矛先は全てギギナへ。
 それも一点、――たとえ逃げようが追尾するオマケ付き。
 指を鳴らす。それは合図。装填された槍が敵を撃滅せんと一斉に解き放たれる。

>ギギナ (魔大老エスト 桐生戦兎 17代目葛葉ライドウ)

【了解しました。撤退はそちらに合わせようと思います】

3ヶ月前 No.305

Futo・Volde @nonoji2002 ★7KU5qNWZJU_D9v

【城塞都市ギリダン/城下町/スターロード】

「やれやれ、いつの時代も変な奴は変な奴なんだな」

人のことを言えないのは俺自身が一番わかってるけど、と心の中で付け加えながら、エイリアンライフルを構える。ブラスターに、レールガン、グラビティグレネード、ととりあえずいろいろ持てるだけ持ってきたけど、まだまだ小手調べの段階。ゆっくりと武器のレベルを上げてどれが最適化を探る段階なわけだ。ブラスターより少し強いかな、程度のエイリアンライフル。某エイリアン帝国から強奪してきた武器だけど、意外と使い勝手が良いから気に入ってるんだ。強いて欠点をあげるなら、レートの低さだろうか?

「おっと、危ないな!」

スコープを覗く間に、少女から放たれる雷撃。随分長ったらしい名前の割には、大したことないけど、少し冷や汗書いたのは否めない。よく、雷に当たった人の話とかあるけど、今その気分がわかった気がする。
幸いにも、身を躱したから直撃は免れたし、俺自身には当たらずに済んだ。だが、問題はライフル。ライフルのマズルに雷撃が当たった感触を受けるとともに、思わず手から落としてしまった。ライフルは地面へと落下していく。しまった、と思うのも束の間。どう考えても故障しているかのごとく、雷撃がビリビリとライフルを纏ってる。直撃してたら俺自身の身もだけど、持ち物の大半が使い物になってなかったかも。

「こう、なんていうか……あんたら前線に出るタイプじゃないよな?」

失礼な事言ってるのはわかってるけど、俺はこういうことは気にせず言っちゃうタイプだ。
あからさまなアイコンタクト。バレバレの。おそらく、少女の雷撃で俺の気を引いてるところに、あの男……と言っていいのか。形容しがたい物体が飛ばしてる変形したドローンで俺の不意を……ってことだったんだろうけど、明らかに少女があの男に向けて合図を送ってるのが見えてわかってしまった。不規則な動きをしながら、追尾してくるドローンにブラスターを撃ちながら、さっき長ったらしく説明と名前を言ってたあの馬鹿でかい砲台へと近づく。

「近くで見てもやっぱりデカいな」

すごい馬鹿なコメントだと思う。けど、デカい以外の感想がわかない。
変形した男は巨大な砲台そのもの。それを守る盾みたいなドローンが1つ、アンテナみたいなものが2つ。多分威力を増幅させるような奴だろうか?
というか、説明が長ったらし過ぎて頭に入ってこないっていうのが正しいか。
ここまで来て、砲台に近づくことがあんまりお利口とは言えないかもしれないと思い始めた。けど、ここまで近づいちゃったわけだし、それにあんなデカい砲台をみたらこれを放り込んでみたくなるのが俺の性格。

「よしよし、入れよ……?」

一体彼らが何を企んでるか、なんてわかりっこないが、少なくとも俺にとってメリットがないのは間違いない。ということで、レールガンを構えて、砲台目がけて一発撃つ。向こうも最終兵器って言っていた気がするし、それならこっちも最終兵器のような物を。目には目を、歯には歯を戦法とでも呼ぼう。“普通”ならレールガンの弾丸は物体を貫通するが、どうなるだろうか。

>シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー

3ヶ月前 No.306

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【ナコーン/森林/魔大老エスト(残り魔具7003個)】


「……うーん?心当たりもある、何故滅びるのかも分かる、それが止めようがない事もな。だが、それは諦めていい理由にはなるまい。」

彼女はそんな事は知っていた、でなければ自身の万に等しい命を僅かな戦闘において全力を出す為だけに魔力へと変換もしなければ、将軍の招集にも応じる気はなかった。兆候は既に分かっていた、同時に何を失えば崩壊するのかも分かっていた。
手遅れ、悪魔使いが言葉の外に含んだもの。その通りだった、彼女が気付いた時にはどうしようもなく、何かが出来るほどの権力は要らぬ物と投げ捨てた後であった。だからといって諦めていいのか、それは否だ。
自身の目は確かであった、変えるには遅すぎたことも知っていた。だが、僅かにでも先延ばしにする方法はある筈なのだ。その為に彼女は努力を惜しまない、自身の命も捧げよう、戦場へも身を置こう、遅すぎたが下らぬ権力争いへも参加しよう、手を尽くせばどうにかなると、今までがそうであったのだから。

「故に、滅びが見えていようとも受け入れる気など私にはない。滅びるその時まで、そうならぬように手を尽くす。」

魔を祓う刀に二本の腕を切り刻まれ、一度掴んだ道連れから逃れられ再度掴もうとするも鷹の弾丸によって押し返される。異形は既にこの世に残っていられなくなった、僅かな道連れすら掴めずに闇へと沈んでいく。その淵を残る片腕でしがみ付くが、少しの間をおいて闇へと飲まれた。
この魔法を使う度に見る光景であるが気分は良くはない、何故この世に留まりたがるのかすら彼女には知る術はない。しかし呼ぶ度にこの異形はしがみ付き、闇へと戻ることを拒絶する。そういった研究はまだしていなかったなど、戦闘時にするべきでない思考に苦笑する。
苦笑一つ、魔具を再び千程使用したその後に襲うは黄金色の龍による雷を収束させた一撃。追従するように駆ける悪魔使いはその一撃を囮に接近を果たそうという心積もりだろう、であればと彼女は頁を一つなぞる。
大魔法の類ではない、かといって周囲に何らかの影響が出ている訳でもない。それもそのはずだろう、彼女が今発動した魔術は身体強化、ただでさえ崩れかけの肉体を近接戦闘にぎりぎり耐えるレベルの強化を施すそれ。何故今それを使用したのか―――

「その為には立ちはだかる脅威を取り除かねばならぬ、帝国に敵対する以上私は立ち塞がろう。ああ、そうだ。此方も忠告は有難く受け取っておこう、だが後悔はするなよ。」

―――その刹那、雷が炸裂する。
しかし炸裂するのは彼女にではない、大放電と言う名で放たれたそれは彼女の左後方の大木へ直撃し、その太い幹をへし折った。何をしたのか、左手の籠手で打ち払ったそれだけだ。ただそれだけで威力と速度を高い水準で併せ持つあれを弾いた。
彼女が装備する籠手と靴は特製であり何重にも魔法で強化を施されている、巨大な剣であろうと強力な魔法であろうとその部位で防げるものならば防げぬものはない。問題は肉体が耐えられない事であるが、身体強化によってそれを防ぐ、身体強化を未使用であれば弾いた瞬間に腕ごと吹っ飛んでいっただろう。
流れる様に頁を二つ捲る、その一つは先のように眩く光り輝くものだ。しかし互いの魔力の消費はそれほど変わらない、何故その区別がついているのかといえば純粋な効率の差だ。
一つ、光り輝く頁のそれ。彼女の周囲に眩い光の柱が三本顕現する、その光から現れたるは白き堅牢な鎧を纏う背に白翼を携えた騎士。人よりも一回り大きい体躯に、その身体よりも巨大な両手剣を構えたその姿は神々しさを感じるだろう。天騎士、天よりの使いであり神の意志を示す執行者。
本来であれば天罰といった人には理解しえない奇跡を代行する存在、それを使役下に置くことで純粋な聖なる存在の騎士として敵を滅する。魔への対処が得意であるならば逆の存在で遮るのみだ。
三体の内二体は悪魔使いへ、もう一体は奇妙な姿の男へと向かう。悪魔使いへ向かった一体は地上から、もう一体は空中から大振りの両手剣で叩き潰そうとしている。回避は容易いが、此方へ向かう障害にはなりえる。奇妙な姿の男は宙を舞っている為、向かう騎士もそれを叩き落とすために空へ駆ける、此方も両手剣で叩き落す算段の様だ。
勿論大振りな攻撃など当たらない、これまでの戦闘を見ているだけでも十分把握可能な事だろう。だからこそ彼女は回避させない為に、もう一つの魔術を使用する。
彼女の足元から上空へと放たれる細い束、それは魔力の鎖、数にして凡そ五百。先程大魔法との区別には効率があると言った、この魔力鎖は創造することよりも操作の方が魔力を多く使用する。詰まる所、この五百の鎖全てを彼女は操作している。
上空から束が半分ほどで二つに分かれる、悪魔使いと奇妙な姿の男の双方に二百余りの鎖が襲う。天騎士が駆けるよりも早く襲来するその鎖は攻撃する為ではない、あくまで目的は拘束である。故に距離が近くなると同時に、束になっていた鎖は四方八方へと飛び散りながら目標を目指す。
触れれば瞬時に巻き付き、当たらなくとも地へと根を張れば罠へと変貌する。彼女自身が操作している為に間違って天騎士を拘束するようなこともない、最低でも行動の制限を余儀なくされるだろう。
とは言えその操作が繊細であるとは言い難い、彼女は冷静ではあるが同時に女帝の危機も知ってしまった。目立って行動に出るようなことはないが、内心は穏やかではない。
面による制圧よりも、行動を阻害して大振りの一撃を叩きこもうとしていることからも決着を急いでいるのが伺えるだろう。魔道帝国の敵を退けることも重要である、しかしそれ以上に女帝の生存が重要である。
氷壁の向こう側、あちらの女性が戦闘を終えればすぐさまに女帝のもとへ向かうだろう。彼女にとってはそれほどまでに緊迫している状況であった。

>>桐生戦兎 17代目葛葉ライドウ (イスマリア・サルヴァトール ギギナ)

3ヶ月前 No.307

うつ獣 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【ロンカ村/広場/イアン・ガグンラーズ】

恐る恐るながら未来への一歩を踏み出したイアン。条件さえクリアできれば仲間入りを認めるという言葉に、澄んだ黒い瞳が輝きを増していく。空腹にしょげていた顔にも喜びの色が満ちていき、ここに愚かで純粋な銀狼は完全復活を遂げた。
もう二度と盗み食いをしないという約束も迷わず交わす。中世に戻ってからも守らなくてはならない、一生モノの契約だ。一時の誘惑に負けることなど絶対にあってはならない。
今まで欲望に忠実に生きてきた彼女には少々難しいかもしれない。戦いの中で数多の困難も降りかかるだろう。それでも、目標も何もない、時間が止まったような日々に戻るよりかは断然マシというもの。
この機を逃せば変われるチャンスはもうない、それはイアンでもハッキリとわかった。

「うん!あとで村のみんなにごめんなさいしてくるよ!」

自分を受け入れてくれた女性にニッと笑みを見せ、盗みを働いたことへの謝罪も約束する。許してもらえずに酷い目にあう可能性を考えていないのは如何にもイアンらしいが、良くも悪くも素直で単純なのは伝わったはず。
彼女をよく言えば、悪意という悪意も持たず、正しい道さえ示せばその上をひた走る正直者。人間性の面ではもう疑ってかかる必要は無いだろう。
ここからは時空防衛連盟としての行動が問われる。幾ら過去を悔いて受け入れられたとはいえ、大飯喰らいの役立たずでは追い出されるのが関の山。狐の少女の言葉を借りれば"働かざる者食うべからず"。

戦場に立ったが最後、大暴れしなくてはならない。

「にゃっはー!これでテンションマーックス!」

少女がくれた油揚げをパン食い競争さながらの飛びつきで胃袋に納める。極めて短い時間とはいえ暴れまわるだけのエネルギーが出てきた。腹が減っては戦ができぬ。イアンに関しては腹さえ満たせば準備万端。
燃料を注がれれば動くエンジンのような単純明快さ。食べれば力が湧いてくる。相手取るのはただならぬオーラを感じさせる怪物だが、授かった"揚げさんパワー"を以てすれば食らいついていけるはず。

「おりゃぁぁぁーっ!」

吹き荒れる吹雪の如く雪を巻き上げ、全速力で敵に突っ込んでいく。加速するうちに先程も見せた銀色のオーラが再び溢れ出し、攻撃準備が整う。
一見単なる突進にしか見えないが、前傾姿勢かつオーラを纏った体当たりは巨戟の一突きもさながら。味方二人に比べると余りに簡素だが威力は十分、より食べ物のパワーが付与されている。イアンにとっては必殺の一撃だ。

>>ユーフォリア・インテグラーレ、山城瑤子、カリギュラ

3ヶ月前 No.308

世界を駆ける者 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=16ne7hgwOK

[城塞都市ギリダン/首都奴隷処理施設/【リプレイサー】]

まだ希望は捨てちゃいけない……そう思おうと、差し伸べた腕。未来に生きる者として、世界を救う連盟としての“責任”を込めた言葉。だがそれらはピシャリと撥ね付けられた。
彼女とて善悪の区別程度は付けられるだろう。だが彼女の居た時代には、選択肢が彼女に示されることは無かった。時代を遡り、時空を超え……世界を歪める他、彼女に示された答えは無かったのだ。

嗚呼、そうだろう。予想は出来ていた。異世界で起きた諍いだ、奇術師は当事者にはなれない。対して彼女は、自身のことばかりか、種としての幸福を賭けて戦いに身を投じている。彼女の願いの切実さは、己の志をも上回り得るかも知れない。

「何をす――うぐ……っツ!」

振り下ろされた華奢な拳は、軽石でも割るかのように地を切り裂いた。砕ける鉄鋼と岩盤が、奇術師と蜘蛛との間に舞い上がる。完全に不意を突かれた彼には、次の一手を講ずる余裕も与えられない。

蜘蛛は天井へと糸を放ち、強靭な支えを元に空へと舞い上がった。対する奇術師は瓦礫に足を取られ、足元も覚束ない。

――かつてならば、もう折れていただろう。持つ意志《もの》は無く、護るべき義務《りゆう》も無い。この地の突破は、この大きくも小さな蜘蛛の懐いた願いを、ある意味では踏み躙る行為となるから。

然し。
奇術師の姿は粉塵へと消え、再び扉の前方へと出現する、深緑の双眸は、狂える蜘蛛の影を確かに射抜く。瞳に宿る光輝は、不退転の覚悟の所作。

奇術師の横には、己の存亡をも賭けて闘う相棒が居る。この戦地には、帝国の運命を打ち据えんと剣を取った、村々の英雄達が居る。世界の理を護らんと闘う、時空を超えた者達が居る。
名前も知らない獣達が、奴隷と化した者達の無念が、暗きを歩む虫達の未来が――時空の渦に呑まれようとしている。

ならばこそ、そいつら全部引っ括めて、“勝手に”背負ってやろう。ここでは折れない。折れられない!

「もう言った筈だ……お前の理想、志、そいつは認めるとも。だが道を違えれば、その理想でさえ外道に堕ちる!耳を塞ぐな……! 飼い主気取り? そんなことで死線は潜り抜けちゃいない!!」

放つのは、震え無き言葉の一矢。苦しみも痛みも、行動理念も理解は出来る。だからこそ柔な言葉では打ち崩せまい、そう判断し、敢えて容赦をしない言葉を選んだ。これが事実上最後の説得となる――が、もう彼女には届いていない。聞こえてすらいないのかも知れない。兎角、攻撃動作を止める気配は無かった。

今度こそ、本当に闘う必要がある。命と命を天秤に掛けた真剣勝負。奇術師はダガーを引き抜き、腕で口元を覆うように構える。脚先へと力を込め、腰を深く落とした臨戦体勢。

「ならば仕方ない。世界の為、人の為、或いは獣や虫達の為だ! お前には此処から退いてもらう!!」

放たれた蜘蛛糸は瓦礫を軽々と持ち上げて、勢い良く撓って見せる。海獣クラーケンをも想起させる攻撃は、しかしてその全てが『敵対者』に狙いを定めたもの。散弾と化した剛撃は、躱すも受けるも至難の業だ。


ダガーの一振りが、弾幕の隙間を擦り抜けて、蜘蛛の喉元へと真っ直ぐに飛んで行く。瓦礫の巨大な弾丸が、奇術師へと降り注ぐ。だが、奇術師へと着弾したと思われた、次の瞬間。

ダガーは、瓦礫の弾丸へと早変わりした――!
僅かに破片で脚を切り裂かれた奇術師、その手元には『一振りのダガー』。そして瓦礫の弾丸は、至近距離から放った張本人目掛けて突撃する!!

この攻撃は確かに躱し難いだろう。だが本命の攻撃は別に在る。放ったダガーは一振りで、それも回収は済ませた筈。だが奇術師の手元には、ダガーは一本だけ。
つまり、ダガーの一撃はもう一つ別に在る。瓦礫の弾丸の影から投擲し、緩やかな弧を描きながら飛んで行く刃。それの標的は、ルーシャを天井に留める糸だ。

奇術師の仕掛けた二段の攻撃。気付き、これを防げるか。それが命運を分けることだろう。

>>ルーシャ・コバルト、橋川 清太郎



――――ダガーを投げる僅かに前、口元を隠したままに、奇術師は密かに相棒へと声を転送していた。
《なあ、相棒。もし俺が次に地面を突き刺したら……それが合図だ。正面から、逃げ道を塞いでくれ!》

言葉の意図するところ。それはもうすぐ、明らかとなる。

3ヶ月前 No.309

麗人 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【ナコーン/酒場/シフォン・ヴァンディール】

剛に振り切れた重撃を咄嗟の判断でやり過ごすことに成功し、危ういながらも相方に希望が託される。天を焼き焦がさんばかりの火柱、大地を一刀の下に断ち切る斬撃。
そんじょそこらの敵なら死体も残らないような激しい攻め。それでも驚いたことに巨剣使いを仕留めるには至らなかった。味方の援護にも気をまわさなくてはならない状況下であれだけの立ち回りが出来るとは驚きだ。
ただ見ている限りでは物理攻撃が全てであり、攻防に魔術を用いることで優位が確保できるのは間違いない。ならば危機を脱し勢いづいた今こそ攻め時。
勝機を見出し再び爆破魔法の発動に踏み切ろうとするシフォン。しかし―――

(それだけ高い見識を持っていて、どうして魔道帝国などに…)

マロン・アベンシスが次の一手としたのは、攻撃などではなく停戦交渉。要約すれば魔道帝国と袂を別ち、罪無き人々を鞭打つ輩に反旗を翻すというのだ。
反乱勢力の思想と寸分違わぬ主張。他の将軍達と比べて良心を感じさせる振る舞いもさることながら、一体何故帝国に与していたのか不思議なくらいである。
この時代の生まれでないシフォンにはどうしても知識の限界が存在するが、魔道帝国が強烈な差別意識の下に成り立つ邪悪な組織であることは疑いようもない。
帝国誕生の経緯には同情できる点も幾らか存在する。優秀な人材にとっては理想郷なのも確かだ。ただそれでも彼らの"第二人種"への仕打ちは看過できたものではない。
タイミングからして、敗北を悟り撤退の理由にしているという可能性もあるが、やはりマロンの人間としての出来を考慮すればその線は薄れてくる。
ともかくこれ以上無駄な血を流さずに済むというのであれば受け入れない手はない。シフォンは山羊の男に手を出さないことも含めて二つ返事で敵将の申し出を聞き入れ、後はレオンハルトが同意を示すか否かとなった。

>>レオンハルト・ローゼンクランツ、マロン・アベンシス、ミルグラム・ゴート

3ヶ月前 No.310

まあ偉いローマ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_kuu

【ロンカ村/広場/カリギュラ】

 先ず前提として、カリギュラの行動は無謀のカテゴリに入る行動だった。
 趨勢決しつつある中での単騎特攻、王の首を取るに等しき行為は成程決着を付けるにはこの上ない正答と言えようが、しかしそれでも真っ当な思考回路の持ち主ならばここでの突撃という愚挙を犯しはしない。
 単純な数の問題だ。如何に暴虐皇帝が優れた英霊であり、如何にかの魔人が万能じみた特権性を有していようが知った話ではない。頭数と質が揃った場合に関して、それが連携を行った場合、カリギュラという英霊に先ず勝ち目はない。
 万全の状態で尚それだ。彼の霊核は膨れ上がる力によっていずれ破滅する性質を備えており、在りし日の栄光は短き間にしか彼に力を齎さない。なればこの状況下における彼は死兵でもなんでもない、文字通りの獣に等しく―――しかし、元よりそれ以外の選択はなかった。狂化の代償は理性の喪失、こと最高格の狂化スキルを備えた暴虐皇帝に状況の判断なんぞ出来るはずがない。


「ディアーナよ………余を、何処に誘う」
「おお、おお、………来たれり! 運命は来たれり! 余は来たれり!」


 まして、仮令彼に月が微笑まなかったとして。
 男の望みは死にゆくものへの祈りなのだから。死地こそが月の導きならば、そこに従わぬ道理はない。

 ―――そして、時として手負いの獣ほど恐ろしいものはなく。


「ッ、ぎ、ぃ―――」


 先ずは銀狼の突進を、真っ向から受け止める。
 受け止める―――とは書いたが、実際のところは加速の掛かり方に違いがある。全速力の突進に対して、これが真っ当に思考を巡らせる相手ならば回避を視野にも入れよう。が、カリギュラはそうした真っ当さとは無縁の英霊だ。
 必然、その行動がどのようなものになるかは絞られてくる。
 即ち迎撃であり、地力がどうであれ真正面からの打ち合いともなれば加速の要素は天秤を傾かせるには十分。
 パワーで押し負けたカリギュラは打撃によって一歩後退し、そこに突き刺さるように襲い掛かる虹槍を、しかし―――。

「う”、ぉおおおおおおおおおおおッ!!!」

 忘れるなかれ、と。
 彼の周囲を舞っていた魔力放出の焔が構わず壁となって打ち消す。
 其はかの建国王の第一宝具。
 血塗られた壁を彷彿とさせる、灼熱紅焔の防壁だ。
 唸りを挙げて空を覆い、突き刺す非実体の槍さえも次々と融解させる。となれば残りは対極たる炎、そして後続で迫りくる槍による空の制圧。踏み越える余地は無きに等しく、されどもカリギュラにとって余地のあるないなど関係はない。
 焔の防壁が持つ間に―――突進して来たイアンを引き剥がすようにまず横に飛び。
 着地したポイントで思い切り地面を踏み砕くようにして衝撃と地響きを打ち鳴らしてから、疾駆。衝撃と地響きはイアン以外には然したる意味もなく、イアンにも動きを止める以上の意味は持つまいが、それだけでいい。

「捧げよ、捧げよ………」

 疾駆、疾駆。
 防壁から洩れた槍の爆風が肉を焦がすことには構わない。
 防壁を撃ち抜いた紫焔が霊基を崩すことも取り合わない。
 再度の皇帝特権スキルで取得を宣言した魔術による肉体強化も相まって、紅の残影さえも残す絶速の強襲者。理性を失えども、狂戦士は本能で戦いの是非を知る。それが戦場とはこと無縁の皇帝であろうとも、彼は攻勢の限りは鋭敏だ。
 遠隔戦闘を続けていればいずれは滅びよう。鎧のいくつかが剥げ落ち、
 雪を血が染めていることからもそれは明白で、しかし“まだだ”と言える余地はある。
 なれば狙うは後衛二人。かき乱して、乱戦に持ち込んで、数の優位を決して生かさせない。

「その命の、全て!」
「その魂の、全て!」

 基本中の基本とも言えるその行動で狙いを付けたのはユーフォリア―――直線的な疾走からの殴打一撃、回避を予想した回し蹴り一撃と同時に吹き荒れる闘気の灼熱が、蹴りの風圧によって乗せられて前方のユーフォリアと山城を薙ぎ払いに掛かった。
 剛力無双、怪力乱神。食らいつけば離さない、暴君の拳と矜持がそこにある。

>山城瑤子、イアン・ガグンラーズ、ユーフォリア・インテグラーレ

3ヶ月前 No.311

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【城塞都市ギリダン/首都奴隷処理施設/橋川 清太郎】

彼女の話を聞く限り、彼女と似たような境遇の個体はそう多くないと推測できる。まず第一に、ペットショップというもの自体の少なさが挙げられる。思い出して欲しい、都内における公共施設やチェーン店に比べペットショップの占める割合がどれ程なのかを。第二にその性質。生物を商品として扱う以上、その手間や維持費は無機物の比ではない。よって在庫(個体数)は最小限にしておくのが合理的である。無茶な方針が罷り通った旧世代ならば話は別だが。そして最後に彼女の出生だ。いくらブームがあったとはいえ、人間でない生物を無理矢理人間にするなど醜美関係なく、受け入れられるものではない。(なればこそ、確固たる意思や行動で個体毎の価値を示さなければならない)ましてやそんな無謀極まりない商業戦略を選んだ店舗が幾つも存在するなど有り得ないだろう。
以上の事から、彼女と同じ経歴を持つ個体はどんなに多く見積もっても二桁止まりなのだ。否、下手をすれば一桁というのも十分考えられる。合成クローン処置を受けていない、普通の虫達に関しては特に問題がない限り現状維持か、然るべき地域に還すなりした方がいいだろう。人間に対してどうとも思っていない筈の彼らまで強引に接点を持たせようとするのは、それこそエゴではなかろうか。無理に近づけようとすれば、害虫扱いされるのは目に見えている。

「捨てるわけないよ! 確かな意思と結果さえ出せば絶対に捨てられはしない!」

連盟のような組織は常に人材不足に悩まされている。例え100人単位の追加でも余裕をもって対応できる筈だ。

「もし捨てるようなことがあったら、僕が連盟を裏切る!」

その時は、歴史の改竄に協力するのも吝かではないか…………

彼女は既に次の攻撃に移り、瓦礫をこちらにぶつけようとしてきた。こんなもので破壊されるような防御力ではないが、やはり食らわないに越したことはないだろう。

(!?……一体何をする気なんだ……?)

藪から棒に告げられた奇術師の策。具体的にどうするつもりかは分からないが、こんな状況で彼が意味のないことをするとは思えない。ならばそれが最善の策であることを信ずるのみ。

(やってみるよ……!)

大きな瓦礫をバーニア込みの跳躍でかわす。そしてStrikeDog(ハンドガン)を呼び寄せると同時にあるプログラムを起動させる。
Unblind。超高精度偏差射撃に対応したモーションサポートプログラムだ。すかさずStrikeDogを構え小さな瓦礫全てに向けて連射、撃ち出された弾丸はまるでそれが予定調和のようにそれぞれ目標へ命中し、粉々に破壊した。戦闘に関してほぼ素人である自分がこんな芸当をこなせるのは、超高速並列演算処理で補助してくれるプログラムがあるからだ。

「おっと!」

奇術師の策を忘れてはならないとばかりに、バーニアを吹かしながら着地。彼の指示通り正面からの逃げ道を塞ぐ地点、そこにいつでも行ける位置取りである。

>>リプレイサー、ルーシャ

3ヶ月前 No.312

北方守護騎士 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【ロンカ村/民家/付近沿道/氷魔像ギラード】

「……心配は無用。 我は人間とは違う、真似はできても、人間その物になる事は叶わぬように、何処まで行っても死と言う概念は無い」

ギラードは横目でこちらを見て、顔を顰めた協力者に対して心配は無用とだけ言った。
彼は語る、自分は人間の真似をしているだけで、人間その物になる事は出来ず、だからこそ……不死の怪物でしかないと。
それは……この戦いのために、要点を省いた説明ではあったが、少なくとも嘘でもない。

……ノエルの言葉にギラードは本心から軽蔑と言う感情を覚える。
確かに、家柄でしか物事を見れないブールーンから、実力でしか人を見ない魔道帝国へと移り変わる時代に生まれたのならば、何をやっても自由だった自分は特権階級か何かと思い込むのは無理も無い……のかもしれない。
だが、そういった周りの敵対状況も見れぬような思い上がりは、確実に彼女の足場を崩した。

その結果が、まともに人間がついてこないこの様だ。 せめて他の将軍でも抱え込めれば違ったのだろうが。

「不正と喚くのは簡単で良いな……さて」

敵の攻撃が来る、そしてそれに合わせて味方も攻撃を始めようとしている。

だが、これだけでノエルが殺せるとは思わない、幾ら強力な攻撃を放とうとも、回避、防御、相殺の手段は数多く持っているはずだ。
そして……彼女にトドメを刺すには、確実にレイヴンと祈の攻撃を通す必要がある。

また、これ以上の戦闘の激化は、本当に村を滅ぼしかねない。
今までは相殺や防御によってその被害範囲が拡大することは無かったが、一発でも、どちらかがどちらかの攻撃を受け損なえば、それは村の壊滅を意味する。

ギラードがちらりと横目でレイヴンを見る。

――後は任せるとしよう。

そんな小さな呟きがこぼれたかと思うと、ギラードは己の力を付けて、周囲の地面全てを凍結させる。 先ほどのような敵の攻撃を食い止める氷壁の展開ではない、むしろ攻めのための布石だ。

「……今一度言おう、我に死と言う概念は無い。 故に……無用な加減はするなよ」

それだけ言い残して、ギラードは、何時も村に現れたり、消えたりする時のように氷に溶け込んで消えた。
……そして、ノエルの背後にある凍った地面から、ギラードがまるで瞬間移動でもしたかのように現れた。

三本のアイスソードが突き刺される、そう誰もが思うだろう、だが、確かにギラードは三本のアイスソードによる突きをノエルへと繰り出すが、そのアイスソードは途中で無数の"鎖"のような形状へと分かれ、ノエルの身に絡みついた。
それだけではなく、彼女の足元からは、凄まじい速度で氷が這い上がるようにノエルの両足から腿、下半身へと侵食するように凍らせていく。
それらは、何度砕こうとも急速な温度低下によって再度凍らせ始める最強の拘束具であり、敵の体温を急速に奪う武器だ。

「捕まえたぞ……! 幾ら機動力を上げようと、動きそのものを防げば、大差あるまい……これで最大出力の防御手段を吐くしか無いな!?」

しかし、ノエルは至近距離に居るとはいえ、何とかギラードを防御の対象から外しながら完全破壊を防御しようとするだろう、その場合、ギラードは防御手段の無い状態で味方の攻撃を受ける事になる。
だが、ギラードに離脱の意思は無い、全ては自らの領域を守るために、そして、そのためにこの者をこの場で道連れにしてでも、倒す。

>ノエル・マッケローク 蓼科祈 レイヴン・ロウ

3ヶ月前 No.313

葛葉の一枚看板 @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_HV3

【ナコーン/森林/17代目葛葉 ライドウ】

「何っ!?」

コウリュウの大放電はライドウの仲魔の雷電族の中ではかなりの威力と貫通力を誇る、それを弾いただと?
驚愕は一瞬、だが引きはしない。奴は倒さねばならぬ敵だ。認めよう、彼女は強い、奥の手をいくつも隠して倒せる相手ではない。
仲魔の二体同時召喚、この封印を解く時が来た。大放電を弾いたからくりはあの籠手にあると見た、ならば魔術ではなく純粋な物理攻撃ならばどうだ?

