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【ALL】Chrono Crisis【戦闘/シリアス】

 ( なりきり掲示板(フリー) )
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時を巡る旅路 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_UxJ

進化と共に新たなる技術を生み出し、その活動域を地球全体へと広げていった人類。
彼らは常に自らの生活を豊かにすることを考え、革新的な発明を世へ送り出し続けてきた。
留まることを知らない人類の科学力は、やがて禁断の領域へと足を踏み入れていくこととなる。

西暦6990年、それまでの常識を、それどころか世界の法則さえも歪めてしまうような大発見が人類にもたらされた。
時間遡行……俗に言う"タイムマシン"を駆り、現在と過去や未来を繋ぐ手段。人は、その方法を確立した。
今まで文献を漁ることでしか様子を知ることの出来なかった過去と、思いを馳せることしか出来なかった未来。
それらへの道が開かれたことは、確かに衝撃的ではあったが、同時に新たなる問題も浮上することとなった。

タイムパラドックス。未来からやってきた人間が過去に干渉することによって起こり得る、歴史の改変。
たった一つの筋を辿るように紡がれてきた歴史に矛盾を生じさせてしまえば、世界そのものの崩壊を招きかねない。
不測の事態が発生することを恐れた時の世界政府は、直ぐ様会議を開き、"時間遡行法"を制定。
資格を持たぬ者の時間遡行を禁ずると共に、時間遡行中の行動に厳しい制約を設け、歴史の改変を未然に防ごうとした。
―――しかし、全ての人間が、その決定を黙って受け入れた訳ではない。何せ、これは空前絶後の大発見。
上手く時間遡行を利用すれば、世界を思い通りに操ることも可能……そんな邪な考えを持った人間が現れるのは、当然の流れであったのだろう。

時間遡行法の制定から数年が経過したある日、歴史の保護を目的に設立された組織、「時空防衛連盟」が、大規模な時空振動を観測する。
遙か数千年前より発せられし、時空の歪み。それは紛れもなく、今この瞬間に、"歴史の改変"が実行されていることを示していた。
改変を止めることが出来なければ、タイムパラドックスの連続によって、やがて世界は消滅してしまう。
時空振動の余波によって、世界線の境界そのものが揺らぐ中、時空防衛連盟の面々は、人類の歴史を護るための戦いに挑む。



【クリックありがとうございます。この物語の舞台は時間遡行技術が確立された未来と、能力のある者のみが人権を得ることの出来る古代、人類と魔族が熾烈な戦いを繰り広げる中世という三つの異なる時代です。歴史是正機構は禁忌である歴史の改変を実行しようとしています。彼らの思惑を阻止するべく行動する時空防衛連盟の面々と、何としてでも歴史を書き換えようとする歴史是正機構、更にはそんな両組織の戦いに巻き込まれた各時代の人々の姿を描くのが、このスレッドの主な目的です。

オリキャラでの参加は勿論、版権作品をあまり知らないオリなり民の方も歓迎ですので、オリなり民の方も、どうぞご遠慮なくご参加下さい。
なりフリー民とオリなり民、互いに協力しあうことで、よりよきスレを目指しましょう。

なお、合図があるまで書き込みは禁止ですので、ご注意下さい。まずはじめに、サブ記事の方を確認頂くようにお願いします。】

メモ2018/07/13 02:23 : 風神少女☆XQ6phrzcKMtR @infernus★F7MrHN45jw_ouC

―――現在は、最終章です―――


最終章:「Chrono Crisis」

激しい戦いの末、歴史是正機構に打ち勝った時空防衛連盟。晴れて時空を護り抜くことに成功したかに思われた矢先、それは始まりを告げた。

まるで世界そのものが崩壊するかの如く、ひび割れていく空。その向こうから現れしは、正しき歴史を紡ぐ使者。

彼らは、人類の捻じ曲げた歴史を修正するべく、この世へと降臨した。これこそが、時空断裂。積み重なった歪みが、限界に達した瞬間であった。

改変に改変を重ねた今の世界が正史に塗り潰されれば、そこに生きる者達は"もしも"の存在と化してしまい、歴史の闇へと葬り去られてしまう。

それは即ち、世界の崩壊といっても過言ではないだろう。時空断裂による時間の連続性消失を防ぐためには、彼らに戦いを挑み、勝利するしかない。

人類が罪を犯したのは、疑いようのない事実。歴史を変えるなどという禁忌を犯した種族には、当然の報いであるかも知れないが……そんな人類も、生きている。

生けとし生ける者、全ての願いは、今日を、明日を生きること。黙って死を受け入れるなどということが、出来るはずがない。生きたい、と願う限り。

これは、明日を手に入れるための戦い。自らの存在を世界線に、時空に刻み付けるため、時空防衛連盟は次元を超える。


ルール&プロフィール:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-1#a

役職一覧:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-2#a

世界観・用語解説:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-3#a

各陣営の目的:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-4#a

最終章のロケーション:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-286#a


・現在イベントのあるロケーション

狭間世界:最終決戦

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Futo・Volde @nonoji2002 ★7KU5qNWZJU_D9v

【ロンカ村/牧場/アベリィ・シルバラード】

平穏を、静寂を、かき乱す声が1つ。降りしきる雪とこの雪原は音を静かに飲み込んで行くものだと思っていたが、どうやらそうとは限らないようだ。ここは牧場。戦火とは無縁と思っていたが、一度上がった戦火の烽火は簡単には立ち消えないのだろう。

「丁度良かった、体が鈍ってたところだから」

声のする方を振り向くとともに、アベリィは自身の四肢に向かってワイヤーのような物が飛んできているのを確認すると、柵を思い切り蹴飛ばして、大きく一度上に跳躍しながら、こちら目がけて飛んでくるワイヤーを自前のナイフで1つ1つ切断しながら、射程距離を確保するために少し相手から距離を取って、雪の上へと着地する。雪を踏むときにするあの独特の音。いつ聞いても心地よい。でも、今はそんな詩人のように、感傷に浸ってる場合ではない。

「家畜だって大切な命なんだから、もう少し命を大事にした方が良いんじゃない?」

改めて、自身を襲ってきた人物を確認する。
黒いリボンに結われたオレンジ色の長い髪。頭に被るのは大きいリボンのついたシルクハット。貴族らしい容姿はあんまり戦闘向きとは言えない気がするのだが、まあ人それぞれということで。
それよりも気になるのは、彼女が口にしたサンドリンガム朝のこと。記憶が正しければ、古代において、かつて国家を築いていた領主の1人の名前が確かそんな名前だったような。だが、同時に魔道帝国がその一族を処刑していたようにも記憶している。そう考えれば、彼女はその生き残り、ということになるのだが……。

しかしアベリィにとって、最も重要なのは見た目でも、サンドリンガム朝の事でもなく、アルクールの命に対する見方だ。
アベリィは自身に絡みつくワイヤーを躱したが、この牧場に放たれている動物はそのままこのワイヤーに巻き込まれた。身動きを封じられたものはまだ可愛い物で、無残にもワイヤーによって切り裂かれて絶命したものまで居る始末。いくら家畜で、いずれ食料として殺されてしまうとはいえ、ここまで育て上げた村人はこの家畜たちに愛情を注いでいたはず。それをこんな無残な形にしてしまうとは。

「この時代に銃ってあるのかしら?」

これは純粋な疑問。とは言え、未来から古代に干渉している組織が居る今、銃の1つや2つは当たり前のように使われていてもおかしくはないのかもしれない。
アベリィは慣れた手つきで、愛銃のカービンライフルGRを構えれば、照準をアルクールに合わせて、トリガーを引く。
1マガジンを使い切る勢いで、アベリィはトリガーを引き続け、ダダダダダと、銃声は止むことなく、マズルからは煙と光が絶えず放たれ、同時に火薬の匂いが一面に漂い、空になった薬莢が雪の上へと散らばる。普通ならば、“蜂の巣”になるわけだが、果たして。

>アルクール・サンドリンガム

6ヶ月前 No.201

クランの猛犬 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【いえいえーお気つかいなくーこっちも煽ってますが】

【ロンカ村/養鶏所/ランサー】

 初撃は横に反れて外す。
 その感触は布の類いではない、何の皮で鞣したのかはランサーは知るよしもない。
 すると相手は意味深な事を紡いで積もっていた粉雪を舞わせる相手と、一方的な睨み合いを開始する。
 かったるいとランサーは思う。
 相手は魔術師だ、手の内を明かさない限り下手に突っ込んだら先程のように首を掻き取られる。
 魔槍を強く握りしめ、腰を沈めて殺意だけを放ちながら待機する暇など相手には与えなかった。
 魔力の奔流を肌で感じつつ小竜巻と再び風の刃が襲いかかる。
「……つまりアンタは嬢ちゃん使って、超越者気取りしたいだけだろう、馬鹿馬鹿しい」
 そう啖呵を切る。確かに太陽神の血を引くのだが、英雄の基礎は人から妙技は神に達した者から教わったランサーからしてみればそれは自分に向けられた言葉ではない。
 むしろ該当するのは――――――
 絶望と等しい記憶が甦り、ランサーは一瞬だけ顔色が渋くなった。
(まったく、辛気臭せえ事を思い出しちまったな)
 自分らしくないと奮い立たせ、情けない顔を相手に見せてしまったと反省しつつ足を蹴りあげ前進する。
 濃密な配置、後退しても前進しても傷つくのは避けられない。せめて小竜巻だけでも突破しなくては走りながら天井の高さを確認すると、腕と足を風の刃で傷つけた瞬間賭けに出た。
 頭が天井につくかつかないかの高さで飛躍し、まるでハードル走先守の如く小竜巻を飛び越えたが。
「ーーーっ!」
 小細工が仕込まれていた。
「猪口才真似をしやがる」
 鎌鼬に足首をやられたとそう顔を歪ませると同時に、赤い光を纏わせた槍を相手目掛けて投擲した。
「行ってこい!」
 ああ言って喧嘩を売ってくるヤツだ、ヤツは油断する。
 槍を投げたのは愚策だと魔術で攻撃してくる。その発動した隙こそランサーは狙ったのだ。
 この槍は自分の元に帰ってくる特別製、その性質を狙って背後から貫く作戦だ。仕込みは予想外だったが結わえた青い髪と銀のピアスを揺らしながら痛みに耐えつつ相手と一直線になるよう着地して。
 衝撃波で少女を巻き込む心配はないだろう、何せ相手にとっては自分の為だけに向かわせる大事な『弟子』なのだから。
>黄衣なる者

6ヶ月前 No.202

失憶者 @zero45 ★h2BOlEz4kD_FR1


【ロンカ村/広場/アラン・レイクルード】

 遠い未来からの来訪者。唐突に現れては協力すると宣言した女性への問い掛けに対し、彼女は熟考の末に答えを紡ぎ出す。
 其処で告げられた言葉の内容が意味する所を整理すると。未来人の噂が生まれた切っ掛けは、"歴史是正機構"と呼ばれる組織による物であり、その組織は魔道帝国へと協力する事で勝利に導き、帝国が崩壊したと言う本来の歴史を捻じ曲げようとしている。
 彼女はその組織に対抗するもう一つの組織、"時空防衛連盟"に属する者であり、歴史の改変を未然に防がんとして此処に現れた――と言う感じか。何とも胡散臭い話ではあるが、少なくとも嘘はついていないと判断する。完全に信用した訳ではないが、協力の事に関しては了解しよう。

「成程ね、魔道帝国は本来滅びる運命にある、と。あんたらはその運命を捻じ曲げようとする連中を阻止しにやって来た、そういう事だな。
 ……その本来の歴史で魔道帝国を滅ぼした連中が何なのかは敢えて聞かないでおく。完全に信用した訳じゃないが、協力に関しては受け入れるよ」

 話を聞いて行く中で、一つ抱いた疑問。魔道帝国が滅びたと言うのであれば、それは一体何者の手による物なのか。自分やパメラ、ニケ、そして村の守護者である山城瑤子と言ったロンカ村の皆が成し遂げた物なのか、それとも別の誰かが果たした物なのか。
 自分達は勝ったのか、それとも敗れたのか。その答えは、喉から手が出る程には知りたい情報だった。だが、同時にそれを聞いてしまう事が恐ろしくもある。聞いたが最後、どうしようもない絶望が襲い掛かって来るのではと勘ぐってしまう。
 提示された二つの選択。知ろうとするか、知らないでおくか。悩んだ末に、希望を持ち続ける事を望んだ自分が選んだ選択は、当然後者の方だった。

 そして、時が少し経ち――襲い掛かって来た狼少女の全体重を受け止め、見事に押し倒された現在。"た、食べないで下さい"と思わず懇願してしまいそうになるこの状況。間近となった自分の顔をまじまじと眺め、狼少女は更に此方の匂いを嗅いでくる。
 逆に、此方も彼女に接近している事で、匂いを嗅ぐ事が出来る。仄かに香るこの匂い、紛れも無くあの絶品で美味すぎる牛乳の物。しかし何故だ、と一瞬思案に耽り、そして瞬時に理解した――この狼娘、食糧庫を漁った泥棒狼だ、間違いない。

「……食べねえよ、人だろうと亜人だろうと食えたもんじゃない。だが、代わりに報いは受けて貰うぞ。思い当たる節は、当然あるよな」

 瑤子の焔が修道服の丁度お尻の部分に当たり、飛び上がっては雪上を転がって消火に励む狼娘の姿を見届けつつ、立ち上がっては服についた雪を叩き落としていく。最後に尻の辺りについた雪を払い除けると、双剣銃を引き抜いて弾丸を装填する。殺傷力が低めである代わりに、撃ち抜いた相手を麻痺させる毒が充填されている物だ。
 何とも華麗な動きで光弾を避ける狼娘の姿を、一秒たりとも見逃す事無く目で追いかける。獣に恥じぬ素早い動き。普通の人間であれば到底追い着く事など出来ないだろう。だが、こっちは普通じゃない人間だ。彼女の速さに追い着ける自信は、十二分にある。

「さぞかし美味かっただろう、此処の牛乳は。俺も好きだよ、大好物だ。けど勝手に飲まれたら困るんだよ。俺だけじゃなくて皆の大好物で共有物なんだから。それを独り占めなんかしたら、皆が悲しむし怒る事になる。俺もそうなる。ああ、長々と言ったけどとにかく本当に言いたいのはな……お仕置きの時間だって事だよ!」

 噛みそうになる位の早口で、食糧庫を勝手に漁られた事に対する怒りと悲しみの言葉を紡いでいく。こうして食糧庫を漁られ奪われてしまうと、自分や村の人だけじゃなく、楽しみにしていた観光客だって悲しむ事となる。そして何より明日を生きて行く糧さえ失ってしまう事になる。彼女の罪は、余りにも重い。
 だが、それでも"お仕置き"程度に済まそうと考えていたのは。彼女はバカっぽく見えるが、かと言って此方の言い分を理解しないアホでは無い……何となくそんな感じがしたからだ。

「謝るのならさっさと謝っておけよ。でないと気ぃ変わって本気で食べちまうぞ、狼鍋だ!」

 加速魔法を発動させると同時に大地を蹴り上げ、疾風の如き速さで空を駆ける。大気を切り裂く真空の刃すらも凌駕する素早さで動き、近くの大きな枯れ木の上に立つと、片手に構えた剣銃の銃口を狼娘に向けて狙撃。
 そして再び木を蹴って、今度は斜め後ろへと移動するともう片方の銃で弾丸を撃ち放つ。猛烈な速度で射出された弾丸は、一直線の軌道を描くままに狼娘へと向かって行く。
 だが、攻撃もといお仕置きは此処で終わらない。地面を蹴って大きく跳躍すると、縦方向に幾度も回転しながら狼娘へと急接近。その頭上から叩き切らんと、双剣銃を構えて一気に振り下ろす――!

>イアン・ガグンラーズ 山城瑤子 ユーフォリア・インテグラーレ

6ヶ月前 No.203

芋娘 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【グリア村/池/パメラ・エンドネル】

「その通りだ! 負げる訳にはいがねえだよ!」

ニケの力強い回答に、笑顔さえも覗かせながらパメラも応答し、目の前の狂戦士を見やる。彼は理性的な言葉を発しているように見えて……完全に狂っている。
会話が成立する余地など、ないに等しいだろう。あれだけの殺意を向けられた時点で、そんなことをしている場合ではないし、それを模索するほどパメラも阿呆ではない。
パメラの操る冷気が狂戦士の手足を絡め取り、動きを封じたところにニケの火炎が炸裂する。完璧な連携。お互いを信頼しているからこそ出来る、協力技。
確実に相手は傷を負っている。行ける、勝てる。そんな淡い希望は、一瞬の内に絶望へと変わる。突然の咆哮。衝撃波が、炎と冷気を容易く吹き飛ばしていく。
地面すらも抉るそれに、思わずパメラはたじろぎながら防御の姿勢を取る。見れば、ニケが負わせたはずの傷も、いつの間にかほとんど塞がってしまっていた。

「何しとんだ! 前に出ちゃいげねえど!」

地面を揺らしながらにじり寄ってくる敵。その威圧感と、傷を回復されたという焦りが、ニケの判断を狂わせる。パメラの叫びも虚しく、彼女は一人、敵へ向かって突っ込んでいってしまった。
狂戦士が腕を振り下ろす。刹那、砕かれた自然が、散弾銃となりて二人へ襲い掛かってくる。パメラは距離を取っていたため、余裕を持って雪風による防壁を張ることが出来た。が……
問題はニケの方だ。完全に攻撃態勢へと入っていた彼女は、結果として土煙に目を潰されてしまう。幸いにも、敵の突撃は回避することが出来たようだが、パメラはニケが着地に失敗し、足を捻ったのを見逃していなかった。
反射的に体が動きかけたが、直後に発せられた親友の声が、それをやめさせた。無数の火炎弾を束ねて一つの太陽とし、それを勢い良く打ち出すニケ。
しかし、あろうことかその攻撃はパメラを狙っていた。突然の裏切りか。それとも恐怖で錯乱したか。自らへ迫りくる攻撃を前に、パメラの表情は至って冷静。

「待ってたど! これで、終いだべーーー!」

彼女は、この瞬間を待っていた。火炎弾に対して、ありったけの冷気をぶつけるパメラ。熱気と冷気が混じり合い、やがてそれが、一つの龍の形を象っていく。
天を貫くような声が、聞こえたような気がした。神々しい輝きを放つ、氷炎の龍は、その身を荒れ狂わせながら、村を脅かす存在である狂戦士を討ち滅ぼさんと、加速する。

>カリギュラ、ニケ・エタンセル

6ヶ月前 No.204

イスマリア @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4

【 ナコーン/森林/イスマリア・ザルヴァトール 】

「弱者には弱者の役割、ね――」

 戦場は混迷を極めていた。
 魔大老エストの増援により数の不利は解消されたが――それも束の間、状況を飲み込んだ戦兎が交戦態勢に入ったことで引っ繰り返る。
 未知数。未知数。未知数。だが予測は可能。一個師団を容易くとまではいかずとも壊滅させられる戦力を個々で有するのは確か。

「詭弁ですよ」

 踏みこみ。ギギナの間合い/イスマリアの間合い。
 腹を目掛けて薙がれた太刀は、しかし屠竜刀によって下から弾かれ返しの一閃で首を狙われる。
 だがただでくれてやるほど安い首ではない。添え手を離し電光を集中し爆散。形成するは即席の雷電の盾。叩きつけるは屠竜刀。
 衝撃同士がぶつかり合い火花を散らす。屠竜刀を真上へ突き飛ばす。そして大きく後退<バックステップ>。
 左右への回避を封印してもなお強気の態度。攻め続ける彼に対しては真っ向勝負はやはり不利。

「より良い未来を諦めた者が垂れる不平不満でしかない。
 そうして己の価値を貶め、負け犬に墜ち、最期は刈り取られる――それを自分自身で発する妥協の言葉で決定づけてしまう」

 飛来する弾丸。
 葛葉ライドウの放ったそれには目もくれない。そも、……手漉き。余裕は出来ている。
 魔大老エストの神髄は広範囲へ飛ぶ支援と魔術の嵐。
 生憎魔力というものを理解できない身分にとっては夢のような絡繰りであり――それが一瞬の内に魔弾を凍て付かせて威力を"停止"。
 軽い音を立てて弾丸は落下する。凍れる時の中で動くことは許さない、作動した絶対命令は何者も破ることを許さない。
 羨ましいとさえ思う。最小限の被害で最大の戦果を出す。
 一人で千の軍を滅ぼせるよりも、一人で万の軍より守ることが出来る兵の方が重宝される。
 素晴らしい。国のために。未来のために。足掻き続けて国の勝利を□ぎ取らんとする精鋭。
 このような人物が必要だ。
 何故なら、この世に生まれし生きとし生ける者のあらゆるは――世界平和を唱え強くなり続ける権利があるのだから。

「虚しいじゃないですか。そのままでいるなど」
「弱いから、選択の権利を強者に握られる。生きる自由が狭まる。声を上げることも。食べることも。飲むことも。
 息を吸うことも。話すことも。愛し合うことも。子供を創ることも。そして――死ぬことも!」

 無表情。
 淡々と。淡々と。
 語られる。未来世界の現状を憂い改革のやる気に満ち溢れ、それでも手の届かぬ領域にいる者達の背を見続けてきた彼女の言葉。
 個人に等しく価値はない。何故天上天下は存在する? 無くなれば良いというのに。
 そう決め付けられているから/そう決め付けたから、立場を、格を、奪うことが出来ず望む未来を創り出すことすら許されない。

「誇りで飯が食べられた試しがありましたか。
 決意で喉が言えた試しがありましたか。
 愛で!怒りで!絶望で!悲しみで!恨みで!腹が膨れた試しがありますか!?」

 イスマリア・ザルヴァトールは奮起した。
 だが、ただ施すだけでは駄目だ。それはただの強者と同じ。民を虐げより良き未来を奪う者と同じ。
 性根が育ちやしない。腐りきるだけ。与えられることに慣れ切った――家畜に過ぎない。

「願いを叶えてくれる魔法使いも!
 全ての悪を薙ぎ払う英雄も!
 そんなものは待ってても現れない!」

 虚ろな瞳で高らかに謳う。
 究極の理想論を実現するために。
 理想は死に物狂いで努力を続け際限無く己を高めていけばいつかきっと叶うことを証明するために。

  、  、・・・・・・・・・・・・・・・
「だからこそ誰もが世界を平和にしなければならない!
 より良い未来を誰もが望み、描いた道へと只管に走り切ることが出来るそんな未来を創らねばならない!
 天上天下などありはしない。何故なら人は誰しも――己の思い描く未来を掴み取ることが出来るのだから!」

 バキンッ。
 大気が凍て付いた。ライン状に走る氷河。立ち昇る分厚い氷の壁。
 これにより、燃え残った森/戦場は二分された。
 ギギナとイスマリア。エスト、桐生とライドウとその仲魔。

>魔大老エスト ギギナ 桐生戦兎 17代目葛葉ライドウ



【 ナコーン/森林/イスマリア・ザルヴァトール 】

「――さて、と。一対一ですか、我々は」

 状況は振り出しへ戻った。距離は三寸程。お互いににらみ合いの状態が続く。
 再び添え手を振り払うようにして黒雷を発し、武装である太刀に付与。相手を真正面に捉えたまま、しかし動かない。
 ザリィという砂利を跳ねるような音。黒の稲妻が肉体に纏わりつく。

「諦めませんよ、私は」

 動かない。まだ。
 相手のタフネス。膂力。そして武装重量とそれを扱う体格。真正面の打ち合いは依然こちらが不利。
 そしてスタイルは変わらず一撃必殺。姿勢を崩されれば一撃で殺される。
 左手に電光を集中させる。糸のような電撃は今や黒い線のように太く、強く、纏わりついている。
 まだ、動かない。光を集める。
 まだ、動かない。輝きを集める。漆黒の雷電に限界<リミット>は存在しない。
 滾る戦意と揺るがぬ意志が、初めに打ち合った時に比べ出力を大幅に増大させていた。

「誰でも未来は必ず変えられる――より良い方向へと」

 強烈な不快感をそのまま叩きつけたような鋭い眼光となって突き刺さろうとも、イスマリアは曲がらない。
 時間遡行による弊害は確かにあるだろうが、"それでも"良き方向へ変えようと努力し続ければ維持出来ると信じて止まない。
 いいや、意地でもそうする。何故ならそれが、欲に塗れ僻みに塗れ嘆き悲しみ驕り汚らしくある人間へ下す結論だから。

 左手に纏わりつく黒雷が膨れ上がる。
 それが破裂寸前にまで成長したとき――大地にその手を叩きつけた。

 Erde Bombe
「 地烈雷砲 ッ!」

 爆裂。爆弾が爆発したかのような炸裂音。
 地へ叩きつけられた手に纏わりついていた黒雷が、大地を引き裂かんばかりに波状に放出される。
 大蛇の如く大地を這う黒い電光。逃げ場など上空を除いては一切無く、取れる手段は防御のみ。

 そうして、――壁を前へ走るように蹴り上げ、宙へ跳躍。
 背面は取らない。何故なら予測出来る領域だから。
 ギギナの頭上を取った。
 そこから落ちるようにして刀を頭上より叩き斬らんと構え、宙で姿勢を転換し地上のギギナへ向けて突貫。
 そのまま天より振る裁きの如く、黒雷を纏わせた刃を振るう。

>ギギナ (魔大老エスト 桐生戦兎 17代目葛葉ライドウ)

6ヶ月前 No.205

亡国の末裔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ナコーン/市場/ソレミア・ラガルデール】

ぼそぼそと怨嗟の声を漏らし続ける敵の女性。ソレミアはその様子を見て、哀れであると思った。何が、彼女をこうしてしまったのだろうか。
そして、続く回答によって、彼女がラガルデール王国を恨む理由は、何となく察することが出来た。どうやらこの女性は、ラガルデール王家が、自分達を見捨てたものだと思っているらしい。
しかし、それは大きな間違いだ。実際には、前線にて苦戦するコルーカル家の元に、ラガルデール王家は援軍を派遣している。……尤も、それが彼らの元へ辿り着くことはなかったのだが。
ソレミアは、元配下から聞いたものとはあまりに食い違いすぎる話に、困惑の表情を隠せない。誰かに吹き込まれたのか、それとも被害妄想による産物か。
いずれにせよ、これでは如何なる弁明をしたところで無意味に違いない。彼女は、ソレミアを滅ぼし尽くし、ラガルデールの痕跡をこの世から消し去るその瞬間まで、動きを止めることはないだろう。

「それは貴方の勘違いよ。父上や母上は、偉大なお方であったと聞いているわ。よもや、自分の部下を見捨てるような人じゃない。それに、姉はその時7歳よ。王位も継いでいない者が、勝手に降伏宣言を出せるはずがないでしょう?」

何としてでもプーリッシュに責任を取らせるのだという決意が、彼女の口から漏れ出している。その様子には、ソレミアですらも若干の恐怖を覚えるほどであった。
期待した回答は返ってこなかったが、何も得られなかったという訳でもない。このようなことをいうということは、彼女もまた、姉の行方を知らないのだ。
そして、彼女が味わわされた苦痛には、同情を禁じ得ない。ブールーン民主共和国が、旧時代の権力者に対して行った仕打ちは、想像を絶するものだったと聞く。
この女性も、被害者の一人に過ぎないのだろう。王国の崩壊、それに伴う腐り切った国家の乱立が、彼女の人生を完全に狂わせてしまったのである。
ある意味、ラガルデール王国を恨むのも、必然であるといえるかも知れない。王国が滅ぶことさえなければ、彼女が辛い日々を過ごすこともなかったのだから。

同じ一族の血を引く者として、責任を感じない訳ではない。だが、ここは戦場だ。敵に同情している場合ではないことは、ソレミア自身も重々承知している。
地中より伸びる無数の針。同時に空から降り注ぐ針の雨。もはや逃げ場などどこにもないかに思われたが、ここで味方の女性が、防御を一手に引き受けるという行動に出る。
結果として、彼女は一切身動きが取れない状況となってしまったが、代わりにソレミアには余裕が生まれた。出会ったばかりの自分を信じ、作ってくれたチャンス。無駄にする訳にはいかない。

「貴方の過去には同情する。でも、私は姉を見つけるまで、死ねないのよ。悪く思わないでちょうだい」

ソレミアは少し落ち込んだような声でそう述べると、地面を蹴り、手に持った黄金の剣を敵の喉元に突き立てんと迫る。同時に、敵の周囲には、逃げ道を防ぐかのように、銀の刃が展開された。
姉を探すその日まで生き続けることこそが、自らの使命。再会を果たしたその暁には、必ずやラガルデール王国を再建し、悲惨な運命を辿った彼女のような存在を、二度と生み出さないよう努力することを誓おう。
黄金と白銀、二色の金属の共演。敵である以上、容赦は出来ない。ソレミアは悲痛な表情を浮かべる相手の女性の幻影を振り払いながら、疾駆する。

>カシュタン・コルーカル、ショコラ・ヴァンディール

6ヶ月前 No.206

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

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6ヶ月前 No.207

似非貴族 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ロンカ村/牧場/アルクール・サンドリンガム】

宣戦布告したまではよかったのだが、予想以上の相手の反応が薄かった。少しもどかしい気持ちを覚えつつも、アルクールは仕方ないと割り切って、戦いに集中する。
上手く初手で敵の動きを封じることが出来ればよかったのだが、そう都合よく物事が進んでくれることはなく、跳躍した敵は、ワイヤーを一つ一つ、ナイフで切断することによって対処する。
雪が奏でる独特の音色。北国の村の大地は、降り積もる雪によって白色に染め上げられている。視界を遮るように落ちてくる雪の粒。実に美しい光景だが、それに見惚れている場合ではない。

「あら、家畜は家畜でしてよ。人とは違うのですから、それなりの扱いでよろしいのではなくて?」

敵は家畜を巻き込んだアルクールのやり方が気に入らないようであるが、戦場でいちいちそんなことを気にしているようでは、満足に立ち回ることすらも出来ないだろう。
人を奴隷として見ることには強い嫌悪感を示す彼女であるが、動物に対する視線はその程度であった。裏を返せば、それほど楽に手に入るようになるまで、成り上がったということでもあるのだが。
殺された牛や羊が流した血によって、白銀の大地は紅に染め上げられていく。そこまで言うのなら、後でちゃんと持ち帰って食べればいいだろうと、心の中でアルクールは呟いた。

「最近はよく見るようになりましたわね。原理は分かりませんわ」

歴史是正機構の干渉によって、魔道帝国には未来の技術が大量に流れ込んでいる。敵が構えた銃なるものも、彼らの戦闘員が好んで使っているのを見た。
剣や槍といった武器が主流であるこの時代においては、明らかに行き過ぎた代物であるが、射撃系武器としては弓が存在しているため、対処は十分出来る。
問題は、矢と違って、放たれたのを見てからでは回避が間に合わないということだが。そのため、躱す際には、必然的に相手の動きから着弾点を予測して動く必要がある。
慈悲もへったくれもない連射に、アルクールは少々辟易するが、一つ一つを避けるのは無理だと判断し、ワイヤーを前方で固めることによって、銃弾を防ぐ。
全く、魔法がなければ即死だった。未来人はこれを当たり前のように使ってくるのだから恐ろしい。こんなものがあったら、どんな戦争も楽勝ではないか。

「さあ、次はわたくしの番でしてよ」

彼女はにやりと笑いながらそう告げると、両手に薄く引き伸ばされたワイヤーを構え、それを鞭のように振るう。もはや斬撃に等しい一撃が、二方向から敵へ襲い掛かった。
当然このワイヤーにも魔力が込められているため、殺傷力は抜群。もろに喰らうようなことばあれば、身体を真っ二つに切断されたとしても不思議ではない。
そして、相手に攻撃を放つと同時に、アルクールは密かに"仕込み"を始めていた。それが効果を発揮するのは、もうしばらく後となるが……成功すれば、一気に形勢がこちらへ傾く。

>アベリィ・シルバラード

6ヶ月前 No.208

イスマリア @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4

【 ナコーン→移動開始/果樹園→移動開始/蓼科祈 】

 一手間違えれば即殺される読み合い。相手は戦いの初心者ではあっても狩りの上級者であることには変わりはない。
 百戦錬磨ではないものの、百狙百殺の人狩り兎<マンイーター>であるのは確か。
 そのための能力を生まれ持ち、そのための技量を磨き実力を付けてきた真っ当な狂人。
 こと彼女を置いて(性分は兎も角)愉しみながら人間を刈ることに長けた人物はいないだろう。
 是か否かは別とするが――。

 ――だから、相手の思考の一手先を読むことだけに集中する。

 増大する気配が齎すは前後左右の混同。雪葉が何処にもいて何処にもいないかのような錯覚現象。
 眼を閉じても解消はされず、気による探知であっても捕え切ることは出来ない。
 だからハナからその土俵では戦ってやらない。無理に追い詰めようとすればこちらが逆に危うい。
 囲まれたという錯覚から真っ先に取るのは、封じてくるであろう上空への退避を先に実行すること。
 入り乱れる雪葉の弾幕が、祈が宙へ飛び立ったのを覆い隠すかのように噴煙を巻き上げてくれるのだから。

 照射した破滅の電光。
 閃光は地を焼き砕き広がり続ける。
 視ればやや遠くで、肩を焼かれて倒れ伏していた。だが異能は解除されていない。
 そのまま捨て台詞を吐き、再び異能を起動。膨れ上がった気配を一気に消すことで隠密のヴェールを纏い――逃げおおせる。

「……。
 二兎を追う者何とやら、か」

 追う選択肢はあった。
 捕まえて情報を吐き出させる選択肢はあった。
 が、――それをするには相手の異能を破れていない。引き際を弁える相手は、土壇場で思わぬ力を発揮してくる。
 決め手に乏しい現状、奥の手も取っておきたい。まだ戦いは続いている。
 しばらく動けないのが目に見えて分かる状態に追い込んだだけでも収穫と考えるべきだ。

「……ふぅ」

 印に手を触れ、自身の異能も解除。
 辺りの景色もすっかり荒れ果ててしまった。激戦の果てにぽっかりと穴が開いたかのような惨状。
 吐く息は天に融けて消える。いっそ更地にしてしまえば――なんて冗談にも無いことを考え。

「長居も無用、か」

 ――雪道を駆けだした。まだ、戦火は止まらない。
   人が生み出した業火は踊り狂う。その全てを焼き払うまで。

>雪葉

【お相手、ありがとうございましたー】



【 →ロンカ村/→宿屋/蓼科祈 】

「――ふっ!」

 斬――振るう手刀。白き一閃が凛と煌き、屯っていたライフゴーレムを一太刀にて切り裂く。
 白光が粉雪のように舞い散り機能停止したゴーレムを粉々に破壊し、無へと還した。
 これで、何体目か。決意新たに戦火へと飛び込んだが、……ただ粛々と力を振るい続けるのは現実。
 終わらない戦い。流される涙。無念の叫び。曇天は国を覆い尽くし陽の光は射さぬまま。

 それでも――やることは変わらない。
 希望の光。負を破壊するための力。そう定義したのはほかならぬ自分自身なのだから。

 既に住民の避難が済んでおり、もぬけの空となっている。
 倒れた椅子。がらんどうのカウンター。冷めた料理。荒らされた食糧庫。

「略奪も容赦なしか。
 ……徹底的ね。嫌になるわよ、ほんとに」

 お金は持っていないの、ごめんなさいと心の中で謝りながら井戸水を保存していたであろうガラス瓶に口を付け喉を潤す。
 そして、ぽふ、と部屋の一つを開けてベッドに横たわる形で休息を開始した。
 警戒は一秒たりとて解けないし、その両手には依然破壊の光を宿したまま。
 だが、――疲弊は溜まる。一息吐かねば、集中が途切れて絶命する。
 まさかと思うが一人一人があのような実力者なのか。
 そうなれば、――骨も折れるものだ。

 戦いの音が遠くから聞こえる。
 剣戟の音。銃撃の音。魔術の音。
 其れすらも何処か遠く、遠くに置いていくように――静かに目を閉じた。

>ALL

6ヶ月前 No.209

麗人 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【ナコーン/酒場/シフォン・ヴァンディール】

かくして戦況は2対2の互角となった。それに共闘するレオンハルトの実力に関しては承知の上。魔術はもちろん自分に出来ない接近戦・物理戦までこなす彼とのタッグは、弱点を補い合える理想の組み合わせと言えよう。
そうでなくては任務の遂行はおろか、生きて帰れるかも怪しいに違いない。敵は実力未知数、太刀筋も完全には読み取れていない。
現時点では山羊の外見をした男性が亡霊の様な駒を操り、鎧姿の女性――マロン・アベンシスが巨剣による重撃を繰り出してくるといったところか。
どちらも油断の出来ない強敵に違いないが、強いて欠点を挙げるとするならば、連携が取れていないという一点に尽きる。それは男性によって用意された防御用の駒を振り切ったことからしても顕著。
とはいえあくまで欠点に過ぎず、ここを突いたところで勝利が確実になるわけでは決してない。敵はどちらも単体で十分な戦闘能力を有しており、言うなれば"自己完結"している。
突破するには連携はもちろん、敵のそれを上回るレベルの個人技も必要となってくるだろう。ただしそこは仮にも司令官、二人とも条件を満たしていると言っていい。

そしてその一端とも言うべきレオンの強烈な一閃。大地を割り天を衝くが如き剛撃。これは決まったのではないかと希望を抱くシフォンだが、驚いたことに空振りに終わってしまう。
マロンは跳躍によって隆起する地表から遠ざかり、難を逃れた。あの男性でも取り回しに苦労しそうな巨剣を携えたまま。これだけでも彼女の身体能力が常人を遥かに超越しているのは疑いようもない。
時代が違うだけあって、常識が通用しない敵との一戦。しかし培ってきた経験すらも無駄になるわけではない。袈裟斬りの反動を活かしての回り込みは、十分目で追えるレベルだ。
巨剣が空高く放り投げられると同時に、シフォンも魔力を込めて迎撃の手筈を整える。あのサイズにもなると"刃としての鋭理さ"よりも"巨戟も同然の重厚さ"の方が脅威だ。
そんな豪快極まる一撃への解答は―――

「『アバランチウォール』」

宣言と共にシフォンの頭上から雪崩と見紛う程の豪雪が降り注ぎ、たちまち凍りついて頑強な氷の壁へと姿を変えていく。並の攻撃はもちろん、炎や灼熱魔法を受けてもビクともしないそれは、まさに牙城と呼ぶに相応しい堅牢さを誇っていた。
しかし、だ。大業物を受け止め弾き返した時、確かにシフォンは"見た"。不敗の『アバランチウォール』が、音を立てて崩れていくのを。
相殺。傷こそ負わなかったものの、破られたことに変わりはない。もし剣を直接振り下ろされていたら?後少しでも高度を上げて投下されていたら?
紙一重とはこのことか。余裕に見えた防衛の裏側で、シフォンは間一髪命拾いしていたのである。開始早々背筋が凍るような駆け引きには辟易させられるが、次こそ完封してみせるという負けん気を呼び起こすきっかけになったのも確かだ。

「光り輝け、『スターフレア』!」

受けに回っていては劣勢に立たされるばかり。そう判断し即座に攻撃に転じる。用いるのは非常に高い攻撃力を有する爆破属性。守りの上からでも突き崩せる破壊力に希望を託す。
魔力を振り絞り、僅かな溜めの後に右手を強く振り払う。すると敵の二人の周囲に赤黒いゼリー状の物質が出現し、瞬く間に膨張。金色の光を伴って大爆発を引き起こした。
これこそがシフォンの攻めの要。赤黒い物質はエネルギー塊であり、威力やタイミング等彼女の意のままにコントロールできる優れもの。
さらに一撃では終わらせないと言わんばかりに手のひらを前方に翳し、新たなエネルギー塊を複数差し向けて連続で炸裂させていく。
敵の攻撃力を考慮すれば長期戦は死を意味している。ならば力を出し惜しまず早期決着・短期決戦を狙う他に道はない、そう腹を決めて一気にたたみ掛ける。

>>ミルグラム・ゴート、レオンハルト・ローゼンクランツ、マロン・アベンシス

6ヶ月前 No.210

葛葉の一枚看板 @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_7FY

【ナコーン/森林/17代目葛葉 ライドウ】

「誇りで飯が食えるかだと? 決意で喉が潤うかだと? 食えるし潤うんだよ、”確固たる意志”があればな
 少なくとも警官や自衛隊の連中はそれで食っているし、俺も似たようなもので腹を膨らませている一人だ、貴様の見識は狭すぎる」

