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【ALL】Chrono Crisis【戦闘/シリアス】

 ( なりきり掲示板(フリー) )
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時を巡る旅路 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_UxJ

進化と共に新たなる技術を生み出し、その活動域を地球全体へと広げていった人類。
彼らは常に自らの生活を豊かにすることを考え、革新的な発明を世へ送り出し続けてきた。
留まることを知らない人類の科学力は、やがて禁断の領域へと足を踏み入れていくこととなる。

西暦6990年、それまでの常識を、それどころか世界の法則さえも歪めてしまうような大発見が人類にもたらされた。
時間遡行……俗に言う"タイムマシン"を駆り、現在と過去や未来を繋ぐ手段。人は、その方法を確立した。
今まで文献を漁ることでしか様子を知ることの出来なかった過去と、思いを馳せることしか出来なかった未来。
それらへの道が開かれたことは、確かに衝撃的ではあったが、同時に新たなる問題も浮上することとなった。

タイムパラドックス。未来からやってきた人間が過去に干渉することによって起こり得る、歴史の改変。
たった一つの筋を辿るように紡がれてきた歴史に矛盾を生じさせてしまえば、世界そのものの崩壊を招きかねない。
不測の事態が発生することを恐れた時の世界政府は、直ぐ様会議を開き、"時間遡行法"を制定。
資格を持たぬ者の時間遡行を禁ずると共に、時間遡行中の行動に厳しい制約を設け、歴史の改変を未然に防ごうとした。
―――しかし、全ての人間が、その決定を黙って受け入れた訳ではない。何せ、これは空前絶後の大発見。
上手く時間遡行を利用すれば、世界を思い通りに操ることも可能……そんな邪な考えを持った人間が現れるのは、当然の流れであったのだろう。

時間遡行法の制定から数年が経過したある日、歴史の保護を目的に設立された組織、「時空防衛連盟」が、大規模な時空振動を観測する。
遙か数千年前より発せられし、時空の歪み。それは紛れもなく、今この瞬間に、"歴史の改変"が実行されていることを示していた。
改変を止めることが出来なければ、タイムパラドックスの連続によって、やがて世界は消滅してしまう。
時空振動の余波によって、世界線の境界そのものが揺らぐ中、時空防衛連盟の面々は、人類の歴史を護るための戦いに挑む。



【クリックありがとうございます。この物語の舞台は時間遡行技術が確立された未来と、能力のある者のみが人権を得ることの出来る古代、人類と魔族が熾烈な戦いを繰り広げる中世という三つの異なる時代です。歴史是正機構は禁忌である歴史の改変を実行しようとしています。彼らの思惑を阻止するべく行動する時空防衛連盟の面々と、何としてでも歴史を書き換えようとする歴史是正機構、更にはそんな両組織の戦いに巻き込まれた各時代の人々の姿を描くのが、このスレッドの主な目的です。

オリキャラでの参加は勿論、版権作品をあまり知らないオリなり民の方も歓迎ですので、オリなり民の方も、どうぞご遠慮なくご参加下さい。
なりフリー民とオリなり民、互いに協力しあうことで、よりよきスレを目指しましょう。

なお、合図があるまで書き込みは禁止ですので、ご注意下さい。まずはじめに、サブ記事の方を確認頂くようにお願いします。】

メモ2018/07/13 02:23 : 風神少女☆XQ6phrzcKMtR @infernus★F7MrHN45jw_ouC

―――現在は、最終章です―――


最終章:「Chrono Crisis」

激しい戦いの末、歴史是正機構に打ち勝った時空防衛連盟。晴れて時空を護り抜くことに成功したかに思われた矢先、それは始まりを告げた。

まるで世界そのものが崩壊するかの如く、ひび割れていく空。その向こうから現れしは、正しき歴史を紡ぐ使者。

彼らは、人類の捻じ曲げた歴史を修正するべく、この世へと降臨した。これこそが、時空断裂。積み重なった歪みが、限界に達した瞬間であった。

改変に改変を重ねた今の世界が正史に塗り潰されれば、そこに生きる者達は"もしも"の存在と化してしまい、歴史の闇へと葬り去られてしまう。

それは即ち、世界の崩壊といっても過言ではないだろう。時空断裂による時間の連続性消失を防ぐためには、彼らに戦いを挑み、勝利するしかない。

人類が罪を犯したのは、疑いようのない事実。歴史を変えるなどという禁忌を犯した種族には、当然の報いであるかも知れないが……そんな人類も、生きている。

生けとし生ける者、全ての願いは、今日を、明日を生きること。黙って死を受け入れるなどということが、出来るはずがない。生きたい、と願う限り。

これは、明日を手に入れるための戦い。自らの存在を世界線に、時空に刻み付けるため、時空防衛連盟は次元を超える。


ルール&プロフィール:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-1#a

役職一覧:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-2#a

世界観・用語解説:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-3#a

各陣営の目的:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-4#a

最終章のロケーション:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-286#a


・現在イベントのあるロケーション

狭間世界:最終決戦

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鮮やかに、ときに無慈悲に── @libragreen ★iPhone=Dpuk4n8aqG

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2ヶ月前 No.1701

ダン・マッケーニ=バビロン @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_EjY

【 狭間世界/スラム・ムジーク空間/ダン・マッケーニ=バビロン 】

 降り注ぐ流星の如し拳――チェーンによって受け流されて回避される。
 ならばこそ、次に撃つ時は本気で"チェーンを破壊する勢い"で叩き込むことに決めた。

 続いて神速の乱打。ジャブの嵐の中に織り交ぜるストレートの砲撃。
 これもまた、オーネットは四丁拳銃の銃身で弾いていくことで直撃は避けるが、故にバビロンの本命に気づけない。
 片手のみでマグナムを正確無比に叩き込む。肩が外れるほどの反動が襲い来るそれですら、バビロンにかかれば容易いものだ。
 何故なら"本気で"やっているのだから。この程度の衝撃など、本気でやれば抑え込めるだろう?

「そうでなくてはなァ――体を鍛えることと、愛用の得物に妥協したことは一度もなくてね。
 どうだ、効いたろ。本気でチューニングしたんだ、お前も本気で挑まなければぶち抜いちまうぞォッ!」

 狂笑が木霊する。何処までも本気で、本気で本気で――かかって来いと。
 炸裂した凶弾は内部で受け止められたが、弾丸自体の衝撃を殺し切れていない。
 オーネットより吐き出された紅がその証拠だ。
 内臓に強烈なダメージが入り、大地が血に染め上げられる。

 先ほどのオーネットの弾丸を一切回避していないバビロンのダメージも相当なものだ。
 無数の銃弾に穿たれたスーツは穴だらけであり、染み出る血がじわりと広がっている。
 しかし、そう。だからどうしたとバビロンは痛覚もダメージも踏み倒す。"本気"なのだから。

「そうだ、その意気だ。ならばこそ俺も本気で邁進しなければなァッ」

 "本気"で戦っているのだから、降り注ぐ茨鞭の雨で己の血肉が引き裂かれようとも止まることはない。
 "本気"で戦っているのだから、それが何度降りかかろうとも止まることはない。
 "本気"で戦っているのだから、オーネット・ブラッドレイから視線を外すことはない。

 "本気"で戦っているのだから――。

  、 ・・・・・・・
「そら、俺にも出来たぞ。
 受け取ってくれ、麗しき次代の英雄よ!」

 ――単発式であるはずのマグナムから、四発の弾丸を同時に射出することが出来る。

 近距離に迫るオーネットに向けて放たれたのは、マグナムの弾丸。
 それはコンマ一秒で四発同時。そしてやはり、反動を押さえつけて正確無比な射撃を行っている。
 狙いは心臓。肺。右足。頭。直撃すれば即死相当のダメージとなるが、バビロンは更に追撃を叩き込む。

 一歩前へ踏み出す。
 オーネットの顔面目掛けて回し蹴りを撃ち込む。
 "本気"で放ったのだから、さきほどのいなしを上から叩き潰す勢いで。
 更に続けて、真上から拳を"落とす"ように脳天目掛けて撃ちこむ。
 "本気"で放ったのだから、四丁拳銃の銃身を破壊するほどの勢いで。

>オーネット・ブラッドレイ フレデリック・ショパン

2ヶ月前 No.1702

疾風 @sable ★Nu0sy7yXcR_keJ

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟/ゲイル・べネルド】

 鮮血沁み込む洞窟の最奥、躰の内外を真紅で染めた勇者が立ちはだかる。当然、我々の知るアンナローズではない。屍の山を築き上げ、生きとし生ける一切を踏みにじる、最悪の破壊者だ。彼女は語った。魔族共を皆殺しにしたのは、他でもない自分であると。狭間世界に於いては、少々異質な存在だということも。
 続く青年やロコの合流を把握しつつ、返答はせずに勇者へ意識を注ぐ。正史の座を奪い返そうと目論む者共とは、一線を画している。故にやるかやられるかの戦いに踏み切る必要もない。そう、衝突は回避できる。彼女は忠告した。武器を収めろ。踵を返せ。それが互いにとっての最善であると。

 その瞬間、疾風の騎士は飛び出した。全てを置き去りにして。

「ミストラルフィニッシュ」

 刹那、洞窟に流れ込む冷たい風。山々を乗り越え、凍れる河を吹き抜けたミストラルが、血の匂いを吹き飛ばす。深緑の風に身を任せる様、まさに隼。音も光も置き去りにする超神速は、魔道に堕ちた騎士に引導を渡した絶技と同じ。勇者の傍らを過ぎると同時に、胴体目掛けて細剣を振るい抜く。
 何故仕掛けたか。青年の言う"協力"とまでは行かないが、事を穏便に済ませる選択肢は示されていたというのに。勝ち目の有る無しに関係なく、回避できたはずの戦いに打って出るなど、お世辞にも賢い采配とは言えない。それでもなお、若き騎士団長が開戦に踏み切った理由――それは、隠せども滲み出る勇者の危険性。
 ヤツは痛烈なまでに魔族をこき下ろし、下等な存在と見下していた。誰もが知るように、中世に於ける戦いは和解で締めくくられた。その結果人間と魔族の関係は見直され、この未来世界にも少なからず影響が及んでいる。そんな中、魔族に猛烈に敵意を向ける人物を野放しにしてしまえば、何が起きるか分かったものではない。
 それに、口車に乗せられて剣を下ろしたが最後、騙し討ちを受ける可能性もあった。それほどまでに危険な匂いがするのだ。故に初手から総力を注ぎ込む。幸いこちらは数で上回っている。速攻戦術に惜しみなく火力を載せれば、早い段階での撃破も望めるはず。王国騎士団長としての最後の役目を果たすべく、隼は翼を広げた。

>>ファントムメサイア、橋川清太郎、ロコ

2ヶ月前 No.1703

電子の詩人 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【狭間世界/スラム(ムジーク空間)/ショパン】
 轟く銃声、倒れるオーネットを見て目を瞑るが、が足音が聞こえたので、ほっと胸を撫で下ろすショパン。
 バビロンに毅然とした態度でオーネットは返すと、しなやかな動きでバビロンを攻撃する。
 打つ、打つ、打つ。
 耐える、耐える、耐える。
 両者、接戦。ぶつかり合う。
「……!」
 びくんと体を跳ねてバビロンに気圧されそうになる。
 背中がざわざわする、段々とショパンの頭の中で警鐘が大きくなっていく。
 これはヤバい存在だ。
 世界を飲み込まんとする、力の塊だ。
 表情は強ばったままで、汗がだらだらと吹き出ている。
 ようやくショパンはバビロンの狂喜を理解し始めて来た頃。
 バビロンは言った、俺にもできたと。
 するとオーネットと同じ銃から4発連射してきたのだ!
「まねを……した?」
 あり得ない、明らかに人間離れな射撃を見ただけで4発撃ってきたのだ。
 初見で自分以外の曲は弾きこなした人物は実際いたというか、自分の友人で今もクラシカロイドとして同居している、性別は変わっているが。
 天性の才能かそれとも何かの能力か。
 ショパンは焦燥の表情で考え込む。
 そして、畏怖を抱く。
 もしかしてムジークを真似されるのかも知れないと、疑い始めたのだ。
「……」
 いや、いや。タクトごとムジークを奪われたりそっくりのロボットが現れた事はあるが、ムジークを真似された事はないと断言できる。
「どうしよう」
 その表情は不安に満ちていた。
>オーネット・ブラッドレイ ダン・マッケーニ=バビロン

2ヶ月前 No.1704

超覚醒 @sable ★Nu0sy7yXcR_keJ

【狭間世界/血塗られた島/深淵の間/アルティメット・イアン】

 影が匂わせる神格の存在。銀狼と肩を並べて戦う二人は、既に察しがついていたらしい。考えてみれば当然のことだ。歪められた時空の悲鳴によって、この狭間世界は生み出された。その中に、虚ろに漂う時の欠片……存在を否定された正史の数々。それらを大挙し我々に襲い掛かってくるなど、どこか作為的なものを感じずにはいられなかった。
 それだけ大それたことが出来る時点で、桁違いなスケールの持ち主であることは間違いない。それが神だろうと悪魔だろうと、今更驚くようなことではない。真に人智を超えた者との戦い。いくら名士揃いの連盟とあっても、万事休すかと思われるだろう。否。その不可能を可能に、窮地を好機に変えるのが我々なのだ。今日まで幾度も成し遂げてきたことを、数倍にしてぶつけるだけでいい。
 初めからその覚悟が出来ていた故か。並び立つ三人の顔に、一切動揺の色はない。ましてや恐怖など。究極たる銀狼に、最早その手の感情は存在せず。黒雷の主は、渦を成し神にすら牙を突き立てる処刑人と化した。そして、帝王の域へ踏み込んだ緋焔。彼の怒り。剣技。太陽をも焼き尽くさんばかりの灼炎。龍帝の何たるかを雄弁に語る一閃が、遂に影に致命的な一撃を叩き込んだ。

「言っただろうが。もう失望させねえって。

あるんだ!

覚悟も力も――全部なァ!!!!!」

 対話を棄て、やるかやられるかの殺し合いに発展してしまった影との戦い。正攻法を大きく外れ、本来ならば死が待ち受けていたはずの激闘は、影ですら予想できなかった展開へ縺れ込もうとしていた。初めて見せる動揺の色。崩れる体勢。その口から、否定や罵倒以外の言葉が飛び出すのも、思えば初めてのことであった。
 三人の覚悟を身を以て味わった影。明らかに狼狽えた表情が示すは、間近に迫った決着の瞬間。事実、彼女は極大の一撃を以て三人を試そうとする。天地万物森羅万象、一切合切を黒く染め上げる超魔法。その闇すらも内包する属性の覇者、虹の精霊魔法。これは最後の試練だ。乗り越えられた暁には、間違いなく我々は認められる。明日無き身でなおも生きることを。狭間の最奥に待ち受ける、神格への挑戦を。
 そう悟るや否や、銀狼は白銀の残像を残して駆けだした。踏みしめる床には亀裂が走り、砕け、抉り抜かれる。超魔法には超究極。虹には白銀。僅かに感じ取った覚悟が、夢幻(ゆめまぼろし)などではないことを証明する。その術とは、丞相戦を彷彿とさせる突貫。我が身も顧みない決死の猛襲。極速を以て大魔法へ突っ込んだのだ。当然無事ではいられない。

「超覚醒ェ……超回復ゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!!」

 見るも無残な姿の銀狼。しかし彼女の二本の足は、深淵の間を強く踏みしめていた。煌めき絶えぬ瞳は、未来を見据えていた。彼女にはまだ、生がある。可能性がある。ならばここで死ぬ道理などない。覚醒できない道理もない。闇を打ち払い、虹光すら切り裂く怒号は、覚醒を遥かに上回る"超覚醒"の発動を示唆していた。
 深淵の間を満たす白光。その熾烈さに耐えられず、天井や壁が崩落を始める。そして大爆発――爆心地の如く抉れた床に、究極の具現は佇んでいた。傷一つない身体。吊り上がった目。逞しくなった貌に浮かぶ、覚悟の二文字。超究極を名乗るに相応しい奥義が炸裂する。

「今ッ!ここに爆誕する!

アルティメットだ一番星ッッッ!!!

スゥゥゥゥゥゥゥゥパァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!」

 拳を握り締め、持てる力の全てを解き放つ極狼。両腕を大きく広げると同時に、彼女を中心とした超巨大竜巻が発生する。いや、ここまで膨れ上がれば台風と呼んでも差し支えない。白銀の暴風は止むことを知らず。台風の目と化した姿、まさに究極一番星。たからかに爆誕を宣言した後は、飛び蹴りの姿勢であろうことか台風ごと影目掛けて急降下する。

『アルティメットだ一番星』と銘打たれた究極奥義。その名に恥じない規模を以て、威力を以て、未来を切り拓く。

>>中世の影、イスマリア・ザルヴァトール、ヴァンレッド

2ヶ月前 No.1705

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟/橋川 清太郎】

構えた直後、未確認の生命反応が接近してくる。何かと思い視線を向けると、犬のような姿の女性だった。

(中世出身……名前はロコ、か)

バイザーのHDDがデータを自動照合し、彼女の簡易的な情報を表示する。
どうもロコはこの少女と面識があるらしく、ひどく驚いた様子だ。ただ、一連の言動を纏めると他人の空似という可能性も十分考えられる。
ロコは大きく戸惑いながらも交戦の構えを取り、少女との対峙を選んだ。

返ってきたのは明確な拒絶、余りにあからさま過ぎて清清しい位である。

「あーそうですかそうですか、聞いた僕が馬鹿だったよ」

頭部装甲越しに嘆息を漏らす。こいつといい前回の影といい、他人が大失敗した時だけ我が物顔でしゃしゃり出てくる習性でもあるのだろうか。

「って、おおおっと!」

さてどうしようかと思考に入ろうとした瞬間、凄まじい速度でゲイルが飛び出した。空気との摩擦で燃え尽きなかったあたり、少なくとも光速の域には達していないようだ。

(それでも、SwordPackの運動性で捉えられるものじゃあないか)

少し思考が逸れた、ここで彼に加勢し参戦するか、それともこの場所を後にして別のエリアへ向かうか。
選択は……前者。
話を聞くに、ここにある死体の山を築き上げたのはあの少女、しかもそれに対し全く悪びれることなくこちらに尊大な態度で接している。言うまでもなく危険人物だ、彼女を野放しにしておくのは大きな不安要素となるだろう。そして、戦う力を持っておきながらそんな人間から逃げ出すのはそれこそ偽善ではないのか。

「……行くかな!」

スラスターを起動、噴射炎で推進力を得ると同時に飛び掛かり、ゲイルに続く形で袈裟斬りを見舞った。大出力マッスルモーターによる恩恵がただの剣閃を重撃へ変える。達人業とは程遠いものの、その一振りは生半可な防御を許さない。

>>周辺all

2ヶ月前 No.1706

イスマリア・ザルヴァトール @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_EjY

【 狭間世界/血塗られた島/深淵の間/イスマリア・ザルヴァトール 】

 はじめから、何を選ぶかなど些事でしかなかった。
 大事なものは想い<カクゴ>の純度。その選択を貫き通すという不退転の意志であり、何処まで上り詰められるかということのみ。

 必要なのは――覚悟の証明。

 それが、迷い悩みながら出す覚悟<決意>であったか、想いの純度を重視する覚悟<決意>であるか。
 そのどちらも、差異はほとんどありはしない。
 求められていたものは最初からこれでしかなかった。ただ、完成されきった精神を持つ人間/怪物達が代弁者であっただけの話。
 故に刮目せよ、民衆よ。涙の出番は此処で終わり。
 たぎる灼熱が、走る銀狼が、降り注ぐ黒雷が、あの空に夜明けを齎す閃光<ヒカリ>を轟かせるのだ。

 此処に勝利の英雄譚を始めよう。
 あの先にいる神を、新世界の贄とするために。

 覚醒は果たされた。人智を超えた存在を相手に、英雄の如し輝きを放ちながらそれを乗り越えていく。
 そしてそれはとうとう、神の喉笛に食い掛ること成功する。
 超越者達の畳みかけるような攻撃の嵐を前に、中世の影が押されはじめている。
 ヴァンレッドの長剣が与えた僅かな傷。それが糸口となり、中世の影の態度が変化した。
 排すべき害悪から、試すべきれっきとした"敵"であると。

「何度も言っています!
 舐めるなよ神風情が――明日を求める人の光は、何者にも奪うことは出来ないとッ!」

 異能の出力を引き上げる。
 イスマリアはもはや、近づくだけで肉体がひしゃげるほどの強烈な引力を持つ惑星と化している。
 その処刑刃を手に、疾駆するは虹の極光と深き闇の嵐。極彩色と深黒が染め上げる視界の中、黒雷を纏った刀を振り降ろした。
 深淵の間に黒い雷霆が"墜ちた"。黒雲より降り注ぐ嵐のような塵殺の雷が地走り、二つの魔術と鬩ぎ合い蹂躙を続ける。

 マダダマダダマダダマダダマダダ
 更に更に更に更に更に更に――出力を引き上げること数千度。
 肉体が耐えられないとほざくな。精神<ココロ>が焼き切れるなど、些細なものでしかない。
      、      、     、 ・・
 虹と闇による万を超える消滅と蹂躙と凌辱を我慢しながら、異能<デュナミス>の出力限界を叩き壊すこと更に数億。
 生きながら引き千切れるような激痛と、己の体が己のものでないような感覚。それを踏み倒して、更に覚醒する。

 >>此処に改めて審判を下す。

 限界を超えた多重覚醒。
 イスマリアの狙いは唯一つ。
 アルティメット・イアンが深淵の間を叩き壊し、光を齎したように。
 ヴァンレッドが三千世界を焼き焦がす焦熱でもって暗雲を焼き払うように。

 >>革命の狼煙は上がり、此処に裁きが下された。

 まだだ、まだだ、まだだ――足りない。もっとだ、もっとッ!
 星を喰らう引力波。地上を超え、空を超え、次元を超えろ。

 >>処刑台は血に染まり、民衆の歓喜が木霊する。

 誓ったのだ――あの日、革命のためにこの身を捧げると決めたその日から。
 幸福も絶望も。兆を超える世界を何もかも踏み越えてでも、ただこの一つの未来を信ずると。

 >>故に! 此処に神の時代は終わり、人の時代が訪れる!

 アルティメット・イアンがブチ抜いた空の彼方。暗闇の空を突き破り、中世の影目掛けて落下する無数の光がある。
 それは紛れもなく――"隕石"。焦熱を纏った大小さまざまなそれらが、ただ一点を目掛けて飛来し叩き壊さんとする。
 イスマリア・ザルヴァトールの狙いはこれでしかない。
 光の速度、あるいはそれを超えた速度で回避できるのならば、最初から逃げ場など作らなければよい話。

 Execution Meteorite
「《新説・天の開拓者》――!」

 故に、身を蝕む激痛に歯を食いしばって耐え、"自身という星の引力のみで"スペースデブリをはじめとする外宇宙のそれらを捕えた。
 強烈な引力によってこの地球に引きずり込まれた星の雨。
 天翔けるアルティメット・イアンの飛び蹴りに追従するように――台風の目に吸い込まれるように、中世の影へと降り注ぐ。

>中世の影 アルティメット・イアン ヴァンレッド

2ヶ月前 No.1707

未来の影 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_o1k

【狭間世界/誰もいない邸宅/未来の影】

先程まで繰り広げられていた戦いが嘘であったかのように静まり返った、邸宅の室内。そこに佇む三人が織り成すのは、互いに傷付けあうことではなく、冷静なる対話だ。
未来の影が現れたのはそもそも、人類を粛清するためではなく、彼らが時空を乱したことの意味を知り、それを受け入れた上で進む覚悟があるかを確かめるため。
二人がそれを示した以上、彼女から積極的に仕掛ける意味はなくなったといえる。未来の影が向ける優しい視線は、まるで明日に挑む勇者達を見守るっているかのようだ。

「その通りだ。一つの視点で物事を捉えようとすれば、そこには必ず偏りが生じる。上に立つ者に求められるのは、少数派の意見からも良い点を取り入れ、生かす姿勢だ」

ダグラスの言葉を肯定し、語り掛ける未来の影。民衆を統べる者にとって、大きな参考となるのは多数派の声。その声に従い政治を行えば、大多数を満足させることが出来るだろう。
だが、それでは駄目なのだ、と彼女は言う。多数派の意見ばかりを採用すれば、そこには必ず、声を聞き入れられなかった少数派達の不満、不平といったものが募っていく。
それを放置し続ければ、いずれ爆発した彼らの感情によって、統治は崩れ去ることだろう。どんな小さな声でも真摯に受け止め、改善に務めることが、統治者に求められる資質なのだ。

「姉の求めているものは、貴方自身で探すことよ。心の距離を縮めれば、自ずとそれは見えてくるはずだわ」

フォルトゥナの言葉に対してはやや濁した返答となったものの、少なくとも否定はしなかった。ユーフォリアとの関わりを深めることは、確実に理解に繋がるからだ。
その中で、姉が求めているものが何であるのかを探していけばいい。幸いにも、二人はまだ若い。すぐに気付くことは出来なくとも、そのためには十分な時間が用意されている。
もう、あのような悲劇は決して起こらないといってもいいだろう。二人が姉妹である限り、その絆が切れることはないし、周囲の者達もそれを支えてくれるに違いない。

「貴方達なら、きっとどのような状況でも乗り越えることが出来る。どんな脅威が迫っても、絶対に希望を捨ててはいけないわよ」

そうとだけ言い残すと、未来の影は塵となり、虚空へ消えた。その瞬間、誰もいない邸宅の景色に変化が訪れる。荒れ果てていた室内が、途端に明るさを取り戻したのだ。
カレンダーは、現実世界と同じ日付。とはいえ、二人は未来世界へと飛ばされてしまった訳ではない。あくまでここは、先程まであり得たかも知れない可能性を映し出していた場所だ。
この現象が指し示すことは唯一つ。惨劇が起こる未来は、完全に排除されたということだ。フォルトゥナとダグラスの手によって、ユーフォリアが死んでいたという"正史"は消し去られたのである。
結果的に、改変が認められた形にはなるが、それによって幸せを掴める者がいるのであれば……それも、あながち間違った選択肢ではない、ということなのかも知れない。

>>未来の影@Chrono Crisis オリジナル フォルトゥナとダグラスの決意を認め、二人に助言を与えた後、消滅


>フォルトゥナ・インテグラーレ、ダグラス・マクファーデン
【お相手ありがとうございました!】

2ヶ月前 No.1708

リインカーネーション @genomirai ★xtwO2xCy4x_gaI

【狭間世界/時の墓標/魔剣士】


此の地は忘れ去られた可能性が集う場所、一つの土地として存在を保てるほどではなく、されど塵芥と等しくするには余りにも大きすぎる。この世界、統一されるは赤黒き空のみと言う中でも、より煩雑であった。
古代を思わせる巨大な木々が空と平行にその幹を伸ばしていれば、その先は薄暗い湿る洞穴へと続いている。僅かに視線を逸らせばとある機構の建物の残骸が見える。どれもこれも、古く寂れた遺された存在だ。
その一角、城塞の一部のみが聳え立つ残骸の頂点。そこに長剣を突き刺し、遥か遠くを眺める存在が居た。黒き重厚な鎧、僅かな傷すらない闇より昏きを身に纏う。血の匂いも、死の気配すら隠さずにただそこに居た。
風に流れる眩き黄金、混じる深紅すら霞むほどの輝ける金糸。常人に比べやや白い肌、それが朱き瞳を更なる美麗へと高めて尚、曇らせるものが魔剣士の身体を縛っている。それは鎖のようであった、無論ただのそれではない。
縛ると言う概念を表すに最も適当であるが故にそう見えているだけ、違う感性を持てばその身を縛るものはまた別のものに見えよう。そう、これは魔剣士を縛る為の物、この世界の主がそう定めたもの。
嘗ての匂いを辿りここまで来た、しかし此処に現るは時空の管理者、またはその手先。魔剣士がどれだけ飢えていようとも、この世界を管理する存在ならば幾らでも邪魔立ては出来てしまう。
それを防ぐが故にかの神の条件を呑んだ、その尖兵となり一部の力を封ずることを。己が力の一部を縛る事よりも、心昂ぶり悦に至る戦、まだ見ぬそれが余計な横槍で冷める事を魔剣士は嫌った。
更に言えば、力が削れた状態もまた一興。全力を出せぬ無念はあれど、全力を出して打ち合える歓喜に比べれば幾段も劣ると。若しや本当の意味で負けるかもしれない、あわよくば死ぬかもしれない、思えば思うほど悦が勝る。
魔剣士は強き者の血を求める、そこには自身も含まれよう。そしてこの空間が人間にとって、いや今を生きる存在にとってどれだけ有害かを理解している。ともなれば強者が集うのは道理、些細な条件などないにも等しいのだ。

「――――――感じる、が喰らうにはまだ惜しい。なれば、好き強きものを待つのみ。」

視線の先、嘗て負けたかの龍の匂いを魔剣士は感じ取っていた。勿論喰らうのは既定路線、為れどあの時から劇的に熟れている訳ではない。ならば今はまだ、待つべきだと判断していた。
それにこの世界の至る所で戦の匂いが漂っていることも感じ取っている、何処かへと襲い掛かるのも思考の内にはあったがあくまでも尖兵に過ぎない。その条件である以上、ただ待つのみが今の魔剣士に出来る事であった。
無論、癒えぬ飢えの中にいる魔剣士にとっては苦痛であることに変わりはない。だが同時に、まだ見ぬ強者の血に悦と昂ぶりを抑えられぬのもまた事実であった。僅かに微笑みを湛えている理由がそれだ。
仮に、仮にだ。この場に強者が現れなければ魔剣士が目指す先は一つ、この世界の主であり条件を言い渡した本人の下。間違いなく強者が集う、ならば格好の獲物だろう。魔剣士が抑える理由はない、それほど飢えている。

そう、その剣はまだ血を求めているのだ。

>>ALL


【ロケーションを捏造して配置ィ!敵が少ないと思い、それとなくね!】

2ヶ月前 No.1709

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_o1k

【狭間世界/幾何学都市/中央区/ユーフォリア・インテグラーレ】

量を重視した攻撃によって、敵の武器を機能不全に陥らせるというユーフォリアの作戦。成功すれば、一気に相手の戦力を削ぐことが出来たのだろうか、その考えは読まれていた。
豪快な啖呵を切ってみせたミシャールは、防御の手を一瞬止めたかと思うと、二つの大斧を重ねるようにして構えた。まさか、守りを捨てて特攻を仕掛けるつもりなのか?
自力で攻撃を回避し続ける相手であったが、次第に対応が間に合わなくなり、被弾する。変化が起きたのは、このまま火球と水塊が激突すれば大打撃を与えられるという、まさにその時であった。
接続音を響かせると共に合体した、二本の斧。ミシャールがそれを振るうと、周囲に雷が撒き散らされる。程度としては小さなものだが、ユーフォリアは被害を最小限に抑えるべく、虹のエネルギーをぶつけて雷を相殺する。

そうこうしている内に、敵はユーフォリアとヴァルガスの攻撃を叩き割り、一気に接近してきていた。身構えるユーフォリア。相手はそのまま斬り掛かってくる……と見せ掛けて、地面へと斧を振り下ろす。
衝撃と同時に解き放たれた、膨大な紫電。至近距離から放たれたそれはまさしく脅威であり、何らかの対処をしなければ、大きな痛手を負うことは間違いないだろう。
かといって、退避は間に合わない。ミシャールはそれをさせないために、接近してからの攻撃を選択したのだろう。残された手段は防御のみ。ヴァルガスは属性からして、恐らく相性が悪い。
ならばとユーフォリアは、敢えて一歩前に進み出てから、相手の攻撃を遮断するべく詠唱を開始する。当然、自ら攻撃へ接近したことにより、彼女の身体は雷に焼かれた。
肉が焼け焦げるような臭いが、辺りに漂う。雷に揉まれるユーフォリアは歯を食いしばり、耐えていた。そんな状態が数秒間続いた後、二人の眼前に巨大な土壁が展開された。
壁によって攻撃は遮られ、無力化される……が、彼女が受けたダメージは計り知れない。軍服のあちこちが焼け、口からは血を流しているその姿は、見るからに痛々しい。

「随分と自らの力に自信があるようね。けれど、行き過ぎた自信は、時に破滅をもたらす」

されど、闘志は失われてなどいない。雷が収まったことを確認した彼女は、一気にミシャールの懐へと飛び込んでいく。力と力の激突に、長期戦は不要。早い段階を決着で付けるべきだ。
地面へと魔力を送り込むユーフォリア。すると、ミシャールの足元から、無数の蔦が出現し、それらが彼女に絡み付いて行動を阻害しようとする。
とはいえ、強度は自然に存在する蔦と何ら変わりはないため、相手の実力を持ってすれば、対処するのは造作も無いことだ。しかし、この攻撃の狙いは、敵の注意を引き付けることにある。
ミシャールがそちらに気を取られた頃合いを見計らって、ユーフォリアが展開したのは虹色に光り輝く12本の槍。両手を広げた彼女の前に現れたそれの切っ先は、全て敵へ向けられていた。
ユーフォリアが片手を前へ突き出すと同時に、槍は回転し、複雑な軌道を描きながら、一斉にミシャールへと襲い掛かる。まともに全てを受けようものなら、一瞬にして串刺しにされてしまうことだろう。
足元の蔦に対応しつつ、槍も避けなければならないという状況。当然、蔦で自由を奪われればその時点で罪だ。余裕を誇示する敵の足を掬うべく、ユーフォリアは思考を巡らせる。

>マスターヴァルキリー、ヴァルガス・スターン

2ヶ月前 No.1710

緋焔 @zero45 ★pB1cyTl1jZ_gaI

【狭間世界/血塗られた島/深淵の間/ヴァンレッド】

 影が示唆する、"神"の如き超常なりし存在。時空断裂も、狭間世界の顕現も、総てはかの存在が引き起こした事象であると、結論は行き着く。所詮は人類の歴史も、厚顔無恥を極めた愚劣なる"神"とやらによって、塵の様に弄ばれる宿命にある。
 神の決定には何人であろうと逆らう事は叶わない、故に平伏す以外の選択肢はない。それが"現実"であると、全ては無駄な抵抗で終わるのだ、と。未来への歩みを止め、諦めさせるかのように、影はそう言い放った。

「通用するか否か、そんなクソ下らない"現実"など知った事かァァァァッ!」

 放たれる銀狼の真空波を掻き消し、エネルギー塊に白銀の刃を余裕の回避で影は躱して見せる。雷速の移動を為せば、それを遥かに超える光速で躱していく動作。未だ、その表情を塗り替える事は能わない。其処へと叩き込むのは、真紅色に輝く魔剣の連撃。一閃、また一閃と放つ斬撃は、しかし拳によって打ち消され、無力化されて行く。神はおろか、影にすら届かない、無情な証明が今、完了しようとしていた。
 だが、現実を打ち砕く一手が遂に行き届く。紅蓮の焔を囮に、引き伸ばした魔剣による一撃が、影の身体へと突き刺さり、一刀両断を為したのである。それでも尚、死に至らないのは、人外の為せる業か。大きく狼狽しながらも、膝を付いたまま、影は此方を見据えてくる。
 そして、次の一瞬に放たれた技が、間近となった決着を予感させる。森羅万象を漆黒に染める闇の力、森羅万象の具現たる虹の精霊。覚悟を試す最後の試練として此処に顕現したそれらを前にして、究極の銀狼は更なる"超覚醒"を巻き起こし、"超究極"の領域へと至る。人の意志を極限まで昂らせる漆黒の雷霆もまた、限界を払拭する覚醒を積み重ね、神の時代に引導を渡さんとする。

「そう言う貴様らは、"その程度"の様だなァァァァッ!」

 身を襲う激痛をも引き離す、一点特化の思考。ただ"敵"を打ち砕く、たったそれだけでありながらも、極めて剛き鋼の意志。枷を外し、限界を超える勢いで力を引き出した魔龍は、闇を跳ね除け、万物を司る虹すらも超越する真紅をその身に纏う。至る所から吹き出る鮮血は、死へと近づく身体の悲痛な叫び声。
 龍の両足は地を蹴る。刹那、爆心地の如くに大きく抉れる床。真紅の輝きが、轟音を響かせながら、一直線に影へと向かってゆく。そして、肉薄と同時に放つは、ただ一度の拳撃。
 そう、ただ"一度"。全身全霊を込めて放つ、究極の一撃に"二度目"はいらない。なぜならこれが、最も速く、最も剛く、最も重いのだから。