「――心中は察しよう、いきなり現れた未来人を名乗る連中に国を滅ぼされていいわけがないだろう
 だがこちらの”答え”も譲れないのでな!突っ込めコウリュウ!」

『応!』

上空を飛んでいたコウリュウが瞬時にライドウの傍に転移して白き騎士に突進をかます。神道式悪魔召喚術の基本技術”召し寄せ”だ。
これによりどんな離れた仲魔でも瞬時に傍に呼び寄せることができる、旧式のデビルサマナーの基本技術だがそれだけに使い方を考えれば馬鹿に出来ない。
コウリュウは空中からライドウを叩き潰そうとしている白い騎士を足止めし、ライドウは地上の白騎士に足止めを食らう、が、それだけでは留まらない。
ライドウは右手に銃を持ち大振りの剣を避けて、地面に食い込んだ剣目がけて三発発砲、氷結弾の氷により剣が地面に縫い付けられる。
発砲と同時に左手で一本の封魔管を抜き放つ、呼び出す悪魔は恐らく日本人で知らぬ者などいない有名な武将、その名は――。

「ぶちかませ、ヨシツネ!」

『あいよぉぉぉぉぉぉぉ!』

<ヨシツネ見参!>

――その名はヨシツネ、最強の源氏武者”源義経”に他ならない、長い烏帽子に鎧甲冑を着込んだ武者だ。
しかしその動きは非情に身軽で瞬く間にエストに肉薄して二刀による目にも止まらぬ素早い四連撃を放つ。
ライドウを襲う無数の鎖、仮に縫い留められれば恐らく大魔法の的にされて灰すら残らず消え去る、故にライドウは僅かな苦心の後にとある決断を下す。
”仲魔を盾にする”という選択を。

「コウリュウ、後で金丹をくれてやるから許せ」

『おおおう!?』

あろうことかライドウは無数の鎖を前にして再び召し寄せを行いコウリュウを鎖の盾としたのだ。
だがその巨体故に拘束は一瞬では終わらない、暴れるコウリュウ。そしてコウリュウを踏み台にして飛び越えてライドウは肉薄する。
剣の間合いにはまだ足りないが銃の間合いである、左手に持っていた封魔管を口に咥えて左手に銃を持ち換えて氷結弾を三発発射する。

>魔大老エスト、桐生戦兎、(イスマリア・ザルヴァトール、ギギナ)、ALL

3ヶ月前 No.314

中二病でもハッキングがしたい! @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【城塞都市ギリダン/城下町/シエンタ・カムリ】

「ボクを批判する前にまず言うことが……ちょっと待った、今なんて言った? あっ、待って、食べるさ。四分の一とかそういうのじゃなくて、全部。全部食べるから。いや待って、食べないで」

わざとらしく呆れたような態度を取ったシエンタに対し、キラーが返した反応は、買ってきた甘菓子を他の友人と分け合って食べる、というものであった。
普通の人間からすればそんな子供騙し、と思うかも知れないが、彼女にとっては非常に重要なことであったらしく、必死になって引き止めを図ろうとしている。
元を辿れば、キラーが勝手にシエンタのおやつを食べてしまったことが発端なのだが、そこは彼なりに反省したのか、どうにかして穴埋めをしようと考えていたようだ。
こんなことを言っておきながら、四分の一は残しておこうとする辺りに、妙な優しさを感じなくもない。しかし、他の友人などという、見知らぬ存在に自分が得るべきであったものを奪われるのは、癪だった。

「そうだね、ボクの得意分野は例えば……こういうことさ。……あれ? ああそうか、ここじゃ無理だったね。口で言おう。ハッキングさ」

二人を前線に出るタイプではないと称した男を見て、シエンタはそれを行動を証明しようとする……が、古代には電波が飛んでいないため、不可能だったようだ。
未来であれば、ここでハッキングを仕掛けて、彼の持っている武装の一つや二つを使用不能としていたのだろう。だが、不発に終わった上に醜態を晒したために、結果としてそれが本当のことなのかどうか疑わしくなってしまった。
なんと不便、なんとつまらない時代なのだろう。この時代に生きている人間はネットなしで、一体どうやって暇を潰しているというのか。それとも、暇すらないくらいに働き詰めなのか?
後者だとしたら、絶対に生まれたくない。シエンタの中の二度と行きたくないランキングで堂々の1位を獲得したのも頷ける。まあ、そうではなかったとしても、ネットがない時点で論外なのだが。

「アレをやるのかい。君にしては随分と早いじゃないか。まあ、いいよ。ここはボクの見せ場でもあるからね」

キラーの考えていることはすぐに察せた。そして、彼が巨大な砲台を形成したのを見て、その予想が間違っていなかったことを確認する。
いつもより大分発動のタイミングが早いような気もするが、現状相手に大した有効打を与えられていない状況なので、致し方なしといったところか。
まあ、ライフルを無効化することが出来たのは収穫だったかも知れない。多分あれは、当たったら痛いやつだ。被弾していないので分からないし、試しに当たろうだなんて死んでも御免だが。

「何を言っているんだい? そいつの名前はファイナルギャラクティックサンダーキャノンMk.XIIIだ。説明は間違ってないけどね。つまりそういうことだ、君にもう逃げ場は、ないんだよ」

どういう訳かキラーの言い放った武器名をわざわざ訂正してから、シエンタは電子との会話体制に入る。この周辺に漂う発電機、全ての電力をこの巨砲へ。
……おかしい。予想よりもかなり少ない。たまたま発電所が少ない地域だったのだろうか。まあいいだろう。自分の能力を流し込むことで、ある程度威力は補完出来る。
重要なのは、確実に命中させることだ。軍事衛星をハッキングしたのだから、まさか攻撃が外れることなんて……通信出来ない。まさか、このボクがミスをするなんてあり得ない。つまり、軍事衛星そのものがないってことじゃないか。
そこで彼女はようやく気が付いた。ここは古代だった。ネットすらも飛んでいないこの時代に、発電所も軍事衛星も、ある方がおかしいではないか。

「中止だキラー、ここじゃそれを使っても意味がない。無駄になるだけだ。だから早くそれをしまって―――うひぃぃぃっ!」

先程までの余裕は何処、完全に焦った様子でシエンタはキラーに攻撃中止命令を出すが、時既に遅し。巨砲は、もう発射直前の状態になってしまっていた。
どうにかして止めようと砲台の真後ろに立った彼女であったが、運悪く、丁度相手の放ったレールガンがそれを貫通し、完全なる死角から襲い掛かってくる。
突然眼前に現れた脅威に対して彼女が取った行動は、情けない声を上げながら頭を抱えてしゃがみ込むことだった。幸いにも、直進性の高い攻撃だったため、回避は成功したが。

「ぐぐぐ、グレードSだ。こんなのボクに勝てる相手じゃない。キラー! 君がどうにかするんだ! ボクは後ろで観戦してるよ!」

自らの能力を十分に発揮出来ない状況、そして敵の攻撃の予想外の威力に完全に怖気づいてしまったシエンタは、勝手に戦線離脱を宣言、観戦を決め込もうとする。
恐らく、未来であればこのようなことにはなっていなかっただろう。ただ、古代という時代が、シエンタとキラー両名の実力を引き出すには、あまりにも不適格な時代であっただけなのだ。

>キラー・テンタクラー、スターロード
【駄目だこの子は】

3ヶ月前 No.315

爆炎 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【城砦都市ギリダン/玉座の間/ニケ・エタンセル】

あらゆる属性を使い分け畳みかけてくる女帝。単に選択肢が多いだけではなく、それぞれの威力も針が振り切れている。こちらが体力を大きく消耗してやっと撃てるような技が、息を吐くようにして繰り出されると言えば脅威の程が伝わるだろう。
数的有利を確保してやっとスタートラインに立てるような世界。雑兵1000人を相手取る方がまだ楽なのではないかとすら思わされる。恐らくこの中の誰か一人でも脱落した瞬間に敗北が確定、仮に逃げおおせたとしても五体満足で帰還できる保証はない。
そして二度と決起する機会は訪れない。そうなれば古代は永遠に闇に覆われてしまう。辺り一面に立ち込めた、帝国の恐怖政治という黒い霧を払えるチャンスは、今を置いて他にないのだ。

「俺が三人目になってやる。どれだけ時間をかけても、必ず!」

具体性も計画性も感じられないニケの啖呵。自分に言い聞かせているも同然のそれは、老練なパージルクから見れば若さや無謀さの表れでしかないだろうが、士気の維持のためにも欠かせないものである。
だが現実は冷徹かつ残酷。三人肩を並べての猛攻が功を奏し、一本の熱線が女帝を直撃。こう言えば良い滑り出しに聞こえるが、その裏で三人とも電撃を浴びてしまい、決して軽くないダメージを刻まれていた。
体力の消耗も加味すればこの戦いはマイナスからのスタート。受けた傷や消耗した体力は、見た目以上に重く響いてくるに違いない。相手が相手だけに小さな不利益も数倍に膨れ上がると見ていいだろう。

使い魔が放つ光線を間一髪ながら掻い潜り、橙色のビットが乱れ撃つ炎球はこちらも炎弾を繰り出して相殺する。しかしその後に続く氷槍まで対応することは能わず、あろうことか傷ついていない左足を抉られてしまう。
ここから先は俊敏な立ち回りは当然のこと、回避も困難を極めるだろう。足を用いた攻撃も、封印か、苦痛を覚悟しての使用を強いられる。

「ここまで来たんだ、命を懸けるさ」

そう誰に言うでもなく呟き、炎のエネルギーを蓄えた右手を強く振り払う。オーロラのような形状の炎膜が複数展開され、押し潰すようにしてパージルクへ殺到。
色彩はさることながら陽炎も相まって視界を遮る効果も期待できる。威力は先程の火炎弾や熱線に劣るが、続く二人のサポートもこなせるのなら及第点といったところか。

>>パージルク・ナズグル、ソレミア・ラガルデール、エクセラ・ノア・アウラ

3ヶ月前 No.316

魔道を征く者 @zero45 ★h2BOlEz4kD_FR1


【ナコーン/森林/北側/ダグラス・マクファーデン】

「……考えてはいたさ。あいつを傍で支える事が一番の選択である事も自覚している。
 だが、その方法では救えない者達がいる。政府は"後"で倒すのではなく、"今"倒さねばならない存在だ」

 世界政府の打倒を志すに当たって、ユーフォリアを傍で支えると言う選択肢は当然あった。彼女もまた、現状の政府に大いなる不満を抱いている者の一人だ。手を取り合う事を持ち掛ければ、二つ返事で受け入れてくれるであろうその姿が容易に想像できる。お互い悔恨を残さない、と言う点でも最良と言える選択だろう。
 だが、それを実行へ移す事が出来ない理由が彼にはある。政府高官の息子と言う立場であったからこそ、認知し得た物。大統領の命によって生み出され、今も秘匿され続けている"超常能力研究部"の存在とその所業を知っているが故に、こうした強硬手段で政府打倒を図らざるを得なかった。
 歴史是正機構を倒してから、政府を倒すのでは遅すぎる。その間に、研究部の行う実験の犠牲となる者達の数は百を下らない事だろう。それを未然に防ぐためには、今すぐにでも政府を壊滅させなければならないのだ。

「少なくとも、趣味ではないな」

 風を纏って天へと舞い上がった彼を襲う、螺旋の炎と紅雷槍撃。圧倒的で驚異的な反撃の前では、流石に彼も余裕の表情を崩さざるを得ない。取るべき選択を誤ったが最期、槍に穿たれ死ぬか、雷撃に撃たれて死ぬか、炎に焼かれて死ぬかの三択。辿る末路としてはどれも受け入れ難い物ばかりだ。
 咄嗟の判断で、全方位に展開するは広範囲に渡る黒闇の障壁。炸裂する雷撃を弾き飛ばし、続く槍撃によって防壁は破壊された。此処までは想定の範囲、肝要となるのはそれ以降の対処。
 即座に今度は槍撃を受け止めるべく、空いた片手を前に突き出し、収束させた魔力によって盾を形成する。防壁によって威力を減衰させたとは言え、脅威である事には依然として変わり無い槍の一撃。突貫する敵が放つ槍撃を受け止めた瞬間、衝撃が全身へと襲い掛かる。
 その衝撃を敢えて利用する事で後方へと吹き飛び、迫る弾丸を躱した。これによって、何とか直撃は免れる事に成功する。しかし――

「うぐっ……!」

 誤算だったのは、想定以上に衝撃が凄まじかった事だ。体勢を整える前に近くの大木へと身体を打ち付けられてしまった彼は、呻き声を挙げながらも重力に従い落下。そのまま地面へとずり落ちる形となった。
 痛みに喘ぎながらも、追撃を許すまいとして突き出した片手に膨大な魔力を収束させていく。それは虹属性に似た、しかし何処かが違う異なる属性を宿した物。徐々に膨れ上がる暴威は、その余波で大気を震えさせる。

「喰らえッ!」

 刹那、解放された魔力が光となって放出される。超広範囲に渡る巨大な光撃は、木々を次々と消し飛ばしながらも一直線に、二人を呑み込まんとして突き進んでいく。巻き込まれたが最後、待ち受ける物は光が宿す圧倒的な熱量に身を灼かれる未来。破壊光を前に、二人はどう出るか。

>フォッサ・セントライト ストラーヴ


【魔弾(魔砲)】

3ヶ月前 No.317

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

3ヶ月前 No.318

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ロンカ村/広場/ユーフォリア・インテグラーレ】

ユーフォリアの言葉を聞いた銀狼の瞳に、光が灯る。やはり、見立ては正しかった。彼女は兎に角飢えていただけであり、罪の意識もなく村の食糧を食らった訳ではないのだ。
笑顔を浮かべる銀狼に対し、ユーフォリアもまた、微笑で返す。かくして、彼女は時空防衛連盟の門を叩くこととなった。欲望に打ち勝ち、成長を遂げるかどうかは、今後の行動に懸かっている。
ひとまずは、村の者達への謝罪を約束しただけでも十分だろう。だが、今はそれよりも、成さなければならないことがある。この期に及んで、突貫を仕掛けてくる、往生際の悪い相手……
仮に話の通じる人物であれば、既に決着が付いていることを説明し、戦闘を回避出来たかも知れない。しかし、目の前の男は、どう見てもそのようには見えない。
会話をしたところで、それに割いた時間を無碍にするだけであろう。気付けば、村を焼き焦がしていた炎の勢いは弱まっており、何とか全滅は逃れられそうな状況。
なれば、是が非でもこの戦には勝たなくてはならない。人の姿へと戻った妖狐が提供した油揚げにより、銀狼も力を取り戻した。これで、あの男を止めることも十分可能―――

されど、それは楽な戦いになるという意味へは直結しない。これだけ離れていても分かる、暴虐的な殺意と狂気。彼が簡単に倒せる相手でないことは、周知の事実であった。
銀狼の全速力の突進が、狂える皇帝の姿勢を乱す。直後にユーフォリアの放った虹の槍が炸裂するが、雄叫びと共に巻き起こった魔力の嵐が、それらを無慈悲にかき消していく。
防壁の隙間から通り抜けた虹の余波は紫炎が、敵の身体に傷を付けているものの、いずれも有効だとはいい難く、彼の足取りが鈍るような様子は一切なかった。
純白の雪を真紅へと染め上げる男の血。戦場全体を撹乱するように動く彼の姿が、ユーフォリアの眼前へと迫る。直線的な軌道での殴打。回避は容易い。
にも関わらず、この嫌な予感はなんだ? 紙一重で攻撃を往なした先に見える、不吉な予兆。彼女は警戒を強めながら敵の一撃を躱し……そして、その意味を知った。
こちらの動きを予測していたかのように放たれる回し蹴り。直撃を回避したとしても、それに伴い放たれた灼熱が、彼女の身を焼き尽くさんと超高速で襲い掛かる。
被害を零で抑えるには難しい状況。ユーフォリアは寸前に短い詠唱から防壁を展開し、蹴りの威力を少しでも和らげようとするが、焼け石に水であった。
結果として、身体を捩るのが限界であった彼女は、凄まじい威力を伴った打撃により、遙か後方へと吹き飛ばされていく。それでも即座に受け身を取り、ダメージを最小限で抑えたのは、時空防衛連盟を率いる者としての意地が為せる技か。
腹の底から口へと競り上がってきた血を吐き捨て、全身を駆け巡る鈍い痛みも何のそのと、ユーフォリアは再度、前方にそびえ立つ強大なる壁を見やる。
生半可な攻撃では掠り傷一つすら付けることは叶わない。彼女は敵へ鋭い視線を突き刺すと同時に再度疾駆し、恐怖を全く感じさせない動きで、またも暴君の眼前へと肉薄する。

「雌雄が決したことにすらも気付けず、戦場を彷徨う哀れな魂……貴方の命運は、ここで尽きる」

ユーフォリアは静かな声でそう告げると同時に加速。迸る虹のオーラを纏いながら、光の如き速さで敵とすれ違い、そのまま彼の後方へと回り込む。
奴に死角というものが通用するかどうかは不明だが、正面からの攻撃よりは確実に対処を難しくさせるだろう。飛翔した彼女は両手を広げ、そこへ膨大な魔力を集中させていく。
膨れ上がった虹の魔力が、大気を振動させる。夜空に輝く恒星を彷彿とさせる大きさにまで膨張した球体。次の瞬間、球体から、無数の虹のレーザーが、地表を埋め尽くす勢いで降り注ぐ。
この男があくまで狂気に囚われ、敵を抹殺するための最短距離を征くというのであれば……その最短距離に、避けることの出来ない攻撃を放ち、待ち受けるのみ。
視界が、虹色に染まる。万物を浄化する必殺級の一撃。これすらも皇帝は、何事もなかったかのように耐え切ってみせるのであろうか。時空の果てより来たる者は、ただ己が使命を果たすがため、遠い過去の一瞬に全てを懸ける。

>カリギュラ、イアン・ガグンラーズ、山城瑤子

3ヶ月前 No.319

獅子心 @zero45 ★h2BOlEz4kD_FR1

【ナコーン/酒場/レオンハルト・ローゼンクランツ】

 大地より噴き上がる火柱の中へと飛び込み、灼熱を我が身に受けながら、マロンへと肉薄するレオンハルト。相手が跳躍するよりも速く、その眼前へと顕れ出た彼は、両手に構えた重き大剣を一気に振り下ろす。
 然し、単純な力勝負の場に於いて、どちらが優勢に立つかは一目瞭然。同じ重量、或いはそれ以上を誇る大剣を片手で軽々と扱って見せる彼女を相手に打ち勝てる道理も無く、押し戻された挙句に弾き飛ばされる恰好となってしまった。
 追撃を恐れる彼は、即座に空中で姿勢を整えると着地。次に備え剣を構え直そうとする。敵の部下が此処へやって来たのは、丁度その時であった。

(……遂に起きたようだな。歴史に於ける重要な分岐点、ロンカ村の焼き討ちが)

 部下が述べた言葉に対するマロンの反応を見て、彼は冷静にそう判断する。魔道帝国の"元"将軍、ノエル・マッケロークの暴走によって引き起こされたロンカ村の焼き討ちは、帝国の崩壊する未来を定めたと言っても過言では無い大事件。これが起きたと言う事は、時空断裂を引き起こす可能性が殆ど潰えた事を意味する。ならば、これ以上の干渉は不要だろう。

「停戦についてに異存は無い。此方としても、これ以上血を争う必要は無いと思っている……後は、そこの男が納得するか次第だがな」

 マロンが持ち掛けて来た停戦交渉に、シフォンと同じく同意の答えを返す。彼女の性格からして、語る言葉に嘘偽りの類は一切含まれていない筈だ。罠である可能性も、当然皆無に等しい。何にせよ、これ以上戦った所で双方にメリットは無い、そう判断した上での事だ。
 後は山羊の男が、この結末に納得するかどうかだろう。もしも受け入れないようであれば、此方は剣を再び抜かざるを得ない。出来る事ならば、戦いは避けたい所だ。

>マロン・アベンシス ミルグラム・ゴート シフォン・ヴァンディール

3ヶ月前 No.320

亡国の末裔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【城塞都市ギリダン/玉座の間/ソレミア・ラガルデール】

出会いの形を嘆いたソレミアの言葉に対し、パージルクが返したのは諦めにも近い言葉であった。その通り。出会いがこのような形である以上、分かり合える可能性はもはや潰えた。
お互いに、譲れないものがある。言葉を交わし、和解出来るような状況ではない。明日を掴むため残された選択肢は、勝利を手にすること、唯一つなのだ。
パージルクは、自分には誰もが幸せになる世界を作ることは不可能だった、と語る。それを聞いたソレミアは、彼女もまた、弱き人間の一人に過ぎないのだという感想を抱いた。
いくら願っても叶わないことは、確かにある。しかし、やる前から全てを投げ出してしまうようでは……僅かな確率から奇跡を引き当てることすらも出来ない。
そう、彼女は、失敗を恐れて楽な方向へと逃げたのだ。第一人種と第二人種を差別、第二人種を奴隷化して傀儡とし、批判の出処そのものを潰すというやり方で。

「きっと三人目は、あなたの近くにいたはずよ。あなたのことを思って、間違った道を進んでいることを忠告してくれた誰かが。勿論、これは私の勝手な推測。間違っていたなら、聞き流してちょうだい」

良くも悪くも、実力のみで人を評価するシステムが確立されていた魔道帝国。そんな帝国に属する多くの将軍の中には、一人くらいそのような人間がいたとしても不思議ではない。
仮にそれが本当であるとして、その誰かは、ずっと以前からパージルクの過ちを指摘していたのではないか……ソレミアは、そのような推測を立てていた。
何故、彼女がそれを聞き入れることがなかったのは分からない。単純に、更に高い地位を持つ者の思想が異なったのか。単に自分を曲げることを嫌ったのか。
部下の意見を聞き入れることも、指導者としての大切な務め。もし、パージルクが地位の低さを理由だけに一人の意見を却下するようなことをしていたならば……その時点で、上に立つ者としては不適格である。
民主主義で採用されるのは多数派の意見だ。しかし、だからといって、少数派の意見を無視していい訳ではない。多数派の意見に従いながらも、少数派の意見の良い点を尊重出来る人物こそが、指導者に相応しい。ソレミアは、そう考えている。

「くっ……なんてデタラメな力なのかしら」

どんな戦法や戦術も技量も、圧倒的な力の差の前では無意味。パージルクは、それを当然のように実行してくる。極光が天井を粉砕して降り注ぎ、空間を押し潰す質量の光剣が、ソレミアをバネのように弾く。
全員の連携攻撃によって生み出された隙が、女帝の腕を焼く。だが、あれでは無傷に等しいだろう。未だ健在の彼女が腕を振るうと、三体の光の精霊が権限し、強力無比な光線を放つ。
攻撃がそれだけであれば、どれだけ幸せだっただろうか。なんとパージルクが引き連れていた絡繰りまでもが自立し、それぞれ火球と氷槍を乱射してきたのだ。
しかし、ここで歩みを止める訳にはいかない。小さな村の勇者ですらも、この戦いに命を懸けている。亡国とはいえど、王族の血を引く自分が覚悟を決めずして、どうするというのだ。
ソレミアは自身の前方に鉄で出来た四角い板を展開すると、それを盾とし、迫り来る攻撃を無効化しながら突き進む。すり抜けてきた攻撃の一部が身体に刺さるが、それは極めて些細なものだ。
実力が相当なものであることはもはや疑いようのないことだが、それでも弱点がない訳ではない。あの動きからしてパージルクは、接近戦を得意とはしていない。
ならば、自分はあくまで近接戦闘にこだわるとしよう。鉄壁の守りを突破することは叶わなくとも、近距離からの連撃は、必ずいつか女帝に逃れようのない隙をもたらす。
再度接近を果たしたソレミアは、今度は一撃で叩き潰されることがないよう、細かく立ち位置を変えながら、黄金と白金の双剣による剣撃を繰り出し続ける。
求めているのは、手柄や名誉などではない。この行動が味方の勝利、ひいては虐げられし人々の解放へと繋がるのであれば、自分は喜んで、囮役となってみせよう。

>パージルク・ナズグル、ニケ・エタンセル、エクセラ・ノア・アウラ

3ヶ月前 No.321

スパルタの代名詞 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ナコーン/森林/北側/フォッサ・セントライト】

「何言ってんだい、あたしが厳しくするのは訓練の間だけさ。戦場に出たら、死んでも仲間は守ってみせる。嘘だと思うのなら、一度確かめてみりゃいい」

フォッサの訓練の厳しさは時空防衛連盟内では有名であり、ストラーヴもそれを嫌がっている人物の一人だ。ただし、彼女がそうした態度を取るのは、あくまで訓練の間のみ。
訓練が終われば疲労した部下を労うため夜の街へと繰り出し、戦場では味方を生還させるために全力を尽くす。皆が思っているよりもずっと、彼女は思いやりに溢れた人物なのだ。
スパルタ式の訓練も、部下のことを思っているからこそであり、簡単に死ぬような戦闘員に育って欲しくはないという、フォッサなりの親心が現れた結果なのである。
どうもストラーヴには上手くそれが伝わっていないようだが、無理強いはしない。そんなことをすれば余計に心が離れるだけだし、何より彼女に無駄な心労を掛けたくはなかった。

「その点については同意するが、だからこそあたしは傍にいてやるべきだと思うけどねぇ。歴史是正機構が動くのは、早く見ても改変が全部済んだ後だ。それを待ってたら、日が暮れちまうよ。だけどこっちなら、今すぐにだってあんたのやりたいことが出来る。あいつが許さないなんてことは、まさかないはずさ」

彼は、ユーフォリアですら知り得ない、世界政府の裏の裏を知っているような素振りを見せる。曰く、それを阻止するべく、歴史是正機構に与せざるを得なかったのだと。
確かに、世界政府は今すぐにでも打倒しなければならない存在。それについては、彼女も同意見であった。だが、歴史是正機構は、歴史の改変を一通り終えるまでは、現代の改変へは動かないだろう。もしかするとそれは、数年後の話となってしまうかも知れない。
勿論、時空防衛連盟がそれよりも早く勝利を納めれば事は丸く収まるのだが、現状両勢力がお互いに抜きん出た力を持っていない以上、長期戦となるのは必至だろう。
その時が来るのを悠々と待っているつもりなのかと、フォッサは問い掛ける。今すぐにでも奴らを倒したいのであれば、協力すべきは時空防衛連盟。彼女は力強く、そう宣言してみせた。

螺旋の炎と雷光の突き。フォッサとストラーヴの連携攻撃が、着実に相手から余裕を奪っていく。敵は咄嗟に闇の障壁を展開するも、全ての攻撃防ぎ切るには至らない。
槍を受け止めた衝撃を利用し、攻撃範囲から離脱した彼であったが、大木に激しく身体を打ち付ける。明らかに危険な当たり方で、思わずフォッサが心配そうな表情を浮かべるが、直後に彼は反撃体制に入った。
片手に集中していく魔力。刹那、解き放たれたそれは、暴虐的な威力を誇る光線となりて、二人に襲い掛かる。このままでは、ストラーヴが危ない。そう判断した彼女は、急いで両者の間へと割り込む。

「こいつはあたしがどうにかする。あんたは何も考えずに前に進みな!」

機関銃のように連射される二丁拳銃。危うく弾詰まりが起きかけるが、幸いそれは免れた。円を描くようにして配置されたそれらが魔力を宿すと同時に、フォッサの正面に巨大な土の防壁が姿を現す。
彼女はそれを用い、光線を受け止めるが……凄まじい威力だ。拳銃を前方へと突き出した姿勢のまま、フォッサは徐々に徐々に、後方へと押し流されていく。
このまま放置すれば、いずれ防壁が限界を迎え、彼女は光の中に飲み込まれてしまうことだろう。攻撃を止めるためには、術者に攻撃を加え、魔力の供給を遮断する他にない。

>ダグラス・マクファーデン、ストラーヴ
【リボルバーを連射するな(戒め)】

3ヶ月前 No.322

親の七光り @prismriver☆kFuUk0otHg5u ★TZkXkdft22_LPw

【城塞都市ギリダン/正面/エスメラルダ・ナズグル】

名乗るやいなやいい名前だといわれ、余計にエスメラルダは困惑する。悪い気はしないし、むしろ少しだけ嬉しかったのだが、直後に何を考えているのだと彼女はそれを振り払った。このまま相手のペースに乗せられたら、いいようにやられてしまう。集中して、雑音を遮断しなければ。調子の悪そうな顔をしながら目を閉じるエスメラルダだったが、どんなにしてもあの男の顔と声が頭の中をぐるぐると巡ってしまい、集中が途切れる。

そして、エスメラルダは、先ほどの名乗りで、余計なことを口走ってしまった。女帝の娘であるということを言ってしまったがために、男が余計に調子づいてしまったのだ。しまった、という表情を浮かべるエスメラルダ。だが、もう遅い。更にテンションの上がった相手は、より派手さを上げて戦おうとしている。他の者の言葉に要約すれば、全力を出すということだろう。まずいことになった。明らかに格上の相手に全力で挑まれたら、絶対に勝ち目がなくなる。どうにかして逃げるか? そんなことを考えている内に、”祝砲”が放たれる。

「ひぃぃぃぃっ!」

当たったらどうなるかもわからない大出力の砲撃が、反射的に頭を抱えてかがみ込んだエスメラルダの頭上をかすめていった。正門の上半分は跡形もなく消えており、威力の大きさを思い知らされる。恐らく、自分が食らっていたら即死だろう。いくら守りに自信があると知っても、これは規格外すぎる。防げるはずがない。やりすぎだ、こんなの。

半分涙目になりながら立ち上がったエスメラルダは、敵が本気で殺しにかかってきているを実感し、恐怖を感じながらも再び刀を構える。やはり、自分から攻撃することはない。そんなことをしたら自殺も同然だからだ。……実際には彼はエスメラルダの命を奪おうなどとはしておらず、仮に攻撃を食らったとしても死ぬことはないのだが、彼女がそれを知るはずもない。

>>ドライツ

【どうすれば終わるんだろうこの戦い……】

3ヶ月前 No.323

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【ナコーン/森林/北側/ストラーヴ】


「じゃあ、癖になったらごめんねー!気持ちよくさせる気は、ないけどね!」

障壁を破り、形成された盾を打ち据える感触が柄へと響く。本命の魔弾こそ突撃の反動で躱されてしまったが、十分な打撃は与えられたはずだろう。吹っ飛んでいく襲撃者を後目に水の引いた地面へと着地する。
ぬかるんだ地面に足を取られることなく、体勢を立て直し襲撃者の飛ぶ先を見やる。盛大に木に打ち付けられる姿を見て他人事のように痛そうだという感想を心に漏らす、勿論自分でやったことなど棚に上げている。

「……一度試したら死んじゃうじゃん、馬鹿じゃないのー?一緒に逝くなんて御免だから一人で逝ってよね。」

厳しいのも、それが終われば親しいのも彼女は知っていた。でもストラーヴなら小言を言われる心配をして遠ざかるのだ、そういった風に捉えるのがストラーヴで彼女がそう望んだ。
心地良いと感じてはいけない、自身は孤独でなければいけない、そうでなければあの思い出は塗り替えられてしまうから。もう彼女しか知りえない思い出を、彼女が塗り替えてしまったら誰が覚えているのか。
だから誤解されやすい言動を取る、だから人が嫌うような行動を取る、だから幾ら危機が迫ろうと自身だけ逃げ延びようとするのだ。それが彼女が望んだストラーヴで、大切な思い出を薄れさせない為に必要な事なのだ。
だから、襲撃者が大気を振るわせるほどの魔力を集中させたのを知覚した瞬間に僅かに紅雷を溜め、その炸裂で場を離れることを選択したのだ。そう、目の前に割り込む影を視界に捉えながら。

「―――っ!?」

驚愕に目を見開く、伊達眼鏡を通して見たのは土の障壁で魔砲とも呼べる光の奔流に押し込まれる隊長の姿だった。何故が最初に現れ、次に本当にやる奴がいるかと罵倒が入り、どうすればいいのかわからなくなった。
空中にいる浮遊感に囚われながら僅かな間に答えを導こうとする、ストラーヴならどうする?あんな危険なものは範囲外に退避するのが安全だと、そう言って戦場から離脱するだろう。
でも、この身体は同じように紅雷を炸裂させようとはしない。この時だけ、ストラーヴではなく彼女として行動していた。それは意識したものではない、こうするべきだと身体が勝手に動いていた。

「僕に任せて!」

その一言を合図に全身から迸るは蒼電と紅雷、空中で二色の閃光を放ちながら剣槍の穂先は襲撃者へと狙いを定めていた。溜める猶予はない、だからこそ一瞬で最大へ持っていく。
その為には速度に特化した蒼電、威力に特化した紅雷を合わせなければならない。本来持ち得ていた技ではなくこの時にやるしかないと思いきったもの、成功しない可能性だってあった。だが、彼女は成功させるつもりでいた。
一呼吸の間で溜めを中断し、放出へと切り替える。僅かな溜めで最大の加速に持っていくには紅雷の炸裂と蒼電の放射が必要だと考えた、そして今、その結果が現れる。

―――炸裂する紅雷、尾を引く蒼電
   その速度は光にも及ぶ、是神速也―――

瞬間的に最大加速まで引き上げられ、先の蒼電の一撃とは比べ物にならない負荷がかかる。身体が悲鳴を上げているが彼女は止まらない、止める事を許さない。
圧倒的な熱量による破壊の光、それを眼下に見据えながら襲撃者へと一条の光となりこの剣槍を届かせる。ストラーヴが良しとしない、だが彼女がこれで良いと思ったからこその一撃。
先の二撃比べれば威力は比べるまでもなく低い、速度と純粋な彼女の腕力のみでしかない。しかし、この場面においては速度こそ最も重視するべきだ。
襲撃者に体勢を整えさせず、隊長を一刻も早くあの破壊光から救わなければならない。
故に平時であれば下策でしかないこの一撃も、この一時に限ってのみ必殺の一撃になりうる。

>>フォッサ・セントライト ダグラス・マクファーデン

3ヶ月前 No.324

Futo・Volde @nonoji2002 ★7KU5qNWZJU_D9v

【ロンカ村/牧場/アベリィ・シルバラード】

「ほら、肩に掴まって」

怯える少女とかしたアルクールの隣にアベリィはしゃがみこみ、肩を差し出す。
一体、彼女にどんな過去があり、どうして火にここまで怯えているのか。彼女の口から利き出すのが一番な以上、確かなことは言えないが、おそらく火に対して強いトラウマを持っているのは容易に想像が出来る。それが幼少期の物なのか、あるいは比較的最近のものなのか。
トラウマは人の心に深く居座る。克服は難しく、人によっては一度トリガーを引かれれば、それがフラッシュバックのように思い出されて決して言えない傷跡を深く抉る。
幸いにも、アベリィにはトラウマと呼べるほどの物はないが、時に思い出と言う形で、トラウマのように心を抉る、思い出したくない過去がフラッシュバックすることがある。

「とにかくここから離れるよ」

激しい動悸と、しどろもどろになりつつある言葉。おそらく過呼吸になってるのだろう。このままならおそらくアルクールは気絶してもおかしくない。この状態で放っておけば、おそらくこのまま火に囲まれて死ぬ。仮にも敵だから助ける必要などないのかもしれない。だが、軍人であるアベリィは、ただの1人の、民間人の少女と化した彼女を放ってはおけなかった。
彼女を介抱するように支えながら、ゆっくりと火の手が回っていない場所へと目指して歩いてゆく。歩くのもままならないくらいになっている彼女が、バランスを崩して倒れないようにゆっくりと、ゆっくりと。一歩一歩確かに雪原を踏みしめながら。

>アルクール・サンドリンガム


【若干の確定ロルですかね、これ。致し方ないのでご了承を】

3ヶ月前 No.325

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【城塞都市ギリダン/正門/ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン】


「はーっはっはっは!すまぬ!立派な正門を吹き飛ばしてしまったな!許せ!私もあれは予想外だった!だが、うむ!エスメラルダが避けて安心だな!」

反射的に回避したエスメラルダを見ながら、これっぽっちも悪いと思ってないように大笑いを絡ませながら謝罪をする。彼自身悪気なく、この謝罪も実は心からの物だが流石にこれを察するのは不可能に近いだろう。
実際死人が出ていない以上彼は特に気にしない、謝罪の心こそ本物であるが人が作った物ならばまた人が作り直せばいいと考えている。しかし人が死んでしまえばそうはいかない、故に彼は絶対に殺傷力のある魔法は放たないのだ。
右手の結晶刃は祝砲を放った媒体にしたおかげか今までにないほど光り輝いている、暗闇にこれがあるだけで人が十分な生活が出来るほど煌めいている。戦闘に関係あるのか、あるわけがない。

「……む?エスメラルダよ、嬉しいのは分かるが泣くほどであったか!そうか!そうか!うむ、これはこの後の勝負も気持ちよいものにせねばならんな!」

涙を浮かべながら立ち上がり、刀を構えるエスメラルダ。それを歓喜の涙と感じ、さらに気をよくする彼であった。また防御に徹していることも、相手に先手を譲る高貴なものの余裕の一つだとも思っている。
そう、彼はどうしようもなく前向きである。エスメラルダがどう思っているのかはもっと落ち着いて観察すれば分かる筈なのだ、しかし彼は派手さによって高揚し持ち前のポジティブシンキングで良い様に捉える。
もし祝砲の後に怒声を上げて怒っていたとしよう、彼は派手さが足りなくて怒っていると捉える。文句を言えば派手さが足りなかったのかともう一度祝砲を上げようとする、大泣きすれば歓喜に打ち震えていると思いさらに高揚するだろう。
詰まる所、この男は調子に乗らせると乗り続ける。そうでなければ戦略眼もあり、大局を見て指示を出せる聡明な人物ではある。如何せん今回は彼を乗せやすい相手だったのが、エスメラルダの運の尽きだろう。

「うむ、ではそろそろ勝負と行こうではないか!高貴なる生まれの余裕、しかと堪能させて頂いた。ではその通りに先手は頂こうか!」

大笑いをぴたりと止め、声を張りあげ開戦の合図とする。ちなみに此方側の軍は巻き込まれない為に相当後方にいるが彼は気にしない、エスメラルダとの勝負しか目に入っていない。
結晶刃に左手を添え、魔力を籠めると刀を模していた形をさらに長く細い長刀へと変える。何故変えたのか、気分だ。刀のままでは少し不格好だからと少し長くしたのだ、リスペクトは失ってないから許容範囲内なのだろう。
結晶刃を一振りし、周囲に煌めく魔力結晶を散りばめると同時にエスメラルダへと駆ける。彼の衣装には光を受け、鮮やかな色彩を放つ結晶に覆われている。防御の意味合いもない、言うなればお洒落である。

「では、尋常に勝負といこうではないかぁ!エスメルァルダァァァ!!!!!!!」

無駄に舌を巻きながら高く跳躍し、背に結晶の大輪を咲かせる。降下と同時に結晶の華を散らし、周囲に細かい結晶の針を飛ばす。さらに追撃に結晶刃の一太刀を振り下ろす。
どれも見た目は痛そうであり、当たり所によっては死んでしまうと思うかもしれないが全て非殺傷だ。針が刺さっても血が出ることはなく、その部分がすごく痛い上に見た目の小ささに似合わない衝撃が伝わるだけだ。
結晶刃も刃と名が付いているが斬れることはない、むしろ鈍器に近いがそれで殴っても気絶すらしないだろう。ただすごく痛い上に、すごく吹っ飛ばされるだけだ。
全部非殺傷ならばもっと当てやすいものや、扱いやすいものを使えばいいと思うだろう。しかし刀はエスメラルダへのリスペクトだ、だが他は多分好みだろう。
この様子では勝負にならないだろう、そう彼に問えばこう答えるだろう。
―――今は私が派手さで勝っているな!しかしエスメラルダは生まれの高貴さで十分巻き返せる!私も負けていられんからな、と。

>>エスメラルダ・ナズクル


【私にも分かりません。派手さで負けたら降参だと思います。】

3ヶ月前 No.326

氷雪の死神 @zero45 ★h2BOlEz4kD_FR1

【ロンカ村/民家/付近沿道/レイヴン・ロウ】

 魔法こそが万能であると信じて疑わない愚かな思想を否定するかの如くに、稲妻が障壁を破ってノエルへと突き刺さる。天から地へと墜落し、地上へと全身を叩き付けられた彼女は、さも信じられないと言わんばかりの表情を浮かべながら、此方を卑怯者と断じて非難の言葉を浴びせて来る。
 自分が対応し切れなかった事実を認めず、あまつさえ不正をしていると言い切るその姿に、レイヴンは失笑を禁じ得ない。
 元より殺し合いとは、勝利をもぎ取る為ならば如何に下劣で畜生染みた行為を使っても許される無法の場。自分から足を踏み入れておきながら、不正だ卑怯だと喚くのは余りにも滑稽で無様だ。

「本気を出すのが遅すぎたな、ノエル・マッケローク。貴様の命運も、此処で終わりだ」

 先程の被弾によっていよいよ危機感と言う物を抱き始めたのか。これまでとは比べ物にならない程の量の魔力が彼女の両手へと集中して行くのが窺える。やがて引き起こされるは、空間の断裂。その修正に際して生じた振動が、暴虐的なまでの斬撃となって襲い掛かって来る。
 だが、それは何の意味を為さない。創造と対を為す破壊の具現、触れる物全てを無へと還元する光が斬撃を文字通り消滅させたからだ。その過程の中で、絨毯爆撃の主の目配せに、彼は強い決意を以て頷く。

「……ああ、任せろ。これで何もかも終わらせてやる」

 聞こえて来た小さな呟き。それに対して静かに答えを返すと同時に、構える黒紫の双刃。
 絶望の死地へと追いやる死毒を帯びた凶刃の主が、今こそ好機と断定すると同時に最大限の加速を開始。限界を度外視した速度が激しい負荷となって身体を苛みながらも、敵の正面へと躍り出た彼は、紅い右眼でその姿を睨み付け。