ライドウはにべもなくそう返す。警察官や自衛官はその最たる例だと思う、危険度の割に合わない賃金で命を懸ける連中だ。
マスコミにはよく不祥事などが取り沙汰されているがその一部を除いた大半は善良な連中だ。
貧困時代の苦しみをバネとして成り上がった連中も大勢いる。必要なのは意志だ、どんな貧困な地域に生まれようとも施すものがいる限りは誰にでも機会は与えられる。
この議論は平行線をたどっている、見ているものが違い過ぎるのだ。

「そこまで世を憂いているのならば剣など捨てて政治家にでもなればいい、過去を変えるなどという愚行を行うよりは数百倍マシだろう
 少なくとも俺は貴様ほど死に急いでもなければ人類に絶望はしていない、だから俺は断固として貴様らを否定する。弱者に意思がないと決めつける貴様よりは建設的だ」

情を燃え上がらせるイスマリアとは逆に冷徹に理論を展開するライドウ、腐った連中が目立つのはよくあることだが世の中のすべてがそうではない。
少なくとも時空防衛連盟の上の連中はそうではない、腐った役人どもに真正面から抗い抜いてここにいる。
イスマリアにはイルマリアの持論があるようにライドウにも譲れぬものはある、それを踏み荒らそうとするならば殺すだけだ。

その言葉を送った瞬間大地に氷河が走り戦場は二分される。仲魔を使って飛び越えようと思えば飛び越えられるが敵に背を向けることになる以上それは出来ない。
ならばできるだけ手早く倒して救援に向かうべきだろう、この相手がそんなに甘い相手だとも思えない、集中していこう。
ライドウの足元は流砂のように沈み込んでいる、下手に足掻けばより早く沈むだろう、ならば”飛ぶ”までだ。

「ああ、すまぬな、口を滑らせたようだ。だが結果は変わらぬよ」

魔大老エストの怒りを肌で感じて形だけの謝罪を行うが、心から謝っているわけではないのでその行為は火に油を注ぐものかもしれない。
ライドウは敵に対してはどこまでも冷酷になれる人間だ、怒りに任せて判断力が少しでも鈍ればと期待していないわけでもない。
ライドウは二つの緑色に光る試験管のような封魔管を取り出すと、フツヌシを緑の粒子として戻し、もう一つの封魔管の蓋が回転しながら伸びる。
そこから呼び出される悪魔は四聖獣の長たる龍、その名は――。

「来い、コウリュウ」

『我を呼ぶのは久しいな、17代目』

流砂の足元から黄金の龍、黄龍を呼び出して一気に流砂から脱出して、コウリュウの背に手を載せて空を舞う。ライドウの使役する悪魔は一体ではない。
どうやら物理攻撃はあの老婆には効果が薄いらしい、反応する間もない攻撃ならばあるいは……だが手の内を明かすにはまだ早い。
魔人の類や二体同時召喚、そしてそれらを超える”奥の手”は早々に晒していいものではない、晒すときは必殺を心掛けねばならない。
上空より魔大老エスト目がけて暴威弾を三発連射する、先程の勢いを殺す魔術を使われれば効果がないのは分かっているが、それを使わせることが今の目的だ。
これと同時に大魔法の対処ができるならばやってみせるがいい。

「電撃を落とせ、コウリュウ」

『マハ・ジオダイン!』

上空からの暴威弾発射直後に魔大老エストを中心に巨大な雷の柱を落とす。
雷電系魔法の上位魔法、マハ・ジオダイン。これは本来敵を纏めて滅する時に使う魔法だがこれにどう対処するのかをライドウは見たかった。
未知の敵には情報集めから入り、隙を見つけたら烈火の如き攻勢をかけるのがライドウのスタイルだ。
ライドウは地面に降り立つとリボルバーの空薬莢を排出し、今度は当たった部位から氷結させる氷結弾を込めて一旦ホルスターに収め、秘剣ヒノカグツチを抜刀する。

>魔大老エスト、桐生戦兎、(イスマリア・ザルヴァトール、ギギナ)、ALL

【描写の見落としがあった件については申し訳ありません、こちらの不手際ですのでそのように進めさせていただきました】

6ヶ月前 No.211

魔道を征く者 @zero45 ★h2BOlEz4kD_FR1

【ナコーン/森林/北側/ダグラス・マクファーデン】

 木陰から身を乗り出し、遠方に姿が見える敵へと魔弾による奇襲を仕掛ける。充填された魔力が増幅器を経由して射出され、強力な漆黒の魔焔弾として銃口から放たれて行く光景。其処から示された未来を目の当たりにして、抱いた感情は小さな歓喜。
 死角からの襲撃を受けても咄嗟の判断で回避して見せたその反応速度。未だ敵の全容を把握している訳では無く総合的な評価は付け難いが、この分だと旧友は優秀な部下を持っている物と期待できる。
 それ故に、同じ"魔弾"の使い手である彼女に望む。我が旧友が得た部下が、如何に素晴らしき人材であるかの証明を。道端の小石で終わらせるには惜しい、貴重な存在である事を実感させるだけの戦いを切実に所望する。

「ちょっとした小手調べと言う奴だ。彼女の部下が、果たして不意打ち如きでやられる間抜けなのかどうかを確かめる為のな」

 不意打ちが失敗に終わった以上、隠れ潜み続ける理由は無いと判断すると、木から離れて身を曝け出す。此処からは正々堂々、どちらが魔弾使いとして上に立つかを競い合う勝負の始まり。
 体勢を整え直した敵の反撃は、両手に構えた双銃による物。右の銃からは真紅の焔弾を、左の銃からは青碧の水弾が射出され、計算された弾道はただ一点を目指す。魔弾が激突した刹那、生じた反作用は暴虐的な力を周囲に撒き散らした。
 丈夫ではない木を瞬く間にへし折るだけの強力な衝撃波。その発生源たる爆発の間近に立つ以上、何かしらの防御策を講じねば死の結末は当然。それを未然に防ぐ為にも、即座に行動へと打って出る。
 展開するは、全方位を覆う暴風の障壁。襲い掛かる衝撃の悉くを後方へと受け流し、害為す脅威を難無く退ける。

「少しは安心したよ。あいつの部下が間抜けじゃない事にな」

 衝撃波によって騒めいていた木々の音が、鳴り止んだと同時。全身に風を纏って大地を蹴り上げると、圧倒的な跳躍を以て遥か上空へと移動する。文字通り空中に浮遊する形となった彼は、ふと横眼でちらりともう一人の存在を確認し……そして何も見ていないと言わんばかりに、即座に魔弾使いの方を両眼で見据える。
 そのまま纏った風の流れを変え、急速な勢いで落下を開始すると、流星の如くに魔弾使いの下へと接近して行く。その間に銃の魔力の充填を完了させ、攻撃の準備を整え。
 彼女の後方へと降り立つと、疾風の勢いそのままに彼女の周囲を回り始め、全方位からの銃撃を容赦無く浴びせんとする。繰り出される魔弾の属性は様々。焔の弾丸に水の弾丸、氷の弾丸に地の弾丸、そして雷の弾丸。変幻自在に変わる弾丸の数々。その全てに光と闇が不規則に入り混じる、連撃の嵐。
 全方位から撃ち放たれる魔弾を前に、彼女はどう動くか。そして奇襲を狙っているもう一人の敵は、此処からどう動くのか。

>フォッサ・セントライト ストラーヴ

6ヶ月前 No.212

クランの猛犬 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【ロンカ村/養鶏所/ランサー】

「愛だと? ぬかせ。面白半分で育てたいの間違いだろうが」
 足首から流血しつつも、そう答える。
 全力で戦えなかった未練はあるものの、自分の意志で決めた為に非業の死だと悲観していないランサーからすれば、怪物、神の手で育てられた英雄見たさに作りたいのが愛だと語る相手はおこがましい行為だと思ったからだ。
 魔槍は風切り音を立てて、胴を穿ったが倒れる様子はない。
 それどころか、体からこぼれ出たのは触手。そしてその穴も触手でできていた。
「……その体、水生の類いか。どおりで鶏(とり)のシメ方が人間のやり方じゃねえと思ったワケだ」
 鶏の屠殺方法は首を斬り落としてから羽をむしり取り捌く物だが、転がり落ちていた鶏は絞め殺された物ばかりだったので、妙だと疑っていたのが確信に変わった瞬間だった。
 呼吸を整えて触手の塊と化した相手にとうとう正体を現したかと、冷めた目で魔獣か精霊の類いだと分析する。
 さて、真名解放していないとはいえ貫いても死なない相手をどう倒す。
 不死には三種類ある。
 1つ―――――特殊な武器でなければ死なない。
 2つ――――1つの弱点を突かなければ死なない。
 3つ――――心臓部になる物を倒さない限りは死なない。
 相手の場合、様子を見る限り2つ目は除外と考えた方が良さそうだろう。
 すると穴から煽るように触手がひょこひょこと犬の尻尾のように可愛らしく振り、その様子を見て流石のランサーもこう溢した。
「は、なんでもありかよ」
 明らかに挑発しているなと勝ち気に微笑んでその手には乗らないと蹴飛ばすと、地面を蹴りあげて槍の間合いに入ろうとすると小竜巻と鎌鼬が襲う。
 今度はこちらが小細工する番だと、矛先で自身を囲むようにルーン文字複数素早く描いて、防御の姿勢に入る。
 そしてやり過ごしたと同時に傷んでいない足で一気に飛脚し、槍で思考を司る首級をとって身動きを取る作戦を立てる。
 果たして神代の御業はこの風に通用するのだろうか。
 獲物を弄んでいるように振る舞う相手の事だ、もしかしてこれが全力ではないのではと疑惑を持ち。
>黄衣なる者

6ヶ月前 No.213

中二病でもハッキングがしたい! @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【城塞都市ギリダン/城下町/シエンタ・カムリ】

さてと、いずれ闇の支配者となるであろう自分が、矮小なる帝国とやらに力を貸してやるべく、遠路はるばる未来から助け舟を出してやったはいいのだが……
なんということだ、寒すぎる。確か、ヘルガの話ではここは赤道直下という話だぞ。なのに今の気温は体感で15度程度。いくらなんでも、おかしいではないか。
道行く人々を眺めてはみるものの、今日がたまたま大寒波の日だったという訳でもなさそうだ。まさか、この時代ではこれが普通だとでもいうのか?
こんなことになるのなら、暖かい部屋でずっとオンゲをしていた方がマシだった。すぐにでも帰りたいところだが、生憎ゲートホルダーを管理しているのは自分じゃない。
はあ、戦えというのか。この寒空の下で。シエンタの中の二度と行きたくないランキング第1位、古代。名誉ある順位を獲得したことに感謝して、未来へ送り返してくれないか?

「憂鬱だね。酷い詐欺にでもあった気分だよ。ここじゃ電波も繋がらないし、暇潰しも出来やしない」

何よりも問題なのは、古代には電波が飛んでいないために、ネットが出来ないということだ。一応LANは飛ばせるようだが、こんなところにスマホを持った人間がいるはずもないだろう。
未来との通信は専用の回線を使っているため出来るが、それだけだ。その専用回線をWWWに乗せられれば、とも思ったが、あちらのおバカが真面目にやれだの集中しろだの野次を飛ばしてきそうなので却下。
必然的に彼女が取ることの出来る選択肢は、さっさと作戦を終わらせて未来へ帰還することのみであった。この間にランキングを逆転されでもしたら、どうしてくれるのだろうか。
あの丞相が責任を取るはずもないだろう。自由にさせているだけありがたく思え、とか言うに決まっている。ああ、とにかく憂鬱だし面倒くさい。八つ当たりでもしたい気分だ。
と、丁度よくそこへ、八つ当たりしても文句が出なさそうな人間が現れた。姿形からして、同じ時代か、もしくはもっと未来から来た人間のように思える。あるいは異世界人か。
まあ、そんなことはどうでもいい。一人能力者を倒したとでも報告すれば、丞相も満足だろう。ということで、そこのおバカ。ボクの八つ当たりに付き合え。

「なあ君。そう、君だよ君。その格好、どうせ時空防衛連盟だろう? ボクは今、ネットが繋がらなくてイライラしてるんだ。だからちょっと、暇潰しの相手になってくれないかな」

シエンタは実に馴れ馴れしい上に見下した態度でそう言い放つと、空気中に漂う電子を右手に集めて雷玉のような形にし、それを敵の男へ向かって飛ばす。
近くに民間人もいる中での、突然の出来事であったため、周囲からは悲鳴や驚きの声が聞こえてくる。さすがにここまですれば、おバカの兵士達も気付いたか。
一瞬の内に、帝国軍の兵士に取り囲まれる男。ああ、でもこいつらじゃきっと役に立たないだろう。こんな時に、キラーでもいてくれたら少しは助かるのだが……所詮君もグレードBだし、あまり期待はしないよ。

>スターロード
【絡ませて頂きます……】

6ヶ月前 No.214

貴族将軍 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【ナコーン/市場/カシュタン・コルーカル】

勘違い?
勘違い……カシュタンは思考する、これが言ってくる言葉など、どうせ心の篭っていない謝罪か、自分の否定かと思っていたので、一瞬だけ宙から地面に着地した後、動きが完全に止まった。 勿論それは、相手が即座に反撃に転じていないことを確認した上ではあるが、それにしても、彼女にしてはあまりにも無駄で、隙のある行動だ。
だが、彼女にとっては、それだけで悩みを持った、何せ……今まで彼女はその復讐を否定される事はあっても、ラガルデールの行動について誰かと語ることは無かった。

何を言っても否定されるブールーンを経て、ついにはラガルデール関係者が誰も居らず、あの愚行が何があって行われた物なのか、あるいは……そもそも実在するのか、それについてカシュタンは思考する事があまり無かった、それでも彼女は針を振るおうとしたが、そこで彼女を立ち止まらせるのが、他ならぬ父の存在だ。
カシュタンもラガルデールが在った頃は二桁は勿論、プーリッシュよりも年齢が下の少女だったが、それでも父の顔と言動は覚えている、その父を敬愛するが故の復讐心でもあった。

……父は、ラガルデールの王国を随分と好いていたじゃないか。

敵の片方が針の雨と、地中より現れんとする針山を防御したのを確かにカシュタンは確認していたが……彼女は片手で自分の頭を押さえつける。 まるで頭痛に苦しむように。

「――ッ! ――ッ!! るさい。 うるさい。 今まで隠れていたのに、ようやくっ! 私がお前の姉がまだこの世にいるかどうか確認して、生き残っていたら殺せるって時にノコノコと出てきたお前が! 私の人生を否定するなあああああ!!」

果たして彼女がうるさいと感じたのは、外から聞こえるソレミアの言葉か、それとも内からの物か。
だらだらと口から涎が垂れ、涙なのか涎なのかよく分からない水滴を彼女は服で拭い、その焦点の定まっていない目で向かってくるソレミアを確認する。

自分の逃げ場を塞ぐように銀の刃が展開されるが、ここでカシュタンは逃げと言う選択をできる人物ではない。
普段は冷酷非情に振る舞い、最大の戦果をたたき出し続けた彼女であっても、いざ仇を目の前にすると、感情のコントロールが利かなくなり、大幅に冷静さを欠いた行動をとる。

彼女が持ち出し、ソレミアを迎撃するのは巨大針、しかし、同じ手の繰り返しではない。
カシュタンにはそもそも、もう一つだけ手が残されている。

「お前は私に恨み言でも吐いて! 私に突き刺されれば良いんだ! 私の前から消えてしまえ!!」

地盤が固まり、食い止められていたはずの地中から迫っていた針が一気に地面から突き出してくる。 しかしそれらは、地盤が固まっている場所からは少し離れた場所だった。
そして、それはただの針ではない、まるで一個の生命体のようにうねる、触手のような針だ。 それらは一斉に複雑な軌道を取ってソレミアとショコラに突撃する。

彼女の手と言うのはこれだ、針を変形させ、それをリアルタイムで行い続けることで、まるで別の生命のように動かす能力だ。
当然、その能力は彼女が手に持っている巨大針にも使う事ができる。

またもや巨大針の中央部でカシュタンは敵の攻撃を受け止めるが、その際少し後退したせいで、後ろの銀の刃が彼女を引き裂く。
だが、同時に巨大針の両先端が、地面から現れた針のように一気に変形して伸び始め、両サイドからソレミアを刺し殺さんとする。

>ソレミア・ラガルデール ショコラ・ヴァンディール


【次でカシュタンは退場させます、トドメの一撃の方、よろしくお願いしたいです!】

6ヶ月前 No.215

スパルタの代名詞 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ナコーン/森林/北側/フォッサ・セントライト】

「へぇ、あんたはユーフォリアの知り合いかい。面白いこともあるもんだねぇ。で、なんだってそんなあんたが、歴史是正機構なんぞに協力してるんだ」

ユーフォリアの知り合いであることを匂わせるような発言をした男に対し、フォッサは不敵な笑みを浮かべながらそう告げる。総統の親友が敵とは、妙な状況になったものだ。
彼女と親交関係があったであろうと推測される人物が、どうしてまた、歴史是正機構に力を貸しているのだろうか。彼女は、それが不思議でならなかった。
一方的な知り合いであれば、確かに納得がいく。例えばの話、ユーフォリアの実力を僻んでいたとか、ただ単に因縁の相手であったとか。だが、この男からは、そうした雰囲気は感じられない。
もしもそうならば、はじめから殺意や憎悪というものが剥き出しになっているはず。彼はどうも、ユーフォリアではなく、もっと別の何かを憎んでいるように感じる。
まあ、これは単なる勘なので、当たっているかも知れないし間違っているかも知れない。こうして敵として出会ってしまった以上、残された選択肢は、生死を掛けて戦うことのみだ。

完璧に計算された弾丸の衝突が巻き起こした、反作用爆発。木々を吹き飛ばすほどの威力のそれは、しかし相手の男に届くことはない。
理由は単純。彼を覆うようにして展開された風の防壁が、衝撃を受け流していたのだ。あの一瞬で防御を展開した相手を前に、フォッサは思わず舌を巻く。
直後に敵は上空へ飛翔したかと思うと、そのままの速度で彼女の周囲を回り始める。同時に放たれるは、弾丸の嵐。もはや数えるのが億劫になる量の攻撃が、フォッサを襲う。
だが、この程度の窮地を脱せなくては、時空防衛連盟二番隊隊長の名が廃るというもの。彼女は正確無比な射撃技術で、敵の魔弾一つ一つに自身の魔弾をぶつけ、相殺していく。
フォッサの操る属性は地水火風の四つであるため、相性の都合で完全に勢いを削げなかった攻撃もあるが、それらは既に十分に回避可能なまで速度が落ちている。

「あたしも安心したよ。あいつの友人が腑抜けじゃないってことにねぇ」

二人を繋ぐユーフォリアの存在。されどそれは、和解の手立てとはならず。まだまだ余裕だといいたげな表情を見せつつ、彼女は地面へと複数の魔弾を撃ち込む。
すると、魔弾によって抉られた地面から次々と溶岩が噴出し、敵と取り囲むようにして襲い掛かっていくではないか。これは、地属性と火属性の合わせ技。大地の底に眠る炎が、フォッサの魔弾によって呼び覚まされたのだ。
まさか、複数の属性を使うところまで同じであるとは思わなかったが、だからこそ負けられないという意地が強く働く。未だ動かない、視界の外の二人目の存在にも警戒しながら、彼女は男の動きを注視する。

>ダグラス・マクファーデン、ストラーヴ

6ヶ月前 No.216

獅子心 @zero45 ★h2BOlEz4kD_FR1


【ナコーン/酒場/レオンハルト・ローゼンクランツ】

 渾身の力を揮って大地へと叩き付けた大剣。刃に宿った魔力が地を奔って隆起を引き起こして行く様を見届ける中で、ふと感じたのは歓喜と悲哀が入り混じった情念。時代を生き抜いた英雄と刃を交えられるかもしれぬ喜びと、全力を出して相手をしてはならないと言う悲しみ。
 しかしこれは致し方の無い事なのだ。全力を出してしまった挙句に彼女を殺してしまったとなれば、その後に待ち受ける未来がどうなるかは容易に想像がつく。あくまで己は時空防衛連盟の一員として、歴史を保護する為に戦っているのだから、こればかりは諦めるしかない。

「流石は将軍。一筋縄にはいかねえってか……!」

 天を衝く勢いで飛び出んとする岩柱。山羊を狙った物は、何とも恰幅の良さが目立つ筋肉質な眷属によって粉砕されかけている。ならば此処は放っておくのが正解だろう。わざわざ危険を冒してまで突貫するだけのメリットがあるとは言い難い。
 そしてもう一人。マロンを狙った物がどうなったかを見て、思わず驚愕と感動の余り呆然としてしまう。天下一品とも謳われた武芸の程度、書物に記された文書から膨らませた想像を遥かに凌駕している。
 岩柱を破壊されるならまだしも。あの重厚な巨剣を手にしたまま、この岩柱を飛び越す程の跳躍を見せ付けられたのだ、驚くしかあるまい。

「チィッ……!」

 一瞬で間合いを詰めて来た彼女が放つ袈裟切りを、此方も大剣を以て受け止めんとする。刹那、全身へと襲い掛かかる暴虐的な衝撃。剛力によって繰り出される剛撃が生み出す威力は途轍もない物で。
 結果として耐え切れずに、地面を離れて後方へと吹き飛ばされる事となる。それでも追撃から身を守るべく体勢を立て直して剣を構え直し、次なる行動へと打って出る機会を探る。
 そして、何とか敵の攻撃を凌ぎ切ったシフォンの繰り出す攻撃に合わせる形で、大剣を頭上に掲げて次なる攻撃の詠唱を開始する。

「天より堕ちるは焔の魔星……天墜・焔星!」

 地属性と火属性の複合技。彼等の頭上に出現した、紅蓮の焔を纏った小さな塊。急速な勢いで肥大化して行くそれは、小石に始まり巨大な岩塊へと姿を変えて。詠唱が完了したその時、その塊は落下を開始する。
 着弾を許せば、引き起こされるは広範囲に渡る高威力の大爆発。この酒場を吹き飛ばす程の威力は無いにせよ、直に喰らえばどうなるかは容易に想像出来よう。

>ミルグラム・ゴート マロン・アベンシス シフォン・ヴァンディール

6ヶ月前 No.217

まあ偉いローマ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_kuu

【グリア村/池/カリギュラ】

 烈震喝砕、大地を抉り取る暴力の具現は、しかしあくまでも牽制。
 本命の一撃は焔使いの少女ニケを狙い、その肉体を消し飛ばさんと純粋な質量の暴力を叩き込まんとする。
 古来より衝撃力の基本であり奥義と呼べるものは、その重さによって作用される。攻撃の終着点など、極論であるが言ってしまえば如何に大きな質量の物体を如何に素早く叩き付けるかで決まるのだ。速度と重量こそが打撃力に直結するものであるというのならば、カリギュラという英霊の超速度による打撃は即ち命中と同時に引導を渡してもおかしくはない。

 そうならなかったのは、単に相手の判断速度だ。
 目の前の弾丸に物怖じせずに距離を取り、岩石ごと突き破って現れるカリギュラの打撃を凌いで見せた―――その代償は決して小さくない、二度も三度も今のような立ち回りを可能とするわけではあるまい。
 速度と打撃力を兼ね合わせた暴虐皇帝カリギュラを前にした上でのその損失は甚大なものだ。懐に飛び込んだカリギュラから逃れるだけの機動力はもうこの少女にはない、当然のことながらカリギュラの打撃力を凌ぐための防御も恐らくはない。彼が行った牽制と本命への対応を見れば、ニケ・エタンセルという人物のポテンシャルが文字通りの“火力勝負”に偏重していることは明らかだ。

「捧げよ………捧げよ、捧げ………」

 狂戦士に理性はない。だが理性が無いからこそ、その暴虐と蹂躙は留まるところを知らない。
 彼のもう一つのスキルの名前を“加虐体質”―――カリギュラは闘いが長引くに連れて、より攻めが苛烈に、守りが雑になる。時の経過に応じてその苛烈な精神に引きずられた肉体はより多くの血肉を、魂魄を求める。
 それは月に魅入られたもの。運命に弄ばれ、月下に吼える血紅の皇帝。
 彼は供物を求めている。彼の王は肉を裂き、魂を備えるべく、霊基の負荷を恐れずにその力を強めていく。単純な攻撃性能という意味では、こと狂戦士カリギュラの右に出るものなど此処には居ない。

 ならばその止まらぬ脚を止めるものこそ、たった今形作られた熱の具現か。
 天へと昇り、王を討つべく象られた龍は、至近距離ゆえに回避を許さない。
 表裏反対の性質を持つそれは、しかし“熱を操る”という点においては決定的に似通っている。
 その感情は凍て付くことで全てを奪い去る灼熱乱舞、その感情は熱を持ち滾る絶対零度。叛逆者ならではの、簒奪と反旗を翻すものならではの、王を討つには相応しい連携の一矢。
 確かにこれを撃ち込めばカリギュラは止まるだろう。さしもの彼も、これを咆哮一つで消し飛ばすような真似は出来ない。対魔力スキルも持たず、そもそもの性質からして極めて前傾姿勢にならざるを得ない暴君に対する面制圧は極めて効果的だ。


「捧げ、………ぉ、おおおおうっ!!!」


 故に彼は、氷炎の龍に飲み込まれて絶叫する。
 肉体から血が噴き出て、再生した場所がまた焦げて凍て付く。
 回復が追い付かないほどのダメージが肉体に刺さっていく。
 龍の牙は天上へと立ち昇り、その喉笛を食い千切るだろう。その有様は苛烈にして暴虐、ある種護するものとしての性質を兼ね備えた一撃だ。立場が違えばそれは侵略者だが、カリギュラという王を打ち払うための力として此処に確かな効果を挙げた。

 ………だが。

 だが、だが、しかし。
 消滅しない。倒れもしない。暴力的な奔流に飲み込まれておきながら、霊基崩壊の兆しもない。
 龍が過ぎ去り、その熱が雪を溶かして蒸気を立ち昇らせておきながら、まだ気配が見える。

 もしもその龍の内側が、急激に上下される熱の内側が見えたのならば気付くだろう。
 あるいは蒸気の内側、未だ白に染まった世界の中を覗くことが出来たならば理解もしよう。
   、     、、、、、、、、、、、、、、、、
 そう、微かだが。暴虐皇帝カリギュラが前進しているというのは如何なる理屈なのか、と。


「余は、捧げよう」
「命を、魂を、糧を、すべて、すべて!」


 その答えなど言うまでもない。
 彼の内側で、仮令言葉を発している時でも狂気は燻ぶっている。
 戦う時にこれらは加速し、膨れ上がっていく力はやがて自身さえも食い潰すほどに強大化する―――カリギュラという男が、四年の短い統治の中で朽ち。されども、四年の間に暴虐の限りを尽くしたように。

 嘗て在りし栄光は、彼に王権という名の力を与える。
 嘗て賜った寵愛は、彼に狂気という名の力を与える。

 それが意味するところは、皇帝特権による自己回復魔術の行使に加えた、単純な自己強化。
 障害すべてを踏み荒らしてひた走る、暴走機関車。

 それを止めるにおいて、言うに事欠いて熱などと。八熱の地獄でさえも及ばない。


   、    、・・・・・・
「余に、ローマに、滅びゆくもののためにぃいいいいいっ!!!!」



 続いて、龍の内部から逆走するように“炎”が吹き荒れた。
 二人が用いた熱とは全く異なる、狂気の熱だ。
 皇帝特権によるスキルの一時習得と宣言………潤沢な魔力供給あっての所業である、魔力放出によるジェット噴射。奇しくもカリギュラの中に蔓延る闇を、愛無き獣のたましいを、月より賜った狂気という名の熱を力としたそれは、炎の性質を帯びるに至っていた。
 それが、まるで意趣返しのように横薙ぎに振り払われる。
 さながらバーナー、拳を薙ぐに合わせて叩き込まれた炎の鞭を思わせる放射は、目に映るもの全てを焼き尽くす。ニケもパメラも例外なく、その狂気という熱を魔力《ちから》と変換した魔力放出の暴力だ。

 彼の治世を継いだ薔薇の皇帝の如く、剣ならぬ拳には炎が宿る。
 暴走じみたそれは自らの腕さえも焼くが、英霊の肉体さえ焼く超高熱は仮令他の熱さえも食い殺す。


「う”―――ぉおおおおおおおおおっ!!!」


 続いてその拳は、先程までのそれとは決定的に様子が異なっていた。
 ニケをもう一度狙うように叩き込まれたストレート。
 豪速かつ剛力、されども狙いは直線直球。

 ………違うのは、此処からだ。
 それを放たんとした英霊カリギュラが、しかし直前で直角に曲がるように動きを変えながらニケの視界に立ち止まると同時に足元の雪を巻き上げて妨害し。
 その間に再度加速して突進したかと思えば、やや離れた位置にいるパメラの頭部を殴って頭蓋ごと叩き潰さんと接近、奇襲じみたその剛拳を撃ち込んだという事実である。
 意地も悪く、ニケが何らかの対処を行える程度の減速を掛けたのは、前述の通り彼女の視界をふさぐため。
 そして、彼女に“何らかの対処を行わせる”ことで攻撃の妨害を不可能とさせるため。
 ………しかし直角に曲がったその後と来れば、立ち止まった瞬間を利用した再度のスタートダッシュによって大きく加速が掛かっている。もしもパメラが狙った対象をニケと判断したのならば、まず完全な回避なんぞは望めまい。

 先程までとはあまりにも行動の基礎が違う、鋭敏にして確実な殺し技。
 理屈としては“フェイント”というものである。当然、その豪拳を真っ当な手段で防ぐことは適わない。
 パメラが行う防御が粗雑な防御であろうがそうでなかろうが、構わず砕き、その肉と骨と、ことによっては魂さえも彼は穿つだろう。

 ………ところで、何故ニケではなく、そちらを狙ったのか。
    その理由は、もう一度彼の“加虐体質”というスキルの本質を語ることで結論としたい。

 彼は闘い続けるだけ攻めが鋭敏になる。より的確に相手を嬲り、より残虐に相手を殺す。
 ニケ・エタンセルを狙うに当たっての最適解がなんであるのか、あの一瞬で判断したというわけだ―――。


>ニケ・エタンセル、パメラ・エンドネル

6ヶ月前 No.218

麗人? @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【ナコーン/市場/ショコラ・ヴァンディール】

憐れ。傍から見ても明らかなまでに激昂・憔悴し、言葉にならない呟きと憎しみの怒号を交互に発する敵の女性に対し、ショコラが感じたことはこの二文字に尽きる。
決して彼女に罪はない。完全な巻き添えという形で人生を狂わされ、最も楽しいであろう時間を奪われてしまったのだから。そしてその痛みと悲しみを埋め合わせる手段は存在しない。
例え青髪の女性やその姉を探し出して抹殺したところで、彼女の心は全く以て救われないはずだ。だからと言って代替案を提案できるわけでもないのだが。
とにかく今の彼女がやろうとしていることは絶対に止めなければならない。それだけは確かだった。

「過去に囚われていたら、何も変わらないわ!」

遂に防衛陣が決壊し、岩石の弾幕を潜り抜けた幾本かの針がショコラを襲う。三、四箇所を掠められた上に、一本は剥き出しの太ももに突き刺さり、彼女の左足は瞬く間に血に染まっていく。
思わず絶叫しそうなほどの痛み。しかしショコラは毅然とした態度を崩さず、普段からそうしているように自分の心の内を正直に曝け出した。
ラガルデール抹消に固執し辣腕を振るったところで、何の解決にもならず、未来へ進むことも能わない。過去に縛られ永遠の現在を彷徨うだけだ。
そんな声を僅かにでも届けるべく、次の一撃をなんとしても防ぐ決意で新たな技を繰り出す。
前傾姿勢で力を溜め、胸いっぱいに空気を吸い込んで跳躍。空中で数回転した後に、叩き付けるようにして地面に魔力を撃ち込む。彼女の強靭な意思を受けた大地は猛々しく怒張を繰り返し、土木と岩石の入り混じる巨大な壁を作り出したのだった。
まるで生を受けたかのような挙動で血を割り迫りくる針も、この分厚いどころの話ではない守りの前には無力。完全に阻まれる形となり、ショコラには今度こそ反撃のチャンスが訪れる。

「はっ!はぁッ!

『パルクールストライク・改』!」

展開したばかりの巨壁と新たに浮揚させた岩石を利用し、再び素早い動きで高度を上げていく。そうして20m程の高さに達したとき、先程の『パルクールストライク』を遥かに上回る一撃が繰り出される。
魔力の塊が大気を唸らせ、敵目掛けて突き進んでいく。そしてショコラは、勝敗は言わずもがな、自分達の一撃が相手の目を覚まさせることを心のどこかで願っていたのだった。

>>ソレミア・ラガルデール、カシュタン・コルーカル

6ヶ月前 No.219

人の皮を被った悪魔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ロンカ村/民家/付近沿道/ノエル・マッケローク】

魔道帝国と反帝国勢力の戦いは、長期戦の様相を呈していた。時空防衛連盟と歴史是正機構の介入の影響もあるだろうが、それよりも大きいのは、反帝国勢力の士気の高さだ。
彼らは同じ目的のために団結しており、時空防衛連盟という心強い味方の登場もあって、勢いに乗りつつある。反面、魔道帝国側は意志の統率が上手くいっていないのか、やや押され気味だ。
それでも圧倒的な地力の差があるため、すぐに危険ということはないだろうが、このまま流れに飲まれるようなことがあれば、よもやの敗北を喫してしまうかも知れない。
ノエルがロンカ村に降り立ったのは、丁度悪い空気が帝国軍を支配し始めた頃であった。彼女は周囲が焦燥を覚える中でも、至ってマイペースに、戦況を見つめてる。

「パージルクさーん、気を付けてよー。こんな村を放っておいたばかりにさー」

大陸の北、雪に閉ざされた小さき村。人口は多く見積もっても百人程度。パージルクはどうして、すぐに捻り潰せるようなこの村を、今まで放置していたのか。
確か、村に第一人種がいるとかなんとかだったような気がするが、従わないのなら殺してしまえばいいこと。ノエルは主に対する悪態を付きながら、そう考える。
それにしても、ほとんど戦力がいない割には、奮戦しているものだ。自らの住む場所、故郷を奪われたくないという気持ちが、彼らの背中を押しているのかも知れない。
では、その心の拠り所を消してしまったら、どうなるだろうか? 戦いに勝っても、もう帰る場所はないのだという現実を突きつけたら、彼らはどのような反応を示すだろうか?
彼女は悪魔の如き作戦を、実行へ移そうとしている。何の罪もない人々の命を大勢犠牲にし、あまつさえその暮らしの痕跡までをも消し去るような、冷酷非道な作戦を―――

「ちょっと面倒だなー、火でもつけちゃおうかー。村を囲むようにねー。誰も逃げられないようにしないとねー。家にも火を付けようかー」

その発言に、ノエルの周囲を固めていた近衛は、耳を疑った。ロンカ村にとっては悪である、魔道帝国の者であっても、普通は考えないような作戦。
彼女の命令は、ロンカ村に火を放て、というものであった。反帝国勢力の中心的存在である村を焼き討ちにすることで、彼らの士気を下げると同時に、大きな打撃を与えようというのだ。

『し、しかしノエル様。この村には女帝様のお眼鏡に叶う者がいるやも知れません。焼き討ちで、もしそれらの者が死ぬようなことがあれば―――』
「うるさいなー。そんなに嫌なら君が火種になってよー」
『っ!?』

一瞬の出来事であった。良心の呵責から、下の立場であることを理解しつつも焼き討ちに意見を申し出た近衛の一人。ノエルはそんな勇気ある男に、無情な宣告を下す。
冷たい目線が突き刺さると同時に、彼の背中で火の手が上がった。同時に聞こえるのは絶叫。あまりの熱さに地面を転がろうとする男を、ノエルが踏みつける。
身動きの取れなくなった彼の全身に火が燃え広がったのを確認すると、彼女は自分も焼かれる訳にはいかないと、一人安全圏へ逃れる。もはやのたうち回ることすら出来なくなった近衛は、そのまま無残な焼死体へと姿を変えた。
衝撃的な光景を見てしまった他の近衛達は竦み上がり、急いでノエルの指示へと従い始める。逆らえば、次は自分がああなって殺される……そんな恐怖が、彼らを悪魔の所業へと走らせた。

火、火、火。村中至るところから上がる業火。村人達が気付いた時には、もう遅い。焼け出された村人達は、ノエルの指示を実行した近衛によって刺し殺され、再び燃え盛る家の中へと投げ入れられる。
数分と経たない内に、火は村中を包み込んでいた。牧場も、養鶏場も、宿屋も、広場も。全てが炎に包まれ、そこにあったのどかな景色を、灰へと返していく。
一人、また一人と散る、無実の村人の命。ロンカ村の空は、紅蓮に染め上げられる。悪魔はその光景を見ても、表情一つ変えることなく、時には薄ら笑いすらも浮かべながら、全てが崩壊する瞬間を見届けるのであった。

>ALL
【ロンカ村側のボス配置です。この通りですのでどうぞ全力でぶっ飛ばしてください】

6ヶ月前 No.220

大災厄の残痕 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【歴史是正機構→城塞都市ギリダン/城下町/キラー・テンタクラー】

「ただいまシエンタ! この前はすまなかったな、何せ、初めて見るものだったのでつい手を出してしまったが、聡明な私は、有能な人間の意見をしっかりを聞いた上で、私が食ってしまったケーキやプリンと言ったスイーツを二倍にして戻ってきたぞ!! ……あ、そうだ、見た目褒めるのだったな。 いやぁ、お前は実に――ん?」

先ほどまでシエンタが居た部屋の扉が勢いよく開かれる。
素早く部屋の中に入って、自信満々に、機械触手の先端部分で持っている幾つかのスイーツを居るであろうシエンタに見せびらかしながら、謝罪と、二倍にして戻ってきたと言う報告をする。
しかし、それだけではなく、見た目を褒めれば喜ぶと言う事をフォルトゥナから聞いていた事を思い出し、とりあえず思いついた十箇所ぐらいを褒めてやろうと、その勢いのまま褒めちぎろうとするが、ここでようやくキラーは目の前にシエンタが居ない事を確認した。

「あ……座標確認! 案の定ロスト! これは……乗り遅れた! 今すぐ――あぁ冷蔵庫に入れねば溶ける!!」

すぐさま、彼女の携帯に潜ませているドローンウィルスの座標を解析する、予測どおり、シエンタはこの世界の何処にも居なかった。
ばたばたと支度をしてさっさと部屋を出て行こうとして、即座に手に持っているケーキやプリンを思い出して冷蔵庫へとUターンを決めながらも、キラーはそそくさと時空移動へを向かった。

それが数十分前。
そして、一度彼が古代、つまり、シエンタと同じ世界に赴けば、幾ら違う土地に飛ばされても、彼には即座にシエンタの下へと駆けつける手段があった。 彼の子機に当たるドローンウィルスにはリンク機能があり、キラーに居場所を転送すると共に、インターネットを経由しての光速移動の移動先として機能する。

が、残念なことに古代には、その移動路であるインターネットが無い訳で……必然的に、キラーは走ってシエンタの所へ向かうことになった。 ……幸い、ギリダンに出ていたようで、すぐに姿を確認できた。
しかし、様子が妙だ、変なのが居る。 と思ったらぞろぞろと兵士が出てきて、その男を取り囲んだ、かと思えば、シエンタがそいつに雷球を飛ばした。

あぁ、アレ敵か!!
そう思ったキラーは、音を出さないようにその男の背後に陣取って、自分の攻撃手段でもある、中央部が赤く光る、群青色の浮遊しているクリスタルのような見た目をしたドローンウィルスを四基展開して、そして叫ぶ。

「そしてこれが芸術的不意打ちと言う物だ!! 第十七電磁対人光線、照射ーッ!! …………ロングレーザー!!」

もしも、その無駄に長くて理解しづらい漢字名を言った瞬間、ドローンウィルスからレーザーが放たれれば、彼の言う通り『芸術的不意打ち』は成功したのかもしれない。
が、実際の所は、撃たれなかった。 と言うのも、ドローンウィルスの音声認識できないような『創作名』を勝手に叫んだだけだからだ。

諦めたようにキラーは再度、正式名称を叫べば、四基のドローンウィルスの赤い光が輝きを増したかと思うと、それぞれが敵対者に対してレーザーを照射する。
……問題があるとすれば、叫んでから実際の発射までに結構な時間が掛かったため『後ろから何か来ると言う事は相手にバレバレ』と言う点だ。

>スターロード シエンタ・カムリ


【絡ませていただきますー!】

6ヶ月前 No.221

蓼科祈 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4


【 ロンカ村/宿屋→民家/→付近沿道/蓼科祈 】

 ――燃える音と焼けつくような大気が肌に張り付いたことで、目が覚めた。

「なに……!?」

 飛び起きれば景色が先程のものから一変、ぱちりと火の粉舞う紅蓮の波が広がっていた。柱も床も扉も。何もかもが燃えている。
 真っ赤に。留まることのない灼熱が忍び寄るように木造家屋を這いあがり、炎に包み焼き焦がしていた。
 窓から見える他の景色も変わり果てている。残っていたはずの民家はほとんどが紅く燃え盛っており、並び立つ火球と変わり果てている。
 逃げ遅れた住民がいる?
 脳裏をよぎる考えを振り払う。
 拳を握る。ほんの少し、微細に小波のように肉体が震える。
 紅蓮の棺桶。真っ赤に燃える眠り場。まして焼き討ち後、残るのは灰燼のみ。

「――ッ」

 窓を突き破るように飛び出した。何処だ、何処だ。何処にいる。これを行った首謀者は何処にいる。
 無辜の民を迫害し無暗に徹底的に焼き払うような外道は。
 戦術家を謳い弱者を蹴散らす大国の正義を掲げる非道者は何処にいる。
 、  Not a Hero
 正義を語るつもりはない。
 だから、――許せない。抱いた感情のままに、激情を薪に心を猛らせ燃やしてゆく。
 炉にくべるは己の正義。この戦いに義などありはしない。
 ならばこそ断ずるべきと感じたのならば加減は不要。その全てを破壊する。根こそぎ削り取り根幹を抉り取りこの世から消し飛ばす。
 邪悪なる者一切を無へと還そう。ただ安らかな世界へ、消えるように撃ち滅ぼす。

 街路を走る。
 街に配備されていた兵士の首に的確に一撃を叩き込み昏倒させながら、駆ける、駆ける、駆ける。
 服がなびく。体が服を押す。動けと命ずるよりも先に足は動き続ける。走る。走る、走る走る!

