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【ALL】Chrono Crisis【戦闘/シリアス】

 ( なりきり掲示板(フリー) )
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時を巡る旅路 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_UxJ

進化と共に新たなる技術を生み出し、その活動域を地球全体へと広げていった人類。
彼らは常に自らの生活を豊かにすることを考え、革新的な発明を世へ送り出し続けてきた。
留まることを知らない人類の科学力は、やがて禁断の領域へと足を踏み入れていくこととなる。

西暦6990年、それまでの常識を、それどころか世界の法則さえも歪めてしまうような大発見が人類にもたらされた。
時間遡行……俗に言う"タイムマシン"を駆り、現在と過去や未来を繋ぐ手段。人は、その方法を確立した。
今まで文献を漁ることでしか様子を知ることの出来なかった過去と、思いを馳せることしか出来なかった未来。
それらへの道が開かれたことは、確かに衝撃的ではあったが、同時に新たなる問題も浮上することとなった。

タイムパラドックス。未来からやってきた人間が過去に干渉することによって起こり得る、歴史の改変。
たった一つの筋を辿るように紡がれてきた歴史に矛盾を生じさせてしまえば、世界そのものの崩壊を招きかねない。
不測の事態が発生することを恐れた時の世界政府は、直ぐ様会議を開き、"時間遡行法"を制定。
資格を持たぬ者の時間遡行を禁ずると共に、時間遡行中の行動に厳しい制約を設け、歴史の改変を未然に防ごうとした。
―――しかし、全ての人間が、その決定を黙って受け入れた訳ではない。何せ、これは空前絶後の大発見。
上手く時間遡行を利用すれば、世界を思い通りに操ることも可能……そんな邪な考えを持った人間が現れるのは、当然の流れであったのだろう。

時間遡行法の制定から数年が経過したある日、歴史の保護を目的に設立された組織、「時空防衛連盟」が、大規模な時空振動を観測する。
遙か数千年前より発せられし、時空の歪み。それは紛れもなく、今この瞬間に、"歴史の改変"が実行されていることを示していた。
改変を止めることが出来なければ、タイムパラドックスの連続によって、やがて世界は消滅してしまう。
時空振動の余波によって、世界線の境界そのものが揺らぐ中、時空防衛連盟の面々は、人類の歴史を護るための戦いに挑む。



【クリックありがとうございます。この物語の舞台は時間遡行技術が確立された未来と、能力のある者のみが人権を得ることの出来る古代、人類と魔族が熾烈な戦いを繰り広げる中世という三つの異なる時代です。歴史是正機構は禁忌である歴史の改変を実行しようとしています。彼らの思惑を阻止するべく行動する時空防衛連盟の面々と、何としてでも歴史を書き換えようとする歴史是正機構、更にはそんな両組織の戦いに巻き込まれた各時代の人々の姿を描くのが、このスレッドの主な目的です。

オリキャラでの参加は勿論、版権作品をあまり知らないオリなり民の方も歓迎ですので、オリなり民の方も、どうぞご遠慮なくご参加下さい。
なりフリー民とオリなり民、互いに協力しあうことで、よりよきスレを目指しましょう。

なお、合図があるまで書き込みは禁止ですので、ご注意下さい。まずはじめに、サブ記事の方を確認頂くようにお願いします。】

メモ2018/07/13 02:23 : 風神少女☆XQ6phrzcKMtR @infernus★F7MrHN45jw_ouC

―――現在は、最終章です―――


最終章:「Chrono Crisis」

激しい戦いの末、歴史是正機構に打ち勝った時空防衛連盟。晴れて時空を護り抜くことに成功したかに思われた矢先、それは始まりを告げた。

まるで世界そのものが崩壊するかの如く、ひび割れていく空。その向こうから現れしは、正しき歴史を紡ぐ使者。

彼らは、人類の捻じ曲げた歴史を修正するべく、この世へと降臨した。これこそが、時空断裂。積み重なった歪みが、限界に達した瞬間であった。

改変に改変を重ねた今の世界が正史に塗り潰されれば、そこに生きる者達は"もしも"の存在と化してしまい、歴史の闇へと葬り去られてしまう。

それは即ち、世界の崩壊といっても過言ではないだろう。時空断裂による時間の連続性消失を防ぐためには、彼らに戦いを挑み、勝利するしかない。

人類が罪を犯したのは、疑いようのない事実。歴史を変えるなどという禁忌を犯した種族には、当然の報いであるかも知れないが……そんな人類も、生きている。

生けとし生ける者、全ての願いは、今日を、明日を生きること。黙って死を受け入れるなどということが、出来るはずがない。生きたい、と願う限り。

これは、明日を手に入れるための戦い。自らの存在を世界線に、時空に刻み付けるため、時空防衛連盟は次元を超える。


ルール&プロフィール:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-1#a

役職一覧:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-2#a

世界観・用語解説:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-3#a

各陣営の目的:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-4#a

最終章のロケーション:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-286#a


・現在イベントのあるロケーション

狭間世界:最終決戦

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亡国の末裔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ナコーン/市場/ソレミア・ラガルデール】

女帝パージルク・ナズグルの号令により、帝国軍の一斉攻撃が始まった。最も甚大な被害を受けていたのは、帝国領からほど近い、コードロン地方である。
広大な自然が特徴のこの地域は、交易の要衝として栄えていたのだが、今この瞬間聞こえてくるのは行き交う人々の賑わいの声ではなく、逃げ惑う人々の悲鳴。
逃げ遅れた者が、帝国の兵士によって無残にも殺されていく。投降した者は助かっているようだが、反抗した者は、見せしめの如く皆殺しにされていた。
少し前、反帝国勢力には時空防衛連盟と名乗る者達が加わったのだが、相手にも歴史是正機構と名乗る者が協力しており、戦力差はそれほど縮まったとはいえない。

「そこまでよ。無益な殺生は控えてもらおうかしら」

劣勢のナコーンに降り立った、青いロングヘアを靡かせる女性。整った気品を感じさせる顔立ちからは、如何にも身分の良さそうな印象を受ける。
何も知らない者が見れば、帝国の上流階級出身であると勘違いしてしまうだろう。しかし、彼女は間違っても帝国に与してなどいないし、ましてや帝国出身でもない。
では、彼女はどこからやって来たのかというと……実は生まれた国は、疾うの昔に滅んでいる。そして彼女は、その滅んだ国の王族の末裔なのである。
―――ラガルデール王国。古代の人間であれば、知らない者はいないだろう。優れた歴代の王による統治により、300年もの間存続した、偉大なる王国。
だがそんな王国は、王女プーリッシュ・ラガルデールの失踪という大事件をきっかけに大混乱に陥り、それを解決出来ぬまま……滅びの時を迎えてしまったのである。
このソレミア・ラガルデールは、ラガルデール王国の第二王女として生を受けた。だが、彼女が生まれたのは、丁度プーリッシュが失踪し、国が滅茶苦茶になっていた頃。
彼女の存在は一般には知れ渡ることもなく、ラガルデールの王族が皆殺しにされた際も、一人だけ難を逃れた。その後彼女は、生き残っていた元王国の部下から、全ての真実を知らされることとなったのである。
それからというものの、ソレミアは行方不明の姉を探し、各地を放浪する生活を続けていた。目的はただ一つ。姉と力を合わせ、ラガルデール王国を復興すること。
魔道帝国のやり方は、絶対に間違っている。第一人種しか幸せを享受出来ない状態が、真の平和であるとは、到底信じられない。だからこそ、ソレミアは、反帝国勢力に肩入れするのだ。

「あくまで退かないというのなら、戦うしかないわね」

彼女が両手を広げると同時に、地中に埋まっていた金属が呼応し、大量の刃を形作っている。驚き、腰を抜かす敵兵もいる中、その刃は次の瞬間、超高速で相手目掛けて放たれた。
ある者は喉を貫かれ、ある者は心臓を突かれ。命中した箇所は様々であったが、降り注ぐ刃の嵐を前に、帝国軍の兵士は、次々と物言わぬ屍へ姿を変えていく。
数分が経過した頃には、その場に立っているのは、ソレミアだけとなっていた。近くにいた民衆は、どうにかして逃げ果せることが出来たようだ。しかし、まだ大勢の帝国軍が、この地で破壊活動を続けている。これ以上被害が拡大するのを阻止するべく、ソレミアは急いで次なる戦場を目指すのであった。

>ALLUDED

9ヶ月前 No.101

風神少女 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【言い忘れてしまいましたが、第二章に関しましては、現在ユーフォリアが会話中ではあるものの、既に反帝国勢力が時空防衛連盟と協力しているという体で構いません。古代の味方キャラクター達も、全員時空防衛連盟を味方として認識した状態でスタートして大丈夫です】

>各本体様

9ヶ月前 No.102

リインカーネーション @genomirai ★z8IID1mzG7_ly4

【城塞都市ギリタン/正門/魔大老エスト】


甲高い音を響かせる木製の揺り椅子、音の主は貴族風の衣装に身を包んだ肌を隠した女性。人の拳以上の厚さの手作り感溢れる本を眺め、一頁、また一頁と読み進める。
彼女の傍に一つの使い魔が現れ、何かを伝えるとその姿をまた消す。その報告を聞いた女性は本を閉じ、揺り椅子から立ち上がる。同時に揺り椅子はなかったかのように粒子となって霧散する。

「……うーん?ああ、始まるか。女帝の期待には応えるとしよう、……しかし予測していたとはいえここまで早いとはな。」

漆黒のマントを風に靡かせ、城塞都市の巨大で堅牢な正門の前に立つ。彼女は将軍の一人、最古の将軍でありながら所有する領地は最も少ない、そも存在すら召集されるまで知るものが少ないほど影の薄い将軍だ。
最果ての僅かな領地を運営する彼女は他の将軍へ干渉することもなく、また褒賞なども求めることもない。己の領地に引き籠り、その統治に力を入れている。しかしその実力は将軍としても非常に高い部類に入る。
女帝とは違った方面の魔を極めし者、彼女の持つ記録書は才能がなくとも努力次第ではあらゆる人間が習得できる魔術が記されている。彼女が生涯、書き連ね現在も加筆されている。
その彼女が予測していたのは魔道帝国への脅威の存在、及び女帝が失われる可能性。こちらに手を貸している歴史是正機構の技術は魔以外の物が非常に発達している、軽く調べてみたが魔を以って複製は可能だが並大抵のものではない。
それと敵対している時空防衛連盟とやらも似た技術力を持つと考えていいだろう、あのような技術を持った人間が多く進行してきたならば魔道帝国の規模であっても快勝とはなるまい。最悪、女帝が失われることも考えなければならない。
その可能性を示唆した彼女は重い腰を上げ、領地の運営を信頼できるものに任せギリタンへと赴いた。命を魔力へと変換する魔具全てを持参してだ、つまり持てる全てで迎撃を行う。

「防衛は少しばかり心得がある、命ある限りは城塞都市に踏み入れることなどさせないさ。……敵が、敵であるかは少し怪しいがな。」

不死の様だと言われた彼女も残された命は僅か十、残り九千九百幾十は全て魔具へと変換した。戦闘となるならばこの命がどれだけあっても無駄でしかない、必要なのはどれだけ魔法を行使できるかだ。
彼女が信奉するは努力、努力すればある種報われるこの魔道帝国は守らなければならないものだと彼女は言う。他の将軍がどうしているかは関係ない、少なくとも彼女の領地は努力すればそれが認められるのだ。女帝もそれを良しとしている。
ならばそれを守る為ならばこのような安い命など幾らでも使い潰そうではないか、彼女の傍に控える十数体のゴーレムが門を守るように移動する。ライフゴーレムとは違う彼女特製の防衛用ゴーレムだ。数日で仕上げた突貫品だが魔術を扱い際の盾になればいい。
さあ、開戦の狼煙は上がった。女帝を狙うならばこの老骨一つ踏みつぶしていくがよい、だがただで潰される気など欠片もない。

>>ALL


【将軍を防衛の為正門へ配置】

9ヶ月前 No.103

うつ獣 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【ロンカ村/宿舎→広場/イアン・ガグンラーズ】

寒さと静けさの中にあるはずのロンカ村が喧騒に包まれている。それだけでも異常事態と言えるのだが、この人のいない隙を狙って暴飲暴食の限りを尽くす"狼"藉者には無関係であった。
ガツガツ。ムシャムシャ。パクパク。ゴクリ。暗い食糧庫にひたすら飲食に徹する音が響き渡る。床に食べカス一つ、牛乳一滴落とさないことが却って卑しさを強調する。
人らしく呼ぶことすら憚られるが、彼女にも一応名前がある。イアン・ガグンラーズ...中世ではその名を問えば皆口を揃えて言うだろう。ああ、あのバカか、と。
そんな欲求の権化たる彼女だが、遂に屋外で巻き起こる異変に気付き、羊肉に伸びかけた手をピタリと止めた。銀色の長い尻尾がピンと伸び、憎たらしいほど純粋そうな瞳が爛々と輝きを放つ。
人の多いところに食糧アリ。驚いたことにこれだけ飲み食いしていながら、イアンの胃袋はまだ追加オーダーのベルを連打していたのである。



(なぁるほど。美味しいもの持ってるって顔してるな)

広場まで来ると、イアンは茂みに隠れて人々の様子を観察し始めた。中でも彼女の目を引いたのは、女二人に男一人で話している三人組。何やらイアンにかなり近しい外見の者もいるが、見たところ狼ではなく狐らしい。
青年からは先程食糧庫で飲んだものと同じ匂いが漂ってくる。これに関しては『やっぱり美味しいよね、あの牛乳』と全力でうなずいた。食の極意を理解できる者こそ盟友。
そして一番背の高い軍服の女性…彼女こそがイアンのメインターゲットだ。三人組どころかその他大勢を含めた中でも一番目立っている。顔や服装も自分がいた時代の"えらいひと"によく似ているではないか。
次なる美食の鍵はヤツにあり。そう信じて疑わない愚かさの化身は、野生の獣を彷彿とさせる俊敏さで草むらから飛び出した。

「いっただっきまーーーーーーーすっっっ!」

三人組の眼前に迫る豪速の銀狼。両腕を大きく広げ、勢いよく地面を蹴って飛び掛かる。
あくまで本人は食べ物目当てに過ぎず、行為そのものも猫が気を許した主人にじゃれつく程度のものである。しかし爛々と輝く瞳に口の端から覗く牙も同然の八重歯、そして何より鋭く尖った爪を目にした相手方は、全く違う受け取り方をするに違いない。
そうまさしく、"是正機構若しくは魔道帝国による襲撃を受けた"と。

>>ユーフォリア・インテグラーレ、アラン・レイクルード、山城瑤子、all


【絡ませていただきます!イアンは是正機構及び魔道帝国のメンバーではありませんが、敵と認識して戦っていただけると嬉しいです!】

9ヶ月前 No.104

貴族将軍 @kyouzin ★XC6leNwSoH_UxJ

【ナコーン/市場/カシュタン・コルーカル+浄化軍(強化奴隷兵+ライフゴーレム)】

魔道帝国の核であり、最高権力者、誰も逆らう事が出来ない絶対者の発した全面攻撃というワードを聞いて、誰よりも喜ぶ者が居た。
あまりにも他の将軍とは比較にならない広さの領土と権力を持つが故に、大将軍だとか、大領主なんて大層な名前で呼ばれる二人の将軍が居る、その内の一人、カシュタン・コルーカルだ。
彼女は今までの反体制派に対する方針に苛立ちを覚えていた、何故今殺せる奴らを殺してはならないのか、と。

カシュタンにとって、実力も無く、家柄すらない貧民共を生かす価値は無い、彼らは例外なく、民主主義だとか、平等だとか、そんな言葉にすがり付いて純潔な国家を汚す害虫だ。
だがパージルク様は、奇妙なことに、投降のチャンスを与えるためにと、攻撃は最小限にするように言っていた、つまり、殺せる奴らを殺せない状況が長きに渡って続いていた。

それだけならまだいい、だが、カシュタンにとってはもっと、もっと大事な事があった。

「忌まわしい忌まわしい忌まわしいラガルデールの愚民共、奴らを、奴らやつらさえ居なければ!! だから、私は、魔道帝国の名の下、奴らを皆殺しにする!!」

突然それを叫んだかと思うと、うっとりとした様子でくすくすと笑い始める、馬車の中に居た彼女に話しかける者は居ない。
部下からしても、彼女は中々な精神の病み方をしているが、それでも普通に仕えている分には十分功績を認めてくれる、マシなほうの領主なのだから、わざわざ何時も通りのヒステリーに触れに行く必要は無い。
そして、馬車が止まり、ナコーンの周囲に彼女の軍が展開を終えた。

既に先鋒が攻撃を開始して、中に居るようだが、どうせ捨て駒だ、中身に能力者や家柄の優れた者は入れるなと口を酸っぱくして言った。
だから、カシュタンは馬車から降りて、各員に号令を掛けようとする。

「かくっ……かく、各員、に、あ、えぇ……あ、確認、を」

『突入部隊、既に家柄、能力の有無の確認は済んでおります、概ね、カシュタン様のお眼鏡に叶う者は居ないかと』

酷く詰まっていて、全く意味の通らない言葉をカシュタンは呟く、何時もはここまで酷くないのだが、それはあくまで、副官だったり、近くにおいている近衛と会話する時や、パージルク・ナズグルと話すとき限定であって、一応格下と見た相手には強気に出てもっと聞き取りやすくなるのだが、今は同格の将軍や近衛も出陣しているため、こんな事になっている。

まぁ、そんな事も慣れているのか、彼女の副官は、その意図を汲んで確認は済んでいる事を伝える。

「あ……りが、っ……か、火、火」

『各部隊は建物や退路に火矢及び、火炎魔術発射! 道は焼くなよ。 我らコルーカル・リーヴスが主力、"浄化軍"が出てきた人間を皆殺しにするのだからな!! では作戦開始!!』

その言葉と共に、無数の火矢がナコーンにある建物や門に向けて浴びせられ、ゆっくりとカシュタン率いる軍勢は、道すがら燃える家から転がり出てきた人間を惨殺し、ライフゴーレムの生命炉にくべながらも市場へと侵攻する。
ここまで来れば、他の目は無いと言う事で、ようやくカシュタンのどもりも何時も通りのレベルにまで戻ってくる。

だが、少し進むと、異変が起きている。 身体能力で一般人よりもよほど優れているはずの強化奴隷兵含むこちらの軍勢が負けている。
そして、目の前には青いロングヘアの女性が居た。

敵の能力者か、とカシュタンの軍勢は戦闘準備に入るが、一番その女性を見て強く反応したのは、指揮官であるカシュタンであった。

「アイツは……!! 忘れも、忘れもしない、あの髪、ラガ、ラガルデールの……私、いや、お父さん、お母さん、を、見捨て……捨てて逃げたラガルデールの腐れ王族……退け、退け!! 射線をあけろ、食らえ!!」

あの髪の色は、紛れも無く、カシュタンが憎んで憎んでたまらないラガルデールの血縁者だ。
この時代において、あの髪の色をしているのは、ラガルデール王家だけなのだ、故に、カシュタンはすぐに射線を開けるように部下に命じて、自身は両手に鋭く尖った針を生成する。

人違いの可能性だってあった、だが、今カシュタンにとって大事なのは、そうかもしれない奴を殺してしまう事だ、どうせ、ここに居る時点で自分が殺すべき敵なのだから。
そう断じて、カシュタンは両手の鋭い針を、ソレミアに向けて投擲した。

>ソレミア・ラガルデール

9ヶ月前 No.105

豪腕剣士 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【城塞都市ギリダン/玉座の間/マロン・アベンシス】

パージルクによる指令が下されたのは、つい数分前のこと。ほとんどの将軍は彼女の言葉を不思議に思うことなく、当然の命令だとして戦地へ赴いていった。
だが、その決定に納得出来ない様子の者が一人いた。辺境の島、カルストンの領主、マロン・アベンシスである。彼女は、魔道帝国の将軍の中でも、群を抜く非差別主義だ。
第一人種と第二人種の分類が普通の魔道帝国において、マロンはそのやり方を快く思っておらず、自信の領土カルストンにおいては、全ての人間に第一人種の権利を与えている。
あまりにも寛容なその方針は、海を超えて大陸ですらも話題となっており、第二人種とされることを恐れた人間が、遠路はるばるカルストンへ移住することもあるほどだ。
とはいえ、帝国の方針にそぐわない方針であることに変わりはなく、彼女は度々女帝パージルクにそのことを咎められている。それでも、マロンが自分自身を曲げたことは、一度もない。

「やっぱりここにいたか、パージルク」

今現在、ギリダンに残っている将軍は、恐らくマロンだけだ。指令が送られた後にわざわざここを訪ねる者など、意見か質問のある者のみ。他の将軍がそのような考えに至ることなど、まずあり得ない。
反抗勢力であるとはいえ、相手は力を持たない村々や放浪者達の集まりだ。魔道帝国のやり方に不満が出るのは、虐げられる者からしてみれば当然の成り行き。
マロンはそれを武力で黙らせるという決定に、どうしても納得がいっていなかった。女帝に対して無礼であることは重々承知だが、こればかりは自分の気持ちに嘘はつけない。

「あいつらが私達の敵なのは間違いない。けど、話くらい聞いてやってもいいんじゃないか? これじゃ、余計な反発を招くだけだぜ」

女性的であるとはいい難い口調で、マロンはそう告げる。いきなり武力で攻め立てるという選択肢は、和平の道を完全に消してしまうも同然の行為だ。
確かにロンカ村へギラードを送り込んで交渉はしたのだろうが、あれは対話というよりは、一方的な条件の押し付け。従わなければ殺す、という恐怖で民を支配しようとしても、上手くいくはずがない。
それに、あの地域で反帝国の色合いが強いことには、何かしらの理由があるはずなのだ。彼らがどうして帝国を嫌うのか、戦争を仕掛けるのは、それを聞いてからでも遅くないのではないか。マロンは、そう考えていた。

>パージルク・ナズグル

9ヶ月前 No.106

讐心名誉顧問 @sacredfool ★ujIB23kcPC_UxJ

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9ヶ月前 No.107

ハザマ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_FR1


【グリア村/民家/ハザマ】

 あらゆる支配は暴力機構によって成立する。
 逆らうものを抑え付けてこそ、支配者が振るうべき力。
 抗うものを一片たりとも逃がさず焼き尽くしてこそ、覇道という名の炎。
 であるに、グリア村を征服していた魔道帝国の兵士たちはその心構えと本分を真っ当していたに違いない。雪の積もる山地の外れ、辺境の小さな村であっても、そこを領土とし、帝国と第一人種たちの覇道の助力となることに誇りを感じるのだろう。

 帝国に誉れあれ、我らが道に栄光あれ。
、  ジークハイル・ヴィクトーリア
 我らに勝利を与えたまえ。
 強化された奴隷兵たちの軍団に護られた少数の第一人種将校たちによって高らかに響き叫ばれるはずの声と気風は―――しかしこの時に限って急激に止みつつあった。無音の重圧に支配された村に、ひとつの“異物”が紛れ込んでいたからである。

 民家の外には、凄惨なほどに散らばった雑兵たちの屍が山となって築かれている。
 辺りに幾つか見える戦闘不能の重体は、四肢の腱や眼だの耳だのを切り裂かれ、酷いものに関しては四肢ごと損失しているものすら珍しくなかった。………さて、何故わざわざ戦闘不能の重体と屍を分けたのかと言われると、その答えはひとつだ―――。



『き、貴様、なにも、の………ぅぐッ………!』


 その解答は、飄々とした、薄い笑みを浮かべる緑髪の青年と。


「おや。誰だ彼だと聞かれたら答えるのが世の情けだそうで。
 時空防衛何とかのハザマと申します。階級は、ああいや失礼ないんだった! ですので、ただのハザマですね」


 その青年が“椅子”にしている、奴隷兵の指揮のために寄越された第一人種の将校こそが示すだろう。
 椅子にされた軍人は四肢の腱を斬られて這いつくばり、顔を上げることも出来ずに雪にうつぶせになっている。

 単純なことだ。
 装置が起動するのを確認するや速やかに飛び込んだハザマは、躊躇うことなくそこに踏み込んだ。
 そして踏み込んだ先に存在した村へ“たまたま”忍び込むと、村の居住地の中でも兵士が多い場所………うっかりやり過ぎてもまだ、“明らかに意思のありそうな人間”の余りが残るような場所を探して、ものの数分でこの虐殺現場を作り出した。
 数分も掛かったのは、単に意思の残る人間を行動不能の重体まで嬲るのに時間を掛けたため。
 数分も掛けたのは、喧騒の音を出来る限り長く聞かせて、民家から村人たちを出そうとするためだ。
 ・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・
 戦略的には、もちろん何の意味もない行為だが………村を見つけた瞬間から、ハザマの行動にはもはや1秒たりとも迷いらしい迷いが無かった。それはまるで、最初から魔道帝国の“占領中の”領土に踏み入ったらそうすると決めていたかのように。


『な、なんだこれは………!?』


 ―――そして予想通りに、村人たちは顔を出した。
    初めは村の男衆たち、続いて窓から状況をうかがう老人に女子供。

 呻く魔道帝国の兵士たちには目もくれず、唯一そこに座ってナイフを弄んでいる青年へと意識を向ける。
 当たり前だ、このハザマを名乗った青年は紛れもなく村の異物―――感情の読めぬ表情に、虐殺現場に唯一残る人間というあからさまなまでの容疑者振り。誰もが警戒し、誰もが表立って話しかけようとはしない。


「おや、どうも。観光客です」
『あ、あんたがやってくれたのか? 村を解放するために………』

 ハザマがにこやかに言葉を返してから、約20秒ほど。
 意を決した村人が声を掛けて見れば―――。

「おや、誤解しないで頂きたい。
 私は確かに、彼らと敵対しましたが………あなた方を救いに来たというわけではないのですよ」

 返されたそっけない言葉に、民家から出て来たある村人は警戒し、ある村人は逃亡しようとし、ある村人は恐慌する。当たり前だ、彼らには武力持知力もない、俗に言うところの一般であり、農耕と漁業以外は何も知らない純朴な民草でしかない。
 当然、警戒するのもむべなるかな。
 この場における彼とは、異物であると同時に、何時自分達にその牙を剥くのかさえも分からない正体不明の毒蛇だ。


『じゃあ何の為に………お、俺達もこうやって殺す気か!?』
     ・・・・・
「まさか。促しに来たのですよ」


 ………そう、蛇だ。   、 アダムとイヴ
 牙を剥く怪物であると同時に、純朴な村人に狂気と悪意を教え込む智慧の蛇でもある。
 彼は椅子にしていた軍人を蹴り飛ばして村人たちの方向に転がすと、“残り”の帝国兵を手際よく集めていく。
 中央に集められたそれらはきっちりと意識を保たされたままだ―――よって、村人たちの視線を浴びることになる。支配者に対する恐怖と、それがこのような無様を晒していることへの困惑と………簒奪者への、大きな、大きな“怒り”の籠った視線を。


「聞けばこの村、絶賛支配の真っ只中だそうじゃないですか。いや私も来たばかりなのですがね。
 そこで皆さんお聞きしますが………村を取り返したい、自由を取り戻したい、一矢報いてやりたい、あいつらが憎い………このようには、さて一度も思わなかったので? 本当に、立ち上がろうとはしなかったので?」

『余所者が勝手なことを言うな! あ、………相手は帝国なんだぞ!?
 武器だってない、俺達が魔道帝国にどうやって………!』

『そうだ、そうだ!』
『そいつらと一緒にまとめて出て行け! さもないと―――』

 そこに、ハザマの言葉は突き刺さるように、抉るように村人たちへと命中する。
 対する村人たちからすれば、蟻が象かなにかに立ち向かえと言われているようなものだ。
 当然警戒するし、反論するし、余所者と断じたハザマを排斥しようと言葉を投げかける。

 ―――此処まで思考を誘導すれば、後はしめたものだ。ハザマは躊躇わず、何処かを指差した。


「? 何を仰ります。あるではないですか。ほら、そこ」


 それは、血にまみれて沈んだ強化奴隷兵たちの屍。
 そして、そこに転がっている幾つかの雑多な武器。
 ………弓は幾つか矢も残っている、鈍器ならば村人にも扱いやすい。剣か何かであっても、動けないように処置された帝国兵たちであるならば振り下ろすだけで問題ないだろう。
   、   、   、  、    ・・・・・・・・・・・・・・
 つまりは、手を伸ばせば目の前に―――帝国へやり返すためのお膳立てが整っている。


「さあ。私はあなた方に反旗を翻すチャンスを促しましょう。あ、お代とか要りませんので此処から先は好きにどうぞ。私は望み通り此処を去りますよ、ええ。
 ………ですが、此処を逃せば貴方達にもう二度と好機はない!
 当たり前でしょう? 私がこれだけのことをやったのだ、村の帝国兵たちは間違いなく此処に集まる。その様子を私が居ない場で見たのならば、貴方達は第一容疑者だ。より一層警戒され、弾圧されることになるでしょうね」

「だから、そうなる前に自由を取り戻したいとは、本気で思いませんか?
 そして、恨みはありませんか? 憎しみは? 自分達の村で我が物顔をした連中に、報復したいとは思いませんか?」


 だから。この状況でこの論法は、思考の止まった村人へと覿面に突き刺さった。
 おまえたちは私の共犯者だ、と。貼り付けたままの薄ら笑いを浮かべて、悪魔の誘いをする。
 それだけ口にして、好き勝手にした後に、本当にハザマは背を向けて何処かに行こうとする。

 ………残された村人は、死への叛逆か、家畜の自由という二択を押し付けられて、それでも。

『………お、俺はやるぞ!』

 ―――十秒とすれば、誰かが鈍器を拾う。

『俺もだ! 人の村で好き勝手しやがって、気に入らないんだよ死にやがれ………ッ!』
『や、やめろ! 貴様等あの男に―――ぎっ、が、っ、ぐぇッ!』
『黙れ! 死ねッ、死ねっ、死ね………!』

 ―――二十秒とすれば、苦悶と断末魔が響き渡る。

『ハハッ………ハハハハハハハッ! 何が第一人種だ、ざまあないぜ!』
『苦しいか? 口惜しいか? これが俺達の思いだ………!』

 ―――三十秒とすれば、獣のような哄笑が村に鳴り響いた。


 あとには、獣性と悪性に穢された村人たちが、反旗の熱と炎を至るところに広げるだけ。
 ………たった一度の行動で以て、グリア村は第二の喧騒と恐慌に包まれ始めたのだ。

 ただ一人、その熱を煽った青年は反対方向へと歩きながら―――。

   、 ・・
「(んー、これも何となく違いますねえ)」
「(ま、元から期待もしてませんが。どの道、暫くすれば勝手に鎮圧されて死ぬ程度の趨勢だ!
  ともあれ一石投じた以上、少しは“次”を期待させてほしいものです)」


 ―――何処までも自分本位で、何処までも醒め切っていた。

 男に感情らしきものはない。喜悦も、赫怒も、快楽も、悲嘆も。
 そこには善意はなく、どうしようもないほどに悪意まみれ。

 男にあるものは、きっとただ一つの意思だけだった。
 それだけが………彼が“歴史是正機構”に敵対する理由だからだ。


>ALL

9ヶ月前 No.108

リインカーネーション @genomirai ★z8IID1mzG7_ly4

【グリア村/民家→防護柵/クジャルナ・クオーク】


歴史是正機構による時間遡行、それによりこの男は極寒の地へと赴いた。辺境も辺境、辺り一面雪景色の環境でありながら男は特に防寒装備もせずに村を見て回っていた。目的地は反抗勢力本拠地であるロンカ村、情報によれば一時間ほどだが身体能力故に十分あれば辿り着けるだろう。
諜報員として戦力の確認、また時空防衛連盟の動きを報告するために向かうのだが如何せん辺鄙な場所。幾ら十分で辿り着けるといってもそこで全力を出し切って、諜報が出来ないというのは愚かすぎる。
少しばかりの休息の後に再び目指すことにする、幸いこの地は魔道帝国が占領していることもあり近衛と多少揉めたが問題なく休息は取れそうだ。持参した携帯食料と栄養剤を摂取しながら地図を確認する。
一時間と言ってもその殆どが雪山だ、本来なら厳重な装備を用意して移動するものだがこの男にそれは必要ない。精々雪に埋もれることにさえ気を付ければいいのだ。