「恐怖に打ち震えながら、死ね……!」

 刹那、神業の如き途轍も無い速さで放たれる無数の斬撃。袈裟、逆袈裟、薙ぎ払い、斬り上げ――その形は列挙し切れぬ程の数を誇り、その悉くが致命傷と成り得る物。無惨に殺す誓いを現実の物にするかの如く、繰り出されるは殺戮の暴威。切り刻まれて尚生き延びたとしても、待ち受ける未来が絶望に満ちた物である事に変わりはないだろう。

>ノエル・マッケローク 氷魔像ギラード 蓼科祈

3ヶ月前 No.327

失敗作 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

3ヶ月前 No.328

大災厄の残痕 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【城塞都市ギリダン/城下町/キラー・テンタクラー】

「フフーフ、それで良い! あーいや、しかし……お前が食っていて横で私が見ているだけと言うのも癪に障るし、フォルトゥナにも何か渡さねば……うむむ、また買ってこなくてはならないか」

先ほどまでは自分に対して呆れた様子で接していたシエンタが一気に今までの言葉を撤回するように引止めにかかった事を見てキラーはうんうんと頷いて笑い、そしてそれなら良いと一気に、実際は顔が変わっていないのだが、本当に人間が表情を変えたように雰囲気がぱーっと明るくなる。
相手が"前線に出るタイプじゃない"と言ったのは、シエンタが言ったようなハッキング専門だから前線向きではないと言う意味ではなく、性格の事だったのかもしれない。

まぁ、本人達にとっては、それを知る由も無いし、それを知った所で精々子供っぽく怒るぐらいで、前線に出張ってくる事はおそらくやめないだろう。
そんなことをしている間に、シエンタの攻撃が見事に武器に命中して、相手はその武器を落とした。 さらに、シエンタの能力によってあの武器はしばらく使い物にならないだろう、まるで金を落とした貧乏人のごとく拾いに行けばアタッカーが殺到して串刺し、拾えても使えない、完璧だ。

「クククッ、よくやったシエンタ、ならばこちらも頑張らねばな!!」

褒めるべきと思った所は素直に褒めながらも、キラーは用意した巨砲の発射体勢に移る。
僅かとはいえ電力が供給された時点で、二基の増幅器が激しく稼動して電力を増幅、それを巨砲に注ぎ込み、光り輝き始める。

さて、ここでシエンタはここが古代であり、発電所も、軍事衛星も存在しないことに気づく。
が、よりにもよって発射開始直前と、シエンタの警告、さらにはキラーの叫びが被ってしまった。
さらに言うなら、アタッカーがブラスターによって落とされてキラー本人はご立腹だ。

「シエンタ!? どうした、電力チャージがまったくと言っていいほど来ていないぞ。 まあいい! 僅かであっても、我がツインアンプによって増幅し、さらに私自身からの電力供給で、フルチャージには程遠いが発射可能ゥ!!」

これではお互いの声がまともに聞こえるはずが無い。
さらに言うならば、増幅器と巨砲が稼動を高らかに示すように凄まじい轟音を響かせており、滅茶苦茶五月蝿い。

故に、行われるのは強行発射。
しかし、そこにレールガンの弾丸が巨砲を貫通した。

「ぐわああああ――とでも言うと思ったか馬鹿め! 我が最終兵器はちょっと穴が開いたぐらいで止まりはせん、あの世で後悔するが――あれ、誘導機能が?」

巨砲は確かに損傷している、だが、それ以上に『何処がぶっ壊れても大して影響の及ぼさない雑な作り』が功を奏したのか、発射がとまる気配は無い。
さらに言うなら本体も、ひっそりと体を捻って回避している。

そして、巨砲が発射される……が、そもそも、超遠距離から大型目標に対して使うこと前提の武装が、誘導機能なしであたる訳が無いのだ、もちろん、誘導機能に必要な軍事衛星のハッキングは出来ていない、つまりは。
ほとんど見当違いの方向へと発射された弾丸が飛んでいく。
それは遠くの城壁に着弾、それを崩壊させることで威力の威厳だけは保って見せたが、結果としてはただ外しただけだ。

「……メガキャノンアァンドキャノン!!」

一瞬の沈黙の後、シエンタがキラーに対処を丸投げした。
それにも、内心はめげているかもしれないが、少なくともそれは表に出さずに、キラーはその巨砲をそのまま四門の"メガキャノン"に変形させ、周囲に展開していた四機のドローンも全てキャノン砲に変形させる。
今度はチャージが不要の、ちゃんとした実弾武器だ、威力に関しては劣ってしまうが、少なくとも、ちゃんと命中はするし、何せ砲門数が多いために、ほとんど弾幕を単機で展開しているような状態となれる。

敵を追い払うように無数のキャノン砲が一斉に火を噴いた、特に本体の"メガキャノン"に直撃するような事があれば、間違いなく普通の人間ならば即死だろう。

>スターロード シエンタ・カムリ

3ヶ月前 No.329

山城妖狐 @sacredfool ★KfU4BwvHXz_D9v

【ロンカ村/広場/山城瑤子】

 あやかしの焔は神の炎。敵と認めた者だけを焦がす断罪の紫炎。それ以外の何物をもすり抜け、相殺や防御といった対処は全くと言っていいほど意味を為さない。神の狐が司る鬼火は彼女の妖術のほんの一端でしかない。それゆえ術士たる神狐は後方からの援護を望む。神格は常に人々の背後に坐したがるものだ。
 そして前は同門へと下った銀狼が務める。与えたモノは兵糧として余りに頼りないが、この場ばかりは何とか凌いでくれないと困る。とかくこの銀狼が再び腹を空かせぬうちにかの暴虐を討たねばならぬ。
 ……が、なるほど魂魄の類なだけはある。頑丈さは確かのようだ。力負けしながらもあの銀狼の突撃を受け止めてのけるか。とはいえそれでも良い。銀狼の本分は鉄砲玉。突っ込み続ける、攻めの手を緩めぬことによって敵の対処を誘い、こちらはその隙を突いて遠くから撃ち抜く。使い古された戦術だが、それゆえ馴染む王道のやり口だ。そして王道だからこそかの魂魄の男もそれを心得ている。男の咆哮から轟く紅の焔は実体をもたぬ虹の槍を残らず燃やす。槍はいずれも高い質量であったのにも関わらず、だ。相当の火力と見える。
 奴ほどの力量をもっていれば、こちらの定石を崩すことも容易いだろう。実際、防壁によって爆発した槍の余波も防壁を突き抜けた紫炎も、男の身を焦がしているのは確かだが、それに怯む気配はない。そして――

「神を足蹴にするか……罰当たりめが」

 銀狼に負けるとも劣らぬ身のこなし。残像さえ生むそれから放たれるは正に暴力。燃え上がる闘志は熱波さえ生じてこちらを燃やさんとする。
 神狐は男の力量を侮っていたわけではなかったが、彼の一撃は受けている。神とはいえ一介の狐ではそれで吹っ飛ぶのも無理はない。彼女の体は雪を巻き上げて転がるがしかし、神であるがゆえにただの一撃では沈まない。理性を捨てて得た暴力の発露であろうと、神狐は再び立ち上がっては陽炎を身に宿す。周りを漂う紫炎は傷を負ってなおその数を増やし、怨嗟の篭もった彼女の声と共に激しく燃え上がる。それは仇名す者に報いを約束する祟りの炎である。

「我慢比べなら……付き合うぞ?」

 神狐は雪を蹴立てて一直線に男へ走る。銀狼にも男にも負けぬほど迅速に、姿が見えぬほど――妖術による短距離の瞬間移動から神狐は男の喉笛を狙ってすれ違いざまに牙を光らせる。そのまま刺さるのならば僥倖、受けるなり躱すなりするだろうが……身を纏う焔は神獣の身のこなしについて来ていない。紫炎は依然その場所に在り、宿り主のもとへ戻る。
 ……否。宿り主の敵を焼く。つまりは牙への追撃。無数に束ねられた焔は快速の炎群と化して一様に男を狙う。先程の火の雨よりも苛烈さは段違いにして、触れれば不退転の攻勢さえ許さず焼き尽くし得る。男の背後へと回った虹の光線と男の真正面から射抜く灼熱の弾丸は重なり、射線上の獲物を挟み撃ちの格好にして追い詰める。同門へ下ったのならば連携も吝かではない。それはあの銀狼も、未来から訪れた女子も同じことだ。

>>ユーフォリア・インテグラーレ、イアン・ガグンラーズ、カリギュラ

3ヶ月前 No.330

クランの猛犬 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【遅れて申し訳ない。ホラー感漂う。絡みありがとうございましたー】

【ロンカ村/養鶏所/ランサー】

「……」
 黙って見守るしかなかった。
 自分がそうだったように、腹を決めて決定した事に口出しする事はしなかった。
 それで少女に悔いがなければそれでいい、ただ少女に余計な事をしでかしそうな相手が気にかかっていた。
 だからこそ約束した。口には出さなかったがもし余計な事をして、理性なき怪物にされた場合の意味で討ち取ってやると言ったのだ。
 ゆらりと魔力も気配も消されて、不気味な相手は闇に消えると。
 大怪我を負った足首を駆使した代償か、がくりとランサーは座り込む。
「一応、うちの大将に報告しとくか」
 ふうと紫煙を吐き出してそう呟く。
 戦って確信した英雄に変貌した少女と無貌の仮面は驚異になる。そう確信すると青いダウンジャケットに着替え、煙草を咥え鶏舎を照らすと焦げ臭い臭いが苦い香りと共に混ざってきた。
「うおっ! コイツはやばいな」
 呑気に一服している場合ではなさそうだ、この村は焼き討ちか大災害にあって消滅する運命だったのかと焦って立ち上がると痛みに戦いながら火の手が回らないうちに再び雪の中へと飛び込む。
(嬢ちゃんすまねえな)
 怒りと苦渋に満ちた顔に冷たい雪が当たる。後ろに結わえた髪を揺らしながら、急いでこの時代に送られた地点へ目指して煙る降雪と火煙の中へと消えていった。
>黄衣なる者

3ヶ月前 No.331

人の皮を被った悪魔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ロンカ村/民家/付近沿道/ノエル・マッケローク】

はじめ、この村を焼き払った時の威厳など、もはやノエルにはない。いつの間にか、彼女が引き連れてきたはずの近衛は、危機を察したのか忽然と姿を消していた。
皮肉なことに、周囲に目を向ける余裕を失ってしまっている彼女は、そのことに気付いていないようだ。とはいえ、ノエルに心から従う部下などいないことは、彼女の態度からしても明らかなことであったろう。
あくまで自分が最強であると信じて疑わず、被弾したのは不正であると言い張る彼女の姿は、滑稽そのもの。自らの弱さと向き合えなかった末の結末が、これだ。
それでも、彼女がようやく本気を出してきたのは事実であり、三人にとっては予断を許さない状況であることは間違いない。才能だけでここまでのし上がってきたノエルの実力は、脅威そのものなのだから。

「出来るならやってみなよー。きっと無理だと思うなー」

あくまで敵を舐め腐った態度は変わらないノエル。故に、少女の宣言に対しても速攻で無理であるとの返答を返すが、もはや彼女の思い通りに事が進むことはない。
渾身の力を込めて放たれたはずの大気の暴力は、少女が反撃として見舞った破壊の光によって、尽くかき消されていく。その光景を目の当たりにしたノエルの顔には、驚愕の表情が浮かんでいた。
何故だ、どうしてこうなる。自分の方が強いはずなのに。奴は、どんな不正をしているというのだ。嘘だ、こんな展開あり得ない。何かが間違っている。
焦りは彼女の精神を乱し、正確な判断を不可能とさせる。背後から感じる冷気。背後へと瞬間移動したギラードのアイスソードが鎖となりて、ノエルの身体を捕らえる。
後ろ手に縛られ、これで魔法は使えなくなるかと思われたが、彼女はこの状態においても足掻き続けていた。手を振るわずとも、簡単な魔法を行使することは出来るらしい。
ノエルを取り巻く暴風が、身動きを封じる氷を溶かそうと荒れ狂うが、氷は溶かせど溶かせど再生し、彼女の魔力を持ってしても、消える気配が全く感じられなかった。

「待って欲しいなー! これは本当に卑怯だと思うなー! 正々堂々やって欲しいんだけどなー!」

満足な防御を取ることすらも出来なくなったことを察したノエルは、本気で焦りを露わにする。結果として始まったのは、三人に対する命乞いであった。
次に湧き上がってきたのは、死への恐怖。こんな怖い思いをしているのは、生まれて初めてかも知れない。どうにかして抜け出さなければ、その先に待つのは逃れようのない死のみ。
故に、往生際悪く、彼女は足掻き続ける。次々と放たれるレイヴンの斬撃を、風の爆発を用いて何とか凌ぎ続ける。……だが、両手を使えず、その場から動くことすらも出来ない状態で、これらの攻撃を全て防ぐのは、さすがに無理があった。

最後の斬り上げをもろに喰らい、同時に自らを束縛していた氷が溶けたことにより、地面へと倒れ伏すノエル。受けた傷そのものは、大したことのないもの。なので本来であれば、ここから直ぐ様反撃へ移れるはずであった。
しかし、レイヴンの剣に仕込まれていた毒が彼女を蝕み、視界を歪ませる。口から血を吹き出し、雪の上をのたうち回るノエル。人としての性が、生への執着が、瀕死の彼女を突き動かす。

「お願いだから助けて欲しいなー……このままじゃ……私死んじゃうなー……だから早く―――」

命乞い。ノエルが最後の最後にやったのは、それであった。自らを取り囲む三人に対し、どうにか助けてくれないかと懇願するが……その言葉が聞き入れられることはない。
今まで彼女がそうしてきたように。多くの罪なき人の命を奪ってきたように。徐々にか細くなっていく声。耳と済まさなければ聞こえない音量で放たれていた言葉はついに……途絶えた。
光なき虚ろな目のまま、ぴくりとも動かなくなったノエル。ここに、彼女の命運は尽きた。暴虐の限りを尽くした"マッケローク朝バスケリア"の君主は、村の守護者達によって、全ての代償を支払わさせることとなったのである。

>>ノエル・マッケローク(Chrono Crisis)@祈の破壊の光とギラードの捨て身の行動によって身動きを封じられ、レイヴンの放った斬撃の傷から入った猛毒が全身に回り、死亡


>蓼科祈、氷魔像ギラード、レイヴン・ロウ

3ヶ月前 No.332

忠犬 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【王都ロンカリア/大通り/ロコ】

1300年もの長い歴史を誇るマロニス王国。そのルーツは古代にまで遡り、魔道帝国の崩壊後、偉大なる初代女王の指導の下に、世界の覇権を握った。
その統治は極めて寛容的なものであり、女王は多くの国民から愛された素晴らしき人物であったという。女王の名は、マロン・アベンシス。魔道帝国の時代には、カルストンの領主として記録の残る人物である。
辺境の小さき島に開かれたアベンシス朝カルストンは、魔道帝国の崩壊後、混乱した大陸を平定するために上陸し、急速的にその勢力を拡大させていった。
全盛期には大陸の北半分を支配するほどの領土を有したそうだが、時代とともにそれらの領土は緩やかな連合へと移行し、やがては独立していったのだ。
王都がカルストンからロンカリアへと遷都されたのは、およそ1200年前のこと。初代女王マロンの晩年であるが、何故当時、雪に閉ざされていたはずのこの場所を選んだのかは不明とされている。
以後、大陸の北側を支配する王国として定着したマロニス王国は、1300年もの間途絶えることなく独立と繁栄を保ち続け、未来にまでその名を残すに至ったのだ。

そんな歴史の残る街を、普通の人間とは異なる特徴を持つ少女が歩いていた。彼女は出で立ちこそ人のそれと酷似しているが、頭頂部から犬耳が生え、尻にはふさふさの尻尾が揺れている。
この時代に生きた者であれば、すぐ気付くことだろう。彼女が亜人であり、魔族であるということに。魔族に対する偏見が強い中世においては、王都に彼女がいること自体、異例といえる。

「ここがロンカリアでありますな! 勇者殿、美味しそうな匂いがするでありますよ!」

目を輝かせながら、背後の女性、アンナローズへと話し掛ける亜人の少女、ロコ。二人の出会いは三年前まで遡る。人間と魔族という種族の違いがある以上、その出会いは平和的ではなかった。
魔帝軍の兵卒として暮らしていたロコは、偶然目の前を通り掛かったアンナローズの見るやいなや、その命を奪わんと襲い掛かったのである。
彼女は亜人特有の運動神経や土属性の魔法を駆使してアンナローズを追い詰めるも、善戦及ばず敗北。正史であれば、ロコはここで殺され、命を落としている。
では何故、その彼女が今こうして、アンナローズの従者として行動を共にしているのだろうか。一ついえるのは、"古代における時空防衛連盟と歴史是正機構の介入の影響が、既に現れ始めている"ということだ。
三年間、二人きりで旅を続けていることもあり、両者の信頼関係は絶対のものであるといっても差し支えはない。ロコはアンナローズが魔帝軍を倒すその日まで、忠実なる従者として、彼女を支え続けるだろう。

さて、ロンカリアへと着いたはいいが、人一倍鼻の利くロコは、早くも周囲から漂う料理の匂いに気が付いたようである。既に日が沈みかけているこの時間帯。飯店や宿屋では、丁度夕飯を用意している時間だろう。
しばらく野宿が続いていただけに、久々に落ち着いて取れる食事が楽しみで仕方なかった。彼女は満面の笑顔を浮かべながら、アンナローズの反応を待つ。

>アンナローズ・フォン・ホーエンハイム、ALL
【許可を頂いたので、特定相手への絡みという形で投下。
 既に中世編プロローグは開始しておりますので、準備の出来た方からレスを投下して構いません。
 なお、未来キャラクターの中世編プロローグにつきましては、未来のロケーションで行うようにお願いします】

3ヶ月前 No.333

電子の詩人 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【プロローグ。ネットの中どうなっても知らんぞーいそして、名曲の無駄遣いパート2】

【時空防衛連盟本部/応接間/使われていない空き部屋→エントランス/ショパン】

 ここでの生活は慣れた。
 戦地に赴かずひたすら動画を撮っては編集するだけの生活を続けていく。
 通りすがりの職員は冷たい目で見て陰口を漏らす、近づきたくない。
 食堂で声かける近づいてくるおばさんが、もっと食べな細っこいから戦えないんだろうとしょっちゅう言われる、正直鬱陶しい。
 ここで働いている人達には慣れたけど、まだ精鋭のヤツらと話すのが無理。
「とりあえず一ヶ月分……この身が危なくなるまで随時投稿する予定……」
 レンズの様な輪が瞳孔を囲むくすんだ黄緑の双眸に映るのは、動画サイトの投稿画面だった。
 動画の題名は『【悲報】時空修復の影響を捉えた【新発見】』
 動画投稿者の名前はChopin。
 動画説明は時空修復の影響を捉えた動画、とりあえず一ヶ月分を投稿、この身が危なくなるまで随時投稿する予定。元の景色に戻したければ時空防衛連盟の支援を頼む。
 全ての工程を完了させると、ショパンはアップロードボタンをクリックした。
 完成するまで長かった、初撃は如何にとパーセントの数字を静かに見守る。
 時空修復の影響を動画にまとめネット利用者に、時空防衛連盟の活動を支援するよう扇動と歴史是正機構の活動動をはっきりと明らかにさせて、揺さぶりかける為にずっとコツコツと作っていたのだ、ニュース沙汰にもなっても構わない、その方がもっといい。
 ショパンはほくそ笑むと、ネットでふと世界政府が介入するのではの噂が立っている事を思い出すが関係ない。
「ねんりょうーとーかー」
 かつて、自分の作った歌をジョリーが歌った動画のランキング上位を目指した事を思い出し、その歌(ムジーク)にちなんだ旋律に合わせて祈願の意味で小さく歌うと。
 立ち上がり、肩にかけた紫色の上着の袖をなびかせて外に出た。
 脇にダンボールを抱えながら自動販売機に向かおうと部屋から出る、帰還している人は少ないと思い珍しく目元は陰と前髪で隠れているが、陰のある端正な顔立ちを晒す。
 相変わらず通りすがりの職員は冷たい目で、戦地に赴こうとしないショパンを見る。
 自分は戦闘ははっきり言って不得意だ、だからこそ自分の得意分野でダメージを与えようとずっと行動してきたのだ。
 ふとそんな事を思っていると、映像が脳裏に過る。
(……あれ、前にもこんな事……あった気が……)
 机に向かい執筆し、社交界(サロン)でピアノに向かう『彼』の姿がぼんやりだが"思い出される"だが、ショパンは輪郭をはっきりと捉えられず、首をこてんと犬のように傾げると、もうそろそろ自動販売機に辿り着く。
 硬貨を入れて、飲み物を一缶購入しそれを取ろうと細腕を伸ばそうとして。
>ALL

3ヶ月前 No.334

蓼科祈 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4

【 ロンカ村/民家/付近沿道/蓼科祈 】

 反撃の目も、防御のための策も全て破壊の嵐に飲み込み粉砕した。
 そして逃げるためのその足も、氷爆が封じて束縛し封じ込めた。
 そして、――トドメ。レイヴンの連撃が通り、猛毒の刃がノエルに突き立てられその血肉を犯し尽くす。

 体を壊す。
 血を壊す。
 神経を壊す。
 尊厳を壊す。
 心を壊す。
 ――ありとあらゆる全てを蹂躙されつくしたノエル・マッケロークには最初に存在していたはずの威厳は感じられなかった。

 ネガイ
 命乞いを聞き届ける者は何処にもいない。
 口から血を噴き、のたうち回り、それでもと抗い続けて来た彼女はついに動かなくなった。
 彼女は死んだ。呆気なく、平等な死に蝕まれ飲み込まれたのだ。

「……ふぅ」

 ――バチン、と破滅の砲弾を撃ち込む。
   彼女の遺骸はそれだけで砂のように崩れ去り、やがては無へと還っていった。

「――で」

 二人――一人と一体へ向き直る。

「どうするのよ、これから」

>レイヴン ギラード (ノエル)

【お相手、ありがとうございました】

3ヶ月前 No.335

北方守護騎士 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【ロンカ村/民家/付近沿道/氷魔像ギラード】

「当然だ……この判断をした以上、この地での身体を捨てねばならぬ、死と言う概念こそ無いが、身体を使った干渉が出来なくなるのなら、道連れに貴様程度は連れて行く」

反則だと喚き散らすノエルに対してギラードはそれだけを告げた。
そのとき、破壊の光はギラードを飲み込み、彼の鎧の一部をいとも容易く消滅させた。 これは当然と言えば当然だ、ノエルは防御しているが、ギラードはそのノエルを拘束する事に全力を尽くしており、破壊の光への対処など全くしていない。 ……いわば、死を覚悟した上でこの選択をしたのだ。
そして、本体であるはずのギラードが幾ら傷つこうとも、ノエルの身体に絡みついた氷の鎖や、足元から凍り付けにするべく這い上がってくる氷は消えはしない。

だが、まだギラードは滅びず、本命であるレイヴンの連撃の瞬間にノエルが逃げられないようにそこに存在し続け、氷によって敵を拘束し続けた。

「さあ行け」

レイヴンの斬撃が放たれる、それの対抗として風の爆発が何度も何度も発生させるノエル。 それは破壊の光によって鎧が崩壊しつつあるギラードにも凄まじいダメージを与えていた。
徐々に周囲の下がっていた気温が元へと戻って行き、ノエルを拘束していた鎖や足元の氷が溶け始める。
だが……ノエルがそこから逃れるよりも先に、レイヴンの斬り上げが炸裂した。

すると、そこでブツンと糸が切れたように急速に気温は元へと戻り、ノエルを拘束していた氷は溶けて、ノエルの近くに居たはずのギラードは消えた。

……戦闘は終わった、ノエルは苦しみながら死に、その遺体は消し飛ばされた。
そして、これからどうするのか、そう言った話をしたとき、ギラードは確かにレイヴンの近くに立っていた。
立っていた……しかし。

そこに立っていたのは、全身がまるで泥のように溶けているギラードの姿があった。
先ほどまで存在したはずの鎧は溶け、攻撃の中砕けなかったアイスソードすらも、地面に冷たい水として滴り落ちている。

それでも、ギラードにはまだ会話能力が残っているようで、コアとなっている球体部分が言葉を放つ。

「……あぁ、魔道帝国の粛清用部隊は、我が退かせよう。 ここは侵略対象だが、それ以上に、ノエルが死んだことを聞けばギリダンの防衛に戻るはずだ、しばらくは静かになる、ギリダンに行った者たちが上手くやれば、そのままこの戦争は終わるだろう。 ……だが、我は、まぁ、この通りだ。 少々力を使いすぎたのでな、信じた魔道帝国が残ろうと、お前たちが残ろうと、我が愛した地は残るだろう……だから、さらばだ」

ギラードは連絡用の氷の精霊を放った後、まるでそれで身体を保つ力が無くなったように、まさしく春の日差しで溶ける氷像の如く、溶けて消えた。

……だが、少し目をやれば、少し高い位置にある家屋の上に、あの見た目ではないが、異常に大きい氷の塊が出現したのが確認できるだろう。
彼は最後に、この村の光景を目に焼き付ける。

「……やれる事はやったか? いや、間違った道を進んだやもしれぬ、それならば、やはり、山城の奴が正しかったという事か。 ……さて、復活はいつになるやら、我が真の敵が現れた時、になってしまうかな。 あぁ、しかし、最期に――」

ブツリとスイッチが落ちたように氷の塊が、崩れ落ちて、積もった雪の一部となって消えた。
一度は裏切りを行った氷魔像は、村を守って、休息期間に入った。

最期に、子供たちと遊んでやりたかったな、勝手に消えては怒られてしまう。

などと呟き損ねて。

>ノエル・マッケローク 蓼科祈 レイヴン・ロウ


【氷魔像ギラード@ロンカ村の戦いにて魔力を全て消費、自然の一部へと還り戦線離脱。 と言うことでお相手ありがとうございました!!】

3ヶ月前 No.336

61 Destroyer Squadron @sreipnile ★1DXVdHzeIP_M0e

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

3ヶ月前 No.337

"混沌" @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

3ヶ月前 No.338

世界を駆ける者 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=aOebGo8tui

[城塞都市ギリダン/首都奴隷処理施設/【リプレイサー】]

瓦礫は砕かれ、破片を散らした。言葉は弾かれ、耳を塞いだ。
唯一通ったダガーの一撃も、致命の一撃からは程遠い。蜘蛛としての肉体かか、或いは本能か、墜落は無数の糸によって停止した。ダガーは勢いをそのままに天井へと激突し、カランと乾いた音を立てて地に落ちた。

奇術師は攻撃の不成立を確認するが速いか、左手にダガーを握りしめて突進を開始する。視界の外を突く立ち回りだ。相方が視線を引き付けるであろう、ならばこそ今が最大の機会。彼女の真横にまで迫った奇術師には、最早躊躇いの色は無く――

ダガーを振り下ろさんと手を掲げた、丁度その時。拒絶の叫びと共に、奇術師の身体は鋭く弾き出された。

相棒の横を通り過ぎ、壁へと衝突した奇術師の身体には、数本の毒針が突き立てられていた。針の発射は見切り、相棒の居る方向へと飛び退いたまでは良かったのだが、想定よりも遥かに針の母数が多かったらしい。奇術師の通った道には、叩き折られた十数本の針が散らばっていた。

「クソ……毒、か……!」

体勢を立て直そうと力は入れてみるのだか、刺さった本数の多い分、麻痺毒の回りが早かった。手は崩れ、壁に寄り掛かかるのが精一杯。もう、視界の端が暗くなっている。薄れた視界は辛うじて、蜘蛛の姿を中央に捉えていた。

「なあ、お前……。ああ、確かに……お前は、結構強いのかも、な……。」

口は動きが緩慢になってきた。自分でも、毒に弱いものだとつくづく思う。だけれども、一つ伝えておかねばならない――奇術師は、左手のダガーを強く握り締める。更に彼は、新たな言葉を紡ぐ。

「けどな、やっぱり……。お前は、戦いに向いてない。歴史だって……この調子じゃ、変わりそうには……ない、だろうな。」

致死的な物で無いとは言えども、毒を喰らった状況下。それでも奇術師の口から出て来るのは、忠言と皮肉の混在した言葉。所詮は負け惜しみだろう……そう思われても、仕方がないかも知れない。

だが、奇術師の口は、確かに笑っていた。
右手は砂利を掴み、ヒビ割れた地面を這う。
何処かでカタリと、小さな音が鳴った。

「でもな……俺は、お前の可能性を、繋ぎたい。『潰したくは無い』んだ。だから……」

左手は上へと掲げられ、ダガーが鈍い輝きを放つ。反射するのは、淡い輝きを放つ奇術師の双眸。刃の鋒は天井を指し、そして――
 ・・・・・・・・・
「躱してくれるなよ?」

地面へと振り降ろされたーーーー!

後方を見たのなら、二人にも気が付ける筈だ。蜘蛛の少女の背後には、“たった今【入れ替わった】”瓦礫が迫っている。そして奇術師の右手近くには大きな窪み。中心には、“先程投げていたダガー”が一本転がっている。

奇術師にとっても、確かに毒針を凌ぐことは難度が高かった。だが彼がここまで手酷くやられることは中々どうしてあり得ない。
理由は一つだ。“能力を封印せざるを得なかった”から。
回避を行う際にも、横へ跳ぶというのは少々不自然なこと。だがそれにも理由はある。天井へと落下したダガーと、毒針を放ったルーシャ、そして自身の持つダガー。これらを一直線に結ぶためだった。吸い寄せたダガーを直前で入れ換えれば、速度の乗った瓦礫の強襲が出来上がる。

ダガーの特性を生かした、死角を突く一打。当たればタダでは済まないだろうが、ダガーの速度は然程大きく無かったろう。命までは奪わない程度に減衰する筈だ。

奇術は繋いだ、後は相棒に任せるのみ。壁に凭れたまま、奇術師は事の顛末を見届ける――。

>>ルーシャ・コバルト 橋川 清太郎

3ヶ月前 No.339

エクセラ・ノア・アウラ @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=dgrb36F8Ll

『城塞都市ギリダン/玉座の間/エクセラ・ノア・アウラ』

「流石は異界の者。一筋縄ではいかんな」

エクセラが放った「ランス・ブラスター」は味方が放った攻撃と同様に相手の極光によって掻き消される。
しかし、味方の一人が放っていた熱線が相手の腕を焼くことに成功した。
だがそれでも相手にとっては大した障害にならないようで、相手は次の攻撃を放つ為に動く。
すると三機の光の精霊が現れ、それぞれが出現した次の瞬間にエクセラ達三人に光線を発射する。
続いて相手の周囲にあった橙色のビットからは火球が乱射され、紺色のビットからは氷槍が放たれた。
エクセラもすぐに詠唱し、それが終わると「因果の手招き」を使用する。
周囲に散らばる瓦礫を一度自身の近くまで引き寄せ、その瓦礫を引き離すように向かってくる火球や氷槍、光線にぶつけようとする。
その直後、棒立ちしているのも危険なので、エクセラも回避の為に動き回る。
完全にはいかないようで、火球や氷槍、瓦礫の破片などがエクセラの頬や足を掠める。
エクセラも相手が近接戦闘があまり得意ではないというところは見逃していない。
奇しくもエクセラには近距離の魔法や回数こそ少ないものの、連続攻撃ができる魔法を習得している。

>>パージルク・ナズグル、ニケ・エタンセル、ソレミア・ラガルデール

3ヶ月前 No.340

@sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【マロニス王国/騎士団詰所/ゲイル・べネルド】

1500年の歴史を誇るマロニス王国。その安寧を保つために心血を注いでいるのが、同じく長い歴史を持つ由緒正しき騎士団である。領土が島一つしか無かった頃から王国を支える彼らは、伝統の下に完璧な統率が取れており、今日に至るまで翳りなど見せたことがない…

はずだった。AD1066年に突如として姿を現した魔帝軍…圧倒的な戦闘能力を以て行われる彼らの侵攻は、王国及び王国騎士団に甚大な被害を与えた。
およそ8年間に及ぶ戦いは人類を確実に疲弊させ、人員不足や熟練兵士の喪失といった負の積み重ねにより、騎士団は在りし日のような輝かしい姿を失いつつある。
一際重大な問題としては騎士団長フロレ・ゾンダーランドの失踪があり、いざという時に頼れるリーダーの不在がどれだけ部下に影響を及ぼすかは、士気が下がりつつある団員達を見ていれば明白だろう。

そんな諸々の課題を解決すべく奔走するのが、ここ騎士団詰所にて声を張り上げる青年、ゲイル・べネルド。19歳という若さにして騎士団長代理を務め、フロレの留守を預かる実力者だ。

「攻撃を欲張るな!隙を見せれば必ずつけ込まれるぞ!」

訓練施設に轟く怒号。傍から見れば厳しいだけのようだが、そこには団員達を想う気持ちが込められている。練度不足のまま実戦に出て命を落とすよりかは、多少辛くても訓練を積んでおいた方がいいに決まっているではないか。
とりわけ今は王国の危機、自分達が不甲斐無くては国家の存亡に関わる。連綿と続くマロニスの歴史をここで終わらせるわけにはいかない、そう使命感を持てば訓練に熱が入るのも当然のこと。
ただ少々やり過ぎてしまったらしく、ゲイルも含めたほぼ全員に疲労が見え始めた。そのことに気付いた若き団長は、素直に詫びると共に暫しの休憩を言い渡したのだった。

「皆格段に良くなってるぞ。この調子でいけば、きっと魔帝軍にも勝てるはずだ!」

状況を重く受け止めるのも大事だが、リーダーとして何より大切にすべきは仲間だ。厳しく鍛えるだけでなく、励まして背中を押してやらねばなるまい。
そのためには威勢の良い言葉も必要である。多少虚勢や空元気気味であっても、暗く落ち込んでいるよりかはマシなはず。そもそも集団の先頭を走る者がくよくよしていてはどうにもならない。
やはり現状が現状だけに下を向いてしまうのも無理はないが、ゲイルはそんな者達も含めて掛け替えのない仲間だと思っている。
人が少なくなった訓練施設の床に腰を下ろし、今後の展望により一層頭を悩ませる。全ては王国のため、騎士団のため。そして憧れだった父と兄のために。

>>マロニス王国all


【プロローグ開始ということで騎士団長代理を投下します!状況としては休憩中で、人が減った訓練施設で一休みしてる感じになります】

3ヶ月前 No.341

魔道を征く者 @zero45 ★h2BOlEz4kD_kuu


【ナコーン→撤退開始/森林/北側/ダグラス・マクファーデン】

 大木へと叩き付けられた痛みに喘ぎながらも、即座に反撃へと移れるだけの余裕が残っているのは、日頃の鍛錬による賜物か。前へと突き出した片手に収束させて行く魔力。放出する余波が大気を振動させる様になったその刹那、解き放たれるは混沌の魔砲。森羅万象の性質を持つ虹にも似た、暴虐的な光の奔流となって敵を強襲する。
 相対する魔弾使いによって、地に描かれた陣より現出する土壁に受け止められるが、その力の差は瞭然。光へと捧ぐ魔力が途切れぬ限り、必ずや光は防壁を越えて敵を死に至らしめる事だろう。即ち、これが一対一の決闘であったならば、魔弾勝負は別として、この勝負はダグラスの勝利は揺るぎない物となっていた筈だ。

「チッ……!」

 だが、この瞬間に相対している敵の数は二人。魔砲の反動が生み出した隙を突く者が、この場に一人いる。上空へと視線を移した彼が見るは、天から落ちる一条の流れ星。猛烈な速度で急降下を果たす敵を認知した時、彼は舌打ちと共に光への魔力供給を止め、左に向かって回避しようとするが時既に遅く。辛うじて直撃は避けられたものの、槍撃は右腕を掠め、傷口から紅い血が激しく流れ始める。このまま戦闘を続行する事は、自殺も同然だろう。

「……確かに、そうかもしれないな。どうやら俺は焦り過ぎているのかもしれん――少し時間をくれ」

 傷口を左手で抑えながらも、フォッサの姿を見据えると、彼女が述べた意見に同意を示す。冷静に考えてみれば、組織が政府の掃討に出るのは改変後である可能性が高い。ヘルガが何処まで歴史の改変を目論んでいるのかは知らないが、最悪の場合、時空防衛連盟に所属した方が最良の選択だった、と言う結末も考えられる。
 ならば、最も信頼の置けるユーフォリアに協力する選択こそが一番だとは思う。だが、それでもまだ寝返る事は出来ない。一度、ちゃんとケジメを着ける必要がある。
 少し時間をくれ、そう告げると全身に風を再び纏い後退を開始、木々を次々と飛びながら戦場を離れて行く。追撃に出るかどうかはあちら次第だが、出来ればここは逃がして欲しいと思いながら。