 そして見つけた。
 兵を引き連れた一団を。

 感じる焦熱。
 紅蓮の海の真ん中に立つ桃色の髪――コルセットドレスを着た女<首謀者>。
 焦げた死体を一瞥し眉を下げ、顔を顰め対峙する。

「念のために聞くけど。
 村燃やしてるの、あんた? ああ、はぐらかさないでちょうだい」

 ――ザリィ、と大気が悲鳴を上げる。
   蠢くように祈の体を走っていた破壊の光が両の手に収束する。

「――今最ッッ高に機嫌が悪いのよ! よくもこんな景色を見せてくれたわね!」

 返答はどっちでもいい。
 此処にいるのが決定的証拠。
 挨拶代わりだ。左右それぞれに収束した破滅の球。
 熱量を秘め、消滅へと誘う二発の魔弾が腕の動きに応じ――ノエルへと射出される。

>ノエル・マッケローク ALL

6ヶ月前 No.222

ギギナ @koki☆iOEaToagbI2 ★P24UIEe7ZZ_D9v

【 ナコーン/森林/ギギナ 】

 「…昔、貴様のように口だけは一流のものと一緒に仕事をしたことがあって時代が時代であれば扇動者になれたというが貴様も同じ口な様だ」

 相手から放たれる未来を作るためには誰しもが強くならないといけないという理想を言葉というよりも絶叫に近かった。弱者など自身の世界には存在しないような態度は戦いを求め強敵としか自身の気持ちを分かり合えないと考えている自分とどこか似ているところがあったが、だからといって弱者を殺していいなど、正義感というよりも自身の誇りが許せなかった。

 「…貴様の様な口だけの軟弱者など腐るほど見てきた。それに軟弱者をすべて殺しつくしたところですべての人間が強くなるなど夢物語だ。」

 お互いの間合いで放たれたお互いの刃。屠竜刀で受け止め衝撃で踵を地面に引きずりながらも返し刃で細首をはねようとしたところで目の前で雷光が光る。衝撃を耐えるのではなく受け流す形で跳躍、反転し地面に着地したところで先ほどの言葉を続けていく。彼女が定義する弱いものをすべて殺しつくしたところで理想郷ができあがるとは思えない。 屠竜刀の切っ先を相手へと向け"貴様の都合で殺された人間がそんな勝手な理由納得するわけがない"と言葉にしていく

 「…私としても数を頼りにする戦いは好きではない。私の誇りにかけて貴様を生かしておくわけにはいかない」

 周りの人間が増えてきたところで大気が冷たくなったと感じたときには世界が一変していた。周りを隔てるかのように氷の壁ができあがっていた。壊せなくもないがそのような無駄な労力を使っている暇はない。今は目の前にいる敵を手にかけることを優先。自分の信じる心情にかけて弱者なら殺してもいいと勝手に判断する相手を生かして返すつもりはなかった。

 こちらから攻勢を仕掛けようとしたところで周りの地面が爆裂、一撃一撃全力でこちらの命を取りにきているのを感じた。単純な戦闘技術に関しては負けるつもりはないが、いつまでも相手の戦いをさせるつもりもない。爆裂が起きるのと同時に蜘蛛絲(スピネル)を発動、屠竜刀の切っ先を中心に粘着力のある蜘蛛の糸を周りの木に括りつけるのに合わせて彼女の剣先が到達。

 自身を守るために生成した蜘蛛の糸に稲妻が纏った剣先が吸い寄せられ顔を切断させんとたわむが竜が身を捩る頬に到達せず弾性限界に到達。引っ張られていった糸が元の形に戻ろうとするようにたわんだ分だけ蜘蛛の糸が元の形に戻るべく慣性が働くのにあわせて下段で屠竜刀を振り払い防御姿勢をとる隙も与えず非情の刃を放とうとして

6ヶ月前 No.223

爆炎 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【グリア村/池/ニケ・エタンセル】

猛り爆ぜる炎と極み凍てつく氷の共演。本来相反するはずの二属性が溶け合い、絡み合い、猛々しくも神々しい氷炎竜を形作る。互いを強く信頼し合うニケとパメラだからこそ出来る連携技、その名も『シンヴァルツブリザード』。
竜の逆鱗に触れたも同然の狂戦士は渦中へと姿を消し、今度こそ勝負が決着する...はずだった。勝利を信じて疑わないニケの眼前、もうもうと立ち昇る湯気の中に佇む人影。
ヤツは生きていた。確実にダメージこそ通ってはいるものの、その暴走度合いと他に比肩しうる者の無いであろう力は更に増してしまった。どのような原理の元に行われているかは不明だが、理性という名のリミッターに縛られた人間には到底不可能な所業である。
そこに加えてさながら意趣返しとも言うべき横薙ぎの熱線。持ち前の身体能力を活かし跳躍することで回避できたが、このままでは劣勢からの巻き返しなど夢物語に終わってしまう。

―――だったら。

「もう一度だ、パメラァ!」

痛みを吹き飛ばし気合を入れるが如き一声、炸裂寸前まで充填される灼熱のエネルギー。アレをもう一発叩き込み、勝負を決める。そう意気込み発動に踏み切ろうとしたところで、またも男からの反撃に見舞われる。
こちらの戦い方が恐らく読まれているのと同じく、相手の太刀筋もそのほぼ全てが掴めているはずだ。豪速で距離を詰めてからの痛打、その際に若干の搦め手を交える可能性アリ。
全く同じ手を使ってくるわけはないが、一度失敗をしでかしているだけに、ニケには"冷静に動きを読む"という選択肢があった。それに決して目で追えないスピードではない。
そうやって短いながら一挙手一投足に目を配ることで一つの発見があった。それは繰り出す技が違うなどといった単純なものではない。洞察と本能のもたらす訴えがニケに警告する。"敵の狙いはお前ではない"と。

そしてその予測は当たった。拳が命中する寸前に動作を中断し、足元の雪を巻き上げて視界を遮ろうとする狂戦士。身体を後ろに引きながら溜め込んだままのエネルギーを炎に変え、瞬時にこの目眩ましを無効化する。
やはり彼の狙いはパメラを潰すこと。今から助けに入るのは不可能だ。ならば自分にできるのは「決着を付けにかかる」こと、ただそれだけ。例え傷ついた足が壊れようとも構わない。

自分を受け入れてくれたロンカ村。一切を失った自分に微笑みかけてくれるパメラ。ニケの小さな双肩には、守るべき多くの命がかかっているのだから。

「シンヴァルツ…ッ

!?」

地面から噴き出す焔弾を一か所に集め、渾身の蹴りで以て射出…しようとしたその瞬間、ニケは信じられないモノを目にすることとなる。それはロンカ村の方角から立ち昇る黒煙。
狼煙や焚き火では済まされない規模の凄まじい煙が、天を焦がさんばかりに雪山の向こうで燻っている。

疑いようもない。ロンカは襲撃を受けたのだ。恐らく焼き討ちを受けたに違いない。本来なら何よりもニケの戦意を削ぐであろう最悪の事態。だが。

「うらァァァァァァァッ!」

現実はその真逆であった。怒りが、悲しみが、憎しみが、あらゆる負の感情が却って彼女の炎を強くする。まるで狂戦士が発するソレのような怒号と共に撃ち出される特大の火炎弾。
これだけには終わらない。更に地表を破り敵目掛けて突き進む熱線が8本。最後にニケ自身も前へ飛び出し、最初に放った火炎弾にもう一撃、強烈極める蹴脚を叩き込んだ。
迸る怒りの奔流。血の涙を流しての畳みかけ。果たして劣勢続きの戦況を打開する決め手となるのだろうか...?

>>パメラ・エンドネル、カリギュラ


【炎上する村の救援等で、次レスで撤退させようかと思います!】

6ヶ月前 No.224

北方守護騎士 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【多分最後の自演です、これ以降パージルクもギリダン側のボスとしてどんどん来て頂いて構いません】

【城砦都市ギリダン/玉座の間/パージルク・ナズグル】

瞳が、ノエルを見つめていた。 それは彼女に対して『一斉攻撃』の命令を伝えた炎を象った使い魔の目玉だ。
その見た目は炎から目玉だけが浮かび上がっていると言う異形の物だったが、何もパージルクは他の将軍にも似たような異形を派遣した訳ではない。
これは前々からノエルの問題行動が魔道帝国内で持ち上がっていたからこその、監視処置だった。

と言うのも彼女は、たびたび第一人種の同胞と揉め事を起こしている、それだけならばまだ良いが、どうにも彼女は……第一人種の部下を私刑にかけていると言う噂が持ち上がっている。
もちろん、彼女はそれ以上に魔道帝国の功労者だ、しかし、だからこそ……責任と言うものが付きまとう。

魔道帝国にある限り、第二人種への虐殺は認められても、第一人種への攻撃は一切認められない、故に、監視用の使い魔をノエルに派遣していたのだ。
そして、それが捉えた物は……近衛、つまり、第一人種の殺害、さらには"所有者が決定していない領土への過剰攻撃"だ。

一見、後者に関しては他の将軍にも言える事だと思うかもしれない、しかし、厳密には違う。 既に所有者が決定しており、その上で女帝命令と所有している将軍が許可を出すことで、攻撃は認められており、それにしたがって、特にナコールのカシュタンなどはルールの中で虐殺を行っている、だが、ノエルの物は……何れ他の将軍の物になるかもしれない領地への焦土作戦に等しい。

故に。

「困った物だ……時空防衛連盟の者が居なければ、エスメラルダやエスト、マロンといった適任の者を送れた、が……ギラードしか居ないか、仕方があるまい。 ……守りが消える、か、ならば、侵攻者は妾自ら迎え撃つしかないな」

【城砦都市ギリダン→ロンカ村/玉座の間→民家/付近沿道/氷魔像ギラード】

城砦都市ギリダンの玉座の間の入り口には、無数の氷塊が転がっていた、それは、この玉座の間に侵入を試みた者の末路だ。
それを実行するのは、氷魔像ギラード。 彼はロンカ村に特別な思いいれがある、だからこそ、侵攻作戦に投入するのは酷だと感じたパージルクが防衛側に回るように取り計らったのだが……主要な将軍が既に出払っている今、ノエル粛清の任を受け取れるのは、彼だけだった。

だが、その命令を受けた時、ギラードは一切心を動かさず、その任務を承った。

「お心遣い、感謝します。 しかし、我はもはやあの村を捨てた身、今更拒む事はありません。 では」

その言葉を残して、ギラードは雪を含んだ暴風と共に、玉座の間入り口から消えた。
もはや玉座の間を守る最後の防衛者は消えた。 他の防衛者が戦闘に入っている今、玉座の間に足を踏み入れるのは容易な事となった。

彼の正史とは、この場に留まり続け、敵対者を迎撃し続け、そして全てが終わった後、ロンカ村が全て焼かれた後に、この事を知って怒り狂うことになった。 だが……今、奇しくも時空防衛連盟の介入によって戦力バランスが変化し、本来出撃するはずだった将軍が軒並み戦闘中になってしまったことで、彼に白羽の矢が立ったのだ。

そして、舞台はロンカ村に移る。
そこに広がっていた光景は、すべて報告通りの物だった、もはや、パージルクの名の下、反逆者を粛清する事に意義を唱える者は居ないだろう。

……上空から無数の氷の矢が降り注ぐ、それらはノエルを援護する物では断じて無く、むしろ、せっかく彼女の付けた炎を凍てつかせるような場所に氷の矢が着弾し、一気にその炎を消火する。
またこの地に極寒の風が吹き荒れ、ノエルの前方に、氷魔像ギラードが現れる。
しかしそれは、心変わりを起こして、魔道帝国からロンカへと寝返った訳ではない……魔道帝国近衛として、この場に現れた。
だが、結果的にそれは、ロンカ村を助ける事になる、のかもしれない。

「魔道帝国将軍ノエル・マッケロークに、魔道帝国近衛ギラードが通達する。 お前は第一人種と言う大罪を犯したにも関わらず、その上で領土決定がなされていない侵攻地で無用な破壊を行っている。 これは、特に前者については極刑に値する重罪である……お前が抵抗した時のための別働隊もギリダンより出撃した。 ……速やかに武装解除し、全ての隠蔽した行為を女帝パージルク様に報告せよ。 さすればこの場は我が引き受けよう」

ギラードの四本の腕のうちの三本にアイスソードが、残った一本にアイスシールドが形成され、ノエルに警告する。
もしも彼女が罪を洗いざらい吐き、女帝の前で報告を行うと言うのならば、結末が変わる事もあるだろう、そのため、速やかに武装解除して帰還するのならば、今まさにノエルに向かって攻撃してきた能力者や、この騒ぎを聞きつけて集結するであろう敵対勢力の相手をしようと語った。

だが……もしこの程度でノエルが折れるなら、このような事にはなっていないのだ。

>ノエル・マッケローク 蓼科祈


【所属勢力は魔道帝国のままですが、取り合えず今回のギラードは味方側と処理していただいて大丈夫です】

6ヶ月前 No.225

亡国の末裔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ナコーン/市場/ソレミア・ラガルデール】

ソレミアの言葉を聞いた相手の動きが、一瞬ピタリと止まる。これまで隙という隙をほとんど曝してこなかった彼女にしては、信じられないともいえる行動。
それでも反撃に針を振るおうとした敵を見て、ソレミアも身構えるが、再び彼女は立ち止まってしまった。隠してはいるものの、どうやらかなり動揺しているようだ。
もしかすると、王国が健在だった頃には年端もいかない少女であったはずの彼女にも、当時の記憶が薄っすらと残っているのかも知れない。
復讐心と愛国心の狭間で揺れ動く感情。コルーカル家の人間は、ラガルデール王国を愛していた。最期の時まで国のため、主のため、命を捧げた。
決して美談で片付ける訳にはいかない。王国が混乱に陥らなければ、こんな悲劇も起こり得なかった。されど、過去を変えることなど、誰にも出来やしないのだ。

「貴方のいう復讐は、本当にそれで果たされるの? 私を殺して満足だというのなら、それでもいいわ。けれど、貴方を虐げた連中は、もう報いを受けた。これ以上、貴方が自分の手を汚す必要はないのよ」

ブールーン民主共和国の者達がどうなったかは、彼女が魔道帝国に属する者であれば知っていることだろう。彼らは皆死に、自らの所業の報いを受けさせられた。
彼女を幽閉し、その品位を怪我した者達は、既にこの世にいないのだ。だからこそ、これ以上復讐の道に走ったところで意味はないのだと、ソレミアは語り掛ける。
自分を殺したければ、好きにすればいい。しかしそれで、本当に彼女の木は晴れるのか? ラガルデールへの復讐を、コルーカルの一族は本当に望んでいるのか?
恨みに囚われ、自らを見失ってしまった悲しき少女。彼女もまた、混迷の時代に翻弄された者の一人。これ以上、悲劇を繰り返す訳にはいかない。負の連鎖を、ここで断ち切るのだ。

銀の刃が敵を斬り裂くと同時、ソレミアもまた、相手の操る触手のような針に脇腹を貫かれていた。鈍い痛みが全身を駆け巡るが、今ここで歩みを止める訳にはいかない。
姉は、きっとどこかで生きている。再会を果たすその日まで、自分は泥水をすすってでも生き延びねばならないのだ。味方の女性が覚悟と共に飛翔したのを見て、ソレミアも続くように地面を蹴る。

「約束するわ。私達は二度と、貴方のような人間を生み出さないと」

ソレミアは相手の女性に語り掛けるかのように、あるいは自らに言い聞かせるように、決意の言葉を呟くと、地中から白金の成分を取り出し、左手に白金の剣を顕現させる。
右手に携えられた黄金の剣と二対となったその剣の輝きは、至高そのもの。神々しい光を宿した聖剣が、少女の抱える凄惨なる過去の闇を斬り払う。

>カシュタン・コルーカル、ショコラ・ヴァンディール

6ヶ月前 No.226

Futo・Volde @nonoji2002 ★7KU5qNWZJU_D9v

【ロンカ村/牧場/アベリィ・シルバラード】

「家畜はいわば、身分の違いのようなものだと思うけど」

家畜は家畜。人間と動物は違う、という考え方は欧米では昔からある。
とは言え、時代が進み、[人間]のルーツが明るみになった今、“人間は、動物は、それぞれ神が作った物”という説は否定されている。元々あの宗教は進化論を否定してきていたが、現実は無常と言うべきか。でも思えば、あの宗教は天動説を唱えていたような気がしなくもない。
人間を含めた動物は、地球と言う命の惑星において、時代時代の気候・生活の変化に合わせて常に進化・退化して来た。アベリィの実家であるシルバラード家はそこそこ教会に顔を出すような、教徒だった記憶があるが、今のアベリィは宗教よりも、事実をただありのままに受け入れる様な、そんな感じで生きている。言ってしまえば、興味がないのだ。

「まぁ、予想はしてたんだけど」

ふと、口に出るこの言葉は2つに対しての答え。1つはアベリィ自身が溢したふとした疑問に対する、相手の回答に対して。もう1つはこちらからの攻撃をすべて防がれたこと。とは言え、こうなることは想定済みだ。そもそも、自信満々に宣戦布告するような人物がこんなヤワなわけがない。銃を知っているのなら尚更だ。

「その程度なの? まぁいいや、次は私の番だね」

薄く引き伸ばされ、鞭のように振るわれるワイヤーが二方向からこちら目がけて放たれるのを見逃すことなく、アベリィは動きを読みながらそれをスライディングで華麗に避ける。が、やはり雪の上はやはり少し滑りやすい。とは言え、躱すだけなのだ、多少滑ったところで気にすることはない。
アベリィは通常の弾丸では相手に弾かれてしまう事を改めて理解すれば、今度は徹甲弾の入ったマガジンを装備しつつ、モードをグレネードランチャーへと切り替えて、酸性弾を装填して相手に向けて一発、二発と放つ。相手があのワイヤーで攻撃を防いだのなら、そのワイヤーを溶かせそうな酸を用いた攻撃、というわけだ。

「……まさしく戦場、ってわけね。ついに本気を出してきたって感じかしら」

ヒートアップしつつある、2人の戦いに水を差すような出来事が1つ。それは村に放たれた火の手だ。気付けば、村を包囲するかのごとく、火の手が回り、雪を溶かしながら、めらめらと赤い炎が燃え上がる。ああ、昔を思い出す。戦地で似たような状況があったと。改めて、この地が戦地なのを実感する。遠くから聞こえる村人と思わしき悲鳴や叫び声に、火に驚いて呻きながら怯える牧場の動物たち。あるいは火に呑みこまれた動物も。まさしく“地獄絵図”という表現がしっくりくる。

>アルクール・サンドリンガム

6ヶ月前 No.227

イスマリア @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4

【 ナコーン/森林/イスマリア・ザルヴァトール 】

「軟弱者とはいいますが――軟弱者などこの世にはいない。私はそう信じています。
 だって人間は強いんだもの。気合いと意志と努力と根性で、己を虐げる枷を打ち壊し強くなれる」

 返し刃で首を撥ねるべく薙がれた刃を電光で弾いて逸らす。
 衝撃。相手は受け流す形で跳躍し距離を取って着地。
 相手の目を見て言葉を続ける。
 人は強いと説く。強いのだから心身共にあらゆる全てを駆逐出来る強さにならなければならないと。
 世界を平和にする最善の道はこれだけしかない。

 誰かのために戦う英雄など存在しない。
 何でも願いを叶える魔法使いなど存在しない。
 何処までも何処までも何処までも何処までも何処までも強くなり続け己を磨き続けた先にこそ未来がある。
 それが出来ないのならば潔く死ね。その身分と立場に甘んじ、分相応という言葉に酔いしれる者は死ね。

 一撃。回避を封じ、防御のみに行動を制限するための範囲攻撃。防御を嫌でもしたくなるように弾ける黒い電光。
 地烈。這いまわる雷撃。それに合わせたイスマリアの上空からの奇襲/ギギナが展開する蜘蛛絲<スピネル>。
 木と剣の間に張られた蜘蛛糸。剣先が到達。白い膜が振り下ろす黒雷の刀を受け止める。たわむ糸。弾性。引き斬るのは不可。
 一秒の隙が絶命に繋がる。即座の退避を実行。だが粘性のソレが掴んで離さない。持ち上げる手が重い。刃が何時までも離れない。

 ギギナと目が合う。嵌められた。誘い込み、イスマリアの動きを完全に止めてから防御を許さずに一瞬で殺すつもりだった。
 防御のみを選ばせることが裏目に出た。こちらの領分を逆手にとった罠の配置。

「見事です、――だがまだ死にはしないッ!!」

 よって間に合わない。時間切れ。ようやく刀を引き剥がせたがもう遅い。
 弾性限界から撥ねるように戻る糸。同時にパチンコの容量で勢いづくギギナの屠竜刀。迫る彼の処刑剣<ギロチン>。
 下段。振り払われる刃。添え手を離して異能の過剰出力<オーバーフロー>による激しい電光を"自身の電撃を纏った刀に"叩き込む。

 衝突。炸裂。爆発。衝撃波。吹き飛ぶ木々。吹き飛ぶイスマリア。
 一閃に倒れ伏す前に、強烈な爆発を引き起こすことで流れに任せて大きく距離を取った。
 決して浅くはなく、しかし継戦は十分可能なほどのダメージで離脱に成功する。
 ちくりと痛む。見れば首皮一枚に傷が走っている。つぅ、と滲む血。冷や汗が張り付き肌をなぜる。
 危なかった。後一歩判断が遅ければ死んでいた。

「それに、――あなたにも覚えがあるのではないですか?」

 雷を叩きつけた自身の皮膚は黒く焼けており、服は袖口が燃えて消えていた。
 刻まれているのは数々の傷跡、火傷痕。これら全て、己の異能を制御するために出来た傷。
 力を制御するのにたゆまぬ努力を積み重ね続けた証。椅子に踏ん反り返ることを嫌った彼女の行動の証明。

 何も、――イスマリアは無知であるわけではない。
 何も、――イスマリアは無学であるわけではない。
 民を守ろうと動く者もいた。治安を守るべく動く者もいた。誰かのために身を粉にする者もいた。
 彼らが流した血と汗と涙の努力をイスマリアは見てきている。彼女は認めている。彼らを。

「聖人に群がる亡者。一握りの強者に縋りつく愚民。
 施しに慣れ己の足で立つ事を忘れた愚か者。
 それどころか、施しが足りないもっと寄越せ何をしていると餓鬼の如く手を伸ばし未来を目指す強者の足を引っ張り続ける」

 ――だから弱者が許せない。

「あまりにも、馬鹿らしいじゃありませんか。
 自分で十分に強くなれるというのに、性根が腐り切っているから何時までも未来に生きる者達の肉を削ぎながら生き続ける。
 国王を名乗る者であっても、未来を目指そうとする者達<のうみん>から搾取し続け肥え太るだけの愚図でしかない」

 イスマリアの視る世界<にんげん>は、あまりにも腐り切っていた。
 無償の奉仕を前提として戦う者達もいるだろう。それは素晴らしい。否定はしない。続けるといい。
 それに比べてお前達はどうだ。威光を貰って朽ち果てた己の魂に火を継ぎ足す程度のことしかしていないじゃないか。
 最初は政治家になろうとした。でも駄目だった、これでは世界を平和にすることが出来ない。
 自国の利益を優先すれば必然的に他の利益が損なわれる。矛盾に折り合いを付けることも、出来なかった。
 "諦めなければ理想は実現できる"。そう考え続けなければ――破綻していただろう。いや、既に破綻しているのかもしれないが。

「強くなり、世界を平和にすることは誰にだって可能だ。
 それをせずに庇護されて甘い汁を吸い、立とうともしない時点で――ええ、舐め腐っているのですよ。
 だから殺すんです。殺し殺されるんです。そうして、やっと気づくんですよ」

 ・・ ・ ・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・
「ああ、俺/私は戦える。何処までも強くなれ世界を守ることが出来るとね。
 それが全世界に広がれば――ええ、世界平和は目前です。より良い未来のために、不要な全てを削ぎ落す」

 ――魂の底から輝けるようになるためには、あらゆる全てを打ち倒す力を手に入れ戦い続けることにしかない。
   世界を平和にするには、一人一人の個人から改革を進めていかなければならない。
   だから殺す。真に生き残り、全てを再起したいと誓うのならば、激しい虐殺の嵐の中でも必死に生き延びるのだから。
   強者に媚びることなく、侵攻者に仲間を売ることなく、施しに甘え腐り切るのでもなく、強くなれるのだから。

「さあ、乗り越えてみてください。
 簡単なことでしょう、私の未来<いし>を上回れば良いだけなのですから!」

 宣戦布告、――話は終わり。一対一に持ち込まれたことで改めて浮き彫りになったスペックの差異。
 戦闘経験はあちらが一枚上手。体格も、反射神経も、判断も、その全てが一枚上手。
 ならば、それを埋めるのは異能の差異。第二の異能は返って此方が不利になると判断し、今回は封印。
 基本は一撃離脱<ヒットアンドアウェイ>。それに徹底する。

 異能制御。漂う電光。黒雷を掲げる。輪のように漂う稲妻。
 その全てが複雑な思考制御を基盤に――指向性を持った七本の槍の形を成す。制御<コントロール>、目標視認<ロックオン>。
 走る雷電。眼前の全てを撃ち貫く撃槍<グングニル>。七本すべてが装填<セット>/待機、イスマリアも突きの形に構え直し黒雷を纏わせる。
 吐く息一つ。相手の呼吸を読む。二つ、三つ、
 ――相手が吐いたと同時に再び駆け出し距離を詰め、懐に潜り込めば腹部に撃ち込むのは正確無慈悲な刺突一撃。

 同時に、宣告<ランゲージ>。

 Blitz Versuch
「黒雷槍・連弾」

 発射タイミングを七本全て複雑<ランダム>にずらして稲妻の槍を射出。
 軌道は直線。だが一斉発射に見えるその全てが微細に着弾タイミングがずれている。
 一本の対処が遅れればもう一本が突き刺さるような仕掛けの投槍が、――イスマリアの攻撃に合わせてギギナに襲い掛かる。

>ギギナ (魔大老エスト 桐生戦兎 17代目葛葉ライドウ)

6ヶ月前 No.228

芋娘 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【グリア村/池/→移動中/パメラ・エンドネル】

氷炎の龍が、敵を喰らう。狂戦士の肉体からはおびただしい量の血が溢れ出し、降り積もった雪を赤に染め上げる。決定的一打が、叩き込まれた瞬間であった。
パメラとニケ、出自は違えど、互いを信頼し合う仲。彼女達であったからこそ、成し得た奇跡の連携技。否、これは奇跡などではない、必然であったのだろう。
だが、希望は一瞬にして絶望へと変わる。あれだけの一撃を喰らってもなお、敵が歩みを止めることはなかった。それどころか、先程よりも勢いを増して迫ってきているようにすら思える。
刹那、魔力の暴風が二人を襲う。思わず、目を覆いたくなるほどの威力。だが、勝利の糸口がようやく見えてきたというのに、今更引き下がる訳にはいかない。

聞こえてきたニケの声に反応し、再び連携技の構えに入ったのも束の間、暴虐的な勢いで突き進む狂戦士が彼女を妨害し、攻撃の余裕を作らせない。
だが、それはフェイクであった。なんと、彼は攻撃の直前で方向転換したかと思うと、更に速度を上げた状態で、パメラへ向かって突っ込んできたのだ。
間に合わない。既に攻撃態勢に入っていた彼女が出来たのは、精々身を捩って急所を逸らすことのみ。結果として、強烈な打撃を受けたパメラは、紙細工のように遥か彼方へと吹き飛ばされる。
骨の一本や二本、持っていたかも知れない。想像を絶する痛みが、身体を支配する。だが、倒れ伏した彼女の視界に飛び込んできた光景が、皮肉にも奮起を促す。
山の向こうから立ち上る煙。あの方角にあるのは、間違いない、ロンカ村。なんということだ、何が起きている。どうして、ロンカ村から煙が立ち上っているのだ。
導き出される答えは、唯一つ。何者かによって、村が焼かれた。こんなところで、横になっている場合ではない。痛みを堪えて立ち上がったパメラは、その場からニケに向かって叫ぶ。

「ニケ、村に戻るど! わだす達がいなぎゃどうにもならんべ!」

口調はいつも通り。されど、その声には、明らかな焦燥が感じられる。負の感情を発しながら、連撃を叩き込む親友に呼び掛けつつ、パメラは足止めのため、両手を広げ最大限の魔力を解き放つ。
天空より舞い降りし、凍てつく風。風は狂戦士の身体を取り巻くようにして絡みつく。ただの風と侮るなかれ。絶対零度のそれは、触れるだけでも身体に凍傷を負わせるには十分過ぎる。
正直にいって、連携攻撃にすらも耐える相手だ。これでどれだけ時間を稼げるかは分からないが……少なくとも、撒くために十分な時間を作れると思いたい。
ニケが付いてきてくれるであろうことを"信じ"、パメラはロンカ村への道を駆ける。心臓が飛び出しそうになっても、呼吸が出来なくなっても、足が限界を迎えようとも、彼女は止まらない。一刻も早く、皆の元へ。何が起きているのか、皆は無事なのか。早くそれを自分の目で、確かめなければ―――

>ニケ・エタンセル、カリギュラ
【撤退とのことで、追跡は可能ですがそのような方向にさせていただきました】

6ヶ月前 No.229

貴族将軍 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【ナコーン/市場/カシュタン・コルーカル】

「黙れ、黙れ黙れぇっ!! 私は、私は……!!」

掛けられる二つの声、だが彼女は耳を塞ぎ続けた。 そうまでさせるのはここまで、復讐だけを目的に生きて来たが故か、それとも、その復讐のために殺めてきた人間の数が彼女の思考を固定させているのか。
それは定かではないが、確かに言える事は、彼女はまだ戦い続けるという事だ。

もはや、敵対者である二人とではなく、自らの怨念や過去との戦いとなりつつあったが……それでも、針は二人に向け続ける。
だが、手足はガタガタと震え、目から流れる涙は止まらず、もはや戦士と言うよりも、一人の少女と言うにふさわしい見た目にはなっていた。 ……思えば、彼女は今までそのような感情を全て押し殺して生きて来たのかもしれない、ただ、ラガルデール関係者を殺すためだけに存在する、狂気の殺戮者。 少なくとも、涙を流すことなど、何時ぶりかも分からなかった。

しかし、ここで二人が手を止めれば、間違いなく触手のように変形した針に刺し貫かれるだろう、やはりこの戦いは、どちらかが倒れるまで続けるしかないのだ。
そして……今、決着の時を迎えようとしていた。

無数の針が地面から突き出し、カシュタンを守るように展開され、さらに先端部分が変形、敵対者に伸びていくが……もはや、それらの妨害はショコラには全く意味を成さず、全ての針が砕かれていき、ソレミアに向かっていたものも、全てが断ち切られる事だろう。

「くっ……うわあああああッ!!」

巨大針が振るわれる。
だが、それは誰にも当たることはついに無かった。

ソレミアの剣がカシュタンの体を裂き、そしてそこにショコラの強烈な魔力を込めた蹴りがカシュタンに炸裂する。
その時、戦いの終わりを告げるかのように、あれほど大量に展開されていた針が、一瞬で砂のように崩れ落ちた。

その攻撃を受けて、カシュタンは大きく後ずさり、と言うより吹き飛ばされる形となるが、それでも彼女は倒れなかった、将軍の名は、伊達ではないのだ、しかし。

「ぐっ……ぜぇっ、ぜぇっ……こ、攻撃、中止、を」

最後に、一撃を放つ事がカシュタンにはできた。 勝利を確信したであろう敵対者に、容赦なく針の一撃を加えるも可能であった。
だが……カシュタンは残り少ない魔力を使って、伝達用の、攻撃能力の無い花火のような物を打ち上げる魔法を使った。

音も無く、閃光が空へと昇っていき……撤退を告げる信号となった。

「い……行って。 もういい、もう、人を殺す力は、無い。 でも……あの方は、私を救ってくれたあの人は。 まだ、何十万でも殺せて……あの人も――私と、同じで、だから、私に構うぐらいなら、あの人を」

斬り付けられた腹部から足に掛けての傷から血を流しながらも、カシュタンは意識を捨てず、二人に行けと告げた。
その内容は"自分と同じ"と他ならぬ彼女が感じた相手で、尚且つ、同時に自分を地獄から助けてくれた人間を……

後の内容を言うより先に、カシュタンはどさりと地面に崩れ落ちた。
死んだ訳ではない、そして、撤退信号を受けた以上、彼女は何れ、部下の手によって回収され、自らの領地に戻ることになるだろう。

これを聞いて進むか、あるいは、無視するか……それともここで殺してしまうか、その選択権は、二人にある。

>ソレミア・ラガルデール ショコラ・ヴァンディール


【という事でカシュタン@戦闘不能 です、お相手ありがとうございました! これから先はカシュタンは戦闘キャラとしては登場しません】

6ヶ月前 No.230

氷雪の死神 @zero45 ★h2BOlEz4kD_FR1


【ロンカ村/広場→民家/付近沿道/アラン・レイクルード→レイヴン・ロウ】

 燃え盛る村に響き渡る数多の悲鳴。紅蓮の業火に焼かれる罪無き村人達の嘆きを耳にして、湧き上がる感情は悲哀、義憤、そして憎悪。心の内を荒々しく巡る情念は、失憶者の深い闇の底へと封印された筈の記憶を呼び起こして行く。
 極限の加速で、極限の速度で街路を駆け抜けて行く彼は、視界に入った近衛の頭部を的確に撃ち抜き殺し。一切の慈悲を与える事無く、その悉くを滅殺して行く。常軌を逸した動きを見せ付ける男を前に、死に逝く兵達が抱いた感情は底無しの恐怖。
 嘗ては氷雪の死神と呼ばれた魔道帝国の元将軍を相手に、立ち向かおうなどと思う気概を見せる者は一人もいなかった。

「……ふざけるなよ。そうやって何もかも、弱き者達から奪い去って行くのか! 貴様らは!」

 辿り着いた先。其処で待ち受けていた者の姿を見た時、封じられていた記憶は完全なる形で蘇るに至る。古の過去を取り戻した男が回想するは、この村で過ごした四ヶ月の思い出。
 大陸の北にある小さな村。雪に閉ざされた極寒の地に在りながらも、其処に生きる者達は皆、暖かい心を持っていた。命を救って貰っただけでなく、記憶を喪ってしまっていた自分を快く受け入れてくれた事には感謝してもしきれない程だ。
 だからこそ、自分はその恩義に報いたかった。村の一員として共に生き続け、最後まで彼等に尽くしたいと心の底で願っていたのだ。

「ノエル・マッケローク、貴様を殺す! この命を天秤にかけてでもな!」

 だが、それはもう叶わぬ遠い夢。報いるべき者達は焔の中で命を散らし、残った者達も喪われた記憶の真実を知れば、否が応にもこの村から追放しようとして来るだろう。今まで"アラン・レイクルード"を名乗り続けていた、魔道帝国の元将軍"レイヴン・ロウ"に、帰る場所はもう無いのだ。
 ならば、せめて最後の報いを此処で果たすとしよう。喪われて行った命を弔い、安らかなる眠りに就かせる為にも、この命を賭けてでも必ず仕留めて見せる。

「それが彼等への弔いであり、資格無き者が果たす最後の報いだ……!」

 激しい雷電を刀身に纏わせながら、紅蓮の焔を背にして男は駆ける。加速して行く速度は彼を疾風へと変え、地面の雪を吹き上げる程の勢いを見せ付け。急速に接近を果たすと同時、両手に構えた双剣銃を交差する様に振り下ろし。
 斬撃が終わると同時に地面を蹴って後方へと退き下がりつつ、引金を引いて幾度に渡る銃撃の嵐を浴びせんとする。さながらそれは、彼の怒りに満ちた心境を表す怒涛の連撃。されども、必殺の一撃たる絶技を見せ付けるにはまだ至らない。

>ノエル・マッケローク 蓼科祈 氷魔像ギラード (イアン・ガグンラーズ 山城瑤子 ユーフォリア・インテグラーレ)


【どうしてもやりたい組み合わせでしたので、絡みを抜けさせて頂きました、すいません。
 イアンへの攻撃の後、村の焼き討ちに気付いて広場を離脱した、と言う流れにして頂ければ有り難いです。
 お相手、ありがとうございました】

>広場ALL各本体様

6ヶ月前 No.231

贖罪の山羊 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【次レスで、炎消えなければ死なせようと思います南無】
【ナコーン/酒場/ミルグラム・ゴート】
「おい、貴様っ! はあ……」
 岩の破片が飛び散る中、大地の柱に打ち上げられる眷属二名。
 勘弁してくれこっちはせいぜい強力な蹴りしかできない、一頭の山羊だぞ。
 マロンが死んだら間違いなく死ぬ。
 ここで終わるのはごめんだ。
 相手の守りを力でねじ伏せたのは素直に称賛したいが、周囲を見渡して欲しいと。
 ずっと感じていた苛立ちを思わず吐露し、少しは連帯して欲しいとため息を吐くと同時に敵二人の連帯技が炸裂し、まずは女性の放った攻撃は恰幅のいい眷属を盾にしたが、消滅と同時に衝撃に飛ばされて体を強打する。
「……おい、まずいぞこれ!」
 マロンの警告としてそう叫ぶと体勢を整えようと立ち上がろうとしたその時、隕石がこちらに向かってきた。
「化け物かよ」
 ヤバい、ヤバいと間違いなく死ぬ。
 なるべく被害を避けようと盾を持った眷属を数人、ミルグラムとマロンの周囲に召喚すると同時に後退し、雪の大地は炎の大地に変貌した。
 盾の亡霊は炎に包まれ消滅し、その余波をミルグラムは食らい体に着火した。
「熱い、熱い、熱い!」
 地面に倒れ伏せゴロゴロと転がって雪で炎を鎮火させようと悲鳴に近い声で鳴く。

 "今回の生贄はコイツにしよう"
 "悪く思わないでくれ、お前は私達の罪を救うんだそれはとても名誉な事なんだよ"
 走馬灯が浮かぶ。畜生、なんで俺なんだよ。
 なんで俺だけが、人間の罪を救わなくちゃならないんだよ。
 人間はそうだ自分勝手で愚かな生き物だ、綺麗事の裏には俺みたいな犠牲者が出てくる。
 力を得た俺はそれに嘲笑って復讐していただけなのに、この仕打ち。
「……あつい」
 荒野に降り注ぐ熱に苦しんだのを思い出す苦しみが襲う。
 天を仰げば降り注ぐ雪が火炎に溶けているのがはっきりと視認できた。
>レオンハート・ローゼンクランツ マロン・アベンシス シフォン・ヴァンディール

6ヶ月前 No.232

似非貴族 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★9rQZfcMsJy_D9v

【ロンカ村/牧場/アルクール・サンドリンガム】

家畜はいわゆる身分の違いであると語る女性に対し、アルクールは理解出来ないという表情を見せる。人間と動物は違うのだから、扱い自体も変わってくるのは当然のことであろう。
放っておいてもいずれ村人に食われる運命だったのだから、少しだけ死期が早まっただけだ。さすがにこれが人間だったら気にしていただろうが、動物を殺すことにさほど抵抗はない。
勿論、故意に殺すようなことをするのはおかしいと思うし、今回はたまたま戦場が牧場であったために、仕方がなかった。彼らには悪いことをしたと思うが、どうか許して欲しい。

相手からの攻撃を防ぐのは、比較的簡単であった。初めて銃を見た時は驚いたものだが、その性質さえ知ってしまえば対処は可能。予め防御を張っておくことで、銃弾はほぼ無効化出来る。
だが、敵もそう簡単にやられてくれる訳ではないらしく、鞭のようにしなるワイヤーの一撃を、彼女は完璧に読み切った上でスライディングをすることによって回避してみせた。
雪上ということもあって、止まりきれずに少し制動距離が延びていたが、あの程度であれば戦闘に支障はきたさないだろう。アルクールは直後に来るであろう敵の反撃に備え、身構える。
先程は連射型の銃であったというのに、今度は爆発型の銃に早変わりだ。未来の技術の凄さに度肝を抜かれるが、魔力の込められたワイヤーが、散如きで溶けるはずがない。
結果として相手の攻撃は、アルクールには大した効果をもたらすことなく、終わりを告げる。ますます激しさを増す戦い。しかし、この時二人の知らないところで、着実に変化は進行していた。

不意に感じる熱。まさかと思い周囲を見渡してみれば、そこには燃え盛るロンカ村の姿があった。民家も、宿屋も、人も。全て等しく火炎に包まれ、空は紅蓮に染まっている。
焼き討ち。天まで届かんという勢いで猛る炎を見た瞬間、アルクールに異変が起きる。異常な動悸、過呼吸。まるで、この世のものではないものを見てしまったかの如く、彼女は冷静さを失う。

「……めて……やめて……やめてええええええええええええ!!!!!」

絶叫と共に、アルクールは目を見開いたまま耳を塞ぎ、そのまま崩れ落ちた。蘇る記憶。アルクールの脳内には、自らの故郷がサンドリンガム朝にやかれたあの日の光景が、鮮明に映っていた。
その一件以来、炎を見るとトラウマを思い出すようになってしまっていたアルクールは、事前に火計を行うことが宣言された作戦においては、同行しない姿勢を貫いていた。
今日のロンカ村襲撃も、当初の予定では単なる制圧が目的であったはず。それなのに、どうして? わなわなと震える彼女には、先程までの貴族らしい風格などどこにもなく、ただ恐怖に怯える一人の少女と化していた。

>アベリィ・シルバラード
【多分ノエルは知っててやったと思います】

6ヶ月前 No.233

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【城塞都市ギリダン/城壁/橋川 清太郎】

「くうぅっ!!」

既に眼前まで迫っていた火線を寸前で回避、バーニアとスラスターを全開で吹かしその狙いから逃れようとする。

(予想より照準が正確だ……!)