「ふむ、そろそろ時空防衛連盟が時間遡行を行った位でしょうか。数分休息の後に、再び向かいましょうか。」

地図を閉じると今度は独自に用意した紙媒体の記録紙を確認する、この時代の主要人物の名が記されており介入する時代近辺に死亡する人物とそうでない人物に印がつけられている。
あの博士のような男が言った通りに誰を殺して問題ないのかを精査するのに少し手間取った、しかし誰を殺すのが問題なのかを把握するには至らず、結局近い内死ぬ人物を調べるのみに留まった。
とは言え記録は記録、介入した時点で変わることも有り得る為あくまで参考程度。面倒ならば無力化にとどめてしまえばいい、この時代は目的には然程影響ない。
とそろそろ出発しようかと立ち上がった時に村の防護柵の方から爆音が響く、予想よりも早く反抗勢力が動いたか。いや時空防衛連盟だろう、硝煙の臭いを漂わせるのは恐らくそちらだろう。
無視するのも少し面倒だ、時空防衛連盟の動きを報告するという目的ならば戦闘を行うこともまあ問題ない。グリア村に時空防衛連盟の侵攻ありとの報告を送り、雪を散らしその場へと駆ける。

―――――――――

「おや、困りますね。歴史是正機構としては歴史を正しく変えなければならない、魔道帝国に手を貸すものです。」

崩れ去る直前の防護柵を軽く飛び越え、時空防衛連盟の軍勢の前に降り立つ。同時に踏み込みと共に放たれる大剣の嵐から近衛二名の首を掴み、柵近くへと放り投げる。
見れば時空防衛連盟の副総統殿ではないか、切り込み隊長としてここまで来るとは無謀ではあるがこの戦闘力をもってすれば勇猛へと変わる。現に兵の士気は高い。
まあしかしながらこの地を取られると少しばかり面倒だ、本拠地を攻める足掛かりを失うのは戦略上良くはない。補給の観点から見てもこの地を失うのは惜しい、諜報員と言えども戦闘位はこなせるのだ。それこそ将官レベルに迫るほどの実力はある。

「確か副総統殿でしたか、雪の中の進軍ご苦労様です。ですが、ここで一度敗走を味わって頂けると私としては嬉しいのですが。」

その言葉と共に文字通り視界からこの男は消える、その場に残るは乾いた雪の飛沫のみ。では男は何処へ消えたのか。
副総統の僅か右後方、靡くマントによる死角から繰り出すは貫き手。何重に防護した機械ですら容易く貫くそれを、確実にダメージを与える胴へと繰り出す。
神速の踏み込みから繰り出される、音もなく命を狙う貫き手。副総統であるならばこの程度、対応できるだろう。

>>シャル・ド・ノブリージュ


【絡ませて頂きます!】

9ヶ月前 No.109

“ナルカミ” @sacredfool ★ujIB23kcPC_UxJ

【ナコーン/中心街/アンリエット・エクレール】

 立ち並ぶ建物の壁面を、まるで鏡が光が反射するようにそれは動く。それは青白い稲妻であり、魔力行使による限界を超えた運動能力の賜物でもある。稲妻は先に述べた通りの自由軌道を描いているかに見えてそうではない。稲妻は帝国軍の一斉攻撃が開始されたこのナコーンにあって、罪の無い市民を虐殺せんとする帝国兵だけを狙い、奔る。かの帝国兵が構えた得物がその役割を果たすことはない。それらは全て、持ち主の顎が粉々に砕かれてしまうからである。
 敵も味方も、戦場に居る兵の殆どが銃やら剣やらの武器を持ち出すなか、稲妻の武器はと言えば体一つしかない。それだけではひどく頼りないものだが、拳と脚とは電光を帯びることによって一騎当千ともなり得る。ハニートラップなど、彼女を前にして一瞬でもそのような事を考えたのなら、それは一瞬にして無惨な感電死を遂げることになるだろう。それほどにこのアンリエット・エクレールは女としての魅力とは縁が無く、そこらの男よりも気っ風と腕っ節がいい。

「まー、ジカンソコウがどうのこうのってのはよくわかんねーけど……何でもねー奴らを殺すってんなら、それは防がねーとなァ!」

 逃げ遅れた市民を庇うように立ち、拳を鳴らす稲妻。“ナルカミ”の異名で鳴らした拳は決して伊達ではない。無骨なガントレットとグリーヴは彼女の闘志を示すようにバチバチと火花を弾けさせる。
 今この瞬間、彼女は何よりも自由である。かつて彼女を縛りつけた身分というしがらみは、この場のどこにもありはしない。荒々しく鉄拳を振るう彼女を見て誰が、高名な政治家の娘だと思うだろうか。そのような出自など、この場において何の意味もなさない。彼女は単なる兵の一人であり、戦いに身を置く者であり、それこそが彼女の最も望む「身分」である。
 電光は彼女の感情を代弁するかのような叫び声を上げ、周囲の敵兵を一掃する。

「次こいよッ! 一人残らず黒コゲにしてやらァ!!」

 風にはためく短いマントはさながらヒーローのようだが、ボサボサの銀髪にスカーフェイス、それに加えてこの粗忽ぶりはお世辞にも正義の味方とは言い難い。だが、彼女の操る稲妻は間違いなく正義のものと言えよう。曇りなき緋の瞳は、目の前の悪だけを見据えている。

>>ALL

9ヶ月前 No.110

蓼科祈 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4

【 ナコーン/果樹園/蓼科祈 】

 雪に閉ざされた村を、飛び散る鮮血が紅い斑点で染める。
 絢爛戦鬼。武器一つ持たぬまま、白い吐息一つごとに周囲を蹂躙しながら進む一人の少女。
 現代で言うなれば女子高校生。文化は日本。英語で言えばジャパニーズ。
 戦事とは最も無縁に見せかけ戦慣れしたその様は戦地に降り立つ勇猛果敢な将のように。
 走る電光は白き光のように、踊る、踊る、踊る、踊る、攻めてくる敵兵を一人ずつ切り払い突き刺し飛ばしてゆく。
 魔法に頼るあらゆる防御は、ちゃちなものであればあるほど意味を成さない。

 一気呵成に敵陣に突っ込み、――そうして敵の中央から兵士群を瓦解させてゆく。
 破壊の光。敵を滅ぼす死の洗礼。

「邪――魔ァッ!!!」

 背後を取らんとした敵兵がまた一人、敵兵の頭を砕いて潰す。紅い血しぶきが飛び散る。
 死体が落ちる。何者だ。データにはない。時空管理局か。圧し包め。陣形を組んで走り寄る尖兵。

 嗚呼邪魔くさい。徒党を群れるな何様だ。攻め滅ぼしてくるくせにか。
 そちらの事情もあるが知ったことではない。やらなければ殺される。無残無慈悲の死体の山。

 だから、私は――。

「アンタ達」

 ――戦う。

 己を鼓舞するように息を吐き切る。
 電光集中。意識は広範囲。兎にも角にも撃ち滅ぼさなければ始まりはしない。
 白い雷光が形成される。雪が抉れ、大気が抉れ、世界が抉れる。其れは創世と対を成す一切合切を無に還す破壊の光。
 そして、それを操る者、それを――。

「そっちの総大将にでも伝えときなさい。
 小娘一人、若輩一人にあんたらの軍は尻尾巻いて逃げたってね!」

   BREAKER
 ――破壊者、と呼ぶ。

 周囲の被害を考えない爆発四散。
 手に集っていた破壊の力がさく裂することにより、敵兵士を飲み込み光が広がってゆく――。

「……はー、……まだいるわよね。流石に」

 ――残されたのは、破壊された敵兵士。そして、蓼科祈のみ。

>ALL

9ヶ月前 No.111

ワーロック @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_FR1

【⇒ナコーン/中心街/ワーロック】


「優先目標、確認………」


    では 死ね
「―――攻撃、開始」


 次よ来いという言葉に合わせるかのように、その黒いデウス・マキナは姿を現した。
 空中斜め上から、標的を捕捉するや否や、振り下ろされる処刑刀の如く速やかに降り注いだのは物言わぬ漆黒の鉄塊、皆殺しの処刑人《エクスキューショナー》。形状としては鉄の豪拳、加速して飛翔する噴射拳《ロケットパンチ》に他ならない。
 衝撃波を伴うそれは、着弾するならばミサイルもかくやのクレーターを作り上げ。多少の回避ならば諸共着弾時の爆風に飲み込んで消し飛ばさんとアンリエットへ襲い掛かる物理的かつ純粋なる暴威。初動の不意打ち、かつ上空からの奇襲砲撃………、しかし微塵も遊びを感じさせないその攻撃は、これなるものが人間性とは掛け離れた無我の存在であることを証明する要素だ。


  同時に、その噴射鉄拳を撃った張本人がナコーンの大地を踏み荒らした。
  失墜に合わせ、それは地面に爆風じみた衝撃と粉雪を撒き散らす。
  重い駆動音を鳴らしながら、凡そ奇襲攻撃の標的である銀髪のスカーフェイス………名をアンリエットと言う鮮烈なる稲妻の如き尖兵の方へ、その黒い機体は感情というイロの宿らないカメラアイを向け、煙の内側に居るやも知れぬそれを観察していた。
  着弾結果は不明。直撃すれば真っ当な人体なら余波でも即死するのがワーロックの質量兵器というものだ。生半可な挙動での回避、日和見から成る防御なぞ“そもそもやらせない”。
  さりとて対応能力も不明。特に速度面、稲妻による範囲面でのアプローチの可能性も十二分にあり得る。故にわざわざ懐に飛び込む愚行を侵すことはせず、その奇襲攻撃によるイニシアチブの掌握と、相手のターゲットを自分に集中させることを優先した。


 着地したそれは、全長にして三メートルほどの大きな人型、巨大な鉄の異形。
 先んじて到着し、ナコーンの防御に回されていたそれは、魔道帝国が運用しているどのような魔法、兵器とも違う。さりとて未来世界における高度な技術文明を以てしても、これほど異様な技術によって整形された機械人形なんぞ早々見られはしまい。黒き鋼の化外、空より失墜《おち》るそれに関しては、ましてやデータベースも知名度も何もありはするまい。

 当たり前の話だ、そもそもからして、その黒い機体は歴史是正機構が持っていたものではない。
 歴史是正機構の元に流れ着き、彼らとの協調を以て現歴史に敵対する鋼のかいぶつに他ならぬ。

 ―――その銘をワーロック。
    人類抹殺を世界存続の適解と見做した、神の名を宿した人工知能の入れ物である。

>アンリエット・エクレール


【よろしければ〜】

9ヶ月前 No.112

黒翼 @kyouzin ★XC6leNwSoH_UxJ

【歴史是正機構本部→グリア村/司令部→民家/Cluster】

「気にするな気にするな、誰しも、そう、僕だって最初は見習いだ。 だがここまで僕は上り詰めた、僕は、是正機構は、ヘルガ様は新たな力を拒まない、ここでは実際どうするかに焦点が置かれている!」

体を仰け反らせるほどにクラスターは笑い、愉快そうに話を続ける。
その過程で相手が恐れ多いと言ったとしても、彼の上機嫌は揺るがない、何故ならば彼が信仰するのは、自分の研究を初めて認めてくれたヘルガと是正機構という側面が極めて強く、彼もまた、最初のスペックには拘らない、最終的に成果を出せれば問題が無いと、まるでヘルガのように語るのだ。
勿論、ヘルガに比べてだいぶテンションが高いし、一種の風評被害染みた物ではあるが、そこがクラスターの数少ない人間としてマトモな所だろう。

そして、目の前の彼は、自分の研究も興味深い物であると語ってくれた、これは一種のお世辞なのだろう。
だが、自分が地球軍に居た頃はこんなお世辞すら言われなかった、心から褒め称える声は、心底軽蔑し、批判する言葉であり、このような世辞は、暴言であった。

あぁ、自分もようやく研究者らしく!! そんな風に思ったクラスターは相手の言葉へ、何時にも無く真摯に耳を傾ける。

「そうか、そうか! 言い方に気になる物はあるが、そんな事は僕は区別しない、とにかく少女が良いなら、今からでも――」

今からでも一緒に牢屋へ渡すモノを見に行こうか、なんて言いかけたその時、作戦開始の通達が、ここ司令部にも届いた。
するとクラスターはつまらなさそうに、画面を見るが、すぐに態度を取り繕い。

「あぁすまない、そろそろ時間のようだ、僕は出撃する。 なんなら、牢屋から好きな奴を取っていってくれ、水色で、肌の白い子以外なら誰を持っていっても構わないから」

それだけ言い残すと、彼は時間遡行装置へと向かって行った。
ようやく会えたまともな感性の持ち主との別れを惜しみながら。

>>黄衣なる者


――

そしてクラスターは、戦闘機と爆撃機を掛け合わせたような飛行形態で、古代上空を飛んでいた。
彼の任務は一つ、時空防衛連盟を確認次第抹殺する事、そして彼の目的は一つ、良い実験材料の確保だ。 異なる時代の、異なる人種の実験材料、とても、とても興味深いじゃあないか。
もし彼が人間の体を持っていたのなら、きっと舌なめずりをしていただろう。

……しばらく飛んでいると、良い具合に人が群れていて、興味深い所が見つかった。
死体の大半は、一応協力関係にある組織の兵士、しかし報告によれば、全住民ではこちら側の組織の方が随分と優れているらしく、それが負けているという事は、必然的に、能力者か防衛連盟が居るという事だ。

見つけたぞ。

そうクラスターは呟き、ゆっくりと高度を下げる、その過程で、下で行われている事に気づき、あぁ、これはゆっくりしていると乗り遅れてしまうなと、人型形態に変形して、すぐさま地上へと着地した。

「あっはっはっはっはっは!! 面白いことをしているじゃあないか、君。 虐げられていた者の逆襲、革命、勝利、平和、平等、素晴らしいよ、実に未来的だ。 僕も混ぜてくれよ」

細身で、気味が悪いほど長身のクラスターは、今まさに反対方向へと歩いて、何処かへ行こうとしている青年を見下ろして、混ぜてくれよと声を掛ける。
その言動、見た目からして、怒り狂う民衆からは、まるでハザマの仲間のようにその化け物は映る事だろう。 無理も無い事だ。

だが、一つだけ、ハザマとの決定的な違いが存在する。
それは……所属する勢力が違うと言うこと、つまり、"表向きに"掲げる正義が違うと言うことだ。

「でも駄目じゃないかあ……"害獣に餌付け"をしちゃあ、やっても良いが、ちゃんと"後始末"しないと……ね? 僕がちゃんと後片付けしてあげるよ、馬鹿な害獣愛護団体のクソガキと一緒にね!!」

クラスターはそんな風に笑ったかと思うと、素早く跳躍したかと思うと、その宙に跳んだ間に飛行形態への変形を完了させ、その機首を民衆とハザマに向けた。

「死体の火葬もオマケだ! はははは、三重善行といった所かな? では――正義、実行!!」

誰もが反応し、武器を構えるよりも先にクラスターは搭載された大量のミサイルを発射した。
その数はあまりにも大量で、迎撃しようとした所で、あの能力者は自分に飛んで来た分を迎撃する事は出来ても、他に飛んでいくミサイルを迎撃する事はかなり難しいだろう。

故に、数秒後には、この場に居るあらゆる物は、クラスター、場合によってはハザマを除いて吹き飛び、彼の高笑いが鳴り響くことになる。

>ハザマ


【絡ませていただきたいです! ちなみにミサイルは、描写で全部迎撃は無理みたいなこと言ってますが、別に民衆を守っていただいても大丈夫です!】

9ヶ月前 No.113

讐心名誉顧問 @sacredfool ★ujIB23kcPC_UxJ

【グリア村/防護柵/シャル・ド・ノブリージュ】

 柵は破られ、連盟の大勢が雪崩れ込むかと思われたが、そうは問屋が卸さない。連盟が到着する予定のロンカ、グリア、ナコーンは、帝国にとって落とされては困る要所でもある。それが進攻されているとなれば、援軍が送られてこないはずもない。彼もまた、ここがそう簡単に落とせるなどとは思っていない。

「……漸く現れたか、無法者が」

 目指すべき柵の向こうから颯爽と現れる一人の兵を一瞥し、彼は毒づいた。帝国への抵抗勢力を時空防衛連盟が援護するように、歴史是正機構もまた帝国へと与している。なればこのような状況を予想するのは容易い。陥落を目前にして現れるとは、寧ろ遅すぎると思ったほどである。
 歴史を正しく変える。笑わせる。歴史を変えることに正しさなぞあるものか。今、自分たちが生きている未来こそが歴史のあるべき姿だ。それを気に食わないからというだけで弄るだと? 子供の駄々か。身勝手な時間遡行は混乱を招き、秩序を乱す。なれば粛清する以外にあるまい。大剣の刃に強い熱が篭もる。こんな所で足止めされていられるものか。俺にはやることがある。この時空を守って、腐った政府を正さなくてはならない。
 彼が斬りかかろうとするよりも早く、その敵は忽然と姿を消した。残っているのは動きを告げたであろう雪の飛沫だけ。だが、彼は確かにその飛沫を見たのだ。彼からすれば、それだけで充分だ。飛沫の僅かな偏りを見て、敵がどこへ動いたかを予測するのは彼にとって不可能ではない。
 瞬時に身を捩るがしかし――向こうは予想以上の速さでもある。こちらの胴を穿たんと放たれた貫き手は容易く脇腹を抉ってくる。おおよそ、その程度の速さだ。傷を負ったのは避けそこねたからではない。彼がそれ以上に対象の撃滅を望んだからである。そもそも……傷の内にも入りはしないのだ。鍛えに鍛え頑強そのものとなった体と、火炎の魔術。炎は術者が傷を負うと同時にその姿を見せ、血が噴き出るよりも前に傷口を焼いて塞いでしまう。術者の痛みは尋常ではないが、彼の仏頂面は折り紙つきでもある。

「生憎とただのレッテルじゃないんでな……副総統(コレ)は」

 彼が気迫と共に身を捩ったのは完全な回避の為ではない。相手の位置を大まかに捉え、傷を抑えつつも円滑な反撃を行う為である。故に、単にそれは――得物である大剣を振るうという動作の一端でしかないのだ。3mをゆうに越える大振りの刃は周囲の氷雪を悉く溶かすが如き高熱を帯び、周囲に火炎を呼ぶ。大振りでこそあるがゆえに、その範囲と威力についてはただの一振りでさえ想像するべくもない。先程から幾らでも見せている、近寄る敵兵の全てを灰燼と化す豪放磊落の大剣技である。

>>クジャルナ・クオーク

9ヶ月前 No.114

Lzh @lllllzh☆PvKD6UICUoMc ★TuwsMa7hHI_W3T

【時空防衛連盟本部/訓練施設/万丈龍我、桐生戦兎】

「んで、何しにきたんだよ?」
「ちょっと様子を見にきただけだ。この世界のことを色々調べなきゃいけないんでね」

二人がちょっとした会話をしていたところ、近くから気配がした。
どうやら殺意とかそういうのではないらしい。それはすぐに感じ取れた。

「ん? どうした?」
片方の男『万丈龍我』がそれに声をかけた。
その時だった――――

敵が動き出したという報が入った。

「!? ……ビルド優先だ! 万丈、その子を頼む!」
「わかった! 俺も後で向かう! 俺の第六感は伊達じゃねぇ!」

『桐生戦兎』は駆け出していった。
目的地は『時間遡行装置』――――

>秋月および周辺all

【ナコーン/森林→中心街に移動中/桐生戦兎】

「おー……さみっ! さみっ!」
どうやら相当寒い場所だったらしい。完全に油断してしまったようだ。

ざっと見たところ敵はいないようだった。ただ、遠くから喧騒が聞こえた。

「……ん?」
それに気づいた戦兎はおもむろにスマホ『ビルドフォン』を取り出し、それにライオンのフルボトルをセットして――――

「よっと!」
バイク『マシンビルダー』に変形させた。
戦兎はそれに乗り、エンジンをかける。

「……飛ばすか!」
そして勢いよく発進させた。目的地は『喧騒』の先――――

>周辺all

9ヶ月前 No.115

ハザマ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_FR1

【グリア村/民家/ハザマ】

 ………ところで。もう一度先程の言葉を思い返して頂きたい。

 もう一度だけ言うが、どの道此処の村人に先はない。
 そもそも、どうせ放っておけば勝手に鎮圧されて皆殺しにされる程度の火種だ。それを此処まで煽り切り、成就し切ったのは偏にハザマという生き物の異常性あってこそに他ならない。
 ついでに、それを放置したのもハザマにとって成否がどうでもいいからに他ならない。彼が知りたかったものはただ純度の高い■■だけで、それ以外には微塵も興味はない。村人たちが見せた殺意と憎悪、虐げられる者と虐げる者の逆転による恐怖と苦しみ、そうしたマイナスの情を蔓延させるだけ蔓延させておいて、ハザマという男は終ぞ何もすることはなかった。

「おやお褒めの言葉どうも、最近の玩具は良くしゃべりますね!!
 序でに御高説とご指摘どうも、返答は村の方々にでも聞いてください」

 何故と言われても、それが期待外れだったから以外の解答をハザマは持っていない。
 口にするつもりもない。だからこそ、降下して来た第三者の存在に対してだけきちんとした反応を返したのだ。序でに肯定を返していくところには、只管に彼が此処グリア村の人間をなんとも思っていないことを証明していた。
 鋼鉄の狂機へと、振り向くこともなく言葉を交わす。ヘラヘラとした笑みは貼り付いたように消えることなく、渦巻く感情はただ単に薄い。悍ましいほどの悪意を漂わせながら、しかしそれすらも嘘っぱちの薄っぺら。そんな彼に対して向けられた感情は、哄笑のそれから歓喜を彷彿とさせるが、しかし決定的に違う色が存在した。

「ですが、二点ほど修正を要求したい要素がありまして。ああ、短く済ませましょう。
 ああ、出だしから武器を突き付ける辺り、人間的な対話はお好きではないと思いまして………」

 ある種、ハザマと似通う共通項。
 それは………自らが懐き驀進するべき一つ事以外を、道端のゴミか何かとしか思っていないことだ。

 善性とは程遠く、悪性とも口にはし難い。
 さりとて正義は名乗れるだろう。人間という生物の、度し難い利己の獣性であると言えるだろう。
 つまるところ、この場の二人に、正義というお題目を語れる要素なんぞは最初から最後までない。


 ―――だから、ハザマは一秒の躊躇いすら見せない。
 そもそも助けるつもりなど元よりないから、降り注ぐ近代兵器の猛襲に恐慌する村人たちの声など最初から無視している。であるに後は彼らの幸運次第というところだが、そもそも毒蛇に魅入られた時点で幸運などは尽きているのだ。
 黒い影が空を飛ぶ。雪の寒空を支配する鋼の狂機が、地表に這いつくばる者達を焼き払う。


 ミサイル ミサイル ミサイル ミサイル   ミサイル
 爆風、爆風、爆風、爆風―――爆風。

 ヤメテクレ タスケテクダサイ、シニタクナイ  ナンデコンナメニ
 断末魔、断末魔、断末魔―――断末魔。



    「捕捉―――」


      、    、   「―――蓬閃・壱」



 ―――概ね民家周りが焦土と化したこの瞬間に、蛇の牙が姿を現した。

 空気を踏むかのような鮮やかな動作で一瞬だけ精製した術式を足場代わりにした数段の連続跳躍。
 空間に穴が空く。その数は四。
 そこから飛び出したのは翠黒の毒蛇だ。正面、左方、右方からの三方向より、鋼鉄の狂機の装甲すら抉って突き破らんと迫るのは蛇を象ったアンカー。変幻自在、予測困難の軌道を描きながらも、狂機が持つ鋼のボディを食い破らんと襲い掛かる。直撃と同時にそれは肉と魂の両方を蝕むだろう。精神を削り、肉体を食い千切り、毒が入り込むようにじわりじわりと。
 変幻自在のそれは、それぞれが死角になるように狂機クラスターを襲撃していた。爆風を突き破っての不意打ちも兼ねた攻撃だ、初手とはいえ対処を侮れば手痛い一撃となる。


「―――ああ、勿体無いことをしてくれました。ここで訂正をひとつしておきますが、害獣と言えども命は命なんですよ? 私はその辺り、纏めて燃えるゴミの日に出したいくらいには愛護するべき貴重品だと思っているのですがねえ。
 全く良くない。これだけ派手な戦いを始めるとスーツも汚れてしまいます」


 序でに、術式の応用に寄る跳躍で距離を調節しながらも、ハザマは言葉を返す。
 それは紛れもない、狂機クラスターへの同意だ。
 彼ら揃いも揃って、死に絶える命の全てを塵かなにかとしか思っていない。


「それに、私があそこで見たかったのは別に逆襲でも勝利でも、革命でも平和でもない。どちらかと言えば自分がゴミクズだと思っていたものに踏み潰される人間の顔でして………あ、そうだ」

「そう言えば最近の玩具は良く喋るみたいですが、感情表現の方はどうなのやら。そこのところ、一旦きっかりと確かめてみましょうか。
 これも人助けですよ、善行四つ目ですね。七つ揃えればホラ、願いだって叶うかも―――!」


 ―――それは、むろん目の前の狂機/毒蛇だって例外ではない。



>Cluster、(ALL)


【(市民は特に守らないので)よろしくお願いします!】

9ヶ月前 No.116

リインカーネーション @genomirai ★z8IID1mzG7_ly4

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9ヶ月前 No.117

麗人? @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【ナコーン/市場/ショコラ・ヴァンディール】

間に合った。本日のノルマを全速力で達成し、脂ぎったオヤジ共のいびりを華麗に受け流し、駆け込んだ先は時空防衛連盟。世界政府には珍しい協力者として顔の通ったショコラは、許可さえ取れば当施設への出入りが可能となっている。
もちろん、時間遡行によって前時代へと遡ることもできる。そう、彼女は名もなき政治家でありながら、なんと連盟の一員同様に実戦までこなそうというのだ。
無謀だと思うかもしれない。たかだか役人の身で熾烈極める戦線に立つなど自殺行為、そう彼女の行いを詰る者もいるだろう。しかし、だ。彼女は"デキ"る。政府の人間はもちろん、連盟の面々が思っているより遥かに。
今日はそのことを証明する良い機会でもある。政府と連盟を繋ぐ架け橋になるべく、まさに今、第一歩を踏みだす。



「振り向かずに逃げるのよ!そこのアナタは私の後ろに隠れてて!」

凛々しい声がナコーンの街に響き渡る。猛々しいという表現すら相応しい威容で市民を護る。誰も彼女が政治家だとは思うまい。況してや、たった一時間前まで上司にいびられていたなどと思うはずもない。
既に多くの犠牲者が出ているのが歯がゆいところだが、過ぎたことを悔やむより生存者の保護を優先すべきだ。彼らの退路を作り出すため、襲い来る巨躯の造兵をたった一人で相手取る。
体格はもちろん見た目からは想像もつかない火炎撃が厄介な難敵であるが、ここで敗走するほどショコラも甘くはない。内に秘めた強大な魔力の片鱗を、無属性ながら高威力のエネルギー塊に形成して射出。造兵のエンジンでありウィークポイントでもあるはずの胸部機構に撃ち込み、次々と破壊していく。
数分の後には決着がつき、僅かながら生き永らえた住民の避難に成功した。ショコラの後ろで縮こまっていた少女も家族と共に逃げていく。

一仕事終えたショコラは、次なる戦場を求めて行動を開始する。先に進めば、あの造兵を派遣した大隊を見つけられるかもしれない。
そしてその読みは当たった。発見したのだ、大隊はもちろんそれを率いるリーダー格を。やや精神面に問題アリな様子だが、多くの部下が付き従い補助に徹しているところからして、実力はもちろん人望もそれなりなことが伺える。
最も、次なる敵の目標は市民ではなく、たった一人の女性のようだが。

「一般人の次はレディを狙い撃ちかしら?」

そう言い放ち二人の間に割って入る。青い髪の女性目掛けて投擲された針は新たな獲物に牙を剥くが、ショコラはこれを平然と対処してみせる。
唐突に足を踏みならしたと思うが早いか、地面に亀裂が生じ土砂が噴出。まるで噴水の様な凄まじさに勢いを削がれた針は、一気に失速して足元に落下してしまった。
魔力によって大地を味方に付ける、それこそがショコラの得意とする戦術。しかし背後にいる青髪の女性が無能力者だと思って助けに入ったわけでは決してない。
最低限の知識はつけてきたとはいえ、流石に彼女が滅亡した王国の末裔だとは見抜けなかった。それでも周囲に転がった敵兵を見れば、彼女も"デキる"人間であることは間違いないのだ。
敵に囲まれ切羽詰まった状況で「こんにちは私は未来からやってきました」などと悠長な挨拶はしていられないため、半身振り返って彼女の目を見据え、共闘を申し出る意を込めて小さく頷いた。

>>ソレミア・ラガルデール、カシュタン・コルーカル


【絡みます!】

9ヶ月前 No.118

失憶者 @zero45 ★h2BOlEz4kD_FR1


【ロンカ村/広場/アラン・レイクルード】

 この地を、ひいては民を守る事こそ我が役割と語る氷像の言葉。それが果たして嘘偽り無き言葉なのかとアランは懐疑の念を抱く。氷像がその手に氷剣を構えると、彼もまた反射的に双剣銃へと手を伸ばして臨戦態勢に入った。
 それは一切の無駄が無い精錬された動作。其れこそ傭兵や軍人など、戦いを生業とする者でなければ身に付かない物。記憶を喪っても、帝国の将軍であった当時の感覚は喪ってはいない事が窺える。
 このまま開戦を迎えるか。そう思われた時、現れたのはもう一人の"守護者"。彼女の介入によって、戦いは始まる事無く未然に終わる。

「……あんたがそう言うなら、信じるよ」

 氷像の演説も、彼の語る役割とやらも真実であると語る彼女の言葉。長きに渡って彼を見続けて来た者が言うとなれば、多大な説得力を宿しているのは必然。それ故に、青年は反発する事無く、氷像の言葉が真である事を認める。尤も、それを踏まえた上でも、降伏勧告を受け入れる心算は無かった。
 そして、今や唯一に近しきものとなった守護者である少女もまた、受け容れない。ただ彼女は氷像に向けて、失せろと告げるのみ。既に村と帝国の激突は逃れ得ぬ物である事実を示す様に。

「覚悟はあるさ。何なら俺一人でも、帝国に挑み、滅ぼして見せる」

 氷像が残して行く最後の言葉。消え行く其の姿を見届けながら、青年は誰にも聞こえない様な小さな声で呟く。その決意は奇しくも、嘗ての過去が抱いた感情と同じ物であった。
 例え一人であろうとも、帝国に挑み、そして滅ぼす。無謀である事は承知しているが、それすら抑制し切れぬ程の使命感が、己を突き動かしている。誰であろうと、この感情を止める事は出来はしないだろう。

 帝国との戦いに備えて決意を新たにする青年。そんな中、唐突にこの場へと現れたのは一人の女性。続く形で、彼女が率いる数人の兵士が続々と現れて来る。巷で聞いた噂によれば、時折"未来人"と呼ばれる者達が時空の彼方からやって来る事があるとか。
 彼女の言葉が正しいのであれば、噂は本当の事となる。

「確かに。あんたらが協力してくれると言うのなら、帝国に打ち勝てる可能性も高まるだろう。
 だが、聞かせてくれ。あんたらは何故俺達を助けようとするのか、何を目的としているのか。それをはっきりして欲しい。
 それが明かせないなら、少なくとも俺は信じる気にはなれない」

 魔道帝国の戦いに協力してくれる事に越した事は無い。ただでさえ村の戦力が限られているのだから、帝国に対抗する為にも戦力の増強は重要だ。
 しかし、そんな猫の手も借りたい状況であっても、見ず知らずの、しかも信用性の全くない連中を受け入れるのはどだい無理な話だ。裏で何か企んでいる可能性だってあるかもしれないのだから。故に、彼は問い質す。助ける理由と、何を目的としているかを。

「……ん?」

 ――そして、返答を待とうとしていると、突然耳に聞こえて来た別の声。声のする方向へと視線を向けると、其処には非常に飢えた狼少女が飛び込んでくる姿。とてもフレンズにはなれそうにない邂逅を迎えた時、彼は咄嗟に二人を庇う様にして狼少女の前に立つ。

「うおォッッ!」

 するとどうなるかは一目瞭然。彼女の全体重を直に受け止める事となり、彼の全身には凄まじい衝撃が襲い掛かる。それでも何とか持ち前の膂力で抑え続け……られずに地面に押し倒されたのであった。

>山城瑤子 ユーフォリア イアン (ギラード)


【ギラード本体様、お相手ありがとうございましたー】

9ヶ月前 No.119

芋娘 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ロンカ村/宿屋/→グリア村/池/パメラ・エンドネル】