>フォッサ・セントライト ストラーヴ


【撤退開始、追撃が無ければそのまま逃げます】

3ヶ月前 No.342

Charlotte @kirieru ★Android=ryLO8WYMEG

【魔王城/庭園/リュドミラ】

マロニス王国領土からたいぶ離れた.......或いは別の空間に存在するであろう魔王城。
魔王城には屋外の開けた場所に庭園がある。
普通、城の庭園と言ったら緑豊かな芝生と垣根に囲まれ美しい花々が咲き乱れているイメージが浮かぶだろう。しかしここは魔界という異質且つオドロオドロしい環境。
当然、ここの庭園には自然という物が存在せずあらゆる植物が枯れ果てた環境になっている。
その庭園の丁度、中央の場所に豪華な装飾が施されたテーブルが設置されておりそこに一人の少女が座っていた。

「ん〜.....マロニス王国産の高級茶葉で煎れた紅茶は結構な物ね.....わざわざ村を襲って手に入れた会があったわ」

ティーカップに注がれた紅茶を優雅に嗜む【災禍龍姫のリュドミラ】は先日、自身の支配下に置いたマロニス王国領土の村の庭園で採れた茶葉の感想を述べる。
魔界には自然豊かな環境が無いためにこうして茶葉といった資源を度々調達しているが基本的に欲しい物は力ずくで奪うスタンスなので平和的に貰い受けるという行為は彼女達、魔族の辞書には存在しない

「しかし.....なんか向こうが騒がしいわね......まぁフィラッサのいつもの憂さ晴らしなのでしょうけど......」

先程から魔王城の奥から乾いた銃声が何回も庭園から聞こえているがリュドミラは全く気にも止めない。
フィラッサは憂さ晴らしの為に連れ去って来た人間や魔界の兵士を遊び半分で殺す行為を何世紀前からやっているのだ。
今回もきっとそれなんだろうとティーカップに注がれた紅茶を口へと運んでいくがその途中でリュドミラの座っている椅子がいきなりガクッと傾いた。

「全く根性の無い下僕ね.......!」

リュドミラはティーカップをテーブルに置くと同じくテーブルに置いてあった乗馬用の鞭を足下に目掛けて振り落とす。

「ぎゃあああっ!!」

リュドミラが先程まで腰掛けていた物は椅子ではなくよつん這いになった人間.......正しくは先日、支配下に置いた村に住ん村人であり長時間、リュドミラを乗せての体勢に耐えられず崩れてしまった罰として下半身を乗馬用鞭で思い切りぶっ叩かれ村人は絶叫をあげた。
捕虜にした人間を椅子の変わりにする等とリュドミラの冷酷且つドSな部分が垣間見える。

「次、私に無断で姿勢を崩したら.....!後でたっぷりと"お仕置き"してあげるから......」

椅子にしている捕虜に向かって紅茶を啜りながらリュドミラは冷たく言い放つだった。


>>All




現時刻をもって参戦です

3ヶ月前 No.343

指輪の女帝 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【城砦都市ギリダン/玉座の間/パージルク・ナズグル】

「くくくっ。 これは失礼。 未熟故に任せられぬと言ったのはマロンと言う将軍でしてな。 まぁ、貴方のような事を言っていた者ですが……違う意見を持つからこそ、そして力があるから、あの者には将軍の名を与え、傍に置きましたが……今は、内部から多数を変える事は出来ないようでしてな、それが育つまで絶対的な権力を持たせず育てるのが妾の役割と思ったまで」

理想の世界を作れるであろう二人、しかしその片方は未熟、と聞けば多くの者は彼女の実の娘、エスメラルダを思い浮かべるだろう、事実、ソレミアも次に続いた言葉や思考からしてもそれは明白だ。
だが、実際のところ、パージルクは『現実的に魔道帝国を継承できる人物として』エスメラルダを見ているのであって、理想の世界を作れる『可能性がある』と思っていたのは全くの別人であった、マロン・アベンシス、昔から魔道帝国の根幹に異論を投げかけ、間違いなく少数派に区分されるような人物だ。
しかし、パージルクはそんな人物に将軍の位を渡し、そして魔道帝国に対する発言を不問とするような形で傍に置いていた。

……彼女やマロンの意見を聞き入れるのは簡単だ、だが、パージルク・ナズグルと言う権威主義と実力主義の化身たる傘の下で自由と平等を説いても意味が無い。 それは結局、マロンに実力が無ければ、パージルクが死んだ途端に崩壊し、そして平等によって失われた富を持っていた全ての人間の憎しみはマロンへと注がれ……まさしく『正史で打ち倒される者が変わる』程度の意味しか持たない。
で、あるならば、平等な社会に反対する代表例であるカシュタンやノエルを取り除くか? ……それは、"大正義の敵"を弾圧するブールーンと何も変わるまい。

だから、そんな者を育て、強硬派を説き伏せる能力を与えるのが、最後にやるべき事と思ったまで、そうパージルクは語り終えた。

だが、次にニケの言葉を聞いて、パージルクはにぃと笑った。

「あぁ、良いだろう。 ならば妾を超えて行く事だ、絶対的な力、絶対的な権威、絶対的な弾圧者たる妾を越える事、それは紛れも無く理想となる世界を作れる三人目足りうるだろう」

――故に、お前たちが超えた者は、自分の望んだ世界を作るために手加減をして負けたなどと後の時代の者共に難癖を付けられぬよう、妾も一切の手加減なく、本気で行くぞ。
さて、一人は様子見、アタッカーとなったのは二人か。

片方は巨大な炎膜を形成して、それをいくつか放ってくる。 そして、それのせいで、ソレミア側の姿を捉えるのは困難となった。
またもや接近戦を仕掛けてくる可能性がある、だが、これに対しての一手もパージルクは用意してあった。

「視界を潰そうと無駄な事だ!!」

両手に握りこぶしを作ったかと思うと、そこに魔力を集め、そして、両手を前へと向けて、手を開いた瞬間、無数の光線が発射される。
それらはほとんど狙いらしい狙いを付けられておらず、無差別に周囲をなぎ払う。
確かにこれならば、近づこうとしたものはどれかに当たり、さらに炎膜も相殺してくれると言うなしだ……ソレミアが『防御を固めてゆっくりと近づいてきている』事を除けば。

ソレミアが機動力を重視して守りを展開せず接近していたのなら、無数の光線に焼かれただろう、だが、彼女は守りながらここに接近している、つまり、光線は、彼女の接近を拒む物にはならない。
もし、炎膜が無ければ、ソレミアが壁を展開したのはすぐに把握して別の手を打てただろう、ここは、ニケの策が上手く決まった、と言えるだろう。

「ちぃっ!!」

放たれる剣撃、それに対して光剣が再度形成されるが……ソレミアの攻撃は一撃で吹き飛ばされないような、細かな連撃に絞られていた。
一方、光剣はかなり巨大な武器で、一度振るうたびに大きな隙が出来る……有利なのがどちらかは明白だった。

ソレミアの剣が確かにパージルクの胸元を斬り付け、鮮血が飛び散った、確かに攻撃が通ったのだ。
これ以上受けてはたまらないとパージルクは背後に飛びのくが、これで、クリスタルの壁際に追い込まれる形となった。
ここからさらに距離をつめれば、苦手な接近戦を強いる事が出来る、そんな光が見えた瞬間だった。

背後のクリスタルが発光したかと思えば、二つのビットがその周りを周回し始め"魔力を送信し始めた"のは。

「やるではないか……だが、まだ手札は尽きてはおらんぞ? ……まさかこれを"中"に向けて撃つ事になるとは思わなかったが、まぁいい……コントロールクリスタルがただの洗脳道具と思ったか? 妾の後ろにあるこれは、世界最大の"闇属性への変換装置にして増幅装置"だ。 城塞都市ギリダンが主砲、本来の予定とは違う拡散タイプであるが味わって貰おう!!」

パージルクがクリスタルに手を掲げれば、そのクリスタルの光は輝きを増し……そして、無数の闇の光線がこの部屋全てを吹き飛ばすように発射された。
元々は明らかに要塞や戦艦を破壊するために作られたような物だ、幾ら拡散レーザーとして放つことで、一本一本の威力を低下させているとは言っても、この玉座の間の頑丈な壁や、敵対者を皆殺しにするには十分すぎる火力だ。

一瞬にして、この玉座の間が焦土となる。
……果たして、これでもなお、相手は立ち上がるか。

>ニケ・エタンセル ソレミア・ラガルデール エクセラ・ノア・アウラ

3ヶ月前 No.344

魔帝 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【魔帝城/深淵の間/魔帝ヴェルメイユ】

魔帝城の最深部。光の差し込まない空間に、彼女は佇んでいた。名を、ヴェルメイユ。中世の者であれば、まず知らぬ者はいない。魔族を率いる、帝王だ。
それまで部族ごとに分かれ、散発的な攻撃が人間に対して仕掛けられるのみであった魔族は、10年近く前に現れた彼女によって統率され、一つの大軍勢を軽視された。
それこそが、今日魔帝軍と呼ばれる軍勢の正体である。部族の垣根を超えて団結した魔族に、人々は恐怖。各地で起きた戦争の結果も、想像通りのものであった。
基本的に魔力を持っていないこの時代の人間にとって、当たり前のように魔法を扱う魔族は、脅威以外の何ものでもなかった。その強さと規模を世界に知らしめた彼らは、最も偉大であり最長の歴史を誇る人類の王国、マロニス王国へ全面戦争を仕掛けたのである。

勿論、対するマロニス王国も指をくわえてただやられるのを待つばかりではない。彼らもまた、屈強な騎士団の精鋭達を送り込み、魔族への反抗を試みている。
しかし、成果は芳しくない。征伐のために送り込まれた軍団は次々と消息を絶ち、遂には騎士団長までもが立ち上がるが……それすらも、行方不明となった。
人類の勇者でもあった騎士団長の失踪は、彼らの士気にも多大なる影響を及ぼし、人間の中ではもはや魔族が勝利するのは確実と、抵抗そのものを諦めてしまう者すら出始める始末だ。
マロニス王国は騎士団長の生存を信じ、なおも戦いを続けているものの……実力差が実力差であるだけに、現状のままでは、いつ限界を迎えたとしてもおかしくはない。

「……」

まさしく、連戦連勝。大きな間違いさえなければ確実に世界の支配権を手に入れられるという状況であるのにも関わらず、魔族を率いる魔帝の表情は思わしくなかった。
怨敵として人類に史上最悪の存在として認識される彼女だが、彼女は現状に不満があるようである。成果が足りないのか、もしくは更に別の理由があるのか……
いずれにしても、魔帝が満足していないということは、その隙を突いて媚を売り、出世を図ろうとする者も出てくるということ。一時的に休戦状態にある今においては、それは当然の成り行きであることだろう。

>ALL
【敵側も配置。深淵の間への立ち入り制限はありません】

3ヶ月前 No.345

Lzh @lllllzh☆PvKD6UICUoMc ★TuwsMa7hHI_W3T

【ナコーン/森林/仮面ライダービルド】

「ふっ……さぁ、次はお前だ!」
怪物を倒したのを確認したのち、敵のボスに対して啖呵を切り、構えを取る。
余裕そうな口ぶりとは裏腹に、内心では警戒していた。
あの『大放電』は恐らくかなりの威力。そしてそれを弾いたあいつは強い。
戦兎は警戒しつつ、勝利の法則を伺っていた。

と、そこにやたら神々しい敵が召喚されてきた。
恐らくこちらも警戒が必要だろう。

「最悪だ……」
二者の動きを警戒しなければならないとは。
本当に最悪だ。

幸いにもその動きは大振りだった。
動作に割り込んでレバーに手をかけようとするが――――

「!」
鎖が突如襲ってくる。
ホークガトリンガーでとっさに迎え撃ち、ある程度は撃墜したものの一部を逃してしまい、拘束されてしまった。

「ぐ……」
締め付ける鎖。
ビルドの性能で引きちぎろうとするもなかなかうまくいかない。
やっと引きちぎれそうだというところに両手剣が――――

「ぐあああ!」
勢いよく土煙をあげながら叩き落とされてしまう。

「本当に最悪だ……」
よろよろと起き上がる。
戦闘不能になるほどのダメージは負わなかったものの、また同じ手を喰らうわけにはいかない。

>エストおよび周辺all

【ナコーン/森林(別地点)/万丈龍我、氷室幻徳】

「戦兎! どこだ!」
寒さも気にせずあちこちを走り回っている。
秋月を見送った万丈は戦兎を追って時間移動した。
しかし別の場所に移動してしまったようだった。

「ん? あれは……!」
ふと見ると、上空で戦兎が戦っているのが見えた。

「待ってろ戦兎! 今行くぜ!」
上空にいるのが戦兎だと確信した万丈はそこに思いっきり駆け出していく――――

しかし万丈は夢にも思っていなかった。

「この辺りには来ていないと思ったが……見つけたぞ、万丈龍我……」
敵の一人『ナイトローグ』が自分を探していたということを――――

>周辺all

3ヶ月前 No.346

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【魔帝城/兵舎/"常山蛇勢"レプティラ】


魔族が押し込められている兵舎、種族ごとに生態や適した生活などがあるにも関わらず一括りに生活をさせれば魔族と言えども健康に害は出る。さらに言えばここにいるのは前線で戦う兵士、劣悪な環境での生活はそのまま戦果へと影響する。
仮にこの中に人間が紛れればどうなるか、環境への不満の捌け口となり一瞬で肉塊へと変貌してしまうだろう。その状態は良くない、そう考えた彼女はいつもの服装に白衣を羽織る。
兵舎の前に置かれた二つの椅子、一つの机。机の上には多くの資料と薬品が並べられている、そして対面して座る魔族。そう、健康診断だ。悪影響が出たならば適切な治療をすればいい、環境改善がされそうにないなら対症療法しかない。

「はい、これで大丈夫です。後はこの薬剤を就寝前に飲んでください、飲んだ後はしっかりと睡眠を取ってくださいね。起きていると効き目が薄くなってしまいます。」

余った袖の中にある腕で患者に触れ、痛みを確かめる。環境適応が上手くできていない為、肉体に負荷がかかっていると判断。栄養剤と睡眠時の治癒機能の増加の薬品を渡す、これで睡眠を取れば比較的楽になる筈だ。
彼女の日課の一つ、健康診断は今兵舎へ戻った彼で今日は終わりの様だ。人間の擬態でなければ薬品を扱えないのは不便であると考えながら身体を伸ばす、椅子からはみ出た長い尻尾が地面を数回払う。
魔将軍に任命されてからそれなりに経つ、未だに慣れない部分は多いものの順調だと彼女は思う。部下への指示も漸く飛ばせるようになった、それまでは彼女が自分で動いていた、だがそれでは手が足りなくなったから指示を出して動いて貰うしかなかった。
他の魔将軍との関係はあまり触れたくはない、将と名の付く魔族の内三名には恐怖を感じている。分からない怖さ、分かる怖さ、本能的な怖さ、全て違う怖さであるから恐ろしい。
故に彼女が一息つける時間はこうした健康診断など、将以外の魔族と関わっているとき、後は業務後の自室だろう。部下は漸く慣れて来た、それでもまだ人の上に立つことは信じられない。

「……どうしましょう、少し予定が空いてしまいました。他にやるべきこと、あったでしょうか……?」

椅子から降り、薬品を薬品箱に仕舞いながら思案する。机や椅子、薬品は私物なので自室に持って帰るとしてその後の予定をどうするか考えていた。魔将軍会議があるかもしれないので、離れることはできないのが残念だ。
あの会議は地獄だ、彼女は龍炎公から話題を振られなければ意見すら言えない。片や使い潰そうと、片や何を考えているのか分からない、片や本能的に恐ろしく、片や自身以外を見下している。何処に彼女が容易く口を挟める隙があろうか。
少し呆けているのも良いかな、と片付けていた椅子に腰かける。忙しい事は平気だが、こう唐突に暇ができると何をしていいのか分からなくなってしまう。他の業務も滞りがない以上、本当にやることがない。
薬品箱から適当に薬品を取り出して、内容量を確かめて箱に戻すを繰り返している。人の下で忙しなく働くことが身についてしまった彼女にとって、暇とは一番の敵なのかもしれない。

>>ALL

3ヶ月前 No.347

災いを呼ぶ黒猫 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【魔帝城/魔大将の間/チェル】

非常に暗く、常人であれば物にぶつからずに歩くことすらも難しい部屋。魔帝軍の者達であっても、暗闇を得意とする猫族でなければ、滅多に立ち入らない場所。
魔大将の間には、魔帝軍においてナンバー2の地位を持つ黒猫、チェルが佇んでいた。彼女は自らの爪にマニキュアを塗りながら、周囲を取り囲む猫達と戯れている。
チェルは魔帝軍においてはかなり重要で、ほぼアンタッチャブルな存在だ。何故なら、古代から中世へと迷い込んできた幼少期の魔帝を保護したのは、他ならぬ彼女なのである。
つまりはチェルが魔帝を保護することがなければ、魔帝軍が誕生することもなかった訳で……同じ魔族の中でも、彼女は特に尊敬を集められる存在であった。
性格は魔族らしく冷酷非情であるが、彼らにとっては珍しいことでもないのだろう。魔大将となった今では、同族である猫族以外にも、数多くの種族の混成軍を率いる人物として名高い。

「そろそろ本格的に始まりそうね。期待してるわよ、魔帝ちゃん?」

最近、中世でとある噂が流行っている。それは、遥か遠い未来からやってきた人間が、何らかの目的のため、マロニス王国と魔帝軍の戦いに干渉しているというものだ。
未来人は今のところ、魔帝軍側の立場を取る者ばかりであり、突如として現れた協力者に、魔族は歓喜する者と、何かの罠ではないかと勘繰る者に二分されている。
まあ何かあるのは間違いないだろうが、余興としては十分だろう。それで魔帝軍が勝利を収められるというのであれば、多少疑わしい者であっても使う価値はある。勿論、裏切れば殺すのみだが。

そして、魔帝。彼女には魔族の頂点に立つ者であるということを自覚してもらう必要があるのだが、最近はどうも人類に対して戦争を仕掛けることを躊躇うなど、相応しくない一面が目立つ。
ああ、知っているとも。彼女の本当の目的が、魔族の繁栄などではないことくらい。しかし、彼女の命を救ったのはこの自分だ。なれば、その自分のために恩を返すのは、必然ではないか。
仮に魔帝として求められる振る舞いをすることが出来なければ、その時は――― チェルは嗤う。これから始まろうとしている物語の、無数の可能性を思い浮かべながら。

>ALL
【魔大将も配置】

3ヶ月前 No.348

爆炎 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【城砦都市ギリダン/玉座の間/ニケ・エタンセル】

開幕こそ罵倒に等しい言葉を浴びせたものの、パージルク・ナズグルという人間そのものに目を向けたとき、ニケは彼女を偉大な人物として認識している。
片や、無能力者に圧政を強いる暗黒卿。片や、実力主義の帝国の頂点に君臨する超人。"第二人種"にとっては、強烈な差別意識の下に成り立つ魔窟。反面、"第一人種"にとっては、名誉と安寧が保証された理想郷。
印象や評価とは多面的なものだ。立場や視点によって幾らでも姿を変える。事実、女帝への評価をめぐって、ニケも大いに揺れていたことがあった。
新しい国を、時代を作るなどという大それた言葉を吐いた以上、「自分から大切なものを奪った怨敵」という狭い視野だけで彼女を見てはならない。
倒すべき敵、越えるべき壁であることに違いはない。しかし、長所と短所、成功と失敗、光と影…そういった多くを学び取るべき相手なのも、また事実なのだ。

「今だ、一気に―――」

炎膜による視界への干渉が功を奏し、青髪の女性の一閃が女帝の胸元を掠める。致命傷には至らない様子だが、飛び散る鮮血を見れば効いているのは間違いない。
今こそ押され気味だった流れをこちらに手繰り寄せる時。反撃の狼煙をあげるまたとないチャンスだ。足は痛むがここで畳みかけねば。そう勝機を確信して前へ飛び出す。
だが、女帝の構えは、備えは、そんな淡い希望を粉砕するには十分過ぎた。背後のクリスタルが光を放つ。ビットがその周囲を旋回し、強大な魔力を注ぎこんで行く。
はち切れんばかりのエネルギーを蓄えた、言うなれば"魔力の結晶"から放たれるは、玉座の間ごと叛逆者を焼き尽くす闇の光線。
城塞都市ギリダンが誇る魔導砲。古代に於ける最大最強の破壊兵器。本来要塞や戦艦を標的とするはずのそれは、この場とこの敵を狙うにはあまりに過剰火力だ。
しかしパージルクの言葉通り拡散型ともなれば話は違う。人一人焼き殺すのに十分な火力を持ったまま、手数を無数に増やすことが出来る。集中型だろうと拡散型だろうと喰らえば即死なことに変わりない以上、この状況下では完全にプラスとして作用する。

その圧倒的な火力の前に一人孤立したニケ。最早彼女の命は風前の灯火…吹けば散る塵のような儚い存在。しかし彼女の瞳はなおも輝きを失っていなかった。
むしろ、瞳に宿る炎は、心に爆ぜる炎は、ますます強く猛々しくなっていく。必ず防ぐ。そう一言だけ呟き、未来への一歩を踏み出した。

「うォらァァァァァァァァッ!」

拳を強く握り締め、あろうことか光線へ向かって突っ込んでいく。氷槍に抉られた左足が血を噴こうと止まらない。痛めた右足が悲鳴を上げようと止まらない。電撃による痺れなど気迫でどうとでもなる。
荒野を駆けるケダモノも同然の雄叫びをあげ、一回転すると共に炎を込めた掌を下から上へと振り上げる。まるで獣が鋭い爪で以て切り裂くような熾烈さ。
その軌跡には5本の巨大な炎柱が噴き上げ、襲い来る光線をことごとく掻き消していく。玉座の間の壁や天井に向かうものまでは止められないが、ニケ達三人を狙った光線に関しては全て防ぎきってみせた。
ここまでいいようにやられていたニケがみせる、精一杯かつ全力の抵抗。噴煙と降り注ぐ瓦礫の中で片膝をつき、荒い息を上げながらも、後に続く仲間達に希望を繋げたことを確信する。
流石に間髪入れずに追撃する力などあるはずもない。ただ、死力を尽くして生み出したチャンスが、勝利への架け橋となることを祈るばかりだ。

>>パージルク・ナズグル、ソレミア・ラガルデール、エクセラ・ノア・アウラ

3ヶ月前 No.349

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【ナコーン/森林/魔大老エスト(残り魔具5482個 残魂数9)】


「……うーん?察せると、そう言うのか。全く、面白い冗談だな。」

彼女の心中を察すると悪魔使いは言った、努力による成果が認められる世界を一部でも実現しえたこの帝国を、今未来から来た者たちによって脅かされているこの心中を察せると言ったのだ。
彼女の四百年余りの悲願、それが目の前で霧散する様子を見せつけられているこの心境を理解できるとそう言ったのだ。何とも面白い冗談だろうか、彼女の追い求めた物が、何故追い求めたのかも知らずに、理解できると。
ふざけるな、何が分かると言う。魔道が悪と決めつけられ、突然殺されたかと思えば牢の中、かつてあった才能も露と消え、今は追い求めた理想郷まで崩れ去る。この悪魔使いに理解されてたまるものか。
天騎士の攻撃を悪魔の突進で躱す悪魔使い、鎖の拘束を受け両手剣の一撃を喰らう奇妙な姿の男。優先対象は悪魔使い、地にいる天騎士の両手剣を氷で縫い付け動きを封じる。
取り出したるは黄金色の龍が出でた時と同じ管、さらに悪魔を使役するという算段だろう。ならばと鎖をそちらに向かわせようと操作した時、一陣の風と共に閃光が四度、視界に移る。

「……なっ!?ごほっ、がっ……」

どさりと言う音と共に彼女の身体は地に伏せる、辺りに鮮血を撒き散らし胴と四肢の内三つを両断された。身体を保持していた帷子など防具の体を為さず、籠手と靴を避けられた斬撃は容易く崩れかけの身体を裂いた。
同時に彼女が操っていた鎖の束は光の粒子となって消える、黄金色の龍を縛っていた鎖も既にない。天騎士も同様に、膝を突き消滅を待つばかりとなっている。記録書は持ち主なく、風に頁を捲られるばかり。
そう、魔大老エストはこの場で死亡した。人間の域を出ない彼女は胴を両断され、その上四肢も半数以上を絶たれれば即死でなくとも失血死は免れない。この場に残るは彼女が作り出した氷壁のみ、それだけが彼女がこの場にいた証拠となるだろう。
彼女は忘れられる、彼女が残したものは何一つ残らない。こんな人物がいたことも、これだけの魔を探求したことも全て忘れ去られ消えていく。それが彼女の持つ能力だからだ、どれだけ強く思っても何れは消えていく、それだけである。

―――――――――

「……そうか、私はまた死んだのか。」

それが彼女の全て潰えた時の話である、そうだとも、魔大老エストは確かにこの場で一度死を迎えた。だが彼女の魂はまだ九つを残す、服に裂傷の跡こそ残るがその身体に両断の痕跡はない。あるのは度重なる死によって、身体としての機能を失ったモノだけである。
彼女は死ぬ度に劣化する、記憶も、身体も、死ぬ前に戻ると同時に失われる。記憶は八割ほど、身体は死ねば死ぬほど機能を失う。彼女の身体に痛みを感じる機能も、味覚もない。そして今、感覚が失われた。
記憶もそうだ、強く思わねば残らない。今残っているのは女帝への救援を急くこと、眼前の敵を倒すこと、努力が実を結ぶ世界を実現させること、その三つしか残っていない。そうだとも、この彼女は記録書の全てが抜け落ちている。

「…………うーん?ああ、そういう事か。待たせたな、敵対者。さあ、急がねばならぬ以上殲滅だ。」

記録書を手に取り、適当に頁をなぞる。が何も起こらない、不審に思ったのか懐を弄り魔具を握りこむ。再び頁をなぞる、が何も起こらない。再び適当に頁を開きなぞる、すると氷の粒が彼女の周囲を漂い地に落ちる。
それを確認し、懐の魔具を数多く握りこむ。地に伏せていた奇妙な姿の男、悪魔使いを見やる。彼女は死ぬ度にこれを行う、若しくは記録書を再び記憶する。使い方こそ身体が覚えているが、記憶がついていかず詳細を知るためにそうするしかない。
十分な隙を晒しながら、頁を開き、同じようになぞる。先程までのどの頁よりも魔力を受け、光を周囲に溢れ出させる。そう、大魔法の中で特別強力なもの。ひいては隙も大きいが、それ故に絶大な威力を誇る。
彼女を中心として地が燃え始める、彼女自身が出した血の海は瞬時に昇華される。そう、周囲一帯を焼き払う大魔法。地上を全て燃やし、空に逃げるものも噴出する炎で焼き落とす。
地を焼く灼熱は彼女の周囲を回転し始める、火の粉の渦が上がり既に炭と化していた木々の成れ果てを飲み込む。空気を焼く焔、浮かぶ陽炎、寒冷地であるこの森林の温度をまるで熱帯へと変化させる。この場で冷たさを保っているのは氷壁のみ、炎を受けて尚溶け落ちぬ不溶の壁、炎をも凍てつかせる絶対の冷気。

「―――灼け」

集う炎熱、その臨界に達した時、爆発的な勢いを以って周囲一帯を焦土と化す。さあ、敵対者よ。襲い掛かる致死の劫火、地も空も焼き尽くし魂すらも消滅せしめん大火を躱すのか。
十分な時はある、彼女がこの大魔法を発動させるに時間を要した分機転を利かせる好機があるのだ。魔大老エストによる、最大級の攻撃の一つ、見事耐えきって見せるがよい。

>>桐生戦兎 17代目葛葉ライドウ (イスマリア・サルヴァトール ギギナ)

3ヶ月前 No.350

健啖の銀狼 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【ロンカ村/広場/イアン・ガグンラーズ】

突進。イアンのとった策はあまりに単純で捻りのないものであった。しかし野生の力を惜しみなく乗せた速度と銀のオーラがあれば話は別。乗用車が追突するも同然の衝撃を対象に加えられる。
ただ…その対象のしぶとさを考慮した場合、やはり危険性等々の面で褒められたものではない。そもそも見ただけで"ヤバい"と判断できるような敵にゼロ距離戦を仕掛けるなど無謀もいいところではないか。
幾ら破壊力があっても、そういった詰めの甘さや判断ミスだけは誤魔化しきれない。そしてそれは常に命取りと成り得る。
この度は引き剥がれるだけで済んだからまだしも、即カウンターに繋げられでもしたら命は無かったはず。最も、逃げられて地面を転がるイアンにそんな反省はなかったが。

「わわっ、あわわわ」

足元を揺らす地響きに思わず尻餅をつく。声も動作もまるで緊張感の感じられないおどけっぷりだが、本人からすれば真面目も真面目、大真面目。
そんな馬鹿をやっているうちに敵にも味方にも置いていかれ、振り返れば連携の乱れた隙を突かれてしまっているではないか。
狂戦士の大気を打ち振るわすが如き連撃が味方を脅かしている。流石に今から間に割って入って庇うことは出来ないが、背後から畳みかけるという発想くらいならイアンにも十分可能だった。
すぐさま立ち上がって雪を払い落し、銀色のオーラに包まれて再び狼の姿に立ち返る。尻尾の先端を咥えて海老ぞりになることで丸くなり、車輪の様に回転しながら繰り出されるのは、先程空腹で未遂に終わったアノ技。正しいことのために使うチャンスがきた。

「にゃっはー!『バイシクルビースト』ッ!」

ゴロゴロと縦に転がる姿、まさに車輪。除雪車さながらに雪原を割り裂いて突き進んでいく。ただし今回は敵に突っ込むのではなく、半ば飛び道具的な使い方をすることになった。
ある程度加速した辺りでまた銀色のオーラを纏うと、跳ねると同時に咥えていた尻尾を口から離し、空中で大きく一回転。オーラは円形を保ったまま銀色の真空波と化し、空気を切り裂きながら狂戦士へ迫っていく。
ここまでの抜けたイメージからは想像もつかないような"キレた"技だが、それを放った本人はまたも間抜けな思考で頭を埋め尽くされていた。
「まるでピザカッターみたいだな。後でピザが食べたいなぁ」などとという、やはり欲望に抗えないことを確信させる思考でいっぱいの銀狼は、そのまま体勢を立て直すのを忘れて雪の山に墜落する。
まるで潜望鏡のように尻尾をピンと立て、雪の中から出すことで所在を示す馬鹿さ加減。味方二人は呆れかえるかもしれないが、渾身の一撃を放ったことを考慮して大目に見て欲しいところだ。

>>ユーフォリア・インテグラーレ、山城瑤子、カリギュラ


【ごめんなさい、見落としておりました…】

3ヶ月前 No.351

"龍炎公" @zero45 ★h2BOlEz4kD_kuu

【魔帝城/深淵の間/ヴァンレッド】

 城の深奥にある深淵の間へと続く道を、堂々たる足取りで進む緋髪の剣士。"龍炎公"の異名を持つ其の男が名乗る名前と、誇り高きその武勇の程は、魔帝軍に属す者であれば誰もが知っている。
 魔将軍として数多の龍を率いて戦場を駆け、戦神の如くに立ち振る舞って天下無双を謳わんとする猛将が一人。誉れ高き王の名を捨てて尚、大霊峰を故郷とする龍族の頂点として君臨し続けている者。今を生ける者達は、彼の者の名をこの様に呼ぶ――ヴァンレッドと。
 然し奇妙な事に。遠き未来に於ける、"当初の"歴史書にその名は一度も記されてはいない。それが意味する所は即ち、彼と言う存在は古代改変によって現出した異物であると言う事だ。その事実を裏付けるが如く、未来に於ける"現在の"歴史書にはその名が記されている事だろう。

「浮かない顔だな」

 道を抜けた先。光の差さない空間に佇む一人の女性と相対した彼は、彼女が浮かべる表情を見て、ただ一言呟く。その女性こそ、かの魔帝軍を率いる立場に立つ魔族の長、魔帝ヴェルメイユ。龍の王座を降りた現在の彼が忠誠を誓う、ただ一人の人物。
 その出会いは遡る事およそ数年前。当時、彼を始めとする龍族は魔帝軍の侵略行為に反感を抱いており、度々部下を征伐に向かわせていた。そんなある日の事、部下からの報告を受けた事を切っ掛けに、彼は軍を率いて魔帝城へと乗り込み、其処で魔帝と始めて邂逅を果たす事となる。
 彼女との壮絶なる一騎打ちを演じる中、秘められた王としての可能性を感じ取った彼は、戦いに敗れた後、龍族の降伏を宣言。彼の説得もあり、龍族の大半が魔帝軍の傘下へと加わる事になったのである。

「今は他に誰もいないから良いが……解っているとは思うが、彼等の前に立つ時には気を付けて欲しい。王たる者がそんな表情では、示しがつかないからな」

 深淵の間に居る者は、現状二人のみ。今はあの忌まわしき黒猫が、此処にはいない。だからこうして、素を曝け出した上で会話を交わす事が出来る。もしもこの場にあの黒猫が居たならば、厭が応にも仮面を被らざるを得なくなる。
 "魔大将"などと言うふざけた役職を魔帝に作らせる程の影響力を持つのだから、彼女の機嫌を損なえばどうなるかは一目瞭然。悪辣極まる手段を以てしてでも、此方を排斥しにかかって来る事だろう。
 だから、そうなる前に魔帝を、正しい帝王としての在り方に目覚めさせる。誰の操り人形でも無い、自らの意志で統治する帝王へと。

「それで……何か悩みでもあるのか。あるのであれば、相談に乗ろう」

 浮かない顔を浮かべると言う事は、何かしらの理由が其処にはあると言う事。話してくれるかどうかは別として、出来る限り臣下として相談に乗ってやりたい。その思いあってこその、問いであった。

>魔帝ヴェルメイユ

3ヶ月前 No.352

魔神騎士 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【あ……相性最悪だーーー!絡みよろしくお願いいたします】

【魔帝城/庭園/ルーカン・ベレスフォード】

「……」
 静かに剣先を見つめる魔族の男が一人。
 甲冑鎧を身に纏い長く尖った耳を持ち、顔立ちは彫りが深くがっしりとしているが整っており、蠱惑的な厚い唇が特徴な青年だった。
 志願してからもう8年も経つのかと、剣を振って軽く運動する。
 男の名はルーカン・ベレスフォード。古代から続く騎士家系の当主であり、差別される魔族の尊厳を取り戻す為にここにいるのだ。
 最近、未来人が現れたと周囲は慌ただしくなり、中には畏怖する者も出てる始末だ。
 ルーカンは剣を薙ぐ。
 己は未来人でも無礼を働けなければ味方として快く受け入れようと思っていた、目的は知らないが目指す志が同じであれば現在も未来も関係ない。
「ふう……」
 額に伝う汗を拭う。
 鍛錬場が欲しいが、兵舎はどうしても苦手である。
 押し込められた下級の魔族がひしめき合い唸る風景が、心の傷を抉る。
 ルーカンはかつて奴隷だった。性的虐待と暴力的虐待をされて、心も体もぼろ雑巾のように弄ばれた。
 唯一心の支えであった友人は撲殺され、棄てられた。
 自分もああなるのではないかと、恐怖に怯えて虐げられてきた。
 だが養父の手によって救われ、農民だった自分に学を与えここまで来たのだ。
(未来人とどう和を以て共闘するのか……できることなら、穏便に行きたいのだが……)
 眉を寄せ目を伏せて真剣に考えるルーカン。
 男性的であるが甘い顔と裏腹に真面目に考えすぎる所が度々ある。
 長剣を振り下ろす。
 突如現れた未来人と、上手くやっていけたら何よりだとルーカンは長剣を袈裟斬りするとどこからか悲鳴が聞こえてぱっと振り替える。
 そこには、優雅に紅茶を飲む災禍龍姫と恐れられている少女と椅子になった鞭の後が耐えない男性がそこにいた。
「あ……ヨヴァノ……ヴィッチ様? 何をされていら……しゃるのです……か?」
 男性を椅子にしている事について途切れ途切れに言葉を紡ぎ、ぎょっと目を見開いて体が硬直する。
 まただ。誰かが無惨に虐げられる所を見ると、どうしてもこうなってしまう。
 昔程ではないが、心が拒絶反応を起こしている証だった。
 敵であれ味方であれ必要以上に痛めつけられる事を嫌いとするのは、奴隷だった時期が大きく影響している。
 つまりルーカンにとって、この場面はトラウマを呼び起こし無力化する弱点を晒しているのだった。
>災禍龍姫のリュドミラ