パワードスーツ・PS-M-3352-GAWNDのヘルメットの下で険しい表情を浮かべる。敵拠点に大規模な攻勢を仕掛けるという作戦の下、まず自分に出来そうなのは、上空から急襲しこの城壁に多数配置された対空機関砲を、可能な限り破壊することだと思ったのだが……

「中々、厳しい……っ!」

水色に煌めくバイザーの、10数p横を弾が掠めた。あわよくば防空網に穴を開けられるかもと思い立って威勢よく飛び出したはいいが、このザマでは同僚達に合わせる顔がない。

「でも」

ただ逃げ惑っているわけではない、あちら側の連射速度や捕捉パターン等を大まかながら把握できた。

「今度はこっちの番」

A.O.Sを起動し、本部の武器庫からORW-ML-0054-HeavyBeetleを転送、装備する。この多連装ミサイルランチャーならば、一気に状況を変えられるはずだ。
執拗にこちらを追い続ける射線の合間を縫い、先ずは10機程をロックオン。そしてほんの一瞬途切れた射撃の隙を突き、ミサイルを一斉に発射した。ある種芸術的な、噴射煙による曲線軌道を描きながら標的へ着弾、完全に使い物にならなくする。途中何発かは迎撃されてしまったが、それは即ち僅かながらこちらを狙っていないということ。すかさず再び武装を呼び寄せる、今度はORW-MG-0088-ThunderLeo、使い勝手のいいマシンガンだ。回避機動を行いつつ諦めの悪い対空機関砲数機に鉛弾の嵐を浴びせた。あちら側の弾は長く伸びた噴射炎(アフターバーナー)を空しく射抜くのが関の山である。

「ふぅー……結構驚かされたけど、何とかなるもんだね」

リロードと同時に一息つく。しかしまだ全機を沈黙させたわけではない。防空網に穴が開くまではもう少し時間がかかりそうだ。
ふと、遠目に見覚えのあるような人物が見えた。あれは確か……

「リプレイサーだ」

思い出し、口に出した。ダガー二本のみで奇術を展開するあの戦い方は間違いなく彼だろう。よく見ると既に幾つかの機関砲を使用不能にしているようだ。

>>リプレイサー


【取り合えず空中戦させときますー】

6ヶ月前 No.234

まあ偉いローマ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_kuu

【グリア村/池/カリギュラ】

 そもそも肉弾戦を行うに当たって、猪口才な技術など必要でない。
 ただ強く、ただ重く、ただ鋭く。
 全霊の拳を確かな箇所に捻じ込むだけで片が付く―――行う際の難度はさておき、語るならば暴力の基礎などはこの程度のものでしかない。暴虐皇帝にはそれを為すだけのフィジカルと速度があり、故に後はどう捻じ込むのかを考えるだけ。
 だが、ある意味其処こそがカリギュラの弱みであり欠点であると言えた。
 狂化スキルによって突出した格闘能力と身体性能と引き換えに、彼の頭からは半分以上の理性が消し飛んでいる。合理的な戦闘手段など本来ならば望めないし、そもそも一度たりともロクに攻撃を回避しないことこそが良い証拠だ。
 ………彼が真っ当にそのポテンシャルを生かす時は攻撃時のみ。まるで加熱していくようにその狂気を迸らせていくカリギュラは、時間の経過に連れてその攻めを鋭敏なものにしていく。獣の肉体に人の論理を乗せるための皇帝特権の再行使、それによって抉り込むように打たれた彼のストレートは見事に氷使いの少女へ叩き潰すような勢いで襲い掛かり、彼女を弾き飛ばした。

“弾き飛ばした”程度で済んだところを見ると、すぐに態勢を立て直されたということだろう。
 だがそれでもいい。元より殺す順番として見た場合、単純な火力値に劣る彼方の処理は別に後でも良いのだ。
 カリギュラは構わず次の行動へと動き始めようとする―――そう、あくまでもパメラを狙ったのはニケ・エタンセルの動揺を誘うため。その脚で長期の撤退も万全の戦も出来はするまい。仮に気合と根性が罷り通ったとして続きはするまい。

 ………ところで、別にカリギュラはこの戦争の対立陣営について知っているわけではない。
 よもや燃え盛るロンカ村が彼らの本拠地で、彼らの帰るところであるなどとは考えもしていない。それを先程の様子から判断した彼女達が、どんな

行動に出るのか………果たして考えもしていなかったのである。
 最も、知っていたとしてバーサーカーの行動が変わるのかと言われると疑問が残る話だ。
 彼にとって、目前の少女二人とは決定的なほどに供物でしかなかったが故に。如何なる理屈と理念があろうとも、知ったことではないと言わんばかりに踏み潰す準備を整えていただろう。


「ぉおおおおおおおっ!!!」


 なれば、渾身の焔もまた変わらず。カリギュラの行動は守勢として見た場合極めて雑だ。
 肉が焼けよう、だが進む。
 炎弾が命中もしよう、だが進む。
 最短距離を暴風のように突き進み、道行く全てをなぎ倒すべく吶喊する。
 肉体に積もったダメージには取り合わず、再生魔術の継続で動く部分だけを持続させる。
 であるに、………もしもニケ単身であったのならば、そこである意味勝負は決していた。蹴脚でわざわざ近距離に飛び込んで来たこと、それは肉斬骨断の最大の好機。狙って持ち堪え、返しの打撃で押し潰す。
 蹴撃が胴を蹴り穿つ。構わず、カリギュラがその腕を伸ばす。
 脚先からもろとも握りつぶすように、その腕に力を籠め、雄叫びを挙げて、しかし―――。


「―――ぐ、が、ぎぃいいいあっ!!!」


 しかし、腕がそこで止まった。
 彼の視界を炎が溶かした冷気による蒸気が覆い尽くし、その四肢を縫い止める。
 前進を続けていた彼の脚も止まったとなれば、蹴撃と炎弾の同時命中による後退は避けられず。
 怒りを乗せたその一撃が、初めて再生困難なほどに大きな傷跡を遺して行く。
 咆哮を一つあげて、彼はその場から大きく引き下がる―――無論だが即死ではない。致命であっても、霊核が砕けない限りカリギュラは死すことはない。死の瞬間まで殺意を滾らせ、死の瞬間まで皇帝たるがローマのカリギュラゆえに。

 されども、逃亡する二人に追い付くには時間がかかる。
 此処での幸運は、再び彼が冷気を振り払ったところで、その視界を蒸気が塞いでいたことだろう。

 撤退するパメラと、恐らくはそれに追従するだろうニケに大きく距離を引き剥がされる。
 優先順位の違いだ。彼は胸を焦がす狂気の為に戦い、その為にひとつの国へと殉じているが、彼方にとってはそもそも守るべきものがあの村なのだ。
 小さく、素朴で、されども人の生きた痕跡を確かに残した雪の辺境こそが………。


「余を、振り払うか」
「余から、逃げおおせるか」


 だが。
 強いての誤算は、カリギュラという英霊の性質を完璧に計り切っていなかったことだろう。
 彼は確かに、ニケとパメラの撤退を見過ごした。だが………。


「ならば、捧げよう。より多くを。座して待て、運命を。
 余の………余の振る舞いこそ、運命である―――ぅ、うううううっ!!!!」


 その方角まで見失うほど、暴虐皇帝は単細胞ではない。
 ゆえに追撃戦の始まりだ。彼は炎の音、人肉と木々の焼ける匂いを頼りに再び駆け始めた。
 出鱈目な豪速で、逃げ帰った村ごと供物と定めた者達を屠るべく、獣のように飛び出した。追い付くかどうか、そもそも方角が鉢合わせるかどうかはさておきとして………彼はそう遠くないうちに、目的地であるロンカ村へと辿り着くだろう。

 そう―――其処こそが、カリギュラにとっての運命《つき》の指し示す大地だからだ。

>ニケ・エタンセル、パメラ・エンドネル


【撤退了解しました。では、ひとまずお相手ありがとうございます。】

【ロンカ村の方へは次レスで到着し、その後に追撃を行う所存ですが、
 此処ではとりあえずニケとパメラの方以外に出向くつもりでいます。よろしくお願いします〜】

6ヶ月前 No.235

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

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6ヶ月前 No.236

麗人? @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【ナコーン/市場/ショコラ・ヴァンディール】

過去という名の鎖によって束縛され、未来への一歩を踏み出せずにいる女性。自分達に彼女の悲しみを癒す手立てはない。ならばせめて、苦しみからは解き放ってやるのが使命というもの。
この戦いが終わったとき、両陣営にどのような結末が待ってるかは神のみぞ知ること。ショコラは、少しでも彼女に前を向いて欲しいと願い、渾身の一撃を繰り出した。
結果は…命中。続く青髪の女性の一閃が全てを断ち切る。敵の女性を捉えて離さない、亡霊の様な怨念を。そして彼女自身の歪んでしまった心を。

「...」

無言で拳をぎゅっと握り締め、自分達の勝利を噛み締める。単純な喜びのみに包まれた爽やかな勝利ではないものの、ただ"敵を倒す"という目的以上のことを成し遂げられた、そんな気がした。
重傷を負った敵をどうするかは亡き王国の王女に任せたいところだが、ショコラ本人としては追い討ちをかけるつもりは一切ない。
罪なき市民を殺めたのは決して許されない過ちだ。しかし彼女もまた被害者であり、新たな人生をスタートする権利がある。そんな考え方は甘いのかもしれないが、少なくともショコラは、新しい道を見つけたばかりの人間を手に欠けられるほど、情け容赦の無い人間ではなかった。

「私は私の仕事に戻るわ。

ありがとう、またどこかで」

違う時代を生きる者同士、恐らくもう顔を合わせることはないだろう。それでもショコラは、短い間ながら同じ時間を共有した戦友に礼を述べてから、その場を去った。
名前、聞いておけばよかったかな。そんな軽い後悔を覚えつつも、戦禍に沈もうとする村を救うべく足を勧める。まだまだ仕事は山積みなのだから。

>>ソレミア・ラガルデール、カシュタン・コルーカル


【お相手いただきありがとうございました!】

6ヶ月前 No.237

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【ナコーン/森林/北側/ストラーヴ】


交差する視線、この一瞬間違いなく襲撃者はストラーヴを視認していた。スパルタ隊長の広範囲に及ぶ熱量の暴力、それを暴風の障壁により流し、風を纏い跳躍した時の事だった。
気付かれたと素早く察し、剣槍に蒼い電を溜め始める。奇襲は無意味、そう悟った以上気を窺う必要はない。此方に気付いていながら無視をしたのは、対応できるという自信からだろうとストラーヴは判断。
それほどの相手にいつも通りの調子で飛び出していけば風通しが良くなってしまうだけだ、ならばその場で対処しなかったことを後悔させる様な事をしてやればいい。
スパルタ隊長と襲撃者は総統の話で魔弾を用いてまで盛り上がっている、いや盛り上がり過ぎだろうと毒づくストラーヴ。後方を取り、旋回運動回避を両立しながら多属性の銃撃を浴びせる襲撃者に、向かう銃撃を全て相殺し、飛び回る相手に溶岩を浴びせようとするスパルタ隊長。

(総統って言う共通の話題で盛り合う、激しい二人の間に入るのは気が引けるなー)

普段通りの心境で荒れる戦況を眺めるストラーヴだが、この寒さの中で額に汗を浮かべるほど焦ってはいた。スパルタ隊長と同格の相手だ、下手すれば死ぬ。かといってここで背を見せればあの襲撃者なら片手間で撃ち落としてくる。
どうあれこの状況で逃げる選択肢はほぼない、であれば突っ込んで掻き回して逝かせるか、はたまた無理矢理して隙が出来た時に逃げ果せるしかない。よし、と覚悟を決めたストラーヴ。
剣槍に溜めた蒼い電は既にストラーヴすらも飲み込んでいた、この電は彼女に埋め込まれた魂が発するもの。決してストラーヴを傷つけず、ストラーヴの意思で敵を討つ。
すうっと、息を一つ吸い込む。剣槍を構え、その構えを一旦解く。枝の上で軽く跳ね、身体の動きを確認する。いける、そう確信した。ストラーヴは大きく息を吸い込み、音を置き去りにした。

―――森林に走るは一筋の閃光、眩く木々の合間を縫うそれは雷。
   巻き上がる木の葉、その主は既にこの場に非ず。

光、まさしくその言葉が正しい。空から地へと落とす雷光の如く、ストラーヴは蒼電により加速し、木々を蹴り返すことで軌道を変え、速度をさらに増す。木々を縫うように進み、締めに地上に降り立ち最後の加速を行う。
剣槍が指し示すは空中を駆ける襲撃者、周囲を囲むように襲い掛かる溶岩の隙間を確実に狙う。一撃で仕留める為の物ではなく、確実に当てることに特化した光速の突き。
溜めに溜めた蒼電を解放することにより、実現可能としたこの技。利点は肉体への負荷がない事、隙さえ作れれば幾らでも繰り出せるこの技に加え、まだ二つストラーヴは技を隠している。
とは言え襲撃者に通用するかは不明だ、スパルタ隊長と互角な以上僅かにストラーヴでは力量が及ばない。その差を埋めるは数の差、それと姑息さだろう。

>>フォッサ・セントライト ダグラス・マクファーデン

6ヶ月前 No.238

爆炎 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【グリア村/池/ニケ・エタンセル】

愛する村を破壊された憎しみを込め、猛攻を賭けようと踏み込むニケ。そんな完全に頭に血が上った状態の彼女だが、皮肉にも親友が傷を受けたことでやっと我に返ることが出来た。
そもそも彼我の戦闘能力の差からして戦闘続行は難しく、それは真っ赤に腫れ上がった足首を見ても揺ぎ無い事実である。
加えてロンカ村が襲われているともなれば、攻めても攻めての倒れる気配の見えない怪物との戦いに固執する理由はない。呼びかけに応じてパメラの後に続く。

「...ごめん、パメラ。村は頼む」

道中、ニケの顔は暗く曇っていた。それは村が襲われたためだけではない。何か決めあぐねていることがあるような...果たさなければならない使命を抱えているような。
悩んで悩み抜いた末の決断なのだろう、重い口を開き、自分はロンカには戻らない旨を親友に伝える。その足は魔道帝国の首都・ギリダンの方角へ向けられていた。
迷惑ばかりかけてしまった親友は、ニケのこの発言を、この行いをどう捉えるだろうか。状況が状況だけに帝国に戻ると思われても仕方がないだろう。
これでもニケは"第一人種"。勝利こそできなかったが類稀なる魔法の才能を持ち、一度は帝国に与していた身。今からでも地位を手にし、矮小な反乱勢力に辣腕を振るう側に転じることも不可能ではあるまい。

敢えて弁明はしない。したらもっとパメラを悲しませることになるからだ。自分はロンカの温かさに触れ、過去を断ち切ったつもりでいた。過去に縋るより今ある幸せを守るつもりでいた。
しかし、心の奥深くに巣食った憎悪までは消し去れなかった。忘れたのではなく、忘れようと必死に目を背けていたに過ぎない。

ニケ・エタンセルが最後に己の目標に据えたのは、"帝国への復讐"である。自分から何もかも奪っていった帝国を破壊し尽くす。その一心で首都を目指す彼女は、険しいながらも、酷く陰鬱な表情をしていた。

>>パメラ・エンドネル、カリギュラ


【お相手いただきありがとうございました!】

6ヶ月前 No.239

爆炎 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【城砦都市ギリダン/正門→玉座の間/ニケ・エタンセル】

友と別れてから数十分が経過したころ、ニケはギリダンの街に到着していた。元帝国所属ゆえ道中で素性がバレ拘束されてしまったが、元よりボロボロの様相と引きずるような歩き方から投降目的と判断されたのか、二人の強化奴隷と一体のライフゴーレムのみの同伴で宮殿へと連行される。
もっとも足の怪我は雪で冷やし続けたのもあって僅かながら回復しており、未来の技術か見慣れない乗り物で移動させられたことも負担を和らげる一因になり、少しくらいなら戦えるコンディションが整いつつある。
そうして彼女の目的地まで辿り着いたとき、ニケは彼らに不意討ちをかけて焼殺し、再び自由を取り戻したのだった。間違ってもここを訪れたのは投降目的などではない。
過去を断ち切るため。自分から何もかも奪っていった帝国を破壊するため。ただそれだけだ。

赤い閃光が迸ると同時に玉座の間の扉が燃え落ち、滾る炎の叛逆者はその中へと踏み入る。

「久しぶりだな。パージルク・ナズグル」

玉座に腰を下ろす者、本来ならこうべを垂れるべき相手を呼び捨てにし、ニケは女帝の眼前にまで歩みを進める。無論、彼女を程度の低い人間と見做してではない。
その優秀さは心得ている。実力主義の帝国の頂点に君臨し続けていられるのだから。指導者としてだけではなく、戦闘面でも比肩し得る者の少ないほど秀でた、絶対的な存在。
だが、それ以上に醜く歪んだ思想の持ち主。ニケが憎んでやまない怨敵。彼女の故郷を破壊し、家族を、友人を、恋人を奪い去っていった帝国のリーダー。
ずっと目を背け逃げてきたが、この対決は避けられない運命だったに違いない。あの日、失意のうちに帝国を去った、あの瞬間から。

「ロンカ村で何が起こったかは知っているだろう。あんなやり方がお前らの正義とは言わせない。

謝れ。死んでいった人達に。詫びろ、今ここで」

ニケにしては激情を交えず、淡々とした口調で述べる。だがその中には隠し切れない憎悪と怒り、恨み、そして命を落とした罪無き人々の、口々に罵る声がこだましているかのよう。
事実、彼女の瞳は赤く燃えていた。地獄の底の底、死者達の怨魂を糧にいつまでも燃え続ける、煉獄の炎の如く。

>>パージルク・ナズグル


【絡ませていただきます!】

6ヶ月前 No.240

ギギナ @koki☆iOEaToagbI2 ★P24UIEe7ZZ_D9v

【 ナコーン/森林/ギギナ 】

 木々と自身の剣屠竜刀に張り巡らされた蜘蛛の糸、蜘蛛絲<スピネルに吸いこまれるかのように振り下ろされた紫電を纏った太刀。巨人の拳すら防いだ糸のたわみには勝てず一瞬の隙が生まれる。僅かな時間ではあるが、空中に相手を固定することが成功した。反撃をするべく防御姿勢をとらせる隙も与えずに下段の斬撃、胴体を捉えるべく向かった剣は目標を捉える寸前に爆裂。

 姿勢を崩す愚は犯さずに爆裂に身を任せるかのように後方に宙返りをし負傷を最低限に抑える。爆裂によって飛ばされた小石などが皮膚を薄く切り裂き頬に一筋の線が入った。鈍い痛みが走るも甲で拭うだけに留める。屠竜刀を正眼に構える。お互いの距離が離れる寸前、瞳が合ったことを思い出す。自己中心的な考え方であったが、言葉の通り迷いがなくまっすぐ射抜かれていた。遭遇時から予想していたが彼女は彼女なりの信念で動いているのだ。昔相棒がいっていたが1番性質が悪い相手だった。世間的に見て不条理な行動も自分にとってはなんともしがたい正義なのだ。そういった人間は強く結果が伴うならば自身の命すら惜しくはないのだろう。

 「…貴様のそれは強者しかいない理想郷なのかもしれない。だが、それでは生きてはいけないのだ。論理的に考えて貴様のような殺戮を求めるものの行き先は始まりから地獄だと相場が決まっている。」

 彼女の伝えてくる理想には戦いを求めることを至上としているドラッケン族にとっても理想郷なのかもしれない。だが、戦いしかできない部族は死滅したし経済を止めて戦いしか出来ない世界だけでは誰も生きてはいけない。たとえ勝ち得た理想だとしても現実という竜に食われるのを待つだけの世界にしかならない。理想を求めて他者を省みないものは例外なく歴史の闇に消えていったのだ。

 「…剣士としてまた、一人の人間として貴様にだけは負けるわけにはいかない。さぁ、剣先に全存在をかけ殺しあおう」

 第二回戦を告げる言葉を吐き出すのと同時に動き出す彼女に自身も呼応するかのように地面を蹴り上げ前進、お互いの間合いに入るのと同時に7つの雷を持った槍、そして突きが繰り出されていた。都合、8つのほぼ同時攻撃であった。しかも雷で生成された槍は絶妙なタイミングでずれが起きていた。迎撃をさせにくくするためだろうか、手の凝った刺突であった。

 自身に飛迅燕(セエレ)を発動、体内に筋肉神経伝達物質アセチルコリンと、アセチルコリンを分解するエストラーゼ酵素を大量に作り出させ自身の反射神経を向上させていく。8つの刺突に中途半端な防御は第二第三の追撃を与えるだけど判断、相手の刺突が服の上を撫でたところで空輪龜(ゲメイラ)を腹部に生成、噴射口から溢れた圧縮空気を密着状態で爆発。太刀の刺突を防ぐことには成功したが7つの投槍が肩や太ももを切り裂いていく。

 後方に流れた身体にネット状に作った蜘蛛の糸、蜘蛛絲<スピネルに自身を受け止めさせ撓みが元に戻ろうとする力を利用し跳躍、先ほどのお礼と言わんばかりに自身の体重とたわみで重みの乗ったまるで戦車の砲台から射出された砲弾のような刺突を放ち空中にいる彼女の太刀ごと相手の身体を引き裂こうとして。切り裂かれた際にできた傷口からの出血が送れて弧を描いて空中に放たれていった。

イスマリ (魔大老エスト 桐生戦兎 17代目葛葉ライドウ)

6ヶ月前 No.241

讐心名誉顧問 @sacredfool ★yzDNtraQaX_D9v

【グリア村/防護柵/シャル・ド・ノブリージュ】

 焔を纏う大剣を地面に叩きつける感触。手に伝わる、痺れるような衝撃。轟音。焦熱。残党の近衛が一人残らず灰燼に帰していくのが判る。
 前方全てを制圧するほどの爆炎を前にしてなお、あの兵は生きながらえているだろうか? その答えの是非に関わらず、彼は次に自分が向かう位置を見ていた。
 そこから奴が……来るはずはないが。そこから来るということは、あの爆炎を真正面から突破して来るのと同義である。こちらの初太刀で相手に与えたダメージを鑑みれば、それは奇想天外の隠し玉でもない限り殆ど有り得ない。だから次の行動は決まっている。蒸気はこちらの動きを見せないが、相手の動きも見せない。どこから来るのかは判らないが、「そこ」から来ないということだけは明白ならば、この焔は潰えはしない。
 煙幕を張ってからの一瞬。剣を捨てるかとも考えた。剣の熱によって生じた蒸気は、剣の周囲にしかないゆえに、そこに武器の持ち主がいると考えるに容易い。その裏をかき、蒸気に気を取られている隙に敢えて剣を捨てて別の場所から火の魔術による奇襲を敢行するのも策の一つと言える。彼にとっては有り得ない。この剣を捨てて確実に敵兵を焼却できる保証はどこにもない。彼の魔術は彼の武器に応用して初めて大規模な破壊兵器となるのであって、それを捨てれば彼の個としての戦闘能力は大きく減衰してしまう。だからこそ彼は渾身の力を込めて剣を叩きつけたのだ。爆炎は目晦ましを利用した不意討ちであり、前方からの反撃という相手の選択肢を削ぐ誘導でもある。
 彼は爆炎を起こした瞬間、両脚の力を抜き、攻撃の反動に身を任せた。超重量の鉄塊の振り下ろしから導かれる反動の軌道はもちろん、空中である。彼の体は兵の貫き手を掠めながら雪の舞う空へと運ばれ、膨大なエネルギーが刀身に集中する。彼の本懐は元より対象の撃滅からただの一度も揺るがない。なれば塵さえ残しはしない。貫き手の一つ一つが致命のものとなり得るまでの技量をもつこの兵が相手ならば尚更だ。

「俺はこんな所で死んでられないんでな!」

 返す刀で雪の大地へ一気に突き立てる。沸き起こるはいかなる反撃も許さぬ噴火。前方のみならず大剣士の周囲全てを焼き尽くす大爆発。先の残党狩りも兼ねた爆炎と違い、かの兵の焼却だけの為の一撃である。避けられぬよう攻撃を引き付け、避けようがないほど広がる爆風。しかし避けられなければ焦土となるのみだ。それほどの熱を――クールタイムを要するほどのものを、この一撃に込める。
 歴史の改変を阻止し、時空の秩序を守るという大義さえ、彼の前では高尚すぎる。彼はただ自らの手による世界の変革を望む。時空のあるべき姿は大いなる野心の足掛かりでしかない。是正すべきは既に確定した過去などではない。これから生まれ得る未来だ。それが父を殺したあの連中によって舵を取られるのだと思うと反吐が出る。歴史是正機構も政府も、邪魔をする者の全てを焼き尽くすため……まだ止まれない。

>>クジャルナ・クオーク

6ヶ月前 No.242

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【グリア村/防護柵/クジャルナ・クオーク】


初めてこの男の顔が崩れた、今まで柔和な笑みを浮かべるか渋い顔をするかのどちらかであった表情が驚愕の色が滲む。間違いなく好機と見たそれは仕組まれたものであった、否即座に対応して見せた。
空を切る貫き手、死に至らしめるはずだったそれは何も掴むことなく、その対象は宙へと舞っていた。同時に男は次に迫る絶命への一撃から逃れるために行動を開始しようと動く、ああしかし『しようとした』だけなのだ。
確実に仕留めるために放った貫き手、身体の力を腕へと送り一本の鋭い針として肉体を穿つ。そう、仕留める為には溜めの踏み込みに加え、貫くために全身を伸ばさねばならない。
故に次の行動はどれだけの反射をもってしても必ず一歩遅れる、退避は不可、先のように懐へと潜り込む暇はない。振りかぶった副総統の熱された鉄塊は地面へと向かう、それを見逃さぬ男ではない。
直接振り下ろされれば即座に炭へと成り果てたろう、爆炎を纏い広範囲で薙げば少なくとも逃走が不可能なほどの傷を負っただろう。しかし副総統は確実を求めるあまり、相手の隙を過信し過ぎた。
その場で雪を巻き上げながら左足を軸として時計回りに回転する、その勢いのまま右腕を振りかぶり文字通り地を砕く。沸き上がる灼熱の向きを僅かに反らせればそれでよい、そしてその思惑は満たされる。
地から噴き出る爆炎、防ぎようのないそれをこの男は僅かにずらし致命傷を防いだ。だが十全な準備が整っていればこの噴火を完全に反らし切れていただろうが、致命的な隙によって身体の一部がそれに呑まれることは免れない。

「っ!成程、これは……!」

僅か数瞬、殴った反動で後方に飛ぶことに成功した男だがその左半身は酷い有様であった。左腕は先へ至るほど黒ずんでおり、僅かに動かせるのが限度であった。左脚も腕ほどではないが大火傷以上の傷を負っていた、顔も同様に火傷を負っていた。
しかし傷を気にすることなく、雪山の向こうに見える黒煙を確認すると携帯していた簡易治療剤を投与する。無いよりましな程度であるが、歴史是正機構本部で適した処置を受けなければ戦闘は難しいだろう。

「さて、義務は果たしました。この場の勝利は貴方の物です、ではまた会いましょう。燃えている村の増援に行くことをお勧めしますよ、副総統殿。」

副総統に僅かな言葉を贈ると、右足のみで先程と変わらぬ速さで跳躍する。木々を足場にしながら方角としては城塞都市へと向かっていく、この地を守る必要がなくなった以上、待機とこの時代の本拠地防衛のためだ。
点在する木々を飛び、傷の具合を確認する。左腕は戦闘での使用は困難、治療によって回復の兆しはあるが万全とはいかないだろう。左脚も現状は戦闘での使用は困難、しかし治療を行えば万全に至るだろう、尤も絶対安静が条件だが。顔の火傷は大したことはない、眼球も無事な以上は放っておいても治る。
だが予定通りであれば次の戦場に参加しないわけにはいかない、目的のために最も重要な時代である。この地においての役目は敵地査察だ、その為一足早く未来に戻ることも悪くはない。
城塞都市にある医療器具でどこまで治療が行えるか、それによって判断するべきだろうとこの男は思考を閉ざす。さて、城塞都市が見えて来た。既に攻め込まれている以上素早く治療を行わなければいけないだろう。
今回の戦闘で得た傷は大きいが、同時に副総統レベルがどの程度かも把握できた。次に会うことがあれば仕留めることが出来る、そう確信できる何かをこの男は掴めた様だ。

>>シャル・ド・ノブリージュ


【これで撤退させて頂きます、お相手ありがとうございました!】

6ヶ月前 No.243

世界を駆ける者 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=QOW5FiOi5x

[城塞都市ギリダン/城壁/上部エリア/【リプレイサー】]

壊せども壊せども、対空砲の数は一向に減っていかない。一撫ですれば壊せると言っても、こうも多くては流石に気を削がれてしまう。更に悪いことには、兵士が此方の動きを察知してしまったらしく、遠方から鉛玉が飛来してくるのだ。

合計三回目の弾丸の嵐。咄嗟に砲台の残骸へと跳躍して身を守る……が、そんなことは御構い無しと、返ってくるのは言葉のない返答。激しい金属音が脳を揺らしに掛かってくる。対空砲がまだ活きてる以上は支援火力も期待出来ない。逃げ回ったところで追撃も来るだろう。ならば結局、多少の傷は覚悟して突っ込まねばならないか。

「ったく……時空も捻れるわけだ! 銃火器は御法度だっての!」

深く溜息を吐き、深呼吸。足首に力を込める。両手にダガーを構え突撃しようと飛び出した、正にその瞬間。

敵陣が、粉微塵に吹き飛んだ。
上空を見遣れば、其処には一体の『戦争屋』が螺旋回転を描いていた。白銀の世界に良く映える金属光沢の塊は、ついさっき御法度と切り捨てた武装をごまんと積んであるらしい。金切り声を上げるガドリングに、芸術センスに溢れたミサイルの数々。ソイツは数々の対空砲を、それこそ障壁を切り落とすのと同時に切り崩していった。『目には目を』とは正にこういうことか。

「へっ、文句言ってる暇は無いってか! 文明の利器、みんな彼岸へ持ってってやる……!」

そうなれば此方も負けてはいられない。僅かに遠方には、まだ活きている対空砲がまだまだある。勿論さっきまでのやり方も良いが、ここは少し趣向を変えてみよう。だが、先ずは協力体制を整えるのが先だろう。口元へと手を遣り、空気の振動を【転送】する。行き先は上空の支援機だ。

《火力支援、感謝する!此方は【リプレイサー】だ!聞こえていれば銃を上に構えてくれ!》

言葉を直接相手に届けているだけ――要するに、一方通行の擬似通信。言葉を交わすことは出来ないが、意思の疎通には十分だろう。背後から来た兵士を蹴り落としつつも、言葉を続ける。

《これから俺は『都市の心臓』か『奴隷施設』のどちらかへ向かおうと思う。このエリアの殲滅を完了し次第、出来るだけ速やかに移りたい!判断はお前さんに任せるから、目的のエリアまで先導してくれないか!?》

陸は瞬間移動で、空は遮る物なく移動できる。主要な場所を攻め落とすにも――相手の戦力が正確に分からないのだが――きっと彼の火砲で足りる筈だ。兵士を統率する脳幹部分と国を統率する心臓部分、何方も出来るだけ速やかに落としたい。

ここが作戦室ならばゆったりと戦術でも練れるのだろうが、今は生憎戦場だ。ならば、高所から見て手薄な部分を判断してもらうのが一番速い。それに、此処でなら『武器』も調達できる算段がある――というのが、大体の計算だ。

返答を待つのもそこそこに、次の部隊が動き出したらしい。ダガーを構え直し、再び弾丸へと立ち向かう。方向さえ分かっているなら弾丸なぞ怖くは無い!


――鉛玉を跳ね返しつつ、奇術師は返答を待つ。村が焼かれたとの情報も入ったが、もうそれを悼んでいる間は無い。時空断裂を防ぐには、この巨大な『時空の捻れ』を取り除く必要がある筈だから。

>>橋川 清太郎


【絡みありがとうございます! 早速ですが、何処へ向けて動くか……或いはどのタイミングで動き出すかはお委ねしたいと思います!】

6ヶ月前 No.244

“ナルカミ” @sacredfool ★yzDNtraQaX_D9v

【ナコーン/中心街/アンリエット・エクレール】

 間違いの無い手応え。冷たい黒鉄を殴り抜ける感覚は今度こそ嘘ではない。拳が砕けるよりも通じる。頑強な装甲も殴って壊せる。一撃でショートとはいかないが、未知の機械兵に関して拳撃が通ると判っただけでも大きな進歩だ。それならあとはただ只管殴ればいいだけなのだから。この間合いにまで詰めれば……そしてそれを維持できたなら、こちらの独壇場だ。あの鉄塊はそれを許すか?