まさしく、日常。ロンカ村の人々にとって最高の幸福であるそれが、そこにはあった。何の変哲もないことこそが、彼らにとっては何よりも嬉しいことであるのだ。
漂うシチューの香りは段々と強くなり、もうすぐ夕飯の時間がやって来る。雪の中の労働で疲れた身体に英気を注入するためにも、食事は欠かせない行事。
だが、そんな平和な日々は、突然として崩れ去っていく。不意に強まっていく冷気。それと同時に宿屋に血相を変えて飛び込んでくる村人達。もう、何が起きたのかは明白であった。
ロンカ村には、人々からの信仰を集める二人の守り神がいる。その内の片方は、今でもロンカ村のよき守護者として、村人達を暖かく見守ってくれているのだが……
もう片方に関しては、あろうことか、帝国側に裏切った。実際は彼なりの葛藤があったのだが、強大な力を前に怯えるしかない村人が、それを見抜くのは難しいだろう。
実際、パメラであっても、その行動を裏切りと見なしている。今回やって来たのは、裏切り者の方。当然、黙っている訳にはいかない。皆を護るためにも、アランに続いて彼女は宿屋を飛び出そうとする。しかし……

「何するだべさ! 連れが出だのにわだすだけここにいる訳にはいがねえだ!」

走り出そうとしたパメラの腕を、ニケが掴んでいた。彼女の言うことも尤もであるが、だったら尚更今行かないでどうする。アランが、危険に曝されているのだぞ?
そんなこんなで、しばらく彼女は行かせろと暴れていたが、しばらくしてようやく友人が自分を止めた意図を理解したのか、落ち着きを取り戻す。
そこからは、急展開であった。氷魔神が去った後、突如として時空の彼方から時空防衛連盟を名乗る者達が現れ、ロンカ村他反帝国勢力との共闘を申し込んできたのだ。
勿論彼らを疑う者も少なくはなかったが、状況は状況だけに、戦力は少しでも多い方がいい。村長は、時空防衛連盟を味方として受け入れ、共に戦うことを選択した。
未来からやって来たという彼らによって、様々な情報が村人へともたらされる。なんと、既に隣のグリア村は、帝国の手に落ちてしまっているというではないか。

「こうしちゃいられねえだ。ニケ、わだす達も行ぐだべよ!」

グリア村の窮地を知ったパメラは、今度は逆にニケの手を引いて走り出した。あそこには、仲のいい友人達も大勢いる。彼らのことを思うと、いてもたってもいられなかったのだ。
そうして辿り着いた村は、既に酷い有様であった。開放的であったはずの村落には、厳重に防護柵が張り巡らされ、至る所に帝国の兵士達がうろついている。
だが、先に到着した反帝国勢力がいたのか、門の近くはもぬけの殻となっており、パメラ達は苦労することなく、村の中へと立ち入ることに成功した。

「大丈夫が!? 助けに来だだよ!」

新鮮な魚が多く住まう池の近くで村人が襲われるのを目撃したパメラは、直ぐ様周りを取り囲む帝国軍兵士達に冷気を飛ばして氷漬けにし、救援する。
村の中心部でも、同じような状況になっているのだろうか……早く確かめに行きたいところだが、あいにく敵が多すぎるため、簡単に先へ進むことは出来なさそうだ。

>ニケ・エタンセル、(アラン・レイクルード)
【古代の味方主人公的ポジを配置】

9ヶ月前 No.120

リインカーネーション @genomirai ★z8IID1mzG7_ly4

【グリア村/防護柵/クジャルナ・クオーク】


貫き手は確かに副総統の脇腹を貫いた、しかし男の表情は渋く手を戻しすぐさま次の行動に移れるように備える。誘われた、さらに仕留めるために態と受けた。
現にその傷は炎によって焼かれ、出血は抑えられている。場所が場所故に臓器への損傷も望めない、詰まる所これは見事に嵌められた。傷を焼き切るのは流石に常人では中々やろうとは思わないだろう、それをやる男が副総統な訳だが。
積もる雪が大剣の熱により蒸発する、幾人もの近衛がその命を焼却された。真面に喰らえばこの男であろうとも致命傷は免れない、場所が悪ければ最悪即死だってあり得るだろう。
そして見事な貫き手を放った故か身体は伸び切っている、すぐに腕は戻したが身体まですぐに動かすのは難しい。つまりだ、この全てを灰燼に帰す大剣が及ばぬ場所には逃れられない。

「ええ、勿論レッテルではない事は承知しております。だからこそ、此方もそれなりの対応をさせて頂きます。」

男が選んだのはその場での回避、それは無謀でしかない。焔を纏い、高熱を帯びた大剣を最も安全に回避する手段は離れること以外にない。素手で触れれば即座に炭化するほどの熱量だ、白雪に黒斑が浮かんでいるのが何よりもの証拠。
しかしこの男はそれを把握して尚限界での回避を選択した、離脱する時間も身体の準備もない。かといって受けて殴り返せるほど生半可な威力でもない、ならば余波の炎程度受け切って見せようと。
幸い身体は丈夫であり、人間よりもずっと堅牢だ。これほどの熱量を受けたことはないが、問題はない。大きな得物故の振りの大きさと、その後隙を確実に仕留めるために自身の肉体を信じる。
身体を捻りながら周囲を灼く黒鉄の大剣を薙ぐ副総統、迫る熱を帯びた大剣と灼熱。この男はその場で身を屈める、それは回避ではなく攻撃への布石。
背に走る激痛、間違いなく男の背は焼かれている。ああしかし、たかが表面を炙られただけだ。次の一撃までに身体が動けば問題はない、身を包む炎も背の痛みに比べれば大したものではない。

「つまり、こういうことです。」

大剣を振り切った副総統へ繰り出すは再び胴を狙った拳、屈めた身を起こす勢いに地が割れるほどの踏み込みを加えた胴を貫く一撃。その鋭さは打撃ではなく刺突の域にまで達する。
焼かれた背の皮が縮み、強烈な痛みを発するだとか、全身焼かれた痛みが身体を襲っているなどは一切関係ない。ただ身体が動くのであれば、振り切ったその隙に完全な一撃を決める、ただそれだけである。
大振りの一撃、その後の伸び切った胴に迫るは全力を込めたカウンターアッパー。確かに心の臓を狙った一撃を、この男は身を焼きながらも打ち出したのだ。

>>シャル・ド・ノブリージュ

9ヶ月前 No.121

イスマリア @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4


【 ナコーン/森林/イスマリア・ザルヴァトール 】

 ジャッジ 、キルキルキルキルキル
 殺戮、――殲滅殲滅殲滅殲滅殲滅。

 逃げる子供の首を断て。
 子供を守る親を殺せ。
 命乞いをする老人を殺せ。
 体を差し出す女を殺せ。
 必死に這いつくばる男を殺せ。

 殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、――勝利のために。未来のために。ありとあらゆる全てを殺し尽くせ。
 血を絶やせ奪い尽くせ滅ぼし尽くせと死の軍隊は歩みを進める。
 森林を切り立ち燃やし尽くし、草の根をかき分け殺し尽くす歴史是正機構のイスマリアを筆頭とする兵団。
 火炎放射器を片手に森林を焼き払い、逃げ道を塞ぎながら確実に追い詰めていく兵士達。

「全員殺しなさい。
 この状況から最も長く逃げ延びた者達だけが、生き残ることを許された者達です」

 だから、苛烈にやれ。
 イスマリア・ザルヴァトールの下した命令は至極単純。赤子の一人に至るまで容赦なく徹底的に叩き潰せ。
 古代に来てからまず初めに推し進めるは、悪逆でも善性でもなんでもない。ただの選別。
 彼女の言葉に粛々と従う借りた兵士達は、各々の武装でもって蹂躙し続ける。

 そうして、――周囲から追い立てるようにして村人を一か所に寄せ集めた。
 兵士達に命じ、火炎放射器を向けさせる。

「助けてくれ! なぁ、あんた、何処の誰だか知らないけど!! 何の恨みがあって!」

 村人が一人、反感の意を示した。
 鉄面皮を被った――いや、本当に鉄で出来ているのかというぐらい眉一つ動かさない女へと立ち向かった。
 彼女は男の身なりを見た。そして、目を見た。そして、告げた。

「安心してください。
 あなた達の命は、無碍には致しません。大丈夫、天国で見守っていてください。
 私達が必ず、平和な世界を創りますから」

 これ以上に無い位の、棒読みで。
 それから右腕を振り上げた。
 安堵よりも先に、恐怖が勝り叫びそうになった男の予感は、当たっていた。




「では、死んでください」



 ――今日の晩御飯は何にする?
   それと同じ調子で、死ねと言える女がいたのかと、男は最後に場違いにもそんなことを考えた。

 焦熱が吹き荒れた。
 村人を囲んでいた兵団が一斉に紅蓮を撃ち放った。
 天高く炎が舞う。熱い。嫌だ。たづけ。人々の絶叫が木霊する。おがあさん。じたばた。暴れまわる。
 カミサマ神様神様。今更になって捧げられる祈り。イスマリアは眉一つ動かさない。
 生きとし生けるもの、あの場にいた者が全て灰燼と消えゆくまで炎は浴びせられ続けた。

 赤子を守ろうとした母親が焼け死んだ。
 中の赤子は蒸し焼きになって死んだ。
 逃げようとした男は首を突かれて押し戻された。
 這って逃げようとした子供の腕を、投げナイフは容赦なく突き刺した。
 血があふれることはない。目玉がどろりと溶け落ちて、ぱりぱりと皮膚はめくれ上がり筋肉が曝け出される。
 それでも飽き足らず燃やし続け、髪は焼け焦げ服は燃え火の中に水を求めてさまよう亡者があふれかえる。

 ヒトの焼ける甘酸っぱい香りが充満する。
 ヒトだった皮膚から剥がれ黒く焦げたソレに火が付き、宙を舞い踊る。
 ヒトが一生の内に絞り出せる声を全て解き放ったかのような絶叫が、それでも足りぬと辺りにこだまする。

>ALL

9ヶ月前 No.122

一番隊隊長 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【時空防衛連盟本部/食堂→オペレーションルーム/ギルバート・トムフール】

リプレイサーは、重力操作による皿の浮遊を楽しんでくれたようだ。その様子を見て、ギルバートの顔にも、僅かではあるが、思わず笑顔が浮かんでいる。
このような平和が永遠のものであることを願いたいが、現実はそうはいかない。本日の19時丁度から、古代で観測された時空振動の原因を排除する作戦が決行されるのだ。
一連の手品試合が終わり、二人は食事へと戻る。先ほどまで周囲にいた群衆達も、食事を邪魔する訳にはいかないと捌けたようだ。そんな中で放たれた、質問の言葉。
時間を取って話が出来る機会は、この先なかなかないといってもよい。ならば、今の内に出来る限りのことを教えておくべきだろう。彼にとってこの世界は、未知ばかりであるはずだから。

「後世にまで名を残すほどの者でなければ、仮に命を落としたとしても世界線に与える影響は少ない。しかし、もしも間違って、その後の世界に多大なる影響を与えた人間の命を奪ってしまえば、時空はその瞬間、断裂を起こして崩壊する。特定人物の寿命を延長した場合も同じだ」

時空断裂。それは時間遡行において、最も恐れなければならない事象。直後の未来に影響を及ぼすような大改変を行った際に起きる、時間の連続性消失だ。
こうなってしまえば、その時点で世界は崩壊してしまうだろう。古代へ行った者は未来へ戻ることが出来なくなり、未来から古代へアクセスすることも不可能となる。
それどころか、世界そのものが消失……なんていうことすらもあり得る。自らの存在すらも消しかねない行為であるが故に、歴史を変えるということは絶対にしてはならないのだ。

「だが、先に過去に干渉した連中によって、既にこの瞬間においても小さな変化が生じ始めている。俺達がするべきことは、"時空断裂"や"時空修復"を起こすような過度の改変を阻止することだ。だから、今お前が話したようなことが目の前で起きたら、自分の意志でその人間を救っても構わないだろう」

時空修復とは、ねじれを生じた世界が元に戻ろうとする現象のことだ。これに関しては、断裂を起こさない程度ではあるが、やはり大きな改変が起きた場合に発生する。
敵が狙っているのは、恐らくこれだろう。時空修復を重ねさせることで未来に影響を及ぼし、世界の景色を自分達の都合のいいように変えようとしているのである。
時空防衛連盟がすべきことは、歴史是正機構による歴史の大改変を阻止し、未来の整合性を保つこと。全てを一変させるような状況を、未然に防ぐことなのだ。

「時間のようだな。俺は……どうやら今回は、留守を任されたらしい。お前は精鋭だ。俺と共にここへ残ってもいいだろうが……実際に古代へ行き、何が起きているのかを確かめるのもいいだろう。その判断は、お前次第だ」

話し込んでいる内にあっという間に時は過ぎ、作戦の開始時刻となっていた。ユーフォリアの宣言によって、遂に時空防衛連盟は、時を駆ける旅へと出発する。
ギルバートに与えられた任務は、総統達が留守の間に、本部を護ることであった。歴史にすら干渉する敵だ。皆が出張らっているこの隙を突いて、攻撃を仕掛けてくるかも知れない。
古代で任務を終えた者達が、帰る場所を失うなど、断じてあってはならないこと。だからこそ、時間遡行に同行しないとはいえ、彼に責務は非常に重大なものだ。
最後にギルバートは、リプレイサーに二つの選択肢を与え、オペレーションルームへと向かう。彼がどちらを選ぶかは分からないが、どうなったとしても、その選択は尊重しよう。ここへ残るのも、古代へ行くのも、大きな勇気のいる選択なのだから。

>リプレイサー
【このまま拘束し続けるのも、と思いましたので、一旦ここで区切りとさせて頂きます。絡みありがとうございました】

9ヶ月前 No.123

“ナルカミ” @sacredfool ★ujIB23kcPC_UxJ

【ナコーン/中心街/アンリエット・エクレール】

 敵を探しながら戦場を闊歩する彼女の銀髪がふいに逆立ち、電気を帯びてバチとした火花を生む。戦いの中にあって稲妻は自分へ向けられた殺気を感じ取る。遅れて、何かが風を切る音も。音の接近と共に彼女は屈みながら宙を見上げ、その瞬間……爆裂は起きた。衝撃に散らばる瓦礫、立ち込める土煙。
 そして、殆どドーム状に広がったそれの上方に稲光が走る。煙を切り裂き、稲妻が姿を見せた。逃げ遅れていない……それどころか爆風を利用して、跳躍の推進力を得てさえいる。それを可能にするのは、野生の勘というには余りに鋭い戦闘センス。近代兵器の坩堝にあって徒手空拳での戦闘を実現してしまうほどの化け物じみた身体能力である。
 とかく稲妻は跳躍した。何故か? どうにかこうにか爆風をいなし、晴れない内に煙を裂いて拳の一撃を叩き込むという選択肢もあった。それが最も妥当な線だろう。アンリエットはそれをしない。彼女の人一倍強い負けん気が、彼女の身体を跳ばせたのだ。高く、高く、天高く。
 かの鉄塊が上から無茶苦茶な先制攻撃をしてきたように……こっちも無茶苦茶なモンを叩き込んでやろうじゃないか。

「遠くからコソコソと爆撃たァ、いーい度胸じゃねェか……バッチバチに機能不全(ショート)させてやらァ……!」

 彼女にとってはソレに言葉が通じるかどうかなどは二の次である。先ずはこの激情を発散させること……それからだ。雲まで届こうかというほどまで跳んだ火花はいよいよその推進力を失い、重力に従って――重力を武器に一気に大地を撃つ。身体の周囲を覆う火花はにわかに激しさを増し、青白い光が包んでいるかのよう。戦意の果てしない高揚。電圧の最高潮。
 爆風の余波で焼け爛れた自分の背中を相手に見せるということは、この戦闘において有り得ない。このキカイをメッタクソにブチ壊すからだ。鈍色のアホ面がこっからでもよーくわかる。ブチかます。

「――轟けァァァァァ!!!」

 咆哮は雷鳴と化し、正に彼女は“落雷”となった。単純な拳の一撃は、長距離落下と彼女自身の魔力という武器によって大地をも砕く出鱈目な威力となる。
 如何に重厚な鉄塊であれ、殴りつけた拳の方が砕けてしまうなどとは――夢にも思わないことだ。それとも――たかだか一条の閃光、少しばかり身を避けてやればいいのか。試してみるがいい、其の側撃雷が如何ほどのものか。

>>ワーロック

9ヶ月前 No.124

親の七光り @prismriver☆kFuUk0otHg5u ★TZkXkdft22_gIp

【城塞都市ギリダン/玉座の間/エスメラルダ・ナズグル】

「やっとうるさい連中を黙らせる時が来たのね? お母様」

演説が終わった直後、エスメラルダは母親であるパージルクに向かってそういう。大陸の北側に展開している反帝国勢力。彼らは今まで色々な事情があって見逃されてきたのだが、今回ロンカ村との交渉が失敗に終わったのをきっかけに、総攻撃が始まった。元々、組織の形をしてない連中なので、帝国の力を持ってすれば、一瞬で制圧できるだろう。

親子の会話が続くように見えたが、出張らったはずの将軍の中に、一人だけ残っている奴がいた。名をマロン・アベンシス。自分の領土では第二人種が相応しいよな無能も第一人種扱いする変人で、エスメラルダの印象はそれほどよくない。どうもこいつは、帝国の理想というのをわかっていないように思えるのだ。

「反発? 先に帝国に歯向かったのはあっちでしょう? だったら、潰すまでよ。それとも何? あなたも奴らに肩入れする気なのかしら?」

マロンがパージルクに投げかけた質問に、軽蔑した様子でそう返しながら、エスメラルダは「ねえ?」といった様子でパージルクの方を見る。エスメラルダは最近、自分の将軍としての地位が少しずつ危なくなっているのを感じていた。今までは最初の戦いによる功績でずっと留まっていられたが、最近はなかなか戦果が上がっていないので、周りからはいろいろな声が聞こえてくる。だが、自分は女帝の娘だ。それだけでも、後継者として選ばれる権利がある。親が死んだら子が継ぐのは、当たり前のことだろう。できればこの婆さんにも、早めに引退して自分に道を譲ってもらいたいのだが、エスメラルダは今はそんな本心を隠して接する。

>>パージルク、マロン

9ヶ月前 No.125

爆炎 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【ロンカ村/宿屋/→グリア村/ニケ・エタンセル】

飛び出していったアランを追いかけたいのはやまやまだが、ここは辛抱。パメラもわかってくれたようだ、今求められているのは力や行動力もそうだが、一番は冷静さなのだと。
ホッと一息ついて支度を始めるニケ。しかし事態は思いもよらぬ方へと傾きだした。突如として現れた『時空防衛連盟』を名乗る者達が、自分達の側について帝国と戦うというのだ。
あまりの急展開に頭が追い付かない。ただし相棒はその限りではないらしく、時の彼方からの来訪者から情報を聞き出すなどしていた。

「おわっ、ちょっと!わかったから離せって!」

グリア村が危機に瀕していることを聞くや否や、遂に出番かと腰を上げるニケ。今度は彼女が手を掴まれることになった。引き留めるためではなく、戦場へ急行するためだが。
友人がいるのはもちろん、貴重な反帝国戦力でもある近隣の村々が襲われたとあっては、ぐずぐずしてなどいられない。現場へひた走る…が、またしてもニケは己の無力を思い知らされることとなった。
そう、グリアは既に敵の手に堕ちていたのだ。二人は敵地に飛び込んだも同然、能力者とはいえ年端もいかない女の子二人で、敵の対処と生存者の避難の補助をこなさなければならないのだ。
ただでさえ絶望的な状況に輪をかけるが如き逆境。しかし、天は彼女らを見捨ててなどいなかった。ニケの瞳に、彼女を強く奮い立たせるのに持ってこいな、そして彼女が何よりも見たかった光景が映る。
それは先程の連盟の面々が一丸となり、帝国兵士を薙ぎ払っていく勇ましい姿。最大の理想として夢想しながらも、実現は不可能とわかっていたはずの光景が、今目の前にある。

「オラよッ!」

氷魔法で村人を救ったパメラに続き、ニケも十八番の火炎魔法を発動する。スイカ大の大きさに膨れ上がった炎エネルギーを、強烈な蹴りで撃ち出して帝国兵士を一掃する。
対応が遅れた者は消し炭に姿を変え、辛うじて反応できた者も爆風に巻かれて堅い地面に叩き付けられる。ここにロンカの守護者は集った。

>>パメラ・エンドネル

9ヶ月前 No.126

電子の詩人 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【いえ、こちらこそーオフ会が楽しみな絡みありがとうございました。
……休憩時間ギリギリに書き上げため、確認する暇なく間違えてサブ記事に投下しました!許してください、なんでもするから】

【時空防衛連盟本部/応接間/使われていない空き部屋/ショパン】
『了解』
 キャラを噴水広場に移動させて、目的地まで操作するとGOD_SIENTAの周囲に集るキャラの群れを見た。
 ショパンは見抜いていた、群れるキャラは明らかに装備は初心者が着る装備ばかりで、GOD_SIENTAのレベルは愚か自分のレベルまで到達していない者ばかりだった。
「……」
 ふとショパンの表情は重くなる。
 GOD_SIENTAの技量を買って誘っているのではなく、高名で買って誘っている様子は相手をきちんと見ていないと感じ取ったのだ。
 『彼』と『彼等』の演奏に惹かれ、演奏会に誘われた経験を持つ身としては自分の名誉の為に曲を演奏してくれと頼んでくれと、言っているのと同じだった。
 待ったとチャットで話しかけパーティー申請をしてパーティーを組むと、二人はゲームを進んでいく。
 流石、自分が見込んだ腕前の持ち主だ、フレンドになってよかったと嬉しそうな表情で腕が鳴ると言わんばかりにキーボードを唸らせきちんと相手がやり易いよう支援、協力プレイしていく。
 そしてランキング浮上させた後、退室のメッセージを受け取り『お疲れ、次もよろしく頼むノシ』と返信すると、目的を果たしたのでゲームから退室すると鳴り響く出動命令の合図。
「……始まった」
 天井を見上げてぼそっと呟くと、練習曲集と書かれたフォルダをクリックする。
 するとパスワード入力画面が浮かび上がりキーボードを打ち込む。
「ポロ……ネーズ……」
 『polonaise』と入力すると、動画編集ソフトと日付をファイル名にした動画ファイルが数十と編集済みのフォルダが保存されていた。
 これは本部の屋上から見る風景を録画した動画であり、時空修復の影響を証明する為にショパンが毎日記録し動画編集でまとめたフォルダだった。
 なぜ、保存しているフォルダ名を偽りパスワードをかけているかというと、キラー・テンタクラー及びハッキング対策の為であった。
 一応、ファイアウォールもしているが、ジョリーという自分を振り回す程の意志を持ったウイルスを生み出した経験上、辿り着くのかも知れないと思い二重に仕込んでいる。
 ショパンはちゃんとフォルダが無事かを確かめると、ジョリー3の名を喚んで起動させると動画データをこちらにコピーさせ、送信させると動画編集ソフトを起動させ、いらない場面を切り取る作業に取りかかる。
「ふん、ふふん、ふふふふーんふふーん」
 完成に長く掛かるが燃料投下するのが楽しみだとわし鼻から英雄ポロネーズのメロディを紡ぐ。
 この高揚感、送られてきたアイドルになった大家とアイドルである同郷のクラシカロイドの練習風景の動画を投稿する時と同じ気持ちであった。
 燃料投下された時、果たして敵はどう反応するか楽しみで仕方がなかった
>ALL(シエンタ)

9ヶ月前 No.127

黒翼 @kyouzin ★XC6leNwSoH_UxJ

【グリア村/民家/Cluster】

「玩具? 玩具だと? この人間を超えた僕の機体の事を指して言っているのかなあ!? だとしたら、僕は、やはり君を殺さなければならない!!」

クラスターが攻撃を仕掛けた男が口を開く、一応、敵とは言え趣味が合いそうだと最初から感じていたクラスターは、その言葉に耳を傾けた。
だが、瞬時に彼はこの選択を後悔する、何故ならば、冗談めかして皮肉の如く言われた言葉ではあったのだが、自分の至高の発明品であり、彼の凄まじい自尊心の象徴である、可変機"Cluster"のことを最近の玩具と言われた事に、クラスターは酷く腹を立てたからだ。
あぁ、僕はなんて正しい行いをしたのだろう、これより、科学の素晴らしさを分からない、つまり知恵が無い、つまりつまり発展を阻害する癌細胞を無数の爆発物によって除去するのだ。

未来世界では"黒翼"、世界最悪のテロリストと呼ばれ、恐れられた事もある黒い機体から無数のミサイルが乱れ飛ぶ。
それらは次々に着弾する、所詮はクラスターが搭載できる小型ミサイルであるため、完全に抹殺しきる事は難しいが、だからこそ、中途半端に体の一部だけを吹き飛ばし、民衆に即死と言う救いすら与えず、苦しませて、苦しませて焼き殺す。 大方、こんな武器は非人道的だと語られるだろう、だが、クラスターはこれを当然のように機体に満載した。 それを言ってくる奴は、例外なく自分の研究その物にも"非人道的"と抜かしたから。

さて、高笑いが始まるか、と思われたが、クラスターは、敵がまだ生きている事を察知していた、故に……正体不明の攻撃にも一応の対処が出来る。

「誘導武器、ジャミングが効くかテストしてあげよう」

それを視認した瞬間、クラスターから耳障りな音が鳴り響いた、しかしこれは単純なミサイルとレーダーを撹乱するための物だ、これが相手の攻撃に効くとは思っていない。
事実、それらの軌道はジャミング実行前と実行後でも全く変わりない。

ならば次の対処だ。

「このClusterに追い付けるとでも思ったか!?」

姿勢制御用のバーニアスラスターが稼動し、クラスターの機体は機首を空へと向けて、三方向から襲い来る蛇のような有線兵器から距離をとるべく、空高く飛翔する。
この時クラスターは、わざと太陽を背にするように飛行した。
相手の有線兵器が手動でコントロールするのならば、太陽の光で目が眩み、追尾が解ける、そうでなくとも、少なくとも追撃が不正確な物になる、と言う二つを達成できるものだ。

あの蛇が付いてくる、何処までも何処までも、しかし、"こいつらは空で踊れない"。

次の瞬間、クラスターは一気に急降下、当然それについてくる蛇だが、そのままクラスターは地面に突っ込まんとする勢いで降下したかと思うと、超低空飛行に移行し、高等な姿勢制御装置など付いているはずが無い蛇たちは、無残にも地面に突っ込んだ。
……こんな物は"回避"ではない、暴力的なまでな機動力差を使った"引き剥がし"だ。 蛇の性能が死角を取り、変幻自在の"旋回性能"、言い換えるなら小回りの良さで回避した相手すら追い詰める武器と言うのはクラスターは知らなかったが、結果的に、直線的な引き剥がしによる回避と言う、最も相手の武器の長所を殺す対処方法を彼は選択した。

そして、超低空飛行の先に居るのは、ハザマだ。

「じゃあ僕も訂正しないといけないね! 時空防衛連盟と言う看板は恐ろしい物で、僕からすれば、平和だとか平等が病的に好きなのかと思ってしまったが、そういうことなら小馬鹿にした事は謝罪するよ。 だが、このClusterを玩具呼ばわりしたのは良くないね、あぁそうだ、善行は四つだ、優れた科学力の結晶を玩具呼ばわりした男に訂正させる、と言う善行だよ!!」

超低空飛行の勢いのままに、クラスターは人型形態に変形し、ハザマとすれ違う瞬間に、右手の赤色レーザー砲から大量のレーザーを乱射する。
そのまますれ違ったかと思えば、攻撃はそれだけで終わらせないつもりか、移動先にある木に両足を向けて一気にブースターを最大出力で噴射。 強引に方向転換し、両手の、合計10本の細剣のような形状をしているクローアームを展開してハザマに襲い掛かった。

>ハザマ

9ヶ月前 No.128

指輪の女帝 @kyouzin ★XC6leNwSoH_UxJ

【城砦都市ギリダン/玉座の間/パージルク・ナズグル】

この場に集結していたほとんどの将軍や近衛は既に立ち去った後、パージルクに話しかけてくる者が一人だけ居た。
何時もならば威厳ある口調で対応する所だが、その声でパージルクは、自分の娘であり、同時に将軍でもあるエスメラルダの物と分かっていたので、少し普段と違った、気を張っておらず、多少は気を許したような表情で彼女の言葉を聞いた。
うるさい奴か……まあ、まだ幼いエスメラルダには、そのぐらいの認識で妥協するべきなのかもしれない。

事実、言い付けは守り、消耗戦を行っていた段階では無用な手出しはしていない賢い子だ、そのうるさい者の価値について教えるのは、もっと大きくなってからでも遅くは無いだろう。
パージルクは何時もそのように結論付けて、エスメラルダに注意する事は少ない、彼女からすればエスメラルダは、何時まで経っても可愛い"娘"、つまり自分が守って、ゆっくり教育しなくてはいけない物と認識しているからだ、実際は……エスメラルダもそろそろ正しい物の見方を覚えるべき年頃だと言うのに。

「あぁ、そういう事になる。 だがエスメラルダ、私はお前が実力で将軍にまで上り詰めてくれた事は分かっている、だと言うのに、こんな心配をするのは、愚かかもしれない、だが……無理をしてはいけないぞ。 対能力者、対時空防衛連盟戦はカシュタンやノエルのような戦上手に任せておけ、部下を上手く使ってやるのも支配者としての才能だ。 お前は、ただ、生きて戻ってくればそれでいい」

パージルクは、部下を使うのも才能、と理由付けをして、エスメラルダに必ず生きて戻ってくるようにと念を押す。
何もパージルクは、彼女の実力を過小評価している訳ではない、むしろ、正常な視線で見れば"過大評価し過ぎている"。 それでもパージルクがこんな事を言うのは、やはり我が子可愛さから来る物だった。
完全実力主義、その大義の下に君臨する女帝とあろうものが、こんな事を言っているのは、おかしな話かもしれない。 ただ、パージルクはエスメラルダの母と言う私人としての顔を捨てきれなかった。

「お前は私と、あの人の大事な子供だ。 万が一の事があれば、ママも……パパも――あぁすまない、この言い方はやめるんだったか? 私も、父もきっと悲しむ、だから、必ず戻って来るのだぞ」

思えば、言い方を変更しろと叫ばれたのは、何時からだったろうか……とにかく、自分だけではなく、きっと今は亡きエスメラルダの父も、万が一があれば悲しむから戻ってこいと再度念押しした。
エスメラルダからすれば、自分を甘やかしてくれるパージルクと違って、父は標準的な甘やかし方をする方だったので、実は嫌っている事をパージルクは知らない。

とにかくこれだけ言い残せば、後は何時も通り送り出すつもりだったのだが、その時、扉を開けてもう一人、こちらに話しかけてくる者が居る。
マロン・アベンシス。 実力のみならず、人格面でもパージルクから絶対の信頼を置かれる将軍だ。 しかし、魔道帝国の制度上、それ以上の実力と勲功を持つノエルとカシュタンに次いでの三番手の将軍でもある。

パージルクは彼女を、部下としては信頼している、だが同時に、思想では極めて深い対立関係にあった。 だからこその、この直談判だ。
エスメラルダが女帝としての振る舞いを求めるように、あるいは媚を売るかのように目線をこちらに向ける。 だが、それに応えるためではなく、パージルクは自らの国のために、口を開いた。

「マロンよ、妾は十分な時間を彼らに与えたつもりだ。 長きに渡る消耗戦、いや、ロンカに関しては手出しすら立地上出来なかった、しかし、彼らは使者の一つも寄越さず、旧ラガルデール勢力や、裏切り者と結託していると言う情報まである、そしてそれが事実だから、カシュタンの奴は随分張り切っている訳だ。 いまさら妾が頭を下げて奴らと話し合った所で、奴らはこう言うだろう、憎き第一人種を引き摺り下ろせ、第二人種を尊重しろ、と。 それを受け入れる事は、この国の根幹を破壊する事になる」

パージルクはそのようにマロンに返答した。
その冷たい言葉は、マロンを失望させるのに十分だったかもしれない、だが、次にはパージルクは少し笑って続けた。

「いや、"らしい理由"で誤魔化すのはやめにしよう。 マロン、お前は奴らにも義あり、そう語りたいのだな? だが、お前も知っての通り、未来勢力によるこの地への干渉が始まっている。 魔道帝国は、時空防衛連盟だけではない、歴史是正機構との全面戦争を想定せねばならない状態にあるのだ。 この地を守るために、妾が愛した魔道帝国と、お前、エスメラルダ、いや、全将軍と、全近衛、そして全平民の平穏を脅かす者を倒すために、この状況下で魔道帝国と協調の意志を見せぬ連中をもはや野放しにする事は出来ぬのだ」

パージルクは是正機構と組んだ、だが、それは完全な信頼の下成り立った協力関係ではない。
むしろ魔道帝国は、未来勢力をバックにつけた状態での、魔道帝国対反帝国勢力というよりも、古代勢力対未来勢力の戦争を想定しなければならないと語る。

何故ならば、奴らは『結末』を知っている、だとするならば、己の利益のために、自分達からあらゆる物を貪るために動く事も十分に考えられる。
その時は、魔道帝国は、全第一人種のために戦わなければならない、その時、反帝国勢力が残っていれば、未来勢力に吸収されるか、横腹を突いてくる、故に、殲滅しなくてはならない。