>中世の影 アルティメット・イアン イスマリア・ザルヴァトール

2ヶ月前 No.1711

水刃 @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【狭間世界/大雪原/ツバキ・オオトリ】

万象を呑み込まんと猛烈な勢いで剣士へ迫る激流。その激しさたるや、如何に歴戦の猛者であろうと、真っ向から受け止めるのは不可能。であれば自然、相対した者は迎撃に足る迎撃に出ねばならない。だが人数不利な状況で、一つに対しそれだけの意識(リソース)を割り振らねばならないと言うのは戦場に於いて致命的。故に、この悪条件の中、図らずも取れた二人の連携への対処で必然的に剣士の底力を推して知る事が出来るだろう。

――そして、剣士は氷の剣を"投げた"。文字通り、自身の得物の片割れを、あろうことか荒波目掛けて投擲したのだ。
剣は重力に従って放物線を描いて落下し、積雪に刃を突き立て深々と刺さる。そして次の瞬間、一際強い冷気と吹雪が"それ"を中心に吹き荒れた。
"それ"は迫り来る激流を瞬時に凍結させる。大波を写真に収め、一瞬を切り取ったかの様に、かの激流は瞬く間にその動きを止めた。
積雪に突き刺さった剣を引き抜き構える"それ"は、確かに敵対者としてツバキを認識し、静かに彼女を見つめていた。

「想定外だな」

眉一つ動かさず呟く。有利だった筈の戦況は、一瞬にして五分へと差を埋められる。
肌を刺す様な冷気は、近付かせるだけで体力を消耗する。手足の先が冷えれば技は精彩を欠き、致命的な隙を作り出す。そうでなくとも、体温を維持出来る許容範囲外の寒さと言うのは、ただそれだけで命を容易く奪うものだ。
余人ならば"それ"が放つ異様な冷気を警戒する筈だ。体力を奪わせないために近付かせまいと、遠巻きに戦うべきと思案するだろう。それが正答であるだろうし、そのための技術が無い者であるなら一度味方であるもう一人の女の元へ寄るべきだろう。――だが、彼女は違った。

「それだけだ」

退路を断つ様に放たれた氷針には目もくれず、"自から氷像目掛けて駆け出した"。振るわれる氷刃の一薙ぎ。それを、足先から水流を噴射する事で勢い良く跳躍し、刃の真上すれすれを掠めるように避けて見せる。氷像の頭上を、さながら滑氷の演技が如く舞う。
中空で身を翻し、左足だけを接雪させ氷像の背後に着地する。足首まで雪に埋め、それを芯に体を捻りぐるりと回転する。高々と右足を振り上げると、無防備な氷像の背目掛けて回転の勢いを乗せて大槌さながらに全力で踵から蹴り下ろす。


恐れは無い。悦びも無い。無私なる者へ手向ける感傷は、その女には欠片も無い。感じるのは目の前にいた獲物を遠ざけられた煩わしさと、彼の獲物が剥く牙の鋭さへの感心だけだ。

>>グランドナイト、ソレミア

2ヶ月前 No.1712

忠犬 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_o1k

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟/ロコ】

これは、アンナローズであってアンナローズではない。混乱する頭の中、ロコは必死にそう結論付ける。可能性世界、というやつであったか。未来からやって来た者は、歴史の改変についての話をしていた。
仮に今の自分達が、その上に生まれた産物であるとしたら……それが成される前の正しい歴史や、別の選択肢によって生まれていたかも知れない他の世界であってあるはずだ。
彼女は、そうした世界から紛れ込んでしまったのだろう。心を落ち着かせるべく、あれは自分の主人ではないのだと己に言い聞かせながら、ロコは相手の言葉に耳を傾ける。
アンナローズは、否、ファントムメサイアはロコの名前を知っているような素振りを見せるも、それを呼ぶことはなかった。それどころか、魔族を穢らわしい存在であるとまで言い切ってみせた。
それを聞いたロコは驚愕の表情を浮かべると共に、心の奥底で悲しみを覚える。目の前の彼女が生きていた世界では、やはり魔族は蔑まれて当然の存在であるのかと。
ああ、分かっている。中世においてもそうだった。ロコは、持ち前の明るさで、他人からのそうした視線を跳ね除けてきたに過ぎない。魔族は人類にとって、ずっと恐怖の対象であった。
だが、未来ではきっとそうではなくなっていることだろう。アンナローズの手によって、人類と魔族の間には和平がもたらされた。根付いてしまった感情をすぐに変えるのは難しいが、それは長い時間が解決してくれるはず。
ならば、自分のすべきことは何なのだろうか。ファントムメサイアにもそうした感情が芽生える可能性があるということに期待して、戦わずしてこの場を立ち去ることなのか?
いや、よく考えるのだ。ここは古代でも、中世でも、未来でもない狭間の世界。そこに呼び出された彼女に、常識が通用するはずがない。それを証明するかの如く、不意を突くかのように放たれる攻撃。

穏便に事を済ますと言っておきながら、ファントムメサイアはこちらが気を抜くであろう瞬間を狙ってきた。即座に石の要塞を作り出し、飛来する魔力波を防ぐロコ。
これで、覚悟は決まった。奴は自分の知るアンナローズとは、似て非なる者。故に、容赦の必要は微塵もない。ゲイルと清太郎も、反撃へと移った。自分も、行動を起こすべき時だろう。
とはいえ、どのように立ち回るのが正解なのだろうか。はっきりいって、自分の実力などたかが知れている。中級魔族程度の力では、敵に傷を負わせることすらも苦労するだろう。
無駄になりかねないことで時間を浪費するのであれば、確実に力になれる方法を選択するべき。ロコは自らの実力を弁え、攻撃に打って出た二人のサポートに徹することを選ぶ。

「お二人は私がお守りするのであります!」

彼女はそう叫ぶと、自分を含めた三人の前方に、淡く輝く防御壁を展開する。薄くとも、金剛石の如き堅さを誇る結界。それは、如何なる攻撃であろうとも受け止める絶対の壁。
これによって、ゲイルと清太郎は防御に時間を割くことなく、戦いに集中することが出来る。問題は、ロコが中級魔族であるが故に、その魔力で敵の攻撃を抑えきれるかどうかという点。
ファントムメサイアは、一人で魔帝城を血の海に変えてしまうような化物だ。生半可な心構えでは、確実に痛手を負わされることになる。力強い宣言をしたロコであったが、その内心は、緊張と重圧にまみれていた。

>ファントムメサイア、ゲイル・ベネルド、橋川清太郎

2ヶ月前 No.1713

エクセラ・ノア・アウラ @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=66hUEMgB70

『狭間世界/収容施設/エクセラ・ノア・アウラ』

空中に時空の穴が出来てからどれ程の時間が経ったのかは分からない。
エクセラが騒ぎを聞きつけて行動に移るが、彼女には飛行能力を持たない為、輸送機に乗り狭間世界に周囲より遅れる形で突入する。
突入に成功したエクセラはそのまま狭間世界を走り、駆けていく。
走っていくと、収容施設の様な場所にたどり着いた。
エクセラが以前任務で時間遡行装置を使って古代の時代に向かった時に見たものと、
今現在眼に映るものは何処と無くあの時代で使われていたものに似ている気がする。
あの時は観光気分とかではなく、現地に到着してすぐに戦闘に行った為、施設はしっかりとは見ていない。
そして今エクセラが見ているものは幻影の様で、彼女が触ろうとしてみるが触れることができなかった。
幻影とはいえ、数え切れない程の人間達が詰め込まれていたおり、離れた場所には見張りの者の姿もあった。
恐らくあの者達は以前古代の時代で二人の味方とエクセラを合わせて三人と戦った女帝がそうする様に命じたものであろう。
エクセラ自身も思い当たるものがあるのかそれとも別の何かか、彼女はどこか心苦しそうであった。手に少しばかり力が入る。

「(心:同じ事は繰り返させない。悲しむ者を出さないために)」

エクセラはそう心に決め、収容施設を進んで行こうとした。

>>ALL

1ヶ月前 No.1714

鋼鉄 @sable ★Nu0sy7yXcR_keJ

【狭間世界/幾何学都市/中央区/ヴァルガス・スターン】

 自慢の得物を称賛される喜びに、ミシャールの口角が吊り上がる。柔和な笑みなどではなく、好戦的な感情に満ちたそれは、覇者にのみ許された表情と言っていい。非常に悔しいが、我々は押されっぱなしだ。単純な力の面でも、技量に於いても、遥か上を行かれている。
 せめて何か一つでも、彼女を上回るステータスがあればいいのだが……ここはユーフォリアの考える策に合わせる他ない。属性的な相性の不利を抱えた自分が出張っては、連携の崩壊はおろか、最悪の場合敗北の原因と成り得る。現状には歯痒いものを感じずにはいられないが、ここは我慢だ。
 そうして手をこまねいている内に、頼みのユーフォリアが手痛い一撃を喰らってしまった。先程自分が受けた火傷とは比べ物にならない重傷。立ち込める匂いは、紛れもなく肉が焼き焦がされる時のそれである。武器を破壊し流れを手繰り寄せる作戦も、斧と斧を合体させるという奇策の前に潰えてしまった。
 そんな痛打の数々にも怯まず、築き上げるは大地の要塞。あらゆる属性を網羅しているというユーフォリアの優位性が、目に見える形で現れたと言ってよかろう。水属性の自分では手に余る電撃も、全て阻まれて消滅した。これ以上彼女の手を煩わせるわけにはいかない。年下の女性の世話になりっ放しなど、鋼鉄の名が廃るというものだ。故に、肉薄という禁忌を敢えて犯す。

「ならばこれが……ヴァルガス・スターンとその名刀!」

 ミシャールのセリフに呼応するかの如く、名乗りを上げて懐へ飛び込む。名刀とは名ばかり、連盟支給のレーザーソードに過ぎない。とはいえ未来の兵器、性能は十分なはず。本当の問題は"今この状況下で接近戦を挑んでいる"という点に他ならない。ミシャールに肉薄する危険性はもちろんのこと、ユーフォリアが放った虹の槍に被弾してしまう可能性すらある。
 だが、今を逃せば二度とチャンスは来ない。そう強く確信しているからこそ、危険を承知の上で動く。蔓とヴァルガスへの対処を同時にこなすとなると、より地上の脅威への対処に気を取られやすくなるはずだ。ユーフォリアの目論見が上手くいく可能性を高められる。決意と共に踏み込むや、プラズマの光刃を何度も振るって斬りつける。加えて超高出力の水流を幾本も差し向け、蔓の隊列に加勢させることで対処を困難なものとし、拘束を後押しする。
 失敗、即ち死。成功しても生還の保証はない。それでも構わない。結末を知らなければ魔道に堕ちていたこの身など、世界の平穏のためなら喜んで捧げよう。

>>マスターヴァルキリー、ユーフォリア・インテグラーレ

1ヶ月前 No.1715

中世の影 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_o1k

【狭間世界/血塗られた島/深淵の間/中世の影】

神が人に与えし試練。それぞれの時代で彼らが犯してきた罪を象徴する影。"大層なご都合主義"は、そうすることによって、人類が己の罪を認識した上で、消し去られた正史や可能性世界の重みを背負う覚悟があるかを試そうとした。
古代の影、そして未来の影は、まさしくその役割を果たしたといえるだろう。両者と対峙した者達は、僅かな心の乱れこそあれど、影を納得させる形で自らの覚悟を示してみせた。
しかし、中世の影は、もはやそのような展開など望めない戦いを繰り広げている。挑戦者達が選んだのは、彼女の話を聞き入れることではなく、徹底的に否定し、叩き潰すことであったからだ。
そうなった以上、本来であれば中世の影が負けることはないはずであったのだが、実際はどうだろう。現在、戦闘を有利に進めているのは挑戦者側であり、彼女は劣勢に立たされている。
何故、このようなことが起きているのかは定かでないが……一つだけ確実なのは、想定とは異なる形ではあれど、三人の抱く覚悟が、影の身にも伝わっているということだろう。だからこそ、中世の影は狼狽えつつも、方針を変更したのである。

全てを塗りたくる漆黒と、万物を象徴する虹の精霊が迫り来る中、まずはじめに動いたのは銀狼だ。彼女はこれだけの猛威を前に、自らそこへ突っ込むという行動に出た。
当然無事では済まされず、イアンは瞬く間に無残な姿となってしまうが、死には至らない。深淵の間を包み込んだ強烈な光と共に、銀狼は覚醒の時を迎えたのである。
究極の一番星がなす、白銀の暴風に、中世の影は為す術もなく取り込まれ、その身体を浮かせる。激しく地面に叩きつけられてもなお、彼女は立ち上がるが、その時にはもう、次の攻撃が迫っていた。

穴の空いた天井、その彼方にある空から降り注ぐ隕石。無数に飛来するそれは、全てが一点……中世の影の元へ結集する。イスマリアが呼び寄せた星の雨が、中世の影を焼く。
逃げ場など、ないも同然であった。膨大な質量のそれを身体一つで受け止めた中世の影は膝を付き、肩で大きく息をしている。傷は相変わらず一つもないが、明らかに体力は減衰し始めていた。

そこに追い打ちを掛けるかの如く、ヴァンレッドが迫る。高速で敵へと肉薄した彼が放ったのは、飾り気のない、たった一撃の拳。だからこそそれは重く、強い。
一切の無駄がない打撃に、中世の影の肉体はまるで紙であるかのように浮かび上がり、そのまま猛烈な勢いで後方の壁へと叩き付けられた。衝撃で城が揺れ、瓦礫が落ちる。
もはや立ち上がる力すらも残っていないのか、地面に倒れ伏したまま動かない中世の影。あれだけの攻撃を受けても、その身体に傷が刻まれることはなかったが……代わりに一部が、粒子となって消滅し始める。

「……そうか。試すまでもなかった、ということか。お前達は、疾うの昔に―――」

そこまで言ったところで、彼女の身体は霧散し、塵と消えた。今この瞬間、三時代全てを象徴する影が、消滅を迎える。
後に控えるのは、人類を遥かなる上空より見下す"神"、ただ一人。人類の歴史は、まだ終わらない。彼らが覚悟を持ち続ける限り、これからも続いていく。―――最後に残った最大の試練を、乗り越えられればの話だが。

>>中世の影@Chrono Crisis オリジナル 対話を放棄した三人がはじめから持っていた"覚悟"の力に敗北、消滅


>アルティメット・イアン、イスマリア・ザルヴァトール、ヴァンレッド
【大変お待たせしてしまいました。お相手ありがとうございました!】

1ヶ月前 No.1716

Another Messiah @zero45 ★pB1cyTl1jZ_gaI

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟/ファントムメサイア】

 否定する理由も、否定される理由もない。互いに刃を収めて衝突を避け、踵を返す事こそ最善の選択である。その忠告が意味している物、それは断じて相手を慮らんとする意志ではない。
 可能な限り、手っ取り早く相手を始末したいが為と言う、邪悪なる意志の表れだ。穏便に事を済ませられると結論付けて、一瞬でも気を緩めようとした愚か者を、嘲笑いながら死を授けてやれる瞬間を彼女は待ち望んでいる。
 果たして、目の前の三者が見せる反応はどうか。彼女の思惑通りに無抵抗の隙を曝け出すか、或いは口車に乗せられずに開戦へと踏み切って来るのか。真っ先にその答えを示したのは、若き疾風の騎士であった。

「……身の程知らずめが。その程度の攻撃、見切れないとでも思ったのか?」

 鮮血を思わせる真紅の魔剣を右手に顕現させ、薙ぎ払うと共に放たれる斬撃波。抵抗する意志が無い事を前提としての不意打ち故、威力は極めて抑え気味であり、石の要塞に防がれた事に何ら疑問を抱く事はない。其処へ間を置かずして、光を置き去りにする超神速の絶技が迫り来る。傍らを過ぎ去る刹那に振り抜かれる細剣。それは、疾風の極致を具現する一撃。
 されど、その領域を過日に踏破し終えた魔人にとって脅威には成り得ず。嘲る様にして笑みを浮かべながら、同等の速さに合わせる様にして魔剣を振り払い、迫る薄刃の軌道を逸らす。間髪置かずに続く、噴射炎による推進を伴いながらの剣閃。だが、袈裟の軌道が始まらんとするその刹那、魔力を帯びた左手で刃の動きを掴んで抑え、難なく左方へと移動して攻撃を退ける。

「結界か……だが、手を煩う程ではない。打ち砕かずとも、すり抜ければ良いだけの話だ」

 攻勢に加わらず、支援に徹する事を選んだ魔族の少女は、其々の前方に淡い輝きを放つ結界を展開した。強度を試した訳ではないが、破壊するには少々手を煩う代物である事は窺える。だが、それも魔人の前では無駄でしかない。
 全身に纏い始める淡き輝き。それは、奇しくも結界と完全に同一であり――刹那、一瞬の煌きだけを残して彼女の眼前へと躍り出る魔人。右手に握る真紅の魔剣が高く掲げられ、振り下ろされ……結界と接触を果たす。本来であれば、其処から始まるのは衝突、そして異なる力同士の攻防。脅威を結界の内に入れまいとして、激しく火花を散らすのが当然の成り行き。
 しかし、刃はいとも容易く結界を越え、少女の身体を切り裂くべくして軌道を描き出す。この時、彼女は既にその理由に気付いている事だろう。結界と同一の淡き輝きが、魔剣の刀身にも帯びている光景に。結界を維持している魔力との波長を合わせる事で、突破してきたという事実に。

「まずはお前から死をくれてやる……だが、安心しろ。すぐにお前の主人も後を追わせてやる、特別にな」

 一閃。それを合図に続くは五つの剣閃。結界を擦り抜けて放たれる斬撃は只管に速く、そしてほぼ同時と言っても過言ではない程の間隔で行われる。剣閃が三つ煌いた時、魔人は死を確信する。残る三つは、間違いを避ける為の念押しだ。
 六度目の斬撃を放ち終えるや否や、少女へと背を向ける。推測で彼女の生命が途切れるであろう寸前を見計らってから、これからの行動を宣言して。それから、緩慢とした歩調で残る二人の方へと歩いて行きながら、その視線を向ける。とうに不要と断じたのか、後方に対する警戒はせずに。

>ゲイル・ベネルド 橋川清太郎 ロコ

1ヶ月前 No.1717

全盛期 @kyouzin ★XC6leNwSoH_o1k

【狭間世界/幾何学都市/中央区/マスターヴァルキリー】

凄まじい電力を蓄えた大斧が地面に叩き付けられた雷が視界を染める。
幾ら相手がそれなり以上の実力を持っていると言っても、これを受けてはただでは済まないだろう。 少なくとも、この時代のミシャールはまさに負け知らずの無敵の存在であるために、その経験上これをどうこうできる者など世界に存在しない、そんな考えすらもあった。
その予想は、ある意味で正しいという事だろう、雷が視界から消える頃には、そこには服は焼け、皮膚を見れば受けたダメージの甚大さは明白だ。
それでも、その様子から、いや「死んでいない」時点で、ミシャールからすれば、直前に何らかの防御手段を使ったのは透けていた、今までこの攻撃を行えば、無防御であれば確実に蒸発していたと言う知識もそうではあるが、それ以上に後ろのヴァルガスがほぼダメージを受けていないのが大きな判断材料となっていた。

さて、そんな痛々しい姿であるが、それでもユーフォリアは戦意を失っていないらしく、挑発めいた言葉をこちらに掛けて来る。
ミシャールの眼球がぎょろりとユーフォリアの顔を見る、そしてミシャールは顔を抑えゲラゲラと笑う。

「当然だろうがよ、アタシの居た場所にはお前らの足元にも満たないような雑魚共しか居ないんだから、この程度の自信持って当たり前なのさ。 破滅ねえ、アタシはまだ追い詰められたなんざ一度も思っちゃあいないもんでね!!」

ユーフォリアの言葉に対して、ミシャールはそんな風に返答した。
一見慢心にまみれた発言に見れるが、それは事実でもある、彼女の時代には確かに、他に目立った能力者という者が居らず、ほとんど彼女がただ無双しているような状態であったため、このような性格が形成されるのは当然の事なのだ。
そして続けざまに放つ強気な言葉、そして再び撒き散らされる雷電。

だが、そこに飛び込んでくる者がいる、先ほどユーフォリアに守られたヴァルガスだ。

「はんっ! 良いじゃあないか、そういうノリは嫌いじゃあないよ、このミシャール・ルクセンが正面からぶっ潰してやる!!」

彼は何度も光剣をこちらに向けて振るってくる。
だが、ただの連続攻撃でどうにかなるほどミシャールと言う人物は弱くは無い、大斧と言う取り回しに難がある武器でありながら、長物と言う特徴を使って、柄の部分すらも受けに使って、何度も相手の攻撃を弾き、そして時には手に仕込んだ毒針を至近距離から発射して攻撃すらも試みた。

そんな斬りあいをしていれば、ユーフォリア側が無数のツタを展開して、こちらに絡みつかせようとし、ヴァルガスもまた、それを支援するように水による攻撃を仕掛ける。

「チィッ、小賢しい……!! こんなも――しまったッ!!」

その拘束を狙った攻撃に、ミシャールは容易く対処するが……ある一定の所で、一気に動きが鈍った。
ちょうどのその瞬間、水流の一つが直撃したのだ。

そして力が弱った所で蔦が絡みつくが、最初は簡単に振り払われるも、そこにさらに水流が殺到して彼女の力を奪い、結果として蔦に自由を奪われ、斧を落とすという醜態を晒すことになった。

まさに、相手からすれば千載一隅の好機。
既に彼女の腕や足はまともに使える物には見えず、武器も手元から離れ、詰みにしか見えなかった。 だから、ユーフォリアが放った槍は彼女に突き刺さり、勝負が決まる。

ように思えたその時。

「なんて思ったかこの馬鹿共がッ! こういう手を使わせたのは褒めてやるが、所詮そこまでだ!!」

彼女が触れても居ない大斧から電流が撒き散らされる、とは言え、それは普通の遠隔操作機能だろう。
撒き散らされた電流は、引き分けを狙うように敵に向かう……のではなく、まさに虹の槍が向かうミシャールの方へだった。

勿論、それは攻撃だ、ミシャールの体に電流が直撃し、小さくないダメージが彼女に入る。
だが……当然、かなり高出力な電気を流し込んだために、彼女を縛っていた蔦は、その効力を失った。

見える皮膚は焼け、それこそユーフォリア、あるいはそれ以上に酷い状態にありながらも、向かってくる12本の槍をあの大斧を使う事も無く、仕込んでいた鉤爪と言った暗器で往なしてみせる、だが、それも完全な物ではなく、一部は確かに彼女の身を裂いていた。

それでも彼女は動き続ける、そして、一通り捌き終われば、斧を拾う訳でもなく、超重量の武器を捨てて身軽になったのを生かして一気に敵に接近し、そして。

「吹っ飛びなあァッ!!」

服から撒き散らされるのは所謂手榴弾、彼女すらも爆風の範囲内にいるというのに、ミシャールは一切の躊躇無く、ヴァルガスとユーフォリアを巻き込むように大量の手榴弾を地面に落とし、そして、そのまま地面を蹴って離脱した。
勿論、この間相手も離脱する時間は少しだけある、しかし、それすらも彼女は許さず、二人の逃げるルートを予測して、クナイや毒針と言った投擲武器を使って敵を爆発の範囲から逃がさない。

そう、彼女は大斧など無くても、十分な戦闘能力を発揮できる身体能力と狡猾さがあった、"マスターヴァルキリー"など大層な名ではなく、彼女は手段を選ばず敵を抹殺する"狂戦士"なのだ。

>ユーフォリア ヴァルガス


【次辺りで終わらせるので、トドメの攻撃、あるいは生かすなら拘束攻撃なりどうぞ!!】

1ヶ月前 No.1718

亡国の末裔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_o1k

【狭間世界/大雪原/ソレミア・ラガルデール】

あくまで危機に陥っているのはこの世界である以上、ソレミアはグランドナイトの住まう世界に影響が及ぶことはないと判断を下したのだが……彼女はどうやら、この状況を作り出した者を信頼していないらしい。
無理もないだろう。あちらには、あちらの生活があったはず。それをいきなりぶち壊され、あり得たかも知れない理想の未来の形としての役割を求められたのだから、疑心暗鬼にもなる。
それを止めるのは、自分達の役目だ。巻き込まれただけの彼女に、そこまでの重荷を背負わせる訳にはいかない。だからこそソレミアは、この戦いに勝たなければいけないと強く認識する。

水流と大量の武具による攻撃。異なる性質を持つ二つの攻撃は、的確に敵を追い詰めていくかに思われた。しかし相手はまだ余裕だと言わんばかりに、アイスソードを投擲してみせた。
旗から見ればそれは、自分から武器を一つ捨てるという自殺行為だ。だが、あの剣の形状、そして氷という属性……どこかで見たことがあるような既視感に、ソレミアは不安を抱く。
そして次の瞬間、それは現実のものとなった。突如として吹き荒れる、強烈な吹雪。その中に佇む人影を見たところで、ソレミアは今まで抱き続けていた既視感の正体を知る。
あれは……間違いない。ギラードだ。あの剣は、彼の持ち物であったのだろう。徐々に劣勢に追い込まれつつある中、グランドナイトはそれを召喚することで、形勢の逆転を図ったのだ。

「分断……私も打って出なければならないようね」

ギラードはツバキを狙った。よって、ソレミアを狙って接近してきたのはグランドナイトだ。彼女はフレイムタンを構え、炎を撒き散らしながら斬り掛かってくる。
それ自体は対処の難しい攻撃ではないのだが、荒れ狂う炎がとにかく厄介だ。これがあることによって、たとえ防御したとしても、その身を焼かれることになってしまう。
同じ結果が待ち受けているならば、とソレミアが選んだのは、敢えて前進することであった。当然、負う傷はかなりのものとなるが、相手の虚を突き、奇襲を仕掛けることが出来る。
両手に作り出された、白金……つまりはプラチナの双剣。黄金を超える輝きを放つそれが、衝撃波を伴って襲い掛かる。防御を捨て、攻撃のみを考えた一撃。逃しはしない、確実に相手の体力を削り取るべく、亡国の末裔が迫る。

>グランドナイト、ツバキ・オオトリ

1ヶ月前 No.1719

疾風 @sable ★Nu0sy7yXcR_keJ

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟/ゲイル・べネルド】

 驚愕。とにかくその連続だった。『ミストラルフィニッシュ』は神速の極致。抵抗はおろか反応すら許さない超神速の一閃。不意打ち気味にこの絶技が炸裂したとき、言うまでもなく魔人の死を確信していた。細剣が肉を裂く感触を、深緑の風に舞う鮮血を、当然のことと捉えていた。
 慢心があったわけではない。シチュエーション、技の完成度、そして何より心構え。全てが完璧だったはず。その上でいとも容易く凌がれたとなれば――自ずと答えは見えてくる。

 単純に、魔人が"上を"いっていただけだ。

 鍛錬を重ねて手にした超神速も。魔道の剣士に引導を渡した絶技も。全て、魔人にとっては既知の領域。通過点に過ぎない。この瞬間、己にとっての信条たる速攻戦術は破綻した。

「くそっ……」

 続く青年の攻撃も通らない。噴炎と機器の後押しを受けた剣閃は、生半可な防御など意味を成さない、一撃必殺の重撃。『ミストラルフィニッシュ』と正反対の性質を持つ故、淡い期待を抱いていたのだが……やはり魔人が一枚上手であった。
 速度に重きを置けば動きを見切られ、一撃の破壊力を重視すれば、彼我の如何ともしがたい力量差を思い知ることになる。ロコが展開する結界に至っては、防御はおろか競り合いすらなしに突破を許していた。
 拍子抜けしてしまうような展開。だがロコに落ち度があったわけではない。魔人の剣閃に宿るは、結界と同一の淡い輝き。これが無力化の種明かしだ。
 張り巡らされた攻防の全てを一蹴するや、魔人はこちらへ緩慢とした足取りで歩み寄る。追撃の手を打つこともなければ、背後のロコからの反撃を警戒することもない。

「命取りになるぞ」

 圧倒的な力に緩み切った佇まい。他でもない油断がヤツを滅ぼす。そう信じることで、勝利への希望を棄てない。魔人が後方への注意を怠っていることに気付くや、次なる手を打つ。
 速攻が不可能と分かったのなら、直ちにもう一つの策に切り替える。即ち、数押しだ。防御の手薄な背後に魔法陣を複数展開し、無数の風属性弾で以て攻撃する。
 さらに自身も果敢に飛び込み、限界速度を以て幾度も斬りつける。自らの放った弾に被弾する危険性も孕んでいるが、今はなりふり構ってなどいられない。
 勝利の可能性が潰えてしまう前に、全力を尽くす他に道はない。共に戦ってくれた連盟のため。これから手を取り合って生きる魔族のため。そして何より、一生を捧げると誓った王国のために。

>>ファントムメサイア、橋川清太郎、ロコ

1ヶ月前 No.1720

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟/橋川 清太郎】

(……! 僕達を援護してくれるのか)

少女へ肉薄する途中、突如として出現した魔力反応に少し面食らう。どうやらロコが防護フィールドを作り出したようだ。これは心強い、如何にSwordPackが堅牢といえど限界はある、スーツが破壊されれば自分の戦闘力はほぼ皆無なのだ。その点において彼女の支援は有り難かった。

「ば、馬鹿な!?」

なんと少女は魔力を纏わせただけの素手で受け止めてみせた。てっきり回避や防御魔法やらで対処すると思い込んでいたため、呆気に取られてしまう。
次の瞬間、彼女はロコの目の前に神速で移動し、血液を思わせる色彩の剣で魔導障壁の突破を試みた。
ここでまたも驚くべき事態が起こる。障壁は防御ファクターとしての機能を果たさず、まるで存在しないかのように剣の侵入を許してしまう。一体どういうことか。答えはすぐにHUDが示してくれた、少女側の魔力素子の結合パターンがロコのそれと完全に同一なのだ。成る程それならば魔力素子同士を同調・中和させ、相互干渉による接触阻害を防ぐことができるだろう。

(って関心してる場合じゃない!)

今は奴を倒すことに集中しなければ。ロコへ注意が向いている間に少しでも何らかの準備をしておくべきだ。
手に持っているMirageAttackを格納、MirageBlowへ持ちかえる。比較的大振りなこれなら当たり負けの恐れは少なくなるが、同時に見切られ易くなる可能性も孕んでいる。しかし考え込む時間はない、多少のリスクは無視してでも攻勢に出るべきだ。
ナノマシンで制御された液体金属が刀身を形作る。その形状は、巨剣。長大かつ肉厚なそれは現行型機動兵器の装甲すら斬り潰せるだろう。
ゲイルの方も再び攻撃を行う。今度は風魔法……変性空気圧弾を交えての猛攻である。その挙動に若干焦りの色が見えるが、それも無理からぬことか。寧ろいち早く次の手を打った判断力の高さを称賛すべきだ。
空気弾は少女の後方から、彼自身は目にも止まらぬ連続斬撃で攻め立てる。ならば、

「僕は上から……っ」

言うが早いか、パワーに任せて高く跳びあがる。洞窟の天井に衝突しないようバーニアで微調整し、少女に向かって降下を開始。圧倒的な位置エネルギーの恩恵はそのままに、巨剣となったMirageBlowを降り下ろす。
今度はマッスルモーターだけではない、落下の勢いと質量を存分に乗せた剛撃。先程と同じようなやり方で防げば、たちまち腕がひしゃげるだろう。

>>周辺all

1ヶ月前 No.1721

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_o1k

【狭間世界/幾何学都市/中央区/ユーフォリア・インテグラーレ】

ユーフォリアの言葉に対するミシャールの返答は、まさしく傲慢を具現化したと称するのが相応しいものであった。彼女は、自分のいた場所には雑魚しかいないと語り、己の態度をあくまで正当化してみせる。
とはいえ、二人掛かりでも挑んでも、ここまで苦戦を強いられる相手だ。追いつめられたことなどないというのも、あながち間違いではないのかも知れない。
それでも、ユーフォリア達は勝利を掴み取る必要がある。ここで敗れれば、世界は正史の逆襲によって塗り替えられ、今この時を生きる全ての存在が消滅することとなってしまうからだ。
かといって、余計な時空改変を起こさないためにも、この場でミシャールを殺してはならない。何と、難しい条件なのだろう。思わず悪態をつきたくなるほど、制限が多すぎる。
如何にしてあの狂戦士を無力化するかをユーフォリアが思案していると、先にヴァルガスが動く。幾度も振るわれる光の剣、そして間髪入れずに飛来する高圧の水。
更に、足元からは彼女の動きを封じるべく、蔦が絡み付く。完璧と言っても過言ではない連携。連撃の果て、遂にミシャールの手から、斧が離れ落ちていく。
このまま行けば、虹の槍が敵の身体を貫くはず。そこまですれば、さすがのミシャールとあれども戦闘続行は不可能だろう。ユーフォリアとヴァルガスの元へ、勝利が転がり込む。家に思われた、その時―――

そこでミシャールは、捨て身の戦法に出た。遠隔操作で操られた斧から撒き散らされる電流。それは二人に向けてではなく、発動者である彼女自身へと向けられていた。
狙いは考えずとも分かる。敢えて自らの身体に攻撃を当てることによって、脱出を図ろうとしているのだろう。高圧の雷に焼かれた蔦は、瞬く間に力を失い、地面に落ちる。
自由を得たミシャールは、隠し持っていた鉤爪を用いて、迫り来る虹の槍を撃ち落としていく。全てを捌き切れた訳ではなかったが、大幅にダメージを軽減することには成功していた。
あのような行動に出た以上、当然相手も無傷では済んでおらず、かなりの重傷を負っているようであるが、戦意は衰えていない。あくまでミシャールは、こちらを殺すつもりで挑み掛かってくる。
身軽となったミシャールは急接近から、ユーフォリア達へと向けて手榴弾を投げ付けてくる。この距離で起爆すれば彼女も巻き込まれるのは確実だが、もはや形振り構わずといったところか。
離脱のための時間が残されていない訳ではない。されど、そのための道はミシャールが投擲する暗器によって塞がれている。安全を優先のであれば、まずは防御に徹するべき状況。
しかし、そのようなことをしていては、ミシャールに立ち直る余裕を与えてしまう。戦闘も終盤に差し掛かっているこの局面、僅かなチャンスであろうとも、無駄にすることは出来ない。
ユーフォリアは大量の手榴弾を前に突撃し、一気に敵に肉薄する。爆風によって、更に多くの傷が彼女の身体に刻まれ、口からも血が滴り落ちている。限界は近い。
もし、この一撃でミシャールを止められなければ、敗北は決定的なものとなるだろう。ユーフォリアは身体の中に残存する余力を結集し、膨大な魔力をその手に蓄積させていく。

「私達には、掛け替えのない、この時空を護る使命がある。それを果たす時まで、倒れる訳にはいかない」

刹那、溢れ出す光。暖かくも厳しい虹の光が、この場にあるもの全てを包み込んでいく。それは、ミシャールへの攻撃を行うと同時に、ヴァルガスを護る盾としても機能していた。
本来は、悪しき存在を完全に滅するための一撃であるが、今回は事情が違う。ユーフォリアは"敵であって敵でない"ミシャールを無力化という形で倒すため、殺意を込めずにそれを解き放った。
たとえ為す術もなくこの光の中に呑み込まれることになったとしても、相手が死ぬことはない。それでも、甚大なダメージを受けるのは間違いなく、成功すれば確実に戦闘不能へ追い込むことが出来る。
攻撃を終えると同時に、悍ましい量の血を吐き出し、片手と片膝を地面につくユーフォリア。もう一方の手は、自らの心臓がある部分に添えられている。呼吸は激しく乱れており、今意識を保っていることが不思議なくらいだ。
ミシャールを倒し切れなければ、詰むのはこちら。己の全身全霊を懸けた虹色の光が、無機質な狭間世界を極彩色に染め上げる。