「……ッ!」

 鉄塊のバーニアが火を噴く。答えは否だ。無骨な右腕の振り上げはそれそのものが攻撃の役割を果たすわけではない。カウンターを狙ったアッパーカットなどという生易しいものではなく、遥か彼女の体を超えるヴィヴィッドの丸鋸である。高エネルギーによる溶断という殴る蹴るとは無縁な攻撃方法に、受けるという選択肢は欠片もない。体が二分されるだけである。落雷に対し後退してからの鉛玉といい、鉄塊の遠距離攻撃にはその性質ゆえに受けるという選択肢を潰される。一撃必殺のクロスカウンターなど夢にも思うことはできない。
 故に避ける。彼女の荒れた横髪が切れるほど紙一重に、至近距離での攻防という本懐の体捌きで。切れた髪が接地するよりも前に彼女は反撃の体勢に移るが、拳の間合いには既にあの鉄塊はいない。射出と同時に後退していたのだから、丸鋸を無理矢理突っ切りでもしなければ一撃入れることは叶わなかったのだ。それでも彼女の掌には激しい火花が散る。
 わかってる。だから今は殴らない。

「ステゴロ(コイツ)っきゃできねェってもよォ……次にナニしてくるか理解りゃ……!」

 彼女はその場から動くことなく、スパークする両手から一筋の電撃を撃ち出したのだ。両掌から迸る青白い電撃は一直線に空を走り、彼が再び生み出したイミテーションごと鉄塊を貫かんとする。彼女にとって隠し玉とも言える遠距離攻撃だが、ここまで散々見せてきた雷の拳と比較するとそれは稚拙の一言に尽きる。肉弾戦しか出来ないと自負するに足りすぎるほど……あまりに細く、あまりに弱い。
 射程距離だって――撃ち出す暇があるならそのまま走って殴った方がずっと良い。雷を体に纏うばかりで、体から離す技術をまるで心得ていないのでは当然である。
 それでも彼女がそれを選んだのは、一重に確実に拳を入れる為だ。ダメージなぞ元より期待していない。
 そんなので与えるよりも直接殴ったほうがずっといい。ただ一瞬だっていい……ここまでずっと殴ってきたんだ、猫騙しでも食らったみたいに動きが止まりでもすれば――そこに一撃を叩き込むのは稲妻からすれば難解な搦め手を覚えるよりもずっと簡単だ。

「散々みたぜ……最初から最後まで、テメェは逃げるよなァ! オレの拳(リーチ)からッ!!」

 初手は上空からの強襲。次いで複製を身代わりにしながらの引き撃ち。清々しいまでに肉弾戦を、それも最も被弾のリスクを少なくする形で避けている。徹底してこちらの土俵に乗る気が無いのならば、その心算を逆手に取ってでも引きずり込むまでと、アンリエットは考える。
 二度あったならば三度目もあるだろうという安直な読みだが、遠距離攻撃を心得る者を相手取るならばこれ以上ないほど本命でもある。それが戦争という合理に満ち満ちたものに身を置いているのならば尚更だ。その戦いがミクロであれマクロであれ、敗北を避けるために相手の土俵に乗ってはいけないのは共通している。裏を返せばそれは、勝利のためにいかにして自分の土俵に引きずり込むかでもある。

「絶ッ対ェ逃がさねェ!!」

 電撃を撃ち出すための一瞬であっても前進を止めたのならば、稲妻は殴りかかる鉄塊の複製をすり抜け、一気に本体まで肉薄して見せる。そこから放たれるのは矢張り加速を乗せた渾身のストレートパンチ。頭髪が逆立つほどの帯電から打たれるそれは、鉄塊のおよそ半分ほどしかない体躯の少女のものであっても、彼を遥か砕く暴威となる。

>>ワーロック

6ヶ月前 No.245

Futo・Volde @nonoji2002 ★7KU5qNWZJU_D9v

【城塞都市ギリダン/城下町/スターロード】

「おっと、いきなりだな?」

やっぱりわかる人には気付かれてしまうものなのか?
なれなれしい態度で、チンピラのように急に喧嘩を吹っかけてくる水色のショートボブの少女。と、一緒になって俺を取り囲む兵士たち。やれやれ、歴史是正機構の人間か。
にしても、この子、こういっちゃ失礼だけど、あんまり外に出てアグレッシブに何かする様な、アウトドア系にはお世辞でも見えないな。こう、ナーズ的というか。インドア系って感じだ。

「なんていうか、結構抜けてる連中だな。あと、不意打ちはそんなに芸術的じゃないと思うぞ?」

自分のチームにも跳ね返ってくる言葉なのは理解している。だが、いつの間にか俺の後ろでこそこそしてる者が不意打ちに失敗している様をまざまざと見せつけられると少し自分のチームに近い、シンパシーを感じる。後ろに立ってる者がどんな奴かは知らないが、声は男だから多分男だろう。その男の“独り言”に答えながら、ブーツに仕込んでいるジェットで一気に高く飛躍する。
このまま円の中に居れば、あの少女の電子パルスの集合体な物をもろに喰らったうえで、浮遊してる青色の物体から照射されるレーザーで打ち負かされる。照射されるレーザーと、電子パルスの集合物で出来た、そこそこ大きい穴に内心“あそこにいなくてよかった”と冷や汗をかきながら、ちょうどその大きい穴の中心に来るように、グラビティグレネードを落とす。

「人が密集してる所ってこういうの投げたくなるよな」

誰しもが持つ願望の1つだと俺が信じてるのは、人とか物が密集してるところをまとめて一掃する欲。
例えば、ゾンビ映画とかゾンビを撃ち殺すゲームとかで、一か所に固まってる大量のゾンビが居たらそこに爆弾とかを放り込みたくなるような、そういう願望。ちょっと例えが抽象的過ぎるかもしれないけど。
まぁ、このグレネードは普通のグレネードじゃなくて、重力を発生させるだけで、一時的な、足止めのような物に過ぎない。グレネードに向かって廻りの物を吸い込むように、強力な重力が働いて大体の敵なら一か所に集められる。つまり、一か所に集めたうえで爆発物を放り投げるためのグレネードみたいなもの。そんな使い方をしたことは一度もないわけだけど。

>シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー

6ヶ月前 No.246

人の皮を被った悪魔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ロンカ村/民家/付近沿道/ノエル・マッケローク】

真っ赤な炎が、暖かな村の痕跡を何もかも消し去っていく。燃え尽き、崩れ落ちていく民家。雪すらも溶けた大地に、投げ込まれた村人の焼死体が積み重なる。
悪魔はそんな様子を見つめて、微笑を浮かべていた。周囲を取り囲んでいる近衛は付き合いきれないという様子であったが、ここで逃げ出そうものなら命はない。
あまりにも冒涜的な行為。帝国の第一人種であっても、これを是とする者はほとんどいないだろう。……ノエルと、ノエルに近しい思想を持つ者達を除いては。

「怒るなら好きにどうぞー。私は要らないものを燃やしてるだけだよー」

真っ先に乗り込んできた一人の少女に対し、ノエルは"わざと相手を苛立たせる"言葉を選び、返答する。直後に敵の攻撃。容赦はしないといったところか。
しかし、仮にも彼女は将軍。初撃を喰らって倒れるなどということがあるはずもなく、飛んできた魔弾を風の防壁によって相殺する。

「ふーん。この人は私の指示に従わなかったから殺しただけなんだけどなー。でもそれならしょうがないねー。戻ってパージルクさんに伝えてくれるかなー、ノエル・マッケロークは魔道帝国から独立するってー。私の好きにさせてくれないなら義理もないからねー」

まさしくそれは、マッケローク朝バスケリアが誕生した瞬間であった。正史においてはロンカ村焼き討ちの後、ノエルが興した国で、三ヶ月の間魔道帝国を苦しめたとなっている。
時空防衛連盟や歴史是正機構の介入によって多少の変化が生じたが、そう簡単に歴史を捻じ曲げることは出来ず、史実通り新たな国が誕生する形となった。
尤も、まずは彼女がこの状況を切り抜けなければ、領主不在となった国のその後など知れているのだが。とはいえノエルは、あくまでこの場を生きて脱するつもりだ。

「懐かしいなー、君生きてたんだー。こんなところにいるなんて奇遇だねー。私を殺すだなんてさー、そんな無茶なことしない方がいいよー」

疾風の如く接近してきた男の名前は、レイヴン・ロウ。かつて魔道帝国に所属していた将軍だが、反乱を企てた罪で地位を剥奪され、逃避行の末行方不明となっていた。
崖から滑落したのを目撃した者がいたため、死んだものと思われていたが、まさか生きていたとは。この口ぶりからすると、ロンカ村にでも流れ着いたのだろうか。
斬撃の直後に銃撃の嵐。こちらも容赦なしだ。一体どこでこんな恨みを買ってしまったのだろうか。焼き討ちをしたことが、そんなに気に入らなかったのだろうか。
されど、彼女を取り巻く暴風の護りが、あらゆる攻撃を遮断し、到達させない。薄ら笑いを浮かべたまま、君臨するノエル。その両の手が開かれると同時に、敵対者の足元から、荒れ狂う風が噴出する。
風は彼らの周囲を旋回し、徐々に巨大化。やがては竜巻となりて、三人の身体を斬り刻まんとする。憎むのは自由、恨むのも自由。だが、まずは立場を弁えるということを知った方が、生き残りの確率は上がるというものだ。

>蓼科祈梨、氷魔像ギラード、レイヴン・ロウ
【人間のクズがこの野郎……】

6ヶ月前 No.247

イスマリア @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4

【 ナコーン/森林/イスマリア・ザルヴァトール 】

 七つの槍を一斉掃射し撃ち込んだしたところで、――防がれて終わりだ。二度三度の打ちあいで結論付けたこと。
 圧倒的膂力で薙ぎ払うことの出来る相手に力押しは無意味。それを纏めて振り払うことの出来る力を彼は持っている。
 ならばこそ小細工が有効になり得る。薙ぎ払ったところで一本は貫けるよう、絶妙にずらした射出のタイミング。
 必殺は狙わない。
 確実なダメージだけを狙い――僅かではあるが確実に戦力を削ぎ落す。

「例え地獄でも、真に己の魂を磨き上げ続けた清廉なる勝者ならば必ず報われる。そういうものです」

 撃ち込んだ電光の槍はイスマリアの狙い通り、ギギナの肩や太腿を焼き裂いてゆく。
 異能で編み上げた雷槍に貫けぬものはない。黒き雷糸は世界を焼き続ける。
 そして距離も詰まった。雷槍によりタイミングがずれており、事実上の連続攻撃と化した以上相手は切り払うことも行わない。
 東洋剣道は技と速度が命。故にその出は早い。一切の減速無しに踏みこんでから放つは、水平に構えた突き。
 腹部に命中。刀より手に伝わる感覚。肉を穿ったものではない。肉はもっと抵抗があって堅い。では何を貫いた。
 自身の刃の切っ先を視る。刃は肉を貫いていないどころか到達すらしていない。
 眼を見開く。もう遅い。直後に発生するは強烈な衝撃。悲鳴をあげて爆裂するは大気。周囲へと解き放たれる暴威。

 勢いに負けて態勢を崩せばこちらが死ぬ。
 自身の生体電流を活性化。脳から神経への伝達速度を更に加速。
 刀に付与した黒雷を放出。電光の盾。大気の衝撃にぶつけ威力を相殺。吹き飛ばされるのを阻止。
 前方より砲弾が接近、――違う。ギギナだ。
 彼は後方に張った蜘蛛糸を利用し、たわみの分と自身の重みをそのまま乗せて突っ込んできた。

 幾ら技術革新が進んだ未来にて特殊な精錬を重ねた、自身の異能に耐えうる刀であれ――まともに受ける自信はない。

 イスマリアは即座に姿勢を転換した。構えは下段。すり足で足をわずかにずらす。最低限の動きで、左へ。
 刀の防御ごと引き裂きにかかるは屠竜刀。添え手を刀の左腹へずらし、異能出力を最大に。刀から吹き出す黒い電光。
 屠竜刀に当てて爆裂させて押し返し、軌道を右へずらす。
 だがわずかにタイミングがずれた。
 ギギナの刃がイスマリアの右肩を抉るように深く斬り裂いてゆく。引き裂かれた軍服を、鮮血がじわりと濡らした。

 しかし――手は決して緩めない。痛みでは止まらない。傷口を気にすることはない。
 肩口をぱっくりと切り裂かれたことで刀を振るえないなどはなく、意志<かくご>さえあれば常に万全のまま戦える。
 そして、冷静な思考は好機<チャンス>を導き出していた。
 先程の攻撃。ただの加速ならまだしも、大気の爆裂の衝撃を蜘蛛糸に利用したパチンコの要領で加速することによる突貫だ。
 生半可な防御をいともたやすく崩し<パリィ>、肉体を引き裂き二分出来るが当たらなければ隙は確実に生まれる。
 それを逃す手はない。

 右足を軸に。左足を大きく擦り旋回。
 彼の背を捉え、更に踵に黒雷を集め炸裂させることで、その反動を利用し、更に全身に黒雷を纏わせ射出された砲弾の如く加速。
 彼女自身の身をも焦がすが、一撃程度なら反撃<カウンター>を弾き返せる程の出力に上げた雷電は速度に靡き、黒い尾と化した。

「ふッ――!」

 防御/反撃を間に合わせるわけ/させるわけないだろう。
 過剰出力を維持し続けイスマリアの肉体から発せられる異能の電光は、近づくことすら困難にさせる。

 上段の構え。陽に照らされゆらりと煌き、鏡のように全てを移す白銀のはずの刀は、纏う黒雷により漆黒に変色していた。
 ギギナの背に即座に追いつくのは一瞬。加速の勢いを刃を振る速度に上乗せした。
 稲妻がなびくことにより黒い軌跡を描き、一刀がギギナを両断せんと振るわれた。

>ギギナ (魔大老エスト 桐生戦兎 17代目葛葉ライドウ)

6ヶ月前 No.248

豪腕剣士 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ナコーン/酒場/マロン・アベンシス】

将軍相手ということで敵も警戒していたのだろうが、さすがに攻撃を飛び越してくるのは予想外だったのだろう。それでも、二人共咄嗟に防御態勢を取ったのは評価に値する。
しかし、マロンは両者の護りを、力だけで突破してみせた。どんな魔法であろうとも、打ち砕いてやるという彼女の覚悟。魔法が使えないからこそ、自分にはこれしかない。
勿論、敵も黙っているはずがなく、直ぐ様反撃へと出て来る。女性が放ったのは、金色の爆発を起こす、複数のエネルギーの塊。この量からして、短期決戦に出てきたか。
相手がそれを狙うのであれば、自分はそれをさせないように立ち回るだけ。自分へ向かってきたエネルギー塊を、彼女はあろうことか大剣を振るって女性へと打ち返す。
仮にも、物理的に触れられる攻撃を選択してしまったのは、女性にとっての失策であった。力を作用させられる攻撃であれば、マロンはこういった荒っぽい防御に出てくる可能性もあるのだ。
なおも攻撃は続く。男が呼び出したのは、紅蓮の焔をまとった巨大な隕石。はじめ、小さな石であったそれは、急速に肥大化し、重力に従って高速で落下していく。
隕石が地面に着弾すると同時に周囲にもたらされるは、想像を絶する大爆発。マロンは持ち前の体幹を活かし、大剣で余波を振り払いながら耐えるが……味方の山羊の男は、そうもいかなかったようだ。

「おい! 大丈夫か! くそっ、無理なら逃げろ! ここは私が何とかする!」

身体に引火し、あまりの熱さに地面を転がる味方を見て、マロンはそう叫ぶ。とにかく消火しなければ、彼の命はあと数秒と持たないだろう。
焦った様子で辺りを見回した彼女は、近くに転がっていた布を拾い上げると、それを炎へと叩き付けることで酸素を遮断し、何としてでも彼の命を救おうとする。
歴史是正機構の人間は、正直にいって信頼出来ない。だが、同じ戦場にいる味方に死なれたとなっては、さすがに気分が悪い。救える命は、救う。それが、マロンのやり方だ。
数回に及ぶ布の直撃によって、何とか炎は消し止められたものの、発生源を除去しないことには、再び同じ状況に陥ってしまう可能性も否定は出来ない。
彼女は山羊の男に対して撤退を促すと、自分は単身敵へと突っ込んでいく。この隕石の所為で……恐らく、叩き割っても炎は止まらない。ならば、こうするしかないだろう。

「おらァァァッ!」

次の瞬間、目を疑う光景が、その場にいる全員の元へと飛び込んでくる。隕石に向かって疾駆したマロン。そして彼女は隕石を……"利き手ではない左手片手で持ち上げた"。
これだけでも異常だが、マロンは更にその隕石を、二人の敵へ向かって全力で投げ返したのである。一体、この小さな体のどこに、そんな力が隠されているというのか。
炎によって左手が少し焼け爛れてしまったが、この程度の痛み、どうにでもなる。彼女は味方への追撃を防ぐため、彼を覆い隠すようにして陣取りつつ、敵の反応を待つ。
あの隕石への対処は、間違いなく敵も苦労するはずだ。多少の時間は稼げるだろう。その間に、彼が上手く戦場から離脱することが出来ればいいのだが……

>レオンハルト・ローゼンクランツ、シフォン・ヴァンディール、ミルグラム・ゴート
【隕石片手で投げ返すとか……お前もう人間じゃねえよ】

6ヶ月前 No.249

親の七光り @prismriver☆kFuUk0otHg5u ★TZkXkdft22_LPw

【城塞都市ギリダン/正面/エスメラルダ・ナズグル】

将軍という名前だけでもすくみ上がる敵がいるので、おもしろい。エスメラルダはそういった状況が楽しいようで、勇気を振り絞って近づいてきた敵を1人、また1人と殺していた。いくら将軍の中で最弱の彼女であっても、一般兵よりは遥かに強いのだろう。抵抗勢力の陣容が徐々に崩れ始めていたが、その時、けたたましい声を響かせながら、1人の男が乱入してくる。

「え、ええ……そうだけど……何なのよコイツ!?」

正直いって、ドン引きしていた。いきなり現れて戦いを挑んでくるならまだわかるが、派手さを見ろといわれても困惑するだけだ。攻撃を放ってくるのでそう翻訳していいのだろうが、あまり長い時間相手にしたくないのが本音だった。といっても、エスメラルダの攻撃力では彼を倒せないだろうし、やれることといえば相手の攻撃をしのいで退却のチャンスをうかがうだけ。本人もそれはわかっているので、積極的に前に出ようとはしない。

結晶のような刃での一撃を、日本刀で受け流すようにして防ぐが、エスメラルダは反撃しない。反撃のために前に出たら、余計に命が危険になるとわかっているからだ。ただし、彼女にとって最大の能力は護りの能力なので、これを打ち破るのは苦労するに違いない。

>>ドライツ

【少し待ちましたが、他に誰も来なかったので開戦しました】

6ヶ月前 No.250

山城妖狐 @sacredfool ★yzDNtraQaX_D9v

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6ヶ月前 No.251

蓼科祈 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4


【 ロンカ村/民家/付近沿道/蓼科祈 】

「そ、――なら好きにやるわ。
 今からアンタの全部が滅茶苦茶になると思っていなさい」

 売り言葉に買い言葉。
 挑発的な台詞に中指を立てる心持ちで啖呵を切った。
 相手の言い分がなんであれ此処から逃がすつもり/生かして帰すつもりは無かったが、相手もその気ならば丁度いい。
 邪悪よ、高み<そこ>でほくそ笑んでいるがいい。
 必ずその足に手をかけ、煌きの玉座から血濡れた奈落の底へと引きずり込んでみせる。
 その薄汚れた輝き<鍍金>の一切を削り剥がし、破壊の光で以て無へと還してくれよう。

 ああは言ったが、――実力は確か。

 撃ち込んだ破壊の光/魔弾。到達する寸前でノエルが起こした大気の壁。轟と鳴るそれを突破することは出来ない。
 魔弾は大気を削り突き進まんとするが、途中で揉まれ掻き消えた。

 そして、――因縁があるのだろう。
 電光と紅蓮をなびかせ烈火の怒りを露にしながら飛び込み、ノエルへ怒涛の猛攻を仕掛けるは一人の男。
 剥き出しにした激情のままに叩き込む攻撃でさえやはり暴風の障壁を打ち破るには至らない。斬撃は飲まれ、魔弾は弾かれる。

 そして、

「……風? ――ッ」

 突如降り注ぐ氷槍が燃え盛る民家へ突き刺さり凍て付かせ――更に暴風が吹き荒れた。雪を伴うそれは紅蓮とは対極を成すソレ。
 嵐の内より重厚な歩みを進めるは氷の魔人。甲冑兵であるそれは人間味を感じさせるものではなく、一個の兵器を思わせる。

 だが、――魔人、氷魔像ギラードの"やりすぎだ"という忠告さえノエルには何処か吹く風でしかない。
 あまつさえ告げたのは独立<みくだりはん>。それは事実上の離反宣言。
 全てを嘲笑いながら両の手を開くのが合図となった。
 三者へそれぞれ収束する大気。噴出する風。旋回を開始する暴風。その結果生み出されるは肉体を切り刻まんとする竜巻。
 上等だ。小型/即席の陣を足の動きだけで刻み、それを起動触媒とする。

「はぁっ!」

 破壊の光を通す。――炸裂。陣が輝きを宿し、炸裂させた破壊の光を膨張させる。
 竜巻を食い破らんと膨張し続けるソレは、ついには内から食い破り雲散霧消させた。
 だが即座の反撃はしない。
 正面攻撃の可能性を頭に入れ、更に対地攻撃も想定しながら動きつつノエルへ視線をやった。
 そして、名も知らぬ顔も初めて見た二人へ大声で叫ぶ。

「――ねぇちょっと! コイツの戦い方教えなさい!
 何でもいいけど生かして帰すつもりないなら喋った方が得よ!」

 連携は視野には入れていない。
 一人/レイヴンは怒りと焦燥と後悔と決意で思考が鈍っており、もう一体/ギラードはそもそも元は敵だ。
 即興で行おうとしても、息が合わず崩される可能性が高い。
 だから、――情報を可能な限り頭に入れる。やることは三者とも同じ。ノエル・マッケロークの殺害なのだから。

 破壊の光を練り上げる。
 攻撃の対処、回避は出来ても暴風の壁を破らなければこちらに勝機はない。
 バレーボール大へと膨れ上がる破壊の力。球を形成。
 照準をノエルに合わせる。今度は魔弾のようにヤワなものではない。撃ち込まれるは正真正銘、稲妻の如し巨砲。

「墜ちろ、――壊雷!」

 両手を突き出すのを合図に、破壊の光を光線として射出。
 万物を砕き無へと還す破壊の光線が、地を焼き天地を焦がし突き進みノエルを破壊せんとする。

>ノエル レイヴン ギラード

6ヶ月前 No.252

61 Destroyer Squadron @sreipnile ★1DXVdHzeIP_M0e

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6ヶ月前 No.253

麗人 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【ナコーン/酒場/シフォン・ヴァンディール】

ここまでの流れからして、大剣使いの将軍・マロンは攻撃的な魔術を用いない戦士のようである。あくまで実体を伴った攻撃に使わないだけで、得物を伴っての跳躍や斬撃のような、常識を超えた動きを実現させるための身体強化に利用している可能性はあるが。
普通これだけの戦闘力を有していて魔術が使えないのは有り得ないため、彼女がまさか一切魔力を備えていないなどとは思いもしない。
依然として戦況はかんばしくないまま。こちらの攻撃は合理的かつ意外性の塊のような対処でいなされ、防御は人智の及ばない剛撃の前に限界を見せ始めている。
もう一人の敵による支援を想定すれば、次の一手で優位性の欠片でも得られない場合、こちらの側の敗北は必至。仮にも司令官であるという自覚と責任感、そして何よりプライドがシフォンを熱く駆り立てる。

爆破魔法による反撃は炸裂前のエネルギー塊を撃ち返すという形で凌がれ、レオンハルトが差し向けた鉄槌も同然の流星は、まさかの投げ返されるという予想だにしない形で自分達に牙を剥く。
恐らく巨剣の一斬とは比べ物にならないウェイトを誇るであろうカウンター。それでもシフォンは力と力のぶつかり合いから逃げることなく、正面切って立ち向かう。

「アバランチウォォォォォォール!」

先程よりも更に魔力を注ぎ込んだ全力の防御。余波の熱に包まれた辺り一面を再び雪景色に戻さんばかりの大雪崩。たちまち凍りついていくそれらは丸みを帯びた堅牢な防護壁へと姿を変える。
本来なら物理だろうと魔術だろうと通さない絶対の守り。不敗不朽の絶望要塞―――しかし、上には上がいる。巨剣を受け止めた時と同様ヒビが入り始めたのだ。間も無く氷壁は崩壊を迎え、隕石は大地もろともシフォンを粉砕するだろう。
まさに絶体絶命、万事休す。最早万策尽きてしまったのだろうか?始まって間もない連盟の反攻作戦、その初戦は、重役に一人の死者を出すという結果で終わってしまうのか?

「防いでみせますわ…この一撃、なんとしても!」

否。彼女は諦めてなどいない。右の拳に水色の水エネルギーを集め、大きく振り被った後に地面に撃ち込む。すると氷壁の表面を覆うかのように水膜が展開され、開幕同様"柔能く剛を制す"の要領で隕石を後方へと追いやっていくではないか。
咄嗟の思い付きだけあって出来栄えはまずまずといったところだが、鍛え上げて一つの技として完成させれば必ずや役に立つはずだ。重撃を正面から受けられる氷壁で威力を削ぎ、間髪入れず流水によって受け流す。理にかなった防御技と言えよう。
ことマロン・アベンシスのような"剛"に振り切れた戦士を相手取るときの頼もしさは言わずもがな。

完成度故か惜しくも完全には流しきれず、勢いこそ失ったものの重量なら健在の隕石は、シフォンのすぐ側に墜落した。その衝撃をまともに受けたことで吹き飛ばされ、数か所を地面に打ち付ける。それでもこの程度、直撃に比べれば屁でもない。
地面に転がされた上に服も汚れてみっともない姿ではあるが、自信気に相方へウインクしてみせる。彼の背中を押し、バトンを渡すかのように。

>>ミルグラム・ゴート、レオンハルト・ローゼンクランツ、マロン・アベンシス

6ヶ月前 No.254

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【城塞都市ギリダン/城壁→首都奴隷処理施設/橋川 清太郎】

リプレイサーに視線を向けていると、不意に『片道』の音声が飛んできた。内容は『都市の心臓』または『奴隷施設』への道案内。

(さて、どうしたもんか……)

冷えきった風を装甲に受けながら思考を展開する。恐らく前者は宮殿、後者はそのまま首都奴隷処理施設を指しているのだろう。この上空から見たところ、宮殿前には悪趣味な人形(ヒトガタ)が大量にひしめき、一方の奴隷施設は然程厳重な警備が敷かれているようには見えない。HUDのズームや各種スキャン機能を使っても同様だ。今どちらを攻めるべきかは言うまでもないだろう。
指示された通りThunderLeoの銃身を上に向け、片腕を掬い上げるような動きで『ついてこい』のジェスチャーを行う。そして一瞬だけバーニアの調子を確認すると奴隷施設の方角目掛けて飛び出した。当然、先導として先行し過ぎないようなスピードでだ。最大速度で進行できないことに対して別段焦りは感じない、その分奇襲や狙撃を警戒しやすいからである。追っ手が来たとしても対処は容易だろう。
距離が開き過ぎる前にHeavyBeetleで残党と増援の両方を爆撃、更にThunderLeoの掃射で駄目押しを加える。取り合えずこれで防空網に穴は開いたはず、あとは後続の仲間達を信じて進むだけだ。




――刹那の間、ある不安がよぎった。あの施設を潰すだけで、本当に奴隷達を無力化できるのかと――

>>リプレイサー

6ヶ月前 No.255

ワーロック @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_kuu

【ナコーン/中心街⇒/ワーロック】

 こと、ワーロックとアンリエットでは根本的に戦いにおいて捉えるものが違う。
 黒金の処刑人は戦争で、彼方は戦闘。
 得意分野の決定的な違いは、如実に戦闘にも現れている―――それはワーロックがデータ上の最効率を選択し続けるのと同じように、彼方側は如何に相手の算段を利用するかを視野に入れて動く。有機的な頭脳と、無機的な頭脳の違いだ。
 それでワーロックが崩されない理由も、偏にこの黒金の戦闘スペックの高さありきのもの。例え動きを読まれたところで関係なく押し潰す戦闘形態と万能性こそがこのVAの売りであり、事実真っ当な特化型であればあるほどワーロックの変化には対処し切れない。彼女に少なくない手傷を与えたのはそれが理由で―――しかし“手傷を与えた”程度で済んでいるのもまた、機械仕掛けの神にとって予想外。

 それは先程にも言った、頭脳と導き出される戦闘手段の違いだ。
 世辞にもワーロックは行動から意図を隠そうとはしていない。後退、射撃、後退、射撃の繰り返し。
 それはアンリエットが取った行動から、“彼”が敵手を近接特化と断定したが故のアクションパターンだった。各種の兵装の使い方から立ち回りに至るまで、徹底して狩り殺し、蹂躙するための戦い方。
 範囲を取ったフォビドーンフォースの投擲からのイミテーションによる牽制は、アンリエットのパターンを近距離吶喊と判断したが故のもの。データ上の範囲だけでは測れないと断定こそしたが故に万全を期した攻めであるが、根本的には短時間の間に蓄積された対象の行動をベースにした戦い方だ。そして、そのツケはすぐに回って来る。

 雷撃が走る、空を駆けてイミテーションと機体を揺らす。
 すぐさまの射撃、隠し玉。稲妻を纏う彼女ならではの、細く弱い遠隔攻撃。
 であるが、ワーロックは実を言うとこの程度ならばまだ予想も付く内容だった。出来るものだとしてもやりはするまいと判断した通り、その精度は世辞にも殴った場合と比較してみれば遥かに非効率なものでしかない。

「エナジードレイン、起動―――」

 回避の選択肢をそもそも取ろうとしなかったのも、内外両方への予測ダメージが軽微も軽微だった為だ。 装甲を射貫くこともない、イミテーションならば貫通こそするだろうがワーロックの機体にダメージはない。あまりにも脆弱な射撃攻撃だ。再度片腕を展開して、エナジードレインの兵装を起動しての熱量吸引も、拍子抜けするほどスムーズに済んだ。
 想定通りにこの敵対者の土俵は近接戦、距離を詰めての白兵を狙って来る動き通りの肉弾特化。反射速度こそ特筆するべきものがあり、破壊力はワーロックの装甲に重度のダメージを与える恐れがあるとはいえ、これならば十分に封殺の範囲内。

 ―――では、何故そのような真似をしたのか。

 そこに思考回路のリソースを割かないワーロックではなかったのだが。
 逆に言うと、此処に至ってそれを考えた時点で完全な後手に回っていたことは言い切れまい。

 気付くべきだったのだ、その一瞬に。
 反撃狙いのイミテーションが殴りかかるタイミングをずらす為の単なるものだったことに。
 ワーロックの模倣体を潜り抜け、
 本体の死角から潜り込むように肉薄して来た存在こそが本命だということに。

 本命には細かい小細工はない。やはりというべきか、単に加速して殴るだけ。
 それだけの単純さ故に、何処を突けば崩せるのか判断し難い。
 如何に万能のVAと言えども、これほどの速度と火力を備えた近接特化との殴り合いでは負けるのだ―――間違いなく、徹底的に、清々しいほどに。なんという愚直さ、なんという苛烈さ、これこそ確かに災害と呼んで差し支えない。
 惜しむらくは片腕の損壊か。それさえ無ければ、ダメージ覚悟での攻撃も可能ではあった。
 しかし現在その部分は兵装もない正真正銘の鉄塊にしてジャンク―――である以上、戦争をしに来たワーロックの思考プロセスはこの時点で、自身へのダメージコントロールに全容量を注ぎ込むことを決定した。

「(ダメージコントロール開始)」
「(勝率計算...30%以下、極めてリスク過多と判断...)」

 つまり、損壊した左腕部を使い捨てる。
 その部分を無造作に振り翳せばパーツは雷速の剛拳によって諸共爆砕し、
 そのパーツ部分の誘爆によって機体とアンリエットを強引に引き剥がす。
 機体自体も爆風で大きくダメージを受けたし、左腕部はこの古代戦争での修復がもはや叶うまい。だが、あれが胴体に食い込めばコア部分の脱出も視野であったし、コアに直撃していたのならば正真正銘の機能停止だ。

 総合性ではこちらが上だ、ワーロックにはその自負がある。
 だが………彼方にとってしてみれば、そここそが突くための虚にして盲点にして死角。
 つまりは、伊達や酔狂で白兵戦ばかりして来るわけではないという事実を知らしめるには十分。


「―――撤退要請を、受諾」
「作戦目標の撃破を確認出来ず。未だ不十分なれど、損害拡大………」


 であるに、ワーロックは機体のバーニアをフル稼働させた全速離脱を決定する。
 ワーロックがこの状況から戦闘を継続する愚挙を犯すことなどありはしない。
 だが、さりとて、この苛烈な気質の女が自分を見過ごすとは思えない―――序でに、近接での敏捷性は彼方に利ありと認めざるを得まい。故に、故にこそ、黒き半生体兵器が狙ったのは一発分の逆襲だった。

 ………先程回避されて飛んでいったフォビドーンフォースのエネルギー体なのだが。
 その光輪にはひとつ特異な性質がある。投擲した場合、自身の方へとかならず戻って来るのだ。
 範囲を取る武器というのはそうした性質あってのことでもある。ばら撒くだけでも機動困難、そうした性質ゆえに近距離以中でのワーロックの万能性は推して知るべし。ただ展開し、逃げ回るだけでも大概の相手を押し潰せる。

 もちろん、此処からそんな一辺倒の戦術を取ろうものなら相手が見切らぬ保証はない。
 故に一度だけだ。それ以上は蛇足。

 つまり。全速後退するワーロックに追撃の意図を見せた場合に限るが、
 背後から自機の左腕部を肩口から完全に崩壊させた彼女へ、完璧に不意打ちのタイミングでそれは帰還して来る。超高エネルギーにて構成された光輪が、ワーロック前方まで帰還するために急速な半円を描き、斜め上からアンリエットを轢いて焼き切るギロチンのようにして。
 命中は―――しなくとも良い。すれば儲けものだが、それを期待して留まってしまえば意味はない。

 ワーロックは躊躇わず後退した。
 ………戦況はそもそも傾きつつある。これ以上の助力は無意味だ。

「作戦状況の完遂率...50%未満」

 黒き処刑人は、空を舞うようにして逃亡する。
 これ以上の戦闘は無用であるし、何より万全ではない状態での遭遇戦など御免被るからだ。
 ワーロックが彼女に“してやられた”という人間じみた感情を懐くことは、当たり前だがない。

 ―――ただ、記録するだけだ。それの脅威性と、以後の警戒の指標として。

>アンリエット・エクレール


【お相手ありがとうございました〜m(._.)m】
【最後の後フォビドーンは好きに処置してくれちゃって構いませんぜー】

6ヶ月前 No.256

北方守護騎士 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【ロンカ村/民家/付近沿道/氷魔像ギラード】

「不要だ」

ノエルの言い放った衝撃的な独立宣言に対してのギラードの返答は、あまりにも短く、その見た目通りに冷たく、素っ気無い物だった。
それは彼の気質では無く、魔道帝国すらも裏切ろうと言う彼女に掛ける説得の言葉など持ち合わせては居なかったからだ。
ロンカ村も、魔道帝国を見た彼には分かる。 あくまで平等的で、自由を謳うロンカを焼き払い、一方権威的で、故に強固に保護される魔道帝国、そのどちらにもマトモに組する事ができなかった人間の、国家を作る選択など、誰も自分を理解してくれないから自分は一人になる、と言う反抗期の子供が言い出す家出、独立宣言となんら大差が無いからだ。

魔道帝国の北方騎士ではなく、何処にも属さない守護騎士であった頃の彼は、そういった子供をなだめる事もあった、だが……ノエルは年齢が違う、そして、何よりも。
魔道帝国の騎士も、北方の守護騎士も、どちらも怒り狂わせるに十分な行いをした。

――ここで、殺す。

アイスソードが北風を吹かせ、今振るわれようとしたその時、新たな乱入者が現れる。

「アラン……いや、レイヴンか。 ……今だけは休戦と行こう、だが、お前は好きにやれ」

彼は、レイヴン"らしき"人間をずっと前から見て来た、重傷を負って突然やってきたかと思えば、嘘か真か記憶喪失であるかのように振舞った彼。
ギラードはそれに特別な思いを抱くことは無かった、あの時はただ侵入者を撃退する『システム』に過ぎないと考えていたからだ。 しかし、少しずつ露呈していく、彼の実力を見て、彼は真の名に対する推測を立て、それを魔道帝国に戻った際にもパージルクにそれを報告するも「記憶喪失が真実であれ嘘であれ、干渉して来ないなら終わった事」と断じられ、表向きに彼をどうこうはしなかった。

だから、彼は驚かない、ただ今だけは、敵対者たる魔道帝国の一員ではなく、北の領域を守護するだけのシステムに戻るとだけ告げた。

そしてその彼の攻撃が炸裂するかに見えたが、相手は将軍、それも実力が絶対である魔道帝国で最も巨大な領地を持っていた人物。 それが簡単に通ることは無く、攻撃も兼ねた竜巻によって打ち消される。
防御策が必要か、とギラードがアイスシールドを構えるも……それは、もう一人のノエルへの敵対者の攻撃によって打ち消された。 そして彼女は情報の要求を行ってきた。

「……先ほど見た通りの風の能力者だ、しかし、ただの術士ではない。 身体能力強化や、補助など、性質の違う魔術を使い分ける、近中遠、どこに居ても対応してくるオールラウンダーだ」

ギラードはそれだけを簡潔に伝える。
彼とノエルは直接戦った事は無いため、深く踏み入った事は分からないが、それでも大体の概要は分かる、そしてこれを共有しない意味は無い。

ノエルに向かって攻撃手段らしき球を膨らませるのを見て、ギラードは周囲の大気や竜巻で飛んできた破片を凍結させ、無数の氷の矢を生成し、それを発射する。
だが、それらは全て、ノエル本人を狙っている訳ではない、狙っているのは彼女の足元だ。

これらのアイスミサイルと呼称される氷の矢はノエルのような有能な能力者を殺すには如何せん威力不足な物、しかし"足止め"としては十分なのだ。
アイスミサイルは着弾時に周囲を凍結させる、つまり、ノエルの足を凍りつかせ、さらに周りの地形を滑る氷にかえる事によって、回避を困難にするのだ。

それだけでは終わらない。

「だが、お前が求めたような感情的で面白い反応もしてやろう、ノエル。 ……貴様は我が領域を汚し、パージルク様の名に泥を塗った。 今思い出したぞ、我は外敵に備え作られた殺戮システム、村で平和ボケする化け物でも、魔道帝国の私兵でもなく、貴様のような邪悪な外道を皆殺しにする殺戮システムだ!!」

その言葉と共に、ギラードの持つアイスシールドが掲げられる、すると、まるでこの地に存在する寒気をかき集めるように青白い光が収束したかと思うと、それを一気にノエルの方向に向ける。
バチバチと魔力の溜まった音がした次の瞬間、アイスシールドから、先ほどと全く同じ色合いの、青白い光を放つ一本の太い光線がノエルに向けて照射される。

照射された光線"アイスレイ"は、回避が制限された状態のノエルに、味方の放った攻撃と共に、ノエルを凍結させ、粉砕するべく軌道上にある物全てを凍りつかせながらノエルへと向かっていく。

>ノエル・マッケローク 蓼科祈 レイヴン・ロウ

6ヶ月前 No.257

失敗作 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【城塞都市ギリダン/首都奴隷処理施設/ルーシャ・コバルト】

首都奴隷処理施設、このギリダンに存在する奴隷をコントロールする巨大なコントロールクリスタルを備えた巨大な施設だ。
普段は複数の強化奴隷が格納されており、必要に応じて第一人種の平民に貸し出されているのだが、現在は戦時に付き、ほとんどの強化奴隷が戦闘員として出払っており、結果として、暗い室内の真ん中に、白く光るコントロールクリスタルが鎮座しているだけとなっていた。

当然、ここを落とせば、強化奴隷兵は無力化できる……と言うのは反抗勢力視点の話であって、実際は玉座に予備クリスタルがあるため、そうではないのだが、とにかく時空防衛連盟側にとっては、この場所は重要攻略目標であるのは間違いない、にも関わらず、宮殿と違って満足な数のライフゴーレムすら展開していないと言うのに、ここが落とされてない理由は一つだ。

それなりのモノがここに居るという事。

その証拠とばかりに、床には現在、首から下を糸で巻かれた人間が幾つか転がっており,それらは何者かに片手で持ち上げられ、そして部屋の奥へと放り投げられる。
よく見れば、この場所には驚くほど巨大な蜘蛛の巣が無数に張られている事が分かるだろう。
しかし、居るのはそのイメージにつりあうような大蜘蛛の化け物ではなく……

「……うーん、やっぱり、人を傷つけるっていうのは、気が進まないなぁ……」

青色の髪を持ち、現在ここを守り通しているとはとても思えない少女だった。
彼女は、今自分がやっている事を嘆くように椅子に座り込んで、はぁ、と深い溜め息を付いた。

彼女の名はルーシャ・コバルト。 是正機構に所属する精兵であるが、それ以上に、かつて人型ペットブームに乗って製作されたが、あまりにも高い身体能力と、糸の危険性などのせいで、大量破棄が相次いだ、愛玩用に品種改良された蜘蛛……の合成生命である。
そして彼女の言葉は嘘と言うわけではない、本当に彼女は人を傷つけること、仮に糸で捕縛して戦いが終わるまで放置するぐらいであっても好いていない。

……しかし、来る者は、倒さなくてはしょうがないわけで。

「うひゃああっ! ばくげ、爆撃? えっ、えっ、古代だよねここ!?」

突如として響き渡った色々爆発する音、だがここは古代であり、間違っても自分が居た未来ではない、つまり、そんな近代的な兵器は本来存在しないはずだ。
そして、足音が聞こえてくる、誰か来ている。

一般兵じゃないよね……さっきまで見たいに、殺さずに無力化できるだろうか、と言うか、勝てるんだろうか。
などと考えながら、ルーシャは敵に備えて、多少萎縮しながらも構える。

>(橋川 清太郎) (リプレイサー)


【敵配置します! また、このレスでは絡めてないですが、絡ませていただけると幸いです】

6ヶ月前 No.258

クランの猛犬 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【ロンカ村/養鶏所/ランサー】

「―――――! ……そういう事かよ」
 首は飛ばず、触手だけが飛ばしたところで種明かし。
 ヒトのカタチすらもなかった。
 つまりこれは、今まで戦った事のない類いの魔獣。
 蠢く触手の塊これが奴の正体というワケかと片目だけ細めて、歯を食い縛り顔を強ばらせて相手を睨む。
 これは予想外の相手だったと、ランサーは未知なる獲物に抱きつく少女を見た。
(そりゃあそうだよな)
 少女側からしたら、武装した男を目の当たりにしたら襲われる恐怖の対象として見られるのは必然である。
「……そうか」
 変わらぬ態度で会話を続ける、無貌の者。
 起き上がった少女を人質として捧げないところ、読み通り本当に弟子として育て上げるらしい。
 そこは称賛しよう。奴は本気で英雄を造り上げようとしている事を。
 だが気にくわない、人の人生を面白半分で育て上げる事は少女を屈辱していると感じているのだ。
 華やかに散る事を興味だけでという相手は、子供として戦士として大切に育て上げようとする人間が言う台詞ではない。
「これぐらいやらなきゃあ、叔父貴達に顔向けできねえからな」
 趣旨返しにと、精悍な表情でこっちも愛情を以て育て上げられた英雄だと匂わせる台詞を吐く。
(しかしよ、嬢ちゃんが起きたならやりずれえ)
 別にあっち側の英雄になるのは自由だが育ての親がこっちの人類史を否定する企てに加担している以上、放っては置けない自体だ。
 渋面を浮かべて、どう少女を保護する事も含め相手を伺って待ち構えていると。
 また竜巻を発生させこちらを囲むように攻められてくる。
 先程の鎌鼬もある下手に突っ込んだら次こそ死ぬ。
(チイッ……イマイチすっきりしねえ)
 これは自分の負けだと、先程のルーンの防御を描くと竜巻を相殺しようとする。
 そして悔しそうな表情を浮かべてこう声をかけた。
「……おい、嬢ちゃん。次の戦地でもし誇りもねえ戦士になったら、オレがアンタの息の根を止めてやる」
 それがヤツを止められなかった責任だ。
 オレが戦士として生き恥をかかす前に、仕留めてやる。
――――――それが赤枝の騎士の流儀だ。
>黄衣なる者

6ヶ月前 No.259

Lzh @lllllzh☆PvKD6UICUoMc ★TuwsMa7hHI_W3T

【ナコーン/森林/仮面ライダービルド】

消火をするため、左腕を森に向けようとする。
左腕には消火剤を放つための装置があるからだ。
しかしその瞬間、巨大な氷壁が出現し、周囲の木々は凍結された。

「消火の必要はもうないみたいだな」
そう言ってベルトから消防車ボトルを外そうとしたところ、無数の火の玉がこちらに向かっていることに気がついた。

『テン! トウェンティ!』
ホークガトリンガーのリールを回し、弾を装填する。
そして無数の火の玉めがけて一気にぶっ放し全てを相殺。火の玉は爆発していった。

「……」
しかし戦兎は警戒していた。
これはほんの小手調べみたいなものだろうということが、明らかに見て取れたからだ。
相手が次の手に出る前にすぐさまベルトから消防車ボトルを外し、ガトリングボトルに入れ替える。