3ヶ月前 No.353

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

3ヶ月前 No.354

似非貴族 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★oTv5maNLQX_D9v

【ロンカ村/牧場→グリア村/池/アルクール・サンドリンガム】

相手の肩に支えられて歩くアルクールの呼吸は、炎から離れるについて徐々に落ち着きを見せ始める。やはり、炎に対して何らかの恐怖があるのは、もはや疑いようのない事実だろう。
それでも錯乱はなかなか収まらなかったが、ロンカ村の隣、グリア村の池の畔に着いたところで、ようやく彼女は平静を取り戻す。敵に助けられたことに、若干困惑もしているようであったが。
しかし……何故、ロンカ村に火は放たれたのだろうか。冷静になったアルクールは、あそこで何が起きていたのかを分析しようとする。まあ、あのようなことをする人間など、一人しか思い付かないのだが。

「ありがとう……感謝しますわ。でも、どうしてわたくしを救おうなどとお思いなさったのかしら?」

口調も先程までの取り繕ったものに戻っている。だが、こんな状況になってしまった以上、今から仕切り直して再戦、などという気持ちには、とてもではないがなれなかった。
アルクールは相手の女性に対し、どうして自分を救ったのかを問い掛ける。敵が冷静さを失った絶好のチャンス、魔道帝国の人間であれば、その隙に命を奪っていたとしても不思議ではない。
まして時空防衛連盟所属で未来の武器を持っている彼女であれば、反撃を受けることのない距離から安全に仕留めることが出来たはずだ。それをせずに、わざわざ自分を助けた理由が分からない。
世間からの魔道帝国の評価は聞き及んでいる。特に支配される側の人間にとっては、忌み嫌うべき存在以外の何物でもなく、ロンカ村やグリア村が服従を選択しなかったのも、第二人種とされて使役されることを恐れたからだろう。
反帝国勢力にとっての怨敵に、救いの手を差し伸べたことには、何か裏があるのではないか……自らを救ったことに感謝はしつつも、アルクールは予想外の行動に、まだ少しだけ警戒を抱いているようであった。

>アベリィ・シルバラード
【戦闘終わると文章短くなるのどうにかしろ】

3ヶ月前 No.355

葛葉の一枚看板 @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_HV3

【ナコーン/森林/17代目葛葉 ライドウ】

おっと、どうやら本当に逆鱗に触れてしまった様子だ、まあ敵であるのならば構わないのだが。
仲間とは和を重んずるライドウだが、敵に関しては怒ろうが悲しもうがどうでもいいと断言できるほど非情に徹することができる人間だ。
だが怒った相手は決まって大技を打ってくるものである、ライドウは警戒レベルを上げる。だが予想外のことが起きる。

「只者ではないと思っていたが、魔人の類だったか」

ヨシツネの連撃は決まった、確実に一回殺すだけの致命傷は与えたはず、なのだがどういう訳かまだ生きている。
一回殺して死なない、しかも死んだことに関して驚きがないことを見ると”何度か死んでいる”可能性もある。
何度か死んで尚生きている、しかもリビングデッドやゾンビの気配もない、これは厄介だ、厄介にもほどがある。
だが死からの再生も完全とは言えないようで、魔導書のページを無意味に捲るという不可解な行動もとっている。
大きな隙であるのだが余計なアクションを起こそうものならこちらにとっても危ないことになる、無論再生する回数に限度はあるのだろうが、その回数が分からない。
コルトライトニングの空薬莢を排莢して光属性の破魔魔弾を込め、ヨシツネを封魔管に戻す。こうした行動を取るだけの隙は充分にあった。
だがついに目的としたページを見つけてしまったのか本格的に攻撃の予兆が始まった。
多過ぎる不確定要素、敵の大技の予兆、この状況は非常に好ましくない、俗にいう大ピンチというやつだ。
鎖による拘束を免れたコウリュウがこちらに顔を向けて『どうする?』と目で問いかける、ライドウは頷いて決定を下す。

「――この場は撤収する! あの老婆を殺しきれるだけの術が今はない、貴様も乗れッ!」

ライドウが下した決断は撤収だった、これは負けではない、一度殺したから痛み分けといった所だ。
この老婆を放置すれば戦況は泥沼に傾くが、戦争の序盤で手の内を出し尽くすことも仲間を失うことも避けねばならない。
これだけの力を持つ将だ、この情報は絶対に持ち帰って共有せねばならない、ゆえに撤退を選んだ。
ライドウはコウリュウの背に乗り、桐生戦兎に手を差し出して空を飛ぶ。目を向けていないから分からないが背にはすごい熱を感じる。間一髪だったな。
一抹の悔しさは残るが、今は情報の持ち帰りを優先する、だが次は勝つ、必ずだ。

>魔大老エスト、桐生戦兎、(イスマリア・ザルヴァトール、ギギナ)、ALL

【そろそろプロローグが始まるとのことなので撤収させます、桐生戦兎本体様におかれましては撤収の手はずは整えているので自由にしてください。お相手ありがとうございました】

3ヶ月前 No.356

まあ偉いローマ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_kuu

【ロンカ村/広場/カリギュラ】

 狂気にはいずれ終わりが来る。
 明けぬ夜は無く、沈まぬ陽は無く、尽きぬ命もまた無く。
 幾度繰り返し述べたように、暴虐皇帝はその宿命の元に立つ狂戦士。理性無く、月の寵愛のままに奔走し、全てを打ち砕く殺戮者にして侵略者。されども彼こそは嘗ての栄光ある王者にして、威風堂々たる覇者だ。
 そしてその異様は闘う姿にも現れている。
 狂気に呑まれて尚も奔走し、ただ滅びゆくものの為に全てを捧げんとするその様に。
 数の優位、いずれ来る破滅、決した戦いの結末、―――そんなものは彼の知ったことではない。


「………まだだ」
「おお、未だ余の運命尽きず。未だ、滅びゆく者の、命尽きず………!」


 故に暴虐皇帝は闘うだろう。
 例えばその閃光が降り注ぎ、王の肉体を穿とうとも。

 魔術による治療再生すら間に合わぬほどの傷跡が生まれようとも、地の底から唸るような、底冷えする響きと共に彼はそこに仁王の如く立っていた。動きすら見せないのはユーフォリアの行動から明確な意図を読み取ったからこその行動だった。
 その上で、残りの攻撃を彼は待っていたようにも見えた。第二波、第三波の存在を確信していた。

 降り注ぎ、世界を染め上げる虹の色彩が狂戦士の霊基を軋ませる。
 ―――致命的な音が、一つ鳴った。

 攻め手に回らねば彼の動きは極めて粗雑だが、これが一方的な防手に見えるのも仕方がない。
 何しろカリギュラはこの場に立ち止まることを選んだ時点で、残る攻撃、狐と銀狼の猛攻を凌ぐより他にない。そしてそれを凌ぎ続けていればいずれ限界が来る。その限界は、最早そう遠くない域にまで来ているのだ。
 カリギュラに魔力供給を行う兵士たちは殆ど掃討されている。そもそもからしてこの英霊にこれ以上戦う余地も意味もない。戦う理由など第三者の視点から見て分かるはずもない。彼の言葉が運よく形になった時、それを紐解こうとしなければ。

 力に拮抗するように、再び皇帝特権による剛力が解放される。
 怪物のみが獲得する攻撃性と武術の融合による超高速の乱打、それが伴う衝撃波のラッシュは彼の霊基を更に軋ませながらも、降り注ぐ光の嵐を刹那のうちに迎撃する。迎撃出来ない残り香が、それに使用した彼のとあるスキルが更に肉体を崩壊させる。
 ………そして、カリギュラが一部を防げなかったように。ユーフォリアにも、相殺されなかった一部の拳撃と衝撃波が迫りくるだろう。前面を制圧する触れる事無き広範囲の打撃によるラッシュだ。


「まだだ」
「余は、運命を、見た。あの落日、に。あの帝国、に。ローマ
 時のうねりと歪みに呑まれて朽ちる、ただそれだけの帝国に―――」


 故に暴虐皇帝は闘うだろう。
 例えば雪が華と散り、稲妻の如く鋭い牙がその喉笛を狙おうとも。

 鋭き牙はカリギュラの肉を切り裂き穿つだろうが、そもそも彼は避けを取らない。
 防戦に回れば無為な結末が待つだろうことを知っているから、攻め手に出る為の可能性を必ず残している。喉笛から逸れて右肩の鎧が穿たれて、なお鮮血のアカと雪氷のシロに塗れながら彼は猛り狂う。
 召喚と共に見たあの落日に。華のように美しく、焔のように燃え落ちる国に殉じるために。
 むろんただの空似であろう。そもそも魔道帝国を形作った人理は、この英霊たちの在る人理とはまるで形がちがう。ならば彼の知っているローマではないことなど語るまでもなく判明する内容だ。………皇帝にその程度のことが理解出来ないはずがない。
 だがそれでも、彼にはそれだけで十分なのだ。所詮は影法師の宿命こそがサーヴァントという存在なれば、召喚されたことに意義を見出して戦えることなどそうはない。

 だから彼は、そこに命を殉じるだけで十分だった。
 たったそれだけで良かった。散る華、薔薇の如し一つの国に殉じるだけで良かったのだ。
 召喚の時に見たそれこそ。いまカリギュラが戦う、最大の理由であるがゆえに。

 ………避けを取らなかった理由は、その炎群/前方の虹雨に処置を取るため。
 猛り狂う炎が再び地より出ずる時、皇帝の背を燃やす外套の如くして壁となり立ち塞がる。

 潜り抜けた炎がカリギュラの肉体を焼き焦がし、狂戦士の霊基を軋ませる。
 ―――致命的な音が、一つ鳴った。

 それでも尚、至近距離にて壁となっていた炎は時として剣にも転じる。
 至近距離に飛び込んで来たばかりの山城を焼き尽くすべく、焔は牙を剥くだろう。性質は違えど、それは嘗ての賢君にして今の暴君の気質を体現した、刹那に全てを燃やし、盛り、そして燃え尽きる瞬間火力一点振りの焔だ。
 そして此処までされておきながら、彼は戦闘を継続している。
 ………その正体が何であるか。
 否、正体がなんであれ、いい加減にその身が保たないことは承知済み。
 度重なる打撃、連戦続きによる“霊基の肥大化”は、彼の短い統治に終わりを呼び込んでいる。


「―――まだ、だ!」

「余は、捧げよう! 余の運命なりし、滅日を待つ絢爛なりし者!」
「余は、捧げよう! 魂の全て、肉の全て、器の全て!」


 故に暴虐皇帝は闘うだろう。
 例えば空を刃が切り拓き、銀の処刑刀がその肉体を狙おうとも。

 なればその肉体を真空の剣が引き裂くことを、カリギュラは阻止できない。
 当然と言えば当然だ。二つの処置で彼は手一杯。そして遠距離のイアンに対して彼が何かできるわけでもない。故に完全なる死角からの攻撃は、彼に今度こそ致命傷を引き起こすことが見えていた。
 そう。斬撃はとうとう、黄金の鎧を砕いて片腕の肉と骨をずたずたに引き裂いた。

 銀狼の牙が、狂戦士の霊基を大きく軋ませる。
 ―――致命的な音が、三度鳴った。

 ………ところで。英霊カリギュラは本来、戦闘技術を持ち得る英霊ではない。
 これを皇帝特権によって補っていることは説明した通りだが、ではなぜ、ここまで―――ニケとパメラ等の攻撃によるダメージも加味して―――肉体を保たせているのか、その正体はこれまた短期間だけ取得している、とある技術《スキル》の名前が挙げられる。
 ・・・・
 戦闘続行と名前を持つそのスキルは、此度の物語における槍の英霊クー・フーリンが所持の代表。
 瀕死の傷でも戦うことを止めず、致命傷であっても文字通り戦闘を継続できる“往生際の悪さ”だ。消滅を免れないという話ではない。単にそれにふさわしい逸話を持つ英霊ゆえに、消滅の間際まで全霊で戦い続けることが出来るというだけ。
 主張し、取得した今のカリギュラもまた、それにふさわしい往生際の悪さで暴れ狂い続けている。

 消滅せず、一分たりとも衰えを見せない真の理由がこれだ。

 ―――正確には。今まで消滅を免れて来た最大の理由が、それだ。

 金色の粒子が小さく洩れる。
 それは紛れもなく、カリギュラという英霊の消滅が始まっていることの証明だ。


「余は………余の振る舞いは! 運命である!」

「おお、おお!
 敗者の名を刻むがいい!
 勝者の名を戒めとせよ!
 天を仰ぎ、神鳴る者の銘を知れ!」


 しかし。
 戦いに身を置くものならば、生存の本能を持つものならば。
 その言葉と有様に安堵を覚えることは叶わない。むしろその逆の意が胸中を占めるものとなるだろう。



 ―――空を見上げよ。立ち昇る焔と煙に彩られし夜空を。


   、   、   、  「―――女神よ………おお………女神が見える………!」


 ―――月を見上げよ。世界を照らし、導き、寵愛を以て狂気に落とす満月を。



 その光は戦場全域を掌握し、瞬く間に降り注ぐ。
 月光に肉体的損傷を強いる要素はない。むしろその逆、その光は溶け込むように万人の肉体に渡り込む。
 村に在るもの全てへと降り注ぎ、月におわす女神は光を浴びたもの全てへ平等に寵愛を与えることとなる。


    、   、 しかし、決して忘れるなかれ。


    、   、 カリギュラが賜った寵愛の名を。


    、   、    、    、   、   、  ・・
    、   、    、    、  神の寵愛の名は、狂気というのだから。



   、  フ ル ク テ ィ ク ル ス ・ デ ィ ア ー ナ
 「 ―――『我が心を喰らえ、月の光』ァアアアアアアッッ!!!!!!」



 ―――瞬間。場に在る全てのものの精神を、狂気がかき乱す。

 真実は虚構に! 友愛は暴力に! 忠誠は叛逆に!
 絶望は悦楽に! 悲嘆は激憤に! 祈祷は呪詛に!
 すべて、すべて、すべて、すべて、すべて、すべてすべて―――あらゆるものに意味などない!

 あらゆる全てを狂気の波が食い潰し、押し潰し、塗り替える。
 精神を揺さぶり、屠る神威。正しくは、カリギュラという英霊が受ける女神の寵愛の“広域投射”だ。

 、  、 ・・・・・・・・ ・・・・・・・・・
 つまりは。彼と同質の狂気を、全方位に拡散させる対軍宝具。
 それが、此処で解き放たれたシロモノの正体である。
 真っ当な精神の持ち主が受ければ間違いなく発狂する。狂気は精神から万全の二文字を奪い、正常にして清浄なるものを反転させ暴走させるだろう。
 賢君だったカリギュラさえも暴君に転じさせた月のヒカリ。それが、彼の最期の切り札だったのだ。


 ………そして。その一瞬で、もう一度致命的な音が鳴るが。


「―――余は、捧げよう!」
「時を乱した汝らよ! 時の意味を自らの手で無為に帰した者よ!
 余の、振る舞いは、運命である! 余の腕は、愚者どもの、憤怒、である―――!」


 その消滅を一切厭わず、彼は自分の霊基を更に暴走させながら。
 まだ動く片腕を地面に叩き付け、その至高の一撃で以て大地を灼いた。


「―――ウオオオオオオオオオオオオオーーーーッ!!!!」


 自身の魔力全てをその場に叩き付けることにより発生した、当たる幸いをなぎ倒し吹き飛ばす衝撃波。
 殴り付けた拳を基点に地面がひび割れ、割れた先から彼の魔力が焔と化して噴出する。
 周囲を焼き払うそれは、天変地異を彷彿とさせた。至近距離のユーフォリアと山城を襲うのは、地震《クエイク》を彷彿とさせる地面の衝撃と、拳圧によって発生した不可視の衝撃。その被害を被る比率が大きいのは間違いなく山城の方だろう。


「―――捧げよォオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」


 そして。彼はその一撃の後に、消滅の霊子を撒き散らしながら。
 ユーフォリアの立っている方向目掛けて、最後の拳を繰り出した。その拳に付加される要素はない。ただ狂戦士の剛力と爆速が乗ったが故に、音速をゆうに超える鉄拳というだけだ。
 だが―――狂気による精神汚染を乗り越え、衝撃波を乗り越え、そしてこの一撃が受け止め切れるか。
 英霊カリギュラは間違いなく詰みだ。次で、何もせずとも消滅するのは誰の目で見ても明らかである。

 だがこの瞬間に至近距離に踏み寄った二人にも、また。
 例外なく暴君の最期の洗礼が襲い掛かっていた。

 ―――最後の一撃がユーフォリアに向かったことの意味については。今は語るまい。


>山城瑤子、イアン・ガグンラーズ、ユーフォリア・インテグラーレ

3ヶ月前 No.357

亡国の末裔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【城塞都市ギリダン/玉座の間/ソレミア・ラガルデール】

ソレミアは、彼女が未熟ゆえに国を任せられないと言ったのは、娘のことであると認識していた。だが、相手はそれに気付いたのか、訂正を入れてくる。
彼女が期待をかけていたのは、マロン・アベンシスの名の将軍らしい。曰く、彼女は周囲に対する影響力が欠けていたために、育つまでは敢えて絶対的権力から遠ざけていたと。
そこでソレミアは疑問を抱く。確かに、後継者となり得る存在を育成するというのは理に適っているし、それは国を後世まで存続させることにおいても重要なこと。
しかし、そこまでマロンという人物に期待しているのであれば、どうして自分からは動こうとしなかったのだろうか? パージルクの力を持ってすれば、反対意見を抑え込むことも、十分に可能であったはずだ。

「あなたはどうして、そのマロンという人に反対する人達を説得しようとはしなかったの? 全てを押し付けるのは、彼女にとっても相当な負担になるんじゃないかしら」

パージルクが優秀かつ民の心を掴むことの出来る意見を採用しようとしていたのは分かった。帝国の構造からして、それに反対する者がいるのも、当然理解出来る。
では何故、彼女はそういった勢力の説得を試みようとはしなかったのか。部下が一枚岩とならないことは、こうした巨大な国においては珍しいことでもない。
そうした中で起きるいざこざや意見の衝突を調整し、国を正しき方向へと導くのが、指導者たる者の役目ではないのだろうか? 今の言い草からして、パージルクはその役目から理由を付けて逃げているようにしか見えない。
暴走する部下を制御出来ないのであっては、上に立つ者として相応しくない。ソレミアは、そう考えている。パージルクは第一人種にとっては神に等しい存在であったかも知れないが、第二人種にとっては、倒さなければならない悪の象徴でしかないのだ。

護りを度外視せず、足場をしっかりと固めた上で接近を果たしたソレミアの連撃が、パージルクに確かな傷を刻む。やはり、彼女の弱点は、接近戦であった。
壁際へと追い込んだ状況。どちらが有利なのかなど語るまでもなく、機動力を前面へ押し出した戦法を続けていけば、必ず勝利が見えてくるだろう。
だが、戦いはまだ終わらない。パージルクは、はじめからこうなることを予測していたのだろうか。例の第二人種の洗脳装置は、魔力の供給源でもあったのだ。

逃げ場すらも奪う勢いで、玉座の間全体を塗り潰していく黒色の光。ソレミアは即座に黄金の盾を展開することによってそれを凌ごうとするが、圧倒的な威力の前に、その防御が徐々に削り取られていく。
もはやこれまでか……彼女が一瞬諦めた時、隣から炎使いの少女の雄叫びが響き渡ってくる。巨大な火柱は、三人へと襲い掛かった光線の一切を打ち消してみせた。
自らが行動不能になることすらも顧みず、攻撃のチャンスを生み出してくれた彼女のためにも、ここで決定打を放たなければならない。パージルクに致命傷を与えるにも、絶好の機会。
ただし、その前に何としてでもしておかなければならないことがある。これをやらなければ、第二人種は一生奴隷として生きる運命を押し付けられてしまうのだ。

「これで……帝国の支配もおしまいよ!」

その声と共に眼前のパージルクを飛び越したソレミアは、敵の背後にあったクリスタルに、渾身の力で両手の剣を突き刺す。刹那、パキッという音が聞こえ、クリスタルにはまるで蜘蛛の巣のようにひび割れが走っていく。
これで、後は奴隷処理場にあるもう一つのクリスタルが破壊されすれば、第二人種も解放されるだろう。もしかしたら、そちらは既に誰かが壊しているかも知れない。
結果として、クリスタルの破壊に行動を割いたために、ソレミアはパージルクへの攻撃を行うことは出来なかったが、炎の少女から繋がれたたすきは、間違いなくあの銀髪の女性にも渡ったはずだ。

>パージルク・ナズグル、ニケ・エタンセル、エクセラ・ノア・アウラ
【クリスタルの破壊についてはパージルク本体様に許可を取っております】

3ヶ月前 No.358

氷雪の死神 @zero45 ★h2BOlEz4kD_kuu


【ロンカ村/民家/付近沿道→村外れ/レイヴン・ロウ】

 退路を絶たれ、厭が応にも防御に徹さざるを得ないノエルへと強襲を仕掛けるレイヴン。隻眼の瞳に映る彼女の姿は、死の恐怖に打ち震えるがあまり、無様にも命を乞う哀れな物。辛うじて将軍としての威厳を保たせていた近衛の存在も、既に彼女を見限り戦場からその姿を消しているが故に、その命を救わんとする者は誰一人居ない。
 完全孤立。味方を喪った彼女は、それでも生を諦め切れずに必死に足掻き続ける。幾度と無く揮われる黒紫の双刃の一撃に風の爆発をぶつけて相殺し、死地から己を遠ざけようとする。見事なまでの執念、然し其処までに至った状況を鑑みればそれは滑稽としか言い様が無い。
 因果応報、天罰覿面。彼女に少しでも罪悪感と言う物があったならば、こうなる未来を未然に防げたのかもしれないが、今となっては全てが遅く。運命が指し示す未来は、絶望と言う名の最期のみ。

「これで彼等も、少しは報われるか」

 無慈悲に炸裂する止めの斬撃。与えた傷こそ大した物ではないが、一瞬にして侵蝕する猛毒が彼女を内部から破壊して行く。雪上をのたうち回り、激しい喀血を伴いながら助命を乞うその姿。毒の進行を食い止める毒、転じて薬となる術を持たない訳ではないが。殺す理由があっても、助ける理由は無いので、冷然とした態度で死に逝くその姿を彼は見下ろす。
 時が経つにつれ、声はか細くなっていき、遂には生命の活動を止め物言わぬ死体へと変わった。撃ち込まれる砲弾が、砂の様に遺骸を消し飛ばして行く。無へと還元されて行く彼女を見届けながら、彼は小さく呟いた。

「……そうか、ならきっとこの村は大丈夫だ」

 彼の近くに立つ、瑤子と並ぶ村の守護者ギラード。この一戦で激しく消耗した事で、その姿は氷像としての形を維持出来ずにいる。一時の眠りに就く前に、彼は氷の精霊で帝国の部隊を退かせ、今後も村が残り続けるであろう事を予見した。
 その言葉を、レイヴンは力強く信じる。村を襲う外道は潰え、帝国は滅びの道を歩み始めている。仮に帝国が残ったとしても、この村に構っていられる程の余裕はない事だろう。だから、この村は大丈夫。復興に関しても、彼女達がいれば問題なく進む筈だ。

「帝国に関しては、残りの者達が何とかしてくれる筈だ。俺たちに出る幕は無いだろう」

 これからどうするか、その問い掛けに対して答えた直後に、彼は背を向けてこの場を離れ、村の外へと続く方へと走って行く。帝国の元将軍である自分に、この村に残留し続ける資格は無い。そう考えたが故に、彼はこの村を去る。

>ALL (ノエル・マッケローク)(氷魔像ギラード)(蓼科祈)


【お相手、ありがとうございましたー】

3ヶ月前 No.359

Futo・Volde @nonoji2002 ★0hekQLL3eX_wNY

【城塞都市ギリダン/城下町/スターロード】

「よく戦えたものだな……」

いや、これが失礼なのはわかってる。だが、仲間であるはずの2人の言動は全くと言っていいほど噛み合っていない。ここまで連携プレーの取れていない戦術で今まで戦ってこれたことに驚きだ。いや、それともこれが初めての実戦?

「へぇ、威力は間違いないみたいだな?」

レールガンの弾丸は綺麗に大砲を貫通。でも発射機能に不備が生じるわけではないみたいで、そのまま大砲からは弾丸が放出される……が、明後日の方向を向いて放出される弾丸は城壁に着弾。あんなに頑丈そうな城壁には見事な風穴が。いやいや、これ対人兵器じゃないよな?

「おっとっと、って危ないな、おい!」

少女の方は戦意喪失でこの男に丸投げ。
この男もこの男で、大砲が無意味と言う事を自覚したのか、大砲を四連砲に変形させながら、ドローンも同タイプの砲身に変形させる。アレ、どこかでこういうの見たことある何何て思ってたのも束の間、俺に向けて砲身が火を噴きはじめる。

「ッ!」

焦ってヘルメットを展開したとはいえ、やっぱりこの弾幕を捌ききれない。
いくら、ヘルメットの視点で動体視力が上がって居ても、俺の図体じゃ四連砲から放たれる大きな弾丸を避けながら、極力ドローンから放たれる弾丸が命中しないようにするのが精一杯。
脇腹に肩、足の脛、と弾丸が掠めて服の繊維を裂き、傷を作り、血が少し垂れる。痛みは少し感じるけど、動きに支障が出るわけじゃない。とは言え、このままではやられるのも時間の問題。今度は俺のターンだ。

「これでも喰らえ!」

エレメントガン、アタッチメント・ロック。
ノヴァの将校から譲り受けた属性による追加攻撃を可能にする弾丸を使用する銃だ。ブラスターと同じくらいの大きさで取り回しも良いし、何よりエネルギーチャージ式というのも良い。アタッチメントは確か結構あったかな。よく使うのはアイス、ファイア、そしてこのロックだ。直撃した部位を中心に一部を石化させる効果を持つロックは便利だ。さっき、ドローンをブラスターで撃退出来た事を考えれば、コイツで砲身を石化させて射出不可能にしてしまえば、勝機は見込める。照準をそれぞれ、ドローンと四連砲に合わせてトリガーを可能な限り引きまくる。

>シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー

3ヶ月前 No.360

Futo・Volde @nonoji2002 ★0hekQLL3eX_wNY

【ロンカ村/牧場/→グリア村/池/アベリィ・シルバラード】

ロンカ村の隣、グリア村にある池の畔。池とはいう物の、やはり寒い地域だからか、表面は氷付いているようで、自然のスケートリンクが出来ている。
アルクールの様子は、火から離れて行くほど、徐々に落ち着いたものへと変わってゆき、この池の畔に着く頃には平静を取り戻していた。流石にもう、戦意はほぼ残っていないようだが。

「私、軍人なの。連盟には協力者と言う形で任務を果たしてる。私はあなたを殺すことも出来たけど、私の……私たちの目的は時空改変を阻止してタイムパラドックスを防ぐことであって殺戮が目的じゃないもの」

なんで、と疑問を溢すアルクールにアベリィは落ち着いた口調で、畔に横たわる材木に腰掛けながら答える。

何度も戦場を見て、潜り抜けてきたアベリィにとって、敵軍だからと言って、必ずしもそれが殺戮の対象でない事を痛いほど知っている。
自分が殺してきた、いや、殺さざるを得なかった相手も所詮は人間であり、本当は戦地になんて来たくはなかったはずだ。だが、軍人はそれが仕事。家族のため、故郷の為、あるいは別の目的で軍へと所属し、戦地へと赴く事になる人は多い。アベリィがこの軍人への道を歩むことを決めたのは、自分の亡き父親の影を追う為、それだけだったが、学ぶことは多かった。どんな気持ちで、父が戦地へ赴いていたのか、どんな気持ちで人を殺めたのか。きっと、あーだったのかな、こうだったのかな、と思いながらこの道を歩んできた。

彼女を助けたのは、必ずしも、彼女が魔道帝国の考えが正しいと信じて行動しているようには思えなかった、というのもあるし、何よりあの状態で彼女を殺すのを良心が咎めた。
それに連盟の目的はタイムパラドックスを起こしかねない歴史是正機構の打倒であり、抹殺ではないのだ。

「それに恐怖に引き攣ってる人を殺すほど、私は非人道的じゃないしね?」

少しおちゃらけて見せながら、付け加えるように、相手の警戒心を解こうと、口にする。
――とは言ったものの、それが軍の命令だとしたら、アベリィは逆らうことは出来ないわけだが。時に、非人道的な行動を強いられることも珍しい事ではない。それが、遠距離から兵器を用いた、間接的な事なら良心の呵責も大きい物では無いが、銃を使ったり、前線で戦ったり、自らの手で命を奪うともなれば、良心の呵責はより大きい物になるが。

>アルクール・サンドリンガム

3ヶ月前 No.361

魔帝 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【魔帝城/深淵の間/魔帝ヴェルメイユ】

闇の底で戦いの行く末を見据えるヴェルメイユ。マロニス王国の士気は日に日に低下の一途を辿っており、その原因が騎士団長の失踪にあることは間違いない。
そして、彼女はその騎士団長が今どこにいるのかも知っている。はっきり言ってしまうならば、実に哀れだ。力に溺れ、自らを見失った末路があれとは。
魔帝軍の勝利はほぼ揺るぎないものなったが、仮に勝利を収めたとして……人類という共通の敵が失われた彼らの敵意が、次にどこに向くのは容易に想像がつく。
ヴェルメイユは魔族の対人間思想に共感してはいない。目的が別のところにあることを悟られれば、軍そのものが瓦解するのは、時間の問題といえるだろう。
しかし、彼女が人間との共存路線を模索しようとすると、部下からの反発が出てくる。ただ単純に、"ある王国"を復興することだけが目的の魔帝にとって、彼らの反応は、頭痛の種であった。

「ヴァンレッドか。気にするな、いつものことだろう」

溜息をつきながら、深淵の間へとやってきた腹心のヴァンレッドに対応するヴェルメイユ。彼の前だけでは、彼女が普段見せることのない素が露わになる。
かつては死闘を演じた二人であるが、今となっては最も信頼し合える関係となっており、時にこうして他人の目が及ばない環境で、二人だけの話をすることがあるのだ。
ヴァンレッドは魔帝に、部下達の前では帝王として相応しい態度を取るように忠告する。その通りだ。王が沈んだ表情としていては、彼らの士気にも関わってくる。
仮にも、今やっていることは戦争なのだ。自分には王として、率いる軍勢を勝利へ導かなければならない。気乗りはしないが、それが上に立つ者としての役目だ。
勿論、和解の可能性があれば、それを模索する。反対派を何とかして説得することさえ出来れば、人間と魔族が互いを憎まず、共存し合える世界が見えてくるかも知れない。

「悩み、か。ないと言えば嘘になるが……私は、お前を危険に曝したくはない」

悩みはある。チェルやフィラッサといった存在は、人類との和解を目指す上で最も厄介であるといえる。彼女達がいる状況では、共存などとてもではないが望めない。
心の中にしまっている愚痴や不満を吐き出せば、きっと気持ちが楽になるだろう。だが、それをしてしまえば、ヴァンレッド自身の立場を脅かすことにもナリかねない。
魔帝は彼のことを思っているからこそ、ここで悩みを打ち明けることなど出来なかった。姿こそ見当たらないが、あの黒猫やその下僕が、どこかで見張っているやも知れないのだから。

>ヴァンレッド

3ヶ月前 No.362

大災厄の残痕 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【展開の都合上、こちらが先のほうが良いと言うお達しがありましたので、こちらから返させて頂きます】

【城塞都市ギリダン/城下町/キラー・テンタクラー】

「フッ、褒めるなよ。 私は最強のコンピューターウィルス、キラー・テンタクラー、ハッキングや破壊だけではなく戦闘に長けているのは必然だ」

よく戦えた物だな、と言う呆れ混じりの言葉に対して、キラーは明らかに解釈を間違えている様子で、誇らしげに褒めるなよと笑った。
そして妙に自慢臭い今更な自己紹介と共に、戦闘に長けているのは当然と語る。
……まぁ、確かに即座に日和見を決め込んだシエンタよりは、少なくともキラーは多彩な攻撃方法を持つ、まだ強いほうに見えなくも無い、だが、これまでの戦いや行動で、戦闘に最も必要であるはずの知識や技能だけではなく、知能そのものが足りていないのは、もはや明白である。

エネルギー砲が発射されるも見事に回避され、相手は威力だけは確かなようだと言葉に出した。
外したが、評価されるのは悪い気分ではないな、などと内心思いながらも、キラーはそれなりに精確な射撃を相手に浴びせる。

「ふははは! 降伏するなら今のうちだぞ? なあに、私とて冷酷ではない、この最強のコンピューターウィルスたる私に永劫の忠誠を誓えば許さない事もない」

性格はともかく、その火力と精度は折り紙つきだ、それを連射している訳なのだから、当然相手は防戦一方となる。
だが、それもすぐに限界が来たのか、砲弾が敵の体を掠め、血液すら確認できる。
これに味を占めたキラーは、降伏するなら今のうちだと、自分はもう勝っていると言わんばかりの態度で相手に声を掛けるが……相手はそんな事に気を払うより先に、適切に反撃に移った。

敵の獲物は銃、となれば低火力なのは明白、既にそういった攻撃を反撃として撃ってくるのは折込済みなのだ!!
キラーはそう笑った。

――シールドォッ!!