>マスターヴァルキリー、ヴァルガス・スターン
【大変遅くなりました。最後の攻撃は、あくまで無力化を狙ったものです】

1ヶ月前 No.1722

鋼鉄 @sable ★wJJGLujVxp_keJ

【狭間世界/幾何学都市/中央区/ヴァルガス・スターン】

 狂戦士。それこそが若き戦乙女に相応しい肩書である。戦場を駆ける彼女は、間違いなく狂っていた。溺れていた。そうでなくては冷静さを保ってなどいられない。槍に身体を貫かれ、悲鳴をあげない者が他にいるだろうか。武器を失い、酷く傷ついた四肢を引きずってなお、底知れぬ恐怖と覇気を感じさせる威容。ミシャール・ルクセンの何たるか、口を開かずとも雄弁に語ってくれる。
 既に常識を覆すような攻め手の数々を味わったからこそ、規模こそ不明なれど"最後っ屁"があるだろうという読みがあった。その甲斐あって放出された電流には反応できたのだが――その用途までは図ることが出来なかった。
 あろうことか眼前のミシャールに電撃が命中し、心身共に強い衝撃を感じて後ずさる。奇行の謎はすぐに明かされた。肉を切らせて骨を断つとはこのことか、甚大なダメージと引き換えに絡みつく蔓は全て焼け落ちた。ユーフォリアも相当な痛手を負っているが、ミシャールはその比ではないらしい。いい加減に決着の瞬間が訪れてもいい頃だ。

「そうまでして……!」

 得物を手放し身軽になるや、一気に肉薄。巻き添えを食う危険すら省みず、手榴弾がばらまかれる。能力者同士の戦いの影に隠れているが、紛うことなき殺戮兵器である。一発でも至近距離で喰らおうものなら、肉を吹き飛ばされ死に至る殺傷力。そんな死の暴風に飛び込むユーフォリアの背中には、在りし日のラファエレ・インテグラーレと同じ覚悟の二文字が浮かび上がっていた。
 彼女が解き放つまばゆい光は、二極の効力を持つ完全無欠の布陣を築き上げる。敵には生殺与奪も自由自在。味方にもたらすは絶対の護り。厳しさと温もりを兼ね備えた防護が、あらゆる脅威からの遮断を約束する。しかし、安全圏から眺めているだけでは好転などするはずもない。己もまた彼女の後を追い、危険を承知で羽ばたかなければならないのだ。
 防壁の中、僅かな時間で策を練り、残る魔力全てを以て攻勢に出る。これで最後。泣いても笑っても決着となる。目的は制圧。それ以上でもそれ以下でもない。殺めることはなくとも、行動不能に追い込む。極めてシビアな線を攻めることになるが、今は己の力量と天運にかける他ない。ユーフォリアというこれ以上に無く頼もしい相方に恵まれ、本領を発揮するためのお膳立ても十分すぎるほど。

 ここでしくじれば、鋼鉄の名が廃るというものだ。

「ぐおおおおおっ……!!!」

 突貫。強行突破に身体が軋む。どこぞの司令官の水膜が"やり過ごす"ためのものなら、彼のそれは"和らげる"ため。如何に苛烈な責め苦であろうと、重厚かつ途切れることのない水を介せば失速するというもの。もし己の力量を遥かに上回る攻撃を受けたとしても、初めから和らげる狙いの方がダメージは少なく済ませられる。
 ただし飛び道具の数々に関しては、対処が追い付かず被弾を余儀なくされる。毒針こそ間一髪回避できたものの、クナイは背中や大腿に深々と突き刺さる。流れ出す鮮血は、あくまで致命傷を免れたに過ぎないことを物語っていた。そうして息も絶え絶えになりながら突破に成功するや、総力を結集しての一撃を叩き込む。

「アビサルインパクトォォォォォォッ!!!!!!!!」

 振りかざす右掌より発せられるは、深淵を彷彿とさせる蒼黒の波動。解き放つ。天地万物森羅万象、ありとあらゆる生命を飲み込む大海の怒りを。威力に関しては手を抜くまでもない。今の自分の全力で以て、やっと撃破に届くか届かないかだ。
 この大津波に呑まれれば、万に一つも反撃の機会は訪れない。押し流されないよう、溺死しないようにもがくのが精いっぱいのはずだ。今はただ成功と勝利を願い、出し惜しむことなく力を注ぎ込む。何よりも愛した未来世界のために。

>>マスターヴァルキリー、ユーフォリア・インテグラーレ


【大変遅れてしまいました。申し訳ないですT T】

1ヶ月前 No.1723

全盛期 @kyouzin ★XC6leNwSoH_o1k

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1ヶ月前 No.1724

理”想”の騎士 @kyouzin ★XC6leNwSoH_o1k

【申し訳ない! 完全に絡みを忘れており、投下が遅れてしまいました、次で終わらせます!】

【狭間世界/大雪原/グランドナイト】

想定外の氷魔の出現に、相手は改めて連携を取るために近寄っていく様子は無い、いや、それが合ったとしても、後ろから攻撃を浴びせれば良いだけなのだが……となると多少の問題が出てくる、あくまで自分が使役する氷魔像は"厳密には本人"でないと言う事だ。
既にアレは力を失いかけていた所を、残った力を自分に刀と言う形で託した物、故に、間違っても単騎でソレミア、ツバキのどちらかと渡り合える物ではない。
だからこそ、一箇所に集めるように仕向けて、最大の攻撃で一層するべき、そう考えていたのだが……仕方が無い。

氷魔を前にしてツバキは接近を選び、回避しつつも後ろに着地。 そして回転することによって発生した力を乗せて得物を叩き付けんとする。
しかし、それを食らえば厳しい物があるため、最初から防御など考えず「回避」のみに専念するようにグランドナイトは戦術を組み立てている、そのため、敵の攻撃を認識すれば、ほとんどその瞬間に、氷魔は自身の身体を霧に変えてその打撃を避けた。 ように見えるが……それよりもツバキの一撃が素早かったのか、一部は霧化する前に、その打撃を受けて物言わぬ氷塊となって地面に落ちていた。

もちろん、霧化した状態では攻撃にならず、ただ泥試合を長引かせるだけなため、グランドナイトはすぐにその霧を自分の下に呼び戻す。

一方、自分もまた、ソレミアに対して接近戦を挑んだ。

「来い……ッ!!」

"自分が出向く"と言う言葉に対して、彼女はそう強く応えた。
相手が選択したのは防御でも回避でもなく攻撃だ、グランドナイトはフレイムタンから発生させた炎を、ソレミアに絡みつかせ、炎症によるダメージの蓄積を狙う。

そして放たれる衝撃波に対しては、同じくフレイムタンと、目の前に幾つかの巨大な針を地面から出現させることで防ごうとするが。

「くっ……なるほど」

防御手段として役立ったのはフレイムタンのみ、針については、その衝撃波を防ぐ役割はほとんどもてておらず、呆気なく貫通し、二つの防御手段でやり過ごそうとしたグランドナイトは手傷を負うことになった。

氷魔は身体の一部が欠けた、今ならば問題ないが、何れ他の部位も欠けて戦闘能力が低下するのは目に見えている、一方こちらも致命傷を負った訳ではないが、やはり戦況に陰りが見える。
ならば、今の内に仕掛けるのが上策だろう。

「この辺りで終わらせましょう……来なさい!!」

掲げられた右手に霧が集まっていき、元のアイスソードの形へと戻る。
するとグランドナイトは自身、いや、この地を覆うように、空高い部分に無数の針を形成する。

さらにフレイムタンとアイスソードを空に掲げれば炎と氷の魔力が空へと上がっていき、ほとんどの針に、火か、あるいは氷の属性を付与する。
そして、グランドナイトが掲げられた二本の剣を振り下ろせば、空に展開された無数の針が一気に敵対者どころか、絨毯爆撃のように、ほぼ死角なくこの地に降り注いだ。

>ソレミア・ラガルデール ツバキ・オオトリ

1ヶ月前 No.1725

時空神 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_o1k

【狭間世界/終末/時空神クロノス】

狭間世界の最深部。そこには、終末と称される領域があった。未来世界で起きた時空断裂を想起させるかのような、ひび割れた空。その下に広がるは、僅かな草花のみが残る荒れ果てた大地。
まるでそれは、これから訪れるであろう世界の終わりを具現化したかの如き光景であった。夢も希望もない、絶望に満ちた世界。彼方の空には、あらゆる時代のノイズがちらつく。
そんな世界の中心に、形容し難いほどの神々しさを放つ存在が一人、佇んでいた。明らかに人ならざる者であると、一瞬で判別することの出来る女性。彼女もまた、あの影達と同じく、人間の罪を象徴する者なのだろうか?
否、彼女はそのような存在では断じてない。言うなれば、神。悠久の昔より紡がれし、時空を司る者。未来世界においてはほぼ、実在を信じる者はいないであろう、人間を超越した存在。
彼女は、自らが生み出した影達が消えゆくのを見届け、間もなくこの地へ人類が足を踏み入れるのだということを認識する。自らがすべきことは、唯一つ。神として、消すことの出来ぬ罪を犯した彼らと対峙すること。

「人類の勇気、それは確かに示された。ですが、十分ではありません。恐怖や怒りの前でも、同じ姿勢を取り続けられるかどうか。それは未確定……」

これまで人類が度重なる改変を行いながらも、時空断裂が起こらなかったのは、一重に時空神クロノスのお陰であると言っても過言ではない。彼女は、乱れた時空の辻褄を合わせ、世界の崩壊を防ぎ止め続けていた。
理由はない。それが、時空神の役目である以上、彼女は人類に忠告などの干渉を行うことなく、ただただその役目に徹した。世界を護るという、神としての務めを果たすためだけに。
しかし、全く態度を改める様子のない人類を眺める内に、神の怒りは遂に限界へと達した……愚かなる人類を消し去り、世界をあるべき姿へと戻すため、クロノスは"改変によって存在を失った正史"を、全ての時代へと差し向けたのである。

傲慢であると言われれば、否定は出来ない行いであろう。だがそれでも、このまま改変が際限なく行われ、時空の連続性が意味をなさなくなるよりはいい。
クロノスが時空のほつれを戻し、整合性を保ち続けることにも限界がある。弾かれた数多の正史と可能性世界は、狭間の領域へと降り積もり、やがては世界そのものを消滅させる時空振動を引き起こす。
そうなる前に、彼女は過ちを繰り返す人類をこの世から排除する腹積もりであるのだ。全ては、世界のため。彼らはまだ、失われた世界線の重みを知らない。

>ALL
【お待たせいたしました。これより最終決戦、開始です! 人が集まり次第、最優先で返していきます】

1ヶ月前 No.1726

麗人 @sable ★FyeeIHKD7M_keJ

【狭間世界/終末/シフォン・ヴァンディール】

 引き裂かれた空。餓え乾く大地の如くひび割れた空間の先には、狭間世界の果てが待ち受けていた。そこに生や光は存在しない。時計の針すら動きを止め、永遠の過去が繰り返されるのみ。他ならぬ人類の罪が生み出した戦場。その最奥に一人佇むは――時空神クロノス。時の番人にして、信仰の薄れた未来世界をも見守る神格。
 抗い抜いた人類に課せられる最後の使命。それは、時空神の眼前で己が覚悟を示すこと。決して揺るがない強固さを披露すること。正史からの刺客や影達に見せた信念を、数倍にしてここで叩き付ければいい。言うは易く行うは難し……されど、達成できなければ人類に明日はない。時代の壁は当然、連盟と機構の確執すら取り払った最終決戦が始まる。

「約束します。私達は悔いこそすれど、決して恐れはしない。

貴女が怒りの矛を収めるまで。

人類が再び信頼を勝ち取るまで」

 終末へと足を踏み入れるなり、微塵も臆することなく言い放つ。その佇まいは、力強さは、傲慢から来るものではない。許されざる罪を犯したが故に凛々しいのだ。罪人の責務とは、怯えひれ伏すことでも、逃げ回ることでもない。罪を償い、悔い改めることに他ならない。過ちを認め、試練を受け入れ、それらをこなした上で神の御前に立つ。他に贖罪の術は存在しない。
 間も無く他の仲間もここへ集うことだろう。気心知れた連盟の人員以外は当然、つい先刻まで敵だった是正の戦闘員が来てもおかしくない。文字通りの総力戦。

 その火蓋が切って落とされるまで、あと僅か。

>>時空神クロノス


【絡み失礼します!】

1ヶ月前 No.1727

ジークリンデ・エレミア @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=66hUEMgB70

『狭間世界/終末/ジークリンデ・エレミア』

狭間世界に突入してからどれ程経過したのか、飛行魔法を用いて内部を移動していたジーク。
こうなってしまった責任は自分にもあるとジークは考え、今の自分の気持ちや考え方に迷い、揺らぎが生じる。
何が正しいのかジークは分からなくなっていた。
だけど今は浮わついていても、必ず自分の眼と手、心でその答えを見つけだす。
ジークはその思いを胸にそのまま進み、
狭間世界の最深部と思われる場所に到達すると、ヒビ割れた空に、僅かに草花が残る荒れ果てた大地が広がっていた。
それだけでなく、はるか彼方にはこの世界における古代の雪原や山々、中世時代の城や民家等の建物らしきものが見える。
そしてこの大地には非常に長い白髪に白いドレスを身に纏い、背中には羽のある1人の女性が佇んでいた。
ジークは彼女がどの様な存在であるのか一目ですぐに分かった。「貴女は神様ですか?」と問いかける必要はない。
そしてもう1人、女性がいる。こちらの女性はジークと同じく連盟に所属しており、彼女は司令官であると聞いている。
ジークにも神と対峙する事には恐怖心や抵抗がない。

「私(ウチ)ら人間の奇跡、可能性を貴女にも見せてあげるんよ」

白髪で白いドレスの女性にそう言った後、ファイティングポーズをとり、相手の出方を伺おうとする。

>>時空神クロノス、シフォン・ヴァンディール、ALL

【絡みます】

1ヶ月前 No.1728

鮮やかに、ときに無慈悲に── @libragreen ★iPhone=Dpuk4n8aqG

【 狭間世界/スラム・ムジーク空間/オーネット・ブラッドレイ 】

 本来ならば基本的に勝負を決めるのは、戦力・戦術そして運の三つ。
 気合いでどうこうなるのは実力が相当近いときだけ。
 気持ちが人を強くすることはあれど、それだけで勝ち負けが左右されたり、戦力差がひっくり返ることはしない筈だ。

 …ダン・マッケーニ=バビロンという男の恐ろしい点は、そこだ。
 ただの人間でしかないはずのこの男は、下手をすれば全能の域に達する程に等しい”過ぎた力”を持ってしまっている。
 強く、それでいて重すぎる情動──”英雄”への憧れと、人類愛。
 ただそれだけの純粋な想いを己が力へと変換させ、力をある程度セーブしている状態のオーネットと充分あるいはそれ以上に渡り合っているのだ。

 世界を喰らう黒陽。
 もしもこの文字通りの怪物が、神域に等しい狭間世界の主──時の氏神と対峙しようものならば。
 ……確実に世界が滅び、地表が焦土と化し、全ての人の夢が食らい尽くされるのが明白に見えている。
 この命と魂に代えてでも、とまではいかないが…だからこそこの魔女野郎は、ここであの男を食い止める為の下準備をしておかなければならない。

「ヘいっショパン! …今から何が起ころうと、別の音楽を奏でてでも、お宅はちゃんと生き延びときな」

 こちらに導きの明星がついているとはいえど、ショパンの顔に浮かんでいる恐怖や焦燥、そして懸念は概ね間違っちゃいない。
 たとえ一度でもこちら側が手の内を明かしてしまえば、この男はほんの一瞬で模倣してのける。
 逆に考えれば、模倣されない方法など至ってシンプル──手の内を無闇に見せびらかさなければいい。
 まぁ不幸中の幸いといえるのは、あの男が無限にありそうなのが身体能力の面であり、対等に模倣できる異能面では次の戦いに引き継げる事が不可能であるところか。
 もしそれらも可能ならば、ここまで戦い抜き対峙してきた者たちの異能を既に発動しているはずだから。

 マグナムによる四つの弾丸の同時射撃。
 今のように例え一つだけでも技を視認してしまえば、バビロンは互角あるいはそれ以上の”本気”を引き出してより苛烈に攻めてくる。
 限界をあっという間に容易く超え、今まさに喰いつかんと迫るバビロンを前にしてもなお、彼と似ている意地と根性を張ったオーネットは”本気”を出さないでいる。
 もしこの男を相手として仮に”本気”を出してしまえば、敵の思う壺にハマることに等しいのでなんだか癪に触るし、奴と真の決着をつけるであろう味方の者を圧倒的不利にしかねないから。
 なので相手がいかに”本気”でオーネットに挑んだとしても、こちらはとことん”適当”にあしらってやる所存である。

       イケニエ
 (…この魔女野郎を”英雄”と一々呼び親んでくるのが、鬱陶しいったらありゃしない…! 嫌ァァ〜〜なこった!!)

 4つの凶弾が同じタイミングで、オーネットの肉体にくいこんだ──その刹那。
 本来ならば心臓と肺、右足と頭部を貫いたはずの風穴から徐々に、体が無数の蛍に変化・分離して再び収束した。
 内なる獣(ビーストウィズイン)の一環である“ファイアフライ ウィズイン”を行使して射撃の方は辛うじて回避できたものの、隙を生じぬ二段構えとして繰り出された蹴りと拳の二撃までは、…避けきれない。
 鎖や魔導器を破壊する程の”本気”をもって、膂力が重く増した勢いで来たのならば、自らの肉体で受け止めるのみ。

 叩き潰す勢いをもった回し蹴りに腕を這わし、バビロンの脚を軸として回転。
 真上からの隕石めいた殴りを、力を縛ったまま全身全霊で受け止める。
 身体能力をセーブした状態での防御ではバビロンの猛攻を殺しきれず、大きなハンマーで殴られたかのような重い一撃をくらい、体の所々から吹き出した血がハスの花弁を象り舞い散った。

「う”ゥッ!! ……手前ェはちょいと変な熱を吹かし過ぎてるみてーだな…。 …いっそのこと、頭を、冷やしてみたらどう、だい……? ──こ の よ う に!」

 しかしそれと同時に反撃として、両足に装備した凍棍〈グゥレイグ〉が悲嘆の吐息を噴射する。
 せめてもの一矢を報いるべく、冷凍ガスはバビロンが今までに負った傷口全てにめがけ凍てつく吹雪のように吹き出した。
 そしてバビロンにくれてやる最初で最後の”本気”として”ウィケッドウィーブ”を発動。
 ダメ押しにもう一撃と言わんばかりに召喚した魔人マダムベルゼバブの巨腕が拳を固く握り締め、オーネットの怒りや彼女自身の折檻をぶつけるかの如き一撃を、先ほどあの男が繰り出した拳撃と同質の強さのものを叩き込んだ。

 もう一度大きく吹き飛ばされたオーネットは体の打ち所が悪かったのか、死に至らずとも全身に力が入らず意識が薄れてきてしまう。
 どのような未来と結末を迎えるかは不明瞭なるものの、魔女野郎はこれで出来る限りのことを為せたはず。
 元から奴との試合に負けてでも、勝負を次の者の勝利に繋げるつもりで戦いに挑んだのだから悔いはない。
 あるとすれば、それは……仲間のショパンに心配をかけさせ、泣かせてしまうかもしれないところか。

(わざわざ付き合わせちまって、すまねぇなショパン…。 後は真打に、託すと…する……か………)

 戦友であるピアノの詩人への謝罪、バビロンと決着をつけるであろう者への依託を、声を発せずとも心の中で述べる。
 視界が少しずつ真っ暗になりつつも不敵な微笑みを浮かべ、やがて……オーネットは意識を途絶えた。

>>フレデリック・ショパン、ダン・マッケーニ=バビロン

1ヶ月前 No.1729

空腹一番星 @sable ★3zJ9n8Ip7k_keJ

【狭間世界/血塗られた島/深淵の間/イアン・ガグンラーズ】

 覚悟を示す術は、対話に非ず。熾烈極める戦闘の果て、三傑は遂に影を頷かせるに至った。その先に待つ試練への挑戦権を得たに過ぎないが――第一関門を突破したのは事実。

「ウォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!

……うぉん」

 信念を認め塵と消えた中世の影。勝利の喜びはもちろん、道が拓けたことに心躍る銀狼が繰り出すは、腹の底から響くような咆哮。魔帝城全体が激しく震動し、島を囲む海には大きな波が生まれる。まさに勝者の雄叫び。
 しかしそれも束の間、情けない声が漏れると同時に、元の姿に戻ってしまう。短時間とはいえ死力を尽くして戦い、究極の力を振るったともあれば当然の消耗。バタリと倒れ込んだ彼女の腹部からは、空腹を訴える強烈な音が繰り返し響いていた。

「あー……ボクは腹ごしらえしてからいくよ……

し、死にそ……」

 品性の欠片も無いシュプレヒコールの最中、やっと絞り出した声で二人の背中を押す。きっと彼らは、影の背後に控える何者かの下へ向かうはずだ。
 乗り遅れることを申し訳なく思うが、腹が減っては戦などできまい。必ず合流することを誓い、暫しの別れが訪れた。

>>中世の影、イスマリア・ザルヴァトール、ヴァンレッド


【返信遅れて申し訳ないですT T

絡みありがとうございました!】

1ヶ月前 No.1730

奇術師は謳う @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=BgG4rhjP5L

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1ヶ月前 No.1731

イスマリア・ザルヴァトール @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_gaI


【 狭間世界/血塗られた島→撤退/深淵の間→撤退/イスマリア・ザルヴァトール 】

 三者三様の覚悟/一撃、時空を統括する"影"へは言葉など要らない。信念と覚悟を込めた一撃でもって納得させ、それを以て証明とする。
 塵と化し消え失せる中世の影。あくまで第一関門でしかないが、それを乗り越えたのもまた、事実。その果てに、巨悪は待っている。

 簡易的な武装の点検だけを済ませたイスマリアは、無言で――イアンに簡易携行食のバーだけ投げ渡し――世界の果てへと、歩みを進める。

 とはいえ、イスマリアも準備無しに進めるつもりはない。
 一度、狭間世界の潜入口に置いてある自身のための薬を投与/義体の点検も済ませねばならない。
 過剰行使された肉体が、時空神との戦いを迎えるまえに消し飛ばないとは限らないのだから。

 故に――これが、最後の準備となる。
 同じく、しばしの別れを告げることとなった。

>イアン 中世の影 ヴァンレッド

【同じく、絡みありがとうございました〜】

1ヶ月前 No.1732

鋼鉄 @sable ★VUk5facTNU_keJ

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1ヶ月前 No.1733

紅焔 @zero45 ★pB1cyTl1jZ_gaI

【狭間世界/終末/レオンハルト・ローゼンクランツ】

 罅割れた空を駆け抜け、眼下に広がる荒れ果てた大地へと降り立つ一筋の流星。一身に纏う輝きは禍々しさを帯びた血の紅に非ず、熱情を示す鮮やかな真紅色に染まり。魔道との決別の末に誇りを取り戻した勇士は、最後の決着の舞台にその姿を現す。未来をこの手に掴み、新たなる夢を目指す戦いに挑むが為に。
 速度を減衰させながら着地すると、全身を覆うようにして展開を維持していた魔力を抑え込み、纏う輝きを消し去る。その双眸が見据えるのは、視界に入る戦場の光景。近くにあり、現に自らが立つ場所は僅かに草花の残る終焉の大地。そして遥か彼方には、乱雑にも人類の歴史を示した背景が広がる。

「俺がここにやって来た理由は、お前に対する感謝でなければ、謝罪でもない」

 戦場の中心に佇む、言葉として表し難き神々しさを放つ一人の女性。神の存在を空想上の物として片付ける時代に生まれた者から見ても、その人物を"神"という言葉に結び付けざるを得ない程の御姿を前にしながらも、相手から見れば傲慢にも等しい、対等という立場を前提とした態度で、臆する素振りも見せずに言い放つ。
 かの存在が、人類が歴史を歪める度に乱れた時空の解れを正し、世界を維持し続けてくれていた事は推測できる。だが、だからと言って感謝をする事はなく、そして自分達の行為を謝罪する事もない。結果はどうあれ、自分達はそれを正しいと信じて突き進んできた。其処を覆すだけの理由が無い以上は、悔い改めて、過ちを詫びるという選択はないのだ。

「示す為だ。否定した歴史を背負う意志を、過ちを二度と繰り返さない未来を築く覚悟を」

 言葉の一つ一つを紡ぎ出す傍らで、自らの身体の内側で爆ぜる勢いで増大し始める膨大な魔力。内から外へと溢れ始めるそれは、意識をせずともその一身に真紅の輝きを身に纏わせる。純粋にして強固なる意志が今、大いなる力を生み出したのだ。右手に携えた魔剣の切先を時空神へと向けるようにして構え、臨戦態勢を整えると、そこで静止する。
 自分のみならず、同胞から嘗ての敵に至るまでの総力戦。この場に集結している者達へと一人ずつ視線を向けながら、最後に再び神を強く見据える。

 ――必ず乗り越える。共に夢を追いかけて行く為にも。

 心の中で、そう自らの決意を固める。

>時空神クロノス シフォン・ヴァンディール ジークリンデ・エレミア リプレイサー

1ヶ月前 No.1734

命が彷徨う、行方を示さん @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【狭間世界/スラム/ショパン】

「オー……ネット?」
 掛けられた言葉も受け止めると、不安・焦燥に浸っている間に勝敗は決したのか、宙を飛ぶオーネットを見て、ぱちくりと伏せ目がちな目元は大きく開く。
 華麗に相手を屠っていた姿はそこにはなく、無惨に投げ捨てられた体がそこにはあった。
「オーネット!」
 敵の前だというのに、無我夢中で側に寄り添うショパン。
 最初はついていけば、シエンタとキラーとマシュマロを守る仕事ができると思いついて来たついでに協力した自分をここまで庇うなんてという、罪悪感に包まれた。
「……ごめん」
 聞こえないだろうが、ぽつりと謝罪の言葉を述べると、黒陽の男を真っ直ぐと見据える。
 生き延びろと託されたのは、『彼』の父以来だったか。
 先程の記憶を反芻し、オーネットの顔を焼き付ける。
 自分も『彼』も強大な現実の前では無力だった、『彼』はそれでも尚突き進んだが、ショパンはどうだろうか。
 あの強大な存在を、根暗で人に会うと拒絶しがちな繊細な自分はあれを打ち砕く事ができるのだろうか。
 ガタガタと体を震わせバビロンという強大な存在に恐怖し、ヒッと目を反らしてしまう。
 帰りたい、帰りたい、嫌だ、嫌だ、こんなの無理ゲーだ。
 ネガティブな感情が、紫の燕尾服を纏った細い体を犯していく。
 さながら、育て上げていない勇者と魔王の如くだとショパンは思った。
 逃げ出したい、引きこもりたい、この現実を断絶したい。
 オーネットを背負って逃げ出そうと考えたが、先程オーネットに掛けられた言葉を思い出し、自分が何故バビロンに立ち向かい『英雄ポロネーズ』のムジークを発動したかを思い出すと四人の為にもと意を決して、タクトの先端をバビロンに向けると次の曲へと変える。
『夜想曲第二番』のムジーク、退廃的でエレクトロニックな旋律を響かせると、ムジーク空間を解除し元の風景に戻す。
 このムジークはダンボールを形成する能力。
 先程のつい昂って出てしまった『英雄ポロネーズ』とは違って、こちらは応用が高いムジークでよく引きこもる時に使う。
 今までは防御の方に回していたが、中世で塔を築き上げた時、あの魔法使いがやった真似をしてみる事にした。
 顔から大量の汗をかき、矮小な心からくる恐怖にうち震える。
 赤茶の長い前髪で隠された表情は、絶望であったが、涙は流していない。
 息を整えるとバビロンを発射し吹き飛ばす為に、足元にダンボールの塔を形成しようと、ショパンはフリルをあしらった白い飾り襟に差し込まれた、羽ペンの羽根をたなびかせてタクトを振るわんとした。
>オーネット・ブラッドレイ ダン・マッケーニ=バビロン

1ヶ月前 No.1735

リインカーネーション @genomirai ★xtwO2xCy4x_gaI

【狭間世界/誰も居ない邸宅→終末/フォルトゥナ・インテグラーレ】


消えゆくあの存在、塵となりて虚空に溶け行く様を只眺める。彼女は試練と称した存在は確かに道を示した、違えそうになった己を手を貸す形で正していた。悪い存在ではなかった、尤も良い存在と手放しで決めつけることは出来はしないが。
要が消失した故か、あの存在が認めたのか、若しくはただの偶然か。彼女が断定するには些か要素が足りてはいない、しかし目の前に移る光景は凄惨な出来事を思い出すものではなくなっていた。
荒れた家が生活感のある家へと変貌した、それだけのことが多くの意味を持つことは想像に容易い。見渡せば、懐かしさすら霞むほどの思い出の残滓が呼び起こされる。月日がたった差異さえされど、嘗て彼女が住んでいた家そのものであった。
視界の端に移る写真立てに飾られた状態の良い光景、もしもこの場が未来世界と同一の物を再現しているのであれば、それはきっとそういう事だろう。嬉しさと、自身への後悔が綯交ぜになった感情が胸の奥で燻る。
姉が求めているもの、心の距離を縮めれば分かるもの、今はまだ見えぬそれに僅かな恐れを彼女は抱く。でも、それでも望まれているならば、その先が例え拒絶であっても進むしかない。そう、試練の答えとしたならば。
だから、まずは近くに居よう。もっと姉の事を知ろう、そして姉の自身の事も知って貰おう。別たれた時間は十五と二、人の世の中では短くとも二人にすればこれまでの八割近くを占める。思ったよりも、その溝は深い。

「……乗り越えて見せるとも、姉さんと共にならば超えられぬものはない。姉さんは私にとっての希望だ、共に在る限り私は屈しない。」

だが、幾ら深くとも埋めることは出来るのだ。一月、半年、一年、果てはそれ以上。どれだけの年月がかかるかは分からない、だが姉と彼女が歩み寄り続ける限り溝は深くなることはないのだ。
暖かな景色の中、僅かな名残惜しさに髪を引かれども次を目指す。この異常な世界、数多の時空が重なり合った無限の可能性、その先に何が待ち受けるかは未知数。推測や予想が役に立つはずのない世界。
なればこそ、進み続け時空断裂を止めねばならない。不明であることは方法も手段もない、だが逆を言えば何かが切っ掛けで解決の余地はあると言う事。今の彼女に出来る事は、ただ世界の奥底へと進み続けるだけ。
道がないなら切り開けばいい、障害があるならば排除すればいい、人類の危機であるならば止めねばなるまい。恐れはない、姉と言う希望があり、その姉から生きて帰ってと言われたならば、何を心配しようか。

「すまない、殴られるのは全部が終わってからだ。今は先に進む事を優先すべきだと、きっと姉さんならそうすると、そう思った。だから、先に行っている。」

「―――ありがとう、ダグラス。お前が居なければ、私はもっと深く堕ちていただろう。」

顔だけをダグラスへと向け、礼を言い終わると同時に窓を開け放つ。窓枠に足をかければ、その場を踏みしめ弾丸の如く彼方へと飛び立つ。踏み込んだはずの窓に損傷の後は無い、本物でなくとも壊すのは少し、憚られた。
未だ身体強化は最高潮のまま、最大限の力で天地も分からぬ空間を踏みしめ突風の如く駆け抜ける。僅かな不安はあれど最早些末事、姉との会話と言うある種の壁がある限りそれまでの障害など気に止めるべくもない。
口元に微かな笑みを浮かべる、その意味は彼女自身すら理解していない。それどころか微笑みを浮かべたことにすら気付いていないだろう、だが今はそれでいいのだ。幸せなど、過ぎた時に気付くのだから。

――――――

歩みを進めた先にそれは存在した。
今にも砕けんとする空、破滅の光景に似合わぬ僅かに存在する草花。遠き空に映るは数多の次元、揺れるばかりで視認にすら堪えぬもの。世界が終わる、そう告げられても信じてしまえそうな空間に、それはいた。
それは人の形をしていた、だがそれだけだ。真っ当な感性を持つものが見ればそれが人ではないと理解するだろう、敢えて陳腐な言葉で形容すればそれは神々しさ。人々の妄想の産物でしかない存在が、今目の前に存在している。
無論、彼女もそれが人ではない事は理解している。本能自身がそう語りかけていれば嫌が応にも理解せねばなるまい、嘗ての資料に残されていた与太話の類、その権化である神。そうであると、信じてしまえそうな威容であった。
それは只語った、人類の勇気は示されたと、だが恐怖や怒りの前でも変わらずに居られるかと。成程、神と思えるだけの傲慢さだ。システムに成り下がった存在、それが今更悲鳴を上げて癇癪を起している。
しかし彼女にとってはそんなことなどどうでもいいい、見れば理解できるこの異様な世界の元凶。それが分かればそれでいい、これが姉の道を阻むもので、これが人類の行く末を遮るもの、何と単純な事だろうか。
もっと簡潔に述べよう、目の前のあれは敵。それ以上でもそれ以下でもない、神であろうと何だろうと変わりはない。彼女たちの世界を脅かし、破壊しようとする存在、これを防ぐことに何の誤りがあろうか。

「貴様の怒りなど知らん、敵であるだけの存在に恐れも抱かん。ましてや、欠片も知らない貴様に思う情などない。」

一人、また一人と目の前の存在に挑む人間が集まる。語る言葉は様々だ、尊重する者、人間の輝きを見せる者、理解せども決して同情はせぬ者、己が覚悟を示す者。その中で彼女は、何と例えようか。
敵として対峙する者、少し違う。人類の滅びを止める者、相応しくはない。言うなれば一部分において彼女は同一視し、己に言い聞かせるようにしている。単純な事だ、目の前の存在は理解させようとしていない。
相対する今でさえ、目の前の存在の目的が分からない。怒りと語った、恐怖と語った、その根源が分からない。突如として時空断裂の予兆を発生させた、外敵としか思えない。きっと、嘗ての己もそうだった。

「言葉で語らずに真意が伝わるか、今の貴様など人に仇なす存在以外の何物でもない、少なくとも私はそう判断しよう。」

もし、姉と早くに言葉を交わせていれば確執はなかった。もし、姉に己の本心を隠さずに伝えられていたのならば先の失態はなかった。伝え、理解を得るには手間がかかる、そんな事すら漸く知ったのだ。
目の前の存在が何であるかなど知らない、人でない事だけが確か。だったら、人への理解を怠るのも仕方がないとも言えよう。だがその結果、滅ぼされては堪ったものではない。それが理解できるまでは、ただの敵でしかない。

「何にせよ、滅びを受け入れる存在などいない。全力で抗う、それだけだ。」

一歩、また一歩、止めることなく目の前の存在に歩みを進める。言葉を尽くそうと変わらぬ事実はある、人間を滅ぼそうとしている事だ。ならば倒す理由には十分、敵であることも含めればそれでいい。
身体強化の状態は維持のまま、負傷もなければ疲労も吹っ飛んだ、コンディションは万全。ならば、希望ある限り歩み続けるだけ。姉と共に歩む道、その確固たる障害は排除する。人の敵など、障害以外の何物でもない。
彼女は機を見る、連携、後の先、手の内、理由など幾らでもあげられる。だが共通するのはより確実に排除するための選択肢、人ならざる存在の力量を見極め、その上で生存を優先し、潰す。
僅かに足を開き、半歩右足を前に出す。拳を軽く握り、脱力を維持する。戦闘態勢は整えた、後は勝つのみ。

>>時空神クロノス シフォン・ヴァンディール ジークリンデ・エレミア リプレイサー レオンハルト・ローゼンクランツ

1ヶ月前 No.1736

大災厄の残痕 @kyouzin ★XC6leNwSoH_rxQ

【狭間世界/終末/キラー・テンタクラー】

――クソッ、クソッしくじりすぎたぞ私!!