そうパージルクは結論付けた。

>マロン・アベンシス エスメラルダ・ナズグル

9ヶ月前 No.129

ギギナ @koki☆iOEaToagbI2 ★P24UIEe7ZZ_UxJ

【ナコーン/森林/ギギナ】

 突然のことではあったが、この世界に飛ばされて結構な年月が経過していた。強敵と相まみえ熾烈な戦いを繰り広げていた。自身がいた世界とはまったく異なる能力を持つものとの戦いは戦いこそ生きる目的としている自身にとってはまるで天国のような環境ではあった。歴史を守るということに関してはあまり興味がなく、ただ強敵との戦いを求めるためにマロニス王国騎士団に参加している。

 ある程度の衣食住を提供し強敵との戦いをできるという点で参加しているが正義の味方というスタンスは未だなれず大勢で動くというよりも個人で動くことが多く今回も単身で行動していた。以前いた世界のような相棒がいない以上単身で動くしかないが自身としても現状特に困っていることもないため単独行動を続けていた。

 鬱蒼と生い茂る木々の合間を駆け抜けていく。与えられた情報からこの辺りで動きが合ったらしい。またこの地に降り立ってから感じる戦士としての予感がしていた。一本の矢のように突き進んでいくと殺気が遠くから感じることが出来た。遅れて被害者と思われる悲鳴やたんぱく質が焦げた匂いが鼻先を掠めた。そちらへと足を向けると一般人が虐殺されている現場に遭遇した。

 老若男女関係なく抵抗する力を持たないものを進んで虐殺する凄惨な現状に喉に苦味を感じる。戦いを至上の喜びとする自身としても戦いをすることができないものの一方的な虐殺を認められるわけでもなく嫌悪感が胸から溢れ出てきた。

 「…そこの外道、貴様がどういった立場の人間かわからぬが私が貴様の首を貰い受ける」

 惨状の真ん中にいた翡翠の瞳を持つ銀髪の女性に向け胸からあふれ出る嫌悪感をそのまま口から吐き出した。虐殺を行ったものが仮にこちら側の人間だとしても一般市民を虐殺する権利などどこにもないし、どのような立場であっても討たねばならない相手であることは間違いない。背中に担いでいる屠竜刀を抜刀し正眼に構え切っ先を向ければ処刑制限をし

 【始めまして絡まさせていただきます】

9ヶ月前 No.130

葛葉の一枚看板 @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_7FY

【時空防衛連盟本部/エントランス→ナコーン/森林/17代目葛葉 ライドウ】

「クーフーリンか、ケルト神話の大英雄ではないか。ということは分け御霊などではなく”本物”ということか」

サマナー界でクーフーリンの名を知らぬ者はいない、魔槍ゲイボルクの使い手にしで交渉事もうまく、女性のサマナーから人気だ。
その師匠である影の国の女王スカアハも一緒に仲魔として連れているのだが、本人を前にして召喚するのはよしておこう。
万一本物の逆鱗にでも触れようものならあのホーミングミサイルの如きゲイボルクが自分の心臓を狙うことになるだろう。
ライドウの端末にも作戦支持の報が届く、どうやら今回はここまでらしい、暇潰しと高をくくっていたが有意義な時間だった。

「ああ、また会おう北斎。死ぬでないぞ」

そういうとライドウも北斎に背を向けて立ち去った。一度部屋に戻って絵を置き、弾丸などの装備を確認するとライドウも過去へと飛ぶ準備を固めた。、

――――――――

「そこまでだ、とでも言っておこうか。群がる雑魚を潰せ、フツヌシ」

『応よ! 此度の儂はことさらに猛っておるぞ!』

どこかの誰かのカミへの祈りは、ここに届いた。
虐殺のキリングフィールドに一人の男が降り立つ。黒い学帽に尖ったモミアゲ、黒いマントをはためかせて悠然と進む。
傍にいるのは神仏の一柱フツヌシ、無数の剣を操り虐殺を繰り返す兵士たちを虐殺していく、当然だ、いくら近代兵器で武装しようとも雑兵程度にフツヌシは止められない。
それに葛飾北斎の絵画で気が高ぶっているおかげでもある、敵の雑兵が剣の嵐に見舞われて次々と肉塊と化していく。

「さて、村の住人へ告げる! ここは我々が引き受けた、貴様らは一旦引いて体勢を立て直せ! もうこの地に安全な場所はない!」

ごく少数だが生き残った村人の安全を確保すると後ろに下げ、それを庇うようにライドウとフツヌシが立ち塞がる。
その鋭い眼光はここから先は一歩も通さないと物語っていた。

「時空防衛連盟、17代目葛葉ライドウ、この場に手貴様らを滅する者の名だ、あの世で閻魔にでも告げるがいい、火炙り地獄の一回はサービスしてくれるだろうよ」

『時空是正などという世迷言、我らがいる限り成されぬと知れぃ!』

森の大気がビリビリト震える、フツヌシの喝破にはそれだけの威圧感があった。
それを従えるライドウも既に刀を抜いている、交渉の機会などない、相手が滅してきたように、こちらも滅するだけだ。
時空是正が何するものぞ、葛葉ライドウの名に懸けてそれは絶対に許されない。

>イスマリア・ザルヴァトール、(葛飾北斎)、ALL

9ヶ月前 No.131

スパルタの代名詞 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【時空防衛連盟本部/喫煙室→ナコーン/森林/北側/フォッサ・セントライト】

「出身って話をするなら、あたしもスラムで生まれた訳じゃあないねえ。まあ、あそこはどんな人間だって受け入れる。それこそ、あたしのような爪弾き者だろうとね」

アベリィはスラム出身でないと語るが、フォッサも生まれは別の場所だ。だが、貧困層の家族の元に生まれたため、共働きの両親の都合で、保育所に預けられていた。
そこでの生活は、まさしく最悪といっても過言ではなかった。彼女は何も悪いことをしていないというのに、ただ生まれが貧しいというだけで、いじめを受けたのである。
頼みの綱である両親にもなかなか会うことが出来ず、徐々に精神を荒ませていったフォッサは、中学に上がった頃に不登校となり、スラム街に入り浸るようになった。
以後の活躍は、アベリィも知る通りである。瞬く間にスラムの東一帯を牛耳る勢力のリーダーとなった彼女は、"魔弾のフォッサ"の異名を轟かせ、裏社会のカースト上位に君臨したのである。
何事もなければ、彼女はそのまま裏社会で地位を築き上げていたのだろうが、そんなフォッサの実力を買ったユーフォリアによって時空防衛連盟に引き入れられ、現在に至る。

「その通りさ。あたしに付いてきた奴らは、みーんなここで世話になってる。しかし、まさか全員付いてくるとはねぇ……困ったもんだよ」

フォッサの舎弟も、彼女に続くようにして時空防衛連盟に戦闘員として入隊した。スラムに残る者が一定数いてもおかしくないというのに、どういう訳か全員だ。
彼女はやれやれ、といった表情を浮かべながら、煙草をもう一本飛び出す。お陰で、自分も情けないところを見せられない。ある意味では、彼らの存在が役に立っているともいえるか。
とはいえ、それまでずっと裏社会で生きてきたような連中が、表の世界へ舞い戻ることを選んだのには、はじめ驚きを隠せなかった。全く以て、人生というものは分からないものである。

「いいや、別になにもついてはいないさ。……さてと、始まったみたいだねぇ。あたしは一足先にあっちへ行ってるとするよ。あんたらも、準備が出来たらすぐに来な」

彼女はそう言い残すと、最後に吸っていた4本目のタバコの火を消し、時間遡行装置の元へと向かう。それにしても、古代か。当時の世界がどうなっているかなど、想像も付かないが、やるしかない。
既に開かれていたゲートを潜り抜け、彼女は時代を遡る。ふわふわと宙を漂うような感覚が数十秒に渡って続いた後、異常な寒さと共に、足元に重力が戻ってきた。

「おいおい、それならはじめからそう言ってくれないかねぇ。こんな薄着じゃ、風邪を引いちまう」

幸い、雪国に落ちることがなかっただけマシであるが、古代の気温の低さにフォッサは面食らう。最初からそう言ってくれれば、厚着をしてきたというのに。
だが、こちらへ来てしまった時点で、ユーフォリアがゲートを開くまでは帰ることが出来ない。彼女は潔く諦め、少し体を擦ると、敵を探して森の中を走り始める。

>(アベリィ・シルバラード)、(ランサー)
【イスマリアさんのところへ行く予定ですが、直前にもう一人来たため、配置に変更。そして勝手に北側ということに(((】

9ヶ月前 No.132

削除済み @tukuyomi07 ★3aNoMW8gGM_ly4

【記事主より削除】 ( 2018/01/07 14:13 )

9ヶ月前 No.133

ハザマ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_FR1

【グリア村/民家/ハザマ】

 さて、見事に一掃され、ハザマとクラスターを除いて焦土と化した周辺であるが。
 仮にこの場に村人が残っていたとして―――否、他の時空防衛連盟の人間が居たとして、何かが出来たのかと言われると甚だ疑問が残る。この戦闘に着いて来るための前提が、“並の人間”には著しく欠けているからだ。

「―――ほう!」

 圧倒的なまでの速度、暴力的なまでの機動性能。
 凡そ人体では成し得ないほどの、荒れ狂う嵐を彷彿とさせるその機動力。
 太陽を背にした高速飛翔からの急降下………追跡を振り切るための独特のマニューバはそれが航空機であるからこそ成し得る技であるが、それにしたところでアレは自殺紛いの機動パターンだ。であるに、それを可能にする判断力を伴わせる必要がある。それがあってこそ、はじめて直線的な速度での引き剥がしは、それを有効とするような相手に凡その戦術を成り立たせなくなるのだ。
 初動のウロボロスは三発中三発が回避、地面にめり込むようにしてそこに緑黒の鎖を残している―――それを引き戻させる猶予も与えないままに、間髪入れずにハザマの間合いへと飛び込むは鋼鉄の狂機。加えて波状攻撃による牽制の応射もあるが、実体を持たない其方の方が面倒だ。何かとひと手間かけた回避が居る分、術式だの魔法だの、それに類する非物理攻撃の処理は物理のそれよりも難しい。


「確かにただの玩具ではない。陸と来て次は空、おまけに良く喋るものと来た。
 人殺しにはうってつけのお人形だ! 標的が無くなればどうなるかは、まあ私の知ったこっちゃありませんが」


 勿論防御手段がないでもないが、“無い”と思わせておいた方がいざという時にやりやすい。
 ハザマは宙に身を躍らせたまま、地へと突き刺さり、自分の手元近くまで伸びている鎖を踏みしめた。
 衝撃と着弾するレーザーでウロボロスのアンカーは粉砕されるが、一時的にでもハザマの足場となっているだけで十分だ。そこを基点に再びアンカーを伸ばし、その鎖に乗って上へ下へと変幻自在。
 単純な機動性能で彼方が小回りの是非を見せる、それこそ技術の進歩ありきのものであるというなら、対するハザマのそれはもはや曲芸に等しい。無数に撃ち込まれた牽制射撃の全てを巧みに躱し切りながらも、毒蛇の手品と奇術は底知れず。
 かと言って、急速反転後のダメ押しとでも言わんばかりのクローアームまではそれで凌ぎようもない。あくまで奇術は奇術、手品は手品だ。それを打ち破る小細工なしの王道に絶対的な速度という力が伴えば、そんなものは机上の空論と紙屑に等しくなる。

 ………もちろん。それは、その小細工に何らかの力が伴っていないことを前提にするが。


「そりゃ耳触りが良いからでしょう! 同調圧力というヤツですね。平和、平等、自由、口にする分にはなんとも正義であるという空気が漂って来るでしょう? であるに如何なる人間も、行動のためのお題目が無ければ動けないのですよ。暗闇の中、灯り一つない中では先に進む場所の何一つも分からないようにね………。
 ちなみに私としてはそういうの、道端のクソか何かくらいには大事だと思っていますが、如何ですか? と」

「さあ、て。善行結構ォ―――タイプは違えど、この手の機械人形遊びは初めてではない。
 見せて貰おうじゃありませんか、貴方の全てを晒して解して片して砕いてねェ」


 クローアームの十本のうち、八本はハザマの肉体を貫かない―――貫けない。
 曲芸じみた移動の最中に張っていたウロボロスの防壁だ。
 もちろん、方向転換の加速と単純な狂機クラスターの質量という、物理学における破壊力の基礎を万全に抑えた攻撃を凌ぎ切れるほどウロボロスは頑強ではない。相殺出来て三………否、二秒保つならば上等といったところか。
 ただし、それだけ保つならば十分だ。何の問題もない。
 そして残る二本はウロボロスによる防御の死角を射貫いて迫り、しかしそこで青白い光壁に阻まれて止まる。
 術式防御《オーラガード》………彼方の技術をハザマが万全には知らないように、彼方が一切知らないだろうハザマの世界の産物だ。魔素を転換した守護の力場、所謂障壁。単純な戦闘技術として見るならば、ハザマの世界においては基礎と言えた。
 ただし、基礎とはいえ彼は器、その大元は荒ぶる素戔嗚の御魂。それが展開した防壁を貫くのにも一瞬とは行かず―――。

「―――ヒャッハァッ!」

 再び展開したウロボロスの鎖を踏みしめるようにしながら、身を翻してまた跳躍。
 その最中に何処から仕込んでいたのか、視界の視覚から紛れ込むように投擲された白刃が三発。
 両翼と機首(正確には頭部?)を狙ったそれは飛行能力と急所狙いのそれであると同時に、しかしあくまでも“回避の序でにとりあえず撃った”程度のものでしかない。要は当たればいいが、当たらなくてもどうでもいい程度のものだ。

 本命は再び距離を取った上での、先程のそれより遥かに数を増した毒蛇縛鎖の弾幕。
   、   、   、   、   、  、 マインドイーター
 3発のみならず8発、さながら八岐大蛇もかくやの精神喰いたちが空を切って再度クラスターを襲う。
 今度は左方と右方から挟み込むように広げられ、さながら上方か下方のどちらかに追い込むかの如く。
 先程の機動であるならば、場合によっては下方からも逃げ道は作れるだろうが―――激突の危険を孕む以上、その高速機動が“日和るかどうか”を見るにはうってつけだ。もちろん、それ以前の問題として着弾した場合の手傷は語るでもない。

 そして、地面には着地しないまま、再び距離を取る。
 先程のミサイルのような広範囲攻撃となると、またぞろ大仰な回避を取る必要がある。
 少なくとも、そう思わせておいた方が楽だし―――半分は事実である以上、テロじみた兵装ばかり備えたこの狂機相手には存外空中戦を仕掛けていた方がハザマにとっては楽だった。あとは回避の癖と動きの特徴さえ判断が付くかどうか、というところか。

「(しかし困ったものだ、戦闘は可能な限り避けたいんですが)」

「(その上でコレは当たりかハズレか………ツボは本命含めて把握しましたが、まだ分からずじまい。まあいい、適度にやっていくとしましょ。真っ当な相手に回すと実に面倒なタイプですしね!)」

 ―――その上で、さて自分の目的に沿う相手なのかどうか。

 糸のように細い彼の瞳が、狂機を見定めるように見つめている。
 そうでなくともこれは鬼手だ、暫くは付き纏っておかないと面倒なことにもなる。
 なにしろ空を舞えぬ者にぶつければ最後、もはや蹂躙しかあるまい。
 一方的な蹂躙と虐殺で、自分の望みを得る機会をすり減らされてもそれはそれで困るのだから。

>Cluster、(ALL)

9ヶ月前 No.134

イスマリア @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4

【 ナコーン/森林/イスマリア・ザルヴァトール 】

「外道」

 向けられた処刑宣言と共に放たれる刃の如し威圧。溢れ出る嫌悪感を剥き出しにし背後へ向けて向き直る。
 鋼のような男だった。一部の無駄も無い肉体美<ライン>はその全てが戦うためだけに研がれたナイフのように。
 いや、ナイフと呼ぶこともおこがましい。刀だ。何層にも折り重ねられ鍛錬を繰り返された一本の刃。
 敵陣へ向けて果敢に切り込みにかかれば、その陣形を一度に崩し蹂躙する猛竜のような――そんな男。

 出来る、と判断する。戦士の中では上等。それこそ実力だけでいけば将の椅子に届き得る実力を誇るだろうか。
 あたら一般兵をぶつけたところで無駄な消耗だ。相手の体力の消費にもなりはしない。
 この当時の衣装でないことから、恐らくは時空防衛連盟の、それも……時間遡行装置が生み出した歪が呼び寄せた異なる世界の者か。

 何れにせよ――。

 ・・・・・・・・・・・・・・・
「不要なものを一か所に集めて捨てる。
 これの何処に糾弾されるべき内容があるかは分かりかねますが」

 イスマリアの声音に一切変化はない。
 村を襲って一々一人ずつ殺していくより、一か所に追い立て集めてから殺す方が効率的である。
 ちり取りで一か所に集めて纏めて捨てる方が掃除には効率がいい。
 彼女の顔には、当たり前のことを最短かつ最も効率的に実行した――そこの間違いは何処にあるという疑問が浮かんでいる。

 前へ出ようとした兵士を押しとどめ、後方警戒に当たらせる。
 此処に寄せ集めた住民は全て焼却処分が完了した。残るはヒトの形を辛うじて保っている炭人形か、さもなくば灰か。
 少なくとも徹底的に焼き尽くした。
 人肉の脂が燃える臭いが立ち込めるその戦場は、慣れぬ者であれば酸っぱいものがこみあげてもおかしくはない。
 だがイスマリアは何も感じない。歓喜も嘲笑も怒りも侮蔑も哀悼も何も何も何も。

 男と相対する。
 背に背負う太刀を腰に付け替える。ベルト式で固定される刃。未来にて開発された運びやすさを重視した一刀。
 抜刀。自身の身長程はあるであろう、白銀色の太刀がその身を晒した。煌く紅蓮がゆらりと刀身でゆらめいている。

「それとも。
 ……ああ、成る程。そういうわけですか。
 ねぇ、あなた。もしや、――一般市民だから無条件に戦争からは守られなければならないと思っているのでしょうか」

 淡々と告げる。
 淡々と、淡々と語る。
 緩急も上下もそこには一切ありはしない。
 当然の疑問を理解しているからこそ、当然の怒りを理解しているからこそ、その感情を前に反響するように告げる。

「何故、一般人と軍人に優劣があるのでしょうか。
 何故戦うべきものと戦わぬ者の二つがいるのでしょうか。
 私は昔から、――そこに区別を付ける戦士という人種が理解出来ないのです」

 男にぶつけたところで、待っているのは無駄な浪費。
 であれば他の殲滅に当たらせた方がいい。

 ――そうして散開指示を出そうとした矢先、後方で兵士達の悲鳴が聞こえた。
   興味はない。だが状況確認のために流し目で見やれば、そこにいたのは軍服の男と奇妙な生物。
   回転する剣の嵐に揉まれ、逃げようとした兵士は勿論応戦する兵士も纏めて薙ぎ払われ散ってゆく。
   そして新たに現れた者の手によって数少ない……それこそ追い立てられずに済んだ村人は逃がされた。

「……。
 ……ああ、援軍ですか」

 一旦飛びのくようにして距離を取り、二人の姿を視界に入れる。
 両者――否、三者三様に臨戦態勢に入っており現時点ではこちらが圧倒的に不利。
 即興でも連携を取られれば、数の不利とは厄介この上ない。

 片や――大剣使いのギギナ。
 片や――仲魔を従えたライドウ。

「お構いなく。何れは私は地獄へ落ちる身。
 世からみれば悪逆非道の悪鬼羅刹。糾弾されて然るべき身だ。
 でも、私は――構わない。私の屍の先にも、私が血の池で溺れ紅蓮で炙られ肉を引き裂かれ針で貫かれ続けようとも」

 出し惜しみをしている場合ではない、――真打は絡繰りに気づかれれば一発で終わる。
 刀に稲妻が迸る。目を閉じ己の異能<デュナミス>を開花させ、黒い電光を身に纏う。

「私の屍を超えて、より良き未来へ是正する者は現れる。
 そのために死ねるというのなら、本望ですよ」

 それは彼女に仇成す全てを撃ち抜き焼き焦がす神の雷霆。視る者を焼け触れる者を焼け驕る者を焼け!
 黒い稲光は両の手に集う。光。光。光……。

 Donner fallt
「黒狗よ招来せん――」

 彼女に纏わりつく黒い稲妻が――吠え猛るように荒れ狂った。

 、 Blitz Schwarz
「黒雷よ、果てより来たれ」

 見開かれる目と共に叫ばれる術式。
 祝詞<エンゲージ>と同時に、充填されていた黒い稲妻がライドウとフツヌシ、そしてギギナへ向けて撃ち放たれる。
 走る走る走る、稲妻が。それはさながら、獲物を喰らう猟犬のように。狙いを定めてその喉元を噛みちぎらんと。
 黒い稲妻は不規則な軌道を描きながら、縦横無尽に駆け回るように、しかし最終的には三者へ着弾するように迫りゆく。

 生体電流を増幅し放つ稲妻に既存の物理法則は通用しない。
 たとえ逃げようとも、「着弾させる」というイスマリアの意志が続く限りは追跡を続ける。

>ギギナ 17代目葛葉ライドウ

9ヶ月前 No.135

獅子心 @zero45 ★h2BOlEz4kD_FR1


【時空防衛連盟本部→移動/資料室→移動/レオンハルト・ローゼンクランツ】

 "魔道帝国の盛衰"。彼女が手に取った分厚い歴史書は、その題名が示す通りに魔道帝国の歴史を綴った物だ。ブールーン民主共和国がクーデターによって滅亡を迎え、魔道帝国が建国される"BC264年"から、帝国が崩壊を迎える"BC254年"までの10年間を書き記した物。
 たかが10年とは思うかもしれないが、その10年は激動に満ち足りている時代。当時起きた出来事は多々に渡り、脚色を交えながらもその大半をこの一冊に集約させている。
 3時間と言う時間で読破するには厳しい部分もあるが、彼女の優れた知識を以てすれば、既知の部分を飛ばして何とか最後まで読み進められる事が出来る事だろう。

「遠い未来に生きる、名も知れぬ誰か。俺はそんな彼等の心に残る様な者に……」

 静寂に満ちた空間。時折響くは、頁を捲る音だけ。自分の本と、彼女の本。二つの音だけが支配するこの時間は、静的でありながらも、満ち足りた感覚へと浸らせる不思議な魔力を宿していた。
 そんな最中にふと零れた彼女の言葉。時代を経ても一部の者達からは忘れられる事の無い、本と言う古い文化に対する物か。本の中で生き続ける人々へ向けてか。或いはその両方だろうか。どちらにせよ、彼はその言葉に激しく同意する。
 そして彼が零すは、昔から抱き続けた夢の事。幼い頃から憧れ続けて来た英雄の様に。自分もまた、遠い未来に生きる者達にとっての憧憬となる者として在り続けたいと願う。

「……そろそろ時間ですね。俺は本を片付けてから装置に向かいます」

 ゆっくりと動き続けた時間。その終着を告げるかの様に、時計は作戦開始20分前を示していた。本を入れた紙袋を抱えて席を立つと、彼女にそう告げて自室へと向かう。自室の本棚へと仕舞いこんだ後は、武器庫でいつもの武器を持ち出し、装置の下へと向かう。
 其処に開かれたゲート。ユーフォリアに続く形で突入した彼は、複数の兵士を率いて次なる場所へと降り立つ――

【移動→ナコーン/移動→酒場】

 ナコーンの中心街に置かれた酒場。嘗ては果樹園で収穫された葡萄を元に作り出された絶品の赤ワインを求め、多くの観光客が訪れた場所。しかし紛争の影響を受けて以来、観光客は姿を消しており、すっかり廃れた様子が目に映る。
 門を越えた先に辿り着いた地、そこは酒場の入口前であった。兵士達を警戒に当たらせつつ、端末に表示された地図を確認して現在地を確かめるレオンハルト。此処が"ナコーン"である事を把握した彼は、端末を仕舞うと、背負った大剣を構えて兵士達と共に突き進む。
 豪快に剣を振り回し、市民を襲う魔道帝国兵を次々と薙ぎ倒して行く様は荒ぶる鬼神の如く。率いる兵士もまた、彼には及ばずとも相応の働きを見せ、街中の帝国兵の数々を少しずつ減らして行く。

「歴史是正機構が相手だろうと帝国が相手だろうと構いはしねえ。臆さぬ心の持ち主からかかって来い!」

 戦場にて目覚めた戦士は吠える。歴史是正機構の者を、魔道帝国の者を挑発して集まった所を、一気に殲滅する為に。

>ALL (シフォン・ヴァンディール)


【2章が始まったので一旦此処で絡みを切ります。お相手ありがとうございました!】

9ヶ月前 No.136

亡国の末裔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ナコーン/市場/ソレミア・ラガルデール】

魔道帝国の者は、人間としての心を持ち合わせていない。目の前で繰り広げられるのは、無抵抗の市民に対する虐殺、蹂躙。そうして死んでいった人々は弔われることもなく、ライフゴーレムの糧として利用される。
人の尊厳もへったくれもない、最低最悪の行為だ。惨殺された市民達の亡骸を前に、やり切れない気持ちを抱きながらも、ソレミアは一人でも多くの命を救うため、先へ進む。
あちこちで火の手が上がり、煙が充満するナコーン市街。帝国は、従わぬ者に容赦はしない。たとえ誰であろうと、その方針に逆らう者は、皆殺しにする。
彼らが世界の覇権を握った時にもたらされるのは、第一人種が第二人種を一生奴隷と扱う地獄だ。そんなことが、許されるはずがない。救うのだ。それが、ラガルデールの末裔としての使命。

立ち塞がる帝国兵を薙ぎ倒し、市場の丁度中心に辿り着いた時、不意に敵兵が左右へ捌けた。次の瞬間、敵陣の奥深くから、超高速で飛来してくる二対の針。
それを目視したソレミアは、地中の金属によって防壁を生成しようとするが、突然二人の間に割って入った女性が噴出させた土砂が、攻撃を受け止めた。
勢いを失った針は、力なく地面へと転がる。その瞬間、ソレミアはこの女性も同じ反帝国勢力の人間であると確信した。自己紹介をしている場合ではないが、今はとにかくありがたい。

「助太刀、感謝するわ。どういう訳か、私はあの人に恨まれているようね」

あの表情は、紛れもなく憎悪から来るものだ。ソレミアは彼女と話したことも、会ったこともないのだが、いつの間にか一方的な恨みを買ってしまっているらしい。
ソレミアも勿論、ラガルデール王家に仕えた重鎮、コルーカル家の存在は知っている。だが、生後間もない彼女は、それがどういった人間達であるのかまでは知り得なかった。
恐らく、姉のプーリッシュであれば、相手が誰であるのかを瞬時に察知したのだろう。しかし、ここにいるのは妹。敵の女性を襲った悲惨な運命に、彼女が気付くはずもない。
とはいえ、あの女性が倒すべき相手であることに変わりはなく、ソレミアは地中から金を集めて右手に黄金の剣を錬成すると、地面を蹴って一瞬で間合いを詰め、敵に斬りかかっていく。

>カシュタン・コルーカル、ショコラ・ヴァンディール

9ヶ月前 No.137

ワーロック @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_FR1

【ナコーン/中心街/ワーロック】

 着弾、ナシ。戻って来る腕部を再接合しながら、感覚にもセンサーにも影響がないことを認識する。
 煙が晴れる中、着弾点の周辺を確認するよりも早く、白い闇を抜けて閃光が散った―――爆風を諸共利用して跳躍し、一気に上を取るそれはワーロックが標的としていた“稲妻”だ。煙の中より掻い潜っての近接戦闘を仕掛けるでもなく、むしろ奇襲への反撃というチャンスを自分から潰して来るセオリーの放棄は、されどもただ型破りなだけというわけではない。
 爆風を利用した推進力の確保と跳躍による奇襲ではなく堂々とした強襲………一瞬のラグさえ無く行動を可能とする雷電もかくやの反応速度。
 正面から躊躇うことなく突っ切って打撃を叩き込もうとしたのならば、容赦のないワーロックの“飛び道具”という無情な洗礼が待っていただけに、その機動は適解だ。
 身体性能に優れているだけではない。単純に、あの異能力と思わしき稲妻の効力がズバ抜けているというわけでもない。正確にはあの二つも相応のものであるだろうが、それを為せるのはただ只管に戦いという行為全体に対する巧さだ。
 天性の才能がある、経験かはさておき、虫の知らせもかくやの戦闘における“勘”がある。得てしてこのような存在はデータでは図り難いタイプ。狩り辛いとも言えるが………であるならば、狩るための詰めをワーロックは怠らない。
 一挙に逆転した状況。アンリエットが上、ワーロックが下………雲まで届こうという稲妻の崩襲、降臨する時を今か今かと待ち望む赫雷の女傑。風と静電気に揺られて逆立つ銀の髪は美しさよりも、その荒い口調と合わさって何処か気高さと勇ましさをまず彷彿とさせた。

 稲妻が失墜《おち》る。
 であるに、ワーロックはそれを真っ向から受け止め―――


「―――イミテーション」
「タイプβ」


 ―――る、阿呆ならば。その一瞬で勝敗は決していたに違いない。


 彼女の戦術が堂々とした王道のそれならば、ワーロックのそれは控えめに言って姑息でもあった。
 言葉を大きくかみ砕いてしまえば“事故待ち”。
 より悪意ある言い方をするなら“受けが悪い”。
 そんな言葉が当て嵌まるような、合理と効率に基づいた機械的かつ無機的な、しかして戦争の殺戮兵器としては最も適切であろう戦闘スタイル。打ち砕く銀の迅雷を真っ当に受け止めるリスクを、まず躊躇うことなく排斥しに掛かった。

 ………何をしたのか? 答えは単純だ。

 そう、ワーロックが増殖する。

 質量を持つ分身、エネルギーによって形成されたワーロックのデッドコピー。
 イミテーション
 模倣体とはなるほど良く言ったもので、それを自身の居たところに出現させたかと思えば、コンマ1秒の躊躇いすら見せずに全力で後退したのだ。余波でさえ相応のダメージが算出される迅雷を、まさか行動できる状態でまともに受けるつもりはない。
 全霊での後退を仕掛けながら、機体に内蔵されたガトリングガンの機関砲がイミテーションの立つポジションに狙いを定める。デッドコピーであるワーロックは2機分、武装部分への再現エネルギーをカットしたが故に反撃は徒手空拳以外には出来ないし、そもそも降って来るアンリエットに対して拳を合わせるような真似は流石に出来ない。

 ―――ゆえに、雷電炸裂。

 稲光と閃光、その実態は“ただの打撃”だ。
 撃ち貫ける拳は分類としては打撃のそれであるが、齎す効果は爆撃に等しい。
 ワーロックの打ち込んだロケットパンチの三倍は軽く越える広範囲を爆雷で焼き払い、計算通りに余波でワーロックの内部機器にもダメージが入る―――幸いなのは、全力後退の甲斐あって装甲部分には然したるダメージが通っていないことか。
 当たり前だが、クッション代わりとして展開されたワーロックのイミテーションはもはや紙屑のように木っ端微塵だ。元よりデッドコピー、エネルギーとのコストパフォーマンスが良好な代わりに、あんな暴力を凌ぎ切れる耐久性は持っていない。

 獣のそれをすぐに感じ取らせるが、
 彼女をより正確に捉えるならばやはりその気質と相まって文字通りの稲妻、災害だろう―――もう一度繰り返すが、直撃が齎す結果がワーロックの機体損傷程度で留まっていたとは思えない。


「損傷………軽微」


 ただし………距離を取れるならば十分。
 アンリエットが空より着弾するのに合わせて、その落下地点………イミテーションが爆砕した地点目掛けて、機器へのダメージコントロールをしながらも躊躇うことなく機関砲の暴威を炸裂させた。
 空から来たるものが落雷というならば、こちらは横殴りに叩き付ける鉄の焔。
 戦場に荒れ狂う暴風だ。
 秒間三桁もかくやの鉄の弾丸、広域を覆い尽くす弾幕を、まさか正面突破するというならば望むところ。それこそ、ワーロックの得意距離に踏み込む愚行だ。戦闘を真っ当にやっているならば、“引き撃ち”の一言でカタが付く状況であることも変わりはない。


「標的警戒度の上昇。優先順位、継続………」
「優先攻撃目標への合致を認めず。されども甚だ脅威と認識、戦闘を継続する………」


 狙いとは違う。彼の狙いは、あくまでも“効率よく人間を滅ぼす”ことに特化している。
 そこを踏まえてアンリエットは尖兵だ、彼の優先攻撃目標とその荒ぶる気質は合致せず。
 されども、警戒順位で行けば相当なものだろう。
 ―――ワーロックのカメラアイが、遠距離からの制圧射撃に合わせて光る。この存在はデータでは測れまいという確信は、警戒レベルを押し上げるには十分だった。
 、   、  、  ・・・・・・・・・・・・
 機械でも、人間でも。分からないものは恐ろしいのだ。