その言葉が発せられた瞬間、キャノン砲で本体の砲撃と合わせて攻撃を行っていたドローンが一斉に盾の形状へと変形、キラーと敵対者の間に展開した。
所詮は低火力であろう銃の攻撃など、このシールド機能で簡単に無力化できる、弾が切れた瞬間、ドローンを再度変形させて一気に勝負を決めてやる、そうキラーは考えていた。

だが……そのシールドの防壁は簡単に崩壊した、どんな火力だ!? とキラーは目を見開くような気持ちで敵を観察するが……まぁ、石化させる弾丸を撃ってくる、なんて状況を想像しろというのは、少々酷だろう。

「おのれぇ、だが、この私の防御力がそう簡単に……はぁ!?」

自慢の四連砲が石化していく、そこでようやくキラーは理解した、敵の使っている武器の特徴を。
とにかく砲撃は出来ない、すぐにキャノン砲を通常の機械触手の形状に戻し、通常形態に戻るが……戻した所で、機械触手は石化したままで、これを取り除くにはそれなりに時間が掛かりそうだった。

ここで、キラーはちらりとシエンタのほうを見た。

「……戦術的撤退、つまりはエスケープ!」

辛うじて生き残っていた数本の触手から煙幕が撒き散らされる。
これで敵の目をかく乱して奇襲か……? そう思う間も無く……キラーは、言葉通りに、味方を置いて逃げていた。
……最も、最初にキラーに戦闘を丸投げすると言う形で見捨てたのはシエンタのほうではあるが、とにかく逃げた。

>スターロード シエンタ・カムリ


【キラーは撤退させます! お相手、ありがとうございました!!】

3ヶ月前 No.363

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★U9e4yFpM6Q_D9v

【ロンカ村/広場/ユーフォリア・インテグラ―レ】

ユーフォリアの疾駆と共に、反撃の狼煙が上がった。雪を舞い散らせながら加速した妖狐は、光と見紛うかの如き速度で狂戦士へと接近し、その鋭い牙と纏った焔で敵を斬り裂かんと猛る。
銀狼も続く。車輪のように回転し、白銀のオーラをその身に宿した彼女は、跳躍とともに真空波を放つ。三人による総力攻撃が、未だ止まる気配を見せない敵に、次々と炸裂していった。
この戦いの結末を知る者はいない。未来から訪れた時空の守護者と、異次元より紛れ込みし異物。更には元より古代にて生きる者が混ざり合った今の空間は、まさしく混沌と称するのが相応しいだろう。
歴史が紡がれる。未来にて起きた時空を巡る闘争が、定められた過去の運命を覆す。雪に閉ざされた小さな村の記録は、後世まで伝えられることだろう。それは、崩壊の予兆か? 否、時空断裂の気配はない。
未来の者が考えるよりも遥かに、世界というものは変化に対して寛容であったようだ。大筋の流れさえ護られれば、時は途切れることなく、多少の差異を生じさせながらも続いていく。
かつて、未来のことなど誰も知りえなかったように。かつて、過去を垣間見ることなど出来なかったように。決まった未来など、存在しない。人にとっては、僅か一秒先の景色であろうと、全て未知の領域なのだから。

暴虐の限りを尽くし、君臨し続ける皇帝。それに立ち向かう三人の姿は、さながら革命の勇者の如し。蓄積されたダメージによって、彼の身体は限界を迎えようとしている。いずれ、帝国は滅ぶであろう。
それでもなお、敵は戦いをやめようとしない。何かに導かれるかのように、目の前の存在を攻撃し続ける。理由など、存在しないのだろう。皇帝に出来ることは、戦うことのみなのだ。
虹の光と、敵の乱打が激突する。彼はその全てを防ぐことは出来なかったようだが、それはユーフォリアにとっても同じことで、隙間から漏れた拳撃と衝撃波が、彼女へと迫りつつあった。
凄まじい勢いで襲い掛かってくる暴力を前に、ユーフォリアは一瞬の詠唱から眩い輝きを放つ虹の防御壁を展開。前方からの攻撃の勢いを確実に削いだ上で、止めきれなかったものに関しては、回避で対処する。
妖狐と銀狼を狙った攻撃には、ここからでは対処出来ない。しかし、彼女達が簡単にやられるような者でないことを、ユーフォリアは信じていた。故に、彼女は敢えてそちらを向かず、視線を皇帝へ突き刺し続ける。

天へと昇っていく金色の粒子。破壊を撒き散らし続けてきた皇帝にも、とうとう終わりが近付いてきている。空に輝く満月。光が、戦場を照らす。だが、それは決して優しさに満ち溢れたものではない。
狂戦士の受ける寵愛を具現化したそれは、狂気の権化。正が負へと塗り替わる。対峙する者達の精神を乱す。ユーフォリアほどの者であろうとも、気を確かに持たなければ、瞬く間に発狂してしまう。
命の危機に瀕してもなお、皇帝の攻撃が止むことはなく、むしろ一層激しさを増して三人を蝕む。敵が拳を地面に叩き付けると同時に広がる衝撃波。白い大地は振動し、黒い亀裂が走る。
衝撃波と激突した瞬間、ユーフォリアが展開していた虹の防御が崩壊する。途轍もない破壊力。仮に防御なしで受けていたとしたら、生きていられる保証などどこにもなかっただろう。
皇帝は加速度的に消滅へと向かっているが、悪足掻きと称するべきか、最後の最後に放たれた拳が、ユーフォリアを襲う。音速を超えるそれを視認することは難しく、かといって受け止めるには威力が大きすぎる。
選択肢そのものが暴力によって消滅させられた状況。絶望的な光景を前にユーフォリアが選んだ行動は、詠唱であった。防御も回避も間に合わない以上、生き残るためには、これしか残されていない。

「私の命を天に捧げる訳にはいかない。時空の守護者としての責務を負う限り」

刹那、彼女の眼前にありとあらゆる属性の魔力が結集する。火、水、風、氷、土、雷、光、闇、虹、果ては無までも。七色、もしくはそれ以上と称するべき力の塊は、渦を巻くようにして一点へ集中していく。
迸るエネルギーの奔流。大気を打ち揺るがす圧倒的な力が、辺りに漂い始める。ただしそれは、皇帝が放つような暴虐の力などではなく、護るべき存在に祝福を与える、清廉で誉れ高き守護の力。
今にもはち切れんばかりの大きさへと膨れ上がった球体に、ユーフォリアが最大限の魔力を撃ち込む。すると、球体は弾けて無数の光の矢となり、既に余命幾ばくもない皇帝の肉体を焼き焦がさんと殺到した。
防御を無視して攻撃を選択した代償として、彼女は敵の拳を取り巻いていた衝撃波に弄ばれ、遥か後方まで吹き飛ばされていく。身体は地表へと叩き付けられるが、降り積もった雪の恵みが衝撃を和らげた。
まだ、命運は尽きていない。傷だらけになり、再び腹の底から競り上がってきた血で衣服を赤く染めながらも、ユーフォリアは目を見開く。村に仇をなした者の、最期の瞬間を然とその瞳に焼き付けるために。

>カリギュラ、山城瑤子、イアン・ガグンラーズ

3ヶ月前 No.364

蓼科祈 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4

【 ロンカ村→移動開始/付近沿道→移動開始/蓼科祈 】

 事後処理は、実にスムーズに行われた。
 ノエル・マッケロークの死は少なからず帝国に多大なる影響を与えた。
 攻め手を失った彼らは本土防衛に戻るだろう。だが、一度覆った戦力差が埋まる事はほとんどありえない。
 ギラードの指示により撤退していく兵士。
 そして、何処かへと消えてゆくギラード。

「――ま、そうね。すぐ行けるような体力じゃないし」

 ひらひらと手を振り、レイヴンとは別方向へと向けて歩いていく。
 ロンカ村を振り返ることなく歩いたのは、なんとなく感傷的になったからか。
 それとも――雪が融けるような音を、耳に聞いたからか。

(武人ってよくわかんないわね)

 心中は何時も通り平静のままに。
 時空防衛の旅路へ戻ってゆく。

>対象無し (レイヴン、ギラード)

3ヶ月前 No.365

スパルタの代名詞 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ナコーン/森林/北側/フォッサ・セントライト】

時空防衛連盟内においては、ストラーヴの問題児ぶりは有名な話だ。彼女は戦闘能力こそ高いものの、訓練や会議を放棄して逃げるということを繰り返している。
これまで様々な上官が指導に当たってきたが、誰が何を言おうともストラーヴは軽口を叩き、時には毒すらも吐きながら受け流すだけであり、全く以て効果がなかった。
それは、スパルタの代名詞と知られているフォッサであっても同様だ。結局そうしたことを繰り返している内に、ストラーヴは連盟内で問題児扱いされるようになっていったのである。
そんな彼女のことだから、仮に敵の攻撃を受け止め、全てを託したとしても、いつものように逃げられる可能性もあった。むしろ、その可能性の方が高かった。
ならば、どうしてフォッサはこのような選択をしたのか。その答えは、極めて単純。彼女は、ストラーヴが必ずここに残り、敵を倒してくれると信じていたのである。
こちらから信じなければ、相手が心を開いてくれることもない。だからこそ、フォッサは賭けた。彼女の奥底に眠る"何か"が、ここで目覚めてくれることに。

最後、相手に一撃を叩き込んだストラーヴからは、今までとは完全に異なるものを感じた。それを見届けたフォッサは、悟られないように横を向きながら、笑みを浮かべる。

「しっかり頭を冷やして出直してくることだ。あたし、それにあいつは、いつでも待ってるよ」

どうやら彼も、自らの過ちに気付いたらしい。しかし、すぐには決断が下せないのか、少しの猶予を求めてきた。ここまで来れば後はどうにかなるだろう。
フォッサは自分やユーフォリアは既に彼を受け入れる体制が整っていることを告げ、その後姿を見送る。いずれ、味方となる存在だ。ここで追撃し、疲弊させる必要などどこにもない。
そして何よりも、今回の戦闘の勝利の立役者を褒め称えなければならないだろう。背後からストラーヴへと近付いていったフォッサは、ぽんっ、と彼女の肩に手を置き、健闘を労う。

「勝てたのはあんたのお陰さ。助かった。次も、この調子で頼んだよ」

満面の笑みでそう告げたフォッサは、そのまま踵を返し「さぁて、今日の飯は久々にラーメンにでもしようかねぇ」などと、他愛もない独り言を呟きながら、撤退の準備を始める。
既に大方の情勢は決まった。歴史是正機構も干渉を諦め、次なる時代へ向かっているとの報告が上がっている以上、この時代での時空防衛連盟の役目は終わった。
後は元の時代へ帰還し、総統の指示を待ちながら次なる戦いに備えるだけ。まずはこの空いた腹をどうにかしてから、何をすべきか考えることとしよう。

>ストラーヴ、(ダグラス・マクファーデン)
【お相手ありがとうございました!】

3ヶ月前 No.366

失敗作 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

3ヶ月前 No.367

一番隊隊長 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【時空防衛連盟/オペレーションルーム/ギルバート・トムフール】

ユーフォリア率いる時空防衛連盟の主力部隊が古代へと赴いている間、ギルバート率いる一番隊は、彼女達の留守の防備を任されていた。
恐らく彼らにもそこまでの余裕はないと思われるが、万が一歴史是正機構がこの隙に乗じて攻めてきた場合、ここを守れるのは、自分達しかいないのだ。
だからこそ、敵の動向と古代の様子には常に目を光らせていたのだが……どうやらあちらは、大方時空防衛連盟の勝利という形で、幕を閉じそうである。
見た限りでは、時空改変による大きな影響も出ていない。介入が行われた時点で完全に元通りという訳にはいかないだろうが、被害は最小限に食い止められただろう。
時空防衛連盟の役目は、時空断裂の可能性を未然に防ぐこと。これはかなり重要なことであり、過度な歴史改変を許せば、時間の連続性そのものが失われてしまう結果となるのだ。
小さな変化が、未来にどれほどの影響を及ぼすのは未知数。もしかすると、既に文献などでは、記述の差異などが生じているかも知れない。

『隊長、中世にて僅かな時空振動が観測されています』

オペレーションルーム全体の指揮を執っていたギルバートの元へ、一人の部下が報告をしにやってくる。彼によれば、中世にて小規模な時空振動が観測されたとのことだ。
その言葉を受けて、彼もまたディスプレイを確認するが……なるほど。非常に小さなものではあるが、中世に変化が生じつつあることが確認出来た。
これが歴史是正機構が直接介入したことによるものなのか、それとも古代に介入したことによる副次的な作用なのかは不明。しかし、これが今後無視出来ない規模となることは、十分に考えられる。

「中世か……総統が帰還し次第、報告しなくてはな」

冷静な口調で、ギルバートはそう呟く。作戦終了までは、長く見積もってあと数時間というところ。それまでに、中世の文献を調べ、当時何が起きていたのかを知っておかなくてはならない。

>ALL
【未来では未来キャラクターの中世編プロローグとして会話パートを進行して構いません。
 また、この時点から、歴史是正機構側のキャラクターについては、中世に投下することを許可いたします】

3ヶ月前 No.368

Charlotte @kirieru ★Android=ryLO8WYMEG

【魔帝城/庭園/リュドミラ】

「あら?......ベレスフォード卿」

椅子である元村人の鞭打ちを終えると一人の甲冑を纏った男がリュドミラを問いただす。
この男はベレスフォード卿ことルーカン・ベレスフォードと言い騎士の家系で当主でありながらある事件がきっかけで奴隷までに成り下がった波乱万丈の経歴の持ち主だ。

「何を....って決まってるじゃない、私の命令を守れなかった下僕に仕置きをしたまでよ?」

ルーカンの震えた声でリュドミラがした行為を指摘すると彼女はそれを疑問にも思わずそれを当然な行為かの様な答えをルーカンに返した。
ルーカンにとって彼女の行為は虐げられていた過去のトラウマを呼び起こす物だろう。
しかしリュドミラにとってはそれが"普通"なのである。
下僕は主人の命令を聞き行動しそれに背いたら罰を与える。
彼女にとってはそれが当たり前で今まで疑問も罪悪感も沸かないのだ。

「それとも.....私に何か言いたい事でもあるのかしら?いくらアンタが当主だからだと言って偉大なる【アジ・ダハーカ】一族の現当主である私とアンタとでは泥雲の差があるのよ?よく立場をわきまえず私に指図出来るわね.........?」

そう言ってリュドミラは爬虫類特有のキレ長の瞳でルーカンを睨み付ける。
彼女の言うとおり、かのアジ・ダハーカの血を受け継ぐ一族は階級で言うと大侯爵に匹敵する。
だがルーカンを震えあがるであろう要素はそれだけでは無い。
自然界に置いての頂点に立つ龍族の眼光はあらゆる者を屈服させる程の威圧を放っているのだ。
それは最早、蛇に睨まれた蛙のレベルの比ではない。
気の弱い小動物ならすぐにでもショック死する位だ。

「さぁとっとと言って見なさいよ?私に意見があるんでしょ?」

低い声で高圧的な物言いのままルーカンを追い詰める様に睨み続けるのだった。



>>ルーカン・ベレスフォード

3ヶ月前 No.369

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【ナコーン→移動開始/森林/北側/ストラーヴ】


襲撃者の右腕は剣槍を受け、鮮血が宙に舞う。血飛沫を顔に受ける彼女は、それによって目を見開き距離を取る。ストラーヴは何らかの反撃を警戒し、傷を負わせたとしても敵の動きを見定める。
焦っていると、時間が欲しいと隊長へ告げた襲撃者は再び風を纏いて戦場から離脱する。風を纏った時に構えこそしたストラーヴだが追撃に移るつもりはない、手負いと言えども実力が届かない相手に一人突出するのは自殺行為でしかない。
先の破壊の光、それを受けた隊長が追撃に移れるほどの余力があれば別であるが襲撃者にかけた言葉の真意がどうであれ、追撃をするようには見えなかった。息が詰まる、その感覚を見ないふりをして襲撃者の背を見送る。
薙ぎ倒された木々、その残骸を縫うようにして飛ぶ影が消えたと同時に彼女は剣槍を杖にし、凭れ掛る。息を荒く吐き、求め乞う様に大きく吸う。伝う異常な発汗量による珠の汗は先の技による反動によるものだけではない。

自分はあの場面で何をした?ストラーヴに任せればいいものを、私は何をした?あの想い、あの経験、あれ以上に尊く守るべきものなどないはずなのに、何故あの隊長を助けるために動いた?
ストラーヴに必要なのは私とは違う彼女であり続ける事だ、その為なら誰を見捨てようと構わない、そう決めたのではなかったのか?まさか、彼以外を求めるのか?―――それこそ、あってはならない。
ストラーヴとは過ぎし時を保護する防人であり、彼女は過ぎし時の中で安寧を与えられる存在。そこに現在は必要なく、その先も望む必要はない、そう、ストラーヴと彼女は定義しなおした。

ふと、肩に触れる手。呼吸で大きく上下する身体を、休めさせるように置かれた手。隊長の手であった、労いの言葉と共にかけられたそれは温かく、心地よく、それ故に許容など出来なかった。

「―――さあね、私はやられるよりやる方が好きなだけ。……先に行ってる。」

置かれた手を払い、地を蹴り隊長を待たず撤退を始める。あの笑みは、彼女には必要ないとストラーヴは判断する。であれば共に帰還する必要はない、残る木々に剣槍を刺し、その反動で大きく飛び戦闘の後から逃げる様に距離を取る。
隊長のいた場所は既に点でしかない、しかしこれで良かったのだとストラーヴは思う。ストラーヴと言う人間は、他者よりも自身も優先し、自身が動きたいように動き、誰かの下に留まることはない。それで、いい。
ずれていた伊達眼鏡を直す、身体への異常ももうない。軽快に飛びながら帰還の為に移動する、この身に受ける風は冷たいがストラーヴは気にせずにさらに速度を上げていく。
剣槍についていた血を思い出し、振り払い紅雷で焼く。顔にも付着していたと思い至り、コートの袖で目元を拭う。少し汗が付着しているようだが、目に入る前には乾くだろう。
彼女にとっての大切な過去を守る為、次の時代へと向かう。今がどうなろうかと知ったことではない、あの時の事がなかったことにさえならなければ彼女はそれでいいのだ。そう、何度も言い聞かせる。

>>(フォッサ・セントライト ダグラス・マクファーデン)


【御相手ありがとうございました!此方も撤退させて頂きます!】

3ヶ月前 No.370

エクセラ・ノア・アウラ @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=dgrb36F8Ll

『城塞都市ギリダン/玉座の間/エクセラ・ノア・アウラ』

敵は三人を一気に殺そうと闇の光線を放った。
それは圧倒的で回避しようにも回避出来そうにないものだった。
しかし、闇の光線はエクセラ達に届く事はなかった。
炎を使う少女が5本の巨大な円柱を出現させて闇の光線を全て打ち消して防いだのである。
さらにもう一人の味方はクリスタルを破壊する為に動いた。
彼女の一撃でクリスタルは蜘蛛の巣のようにヒビ割れが走っていく。
味方が作ってくれた隙を無駄にはしない。

「名も知らぬ仲間が頑張っているんだ。私もそれに応えねばな」

エクセラは詠唱し、それが終わると「重力からの解放」を自分自身にかけ、走り出す。
徐々に相手との距離をつめていく途中、詠唱を行う。
やがてエクセラの攻撃が届く距離まで相手に近づいた。
その瞬間詠唱が終わり、三連続攻撃ができる「トライハーケン」を使用する。
一発目は相手の左足(太もも辺り)を横から殴打。二発目は右腕(二の腕辺り)を同じく殴打。
最後の一撃となる三撃目にエクセラは一旦後ろに下がり、
頭狙いの突きを行うが、それが相手を貫くことはなく、パージルクの右頬を武器が素通りして相手の後ろにあった壁を貫いた。
相手に避けられた訳ではない。エクセラが意図的に外したのである。
殺してしまっては、この事がきっかけで新たな争いの狼煙が上がり、同じ事が繰り返され、苦しむ者が出ると思ったからだ。

>>パージルク・ナズグル、ニケ・エタンセル、ソレミア・ラガルデール

3ヶ月前 No.371

指輪の女帝 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【城塞都市ギリダン/玉座の間/パージルク・ナズグル】

「……私は、憎い、ただただ、奴らが。 ――ふっ、知れた事、マロンには、何れこの悪逆の女帝、パージルク・ナズグルを倒すという役割がある。 絶対的な、力と悪の化身を倒す英雄録だ、そこに悪が過剰なほど英雄に投資をすれば面倒な事になりかねなかったのでな!!」

女帝パージルク・ナズグルが発言するよりも先に、ぽろりと私人としての彼女がこの戦いにおいて始めて言葉を喋った。 その瞬間、彼女の付けている指輪が、まるで怨念の象徴の如く妖しく、ぎらりと輝いた。
だが、一瞬だけ見せた"素"も、そこまでだ、少なくとも彼女は、自分が"理想どおりの女帝である必要性"を強く意識している。
故に、ソレミアには、あくまで自分はマロンに倒される存在でしかなく、その前に過度に投資をし続ければ、後々マロンに迷惑を掛けることになる、などと、尤もらしい言葉を使って叫んだ。 女帝とは常に合理的で、理知的な存在であるべきだ、人を第一と第二に、平等に、正確に実力を判断し、振り分けるシステムであるべきであり、そこにパージルクという私人は邪魔でしかない。

絶対に解けない呪いを溜め込みながらも、責務を果たすために絶対にそれを外に漏らさない、ある種、この性格と偉大さが故に、マロンも、誰も、彼女の真意に気づかず、真の理解者を一人も作れなかったのだろう。

最後の変換装置にして、最大級の"ビット"とも言えるコントロールクリスタルが、その大火力を敵対者たちに叩き付ける。
吹き荒れるは爆発によって発生する暴風、飛び散るは瓦礫、そして敵対者も例外なく、この暗く輝く光に焼き払われる……はずだった、しかし、そうはならなかった。

一人だけ、圧倒的な破壊力を前にして、一歩前へと出た者が居た。 ニケだ。
彼女は、その身がもう使えなくなるかもしれないと言うのに、その全力を使って、破壊に立ち向かった。

……クリスタルの光線照射が終わる、そしてそのとき、彼女は存在しており、味方も無傷であった。

パージルクの思考が完全にストップする、まさか、たった一人の力でこれほどの力を発揮するとは思っていなかった、あらゆる能力者を指導し、見てきた彼女から見ても、ニケのそれは、あまりにも"予想外"だった。
故に、その隙を突いて、ソレミアはクリスタルに一撃を加える事が出来た。

いとも容易く、クリスタルがわれ、充填されていた魔力が解放されるように、周囲に粒子となって散る。
そこに追撃を加えようと距離を詰めるは、あの別時代からの人間だった。

「来るかっ! 良かろう、正面から受けてやる!!」

パージルクの両手に光剣が生成される。
だが、やはり接近戦を正面から受けるというのは無茶だったようで、一撃目の足を狙った攻撃はパージルクに直撃して、大きく体勢を崩される。
しかし、その次の腕を狙った攻撃は、何とか取り回しの悪い光剣を使いながらではあったが、弾いて見せた。

……それでも、最後の一撃は止められない、ここまでか。

――エスメラルダ、父とは比較にならないほど、馬鹿なお母さんで、ごめんよ。

それが、最後の言葉になる、はずだった。
だが、実際には、顔を掠めて壁を貫いた。

……おそらく破壊されたのであろう都市側のクリスタルから、魔力が送られてきて、それを受け取るコントロールクリスタルが破壊されているため、急速にこの場に魔力が満ちてゆく。
終わらせてくれぬか、ならば、終わらせてやろう!!

「ふふ、くくくっ……あーっはっはっは!! 馬鹿め、愚か者め!! 妾にトドメを刺さなかったこと、後悔するが良い、クリスタルが破壊された所で、もともとこれらは、妾の魔力の一部を固めて作った物だ、つまり、クリスタルが破壊された場合、今まで全ての奴隷を制御してきた膨大な魔力は、今、この手にある!! 妾が死ぬまで止まらんよ、帝国の支配は、悪の蹂躙は!!」

一瞬散ったと思われた、クリスタルから発生した魔力の粒子が、一斉にパージルクの両手に集まって行く。
その瞬間発生したのは衝撃波、まるで距離を仕切りなおすかのように、三人をパージルクの至近距離から引き剥がそうと吹き飛ばしに掛かる。

だが、本命はそれではない。

「消え去るが良い、この妾の、いや、私の光によって!!」

彼女の両手から発生した膨大な魔力が、彼女の真上で一つの球体となる。
それは、莫大なエネルギーの塊だ、だが、その出力は、先ほどの魔道砲と同等、いや、それ以上の物かもしれなかった。

凄まじい轟音と共に、パージルクが周囲に落ちていた瓦礫を、軽くその球体に向かって投げる。
すると、まるで泡のようにその球体は割れ、幾つかの"光の塊"に分裂する。
それらは、宙を彷徨うひとつの生命のように周囲を高速で飛行し始めた。

そのうち一つが、敵とは見当違いのパージルクの背後へと動いてしまい、壁にぶつかり……そして、その瞬間に炸裂。
壁自体を簡単に吹き飛ばし、高い宮殿からの景色が見えるような大破壊をたった一つで引き起こしたことで、その破壊力を示した。

一つがそうなった所で、浮遊する光の塊は十を超えている。 それを、パージルクは必死に、敵へと向かうように魔力をこめた。
すると、一つが急加速し、ソレミアたちに突撃する、それを皮切りに、一斉に全ての光の塊が、敵対者を、いや、この宮殿を破壊し尽くす程の力を持って殺到する。

>ニケ・エタンセル ソレミア・ラガルデール エクセラ・ノア・アウラ


【パージルクの最強攻撃となります。 次のレスで、パージルクは退場となりますので、長期戦故、結構リソースを使って頂いた感じはありますが、皆様悔いが残らない感じの攻撃をどうぞ!!】

3ヶ月前 No.372

Lzh @lllllzh☆PvKD6UICUoMc ★TuwsMa7hHI_W3T

【ナコーン/森林/仮面ライダービルド】

「……」
上空を見上げ、敵の次の動きを見る。
次の機会を見計らい、反撃のチャンスをうかがう。

隙を見つけ、ホークガトリンガーを向けたその時だった――――

「……ん?」
使役していた敵本体が倒されたと同時に、使役されていた敵は消失していった。

「終わったのか……??」
倒せたかどうかを確認すべく、敵に向かって歩いてゆく。
下手に決めると、また同じことをする可能性があったからだ。

――……そうか、私はまた死んだのか。
歩いていると、敵が復活し独り言をのたまった。
戦兎は立ち止まり、様子を見計らう。するとあることに気がついた。
動きがあまりにも無造作すぎるのだ。ましてや召喚された敵の対処法もわかっている――――

(どうもこいつの復活は不完全みたいだ…… よし……決まった!)
勝ちを確信した矢先のことだった。

敵の周囲が燃え上がり、炭と化していたかつて木々だったものを消し飛ばす。
恐らくまだ準備段階なのだろう。もしそうならまともに喰らったらひとたまりもないし、タカの飛行性能では逃げ切れない――――

(間に合え……!!)
間に合うことを信じつつ、ロケットのフルボトルを振り、ロックを解除。

『ロケット!』
ガトリングボトルをベルトから外し、ロケットに交換する。
しかしベルトのレバーに手をかけようとした瞬間、火が爆発的に広がった――――

「くっ……!!」
――――この場は撤収する! あの老婆を殺しきれるだけの術が今はない、貴様も乗れッ!
ガードの姿勢を取ろうとしたその時、仲間からの助け舟が。
戦兎はとっさにそれを掴み、そのままベルトのレバーを回し、『タカロケットのトライアルフォーム』に変身。
左腕のロケットパーツを使いエストの方向に一気にバーニアをふかす。これは加速するついでにエストの追撃を阻止しようという算段だ。

「万丈! あとは頼んだ!」
「おい逃げんな!」
ついでに居合わせた万丈に後のことを任せつつ。

>エスト、ライドウおよび周辺all

3ヶ月前 No.373

山城妖狐 @sacredfool ★KfU4BwvHXz_D9v

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

3ヶ月前 No.374

爆炎 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【城塞都市ギリダン/玉座の間/ニケ・エタンセル】

パージルクがふと漏らした言の葉…女帝としてではなく、"パージルク・ナズグル"という一人の人間が発したソレに、猛る炎と化したニケも動きを止める。
この戦いは単なる善と悪のぶつかり合いに非ず。互いに相手の思想に共感と反感を持ち、それでもなお自らが目指す理想のために戦っている。そこへの道のりに命すらも投げ打って。
帝国の支配に仇成す者達の戦いは、この玉座の間で終わりを迎えるだろう。勝っても負けても、ここで終わる。だからこそ全力を、いや死力を尽くさなければなるまい。
そうでなくては後に何も残らないからだ。例え勝利を収めようとも、己が全てを注ぎ込んだ血と汗と涙の結晶のような勝利でなくては、思い描く世界を作ることなど出来はしない。
帝国に反旗を翻した時からそのつもりだったが、ニケは今一度"命懸けで立ち向かう"という決意を、信念を新たにした。

「今だ、決めろ!」

身を挺して生み出した攻撃のチャンスが最大に活かされる。後に続くソレミアがクリスタルを破壊し、奴隷達を縛り付け繋ぎ止めていた鎖を断ち切る。
さらにエクセラが得物を用いた怒涛の三連撃を発動。腕を狙った一撃は防がれたものの、もう一撃が左足を穿ち、そして最後の一撃が頭部を…

突き刺すには至らなかった。回避されたわけではない。故意に外したのだ。これが何を意味するか、かつて女帝の下にあったニケなら容易に察しが付く。
恐らく他の二人は知らないのだろう、パージルク・ナズグルの真の恐ろしさを。クリスタルを破壊した程度で慢心すれば、瞬く間に戦局をひっくり返されることを。
凍てついた鋼のような冷たさが戦場を支配する。劇毒滴る毒牙を眼前にしたような嫌な汗が首筋を伝う。自分達は身に沁みて味わわされるのだ。押し寄せる大津波のような、荒ぶる魔力の奔流を。

そしてその予測は最も最悪な形で的中した。手を抜いたことを嘲笑う女帝の双腕に、クリスタルから解き放たれた膨大なエネルギーが集まっていく。
全身を貫く衝撃波を受け、風の前の塵も同然に宙を舞うニケだが、この程度では終わらないことは重々承知の上。こんなものは前哨、大技の前置きに過ぎない。
女帝の頭上に浮かぶ魔力塊が分裂し、反乱者を、彼らの夢想する未来を焼き払わんと遅い来る。手数、破壊力、速度、全てが人智を遥かに超えた最終奥義。
十数とある中の一つだけでも宮殿の一角を粉砕し、外景を覗かせていると言えばその途方もなさが伝わるだろう。一撃でも貰えば骨も残らない、そんな脅威が圧倒的な数で迫ってくるという点では、先程のクリスタルを用いた砲撃と同じだ。
ただし今度は何から何まで規格外、他のいかなる手を引き合いに出そうと比べ物にならない。普通なら、今すぐ尻尾をまいて逃げ出してもおかしくない、天変地異も同然の脅威。

それでもニケは真っ向から立ち向かうことを選んだ。"やっちまったモンは仕方ねぇ、今度もオレが止めてやる"と高らかに叫んで。

「真ッ!ブレイジングバーストォォォッ!」

拳に炎を滾らせ、一回転しながら下から上へと振り上げる。大地を割り裂き噴出する五本の焔柱。魔導砲から三人を救った防御技『ブレイジングバースト』を更に進化させ、完成度と威力が桁違いに跳ね上がった全力の守り。
文字通りニケが持つ一切合切が注ぎ込まれたソレは、言ってしまえば彼女の"生命"が形を成したようなものである。これに全てを賭けるという、悲痛ながらも雄々しく気高い覚悟が成せる業。
だがすぐに限界が訪れた。幾ら技を鍛えようと、自らの遥か上、霞がかった頂のような存在である女帝の本気を受け止めるのに、既に満身創痍で激しく消耗したニケは、あまりに不釣り合い過ぎた。
彼女が掻き消すことの出来た光弾は、焔柱一本に付き一つ。十を超えるという中の半分にも満たない数である。そのうえ完全に止め切れたのではなく相殺という形であり、その余波をまともに受けたニケは、爛れた玉座の間の床に叩き付けられてしまう。
見れば氷槍に抉られた左足は血にまみれ、痛めた右足は真っ赤に腫れあがり熱すら帯びている。もう足を激しく用いるような動きは不可能だ。その最中にくずおれてしまうのが関の山だろう。
そして間髪入れずに新たな光弾が牙を剥く。最早これまでか。反乱の火種は無残にも踏みにじられてしまうのか。無様な姿からは誰もがそう思うだろう。しかし―――

「絶対に…絶対に…!

諦めない!」

身体が折れようと、心だけは折れていなかった。痛みと疲労に震える足に鞭を振るい、血を吐きながらも立ち上がる。押せば倒れそうとはこのことか、ボロ布さながらの風貌。
ここまで追い込まれても健在な瞳の輝きは、ニケ・エタンセルという少女がどれだけしぶといかを雄弁に語っている。
もう火炎魔法を使う体力はない。蹴りなど以ての外。そんな極限状態まで追い込まれ、万策尽きた状況に合っても、彼女は自分に出来ることを探すのをやめなかった。

絶望が支配する戦場に、一陣の風が走る。赤く、熱く、激しく滾る風が。ニケは"掻き集めた"のだ。『真・ブレイジングバースト』に用いた火炎の端々を。
相手方からすれば失笑を禁じ得ないような、頼りなく弱々しい炎の塊。最後っ屁という表現がこれほど似合う悪あがきもない。このまま女帝目掛けて放ったところで、魔力を込めた片手の一振りで虚空へと消えるのが関の山だろう。

そう、"そのまま"放てば。

「未来へ届けえぇぇぇぇぇっ!」

ニケがとった策、それは迎撃。両足の使えない今、なけなしの残り火を集めて作った火炎弾を、なんと頭突きで光弾にぶつけたのだ。
暫しの競り合いをニケが征するや、光弾の周囲が炎で包まれていき、巨大なエネルギー弾へと変貌を遂げる。女帝の絶大な魔力とニケの折れない心、相反しながらも最後に交わったそれは、全身で押し出すような再度の頭突きを以てパージルクに牙を剥く。
この一撃が、後に続く仲間達の全力が、必ずや未来に届く。そう信じて雄叫びを上げ、ニケは成すべきことを成したのだった。

>>パージルク・ナズグル、ソレミア・ラガルデール、エクセラ・ノア・アウラ

3ヶ月前 No.375

“塵殺剣” @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_kuu

【兵舎/ニア】


「―――今ので最後か? 勤勉なものだな、魔将の仕事ではあるまいに」

 不意に、怜悧な声が兵舎に響き渡った。
 惚けていた彼女へと声を掛け、扉を開け、椅子から降りたレプティラへ刺すような視線を向ける者の声だ。
 声色も、影から見える表情からも感情のイロを推し量ることは難しい。咎めているようにも聞こえるし、感嘆しているようにも聞こえる。嘆いているのやも知れぬし、はたまた本当は大抵のことなど塵ほどにも思っていないのかも知れない。静謐にして静寂、不動なるその声は、多少低くはあるものの紛れもなく女の声だ。
 その風貌は同じく此処に居る生者と同様におよそ容姿端麗と言える風貌ではあったが、それを“可憐”と呼ぶべきかは聊か疑問が残る。瞳の内側は滾る血か焔のように紅蓮に染まれども一切を揺るがせず。銀の髪は風により鮮やかに靡くが、唇を結んだその表情と相まって、どちらかと言えば凛としたものを感じさせる、そんな女だった。

 女の名前をニア。
 死を運ぶ“宣告者”どもの長、誰が呼んだのか“塵殺剣”の名を賜った魔将軍。
 短い期間で戦場に出て、ただ只管に死ぬべきものを殺し尽くした冷血の剣鬼。
 それは即ち、魔将軍の中でも群を抜いた戦場への出撃率と積極性の持ち主であるという事実の証明だ。
 ………彼女が、その鉄面皮じみた表情に何を含ませているのかなど想像させることもしないその女は、殊更生死という言葉には何かしら拘るところがあった。それは立場柄のものなのか、種としての在り方なのか―――彼女の口から語られたことは一度もなかった。

 さて。
 その女がわざわざ手傷も負っていないのに兵舎の方から診療中の彼女の元へ来た理由など、ただひとつだ。

 たまたま通りかかっただけ。かつ、探し人が居たというだけ。
 この兵舎に足を運んで来た理由など、遠征帰りの彼女が兵舎をただ通っただけ。それが今兵士たちに心を砕いていた、魔将軍随一の低姿勢者にして穏健派と遭遇したのは、ある種の偶然であった。(レプティラにとってどうかは彼女のみが知るのだろう)
 ただ少なくとも、彼女はこの時点で暇ではなくなった。それは間違いない。

「ああ、丁度良い。陛下は何処だ?」
「知らないなら別に構わん。あの御仁がそれなりに好んで話す相手の目星は付いている。
 一応戦線帰りだが、急ぎの用事でもなければ、騒ぐ用事でもない。ただの報告義務というだけだな」

 冷淡な口調の内側になにが見えているかは、敢えて語るまでもない。
 それでも、ニアという女の感情は凡そ読み取れる類のイロではなかった。
 数多の感情で複色《カラフル》に彩られるのが人間というなら、凡そこれは対極に位置する。
 しかし、それでも。女が遠征帰りの報告も兼ねてヴェルメイユを探しているのは明白だった。コミュニケーションの前に探し人の是非を聞いて来るのも、こと“勤勉”のカテゴリに入るニアならではのものであると言えるだろう。

 戦場での刃物じみた有様とは打って変わって、こと城内での彼女は凡そ平静かつ淡泊だ。
 ある一点の琴線に触れなければ、こと女は概ねの命に対して平等の視線を向ける。
 それはレプティラにも例外なく―――そして、そこに何らかの配慮が入ることもなく。

「―――それと、先程の言葉の直後で悪いが、ついでだ」

「合計で何人だ? 不調の兵が多い、では困る。多いのならば陛下への打診も考えねばなるまい。
 同じ目的の同朋だ、戦うなとは言わんが、悪戯に死なせるわけにも行くまいよ」

 ………そして。何人此処に不調を訴えて来たのかということを“ついで”に聞くのも忘れない。

 本格的な決戦が近いことなど、魔将の面々ならば理解もして居よう。それ故の事前確認だ。
 言葉には気遣いのようなものも感じさせ、されども声色と態度は殆ど変わらない。
 まして、“死”を語る当人が最もその虚無に近しい性質の持ち主なのだ。決してその言葉は嘘ではなく無為でもないのだろうが―――その内側で何を思考しているのかなど、読めようはずもない。仮令それが、目の前にいても。

>レプティラ


【よろしければ〜】

3ヶ月前 No.376

魔神騎士 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【すみません、レス気づかずに申し訳ございませんでした】