電脳世界を動き回る者が一人、それはシエンタたちと和解した後、やるべき事があると格好を付けた事を言って離脱したキラー・テンタクラーである。
さて、彼が考えていた事は一つ「もう一人の友人の支援」である。 確かに親友たるシエンタだったり、新たに出来た友人と言うのは大事な物だ、それにシエンタと比較してしまえば、付き合いが希薄なのは単純にして明白、純粋にして明快。
だが、頭の中も単純明白純粋明快なキラーは思う、幾ら連盟の者と和解した所で、それは是正機構に残る友人を見捨てる事を意味しないと。

もしも友を傷つける者が居るのならば、連盟であろうと容赦はしない、勿論友人同士で戦うのは避けたいので、可能ならば、この知性で説得しようとしていた。
……要するに彼は、フォルトゥナ・インテグラーレを気にかけて、彼女の場所を探索していた。 だが悲しい事に、人に聞くよりも、自分の力を過信したドローンウィルスを使った人海戦術による捜索を行ったために、彼がもう一度現実世界に姿を現した頃には、シチュエーションルームどころか大統領執務室の戦いすら終わっていた。

だからその捜索方法はやめた、もっと理論的に考えを巡らせた、結果として出したのが「一番強いなのを叩き潰せば目立つし合流できるだろう」


閑話休題。

「――そんな上から目線でインテリジェンスを見せびらかした貴様の持論は知った事ではないッ! 人間が幾ら私より知性が低かろうと弱かろうと、その中に私の友人が含まれているのならば、お前が誰であろうと、"人ならざる"この私が地面に這い蹲らせてやろうと言うのだ!!」

シリアスなムードが包む中、それとはやや遠い声が周囲に響く。
そして幾つかの怪しく輝く青色のクリスタルが飛来したかと思えば、それらは四角形を描くように布陣し、その声の主を移動させるリンクを繋げる。

その中から現れたキラーであったが……正直な所、彼の裏切りなどこの場の誰も知らない。 その見た目と言動でキラー・テンタクラーと言う攻撃性の極めて強い是正機構のコンピューターウィルスなのは断定できるだろうが、少なくとも味方に見える見た目ではない。 だが、それは彼にとっても同じ事で。

「え……フォルトゥナ、幾ら何でも何故この状況に飛び込む? 私の計算が正しければ、周りに居るのは全て敵だ、しかも見た感じあちらの偉そうな奴も敵なのだが?」

彼にとって味方と断定できるのはフォルトゥナ、尚且つフォルトゥナはまだ是正機構だろうと踏んで出てきたため、神そっちのけで連盟に包囲されるような場所に飛び込むか? と半ば呆れ交じりに発言した。
彼から見て、味方は一、敵は五、少なくともキラーを萎縮させるには十分な物。 しかもその内の一人はどう見ても格上ときた。

「……えぇい仕方が無い! 見捨てて逃げるほど私も冷酷ではないッ! かかって来い虫けら共!!」

その途端、キラーは自身の腕部を変形させ四門の大砲を作り上げ、配下のドローンも各種攻撃形態に変形させて戦闘準備を整えた。
随分と酷い勘違いをした登場であったが……少なくとも友人のためならば、十分に彼は戦うだろう。
性根は"そういうもの"だ。

>時空神クロノス フォルトゥナ・インテグラーレ シフォン・ヴァンディール ジークリンデ・エレミア リプレイサー レオンハルト・ローゼンクランツ


【最終戦にギャグキャラ持ち込むな、と思った方は申し訳ないです、スレ主様から出せって脅されてました、嘘ではないです。 と言うのはさておき、次からまともに動かすので、なにとぞお許しを……」

1ヶ月前 No.1737

中二病でもハッキングがしたい! @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_rxQ

【狭間世界/終末/シエンタ・カムリ】

なんというか、こういうことがいざ現実になった瞬間というのは……とてつもなく反応に困る。空が割れるだなんて、自分はアニメの世界にでも迷い込んでしまったのか?
いや、勿論これが夢などではないことは承知している。それでも、心の準備というものはさせて頂きたいもので……急過ぎる展開に、さすがのシエンタも苦笑いを浮かべるしかなかった。
しかし、冷静になって考えてみろ。これは、ある意味チャンスではないのか? あの先に何が待ち受けているかなど知ったことではないが、ここで活躍出来れば、連盟に対しても良いアピールが出来る。
自分が如何に闇の支配者となるに相応しいかを、証明出来るではないか。緊急事態にも関わらず、そんなふざけたことを考えながら、シエンタは明らかに作った笑いを浮かべ、亀裂の奥へと足を踏み入れる。
……実際のところ、そうでもして自分を奮い立たせなければ、足が竦んで動けなくなってしまいそうだったのだ。恐怖していない、と言えば嘘になる。いつも気取っているとはいえ、その中身はやはり、10代前半の少女に過ぎなかった。

そんなこんなで、ようやく辿り着いた最深部。そこには、何人かの先客がいた。ほとんどが連盟の関係者で、名前も知らない者ばかり。まあ、状況からして当然だろう。
だが、それに混じって、シエンタの知っている、つまりは元是正機構の人間もちらほら見られた。連盟のボスとよく似た容姿の、というか血縁者のフォルトゥナも、その一人だ。
そこまではいいとして、何故こいつがここにいるのだ? と彼女は真顔になった。しかも、明らかに今の状況を正しく把握出来ていないと伺える。正直に言って、めちゃくちゃ浮いていた。
やれやれ、といった表情で、シエンタはわざとらしく両手を広げる。仕方がない、ここはこのシエンタ様が、無知なるコンピュータウイルスに真実を教えてやるとしよう。そんな思考を浮かべながら、彼女は件の人物へと近付いていく。

「一体、何を勘違いしているんだ君は。そもそも、歴史是正機構はもうなくなったじゃないか。つまり、ここにいる奴らは全員、仲間ってことさ。……約一名を除いてね」

時空防衛連盟との戦いに破れ、歴史是正機構は消滅した。居場所を失うという最悪のケースすらも想定されたが、それは直前に連盟の者達と和解していたことで回避されている。
こうして終末へとやって来ている時点で、彼らは味方であると考えていい。これは、人類の危機であり、この期に及んで内輪揉めなどしている場合ではないということくらい、シエンタでも理解出来た。
キラーに説明を終えた後、彼女は唯一の敵である時空神へと目を向ける。初めて目の当たりにする、本当の神。いつも神を自称しているだけの自分とは、明らかに格が違う。
直視しているだけでも、身体がわなわなと震え出しそうであった。だが、それでもこいつを倒さないと、部屋に籠もってゲーム三昧という最高の生活は戻ってこない。

「神だか何だか知らないけど、折角見つけたボクの居場所を奪われちゃ困るんだよ。それに、神はこのボク、GOD_SIENTA一人で十分さ!」

勢いよく啖呵を切ってみせるシエンタだが、その声は震えていた。よく見れば、いつの間にか、彼女の身体そのものも、小刻みに震えている。本物の神を目にした恐怖が、シエンタを蝕んでいるのだろう。
きっと、以前の彼女であれば、周りには目もくれず、一目散に逃げ出したに違いない。しかし、現実は違う。今シエンタが、恐怖を押し殺してこの場にいること自体が奇跡であり、彼女自身の成長の証であった。
勝つのだ。自分のため、そして人間のため。誰かのために戦うなんて柄じゃないし、力になれるかどうかは分からなかったが、奴に背中を見せることだけはしたくなかった。

>時空神クロノス、キラー・テンタクラー、フォルトゥナ・インテグラーレ、レオンハルト・ローゼンクランツ、シフォン・ヴァンディール、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア

1ヶ月前 No.1738

忠犬 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_rxQ

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟】

魔族と一緒くたに言っても、そこには様々な種類がある。種族による違いもそうだが、中世において彼らは、身に持つ魔力の量によって、大きく下級、中級、上級の三種類に分類されていた。
この内、人の姿を取ることが出来るのは中級魔族からであり、下級魔族はその性質からして、魔物と称するのが正しいかも知れない。一定以上の魔力を持つことで、彼らは初めて人形となることが出来るのだ。
しかし、上級魔族と中級魔族は同じ人形でも、その実力に大きな差がある。魔法が主体の戦いにおいて、魔力の小さい者が上位の者に勝利することは難しく、善戦すらも厳しいのが現実だ。
ロコは、自分の立場を誰よりも理解していた。たとえ攻撃を仕掛けたとしても、あれほどの敵が相手となっては通用しない可能性が高い。ならば、攻撃は味方に託し、自らは後方支援に徹することが、最善であると考えた。
支援であれば、息さえ合わせれば確実に何かをもたらすことが出来る。何の成果も挙げられないリスクを冒すことを避け、得意分野での勝負を選ぶのは、正しい判断であるといえるだろう。

だが、敵の実力は予想の遥か上を言っていた。彼女が必死に展開した防御壁は、魔力の波長を合わせるという、単純でありながらも高度な手法によって、完全に無力化されてしまった。
結界の内側から放たれる剣閃。それが、六度続いた。至近距離からの暴力に相応しい一撃は、ロコの身体能力を持ってしても避け切ることは困難で、彼女は為す術もなくその身を宙へと打ち上げられる。
当たりどころが悪ければ即死であったろうが、幸いにもそうはならなかった。脇腹から背中にかけて酷い痛みを感じるものの、まだ意識は失っていない。苦痛に耐え、立ち上がるロコ。
その頃ファントムメサイアはというと、もうこちらは息絶えたものだと判断したのか、ゲイルと清太郎に狙いを定めていた。油断、などではないだろう。あれは、余裕というものだ。

「アンナローズ殿には……指一本触れさせないのであります!」

自分の次は主人、つまりアンナローズを殺すという敵の宣言を聞き、ロコの中に眠る闘志に火が付く。自分は、勇者を守る従者だ。主人を危険に晒す訳にはいかない。奴は、何としてでもここで止めてみせる。
守ってばかりいては勝機が掴めないことを察した彼女は、攻撃へと転じる。ゲイルの風弾、清太郎の巨剣が炸裂する瞬間を見計らって、全身全霊の魔力を込めた一撃を放つ。
次の瞬間、ファントムメサイアを縛り付けるように、無数の茨が地中より姿を現した。暴れ狂う茨は敵を感知すると直ぐ様襲い掛かり、その身動きを封じ込めようとする。
まるでそれは、味方への支援は、攻撃をしながらでも出来る、とでも言いたげな代物であった。仮にこれで敵が自由を奪われれば、ゲイルと清太郎がその隙を突いて攻撃を仕掛けられる。
勿論、相手の実力からして、そんなことはまず起こり得ないだろう。一瞬、一瞬だけでいい。僅かな時間であってもこちらに注意を引き付けることが出来れば、あとは二人が彼女を仕留めてくれるはずだ。

>ファントムメサイア、ゲイル・ベネルド、橋川清太郎
【非常に遅くなりました、申し訳ございません!】

30日前 No.1739

水刃一閃 @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【狭間世界/大雪原/ツバキ・オオトリ】

鋭い踵の振り下ろしは見事、氷像の一部を抉り取った。氷像の霧散とほぼ同時だった為にそれは決して痛打にはならなかったが、軽くもない一撃だったろう。何よりも、女剣士自身がこのままでは氷像は破られるだろうと理解した筈だ。
だからだろう。もう一人が行った強烈な衝撃波を受けつつ、状況が不利になりつつある事を逸早く察した女剣士は、霧氷と化した氷剣を手元に呼び戻す。それは、即ち決着の瞬間が近い事を意味していた。

体制を整えた女剣士が天空に無数の針を作り出し、番の剣を天へ向け掲げる。炎と氷の入り雑じった魔力が空に満たされ、それを受けた針が大嵐の様に地表一帯を破壊し尽くさんと降り注ぐ。その光景は正に爆撃が如く。全てを終わらせようとする女剣士が放つ、最後の一手。

「そうか」

炎と氷の針嵐が降り注ぐ直前だと言うのに、ツバキは変わらず酷く冷静でいた。まるでベタ凪ぎの海面の様に――或いは、嵐の前の静けさとでも言う様に。
針の嵐が爆撃の様に地表に降り注ぐ。その瞬間、その刹那――その、ほんの僅かな一瞬だけ。

・・・・・・・・・
彼女が口角を上げた。

「なるほど。認めよう」

直後、ツバキの目の色が変わる。無関心さと煩わしさばかりが見て取れた眼差しは途端に消え失せ、狂暴な獣の色へと変貌した。

瞬間、彼女は猟犬が如く駆け出した。炎が肌を焼こうとも、氷が身を切ろうとも、鋭い針が幾つも手足に突き刺さろうとも、まるで意にも介さず降り注ぐ針の雨を一目散に駆け抜ける。

無差別の広範囲攻撃にも穴はある。それはたった一ヶ所、しかし致命的な弱点――つまり術者の懐。ツバキはそれを戦術的にではなく、戦闘者としての本能として知っている。
そして、今女剣士は両手を天へ掲げている。それは即ち、反撃される事を考慮していない証。だからこそ、其処へ全力を叩き込めば必然的にそれが最後の一撃になる。

手傷を受け白雪に鮮血を撒き散らしながら、それでも止まる事無く駆けたツバキは遂に無防備なグランドナイトの懐に潜り込む。
右手へ意識を集中させ、水を集めて圧縮させる。無刀でありながら居合いの構えを取り、抜き身の殺意を女剣士へと向ける。その眼は今正に獲物に食らい付かんとする肉食獣の如く、冷酷に敵対者を射抜いていた。

「――お前は、斬るに"値する"」

ふっと白い息を吐く。体を捻り、積もった雪を右足でぐいと踏み締め、右手を逆袈裟に振り抜く。超高圧まで圧縮された水流は鋼の刃が如く研ぎ澄まされ、解き放たれると同時にグランドナイトの胴体を寸断せんと牙を向く。
即ちそれは必殺の一撃。この世に於いて比類無き究極の殺人奥義。無感情のその女を象徴するただ一つ。

解き放たれた刃は速き事光が如く。敵対者の身を引き裂くには、刹那さえ必要としない。超高圧で噴出する水の勢いを前にしては、如何なる護りも紙に等しい。下がれど避けられず、守れど受けられず――故に相対した者は皆、全てが終わってから気が付く事になる。


水刃一閃。それは正しく、只管に磨き上げられた、不可避の死である。

>>グランドナイト、ソレミア

28日前 No.1740

新時代の象徴 @sable ★uUzDVw4m3f_keJ

【狭間世界/時の墓標/アーケオルニ】

虚ろな時間の墓場。失われた可能性を待ち受ける行き止まりの地。かつてあった事をそのままにしておこうと働く力は、時の守護者達を飲み込まんばかりに勢力を広げていた。
我こそは正史なりと、咆え叫ぶだけの力を持たない敗者。彼らが雪のように降り積もり、やがて溶けて忘れ去られる場所に、一人の騎士が足を踏み入れた。
アーケオルニ・ランドグリーズ。竜狩りと称され、魔族の血を浴びることを生業とした戦闘狂。しかしそれも今となっては、過ぎ去りし日の栄光に過ぎない。中世に於ける戦いで、彼女は多くを喪った。

騎士の商売道具たる腕。己の血すら吸わせた愛刀。無敗のプライド。絶望的な損害と屈辱を受けてなお、戦い続けるのには訳がある。
喪った以上に、掛け替えのないものを手にしたからだ。それらは彼女に正しい生き方を教え、力を授け、仲間をももたらした。

そして今日この日。アーケオルニはまた新たな贈り物を授かり、戦場に帰ってきたのだ。

「義手にドラゴンの身体……いっぺんに来られちゃあ、慣れるのにも一苦労ってモンだ」

分厚い皮の手袋の下で、カタカタと音を立てる金属製の義手。未来の技術に驚かされる一方、やはり生身の左腕と比べてぎこちない部分も目立つ。
さらにもう一つ。そんな小さなイレギュラーなど一笑に付してしまう大変化――そう、誰の目にも明らかな竜族への転身だ。
強靭な黒翼。鱗に覆われた真紅の靭尾。当然外見だけでは終わらない。あらゆる能力が魔族と同等かそれ以上に引き上げられ、害虫も驚きの生命力には更に磨きがかかっている。
もう間もなく彼女を飲み込むはずだった呪いが、消えかかった命の灯火にマグマをぶちまけた。数奇な運命に振り回された末の大逆転とでも言おうか。

「よっ。覚えてるか?

かなり見た目が変わっちまったが、アンタに限って忘れるわけはあるまい」

堆積する歴史を踏みしめ、凛と見据える先にはヤツがいた。魔大将亡き後、龍と共に刃を交えた好敵手-ライバル-。
一切の理屈を抜きに、私情一つで再戦したいと願っていた。あの時自分は無力で、龍の影に隠れるようにして戦っていた。
秘剣を抜いて畳みかけはしたが、人の助けなくして命などなき身。歯がゆい思いをしたのは否定できない。
新たな時代に生きる騎士として失格かもしれないが、今は再び手を合わせられる喜びに狂おう。
どちらが流したかもわからない血に身を浸そう。戦って、勝つ。さもなくば、死ぬ。

二度と感じることはないであろう滾りに震えながら、騎士は好敵手の眼前に立ちはだかった。

>>魔剣士


【絡み失礼します!】

24日前 No.1741

Another Messiah @zero45 ★pB1cyTl1jZ_sxd

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟/ファントムメサイア】

 結界を手間取る事なく退け、六つの剣閃でロコの身体を切り裂くや否や、既に仕留めたものとして魔人は背を向ける。余裕、言い換えれば油断とも解釈できるその佇まいの訳は、徹底的な魔族蔑視の価値観か、敵を圧倒し得る己の力に相当な自信を持っているかの何方か、或いはその両方を抱くが故か。
 その解が何にせよ、彼女は背後の魔族が未だ存命である事には気づいてはいない。そして、仮に気づいていた所で、天上から俯瞰するが如し振る舞いを止める事はないだろう。彼女はまだ、この三人を対等に立つ存在であると認知してはいないからだ。

「ならんさ」

 その振る舞いが命取りになると告げるゲイルの声を、ただ一言で一蹴する。背後に展開された魔法陣に、果敢に飛び込んでくる彼の姿。十八番と言える速攻戦術に見切りをつけ、別の策である数押しで攻めて来たのに合わせて、更なる重みを武器にした清太郎の追撃が重なる。加えて、それらを盤石な物へと変えるのは、主人を守り抜く従者としての闘志を燃やしたロコの攻撃、暴れ狂う茨による強襲であった。
 だが、依然として魔人の振る舞いは変わらず。寧ろ、その嘲りを増幅させて、彼女は嘲笑を浮かべた。空いた左手に魔力を込め、自身の立つ大地を目掛けて解き放った瞬間、暴風が轟く叫びを伴いながら吹き荒れ、纏わり付いた茨を粉微塵に引き裂く。自らが宿す風の精霊の力、その片鱗を示すと共に、続く形で迫る刃を軽い動きで次々と往なして行く。後方から放たれる風弾、その一撃一撃が炸裂しようとも、魔人の身体は傷一つ付かず、その動きが鈍る事さえない。
 刃と刃を交錯させる攻防の最中で、彼女は後方へと退きつつも隙を見計らい、そのまま跳躍する。無数の剣閃の包囲網を抜け、上空から迫る清太郎の剛撃に合わせる形で魔剣を振り上げて迎え撃つ刹那、刃同士がぶつかり合う一点を中心に広がる衝撃波。絶大な質量が相手であろうと、魔人はそれを苦とせず拮抗を演じて見せる。

「私が"油断してやっている"間は、お前たちに勝ち目はない……」

 更に其処から力を籠めて剛撃を徐々に押し返し、そのまま天井へと叩きつけるが如くに剣を振り上げ抜く。攻防を終えた魔人は圧倒的なスピードで遠く離れた地上へと移動をして、三人の姿を視界に入れる。空いた片手を上げる動作をすると、掌の真上に急速な勢いで膨張していく巨大な火焔球。天井まで届くか否かと言う大きさまで膨れ上がるや否や、片手を下ろして前に突き出し、高速で火焔球を放つ。炸裂を許せば、戦場一帯が火の海となり、超高温が支配する灼熱地獄へと変わる事は相違ないだろう。

「精霊の力を全て引き出すに値しない、脆弱な下等に過ぎん」

>ゲイル・ベネルド 橋川清太郎 ロコ

24日前 No.1742

疾風 @sable ★AnOP9qQZrk_keJ

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟/ゲイル・べネルド】

綻びが見えない。その一事が不安を募らせた。完全無欠な戦士など存在しない。誰もが欠陥を抱えている。
それが露骨に大きく、誰の目にも明らかである必要はない。どれだけ小さかろうと。表面的なものでなかろうと。
見抜き、意識し、一たび突くことが出来たのなら、間違いなく流れを引き寄せられる。
つまるところ我々は、スタートラインにすら立てていないのだ。行き当たりばったりの戦闘の末に待つ結果など、想像に難くない。
単純な力のぶつけ合いも回避したいところだ。相手が誰であろうと消耗戦は願い下げである。
そうなれば、一刻も早く敵の弱点を把握しなくては。騎士団の長たる者、ゲームメイクの一つも出来なくては務まらない。

「そうだな」

慢心を超えた何かがそう言わせるのか、一蹴する魔人に苦笑交じりで返す。
自分の知るアンナローズは、精霊の力を借り受け引き出すことで、魔術を繰り出していた。
魔人までもがそうとは限らないが、もし仮に同じだとしたら。もし精霊の力なくして魔術を扱えないとしたら。
あの圧倒的な力の根源を突き止め、叩くことが出来た暁には――

「なら、命取りにしてやるまで」

虚勢でもいい。今は前進あるのみ。既に力で押されているというのに、精神面まで後れを取るわけにはいかない。
自身の数押しに続く清太郎の猛攻を凌ぐなり、退避し次の一撃の構えを取る魔人。
ゲイルもすかさず後を追い、ペースに乗せられるものかと距離を詰める。飛び道具の撃ち合いになれば、どちらが有利かなど火を見るよりも明らかだ。

短い時間に膨大な力を蓄えた魔人は、目を見張るような規模の火球を生成。間髪入れず地上へ向けて射出した。
あんなものが炸裂した日には、戦闘どころではなくなってしまう。ロコの結界が無力化されたことも加味すると、彼女一人に防御を丸投げしていては先程の二の舞になりかねない。
距離を詰めていたことを活かすべく、ゲイルは火球目掛けて突進した。自慢の神速で以て周囲を飛び回り、発生した風の刃によって切り刻む。
程なくして火球は崩壊を迎え、悍ましいまでの量の熱を吐き出した。接近していたことによる火傷も意に介さず、続けて繰り出すは暴風。
この熱を敵に向け、そっくりそのまま返してやろうという寸法だ。剣も属性弾も使えないが、完封された手を使い続けるよりは遥かにマシというもの。
広範囲かつ高火力な点はもちろん、続くであろう二人の動きを見え辛くする狙いもある。依然として戦況は厳しいが、連携を徹底すれば必ず追い風の吹く時が来る。

>>ファントムメサイア、橋川清太郎、ロコ

24日前 No.1743

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

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23日前 No.1744

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_sxd

【狭間世界/時の墓標/魔剣士】


一つ、懐かしき匂いを魔剣士は感じ取る。その姿は人の型として醜くも強靭、呪怨すら溢れ出でる生命は己が糧とした存在。表面など幾らでも変化しよう、しかしその魂魄を忘れるはずはなかった。
人間、そう称した。その名はアーケオルニ、竜狩りの二つ名もあっただろう。嘗て剣を交え、龍とはまた違う悦を見出した存在。あの場ではただ実力のみを見れば龍に劣ると言えよう、だがそれでも人間は生き抜いた。
臆さず、零れかけた命を気にも留めず、ただ勝利へと突き進む。果ては種族の壁など容易く打ち破ったそれを、喰らうべき強者であると認められねばその眼孔は風穴に等しい。この世界において暫定目標の一つであった。
あれからの成長を期待してはいた、あれは死地に飛び込めば飛び込むほどその魂を削りながらも鋭く、硬く、研ぎ澄まされるであろうと魔剣士は確信していた。だが見遣ればどうだ、本当の意味で種族の壁を破壊した。
決して与えられ、享受した訳ではない。己が内の死に至らん呪いを調伏し、それで尚陰る事無き魂。これを魔剣士は心の底から歓喜した、紅き瞳は爛々と輝き、その口元は深い弧を描く。
剣を打ち合わなければ程度が知れぬ、只の見掛け倒しとも取れる、挙句の果てには得た力に溺れたとも考えうるだろう。だがそれでも良い、魔剣士は人間の成長性こそが最も強き証と見ている。
例えこの場まで腑抜けていようが、力頼りの戦いしか出来ぬようになっていようが、死地へと追い込めばまた熟れるであろうと。さすれば、魔剣士を貫く剣は想定外の物へと至る、互いが血に染まり命を燃やし尽くす死闘を、叶えうるやもしれぬと。

「無論、覚えているともアーケオルニよ。肉体が変われど、魂までは変わらぬさ。」

紅き双眸のみを人間へと向ける、同時に長剣の柄に置いていた左腕でそのまま長剣を引き抜いた。異能の大半と右腕を封じられて尚重圧すら感じる威圧は衰えることはない、濃密な死の気配が周囲へと充満していく。
改めて人間の姿を見やる、片腕は人によって作られ、背には竜の黒翼、そして鱗を纏いし朱の尾。それでいながら半分は未だ人間のまま。歪だろう、されど一つの形とも呼べよう。人が目指し、辿り着いた可能性の一つとして。
魔剣士は振り返る、崩れかけた城塞の一角に二つの血狂いが互いを正面へと捉えた。片や存在そのものが血を、魂を、殺戮を望み続けるもの。片やそれと見えたが故に狂わされた存在。
交錯する視線は双方共に喜色を帯びている、最早どちらかが血に沈むまで終わらぬことは明白だろう。人間は死を覚悟し、尚勝利を渇望する。魔剣士は、上質な強者を喰らう事を定めた。ならば、後は決着のみ。

「ここへと来る意味は理解していよう、なれば―――」

人間が魔剣士に挑む訳ではない、魔剣士が受けて立つでもない。魔剣士は封じられ、人間は更に強くなった。そこに上位下位など存在しえぬ、あるのは血の中に生を見出した剣を持つ獣だけ。
互いに貪り、裂き、溢れ出る血を啜る浅ましき獣。だが、この瞬間はそれでいいのだろう。互いが望むからこそ、この場で再び対峙する。それ以上の理由など必要はないのだ。
魔剣士は焦げ付くような、痛みすら伴う悦楽の渦中にいた。これは、死ぬ。ああ、劣れば死ぬ、臆すれば死ぬ、退けば死ぬ、死の坩堝へと飛び込み続け、魂が微かな残り火となって漸く生を掴める。
久しぶりだ、死を意識するのは。使えぬ力がある?そんなもの戦いが始まれば言い訳にもならん。戦いを臨むなら常に万全であれ、今の魔剣士はこれこそが万全だ。それで尚、死を感じるからこそより昂るのだ。
故に―――

「―――共に、喰らい合おうか。」

―――捨て身の攻めこそこの場に相応しい。
僅かな土埃が舞うその刹那、魔剣士は音すら断ち切った。最短距離を突き進む縮地、単調とも愚直とも取れる直線の加速。その速度こそ目で追おうとすれば見抜けぬ程であるが、予測を立てれば対処は単純だ。
ならば何故魔剣士がそう動いたのか、答えは酷く単純なものだ。対処を立て、反撃の構えを取ればいい。如何なる反撃もこの身で受け止め、その上で貴様の命を刈り取ってやろうと。
狙いは身体の中点への神速の突き、続けて首を撥ねるためだけの鋭く研ぎ澄まされた横薙ぎ。鎧の存在で賄おうとすれば紙の如く突き破り、屍が一つ転がるだけ。様子見などではない、文字通りの必殺。
されど、魔剣士は確信に満ちた予測を抱いている。人間にとってはまだこの程度など、超えられると。もしや次に地に転がるは己自身とも考えていよう。最早あの時と違い、明確な強者など存在しえぬのだから。
飢えは未だ満ちぬ、されど眼前に広がるは至高の御馳走。苦すればさらに味を増す、夢の如き悦楽。なればこそ、この身を焦がす飢えの苦しみ程度は果てに待つ快楽への体の良い障害物でしかない。

そう、その剣は未だに血を求めているのだ。

>>アーケオルニ・ランドグリーズ


【絡みありがとうございます!】

23日前 No.1745

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_rxQ

【狭間世界/幾何学都市→終末/ユーフォリア・インテグラーレ】

決着の瞬間が訪れる。全身全霊を懸けたユーフォリアの一撃と拮抗する雷。両者とも一歩も譲らぬ戦いは、そのままであれば相打ちという形で幕を閉じていただろう。
しかし、そこで運命の分かれ目となる、ヴァルガスの波動が加勢する。均衡は破られ、二つの攻撃にミシャールは呑み込まれていく。同時に起きた爆発は、彼女の得物から発せられていた。
徐々に晴れ上がっていく視界の中、ユーフォリアは未だその場に君臨する敵の姿を見た。まさか、これほどの攻撃を叩き込んでもなお、倒れることなくその意識を保ち続けるというのか。
身体に残存する魔力は残り少ない。仮に、相手が戦える状態であれば、ユーフォリア達の敗北は決定的なものとなっていただろう。だが……あちらにも余力がないのは、誰の目にも明らかであった。

潔く敗北を認め、残骸も同然の状態となった斧を引きずり、闇へと消えていくミシャール。彼女が完全に視界から消えたことを確認すると同時に、ユーフォリアは地面に倒れ込んだ。
腹から血がせり上がってくる。やがて口元から溢れ出たそれは、彼女の軍服を赤く染めた。相当に危険な状態であったが、幸いにもヴァルガスがすぐに救護を要請してくれたようだ。
彼はそのまま、ユーフォリアに寄り添う腹積もりでいたらしいが……過去から招かれし存在である彼に、制限時間が訪れてしまう。突如、空間に走っていく亀裂。
この疲弊した状態で、そこから逃れることなど、不可能に等しかった。ユーフォリアも行動不能に陥っている以上、彼が強制送還されるのを止める人物は、誰もいない。

「……全てが終わったら、必ず」

今回の戦いを経て、ヴァルガスの心境にどのような変化が生じるかは分からない。歴史の修正力というのは恐ろしいもので、結局は何も変わらないという可能性もあり得るだろう。
だが、"未来を知る者はいない"。既に知られている通り、古代と中世では正史が書き換えられ、新たな歴史のページが刻まれている。もしかしたら、ヴァルガスも、違った道を歩むかも知れないではないか。
彼は時空防衛連盟における戦闘で死亡したことが確認されているが、仮に歴史是正機構に加担することがなければ、あの日あの場所に居合わせることがなくなれば、運命は変わるかも知れない。
だからこそ、ユーフォリアはヴァルガスの去り際に言い残した。全てが終わった時、必ず会いに行く、と。そのためにも、立ち上がらなければ。連盟の総統たる自分が、こんなところで倒れ伏している訳にはいかない。
それからしばらくして到着した救護班の処置を受けた後、彼女は傷だらけの身体を無理矢理動かして、終末を目指す。かけがえのないこの世界を護るため、最後の戦いへと臨むべくして。



途中、何度も気を失いそうになりながらも、使命感と意地で耐え抜き、遂に狭間世界の最奥へと足を踏み入れたユーフォリア。待ち受けていたのは、大勢の仲間達と、異様な景色であった。
明滅する空、そこにちらつくのは、様々な時代の残滓。まさしく時の終末と呼ぶのが相応しいその光景を見つめた後、彼女は空間の中央に佇む、天女の如き女性へと視線を移す。
時空神。一般的に、神は存在しないというのが常識となっている時代を嘲笑うかの如く、それはそこにいた。透き通った瞳が、人類の重ねてきた過ち全てを見通す。

「私達は、歴史を操るということの重大さを認識出来ていなかった。これが、消えた世界線の嘆きが降り積もった末の出来事だということは重く受け止めなければならない」
「それでも、私達は明日を生きるためにここに立っている。たとえ正史ではなかったとしても、この世界は、私達にとっての正史、たった一つの世界線」
「……貴方があくまでそれを破壊するというのなら、私は止めなければならない。今あるこの時空を護ることこそが、時空防衛連盟の責務よ」

威圧感すらも漂わせる神を前にして、ユーフォリアはそう言い切ってみせた。この世界線が、改変を重ねた上に生み出されたものであることは、もはや疑いようのない事実。
それでも、ユーフォリア達にとっては、これが正史であるのだ。彼らは、他の世界のことを知らない。たった一つの世界の上で、一日、一日を生き抜いている。
神であろうと、そこに生きる者全ての存在を否定し、無条件に消し去ることが許可される道理が、どこにあるだろうか? そんなことをしようものなら結局、彼女も人類と同じ穴の狢ではないか。
認めない。大切な世界を消させなどしない。終末に集った英雄達の前へと進み出るユーフォリア。彼女が地面を蹴り、飛翔したその瞬間―――人類の歴史を、時空を護る戦いが始まった。

>時空神クロノス、シフォン・ヴァンディール、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー
【大変お待たせいたしました。最終決戦を開始いたします。このあと、クロノスのレスを投下する予定ですが、先んじて攻撃のレスを投下しても構いません】

23日前 No.1746

新時代の象徴 @sable ★pFQdggvJOO_keJ

【狭間世界/時の墓標/アーケオルニ】

 心底安心した。覚えていてもらわなくては困る。あの血沸き肉躍るような戦いからずっと、再戦だけを考えて生きてきたのだから。
 飯を喰らう時も。風呂を浴びる時も。夢の中までもだ。手術の最中、麻酔によってもたらされた眠りの中でも、きっと魔剣士のことだけを考えていただろう。
 殺戮兵器としての日々に未練があるわけではない。これからは太平と協和の世。全て受け入れ、納得し、新しい王国に尽くす心づもりでいることは確かだ。
 しかし、それとこれとは話が別。執着を捨て去ることは出来ない。持てる全てを注ぎ込んでも。正々堂々、勝負師としての規範に則ったとしても。未練が残るのが人間の嵯峨というもの。
 きっと訪れないと思っていた好機。当然だ。自分は衰えた。ボロクズのような姿で一命をとりとめた時は、本気で死を選ぼうと思った。人間としては首の皮一枚繋がったかもしれない。だが騎士としては、真っ二つどころか微塵に切り分けられたに等しいのだから。
 そこへ舞い込んだ幸運。掴まない手はない。龍は己を喰らい、己は龍を喰らった。その末に、蘇った。見た目は歪んだだろう。醜いだろう。

 だが、騎士としては永遠の美を手に入れた。それだけで十分だ。

「ああ、汁も飲み干してやる」

 その刹那、魔剣士は動いた。直線。最短距離。双方を隔てる空間が消失したかの如く。一瞬などという表現が生ぬるく感じられるほど。これだ。その暇があるなら、身震いや舌なめずりの一つもしていただろう。
 相変わらず、目で追うことは出来ない。動き始めた瞬間から見失っていた。だがこれでいい。見えないものを見ようとする必要はない。求められるのは、反応。
 敵が真に迫った時。眼前で刃を振り下ろさんとする時。その生死を別つ瞬間さえ見切れるのなら、対処は不可能ではない。
 今の自分なら可能だ。数多の死線を潜り抜けて培った洞察力。瞬発力。そこへ魔族の優れた身体能力が加わったなら。出来る。叶えられる。初戦で夢幻に過ぎなかったことも。

 見えた。神速の突き。身体の中心に狙いを定め、鋼鉄だろうと突き崩す構え。受け止めるのは賢くない。故に、身を翻していなす。
 続く横薙ぎ。初撃を躱されての追撃には最適だ。上方に逃げでもしなければ、これで決着を付けられる。回避は間に合わない。ならば。

――ピシッ。

 硝子に亀裂が走るような音と共に、刃は静止する。止めたのは、当然鎧でなければ、剣でもない。
 指だ。それも右手の親指と人差し指の二本のみ。菓子をつまむような形で以て、首を狙った一閃は封じられていた。

「失望はさせない。小手調べにヒィヒィ言うのも卒業さ」

 目を見据えて言い放つなり、獲物に手をかける。他ならぬ魔剣士の手によって断ち裂かれた、在りし日の巨剣。諸手に構え間髪入れずに二斬。
 右、袈裟斬り。左、逆袈裟。さらに右の刃を手放し、あろうことか尾の先端に握らせての逆風。振り向きの速度は、小さく展開した黒翼によって高められている。

 見た目の変化など些細なことだ。本質的には、何も変わっていないのだから。ありとあらゆる要素を己が利とする戦法もまた、変わることはない。

>>魔剣士

22日前 No.1747

時空神 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_rxQ

【狭間世界/終末/時空神クロノス】

時を司る神の元を訪れる者達。その一人目が姿を現すと同時に、彼女は目を開けた。立っていたのは、時空防衛連盟の司令官を務める存在であり、古くから総統と親交のある重鎮、シフォン・ヴァンディール。
シフォンは語る。人類は自らの行いを悔いはしても、恐れを抱くことはないと。クロノスが怒りを鎮め、人類を信頼する時まで、戦いをやめるつもりはないのだと。
過ちを認め、受け入れた上で次へと進む覚悟なのだろう。時空神はそんなシフォンの態度を目にし、僅かな期待を抱きつつも、あくまで表情を崩すことはなく、厳しい視線を投げ掛ける。

二人が沈黙を続けていると、やがて、この場に新たな来訪者が現れた。黒髪の魔法使い、とも称するべきその人物は、元はと言えば異なる世界より呼び寄せられた者。
そうした人物が何人か存在することは、クロノスも把握している。彼らは状況に困惑しつつも、各々の信念に応じて立場を選び、激動の時代へと身を投じてきた。
わざわざ、危険を犯す意味はない。何せこれは、彼らにとって関係のない世界での出来事。知らぬ顔をして、安全圏から眺めることだって可能であるはずだ。にも関わらず、ここに足を踏み入れることを選んだ彼女からも、時空神は並々ならぬ覚悟を感じ取る。

来訪者の増加は止まらない。続くは奇術師。彼ははじめ、柔らかな態度で言葉を紡ぐが、クロノスの行動、正史で世界を塗り潰し、あるべき姿へ戻すという選択を、傲慢と切って捨てる。
それは間違いであると断言してみせた彼は、時空神が憎悪に堕ちたのであれば、目を覚まさせるのが部外者の仕事であると語る。故に覚悟は、疾うの昔に決まっているようであった。

一人一人の言葉を傾けている内に、気付けば終末は人で溢れていた。クロノスの視線が、順番に彼らへと向けられる。その瞬間、彼らが感じるのは、形容し難き、神の威厳。

―――赤髪の司令官。一度は塵殺の道を歩みながらも、傍にいる者の言葉と、己の意志によって踏み留まり、正しき道への復帰を果たした男。
―――金髪の女性。総統の妹であり、長きに渡る決別の末、、己の本心と向き合い、ようやく姉妹の絆を取り戻した人物。
―――機械兵器とも取れる外見を持つ電子生命体。人ならざる存在でありながら、人よりも人らしい心を持つ、心優しき災厄の残滓。
―――青髪の少女。愛に飢え、愛の意味を知り、惰性の安息を捨て、自らの居場所と友人達を守る覚悟を抱いた者。

そして最後、真打ちが登場するかの如く、時空防衛連盟総統、ユーフォリア・インテグラーレが、終末に現れる。彼女はこの時空を護ることこそが連盟の責務であると語り、神であろうとそれを害するつもりであれば、戦わなければならないと宣言する。
一歩前へと進み出た彼女が、大地を蹴ったその瞬間、人と神の戦いが幕を開けた。クロノスは迫り来る敵を見やる。人類が語った、それぞれの覚悟。だが、口だければ、どうとでも言える。
重要なのは、どんな状況においてもそれを捨てらずにいられるか。それが確かめられるまでれば、彼らを信用することは出来ない。それほどまでに、人類は禁忌を犯し続けてきたのだから。

「人の子達よ。消えた世界の嘆きが聞こえますか。貴方達の犯した罪は計り知れない。私は、人類の存在が世界にとって害悪であると判断したからこそ、決断を下しました。あくまで、運命に抗うというのであれば、私も容赦はしません」

クロノスは態度を変えない。人類の罪を許すつもりは現段階ではなく、彼らが如何ような覚悟を持ち得ていようとも、存続を認めるには足らない。人が存在する限り、今後も時空が乱される可能性は残り続けるだろう。
たったこれだけの者が覚悟を抱いたところで、それを防ぐことが本当に出来るのか? 一握りの人間が改心したとしても、必ずそれに逆行する者が、歴史是正機構のような者達が必ず現れるであろうことを、時空神は知っている。
故に、信用出来ないのだ。彼らの言葉が。時空を超える力を手にした人類が、それを悪用しないなどという未来が見えない。いずれ同じことが繰り返されるであろうことを、彼女は予想していた。
眼前まで迫ったユーフォリアを前に、クロノスはゆっくりと右手を横に突き出し、指を鳴らす。人類は目の当たりにすることだろう。時空神の持つ、恐るべき力の片鱗を。
敵に向かっていたはずのユーフォリアが、時間の逆光によって、強制的に地表へと戻されたその瞬間を。時空神の力によって、攻撃そのものがなかったことにされてしまった瞬間を。

>ユーフォリア・インテグラーレ、シフォン・ヴァンディール、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー

19日前 No.1748

迷う者 @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【狭間の世界/狭間の最果て/ヴァイスハイト・インテグラーレ】

赤黒い空に荒廃した大地――狭間の空間。幾度と無く時空を改変した報いを顕す、戒めの世界。
全てに決着を付けるべく、世界の主との決戦が始まったその頃、またある処では一つの因縁が終わりを迎えようとしている。



――俺は、何のために戦っている?