>アンリエット・エクレール

9ヶ月前 No.138

贖罪の山羊 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【絡みよろしくお願いいたしますね。とんでもないクズ山羊さん】

【歴史是正機構→ナコーン/→酒場/ミルグラム・ゴート】
 なんだこりゃあ。
 古代の生き証人、ミルグラム・ゴートはため息をはく。
 ギリダンの様子を見たが、介入し過ぎだとじとりと、上がやった事に思わず困惑した。
 これやり過ぎだろう。
 不自然極まりない、小細工を仕掛けるミルグラムからすればもう少し自然な感じで発展したように書き換えればいいのに、次の時代神が与えしみたいな感じに語り継がれるだろうと悪態をつき雪を踏む音を立て廃墟へと向かう。
 ここの赤ワイン旨かったよなと、遠い昔を思い出すといた。
 そして、現在は道端に寝伏す酒樽観光が名物になったようである。
 帝国兵の赤葡萄を次々に潰して突き進む黒き猛将が吼える。
 嫌いなタイプだとミルグラムは直感した、絶望を他者のせいにせず自分の力でねじ伏せる人間。
 不愉快だと舌打ちをしつつもその名乗りに答えた。
「立派、立派だな。お前みたいな人間嫌いなんだよ」
 顔をしかめてそう宣言すると、蹄先からどろどろと黒い塊が複数涌き出てきた。
 姿は様々だった、山羊、猫、武装した人間、村人、果てには王に仕えていそうな姿をした政治家まで、ずらりと列を成す。
 黒い影の正体は冤罪の亡霊。
 自分のせいにされてこの世から棄てられた成れの果て。
 怨嗟を災禍となって晴らす、祟りを具現化あるいは擬人化させたのがこの黒い軍団であった。
「お前達、やれ」
 静かに冷たく感情籠っていない声で指揮を取ると、勇ましい軍人達に黒い軍団を向かわせる。
 傷負えば祟りの毒によって苦しみながら息絶えるといい。
 攻撃した理由は、相手の猛将ぶりからくる苛立ちの八つ当たりなのだが。
>レオンハート

9ヶ月前 No.139

Lzh @lllllzh☆PvKD6UICUoMc ★TuwsMa7hHI_W3T

【ナコーン/中心街に移動中→森林/桐生戦兎】

「……ん?」
喧騒のもとに行っている途中、何かに気づいた。
自分の進行方向とは別方向に逃げていくものたちの姿が見えたのだ。

「タダごとじゃないな……まずはこっちからだ」
マシンビルダーを止め、進むべき方向を探す。
察したのちマシンビルダーの向きを変え、再びアクセルを踏む。

――――しばらく飛ばすと、こちら側の人間と敵方が戦ってるのが見えた。

「ふっ!」
早く駆けつけるため、マシンビルダーのスピードを上げる。
するとさせまいとばかりに敵の雑兵が銃火器を戦兎にむけ、今にも撃たんとした。

そうはさせない。
仮面ライタービルドの武器のひとつ『ドリルクラッシャー』それのガンモードを使い、雑兵を蹴散らしてゆく。

キキィィ――――ッ

勢いよくマシンビルダーを止め、降りる。
そして、敵の大将とおぼしき者の背後から、啖呵を切った。

「さっき人が逃げていくのが見えた……やったのは、お前か?」

>イスマリア・ザルヴァトールおよび周辺all

【雑兵への確定がナシだった場合修正します】

9ヶ月前 No.140

ギギナ @koki☆iOEaToagbI2 ★P24UIEe7ZZ_UxJ

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9ヶ月前 No.141

貴族将軍 @kyouzin ★XC6leNwSoH_UxJ

【ナコーン/市場/カシュタン・コルーカル】

憎きラガルデールの怨敵に向けて投擲された二本の巨大な針は突如真下から吹き上がった土や砂に煽られる形で勢いを大きく落とし、失速して地面に落ちた。
当然、気候が現代とは大きく違う古代においても、こんな自然現象は発生し得ない、となれば……能力者の増援か。
ぎろりとカシュタンは自分とあの怨敵の間に割って入ってきた女を睨み付け、苛立ちを現すように自身の、既にぼろぼろな爪を噛む。

その間にもカシュタンは「っーー!!」と表現できるような唸り声をあげており、彼女の容姿と合わせてかなり不気味だ。
一般人? 一般人だと? そいつが? 平和ボケするのもいい加減にしろよ田舎者が。

内心そのようにカシュタンは毒づき、今度は一本の、まるで槍のような巨大針を生成して構えて言った。

「一般、市民? なた、貴方貴方! なにを、何をくだらない! そいつは、そのクソアマは、ラガルデールの王族、私は、私が殺さなくちゃあいけない、絶対悪!!」

レディ? これはそんな物ではない、自分の国がありながら、民も臣下も見捨てて逃げ出したラガルデールの王族だ、悪魔だ。
人の皮を被った化け物、カシュタンからすればソレミアはそのように見えている、だから自分の手で必ず殺すと今決意した。

その間にもカシュタンは落ち着きが無いのか、生成した針を地面につきたてぐりぐりと地面を穿りながらも、ブツブツと何か、独り言未満の酷く聞き取り辛い呪詛を並べ立てている。
さらに、あれほどのことをしたと言うのに、このラガルデールの王族は、相手が、自分の親が見捨てた家の娘だとも気づいていない。 実に実に実に不愉快だ。

あの女が黄金の手を片手に間合いを詰めてくる、接近戦をやるつもりなら付き合ってやる。
カシュタンは素早く巨大針で、振られた黄金の剣を受け止めて見せる。 貧弱な見た目と違って、強度は十分にあるようで、黄金の剣を確かに受け止めていた。

その間に部下達が射撃攻撃をソレミアに浴びせようとするが、それをカシュタンは制止する。

「お前達は手を出すな!! コイツ、この女、人類全ての悪の権化、たる。 コイツ、だけ、は。 私が、コルーカル家のカシュタンが嬲り殺しにしてやる!!」

その宣言を聞くと、彼女の配下の間では一瞬の迷いが生まれたが、最終的に敬礼を行ったかと思うと、一気にナコーンの各地に散る。
そうだ、それでいい。 自分がコイツらを殺す間に、お前達は屑共を皆殺しにして来ればいい、それが最も効率的だ。

カシュタンは部下が退いたのを見届けると、一気に巨大針に力を込めて、敵の攻撃を弾いて、素早く後方に下がったかと思うと、あれほどの強度を持っていた巨大針をパキンと二つに折って見せた。
そして、それを宙に放り投げたかと思うと、二つの針は一瞬の内に、無数の小さな針に分裂した。

一瞬の間を置いて、カシュタンが軽く腕を振るえば、その無数の針は一斉に、敵対者である二人に襲い掛かった。

>ソレミア・ラガルデール ショコラ・ヴァンディール

9ヶ月前 No.142

リインカーネーション @genomirai ★z8IID1mzG7_ly4

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9ヶ月前 No.143

葛葉の一枚看板 @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_7FY

【ナコーン/森林/17代目葛葉 ライドウ】

「フン、ならば是非もない、此処で死ね”人形”、ただ死ね、悔いを残して死ね。貴様の断末魔を以て死んだ村人の鎮魂歌とする」

『それに貴様らは間違えちょる、その間違いに気づかぬ限り貴様の言う良き未来など永劫に到達できぬよ』

秘剣ヒノカグツチの切っ先をイズマリアに向けてライドウはそう宣言する。
フツヌシは言う、道を間違えている限り良き未来など永劫に到達できぬと、人間が変えていいのは現在と未来だけだ。
過去を変えてしまおうという安直な発想に縋った時点で良き未来になど到達できない。
今を必死に生きるからこそ未来が生まれるのだ、過去を変えようなど愚の骨頂、思考と行動を放棄した愚行に過ぎないとライドウとその仲魔は断じている。
だからこそライドウはイスマリアに人形という言葉を送った、未来の為なら地獄に落ちてもいいと言い、部下の死にも眉一つ動かさない、人形じゃなければ盲目な狂信者の類だ。

「そこの貴様、お前に合わせてやるから好きに暴れるがいい」

イスマリアにとって都合の悪いことにライドウは連携の道を選んだ、デビルサマナーとは一人で戦う者に非ず、力を合わせて戦う者だ。
どんな仲間や悪魔とも息を合わせて共に戦うのがデビルサマナーだ、しかして仲間に頼るだけが能じゃない。

「散らせ、フツヌシ!」

『応よ!』

フツヌシは剣を呼び戻して幾重にも束ねて高速回転させることでライドウとフツヌシに着弾するはずだった黒雷を散らした。
この雷はただの雷ではない、仮に雷属性を吸収無効化する仲魔を呼んだところで性質が違うので役には立たないだろう。
だからフツヌシに防御させた、まだ敵には悪魔の二体同時使役を見せていない以上なるべく手札は隠しておきたいところだ。
黒雷の威力はある程度察した、マグネタイトを纏った剣ならば散らすことは不可能ではないと判断。

「破ァ!」

ギギナの背後に迫る黒雷を緑色のエネルギーを纏った刀が切り裂く、思った通りだ、この退魔刀である秘剣ヒノカグツチであれば不可能ではない。
そして左手でホルスターのリボルバー拳銃、コルトライトニングを引き抜き六発分発砲する。それぞれ眉間、心臓、腹部に二発ずつ狙いを定めて撃った。
銃弾は重力による加圧を施した”加重弾”だ、普通のマグナム弾とは訳が違う対悪魔用の弾丸、生半可な刀で受けようとすれば刀が圧し折れる威力だ。
器用に片手で排莢しながらも新たに加わった名も知らぬバイク乗りにライドウは顔を向けることなく告げる。

「全てはこの女の仕業だ、そこで焼かれた屍は全てこの女と部下がやったものだ」

>イスマリア・ザルヴァトール、ギギナ、桐生戦兎、ALL

9ヶ月前 No.144

血に飢えた玉兎 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ナコーン/果樹園/雪葉】

りんごやぶどうがたわわに実るはずであった果樹園の木々は、魔道帝国の面々によって荒らされ尽くし、地面には踏み潰されたと思しき果実が無数に散乱している。
この地へと攻め入った魔道帝国軍は現在、一人の少女によって蹂躙されていた。まるで、自分達が果樹園に対してしたことの、意趣返しをされているかのように。
敵の中心で荒れ狂うその様は、まさしく救国の英雄といったところか。徒党を組んだところで、この実力差は埋め難く、兵士に果たせる役目は、脇役として吹き飛ばされ、殺されることのみ。

「随分派手にやってますねぇ〜。私には気付いてないみたいですけど」

そんな少女の様子を、木陰から伺っている人影が一つ。ウェーブの掛かった青色のミディアムヘアに、何よりも頭から生えた兎耳が特徴的な、ブレザー姿の少女。
彼女の名前は、雪葉。歴史是正機構に与する者の一人だ。今回彼女は、お上からの命令を受けて古代へやって来たのだが、まあとにかく寒い。寒すぎる。
さっさと任務を終わらせて帰りたいところなのだが、反帝国勢力とやらもなかなか粘っているようで、まだ確固たる戦果を挙げられている区域はないようだ。
恐らく、時空防衛連盟が彼らに合流を果たしているというのも大きいのだろう。誰かの協力を得でもしなければ、ここまで長い間持ち堪えるなんてことがあるはずもない。
今目の前で暴れている少女は……服装からして時空防衛連盟か。どう見ても古代、という服装ではないし、雰囲気からしてもっと先の時代の人間であるように感じる。
とはいえ、結局彼女は自分が殺すのだから、どちらであろうと構わないのだが。雪葉の持つ、「気配を消す程度の能力」は、周辺の人間全員に作用し、帝国軍ですらもその存在を認識していない。

「ずうっと見ているだけっていうのも飽きますねえ。ちょっと、驚かせてやるとしましょうか」

雪葉は不敵にそう呟いたかと思うと、右手に持っていたブラスターを構え、その引き金を引く。刹那、圧縮された弾幕が、レーザーと化し、一直線に少女の元へと飛来していった。
相手が手慣れであれば、攻撃が迫ってくる時の僅かな空間の乱れを感じ取って、攻撃を躱すことが出来るはず。そうじゃなかった場合は、頭を柘榴のように叩き割られておしまい。
どちらにせよ、雪葉はその光景を楽しむことだろう。誰にも気付かれず、悟られず。一方的にこちらが敵を認識した状態で戦うというのは、至高の楽しさなのだから。

>蓼科祈

9ヶ月前 No.145

リインカーネーション @genomirai ★z8IID1mzG7_ly4

【城塞都市ギリタン→ナコーン/正門→森林/魔大老エスト】


侵攻がこの地に及んでないことを確認した彼女は記録書を開き、その中の一つの頁をなぞる。遠視の魔術、千里眼とも例えられるそれを駆使して戦線の状況を探る。
城塞都市にまで攻められるほど押されてはいないが、ロンカ村を攻める拠点になりえる場所は多く攻め込まれている。歴史是正機構とやらも奮戦しているが、全体的に見て物量は反帝国勢力が時空防衛連盟の支援を得てか勝っている。
戦況は決して良くはない、仮に全ての戦線が崩壊したとしてもこの正門で受け止める自信はあるが……この城塞都市に残っている将軍は多くはない。どれだけ万全であろうとも必ず崩れる隙はできるもの。
ならば少し手助けをする必要があると見た、敵すら見えぬ地で防衛を続けるよりも前線に出て脅威を減らした方が良いだろう。出来る限り、人的被害が出ない土地が望ましい、丁度数的不利に追い込まれている森林地帯がある。近場にも敵が潜んでいる為、救援が必要だろう。

「うーん?攻めるのは不得手だが……協力者を見殺しにするのも寝覚めが悪い、この城塞都市への侵攻もまだと見る。では……向かうとするか。」

再び頁を捲りその一つをまたなぞる、すると彼女の姿は影も形もなく消え失せる。残された特製のゴーレムたちは主なくとも正門を守る為その身を固める、この城塞都市の将軍に防衛を託した彼女は救援へと向かう。

―――――――――――

森林上空に姿を現す彼女は再び戦況を確認する、成程とこの地が激戦の理由を把握した。虐殺、そう呼べる行為が行われれば善なる心を持つものはその元凶を討たんとするだろう。
そうしたものに加勢をするのは気が進まぬ彼女ではあるが、協力者を見殺しにするのとどちらが気が進まぬと問われれば後者だ。ならばと再び彼女は頁をなぞる、此度は一つではなく三つ同時にだ。

「うーん?まあ立場相応に名乗ろうか。我が名は魔大老エスト、女帝の命によって帝国を脅かす外敵を排除する為、ここに推参する。」

一つ、発現した魔術は屍者を操作するもの。一山に詰まれ、炎によって黒炭へと化した人間であったモノ。感傷こそあれど帝国を脅かすものの盾となってもらおう。
悪魔使いから放たれた弾丸を身を挺して守る人であったモノ、強大な威力の弾丸によって身体は砕け散るがそれを数で押し留める。
大剣使いが放つ斬撃に割り込む人の形をしたモノ、そのままでは断ち切られる為骨を帷子状に拡散させそれを受け止める。
協力者である黒雷を纏う女性を守るために積まれた死体の山は消費した、特に近接を挑んだ大剣使いの隙は大きく女性が的確な反撃を加えるだろう。
二つ、発現した魔術は大地を操作するもの。小規模なものではあるが地面の崩落を引き起こすそれ、狙いは遠距離にて攻撃を行っていた悪魔使いの足元へと発生する。地面が消失するのではなく、徐々に沈下する蟻地獄に似たそれを空中に逃げる以外に回避するのは難しいだろう。
三つ、発現した魔術は氷槍を生成するもの。当たれば致命傷、外れようとも砕けた破片で確実に傷を負わせるそれを数にして十二。この場に敵対する悪魔使い、大剣使い双方に五つずつ、そして新たに現れた様子の鉄馬に跨っていた男性に二つを投射する。
丁寧に一本のみ追尾するように操作しており、他を避けようとも掠り傷程度は狙えるようにしてある。尤も操作と言えども三つ同時に命中など狙えば労力に見合わないため、精々当たりやすくする程度にとどめてある。
その魔術三つを同時に使用した後に着地する、これだけの妨害をしていれば着地間際を狙われることもない。近接戦も出来ない事はないが身体の崩壊が早まるので出来る限り避けたい、しかし魔術ばかりでは魔力が持たないのも確か。
この程度ならもう一度使用できるが、それ以上使うとなれば魔具の使用も視野に入れなければならない。とここまで分析した後、仮にも共闘する相手に声すらかけてない事に気付いた。

「あー、うーん?まあ魔道帝国からの援軍だ、よく数的不利で持ち堪えていたな。援護は任せて好きなように、……いやこちらが合わせる。」

この場に現れた理由は最も数的に不利であったからなのだが、この女性はきっとこの状況であってもどうにかできた。それだけの力量があると見た、であれば命令するよりも此方が合わせた方が効率的だろう。
一先ずは白紙に戻せたであろう戦場を眺めて、その酷さにため息もつきたくなる。人も森も焼けている、どれだけ派手な戦闘をここでしていたのだろうか。まあ人に関してはこの女性がやったのだろうが、思惑があったという事にしておこう。
さて、女帝の命を受けたこの老いぼれ一人。未だ数では不利なれど、勝機は既に欠片しか残っていない事に気付くが良い。
魔大老エスト、複数戦においてはその実力の倍以上を発揮する。さあ、帝国を脅かす反逆者よ、その一切を吹き飛ばそうではないか。

>>イスマリア・ザルヴァトール 桐生戦兎 17代目葛葉ライドウ ギギナ


【敵側のバランスの為に乱入させて頂くで候】

9ヶ月前 No.146

麗人? @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【ナコーン/市場/ショコラ・ヴァンディール】

ギロリとねめつける暗い目、文字に起こすのも難しい唸り声。おまけに噛み続けた影響か爪も歪んでおり、サイコホラーの登場人物さながらの有様の女性。しかしショコラは決してたじろがず、彼女の瞳を見据え続ける。
彼女が単なる狂人ではないと読んでの行動。必ず何かある。それは背後の青髪の女性に向けて撒き散らされる、怨嗟の叫びからしても間違いない。嫉妬や程度の低い逆恨みくらいでは、あそこまで取り乱すことなどあるはずがなかろう。
何かヒントが欲しいと思ったが、ヒントどころか解答そのものがすぐに与えられた。なんと青髪の女性は滅亡したラガルデール王国の関係者だというのだ。ともなるとややこしい因縁の類はあって然るべき。

だが…肝心の彼女は、本当にその件に噛んでいるのだろうか?急ぎで詰め込んだ知識に誤りさえ無ければ、王国滅亡は今から20年以上前。そして女性の年齢は、容姿から推測するに20代前半。
"その頃"には物心ついているかも怪しいではないか。

「戦ってみないとわからないわね。聞き出すのは無理そうだし」

身に覚えの無さそうな青髪の女性の様子を見て、やはり推測はもうするだけ無駄だと確信する。そもそもそんなことに現を抜かしていては磔にされてしまうだろう。
地中から精製された黄金の剣を片手に斬りかかる女性に続き、ショコラも戦闘を開始する。引き分けに終わった鍔迫り合い、間髪入れず襲い来る反撃の一手。
降り注ぐ無数の針を受け止める傘とすべく、地面に魔力を撃ち込んで土砂と岩石の入り混じった巨大な塊を浮かび上がらせる。スコールのような猛攻を前に憐れな大地の1ピースは粉々に砕け散ってしまったが、ここまで計算に含めてのこと。
土煙と共に落下してくる残骸を、次々に足場や壁代わりに用いて上昇していくショコラ。全ては彼女が得意とする技のための布石であった。

「『パルクールストライク』!」

10メートル程の高さまで到達するや否や、魔力を込めた強烈な蹴りを地上目掛けて繰り出す。放たれた魔力の波動には属性こそないものの、単純な殺傷力に関しては及第点。おまけに途中で幾つかの岩石塊を巻き込んでおり、速度も相当なものがある。
予め用意した足場や地形を利用し、相手の頭上を取ってから放つ破壊力満点の一撃…それが『パルクールストライク』。挨拶代わりの一撃にどう対処してみせるのか。

>>ソレミア・ラガルデール、カシュタン・コルーカル

9ヶ月前 No.147

豪腕剣士 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【城塞都市ギリダン/玉座の間→ナコーン/酒場/マロン・アベンシス】

マロンがパージルクに質問を投げ掛けると、彼女の娘であるエスメラルダが口を挟んでくる。曰く、先に歯向かってきたのはあちらであり、正義はこちらにあると。
確かに、表面上だけで見ればそうかも知れない。が、魔道帝国は領土拡大のために数え切れないほどの侵略戦争を仕掛け、数多の国家を討ち滅ぼしてきたという過去がある。
そうした中で民衆の間に芽生えた"イメージ"が、反発を生んでいるのではないか。マロンは、そう予想している。あのような小さな村々では、帝国へ使者を送るというのも無理な話だろう。
逆らった国を問答無用で飲み込み、支配した人間達を第一人種と第二人種に振り分けることで、実力主義を徹底する帝国。そのような強硬姿勢に対し、異議を唱える者が出ない方がおかしい。

「私には未来のことはよく分からない。けど、一番大切なのは今だと思うぜ、パージルク。私だってこの国のことが好きだし、仲間に刃を向けてくる奴らに肩入れする気なんてない。でも、私達はそろそろ、自分達の悪いところにも目を向けなきゃいけない時期だと思うんだ」

魔道帝国には、よいところが沢山ある。少なくとも第一人種の暮らしは豊かであるし、ラガルデール王国亡き後の混乱の時代に、一応の安定をもたらした存在であるのは間違いない。
だが、第二人種の扱いや周辺諸国への対応など、課題となる部分も沢山ある。建国から10年が経ち、大陸のほとんどが帝国の領域となるに連れて、そうした問題は色濃くなりつつあるのだ。
このまま悪い点を無視して国が発展を続けていけば、いずれどこかで足場が崩れ去る時がやって来る。マロンが最も恐れているのは、帝国が滅び、再び世界が混乱に陥ることであった。

「こんな辛気臭い話してる場合じゃないよな。悪かった、時間取らせて。そろそろ私も、前線へ行ってくるぜ」

これ以上話していると、場の空気が余計に悪くなってしまうであろうことを悟ったマロンは、パージルクに一言そう告げると、踵を返して玉座の間を後にする。
あまり乗り気ではない戦いだが、女帝の指示を無視するようでは、他の将軍や近衛、更に平民達に示しがつかない。せめて自分が相手にした敵は、しっかりと供養をしよう。
かくしてナコーンの街へと降り立ったマロンは、戦う意志のない市民には手を出さず、あくまでこちらに襲い掛かって来た者だけを倒しながら進軍していく。
その途中、酒場を通り過ぎる際に、ただ事ではない雰囲気を感じ取った彼女は、部下を外で待たせると、中で何が起きているのかを確認すべく、ゆっくりと足を踏み入れる。
そこにあったのは、こちらの兵士と協力者である歴史是正機構の戦闘員を蹴散らす敵と思しき人間の姿と、最近味方として活動し始めた、山羊の亜人の姿であった。

「今、私の仲間に手を出したな? だったら、容赦はしないぜ。覚悟しろ!」

マロンは身の丈ほどもある大剣を片手で軽々と振り回しながら、凄まじい跳躍を見せ、丁度男の頭を叩き割るような形で、それを振り下ろす。おおよそ女性のものとはいえない、凄まじい力だ。
彼女は魔力を一切持っていないが、剣の腕前と力は超一流であり、当然のように魔力を持った者達が中心となっている将軍の中でも、上位の実力者である。
まともに喰らえば、急所を逸らしたとしても重傷は間違いないだろう。敵も相応の実力を持っているはずなので、そう上手くいくとは思えないが、出来れば早く終わって欲しい。戦闘が長引いて、多くの命が犠牲となる前に。

>レオンハルト・ローゼンクランツ、ミルグラム・ゴート
【大剣片手で振り回すとか頭おかしいよこの子……】

9ヶ月前 No.148

イスマリア/蓼科祈 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4

【 ナコーン/森林/イスマリア・ザルヴァトール 】

 相手が選んだのは即興の連携。といっても面識が深いわけではない。
 ただ、ギギナは攻撃に重視し、ライドウとフツヌシはそれぞれ分担してこちらの攻撃を防ぐ。
 単純なことだ、息を合わせる必要などない。役割分担も立派な連携である。

 自身の第一の異能、――その稲妻は既存の物理法則が通用しない。
 稲妻は自由意志で曲がったり追跡はしないし鉄に引き寄せられない稲妻など存在しない。
 下から上へ滝を昇るかのように稲妻が躍ることもあり得なく、故に既存の対策は一切通用しない。
 古今東西謳われる雷の対処法を嘲笑うかのように、電光の黒狗は果敢に二人の追跡を続ける。

 フツヌシは追いかける稲妻をその身に纏う剣の回転により防御。
 更にギギナを追いかける分の稲妻を、ライドウが緑色のエネルギーを纏う刃で両断する。
 見事な対処だ。逃げようとするのだから当たるのであって、どうせ当たるなら四散させれば問題はない。

「では弱者は何故戦おうとしないんです?
 どうして武器を取らないんです?
 何故はいずり逃げ回り、上の者にこびへつらって助かろうとするのです?
 本当に家族が大事なら、命が惜しいのなら、己が必要とされているという自覚があるのなら――這い蹲っても逃げ延びるではないですか」

 ギギナもギギナで――見事な腕前だ。場数を踏みなれている。見立ては間違ってはいなかった。
 黒雷が奔る。走る。走る。そして着弾する寸前、……飛んだ。上方跳躍。天頂支配。

 そして、噴出起動。勢いを利用した急降下。狙われるは首。振り下ろされる斬撃。
 そして前方に見える銃口。ライドウのリボルバー拳銃の照準が此方へ向けられている。

 かっ喰らえ魔弾。
 首を断て斬刀。
 二者一様の否定の一撃――そして、後方に見える新たな乱入者の援護。

「そうして武器を取り、剣を突き立て、戦い続けて来た。
 己の子供も危機に晒すのです? 自分は戦火より遠いと兵士を見送り胡坐を掻く。
 ダメなんですよ、それじゃあ。それでは世界人類は平和にはならないじゃないですか。
 何時までたっても襲われる度に子供を失い、親を失い、友を失い、悲しみが生まれ続けるのです。
 さて……」

 イスマリアが対処に動かずとも、それらは全て己が燃やした人だった何かによって防がれ受け止められる。
 それは死者の膜。文字通り物量戦術を体現するかのような、寄せ集まった屍達による一斉防御。
 加え、援護するかのように飛ぶ氷槍と大地の加護は敵陣をじわりじわりと嵌め沈めてゆく。

「――ああ、女帝の。
 助かりました。数の差とはどうにも埋めがたい。
 意志の力一つで覆そうにも、全力を使い切れば後が危ういですから」

 黒の貴族装束の女。彼女の名乗りに、軽く礼でもって返答を返す。
 生半可な援軍であれば邪魔になるため斬って捨てるところであるが、先の数々の攻撃に対する対処から見ても実力者であるのは明らか。
 加え、女帝直属ともなれば――信用は利く。

「軍服の男、それからバイク――ああいえ、鉄馬に跨った男に警戒を。
 私があの大剣使いを始末しますので。あの大剣使いは、あなたが真っ当にぶつかれば不利だ」

 二言三言、――先の打ち合いで感じた印象にまだ見ぬ秘匿のヴェールに包まれた鉄馬の男を加えた総括。
 加え必ず隠しているであろう奥の手を踏まえた上での指示。
 それだけを伝え、再び地を蹴ってギギナへ向けて駆け出す。右に、左に。軌道を読ませることは決してない。
 更に掌から黒雷の弾丸を二、三発放ち牽制を行う。奔る電光。一直線にギギナへ向かい、彼の逃げ道を塞ぐ。
 そして距離を詰めた。間合いは一寸もない。

「では、――どうすれば世界から悲しみは無くなると思いますか?
 より良き未来が創れると思いますか? 簡単です」

 ――此処まで一切合切全ての言葉を無表情で、淡々と、機械のように並べ立て。

 ・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・
「人類皆が、世界平和を希求し強くなればよいだけなのです。
 それこそ、最低限私の一撃で死なないくらいには」

 刀に纏わせるは黒い稲妻。生半可な鋼であれば簡単に切り伏せられるほどの出力。
 走る刃は黒い軌跡を描きながら、ギギナを一太刀に斬り裂かんと横薙ぎの一閃を放つ。

>桐生戦兎 17代目葛葉ライドウ ギギナ 魔大老エスト


【 ナコーン/果樹園/蓼科祈 】

「――これで全員?」

 ぱんっ、ぱんっ、と手を払い周囲を見回す。
 無心に斬りつけ斬り捨てることを繰り返し続けてきていたが、気づけば魔法兵器の残骸やら人の死体やらで果樹園は埋め尽くされていた。
 気分が悪い。戦争行動そのものに嫌気が指す。目を覚ませば別世界だった――といった台本じみた出来事に出会っても根本は変わらない。
 使い慣れた武器<破壊の力>は手元に残ったままでこそあれ、律も戒も隣にはいない。
 余裕は持つが油断は決してしない。元の居場所に変えるまでは絶対に生き残る。これが絶対条件。

 寒風吹き荒れる中、果実の一つが落ちている。
 炎によって焼け焦げ、甘酸っぱい匂いを発するソレ。
 まだ食べられる。熟れているソレ。よく味わえば疲労も回復は可能。
 雪に埋もれた実。拾い上げる。

「ッ――!?」

 咄嗟だった、――反射的に腕に纏わせた破壊の光が紫色の軌跡を描き、ジュッという音と共に熱量の塊を切り裂く。
 ダメージは入っていない。熱量は手に残ってこそいるものの、それ以外の全ては白い光に破壊されて消えた。
 不意を打たれた。いや、違う。現に気配も感じられない上、姿が一切視認できない。
 其処にいるのか、いや、何処かへ逃げたか。雪下に音は響かない。遠くで鳴り響く銃火器の交響曲<シンフォニー>。
 姿見えぬ暗殺者は今も祈を狙い虎視眈々とその隙を伺っている。

「……かくれんぼ、ね。上等よ」

 パリィッ――大気が砕ける音が響く。
 手に集うは白き光。破壊の力。万物を砕く破壊者の特権。
 イメージするは球。邪魔する壁を貫き、ぶつけた対象を一撃で滅ぼす力を想起せよ。
 掌に球状の光弾が形成される。存在するだけで世界を削り取る万能砲弾。

「行ッ――けェッ!!」

 姿は見えない――が、飛んできた方向から推測するのは狙撃主の位置を割り出すときの定石。
 飛んできた方向へ向けて光弾を撃ち放つ。
 遮蔽物を破壊し、木々を破壊し、運が良ければそのまま隠れている狙撃の主、雪葉へと――。

>雪葉

9ヶ月前 No.149

黒翼 @kyouzin ★XC6leNwSoH_UxJ

【グリア村/民家/Cluster+シャドウコルベット×2】

「初撃は流石に避けるね、だが、追撃はどうかなッ!?」

回避からの赤色レーザーの乱射を、相手は人間には不可能と思われる曲芸の如き動作で回避する事に成功した。
勿論、すれ違い様の一撃とは言えクラスターも適当に撃っていた訳ではなく、一発一発がコンピューターによって自動照準されているため、狙いはそれなりに精確なはずだ。 それをあのような動きで回避するなど、やはりこれは、個人的な感情だけではなく、組織の一員としても放置しなくて正解だったと言える。

こんな物、古代の野蛮人や、同じ組織ながら頭が空っぽの馬鹿共には対処できるはずがない。
とにかく、その不可能とも思われる動きを取れる理由はすぐに分かった、あの攻撃にも使ってきた有線武器だ。 相手はワイヤーに近い武装を手足のように操って、まるで巣の中で自由に動く蜘蛛のように空中機動を行う事ができるらしい。 有線武器なんて無線コントロール兵器よりも扱い辛いのが常、それをあえて使うと言う事は、やはりこういう事ができて当然なのだろう。

「ハハハハッ、違いない。 僕のClusterを貶した愚か者共も、平等や人道を口にする時は、そりゃあ楽しそうだったさ!  だが、僕はあんな連中とは違う、本心からヘルガ様の偉大さに忠誠を誓い、故に全力を持って敵対者を焼き尽くす!! だから、それ以外の正義や平等など、僕も排水溝に溜まったゴミ程度の感想しか抱かないね!!」