【魔帝城/庭園/ルーカン・ベレスフォード】

 二つ目の罵声で我に返る。
 炯々とした眼光から放たれる分厚い壁に迫られたような威圧感、魔族の自分でも固唾を飲んでしまいそうな圧に、後退りしたくなりそうだが表情を強ばらせて長い沈黙の後、重い口調でこう答えた。
「いえ、特にありま……せん」
 無意識のうち声に出したなんて言ったら、無礼を働くと思い自分の意見を飲み込みつり目がちの凛々しい視線を落として、抜いていた剣に納める。
 そしてようやく奴隷の村人を直視できるようになると、申し訳なさそうに憂いを帯びた表情で目を伏せる。
 奴隷は彼女の所有物だ、養父のように自分の力で解放できない。
 度々、捕虜となり奴隷になり虐げられた人間達を8年間も見てきたが、幼き過去がほの暗く包み込む。
「……」
 彼女の眼がルーカンの心臓を圧迫させ、苦虫を潰した表情のまま沈黙に入ったその時、どこから話し声が聞こえたので視線を向けると。
 黒服を纏った女性がいた。
 確か彼女は。
「デューザ、あなたもいたのですか」
 ルーカンは表情が変えられないまま声をかける。
 人間でありながらも魔族に加担する女性。最初会った時は体を硬直させてしまったが、今では平気だ。
 ルーカンはあえて過去は聞かなかった、自分も虐げられてきた側の存在なので彼女の傷を見て察した。
 恐らく自分よりも辛い過去があったのだろうと、だからそれに触れずに一人の女性として接している。
「そ、そういえば……二人とももし未来人が我が軍に編入された場合、部隊はどうなるのでしょうかね。
 やはり我々と対等に扱われた方が双方の為になるのではと私は思います」
 リュドミラの睨みが効いている為、若干声がどもる。
 今巷で噂されているの未来人について、軍がどう扱っていくのかルーカンは自分の考えを打ち上げた上で、他愛のない話題を二人に振ってみた。
>災禍龍姫のリュドミラ オムニス・デューザ

3ヶ月前 No.377

勇者 @zero45 ★h2BOlEz4kD_kuu

【王都ロンカリア/大通り/アンナローズ・フォン・ホーエンハイム】

 夕暮れ時を迎えた王都ロンカリアの大通りの中を歩いて行く、中性的な外見の少女。満面の笑みを浮かべながら前方を歩く亜人の少女ロコの姿を、笑顔で見つめ返す彼女の名はアンナローズ。後世に於ける正史を描いた歴史書の記述に依れば、一人旅の果てに魔帝軍を壊滅へと至らせた大英雄とされている。
 それにも関わらず、今の彼女が"二人旅"をしているのは、古代改変の影響を受けた事に他ならない。本来の歴史では襲い掛かって来たロコの命を奪ったが、改変された歴史では彼女を許して従者として迎え入れたのである。そして今やアンナローズにとって、彼女は最も大切なパートナーと言うべき存在となっているのだ。

「今日はゆっくりご飯が食べられるね、ロコ」

 これまで野宿だった事もあり、久々に落ち着いて食事を取れる事が楽しみで上機嫌となる二人。普段はいつ襲撃されても応戦出来る様に警戒しながら食事を済ませたりと、料理を味わって食べるだけの余裕が無かったのも、喜びが増す理由の一つかもしれない。
 旅の中継点である王都に辿り着いた今日の夕食は、腹一杯食べられて、尚且つ美味な料理を十分堪能できる幸福な一時となるだろう。それに寝る時も、固い土の上では無く、柔らかくてベッドの上でぐっすりと寝れるのだ。交代して見張りをする必要も無い。何とも嬉しい事だ。

「いっぱいお店があるけど、何処にしようか? ロコの好きな肉が置いてある所がいいよね」

 大通りには、以前父と訪れた時と同様、沢山の店が立ち並んでいる。世界各地の肉料理から魚料理、野菜料理に至るまで、ありとあらゆる料理が網羅されたこの街ならば、お金の許す限りそれらを食べる事が出来るだろう。
 尤も、ロコは魚料理と野菜料理がダメで、アンナローズ自身も魚料理はそこまで好きではない。なので実際の所、食べに行くのならば肉料理メインの店か、肉と野菜の両方を扱っている店となる。更に言えば、ロコの好きな豚肉と牛肉のどちらかを扱っている店がベストだろう。

「あのお店はどうかな?」

 ロコとはぐれない様に隣で密着しながら歩いている内に目にした一軒のお店。其処は以前にも父と一緒に訪れた事がある店で、各国から取り寄せられた数々の料理を堪能する事が出来る場所。あの時食べたのは、大昔からこの地方に郷土料理として伝わっているシチューで、一緒に飲んだ牛乳が普段飲んでる物とは段違いに美味しくて驚いた事を覚えている。
 昔を思い出して行く内に、6年振りに食べたいなと思い、この店にしないかとロコに提案してみる。ここなら多分、ロコが好きな料理も食べられるだろう。

>ロコ

3ヶ月前 No.378

健啖の銀狼 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

3ヶ月前 No.379

"不死公" @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

3ヶ月前 No.380

似非隊長 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【グリア村/池/アベリィ・シルバラード】

材木に腰掛けながら、彼女は自分を救った理由を語る。曰く、この女性は軍人であり、目的は時空改変を防ぐこと。その単語の意味は理解出来なかったが、とにかく無差別な殺戮を目的としている訳ではないらしい。
ならどうして魔道帝国と戦争を……と思ったが、未来のことは分からないので、あまり質問攻めにするにはやめておいた方がいいだろう。彼らには、彼らなりの事情があるということだ。

「戦場に出たらあとは生きるか死ぬかしかないと思っていましたわ。未来には、貴方のような考えを持つお方もいらっしゃるのですわね」

アルクールの人生は、戦争と密接に関わっているといっても過言ではない。彼女が火に対してトラウマを抱く切っ掛けになったのも、原因はサンドリンガム朝の侵略戦争だ。
そしてそこで奴隷として扱われるようになったアルクールが解放される切っ掛けとなったのも、戦争。魔道帝国が、サンドリンガム朝を打ち倒した10年前のことだ。
更にいえば、帝国で生き残るためには、自らの実力を証明することが必要不可欠。他人よりも自らが優れていることを示すのも、ある種の戦争であるといえる。
常日頃から他人と比較される環境に置かれていたアルクールにとっては、もはや他を蹴落とすなどということは当たり前の光景になってしまっていたのかも知れない。

「この国では、普通のことでしたわ。抗う者は、全て等しく殺す。それが帝国の掟」

彼女の言葉が偽りではないことは、ロンカ村への無慈悲な襲撃が証明しているだろう。帝国は自分達の敵となり得る者、あるいは従わぬ者に対し、容赦はしない。
連戦連勝は帝国第一人種の士気を満たし、幸運をもたらしたが、結果としてそれが反帝国勢力の蜂起を促し……その果てにあった結末は、この通りである。
恐らく、帝国はこの戦いに負けることだろう。ふと見たロンカ村の方角の火の手が収まっていることからも、それは間違いない。アルクールは再び居場所を失うこととなるかも知れないが……不思議なことに、その気持ちは実に前向きなものであった。

>アベリィ・シルバラード

3ヶ月前 No.381

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【魔帝城/兵舎/"常山蛇勢"レプティラ】


一通りの薬品を確認し終え、多く減っている物の名を木へと彫り記録に残す。やはりと言うべきか環境に適応出来ない魔族が多いためか、精神安定や栄養剤など症状に対してよりも現状を整えるための薬品の減りが早い。
自室に戻って新たに作るか、それとも蛇族に要請をするか。後者では量が作れるがすぐに配備できないと考え、今日の業務後にでも配合することに決めた。材料も備蓄から申請すれば問題ない、特別希少なものは使っていないしかといって多く使うものも多く備蓄されている物ばかりだ。

「ヒュッ!?」

ふと彼女に声が掛かる、その声に聞き覚えのあった彼女は呼吸が詰まる音と共に身体全体が伸びる、ピーンと一瞬硬直し薬品箱が落ちそうになることでハッと我に返る。そう、彼女が恐怖を抱いている人物の一人"鏖殺剣"のニアからの声であった。
薬品箱を机の上に戻しながら、恐る恐る振り向く。響き渡った声に感情は見られず、振り返り見た表情にもない。ただただ、平坦で冷淡に聞こえるその声。彼女はその声を敢えて感情に当て嵌めず、言葉通りとして受け取った。
人の下で長く奉仕をしてきた彼女はある程度の人を見る目はあるつもりであった、だから魔将軍の中に恐怖を感じる存在がいる訳だ。中でも相対するニアは本能的な恐怖を感じていた、言わば共にいるだけで死の危険を感じる様な、身体の芯が冷える感覚であった。
そして恐怖対象の一人、"混沌"のフィラッサとは別の意味で考えが読めない。あちらが何をするか分からない恐怖であれば、ニアは何を考えているか分からない恐怖。前者は飽きれば殺すと言う線引きは予測がついたが、後者は関係が浅い事も相まって読めないのだ。

「た、確かに、魔将軍としての仕事ではありません。ですが誰かがやらないといけない事ですから、私ができるからやっているだけですよ。」

純粋な疑問と受け取り、その返答を虚偽なく答える。声が微かに震えているのは許してほしい、彼女は他の将軍ほど豪胆でもなければ奔放でもないのだ。ただ何故か魔将軍に選出されてしまっただけの、蛇族の一人でしかない。
彼女はその事も相まって直接戦場に出る機会は少ない、実力も魔将軍の中で最も低いと言って過言ではない。ただ、それ以上に個性が強い魔将軍の中で好んで裏方に回れることは歯車として重要な事なのかもしれない。
医療関係は蛇族の十八番故に勿論の事、場合によっては兵糧関係や武器調達も他の魔族に掛け合い申請したりもする。前で敵を殲滅するのがニアのような魔将軍であれば、後ろで味方を整えるのが彼女だろう。
ニアからは先の挨拶代わりの問いとは違う本命が紡がれた、変わらず淡泊で感情を読むに長ける彼女であっても端すら掴めない。聞かれたのは魔帝の行方、彼女が知るのは診察前には魔帝城の最奥、深淵の間から出た様子はないという事だけ。
であればとそのまま答えようとした矢先ニアの視線が突き刺さる、この視線が恐ろしい。ある種の平等さであり、それはいつニアの殲滅対象になってもおかしくないと思える冷淡さが伺える。
そんな状態で言葉を続けられるわけもなく、ニアの言葉を待つ。問われたのはこの場に来た体調不良者の数、魔帝への進言も視野に入れているその言葉は思い遣りに溢れているがきっとそうではないのだろうなと彼女は思う。
むしろ悪戯に死なせたくない、そちらの方が本命に聞こえる。そこまで考えたところで返答を行う為、口を開く。これ以上ニアが続ける様子はなく、であれば彼女に望まれるのは問いへの答えだろう。

「えっと、はい。魔帝様は恐らくは深淵の間にいらっしゃるのではないかと、診察前まで無限廊下を通った様子もございません。ただ……ああ、申し訳ありません何でもありません。」

一つ、魔大将の間に恐怖対象の一人でもある"災いを呼ぶ黒猫"チェルがいたことを思い出す。いつも魔帝にくっ付いているチェルがいない以上少し羽を伸ばす時間があってもいいのではと考えたが、ニアがそれを配慮するかと問われたら彼女は言葉を濁すしかない。
分からないものは分からない、だからこそ失言したのを誤魔化す様に謝罪と何もない事を重ねて告げる。彼女が何故多くの人物の所在地を知っているのか気になるでしょう、それは恐怖対象に少しでも会わないようにする彼女の努力の賜物です、目の前にいるニア?遠征帰りは考慮していません。
続いて体調不良者に関してだが、これは患者である魔族の一部からは戦えるから口外しないで欲しいと言われている。それも含めて言ってしまおうかどうかを考え、明確な数や個人名は伏せ、種族や全体から見てどの程度かを伝えることにした。

「……全体から見て、一割から二割ほど。その内完治の見込み有りは三割、薬剤の処方で対処可能が五割、残る二割は環境の改善が早急に必要と思われます。」
「特に水生や極地に生息していた魔族が多く見られ、兵舎への何らかの対応が為されないとその二割の戦線復帰は厳しいと思います。」

医師として、治療に携わる者としての見解。体調不良者の内八割が彼女の手でどうにかすることは出来るが、残り二割は根本から変えないと難しい。水生や極地の魔族はそれに適応している為、むしろこの地が毒となる可能性もある。
総じてその魔族たちは強力な戦闘能力を保持する場合が多く、それを失うのは避けたいところ。戦力を考えずとも健康であってほしいと思う、だからこそ改善を申し出たいのだが、彼女の立場は魔将軍として弱い、だからこそニアの提案は嬉しいものであった。

「本当なら私が魔帝様に直接打診するべきですが、その……あまり口を挟める立場ではありません。ニア様、申し訳ありませんがよろしくお願いします。」

そう深く頭を下げる、魔将軍の会議でも自身から発言することなく"龍炎公"ヴァンレッドから話を振られなければ真面な発言権すらない。そんな彼女が実力で魔将軍へと就いたニアに頼むのは道理であった、少なくとも新参であってもその実力が認められているのは確かだからだ。
その言葉の裏に親切や気遣いがあってもなかろうと、彼女はニアがそう言ってくれたことを嬉しく思う、勿論本能的な恐怖と何を考えているのか分からない故に怖い事には変わりはないが。

>>ニア


【絡みありがとうございますー!】

3ヶ月前 No.382

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【魔帝城/庭園/オムニス・デューザ】


木陰で常に目を瞑る彼女は、きっと眠っているようにも安寧の死を迎え入れているようにも映るだろう。彼女の目は開けない、開けば傷を無理矢理こじ開けることになるから。薬で溶かされ、歪に傷が塞がった眼孔はただ目が在ったことを示すのみで意味を為さない。
彼女の耳は今でこそ見れるものである、当初は杭を穿たれた影響で周囲の肉が盛り上がり、膿を吐き出し続ける状況であった。最近になり、痛みも止み肉の上には肌が形成され始めた。それでも尚不自然な形は、彼女の受けた痛みを想像するに容易い。
以前潰された声は、途絶えた光は、消えた音は、この傍に佇む魔族によって与えられている。魔族が気分を変えればすぐにでも消えてしまう泡沫のような感覚、それでも彼女は受け入れて神様が下さったと喜ぶのだ。
そんな彼女を呼ぶ声、ベレスフォード卿である。先程から魔将軍の一人である"災禍龍姫"のリュドミラとの会話があったが、魔族が不要だと判断し二人の会話を聞こえぬようにしていた。
彼女もリュドミラの椅子になっている村人と同じ立場、詳しくは互いに語らないがベレスフォード卿も同じであった。その為魔族は聞かせたくなった、しかし声を投げかけられた以上無視は彼女の評判に関わる。
そんなことを知ってか知らずか、彼女はベレスフォード卿に声を掛けられ顔を綻ばせ、彼女なりの柔らかな笑顔で迎える。魔族に一声かけると、その巨躯で彼女を優しくゆっくりとベレスフォード卿とリュドミラの場所まで運ぶ。

「ベレスフォード卿にリュドミラ様もいらっしゃったのですね、申し訳ありません、どうやら風の音で聞こえなかった様です。」

魔族が二人の近くに下ろすと彼女はゆっくりと地に座る、二人へと声を掛けながら柔らかい笑顔を向ける。彼女の視界に何らかの傷を負った村人も目に入るが、彼女は何かを言うことはない。その瞳は魔族から与えられた物で、魔族が彼女に必要ないと思えば瞳は移さない。
その魔族は多くの腕を組んで、少し離れた場所で会話を見守る形を取る。あくまで彼女の交流にまで自身が首を突っ込む必要はないとの判断だろう、しかしこの場のどちらかが彼女に危害を加えるならその巨躯を以って彼女を守るのは当然と言えた。
ベレスフォード卿は震えたような声で話題を振る、未来人の介入による部隊の再編成の可能性。確かに時期としては考えなければならない事だろう、どちらかが片方を下に見れば共同戦線どころではない。

「私はそう言ったことに詳しくありませんが、……やはり争いなく決められる方法が良いと思います。その方が未来人も魔帝軍の皆さんも、幸せでしょう?」

そう可愛らしく首を傾げる、彼女にとって重要なのはどうすれば誰かが傷つかず、どうすれば皆が幸せになれるか。争いが必要ならばその中で傷つく人が少なく、幸せな方が多くなるようにする。
彼女にとって犠牲と言ったものはない、誰かが幸せになるのに誰かが傷つくことを許容しない。故に争いなく、人間と魔族の共存を望む。そうすれば誰も傷つかず、皆が平和になると信じているから。
だからこそ未来人との折り合いも、互いが互いに幸せになることを望む。どうあっても誰かが傷つくことを望まず、皆が幸せであることを願い続ける。
それがオムニス・デューザである。勿論、その誰かにも皆にも彼女自身は含まれない。

>>ルーカン・ベレスフォード リュドミラ


【絡んで頂いてありがとうございます!拾って頂けて良かった…!】

3ヶ月前 No.383

中二病でもハッキングがしたい! @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【城塞都市ギリダン/城下町/→歴史是正機構本部/個室/シエンタ・カムリ】

怖気付いた挙句に敵への対処を全てキラーに丸投げしたシエンタ。しかしそれは裏を返せば、自分では勝てない相手でも、キラーであれば何とかしてくれるだろうという信頼の現れでもある。
ハッキングや電子との会話能力による補正を除いた純粋な戦闘能力でいえば、彼はシエンタを軽く凌駕する。単騎でも、大きな戦果を挙げることの出来る個体だ。
事実、当時の人間達はこのウイルスへの対応に苦労し、相当な被害を被っている。その所為で、未来における電子製品の信頼性は地に落ちており、セキュリティソフトの開発会社は大儲けだそうだ。
まあ、彼女にとってはそのようなことはどうでもいいのだが、とにかくキラーは凄まじい能力を持っている。だから、あとは待っているだけで、敵を倒してくれる。

「おいおい、何言っているんだい? まだ敵は倒れてないよ?」

……はずであった。だが、キラーは敵の攻撃によって武装が石化されたことによって怖気付いたのか、シエンタを見捨てて一人逃げ帰ってしまったらしい。
結果として、微妙な空気の中、戦場には二人が取り残されることとなる。既に戦線を離脱しているも同然であった彼女と、勝利した男という奇妙な組み合わせ。
気まずい。非常に気まずい。なんと言っていいのか分からないが、これ以上戦っても意味がないことは分かっているし、相方もどこかへ行ってしまった。
つまるところ、ここへ留まる理由など、もはや何一つとして残されていないということだ。ネットも繋がらないし。こうなったら、さっさと帰ってゲームでもするとしよう。

「あー……そういうことだ。ボクも帰ることにする。ただし! 次にこういうことをしたら、その時は君の持ってる携帯が使い物にならなくなるよ。覚えておくんだ」

相手の男を指差しながら捨て台詞を吐くと、シエンタもキラーに続いて撤退する。自分を置いて一人だけ逃げるとは……随分と舐めた真似をしてくれるではないか。
そのまま時間遡行装置で未来へと帰還するシエンタ。彼女は自室に辿り着くや否や、そこにいたキラーには目もくれず、乱暴に車輪付きの椅子を引いてバソコンの前へと座る。

「キラー、ボクに何か言うことはないかい? まああってもなくても、君には少し反省が必要みたいだから、こうするけどね」

明らかに怒った様子でぶっきらぼうに彼女はそう言うと、パソコン内に入っていた一つのプログラムを起動した。すると、後ろにいたキラーの容姿が、みるみる内に変わっていく。
その間、およそ数十秒。画面にFinish.の文字が表示されると同時に、にやにやとした表情を浮かべながら、シエンタは後ろを振り返る。するとそこには……一人の美少女が立っていた。
青い髪に、ぴっちりとした服装。とても動きやすく、戦闘に向いていそうなそのスタイルは、本人からの要望。その割には胸が少しあるのは、彼女のコンプレックスだろうか。
シエンタは自分を見捨てるというとんでもない選択をしたキラーを、しばらくこのボディの中に閉じ込めておくつもりだ。当然彼は大反対するだろうが、そんなことをはどうでもいい。自分が怒ったのだから、こうする。それだけの話。

>キラー・テンタクラー、(スターロード)
【お相手ありがとうございました! 最後のプログラムについては許可を取っております】

3ヶ月前 No.384

亡国の末裔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【城塞都市ギリダン/玉座の間/ソレミア・ラガルデール】

名も知らぬ三人が奏でる鮮やかな連携の旋律。出会ったばかりだとはとても想像が付かないほど洗練されたそれが、徐々盤石であったパージルクの足場を崩していく。
帝国の崩壊と、虐げられてきた第二人種による革命の時は、刻一刻と迫ってきている。既に壁が崩壊し、青天井と化した玉座の間には、周囲から人々の喧騒が響き始めていた。
それが指し示す事実は、たった一つ。もう一つのクリスタルが破壊され、彼らの洗脳が解かれたのだ。意志を奪われてきた者達は、己のため、未来のため、今ここに立ち上がる。
だが、自分達が負けては、ようやく灯った希望の光が潰えてしまう。女帝パージルクを打ち倒さないことには、同じことの繰り返し。帝国が崩壊しても彼女は、必ず復活を遂げる。
出来ることならば、命までは奪いたくはない。が、そのような甘いことを言っていられるような状況ではないのも確か。ソレミアは一瞬迷いを見せるも、私情を捨て、戦いに集中する。

その思いは、あの銀髪の少女にとっても同じであったようだ。敢えて攻撃を外したのは、ここでパージルクを殺したことにより、戦いが連鎖していくことを防ぐためであったのかも知れない。
ソレミアもその選択には大いに同意し、賛成する。……しかし。女帝は、そんな自分達の優しさに応じて、戦いをやめてくれるような人物などでは、断じてない。
結果として、相手からの攻撃を一切受けることなく、万全の体制で反撃を放つ機会を得たパージルク。更には、割れたクリスタルから漏れ出した膨大な魔力が、彼女の真の力を引き出す。
正真正銘、ここが最後の山場だ。歯を食いしばり、堂々と立ち向かうソレミア。奥を見やれば、炎の少女もまた、真っ向からこの運命に抗う所存のようであった。
なんと頼もしいのだろう。あのような若者がいる限り、古代の世界から光が失われることはないだろう。だからこそ、自分も希望を捨ててはならない。今ここで、死んでどうする。姉を探して、王国を再興するのだろう?
自身へ問い掛けと共に、彼女は両手の黄金と白金の双剣を消滅させ、新たに魔力を集中させていく。魔力が剣の形を描くと同時に現れたのは、真っ赤に彩られた双剣。
鮮血剣。ソレミアが持つ中で最大の威力を持つこの武具は、己の中を流れる赤々とした血を利用して作られた、いわば"生命力"を攻撃力に変換したも同然の代物。
当然、肉体への負担は相当なものであり、使用した後はほぼ確実に貧血を起こすが、その分威力はそれまでのものとは比べ物にならないほど高められている。
強大な敵を打ち倒すためには、命を懸ける覚悟がなくてはならない。仲間も死力を尽くしているというのに、自分だけが安全策を取って危険を回避するなど、出来るはずがないではないか。

「貴方に消え去れ、なんて言わないわ。けれど、私達は負ける訳にはいかないの。彼らを支配から解き放つために!」

宮殿を破壊し尽くす勢いで荒れ狂う光が、ソレミアに直撃する。凄まじい衝撃に彼女は思わず一歩後ずさるが、そこで踏み止まり、再び前へと歩みを進めていく。
この体力では、鮮血剣を振るえるのは一度きりだろう。ここで決めなければ、ここからの戦いを仲間は、一人少なくなった状況で乗り切らなくてはならない。
不退転の決意でパージルクへと接近を果たしたソレミアは、大きく跳躍すると、そのまま重力に従って落下していくと共に、渾身の斬撃を敵の身体目掛けて放つ。
命を奪うことがないよう、急所を外したのはせめてもの慈悲。それでも、これだけの威力の攻撃を諸に受ければ、戦闘不能は間違いないだろう。三人の覚悟か、女帝の意地か。運命の行き着く先は、未来の者にすらも分からない。

>パージルク・ナズグル、ニケ・エタンセル、エクセラ・ノア・アウラ

3ヶ月前 No.385

芋娘 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ロンカ村/村外れ/パメラ・エンドネル】

何とかしてロンカ村まで逃げ帰ったがいいが、ニケはパメラに村を任せ、一人帝国へと向かってしまった。親友に託された思いを果たすべく、彼女は村で奮闘する。
燃え盛る村を目の当たりにした時は絶望に支配されそうになったが……それでも、勝利のために戦いを挑んだニケの覚悟が、折れかけたパメラの心に光を灯した。
多くの犠牲者を出したのは事実。されど、戦いはようやく終結を迎えようとしている。ノエルの死によって、帝国の軍勢は瓦解。村の火の手は消し止められ、壊滅を免れたのだ。
生き残った村人達の歓声が聞こえてくる。勝利を実感したパメラの顔にも、笑顔が浮かんだ。そんな時だ。一人、村の外へと向かう、アランの姿が視界に飛び込んできたのは。
ずっと村を守るために戦っていた彼の生存を知って胸が高鳴ると同時に、どうしてこんな状況にも関わらず、村を出ていこうとしているのかという疑問が浮上してくる。
笑顔が消え、パメラの表情は焦燥へと変わる。ここでアランを止めなければ、二度と会えなくなる……何故かは分からないが、そんな確信が、彼女の足を突き動かしていた。

「アラン! どこさ行ぐだ! 戦いはもう終わっだど!」

最初に出会った時とは、どこか雰囲気の違う気のするアランの背中に、パメラはそう言い放つ。戦いには勝ったが、自分達にはこれからやらなくてはならないことが山積みだ。
まずは、無念にも息絶えてしまった同胞達を弔わなければならないし、その後は再びかつての暮らしを取り戻すため、一生懸命に村の復興に力を注がなくてはならない。
だというのに、彼は何を考えているのだ。もう村に用はないから、自分だけ立ち去るつもりなのか? それとも村が焼かれた責任を、一手に担うつもりなのか?
違う、そんなことは間違っている。うつむいたまま拳を握り締めるパメラ。次の瞬間、前を向いた彼女は、腹の底から響き渡るような大声で、アランに向かって叫んだ。

「わだすはもう、誰もいなぐなるところば見だぐねぇ! だがら行ぐでねぇ! 何があっだのかは知らねえけっど、おまんがいなぐなるんは、わだすがぜってぇ許さんど!」

声を枯らしながらそう叫ぶパメラの瞳には、涙が浮かんでいた。先程の戦いで、彼女はいくつもの命が、知り合いの命が、友人の命が消え去る瞬間を目撃した。
あんな光景を見るのは、もうごめんだ。どんな形であろうと、これ以上友人を失いたくない。折角生き残ったのというのに、二度と会えなくなるだなんて、そんな……
真っ白な大地に涙を落としながら、震える手でアランの右手を両手で握り締めるパメラ。彼がどんな過去を持っていようと、関係はない。ロンカ村は、自分達は、全てを受け入れ、自然と共に暮らす。ただ、それだけのことなのだから。

>アラン・レイクルード
【若干の確ロルがありますが、どうかお許し下さい……】

3ヶ月前 No.386

忠犬 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【王都ロンカリア/大通り→飯店/ロコ】

「その通りであります! 恥ずかしながらこの私、もうお腹が空いて待ち切れないのでありますよ!」

今日はゆっくりご飯が食べられる。身体を密着させながらアンナローズが放った言葉に対し、ロコは飛び跳ねながら彼女の前方へと躍り出て、両手を握りしめながら返答を返す。
そのキラキラと輝いた目からは、もうお腹がペコペコだという気持ちが、嫌というほど伝わってくるだろう。と同時に、ロコの腹から、情けない音が響き渡った。
彼女は一瞬驚いたような顔をした後、恥ずかしそうに頭の後ろに手をやりながら、苦笑いを浮かべる。でも、仕方ないではないか。腹ペコなのだから。

「おお! 美味しそうな匂いがするであります!」

沢山の店が立ち並ぶ大通りで、アンナローズが見つけたのはロンカリアにおいても有数の名店。世界各国の味と、この地に古くから伝わる郷土料理を楽しむことが出来る店だ。
店内から漂ってくる香りが、食欲をそそる。即答だった。アンナローズよりも一足先に店へと足を踏み入れたロコは、彼女のために、二人座れる席を確保する。
椅子に座り、ふうっ、と息を一つ吐いた後、ロコは周囲を見渡す。とても美味しそうな肉だ。滴っている肉汁を見ると、他人のものだというのに、思わず手が伸びてしまいそうになる。
また、腹から情けない音が響いた。あまりに大きな音だったために、近くに座っていた客が思わずこちらに顔を向ける。顔を赤らめながら、もじもじとするロコ。
この時代の人間、特に魔帝軍と激しい戦争を続けるマロニス王国において、魔族の評判がどういうものなのかは、想像の通り。ロコが亜人であることに気付き、怪訝な表情を浮かべる者もいる。
そんな差別も、ロコは底なしの明るさで乗り切ってきた。照れを隠すように笑うロコを見て、彼女が悪であると断言出来る者が、果たしてどこにいようか?

「アンナローズ殿、早くするのでありますよ!」

入口付近にいるアンナローズへ向かって手を振りながら大声を出し、自分の位置を知らせるロコ。とにかく、早く何かを食べたくて仕方がないという様子だ。
肉料理であればなんでも食べることが出来るのだが、たまには違った味も楽しんでみたい。きっとアンナローズなら何か知っているだろう。そこでロコは、今日は彼女のおすすめを頼むことに決めていた。

>アンナローズ・フォン・ホーエンハイム
【あれ? おかしいな、平和だぞ】

3ヶ月前 No.387

災いを呼ぶ黒猫 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【魔帝城/魔大将の間/チェル】

チェルがしばらく猫達と戯れる作業を続けていると、思い切り入口の家具にぶつかりながら、部屋に入ってくる人影が一つ。それが、ネクロニアであると気付くのに、時間は掛からない。
この暗さだ、常人の目ではどこに何があるのかを目視することも難しいだろう。チェルはそんな彼女を気遣ってか、手を軽く振るい、部屋の照明で魔法で火を灯す。
部屋は格段に明るくなり、ようやく全貌が明らかになる。黒色で統一された室内には様々な家具が置かれているが、そのどれもが、チェルが使うものにしては異様に背が高い。
彼女がこのような家具を取り揃えているのは単純な理由で、高い場所が好きであるからだ。亜人であっても、猫としての基本的な性質は変わらないのだろう。

「あら、そう。ご苦労だったわね」

あまり興味がなさ気ではあったが、一応部下が報告にしに来たのだから、ちゃんと聞き入れておかなければならないと、彼女は労いの言葉をネクロニアに掛ける。
マロニスへの攻撃、か。魔帝があの様子では、実行されるのはもうしばらく後になるかも知れない。勿論、準備は早めにしておくことに越したことはないのだが。
用件はそれだけかと思ったが、どうやら違うらしい。彼女の手が伸びていることからして、自分のことを撫でたくてここへやって来たのは丸分かりである。
あのチェルが、と思うかも知れないが、彼女は自らの目的や利益のためであればどんなことでもする人物だ。ネクロニアを傀儡とするため、チェルは彼女の前で限り、"猫になる"。

「ふふ、偉大なる"不死王"ネクロニア様のために、特別に用意しておいたのよ。貴方が満足するまで、ここにいる猫達は好きにしていいわ。それと勿論……私もね? うふふ、うにゃ〜ん♪」

明らかに誘っているとしか思えない動きで、ネクロニアの真下へとわざわざ四足歩行で近付き、そこで両手を彼女の腹の辺りに当てながら、チェルはにっこりと笑って"鳴いた"。
ネクロニアが無類の猫好きであることは知っている。むしろ、だからこそこうしているといっても過言ではない。自分が"幸せ"を提供する限り、彼女は言いなりになってくれる。
なんと簡単なことなのだろう。僅かばかりの時間こんなことに割くだけで、思い通りに動かせる傀儡を生み出せるのだから、チェルは笑いが止まらないだろう。
しばらくネクロニアの手が伸びてこないのを見ると、チェルはそのままの姿勢を保ったまま、少し困ったような表情を浮かべ、上目遣いで相手を覗き込む。まるで、"早く撫でて欲しい"とでもいいたいかのように……

>"不死公"ネクロニア
【!?!?!?!?!?】

3ヶ月前 No.388

世界を駆ける者 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=wv6XOA4ct8

[城塞都市ギリダン/首都奴隷処理施設/【リプレイサー】]

ルーシャは挑発の言葉に激昂し、奇術師目掛けてトドメの一撃を放つ――ところ、紙一重の差で策謀の一撃が優った。奇術師に出来る事は数限られている、だからこそ、その殆どを布石に回した。最後の一手は相棒の方が相応しい、そう判断して。

しかし、戦いとは随分、見通しの悪い代物だ。

放たれるべき鉛玉達は、清太郎の実に単純なミスにより、銃口から顔を出すことはついぞ叶わなかった。連携攻撃の最後は酷く呆気なく失敗に終わった。
だが、奇術師は慌てふためくどころか、寧ろ苦々しい笑みを浮かべるばかり。それもそうだ。何故なら、壁に凭れる奇術師の目が捉えていたのは――

「ああ、なるほどね……。“そういうこと”だった……ってワケだ。」

瓦礫と針と、銃弾と双刃。剥き出しになったクリスタルを壊すには、十分過ぎるラインナップ。いつの間にか防御魔法を喪っていた宝石は、その魔力を存分に吐き出してから、文字通りの灰燼と化した。後にポツンと残されたのは、防衛すべきモノを喪ったルーシャばかり。

納得はすぐに出来た。濃度の高い魔力の流れは空間の歪みを伴って可視化すると言うが、やはりこのクリスタルも例外では無かったらしい。流れ行く方角は、恐らくはこの、城塞都市ギリダンの心臓部。予備のクリスタルでもあったのか、それとも急場の魔力のストック代わりにでもしていたのか……大方、そのようなものだろう。とにかくこれで、奴隷解放の目標は達成されたと見て良いはずだ。

ルーシャは苦悶の声を挙げながらも、やはりというか、いわゆるヒールに徹することはなかった。生命の保障と救出の手段を奇術師と相方へと伝え、最後まで蜘蛛らしく脱出してみせた。

「まあ……互いに、『石』が足りなかった……って、ところか。」

奇術師は布石を打ったは良いが、決定打を打ち込むことは出来なかった。相棒は決め手を十二分に持ってはいたが、結局は画竜点睛を欠くこととなった。蜘蛛には囲いを作る能力はあったが、無慈悲さと戦略眼が足りなかった。
互いに差し違えながらも、致命傷には足りないまま。その果てがこの結末だと云うのなら、或いは。――奇術師は立ち上がりながら、口角を少し傾けた。

「しかし……流石だな、あそこで“撃たない”、なんて。俺には、まあ……無理だったろうな、その判断は。」

皮肉は少々入っている。だが、これは殆どが本心から来る賞賛の言葉。此処で撃てていたならば、死なない程度で彼女を無力化し、時空防衛連盟の下で名目上の“保護”も出来たかも知れない。でも何故か、心の何処かでこの結末に安心している、そんな自分が居た。ならばこれは正しい結末だったのかも知れない。せめて今は、そう思いたい。

と、立ち上がりかけた奇術師だったが、どうにも麻痺毒が抜けきっていないらしかった。少々情けない声を上げながら、またその場にへたり込んでしまった。

「あー……。悪い、先行っててくれ。“向こう”に戻る頃には、幾分かマシになってるだろうし。何なら、そこに転がってる奴らも解放してくれると助かる。」

ルーシャの血が付着したダガーを回収しながら、奇術師は二度目の苦笑をもらした。先程までよりは、麻痺も回復はしているらしい。尤もこの後で悪化するとも判らないが……。兎に角、奇術師の回復を待っていては時間が掛かるのは確かだろう。

躙り寄った壁に身体を預け、奇術師は何処へともなく、ポツリと呟いた。

「出来れば、援護に向かいたいとこだけど……。まあ、“大丈夫”なんだろうな、きっと。今回も。なあ?」

こうしてクリスタルを破壊した。しかし、きっと、まだ敵は健在なのだろう。未来と過去が、至る所で交じり合っている。きっとそれぞれが、己の信念を賭けて戦っているのだろう。

けれど、奇術師には一つ、確信があった。道を見失わない限り、『世界』は必ずや勝利を収める。少なくともこの時代には、信念を宿して戦う者がいる。ならばきっと、彼らは何処までもしぶとく、最後の最後まで戦い尽くしてくれるだろうと。

戻るまでには、まだ時間もある。小さな呟きを残して、奇術師は意識を暗闇に落とした。

>>ルーシャ・コバルト、橋川 清太郎

【絡み、ありがとうごさいました! 後は仲間に託します!】

3ヶ月前 No.389

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【ロンカ村→歴史是正機構/池→時間遡行装置/黄衣なる者&少女】


さてさて、ここまで来ればいいだろうねえ。丁度この辺りは戦闘も終わった様だねえ、この子を置いていくには丁度いい場所だねえ。勿論、この池に沈めるねえ。すぐにこの時代の人間に見つかると面倒だからねえ。
あくまでもこの時代の人間と深く関わってはいけないからねえ、僅かな事でも未来への影響が出るからねえ。この子一人の影響がどこまでになるかは、分からないからねえ。
だからこの子を一度池の深くに沈めないといけないねえ、きっと情報量が多すぎるのと身体への適応で気を失うからねえ。そんな時にこの辺りの人間に見つかりでもしたら面倒だからねえ。
あくまで次のこの組織の介入まではこの子は孤独で過ごさないといけないからねえ、観測者としても時間遡行に巻き込まれた人間としてもねえ。まあ、辛いだろうけど頑張ってもらうしかないねえ。

「さてさて、大事な話をしようねえ。まず一つに君とはお別れだねえ、次に君に必要だと感じたものをあげるねえ、さらに君は次に時間遡行が行われるまで他の存在と関わってはいけないねえ。」

抱きかかえていたこの子を下ろしながらそう告げると、何を言っているのか分からないような顔をしているねえ。まあ唐突だからねえ、てっきりこのまま未来へと帰ると思っていたんじゃないのかねえ。
でも残念ながらこの子は一人、この時代に置いて行かれるんだよねえ。ほら、必要なものは与えるけどそれをどう使うかはこの子が決める事だからねえ。決めるための時間を与えるんだねえ。
さあ、この子の頭に手を乗せるねえ。撫でる、って言うのかねえ。親が子を安心させるためにやるみたいだねえ、この子を産んだ親がそうしたのかは知らないけどねえ。きっと、幸せではないだろうねえ、でも幸せだと感じることは出来るかもしれないねえ、これからはねえ。

「さあ、君に名をあげよう。そうだねえ、では最も興味深かった人間になぞらえてザーシャとしようかねえ。そう、君の名はザーシャだ。姓名はないねえ、君は人間ではなくなるからねえ。」

この子、ザーシャは未だに事態が読み込めていない。ただ自身に着けられた名を何度か反芻しているだけ、今は混乱しているだろうけどねえ、ザーシャは賢い子だと思うからねえ、きっと言われたことは守れるだろうねえ。
じゃあ、始めようか。ザーシャの頭に直接持つ知識全てを送り込む、宇宙の果ても、深淵の叡智も、時空の門も、知る限り全てをザーシャに与えよう。少し人間には耐えがたい痛みかもしれないねえ、でもきっと耐えられるねえ、そう信じているねえ。
ふらっと倒れるザーシャを抱きかかえるねえ、出血がない以上耐えられたと思って良いだろうねえ。さて、気を失ったところで肉体もそうしてしまおうか。丁度良く切ってくれた触手があるからねえ、これを埋め込んでしまえば同じ身体になるねえ。
いや語弊があるねえ、同じ造りの身体になるねえ。一部は触手になるだろうけども、形は人間そのままだろうねえ。頭以外も頭として機能するようになるし、急所も存在しなくなるけどねえ。まさに人間の形をした化け物になるねえ。
きっと痛いだろうから、先に脳に負荷を与えたんだよねえ。触手でザーシャの柔らかい皮膚に穴をあける、ピクリと動く腕が可愛いねえ。まあそれもこの触手を埋め込むまでなんだけどねえ。
こうやって埋め込めば、ほらねえ?彼女の腕を食い破る様に触手が生えるねえ、身体全体の細胞が同じになっていくねえ、すごい痛みを感じているのは痙攣している身体で想像がつくねえ。痛そうだねえ。
まあそれも一時の辛抱だねえ、置き換わってしまえば痛みも感じなくなるからねえ。最後の痛みをじっくり楽しむといいねえ。呼吸も食事も必要ない身体、人間にとってそれは幸運かねえ。不幸だと思うねえ。

「ではでは、ザーシャ。また永い時の後で会おうねえ、まあ君にとって長くても一瞬でしかないけどねえ。おやすみなさい、良い夢を。願わくば、君の生に幸あらんことを。……なんてねえ。」

抱きかかえたザーシャに別れの言葉を告げると、そのまま池に投げ込むねえ。大丈夫、もうザーシャは人間ではないからねえ。腐りも膨れもしないねえ、釣り針に引っ掛からないかが心配だけどねえ。
ザーシャ、君の生が幸せかどうかなんて君が決めるだけだねえ。だからあの実験に使われることが幸せでも、こうして人を辞めて観測者になることが幸せでも構わないねえ。ほら、気まぐれでやったことだからねえ。
まあ、人を知るうちに長い時間と言うのは暇でねえ。付き合ってくれる誰かがいると嬉しいんだよねえ、それも観測者として異なる性質を持った誰かが。だから君は正しいと思ったように育つといいねえ。必要だと思ったことは教えたし、与えた。

だから、また会おうねえ?