一人狭間の世界を歩くヴァイスハイトは迷っていた。本部でのフォッサとの諍いからずっと、彼の心の中には言い様の無い迷いが燻っていた。

"あの男"への怒りと憎しみは、今もこの胸の内で燃えている。感じた炎が如き熱意は全て真実だ。だと言うのに、この心は酷く虚ろでいる。
あの男は倒さなければならない悪だ。ただ生きているだけで多くに不幸を撒き散らす災厄だ。だから、あの男に引導を渡す事に間違いはない。

――では、誰のために?

「勿論、あいつの為に悲しむ全ての人の為に……」

つまらない自問へ、英雄的な答えを返す。ああそうだ、巨悪を討つのは英雄の務め。全ての人々の為に戦うのが理想的な姿だ。
だと言うのに……口にした言葉は酷く空虚で、致命的に何かを見失っているように思えた。本当に大切なものを、見落としているのだろうか。何も考えないように努めていても、ボタンを掛け違えた様な違和感が胸の内でざわついて離れない。


継ぎ接ぎだらけの異空間を歩き続けた先に、彼は閉ざされた空間へと迷い込む。
其処は永遠に暗闇が続く大広間。視界を遮るものは何も無く、ただ一人世界から放り出されたのかと錯覚する程の静寂と漆黒が広がる最果て。

「……来るか? こんな処まで」

いいや、必ず来る。無意味な問いだ。自分自身に嘘は吐かない。どんな時でも、必ず決着を付けに来る。その点で言えば、あの男は――バビロンは誰よりも誠実だ。

だから、ヴァイスハイトは待っている。胸の内でざわつく違和感と、未だに振り切れないでいる迷いを抱えたまま、彼は"その時"を静かに待っていた。

>>(バビロン)

18日前 No.1749

ダン・マッケーニ=バビロン @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_sxd

【 狭間世界/スラム→移動開始/ダン・マッケーニ=バビロン 】

 踏み躙った。踏み砕いた。
 称賛し礼賛しお前は素晴らしいとこれほどにないまでに褒め称えた上で、ダン・マッケーニ=バビロンは叩き潰した。
 それも――理屈の一切が介在しない残酷な答えによって。
 お前は確かに素晴らしいが、"俺の想いには届かなかった"という解答だけを提示して。
 オーネット・ブラッドレイを即死させんが勢いで降り落ちる"拳"。
 柔らかなはずの大気がただの拳だけで引き裂かれるという、常人どころか天才ですら理解が追い付かない現象の発生。
 吸い込まれるようにして直撃/暴力的なまでの威力を発揮。壁へと叩きつけ、その意識を刈り取った。

 バビロンは真っ直ぐに高みへと昇り続ける。
 一つ喰らえば、また一つ/傷口を蝕まんとした吹き荒れる氷を"知るか"と気合だけで打ち砕き。
 もう一つ喰らえば、世界へ手を伸ばす/降り落ちる魔神の拳を、そうこなくてはと片手のみで受け止めた。

 誰がこれを、人間と呼べるだろうか。
 否、――否、ただただ、否。怪物<バケモノ>だ。
 対峙した相手の常に上を行き、必ず逆転する力を秘めた存在など、化け物という単語以外の何で語れようか。

「おいおい――なんだそのザマは、ええ?
 お前達は本当に世界を救う時空防衛連盟か?
 何故覚醒しない、何故立ち上がらない……時空の神を相手に立ち回る英雄達のようによォ!?」

 そのくせ、バビロンが求めるのは英雄だ。人類の輝きを実現してみせろという最低最悪の無理難題。
 人の業を咎め、その結論として破滅を突きつけた時空神が見れば真っ先に消し飛ばさねばならないほどの大欲。

 オーネットより反応はかえって来ない。返ってくるはずもない。意識を刈り取っているのだから。
 "その程度だった"とバビロンは即座に結論づける。そして、狭間の向こうへと視線をやった。
 感じ取ったのだ。己にとっての"最有"がそこにいるのだと。
 焔の翼/レオンハルトのように約束された末路を抱く英雄でもない。
 粛清者/イルグナーのように堕ちるのを待つだけの処刑人でもない。
 改革者/イスマリアのように盲目の正義を振りかざす狂人でもない。

「信じていた。
 信じていたとも。お前は俺と同じ、"ただの人間"なのだからな――」

 口元が歪む。
 怪物が見出した獲物。かつては己と同じただの人間でしかなかった男の末路に立とうと決めたあの日から。
 待ち焦がれていたのだ。何者にもなれず、何色の輝きも発することのできない男を"見てみたい"と待ち焦がれていた。
 彼は必ずやってくるだろうという確信はあった。根拠はない、――だが、"必ずそうなる"というものだけはあった。
 そして自分は、それを出迎えるのだ。魔王のように/英雄のように、"待っていたぞ、愛しき英雄"と両手を広げて。

「――ん」

 それを確認した瞬間から、この場における一切の興味が失われた。
 足元に形成された段ボールの塔を"何だこれは"と、一つ足を踏み鳴らすだけで叩き潰す。

 ・・・・・・
「まだいたのか?
 帰ってくれよ興味はないんだ。
 覚醒も出来ず、死の淵より立ち上がることも出来ない漢に何の価値がある?」

 激震。
 コンディションは最高潮/ただの踏み鳴らしですら、狭間世界の大気が恐れおののき遠ざかるように。
 ダン・マッケーニ=バビロンという男を爆心地とし、走る衝撃波がダンボールを砕き、そのままショパンまで迫りゆく。
 その結論など、どうでもいい。何故なら今この瞬間より、彼は"敵としてみなされなくなった"。

 そのまま、狭間世界の向こうへと去ってゆくバビロン。
 彼の眼にはただ一人しか、映っていなかった。


【 狭間世界/→狭間の最果て/ダン・マッケーニ=バビロン 】

 継ぎ接ぎだらけの異空間。狂ったテクスチャが何処までも支配し、続いていくとさえ錯覚させられてしまいそうな場所。
 この地に秩序というものはありはしない。ただただ非対称で、無秩序な空間のパッチワークがそこに存在している。
 常人が長居しようものならば、精神に重篤な異常をきたすのは間違いないだろう。
 何故なら、自分が何処にいて、何者で、何処が足場かも分からない空間に――最悪、閉じ込められるのだから。

 だが、そのような空間であっても終わりはある。
 それも普通の終わりではない。時空神の領域と化している"終焉"ではなく、ゲームのバグが生み出したかのようなエリア。
 突如として空間が断絶され、定規で綺麗に切り分けられたかのように暗闇が永遠に続く領域。
 真っ黒に塗り潰されているにもかかわらず、視界/最低限の光源だけは何故か確保が出来る異質な空間。
 ……それをなんと呼ぶのが相応しいか。大半の人種はこう答えるだろう。


 即ち是、最果てである。


「よォ、何週間ぶりだ?
 俺にとっては昨日のことのようにも思えるがね――」

 ヴァイスハイトの見立てに狂いはなく。
 何処までも誠実で何処までも真面目で何処までも本気で何処までも真摯であるその生き様を体現するように。
 命の刻限を告げる死神のように、彼の目の前に深黒がシルエットを成して浮かび上がってきた。

 それこそ彼/ヴァイスハイト・インテグラーレが追い求めてきた宿敵――ダン・マッケーニ=バビロンに他ならなかった。

「神話越えか? 復讐か? 何れにせよ、俺は分かっていたさ、お前は必ず俺の前に現れる。
 他の奴らは別の答えを探しだし、解答することが出来たが――お前は違う。それだけは確かだった」

 言うがままに、バビロンはヴァイスハイトの下へゆっくりと歩いていく。

「俺は一目見た時から、確信していた。英雄を見るのはいい、だが、俺もどうも満たされなくてね。
 そんな時、お前が現れたのさ。無能で、何もできず、ただそこにいるだけの凡人。
 天地を割り裂き、世界を砕く力も無ければ、天才的な頭脳で一軍を滅ぼす作戦を展開できるわけでもないお前が」

 貶す意図は、一切ない。
 寧ろその真逆。バビロンは褒め称えている。
 度を超えた人類愛を提示し続ける男が、この時に限っては"心の底から"称賛している/ヴァイスハイトを。

「雷鳴が走ったようだった。
 マグマの底に投げ入れられたようだった。
 お前はなぜそこにいる。何を思って、何を考えて、怪物どもと渡り合おうとしている? ――ああ、そうだ、これしかあるまい」

 それはもう、人間をやめている。
 纏う空気の何処を切り取っても、ダン・マッケーニ=バビロンはもう手の届かない世界へと行ってしまった。
 歩む。歩む。歩みを止めぬ――そして目と鼻の先に立った時。

    、 ・・・・・・・・・
「――お前は俺と同じただの人間だからだ」

 突き付けた。
 "ただの人間"であるという、普遍的な事実を――ゆっくりと、言い聞かせるように。

「……やろうじゃあないか。
 俺に見せてくれ。人類の輝きというものを。
 命を! 心を! 魂を! 何もかも燃やし尽くして放ち続ける人類の炎というやつをッ!」

>ヴァイスハイト・インテグラーレ (ショパン、オーネット)

18日前 No.1750

電子の詩人 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【お相手感謝ですー('ω')】
【狭間世界/スラム→移動開始/ショパン】

 ダンボールは破れ散り、覚醒もできず、死の淵から立ち上がらない男と言われてバビロンを犬のように唸り睨む。
 その身が数十年に渡って蝕んだ病で衰弱しようとも、伯爵夫人に支えられ音楽を紡ぎ続けた『ショパン』の記憶が、まるで自分事のようにショパンを唸らせていた。
「……人の気も知らないで」
 苛立ちが隠しきれない声色で呟くと、地面が大きく揺れ始める。
「な、何?」
 体感した事がないので、びくびくと身を縮こみ、辺りをキョロキョロと見渡すと衝撃波が襲いかかりショパンの細い体は、飛ばされ地面に叩きつけられ元の白いライダースーツに戻ると、黒陽は向こう側へと去り行くのを、地面に伏せたまま見送っていった。
 この涌き出る感情は前にもあった。
 祖国の為に銃弾ではなく音符を持って戦えと託された結果、全てを灰にせんとする驚異の蹂躙を見るだけしかできなかった『ショパン』の虚しさと悔しさが、ショパンの感情を支配しひわ色の目元に涙を溢す。
「"また"だ……また僕は……」
 過酷な戦場で耐えきれない、脆弱な過去の体。
 ただ心の衝動を引き金に能力を発動するだけの常人が立ち向かえられない、強大な力に敵として見なされなかった弱い今の自分。
 現実を覆すにはあまりにも足りなかった、何も変えられなかった過去と重なって仕方がない。
 けど、一つだけ小さい事だができた事はあった。ふらりと立ち上がり、土埃を払ってオーネットの元に歩く。
 自分が攻撃した事により、オーネットが衝撃波の被害が最小限になった事である。
「……」
 一歩ずつ、衝撃波に吹き飛ばされたオーネットに歩み寄る。
 『彼』が抱いたこの感情はこういう感じだったのだろうか、記憶から湧く感情は他人事よりも自分事寄りに動かされる、フレデリック・ショパンを冠した楽器ははっきりと言えない。
 一歩ずつ、一歩ずつ。
 白いブーツを動かすと、オーネットの元に辿り着く。
「……帰ろう」
 重そうに性別があやふやな体を持ち上げ、オーネットを背負い込むと。
 救助隊の助けがくるまで、狭間世界をしばらくの間さまよっていた。
>オーネット・ブラッドレイ ダン・マッケーニ=バビロン

18日前 No.1751

鬼司令官 @sable ★BxoqAARIcw_keJ

【狭間世界/終末/シフォン・ヴァンディール】

 暫しの沈黙。言葉だけで説得できるはずもない。何故なら相手は神……この舞台を用意し、怒れる正史たちを差し向けた張本人なのだから。
 彼らの嘆きを直に聴き、怒り、涙した時空神。彼女の心を変えるには、戦って勝つしかない。幸い、この場には優秀な面々が集っている。皆気合と覚悟を備え、時空の守護者に相応しい面構えだ。
 我らが総統、ユーフォリア・インテグラーレ。姉の心を汲み、支えると決めたフォルトゥナ・インテグラーレ。そしてレオンハルト・ローゼンクランツ。光差す道を歩むその足取りに、何よりも安堵させられる。
 気心知れた者たちの他にも、頼もしい戦士が勢ぞろいしている。戦力に恵まれたことを内心喜びつつ、神の動向を窺う。

「罪を犯したことに違いはありません。それでも私は、咎人なりに勤めを果たしてきた。もちろん彼らも」

 開幕早々、突撃するユーフォリア。これでいい。天祐は我らにあり。今は戦いの先に待つことなど考えず、ひたすら前進あるのみ。それなくして、人類に未来など無いのだから。
 親友が接近戦を仕掛けたのなら、自ずと自身の役割も決まってくる。得意の防御と遠距離攻撃による後方支援だ。他の味方の様子にも気を配り、必要とあらば直接の援護も可能。
 膨大な魔力が生み出した無数の氷弾は、風を切る時を今か今かと待ち受ける。さあ、親友の初撃はどれだけの戦果を挙げるのか――

「!

まさか……」

 一転、目を疑うような光景。時空神が指を鳴らすと同時に、ユーフォリアは地上に立ち尽くしていた。地を蹴り飛翔し、先制攻撃を仕掛けようとしたにも拘わらず。
 一瞬とはいえ駆け引きを見過ごしていた、なんてことはあるはずがない。

 確かに彼女は"巻き戻された"。

 時空神の何たるかを、時を操ることによって知らしめたクロノス。思わず呆気にとられるも、すぐに我に返り周囲を見回す。この現象で戦意を削がれた者がいないか、少し不安を感じたためだ。

「怯まないで!攻めて攻めて、攻め抜くの!

これが最後の――決戦だから!」

 激励。全員の士気の鼓舞を試みる。終末全域に響くほど高く、強く、凛とした声。蘇る。軍にいた頃の、ガムシャラに駆けずり回った記憶が。
 筋が通るのならば、尻を引っ叩いてでも立ち上がらせる。鬼司令官のお出ましだ。待機させていた氷弾を、今度こそはと全て射出する。
 続けて繰り出すは、竜巻も同然の烈風。その中心に稲妻を走らせ、必殺の『ライトニングヴォルテックス』へと鍛え上げた上で差し向ける。
 さらにダメ押しとばかりに張り巡らせるは、味方全員に対応した薄い魔力の防護壁。大した防御力は無いが、軽い弾除け程度には丁度いい。吸収する技術があれば、魔術の威力増大にも応用できる。

 我らに停滞はなし。反転もなし。ただひたすら、未来を信じ攻め倒すのみだ。

>>時空神クロノス、ユーフォリア・インテグラーレ、フォルトゥナ・インテグラーレ、レオンハルト・ローゼンクランツ、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー

18日前 No.1752

忠犬 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_rxQ

【狭間世界/血塗られた島/ロコ】

膠着した状況を打破するべく、攻撃へと打って出たロコ。支援に徹していた彼女が突如それに転じたことは、敵に撹乱の効果をもたらし、味方の攻撃の成功率をも上昇させる……はずであった。
今目の前で繰り広げられているのは、ファントムメサイアの独壇場だ。左手から放たれた魔力が暴風を呼び起こし、絡み付いていた茨をいとも容易く粉塵へと変えてしまう。
そうこうしている間にゲイルの風の刃が迫っていたが、彼女がそれを受けたのにも関わらず、身体に傷が刻まれる気配はない。魔族をも凌駕するであろう異常な耐久力に、ロコは険しい表情を浮かべる。
上空からの清太郎の攻撃も、当然のように通用しなかった。三人の攻撃を一瞬の内に無力化した敵は、瞬時に地上へと移動すると、流れるような動作で反撃へと移り、極大の火焔を差し向ける。

「そんな……化物以外の何ものでもないのであります。私に出来ることは……」

ロコは考える。ここで、自分が取るべき最善の選択肢は何であるのかと。最初に展開した結界が破られたことからして、同じことを試みたとしても、結果は変わらないだろう。
されど、誰かが防御をしなければ、三人が一斉に灰へと変えられてしまう可能性もある。ならば、自分が戦闘不能に追い込まれる危険はあれども、少しでも被害を軽減するべく、身を投じるべきか。
彼女がそう決断して行動を起こそうとしたその時、ゲイルが前方へと躍り出る。何を思ったのか彼は、自ら火球へと突撃し、周囲を飛び回りながら風の刃でそれを切り刻んでいく。
やがて、限界を迎えた火球は崩壊し、周囲に膨大な熱が放出される。明らかに火傷を負っている様子のゲイルを見て、ロコは己の至らなさを悔やむ。自分がしっかりと防御を出来ていたのであれば、このようなことは起きなかっただろう。
それでも、逃げるという選択肢はない。ここで敵に背を向けることは、共に戦っている二人に対する裏切りに等しいからだ。ゲイルによって熱は敵へ向かって跳ね返され、清太郎も鉄球による破壊力を重視した一撃を放つ。

「やはり私は、こうするべきなのであります!」

不得意なことを無理にやろうとしても、結果は伴わない。それなら、相手がこちらの意図を見透かしていようと、通用しないと嘲笑おうと、得意分野で勝負しようではないか。
少し長い詠唱から、両手に蓄えた魔力を敵の足元へと向けるロコ。すると、突然地面が液状化して底なし沼のようになり、相手を地の奥底へと引きずり込もうとする。
十中八九、脱出されるだろうが、僅かな時間でも動きを鈍らせることが出来ればいいのだ。そうすれば、二人の攻撃が通りやすくなり、大きな効果を期待出来る。
誰かの力となること、誰かの支えとなること。それこそが、ロコの本質。たとえ名も知らぬ相手であっても、味方であれば、彼女は命を賭してでも、それを護るのだ。

>ファントムメサイア、ゲイル・ベネルド、橋川清太郎

18日前 No.1753

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_sxd

【狭間世界/時の墓標/魔剣士】


空間すら穿ち貫く長剣の刺突、余波でさえ斬撃と化すそれを人間は身を翻すことで無力化する。されど魔剣士は口に浮かべる弧を深めるばかり、既にこの場に居るのは生の為に生を削る幽鬼のみ。
さすれば続く両断の一閃が二指のみで止められたとて浮かぶ表情は驚愕ではなく、歓喜。振るった剣が、幾度も吹く塵の如く命を奪い続けた剣が、こうも止められている。そして、殺すために振るったそれを小手調べとまで称している。
笑みは深まり、瞳の輝きは最早活力の域を超え始めている。その瞬間、魔剣士が剣を引き抜き、人間が得物に手をかけたのは寸分の違いもなく同時であった。嘗て断ち割った巨剣を二振りの剣へと昇華したそれは振るわれた。
迫る二対の剣、魔剣士の身体を交差点として放たれる斬撃。それを交差点に被せる様に長剣を振るう、斬り流された二対共々は交差を描くことなく中途で交わることになる。されど人間の連撃は終わらぬ。
右の剣を手放せば新たに生えた竜の尾を腕のように用い、下から胴を両断せんと振るう。股下から放たれる剣、剣の長さを差し引いても防御は不可能に等しい。防御に気を逸らした後に狙うには余りにも効率的だろう。
避けるには単純だ、剣の範囲から逃れるだけでいい。数歩、後ろへと下がれば凶刃はただ空を切るのみ。だが魔剣士に退くと言う選択肢はない、距離を取るつもりもない、あるのはただ攻めのみ。
故に、この距離での反撃。振りぬかれる剣への対処は単純だ、右脚を僅かに内側へ滑り込ませ、足甲を用いて剣の腹を押し出す。幾重か金属の断つ音が響くも、動けぬ傷は負わず、眼前にあるのは一瞬の死角を晒した背。
長剣の中腹へと握り直し、半歩踏み込む。

「好い、失望などするものか。」

ただでさえ切っ先が届く距離であると言うのに、魔剣士は更に距離を詰める。二対の剣、好い。竜の尾、好い。されどどちらも懐に詰められれば無用の長物、剣は振るえず、薙ぐだけの尾など耐え様は幾らでもある。
無論、その弱点は魔剣士も同様だ。身の丈と同等の長剣は振るえばその長さ故の破壊力を持ち、鈍らに見える刃も持ち手が彼女ならば業物。しかしそれは振るえればの話、閉所ならば閉所事斬ればよいが懐に入られたならば蹴り出す程度しか対処はない。
それも咄嗟に行わなければ懐に入った敵が何もせずにいる訳はない、詰まる所幾ら振り返る速度があろうとも一瞬でも死角を見せ、懐に入られれば人の形をしている以上対処は厳しい。
しかし人間には竜の翼がその背にあるだろう、それを考慮に入れぬ訳がない。むしろ、軽率に飛ぶならばそれまでの事。空に居るものを迎え撃つことと、地に居るものを迎え撃つ事、剣を用いるならばどちらが容易いかなど分かり切っている。

「アーケオルニ、貴様はまだ生きているだろう?」

言外に生きようと足掻き続ける限りは喰らうべき対象であると語りながら、人間の振り向きに合わせて短く持った長剣を突き刺す。致命には至らずも、確実に傷を与えるだろう。それは力や技量による技ではなく、状況や武器の不得手を利用した技。
ある種の覆すに覆せない決定だとなるもの、剣を振るえばその分隙は出来よう。どれだけ極めても僅かな隙は生じる、その合間を的確に瞬時に突けるものが居るならばそれは確かに強者だろう。
そんなごく当然の事を利用しただけに過ぎない、剣を振るうならば腕の内側には剣を触れず、尾を身体を用いて振るうならば背を見せる。それをただ的確に突き、喰らう為に躊躇もない。
だが、それでも魔剣士は超えるだろうと確信している。手傷は負うかもしれない、だがそれだけで終わるならば既にその身は骸だろう。ならばこの策を弄した物ですら上回り、この身に傷を与えると。
飢えを癒す血を、己の血であっても人間ならば流せると。
この一振りの剣の終わりを飾るに相応しき、紅き海を生み出せると。
ただ、願うのだ。

そう、この剣は未だに血を求めている。

>>アーケオルニ・ランドグリーズ

17日前 No.1754

ジークリンデ・エレミア @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=66hUEMgB70

『狭間世界/終末/ジークリンデ・エレミア』

終末の場に集結する仲間たち。
この場に集結する仲間達は皆、口にする言葉、胸の内に秘めた覚悟、想いは違う。
彼らは今、共通の相手を前にし立っている。
異世界人である自分も関わっている以上もう後戻りはできない。
目の前に起きている事象から眼を背けない。このまま黙って運命に飲まれて消えるつもりもない。

「確かに人間がしてきたことは許されざる行動だったかもしれへんーーー」

「ーーーでもな神様。私(ウチ)ら人間を甘く見たらあかんよ」

普段は物静かなジークではあるが、珍しく口調が強く、覇気もあった。
そして何が起ころうとも立ち向かっていくという姿勢を見せる。

やがてユーフォリアという女性が先陣をきって、最初に神に向かって攻撃を仕掛けにいく。
地を蹴り、飛翔していった彼女。
そのままファーストアタックが決まると思いきや、
彼女の攻撃は神に一切当たることはなく、触ることがないまま元いた場所に戻されていた。
神がとった行動は右手をゆっくりと横に突き出して指を鳴らした。たったそれだけである。それ以外の行動はとっていない。
その様な光景を見せられ、驚きこそするが、怯えることはなかった。ジークの戦意は削れていない模様。

「ゲヴェイア・クーゲルーーー」

ジークは右手を動かし、自身の周囲に15に及ぶ小型で貫通力の高い魔力球を生成する。
そして「ファイアッ!」と掛け声と同時に右手を前に伸ばし、全ての魔力球を時空神に向かって飛ばそうとする。

>>時空神クロノス、シフォン・ヴァンディール、リプレイサー、レオンハルト・ローゼンクランツ、
フォルトゥナ・インテグラーレ、ユーフォリア・インテグラーレ、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー

17日前 No.1755

鮮やかに、ときに無慈悲に── @libragreen ★iPhone=ikYp7Fe69N

【お相手、ありがとうございました】
【狭間世界/スラム街→移動開始/オーネット・ブラッドレイ】

 宵闇の中を深く沈んでゆく感覚が止まり、力の入らなかった体が浮上して真上から光が漏れてくる。
 その光に手を伸ばそうとした途端、黒陽により一時的に意識を刈り取られていたオーネットは薄っすらと目を覚ます。
 最初にぼやけた視線に入ってくるのは、自身を背中におぶるショパンの後ろ姿。
 彼の衣装はとうに戦闘装束に等しい紫の燕尾服から元の白いライダースーツへと戻っていた。
 辺りを見回せばドス黒い太陽がもたらした極光に狂わされ、止まることなく革命のパレードが突き進んでいたあのスラム街をとうに後にしていたようで、あれからショパンはオーネットを背負ったまま救助隊の救援目当てにそれなりの間さすらっていた模様。

「……、…ショパン…。 お宅がご無事でなによりだが、怪我はあるかい? ついさっきまで気絶してた俺っちが言うのもなんだけど」

 手加減ありの状態では案の定うまくやれず、別の要因とも合わさってバビロンとの試合は敗北を喫する形に終わった。
 不思議と悔しさが湧かないのは、最初から敵わない相手だろうと、ある程度の覚悟をしていたから。
 命あっての物種、ここで斃れることにならず何よりだと心から安心する。
 しかしこれとそれとは別として、オーネットは謝罪せずにはいられないのか申し訳なさそうに目を伏せてうつむき、こう述べる。

「…ごめんな、俺っちが不甲斐ないせいで。 お宅に迷惑とか心配とか、色々かけさせちまった。 自力で歩けるんで、もう俺っちを下ろしてくれても大丈夫だぜ」

 改めて気を取り直して色々と行動を起こすべく、ショパンや影から見ていたであろうマダムベルゼバブに尋ねておくのと同時に救助隊といち早く合流しておきたいところだ。
 自分が意識を失った後のバビロンの動向、別の地にて繰り広げられる熾烈な戦闘の把握、そしてオーネットやショパンの仲間である者たち(奇術師、シエンタとキラー)が今どこで何をしているかについてを。

>>フレデリック・ショパン(ヴァイスハイト・インテグラーレ、ダン・マッケーニ=バビロン)

15日前 No.1756

新時代の象徴 @sable ★Gxuy4vFZr4_keJ

【狭間世界/時の墓標/アーケオルニ】

 予想通り。交差することなく宙を切る双刃。幽鬼の剣は単なる殺戮のためだけの代物ではない。先の戦いでは渾身の一撃を受け止め、見事に流されている。
 その斬撃は攻防一体。敵の魂を刈り取る一方で、己の命は堅く守り抜く。どれだけ手傷を負おうが、最後の一線には踏み入らせない。
 だからこそ追撃を加えた。竜の尾に握らせた剣で以て、股下から切り上げる――が、肉を裂く感触はなかった。代わりに響くのは、金属と金属が食い合う耳障りな音。
 また得物で受けられたわけではない。柔肉を包み込む鋼。足甲だ。回避が最適解と思われる状況下で、まさかの前進。こちらの反応が限りなく不可能になるよう仕向けてきた。
 この間合いでは、剣を振るうこと能わず。空中に逃れるのも極めて難しい。翼を広げて飛び立つより、零距離からの刺突の方が遥かに早いに違いない。

 ならば。

「ああ。少なくとも、お前を仕留めるまでは」

 鋭い痛み。飛び散る鉄片、流れ出る鮮血。右肩を裂かれた。しかし致命傷ではない。傷は極めて浅いものに留まった。そもそも、死角に踏み込まれてこの程度で済んでいること自体が普通ではない。
 確かに振り向きの瞬間は無防備だ。いくら気配を感じ取れるといっても、背中に目はついていないし、腕も二本しかない。しかしだ。この一対の黒翼が、飛翔を封じられた程度で陳腐化するわけがない。
 逆風のための振り向きが翼によって高速化されたのなら、正面に向き直る瞬間も同様。本来ならば急所を刺し貫いていたであろう刃は、咄嗟の挙動によって肩へと吸い込まれていった。
 加えて、至近距離に於ける不利というのは、なにも此方に限った話ではない。思い切り剣を振るい抜く余裕が無いなら、同じだけ敵方の殺傷力も落ちる。結果、被害は鎧の損傷と、戦いの趨勢に大きな影響を及ぼさない傷で済んだというわけだ。

 来たる反撃の刻。相手の間合いに踏み入ったツケを、恐ろしい形で以て突き付ける。仮に討ち損じたとしても、大きな心的影響を与えるに違いない一撃。再び諸手に収まる刃が、その瞬間の到来を確信させる。

「イイ目だ。アタシが一番好きな目だ」

 大海よりも深い笑み、輝きを増していく瞳。食い入るように見つめつつ、双刃を同時に下から降り抜く。豪速剛撃、天を仰ぐ一瞬二斬は幽鬼の記憶にも新しいはず。
 秘剣・二天一龍。肉体の損傷により二度と打てなかったはずの絶技が、魔族の力によって蘇った。だが続くはずの刺突は繰り出されず、代わりに自身が一歩前へ踏み込む。

「燃やすのが惜しいほどにな」

 目いっぱいに開かれる大口。覗く真っ白な歯のうち、何本かは牙の如き鋭さを得ている。しかし、これで喰らいつく訳ではない。幽鬼ほど場数を踏んでいれば、喉元にせり上がる熱の正体に気付けるだろう。
 そう、炎だ。吐き出す。怒れる火山もさながらの勢いで。噴きつける。幽鬼の顔面目掛け。

 この一撃は、彼女が真に竜へと転じた証明。

>>魔剣士

14日前 No.1757

奇術師は謳う @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=om66uyt46v

[狭間世界/終末/【リプレイサー】]

 『勇者の呼水』――人類の黄昏を告げる音は、果たして暗闇の内に灯火を呼び寄せた。『世界の果て』のそのまた果てに、英雄達を巻き込んだ。瞳に宿る炎の色は、赤に、蒼に、翠に、白に。征くべき道も着くべき結末もまるで違う、けれどその尊き輝きには些かの翳りも在りはしない。
 時に異界を駆け抜けて、時に友と笑い合う。時に運命を切り裂いて、時に奇跡に涙する。無限の世界を彩っていくヒトそれぞれの物語。時を超えて継がれゆく物語を、さらなる次代へと繋ぐべく、星々の瞬きは一つの交差点へと収束する。

 なれど、集う先に待つ者は、ヒトが越え行くべき『時』そのもの。無限を捻じ曲げ、時空を歪ませ、星々を一点へと集わせる『黒い穴』。光も闇も逃れえぬ、底無しの『権能』だ。
 切り捨てられたブドウの枝は、二度と果実を生らしはしない。そんな当然の帰結を示すべく、この氏神は鋏を摂った。刃の妖光に照らされて、灼けつく暖炉を目にしてもなお、枝葉を枯らすことは無いと云うのか。旧約の王に倣うかのように、彼の者は路に待つ。


 神と人との邂逅を語るとすれば、如何なる賢者であろうともきっと千夜では足りるまい。いかに優れた語り部であれ、万の年月を重ねた末に、漸く一編が書き上がるいうものだ。

 しかし――そうとも。剣が振るわれたその瞬間から、双方の関係はより単純なモノに成り下がる。『滅ぼす者』と『抗う者』。世界が揺らぐこの場に於いて、必要な構造はそれだけだ。
 ならば冗長な前説なんぞ、ここいらで打ち切ってしまうがいい。英雄の一撃を以って、戦いの幕は切り落とされた。


 駆け出した英雄の血肉は軋む。とうに限界は迎えてる。剣を降ろしてしまえば最後、きっと誰よりも深い眠りにつける。気を僅かにでも緩めれば、手から容易く刃が零れ落ちるだろう。
 それでも、英雄に一切の妥協は無く、一切の迷いは無く、一切の淀みは無い。たとえ己が雨垂れの一粒に過ぎぬとしても、必ずや意志に孔を穿ってみせる覚悟を伴って、流星は荒野を駆ける。

 だが――

「…………ああ、お前さんなら、そうするだろうよ。」

 時の氏神は、彼女の『玉砕』を良しとはしなかった。蹴られた土は元ある場所へ、裂かれた空気は元居た場所へ……そして、猛る獅子の肢体は在るべき場所へと戻される。
 神の慈悲とでも言うつもりか。時は逆旅を逐えてなお、一切の歪みも視えはしない。これが神の力だとでも言うつもりか。

 驚くことじゃない。幾分か前に、奇術師は同じ光景を見たことがある。嘆くことじゃない。神と対峙するとは、越えようのない壁へと立ち向かうことに他ならない。それなのに、何故だろう。自分でも分かるほど、口元が引き攣っていた。
 雨垂れの一粒でさえ、お前は受け入れないというのか。自分たちはそれさえも突きつけることを許されないのか。

 『冗談じゃない』。ああそうだとも、これは冗談なんかじゃない。奴は実存の神として、あくまで空に佇むばかり。触れることなど叶いはしない、汚すことなど出来はしない! 誰にも壊せないロジックだ、たとえそれが“神”当人であろうとも!