何故この二者が争うのか、それは単純、どちらの傘に入っているかが違うからだ。
尚且つ、片方に関しては、その傘に絶対の忠誠を誓っており、その正義を通すためならば、何人でも殺してしまえるような奴なのだから、幾ら性格が似ていて、もしも非戦闘時であればもう少しまともな話ができそうな相手であっても、容赦なく、踏み潰す。

しかし、勢いのまま振るわれたクローアームが一瞬止まる。
機動補助と攻撃だけには飽き足らず防御にも使うか、だが、全ては止められない。
そう思った途端、自分の攻撃は、何かの障壁に阻まれた。

「異世界のカラクリかな!? だが、逃がさん!!」

その隙をついて相手は離脱しようとするが、そうは行かない。 相手がひそかに攻撃を放ったように、こちらにも攻撃を放つ時間はある。
クラスターの両手両足に存在するミサイルハッチが開き、また無数のミサイルがハザマに向かって発射される。

しかし、その内の一発が、ちょうどクラスターの眼前まで迫っていた三本の刃のうち一本に当たって爆発を起こした。 結果的に刃は相殺できたが、至近距離で爆発したために、クラスターも多少のダメージを負う事になった。
そしてミサイルの着弾を見るよりも先に、相手は弾幕を展開、まるで『追い込む』が如く襲い掛かってくる。

この場でわざわざ危険を冒す必要も無い、と上空へと逃げた、これは明らかな日和だ。 そしてそれを予測していた相手は、攻撃を当てることができる、しかしそこまでも彼の計算済みだ。
八発のうち半分近くがクラスターに接近した時、一瞬だけクラスターの姿が歪んだ。

その直後に起きた現象は、極めて不可解な物だった。
それをあえて言葉で表すなら『一回り機体を残して、本体の方は幽体離脱でもしたかのように分離した』としか言いようの無い挙動を取った。

さらにこれを合計三度行い、結果として、クラスターは"四機に増えた"。 もっとも、良く見れば、一機だけ大きいのが居て、残りの三機は一回り小さいのがわかるが、それでも距離があれば分からないレベルだ。
そして、その内の、最初に分離した小さい一機に敵の攻撃は殺到する。

「があああああああああ!!」

そんな演技染みた叫びが響き、小さな一機……"シャドウ・コルベットシステム"によって生成された子機が爆散するが、残りの三機は元気に空を飛んでいる、そして。

「ふふふっ、流石に驚いたが、ならばこちらも、自慢の装置を使ってお相手するとしようかな!!」

本体と思わしき、一機だけ大きな機体、つまりクラスターから声が発せられる、そのままクラスター本人は急加速し、大回りでハザマの背後に回りこんでから、もうミサイルの弾薬が心許ないのか、赤色レーザーで攻撃を仕掛け、さらに二機存在する子機は、空中からミサイルを一斉発射してハザマを攻撃する。

>ハザマ

9ヶ月前 No.150

麗人 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【時空防衛連盟→ナコーン/酒場/シフォン・ヴァンディール】

レオンハルトと別れ、紅い軍服に身を包んだシフォンは、ユーフォリア達に続く形で時空の門を潜った。古代の土を二本の足でしかと踏みしめ、続いて到着した十数名の部下を連れてナコーンを駆け抜けていく。
炸裂する色とりどりの属性魔法。火、水、氷、風、雷…その他にも使用者によって十人十色の魔術が辺り一帯を制圧する。皆厳しい試練に耐え、シフォンの容赦ない指導すらも苦としなくなった精鋭達だ。
決して帝国と是正の実力を軽んじるわけではないが、これに関しては「相手が悪かった」の一言に尽きるだろう。事実、二十にも満たない数で大軍を圧倒し、少数精鋭とはこのことだと言わんばかりの快進撃を続けている。
そうしてある程度進んだところで部隊は散開し、シフォンは生存者の保護及び避難を目標に単独行動を開始したのだった。



酒場に出たところで聞き覚えのある声が耳に飛び込んできた。間違いない、レオンハルトのものだ。見れば既に交戦中であり、1対2と数的には不利な状況に立たされている。
もちろんこの程度なら苦にもしない実力者なのはわかっているが、見過ごして他の戦場へいけるほどシフォンは薄情な人間ではない。

突如として薄い障壁のような流水が二人の間に展開され、剛刃を受け流してしまった。柔能く剛を制す。そんな諺を体現するが如き防御を展開したシフォンは、柔らかな笑みを浮かべてその場に降り立つ。

「ごきげんよう」

いつも通りの挨拶。それでも敵味方の両方にしかと伝わったことだろう。その裏に込められた敵意や殺意、そして連盟の一員としての使命感が。

>>レオンハルト・ローゼンクランツ、ミルクラム・ゴート、マロン・アベンシス


【乱入失礼します!】

9ヶ月前 No.151

魔道を征く者 @zero45 ★h2BOlEz4kD_FR1


【ナコーン/森林/北側/ダグラス・マクファーデン】

 凍える様な寒さが支配する森林の中を、余裕綽々とした表情で進み行く金髪金眼の男。その青年は敵に感付かれまいとして決して足音を立てず、逆に敵を感付かんとして周囲に対して細心の注意を払った上で行動している。護身の為に培った技術を、最大限に活かしているのだ。
 彼の名は"ダグラス・マクファーデン"。腐敗した政府上層にて、今も権力を盾に肥え続けている豚にも似た醜き男の遺伝子を受け継ぐ、親不孝者。彼は政府打倒の為に、嘗ての友人と袂を分かち、歴史是正機構へと加入した男。
 そんな男が此処で何をしているか、と言えば答えは一つ。彼は上手く利用できる人材を探し求めている。それは歴史是正機構の為などでは無く、あくまで自身の目的の為の手駒。
 彼からすれば、ヘルガ・アポザンスキーの馬鹿げた思想を現実にする事の手伝いをするなど、実に御免被る話である。連中はただ、養豚場の様相を見せる政府上層の奴等を抹殺する事だけで良い。それが済めば用済み、革命を果たす事無くテロリストとして死んで貰うだけ――それが彼が現実にしようと目論むシナリオなのだから。

(どちらが先に敵を見つけるか。その勝負は俺が勝ちを譲らせて貰う)

 索敵しつつ雪の上を歩いていた彼の動きが、突然止まる。金色に輝く双眸が捉えた姿。寒冷地である此処では自殺行為ともとれる薄着の、金髪褐色の女性、フォッサ・セントライト。彼女もまた"魔弾"を操る者である事を、彼はまだ知らない。
 彼は近くの大きな木に隠れて姿を晦ますと、着込んだスーツの中に隠し持っていた拳銃を引き抜く。銃が冠するその名は"C-37特殊型魔法銃"。この世で唯一の、彼だけが保持する専用の逸品。最新鋭の技術を以て作り出されたそれは、一般に流通している魔法銃とは一線を画す性能を持つ。
 そう、例えば――

「……先制攻撃だ。悪く思わないでくれよ」

 木陰から身を乗り出した彼が銃の引金を引くたびに、銃口から射出される邪炎の魔弾の数々。その一発一発の全てが、銃口の広さを遥かに上回る巨大な弾丸である。従来のモデルでは魔力弾を直接射出しているのに対し、この魔銃は魔力を増幅する行程を加えた上で射出する機構が追加されているのである。

 夜闇に紛れてもう一人の魔弾使いへと迫る、漆黒の炎弾。害為す邪炎の連弾を前に彼女は。そして彼女を影から追うもう一人の女性は、果たしてどう動くか。

>フォッサ・セントライト ストラーヴ


【いざぁ……(魔弾勝負)】

9ヶ月前 No.152

ギギナ @koki☆iOEaToagbI2 ★P24UIEe7ZZ_UxJ

【ナコーン/森林/ギギナ】

 新たに現れた青年と共闘する形になった。事前打ち合わせがなく即興での共同戦闘であったがお互い戦闘を経験し戦いのいろはを理解していることもあり、以前いた世界程ではないが、ある程度の戦いは出来るだろう。後は戦いの中でお互いの呼吸を合わせていくしかない。幸いにも後方は彼が援護をしてくれると知り前だけに意識を集中させれるという状況に口元に小さく笑みを浮かべていた。

 背中に迫り来る黒味を帯びた雷光を刀で叩き切る葛葉ライドウの気配を背後に感じつつ頭髪が静電気で逆立つのを感じつつ上昇からの変化をつけた斬激をしかけ細首を執るべく屠竜刀を滑らせていくと黒い塊が目の前に現れたが塊ごと叩き斬ろうとするも半ばまで斬ったところでこちらへと放たれた氷で生成された槍が放たれるのを感じるも姿勢を崩す愚は冒せないと判断。塊を蹴り上げ宙返りをするも右腕を浅く斬られつつ少しはなれたところに降り立ち瞳を新たな登場人物へと向ける。

 「…私としても数に任せての戦いは好きではない。これで対等に戦うことが出来るな」

 右腕の僅かな負傷に一度瞳を向け今までは2対1の数的有利な状態での戦いではなくやっと同じ人数の戦闘ができることに喜びを感じ笑みを浮かべつつ切っ先を黒い稲妻を使役する彼女に向けつつ言葉にしていけば、二人の会話からして稲妻使いの女性を相手にすることになった。距離をとっての戦いは彼女のほうが上であるが、得意とする剣を交えての戦いでは僅かながらでもこちらが上だろうか。

 「…悲しみがなくなることはない。人間が生きている以上争いは耐えることはない。貴様のような理想を掲げるものは理想に抱かれたまま地面に這い蹲るのがお似合いだ」

 未来をいい方向へ持っていくためには人類全体を強くしていかないといけないと持論を展開する彼女に対し理想論すぎて現実味がなくそのような思想で戦う力がない者を虐殺する彼女に不快感が溢れ瞳に怒りを交え相手を捉えて行く。稲妻を放ちつつ逃げ場をなくし単身で突撃を図る彼女に対し回避行動をとらず呼応するかのようにこちらも前方に跳躍、お互いの間合いに入ったのと同時に横薙ぎに放たれた刃をこちらも屠竜刀で下からの斬激で受け止め返し刃で首を取らんと横薙ぎに払おうとして

イスマリア 桐生戦兎 17代目葛葉ライドウ  魔大老エスト

9ヶ月前 No.153

ハザマ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_FR1

【グリア村/民家/ハザマ】


「なるほど、なるほど。つくづく揃って、一点を除けば気が合う御仁だ」

「私はその“ヘルガ様”について、生憎と知識を持ち得ない。
 が、今のでますます興味は沸きましたね。狂信者のジャンクを晒した時の反応とか、特に」

 ハザマがわざわざ会話というプロセスを挟むのは。単に他者に煽りを入れたいというわけではない。
 彼は人を量っている。それが全てを焼き尽くす狂機であったとしても、歴史を紙屑に還す覇道を歩む者達であったとしても、等しく叡智を持つ毒蛇はその是非を覗き、見据え、その上で自分の“望み”に沿うかどうかを、徹底して量って、計って、図っている。
 例えば気を合わせるように、例えばわざと逆撫でするように………なお、此処まで言っておいて何ではあるが、ハザマ自体此処までの言葉には対して虚言はない。どうでもいいから賞賛できるし、どうでもいいから侮蔑出来るのだ。無形の器に、物事の優劣なんぞ最初から存在しない―――もちろん、ある一点を除いて、という前提がそこに付くのだが。

 だから、すぐに会話の中からハザマにとって興味深いワードが飛び出した。
 それは彼の主義主張ではない。
 彼が奉じるものの正体だ。それが何であるかを、この狂機は今一瞬垣間見せた。他の言葉を語る時の狂気の中で、たった一つこれのみが真実の色に彩られていることを、毒蛇は目敏く見逃さなかった。
 ・・・・
 ヘルガ様。この名前を語る時の熱だけが、他とは一切において違うのだ。

「(さぁて、聞かない名前が出て来たぞ。これは後で調べる価値はありますね。
  彼の奉じるものが如何ほどのものか、壊せばどれほどのものが広がるのか、調べ甲斐と確かめ甲斐がある―――)」
「(しかし………そうなると、今のところはハズレですかねぇ?)」

 これで突くべき孔は見えた。少なくとも、歴史是正機構とやらに敵対する理由がいまひとつ出来た。
 そのヘルガとやら、どうやら一名には狂信と見紛うほどの愛を受けているらしい―――本人の性質がどうなのか自体は完璧に掴めていないし、この分だとロクでもない空気は漂っているが、“それだけの人種を従える器量はある”ことだけは確かと見える。
 後の楽しみはひとつ出来た。ハザマの確かめたいことも、ひとつ出来た。
 しかしだからこそ、この狂機は当人をただ貶めただけでは揺らぐまいことも理解は出来た。絶対の感情は、現実という絶対が無ければ先ず崩せはしまい。ハザマからして見れば、その瞬間より狂機は一時的とはいえ“ハズレ”に転落した。
 彼が知りたいのは狂信でも、熱意でもない―――熱意と言えば、ひょっとすればそれは当て嵌るものなのかもしれないが―――そのものがない以上、この相手は“他に逃がすと面倒な危険物”以上でも以下でもなくなったと言えた。


 ―――そう、これはハザマがどの距離、どの状況でも戦える人種だからこその薄氷の均衡だ。

 空を飛べない相手ならば、狂機にその牙を突き立てることすら出来るまい。
 速度を持たない相手ならば、狂機に翻弄された挙句死骸を晒すことになるだろう。
 手札を持たない相手ならば、狂機が振るう速度を軸とした立ち回りについていくことは不可能。

 加えて、ハザマがいま相手の知らない術式という名前の“未知”を取り出したように。
 ・・・・・・・・・・・・
 相手にもそれが出来るのだ―――忘れてはならないことである。
 ハザマとて幾らなんでも全能ではない。ヨルムンガンドは全知全能の蛇ではないし、異なる世界の理にまで精通している人間などというものが先ず居るわけがない。彼は正確には人間にカテゴライズされないが、そんな屁理屈を言いたいわけでもない。
 つまり、なにが言いたいのかと言えば―――。


「(落とした。いや違う、これは―――)」
「なんとまた。曲芸には曲芸………ですかね?
 いや驚いた、何が飛び出すか分かったものではないところとか、ビックリ箱そっくりだ」


 彼方ご自慢のカラクリが、初見殺しという最悪の形で御開帳したというわけだ。
 ウロボロスの牙が一体の狂機と思わしきものを食い散らかす。
 だが残りは三機。ウロボロスが標的としてロックしたのであるならば、アレらは明白に実体を持つものだ。武装の中身まで確りと再現するとは実に良く出来ている。単機で数の暴力まで再現可能とは、冗談で言った通り人殺しにうってつけではないか。
 同時にあの軌道の真意も測り難くなった。何しろあれが本当に日和見ならば、ほぼ完全に殺しの段取りが完成している。攻撃に対してすぐさま反応し、安全なケースを通って来ることが分かっているならば、それだけで易く対処が出来た………だがそうではないのならば、アレもただ機能を見せつける為だというならば、確証が持てない、リスクがある。

 先ずは彼方の応射として放たれたミサイル。
 これも精々“当たればいい”というところならば、特には取り合わない。
 再び空間のひずみから這い出た毒蛇の牙に乗り出し、作り出した足場へ次々と飛び乗っていく。誘導自体も、足場だった鎖をそのまま残して当てるように持っていけば、勝手に爆風と誘爆で消えてくれるというものだ。

「ひっどいなァもう、対人火力のレベル越えてますね」

 ―――問題は、その対処をしているうちにも矢継ぎ早に入れられる弾丸のこと。
 二方向からの同時射撃、単純な手数の増加までは流石に如何ともし難いものがある。今までの回避パターン通りならば、挟み込むような弾幕は確実にどれかしらが被弾するだろう。つまり………。


「荒っぽいのはイヤなんですがねェ、泥くさくって、おおやだやだ。
 というわけで、一つ仕掛け時だ―――」


 ・・・・・・・・・・・・・
 片方に寄る被害を無視すれば、今までの回避パターンで全く問題はないわけだ。
 躊躇うことなく背面に魔素での障壁術式を張り、ミサイルの直撃によるダメージを抑える。零ではないが、大きな被弾にもならない。子機の火力自体も恐らく本体機とは変わるまいが、一発防げばあとは爆風自体が勝手に連鎖して他のミサイルも消えていく、問題はない。最も二度も三度もこんな真似をしていると流石に身が持たないが、一度だけならチップとしては十分。
 そして、残る子機に関しては処置をしない。あくまでも今は。
 防御の為の時間を可能な限り少なくした上で、反転して背後に回って来た狂機クラスターへと距離を詰める―――空を疾駆して距離を詰める中、先ず一つ覚えのように正面から襲い掛かる毒蛇の牙。数は六本、ただし………。


    、     「捕捉、蓬閃・参」


    、     、   、   「―――さあ、踊りなさい」


 その全てが、突然枝分かれして見当違いの方向へと逃げていく。
 正面から殴りつけるように迫って来たウロボロスのアンカーが、クラスターの眼前、かつ直前において左右に決定的な勢いで別れ、中央上下だけをまるで安全地帯とするかのようにバラバラになって動き始めるのだ。
 牙に食いつかれた場合は、当然そこで固着するように術式が機能する。
 そして、もしもそれを見切ってくれているというならば―――もしも、それを見切って“一歩も動かない”などという自分から脚を殺す真似をしているのならばどうなるか? 答えは、単純明快だ。

 ・・・・・・・・・・・・・・
 そこから文字通り動けなくなる。
 下方から伸びるように展開された光陣は、ハザマ以外の捕らえたものの行動能力を一時的に麻痺させる拘束術式。下方へと逃げようとしているならば、最早逃げる余地などなく確実に着弾し、これよりやって来るハザマの攻撃を確実なものにするだろう。
 そして、それさえも察知する聡明さがクラスターにあるのだとしても………。


「―――『蛟竜烈華斬』ッ!」


 上方からは回転して踊るように。
 緑黒の魔素を纏ったハザマが、クラスターを文字通り解体せんと迫って来ている。
 左右をふさぎ、下方に致命の罠を仕掛け、上方から蛟竜の牙を突き立てんと哄笑するハザマがすれ違いざまに放つのは数にして十を越える、術式による強化を施したバタフライナイフの連続斬撃。
 たかがナイフと侮るなかれ、其は彼らの世界における術式によって性能の徹底強化が施された武装だ。鋼鉄の戦車を思わせる人造人間さえも易々と断ち切った近接兵装と、ウロボロス、ミサイルの後押しにより加速したハザマが繰り出すすれ違いざまの高速斬撃は、そこにクラスターが居るならば逃げようもなくその機体をバラバラに引き裂くだろう。
 とはいえ、左右下方全ての罠を見切ったのならば、まだクラスターにも動く余地はある。
 分かっている―――その上でのベストも、ハザマには考えてある。

>Cluster、(ALL)

9ヶ月前 No.154

まあ偉いローマ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_FR1


 王の話をしよう。
 狂気に落ちた、暴虐の君の話だ。

 その国にはすべてがある。
 すべて。すべて、あらゆるものはローマに通ずるという。
 偉大なる建国王によって生み出された帝国は、まごうことなき人類の大きな歩みそのものだ。
 富み、栄え、満ち足りよ。
 輝くばかりの尊きものこそローマには相応しい。

 けれど同時に───
 おぞましくも恐ろしき負の想念、悪の格率とも呼べるモノまでもがそこにあった。
 ある王は、それに呑まれんとした。悪しき権謀術数の渦がすべてに呑まれようとした。
 月の女神は、その悍ましさ全てを、在り方諸共捻じ曲げるため、一つの寵愛を贈った。

 寵愛の名前を、狂気という。
 王は狂った。王は赫怒に塗れた。
 あらゆるものへと吼え猛る。あらゆるものを喰らい穿つ。
 愛なき身に欲望を詰め込みながら、微かなる愛の名残だけが、そこに残る。

 ―――王は、ひとつの帝国を見た。
    自らが収めるものではない、別の帝国だ。悍ましさと華やかさを同梱した大地。

 ―――王は、ひとつの確信を得た。
    必ずやこの国は滅ぶ。遠くか、近くか、分からずとも、必ず。

 ―――王は、ひとつの結論を得た。
    これもまた一つの宿命なれば、己はその国を今だけは慈しんでやろう。


 ―――悍ましき暴君の名前を、惜しまれるべき賢君の名前を、カリギュラ。


【グリア村/池/カリギュラ】

 帝国軍の殆どが敗走する。
 制圧したばかり、足掛かりとなるはずだったグリア村はもう見る影もない。
 防護柵では時空を隔てた者の指揮官格が猛威を振るっていると聞いている。
 民家の立ち並ぶ居住地など、もはや見るも無残な有様となっているだろう。
 短い間の電撃作戦ではあったが、グリア村の趨勢は明らかに傾きつつあった。だが―――。

 撤退、敗走する兵士たちとは反対方向へと歩いて来るものがいる。
 男だ。黄金の鎧と真紅の外套を纏い、筋骨隆々なる腕からは確かな力を感じさせるもの。歩く姿には気品と威厳が漂い、去れどもそれ以上に、それらを覆い尽くす悍ましい狂気が見て取れる。
 これなるは人理に名を遺すひとりの英霊。その魂が彼方の座より理を下ろし、肉体を持ったもの。本人とは決して異なれども、本人の側面を確りと持ち、その伝承と力を寸分狂わず信仰によって携えて来た、一騎当千、強力無比なる“歩く戦略兵器”だ。
 時空防衛連盟の人間ならば“サーヴァント”の名を一部から聞いたものも居よう。 強大な霊格を持つ英霊は、如何に歪んだ世界であろうとも、予め用意されたイレモノが無ければ呼び寄せる事は出来ない。故に彼らにはクラスと呼ぶものが存在する。

 槍兵《ランサー》、蒼き最速の槍兵。
 魔術師《キャスター》、古代の神威を放つ女王。
 無論、そうではない異端も存在するし、実のところこの世界と物語において確認されたが―――あくまでも例外、基本は七つに限られる。それらによって霊基を当て嵌められた彼らは、ようやく現世へ魔力を漲らせたエーテルの肉体を持ち、具現するのだ。


『クソッ! ロンカ村の能力者者どもめ、第二人種のゴミクズどもめ、無駄な足掻きを!』
『民家区域応答なし! 防護柵、戦況不明………!
 甚だ危険な状態です、グリア村の放棄も視野に入れるべきかと―――!』

『黙れ! もう構わん、“アレ”を出せ! 奴らさえ落とせば後はアンノウンだけなんだ!
 ………魔力の供給は奴隷兵どもにやらせるぞ!
    、   、    、   、    、 バーサーカー
    、   、   さあ―――薙ぎ払うんだ、狂戦士!』


 ―――そして、今此処に現れたものの名前を。
 バーサーカー
 狂戦士という。理性を失う代わりに、比類なき肉体の強度と暴力性を誇る殺戮者。
 7つの霊基において、短期の戦闘においては最凶を欲しいままとする、暴走車両どもの称号だ。

 号令と共に、反対方向から進軍していたそれは、突如として駆け出し、跳躍。
 大砲でも撃ったかのような凄まじい轟音と暴風が辺りに響き渡ったかと思えば………。



「――――ア”ア”ア”ア”ア”ァ”ァ”ァ”ッ!!!!!」



 それは二人の深い友誼を持つ少女たちへ、躊躇うことなく襲い掛かった。
 空より堕ちる黒い影。氷の張った大地諸共、その剛腕を叩き付けて“叩き割る”勢いでの強襲。
 強いて近い位置に居たパメラの頭蓋を叩き割ろうと、その男は迫って来ている。赤黒い目は殺意を滾らせ、放つ殺気と赫怒の念は、心臓を直に鷲掴みにされたかのような感覚を走らせる。
 だが何よりも、その腕は直撃と同時に死を約束するだろう。
 サーヴァント・カリギュラに、あくまで火力面の奥の手などはない。ないが―――それと引き換えに、ただ殴る蹴るだけで彼はあらゆるものを消し飛ばす。愚直にして確実、単純にして明快。小賢しい要素など最初から持ち得ない。

 故にこそ、狂戦士の力とは恐怖で以て彩られる。
 これはその序ノ口だ。国こそ違えど、世界こそ違えども。
 現れたそれは紛れもなく暴虐なれども皇帝ゆえに………。


 ―――これこそは。
    すべてに通ずる帝の国へ歯向かおうとした村の勇者たちへの、容赦のない洗礼である!


>ニケ・エタンセル、パメラ・エンドネル、(ALL)


【もしも相手待ちでないのなら、お相手お願いします〜】

9ヶ月前 No.155

爆炎 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【パメラ本体様の許可により、先レスで行かせてもらいます!】

【グリア村/池/ニケ・エタンセル】

天は我々を見捨ててなどいない。時空防衛連盟の助太刀はそう確信させるに足るものであった。裏切りや内通者の可能性を説く者も散見されたが、この快進撃を見ればそんな疑いはたちまち晴れてしまうことだろう。
多勢に無勢、絶望的としか言いようのなかった戦況が、一転して互角かそれ以上に姿を変えていく。そんな光景に勇気と闘志を貰ったのは、決して自分達だけではあるまい。
事実ロンカの守護者達は勢いづき、帝国兵士とも対等に渡り合えるようになってきている。このまま行けばグリアを解放し、ロンカも守り抜けるのでは…

"音"の領域を飛び越え"衝撃波"とでも呼ぶべき轟音に貫かれたのは、そんな甘い希望を抱いた矢先のこと。

「危ないッ!」

咄嗟に身体が動いたとはこれを指すのか。親友を抹殺せんと迫りくる悪鬼、いや狂気の権化を視界に捉えるや否や、ニケは彼女をタックルも同然の勢いで突き飛ばしていた。
それだけ飛び込んできた狂戦士の体格が並外れていたのだ。手で押した程度では攻撃範囲から逃げきれず、即死は避けられても致命傷レベルの傷をどこかしかに負っていたに違いない。
よろめきながら立ち上がり、改めて相手の容姿に目を凝らす。煌めく黄金の鎧に、冷たい風を受けてたなびく赤いマント。出で立ちだけで言えば英雄そのものである。
しかし殺意の宿った双眼と全身から溢れ出る怒気がそれを否定する。この男は救い手などではないと。説得も逃亡も望めず、彼を上回る力で叩き伏せるしか道はないのだと。

「面白いじゃねェか...借りは返させてもらうぜ!」

言わずもがなニケはこの程度で竦みあがるほどヤワな女ではない。彼女の親友に関しても同じことが言えるだろう。
相手の腕っぷしからして接近戦は自殺行為。そう判断してバックジャンプで距離を空け、すぐさま火炎魔法による反撃を開始する。
握り拳大の火球を6つほど、さらに細身だが速度の面で優れた熱線を4本発射し、開幕から男を激しく攻め立てていく。
先制攻撃を取られた上に完全な奇襲という形で受けてしまったともなると、ここからの攻めで巻き返さなければリードを奪うのは不可能に等しい。
それに連盟の助力の上でも、自分達二人がロンカの貴重な戦力であることに変わりはない。故に、こんなところで倒れるわけにはいかないのだ。
我々には勝利しか許されない。最早悲痛なまでの覚悟を抱き、戦禍に身を投じる。

>>パメラ・エンドネル、カリギュラ


【絡み感謝です!】

9ヶ月前 No.156

黒翼 @kyouzin ★XC6leNwSoH_UxJ

【グリア村/民家/Cluster+シャドウコルベット×3】

「あぁ、その通りだとも。 君を処分しなくてはならないのは実に惜しいよ、うん……? ははは! 笑止、愚か、無知ィ! 僕が死んだ所で、ヘルガ様は何の感情も抱かない、あの方は割りきりが出来る方だ。 僕が死んだところで、僕の復讐なんて一切考えず、ただ僕が信じた目的のために突き進んでくれるだろう!! だから僕はこの命を彼女に捧げる事が出来る!!」

クラスターもまた、ハザマの言葉に同調するかのように「惜しい」と口にする。
少なくともクラスターのそれは本心から来るものだ、少なくとも、容赦なくこういった事を行える人材は、今是正機構に必要な人材だ。 こんな優れた人材を防衛連盟はすぐに腐らせてしまうだろう、それこそまた『人道』や『正義』を矛にして、必ず有能な人材を刺し殺す。

だが、次にハザマが放った言葉を聞くと、クラスターは笑い声をあげて、彼の考えを見透かしたように、散々に『知らない』事を煽るような言葉を並べ立てた後、仮に自分が死んだところで、ヘルガという人物は絶対に感情を動かさないだろうと語る。
そう、彼は"空想のヘルガ"を崇拝している訳ではない、むしろ、限りなく本物に近いヘルガ像を崇拝しているのだ、そして本物のヘルガは、自分の事をさほど重要視していないと、しかし、そんな甘さや執着がかけらも無い人物だからこそ、必ずや自分の信じた、人類の進化を達成してくれる。

そう、彼女は、私人を捨てきれず、結果、自らの優れた実力主義国家を崩壊させた"女帝<デキソコナイ>"とは違うのだ。

「曲芸、そう、曲芸とも言える! 素晴らしいだろう!? この機体は、これこそが世界政府が嫉妬故に、正義を使って世界から抹消しようとした、僕の究極の力、ヘルガ様が認めてくれた、"黒翼"だ!!」

正直なところ、彼はどのように褒められても似たような事を言っただろう、彼はそれほどに、このクラスターに絶対の信頼を置いている。
まぁ、彼の視点からすれば、世界が嫉妬する傑作なのだから、無理も無いだろう、事実、固体戦闘能力に限って言えばその性能はどの兵器よりも優れている。

だが、そこに驕りと言うものは現れる。
敵がミサイルを回避している間にも、クラスターはそれぞれのシャドウコルベットの位置を気にしつつも攻撃を行った。
しかし、それすらも相手に致命傷を与えるには至らず、そして、相手は奇妙な軌道の攻撃を放った、まるで自分を避けていくような軌道……その場に突っ立っていれば回避できるような攻撃だ。

とは言え、こんな攻撃をしてくる時と言うのは、必然的に……それはその場に留まらせて、本命の攻撃を確実に撃ちこむための物だ。
下方への逃走はおそらく、先ほどの回避を見れば対策済みと考えた方が良い、ならば上空だけが一見逃げ道に見える。 しかし、それはおそらく。

「……しかし、それはおそらく――だがッ!! 付き合ってやろうじゃあないかァ!!」

彼の行った選択は、速やかな上空の離脱、しかしそれは、最大出力の物ではない、地上に仕掛けられたトラップの範囲から外れるためだけとしか思えないゆったりとした物。
だが、それだけでは、微妙な速度で上昇しても全く意味が無い、何故ならば上から相手が迫っているのだから。

この低速な上昇には意味がある、それは"上昇しながらの変形"、低速でクラスターは上昇しながら、再度人型形態に変形し、その瞬間、もはや回避不可能なほどに接近した敵を見た。

「君には敬意を払うよ、だから、僕の機体を傷つける事を許そう。 でもね……何時からシャドウコルベットが三機だと錯覚していたのかな!?」

人型形態に変形した所で、確かにクローアームと赤色レーザーの取り回しが良くなるため、確かにハザマの攻撃に対処はしやすくなる、だが、それでも往なし切れず攻撃を受けてしまうのは明白だった。
……しかし、ここでは人型形態になる事そのものに意味があった。

まず最初に、クローアームが相手のバタフライナイフと激突する、だが、強度ではあちら方が上のようで、その一本一本が細いクローアームのうち半分近くが力任せにへし折られる。
当然相手は、そのまま連撃を食らわせるだろう。
事実、最初の一発や二発はクラスターに直撃し、とても無視できないような巨大な傷が、胸部や頭部にできた。

だが次の瞬間には、クラスターはミサイルを発射後即座に起爆する設定で乱射する。
当然、ハザマと自分を巻き込むように無数のミサイルは炸裂する……つまり、爆発で自分と相手を引き剥がすことによる回避、これを狙っていた。

……しかし、クラスターの攻撃は終わらない。
その吹き飛ばされる瞬間、クラスターの体が"先ほどのように歪む"。

至近距離からのミサイル一斉射撃を食らったであろうハザマの目の前には、無傷のシャドウコルベットが一機、滞空していた。 他の二機や、撃破された一機と違うのは、人型形態の方で現れたと言う事だ。
もしもこれが飛行形態で現れて、目の前で人型形態へと悠長に変形すれば、ハザマは攻撃するなり、迎撃する準備が整えられただろう、だが、このシャドウコルベットの初期形態は『現在の本体の形態と同じ物』となるのだ。 つまり、クラスターが使いたくてしょうがなかった必殺兵器を、一切のタイムラグ無く発射する事が出来る。

意志の無いはずのシャドウコルベットのカメレオンのようなカメラが、相手をあざ笑うかのように怪しく光り、左手をハザマに向けて……そこから先端に針の付いたワイヤーを発射する。
これは、突き刺さった相手に電流を流し込み、脳を破壊する兵器だ。 流石にシャドウコルベットの物ではそこまでは行かなくとも、動きを封じるには十分。