『ガトリング! ベストマッチ!』
「ビルドアップ!」
一気にベルトのレバーを回し、パイプラインから装甲を形成させる。

『天空の暴れん坊! ホークガトリング! イェーイ!』
そしてその装甲を身にまとい、ホークガトリングへの変身が完了した。

「さぁ、実験を始めようか……はっ!」
『テン! トゥエンティ! サーティ!』
勢いよく地面に降り立ち、振り向きざま屍の軍団めがけてホークガトリンガーの連射を浴びせにかかる。

>魔大老エスト、屍軍団および周辺all

6ヶ月前 No.260

うつ獣 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

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6ヶ月前 No.261

世界を駆ける者 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=NnSzGiYUtS

[城塞都市ギリダン/首都奴隷処理施設/【リプレイサー】]

城壁から飛び降り、森林に紛れ込み……それから何分かが経った後。奇術師と戦闘機の姿は巨大施設の一端に在った。不気味な静寂に包まれたそこは、まるで先程までの戦火は嘘であるとでも言いたげだった。だが、それが間違いであることもまたよく分かる。壁面に残された弾痕と刀創。そして……凝り固まった蜘蛛の糸。

「こりゃ御対面前から敵も割れてるってもんだ。……さ、さっさとやることやっちまおう。急ぐぞ、此処から遠くも無い筈だ。」

歩みを進めるほど、次第に足元にへばりつくモノも増えていく。飛べるならそんな苦労も無いのだが――彼は脳内で愚痴りなからも、要所要所で蜘蛛糸を避け、或いは払い除けつつも、奥へ奥へと進んで行く。

きっとこの先に潜むのは蜘蛛か何かの妖怪、“こんな世界”では珍しくも無い。それにしても不思議なものだ。世界線を飛び越えた先でも、生物兵器の類は矢鱈と重宝される――出来上がっていくのは勝手な、それでいて至極当然なイメージ像。それもそうだ、これ程までに手薄とくれば、無数の蜘蛛が放たれているとでも考える方がよっぽど自然なのだから。

しかし、数十秒後。奇術師の抱いていたイメージは、木っ端微塵に吹き飛ばされることともなる。

扉を吹き飛ばすこと数回、いよいよクリスタルも目前に迫ってきた。だが次の部屋からは、微かながらも確かな呻き声が漏れ聞こえてくる。空気の流れから察するに、広さもそれなりのもの。他にも感じるものはある。扉を通して感じるものは、肌を粟立たせる『強者』の気配。

「お前も分かるだろ。この先に多分、『スパイダーマン』が潜んでる。合図で突入するぞ。それ、3、2、1……」

ドガン、勢い良く風穴を開けられた扉の音が、数度部屋に反響した。
……が。奇術師の目に映るモノは。

「……。嗚呼……。どうしてこう、何て言うか……。俺はツキが無いのか……?」

繭と化して放られた、もう見慣れたエムブレムの数々。辛うじて意識を保ち、何とか糸から脱しようと足掻く者。そして、椅子にちょこんと鎮座する、青髪の少女の姿だった。

奇術師は思わずダガーを放りそうになりながらも、なんとかそれは抑えて下ろすに留めた。口から出るのは、グランドキャニオンも比では無い深さの溜息。
どうしてこう、敵は見事に此方のトラウマを突いてきてくれるのか。こういう類の輩には、少なく見積もっても二度ほど会った覚えがある……。最早、少女が戦場にいる事への悲嘆より、自分の運命を嘆く方が声が大きい。

一応辺りを見渡すが、負傷者は居ても死者は見当たらない。一部は判別不能だが、恐らくは生きているのだろう。良くも悪くも、それが目前に居る“彼女”の実力を証明している。

それでも一応、今回は救いもある。ターゲットは少女ではなく、あくまで今回はクリスタルの破壊が第一目標。だから聞くだけは聞いておこう。少し前方へと歩み寄り、出来るだけ自然な笑顔を浮かべつつ、子どもへと語りかけるように問い掛ける。

「あー、お前さんが此処の『スパイダーマン』なんだろうな……。ならば一つ頼みがある。そのお家を退かして、道を譲ってくれないか? なに、俺たちはあくまでクリスタルさえブッ壊せれば良いんだ。お前さんに危害を加えるつもりはねーよ。」

念の為、扉からは動かない。ダガーも下ろしてはいるが、手からは決して放すまい。勿論このまま穏便に済むなら苦労は無いだろうが……。

気は進まないが、『その時はその時』だ。

>>ルーシャ・コバルト,橋川 清太郎

【配置ありがとうございます!さて、解きほぐせるはものやら……】

6ヶ月前 No.262

氷雪の死神 @zero45 ★h2BOlEz4kD_FR1

【ロンカ村/民家/付近沿道/レイヴン・ロウ】

「休戦に異存はない。その言葉に甘え、好きにさせて貰うとする……それと、先程の言葉を詫びよう、村のもう一人の守護者ギラード。お前は村の敵となってでも、この村の民達を守ろうとしていたのだな」

 喪失した過去を取り戻した事で、今再び帝国に仇為す牙となった男。されど今、この瞬間だけは復讐者としての姿を捨て、斃さねばならぬ邪悪外道の悪魔に挑むが為に共闘の道を選択する。戦場を共にする"帝国所属の近衛"に告げる言葉は、一時休戦に対する肯定の意志表示。
 そしてもう一つは、"ロンカ村の守護者"に対する陳謝。彼は、彼なりのやり方でこの村の者達を守ろうとしていた。
 強大なる帝国を前にした村人達に与えられる選択肢は、服従による生か、敵対による死の二つ。彼は村人達を服従させる事で、何とか明日を生き続けさせようとしたのだ。村の叛逆者、裏切り者の汚名を被ってまで。

「無茶と言ったな。ならばその認識を覆させた上で、無惨に殺す!」

 雷光を纏った斬撃と、連続する銃弾の嵐。怒涛の如くに繰り出した連撃の全てが、荒れ狂う暴風の護りによって防がれてしまった事実を、彼は苦とは思わない。寧ろ、より無惨に殺してやると言う気持ちが昂って行くを感じている。留まる気配を見せない激情が、彼の心を強く支配して行く。
 反撃として、足元より噴出し始める風。周囲を旋回しながら、徐々に一体化して竜巻へと姿を変えて行く。逃げ場が必要か、と断じて行動に移ろうとした直前、もう一人が放つ光によって竜巻が消失した事を確認する。

「だが、奴は魔法以外に突出した才能を持っていない。それさえ封じてしまえば、後はどうとでもなる。少なくとも、魔法は使えないが凄まじき武芸を誇る将軍のマロンよりは、御しやすい相手だ」

 ノエル・マッケロークに関する情報の要求。彼女の能力についてをギラードが伝えた後、続く形で彼女の弱点を伝えて行く。直接戦った事はギラード同様、一度も無いが、そうでなくとも解る程に露呈しているのだ、彼女の弱点は。
 魔法の才能の有無だけで人種を区別する程に、徹底的な魔法至上主義を掲げている彼女は、武芸だけで将軍へと登り詰めたマロンに対する態度に顕れている様に、魔法以外の全てを軽視している。努力を嫌う本人の性格も相まって、それ以外の部分に関しては全く鍛えていないと言っても過言ではない筈だ。
 故に、魔法さえ封じてしまえば此方の勝利は当然の物となるだろう。

「そして、その点については俺に任せて貰おう。慢心した外道を地に墜とす、劇毒がここにある」

 刹那、雷光纏う双剣銃の刀身の色が、黒紫色に染まって行く。それは、体内へと侵食して災い齎す猛毒の魔力。本来の用途としては暗殺時に用いる事が多い毒属性の魔法ではあるが、戦闘の場に於いても活躍が見込める、優れた凶器の一つ。
 たった今刃に仕込んだ毒は、魔力の動きを阻害する効果があり、魔法を主軸とする者に対しては絶大な効力を発揮する物だ。完全に魔法を使えなくさせるには、幾度も切り刻む必要があるものの、一度喰らわせただけでも目に見えて効果が出て来る筈だ。

「可能な限り、奴の動きを封じろ! そうすれば奴は必ず殺せる!」

 再び前へと加速、そして急接近。凶刃を構え、ノエルの前へと躍り出た彼はすれ違い様に右の刃で袈裟に斬り、すぐさま向きを変えて今度は背後から左の刃による袈裟斬り。再び向きを変えて大地を蹴り上げると跳躍し、空中で双刃を天に掲げると、下方向への加速と同時に急降下。頭上を目掛けて双刃を一気に振り下ろし、勢いそのままに彼女の遥か後方へと退避する。
 怒涛の如くで繰り出された高速の斬撃の数々。一度でも回避に失敗すれば、確実に今後の戦闘に支障を来す事になるだろう。

>ノエル・マッケローク 氷魔像ギラード 蓼科祈

6ヶ月前 No.263

亡国の末裔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★cW4RhKerHn_mgE

【ナコーン/市場/→城塞都市ギリダン/玉座の間/ソレミア・ラガルデール】

もはや敵は完全に錯乱しており、何を相手に戦っているかすらも不透明な状態。それでも戦意そのものは一切衰えていないようで、針の刃先は、変わらず二人へと向けられている。
だからこそ、ソレミアも歩みを止めることは出来ない。ここで躊躇すれば、死ぬのは自分の方であると理解しているから。戦いが終わるその瞬間まで、決して気を緩めてはならないのだ。
襲い掛かる雨のような針を断ち切りながら、敵へと疾駆するソレミア。彼女の携える聖剣が相手を捉えると同時に、味方の女性の蹴りも炸裂。敵は、遥か後方へと吹き飛ばされていった。
崩れ落ちる針。それは、戦闘の終わりを意味するか。されど、まだ相手の意識は健在であり、ここから最後の反撃に出てくる可能性も十分考えられる。そう思い、ソレミアは距離を取り、警戒を続けていたのだが……
敵が選んだのは、信号弾を打ち上げ、部隊を撤退させることであった。ソレミアはそれを見て、相手にもはや敵意がないのだということを悟り、みずからも両手に生成した剣を消滅させて構えを解く。

「……分かったわ。あとは私に任せて。あなたは今すぐ、この場を離れなさい。無抵抗でも、他の者達が見逃してくれるとは限らないわ」

優しく相手の手を取りながら、彼女はそう告げる。戦いはもう終わったというのに、無駄な血を流す意味がどこにあるというのか? だが、全員が同じ思考であるという保証は、どこにもない。
反帝国勢力に与する者の中には、帝国に属する存在の一切を抹消しようとしている者もいるだろう。仮にそうした者がこの場に現れた場合、この無力な女性を見逃してくれる可能性は限りなく低い。
出来るだけ早く、ここから立ち去ることを彼女へ促した後、ソレミアは共闘した味方の女性の方を向く。どうやら彼女は、別の任務のため、次なる戦地へと向かうようだ。

「ええ、またいつか」

それだけを言い残すと、ソレミアもまた、自らの使命のため、走り出す。彼女の出で立ちから、恐らく同じ時代の人間ではないであろうことは、薄々感付いていた。
しかし、時代の流れは常に一つ。歴史が書き換わるようなことがあれば、いずれ会えるだろう。それが生身での再会となるかどうかは分からないが、古代においても歴史書に当たる文献は存在している。
自らの時代へと戻った彼女が、そんな歴史書を見て、自分のことに気付いてくれればよい……ソレミアは見たことも聞いたこともない未来の世界に思いを馳せながら、ナコーンを駆け抜けていった。



一体、どれほどの時間走り続けていただろうか。途中幾度か息を整えるために歩きつつも彼女が辿り着いたのは、かの魔道帝国の本拠地、城塞都市ギリダン。
遥か未来からもたらされたテクノロジーによって近代化の進むこの都市は、他の古代の町々とは比べ物にならないくらいの発展を遂げており、文明の象徴でもあった。
あまりにも荘厳なその光景に、さすがのソレミアも少し感動を覚えるも、今はそのような感情を抱いている場合ではない。ここには、自分が打ち倒さなければならない敵がいる。
敵を発見するやいなや襲い掛かってくる帝国軍の兵士を斬り捨てながら、ソレミアは遂に都市の中枢ともいえる場所、宮殿へと足を踏み入れる。その最奥、玉座の間には、女帝パージルク・ナズグルと、強気な性格の一人の女性がいた。

「……懐かしいものを見たわ。まさか、あなたが"それ"を掲げているなんてね」

玉座の後ろに掲げられたラガルデール王国の国旗を見ながら、ソレミアはそう呟く。直接の認識はない両者だが、彼女の反応と独特の髪の色で、パージルクはその正体に気付くかも知れない。
ソレミア・ラガルデールという人物は全くもって有名ではない。第一王女プーリッシュが失踪した年に生まれた彼女は、ほぼほぼ歴史の闇に葬り去られたような格好となっているのだが。
それが幸いし、ブールーンの輩に殺されることを免れたというのも、また事実。ラガルデール王国に一定の尊敬を置いているパージルクであれば、ソレミアの存在を知っていたとしても不思議ではない。

「私はあなたを恨むつもりはない。恨んだところで、過去は変えられないから。それでも、これだけ言わせてもらうわ。あなたの今のやり方は、間違っていると」

ソレミアはは魔道帝国も、ましてやブールーン民衆共和国ですらも、恨んでなどいない。ラガルデール王国が滅んだという事実は、彼らをいくら憎んだとしても変わりようがないからだ。
だが、それとこれとは別の問題。魔道帝国のやり方は、第一人種と第二人種を差別し、奴隷を生み出すこのやり方は、絶対に間違っている。人々のためにも、これだけは、正さなければならない。
彼女の両手に、黄金と白金、二対の剣が携えられる。先制攻撃はしない。過ちを正してくれるのであれば、手を出す必要はないから。しかし、女帝との対決は、決して避けようのないものとなるであろうことも、ソレミアは重々承知していた。

>パージルク・ナズグル、ニケ・エタンセル
【昨日まさかの寝落ちでレス出来なかったスレ主の屑】

6ヶ月前 No.264

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【城塞都市ギリダン/正門/ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン】


結晶刃による斬撃は数多の兵士を巻き込むも本命の女性将軍には手に持つ日本刀で受け流しに成功する、打ち合う事よりも流すことに長けている武器とは言え巨大な結晶刃を受け流す技量は確かなものだろう。
しかしその技量があっても攻めに転じることはない、本人の考えは知る術がないが少なくとも彼は将として守りに専念していると判断した。その彼自身は女性将軍が発した言葉にハッとしたような顔をする。

「そうか!名乗りをせねば困惑するのも無理はないな!私としたことが失念していたぁ!はーっはっはっは!」

周囲の兵士を薙いで吹き飛ばしながら一度戦線を引き下げる、追従していた門を攻める兵士も孤立してまで突貫する能無しではなく彼と共に戦線を下げ様子を見る。結晶刃を一度崩壊させ、今度は結晶の腕を作り出しす。
両の手を天高く掲げ、空を仰ぐように見上げた瞬間。彼の背後からは轟音を伴いながら数々の爆発、いや色彩豊かな属性で彩られた花火が上がる。敵を攻撃するものではない、ただ名乗りを上げるための演出として正門にいる敵味方問わず照らしていく。

「私の名は!ドライツゥ!ユメイルゥ!ファラレスゥ!ロスリアン、だぁ!長ったらしくて面倒だなぁ!ドライツ・ロスリアンが本名だ、あとは好きに呼ぶと良い女性将軍よ!」

右腕の結晶腕を再び崩し、先の結晶刃よりも細く長い女性将軍が持つ得物と似た刃を作り出す。リスペクトの心、彼の派手さは他者を貶めるためにあるのではなく、互いに派手さを高めあう為にあるもの、相手が派手さに拘らないならば此方が同じステージに引き上げるのみ。
どうやらこの女性将軍は奥ゆかしいタイプだと彼は判断した、手に持つ得物からして東国の心得を持っているのだろうと。常に控えめなヤマトソウル、戦いの中では猛きものだと聞いていたが戦いの領域にまだ至らんと、そう言っているのだろう。
であるならばと彼は思考を積み重ねる、謙虚に、お淑やかに女性将軍が戦を運ぶというのならば此方が派手さに乗せてしまえばいい。そう、派手さとは見るものを魅了すると同時に、見た者も同じく高揚させるものだ。

「さあ!さあ!私は名乗ったぞ!いい加減、女性将軍という派手でない呼び名は御免被る!では!この派手さ極まる名乗りを超え、君の名を教えて頂こうか!此方も互いを知ってからの方が、派手さを引き立てる術が思い浮かぶというものだ!」

その言葉と共に再度大きな花火が上がる、先程の花火の残り香の氷の粒や火の粉が飛び交う中で空へ大輪を咲かす花火もまた違った派手さを誇る。美しくも荘厳、荘厳?それはともかく派手な事には違いない、戦場で花火を挙げる馬鹿という事にも違いない。
結晶刃の切っ先を女性将軍へと向け、その名乗りの返答を待つ。返してくれるならば僥倖、そうでないならば何らかの事情があったと諦めよう。派手さを共有したいと思うが、強要はしないのがこの男、視界への暴力はご愛敬。
そも相手が防戦を望むならば休まずに攻め続け疲弊させるのが兵法の常、それを知らぬこの男ではない。では何故態々名乗りの為に時間を取り、あまつさえ隙すらも与えたのかと、彼に問えばこう答えるだろう。
―――――その方が互いに派手に、共に輝けるからだ、と。

>>エスメラルダ・ナズグル

6ヶ月前 No.265

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【城塞都市ギリダン/首都奴隷処理施設/橋川 清太郎】

施設に侵入してからは、地面スレスレの超低空飛行……つまりホバー移動に切り替え、そしてリプレイサーに先頭を任せていた。暫く捜索を続けていると、青い髪の少女と遭遇する。そこら中に張り巡らされた蜘蛛の糸は、彼女の仕業だろう。

「ね、ねぇ……君は、どうして帝国に協力してるんだい?」

敵を無駄に傷つけず拘束だけで済ませている現状を見て、そんな言葉がついて出た。とてもではないが帝国直属の者とは思えない。

(……それにしても、何か引っ掛かるなぁ)

糸が、ではない。人間の姿を持ちながら他生物の特性を持つ。この特徴が僅かながら既視感を感じさせるのだ。

(!!!)

思い出した、何年か前に起こった獣人ブームの一環で作られた合成クローン。当時はネットサーフィン中に一部の広告でしか見なかった為記憶にあまり残っていなかったのである。大方、目の前の彼女は生産された内の一体が何らかの理由で破棄されたのち、帝国に拾われ自らを捨てた者達を恨み帝国への協力を続けている、といった具合だろう。ならば今の質問は彼女を怒らせるだけか。

「…………」

バイザーの下で苦虫を噛み潰したような表情を作る。出来ることなら彼女と戦いたくない、人の環の中で生きることを強制されながら淘汰される苦痛は知っているし、そうでなくとも論理的に考えれば彼女を敵として排除することは好ましくない。
不幸中の幸いか、リプレイサーは宣言通りすぐに仕掛ける気はないようだ。こちらも無駄に警戒心を煽らないよう、ThunderLeoとHeavyBeetleを転送で武器庫に戻す。これで手持ちの武器はなくなった、明確な『交渉』の意思表示。だが裏を返せば『これ以上の譲歩は出来ない』ということに他ならない。もし彼女が「話し合いたいなら完全な丸腰になれ」とでも言おうものなら戦闘を選ぶしかない。こっちだって何の意味もなく帝国を潰しに来てるわけじゃない、時空防衛連盟としての目的や矜持まで捨てるわけにはいかないのだ。

>>リプレイサー、ルーシャ

6ヶ月前 No.266

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【ロンカ村/養鶏場/黄衣なる者&少女】


そういえば避けた拍子に仮面も飛ばしていたねえ、触手を伸ばして回収するねえ。これがないと人間との接触が面倒だからねえ、ほら、変に怖がられると話も出来ないからねえ。
今の彼みたいに怖い怖い顔で睨んで来ることもあるけれどねえ、でも彼のは姿に対してよりもこの子を育てることに関しての方が強そうだねえ。まあ、逃げる前に安心させてあげようねえ。
さてさて、彼は真っ当な英雄らしく師を持ちその恩師たちの恥にならないように戦っている様だねえ。実際に打つ手がない以上その師はすごい人間だったみたいだねえ、ああ彼が神の気配を漂わせてるなら師とやらも純粋な人間じゃないかもねえ。
彼は防御を選択、ねえ。彼なら突っ込んできてもおかしくはないと思ったけどねえ、予想以上に理知的だったって事だねえ。人を見る目には自信があったんだけどねえ、まあ鈍ることもあるんだろうねえ、残念残念。
そうして投げかける言葉はこの子に向かってだねえ、次会った時に誇りがない戦士なら討ち取るって怖いねえ。そもそも誇りだなんて人によって違うだろうにねえ、人の殺し方に誇りを持つような人間だっているかもしれないのにねえ。
この子の返答は首を縦に……ああ、振っちゃったねえ。怖くて振ったんじゃなくて確かに意思を以って振ったねえ、まあこれもこれでありだねえ。……親殺し何てされたら堪ったものじゃないねえ、いやいや早計だねえ。

「そうそう、逃げる前に良い事を教えてあげるねえ。この子、所謂実験体ってやつなんだよねえ、放っておけば多分死んでいたねえ。それにこの子に来るかどうかはちゃんと選んでもらったねえ、このまま死ぬか死ぬかもしれないけど一緒に来るかって、ねえ。」

これは一種の契約なんだよねえ、だからこの子に選んでもらう必要があったのだけれどねえ。そうじゃないと宇宙の果てを覗いたときに狂っちゃうかもしれないしねえ、ああ勿論この子には純粋な人間は止めてもらうんだけどねえ。人間の寿命は少し短すぎるからねえ。
まあ別れ際にそんな事を言ったら後ろから槍で貫かれちゃうしねえ、それは秘密ってことだねえ。勿論彼女が強く拒絶したならばやらないけどねえ、この子、もう覚悟決めているような気がするんだよねえ。こういった人間に化け物は打倒されるんだろうねえ、怖いねえ。
さあ、そろそろ御暇しようかねえ。この村にこれ以上留まるのは危険だねえ、ほら弱いからねえ。また気絶されても困るからねえ、歩きで雪山を降りようかねえ。人目に付くかもしれないから触手も仕舞うねえ、仮面も顔の位置へと戻すねえ。

「じゃあ、またねえ。ああそう、言えた義理ではないけれどこの子は大丈夫だと思うねえ。だって育てるとは言ったけれどもねえ、誰も全てを面倒見るだなんて言っていないからねえ。この子は君の問いに自信をもって答えるくらいには善良だ、だから君の心配は杞憂だ。今度は手加減してくれると嬉しいねえ。」

ローブの裾をひらひらとさせながら存在を希薄にさせるねえ、熱以外を他者が認識できなくなる魔術だねえ。本当に便利だからねえ、弱いから良く逃げるんだよねえ。そのままこの場を離れるねえ。
そうそう、彼を安心させるために言った言葉は珍しく真面目に言ったねえ。この子は〜から杞憂だってところだねえ、ほらねえ、彼心配していたからねえ。次に会った時にそれが原因で殺されたらいやだからねえ。
さあさあ、この子の最後の仕上げをしようかねえ。殆ど何もしていないってのはご愛敬だねえ、あくまで知識と力を与えてどうするかってのを見るんだからねえ。観測者が全てに手を加えていたらその名が廃るだろうねえ、だから与えたものをどう使うかってのはこの子が決める事だねえ。
発言がぶれてる?言っていることが違う?だってそうだろうねえ、誰も本心を語っているだなんて分からないからねえ。トリックスターのあいつも本心何て語らないで遊んでいるからねえ、この愛だって他者から見れば愛じゃないかもしれないからねえ。
さあ、あとはタイミングだねえ。この時代の問題が解決するタイミングが良いだろうねえ、具体的に言えば女帝がどうにかなった時だねえ。その時に、名を授け、知識を授け、力を授け、存在を授ける。あとはこの子の意思だねえ、あはは睨まれてるねえ。

>>ランサー


【これで撤退させて頂きます、御相手ありがとうございました!】

6ヶ月前 No.267

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【ナコーン/森林/魔大老エスト(残り魔具8514個)】


「うーん?どうだろうな、過程が変わったこの今、先がどうなるかなど誰に判別がつくのだ。滅ばせんさ、今存在するこの魔道帝国を。」

確かに滅びたのであろう、原因が何であれ未来から来たという者たちがそういうのであればそうなのだろう。未来から来たという事を否定できるものはなかった、あの技術は全くの未知であり、研究を生業とする彼女からすれば説得力は大いにあった。
では、その滅びた過去にこの悪魔使いはいたのか。歴史是正機構は、時空防衛連盟はいたのか。答えは否、未来は先へ進むと同時に過去へは戻らぬはずだ。そして未来への道が違えば辿る未来もまた変わる、滅ぶ未来が変わらぬと誰が決めたのだ。
結局は未来からの介入があれば未来も可変だ、魔道帝国が確実に滅ぶ保証などない。であればこの場での敵対者を打倒すれば十分に存続の可能性はある、彼女自身が危惧していた崩壊の可能性も閉ざされてもおかしくはないのだ。
崩落した穴から出でるは金色の龍、その存在感からして生半可な攻撃をするわけではないだろう。であればとその姿の確認と同時に魔具を掌から吸収する、数は先の凡そ十倍。それほどの魔力を蓄えた今、開放するは大魔法の他ない。
悪魔使いが放つ攻撃は先程の銃弾、それに黄金色の龍から放たれる周囲を殲滅するには過剰と思われるほどの巨大な雷の柱。奇妙な姿の男が放ったのは小型の鳥の様な弾丸、奇妙な音声の通りなら鷹を模した物が彼女を獲物として襲い掛かってきた。

「……うーん?成程な、悪くない魔法だ。魔の才がないものでも扱えるならば記録書に加えたいくらいだ、だが―――」

なぞる頁は一つのみ、氷壁を作り出した頁よりもさらに眩く光り輝くその頁。彼女の魂にして千近くの魔力が込められた大魔法、その輝きを中心として浮かび上がるは光すら飲み込むほどの闇。その闇の渦から最初に出でたるは歪な腕であった、関節は十にも及び長さは周囲の木々を足せどもまだ足らぬ天へと至る腕。その腕の一振りにて鋼鉄すら容易く貫く銃弾はキンという音を立てて彼方へと消えていった。
その手をこの世への禊として這い上がってきたのは背が捩じり斬れんほどに回転した奇妙な胴に、異常に肥大化し一種の甲殻のように変貌した肩部、そして本来ある筈の頭部には全てを吸い込むような暗黒が広がっている、その深部に薄暗く光る深紅の輝きが瞳と認識できるだろう。全てを飲み込む雷の柱はこの異形の甲殻染みた肩に阻まれ霧散した、異形に効いた様子はない。
漆黒から出でたる残る腕二つで奇妙な男が放った弾丸は一つ残らず振り払われた、長大な腕に阻まれては不規則な軌道を描き追尾する弾丸も本領を発揮できまい。上半身に腕三本、これが魂を千消費してできる限定的な召喚だ、さらに言えばこの異形はすぐに闇の渦へと吸い込まれる。燃費も悪く持続性もない、しかし瞬発力に至れば最高レベルの召喚魔法だ。

「魔大老の名、伊達ではないのでな。ああ、その手からは逃げることをお勧めする。深き闇に捕らわれるのは、永遠の苦しみを味わうそうだ。」

そしてこの異形の最大にして最後の攻撃が闇に呑まれる間際に、術者以外を闇へ道連れにしようとすることだ。この醜悪で悍ましい姿ではあるが闇に引きずり込まれる姿は憐憫を誘う、何が何でもこの世にしがみ付きたいという執念を感じる。まあ、今までもそうやって闇へと墜ちて行ったのだが。
三本の腕の内二本が悪魔使いへ、一本が奇妙な姿の男へと向かった。この腕は多関節を活かしどうあっても誰かを道連れにしようとする、迫る腕を避けても関節をうまく用いて引く腕に引き込まれる事も良くあることだ。一本だけであれば腕に集中していれば避けるのは難しくはない、尤も腕自体が巨大なため大きく避ける必要があるのだが。
しかし二本となるとその難易度は大きく上がる、逃げ場を潰しつつ迫り、それを避けても囲むように引き込まれる、それが二度もあるのだから一度も引っかからないのは至難の業。あの黄金の龍のおかげで三次元軌道が出来れば多少避けやすくはなると思うが、今は地上に降り立ち何かを込めている。急いで回避しなければ戦闘など意味を為さなくなる。
回避に用いるだろう時間を計算し、新たに頁をなぞる。それをなぞった途端に彼女の顔は一転険しいものとなる。すぐさま次の頁を開こうとするが、その途中で止める。この場で引けば先の女性がまた数的不利を背負い戦闘になる、一度手を貸した以上途中で抜け出すのは信念に反する。
そう、城塞都市に、いや女帝に敵が迫っていた。この蓄えは本来女帝の為の物、であればその救援にすぐさま向かいたいがその為に一人を見捨てるのは駄目だと律する。少し決着を急ぐ必要があるか、と彼女は思考する。
魔大老エストのこの戦いにおける最大目標は魔道帝国の存続、その為には女帝が健在であることが絶対条件。故にこのような些末事に囚われて重要な事を見過ごしてはならないのだ。

>>桐生戦兎 17代目葛葉ライドウ (イスマリア・サルヴァトール ギギナ)


【屍軍団の描写はしていませんので、魔大老エストへの攻撃と解釈させて頂きました。申し訳ありません。】

6ヶ月前 No.268

まあ偉いローマ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_kuu

【グリア村⇒ロンカ村/池⇒広場/カリギュラ】

 音がする。
 それは鬨の声だ。獣の咆哮、聞くものを畏怖させる雄叫び。
 辺りに響き渡る爆音は誘蛾灯のように注意を引き、そもそも微塵も自身を隠そうともしない気質は王者のそれであり、皇帝のそれだ。道行く全てを踏み躙り、喝采と共に栄光を携えて凱旋する覇者のよう。
 彼は狂っているが。愛なき獣は、されども滅ぶべき国に片時も忘れない光を見出した。
 暴君は滅ぶだろう。遅かれ早かれ確実に。彼という英霊は召喚されたが最後、その霊基を軋ませ続けていく―――その内側に力を膨張させ続け、際限なく魔力を喰らい貪りながら、道行く全てをその腕で払い退けながら、彼は断崖まで疾走していく。
 そうした種別の英霊ゆえに、外面ほど彼は万全というわけではなく、しかし致命さえもカリギュラを止めるには至らない。男の霊核を打ち砕くのは、短き統治の時間が過ぎ去った後だけだ。戦えば戦うだけ、その統治のための時間はすり減り、されどもまだ零ではない。
 だからこそ、彼はこうやって猛り、何処かを目指している。

 音がする。
 それは進軍の音だ。靴を鳴らし、雪を散らして溶かし、堂々とした侵入の在り様。
 守護者として、あるいは侵略者として。そこにはちきれんばかりの力を込めて、彼は悠々と脚を進める。
 道行く何かを払いのけ、立ち塞がるものを踏み潰して、彼は焔の先を目指した。運命に魅入られた者達の片割れを探して、あるいは逃げおおせた供物どもを探して、彼はその本能だけで追跡を続けていた。

 もしもすぐの追撃を選んでいなければ、片割れには出会えたかも知れぬ。
 焔使いはその身を焦がす執念と共にひとつ先を目指したからだ。

 もしも此処で引き返していれば、いま少しは生き永らえることも可能かも知れぬ。
 先の戦闘で受けた傷が仮に癒えようが、カリギュラという英霊の最大の欠点だけは決して癒えない。

 しかし、彼の奉じる月は、吸い込まれるような輝きと共に此処を指し示した。
 狂気の行き先はただ一つ。焼けて朽ちる一つの小さな箱庭の終わりこそが相応しいと断ずるように。


「―――余は、求むる」
「―――余は、応える」

「余、の―――余の、振る舞い、は、運命、で、ある。
 捧げよ、その、命。
 捧げよ、その、体」


 なれば、彼の行き先がたまたま“其処”になったのはある種の宿命だろう。
 この村で本来狙うべきものではなく、片割れの守護者に目を付けたのも。
 たった今起きた(ある意味)惨事の収束の瞬間に現れた、その間の悪さも。

 村の入り口からゆるりと進軍し、中距離からその深紅の眼光を迸らせる紅の暴君。
 銘をカリギュラ、古代の魔道帝国が召喚した狂戦士の英霊である。


「――― す べ て を 捧 げ よ ! 」


 吠え立てれば、狂気は熱へと変換され、それが既に放たれた炎に混じって世界を焦がす。
 皇帝特権による魔力放出スキルの短期習得は、そもそもからして狂気という炎を燻ぶらせ続けるカリギュラと相性がいい。戦い方という意味でも、その気質という意味でも。
 今の彼はそれゆえに、命尽き果てるまで爆走し続け、厄災を撒き散らす動く火災そのものだ。
 接近し、獲物を捉え、されどまだ動かない。ただ進軍するのみで、闘気と狂気の入り混じった熱は周囲の全てを焼き尽くし、焼き焦がしながら、彼は標的としてその三人を見定めた。
 面識などあろうはずもない。少なくとも、旧き人理の英霊たるカリギュラに、異なる世界と時代の人間の是非が分かるわけがない。だが、それが己を喚んだものと同じ運命に在るかどうかは分かる。
 そして―――違うならば、ただ蹂躙する。
 今に滅び、崩れ落ちることを確信させる旧き帝国のために。

 皇帝はただ英雄を、獣を、守護者を見据えて猛り狂う。
 その霊核が膨張し続ける力に耐えきれず、いずれ崩壊するその時まで、ただ、ただ只管に―――。

 暴虐皇帝、未だ健在。

>山城瑤子、イアン・ガグンラーズ、ユーフォリア・インテグラーレ

6ヶ月前 No.269

葛葉の一枚看板 @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_7FY

【ナコーン/森林/17代目葛葉 ライドウ】

「恐らく滅ぶことには変わらんよ、大河に大石を投げ入れようとも大河の流れが変わらぬように、積み重ねた結果の滅びは回避できないだろうよ」

ライドウの身分は客将に等しいうえに作戦会議にも参加しておらず魔道帝国の詳しい歴史も知らないが、国が滅ぶというならばそれだけの要因があるはずなのだ。
それこそある日突然大災害に見舞われたり、国そのものが突如として消失でもしない限りは大体原因があるのだ、それも直前では回避しようのないほど大きなものだ。
ライドウは極力嘘は言わないように生きてきた、交渉事において嘘をつくのは最大のタブーだからだ。だからこの言葉は本気の言葉だ。

「例え今年滅びを免れても次の年に、それより先かもしれないが必ず滅ぶ、心当たりがない訳ではないだろう?」

さて、口論はここまでにしておくとしてだ、あの異形の存在に暴威弾もマハ・ジオダインも防がれた。
それどころか黄泉への道連れにこちらに腕を伸ばしに来ている、だがいいことを聞いた、この腕が闇で魔である限りライドウにはそれを払う術がある。
右手に刀を握り、左手を刀の峰に添えてライドウは高らかに叫ぶ。

「忠告痛み入る、魔を祓え”ヒノカグツチ!”」

ライドウの刀はただの刀にあらず、今のライドウが持ち得る高位の退魔刀だ、その真名開放とマグネタイトを載せた斬撃は易々と腕を切り裂いた。
無論サイズがサイズであり、しかも二本同時に迫ってきているのでこれらを退けるのはライドウといえども骨が折れる作業だ。
それでもただ無心に秘剣ヒノカグツチを振るい続ける、縦横無尽に振るわれる刃は迫りくる二本の異形の腕を悉く切り裂いて浄化していく。
もう片方に向かった腕は流石に対処しきれなかった、彼が自分で対処することを祈るのみだ。最後の一振りで異形の腕二本を完全に滅する。
ライドウの額に一筋の汗が流れる、疲労は少々あるが、体は充分温まっている、この程度で値を上げるほどヤワにできてはいない。

「忠告の礼だ、今の類の術は俺には効かぬと知れ。これでも退魔士の類でな、放てコウリュウ!」

『”大放電!”』

上空を飛んでいるコウリュウの口にエネルギーが溜め込まれ、雷のエネルギーが一点に収束して放たれる。
攻撃範囲はマハ・ジダインよりも狭いもののその威力と速度は強力だ。
相手は魔術師、飛んで跳ねて避けて戦う相手ではない、避けるより何らかの手を講じて防ぐタイプと見た。
防いでいる隙に肉薄して、一太刀浴びせるべくライドウは走る。

>魔大老エスト、桐生戦兎、(イスマリア・ザルヴァトール、ギギナ)、ALL

6ヶ月前 No.270

エクセラ・ノア・アウラ @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=dgrb36F8Ll

『城塞都市ギリダン/宮殿外部→玉座の間/エクセラ・ノア・アウラ』

奇襲に近い形で宮殿外部にいたライフゴーレムを何体か倒し、エクセラは宮殿中へと侵入する。
侵入した宮殿内にも敵兵が何人か居り、エクセラに向かってくるが、エクセラは意に介さず彼らを倒す。
そして侵入してから数分、宮殿奥に存在する玉座の間にエクセラは到達すると、そこには三人の人物がいた。
その内二人は一人の人物に対し敵意を見せていた。
二人の様子を見るに時空防衛連盟側の者か協力者であろう。
そして二人が対峙しているの人物が敵であろう。

「私には貴公に個人的な恨みはないが、貴公達を倒して野望阻止させてもらおう」

エクセラも玉座の間に先に来ていた二人のあとに続き、敵対している相手に向かってそう言い。

>>パージルク・ナズグル、ニケ・エタンセル、ソレミア・ラガルデール

【スレ主様のお誘いでこちらに参戦します。宜しくお願いします】

6ヶ月前 No.271

失敗作 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

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6ヶ月前 No.272

指輪の女帝 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【城砦都市ギリダン/玉座の間/パージルク・ナズグル】

さて……静かな時間は終わりだ、もはやこの玉座を守る者は自分を措いて他になく、僅かなライフゴーレムや強化奴隷兵など、ここに来れるような有能な人間であるならば、吹けば飛ぶような雑兵に過ぎない。
玉座の間と外界を隔てる壮美な扉が焼け落ちる。 ……来るのは時空防衛連盟か、あるいはロンカ村の英雄か。

そう思って焼け落ちた扉の先から来る者に目をやれば、そこに居たのはそんな『名も知らぬ敵対者』などではなく、見慣れた顔だった。
少しパージルクは驚いたような表情を浮かべる、しかし、すぐに何時も通りの厳格な支配者としての表情に戻って、かつての臣下としてではなく、殺意を顕にした彼女と相対する。
呼び捨てにした事について彼女は何も言わない、そんな事に拘る意味は無い。 かつてはそうであったとしても、今の敵対者であるならば、むしろ名前を呼ぶだけ良い方だと言える。 むしろ、自分は『悪逆皇帝』だの『邪悪の化身』だの、そういった風に呼ばれる事ばかり考えていた。

そして、彼女が語った内容はロンカ村に対しての行動を強く批難する物だった。

「あぁ、久しぶりだな、ニケ・エタンセル。 そうだな、詫びねばなるまい、あの焦土作戦は帝国の法に背いた叛逆者が無断で犯した事だが……同時に、どこまで行っても、ノエル・マッケロークは妾が見つけ出し、有能な将軍と語った人物だ。 奴の罪は妾の罪と言い換えても良かろう」

パージルクもロンカ村で何が起こったかは知っている、その光景を瞼の裏に浮かべるように、パージルクは目を閉じる。
しかし、ニケの語ったそれを否定する事無く、むしろ正面から肯定した上で、確かに詫びなければならない、仮にそれが、彼女の管轄外へと行ってしまったノエルによって行われた事であっても、彼女を育てたのは他ならぬ自分なのだから、と。

しかし、次の瞬間には、パージルクはかっと目を開き、ニケに向けて言った。

「だが、本当にそれだけを言いに来たのか? ……お前は、焦土作戦など行わなくとも、魔道帝国の旗が見えた途端、妾を殺しに来たのではないか? 自由や誇りの簒奪者ではなく、自分の最も大事なものを奪った悪意の塊を、この機会に討とうと。 何もそれが悪いとは言わんよ、しかし……力には責任がある、お前のような有能な者が、妾を殺すと必ず宣言したのなら、犠牲者は減ったろうが、似たような事は何れ起きた。 ロンカ村侵攻はその結果起きたような物だ」

パージルクはそのように言った、仮にノエルが居なかろうとも、ニケは自分を殺しに来たのではないか? そして、そういった能力者が多く固まっていたからこそ、ロンカ村は標的となった。
どちらも譲渡しない以上、ノエルの件は過剰だとしても、何れ、似たような事は起きたよ、とパージルクは告げた。

そして、続く新たな人物をパージルクを確認する、さて、どんな人物か、とよく見れば……なるほど、尊敬していた亡国すら自分に牙を向くか、それもまた仕方の無い事。

「初めまして、ラガルデールのご子息。 妾の名はパージルク・ナズグル、知っての通り、魔道帝国を率いる者。 そうですな、貴方から見れば、死者の首を掲げる悪趣味の極みに見えるかもしれませんが、妾はあの国が好きでしたから、願わくあの国と同じように、そう思って魔道帝国の旗の横に掲げさせて頂きました」

パージルクは"ソレミア"本人のことは名前すら知らない、だが、その髪の色と、旗に対する反応で、その素性が何処であるかは素早く見抜き目上、あるいは同等の存在と話す際の口調で彼女に話しかける。
……だが、話し合いのつもりならば、もっと早く来ていただろう、今、このタイミングで現れたと言うのは、そういう事だ。

「えぇ、似たような事は既に千を軽く超える数は言われましたとも。 ……ですが、退くつもりはありませんぞ、ご子息。 妾はあらゆる者が平等な不幸な世など無くなれば良いと思い、実力によってのみ階級を決定されるこの魔道帝国を築きました。 過ちと人は言うかもしれませんが、妾は、少なくとも臣下の幸福や笑顔は過ちとは思えんのですよ。 だから、それを砕く者を、消すまで」

相手も退く気はあるまい。 そんな事はパージルクもわかっていた、だから、蛇足な「退け」と彼女に頼み込む事はしない。

最後に現れるは……明らかにこの世界には無いはずの存在、未来人か、あるいはその未来人が呼び出した何者か、だが、それに対しても、パージルクは通常通りに接する。

「ようこそ、我が宮殿へ。 あぁ、それで良い、妾こそ、この時代の悪そのもの、破壊すべき元凶に過ぎぬ、話が早くて助かるな。 ……さて、では始めるとしよう。 見るが良い、真に倒されるべきはここにあり、事実、妾が守護するは、全奴隷を十年に渡って洗脳し続けた、このクリスタルがある! 行くぞ!!」

恨みはないが、野望を阻止する、そんな言葉に対して、パージルクは「それでいい」とだけ返した。
そして、彼女は立ち上がり、始まりを宣言したかと思うと、玉座の背後にある外壁に向かって指を鳴らす。
すると、魔道帝国の旗とラガルデールの旗を分けるかのように左右の壁が扉のように開いて行き……背後には、青空と、その中心部にそびえる、奴隷コントロール用のクリスタルが姿を現した。

――次の瞬間、全てを引き裂く高圧水流が、紺色の球体……ビットから複数本発射される。 当然これは、パージルクの魔力を借りて行使されているために、その威力は絶大だ、これが小手調べ過ぎないとしても、パージルクの圧倒的な魔力が、この魔術を凄まじい破壊力の大魔法にまで仕立て上げている。

だが、攻撃はそれだけでは終わらない、続いてもう片方の橙色のビットからは、三本の雷が発射され、一瞬にして部屋の中を奔る。
……戦いは始まった、人類最強クラスの魔術師、パージルク・ナズグル。 彼女に勝たねば、この時代の戦いは終わらない。

>ニケ・エタンセル ソレミア・ラガルデール エクセラ・ノア・アウラ

6ヶ月前 No.273

中二病でもハッキングがしたい! @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【城塞都市ギリダン/城下町/シエンタ・カムリ】

こちらが攻撃を放った直後、シエンタが期待していた人物が、望み通り城下町へと姿を現した。……正直にいって、考え得る中でも最悪に近い形で。
不意打ちを狙ったのはいい。それは勝利を近付けるために非常に有効なものだ。しかしだ……そこで、わざわざ大声で叫んで場所を曝す阿呆が、どこにいる?
ああ、ここにいたかとシエンタは頭を抱える。結局、技名も格好つけようとした結果発動失敗し、完全に優位性は消失。普通に正面から挑んでいる自分と、何ら変わりない状況となってしまった。
駄目だ、駄目過ぎる。これじゃあ君はグレードCに降格だよ。彼女は心の中で、そう悪態をつく。助けに来てくれただけでも増しだと思わないと、とてもじゃないがやってられない。

「はぁ……あんなのが相方だなんて辛いね」

キラーにも聞こえるように敢えて大声でそういい、シエンタはやれやれといったように両手を広げる。これで、彼が少しでも反省してくれるなら、儲けものというものだ。
だが、そうしている間にも戦況は一変している。偶然かどうかは分からないが、挟み撃ちのような格好となった攻撃は、ジェットでの飛翔という予想外の方法で回避される。
そうか、相手は未来人だった。こういった可能性もあるということを、考慮しておくべきだったか。まあ、次からは修正すればいい。どうせ、戦いは始まったばかりなのだから。
敵の反撃は、爆弾のようなものの投擲。いやいや、この距離では届かないだろう。精々、爆発後の余波の影響を受けるかという程度。距離を見誤ったか?