 薄れた記憶を必死に辿る。奇術師はこの光景を知っている。かつて立ち塞がった絶望を識りながら、なおもこの地に立っている。ならばお前は『あの日』、どうしていた。何を考えて、何を為した。
 奴は偽神か。否、アレは真の神である。奴は邪悪か。否、高慢で在れども蛇毒に在らず。操意針で世界の法則を塗り換えるか。否、それでは偽神と同じこと。虚ろな摂理を掲げても、いつかは己が砕けてしまう。

 探れども、探れども、男に答は見出せない。

 ――そんなら、やるべきことは一つだろう。



「そうやって、何もかもを無かったことにしちまえる力。結論ありきの過程ばかりを汲み取った、白痴まがいのその態度だ。俺が倨傲だと言ったのはな。」

 司令の鋭い鼓舞を横に、奇術師は再び口を開いた。焦茶色の瞳は、時の逆行を受けてなおも、かの御姿を真正面に捉えたままだ。畏れも惑いも全て己の内に認め、それをも呑んだ男の言葉だ。

「俺も考える葦だ。お前さんの言うことだって、分からないわけではないともさ。ヒトがヒトである限り、必ず悪は顕れる。どんな平和の内にでも、その輪を乱す輩は出てくるだろうよ。ソイツは誰にだって否定できない。」

 脚を踏み出すことはなく、奇術師は言葉を続ける。示したのは『理解』だ。ヒトの持ち得る特性とは、好奇心、憐憫、そして愛。全ての善人が必ずや持っている、その善性こそが悪ともなりうる。
 今回だってその一環だ。ヒトが懐いた探究心、向上心。その行く末が悪鬼となりて、世界を張り裂く刃と果てた。

 けれども、それがヒトが持つ全てであろうか。いいや、ソイツは全く違う!

「……でもよ。“悪ならば正すことが出来る。それが人間だ。” 世界が終わるときだって、俺たちには林檎の木を植える用意がある。それを『覚悟』と言うのなら、いいだろう、この場に集ったほんの一握りのニンゲンが、人類が示す『覚悟』の代表と知れ!」

 奇術師は語る。ヒトが過ちを犯すなら、それを正すのもまたヒトだ。幾重に交わる螺旋の渦は、そうして遥か7000年の過去を駆け抜けた。幾つの世界を跨げども、人の営みは変わらなかった。時に折れ曲がり、時に躓きながらも、ヒトは進む。前へ、前へと望む限り、地平の彼方までも路は続く。

 故にこそ、語り聞かせよう。答えが見出せないというのなら、するべきことはただ一つ。路を求め、前へと向かい続ける『意志』を示すのみ。たとえ剣が意味を持たぬとしても、そこに『意志』が宿るなら、我らの剣は必ずや暗闇の荒野に路を拓くと信じて。

「それじゃ、皆! 怯まずに続け、俺も援護する! なおかつ全てに最大限の警戒を! 畏れ、敬い、そして除く。それこそが、過去への贖罪となり、未来への礎となり、現在《いま》への道標となる!」

 魔力の霊鏡が身体を護る。空を魔導の弾丸が貫く。故に、奇術師もまた己を奮起させ、集える勇士に言葉を放つ。喩え時が戻るとも、届いた言葉までも喪われることは決して無い。奇術師が持つ最良の武器は、いつの日だってコレに限る。恐怖に萎える心には、トビキリの特効薬だ。

 言葉をひとひら届けたならば、奇術師の残す仕事はほんの少しだけ残ってる。左手のダガーを持ち替えて、一気に片脚を踏み切れば、時空神を目掛けてソイツを一本投げつける。御顔へと一直線に迫ったそれは、ジークの魔弾に並ぶと同時に、空間から【消失】する。同時に【現れる】ポイントは、正しく時空神の御足元。

 奇術師が誇る技能の一つ、【再置換術】の簡単な応用だ。ほんのちょっぴり空気の座標を弄ってやれば、あら不思議。何の変哲も無かったダガーは、約0秒の時間を以て千里の道をも踏破せしめる、最速の一撃に成り上がる。『時の流れ』を擬似的に無視した、御誂え向きの一撃だ。

 が、それだけでは終わらない。ダガーが【現れる】とほぼ同時、奇術師は地面を蹴り飛ばし――地表の一部が抉れ飛んだなら、跡地に一振りのダガーが残される。
 第二の【再置換】対象は、地面と空に浮かんだダガー。踏み固められた土塊は大槍の形に切り取られ、今や時空の神の背中を貫かんとする剛の一撃と化した。

 これで構図は完成だ。後方からは大地の槍が、前方からは怒涛の乱撃が迫り来る。相手が人間であるならば、殆んどチェックメイトに等しい局面に持ち込んだろう。
 しかし、奇術師とて自惚れちゃあいない。相手は神だ。無数に練られた策でさえ、奴らは圧倒的な理不尽で塗り潰してくれることだろう。その光景もまた、奇術師は知っている。

さあ、果たしてどうなることか――しがない策士の目線が、より一層鋭くなった。

>>時空神クロノス、ユーフォリア・インテグラーレ、フォルトゥナ・インテグラーレ、レオンハルト・ローゼンクランツ、シフォン・ヴァンディール、ジークリンデ・エレミア、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー

14日前 No.1758

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【狭間世界/終末/レオンハルト・ローゼンクランツ】

 時司の神は宣告する。罪業を積み重ねて来た人類の存在に終止符を打ち、世界の存亡を左右する危険分子を抹殺すると。これまでは各々の時代を象徴する影や、幾度と否定して来た正史の残滓を通しての間接的な物だったが、相剋の刻を迎えたこの瞬間に、神自身の言葉として明確に示された。
 影を乗り越えようとも、未だ神の怒りは収まらず。それだけでは信用に足りず、勝ち取る為には神へとそれ以上を見せ付ける必要があるという事実。二度と同じ過ちを繰り返させない覚悟を、この戦いで身を持って証明しなくてはならない。

「神と言うだけはある。当たって欲しくはなかったが、予想は出来た……」

 幕が切って下ろされた最終決戦。この場の誰よりも早く先陣を切り、果敢な勢いで突撃を敢行して行くユーフォリアの姿。彼女の後続として追撃をするべく、レオンハルトが地を蹴り飛ばそうとした瞬間に、その光景が視界に映った。
 眼前まで肉薄していた筈の彼女が、寸分の狂いも無く、地を蹴る寸前の地点にまで強制的に戻されている。時間の逆行、より解り易く表現するならば、巻き戻し。意志まで遡らせた訳ではなく、あくまで一連の動作のみを無かった物としたのだろう。
 冗談じゃない、そんな言葉が似合うこの現況。悪い予想が見事に的中してしまった今、しかし彼の表情に恐怖の色はない。打ち勝たなければならない"理由"がある限り、闘志を損なうなどと言う事は、断じて有り得ないからだ。

「だが……その程度、越えられなくて何になる!」

 最果ての終末へと木霊させる叫びを合図に地を蹴り、放出する魔力の抑制を止め、展開された防護壁の魔力を吸収しては、真紅を纏う流星となって突撃を仕掛けて行く。刹那の内に空間を駆け抜ける合間、右手で握っていた魔剣を眩い煌きを放つ魔力の光弾へと再構築し直すと、神に目掛けて投げ飛ばす。
 それは自身の機動力すらも遥かに凌駕する超高速の弾丸。敵が時を遡らせる一手を打つ前に、一撃を届かせる。人智を超えた反応速度の持ち主、自身の常識には到底当て嵌まらない存在であるのは確かだ。その一撃を放つにあたって限界を超越するだけの気勢はまだ無いが、決して手は抜いてはいない。

「人類が愚かである事も、罪を重ねて来た事も否定しない。だが、その清算は、あくまで俺達自身のやり方で行う」

 続けざまに上空へと移動し、神の姿を俯瞰しながら左右に両手を広げると、其処から魔力を放出して行く。やがて天空へと浮かび上がるは煌く無数の紅蓮。広げた両手が今度は前へと突き出されたのを合図に、天上から一点を目掛けて降り注ぐは灼熱の閃光。十数には飽き足らず、百にも匹敵し得る大量の光が、神を目掛けて強襲を仕掛けていく。

「神の意志に応える事はあっても、服従しなければならないという道理はない。お前の言う運命もまた、同じ類だ」

 突き出した両手に集束させて行く膨大な魔力。言葉を言い終えると同時に掌から放出されるのは、膨大な熱を宿した巨大な魔力のレーザー。地表ごと焼き払う灼熱の光が一直線に神へと向かって行く一方で、その一撃が齎す反動は凄まじく、元より上方に位置していたその身体が更に上へと浮き上がって行く事となる。
 怒涛の勢いで、間髪入れずに放った三連続の攻撃。"巻き戻されて"しまえば、そのいずれもが徒労に終わるが、果たしてどうなるか。三撃目を放ち終えた彼は反動を減衰させ終えると、地上への落下を開始しつつ、今後の行動に備えようとする。

>時空神クロノス ユーフォリア・インテグラーレ フォルトゥナ・インテグラーレ シフォン・ヴァンディール リプレイサー ジークリンデ・エレミア シエンタ・カムリ キラー・テンタクラー

13日前 No.1759

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【狭間世界/時の墓標/魔剣士】


金属を貫き、柔肉を穿つ感触が長剣を通して伝わる。舞い散る血飛沫を幾らか顔で受け止めながらも、人間の機転へ笑みをさらに深めることで称賛を示す。突き刺さる剣は右肩、心の臓どころか腸一つ傷付けていやしない。
背の黒翼は飾りではない、そういうことだ。空へと逃げず、次への布石の為に隙を最小限に留める。結果が手傷を与えたに過ぎない長剣と殺傷範囲に留まったままの魔剣士、間合いに踏み入る脅威を知らぬ訳もない。
隙を突き損じれば次に貫かれるは我が身、手を鍔に引っ掛けつつ長剣を引き抜き、その柄を持ち直す。傍から見れば反撃を受けることを覚悟し、差し違えるつもりとでも映るだろう。だが、その程度であれば魔剣士は疾うに朽ちていよう。
人間が振るうは記憶に残るあの斬撃、鋭く、剛く、瞬く間の二剣による空へ至り、天さえ墜とす。微笑み受け止めた絶技の片割れ、これも忘れようがない。それを今まさに、再度目にするのだ。
初撃は切り上げ、続く突きまでが『二天一龍』。既に知っていることが何の有利になろうか、目の前の人間は以前と同じではない。なれば技の冴え、斬撃の重み、寧ろ技そのものまで変化していようとおかしくはない。
振り上げる双刃、その交差点に合わせ己が足を踏み出し、双刃以上の速さを持って踏み上がる。さすれば小さくも重鎧を纏った身体は宙へと浮き、身を屈め即座に着地する。動きに合わせ、僅かな金糸が空へと舞う。
身を屈め、迫り来る突きを寸前で躱し長剣による刺突を繰り出さんとする魔剣士の紅眼は見開かれる。眼前に映ったのは熱量、鋭き人の物ではない牙の狭間から見えるは灼熱。人のみではなし得ぬ竜の焔、それが火砕流の如く襲い掛かる。
この場に居れば炎に呑まれるのは必至、されど魔剣士は屈んだ姿勢から立ち上がるのみであった。退くことも、進むこともない、ただ機を見ている。狙うは炎が最も広がる瞬間、最早炎に包みこまれると言うその時こそが好機であった。
魔剣士は迫る灼熱を切り上げる、払う様に振るわれた長剣から巻き起こる剣圧は一瞬、迫る紅蓮を押し返した。そして、幽鬼は伴う様に突き進む。

「たわけ、惜しむ事があるものか。」

堅牢な重鎧が焦げ付く匂い、煌めく金糸が焼け付く悪臭、身を焼く業火。寧ろ心地よさすらも感じながら魔剣士は駆ける、距離は決して離れていない、故に炎を突っ切るだけではなく拡散させるように切り払った。
視界の妨害、吐き出すと言う方法を取る以上流れを読めば魔剣士は人間の場所を突き止めるは容易い。されど炎を一度拡散させ、その流れに乗る様に距離を詰めれば人間側から位置を察する方はない。気配すら、己が炎に邪魔され気取られぬだろう。
なれば狙うは剛撃、防げば防御ごと断ち切り、避けるならば二撃目で仕留める。片腕故に両手で構えた時のような威力は発揮できぬが、身体の使い方如何様で同程度は繰り出せよう、尤も手間がかかることは確かではある。
軽く地を蹴り、その身体を宙へと躍り出す。使えぬ左腕を重しに、人間の方へと身体を傾かせ、そして手に持つ長剣を回転の動力とする。回転の勢い、重力、そして魔剣士自身の膂力が合わせた剛の剣技。
それは最早斬撃ではなく打撃、人間の頭上から両断するように叩きつける様に振るわれる。例え、防御を取ろうとするならば人間が手に持つ双刃と同じ末路を辿ろう。剣であれば分けても使えようと、人間はそうもいくまい。
しかし、凶刃は未だ止まらず。

「生の終わりまで斬り合う事に、変わりは無かろう。」

絶大な隙を生むはずの叩きつけると言う行為、それを踏み出した右脚を無理矢理軸足に据えることでその場での回転を可能とした。回転に合わせて振るわれる長剣も、叩きつけには劣るがこれもまた剛剣。
人間が叩きつけを避けるならば、その隙を刈り取る。人間の右側から薙がれる剣は生半可な防御では斬撃を防げても、その衝撃までは受け止めきれず吹き飛ばされよう。そして長剣の薙ぐ範囲は広い、易々と回避は不可能に等しい。

「アーケオルニ、貴様と私、最期に生を見出すは一人だ。違うか?」

変わらずに笑みを湛えたまま人間を見上げる魔剣士、その瞳は問いへの拒否を許さぬと妖しく輝いている。無論、この場へと人間が現れた時点で答えは分かり切っている。
なれば何故問うたか?そんなもの決まっていよう、魔剣士を血の海に沈める、その心意気を改めて聞くのみ。己が生を投げ打ってまで討つ覚悟、幽鬼を滅ぼし切る執念、それらを聞いてこそより滾るもの。
人を超え、それでも尚己を求める存在を魔剣士は心より歓喜している。であれば、この問いに答えるまで死すこと非ず。迫る二撃の剛剣も障害の一つにしかすぎぬ、最早障害にもなりはしないやもしれない。
それもよい、自身が路傍の石の如く打ち捨てられるほど人間が極まったのならば。これほどの悦はない。
血の海に沈む己、見上げる人間の影、何と甘露な光景だろうか。
故に、だ。まだ終わる訳がないだろう?なあ人間よ。
まだ、私は生きている。身を焼いた程度では止まらぬ、この肢体に剣を突き立て、腸を引き摺り出し、その果てに死が待つのだ。
貴様にならば、それが出来るだろうよ。

そう、この剣は未だに血を求めている。

>>アーケオルニ・ランドグリーズ

12日前 No.1760

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【狭間世界/終末/フォルトゥナ・インテグラーレ】


歩みゆく彼女の背に声がかけられる、聞き覚えのある、それでいて緊迫したこの場すら緩ませかねない陽だまりの声。優しく、純粋だと称したキラー・テンタクラ―のその声であった。
少しばかり自身に満ち溢れすぎた、それでいて行動原理は友人の為、あの時は眩しく思えた彼も今はただ温かく感じた。心境の変化もあったが、目の前の存在に恐れずに啖呵を切った頼もしさもあるかもしれない。
と、彼女も思っていたのだが。続く言葉でその頼もしさは霧散してしまう、ここへ辿り着いたのがほぼ偶然であることや、現状の認識すらあやふやであることが一瞬で露呈してしまっていた。苦笑が漏れそうになるも、笑われるのが苦手だったなと抑える。
それでもだ、彼女を心配して全員を敵に回そうとも逃げようとしない彼はやはり彼らしいと思った。流石にこのままでは目の前のあれどころではなくなりそうなので訂正をしようとした時、先にその相棒が彼の間違いを正していた。
シエンタ・カムリ。資料上でしか確認していないが、その名前と彼との関係性は彼本人から聞いていた。呆れたように両手を広げながらも、しっかりと説明を行う辺り気の置ける親友と言う事だろう。
余談だが、推測のみで歴史是正機構の消滅を彼女が確定できたのはシエンタの言葉を聞いてである。

「シエンタが話したとおりだ、敵は君が言う上から目線の奴だけだ。顔見知りは私も少ないが、この場のあれ以外は全員味方だ。」

「それとキラー、ありがとう、心配してくれたのは嬉しかった。その意気で砲口は是非、あれに向けてくれ。―――ッ!」

本格的な戦闘前の最後の安らぎになるかと思われた彼らとの会話、それも新たにこの場に駆けつけた人物の存在で彼女は息を呑む。その姿を見て、安堵が出来ればよかった。あの姿を見て、今すぐにでも駆け寄りたかった。
ユーフォリア・インテグラーレが朱に染まった軍服のまま、処置の跡こそあれど傷の重さが上回っている状態でこの場に現れた。生きて戻ってきてと自分には言うくせに、息も絶え絶えで死地と呼べるであろう場所に赴く。
彼女だって姉を攻めることは出来ない、あの場で堕ち切っていたならば変わらない状況であったはずだ。だとしてもだ、この戦いが終わればしっかりと話し合わなければならない。もとよりそのつもりであったが、言うべきことが増えた。
そう、人にそうしろと言うなら自分だってそうしろと。一人だけ無理されたって周りが不安になるのだと、絶対に伝えてやるのだ。彼女は、それが自身にも当てはまりかねない事にはまだ気付いていない。
この瞬間は姉に敢えて近寄ることはしない、ただ無茶をしそうだったり、危険だと判断した時は間に入る。彼女と姉が同じならば言っても聞かないだろうし、譲歩させて協力ならばどうにか受け入れるだろう。
そんな折だ、姉が一番槍を担ったのは。一番の重症であるはずなのにそれをするのは何ともらしいのだが、そのせいで彼女は反応が遅れた。数瞬遅れて駆け出すも、あの存在が指を鳴らす。―――異変はすぐに理解できた。
姉の場所は飛び立つ直前に戻っていた、幾つかの原因は思い当たるがこの空間やあの存在が発した言葉から察するに時間の巻き戻し、そう彼女は判断した。絶大な能力だ、彼女自身も対策が豊富にある訳ではない。
巻き戻し以外にも使えるならばまさしく神の如くの力だ、だがあくまで如くで神の力ではない。この能力を、広範囲で、多くの時間を巻き戻せるならば、この存在が姿を現すことすら有り得ないのだから。
だってそうだろう、それが可能ならば時空改変を起こす前までに問答無用で巻き戻せばいい。排除し、別の時空を正史とするならば姿を見せずにやればいい、システムが怒りを持ったならばそうすればいいだけの事。
それを慈悲で姿を現した?笑わせるな、慈悲を持つならば何も知らぬうちに洗い流せばいい。それが出来ぬ理由があるのだろう、理由がないならば神ですらない愉快犯で、理由があるならば神でない力を持っただけの存在だ。
睥睨する視線には神の威厳と取れる威圧が含まれていた、だが彼女にとってはそんなもの錯覚にすぎぬと断じる。何よりもだ、神と言うならば彼女はこう言うだろう。何故、慈悲を持つならば父の悲劇を見逃したのだと。

「神、か。」

何故、周囲がそう形容するのかも彼女には理解できない。神などいないと言うのに、救いを求めど答えぬなら存在はなく、力を振るい害を為すならばそれは災害、ただ何もせずいるならば存在はないも同然。なら、目の前のこれは災害でしかない。
持つ力が強大なだけで神となるならば、この世は神だらけだ。彼女には目の前の存在も強大な力を持つだけの存在としか見えぬのだ、人に求めすぎて、勝手に人へ絶望して憤っただけの、意思を持ったシステム。
結局は彼女が最初に言ったことに尽きるのだ、言葉で語らずに真意が伝わるかと。分かれと言うならば神らしい傲慢だ、人の前に今の今まで姿を現さぬ存在に対して、どうして理解が出来ようか。ならば、目の前のあれは世界の異物だ。

「消えた世界の嘆きは私たちの足元で眠り続け、人類の犯した罪など今を生きる存在が償った所で終わることなどない、ならば世界にとって人類の存在が害悪と言うのも確かにそうだろう。それが運命と貴様は言うのだろうな。」

言っている事だけは理解出来よう、人間が踏みつぶしてきたものは多くある。罪と呼ばれるようなことも人間として見れば幾重にも及ぶだろう。ならば害悪と呼ばれ、排他するのも理解は出来よう。道理は通っているのだ、それが神擬きが口にしたものでなければ。

「人の罪は人が背負うもの、神が裁くものではない。人の世界は神など居ない、貴様の言う世界とやらは『誰の世界』の事を言っている?人間の世界にとっての害悪は貴様自身だ。」

「それに―――」

再び歩みを始める、周囲に出現し始めるは闇の槍。魔力で形作られたそれらは同位体に複数存在し、加えて直撃以外の何らかの外敵接触を受けると再度生成される。云わば、干渉されれば無数に増え続け、狙いへと飛来する。
その一つを手に取り、手の内で回し、切っ先をあの存在へと向ける。その最中でも手に持つ闇の槍に魔力付与を欠かさない、周囲の闇の槍も対策の一つだが予想外も有り得る、難度こそ高いが備えを行って損はない。

「―――運命など、私の前で幾らでも敗れ去ったのを見て来た。ならば、そんなものは存在しない。」

―――そもそも、運命など人間が理屈のつかぬものに名を付けただけの事。それを神が使うのは、何と皮肉か。
言葉の終わりと共に射出される十に見える闇の槍、その実態は数百を越え千にも届くほどであるが、時を戻そうと干渉しようものならばその数を幾多にも増し続けるだろう。それすらも戻すならば、手の持つ槍の完成を急がねばならない。
昏き流星が軌跡を描きながら飛来する、神を名乗るシステムを刺し貫かんとその穂先の狙いを定める。

人の世に最早神は居ないのだ、居るのはそれを騙る存在のみ。それを人間が打ち倒せぬ道理はなし。

>>>時空神クロノス ユーフォリア・インテグラーレ シフォン・ヴァンディール キラー・テンタクラ― シエンタ・カムリ ジークリンデ・エレミア リプレイサー レオンハルト・ローゼンクランツ

12日前 No.1761

大災厄の残痕 @kyouzin ★XC6leNwSoH_rxQ

【狭間世界/終末/キラー・テンタクラー】

さっさと掛かって来い、皆殺しにしてくれる!
そんな臆病な性質とは正反対の心持ちでこの場の誰かが仕掛けてくるキラーであったが、結局のところ彼が計算しているのは保身と、友人の保護ぐらいだった。
彼は思う"誰かしら倒すだろう、そんな事より自分の命と友人の命が最優先"だと。 で、あるため、初手は派手な一撃、次に撃つのは視界撹乱、速やかにフォルトゥナを回収し離脱、情報隠蔽……要するに彼の頭の中身は、そういったある種後ろ向きの物であったのだが、その時、自分に向けて声を掛けてきた者が居る。

シエンタだ、この瞬間だけはキラーは頭を抱えそうになった、護衛対象が増えた、さらに言うなら実力から考えてフォルトゥナよりもよほど手間が掛かる。 かといって見捨てる選択肢など最初からキラー・テンタクラーには存在しない、何故なら自分は何でも出来る天才で最強だから。
が、その彼女が語った内容は、キラーの後ろ向きな作戦を叩き壊すような物だった。

是正機構崩壊、故に、ここの連中は仲間……いや、何故仲間? などと結びつかない二つの結論を並べられ、キラーは困惑するが、事実として、敵、いや第三勢力がこちらに攻撃してくる素振りは無い。 だとするなら。

「あの"教育者"気取った奴を叩き潰せばそれで良いという事だな……? なるほど、それなら――いや、最初から私が逃走などする訳が無いのだがな? 負ける未来など存在しえないのだから、だが、それならば、必勝はさらに磐石の物となる!!」

高い計算機能で絶対に勝てないと判断して撤退の手を考えていた奴が何を、と言いたくはなるが、ひとまずキラーの戦意は大幅に回復した。
何せ彼は「数こそが正義」だと考えている、考えてみろ、八対一で勝てる状況などそう多くは無い。 あるとすればそれは原始時代の斧を持った狩人と最新鋭爆撃機の戦い、あるいは奇襲の成功、ないしは優れた後方支援……色々あるが、とにかく目の前の奴らは全てそれに該当しない!!

さらに追加でフォルトゥナがそのシエンタの言葉を肯定する、そして、その砲口はあの偉そうな奴に向けてほしいと。
一人、それもシエンタが言うだけなら完全に信用できないかもしれないが、立場が違う所からこういう言葉が出てくるならば真実なのだろう、状況に揺らぎは無い。

「任せておくが良いッ! この私、キラー・テンタクラーに勝てる者など、この世に、一切居ないことを、証明してくれる!!」

ほぼシエンタの啖呵を潰すような音量でキラーが叫び、改めて戦況を観察する。
攻撃を無かった事にしたかのような防御を使うクロノス、なるほど、防御力はそれなりらしい、自分以上かもしれない。

だが、お頭はやはりこの場で最も天才な自分よりも下だ。

「そんな宗教チックな口も持たない物の声を聞けないように人間を作ったのは"神様"、あるいは自然環境その物だ。 お前が本当に神様だと言うなら自分が作った物のスペックぐらい把握しておくが良い、そしてェッ! 自分の生み出した物を自分が気に入らないって理由で潰せる親は居ないィ!!」

――メガキャノォン!!

その言葉と共に、彼の触手が四つの大砲へと変形し、それぞれから砲弾を敵に向かって発射する。
だが、これだけならば対処も容易だろう、先ほどの防御手段を使われる可能性もある。

だとするならば、あの能力の対象が「どれほど広範囲まで干渉で、どれだけの攻撃の数まで防げるのか」を試してやる。
と、キラーは複数の攻撃ドローンに指示を下し、二機が上空から降下するように側面に展開したカッターで敵を引き裂きに掛かり、側面にそれ以外の攻撃ドローンを布陣させてレーザーによる射撃、と言う多段攻撃を行う。
それぞれ性質は全く違うし飛んでくる方向も違う、これで対処できるならば、神と認めてやらんでもないが、さて?

>時空神クロノス フォルトゥナ・インテグラーレ シエンタ・カムリ 周辺ALL

11日前 No.1762

新時代の象徴 @sable ★RlJKqhYx5h_keJ

【狭間世界/時の墓標/アーケオルニ】

 跳躍。交差する剛刃を足掛かりにしての飛翔には、少なからず驚愕させられる。当然だ。これは仮にも奥義、先の戦いを締めくくった技なのだから。
 だがおかしなことではない。此方が力を増した分だけ、敵も進化していて当然。それも好敵手との再戦とあらば尚の事。それを見越しての火炎撃――効果は薄かったと言わざるを得ないが、最低限の成果は挙げた。
 髪と肉、そして鋼の焼ける匂い。死闘という快楽を知らぬ者なら悪臭と切り捨てるだろうが、これが思いの外心地よいのだ。自らの優勢劣勢を知るにも。命を懸けているという実感を得るにも。生が削れていく香り以外では、あまりに不十分すぎる。
 もちろん、追い込まれたからより熱い戦いになるとは限らない。稚拙な技の応酬でいたずらに命を擦り減らすなど願い下げだ。常々そう思うからこそ、この二度とない極上の勝負に全てを注ぎ込ませてもらう。

「生の終わり、か」

 降りかかる火の粉は払うのみ。それが例え火炎に化け、己を焼き尽くさんとしても。炎を掻い潜り打ち払い、あくまで肉薄を試みる幽鬼の姿勢からは、そんな信念のようなものが見て取れた。
 彼女が前進を続けると知った時点で、早々に火炎の放出を切り上げる。退けられた技に固執していては同じ轍を踏むことになるからだ。
 迎撃の備えが整うか否かという瞬間、幽鬼は地を蹴り飛翔する。左腕を重しに深い角度を取り、回転と膂力がもたらす効果の全てを練り込んだ一斬。否、これは最早打撃の域に達している。
 一刀両断で済めばまだ優しいというもの。最悪頭から叩き潰され、粉微塵にされかねない。『二天一龍』を繰り出し、身体も得物も疲弊した直後に、これだけの剛打を受け止める術はなかった。
 故に小さく飛び退き、即座に反撃に移る策を実行に移すが……脳裏をよぎるのは、開幕のあの連撃。生半可な回避には、容赦のない追撃が付いて回る。かといってあれだけの長剣、完全に範囲外に逃れるのも非現実的だ。

 ――ならば。

「ク゛オ゛オ゛ラァァァァァァッ!」

 それは野獣の咆哮。最早人にも竜にも非ず、生と死の境に光明を見出すケダモノに他ならない。叩き付ける一撃目を躱すなり、限界まで展開される翼。表面には血管が浮き出し、黒かったはずの飛膜を紅く染めていた。
 生まれてこの方、魔族狩りのためだけに使われてきた肉体。そこへ魔族特有の優れた身体能力が合わされば、どれだけの力を生み出すことだろうか。
 加えてアーケオルニに宿ったのは、荒ぶる竜族の暴力的なパワー。翼がもたらすのは、単なる速力に留まらない。剛速を乗せた一斬は、剛撃へと昇華され。神速を乗せた一斬は、神技の域に辿り着くのだ。

 読み通り。踏み出した右足を軸に据えての大回転。薙ぎ払いは右から。隙が生まれれば、叩かれるのは当然。求められるのは、それを叩き返すこと。
 断ち裂かれた剣を束ね、一本の鈍器に仕立て上げ迎え撃つ。人外のチカラ。黒翼の加速。二度と折れぬ大剣。三つの"剛"を込め、右斜め下から斬り上げる。

「違うもんかよ!」

 果たして、剛撃は長剣を弾き返していた。衝撃すら相殺し、それ以上の破壊力で以て叩き伏せる。全身の骨が砕けそうな負担にも拘わらず、アーケオルニは極上の快楽に身を浸していた。
 これだ。こうでなくては生きている気がしない。この快楽抜きには生きていけない。勝とうが負けようが、二度と日常には戻れない戦いがここにあった。

「そうだ、違うわけがないんだ!アタシらには共存もなけりゃ和睦もない!

理性も!蟻んこ程度の脳ミソも!だからこんなんじゃ足りない……

もっと!まだまだ!かかってこいよォッ!」

 諸手に剣を握りなおすや、両腕を大きく広げて咆える。我々はこんな生き方しかできないのだ。ならば過去を憂う必要はない。未来には案じる価値もない。
        イマ
 流星のような現在を味わい尽くさずしてどうするというのか。
 そのためには好敵手が必要だ。コイツを血の海に沈めてやりたい。コイツを見上げて死ねるなら本望だ。そう願えるほどの存在が。
 一生かけて巡り会えるかわからない、最高のライバル。それが今、目の前に立っている。

 だから、もっとだ。滾らせてくれた分だけ、お前のことも滾らせてやる。血を流させた分だけ、こちらも熱い血を流してやる。

 約束だ。

>>魔剣士

10日前 No.1763

Another Messiah @zero45 ★pB1cyTl1jZ_sxd

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟/ファントムメサイア】

 度の過ぎた油断を命取りにさせる。苦笑を浮かべる翠風の騎士が抱く決意に、お前達に出来るものかと嘲るように、魔人は不敵な笑みを浮かべて対峙する。纏わり付く茨を風で往なし、嵐を為す剣舞を退け、巨剣と真向から打ち合い一蹴して行き。怒涛と呼ぶに相応しき数多の猛攻、その悉くを跳ね除けた彼女が生み出すは、常軌を逸する極大の火焔球。
 刹那の内に力を□き集めて解き放った一撃は、この場に存在し得る総ての敵を灰燼に帰すべくして戦場を突き抜けていく。

「無駄な事を……」

 誰よりも疾く動き出し、焔を目掛けて突貫を開始したゲイルの姿。素早く風の刃で幾度となく切り刻み、崩壊を迎えて吐き出された膨大な熱を暴風で送り返した彼の行動を、無駄と称しながら、魔人は何かしらの対策を講ずる事も無く直立し続ける。
 彼女は我が身を襲う熱風を、脅威とは何一つ認識していない。この程度の熱さならば、余裕で耐える事が出来るし、吹き荒れる暴風も自らの風と比べれば、微風の様な物であるからだ。故に、ただその場で立ち続けるだけでいい。

「そんな見え透いた狙いが通用するとでも――なにっ!?」

 続け様に襲い来るのは、絶大な破壊力を宿した巨大鉄球。先の暴風によって感知を妨げられたが、致命と成り得る程の遅れとはならない。魔人は余裕を保たせたまま、大地を蹴って素早く移動し、迫る鉄球から逃れようとした。
 しかし、その直前に足元の地面が突如として液状化して、地の底へと引きずり込む底なし沼へと変化を果たし、魔法に頼らずに回避を行おうとした魔人は出鼻を挫かれる事となる。
 その結果が命取りとなり、正面から鉄球を激突させられた魔人は、全身が幾多もの魔力の光に分散し、煙のように離散して行く。それは、明らかに"人間"とは異なる消滅の形。これまでの間に彼女が言葉で示した通り、人を逸脱した存在である事が確かな物となる。

「どうやら……自分が思っている以上に油断し過ぎていたようだ」

 同時に――"生物"を想定した殺し方が通用しない存在である事も、彼女は証明する。煙のように離散した魔力光は一箇所へと集まって行き、次第にそれは元通りの形へと戻って行く。
 先程までの様子とは違い、やや不愉快そうに顔をしかめながらも、三人を見据える魔人の姿。そして次の瞬間、彼女の姿は戦場から文字通り"消え去る"。代わりに、鋭い音を響かせながら空間の中を一瞬で駆け抜ける不可視の"風"が、三人の近くを移動していた。

「戯れも終わりでいいだろう……本気を見せてやる」

 "風"が触れた箇所に刻まれる深い斬撃跡。最初は地面や壁など意味のない場所だけを切り裂いていき、次第にペースが上昇して行くのに合わせて、三人を狙った攻撃を仕掛け始めて行く。
 手始めに標的として定めたゲイルを目掛けて、"風"は様々な方角からの計六つの斬撃を超高速で放つ。次は清太郎を狙った八つの斬撃、最後にロコを狙った七つの斬撃。総ての攻撃を放ち終えると同時に、"風"は姿を消して、再び三人の遠方の位置に魔人は姿を現した。

「これが精霊の力を完全に支配した者の強さだ……借り受けただけの紛い物とは格が違う」

>ゲイル・ベネルド 橋川清太郎 ロコ

10日前 No.1764

ピアノの詩人 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

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8日前 No.1765

迷う者 @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【狭間の世界/狭間の最果て/ヴァイスハイト・インテグラーレ】

ヴァイスハイトは今も迷いの内にいる。だが、ただ一つ、成さねばならない使命は理解(わか)っている。この世に一人、世界に仇為す怪物を討ち果たす事――それが自分の使命なのだと。そして"それ"は、やはり、其所へ姿を顕した。

朗々と謡う様に語るその男。己の行いに間違いなど無いのだと確信し、眼差しに一点の曇りも無く、思うがままの王道を歩むその男。黄金の果実を喰らい、神に等しい力を得てなお、ただ一人の人間であり続ける男――バビロン。
奇しくも、惑うばかりの彼とは真逆の存在。かたや誰よりも英雄に憧れた者。かたや誰よりも英雄から程遠い者。
『英雄』と言う偶像の鏡を介して対峙する二つの形。何処までも似ず、しかし何処かで同じ者達。彼らの歩んだ道筋が、最期に此処に集束する。


ヴァイスハイトの真正面までバビロンは堂々と歩み寄り、正対して立ち止まる。二人の背丈は大差ないと言うのに、威風は獅子と蟻程の差がある様にも思える。
ただ立っている――それだけなのに山の様な偉容を放つバビロンを前にして、ヴァイスハイトは臆さず口を開く。

「御託は沢山だ。お前の話を聞くつもりはない。ダン・マッケーニ=バビロン――お前は、俺が此処で倒す」

――何のために?