そして、そこに……先ほどから本体を助けるような行動を起こさず、ずっと『計画通りの位置で待機していた』二機のシャドウコルベットが、無防備となっているであろうハザマに対して、トドメの赤色レーザーとミサイルの総攻撃を叩き込む。

「これが、僕の力だ」

そう笑いながら、クラスターは自身のミサイルで受けたダメージのせいで機体コントロールができず、墜落していった。

>ハザマ


【という事で、次で決着とならなかった場合、その次でこちらは撤退させますー!】

9ヶ月前 No.157

獅子心 @zero45 ★h2BOlEz4kD_FR1

【ナコーン/酒場/レオンハルト・ローゼンクランツ】

 共に苦楽を分かち合い、共に同じ志を抱き、共に戦わんとする精兵達を率いて戦場で荒ぶる剣士。怒涛の勢いで敵を蹴散らす猛進ぶりは、さながら鬼神の如き様相で。されどもその邁進も、此処に来て終わりを迎える事になる。
 謂れなき罪を被せられて命を散らせし無念の亡霊。底無しの怨嗟の声を挙げる黒き軍勢が、山羊の号令と共に強襲を仕掛けて来る。精兵が一人、また一人と呪詛の猛毒に冒され死に行く中で、殿を務める男は冷静沈着とした様子で大剣を構え、静止する。

「嘆き喚くだけの怨霊如きに、不覚を取ると思ったか! その深き怨恨、我が灼焔を以て荼毘に付すが良い……烈焔旋風斬!」

 高らかと紡がれる詠唱。宿主を離れ、剣へと注ぎ込まれて行く魔力が、紅蓮に燃え盛る灼焔となって厚き刃へと纏わり。最高の好機来たれりと断じたその刹那、大地を蹴って空中へと飛翔し、回転しながら燃える剣を振り回す。
 その勢いは焔の竜巻を生み出し、四方八方より攻め入ろうと自ら虎穴に入った怨霊を一網打尽に焼き尽し、更に徐々に広がる竜巻に巻き込まれた怨霊もまた、焔に焼かれて消し飛ばされる事となった。
 怨霊を蹴散らし、地面へと着地した彼は、反撃の機会を窺いつつも、剣を構え直して敵の攻撃に備えんとする。同胞を喪った辛さはあるが、それを悲嘆するにはまだ早い。今はこの戦いを切り抜ける事だけを考える。

(この体格でありながら大剣を片手で扱うだと!? 冗談じゃねえ……だが、もしかすると)

 その時の事だった。凄まじい身体能力の持ち主である事を窺わせる程の跳躍を見せ、大剣を片手で軽々と振り回す女性が現れ、此方の頭を叩き割らんと剣を振り下ろして来る。それを見て、真っ先に浮かんだ人物はただ一人。
 "マロン・アベンシス"――魔道帝国の将軍。武芸の腕前は天下一品とも称せられる事で有名な他、別の側面に於いても其の名が知られている。しかし、仮にこの場に居る彼女が、本当にその当人であったとすれば……非常にまずい状況だ。

「シフォン……! 助力感謝します!」

 豪腕によって振り下ろさる大剣を受け止めんと、此方もまた大剣で応じようとするその寸前。二人の間に展開された流水の障壁が、剛断の刃を受け流す。その間に後方へと退避した彼は、聞こえて来た声の主の方向を見やる。
 つい数十分振りの再会。同じく司令官を務めるシフォン・ヴァンディールの姿が其処にあった。彼女の実力も合わされば、この場を切り抜ける事自体は容易と言えよう。問題は、目の前の大剣使いを如何にして撤退へと追い込むか、その一点に尽きる。

「轟く大地の叫びをしかと見よ……地裂撃!」

 再び紡がれる詠唱。注ぎ込まれた魔力は、今度は目に見えぬ姿を保ったままで。十分な魔力を収束させたと断ずるや否や、両手で構えた大剣を全力で大地へと叩き込む。
 刹那、放出された魔力が地を奔って二人の敵の足元へと向かって行き。凄まじい勢いで進路上の地面を次々と隆起させ、岩柱を天へと突き立てて行く。捕捉されたが最後、激しい勢いで衝突する岩柱によって、重傷を負わされる事になるだろう。

>ミルグラム・ゴート マロン・アベンシス シフォン・ヴァンディール

9ヶ月前 No.158

亡国の末裔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ナコーン/市場/ソレミア・ラガルデール】

攻撃が失敗したことにより、相手の女性は唸り声を上げながら爪を噛み、苛立ちを表現する。よく見れば、彼女の爪は、既に何度も噛まれてぼろぼろになっていた。
これは、明らかに精神に問題を抱えている人物の行動だ。自分に対する恨みも妄想の類なのではないかとソレミアは勘繰るが、どうやらその推測は間違いであるらしい。
彼女は、ラガルデール王家を憎んでいるようであった。何故、そうなったのかは分からない。ただ、その怨嗟が尋常ではないことは、はっきりと感じ取れる。
ソレミアは覚えてすらもいない父や母の所業か。あるいは、姉との間の問題か。いずれにせよ、何もかもを知らない彼女にとっては、とばっちりもいいところであった。

黄金の剣が、敵の生成した巨大針と激突する。貧弱そうな見た目をしていながらも、強度はかなりのもののようで、結果として起こったのは鍔迫り合いであった。
周りの敵兵達が援護射撃を放つ前に、何とかこれに打ち勝たなければ……ソレミアがそんなことを考えながら力を強めた瞬間、相手の女性は突然声を荒げる。
そこでソレミアは、はじめてこの女性の正体に気付く。カシュタン・コルーカル。コルーカル家といえば、ラガルデール王家に長らく仕えた側近であり、国においても非常に重要な役目を担っていた一族だ。
そんな彼女がどういう経緯でラガルデール王家に対して恨みを向けるようになったのかは分からないが、もしかすると彼女は、姉の消息について何か知っているかもしれない。

「あなたは私の父上や母上に何をされたの? 私は何も知らない。それを教えてくれないと、どうにも出来ないわ」

父や母に代わって謝罪をするにしても、当時0歳であったソレミアにとっては全く無関係のことであり、相手の説明がなければ、判断を下すことすらも出来ない。
こちらの攻撃を弾き、針の雨を降らせる敵に対し、ソレミアは咄嗟に地中から取り出した鉄で盾を生成すると、その影で攻撃を凌ぎながら相手に問い掛ける。

「姉を探しているの。名前はプーリッシュ・ラガルデール。あなたもきっと聞いたことがあるはず。姉のことを知っているなら、それを話してちょうだい」

ラガルデール王国第一王女、プーリッシュ・ラガルデール。ソレミアの実姉であり、皮肉ながらも、その失踪が、王国崩壊の原因となった人物。
ソレミアは元服を迎えてからの5年間、魔道帝国の支配が徐々に広がっていく中で、各地を旅しながら、行方不明の姉についての手掛かりを探し求めていた。
かつての側近の一族と、こんな形で顔を合わせることとなるとは夢にも思っていなかったが、姉のことを知っている可能性が高いのも事実。
故に、ソレミアは反撃を仕掛けることなく、相手に質問をぶつける。ようやく辿り着いた、一筋の光に縋る思いで。顔すらも知らない、姉の幻影を追い求めて―――

>カシュタン・コルーカル、ショコラ・ヴァンディール

9ヶ月前 No.159

クランの猛犬 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【アベリィの本体様すみません、絡み切らせて貰います】

【時空防衛連盟→ロンカ村/エントランス→養鶏所/ランサー】

「アンタ随分と慕われているんだな。オレも修行時代を思い出す」
 舎弟の話を聞き、腕を組んで影の国と共に修行し敵としてではなく、友として最期の一夜を過ごし討ち取った兄弟子の事を懐かしそうに思い出すと出動命令のアナウンスが鳴り響く。
「もちろんだ。じゃあなお二人さん、次会ったらまたこうして語ろうや」
 戦意が昂り、タバコを揉み消すと別れを告げると喫煙室から立ち去り、アロハシャツから青いダウンジャケットに着替え直した。

 時空へ飛び立つと、そこは雪国であった。
 どっかの誰かが「雪が積もったら犬は庭を駆け回るのが常識だろう」とランサーが心底腹が立つ皮肉を飛ばしそうな風景だったが、ランサーはそういう発想はまずない。
 ランサーは顔に当たって鬱陶しく感じる雪防止にフードを被って、雪をぎゅっぎゅっと押し固めて雪道を歩くとそこは養鶏所だった。
(……静かすぎて、逆に不気味だな)
 そうあちらこちらに流血沙汰が繰り広げているというのに、ここの被害は鶏だけだ。
 緊張が走る。ランサーは顔を強張らせて薄暗い鶏舎の中に入り、フードを脱いで朱色の魔槍を手にすると青い髪を晒し周囲を警戒しながら奥へと進む。
 鶏のシメ方はまるで歪曲の魔眼の如く捻りきられており、明らかに人ではない屠殺行程だと分かった。
 いつでも薙げれるようにと神経を尖らせ白と黒の風景を進んでいくと、火が爆ぜる音が聞こえた。
「……」
 ランサーは怪訝な顔をし、遭難者か何かと半信半疑で火元までくると。
 黄色いローブを纏った人と凍えている少女を見た。
「おい、アンタ。歴史是正機構の者か」
 静かにそう問いかけた。

>黄衣なる者(フォッサ アベリィ)

9ヶ月前 No.160

葛葉の一枚看板 @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_7FY

【ナコーン/森林/17代目葛葉 ライドウ】

「どんなご高説を垂れるのかと思えば、なるほど全て机上の空論だな、貴様社会に出たことがあるのか?」

ライドウはイスマリアの言葉を全て机上の空論と切って捨てた。当然だ、ライドウからしてみればこの女の理論は穴だらけだ。
強者のみで世界が回るとでも言いたいようだがそんなことはない、弱者には弱者の役割がある。
例えばそれは産業であったり、例えばそれは工業であったり。剣を取れないから生きる価値がないなどという理論は馬鹿げている。
この村の連中にしてもそうだ、日々生きるために何かを生産し、労働に励み生きている。それすら無駄と切り捨てるのは暴論以前の問題だ。

「弱者には弱者の役割がある、社会の歯車となっているのは大勢の弱者だ。一握りの強者がその上に立っているに過ぎん
 その価値すら理解できぬ貴様に未来を論ずる資格はない、強者だけで社会を成り立たせようなどというのは絵空事だ」

『そしてそれは過去を変える言い訳にはならんのじゃ。盛者必衰、この国は様々なものが積み重なって滅ぶべくして滅ぶ、例え今日滅びずともいずれ必ず滅ぶのだ
 例え一年後にまた滅びかけた時にお前さん方はまた介入するのか?』

ライドウはコルトライトニングに弾丸を込めながら言い募る、強者だけの世界に秩序はない、あるのは足元を疎かにした利権の奪い合いだけだ。
そんな世界は確かに文明は進み活力は増しているだろうが、混沌(カオス)に塗れている、力こそすべて、弱肉強食、それは人間の世界ではない、本質は動物と同列なだけだ。
やはりこのような連中は野放しにできない、交渉の余地など最初から存在しない。
ライドウが弾倉に込めた弾丸は『暴威弾』、非常に高価だが戦艦の装甲すら抉り取るバケモノ弾だ、今度は死体の盾という手段は通じない。死体ごと撃ち抜くだけだ。

「今度は滅ぶ国の将か、まあなんでもいい。全て相手にしてくれる、やるぞフツヌシ」

今度増えた相手は見たところ魔術師の類か、口では何でもない風を装ったが厄介そうな相手だ。
その歳が無駄に費やされているのでなければイスマリアより厄介かもしれない、だが結論は変わらない”両方相手にするまで”だ。
悪魔の二体同時使役、今はまだ晒す時ではないが、やるなら必殺の機会を窺わなければならない。
フツヌシとライドウの視線が交錯する、互いに頷き合うと同時に行動を開始する。

「ゆけ!」

『応! ”雄渾撃!”』

フツヌシハ剣を束ねて魔大老エストに渾身の力で振り下ろし、次いで残った剣を四方から一斉に襲わせる。
そしてライドウはイスマリアに銃弾を見舞う、この暴威弾は戦艦の装甲すら抉り取る、死体の盾などという同じ手を使えばその先には明確な死が待つ。
ライドウが放った銃弾は三発、それぞれ頭、腹、膝を狙っている。

>イスマリア・ザルヴァトール、ギギナ、桐生戦兎、魔大老エスト、ALL

9ヶ月前 No.161

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

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9ヶ月前 No.162

血に飢えた玉兎 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ナコーン/果樹園/雪葉】

死角からの攻撃。戦場において、気配を消した相手から攻撃されることは即ち、死に直結する。咄嗟の反応で事なきを得たものの、相手は明らかに驚愕の表情を浮かべていた。
その様子を見て、雪葉は気味の悪い笑みを浮かべる。そうだ、これを待っていた。何が起こっているのかも分からないまま蹂躙され、死んでいく敵の姿を。
視界に入れられない限り、彼女がこちらの存在を悟ることはないだろう。気配がない以上、敵に出来るのは音や視覚といった情報を頼りに、こちらを探すことだけ。
丁度、あちらから見えないように木陰に隠れているのだ。見つけることなんて無理に決まっている。敵は手当たり次第に攻撃を放とうとしているようだが、どうせ無意味だろう。
……だが、その慢心は雪葉に危険をもたらす結果となった。攻撃が飛んできた方向に相手がいると予測し、放たれた一撃。それだけなら、まだ普通のことだ。
しかし、威力が尋常ではない。遮蔽物も木々も知ったことかといわんばかりに、白い光が全てを消し飛ばしながら進んできている。こんな力があるなんて、聞いていない!

「おほぉっ!? いくらなんでも派手にやり過ぎじゃないですかぁ〜!?」

何とか寸前で躱すことには成功したものの、今度は逆に雪葉が驚愕の表情を浮かべることとなった。範囲攻撃の類が来ることは予測していたが、破壊力が想像を遥かに超えている。
とはいえ、最終的に傷を受けなかったのでよしとしよう。遮蔽物がなくなったことによって、必然的に相手に存在を悟られることとなったが、恐怖はまだ終わらない。
気配が消えているということは、殺気や闘気といったものでこちらの動きを予想することが出来ないということ。つまり、相手は雪葉を視界に入れ続けない限り、再び不意打ちを受けることになるということだ。
そしてこの玉兎は、自らの能力の性質を"利用して"、他人を虐殺することを楽しむような人物。当然、相手の視界から逃れる方法など、熟知している。

「でも、私がここにいる実感はまだないんじゃないですか〜? 例えば、こうすればっ……ほらっ!」

そこにいるのに、いないかのような感覚。視界の中に人がいるというのに、その人物は気配を発していない。まるで、幻覚を見ているかのような錯覚を、相手は覚えていることだろう。
次の瞬間、雪葉は加速し、敵の視界から外れるように動く。こちらの動きを目で追われれば意味がないが、一度でも視界の外に出れば、もう相手は雪葉がどこにいるのか分からなくなる。
まんまと背後へ回り込んでみせた雪葉は、そこでブラスターの引き金を引き、弾幕を発射すると、敵がそれに気付く頃合いを見計らって、また正面へと戻ってくる。
前後からの挟撃。気配なき敵から時間差で放たれるそれを、完全に回避し切るのは至難の業だろう。彼女は面白さで吹き出しそうになるのを堪えながら、座薬のような形をした弾幕を、指先から放つ。

>蓼科祈

9ヶ月前 No.163

スパルタの代名詞 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ナコーン/森林/フォッサ・セントライト】

身体を襲う寒さを気合で打ち消しながら、索敵を続けるフォッサ。そんな彼女の耳に、怪しげな音が聞こえてくる。否、正確に言えば音は聞こえてきていない。
だが、何者かが後をつけてきていることは察知出来る。敵か、味方か。こちらが見える状態で、わざわざ合流せずにコソコソと動く味方がいるとは思えない。
となれば、敵か。だが、すぐに立ち止まっては不審に思われ、姿をくらまされてしまうかも知れない。しばらくは、このまま泳がせておくとしよう。
そうして森の中を進むこと数分。複雑な軌道を取っているにも関わらず、自分を見失わずに付いてきた何者かに称賛の声を心の中で送りながら、フォッサは意を決して後ろを振り向く……と、その時であった。

丁度彼女が背中を向けると同時に、木陰から大量の弾丸が放たれる。しかもそれは、ただの弾丸ではない。魔法を宿した、俗に"魔弾"と呼ばれる代物だ。
咄嗟に屈むことでそれを回避したフォッサは、思わず舌打ちする。魔弾使いが敵にもいるとは。同じ能力を使う相手ということは、はじめから弱点を知られているも同義。
即ち、単純な実力で遅れを取れば、その時点でほぼ勝ち目がなくなるということでもあるのだ。理想的であるとはいい難い状況に、彼女の表情が強張る。

「不意打ちとは卑怯じゃあないか。男なら正々堂々、正面から掛かってきな」

フォッサは不意打ちという手段に出てきた相手に、そう啖呵を切る。とはいえ、相手の虚を突くというのは、戦いにおいても重要な戦法の一つだ。
成功すれば、確実に一打を与えられる手法なのだから、それを使わないという手はない。勿論フォッサはそうしたやり方を好んでいないが、相手に文句を言ったところで所詮は言い訳にしかならないだろう。
未だ、もう一人の姿は確認出来ず。これは、挟み撃ちされた格好となったか。何にせよ、まずは目の前の男を倒さないことには、生存の可能性も見えてこない。

「まあ、あたしの好みを押し付けたところであんたには関係ないな、忘れてくれ。それじゃあ、こっちも行かせてもらうとするよ!」

人それぞれ、好みの戦法とはいう。偶然この男が、不意打ちを得意としているだけかも知れない。戦場で甘えは許されない以上、フォッサは直前の発言を撤回し、反撃へ移る。
両手で構えたリボルバー型の拳銃から放たれし弾丸。右手の銃から放たれた弾丸には炎が、左手の銃から放たれた弾丸には水が宿されており、それは一点で交わるように計算され、飛んでいく。
普通に考えれば、炎の弾丸が水で消化されてしまい、二重攻撃が意味をなさなくなるように思えるだろう。だが、当然フォッサが狙っているのはそのようなことではない。
弾丸同士が激突したその瞬間、炎と水の反作用が起こり、周囲に暴虐的な大爆発がもたらされる。衝撃波によって森林の木々は揺らされ、千切られた葉が宙を舞う。
これほどの広範囲を巻き込んだ攻撃だ。回避で対処することは難しく、敵の対応策は必然的に防御に絞られることとなる。魔弾使い同士、どちらが上手か勝負しようではないか。

>ダグラス・マクファーデン、ストラーヴ

9ヶ月前 No.164

蓼科祈 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4

【 ナコーン/果樹園/蓼科祈 】

 眩く輝くは遠近攻防一体の死の光。
 祈の操る異能はこの破壊の光一点であるにも関わらず、癖も無ければ欠点も一つとしてない。
 白い光に触れる万物一切は一撃で砕け散り、そうでなくとも触れ続けさえすれば端から砂となり無に消える。
 蓼科祈に遮蔽物という概念は存在しない。
 収束の後、撃ち放った輝きは木々を砕き、絵画を雑に切り取ったかのような孔を開けて突き抜け遥か彼方にて霧散する。

「……」

 聞こえてくるのは、――想像以上の威力に対する相手の驚愕の声。間違いない。
 技術か異能か。いや、どちらもだろう。タチの悪いことに敵はこちらの知覚の外で自由自在に動いている。
 吹き飛んだ木々。一瞬だけ確認できたのは兎耳の女。
 敵はあれ一体だけ。だが、おかしい。そこにいるはずなのに炉端の石ころ、あるいは雑踏の一般人のように認識が出来ない。
 それこそ注視していなければ見逃す程に、……存在感が薄すぎる。

 炉端の石。河原の特定の石を認識し続けるのはよほどのことでない限り行わない。
 あるいはそこらの一般人。己と関わりの無いものを記憶に入れ続けるほど人の脳は進化していない。
 視界に入れて初めてその敵対者を認識出来た。裏を返せば――。

(――視界から外れればどこにいるのか分からなくなる、ってわけ)

 馬鹿でも出せる結論だ。視界に入って初めて気づいたということは、見失えば、本当に何処にいるのか分からなくなる。
 気配や殺意、視線といった全てが封じられている以上距離感も位置感覚もアテにならない。
 追うのでは駄目だ。理屈も絡繰りも分からないが、それを出来る相手がこちらが追いきれるほど鈍重なわけがない。
 相手が己の力を理解していないはずはなく――速度と機動力はそれを支える武器として用いるだろう。

 やるべきことは、見ることじゃない。

「――滅光剣」

 右手に武装形成。純度の高い純白の光が寄り集まり、白銀の剣へと変化する。
 破壊の剣に斬れぬものも貫けぬものもありはしない。格は下がっているとはいえ世界の創世の対となる力。

 正面の敵が笑う。
 せせら笑う。捉えられまいと。お前には見えまいと。愚鈍なお前と己には純然たる格の違いがあるのだと。
 反吐が出る。破壊しろ蓼科祈。お前のやるべきことはただ一つだろう。
 その程度で驕る相手を、――上から潰せぬようでは平和を語る事さえ出来やしない。

 敵が動いた。停止からの急激な加速。只でさえ捉えにくい動き。
 そして、相変わらず感じられない相手の存在感、――万が一相手を視界から外せば位置が探知不可能になる。
 天界でも行っていた"気"による探知? 不可能だ。そも、それを容易く許すほど相手の力は軟弱ではない。
 視認直後から行ってはいるが、うすぼんやりとしたそれは大気と同程度にしか感じられない。
 一瞬の残像後、相手が視界から消え――次に聞こえた照射音に一歩遅れて踵を旋回。後ろへ振り向き滅光剣で切り払う。
 じゅぅという焦げるような音、そしてぱきんという砕ける音。剣の一閃を浴びた弾幕は雲散霧消。

   、  、  、  ・・・・・・・・・・・・・
 そして後ろを向いたまま空いている左手を背後へ向け破壊の光を充填する。
 掌に白光は渦を巻いて集い、球を形成。

「――ベラベラ喋るのは三流のやることよ。ばーか」

 捉えられぬ相手へ挑発の言葉一つと共に、――何も感じられない虚空であるはずの箇所へ向けて破壊の砲弾を放つ。
 滅びの光は直進する。大気を破り祈の背を狙う座薬型弾幕を破壊し、勢いを落とさぬままほくそえむ雪葉の胸元へと。

>雪葉

9ヶ月前 No.165

ハザマ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_FR1

【グリア村/民家/ハザマ】

「はは! 噛み合いませんねえ、それだけに惜しい。
 生憎と私が欲しいものは、貴方のようなタイプはあまり持ち合わせていないものでして。経験則というヤツですか」

 狂信者という存在の何が恐ろしいのか。その全ては、偏に優先順位の違いこそにある。
 生命という大方の人間が最優先順位に置くだろう要素が、しかしこれらの存在からしてみれば彼方に置き去られているのだ。いときに輝く非実体の光のためならば、その実体を持つ器を容易く投げ捨てることの出来る、傍から見れば阿呆としか言えぬ精神性。
 人はそれを狂気という。他者には決して共感のつかない域において、一つ事への確信だけで全てを動かせるようなものこそが狂気だ。その悍ましさは語るに及ばず、その熱意は誰にも譲ることは能わない。善性がどうだの悪性がどうだの、それはそんな話からはそもそもズレにズレたような結論だ。狂信者の思考は自分の代わりに信仰という柱を中心に立てる。この狂機も、例外ではない。

    、 ・・
「(やはり、違う。コイツじゃない。私の知りたいものはコレではない。
  それだけにそのヘルガ様とやら、本気で興味が湧いて来ましたね。狂信者に“自分を理想の為に切り捨てられるからこそ”などと言わしめる器と精神性………―――それが分かっただけでも収穫はありますか)」

「確かに、手古摺りましたが………ではその黒翼、へし折ってあげましょうッ」


 だから、違う。ハザマは確かにその熱意には興味があるが、それは本命とは程遠い興味だ。
 所謂“寄り道”の感想でしかないのだから、それ以上この狂機を突っつこうとも思わない。
 彼が知りたいものはひとつの共感だった。たったそれ以上は何も欲することはなく、それ以外に色を見出せるほど彼は人間を肯定しない。ハザマが紡いで来た先程までの言葉は嘘ではない、正義、人道、そんなものは路上のクソにさえも劣る障害物だ。

 ………さて。話を戻す。
 もしも目前に飛び回る狂機クラスターから感情を引き摺り出すとするならば、彼ご自慢の黒翼をへし折る以外の方法は“ない”だろう。
 唯一にして至高の光と彼の中で定められているものを此処から傷つけることは適わない以上、ハザマが成すべきとしたのはその意志と思考を諸共踏み躙る行為に他ならなかった。彼があるモノを求めるために行う行為は、基本そういう下衆の行いに終始される。
 そう、彼の本質は蹂躙だった。最も性質の悪い系統の、踏み荒らし、踏み躙る最短の走破である。

 それらの行動に悪気などそもそもない。単にそちらの方が手っ取り早く、効率的だから。
 倫理道徳を無視するならば、社会的に悪と言われる行為は極めて行動への過程と距離を縮められる。
 対話をしておきながら、揃いも揃って“目の前のそいつを先ず殺害する”ことを考慮しているこの二人は、別に悪意が好きだからそれを振り翳しているわけではないのだ。ただ単に、周囲への影響を考えなければ其方の方が近いから、それだけに過ぎない。

 故に、双方そのための手段には遊びを持たない。確実に詰め、確実に殺す。
 ハザマは特にそれが顕著だ―――これまでのウロボロスで反射速度を確かめ、目の良さが命取りになるような奇術じみた変則攻撃。加えて距離を詰めるまでの被害と速度の効率化と、確実に本命を叩き込むための徹底した布石の連続。
 一度殺しの手に回れば迅速かつ正確無比。戦士の戦いというよりは、狩人の戦い方だ。
   、  、・・
 ………そう、双方。詰めるための手段には、確実さと迅速さを選ぶ傾向にある
    それは時として、自分のダメージをチップに積むことを躊躇わない程度には、だ。

 直撃コースに入った。
 実際にクローアームを切り裂き、無視できないダメージを入れた確信はある。
 ………だが。ここで、ハザマとしては殺すつもりで叩き込んだこともそうだが、何よりも低速上昇という、わざと命中の猶予を残した行動こそが引っ掛かる。そんな真似をして、わざわざ近接戦の土俵で性能を見せつけたいわけでもあるまい。
 この狂機が聊か自分の機体を見せびらかしたがる性質であることは重々承知したが、これは勝利の好機をわざわざ逃すような阿呆ではない。まして、相手を侮ることがもしあるとしても、その上で相応の善手を打つ程度の戦術的思考を持ち合わせていること程度は十分に読めた。それは、今この状況でそのような雑な上昇行為を行う意味がないということであり。
 つまりは―――


「………ち―――」
「(なるほど、誘い込んでいたのは彼方ですか。伊達に傑作を自称しているワケではないと見える)」


 懐に飛び込んだ此方へ、待ってましたと熱烈歓迎をする用意があるということだ。
 零距離からのミサイル一斉射撃。自分諸共弾き飛ばすつもりの射撃だろうが、
 当然術式防御を込みとしても人体と機動兵器では、凡そ耐久面において後者にこそ軍配が上がる。魔素の術式転換が間に合わない、間に合ってもアレだけの零距離の暴力となると、即死と戦闘不能を避ける程度の真似しか出来ない。

 此処までは、恐らく両者読み通り。
 爆風で双方吹き飛び、ハザマの肉体にも少なからず無視し難いダメージが入る。
  、 ・・・・・・・・・
 ―――それを諸共弾き返すことは出来た。だが、それを行っていれば心底手遅れになっていただろう。

 なぜならば、吹き飛んだハザマの目前に飛び込んで来たものは、四機目。
 それも最初に現れた時と全く同じ形態を保っていた人型だ。
 わざわざ着弾地点を予測したような射撃を仕掛けて来る辺り、彼方は彼方で殺す算段を立てて動いて来ていると見える。素晴らしいほどのキリングマシーン振り、素晴らしいほどの詰ませ方だ。

「―――これは、また。隠し玉が其方にもあるのは予想していましたがねェ」
「(四機目か! 手持ちの多いことだ、自信だけのガラクタならばやりやすかったものを)」

 ―――だが。それならそれでやり様はある。
    ギリギリまで引き付けて、後方の幻影たちが一斉射撃をするタイミングを見計らう。

「ヒヒ、これは詰みですかね? これが貴方の力ということですか………」

 1秒でも時間を見誤れば即ち死だが、そこにハザマは大して頓着しない。
 死ねばそれまで、その程度の思考で十分なのだ。未だ確立もしない自分の肉体に頓着するつもりはない。だからこそ、狂おしいほどに求むる■■のために、病的な正確さで、全種の攻撃が範囲内に収まるタイミングを見計らって―――。




「………なあんちゃって、ざァァんねんでしたァアアアアッ―――《障壁解放》ォッ!!!」



    、   、   、   、   、   、 ・・・
 金眼が哄笑に合わせて開かれた瞬間、ハザマの切り札と仕込みが姿を現す。
 まず後方からの射撃攻撃の全ては、どういうわけかハザマの肉体には一切届かない。
 ハザマの肉体周辺から放射された翠色の魔素が可視化出来るほどの奔流と衝撃波となり、全方位の攻撃を叩き落とす。短く見積もっても充填には戦闘一度きりのワイルドカード、本来は攻撃用に使うための要素を全て防御に回した一手だ。
 単純な障壁とはわけが違う。指向性を持たせて炸裂したそれは災害を彷彿とさせる勢い、かつ刹那の速度で膨れ上がって周囲を薙ぎ払う。攻撃能力自体は持たないことが欠点であるが、二機のコルベットから撃たれた一斉射撃程度ならば纏めて弾き落とせるだろう。
 ………では、残る前方のコルベットはどうするのか。ハザマに行動の猶予は、断っておくが殆どない。故にそれを撃ち落とす肉体操作は不可能、ウロボロスの再展開よりも僅かに射出されたワイヤーの方が速度は早い。
 それが命中すれば、いよいよ防御に意味はない。そもそも後方のダメ押しじみた全力射撃よりも其方の方が遥かに着弾速度は速いのだ、これが成立していれば最初からハザマの“鬼札”など意味を為すものではない。

 つまりは、それが何らかの要因で防がれたという事実に他ならない。
 それこそがハザマの“仕込み”の正体だった。



 ―――ところで。
   、   、   、  、  、  、   ・・
    ハザマが初手で展開、射出したウロボロスは四本ある。
    そのうち、狂機クラスターへと射出されたウロボロスは3方向。………つまり、三本だ。


 残りの一本は、さて何処に飛んでいたのか。
 ここまで事象兵器《アークエネミ―》を使いこなしたハザマがしくじることは先ずないだろう。

 ならば、その残り一つの蛇は果たしてどこに、何の為の目的を以て射出されていたのか。
 まさか、一度たりとも考えなかったわけではあるまいが………種明かしの時間だ。



「ヒヒ、ハハハ、ハハハハハハハハハァッ―――!!!」

 ―――ウロボロスのアンカーが地面を突き破り、そのワイヤーを噛み千切りながら高速で上昇。

 直角的な動作を以て鎌首をもたげるような方向転換をすると、人型のコルベットへと襲い掛かっていく。
 それはあわよくばコルベットを突き破り、墜落していくだろうクラスターを撃ち貫かんとする勢いだ。

 そう、地面だ。
 最後の一発は最初から地面にセットされている。

 ―――それは最初から最後まで、ある目的の為だけの“伏せ札”だったのだ。

 わざわざ派手な動作と爆風に紛れさせ、潜行させた上で何時でも不意打ちをするチャンスを見計らう。
 そうして決定的な隙を見せたのならば、その瞬間に死角から、全く予期せぬタイミングで蛇毒が猛威を振るう………それこそがハザマの描いていたシナリオである。
 つまり逆に言うならば、先程見せた殺しの詰め手まで全てがフェイク。
 あれで油断し切ったクラスターの喉笛を噛み千切ることこそ彼の狙いだった―――であるに、此処でいま一度立場は逆転。最後の牙が、前方のコルベットと奥のクラスターを纏めて撃ち貫くべく強襲する。


「それを窮地に使わざるを得なかったことッ、此処まで手古摺らされたことッ、認めましょう!
 ええ全て認めましょう、ですが―――まるで! 全然! 私を殺すには程遠いんですよねェ!!」


 ただ。それをわざわざ凌ぐために使わされたこと自体が、今回彼の劣勢を示すようなものだ。

 並の相手なら………否、並の相手でなくともあの段取りなら恐らく殺せていた。
 この相手に此処まで持たせたのがハザマの所為というなら、これは逆。
 ハザマの牙が届かなかったのも、偏にクラスターという相手がハザマと同タイプだからだ。