「ふん、ボクがどこにいるのかも分からなくなったのかい? おわぁっ!」

故に、避ける必要もないと余裕をぶっこいていたシエンタだったが、攻撃の正体は重力爆弾だった。突如として発生した重力源によって、彼女は足を滑らせる。
咄嗟に近くにあった段差を掴んだためよかったものの、もし間に合わなかったら、あのまま重力源まで引きずり込まれて、好きなように攻撃されていただろう。
冷や汗をかきながらもシエンタは立ち上がり、もう一度敵の男を見やる。相手は、こうした奇想天外な攻撃で攻め立てるタイプか。ならば、こちらも同じ道をいってやろう。

「ボクを手玉に取ろうたって、そうはいかないよ。君はここで倒される運命だ。喰らえ、ネオダークネスライトニング!」

長ったらしい名前を叫んだ割には、攻撃の内容は電子との会話による雷撃であり、先程と大きな違いはない。違いがあるとすれば、雷の量が段違いだということくらいか。
シエンタは、範囲攻撃を行うことで敵を雷に直撃させ、持ち歩いている機械をショートさせるつもりでいるようだ。彼女、決して"頭は悪くない"ので、こうした戦略的な考えも当然出来る。
さあ、早く続くんだキラー。こいつ程度、息を合わせればすぐに倒せるだろう。彼女は目線で相方へと合図を送るが、さっさとしろといわんばかりにじっと見つめ続けているため、これでは敵に意図がただ漏れである。

>スターロード、キラー・テンタクラー
【心配になるアホっぷり】

6ヶ月前 No.274

人の皮を被った悪魔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ロンカ村/民家/付近沿道/ノエル・マッケローク】

「滅茶苦茶にしてほしいなー。出来るならねー」

啖呵を切った光使いの少女に対し、ノエルは更に挑発を重ねることで応答する。彼女は実力差が分かっていないのだろうが、本気でそれをやるつもりだとしたら、滑稽だ。
高みから全ての存在を見下すノエルに、忠告の言葉が届くことはない。彼女はこの場に集った三人、誰に対しても負けるはずがないと考えているからだ。
そして、ギラードはどうやら独立宣言をパージルクに伝えてはくれないようだ。勝手に不要だと切り捨てたが、果たして彼はそんな自由のある立場だっただろうか。
近衛程度の存在が、報告の義務を怠ってもよいと考えているのか。それとも、今のギラードはあくまでロンカ村の味方であり、帝国の所属ではないと認識しているのか。ここは一つ、これを種にからかってやるとしよう。

「ふーん。伝えなくていいのかなー。パージルクさん、年だけど怒ると怖いよー」

女帝は部下に対しては比較的寛容な性格かも知れないが、あくまで独裁者であることを忘れてはならない。報告の義務を怠ったギラードには、どんな仕打ちが待ち受けているのだろうか。
まあ、あのパージルクのことだから何事もなく無罪放免で済みそうでもあるが、もし今の女帝がノエルであったならば、彼は忠義に背いたとして殺されていただろう。
ここまでは飄々とした態度を取り続けていたノエルであったが、レイヴンの口からとある言葉が放たれた途端、表情が一転して曇る。それは、彼女にとっては聞きたくもない名前の一つ。
ましてその名前と自分を比較され、あまつさえ格下であるような口振りをされたのだから、黙ってはいられない。冷たい視線がレイヴンへと突き刺さり、ノエルがゆっくりと口を開く。

「その名前、出して欲しくなかったなー。それとも、真っ先に殺して欲しいっていうサインなのかなー」

マロン・アベンシス。魔法の才能がないのにも関わらず、将軍の地位まで上り詰めた人物であり、パージルクにとってのお気に入り。魔法主義のノエルとは、決して相容れない存在。
彼女は自身の領土で第二人種に相当するような才覚のない者すらも第一人種に据えていると聞く。魔力がないから、頭までも狂ってしまっているのだろう。
露骨な不快感を露わにしながら、彼女は迫りくる複数の攻撃に対処する。光使いの放った、破壊の光線は大きく空中へと飛翔することで、斜線の外へと逃れる。
続くギラードの氷光線は、同程度の質量の風をぶつけることで相殺、最後に襲い掛かってきたレイヴンの連撃には、わざとらしく一つ一つに風の弾丸をぶつけることで、全て弾いてみせた。

「困るなー、そんなに粋がらないでよー」

余裕の表情を浮かべたまま、ノエルが右手を天へと掲げる。瞬間、大気が圧縮され、凄まじい威力を以て、三人を押し潰さんと、怒涛の勢いで迫ってくる。
更に彼女は、この攻撃を確実に命中させるべく、前方から鎌鼬を放ち、敵の行動を制限しようと試みる。上からの大気に押し潰されれば、よくて骨折、鎌鼬に斬られれば、最悪腕や足が飛ぶかも知れない。
よって、これらの攻撃は、どちらも確実に躱し切らなければならない代物。僅かでも掠めようものならその瞬間、人の皮を被った悪魔の、純粋なる殺意が、彼らに牙を剥くことだろう。

>蓼科祈、氷魔像ギラード、レイヴン・ロウ
【はしゃぎすぎ!(モーレスター) 多分次辺りから少しずつ綻びが出始める】

6ヶ月前 No.275

爆炎 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【城砦都市ギリダン/玉座の間/ニケ・エタンセル】

表面上は落ち着き払いながらも、煮え滾るような怒りを胸にかつての主の話を聞く。魔道帝国の方策は非人道的極まるものだが、今でいう"第二人種"が革命以前にしていたこととなんら変わりない。
そういう意味では当然の報いと言えよう。他人にやったことがそのまま自分に返ってきたに過ぎないのだから。ニケとて革命が起こらないまま能力に目覚め、差別意識のある国に知られていたら、どうなっていたか定かではない。
ただそれらを踏まえても帝国はやり過ぎなのだ。無能力者という括りだけで罪無き人々まで虐げ、"我々優秀な人間のための理想郷"を作ろうとしている。
最早復讐心など忘れて私利私欲に目がくらみ、第二人種に対する優越感を隠そうとすらしていないのは、ロンカ村に火を放った輩を見れば一目瞭然だ。思い上がりも甚だしい。

「お前の言う通りだ。俺はロンカ村の人達の優しさに甘えて、現実から目を背けていただけだった。本当はお前のことが憎くて憎くて仕方がなかった。

だけど、"力には責任がある"ってその言葉、そっくりお前に返すぜ。俺達能力者の義務は、力を持たない奴らを虐げるんじゃなく、一緒に生きていける世界を作ることだ」

詭弁であることは承知の上だが、迷いなく言い放つニケの脳裏に、優しく微笑む親友の姿が浮かぶ。ニケの思想は彼女から学び取ったものと言っていい。
特別な力を自らのために振りかざすのではなく、弱き者を守り共存していくために用いる。ロンカ村に全てを捧げ、人々に愛情の限りを注ぐパメラは、まさにこの思想を体現していた。
簡単なことではないのはわかっている。虐げられた第一人種は第二人種を恨み、またその逆も然り。仮に魔道帝国を滅ぼしたとしても、それで万事解決とはいかないだろう。
ただ一つ確かなのは、今のままでは絶対にいけないということ。帝国の恐怖政治だけはなんとしても廃さなければならない。

「俺達三人で未来を切り開くぞ!」

次いで現れた青髪の女性―――亡国・ラガルデールの末裔と、ドレス姿の女性に向き直り、士気を鼓舞するかのように咆えたてる。
既にボロボロの様相ではイマイチ迫力や説得力にかけるやもしれないが、ニケは本気だ。僅かに回復したとはいえ負傷したことに変わりない足、その状態からして戦えるのはせいぜい十数分。
狙うは短期決戦…不利な状況下でも自分に出来る最高のパフォーマンスで勝負を決めに行く。それ以外に道はない。

次の瞬間、先制攻撃と言わんばかりに放たれた高圧水流が三人を襲う。紙一重の回避をたしなめるように引き裂かれる洋服の袖。もし恐怖や足の痛みに怯んでいれば、代わりに肉を断たれ、水飛沫は赤く染まっていたことだろう。
やはり怪我と疲労が大きいのだろうか、躱せずに命中した電撃がニケの身体を苛む。すぐに弾き飛ばされたため長時間の感電には至らなかったが、例え短時間であろうと身体の内側に走る痛みと痺れは筆舌に尽くしがたい。

それでもフラつく足を押さえて立ち上がり、すぐに反撃に転じる。用いるのは彼女の背丈ほどの幅はあろうかという特大サイズの火球を3つ、さらに火力は落ちるが速度と追尾性に優れる熱線を5本。
立て続けに怨敵目掛けて射出し、新たな時代への魁にならんとする。全ては愛する者達のために。

>>パージルク・ナズグル、ソレミア・ラガルデール・エクセラ・ノア・アウラ

6ヶ月前 No.276

魔道を征く者 @zero45 ★h2BOlEz4kD_FR1

【ナコーン/森林/北側/ダグラス・マクファーデン】

「世界政府の打倒、そしてあいつが掲げる理想の実現。その両方を果たす為に、俺はあいつの敵となる事を選んだ、と言う訳だ。
 ……組織に協力しているのは、偶然利害が一致しただけに過ぎん」

 歴史是正機構に加担している理由。何故なのかと問われたダグラスは、誰かに聞かれている危険性を顧みる事無く律儀に、かつ正直に答えを返す。現状の立場からして信憑性が薄いのは確かだが、その言葉には嘘偽りを一切含ませてはいない。
 本当は大学時代に主席の座を奪われた事を妬んでおり、彼女への逆襲を望んでいる、等と言った事は無く、あくまで自身が目標としている世界政府の打倒の為、そして彼女が掲げる理想を実現の物とする為に、敵として立ちはだかる事を選んだのである。
 実際の所、組織への加担は偶然の出来事に過ぎず、仮に同組織が存在し得なかった"可能性"があったとしても、彼は同じく敵対の道を歩んでいた事だろう。その果てに待ち受ける未来が、例え悲劇であってもだ。

「お互い腑抜けではないと解った所で、一つ勝負と洒落込もう。魔弾の射手としてどちらが優れているのかを、お前達二人を相手に証明させて貰う」

 彼女の周囲を旋回しながら、撃ち込んで行く弾丸の嵐。攻撃している当人でさえ、数えるのが面倒になる程の物量を以て攻め立てる。だが敵も魔弾使いとして相当の手慣れだ、的確に魔弾へ魔弾をぶつけて来て、攻撃の相殺ないし威力の減衰を行っていく。結果、直撃はおろか掠める事さえ叶わずに、此方の攻勢は終了を迎えた。
 一転攻勢、手番が回って来た敵の反撃は、地面へと撃ち込んだ魔弾によって呼び起こされる溶岩。そして瞬く間に取り囲まれる形となった彼を目掛けて強襲を仕掛ける剣槍の一撃。二人の敵が見せる連携を前に、しかし男の表情は余裕を崩さず。
 片手を振る合図と共に急速な勢いで展開する闇黒の障壁で、光速の突きを押し留めつつ、片手で構えた銃を足元へと撃ち込み、其処から膨大な水を生じさせる。荒ぶる水は、彼の周囲を取り囲み。やがては内から外へと、森羅万象を洗い流す津波が進撃を開始して、迫る溶岩を圧倒的な力で押し流して行く。
 木々をも押し倒す激しき水の奔流に呑まれたが最後、待ち受けるものは死あるのみ。障壁が破れるよりも速く、再度風を纏って上空へと退避した彼は、事の成り行きを見届け始めた。

>フォッサ・セントライト ストラーヴ

6ヶ月前 No.277

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

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6ヶ月前 No.278

蓼科祈 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4

【 ロンカ村/民家/付近沿道/蓼科祈 】

 情報――開示。

「――分かった。ありがとう!」

 曰く、操る異能は大気の操作。風を生み風を操る空気の申し子。
 応用は非常に長けており性質の異なる魔術を使い分ける万能型<オールラウンダー>。
 曰く、……異能制御に関してはトップクラス。だが、全能たる魔術に驕りその他の実力は伴っていない。
 いや、伴わせる必要がなかったのだろう。
 嵐の障壁、湧き上がる竜巻、切り裂く疾風。
 火力。質量。その全てが高水準にあり――他のモノに頼らずとも戦い抜けた。
 裏を返せばレイヴンが告げたように、その才覚が封じられれば彼女に後はない。

 策は、――彼が持っている。刃に纏われる紫色の魔素<マナ>。
 猛毒の刃。誅殺の猛毒は数多を侵し殺す。
 ならば必要なのはノエル・マッケロークが絶え間なく放てる絶対障壁<轟嵐の壁>を破壊し、態勢<防御>を崩すこと。
 あれらが撃てる/存在している限り、彼女への必殺の刃は届かないものと思っていい。

 現に、――ノエルは跳躍による光線回避から放った無数の暴風によってこちらの攻撃の一切合切を相殺し叩き潰しているのだから。
 "大剣使いの"マロンとの比較が癪に触った彼女の声音は、気持ち低く感じられた。
 余裕の表情を浮かべながらも、振り降ろした右手<めいれい>を合図に連続で術式は行使される。

 それは大槌、――上空から迫る大気の壁。
 それは斬風、――切り刻みにかかるは無数の鎌鼬。
 戦場に吹く全てを自分にとっての追い風/祈達にとっての向かい風とする魔術の隙は、零に等しい。

「滅光刃――」

 眼を閉じる。想起/一対の刃。起動する異能<破壊の光>の残滓が両手に寄り集まる。
 形成。刃<ブレード>。手という神経機関の延長線として形成した魔刃を振り払う。
 踊る。右腕を天へ。空を裂く。左腕を正面へ。刃を裂く。更に回転し切り払うこと二度。
 斬線は白色の軌跡を描いて、迫りくる大気<壁>と鎌鼬の全てを断ち切り"破壊"する。

 思考反芻。動きを止めろ。レイヴンの言葉。
 要提出。最適解。一秒以内。
 結論――、

「――破洸ッ!」

 刃<滅光刃>を崩し、両の手に砲弾状の破滅の光を形成。投射。
 間髪入れずに再形成。再び投射。
 都合二度、合計四発の弾丸がノエルへ向けて放たれる。
 ・・
 更に間髪入れずに右手に滅光剣を形成。白色に輝く刃を振り被り――これも"投擲"。
 切っ先はノエルに。投擲された剣は自身を構成する光を推進力に加速し、その肉体を貫かんとノエルへ迫る。

 狙いはノエルに防御を誘発させること。
 それも拡散性の高い"壁"を形成させ、そこを投射した滅光剣の切っ先で貫き"破壊□する。
 ただの風や大気の壁など刺し貫けはせず、仮に出力を底上げしてきたとしても剣の性質上刺し貫く力は――言うまでもない。

>ノエル レイヴン ギラード

6ヶ月前 No.279

北方守護騎士 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【ロンカ村/民家/付近沿道/氷魔像ギラード】

「……謝罪は要らない。 嘘でなかったとしても、我が敵方に寝返ったと言うのは変えられぬ事実。 そしてその選択が正しいと思ったが故に……責めの言葉は甘んじて聞かねばならない」

ギラードはレイヴンの言葉に対して静かにそう答えた。 彼は守るべき民の言葉に耳を塞いだ事は今まで一度も無い、どんな与太話であれ、嘘偽りの話であれ、子供の自慢であれ、極めて静かであるが故に聞いているのかどうか疑わしいが、確かに彼は仮に自分を批判するような言葉であっても聞いて、それを背負った上でここまで来ていた。
そして、確かに自分の言葉は嘘ではなかった、それでも、その憎しみは正当性のある物だ、何せ敵側に寝返ったのだから、とギラードは話を締めくくった。
それでも……自分が村人を守ろうとしたこと、これだけ伝われば、それは自分にとっての本懐だな、と内心思いながらも、今倒すべきと相対する。

ノエルは報告を怠っていいのかな? などと煽り立てるような口調で言って見せるが。
義務、それを果たさなかった結果、現在置かれている立場に気づいていないと見える。

「それについては心配無用、我が女帝より承った任務は、お前を"可能"なら連れ帰る事、"不可"なら叛逆者として殺す事だ。 我を殺しても、お前は魔道帝国の精鋭を前に敗北する、報告しようがしまいが同じだ。 むしろお前を放置して報告に戻る事、これこそ女帝の任務からの反抗となるだろう」

ノエルはパージルクの有能な部下であったが、今は、それ以上に叛逆者に過ぎない。 あくまで可能なら引きずり戻せと言うだけであって、基本的には粛清の対象だ。
そして、粛清する者の指定は設けられていない、ただ、誰かが殺せばそれでいい。 むしろ、彼女が指摘した事態は、敵前逃亡を行う事こそそれに該当する、と。

"怒ると怖い"。 そう分かっていながら、竜の逆鱗に触れたのはお前だ。
アイスレイが放たれる、それだけではなく協力者の攻撃もだ、しかし、それらは全てノエルによって弾かれたり相殺される。

その間にも、彼女はマロン将軍の名前を出され、さらにそれと比較されることによって、内に秘めたコンプレックスを露呈させる。
愚かな物だ、自分が最も優秀と言う評価だけでは満足できず、その下にいる人間にもケチをつけて引き摺り下ろそうとするとは。

だが、まだ冷静さを失ってはいない、こちらに対して、正確に逃げ道を塞ぐようにして鎌鼬と、圧縮された大気を放ってくる。
それを確認するとギラードは防御策の前段階として、地面を踏みしめ、周囲の地面を完全に凍結させた。

……が、その防御策を使う前に、一人の協力者は近接戦闘を仕掛けた、見れば、十分に対処はしているようなので、こちらは、こちらに飛んできた分を防げば良いだろう。

ギラードがレイヴンの前に立ちはだかり、アイスソードを地面に突き立てれば、氷で作られた即席の防壁が展開される。
それらは氷で作られたと言っても、その強度は確かな物で、鎌鼬は防ぎきり、大気の攻撃であっても、ほとんど完全防御寸前まで耐えて見せるが、惜しくも倒壊。
だが、それに加えてギラードはアイスシールドからアイスレイを対抗するように放ち、完全に相殺した。

……最も、そんな無茶をしたせいで、ギラードには消耗が見られ、氷で作られた鎧の一部が欠け始めているが、まだ、やれる。

「行け、後方より支援する」

その消耗を隠すためか、得意な接近戦に持ち込むのではなくギラードは二人の支援を決定する。
飛ばすのは、先ほど展開した氷壁や自身の砕けた鎧の破片だ。

それらをまるで超能力者のように浮かび上がられたかと思うと、瞬時に先端が尖ったアイスミサイルに加工。 先ほど行った射撃攻撃と全く同じ攻撃ではあるが、今度こそは動きを止めると、またもや足や、今度は腕も狙いに含めて、大量のアイスミサイルをノエルに向けて放った。

>ノエル・マッケローク 蓼科祈 レイヴン・ロウ


【祈様の全てを断ち切り破壊する、の部分を、本当に全てか、それとも自分に向かって飛んでくる物のみかで悩んだので、ひとまず暫定的にこういう形にさせていただきましたー】

6ヶ月前 No.280

大災厄の残痕 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【城塞都市ギリダン/城下町/キラー・テンタクラー】

「回避されたか! ……あぁ!? シエンタ何を馬鹿げた事を、私はお前のためにわざわざわざわざわざっわざっ!! 昔私が食ってしまったケーキやプリンを二倍にして、それが待っているから頑張ろうと戦意向上の言葉を掛けてやろうと目論んでいたにも関わらずその言い草!! あまりそういう事を言うなら、お前には四分の一しかやらん! 残りは私と新たな友人と食い尽くしてやるぞ!!」

いきなり攻撃を仕掛けてきた張本人たるキラーが避けられたことを驚く。 ある意味当然の事だが、少なくともロングレーザーとやらの性能自体は確かなようで……まぁ、ちゃんと放たれていれば、相手が回避したことに驚くのも無理はないと言えるような弾速を誇る物ではあったが、使い手がキラーでは、と言った所か。
だが、それよりも強く反応を示したのはシエンタの言葉に対してだ、まるであきれるような言葉や、どうせ内心でグレードDとかEと言っているのだろうと簡単に想像がつく表情、それを見てキラーは怒る。
突然明かされるスイーツの大量購入という事実、しかもそれだけに留まらず、そんなことを言ったところで四分の一はあげるのか、そもそもお前の見た目でケーキとかは食べれるのかなど、多種多様な突っ込み所を残しながらも、キラーは怒った。

それはさておき、相手は異世界人や前時代人ではないようで、科学力を持って自分たちに対抗しようとしているらしい。
ならば、使ってくる手はなんとなく……そう思った途端行われる重力攻撃、おそらく狙いは、一箇所に集めて広範囲攻撃で一掃することか、だが、一般兵がそうなろうとも自分はそうはならない。

キラーはそう内心笑いながら、その長い触手を長い槍のように変形させて地面に突き刺し、引き寄せへ簡単に抗って見せる。
いや、厳密には彼の子機のドローンウィルスは四機とも重力に囚われて吹っ飛んでった挙句、一般兵やほかのドローンとぶつかって爆散したが、それはそれだ。

「再展開ィッ!」

その言葉だけで、ひどく簡単に、先ほどの二倍の数である八機のドローンウィルスがキラーの体内から展開される、要するに……マザーユニットにあたるキラーを破壊しない限り、子機のほうは無限に出現するに等しいのだ。
また、シエンタはこの間にも、雷撃を放ち、そして敵の動きを止めた所をやれと言わんばかりにアイコンタクトを送ってきた。

当然、いくらキラーの頭に多少問題があるとは言っても、これを見逃すほど彼も酷くはない。
瞬時に彼はその意図を理解して、ドローンに指令を下す。

「アタッカー、ゴー! そしてぇッ、さっさと"あれ"で決めるぞシエンタ。 ツインアンプ! シールドッ! セーフティバッテリーィッ!!」

その言葉とともに、アタッカーと称された四機のドローンが棘のような形状に変形、それぞれが独特の軌道の下、敵対者を追尾しつつ刺し貫かんとする。
しかし、キラーにとってはこれすらも前座に過ぎない。 アレをやる、シエンタはこれだけですべてを察するだろう。

残った四機のドローンがそれぞれ別の物に変形する。 二機の増幅器、浮遊する自立盾、そしてキラーがバックパックのように背負ったバッテリーの三種類だ。
そして、キラーは自らの機械触手すべてを融合変形させ、腹部と接続しているような形状の"巨砲"を形成した。

「お前を葬る最終兵器の名と概要を教えてやろう。 こいつは、正式採用型電磁加速誘導弾零号ッ、シエンタとドローン風に言うなら、プロトタイププラズマキャノンサードタイプッ!! シエンタの能力により、この街全ての発電所を始めとする電力を一箇所に集め増幅、その電力を使い、軍事衛星のハッキングによって、超遠距離を砲撃可能な誘導弾射撃を可能とする、戦艦も一撃粉砕する武装だ、コイツで貴様を殺してやるぞ!!」

もはや漢字名とカタカナ名で何もかも食い違っているネーミングセンスはさておき、その威力は見た目通り凄まじい物に見える。
……が、少し考えてほしい、ここは古代である。
確かに一部の対空砲や設備に関しては電気が使われているかもしれないが、それを全て集めた所でたかが知れているのだ、さらに言うなら、自慢の誘導性能も、この時代に軍事衛星が飛んでいる訳がない。

未来で使えば本当に最強武装かもしれないが……少なくとも、ここで使う武器ではない。
よって、シエンタが電力を集めても、その破壊力は知れているし、実際のところ、アタッカーと呼ばれたドローンの攻撃が本命と化していた。 こちらはハリボテに近い。

……シエンタがそれに気づけるかどうかは、また別問題だが。

>シエンタ・カムリ スターロード

6ヶ月前 No.281

世界を駆ける者 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=jLBPZSZRqh

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6ヶ月前 No.282

Futo・Volde @nonoji2002 ★7KU5qNWZJU_D9v

【ロンカ村/牧場/アベリィ・シルバラード】

「ちょっと、ちょっと! どうしたのよ?」

こちらの酸性弾の攻撃が通らない事も、アベリィを驚かせたが、それ以上に彼女を追驚かせたのはアルクールの様子の方だった。
異常なほどの過呼吸と動悸。目を大きく見開いたかと思えば、途端に絶叫とも呼べるような叫び声を上げて崩れ落ちるその姿。一体、何が起こったというのか。アベリィもまた、少し動揺を隠せないが、敵は間違いなく、焼き払われていくこのロンカ村を見るなり、絶叫し出した。

戦争でこんな光景、当たり前のように見てきた。いや、“当たり前”という感覚がおかしいのは、アベリィ自身が一番理解している。戦争は異常が当たり前になる、そんな感覚だ。当たり前のように兵士が、民間人が死に、病や食糧不足、物資不足でこれまた人が死ぬ。街や村が焼き払われ、空襲や地上戦で機能しなくなる。文明が崩壊していく。まさしくそんな感覚。アベリィは何度も通ってきた道だし、おそらくアルクールもまた同じく、何度も経験してきたことのはず。

そこにあるのは、先ほどまで貴族のように振る舞い、威勢を張っていた姿ではなく、戦争で家族や、家、友達を失っていく恐怖に錯乱した少女そのものだった。

「ねえ、大丈夫?」

これが危険な事であるのはわかってる。だが、アベリィはただの怯える少女となったアルクールを黙って殺すことも、そのまま見過ごして立ち去ることも出来なかった。
目を見開き、耳を両手で塞ぎ、崩れ落ちたまま、怯える少女の肩にそっと手を置き、少女の顔を覗き込む。仮にも敵同士。普通ならば、敵である彼女がどうなろうと、知った事ではないはず。しかし、そうはしなかったのはアベリィ自身が戦争におびえる人々の姿を何度も目にしたこと。またアベリィが歴史是正機構の敵となる時空防衛連盟の所属ではなく、飽くまで“協力者”という立場であるからであろう。

>アルクール・サンドリンガム

6ヶ月前 No.283

亡国の末裔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【城塞都市ギリダン/玉座の間/ソレミア・ラガルデール】

先に玉座の間へと踏み入った二人に少し遅れた形で、銀髪の女性が合流する。その口振りからして、彼女も反帝国勢力、ないしはそれに協力する者なのだろう。
かくして役者は揃った。魔道帝国の支配を打ち破り、新たなる未来を手にしようと願う者達。対するは、女帝。自らの国を守るべく、叛逆者を打ち倒さんとする者。
どちらに正義があるかを語るのは難しい。第二人種から見れば、三人は英雄であるかも知れないが、第一人種にとっては立場の安定を脅かす怨敵なのだから。
同じことは、女帝パージルクにもいえる。魔道帝国にとっては絶対的な、尊敬すべき存在である彼女も、反帝国勢力にとっては、虐げられる者達を解放するため、倒さなければならない相手だ。

「今でも、私達の国のことを尊敬してくれる人がいること……それは、素直に嬉しいし、誇りに思うわ。こんな出会いでなければ、どんな国だったかを聞かせて欲しかったくらいよ」

正直なところ、ソレミアはラガルデール王国の景色をほとんど知らない。薄っすらと記憶に残っているのは、自室と思しき部屋の壁に国の旗が掲げられている光景。
恐らくは、生まれた直後の淡い記憶なのだろうが、彼女が物心付いたのは3歳くらいのことで、その頃には王国は滅亡し、彼女は孤児院に預けられていたため、王国で過ごした日々の記憶はないに等しいのだ。
そもそも、彼女の出生直後に滅んだ国のことを覚えていろ、というのが酷なのだが……それでも、自らの生まれた国のことは知りたいものだし、当時を知る者には、積極的に質問をした。
人によっては例外もいたが、多くの人と話して分かったのは、ラガルデール王国が尊敬を集める国であったということ。その時代を生きた者にとっては、理想の存在であったらしい。
それは、この魔道帝国の女帝までもが、尊敬の意味で王国旗を掲げていることからも間違いないといえるだろう。ソレミアは、ラガルデールで暮らすことの出来たパージルクに羨望を抱きつつも、今は自らの使命を果たすべき時であると気合を入れ直す。

「言い方を変えるわ。貴方のやり方は、半分正しくて半分間違っている。その臣下の幸福や笑顔が、全ての人にもたらされたのなら……私がこうして、この場に現れることもなかったでしょうね」

パージルクが、第一人種にとっての楽園を作り上げてみせたのは紛れもない事実。だが、その裏では、多くの第二人種が奴隷として使役され、犠牲になってきた。
魔道帝国が彼らにとっても楽園であったのなら、どこからも反発は生まれなかったのだろう。理想とされた国の裏側を知る者達は、支配に抗おうとし……おして、次々に蹂躙されていった。
ロンカ村に対する仕打ちが誰の指示によるものなのかは知らない。しかし、帝国の中にはあのような所業を行う人物がいると分かった時点で、外部の人心を掴むことは出来ないだろう。

女帝が指を鳴らすと同時に、壁が開かれ、長年、奴隷を縛り付けてきた装置が姿を現す。あれを壊せば、第二人種は解放され、帝国は崩壊を迎えることとなる。
とはいえ、それを彼女が簡単に許してくれるはずもない。小手調べであるはずの一撃は、パージルクの圧倒的な魔力によって、一撃一撃が必殺級のものへと仕立て上げられている。
水と雷の連撃。跳躍によってそれを凌ごうとするソレミアであったが、あまりにも範囲が絶大過ぎる故に躱し切るまでには至らず、水流の直撃を受けてバランスを崩したところに電流が流れ、一瞬身体が麻痺する。
実力の差は歴然としており、単独で挑んでいたならばまず勝てなかったであろう相手。だが、こちらにも、ラガルデールの血を引く者としての意地がある。
ニケの放った火球と熱線に続き、ソレミアは加速して一気にパージルクの眼前へと迫る。一気に前へと踏み出された右足を軸に身体を回転させ、穿つは双剣による高速の回転斬り。近接攻撃と遠距離攻撃のダブルパンチが、女帝を攻め立てていく。

>パージルク・ナズグル、ニケ・エタンセル、エクセラ・ノア・アウラ

6ヶ月前 No.284

スパルタの代名詞 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ナコーン/森林/北側/フォッサ・セントライト】

彼は、世界政府の打倒とユーフォリアの理想の実現のため、歴史是正機構へ与することを選んだのだという。決して、奴らの思想に共感を示している訳ではないようだ。
まあ、ユーフォリアの親友とあろうものが、あんな連中と協力することを望むようなボンクラではないと思っていたし、それが確かめられただけ十分といえる。
大学時代の主席争いに負けた恨みだとか、そんなちっぽけな理由で敵対した訳ではないことが分かって安心した。しかし、だからこそ、同時に一つの疑問がフォッサの中に浮かんでくる。

「傍で支えてやるって選択肢はなかったのかい? あいつだって、あんたのことは友人だと思ってんだろう。今からでも頭を下げりゃ、すんなり受け入れてくれると思うけどねぇ?」

彼女が気になったのは、わざわざ敵になることを選んだ彼の心中だ。曲がりなりにも大学の同期であるのだから、ユーフォリアがどういう人間であるのかは理解しているはず。
他人の思想を真っ向から否定するようなことは、まずないといっていいだろう。つまり、彼も己の考えをしっかりと話せば、彼女と手を取り合うことが出来たかも知れないのである。
フォッサからすれば、それをしなかったのが、彼が否定を恐れて逃げているだけにしか見えなかった。世界政府に不満があるのは、時空防衛連盟も同じ。ユーフォリアの理想を実現するために、敵対までする必要は、果たしてあったのだろうか。

「なんだ、あんただったのかい。それならもっと早く出てきて欲しかったねぇ。まあ、いいさ。助けてくれるだけでもありがたいからねぇ!」

槍の一撃を放つと共に"空から降ってきた"ストラーヴを見ながら、フォッサはそう言い放つ。これで、人数的には有利な状況となった。この緊迫した戦いにおいて、それがどれだけありがたいことか。
ストラーヴの攻撃を闇の防壁によって受け止めた彼は、そのまま足元へと魔弾を撃ち込み、大量の水を召喚。水は、溶岩もろとも全てを押し流し、二人へと迫る。
フォッサは咄嗟に風の魔弾を水の中心目掛けて発射することによって、襲い来るそれを二つに割ろうとしたが、威力が不十分だったのか、隙間は十分な広さにならず、彼女はその身体に膨大な水圧を受けることとなる。
とはいえ、威力を減衰させることが出来たのも、また事実であり、幸いフォッサは押し流れるまでには至らなかった。髪が濡れ、水が命中した箇所に痣こそ刻まれているものの、戦闘続行は可能だ。

「あたしとしたことが、読みが甘かったか。やられたねぇ。なら、今度はこっちがお返しといこうじゃないか!」

読み違えによる被弾を嘆きながらも、フォッサはあくまで前向きに、ストラーヴも勢いのままに引っ張るような格好で、上空の敵目掛けて二発の魔弾を放つ。
火の魔力と風の魔力が込められた弾丸は、激突すると同時に、渦を巻く螺旋の炎となりて、一直線に相手へ迫りゆく。普段ならば、ここから更に追撃を行うところだが、今回に限ってそれはしなかった。
何故なら、今隣には、協力すべき味方がいるから。自分が攻撃を撒きすぎれば、ストラーヴの動く余地がなくなってしまう。フォッサは彼女の力量を信頼しているからこそ、敢えて単発の攻撃に留め、連携を図るのであった。

>ダグラス・マクファーデン、ストラーヴ

6ヶ月前 No.285

獅子心 @zero45 ★h2BOlEz4kD_FR1

【ナコーン/酒場/レオンハルト・ローゼンクランツ】

 相方が放つエネルギー塊が、金光の輝きを伴う爆発を引き起こして炸裂して行く。爆発は山羊の眷属を蹴散らして行き、その主をも衝撃によって吹き飛ばし、身体を強打させて傷を与える。
 その一方で、豪腕将軍マロン・アベンシスはあろうことかそのエネルギー塊を大剣で打ち返して行くと言う、余りにも荒っぽい強引なやり方で的確に対処して来る。こんな芸当、同じく大剣を使う自分では成し遂げる事が出来まい。つくづく、魅せられてしまう物だ。

「……オイオイオイ、普通は死ぬぞお前。大した物だな、いや感心している場合じゃないが!」

 天へと召喚した紅の流星。道端の小石も同然だったその姿が、凄まじい勢いで肥大化して急降下して行く。着弾と同時に、広範囲を巻き込む大爆発を引き起こしたそれは、山羊の身体を無慈悲に焼き尽して行く。
 そんな中でも、マロンは大剣で余波を振り払って凌ぎ、更には即座の判断で近くの布を拾い上げ、山羊に纏わりつく炎を消火させる。何とも機転の利く敵だ、その並外れた武芸と言い、彼女こそ最も優れた将軍と思わずにはいられない。
 強く感心を抱いたレオンハルトが次に見た物は、思わず刮目してしまう程の途轍もない光景。圧倒的重量を誇り、更には高熱の炎を纏った隕石を、有ろうことか彼女は片手で持ち上げて見せたのだ。その姿には驚嘆の言葉を隠せない。

「シフォン、後は任せろ!」

 強力無比の一撃が、有ろうことか投げ返される事で自分達へと返って来た最悪の顛末。物理的な対処を取る事が可能である攻撃を仕掛けた事を、失敗したと悔やみつつも、何とかしてこの窮地を脱する為の策を考え――そして、不要と結論を出した。
 何故ならば、此方が防御に出るよりも早く、相方がこの隕石を氷壁で勢いを削ぎ、水壁で受け流してしまったのだから。惜しくも完全に防ぎ切るには至らず、身体を地面に打ち付ける事になってしまったが、救護を要する程では無い。
 故に、攻撃に専念が出来る。長期戦は不利、あの生ける爆走列車を前に長時間も戦っていられる程の強さを、自分達は持たない。だから此処で決める必要がある。出すならば、可能な限りの全力を。

「大地に眠れる紅蓮の灼炎よ、目覚めよ……噴焔陣!」

 大地を蹴り上げ一気に跳躍すると、大剣の刃に掻き集めて行く膨大な魔力。重力に従い落下して行く中で、剣を下に構えると、勢いそのままに大地へと突き刺す。刹那――大地より噴き出す紅蓮の炎。
 大地を奔る魔力は、地下に眠れる炎を呼び起こし、立ちはだかる敵を焼き尽さんと火柱で攻め立てて行く。だが、跳躍して回避されてしまっては、先の岩柱と同じ末路だ、何の意味も無い。
 すぐさま剣を引き抜くと、掲げて構えて再跳躍。荒れ狂う炎に焼かれる事を厭わず、マロンの眼前へと急接近を果たすと、大気を揺るがす程の勢いで豪快に大剣を振り下ろす。

>マロン・アベンシス ミルグラム・ゴート シフォン・ヴァンディール

6ヶ月前 No.286

似非貴族 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ロンカ村/牧場/アルクール・サンドリンガム】

バスケリア地方の海沿いに、小さな村があった。その村は今でいうロンカ村やグリア村のような牧歌的な雰囲気に包まれており、漁業を主な産業としていた。
決して文明が発達している訳ではなかったが、村人達は暖かい心を持っており、毎日必要な量だけの魚を取り、生命に感謝を捧げ、毎日を楽しく暮らしていた。
そんな村に悲劇が起こったのは、15年近く前のことだ。当時、ラガルデール王国が滅び、混迷の時代を迎えていた世界では、様々な小国家が乱立していた。
世間ではブールーン民主共和国の成長が話題となっていたが、バスケリアにおいてもサンドリンガム朝の勢力が広がりつつあり、やがてそれは、漁村の傍まで及んだ。
サンドリンガム朝は村に対して貢物を要求したが、開放的な生活を望む村人達はそれを拒む。取引を断られた腹いせとしてサンドリンガム朝は……村全体に、火を放った。
深夜、皆が寝静まっている頃合いを見計らって行われた焼き討ちにより、多くの村人が死亡。生き残った者達も、奴隷として宮殿へ連れ去られ、村は壊滅してしまった。
当時3歳だったアルクールの脳裏に、その光景は鮮明に焼き付き、以降彼女は炎を見る度に、村が壊滅した時の記憶を思い起こすようになってしまったのだ。
奴隷を使役するサンドリンガム朝は、泣き叫ぶ彼女を面白がり、炎に囲まれた部屋に放置するなど暴虐の限りを尽くした。アルクールが精神崩壊を起こさなかったのは、もはや奇跡としか言い様がないだろう。
やがてサンドリンガム朝は、ブールーン民主共和国をクーデターによって打ち倒し誕生した魔道帝国により滅亡。同時に奴隷達も解放されるが、その隙を見計らい、アルクールは宮殿へと忍び込む。
彼女は宮殿の一室に置かれていた高級な衣服を盗み取り、貴族になりすますことによって、戦災孤児として丁重に扱われた。それから5年後、元服を果たしたアルクールは、サンドリンガム朝の末裔を自称し、魔道帝国の軍門に足を踏み入れたのである。
パージルクはサンドリンガムの一族を皆殺しにしているのだから、彼女の嘘を見抜くのは容易かっただろう。しかし、相応しい実力を持っていたからか不問と処され、現在に至るまでアルクールは、近衛として戦地を渡り歩いていた。
だが、炎に対するトラウマは相変わらず克服出来ていなかったため、彼女は火計を用いる作戦には同行しなかった。今回のロンカ村襲撃においても、事前に確認を取っていたのだが、攻め入ったのがあのノエルとなっては、常識など通用するはずもなかっただろう。

「あ…………あ……みんな……みんな焼け死んで…………」

未だ動悸は収まらない。詳しい話を聞くためには、まずは炎を見えない環境にアルクールを連れて行かなければならないだろう。この状態の彼女を歩かせるのは難しいことだが、そうでもしなければ過呼吸で意識を失ってしまう可能性すらもある。

>アベリィ・シルバラード
【ほぼほぼ押し付けのようなレスとなってしまった……】

6ヶ月前 No.287

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【城塞都市ギリダン/首都奴隷処理施設/橋川 清太郎】

彼女の言い分を聞き、成る程と関心した。国虫なるものを制定できれば平和的、且つ効率的に人間社会へ馴染むことが出来る。もはや理想的といっても支障はないだろう。
だが、一つだけ。たった一つこちらにとって譲歩出来ない点がある。それは歴史の改竄を前提としている点だ。これを容認することは、自分の所属している時空防衛連盟を裏切ると同義。あそこの仲間達は人の良い人物ばかりだし、組織の理念も賛同できるものだ。彼らを裏切るだなどと、少なくともこの時点で出来ることではない。

「!」

こちらの葛藤などお構いなしとばかりに火蓋は切って落とされた。彼女は自分達を拘束しようと糸を飛ばす。それに対し素早く左へ跳ぶことで回避――――

「うっ!!」

出来なかった。どうにか直撃だけは避けたが、一瞬にして両腕と胴体を簀巻きにされてしまう。これでは武装の殆どが使えない。

(そんな……スーツの構造的防御力と武器管理を重視して内蔵武装を極限まで減らした構成の欠点が、こんな形で露呈するなんて!)