「これ以上、お前の暴挙の犠牲になる人間を出さないために」

――本当に?

「それこそが、俺が果たすべき使命だ」

これで良い。そうでなければならない。脳裏に過る自問を振り払い、自分に言い聞かせるように言葉を紡ぐ。

「――だから、決着を付けよう」

――――それが、本当に俺が見つけた答えなのか?

……最後に沸いたその問いには、彼は答えを返さなかった。

口を閉じると即座に二丁の拳銃を懐から引き抜いて、バビロンの胴体目掛けて容赦なく連発する。迷いはあれど、使命は一つ。バビロンを倒す――それだけは、何の間違いもない。

血戦の始まりを告げる銃声が今、虚無の空間に響き渡った。

>>バビロン

8日前 No.1766

ダン・マッケーニ=バビロン @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_sxd

【 狭間の世界/狭間の最果て/ダン・マッケーニ=バビロン 】

 黙ってなどいられない/静寂を打ち破る銃声――血戦の号砲/終わらない戦いの幕開け。

 虚空に木霊する/遮るものは何も無い――銃声。連発して響き渡る砲火の嵐は人類共通の死として刻まれた"銃殺"を具現する。
 降り注ぐ鉛玉の嵐を前にバビロンは動ずることはしない。躱すことも、防御することもなく、ただその身で受け続ける。
 飛び散る紅の雫。腹部を貫かれ、籠められた衝撃に臓腑を蹂躙される。落ちた雫は黒一色の地面を汚してゆく。
 否、――汚すのではない。道を示すのだ。ここにはきちんと立てる床があって、己の平衡感覚は何も間違いではないと。

 その揺るがない普遍的な事実は、さながらバビロンの在り方を体現するかのよう。

「――クヒ、クハハッ……」

 うずくまるのは一瞬――されど、立ち上がるのにも時間は要らない。彼が得た異能<デュナミス>の力は魔法のランプ。
 抱いた幻想<ユメ/ヒカリ>を胸に、あらゆる困難に何処までも何処までも立ち向かうことの出来る武器を与えてくれる能力。
 故にこの程度ではバビロンは朽ち果てない。己も、――ヴァイスハイトも理解しているだろう。
 再生能力などという大層なものではない。
    、       、      、・・・ ・・・・・・
 ただ、己を蝕む激痛にこう言えばいい――知るか、邪魔をするな。

「いいね、その迷いのある眼。
 ・・・・・・・
 俺はお前だからその眼に敬意を評するのさ」

 異能の光が宿る――その双眸/真紅に染まる。魔の領域に辿り着いた、前人未到の領域にある力の発現。
 ありとあらゆる身体能力の平衡化――不条理の具現/想いという非合理な力の現実化。
 飽くなき我欲<エゴ>を身に纏い、神話の竜を叩きふせ、巨蟹を、獅子を、捻じ伏せてみせる英雄のように。

「ならば良し。やってみせろよ、漢の本懐を遂げてみせることだ!
 魔人の舞台に上がってみせた俺と同じただの人間であるお前がッ、俺を阻めるか否かをこの身で確かめてやる!」

 黄金の果実――神話の象徴/食した者の全てを塗り替える英雄への片道切符をその手に掲げるそのままに。
 あらゆる全てをねじ伏せて。
 神でさえ、薄汚れているのであれば蹴り飛ばす。
 己の揺るがぬ個我を示して評価する――人間、ヴァイスハイトを/評価した上で――宣告した。


      、       、   Goldener Mythos
「さあ、英雄神話の始まりだ――《黄金の果実よ、我に力を》ッ!」


     、        、      、  ・・・ ・・
 この瞬間から、バビロンの辞書より消えた文字――不可能/0%。

 魂の深奥より、引き摺り出された悍ましき光。
 世界を揺らし、何より男の存在感/威圧を何十倍にも膨れ上がらせる。
 ヴァイスハイトへと伸し掛かる――巨岩/戦車/あるいは、それよりも恐ろしきもの。

 そしてヴァイスハイトに降り注ぐは打撃の嵐。バビロンが最も得意とする接続された連続攻撃。
 踏み込みと同時に顔面目掛けて放たれる三発のジャブ。
 突き出した右拳を引き戻す間に、織り交ぜられるように腹部へ放たれる左ストレートが二発。
 拳による牽制――ただの打撃が、銃弾より撃ち出された弾丸のごとき速度と威力へと昇華している。
 無論、直撃すれば内包された衝撃はヴァイスハイトの内で花開き、肉を蹂躙し骨を砕くのは必須。
 その上、連続した打撃の対応――防御/回避/反撃――手間取れば、シメと称して放たれる一撃の直撃が確定する。

 打撃の終わりに黒の軌跡を描き、大気を抉り抜きながらヴァイスハイトの腹部へと放たれる膝蹴りが。

>ヴァイスハイト・インテグラーレ

8日前 No.1767

中二病は世界を救う @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_rxQ

【狭間世界/終末/シエンタ・カムリ】

シエンタの言葉だけでは、キラーを納得させるには不十分だったかも知れない。だが、そこでフォルトゥナが助け舟を出してくれたことで、ようやく彼もやる気になったようだ。
こうでもしておかなければ、臆病な性格の彼はいつ逃げ出すか分からない。ひとまず、戦場に留めることが出来て安心、といったところが、実際にはシエンタの方が恐怖を感じていた。
何せ、目の前にいるのは本物の神なのだ。神を自称しているだけの自分なんかよりも、遥かに格上で、人類がどんな力を結集しようとも勝ち目がないであろう存在。
ここにいる者達が、幾多の修羅場を潜り抜けてきたツワモノ揃いであることは理解しているが……それでも、神には……本心は逃げ出したい一心のシエンタだったが、キラーやマシュマロのことが脳裏に浮かぶ。
抵抗せずに屈服を選ぶなどということをすれば、ようやく始まりを告げようとしていた、新しい生活が全部パーだ。絶対的な存在がなんだ、こっちにだって言い分の一つや二つある。

「君はこの間負けたばかりだろう! 見栄を張ってる暇があったら、戦いに集中するんだ!」

キラーの威勢の良すぎる啖呵を聞いて、シエンタはそう悪態をつく。あれが負けに入るのかどうかは分からないが、少なくとも勝利はしていない。だから、そういうことにしておこう。
それよりも、あの連盟の総統には今、何が起きたというのだ? 確かに彼女は地面を蹴り、傲慢ちきな神へと先陣を切って突っ込んでいったはずであったのだが……
時空を司る神、なるほどその力がこれか。攻撃されたという事実、敵の行動をなかったことにしてしまう大層な力。ユーフォリアの時間は巻き戻され、彼女は何もしていなかったことになってしまったのだ。
ふざけるな、あんな力がある相手にどうやって勝てばいいというんだ。はっきりいって、周囲に機械がそれほどないこの状況においては、自分は皆の足手まといにしかならない戦闘能力。
クロノスを自ら打ち倒し、救世主として崇められたいとか、そういう中二病じみた考えすらも浮かばないほどに、シエンタは恐怖していた。この状況で、出来ることはなんだ?

「キラー、手伝え! ボクに考えがあるんだ!」

シエンタはそう言うと、突然クロノスを無視して彼女の背後にある空間へと走り出す。そこで何をし始めるのかと思いきや、突如として周囲に転がっている瓦礫を拾い始めたではないか。
遊んでいる場合か、とも言われかねない行為であったが、これはシエンタの作戦の内らしい。電子機器の残骸を集めて、彼女はアンテナのようなものを作っているようだ。
非常に回りくどいやり方にはなるが、自分が力となるためにはこれしか思い付かない。もし成功すればその時は……あのご都合主義な神様の足止めくらいにはなるはずである。

>時空神クロノス、キラー・テンタクラー、ユーフォリア・インテグラーレ、シフォン・ヴァンディール、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア

7日前 No.1768

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_sxd

【狭間世界/時の墓標/魔剣士】


咆哮、最早人の出す音ではない声がこの生と死の狭間の世界を震わす。敗れ去った歴史が、正しきを勝ち取れなかった敗者共が恐れ戦く。ただ一つの極致、その為だけに全てを投げ打てることすら出来ぬ存在にとっては異物以外の何物でもない。
されど魔剣士はそれでいいとばかりに、振るう長剣に微かな揺らぎさえ見せぬ。空間を砕くか如く突き進むそれは人間を潰すことなく、城塞の一部を崩落させるに留まる。それが差す答えは単純、人間は仕掛けてくると言う事。
空を覆うかのように広げられる大翼、黒き夜は滾る血によって朱へと変わりゆく。人間の中で屈強な肉体、それに竜の力を加える、力を扱えこそすれば強き道理あれど、弱い道理はない。
なれば砕き合う二つの剣のどちらが勝ろうとそれもまた必然、片や回避の隙を穿つ防げず、避けられずの重撃。そしてそれを叩き返すことに重きを置いた、決して毀れぬ剣、黒翼の加速、そして人の枠に収まらぬ怪力、それらを合わせた剛撃。
常人ならば耳を塞ぐ、それどころか接触音のみで意識を飛ばしかねない爆音。互いに譲らぬ剣は、人間が振るう物が勝った。回転の方向に合わせ、切り上げられた長剣は屈み回転していた魔剣士を勢いのまま立ち上がらせるほど強く、剣を弾いた。
長剣を手放すことはなかった、しかしながら脇は大きく開き、胴への守りもない明確な隙が生まれた。だが追撃の刃は来ない、ならばと弾かれた勢いのまま身体を浮かせ、宙に浮いた後に着地、そのまま体勢を立て直した。
見やれば人間は吼えていた、それこそ魔剣士が求めていた答えであり、今を生きるために死へと突き進む愚者であり、英雄でもある姿。本能のまま戦い続ける事こそ、この場にいる生者の本懐。

「ああ、好い、善いぞ。」

両手に剣を携えた人間へと伸ばした腕と共に剣先を向ける、片や扱える腕は一つ、片や翼に尾に両手、だがそこに差はない。互いが互いを屠る為だけに魂を削るこの場に、どうして差が生まれようか。どうして違いがあろうか。
互いが互いの鏡合わせ、そして鏡合わせであれば本物は一つ、どちらかが虚像。なればこそ、最早必然であったのだろうよ。出会わなければなどと言う戯言は有り得ない、そんな言葉は出会ったからこそ言える言葉だ。
故に、何れこうなっていた。それだけのことだろう。

「共に分かち合うものは互いの命、ただそれだけ。相容れぬのではない、理解したからこそ私と貴様は死合うのみ。」

「―――何、足りぬのは当然だ。満たされるのは死する時、だろう?」

瞬間、音を断つ。
それは初撃の再現、認識できぬ速度を直線で詰める。ただそれだけ、しかし単純なものこそ昇華すればそれだけ対処が難しくなる。速きものを捉える然り、剛力を持つものを抑える然り、そして強きものを倒すことも、また然り。
これは初撃の再現だともう一度述べよう、しかしながらその速度は比ではない。竜となった人間があれを容易く対処するならばさらに上を行くだけの事、限界など生きている限り存在はしない、であればどちらが先に死ぬかこそが決着。
音もなく人間の前へと辿り着けば、繰り出すは空間すら穿つ突き。これもまた初撃に比べれば段違いの技の冴え、されども少し大きく避けるだけで傷一つなく躱せることに変わりはない。
さて、人間は同じ動作で回避できたものを同じように対処しようと言う働きを無意識化で行っている。勿論、認識できて尚判断の余地があるならば思考が勝ることが大半だ。しかし、認識せずに瞬間で対応するならば話は別だろう。
魔剣士はこれが人の器で認識できるものとは思えていない、であればこそ突きを回避した方向だけは同じだと読む。続く横薙ぎはまだ判断だ、されど初撃の突きこそは反応だろうと。
魔剣士が次に放つは突きの勢いのまま、身を捩り、身体を宙に一瞬浮かせた上での振り下ろし。左腕を再び起点とした、回転と勢いを加えたそれを、突きを回避するであろう場所へと放つ。先の叩き付けには劣るも、人を破壊するには十分な威力。
無論、外せば隙にはなる。が、感覚を頼りにしていた人間が一度成功した物へ危険を冒すとは考えにくい。あり得るならば、突きを受けた上での反撃と言う魔剣士さながらのもの、だがそれとて今の段階では考えにくい。
人間が仮にその手段を取るならばだ、魔剣士を確実に仕留められると言う機会だろう。
この場にいる二人は決して死にたいわけではない、ただ相手を打倒す為ならば命を投げ捨てられるだけ。
捨て身の一撃こそ目論めども、玉砕を望む訳ではない。死の中で生を求め、生の中で死を求める訳ではない。
故に、魔剣士はその反応で回避することは予測している。されど、それからの対処は必ずされるとも思っている。
生きてさえいれば限界などない、それは魔剣士だけではない、人間にだって当て嵌まろう。
なれば、次の瞬間に貫かれているのがどちらかなど、分かる筈もあるまい。

だからこそ、この剣は未だに血を求めている。

>>アーケオルニ・ランドグリーズ

7日前 No.1769

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_rxQ

【狭間世界/終末/ユーフォリア・インテグラーレ】

人類の存在は世界にとって害悪であり、だからこそ排除の決断を下したのだと語る時空神。彼女は神という立場から、逃れようのない運命をこちらへ押し付けようとしてくる。
確かに、時空を乱すのは絶対にあってはならないことであり、その禁忌を破ってしまったことは事実かも知れない。しかし、だからといって、ただ消されることを受け入れ、大人しくしていろというのは傲慢だ。
今のクロノスがしていることは、己の都合で歴史を書き換えるという行為そのもの。人類が二度と犯さないと誓った禁断を、よりにもよって神が実行しようとしているのは、何たる事態か。
故に、時空防衛連盟は、人類は、抵抗を続ける。彼女に覚悟を示し、明日を生きるに値する力と決意があることを証明しなくてはならない。全ての人の想いを背負い、先陣を切るユーフォリア。
だが、彼女は次の瞬間、クロノスが神と称される所以をこれでもかとばかりに見せ付けられることとなった。突如、足裏に伝わる重力。確かに今自分は、攻撃を仕掛けるため、地を蹴ったはず。
にも関わらず、まるでそんなことはなかったのだと言わんばかりに、ユーフォリアは元いた場所に立ち尽くしていた。時間そのものが切り取られ、捨てられたような感覚。
恐らく時空神は、ユーフォリアの時間を巻き戻し、行動前の状態に戻したのだろう。そうすることによって攻撃を不発にさせると同時に、強大な力を見せ付け、こちらを威圧する狙いだ。
しかし、敵のその態度が、むしろ味方の闘志に火を付ける結果となる。人類の未来(あす)を掴み取るため、勇者達は神を前に怯むことなく、最後の決戦を挑む。

「私達が敗北すれば、この世界に生きる全ての者の運命が尽きる」

全ての生けとし生きる者の命運を懸けた戦い。この場に集った僅かな者達が、彼らの意志を神に示す。滅びの運命など、絶対に認めない。自分達には、次の時代を生きる権利があるのだ。
次々と攻撃を仕掛けていく味方達に続いて、ユーフォリアも再度、飛翔する。また、先程のように時間を巻き戻され、全員の行動が無に帰す可能性も十分にあるだろう。
とはいえ、それは単なる逃げに過ぎないのではないだろうか? 神の力を誇示するのは大いに結構であるが、彼らからすれば矮小であろう人間と真っ向からぶつかり合えない者に、運命を決定する権利などない。
これが神の試練だというのであれば、全身全霊を以てそれを乗り越えてみせよう。右足に虹の光を纏い、疾駆するユーフォリア。彼女は攻撃の寸前、神に対し鋭い目線を向け、強い口調で言い放つ。

「貴方が真なる神であるというのなら……姑息な手段を使わずとも、私達の覚悟を受け止められるはずよ」

即ちそれは、再び同じように巻き戻しによる対処を取るのであれば、人類はクロノスを神としては認めないという宣言に等しかった。そうして敵の眼前へと躍り出た彼女は、前方宙返りをしながら、右足を振るう。
その動きに合わせて解き放たれた膨大なエネルギーが、巨大な虹の柱を作り出すようにして、地面へと突き刺さる。その中心にいるのは、例の時空神。千差万別、十人十色の攻撃が、次々と敵へ炸裂する。
攻撃を終えたユーフォリアは、なおも引かずに最前線に立ち続ける。突撃した味方が後方に戻るまでの時間稼ぎ役を買って出たつもりだろうか。仮にクロノスが反撃を放てば、間違いなく真っ先に直撃するであろう立ち位置だ。
されど、その瞳に恐れの色はない。これこそが、時空の守護者としての責務。この時空の者に手を出そうというのであれば……たとえ如何なる存在であろうと、容赦はしない。

>時空神クロノス、シフォン・ヴァンディール、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、キラー・テンタクラー、シエンタ・カムリ、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア

7日前 No.1770

時空神 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_rxQ

【狭間世界/終末/時空神クロノス】

ユーフォリアの攻撃を時の巻き戻しによって無効化した後、クロノスは相手の反応を見やる。彼らには驚愕の表情が浮かんでいるが、無理もない。それは当然の反応だ。
問題は、その後。恐怖を抱き、戦意を喪失するのか。それともなおも勇気を振り絞り、立ち向かうのか。前者であれば、人類の同情の余地などなかったが、幸いにもそのようなことはなかった。
恐れを抱くことなく、絶対的な力を目の当たりにしても戦いを挑む人類。終末にやって来た者達の心には、紛れもない覚悟が、明日を掴み取る決意が宿っているらしい。
しかし、この程度ではまだ、人類が犯した罪に比べれば甘い。時空神を完全に納得させるためには、どのような状況にあっても折れない、不屈の魂を証明する必要がある。故に、戦いは続く。

「姑息な手段、ですか。そう言うのであれば、貴方達の覚悟、正面から受け止めさせてもらいましょう」

ユーフォリアの言葉に反応し、クロノスは全員の攻撃を正面から受け止めることを宣言する。これで、一発くらいは攻撃が通るかも知れない、と期待を抱いた者も中にはいることだろう。
だが、神は非情なる現実を突き付ける。まず最初に襲い掛かってきた、シフォンの暴風。氷解と稲妻が荒れ狂う竜巻を前に、クロノスは勢いよくその右手を振り抜く。
すると、まるで相手の攻撃を模倣したかのような強烈な嵐が呼び寄せられ、互いに激突。凄まじい力のせめぎ合いによって両者の勢いは瞬く間に削がれていき、最終的に残ったのは僅かな属性の残滓のみであった。
ジークリンデの放った魔力球に対しては、半分に同じような魔力の塊を激突させて相殺した後、残る半数を高い機動力によって回避し、無傷で切り抜けてみせる。
二つの攻撃を凌いだ彼女の足元に突如として現れたのは、一本のダガー。だが、それは一瞬のことであり、次の瞬間には、背後より抉り取られた大地によって構成された槍が迫っていた。
なるほど、異なる物体同士の座標を入れ替えることによって、この攻撃が実現したという訳か。発想は見事だったが、クロノスの余裕を崩すには、まだ至らない。
目を光らせ、魔力を放出するクロノス。ドンッ、という音が響くと同時に射出された衝撃波が、固められた土を粉砕。槍は粉塵となってそのまま地面へと降り注いだ。
攻撃はなおも続き、今度はレオンハルトが刹那の内に三連続の攻撃を放ってくる。人間であれば対処が困難であろうそれらも、クロノスはその全てを見切っていた。
超高速の弾丸を腕を振るうことで弾き、天空から降り注ぐ無数の光に対しては、自身の頭上に青白く薄い魔力障壁を作り出すことによって傘代わりとし、遮断する。
直後に迫り来る巨大なレーザーを前に、右手を突き出すクロノス。すると、そこからお椀状の防御壁が展開され、一直線に放たれたそれを後方へと受け流してしまう。
怒涛の攻撃。フォルトゥナの投擲した闇の槍が襲い掛かる。クロノスは相手の持つ武器の性質を即座に見抜き、レオンハルトの時と同じような防御壁を作り出す。
物体への直撃によって、槍は増殖の機会を奪われた。止むことのない波状攻撃への対処を行うため、ある程度数を減らしたところで、彼女は次なる敵へと視線を向ける。
クロノスはキラーが放つ四つの砲弾を、それらの中心を正確に通り抜ける形で回避した後、攻撃ドローン達に魔力の弾丸を穿ち、一つ一つ丁寧にその攻撃を撃ち落としていく。
唯一、レーザーだけは物理的な手段によって対処出来なかったが、ここで再び絶対防御が生きた。青白い障壁が彼女の身体を包み込み、一斉攻撃をしっかりと防ぎ切る。
最後に攻撃を仕掛けてきたユーフォリアは、右足に虹を纏い、それを振り下ろすことによって空間ごとこちらを押し潰そうとしてくる。防御で防ぐことは容易いが、彼女は真っ向勝負を望んでいる。
ならば、受けて立とう。クロノスは右手に魔力を集中させると、巨大な光の剣を生み出し、そのまま斬り上げを放つ。凄まじい魔力による一撃は、虹の柱を一刀両断し、霧散させてしまった。
あれだけの連続攻撃を前に、正面から挑んで無傷を保つクロノス。人と神の差をこれでもかとばかりに見せ付け、彼女は君臨する。その程度の力では、未来を掴むことなど夢のまた夢であると言わんばかりに。

「勘違いしないことです。今の貴方達の力では、世界を護ることなど出来ない。先の結果が、何よりの証拠」

彼女は目の前の者達にそう吐き捨てると同時に、遂に攻撃へと打って出る。刹那、何かが割れるような音が聞こえたかと思うと、終末の天井が剥がれ、崩落し始めた。
ノイズの明滅するそれらに込められているのは、歴史の重み。時代が、正史が、神に挑む愚か者達を粛清せんと、轟音を響かせながら、ゆっくりと降り注いでくる。
空間そのものによる攻撃であるが故に、回避によって対処することは不可能。どうにかしてこれらを取り除かなければ、その先に待ち受けているのは圧死の運命のみだろう。
クロノスの瞳が語る。これこそが、人類が殺してきた歴史の尊さなのだと。己の生きる時空を護るなどと宣うのであれば、この重みを跳ね返し、生き抜いてみせよ。

>ユーフォリア・インテグラーレ、シフォン・ヴァンディール、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、キラー・テンタクラー、シエンタ・カムリ、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア

7日前 No.1771

疾風 @sable ★ChwLR8zxza_keJ

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟/ゲイル・べネルド】

 諦めない。必ず突破口はあるから。挑戦し続ける。それ以外に道などないから。罵られようと、嘲笑われようと、彼の歩みが止まらない理由がそこにあった。
 確かに敵は強大だ。一騎討ちで勝てる可能性は限りなくゼロに近いし、束になってかかったところで結果は同じかもしれない。しかし、だからといって白旗を揚げるわけにはいかないのだ。
 我々は誇り高き王国騎士。国を愛し、民を慈しむ、清廉潔白の徒。そしてこの場には、中世に真の平和をもたらした救世主・時空防衛連盟も駆けつけてくれた。

 人間の騎士。魔族の傭兵。連盟の猛者。まさに新たな時代を体現する揃い踏みだ。勝たねばならない。襲い来る正史を叩き伏せ、先へ進まねばならない。そのためには我が身をも投げ打つ。
 そんな悲痛なまでの覚悟は、僅かにだが実を結ぼうとしていた。

(よしっ……!)

 脆弱な人の身を責め苛む、熾烈なまでの火炎。その痛みに打ち勝っての反攻策が、目に見える形で成功を収めた。
 跳ね返した熱風はまるで効き目がなかったものの、それを隠れ蓑にした鉄塊が猛襲をかける。瞬時に反応し回避を試みる魔人。だが、ここでも三人の連携が強烈に働くこととなった。
 差し向けられた魔力によって波打つ地表。憐れな犠牲者から一縷の望みすら奪う、蟻地獄の巣か。否、どれだけ大きな獲物であろうと捕えて離さない流砂だ。
 魔術に頼らず回避を試みたこともあってか、見事にロコの策に嵌まる魔人。当然鉄球から逃れることは出来ず、正面に大打撃を受けることとなった。

「正体を表したな」

 ――が、魔人は滅びない。打ち付けられた肢体から飛び散るのは、鮮血でなければ、肉塊でもない。光。それもただの光ではない。強大な魔力を感じさせる、文字通り魔人を形成する根幹のエネルギーだ。
 この瞬間、物理攻撃による決着は事実上不可能と判明した。研ぎ澄まされた刃で切り裂こうとも。鈍重故の殺傷力に満ちた鉄塊で殴りつけようとも。
 ヒトの、いや"イキモノ"の域を踏み越えた存在にとっては、生命を脅かす一手にはなり得ない。ただいたずらに力を擦り減らすのみだ。
 求められるのは魔術。それも圧倒的な敵の魔術を掻い潜り、最後の砦たる防御すら突き崩す絶技。そんな決定力に富んだ一手が必要だ。

「精霊の風……!

いいだろう、受けて立つ」

 顔を歪ませ、総力を尽くして殺しにかかる魔人。遊戯の終幕、即ち死刑宣告。不可視の刃は大地を、岩壁を、そして空間を蹂躙し迫りくる。
 斬撃の数はしめて21。対処は困難を極めるだろうが、風の使い手として背中を向けるわけにいかない。
 十八番の神速を以て回避。己の安全を確保すると同時に、素早く振るわれる細剣。翡翠の風刃が斬撃と同じだけ放たれ、味方を狙うそれらを打ち消していく。
 続け様に増速。遠方に姿を現した魔人に肉薄し、次なる策を打つ。

「ゼファーヴォルテックスッ!」

 巻き起こる深緑の風。大気を震わせ、渦を成して敵を飲み込まんとする。更に追い打ちをかけるように風刃の畳みかけ。その数は70にも届こうとしている。視界をも封じ込める極風の連打だ。
 通用しなくとも、先程のように後続に繋がればいい。あくまで前進あるのみ。

>>ファントムメサイア、橋川清太郎、ロコ

7日前 No.1772

新時代の象徴 @sable ★ChwLR8zxza_keJ

【狭間世界/時の墓標/アーケオルニ】

 ヒトが発するには悍ましくも猛々しい咆哮。生きるために命を投げ打つ。いつか待ち受ける死に怯えて生きるなど、強者のするところではない。
 投げ捨てろ。注ぎ込め。捧げろ。死に肉薄することを恐れるな。そうでなくては生など実感できないのだから。平和に浸かる日々のどこに昂るというのだ。そんな生き方のどこに満たされるというのだ。
 空にのしかかる漆黒は、刃に更なる加速を施し。鍛錬を重ねた人間と、強靭な魔族の融合が生み出す膂力が、絶対の死すらも跳ね返す。
 本能のまま轟かせる雄叫び。幽鬼に立て直しの隙を与えたソレは、同時に二度とない最高の舞台が続くことも意味していた。
 馬鹿と天才は紙一重。愚者と英雄もまた同じ。その僅かなようで巨大な差は、紛れもなく勝利という結果がついてきたかどうかで決められる。

「好いなあ?善いだろうなあ?

そうに決まってるさ」

 突き付けられる矛先。得物を握る腕や尾の本数など、大した違いにはなり得ない。互いの目指すところが同じで。胸に抱くものも同じなら。後はどちらが混じりけなく、より澄んでいたかどうか。

 音を断つ幽鬼。突き詰めた単純さ、それは研ぎ澄まされた刃も同じ。対処の難易度はもちろん、殺傷力も跳ね上がる。
 初撃の再現だから油断できるだろうか。否。神速を喰らい。剛を叩き伏せ。強者を廃し新たな強者となるに相応しい一打だ。
 直線を攻め、間の空間そのものを消し去ったかの如き縮地。そして突き。速度もまた初撃の比ではない。受けるか。躱すか。
 前者は現実的ではない。薙ぎ払いや切りかかるのとはわけが違う。剣と鎧に留まらず、身体のど真ん中に風穴が空くことだろう。ならば手段は後者に限られる。
 翼を小さく折りたたみ、その瞬間を待ちわびる。幽鬼の技が洗練されたものなら、こちらも単なる回避で済ませるわけにはいかない。
 そう、狙いは初撃と逆方向への回避。嗅ぎ付けられてはいけない。しかし引き付けすぎて手遅れになるのもいけない。
 アーケオルニがとったのは、一度初撃と同じ方向へ回避してからの反転。細かく翼を展開・収縮させ、極限まで無駄を省いた軌道で回り込む。その挙動は武闘にあらず、舞踏。
 当然代償はある。身体にかかる負担はもちろんのこと、反転の際に掠めた突きが脇腹を裂いた。再び宙を舞う鋼鉄。噴き出す鮮血。だがそれに見合うだけの価値はあった。背後を取っただけでなく、回避を先読みしての振り下ろしを空振らせたのだから。

「そうだろうな。だから満たしてくれよ……

アタシもお前を満たすからッッッ!」

 踏み出す右足。断ち裂かれた刃の側面を合わせ、元の形を彷彿とさせる形を取る。引きずるような構えから繰り出されるは、衝撃波を伴って大地を抉り抜き、好敵手を下から二分しにかかる一斬。
 これもまた突き詰められた"剛"だ。単純さの極みに新たな力を見出す。さらに振り上げの勢いに身を任せ、鉄の塊を握り締めているとは思えないほど軽やかな宙返り。
 巨刃の先端を地面に突き刺してストッパーとし、降り立つなりもう一斬。結果として、二度に渡る剛撃が僅かな間に放たれることとなった。
 ここへきて非常に"アーケオルニらしい"技の連続。肉を切らせて骨を断つのはもちろんのこと、負荷や反動すらも次なる一手の糧としてしまう。

 さらに流れを止めることなく、勢いのままに畳みかける。頭上まできた大剣を再び二分し、肩が外れんばかりの大回転。斜め下から交差させての斬撃。
 初撃の力の作用が、潰えることなく二の技、三の技を生み出す。それでこそアーケオルニだ。竜狩りでも騎士でもない、純粋に彼女を象徴する太刀筋。

 両者に限界の概念が無いことと同様、磨かれ鍛え上げられた絶剣にも、行き止まりなど存在しないのだ。

 永遠に進化し続ける。それこそ、真に幽鬼の心身が満たされる瞬間まで。

>>魔剣士

7日前 No.1773

決壊 @sable ★ChwLR8zxza_keJ

【狭間世界/終末/シフォン・ヴァンディール】

 第一関門は突破した。この場に集う誰もが怯まず、聳え立つ時空神へ挑みかかる。これだけの覚悟と物量があれば、例えまぐれでも一撃くらいは――そんな淡い希望を抱いた者もいたことだろう。だが現実とは、神とは無情なものである。
 凍える烈風。一切の無駄なく勢いを削がれ、たちどころに掻き消えてしまう。その他の攻撃も有利な状況に持ち込んでの回避や、堅牢な防壁を用い
ての遮断、衝撃波での打ち消しによって瞬く間に力を失った。
 最後に叩き付けられたユーフォリアの虹の柱も、迎え撃つ光剣によって断ち裂かれることとなる。これが神の威厳だ。下等な人間に圧倒的な差をつけ、超越した存在として君臨する。
 決して時を巻き戻すなどせず、真正面から受け止めた結果がこれなのだから、絶望感も一入だ。

「諦めないわ。何度否定されたとしても」

 うぬぼれるな。神は言い放った。時を侵し塗り替えるのみでは、真に守護者を名乗るに値しない。ましてや、今の力では尚のこと不可能だと。
 啖呵を切って挑みかかり、全て防ぎ切られた。これが現実。さらに彼我の実力差を思い知らせるかのように、神が攻撃に出た。
 突如として空間に走る亀裂。剥がれ落ちる大空。木や石で出来た天井が崩れ落ちるなどという、酷く生易しいものではない。これは空間そのものが崩落しているのだから。
 凌げなければ、その先には死あるのみ。我々は踏み台にしてきた歴史に"押し潰される"。その重さを、尊さを身体に刻み込まれる形で、思い知らされることになるのだ。

 そうはさせない。再度不屈の意志を示すなり、右腕に魔力を集中して立ちはだかる。はち切れんばかりに蓄えたそれらを、二層に分けて真上へ放出。
 一層目は堅牢な氷。丸みを帯びた要塞となり、全ての味方を覆う。二層目はその表面を這う流水。剛と剛の競り合いに割って入り、柔で以て打開してしまう。
 この構えは言うまでもなく『アイスエイジシールド』。ありとあらゆる局面で術者を、その背後に控える味方をも護り抜いてきた、難攻不落の防壁だ。

 展開から間も無く、衝突。のしかかる空間と立ちはだかる要塞のせめぎ合い。普段なら僅かな間を挟んで決着がつくものだが――何かがおかしい。
 異変が起きていることはシフォンの表情からも一目瞭然。受け流しきれないのだ。決して手を抜いているわけではない。全力にもかかわらず、むしろ徐々に徐々に追い込まれていく。
 最後は呆気なかった。要塞の各所に亀裂が走り、決壊。飛び散るまでもなく消滅する水と氷。ここにも彼我の圧倒的な実力差が表れてしまったのである。

「そんな……!」

 敗れた。アイスエイジシールドが。豪剣士が投げ返した隕石に災禍龍姫の魔力、魔王の白雷。果ては塵殺者の獄炎をも凌いだ栄光――言うなれば不敗伝説。それが今ここで終わりを迎えた。
 嘲笑うように落下を再開する空間。とはいえ、勢いを削いだのは事実。個人での対処が可能な域にまで来ている。後は各々の判断に任せ、反撃に転ずるが吉だ。

 しかし、そう簡単に気持ちの切り替えが出来るはずもない。繰り返すが、アイスエイジシールドは不敗の奥義。自身の防御技の中では間違いなく最高峰であり、繰り返し磨き上げてきたが故に完成度も究極の域。
 それが再序盤で破られたのだから、深く動揺するのも無理はない。この先、味方を護る盾として機能できるだろうか――そんな不安が頭をよぎった。

 垂れ込める暗雲を打ち払うかの如く、諸手に蓄える光と虹。融け合い混じり合い、生み出された無尽蔵のエネルギーを差し向ける。
 自身の頭上に降る空間を押しのけ、神を飲み込まんと殺到する極光。破壊力はもちろんのこと、視界を封じる狙いもある。
 不安要素が増えてしまったとはいえ、あくまで前進あるのみ。戦いはまだ始まったばかりなのだから。

>>時空神クロノス、ユーフォリア・インテグラーレ、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、キラー・テンタクラー、シエンタ・カムリ、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア

7日前 No.1774

What is Evil? @libragreen ★iPhone=ikYp7Fe69N

『未来に対する最上の準備は、現在をしっかり見つめること、なさねばならぬ義務を果たすことである』
 ──ジョージ・マクドナルド

【狭間世界/終末/ボルヴェルク】

 人が夢を見る限り(幻想/ファンタジー)や(おとぎ話/メルヘン)も消えてなくなることがないように、星の想いが産み出した神々も忘却の彼方に追いやられども消えることがない。
 科学と未来のご時世に狭間を通して降臨した真なる神、クロノスこそが時を巡る戦いにおいて最後の敵となる。
 堪忍袋の尾が切れ、禁忌を犯した人類に見切りをつけた時空神は世界にとっての害悪に等しいそれを排除しようと動き出す。