――――――――――

さてさて、戻ってきたはいいんだけどねえ。どうやらすぐに次の時間遡行を行うみたいだねえ、これは忙しいねえ。まあ疲れなんてないんだけれどもねえ、流石にそこまで勤勉じゃないからねえ。
そんなような誰かがいるかもしれないからねえ、だからこうして装置の前で休んでいるんだねえ。既にそれなりの人数が次の時間遡行を行っているようだけどねえ、まあ今度は最後にでも行こうかねえ。
ほら、ザーシャと約束こそしたけれど此方の行く時間は決まっているからねえ。それほど変わりはないだろうからねえ、そして見立てが間違ってなければあの子は此方側にはつかないだろうからねえ。彼の言葉に頷いてたからねえ、きっと彼方側だねえ。

「しかしねえ、意外とこの組織は変わり身が早いんだねえ。歴史を変える、それが達成条件のはずなのにねえ。阻止されると見れば次、それだけの余裕があるのかねえ。」

知っているだろうって?知らないねえ、聞かれれば何時も答えるけれどねえ、知っていることしか知らないんだよねえ。全知でも全能でもないからねえ、そういうのは他に任せればいいねえ。
まあそんなわけで小休止だねえ、元々協力者だからねえ、ほら敵の本拠地で彼を止めていたから仕事はしていたと言えると思うけどねえ。え、足りない?酷いねえ、戦いが苦手ってことも加味してほしいねえ。
そうやって忙しい人を
眺める作業をしているねえ、ほら今向かっても現地の相手とお話しするだけだからねえ。不用意に煽る奴が赴いても仕方ないからねえ、分かるならやめろってのは聞かないねえ。
しかし、本当に猟犬に嗅ぎ付けられなかったねえ。本当に偉大なる種族に人間が追い付いたってことだねえ、これは素晴らしい事だねえ。うんうん、面白いねえ。だから、もっと面白くなると嬉しいんだけどねえ?

>>ALL


【エピローグ兼プロローグを投下、育児(放置)】

3ヶ月前 No.390

まあ偉いローマ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_kuu



【ロンカ村/広場/カリギュラ】

 これなるは暴虐皇帝が誇る最大宝具。
 いと高き空にて瞬く月におわす女神は、嘗て王へと寵愛を賜った。
 悪逆と謀略の渦に呑み込まれる彼へと、さながら手を差し伸べるように。
 その巨きなヒトの造りしうねり諸共反転させる狂気の象徴―――それこそが月の光。それこそは、嘗て建国王ロムルスの元に築かれた紅薔薇の国にて伝わる旧き伝承と価値観に在って、すなわち月に愛されたとみなされるものの発露。
 暴力を、鮮血を、悪逆を。ありとあらゆる獣性を発揮させるそれが、ユーフォリアを除いた二名に何らかの効果を与えることは火を見るより明らかなもの。如何に護国の神狐と言えど、銀狼と言えども、月の輝きはそうした者をこそ魅せると相場が決まっている。………されども“それだけ”で終わったのは、偏にその者達の心の固さと難さを示しているとも言えた。

 時に幾度も語ったことだが、カリギュラは既に消滅の結果を免れない。
 戦闘続行のスキルが彼にもたらした継戦能力は、しかしあくまでも命尽き果てるまでだ。狂瀾怒濤は永遠ではなく、暴君として進めば彼の霊基はひとつの運命を導き出す。即ちそれは、短き統治の果ての破滅に他ならぬ。
 その上で、カリギュラは狂気の中に在り、最初の目標として殉ずる死を決めていた。
 そこに一点の曇りもなく、故に女を狙った拳は文字通りの必殺と化して猛り狂う。生半可な防御ならば構わず射貫き、回避ならば逃さず潰す。命を引き換えにした渾身と乾坤、人理に刻まれし英霊かくあるべしと言える至高の一撃だ。

 その一撃の狙いがユーフォリア・インテグラーレだったのは、自らと同じく異物であるが故のこと。

「―――ぉ、お、」

 ………何故かなど決まっている。
 英霊とは座に刻まれた者。この時空、この時代には非ざるもの。
 であるにその同類もまた、この時代には在ってはならぬものだ。
 時の摂理と世界の摂理に、異なる時空の来訪者という存在は真っ向から叛逆している。彼というサーヴァントがローマをわずかでも重ねたあの帝国に殉ずるというならば、暴虐皇帝にとって真っ先に潰すべきものが彼女だったわけだ。
 あるいは自らもきっと例外ではなく。それゆえに、此処に定まった運命の到来に掛かる時間は多くない。


「ぉおおおおおおお………!!!」
「―――ッ、ァァア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ーーーッ!!!」


 地を抉り、天を割る。霊基の格を越えて溢れ暴走する全力を以て繰り出すは皇帝の絶技。
 その焔と衝撃が山城を仕留めたのか仕留め切れていないのか、気にする余地など無かった。
 同時に、仮に後者であれば神狐が何らかの手を打たない道理はない―――そのことを証明するように迫る焔の渦、天を衝く焔は護り人の掲げる聖なる灯火。祈りと誇りを薪とくべ、獣であれども神成るもの故月に酔う。
 それは一度かたちを変えれば、進み、進み続けるカリギュラの背後より迫り、大口を開けて襲い来る。

 故に結末はもう見えている。これを防ぐにはあらゆる手がひとつ足りぬ。
 それでも尚進む。何が彼をそうさせるのか、何がこの男をそうさせるのか。
 それはもはや語り尽くしたが故に、彼に微笑む幸運の姿はなかった。
 暴虐皇帝カリギュラの、此処とは異なる人理の英霊の暴威がいま一度突き進み、拳と光が相対する。

 光は、護する者の光だ。
 拳を届かせる前に交差した一矢………否、一と言わず百、百と言わず千。
 それは天命の運び手となるか。前進を最後まで選び続けるカリギュラを縫い止めるより前に、その拳が彼女を弾き飛ばし………そして、狙いは一切不変のまま、光る矢は彼を串刺しにし続け、迫る焔は彼を食い殺した。
 外套が焼け落ちる。暴君の短き現界/統治に終わりが来る。
 脚が消える。残るは腕と身体のみ、されど崩壊の間際でなお彼は迫る。

 腕だけあるならまだ届く。
 残り火のような弱い炎だが、その腕に乗ったそれは間違いなくユーフォリアを狙い定めていた。
 運命に魅入られし者のすべて、ただ安らかに息絶えよと吼え、猛り、狂い、そして―――。


「―――おお、おお! 美しきかな、月におわす者………女神を、騙りて語る、銀の狼………」
「余の、運命は来たれり………!」


 ―――その腕を前に伸ばすよりも遥かに速く、彼は心の臓を撃ち貫かれた。

 ………なんという皮肉、なんという奇怪さ、なんという巡り合わせ。
    彼の心臓を撃ち貫いたものは、月に吼える銀の狼。
    、  、   、 アルテミス
 天より月を背に放たれしは月女神の一矢。月下に瞬く一筋の煌きが、瞬き一つせぬ間に彼の霊核を完璧に射貫き、エーテルの肉体を完璧に粉砕した。度重なる攻撃を前にして、その命は此処に尽き果てるのだ。
   、   、   、 ・・・・・・・・・
 その狼が解き放った矢は、かつて彼を狂わせた月の象徴を思わせる。
 正確にはそうではない。神性の欠片もない。だがそれでも、麗しき銀狼には面影があった。
 ………その一撃が彼の留めとなったのならば、なるほど、奇妙な縁もあるというものだ。


「余は、捧げよう。仮初の、余を。
 さらば。悪逆なれども国を負う者。さらば。禁を破れども定めに打ち克つ者」

「―――大義、である―――」


 消滅の間際、彼が狂化の影響下にあったか。
 あるいは幸運の恩恵により、明確に言葉を発していたのかどうかは定かではない。
 紫炎と閃光に飲み込まれながら、彼は空に浮かび、消える月へとその腕を掲げていた。金色の光子を散らし、英霊カリギュラはその霊基を完璧に消滅させて行く―――皇帝カリギュラ、狂戦士のサーヴァントがこの世界より消え去ったことの証である。

 ………後には何も遺さずとも、彼はただ此度の召喚において一つ事に殉じ切った。
    落日を待つのみの敗者に、国を負い悪逆を演じた何某に、されど栄光と安らぎあれと願うように。
    狂戦士は言の葉を持たぬ者。彼の内側、この地に降りた英霊の感情など、明かされることはない。


 ―――英霊カリギュラ、消滅。
    紅金の暴虐皇帝、月下にて吼え猛る彼が最後に思った者は、やはり遠きローマである。


>山城瑤子、イアン・ガグンラーズ、ユーフォリア・インテグラーレ


【お相手ありがとうございましたm(._.)m】

3ヶ月前 No.391

“塵殺剣” @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_kuu

【兵舎/ニア】

 時に。
 レプティラが隠そうともしない驚嘆の声を上げても、彼女は顔色一つ変えなかった。
 無論、ニアがその態度が何を意味するか分かっていない白痴というわけではない。それが意味するものをレプティラという魔将の人柄と合わせて考えれば分からないはずはないし、その上で彼女はそこには大した反応を見せなかった。
 冗談っぽく口を開くでもないし、機嫌を悪くするでもない。“そういうものか”と受け止めるかのように………されども受け止めて何を考慮したのかについては一切彼女は口を開かない。必要のないことを宣告者たちは口にしないが、彼女はその中でもその傾向が顕著だった。ならば彼女に対しての問いかけは、逆に必要だったことであるとも言えるわけで―――。

「そうではない。誤解させた。
 おまえの勤勉さは知っているし、賞賛されて然るべきなのだろうが………そことは別の話でな」
「元々この役目に就いていた者は居なかったのか。そうとも考えられる物言いだったので聞いておくが。
 人手不足になるほどではないと思っていたが、もしそうなら陛下か黒猫のが杜撰ということになる」

 故に彼女が明確に意識を巡らせた先は、レプティラが“やらなければいけないこと”と口にしていた部分だ。
 魔将軍の仕事ではない―――そう、そこが問題であると女は淡々と言葉を進めた。彼女が仮令戦闘能力に秀でぬ後方支援の役回りを望んでいるとしても、大抵の組織、生態系というものには役割がある。歯車の部品のように、それぞれの役割を担うものがある。
 彼女からすれば、レプティラはそこに嵌るべき者ではないのだ。
 無論それでも、欠けた部品を補う行動を彼女が嫌うわけではない。内側はどうあれ、言葉の内容を聞くに限れば彼女はそれなりに蛇の長を労うようにも見えた。あくまでも見えた、だ。
 実際がどうなのかは敢えて此処では語るまい。それが事実であるかどうかも、だ。


「ただ? ………歯切れが悪いな」
「だが、まあそんなところだろう」


 そして、彼女の歯切れの悪さに向けた鋭い視線もまた同じ。
 咎めるでもなく、追求するでもない。彼女は事実を事実と乗せて口にしているだけだ。
 この世界にはないものであるが、もしも機械技術が発展しているならば、女のそれは氷の計算機じみたものを感じさせることだろう。その内側に秘めるものの是非について、双方ともに自覚する“付き合いの浅い”ニアとレプティラではお互いを把握し切れない。
 表層的な部分は分かるだろう。彼女は“陛下”への忠誠がないわけではないが、配慮をする女ではない。

 ………それは、むろんニアから見たレプティラもそうだ。
 基本的に低姿勢で穏健で、勤勉であるが将軍の器ではない―――それがレプティラという魔将を短文で評価した場合の内容に当たる。かといって、こうした存在が魔将軍の中でどれほど貴重であるかは語るでもない。真っ当に部下とコミュニケーションを取り、指揮が出来、同時に上層部内での潤滑油になれる者というのはそう多くないのだ。彼女の胃については考慮された話ではないが。
 つまり何が言いたいのかと言えば、彼女ほど望みを測りにくい者は居ない。リュドミラやフロレにフィラッサほど分かりやすい者はいないが、彼女ほど(ニアからすれば)真意を測りにくい相手はそうそう居なかった。

 ―――閑話休題。

「そうか。………由々しき問題ではある。環境の違いとなれば、手っ取り速いのは地形そのものの組み替えだろうが、となると並大抵の手間と魔術では済むまいし、荒唐無稽な話でもある」
「期待に応えられるかは分からんが、打診はしておこう。
 どのみち謁見と報告はする。その序でと言うと悪いが、必要なことではあるだろうさ」

 兵舎の話に戻ると、彼女曰く不調は全体の二割。そこから更に二割、根本からの改善の余地が在るとのことだ。
 たかが二割と笑い飛ばすものは、凡そ軍略を識るものの中には居まい。三割を越えた兵の損耗は事実上の軍の壊滅に等しい、それだけでも兵舎自体に何らかの問題があることは明らかだ。
 報告と吟味の必要は間違いなくある。これはそうした部類の話だ。
 そうして彼女は要件が済んだと言わんばかりに踵を返そうとして、その時にふと立ち止まり―――。


「そうだ。別に、答えられないなら、答えられないで構わないが」
「蛇の。おまえは他の者とは少し気風が違う。例外は龍炎のくらいか。………そのおまえが将軍である理由だ」


 先程までの言葉とは少し違った、本気で“ついでの話”とでも言わんばかりの内容を口にした。

 ………要するところに、おまえがここで将軍として他魔族の上に立つ理由はなんだと聞いているわけだが。
    言い方からして、分からなくとも追求する気配はない。本当に、ただの序でだ。


>レプティラ

3ヶ月前 No.392

ハザマ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_kuu

【時空防衛連盟本部/資料室/ハザマ】

 結局、彼はいち早く古代より現代の時空防衛連盟本部へと舞い戻る羽目になった。
 時空遡行装置を伝って彼が戻って来たのは、状況の趨勢が決したころ―――狂機クラスターとの交戦後だ。目ぼしい相手に恵まれることなく、序でに標的らしい標的として定めていた魔道帝国首都の終わりを察知した時点で、あの時代に留まる意味も興味もなくなってしまった。そうなれば、彼としてはもう此処に戻って来るより他にない。
 最も、ハザマとしては先に戻って来て調べておきたいこともあったのだ。
 ほとんどの人間が出払い、任務に出た―――序でに聞くところによると中世とやらに再び干渉が始まったらしい―――今、資料室に居るのは彼しかいない。最も居たところで見られて困るようなことはしない。此処はどうでもいい部分であった。

「(………おや、此処も違う。なるほど、これが時空修復ですか。
  いやはや、ひどいものだ! 歴史の連続性も何もあったものではない、手を出した時点で既に本来の理がどのようなものだったか分かったものではなくなるのだから。いったい時空移動などという胡乱な技術は何処に行き着くのでしょうねェ)」

 そのハザマが調べているのは二つの内容だ。自身の内側に収めたデータと現在のデータの比較だ。
 出奔前にハザマは資料室から概ねの情報を抜き取り、魔道書である自分の肉体に術式として保存、固着させている。これは即ち、修正前の歴史について彼は十分な見識を持ち、同時に修正後の相違点を素早く見つけ出すことが出来るという事実に他ならない。
 調べて見ればご覧の有り様。ざっと小さなところから大きなところまで相違点が無数にある。
 どうやらあの村、男衆の半分程度は自分とあの狂機の所為で無惨に死んだというのに、修正後の歴史には残っていたらしい。その程度ならば立て直せるということならば、修正前は余程なことでもあったということだろう。

 ―――歴史とは勝者が作る。なるほど、正論にして皮肉ではないか。

 ………序でに言うと、ハザマにとっての本題はそこではない。
 本題とは二つ目の内容。彼が今回、資料室の端末を利用し、巧妙に偽装、発見のリスクをゼロにした上で地球軍からかすめ取った資料………今まで属していた軍人の記録と履歴こそが、今のハザマにとっては一番の興味に値する内容だと言える。

 地球軍少尉、消息不明になっているとある軍人。
 戦争が無いことに対して不満を漏らしていたというその事実だけでも、十分な危険人物だ。凡そ正気の沙汰ではなかったのだろうが、厄介ごとを起こさないだけの地頭と立ち回りはしていたらしい。
 消息不明になってから数年でアレだけの軍備を整えたのが、その良い証拠だ。

「(ヘルガ・アポザンスキー、………地球軍の軍人と。
  良くもこんな危険思想の人間を放置して、とは思いますが―――なるほど世渡り上手か狂人であるらしい。つーかこの世界政府ってのは相当ザルと見ましたね! なんか揺すれるネタでも後で探ってバラ撒いてやりましょうか、中々愉快なことになりそうですし)」

「(さてさて思考を戻して………類は友を呼ぶというヤツですか、クラスターとやらが靡くのも頷ける。
  さぞ自分の計画と思想に、それはもう鋼のような自信と強固なものがあるのでしょう、この女は)」

 調べれば調べるだけ面白い内容ではある。
 この思想がどれだけ歪んだのか知らないが、実に夢見がちな人間ではあるようだ。
 ―――ある意味ハズレである意味アタリ。どちらとも言い難い。自分に“アレ”を教えた女も、そう言えば結構夢見がちな節があった。だが、こうした方向ではない。そういう点では少し期待ハズレだが、膨れ上がった妄執の是非には興味がある。

 それを、この手でぐちゃぐちゃに崩して乱して犯してやりたい。
 その時にどんな顔をするだろうか。
 どのような感情を見せるだろうか。
 どんな■■を感じてくれるのだろうか。

 ああ、そしてその時“私”は―――。

「(―――ま、今のところ狸の皮算用)」
「(後で此処の人間の名簿でも探ってみましょうかね。まだ愉しむ余地は十分にある。
  この“ヘルガ様”に焦点を絞って考えるにはまだ早い。そう、まだね)」

 ―――思考を片隅に置き、毒蛇は糸のようなその細い目を少し開いて嘲笑う。

 なにを嘲笑ったのかは、彼のみが知っている。

>(ALL)

3ヶ月前 No.393

親の七光り @prismriver☆kFuUk0otHg5u ★TZkXkdft22_LPw

【城塞都市ギリダン/正紋/エスメラルダ・ナズグル】

ドライツが正門を吹き飛ばしたことを謝罪しているが、エスメラルダにとってはもうそんなことどうでもよかった。とにかくこの場をどうやってしのぐかを考えるだけで精一杯なので、そこまで頭がまわらないのだ。

あまつさえ泣いていることを相手は感動したと勘違いしている始末だ。やっていられない。こんな状況で感動するやつがどこにいる。敵が来ることは最初から仕方ないと思っていたが、まさかこんな奴だとは思っていなかった。適当なところで切り上げて逃げた方がいいだろう。刀を構えながら、飛びかかる結晶針を受け止める。続く刃もなんとか刀で防ぐが、あまりの重さにエスメラルダは吹っ飛んで尻餅をついた。怯えた声をあげながらも立ち上がるが、そろそろ限界は近いだろう。

この期に及んで乱入してきた者すらいる。勝ち目はほとんどなくなったと見ていい。既に逃げ腰になっているエスメラルダは、刀を持っている方とは逆の左手を前に出して、敵に近づくなといったポーズを取っている。

「こ、今回は勝ちを譲ってあげるわ。だからその、終わりにしましょう? 終わりにしてよ! というか、終わりにするわ!」

ここから戦いが本格化するとかそういうことはどうでもよく、エスメラルダはただ生きるためにそれを選んだ。言い終わる頃にはもう後ろを振り返って逃げている。彼らからすれば、ただ敵が逃げたというだけかもしれないが、これは歴史にとってはとても重要なことだ。なにせ、彼女は本来の歴史においては、魔道帝国のロンカ村襲撃において命を落としているのだから。それでも時空断裂が起きなかったということは、エスメラルダの生死は、歴史に重大な影響を及ぼすことではなかったということである。

>>ドライツ、秋月

【来ていただいたばかりなのにすみません。中世編が始まるので撤退します。お相手ありがとうございました】

3ヶ月前 No.394

プライドへの大災厄 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

3ヶ月前 No.395

"不死公" @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【魔帝城/魔大将の間/"不死公"ネクロニア】

「あぁチェル様、お気遣いありがとうございます、いやはや、人間を辞めてしばらく経ちますが、こういう所は人間のままなのは何とも」

自分を気遣うようにこの暗い部屋の照明をつけて手招きしてきたチェルに対してネクロニアは咄嗟に頭を下げて感謝の言葉を述べる。
とは言え、高い家具が大量にある上に、足元もたまに猫が居るために踏まないように気をつけつつ、暗い場所を歩くとなると、ネクロニアの先ほどの失態は、ある意味しょうがない事であるとは言える。
だからこそか、あるいは普段のネクロニアがあまりにもチェルにとって都合のいい存在であるためか、ほとんど怒られる事も無く、労いの言葉を掛けられる。

さて……そして、ネクロニアの禁断症状とも言える手つきにチェルは気づいたらしく、口を開く直前にネクロニアはごくりと唾を飲む。
チェルの言葉を一句一句聞き逃さないように必死に聞く、彼女にとってはそれぐらい大事な物だから、そしてしっかり聞いたからこそ、彼女は一気に、息を荒げる。

「あぁっ! チェル様いけません、私と貴方は立場が、あっ、あっ……」

理性が蒸発しかけるが、それでも魔将軍と言う立場がある手前、明らかに動揺と我慢が滲み出ている言動でチェルの鳴き声に反応した。
さて、彼女にはこの世で大好きな物が二つある、一つは自分が褒められる事だ、特に、●●様なんて誰にでも使われるような敬称ではなく、折角名乗っている不死公や、自分の特徴通りの、つまり、自分にしか与えられないような名前で呼ばれる事を何よりも好む、この場合"不死王"がそれに当たる。

そしてもう一つは、可愛い物だ。
さらにさらに言うならば、この世で最も可愛いのは猫だ。 少し前に犬っぽい子に手を出してドン引きされた挙句裏切られたと言うのも関係してそうな気がするが、とにかく猫なのだ。

つまりは、目の前のチェルと言う人物は、ネクロニアと言う人物の欲望を全て叶えてくれる人物である。
しかし何時も通り、ネクロニアは最初は手を出すのを渋る、幾ら何でも、元々は魔道帝国の将軍と言う高貴な身分であったが故に。

……まぁ、チェルに上目遣いで覗き込まれよう物なら。 息を荒げるどころか少し涎を垂らし、それをすぐにふき取って。

「で、では失礼して……おぉ、おぉおおお……ああぁあああ! パージルク様、私は今、幸せです!!」

理性が溶けた。
最初は頭を撫でるに留めようとしていたが、そこまでやってしまえばもう収まりは効かず、彼女はチェルに抱きついて、顔を擦り付ける。 それはまさしく、猫が嫌がっているかどうか気にせずベタベタする人間らしい物。

そう、魔族側とは言え、元々は人間で、性格的にも温厚なほうであるはずのネクロニアが、過激な思想を持つチェルを支持するのは、文字通りチェルに"骨抜き"にされているからだ。
この感覚が忘れられないがために、彼女は思想が過激であると分かりながらチェルと共に歩んでいるのだ、もう、完全にゾッコンと言っても良い。
しかし、そこに本来の愛などあるはずが無く、チェルからすれば、ネクロニアは便利な利用できる奴程度の価値しかないのは間違いなく、精々、他の反抗的な将軍よりは生かす価値がある、そのぐらいの違いしかない。

まぁ、だとしても死体であるために青いはずの顔が赤く染めて、チェルを撫で、抱きつき、頬ずりするネクロニアは、とても幸せそうだ。

>チェル


【時系列的にほぼ全滅している古代勢、あの世で絶句。 なぜ唯一無二の魔道帝国将軍の生き残りがこれなのか】

3ヶ月前 No.396

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

3ヶ月前 No.397

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【城塞都市ギリダン→転移/正門/ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン】


散りばめた結晶針を刀で弾き、結晶刃こそ受け止めきれずに吹っ飛ばされるエスメラルダ。その技は彼から見れば美しく思えたのだろう、エスメラルダの必死な心情など全く知らずに。
満足げに笑みを浮かべ、次なる派手さの為に再び結晶刃に左手を翳そうとした時だ。エスメラルダは手の平をこちらに見せつけている、彼は停戦の合図かと思い仁王立ちで言葉を待つ。
勝ちを譲ると、そう言った、その後三回の終了宣言と同時に戦場からの離脱を図る。何故そんなに急いているのか、彼は疑問に思ったが吹き飛んだ正門越しに見える宮殿には戦闘の跡が見えた。
宮殿と言えばこの領を治める、エスメラルダの言葉を借りるならば女帝が住む場所。そこが戦火に包まれているのならば彼女が急いて戦場を離れた理由も見当がつく、親の危機を救うために向かったのだと。

「……成程、勝ちこそ譲られてしまったがこれは私の負けではないか!うむ!親を放って放蕩している馬鹿息子に比べれば、エスメラルダは親孝行であるなあ!派手さでは勝っていても、人間の出来で負けてしまっていたか!はーっはっはっは!!」

大笑いと同時に門の上を通過した何らかの弾を巨大な花火と共に掻き消す、極彩色の花火は正門を輝かしく照らす。敵の兵は先までの狂戦士ぶりは何処へやら、正気を取り戻したかのように右往左往している。
それに追撃を駆けるほど此方側の軍も切羽詰まっている様子ではなく敵兵であった者たちを保護している、そんな中で一つ問題があるとすればゴーレムの存在だ。嘗ての味方の兵など関係なしに、此方に迫るそれ。
であるならばと、両の腕を開きローブをはためかせる。彼の頭上に浮かぶは光の弾、周囲に輝きの粒子や煌めく結晶を撒き散らしながら大きさを増す光源。その光は彼の身長ほどの大きさにまで膨らむと、細い光線を周囲のゴーレムに向け発射する。
煌めく糸のような輝きは空中を縫い、ゴーレムへと襲い掛かる。非殺傷である故ゴーレムを破壊するに至らないが、吹き飛ばし行動を阻害することは可能である。何度も、何度もゴーレムの巨体を細き光線で吹き飛ばし続ける。

「うむ!このゴーレムは任せよ!敵の兵は何らかの洗脳を受けていたようだ、君達ならば救いだせるだろう!その援護は任せよ!……ええい!タイミングが悪い!帰還には早すぎる!」

此方側の軍に声を掛けるが、同時に彼の身体が粒子状に虚空へと消えていく。本来ならば時空の狭間に吸い込まれるのだろうが、運が良かったのかその前兆
が見えている様だ。
光線を放つスピードを上げるが、それでも頑丈さと数の双方に優れるゴーレムをすぐに停止できるほどではない。ふと、彼は思いついたかのように声を挙げる。そう、それは先程弾を打ち込んだ乱入者に向けてだ。

「よし!先の砲弾を撃ったものよ!聞こえているか!聞こえていなくとも頼んだぞ!この者たちをゴーレムから守ってやってくれ!私はもうここに居られぬでな!情けない限りだ!うむ!戦いに参入する意気込みさえあれば任せられる!頼んだぞ!はーっはっはっは!」

彼は高笑いしながら宙に現れた時空の狭間へ吸い込まれていった、彼はまた別の世界で派手さを競うのか、それともこのまま元の世界に帰ってしまうのか。それは彼にしか分からないだろう。
しかし彼にどうするのかを聞けば、彼はこう答えるだろう。
―――私は派手さを極めるだけだ!はーっはっはっは!

>>(エスメラルダ・ナズクル 照月)


【此方も併せて撤退させて頂きます、御相手ありがとうございました!】

3ヶ月前 No.398

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【マロニス城/騎士団詰所/ザーシャ】


頭を乱暴に掻きながら詰所の扉を蹴りで抉じ開ける、俺は今非常に不機嫌である。その理由は多岐にわたる、まず一つ目に魔族じゃねえっつってんのに魔族だと言われ飯屋から追い出された。味何てもう分かんねえけど美味そうだから食ってみたかった、だけどそれが駄目になった。
そして二つ目に魔族じゃねえつってんのにガキに石を投げられた、んでその親は謝るどころか怯えた目で一目散に子供を連れて逃げていきやがった。ふざけんじゃねえよ、痛くねえけど石投げられていい気分になるわけあるか。
以上そんな理由で俺は不機嫌だ、傭兵としてこの王国に手を貸すことを決めたがこんなんじゃやってらんねえ。正直に言えば騎士たちの目も気に入らねえ、共に戦う仲間だとか抜かしながら目には怯えや敵対心が見え見えなんだよ。まあそうじゃねえ奴も居んだけど。
なのに何で戻ってきたかと言われればここ以外じゃ寝泊まり何て出来ねえから、宿屋に魔族は泊めらんねえってよ。この城に入ってからも傭兵証見せなきゃ何度不審者として殺されそうになったか、人様が魔族の為に戦ってやるってのにこんな態度されりゃあやる気なんざ出る訳ねえ。
詰所ん中の適当な椅子にでも座ろうかと思ったが、丁度虚勢を張って騎士様方を励ましている騎士団長……いや騎士団長代理がいる。憂さ晴らしにはあんまり面白くなさそうだが、ちょいと遊んでやるか。

「おうおう、騎士団長様ぁ?ああいや、騎士団長代理様でしたっけぇ?俺ぁどうやら魔族らしいんでその辺分かんねえっすよねえ?」

詰所の椅子を騎士団長代理の横において、背凭れに顎を乗せあからさまに見下す。勿論感じの悪い笑みも忘れねえ。相手からすれば貴重な戦力様、詰所のすっかすかの現状を見れば強く出れるのはどっちかは明白だ。
魔族憎しは結構結構、それが戦意高揚になるなら万々歳。でもそうやってりゃあ貴重な戦力も逃がしちまうってもんだろう、ほら現に俺はこの現状にうんざりしているわけ。

「酷いんすよねえ、飯屋にも入れねえわ子供にゃ嫌われるわ。こうやって頼りねえ騎士の戦力の足しになる為に傭兵やってんのになあ?そこんところどう思うよ、騎士団長代理殿ぉ?」

鞘に入れたままの大曲剣の柄を指でくるくる回しながら、騎士団長代理に声を掛ける。上から覗き込むようにして返答を待つ、優等生の騎士団団長代理は当たり障りのねえことでも言うんじゃねえのかねえ。
ほら、戦力が足りないのは重々承知の様だしなあ。騎士は減って、騎士団長は行方不明。こんな中頑張っている騎士団長代理には悪いがどうやっても現状じゃあ打開は無理だなあ、まあ無理じゃないのを俺は知ってるから気楽なんだけどな。
誰が好き好んで死にに行くような傭兵をやるかってんだ、あの糞みてえな育ての親と感謝はしてるが殴りてえくらいの拾いの親を殴る為に決まってんだろ。時間遡行とやらで介入は嘘がなければすぐに迫っているからなあ。
ま、それまでは嫌になる環境でも渋々頑張ってやるしかねえなあ。はあ、迂闊に触手なんざ出すんじゃなかった。あれのせいで今の今まで魔族扱いだ、糞が。

>>ゲイル・べネルド


【すごく感じが悪いですが絡ませて頂きます!よろしくお願いします!】

3ヶ月前 No.399

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

3ヶ月前 No.400


切替: メイン記事(1216) サブ記事 (266) ページ: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13

 
 
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▲ページ上 >>
★必ず ローカルルールメビウスリングのルール をご覧ください。
 ▼スタンプ▲スタンプ
※スタンプはいちどに 3個 まで使えます  ×閉じる
注…進行相談・設定はサブ記事をご利用ください(テスト中)。