この状態で無理に武装を転送しようとすればどうなるかわかったものではない。

「でも……」

隙間なく絡みついた糸が、ミシミシと悲鳴を上げ始める。

「君の目的だって、連盟側についたら達成出来ないってことはないよ」

内側からの力を押さえきれず、悲鳴を大きくしながら少しずつ破断していく。

「連盟なら見た目じゃなく能力や行動で評価してくれる筈だ」

粘着力のお陰で千切れこそしなかったものの、完全に伸びきってしまいもはや拘束力など望めない。
このGAWNDのパワー、なめてもらっては困る。心血を注ぎに注いだ最高傑作はこの程度の窮地を覆せないほどヤワではないのだ。

「そして君の仕事ぶりを、メディアでもマスコミでも何でも使って発信していけば、きっと受け入れられるさ。それこそスパイダーマンのような、国民的ヒーローになることも夢じゃない!」

理想論や奇麗事だとは言わせない。何故なら、今ここで自分が連盟の一員として働いていることが、何よりの証明なのだから!!

>>リプレイサー、ルーシャ

6ヶ月前 No.288

親の七光り @prismriver☆kFuUk0otHg5u ★TZkXkdft22_LPw

【城塞都市ギリダン/正門/エスメラルダ・ナズグル】

敵はこちらが困惑している理由が名乗らなかったからだと思っているようだが、エスメラルダはそうじゃないと声を大にして叫びたい気分だった。あまりに高すぎるテンションについていけない。元から実力が相手の方が上だというのは覚悟していたが、この変なテンションのせいで調子が狂わされるので、余計に戦いにくい。困惑の表情を浮かべたまま対処するエスメラルダ。両手を掲げた彼の背後から飛び出した花火に警戒を強めるが、なんとこれは攻撃のためではなく、ただの演出だったようだ。もう、なんなのだ!?

そのままの勢いで相手は名乗りを上げる。とてもじゃないが長すぎて一度では正確に覚えられそうになかったので、ドライツとだけ記憶した。いつ攻撃してくるかまるでわからないので、ずっと気を張っているが、これが意外と疲れる。どんどん攻め立ててくるのなら、防御に集中すればいいだけの話なのだが、タイミングのわからないものに神経を使うのは、余計な体力を使うのだ。

「え、エスメラルダ・ナズグル。この魔道帝国の正統後継者であり、女帝パージルク・ナズグルの血を引く者よ!」

ついつい相手に乗せられてしまい、エスメラルダも力強い名乗りを行う。相変わらず血筋を強調しているのは、彼女自身が実力に誇れるところがないと理解しているからだろうか。この名乗りあいによって一瞬だけ戦いが止まっているが、この時間を使って息を整えておきたいところだ。守りに自信はあるが、連続攻撃を全部しのげる確信は今のところない。自分から攻めることはなく、カウンターに徹するエスメラルダ。持久戦に持ちこんで一撃必殺を狙うのが、この戦いに勝つ唯一の方法だ。

>>ドライツ

6ヶ月前 No.289

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【ナコーン/森林/北側/ストラーヴ】


防がれた、そう認識すると同時に反射的に蒼電を開放し行く手を阻む黒き壁から弾くように遠ざかる。押し込めば破れただとかそういった話ではない、力量差がある相手に隙を見せること自体がストラーヴにとっては最大の危機だった。
幸いにもストラーヴへの直接の反撃はなかった、しかし地へと打ち込まれた弾丸はこの緑豊かな森林を水気溢れる海洋へと変貌させた。同時に沸き上がるは大津波、スパルタ隊長ならどうにかすると勝手に思い彼女は倒された大木へと着地する。

「そんなこと言っても襲撃がなければいつも見たく厳しくするんでしょー!だから出て来たくはなかったんだけどね!」

あのスパルタ隊長が怪我をしているところを見て見ぬふりをして、出来る限りいつもの調子で返す。紅き雷を剣槍に蓄えつつ、心を落ち着かせる。あれは決して私の落ち度ではないと、読みが甘いと隊長自体も言っているんだからと。
此方を見下ろす襲撃者を見定める、こうも空中へ逃げられてはただでさえ不利な状況が殊更悪くなるばかり。心臓は鼓動を早くし、心は乱れる。今は目の前のあれに集中しなければ不味いのに、落ち着こうとすればするほど隊長の痣が鮮明に描かれる。
私は悪くないのだ、あれは隊長が読みを誤ったから、ストラーヴならそれで終わる、終わらせなければいけないのに。私はどうしても私のせいで傷ついてしまったと考えてしまう、でも今の私は私じゃなくてストラーヴだから。
大きく息を吐く、今は集中しなければ死ぬと。ストラーヴの身体から紅雷が迸る、準備は十分。速さが障壁によって止められるならば、障壁ごと裂いてしまえばいい。攻撃的な色が示す通りの雷は、周囲に飛び散るたび水を蒸発させていく。

「さーて、総統のご友人さん。女の子に突かれるのは好きかなー?やり過ぎて裂けちゃったら御免、ねっ!」

足元の大木が真っ二つになると同時に炸裂した紅雷、その反動によって空中からこちらを見下ろす襲撃者へと跳ぶ。タイミングはスパルタ隊長の炎と風による渦が放たれたと同時、速度は此方が僅かに上。狙いは防御をさせ、それを砕き魔弾を確実に当てる事。故に求められるは回避を選択しない攻撃範囲。
空中で紅雷の僅かな放出を行い突きの構えを取る、再度空中で紅雷の炸裂を行う事で推進力を得る。先の蒼電が自身を電と化して推進力を得るのなら、この紅雷は雷の威力によって自身を吹っ飛ばすことで推進力を得る。
さらに蒼電が速さによる一点集中型であるならば、この紅雷は威力による範囲殲滅型。遅い速度は爆発力で補う、吹っ飛んで重い一撃をぶちかます。
自身をまるで砲弾の様に吹き飛ばし剣槍の穂先は襲撃者を狙う、先と違うのはこの時点でも多くの紅雷が身体に溜められていること、そして光速よりも遅いが音を置き去りにする程度の速さはあることだ。
上から見下ろす襲撃者に襲い掛かるは先とは比べ物にならない威力を秘めた剣槍、そしてそれに追従する前方広範囲の円錐状に広がる紅雷。回避を行えば広がる雷に身を焦がされる、選択の余地は防御しかない。だがその防御も生半可なものではすぐに破られるだろう。
だがそれも本命ではない、槍の一撃と直角になる様に放たれた魔弾こそがストラーヴの本命。二度も炸裂音を響かせ、眩い紅雷を散らしたのは少しでもこちらに意識を割かせるためであった。
迫る防御を貫く剣槍、これがストラーヴが隠していた技の一つ。原理こそどの技も変わらないが扱い方によってその種類は大きく変わる、残る一つは隠し玉も隠し玉。これも防がれたのであれば開帳せざるを得ないが、彼女が誇る最良の技。
しかし此度は彼女一人ではない、スパルタ隊長との共同戦線である。それならば彼女一人で届かなくても、二人であれば届くこともあるのかもしれない。

>>フォッサ・セントライト ダグラス・マクファーデン

6ヶ月前 No.290

氷雪の死神 @zero45 ★h2BOlEz4kD_FR1


【ロンカ村/民家/付近沿道/レイヴン・ロウ】

「……そうか。ならば、その意志が報われる事を祈ろう」

 語る言葉が嘘偽りでなかったとしても、村の敵となった事は最早覆らぬ事実。そして、その選択こそが正しい物と断じた氷像は、如何なる非難をも受け止める覚悟で臨んでいたのだ。その真意を知らずに責め立てる男の言葉さえも、静かに聞き届けて。
 謝罪は不要、そう告げた彼に対し、レイヴンはただ、彼の意志が報われる事を願う。形はどうあれ、彼は村の守護者であり続けようとしたのだ。ならば、その行いが結実する事を願うのに、一切の躊躇は無かった。

「魔法しか取り柄の無い貴様が殺せる程、貧弱ではない。幼子の我儘を貫き通してまで領土を得て来た、どこぞの誰かとは違ってな!」

 嫌悪している"マロン・アベンシス"を比較対象に挙げた事が相当気に食わなかったのか、冷たい視線を突き刺して来るノエル。露骨に不快感を示す彼女の態度を、愚かな物だと内心思いながらも、より醜き怒りを湧き上がらせるが為に、侮蔑の言葉を容赦無く投げ付けて行く。
 彼女が領主を担う広大な領土、バスケリア。現将軍の中でも、堂々たる別格な広さを誇る領域を支配下に置いている彼女だが、それを与えられるまでに至った理由は、別段彼女が優れていたからと言う訳ではない。
 何かしらの功績を挙げれば、己の価値観に則って対価を要求し、成果が挙がらなかったとしても、やはり手間賃として己の価値観に則った対価を要求する。それを繰り返して行く内に完成してしまったのが、このバスケリアと言う領土なのだ。
 さながら幼子が抱く、強請れば手に入る我儘な思想。彼女を知る者からすれば、領土とその実力が比例していない事は、一目瞭然。故に、こうして躊躇する事無く挑発へと踏み切る事が出来る。

「その余裕、次の瞬間には崩れ去る事を覚悟しておけ」

 高速で繰り出した斬撃が、悉く不可視の弾丸に弾かれてしまった。有効打は未だに与えられていないが、まだこちらは余力を十二分なまでに残しているが為に余裕は保てている。後は、この余裕が途切れる前に一度でも斬撃を喰らわせられるか次第だ。
 上方から迫る大気の壁と、飛来する鎌鼬の両方とを、自分の前に立ったギラードが全て相殺して行く。相当無茶をしたのか、鎧の一部分が欠けて始めていた。戦う分には問題なさそうだが、これ以上の消耗は許されないだろう。

「来たれ、八つの雷光――召雷!」

 双剣銃を構えると共に、周囲に召喚する八つの雷剣。大地を蹴って前方へと加速、斃すべき敵の前方へと急接近する。その間に、雷剣の全てが敵を取り囲むかの如くに周囲へと突き刺さり、激しい放電で敵の動きを封じようと試む。
 次に、"召雷"の一声で、遥か天空から彼女の頭上を目掛けて一筋の稲妻を落とす。真面に喰らえばどうなるかは、想像するまでも無い。良くて重傷、悪くて死のどちらかだ。
 そして最後に放つは、やはり先程同様高速の一閃。すれ違い様に放たれた袈裟の一撃を防ぐか否かで、今後の命運を左右する事になるだろう。

>ノエル・マッケローク 氷魔像ギラード 蓼科祈

6ヶ月前 No.291

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【城塞都市ギリダン/正門/ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン】


「エスメラルダ・ナズクルか!うむ!うむ!良い名であるな!」

女性将軍こと、エスメラルダの名乗りを受けてその名を噛み締めるように頷いた後、彼は一言でその名を称賛する。この時代の言葉の意味も、その名がどのようにして名付けられたかは知る由もない。しかし、力強い名乗りと共に聞いたその名の音が素晴らしく綺麗で、何よりも派手だと思ったからこその率直な言葉。
既にご存知だろうが彼は派手なものをはじめ、美しいものや綺麗なものといった事を非常に好ましく思っている。彼が身に着けている派手な装飾品も、そう言った感性によって選ばれているのだ。人によっては品がないとも称するだろうが、彼は人の価値観にまでとやかく言わない、合わないなら仕方ないとすっぱり諦める。

「……うむ?女帝、この帝国とやらの正統後継者。ふむ……ふむ……なんとぉ!?」

女帝、その言葉に引っ掛かり名乗りにばかり気を取られていた彼はエスメラルダの名以外の名乗りを思い出していく。曰くこの帝国の正統後継者であり、現女帝の実の娘であると。詰まる所お姫様ではないのかと、この彼は素っ頓狂な方面に思考が飛躍した。
そもそもこの帝国自体の仕組みを知らずに戦線に加わっているのだからそれ以前の話ではある、しかし彼の持つ知識では姫が前線に出るのはやや信じられない方面である。それならば相応の派手さで相手をする必要があると、その結論に至った。驚きの声が上がったのも同時であった。
右腕の結晶刃、エスメラルダの持つ日本刀を模して造られたそれの刀身をなぞるように左手を翳す。するとどうだろうか、翳した部分から結晶が七色、いや次々と移り変わる色彩に何色であるとか決められるほどではない輝きが放たれる。
これで準備は良しと言わんばかりにその切っ先を再びエスメラルダへと向ける、これだけ派手であればその身分に不足はないだろうと言いたげである。最も相手からすれば何を満足げに見ているんだとなるんだろうが。

「はーっはっはっは!まさかお姫様であったとはな!うむ!それならば此方も全身全霊の派手さを以って戦わねば失礼というものだ!」

右腕の結晶刃に左手を添え切っ先が僅かに上を向く、徐々に切っ先へと魔力が集中していく。魔力が集う度に焔や視覚化した冷気、迸る稲妻や光の粒子等が彼の周囲に漂い始める。そう、準備しているのは彼が今思いついた最も派手な祝砲である。エスメラルダを狙ったものではない事は僅かに切っ先が上がったことで気付けるだろう。
しかし、彼には一つ誤算があった。本来は気付けたはずなのだが、あまりにも張り切り過ぎてその事がすっぽりと頭から抜け落ちていた。彼は彼の世界において並ぶものがいないほどの魔術の使い手、それは違う世界でも変わることはない。そう、自身の魔力の量が頭から抜け落ちていた。
際限ないと言われるほどの彼の魔力がどんどんその切っ先に集められていく。彼の周囲に漂う属性の余波は大きなものとなる、傍から見れば確実に仕留めるつもりの大魔法と間違われても仕方がないほどである。
それを彼は気付かずに解き放とうとしている、勿論当たっても死ぬようなことにはならない。しかし建物はその例外である上に、当たれば痛いものは痛いしすごく吹っ飛ぶ。詰まる所、彼は派手さに関してはどうしようもないほど馬鹿であるという事だ。

「さあ!これを戦い前の祝砲としようではないか!お姫様に相応しい、私の全力のぉ!祝っ砲っだぁぁぁ!!!!!?
すまん!やりすぎてしまった!はーっはっはっは!!!」

予想以上の威力に驚いているのは何よりも彼自身である、そして不運にもエスメラルダに掠りそうなほどの極太の魔力砲となったそれは正門の上部分の一部を吹っ飛ばして空の彼方へと消えていった。
エスメラルダが危険を察知してしゃがんでいることを祈るばかりである、そうでなければきっと痛いし吹っ飛んでいる。これだけの事をしても懲りないのか、彼に聞けばきっとこう答えるだろう。
―――――派手さにやり過ぎというものはない、と。

>>エスメラルダ・ナズクル


【はい、何かもう色々と申し訳ありません】

6ヶ月前 No.292

失敗作 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

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6ヶ月前 No.293

山城妖狐 @sacredfool ★OFMeBoUVDX_D9v

【ロンカ村/広場/山城瑤子】

 とかくこの狗は本能の奴隷らしく、とりわけ食欲に抗うことはできないらしい。此方へ牙を剥けるのも主にそういった理由あってのことなのか……素性は判らないが、此奴を衝き動かしているものが何なのかはざっと見ただけでも想像するに難くない。が、誠か? 少なくとも村の者ではないし、だとすればこの女と同じで別の時空から来たものか、そうでなければ帝国の手先か。味方にしても敵にしても、戦いの駒としてはひどく汎用性に欠けると見えるが……その動きだけはただの獣とは違うらしい。野の獣は少なくとも、人の眼に留まらぬほどの速度では動けない。人と獣の姿を使い分けるということもない。端的に言って単純な予想は超えている。意趣返しにと使った向こうの刃だが、避けるどころか突進で弾き飛ばしてしまうとは。相応の衝撃も或いは覚悟せねばならぬか……

「ふふ……はっはっは! それだけ食ってまだ足りぬと申すか! 敵わぬ敵わぬ!」

 突撃を敢行すると思われた狗はどうしてか眼前で獣の姿を解き、その場にへたり込む。先程のはやせ我慢か、それとももっと致命的な何かがあるのか。とかくこの狗は敵である二人の前で隙だらけの姿を晒している。ではそのことについて苦悶の表情を見せるかと言えばそうでもなく、此奴が悶えているのは――腹の音。まさか、本当に飢えだというのか。……地に何か描いていると思えば肉に魚に……みな食い物ではないか。
 素性がどうであるに関わらず、こちらを襲ったり村の備蓄を食い荒らしたのは相応の悪意を伴ってなされたことだとこの狐は考えていた。大いなる誤算である。この銀狼はそのようなはかりごととは水と油であり……一から十まで己の食欲に従ったがゆえの狼藉である。そこに害意は存在しない。さしもの神と言えど唖然としたが、この銀狼がそこまでの獣だと悟るに神はその身を人の姿に戻して高らかに笑いだす。

「ほっほっほ。そうさな……そなたはこの村の食い物を荒らしておるし……働かざるもの食うべからず、じゃ。妾たちの敵を倒せば、その褒美として腹を満たしてやろう。強くなれるし腹も膨れる――」

 少女は一頻り笑うと、空腹で動けなくなったかと思えば今度はこちらへの同行を望む銀狼に再び笑う。それほどにこの獣は村と帝国という相反する組織に対する意識が希薄なのだ。
 返答次第では毒にも薬にもなろう。あの身のこなしを見れば当然……現状ではほぼ誰であろうとも、帝国と戦える手合いは欲しい。であれば同行を拒否する理由はない。この銀狼は村の食糧を奪った盗人なれば、兵として使うにも真っ当と言えよう。

「――そう。妾たちの敵とは、あのような輩じゃ。足りぬだろうが……今はこれで我慢せい!」

 銀狼の答えを聞くよりも前に女が身構え、注意を促す。それよりも前に耳に入ってはいた。獣と同等かそれ以上の覇気を込めた雄叫びは耳障りとも言えるほどに木霊していたとも。金鎧を纏う筋骨隆々の男……その紅の瞳の奥に宿る狂気の炎は真の獣(けだもの)か。……良い。神はその間の良さにほくそ笑みながら彼を指差した。罰するにはあれのような者に限る。
 袖の下からでも取り出したのか、神が狼の口元へ放るは己が如何な神であるかを示す、一枚の素朴な油揚げ。無論、この底無しの胃袋を持つ銀狼には腹の足しになるかもわからない代物だが、そのままの空きっ腹ではろくに動けぬだろうと踏んだ神のなけなしの兵糧であり、同門へと下った銀狼へのささやかすぎる祝賀である。
 確かに敵を認めた時、無から生じた紫炎が遥か少女の矮躯を覆い、そこから生まれ出づるは白銀の神狐。あやかしの焔を纏う、紛れない神格としての姿である。

「其の身を奉れ、真の狼藉者よ。穢れぬ神火が浄めてくれようぞ」

 念じ、集った紫炎が焔の弾となって一直線に飛ぶ。狙いは男ではない……空だ。高空へ浮かぶ紫炎はやがて男の真上にまで来るとその身を散らし、無数の火球となって男へと降り注ぐ。平穏を焦がす暴虐の焔と対峙してなお、神狐の焔は揺らぐことなく泰然に、ただ目の前の獣を死によって鎮める。

>>ユーフォリア・インテグラーレ、イアン・ガグンラーズ、カリギュラ

6ヶ月前 No.294

ギギナ @koki☆iOEaToagbI2 ★P24UIEe7ZZ_D9v

【 ナコーン/森林/ ギギナ 】

 8つの刺突に回避行動をするのは危険と判断、半ば強制的に彼女と自身の距離を開きながらも防御姿勢をとらせる前に攻勢を仕掛ける奇襲をかけた。太刀の強度以前に自身と彼女では戦いの場数や体格的条件が違いすぎる。まともに当たればひとたまりもないだろう。蜘蛛絲<スピネルに自身を受け止めさせ反道で全身の体重と勢いを乗せた刺突をお返しとばかりに一つの砲撃となって彼女の腹部へと向けて屠竜刀を突き出す。

 彼女と稲妻を纏った太刀に着弾、身体を引き裂くはずの屠竜刀が僅かにずれた。身体を切り裂き肩に深い傷を与えることには成功したものの絶命には程遠い結果となった。すぐさま背後に回り込まれるのを感じた。回避動作に移る隙すら与えないカウンター。屠竜刀の激鉄を引き薬莢が足元に転がり落ちるのと同時、尖角嶺(センガ)を発動させ背中にいくつ物束になった合金金属で生成された数多の棘を出現、何本かは衝撃に耐え切れず太刀によって破壊されていくも残った棘が絡みとめていた。

 「…私の刺突を受け反撃をしてくるとは…貴様の腐った理想は気に入らぬがその実力は認めてやる」

 棘で太刀を受け止め放流した稲妻が身体を焼く感覚に身体を震わせるも体重を乗せ反道をつけた刺突から反撃をしてくる相手に人を手にかける理想は認めることは出来ないがその実力だけは本物だと感じ顔を後方へと向け戦いの楽しさを感じ自然と笑みを浮かべた唇で賞賛の言葉を紡いでいけば後方に跳躍、背中に生成させた棘で背中から彼女を串刺しにさせんとするもあくまでも距離を離すことが目的、地面に着地し屠竜刀を正眼に構える。負傷こそはしたもののまだまだ戦える。重心を落とし追撃に備えた。

 イスマリ (魔大老エスト 桐生戦兎 17代目葛葉ライドウ)

 【こちらの私用で返信が遅れました。申し訳ないです】

6ヶ月前 No.295

人の皮を被った悪魔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ロンカ村/民家/付近沿道/ノエル・マッケローク】

「ちょっと私のこと舐めすぎじゃないかなー。それにしても、パージルクさんも急激に頭が老けたみたいだねー」

国のために働いてやったというのに最初から抹殺前提とは、あの老婆も随分と衰えが激しいようである。魔道帝国の命も、風前の灯といったところだろうか。
ギラードは魔道帝国の精鋭にノエルが負けると思っているらしいが、彼女はその言葉を聞いて内心嘲笑する。三人掛かりですら傷を付けられないような相手に、どうして勝てないというのだ?
彼女は余裕の表情を崩さない。望めば、なんでも手に入ってきた。誰も自分に逆らおうとする者はいなかった。ノエルは、自分こそが最も優秀であると信じて疑わない。
帝国の者が束になって掛かってきたところで、返り討ちにしてやればいいことだ。魔法の使えない第二人種マロン・アベンシスも、家柄に縋る無能のエスメラルダ・ナズグルも、まともな言葉すら発せないカシュタン・コルーカルも、全員、殺してやる。

「何か勘違いしてないかなー。魔法しか取り柄がないっていうけどさー、魔法があれば他に何がいるのかなー。魔法が使えないから力に頼ろうとするんだよねー」

マロンとの比較をやめないレイヴンに対し、ノエルは徐々に苛立ちを隠せなくなっていく。冷静さを失いつつあるのは、その表情からしても間違いないだろう。
魔法こそ絶対であると信じる彼女にとって、魔法を使えない者と比較されることは、耐え難い屈辱であった。どうして、そんな下位のものと並べ立てられなければならないのかと、心の中でノエルは憤る。
それに、自分が広い領土を持っているのは、相応しい実力を持っているからに過ぎない。マロンも、同じくらい魔法が使えれば、もっと広い領土を有していただろう。
結局のところ、パージルクですらも、魔法を使える者が格上であると認めている訳だ。よもや彼らが、女帝の判断を間違いであると指摘するとは思えない。よって、これは確実なこと。
魔道帝国の中でも最大の面積を誇るバスケリアが反旗を翻したということの意味を、どうも三人は理解していないらしい。一枚岩ではない帝国が、強固に団結した一つの国家に対抗することが、果たして出来るだろうか?

少女が、ノエルを引き裂かんと突貫する。四発の光の弾丸を風の防壁で凌ぎ、続く刃には魔法障壁を生じさせることで対処。障壁は一撃で崩壊したが、傷を負いしなければ問題はない。
足や手ばかりを狙った、嫌らしいギラードのアイスミサイルは、魔法による身体能力の一時的向上を利用し、大きく跳躍することによって、その狙いを全て外す。
これによって、レイヴンが展開した八つの剣による放電も回避出来、一石二鳥だ。対空していることにより、敵の一閃も不発。オールラウンダーとしての真髄を、ノエルがまざまざと見せ付ける。
―――しかし、彼女は驕りすぎた。上空にいれば、もはや攻撃が届かないものだと高を括っていた。そんなノエルに天罰が下るかの如く、頭上より降り注ぐ一筋の稲妻。
音で初めてそれを認知したノエルは、さすがに驚愕の表情を浮かべていた。即座に展開出来る魔法障壁によって威力を削ごうとするが、この強力な一撃を、それだけで防ぎ切れるはずもない。
結果として、魔法障壁を容易く貫通した稲妻はノエルへと突き刺さり、今まで魔法だけに頼ってきたことを象徴するかのような華奢な身体が、地面に叩き付けられた。
痛みに耐えながら身体を起こした彼女は、信じられないといった表情を浮かべている。あの状況からでも、ノエルはまだ、魔法障壁さえ張ればどうにかなると思っていたようだ。

「一体どんな不正をしたのかなー。正々堂々と勝負しないのは困るなー」

この期に及んでも、ノエルは自らの対処が失敗したことを認めようとしない。あくまで被弾したのは相手が不正をしていたからだと、当然のように言い切ってみせる。
まるで、悪いのは三人側であるかのような口振りだ。高い実力を持っているのはこちらなのだから、それが苦戦させられているという時点で、敵は何か汚い手段を使っている。ノエルは、そう考えていた。
これまで如何にも余裕綽々、といった様子で戦いを進めていた彼女であったが、この被弾によって危機感を覚えたのだろう。先程とは比にならない量の魔力を、両手へと集中させていく。
ノエルがその両手を前方へと突き出した刹那、空間が、"避けた"。膨大な魔力によって生じた断裂。その断裂が元へと戻る際に生じた暴虐的な振動が、無数の斬撃となって敵対者へと襲い掛かる。
最初から容赦するつもりなどなかっただろうが、いよいよ本気ということだろうが。だが、それに比例するかのように、ノエルの顔からは余裕が消えており、徐々に追い詰められ始めているということが窺い知れるだろう。

>蓼科祈、氷魔像ギラード、レイヴン・ロウ
【残り1〜2レスほどで決着としたいと思います】

6ヶ月前 No.296

贖罪の山羊 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

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6ヶ月前 No.297

蓼科祈 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4

【 ロンカ村/民家/付近沿道/蓼科祈 】

 最低限、――いや、最大全力で目の前の事象に対処する。
 その全てを捌き切った時、ギラードは言った。行け。彼はただそれを言うのみ。
 ちらりと横眼でその氷鎧を見やり、顔を顰めた。

「……アンタ」

 大地に散らばる欠けた氷。
 レイヴンを守り切った結果だろう、――最高クラスの魔術の連射。
 それを相手にして完全な防御とまではいかず、ギラードの肉体には無数の傷。更に鎧の損傷が見受けられた。
 それでも彼はただ、意にも介すことはなく支援に徹すると告げた。ふぅ、と息を吐きノエル<敵対者>へと向き直る。

 氷槍。破壊の魔弾。斬撃。
 障壁による防御から、跳躍による回避までを成立させた彼女は、しかし天より振り下ろされた裁きの鉄槌を凌ぎきることが出来ない。
 魔導障壁の展開により威力こそ減衰はするものの、直撃したソレが彼女の肉体を焼いていく。
 立ち上がるノエル。依然、健在。
 されど、その表情からは余裕が徐々に失われ始めていた。傲岸不遜。先から見せていたはずのソレはもうない。

 これでハッキリした。
 ノエル・マッケロークは天才ではあるが所詮は人だ。それも、手に入れた力を扱うのではなく力に溺れているだけの。
 あらゆる力に共通して言えることだが、魔術にせよ武術にせよ異能にせよ強力な武器にはなれど万能になり得ることは決してない。
 そう錯覚するのだとしたら格の違いか圧倒的な相性差、このどちらか一つでしかないのだから。
 そして彼女は永遠にそれに気づくことはない。
 全能と錯覚し続けていた己の鍍金が剥げていくのを認めないどころか、この期に及んで正々堂々などとのたまう始末。

「アレの防御は私が崩す。
 アレに"毒を喰わせたい"ならそれで隙が出来るはずよ、一度きりだけどね」

 二人にそう告げた後、印に触れて更に力を引き出した。
 両の手に収束する破壊の光は、より一層輝きを増す。振り上げた右手を合図に周辺一帯に光の陣が刻まれた。
 この世界には存在しない術式。撃ち放つ破壊の光の出力を大幅に増幅させる加速器<ブースター>。
 祈の背より蝶の羽が展開される。中空へと浮き上がる。災厄を予見する不吉な蝶は、天よりノエルを見下ろす格好となった。
 ノエルは容赦を捨てて全力を行使する。
 それは世界のズレ。ヒビを入れた世界が元に戻ろうとする力を利用した、修正作用の暴力。
 そうして生み出された無数の斬撃――言うなれば真空波の上位版。
 今にも三人へと突っ込んで来ようとする其れを自在に振るえるとなれば、ああ、確かに天才の類だろう。

 だが、何をしようとももう遅い。

「砕け――アンタはこれで終わり。私"達"に破壊される」

 この一言を持って――採決は下された。
 、 チカラ  、  、  ・・・・・
 この異能が有するは、「いなくなれ」という命令の最上形。
 光に触れた物質を世界単位で削り取り、無へと還す創世と対を成す力。
 今より全力を引き出して放つは、いなくなれという命令の最上形を――更に発展させた"世界からの排除"。
 抗うならば死力を尽くせ。消えろと祈が告げたなら、眼前の一切合切はあらゆる事象を無視して消えなければならない。
 その命令に逆らうことは即ち、――"神の決定に逆らうことに等しい"。

「完全破壊ッ――!」

 神の権能にも等しい出力の破滅の光が、輝く陣/ノエルの上空広範囲より吹き上がる。
 密度の高い破壊の光の嵐で以て、世界諸共叩き壊す、言うなれば絨毯爆撃。
 地も天も何も関係はない。逃げ場など何処にも無い。
 鎧も魔力防御も、大気の嵐も何も関係はない。あらゆる防御/悪あがきを削り飲み込み破壊し尽くす。
 現にノエルがレイヴンとギラード、そして祈を狙って放った真空波は一瞬にして飲み込まれ破壊された。

 超広範囲の破壊の光、――されどこれで倒せるなどとは思っていない。
 だが、確信はしている。ノエル・マッケロークにその最大全力を引き出させることは必ず出来るだろうと。
 そうしなければ蹂躙する破壊の光に呑まれ、塵も残さず消し飛ぶしかないのだから。

 世界を削り取る光の嵐が陣の中で吹き荒れる中、地上にいるレイヴンに目配せした。

 "行きなさい――!"。

 ――悪逆領主ノエル・マッケロークにレイヴンが"一服盛る"には、全力を出し尽くさせた後(今)しかない。

>ノエル・マッケローク 氷魔像ギラード レイヴン・ロウ

6ヶ月前 No.298

イスマリア @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4

【 ナコーン/森林/イスマリア・ザルヴァトール 】

 直撃は出来ない。
 いや、訂正しよう、――"真正面から戦うのは無謀のやることだ"。
 受けを崩し押し込んでくる彼の戦法をまともに相手していては、体が幾つあっても足りない。
  、  、  、  、  、  、 パリィ
 真正面から迫りくるギギナという砲弾を弾いて、逸らして回避。
 肩口を大きく切り裂かれるといった形で被弾はするも、致命に至っていないのならば構わない。
 そして反撃に打って出た。異能の爆裂を加速装置<ブースター>とし、何かさせる前に一撃を確実に入れて離脱する。
 その結果を――。

「――凌ぎますか」

 動かぬ自身の得物は証明していた。
 刃の切っ先はギギナには到達せず、まるで彼の背中より生えたかのような鉄棘が太刀を絡め侵攻を押しとどめていた。
 放流した雷電はギギナに纏わりつきその肉体を焼くも、よろめくことなく後方へ大きく後退<バックステップ>。
 そしてイスマリアに迫る棘。太刀に纏わせた雷の出力を瞬間的に増幅させ、衝撃も含めた威力で焼き吹き飛ばす。

「力押しで勝てる見込みは皆無ですがね」

 賞賛を受けてもなお、イスマリアの態度は変わらない。
 この程度で死ぬようでは未来を求めることなど夢のまた夢でしかないのだから。

 決して浅くはない傷を負ったが戦闘に支障はない。肩より流れる血が純白の軍服を鮮血に染めてゆく。
 この程度、未来へ掛ける情熱<イシ>が確かならば何も問題になりはしない。
 根本的に戦闘のスタイルが異なる以上、勝てない土台で戦う意味は何処にもない。
 これが大剣使いのマロンなどといったものであれば真正面からの押し合いは出来たのだろう。
 あるいは魔術に長けた者達であれば物量で押し切ることは出来たのかもしれない。
 だがイスマリア・ザルヴァトールはそのどちらも出来ない。
 故に、――古来の東洋の国の武術で重要視される「手数/技/速度」で応戦するしかあるまい。

 背負った鞘を蹴って腰の位置にセット。
 そして、――納刀。得物を納め、構える。
 腰を深く落とす。右手は柄に。左手は鞘に。視線は正眼に。武装を構えているギギナに。

 そして、――その場から"消えた"。
 いや、違う。
 あまりにも初速が速すぎ、軽やかに地を駆け過ぎたがために消えたように錯覚するほどの踏みこみだ。
 すり足から地を蹴った勢いの接近を捉えることが出来る者はほぼいない。

 一瞬にして互いの距離は零となる。右足の踏み込み。
 間髪入れず抜刀、――腹部へ向けた一閃。
 それはまさしく――"抜刀術"。世界最速を誇る剣術が一つ。
 初速は最大。音を超えた速度でギギナを断ち切らんと刃が抜かれ放たれた。

 更に抜刀を合図とするかのように、――ギギナの足元より彼を焼き尽くさんと極太の黒雷が立ち昇った。

  Drache
「登龍黒閃」

>ギギナ (魔大老エスト 桐生戦兎 17代目葛葉ライドウ)

6ヶ月前 No.299

エクセラ・ノア・アウラ @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=dgrb36F8Ll

『城塞都市ギリダン/玉座の間/エクセラ・ノア・アウラ』

「ああ!」

姿こそボロボロだが、ニケはエクセラとソレミアに向かって士気鼓舞。
彼女からは本気であるという気持ちが伝わってくる。

「あれが・・・」

この玉座にて座っていたパージルクが立ち上がり、背後の壁に向かって指を鳴らすと、壁が扉の様に左右に開いた。
そこに姿を見せたのが青空と高くそびえる巨大なクリスタルであった。
10年間に渡って奴隷を操っていた物である。
同時に、紺色の球体から高圧の水流がこちらに数発放たれる。
相手にとっては小手調べであるが、こちらにとっては大技といっても良いものであり、
あの攻撃に当たるのは非常に危険である。
エクセラは直ぐに龍吼魔笛グラビネットを片手でフルートのように持ち、それを吹き始める。
曲を弾いているものの、これはエクセラの詠唱である。
詠唱が終わると回避目的として、「重力からの解放」という魔法を自分自身にかける。
この魔法の効果により、エクセラの移動速度が上がり、走り回るという形で相手の攻撃を回避する。
しかし、走り回って高圧水流の方は回避する事は出来たものの、
続けて放たれてきた雷には対応しきれず、被弾してしまい、感電により足が止まる。
痺れによりエクセラの動きのきれは悪くなったが少しは動けるため、
エクセラは二人に続いて攻撃するために「ランス・ブラスター」の詠唱を行う為に、
武器でもあり楽器でもある龍吼魔笛グラビネットを吹き始める。
少し掛かったが詠唱が終わると、エクセラは持っている武器を相手に向けると、先端から闇色の一直線に伸びる光線が相手に目掛けて放たれようとした。

>>パージルク・ナズグル、ニケ・エタンセル、ソレミア・ラガルデール

6ヶ月前 No.300


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