 時空防衛連盟と歴史是正機構の戦いがとうに決着した今、この場に集いし勇者もとい『覚悟』の味方たちは二つの陣営および敵味方の垣根を越え、一丸となって時空神クロノスに自分たちの可能性を示そうとその誇り高き血を滾らせる。
 彼女の怒りを鎮めるのに必要な行いとして、未来へ足を進める歩みにふさわしい実力をここで示さねばならない。
 ifの正史や可能性の残滓が漂着した狭間世界の最深部にて、ついに最終決戦の火蓋が切って落とされた。

 時空神が時を巻き戻してユーフォリアの先陣を切った行動を無かったことにしたのを目の当たりにし、鬼司令官と奇術師が激励の言葉を浴びせる。
 闘争心に火がついた各々が知恵や力を振り絞り、時空神クロノスへと挑み始めたのと同時期に新たなものが終末の渦中へと自ら飛び込んできた。

「……やれ、参った。 某(それがし)が得意とするのは悪の鎮圧であって、貴様のような神を相手取るのは兄者が担当するのだが。 …まぁ今回ばかりはやむを得まい」

 狭間世界で知り合ったピアノの詩人と共にある『英雄の亡者』と直接対面した彼の異母兄は、敗北を味わいながら人類愛に溢れた悍ましき所業を目の当たりにした。
 いずれ自滅するであろう亡者に関する調査の件を優先したいがために、兄者は相棒の奇術師やショパンの友人であるシエンタとキラー、他の仲間たちを支援するその役目をわざわざ自分に譲ってくれたのだ。
 己がぽっと出の身でしかないことは十分承知しているとしても、異母の兄者──オーネット・ブラッドレイに託されたお願い事を無為にできるはずもない。

 その男は神の秩序を破壊する黒い鳥、すなわちレイヴン/大鴉の姿に転じて終末の地へと舞い降りた。
 大鴉の姿から元の姿である黒ずくめの賢者のいでたちへと戻り、前に下げた三つ編みを揺らして着陸すると緩慢に【リプレイサー】の方へと振り向いた。
 どこか気怠げな声色とポアッとした半眼だが、思慮深い金色の右目で兄の戦友であるその青年をまじまじと見つめる。
 距離が近いので顔の右半分にある傷跡がよく見えてしまうが、そんなものなどお構いなしだ。

「…ほう。 そなたが兄者の申していた、戦友の奇術師で違いないな。 慧眼へと目覚めたその碧き瞳、悪くない」

 また人造悪魔である己を除けば恐らく唯一の人外である水晶イカ改めキラー・テンタクラーに興味を示したのか、無表情ながら好奇心がこもった眼差しをほんの一瞬だけ向けたものの、すぐ様本題の戦いへと移行して気を取り直す。
 急遽飛び入り参戦したものだから、シフォンが張った魔鏡の加護をただ一人受けなかったのは早速、常日頃からつきまとっている不幸が働いたのだろう。
 囮には最適かもしれないと心の内側で皮肉ると、ボルヴェルクは全ての攻撃を真正面から無傷で受け止めてみせた時空神の方へと改めて向き直る。
 ボルヴェルクにとって最初で最後の、時にまつわる戦いが始まった。

「某は”禍を引き起こすもの”ボルヴェルク。 短い間といえど、そなたらを助太刀して進ぜよう。 …そして覚悟召されるがいい、時の氏神。 暗闇の荒野に、進むべき道を切り開く事──覚悟の結果が無駄だ と し て も、その過程を徹底的に見せつけてくれるわ」

 真なる時空の神に対して静謐な態度でありながら、堅固な意思を見せつけたボルヴェルクは拳と拳を激しく打ち鳴らして自身の魔天導器〈ガングニィル〉を起動させる。
 青緑色をした未知なる金属が輝きを放ち、彼の意思に呼応して籠手が力を満たしてゆく。

 無意識の傲慢がありそうな言葉を吐き捨てられると、ついにクロノスが攻撃へと転じる。
 その手に杖しか携えていない彼女が用いた武器は、崩落した天井からおちてくる歴史の重さそのもの。
 本来ならば概念的でしかないはずであろうそれは、余りにも重く大きな質量をもって確実に勇者たちを圧殺しにかかる。
 特に慌てふためかずに迫り来る天を見上げるとその場に深く沈み込み、腕とアキレス腱の力を用いて空高く一直線に飛び上がる。
 再び大鴉へとその身を変えて、クロノスではなく隕石めいた歴史の重さそのものへと槍のごとく突進し、眼前に着けば元の人型へと転じて拳を重く振りかざす。
 まさしく疾風怒濤の勢いで“激烈”の二つ名にふさわしく、味方が押し潰されないように抑え込むための拳打の連撃を一発、二発、三発……それこそ無数に叩き込む。

「…むむ。 やはり一人だけで抑えるには限界があるか」

 腹に括った”一本の槍”と自身を槍に見立てたその拳を武器として、時空神と歴史の重みを相殺するには案の定といったところで両腕がやや軋む。
 しかし鬼司令官シフォンが繰り出した光と虹の二重奏が、歴史の隕石ごと時空神を狙い撃ちボルヴェルクの負担を減らしてくれた。
 他の者たちもクロノスの絶対的な力を目の当たりにしながら、それでも歴史の重さに潰されないように足掻くことだろう。

 自身が決戦を始めたばかりのタイミングで参戦できたのは僥倖といったところか。
 冷静沈着でありながら嵐の如き荒ぶりを見せる相反した動きと心で、たとて敵わないとしても時空神に目にもの見せてやろう。

>>時空神クロノス、ユーフォリア・インテグラーレ、シフォン・ヴァンディール、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、【リプレイサー】、ジークリンデ・エレミア、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー

7日前 No.1775

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_sxd

【狭間世界/時の墓標/魔剣士】


確かに人間は避けたとも、鋭さを増した突きを躱し切れずに脇腹を朱に染めはした。舞う紅が顔に付着しようと魔剣士は気にも留めない、誘われた。いや、誘われた上で読まれたと言うが正しいだろう。
初撃の感覚頼りでの回避ではなく、明らかに認識した上での回避。その方向は初撃と同じ方向、から翼を利用しての舞い踊るように反転し背後へと回っていた。負った傷も回避をし損ねたのではなく、最低限の犠牲でしかない。
詰まる所、この短期間で速度に順応し、回避に揺らしを組み込めるほど練達している。その成長性を見出してはいた、しかしながらこの速度は歓喜と言う他はないだろう。明確に対処されたにもかかわらず、魔剣士の口元は弧を描く。
読みを外した長剣はまたも城塞を大きく砕く、それだけではなく遥か先まで一筋の溝が出来るほど。されどこれは狙う先を失っただけの剣、どれだけの破壊力を持っていようと意味はない。であるならば、背後から迫るであろう刃へと向かわせよう。
身体を右へと反転させながら振り下ろし、引きの動きと合わせる事で足捌きと同時に長剣が弧を描く。だがこれは絶対の隙を打ち消すには至るが万全の相手から放たれる剣技を受け止めるには力不足、故に起こる結果も必然。
元の剛剣の形のまま、引きずり振り上げられるそれは大地を抉ろうとも微塵も速度は緩まず。拮抗は一瞬、間に合わせの剣は容易く弾かれる。だがそれも想定の内、弾かれた勢いを下半身で制御下に置き、体勢を即座に整える。
これは人間の剣技が力を利用した連撃であることが功を奏した、力を利用する以上流れるような連撃こそ可能だが、得物の大きさも相まって速度は対処できぬ程ではない。現に、宙返りし二斬目が襲い掛かるころには魔剣士は長剣を逆手に携えている。
しかしながら回避の隙までを与えぬのは人間の技量の高さが窺える、続く再度地を削りながら放たれる振り上げ、それに対して魔剣士は長剣で受け流しつつ距離を詰める。金属が激しく擦れる音が、血塗れの戦場で音を奏でる。
距離を詰める理由は二つ、一つはこの連撃はまだ終わらぬこと。大きな得物とは絶大な威力を誇るが根元に近付けば近付くほど回避も、振ることも難易度は跳ねあがる。無論、魔剣士にとってその程度の難易度など障害にすらなりはしない。
そして二つ、続く連撃は振り上げである事。振り上げ、振り下ろしと来るならばその次は幾つかに絞られようと特定まではそう容易くはない。されど、振り上げ、振り上げと来るならば技の特性から考え終の一撃も振り上げになるだろう。
下からの攻撃とは確かに効果的だ、人の形をしている以上振り下ろしに耐えるより振り上げを耐える方が遥かに厳しい。先の初撃の拮抗、あれも振り下ろしであれば対抗は出来ていたであろう程に有効的な手段だ。
だが、振り上げると言うものは振るう側にとっても絶大な隙が生まれよう。開いた脇、振り上げた腕、胴を守る手段などなく、勢いがつけばつくほど振り下げるにも時間を要する。有効な手段は、最悪の隙を生むことさえあるのだ。
再び二刀として別たれた剛剣、それを見やれば依然距離を詰めながら長剣を順手へと握りなおす。そして肩の可動域を明らかに無視した回転、これまでの連撃の勢い全てが乗っていようとも軋むことなく振り上げられる剛力。
二刀が交差する衝撃の瞬間、魔剣士は僅かに右へと揺れる。

「―――だからこそ、喰らいたくなった。」

砕け散る黒鎧、溢れ舞い散る紅の雨、宙へ舞う黒き何か、黒と朱の狭間に見える柔き白い肢体。そして変わらずに人間を捉える金糸に呑まれた紅き宝石。まだ、魔剣士は動いている。
交差する位置を寸前で左肩へとずらし、確かな手応えを与える、人間から見やれば間違いなく身体の中点で捕らえたと見えるようにだ。それに加えて視界を潰す血と鎧の破片、そして意識を集中させればさせるほど目で追うであろう飛来物。
それは魔剣士の左腕、肩口から断たれた勢いのまま空へと躍り出た。所詮封じられていたもの、一つ失おうが惜しくはない。何せこの戦いにおいては一切使わぬのだ、目眩ましになるならば使わぬ手はない。
さりとて左半身全てが傷と言える程に深手を負ったのは事実、黒鎧は傷以上に砕け散っている。これが幽鬼の肢体かと思えぬ程、幼さの残る弱弱しき肉体を朱に染めているのすら垣間見える程の破損。
それでいながら権能を封じる鎖は健在、未だに魔剣士を縛ったまま。
だが、そんなものは魔剣士にとっては犠牲にもなりはしない。人間は剣を振り上げて、臓物の詰まった肉袋を惜しげもなく晒している。切った手応えもある、吹き飛んだものも見える、これまで傷一つ与えていなかったことも起因しよう。
人間が油断するなどとは思っていない、だがこれまでの事実を列挙すれば警戒が僅かに緩むのは道理だろう。明確な隙、そして初めての確かな手応え、そして退くには余りにも近すぎる間合い、そして魔剣士の仕込みはもう一つある。

「良い、生きれば飢え―――」

右へ身体を揺らすと同時に潜り込むようにし、長剣を人間の左側へと滑り込ませていた。血飛沫による視界潰し、そして何より振り上げた人間の腕自身が死角を作り出している。腕を天まで振り上げれば、視界は狭まると。
どう足掻こうとも対処が遅れるのは必然、故に左脚を僅かに前へと滑らせ、右脚を踏みしめる。長剣を携えた右腕を後押しするかのように、腰を入れて振りぬく、繰り出されるは刺突。されどそれを察知するには、余りにも条件が悪すぎる。

「―――死ねば満ちよう、貴様と私はな。」

長剣の軌道は人間の左脇腹から右の肩口までを一直線に貫くもの、まさしくの致命の一撃。癒えぬ傷を与えることも、不可避の斬撃を放つことが出来ずとも、この刺突は命を狩るに不足はない。
だが、魔剣士はこれで終わるとも思ってはいない。何故ならば互いに生きている、どれだけの条件を整え、確実に屠れるであろう技を放とうが、人間は限界なく超えてくる。ならば、勝利の確信は遥か彼方だろう。
故にだ、まだ終わらない。この血に飢えた二人に限界などない、身体も魂さえ失おうとも、満たされなければ骸であっても立ち上がるだろう。
そうでなければこの戦いは起こり得ず、人間が満たされぬこともないのだ。
そして、人間が満たされぬ以上幽鬼も飢え続ける。互いを好敵手として、共に天の下に存在しえぬ絶対の敵として、認識してしまったから。

だからこそ、その剣は未だに血を求めているのだ。

>>アーケオルニ・ランドグリーズ

6日前 No.1776

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟/橋川 清太郎】

再度の連携攻陣、ロコは少女の立っている地盤を液体へと変質させた。それだけでは少女を打倒出来はしない、どころか掠り傷一つ付けることさえかなわないだろう。
しかしそれこそが正解。この場には攻撃を担当する者が二人もいる、一人くらい拘束に専念している方が丁度いいのだ。

(よし、直撃入ったぞ!)

そして作戦は見事功を成し、少女は鉄球の烈撃をモロに受ける。
が、血肉を惨たらしく撒き散らすことはなく、幻惑的な漂光となって霧散。程なくして元の姿へ戻る。別段それについて驚きはしない、元より常なる生物でないことはHUDからの生命反応である程度把握できていたし、以前も似たような存在に会ったことがある。それよりも注目すべきなのは、奴が大して消耗していない点だ。どうも物理干渉では有効打を与えることは出来ないらしい。

(完全な魔力生命体か)

そう結論付けた直後、凄まじい攻性エネルギー群体がこちらに殺到してきた。するとゲイルが相変わらずの即決即断で的確にそれらを処理していく。

(よし、体勢を整えて次の好機を……いや、待てよ)

確かにここで少し待ち、彼が斬撃を全て打ち消してくれる間に、次の攻撃の準備なりしておくのが定石だろう。しかしそれでは駄目なのだ、奴の戦士としての勘や判断力はずば抜けている。普通のやり方ではまず埒が開かない。故に、ここで取るべき選択肢は――

「……突撃する!」

瞬間加速用大出力ブースター・SolidFeatherを全開で吹かし、一瞬で音速の壁を突破。
取った決断はやはり攻勢、それも今度は後先考えないような事実上の特攻といえるものだ。だが奴との技量差を埋める為には、確実な勝利を掴む為にはこんな無茶でも押し通すしかない。

「おおおおおおおお!!!」

この鋼鎧を迎え撃つは神域の剣閃、数にして八。それでもなお前進を躊躇しない。そして剣閃が迫り装甲を抉り取らんとする瞬間、

(今だ!!)

SwordPackをパージした。全身を包む灰と赤の装甲が弾かれるように勢いよく切り離される、そして内蔵機能で発生した高出力バリアフィールドと共に、身代わりとして斬撃を甘んじて受けた。
大破、とまでは至らなかったもののやはり損傷は深く、もしパージせずに突っ切ろうとしていたら間違いなく勢いを崩されていただろう。

最期に盾としての役目を果たした大鎧の内より現れるは、白き軽鎧。
久しく戦場(いくさば)に形貌を晒していなかった、PS-M-3352-GAWND本来の姿だ。

少女へ肉薄しクロスレンジに入ろうとする直前、ある内蔵装置を起動した。
本来の武装はオーバーホール中、SwordPackもたった今切り離したこの状況でも使用出来る、最後の切り札。

「届けえええええええ!!!」

その名はWitchJudgment。胸部装甲に内蔵された特殊フィールド発振装置試作型。自機を覆う範囲で一定濃度以上のあらゆる魔力に反応し、その作用を完全に抑制する。
その性質上、通常の生物には何の効果も無いが、全身が魔力で構成されているこの少女ならば、致命傷を与えることが出来るのではないかと考えたのだ。
そしてショルダータックルという形で、少女をフィールドの範囲内に入れようと更なる加速を行う。
計らずもそれはゲイルとの連携、それも挟み撃ちとなった。

>>周辺all

6日前 No.1777

亡国の末裔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_rxQ

【狭間世界/大雪原/ソレミア・ラガルデール】

戦いの結末が近付いているのが、嫌というほど感じ取れた。お互いに体力を消耗し、身体に刻まれた傷の量も少しずつ増している。どちらが先に倒れるか、耐久力の問われる局面。
ぶつかり合う剣と剣。グランドナイトとの激突により、互いの得物が火花を散らす。指先に伝わる確かな感触で、ソレミアは攻撃が敵に命中したことを悟った。
されど、それは致命的なものではない。明らかに追い詰めつつある状況とは言えども、戦いの流れはたった一つの出来事で変わることもある。だからこそ、相手に立ち直る隙を与えず、攻め続けたいところであったのだが……
先に反撃に動いたのは、グランドナイトの方であった。ギラードをアイスソードの形に戻し、炎と氷の剣を天へと向けて掲げる敵。すると、予め生成されていた針に属性が宿る。
次に彼女が剣を振り下ろすと同時に、それらはまるで無数の流星の如く、地表へと降り注いだ。所狭しと敷き詰められたそれに、回避の余地などほとんど存在していない。
防御をしなければ、確実に命がなくなるであろう状況。恐らく、ツバキも攻撃を仕掛けず、まずは防御に徹するであろう……そう考え目を横にやれば、そこに広がっていたのは予想だにしない光景。

まさか、あの攻撃を前にして突貫を選ぶとは……それでいて、しっかりと敵に到達しているというのだから、末恐ろしいものだ。少しだけ苦笑いを浮かべつつも、ソレミアは彼女に続く。
自分にはあのような芸当は出来ないと理解しているからこそ、防御を展開しつつの進軍であったが、攻撃が熾烈なこともあって、なかなか思うように進むことが出来ない。
ようやくグランドナイトの眼前へと躍り出た頃には、ツバキは攻撃を放ち終えていた。追撃を加えるような形で、ソレミアは両手に最大限の魔力を結集していく。
そのまま両手の剣で斬りかかると見せ掛け、白金双剣を消失させると、地面に手を当て魔力を注入する。彼女の魔力に呼応し、敵の足元に召喚されたのは、水銀の無限地獄。

「悪く思わないでちょうだい。この戦いには、私達の存亡が懸かっているのよ」

別世界とはいえ、知己の人物を死に至らしめるかも知れない攻撃を放つのは、大いに心が痛む。だが、そこで躊躇すれば、待ち受けているのは逃れようのない運命。
故にソレミアは心を鬼にする。このグランドナイトという存在は、別世界のカシュタン・コルーカルは、何らかの力によって意識だけがこの世界に呼び出された、もしくは再現されたに過ぎないと、彼女は考えた。
ここで倒されたとしても、きっとカシュタンは元の世界に戻ることが出来るはずだ。あるいは、本当は来てすらいないのかも知れない。敵対者の身体を蝕む、荒れ狂う水銀の波。一度溺れ、その液体を飲み込もうものなら……致命傷は避けられないだろう。

>グランドナイト、ツバキ・オオトリ
【見落としにより長きに渡りお待たせしてしまい、本当に申し訳ございませんでした……!】

6日前 No.1778

ジークリンデ・エレミア @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=66hUEMgB70

『狭間世界/終末/ジークリンデ・エレミア』

時空神クロノスは全員の攻撃を受け止めてみせると宣言した。
ジークの生成した魔力球の内、半分に対しては同じような魔力を硬めた球をぶつけることで相殺。
残りの半分を高い機動力により無傷で全て回避した。
その後ジークの攻撃を含め、各々が放った攻撃を時空神クロノスは容易く防いでみせた。
それらの状況を見ていても尚、ジークは諦めていない。折れず、曇らず、絶望に染まらない。
しっかりとした瞳で相手を捉え、見続ける。
やや遅れる形で新たにもう一人、時空神との戦いに姿を見せる。見ない顔だが、今は一人増えるだけでも十分心強い。

「出来る!人間に出来ないことなんてない!」

時空神はこの場に居る者達に今のままでは世界を護れないと吐き捨てる。
そして時空神は攻撃のために動く。
その瞬間何かが割れるような音がした。ふと、上を見ると終末の天井が崩落を始め、降り注いでいた。
ゆっくりと落下はしてはいるが、回避では対処出来ないほどの空間攻撃であった。
ジークはすぐに自身の右手に魔力を集中させる。

「エレミア流外式! パイルバンカー!」

魔力の集中が完了し、右手を上に向けて伸ばすと、1発の固定プラズマ砲を放つ。
元々の威力自体は高い方なので少なくともジークに向かって来ているものは壊せる。
この魔法は元々ジークのものではないが、以前異世界に飛ばされた経験を考慮し、仲間から教わっていたものである。
そしてジークは危険を顧みず、姿勢を低くし時空神クロノスに向かって一気に接近してインファイトを仕掛けようとした。
先ほど何が起こったのか、ジークは忘れた訳ではない。
が、少しでもチャンスがあれば接近して攻撃をしようとしたのである。

>>時空神クロノス、ユーフォリア・インテグラーレ、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー、リプレイサー、
シフォン・ヴァンディール、フォルトゥナ・インテグラーレ、レオンハルト・ローゼンクランツ、ボルヴェルク

5日前 No.1779

忠犬 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_rxQ

【狭間世界/血塗られた島/ロコ】

やった。ロコは、心の中でそう声を漏らす。ゲイルが放った熱風は、奴にとってはまるで脅威とならなかったらしく、敵の取った対処はただその場に立ち尽くすこと。
続く鉄球も、何事もなければ魔法を用いずとも、簡単に避けられた攻撃だろう。だが、ここでロコが敵の足元を液状化させたことが生きてくる。突如として沼と化した地表に、バランスを崩すファントムメサイア。
脱出が遅れたところに、静太郎が放った鉄球が容赦なく炸裂する。人間であれば、間違いなく一撃で死ぬであろう破壊力。事実敵は、魔力の光となりて霧散し、消滅の時を迎える……かに思われた。
魔力の再結合。打ち倒したはずの相手は、次の瞬間そこに立っていた。それを目の当たりとしたロコは、確信する。彼女はもはや、人間のアンナローズとは全く異なる、別の存在であるのだと。
人間と魔族の大きな違いは、身体にあるといえるだろう。人は死んだとても、何らかの形で処置を行わない限り、肉体はその場に残り、腐乱はしても骨までもが消えることはない。
対して魔族は、生命が尽きたと同時に身体を構成していた魔力が解き放たれ始める。魔法による保存がされない限り、遅くとも数日の内にその者の痕跡は消え去ってしまうのだ。
そのような観点から見れば、魔力が再結合することによって"復活"を果たしたファントムメサイアは、もはや人ではない。むしろ、魔族に近い存在であると言わざるを得ないだろう。

「正真正銘の化物なのであります……ですが、我々と同じならば、倒せない道理はないのであります!」

ロコは自らを奮い立たせるようにそう言い放ち、敵の攻撃に備える。敵が魔族に近い存在であるならば、無敵ではないはずだと、彼女は決死の表情を浮かべながら考える。
風に姿を変えたファントムメサイアが、三人にそれぞれ複数回の斬撃を浴びせる。いつ、どのタイミングで襲い掛かってくるか分からない、不可視の攻撃。
直ぐ様石の要塞を作り出すことによって、ロコは対処しようと試みるが、本気の片鱗を見せた敵を止めるには至らず、結果として彼女の身体には、二つの傷が刻まれる。
それも、かなり深いものだ。正直、ゲイルが自分に向かってきた斬撃のいくつかを掻き消していなければ、死んでしまっていただろう。こんな局面で足手まといになるなんて、一体何のためにここにいるのだろうか。

味方は既に反撃に打って出ている。だが、自分があの領域に付いていけるのか? たとえ攻撃をしたとしても、先程のような奇跡が起こるとは到底思えない。
残された猶予は僅か。ロコは、己の存在意義を自分自身に問う。考えろ、考えるのだ。自分は何故、何を果たすために、この戦場に立つことを決意したのか。
暗中模索の中、彼女が一つの答えに辿り着いた瞬間、辺りに衝撃波が撒き散らされ、その身体が光に包まれる。

「そなたが生きていれば、いずれ私の時代に、そしてアンナローズ殿危害が及ぶのであります。故に私はそうなる前に、この場にそなたを止めてみせるのであります!」

―――それは、狭間の世界にてロコが抱いた、従者としての揺るぎなき覚悟であった。上級魔族にすらも追い縋ろうかという速度で疾駆した彼女は、上空へと飛翔し、そこから敵へ最大限の魔力を向ける。
外面上の変化はない。相手からすれば一見無害で、何をしたと勘繰りたくなることだろう。しかしこの時既に、見えないところで"それ"は進行し始めていた。
ファントムメサイアの足だ。ロコは敵の足裏から根を生やし、身動きを封じようとしているのである。いくら暴虐的な力を持つ者であろうと、地中深くに張り巡らされた根を引き千切るのは骨が折れることだろう。
勿論、常識の通用しない相手である以上、容易く切断される可能性も大いにある。だが、そうなったら次なる作戦を考えるだけ。ロコはもう、逃げも隠れもしない。
この戦の結末は、未来だけではなく、中世や古代、ひいては時空そのものの運命を左右する。愛する世界、そして主人を護るため、一人の魔族が、限界を超える。

>ファントムメサイア、ゲイル・ベネルド、橋川清太郎

4日前 No.1780

新時代の象徴 @sable ★n7HCgrYll9_keJ

【狭間世界/時の墓標/アーケオルニ・ランドグリーズ】

 ペッと、血混じりの唾を吐く。引き裂かれた右肩と脇腹が痛むのだ。ヒトだ魔族だ以前に彼女は生物、幾ら鍛えようが被弾は生命を蝕む。痛みは顔を歪ませる。
 しかし戦意まで削がれはしない。むしろ燃える。掻き立てられる。削り取られた命は油となり薪となり、瞳に灯る炎を永久に消えることのない業火へと育て上げるのだ。
 面白い。狂気の沙汰ほど面白い。極限状態というのは最高だ。化けの皮が剥がれる。取り繕った冷静さや、仮初の個性が消し飛ぶ。どんな輩が最後まで居残るのだろうか?それが知りたくば、時の墓標を訪れるがいいだろう。

 剛剣の三連撃に対し、肉薄を以て応じる幽鬼。普通なら恐れをなして退避、よくて防御一辺倒というところだ。ここまでの流れから接近を試みるのは読めていたが、その速度と積極性は予想の遥か上を行っていた。
 初撃で弾かれつつも即座に復帰、続く斬り上げは長剣を以て受け流す。分断を目にするなり構えを変えたことからして、再度剣で受けるつもりか。そう読んで振り抜く双腕に力を込めるも――次の瞬間には、驚愕の色が張り付いていた。

 僅かに右へ揺れる幽鬼。変わらぬ軌道を描く刃。手ごたえはあった。漆黒の破片と血飛沫、そして目で追わざるを得ない物体。腕だ。交差する刃は、幽鬼の左腕を穿った――

 それだけだ。

 考えてもみるがいい。幽鬼ほどの猛者が、腕の一本に勝敗を左右されようか。失ったからといって泣き叫び、その場にくずおれようか。
 おまけにこの喪失は、単純な競り負けの末に起きたことではない。あくまで計算され、勝利のための必要経費として差し出されたに過ぎないのだ。

 確かな手ごたえ。視界を遮る血飛沫。掲げられた右腕。一つ一つは小さな要素だとしても、積み重なれば確実に敵の気を引く。
 仕掛けたのが幽鬼ともなれば、瞬きほどの隙も必要ない。ほんの一瞬――狙いに気付かせなければそれでいいのだ。

「つあッ……!」

 左の脇腹に走る痛み。遮られた視界の中、陽の光を受けて煌めく刃。鎧を砕き、肉に食い込む冷たい鋼。
 咄嗟に左手で掴み、これ以上の進行はさせまいと食い止める。力のかかる方向からして、狙いは右の肩までを射程に捉えた刺突だ。まともに受ければ、身体を二分されてしまう。
 暫しの競り合いの後、再び鉄が宙を舞った。どちらの鎧でもなければ、得物でもない。義肢だ。そう、竜騎士の左腕は精巧な模造品へと置き換えられている。
 幽鬼のソレと違って戦闘に大きな役割を持つ故、喪失の痛手は大きいが背に腹は代えられない。一度阻まれた切っ先は、脇腹を数センチほど刺した後、切り裂いて外へと逸れていった。
 幽鬼ほどではないものの、肩の傷の比にならない量の血が溢れ出る。思わず傷を押さえ、数歩後退る――

 が、しかし。

「満ちるために死ぬ……死ぬために生きる、戦う!

なんておもしろい、奇妙な世界だ!!覇ァーッ覇ッ覇ッ覇ッ覇ッ!!!」

 狂笑。尻尾までもがビシビシと地面を打ち据え、面白くてたまらないのだと全身で表現する。
 ひとしきり笑い終えるなり、反撃。腕の代わりに尻尾で剣を束ね、翼を限界まで広げて突進。
 両の得物を身体の側面に沿わせて繰り出すは、粉微塵になるか三枚下ろしになるかの二択を迫る凶悪なタックル。
 炸裂と同時に全ての勢いを双刃に乗せ、あくまで殺傷力を追い求める。技巧の欠片もない蛮行だろうか。勝負を白けさせる禁じ手だろうか。

 否、持てる全てを注ぎ込んでいるに過ぎない。

 幽鬼は既にそれを成している。手傷を躊躇わない姿勢が何よりの証拠だ。そうとあらばどこに出し惜しむ理由があろうか。
 最早恥も外聞もない。翼は雄々しく広げ、尻尾は下品に打ち据える。膂力は限界まで引き出して刃に沿える。
 使えるものは全て使うのだ。そうでなくては飢え続ける。勝っても満たされない。負けようものなら、未練に満ちた魂は永久に地上を彷徨うことになるだろう。

 それを理解しているアーケオルニにとって、命など片道の燃料でしかなかった。

>>魔剣士


【お待たせしましたT T】

3日前 No.1781

迷う者 @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【狭間の世界/狭間の最果て/ヴァイスハイト・インテグラーレ】

至近からの連続射撃をまともに受け、しかしバビロンは当然の如く止まらない。ヴァイスハイトとしても、こんなモノで奴を倒せると思ってはいない。
血を流しながらも猛るバビロン。変わらず不敵な笑みを浮かべるその男の眼が紅く染まる。"成し遂げようとする意思"だけであらゆる理不尽を踏み越える怪物が、ヴァイスハイトと再び見える。
対して、ヴァイスハイトは……表情こそ固く真剣だが、しかし心の幾何かを、目の前の怪物とは異なる"何か"に奪われている。怪物が楽しげに語る言葉より、何時か聞いた誰かの言葉が脳裏にこびりついて仕方がない。

何もかもを粉砕せんばかりの威圧感を伴って繰り出される拳の連打。一つ一つに先に放たれた銃弾が稚戯に思える程の破壊力のそれらは、一撃受けただけでも痛手になるだろう。
であれば当然、ヴァイスハイトが取るのは避けの一手。全く憎らしい事に、バビロンの眼を直視した彼には、それを可能とするだけの力が備わってしまっている。
顔面目掛けて打ち出される右の二発、上体を左右に揺さぶって避ける。一撃かわす度に耳元を駆け抜ける風切音が彼の脳を揺さぶる。
重ねて繰り出される胴体への左の二発、片足に重心を掛けて滑る様に動いて直撃を回避する。かすっただけで体を持って行かれる圧倒的な膂力に気圧されつつも、追撃を凌ぐために体勢を崩すまいと堪える。
だが五発目の右、体勢を戻すより僅かに早く繰り出されるそれを避けるために無理に重心を移動させたのが間違いだった。待ってましたとばかりに打ち込まれんとする強烈な膝蹴りは、もう避けるに間に合わない。

「――っ!」

腹部への直撃だけは避けなければと、苦し紛れに右足で蹴り出して相殺を狙う。だが両者の力の差は歴然で、受けるどころかヴァイスハイトが一方的に吹き飛ばされてしまう。

「ぐっ……!」

たたらを踏んで後退し、仕切り直そうと――所詮、悪足掻きだと分かっていながら――右手の拳銃を数発バビロンの胴体目掛けて撃つ。
幸い右足の痛みは鈍く、十全に動く。折れてはいないか、或いは、そんな事を気にしていられる余裕も無いだけか。どちらにせよ、直ぐにでも苦痛に倒れるような事が無いだけ上等だろう。

……ヴァイスハイトの動きには未だに迷いが見える。脳裏に過る"何か"を振り切れないまま、仇敵を前に散漫としている。

>>バビロン

10時間前 No.1782

ダン・マッケーニ=バビロン @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_sxd

【 狭間の世界/狭間の最果て/ダン・マッケーニ=バビロン 】

 空を切り裂き、地を砕き、海を割り裂くバビロンの拳。
 神話の始まりを自称するに相応しい超人的な身体能力が惜しげもなく行使される。
 だが、それは――まだ慣れていないとはいえ、黄金の果実を喰らわされたヴァイスハイトも同じこと。

 ダン・マッケーニ=バビロンの所持する異能<デュナミス>は他者にも感染する。
 まさしく、朗々と詠唱<ランゲージ>された通り、彼は黄金を喰らった英雄であり、同時に黄金の果樹園の支配者。
 その域に踏み込まされたことにより、以前の戦闘と比べ両者に大きな差は発生することはない。……本来ならば。

「いいねッ、その意気だ」

 連続して放たれる格闘術のコンビネーション。
 右で放つジャブ二発、鋭い風切り音。胴体への二発、掠るだけで致命傷――肉体が削り取られる。
 上体を左右に揺さぶり、更にすり足を駆使して複雑な左右移動を組み合わせることで、凌いでいくヴァイスハイト。
 だが、無理な重心移動を狙ってバビロンが放つは……着弾地点を衝撃で貫く強烈な膝蹴り。

 当たれば最後、内臓が蹂躙されて抉り抜かれる――寸でのところへ、差し込まれるはヴァイスハイトの右足。
 だが、足りない。膂力の差……ひいては、隔絶された威力の差をいいことに、バビロンはそのままヴァイスハイトを吹き飛ばした。
 深黒の大地に転がりそうになるもすり足で踏ん張り、後退して距離を取りつつ、此方へ向けて来たのは拳銃。

「――おいおいどうした? へこたれたわけじゃあないよな?」

 銃声――暗黒空間に鳴り響く。やはり回避をせず、胴体を射抜かれるバビロン――倒れるわけではない。
 衣服は出血により既に真紅へと染まっている。まるで、真上から塗り潰されるかのように。
     、     、   ・・・・・・・・・・・
 されどバビロンは止まらない。銃器如きで俺は死なない、馬鹿げた妄想を実現。
 だってそういう漢の方が恰好いいだろう?


 ――本気で夢を叶えようとする男がいるんだ、今更銃器如きで膝を付いてやれるかよ。


 明らかにヴァイスハイトが押されているこの状況。
 無理もない。ヴァイスハイトの目に宿っているのは迷い。
 ・・・
 精神力――気合だの根性だのという非合理にして理に叶っていない感情こそが直接の力に繋がるのがバビロンの異能。
 両者の間にある、簡単なようでいて根深い溝。精神性を超越し、化け物の領域に至っているバビロンの出力は無尽蔵。

「いや、そうか。……そういうことか、なるほどいいだろう!」

 バビロンが取り出すは、片手で扱うには反動が大きすぎる大型拳銃。
 しかし、彼は片手で持つ。支える手もいらない――英雄はこれも容易く出来るんだから、俺にだって出来るはずだと。
 踏み出す。
 爆――まさに、縮地とも呼べる加速。一瞬で肉薄してみせたバビロンが振るうは、今しがた取り出した"拳銃"。
 ヴァイスハイトの眼前に現れる頃には、それを振り上げて――。

「銃器でやりあおうってことだな!?
 ハハハハハ、なら付き合ってやるよ――見せてくれよ、俺も見せてやるからよ……」

   、    、  ・・・・・・
 ――その頭上目掛けて振り下ろした。

 鈍器でブン殴るのとほぼ同じ要領。当たれば頭蓋骨陥没で済むかはやや怪しい。
 間髪入れずに、バビロンはもう片方のポケット――膨らみより、拳銃を取り出した。

「二丁拳銃ってやつだッ――練習してきたんだ、これでもなァッ!」

 事実上の二丁拳銃スタイル、まさに鬼に金棒と呼べる程の出力発揮。
 相手が態勢を立て直すよりも早くその腹部へと銃口を突きつけた。
 何か大きなものが襲来してきたかのような轟音/大口径の弾丸――迷う男へと、射出。

>ヴァイスハイト・インテグラーレ

10時間前 No.1783

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