 一つ事の為ならば、それ以外の全てをゴミのように扱える精神性。
 言い換えれば仮令自分の命をチップにしてでも適切な行動を選べる、機械じみた、病気的な正確性。それらが導き出した行動が、ハザマの牙をわざわざ守勢に使わせる程度には危機を感じ取らせた。

「(とは、いえ。潮時ですかね。此処で欲をかくのは少しリスクが高すぎる)」
「(まあぶっちゃけ、足止めしましたし! 消耗させましたし、こんなもんでしょ)」

 だから、言葉の高揚なんぞはポーズに過ぎない。
 けらけらと笑いながら、ハザマが選んだのは追撃ではないのも、その表れだ。
 相手の手傷、自分のダメージ、全てを判断すれば残るコルベットを叩き落とすための反転こそが最適解。発射した仕込みの成果を見ることなく、まだ残る建物の方へと一発分のウロボロスを発射し、そこまで鎖を伸縮させて移動することでクラスターと前方のコルベットから距離を取る。
 そして、後方に二機存在する、先程射撃を掛けて来たコルベットへも、それぞれ二発ずつのウロボロスが、蛇牙のように上下から噛み千切るべく来襲していく。反撃しながらの後退による仕切り直しだ。

 これで相手の伏せ札も行動を取らざるを得ない。
 あわよくば撃墜出来るのが最善だが、そう上手く行かなくとも良いだろう。
 あくまでも死角を取った状況を排斥し。
 状況を仕切り直して再判断をさせる事こそが重要であるがゆえに。
 このように持っていけば、相手とてリスクの算段を始めるだろう。

>Cluster、(ALL)


【了解しました、最後の一発はてきとーに対処してくれて構いませんぜ】

9ヶ月前 No.166

芋娘 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【グリア村/池/パメラ・エンドネル】

帝国軍の手に落ち、絶望の色に染まっていたグリア村に光が満ちる。反帝国勢力の蜂起、それに助力する未来からの使者、時空防衛連盟の存在。
あれだけの勢いで快進撃を続けていた帝国軍が、足並みを崩して敗走している。あまりにも出来過ぎな大逆転に、一部の者はフィクションを疑うほどだろう。
だが、これは決して嘘ではない。今まさしく、現実に起きている出来事。ロンカ村からやって来た2人を後押しするかのように、山間から追い風が唸り声を上げる。
もはや、勝利は確実―――しかし、悪魔はそんな人の慢心を突く。勝利が見えたその瞬間、気が緩んだその瞬間に、足を掬おうと手を伸ばしてくる。そう、このように……

「!? 何すんだべ! っ……!」

背中を見せる敵に攻撃を放とうとしたその瞬間、隣に立っていたニケが、物凄い勢いで突っ込んできた。そちらには警戒していなかったパメラは、遥か遠くへ吹き飛ばされる。
突然の親友の暴挙に、彼女は声を荒げるが、直後にその理由に気付くこととなった。粉塵の中から現れたのは、魔道帝国の将軍が身に着けるような、黄金の鎧に身を包んだ男。
だが、その体躯から放たれる殺意と闘気は、並のものではない。これまで相手にしてきたどんな者よりも、強大な力を持つ存在が、パメラの眼前に君臨している。
ニケは、身を挺して奴の攻撃範囲から自分を弾き出してくれたのだ。直前に相手の叫び声が聞こえていたとはいえ、攻撃態勢に入っていたあの状況からでは、回避が間に合わなかったかも知れない。

「ニケ、あんがとな! 早ぐ奴ば倒してグリア村を助けんど!」

彼女は親友の勇気ある行動に感謝の言葉を送った後、既に火炎魔法で相手を攻め立てているニケに続いて、自らも両手に魔力を充填し、タイミングを合わせてそれを放つ。
狙うは敵の四肢。あれだけの怪力で殴られようものなら、一撃で骨をへし折られても不思議ではない。だが、奴の戦法は、接近戦だけに限られていると見た。
ならば、こちらに近付けないようにしてしまえば、どんな力も宝の持ち腐れとなる。雪国の自然を象徴するかのような、冷たい氷が、狂戦士の手足に絡み付く。
これで、動きを止めてくれれば御の字。しかし、先程のような力を見せて、無理矢理脱出してくる可能性も否定は出来ない。今度は何をされても対応出来るように、距離だけは開けておこう。
攻撃を放ち終えたパメラは、今度は自分がニケを護るのだといわんばかりに、彼女に重なるような位置に立って、相手の反応を待つ。小さな村の守護者は、巨大なる帝国の暴虐に、敢然たる態度で挑む。

>カリギュラ、ニケ・エタンセル

9ヶ月前 No.167

親の七光り @prismriver☆kFuUk0otHg5u ★TZkXkdft22_gIp

【城塞都市ギリダン/玉座の間/→正門/エスメラルダ・ナズグル】

母親は、自分が実力で将軍の地位を手に入れたことを理解してくれている。それだけでも、ありがたい。ありがたいのだが、早く道を譲れとは思う。もう年なのだから、そろそろ休んだって文句は言われないはずだ。国は、自分が動かそう。母親としても、国を娘が継いでくれるのなら本望なはずだ。この様子だとまだまだ居座る気なのかもしれないが、できることならこの戦いが終わったあとくらいにそうなってくれないかと思う。

「何を言っているのお母様、私が死ぬはずないでしょう?」

パージルクの心配を受け流すかのようにそう答えて、エスメラルダはマロンの方を向く。敵に肩入れする気はないといっているが、本当はどう思ってるかなんてわからない。それに、この国の悪いところなんてあるはずがないじゃないか。こんなに幸せな暮らしができる国なんてそうそうない。少なくとも、ブールーン民主共和国のころは最悪だった。ラガルデール王国はよく覚えてないが、魔道帝国が一番なことに変わりはない。

「私もうるさい奴らを黙らせに行くわ。あいつに手柄を独り占めされるわけにはいかないもの」

マロンが前線へ行ったのを見て、エスメラルダもパージルクにそう言い残して戦場に向かう。だが、ナコーンより北は寒いのであまり行く気がしなかった。命令されたら仕方がないが、今は自分の意志で動いているので、どこへ行くかも自由。結局エスメラルダは、魔道帝国の正門に陣取る。そろそろ、うるさい奴らが来るのではないかと思ったが、案の定だった。門の外には敵が大勢押し寄せている。兵士たちに任せておいても負けることはないだろうが、目立ちたい彼女は積極的に前に出ていく。

「わざわざ死ににくるなんて、馬鹿な奴らね。自分の選択を悔やみなさい!」

背中に背負った日本刀を引き抜いて、相手の頭上に振り下ろす。敵は真っ二つに引き裂かれ、ぴくりとも動かなくなった。その様子を見て怖気づいた敵に、エスメラルダは追撃をかける。一人、また一人と、反帝国勢力が血しぶきをあげながら死んでいく。何も知らない者からすれば、魔道帝国の将軍が目の前にいるというだけで恐怖だろう。

>>ALL、(パージルク、マロン)

9ヶ月前 No.168

赤色 @prismriver☆kFuUk0otHg5u ★TZkXkdft22_gIp

【時空防衛連盟本部/休憩室/RED】

好きなものだけ食べろと言われても、あまり食事に興味がないREDにとってはどれも普通なので、困ってしまう。まあ気分でいらないと思ったものだけ残せばいいか、と彼女は相変わらずマイペースに食事を続ける。よく噛んで食べるくせでもあるのか、口に入れてから飲み込むまでの時間がとても長い。大体、1分か2分に一口といったところで、この調子ではいくら少食だとしても、満腹になるまでかなりの時間を要することだろう。

ミシャールまでこっちのペースにあわせて食べているので、なんだか申し訳ない気分になってくる。本当に、どうして自分なんかを気にかけてくれるのだろうか……REDは不思議で仕方がなかった。質問への答えも、彼女を心の底から納得させるようなものではない。別に自分はミシャールに汚されたわけでもないし、何の責任を感じているのかもわからなかった。

「そう、ですか……よく、わからない、です」

いつからかそんなに食べなくても動けるようになったし、笑うことについても、何かおもしろいことがあるわけでもないのに、とREDは思う。ミシャールが頭をなでているが、少しムズムズする。嫌なわけじゃなかったが、少しだけ怖さもあった。あまりに他の人間と扱いが違いすぎて。時空防衛連盟に来てから、自分を何かと気にかける人が多いような気がする。ここの総統もそうだった。REDは兵器となって以降、世界政府の都合で幽閉されていた時間が長かったため、誰かの優しさを受けることに慣れていないようである。

>>ミシャール

9ヶ月前 No.169

まあ偉いローマ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_FR1

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9ヶ月前 No.170

血に飢えた玉兎 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ナコーン/果樹園/雪葉】

見失ってる見失ってる。相手の視界から完全に外れたことを認識した雪葉が、密かにほくそ笑む。こうなってしまえば、これまでの経験上、もらったも同然だ。
だが、最初の攻撃で相手も只者ではないことが分かっている以上、慎重にならなければならない。油断して攻撃を食らうようなことがあったら、その瞬間アウトだ。
幸いにも、幻想郷での戦いで避けることには慣れている。不意打ちでもされない限り、そう簡単に当たることはないだろう。というかそれは、こちらの専売特許だし。
まるで空気も同然に、音もなく忍び寄る暗殺者。雪葉は勝ち誇った様子で、弾幕の行く末を眺める。しかし、やはりこの女は、楽に倒せる相手ではないらしい。

背後から放ったブラスターの射撃は、光を束ねて作られた剣によって打ち消された。だが、それだけではまだ不十分。もう一つの攻撃が、ひたひたと背後からにじり寄る。
さすがにこれには反応出来ないか……そう思われた次の瞬間、敵の左手に光が収束する。光は渦を巻きながら一つの珠となり、破壊の砲弾として打ち出される。
座薬型の弾幕は、もはや意味をなしていなかった。元より密度重視で、単発の威力はさほど高くはない攻撃だ。桁違いの力を前には、どうすることも出来ない。
相手をしっかり見ていたので、今度は反撃に驚くこともなかったが、それよりも放たれた言葉の方が癪に障る。馬鹿だと? 馬鹿はどちらだ、この破壊女め。

「人を馬鹿にしちゃいけないって習いませんでしたか〜? あっ、もしかしてこの声もどこから聞こえてるか分かってないんですかね? いや〜大変そうですね本当に!」

雪葉の能力はあくまで気配を消すものであり、大きな音を出せばさすがに居場所を悟られる。相手からすれば、誰もいないはずの場所から声が聞こえているように感じられるだろうが。
しかし、それよりも前に動いてしまえば、結局は同じことだ。挑発に対して挑発を返した彼女は、次の瞬間には木陰に姿を隠していた。まだ相手は、気付いていない。
かつて潜入任務に従事していた際の経験を活かし、足音を立てずに女へと接近していく雪葉。暗殺は得意中の得意。気配のない相手が、視界の外から迫ってくる恐怖。

「これじゃあ私が近付いてきてることだって分かりっこないですね! さーて終わりにしよっと」

もう身体が接触するというその直前、雪葉はわざとらしく声を出して自分から居場所を教え、ブラスターを敵に密着させた状態で引き金を引く。これなら、どう足掻いても避けようがない。
躱す余地があるとすれば、彼女が声を出してからブラスターの引き金を引くまでの僅かな間。故に回避という選択肢は現実的ではなく、防御を選ばざるを得ないだろう。
無論、それをさせないために、背後に回り込んでいるのだが。雪葉はあくまで舐め腐った態度を取り続ける。それは、自身の能力が絶対であるという、自信の現れでもあった。

>蓼科祈

9ヶ月前 No.171

Futo・Volde @nonoji2002 ★7KU5qNWZJU_D9v

【時空防衛連盟本部/エントランス/喫煙室→移動/アベリィ・シルバラード】

「それだけ尊敬されてたことの裏返しってことじゃない。私は他人から尊敬されるような物は持ち合わせてなかったから、少し羨ましいわ」

フォッサの舎弟たちはやはりこの時空防衛連盟に皆、所属しているようだ。
それが意味するのは“尊敬されている”という事実だろう。アベリィには友人が多く居たが、秀でていた物があったかと聞かれればイマイチ自信を持って“イエス”とは言えないし、尊敬されていたかと聞かれれば答えは勿論“ノー”だ。
人から尊敬されるような人というのはやはり、普通の人が持っていないような、そういう物を持っているんだと思う。
だからと言って、羨ましいとは少し思う物の、アベリィ自身、自分の性格やスタンスを考えたとき、そういうものが肩の荷になるのは目に見えてわかっている。彼女が望む物では無いのだ。

「うん。なにも付いてないよ」

意外と人と言うのは見られている事に気付くもの。
バレていないと思っていた彼に向けたほんのわずかな瞬間の視線も、彼にはしっかりと捉えられていた。とは言え、向けられた質問と不思議そうな表情に、フォッサに付け加えるような形でアベリィは適当に、はぐらかすように答える。というより、ただ彼を“観察”していただけで質問に対する答えとしては何も間違っていない。

「私も、多分フォッサもだけど、女性として見られることは嬉しいわ。けど “綺麗な物には棘がある”って教わらなかった?」

いつの時代も“女性が男性からどんな目で見られるか”というのは変わらないのだろう。
少し笑みを浮かべて冗談めかしながら、彼に少しエッジのある言い方で返す。多分こんなだから、今まで男性と上手く“お付き合い”が出来なかったのだろう。
そんなことをふと、思い出したながら、タバコを吹かす。やはりタバコの味はいつまでも慣れない。

「それじゃ、どこかで会えたら一緒に戦いましょ?」

始まったようだ。その一言ですべてを察したアベリィは、まだ半分も吸っていないタバコを灰皿にぐりぐりと押し付けて火を消してフォッサに続くように、喫煙室を後にして時間遡行装置へと向かう。次なる任務の地は古代。古代なんて言われても全くピンと来ないのだが、行かなければタイムパラドックスはより深刻化するのは間違いない。

(>フォッサ・セントライト、ランサー)


【移動→ロンカ村/牧場/アベリィ・シルバラード】

アベリィが降り立ったのは極寒の地。あたりは一面の雪景色で、幻想的な風景が広がる。
思えば、アベリィの出身地では雪があまり降らなかった。偶に降っても積もることは稀で。積ったとしても、数センチ足らずで、2~3日すれば溶けてなくなってしまうような、そんな場所だった。

「ヒートテック、着ててよかったかも。冷えるねえ」

薄手の格好ならば間違いなく、寒さで骨の芯まで冷えて凍えるのは間違いない。それくらい寒い場所。アベリィはそんな銀世界を見回す。

「ここは牧場かしら。牛とか羊って冬眠しないんだっけ?」

申し訳程度にある柵の中には牛と羊が放たれている。そういえば、こういう牧場に来たのは初めてかもしれない。彼女が育った場所はコンクリートの林のような、都会。もちろん、住宅地の方に住んでいたとはいえ、それでも辺りにあるのは中流階級以上が暮すそこそこ広めの一軒家と富裕層が暮す豪邸ばかり。遊び場所は公園くらいのものだった。
旅行も考えて見ればあまり行っていなかったように思う。

そんな自分の過去を少しばかし、思い出しながら、柵に肘をついて、広い牧場に放たれている牛や羊を見つめる。まるで戦などこの地にはないかのように、音が雪へ解けてゆくような、そんな感覚。

>ALL


【ごめんなさい、いろいろあって出遅れました。ご迷惑おかけしました >ランサー本体様 適当にとりあえず配置して、また様子見て動かします。】

9ヶ月前 No.172

山城妖狐 @sacredfool ★ujIB23kcPC_UxJ

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9ヶ月前 No.173

世界を駆ける者 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=gZCIbJBrWs

[城塞都市ギリタン/城壁/【リプレイサー】]

時空を超えた無数の邂逅、そして巻き起こる戦禍。それは刹那の内に村々を呑み込んでしまった。
木々の間を通り抜けるのは、古代には不似合いの硝煙の香。鉄塊が雪のように降りしきり、皮膚はヒトの脂で嫌に光沢を宿す。『地獄とはかくあるべし』と、何処かの詩人ならば呟くことだろう。
時空改変。遙か未来の技術は、鉄鋼の概念を与えるには十二分過ぎていた。

「『古代』ねぇ……。こういう類のブツには、お目に掛かることも無いと思ってたんだが。」

火龍の業火をも防ごうと聳え立つ、幾重もの城塞。時空の歪みを体現する完璧なまでの紛い物。その麓に奇術師の姿は在った。
一番隊隊長・ギルバートと別れて直ぐに時空を飛び越えた奇術師は、戦場と化した森林を潜り抜け、真っ先に敵地の偵察へと動いていた。古代に火器など過ぎた代物だと判断して、普段通りの身軽な格好。所詮相手は古代に居を構える者だからと高を括って。

だがどうだ。森を抜けた奇術師の目前には城壁が聳え立つ。遙か上には対空砲、戦車も通る修羅の道。対して此方の手には短刀二本、ポーチには小石が少々。剰りに貧弱な兵装だ。本来『正しい』筈の彼は、此処では只の『場違い野郎』。火砲の前に吹き飛ばされる塵芥も同然。

なるほど、やられた。時空改変とは此処までの絶望を叩きつけてくるものなのか。これでは確かに時空も打ち震えよう。ああ、並の人間では到底立ち向かえまい。

「けどまあ、こっちの方が掻き回しがいがあるってもんか!」

だが、ソイツを奇術師がブチ壊せない道理はない。

トン、と地を蹴り、空へ向け。対空砲目掛けて、一直線に跳んでいく。
だが所詮は人間の範疇。城壁の梁にすら届く筈は無く、重力に逆らう術も無い。ジェットパックも、火砲も無い。

――だが此処に一つある。奇術師の唯一にして、至高の軽業が!

見張りの一人が異物の気配を察知し、牽制の銃口を向けた。だがトリガーが引かれるよりも僅かに早く、男の姿は【無に消える】。
何処へ消えたと問う暇は、最早彼には与えられない。如何にして消えたかなど、彼に問う権利は与えられない。

「なあに、死にはしないさ。少し眠るだけだッ!」

背後から【出現した】奇術師が、それより速く背中を押してしまったから。
遠去かる悲鳴を横に、奇術師は再び消滅。対空砲の真上へと降り立つと、ダガーを外部目掛けて放り投げた……とそれは対空砲の砲塔と【入れ替わる】。

「どうよ!一丁上がり、ってな!ほら次だ次!!」

タネは簡単だ。無機物と、無機物の『一部』を入れ替える。ただそれだけ。簡単な能力の応用に過ぎない。ド派手な火砲も、大仰な機械も必要ない。だがそれ故に、奇術は対抗不可の一撃と化ける。

奇術師が次に狙いを定めれば、後に残るのは砲塔だけが外れたただのガラクタ。全く同じ要領で、奇術師は瞬時に対空砲をもう一機を無力化しせしめた。

奇術師は壁上に降り立ち、次のターゲットの品定めを始める。嗚呼そうだとも。此処は異能者の祭典。異能力は、如何なる兵装をも上回る脅威となり得る。今この場に於いて、ダガーの二本を上回る火砲は在り得ない――!

>>ALL

9ヶ月前 No.174

蓼科祈 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4

【 ナコーン/果樹園/蓼科祈 】

 破滅の魔弾。万物を貫き射出され、一直線に進む砲弾はしかし命中することはない。相手もそこまで馬鹿ではない。
 一度ならばまだしも、二度目以降ならば当たらなければ意味はなさないことは嫌でも理解される。
 ましてそれは回避を専門とすることだ。殺傷能力が随一であることは分かったが、直線にしか飛ばなければ安堵はする。
 事実。相手は破壊の光が放たれる頃には既にその場から消えていた。着弾した様子は一切見られない。
 音はない。悲鳴もない。分かるのは当たっていないというもの、そして相手が背後にいないという二つの事実のみ。

「……」

 だが、――此処までの一連の行動。
 見えずとも。姿が分からずとも。
 蓼科祈は既に反撃の糸口を掴み取っていた。
 既に何度も喋り続け襤褸を出し続けている相手の隙は分かる。
 培ってきた戦闘経験が齎す直感は、高みにて笑う塵殺兎の喉元<ゴール>へ最短距離で導いてくれる。

 炉端の石ころの中から落とした石を見つけるように。人混みの雑踏の中から目当ての人物を探し出すように。
 女が視界に無いことを確認し祈は静かにその目を閉じて視界をあえて封じる。
 不可視による大気との同化を齎す異能。その攻略法は、ただ一つ。

 待つ。
 待つ。
 ただただ、待ち続ける。
 敏感になった皮膚。掌の感覚。体内に流れる血潮の巡り。吐く吐息。凍て付いた冷気は針のように彼女を突きまわす。
 研ぎ澄まされた聴覚。拾う音。小石の一つ。砲台の音。衣擦れの音。大きなものから些細なもの、一つ一つ、丁寧に。
 鋭敏となった嗅覚。血の臭い。雪の臭い。大気の臭い。
 第六感。"気"の探知。万物に共通する森羅万象の巡り。

「――だから言ってるでしょ」

 知らぬ何処かでせせら笑っていられたはずの雪葉。依然一撃とて与えられず追い込むことすら出来ない祈。
 コンマ一秒。刹那。鈍足になる世界<感覚>。剣は手の内で砕き捨てている。両の手に纏う白銀の光。
 いなくなれという命令の最高系。触れた者を砕き無へ還す世界の調停の力。

 声が聞こえる。
 まだ動かない。
 嘲笑う声。
 まだ動かない。
 安全圏からの声。

 ・・・・・・・・・
「それがアンタの敗因」

 雪葉のブラスターが背に触れた。
 ・・・
 同時に破壊の光を纏わせた足による鋭い後ろ回し蹴りが彼女の横頬目掛けて放たれた。
 触れれば吹き飛ぶのは避けられず、生半可な防御を意図も容易く破壊する光。
 殴りつけるよりは踵で刺すかのように、――顔面を狙った高い蹴りは、しかし相手が最も油断している瞬間で炸裂する。

 そして蹴りの勢いでの方向転換。踏みこみ。距離を零に。
 相手の肩口を骨を砕かんばかりの勢いで掴めば、次の瞬間には無防備な脇腹へ向けて白い光を纏った拳打が撃ち込まれる。

 見えていたわけではない。だが読めていた。
 精々やった小細工といえば。視界を遮断し気を感じ取ることに集中していただけ。
 だが、――相手は未だ気づいていない。己の能力を過信するあまり、それを行う最大のメリットを潰していることに。
 それをいつまでも維持できるかと問われれば、……分からないところではあるが。

>雪葉

9ヶ月前 No.175

ハザマ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_FR1

【いちおうメイン記事にサブ記事のクラスター本体様の投稿を引っ張らせて頂きました。
 もしも余計な真似をしていたのなら申し訳ありません、
 ギュネイがなんでもしません  http://mb2.jp/_subni2/19695.html-107#a

【グリア村/民家/ハザマ】


「はいおつかれさんっしたー。無いと良いですね、次は」
「機械人形相手は慣れたモンだと思っていましたが、まあ、そこは撤回と致しましょう―――」


 そうだ。細部、物事の傾向、選んだ旅路、欲し求むるものは違えども。
 戦い方、考え方という意味においては、狂機と毒蛇はそれなりに似通っている。
 この地ひとつにわざわざ命を投げ出すほどの特別な意味など見出せるはずもなければ、まさか敵を此処で滅するために命を投げ出すリスクを背負うほどでもない。彼らは確かにリスクとチップを1秒のラグ無く支払える狂人どもだが、それは無謀とはつながらない。殲滅する時の確実さのためにリスクを許容できるというだけで、殲滅すること自体に意味が見出せなければ行動は限られてくる。

 即ち、此処でハザマを追い詰めるためにダメージを度外視する意味はなく。
 即ち、此処からクラスターを撃墜するべくハザマが追撃続行を選ぶ余地もないのだ。
 故にこそ両者の利害は此処で一致する。お互いその程度のことは分かっているだろう。そして、分かっている上で此処が損切りをできるギリギリのラインだと判断したというわけだ。
 それに、お互いにとって次もまたこの戦闘状況が生まれることは避けたかった、何故なら―――。

「(“ヘルガ様”とやらはともかく。狂信者は得てして崩しにくく、感情を察しにくい)」
「(最初から嫌な予感はしてましたが、違うんですよねェ………。同業としては合格点、ゴミ処理装置としては文句のつけようがない満点でも、私はそれが欲しいわけでは断じてない。つーか欲しかったらあっちに着いてますしね、私この戦争には別に興味ないし。
  おまけにアレ、肩書含めて相ッ当の上物、主力の一翼だったと来た! いやはや、我ながら運の無さに涙が出てきますね。援軍来なかったし)」

 アレはお互いにとっての例外だ。
 ハザマとしては、そもそも目的に掠りもせず、おまけに強く。それでいて、もしも此方の手駒ならば性格と相まって存分に利用したい逸材こそが狂機―――“黒翼”ことクラスターである。
 そんなあらゆる意味での最悪をくっつけたようなブツである以上、ハザマとしても次を作る気はない。逃がした上にほぼダメージレースではこちらが不利、おまけに相手の上株と来たのならば尚のことだ。
 今回は足止めと品定めのために戦いこそしたが、そもそもハザマにとって“どちらが勝利するのか”など極めてどうでもいい話でしかない。彼はその最中で自分の探し物を見つけたいだけであって、それで世界が滅ぼうが滅ぶまいが知ったことではなかった。

「(さて。………少ししたら次に行きますか、次。
  あの言い方なら“ヘルガ様”は是正機構のお偉いさんのようですし、まだ面を拝めはするまい。今暫くは従順に振る舞っておくのもいいでしょ)」

 彼はけらけらと笑い声を上げながら、グリア村の惨状だけを残して消えた。
 行き先は城塞都市ギリダン………敵の本拠、是正機構との同盟関係にある魔道帝国の首都。
 あるいはその道中で何かを引っ掛けても良い。所詮は泡沫だが、面白いものに巡り会えるかも知れない。
 願わくば先程の狂機のように、貴重な手がかりを齎してくれるとありがたいものだ―――そう思いながらも、ハザマは先を急いだ。蛇がうねるように、空間に小さなひずみを残しながら、不確定なる虚無の蛇は先を急ぐ。
 傷は移動の最中にでも治るだろう、元よりハザマのカテゴリは人体のそれとはやや言い難いところにある。
 ………これでクラスターと再度遭遇すれば流石に不味い。その前提がある以上、彼の移動先は巧妙にクラスターの予想移動ルートを外したものだ。願わくば何処かで勝手に、自分以外の相手と引っ掛かってくれているのが理想ではある。


「(―――ああ、それにしても、楽しみですね?
  魔道帝国とやらも、是正機構とやらも。ひょっとすると時空防衛連盟も………ぽっと出の男に自分の願望をブチ壊された時、おまえたちは一体なにを吐き出してくれるのか………)」
「(何しろ泡沫、ハレの日なんです。だから楽しませてくださいよ、ヒヒヒヒッ―――)」


 ―――そうとも、ハザマの本意は時空の防衛などではない。
    世界を護るためですらなければ、他者の為などでは断じてない。

 極めて自己本位の、叡智を貪る毒蛇らしい感情。
 虚無の狭間より来たる無形の器は、たったひとつの智慧の実をこそ探している。

 ………その為ならば。彼にとっては、自分自身でさえもきっと塵屑に等しいものだ。


>Cluster、(ALL)


【此方こそお相手ありがとうございました〜】
【安定しない返信ペースにお付き合い頂いたことに感謝しますm(._.)m】

9ヶ月前 No.176

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【ナコーン/森林/北側/ストラーヴ】


スパルタ隊長を追いかける事数分、ストラーヴの存在に警戒してか森の中を複雑に移動するスパルタ隊長を音をそれほど立てずに木々を飛び追跡する。身体は温まってきたが肝は冷えたままだ、味方に見つからないようになんて馬鹿げているがストラーヴにとっては十分大事なことだ。
仮に見つかってしまえばこれまでの小言に加え、すぐに姿を見せなかった小言も絶対に追加される。云わんとする理由は勿論スパルタ隊長の方が正しいのだが、ストラーヴにとっては只管に都合が悪い。
視界から逃さぬように追跡を続けると不意に振り向かれた、驚いたストラーヴは近場の高い木へと跳躍し退避を試みた。枝が少し不安だが、幹に剣槍を突き刺すことで重心を分散させる。と、同時に鳴り響いたのはけたたましい銃声。
ストラーヴは一瞬スパルタ隊長の物かと誤解したが、それはないと即座に判断する。下方に見えるその隊長自身が回避行動を取っているからだ、そうなれば敵襲でしかない。音のする方を確認すれば遠方の木陰から僅かに見える拳銃、それを確認すると先程以上に音を立てぬように木々の頂点を移動する。

(ちょっと敵襲は予想してたけど、まさか私が先に気付かないなんてねー。)

地面で啖呵を切るスパルタ隊長を横目に、奇襲者の頭上を取る為に移動を開始する。この期に及んで姿を見せたくない訳ではなく、ストラーヴの存在に気付いていないと仮定し、最高の不意打ちを仕掛けそのまま仕留める為であった。
銃を使う相手、しかも銃撃を見るにスパルタ隊長と似た性質を持った魔弾と呼ばれるものを扱う相手。遠距離に乏しいストラーヴでは接敵までが厳しい、森林という地形を活かせばどうにかはなるがより安全な方を選んでいた。
しかし誤算があった、地上でのスパルタ隊長が選んだ攻撃手段は広範囲殲滅。幾ら木々が丈夫といえどもあれだけの爆発を受ければ折れる木もあるわけで、そうでなくても揺れる木は多数ある。そして撃った方向は銃撃を受けた方向であり、ストラーヴが向かうのも銃撃の主である拳銃が見えた木。
さらに木々の上部の方が下部よりも揺れる事を考えれば自然と答えは導き出されるだろう、ストラーヴは揺れる木を踏み台にしたために体勢を崩した。

(あー、もう!!これじゃあやられっぱなしじゃん!いや、まだリカバリーが効く!)

崩したが身長よりも長い剣槍を突き刺し、その勢いのまま近場の木々へと乗り移ることに成功する。多少は音を立ててしまったが下の爆音に比べれば聞こえないレベルではあると信じたい。
奇襲のチャンスは失ったが、あの爆発の中に突っ込んでいく可能性もあった訳だから結果オーライ。最初に傷を負うのが味方の攻撃だなんて洒落にならない、しばらくはスパルタ隊長に注意を引き付けて貰ってチャンスを窺うしかない。
位置的には襲撃者、灰のスーツを着込んだ金髪の男の背後を取ることが出来た。このまま銃撃戦となればスパルタ隊長に集中するだろう、そうなればスパルタ隊長が派手な攻撃を撃たない時を見計らって後ろから突いてあげよう。きっと喜びですぐさま昇天するはずだ。
であればここで攻撃の選択肢はない、隙を見つつ不意打ちのチャンスを待つだけ。万が一にもあのスパルタ隊長が負けるようなことはないだろうからこそ出来る作戦だ、さあ早く目の前の敵に集中するんだ。そう念じるストラーヴであった。

>>フォッサ・セントライト ダグラス・マクファーデン

9ヶ月前 No.177

贖罪の山羊 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【ナコーン/酒場/ミルグラム・ゴート】

 バタバタと倒れていく兵士達。
 恨み辛みの亡霊達は剣を振りかざし、爪を引っ掻き、鳩尾に突出する。
 雪と火の粉舞う世界に敵の前進に備えてミルグラムは後ろに下がって飛んで、盾を持った亡霊で兵士の銃撃を防ぎ別の亡霊が薙ぎ倒す。
 その勇ましい咆哮が英雄気質の人間を嫌悪するミルグラムにとっては、虫の居所が悪かった。
 お前らはなんで他人のせいにしない、後片付けをしてから綺麗事を並べない。
 この時代に来た影響だろうか、余計に自分に罪科を擦り付けた人間達の顔が鮮明に浮かぶ。
 苛立ちで頭をかきむしりたくなる。
 同じ時代から来た敵陣の様子を見ると、頭を覆い隠す防具などなかった。
 これなら、あれに変化させても一網打尽になるだろうと思い焼かれずに生き残った亡霊達に指示しようと、口を動かそうとしたら味方が来た。
 自分より小さい体の女騎士、ああこいつも嫌いなタイプだと、眉を寄せる。
 味方に手を出したらここにはいられないので、先程描いていた作戦を打ちきり、攻撃を防ごうと亡霊を呼び出そうとしたが女騎士によって追撃は防がれた。
「……」
 不快そうに眉を寄せながら無言を貫くと、見た目はいいところのお嬢様な感じの金髪の女性が防御を展開する。
 2対2の対決、こちらはマロンは前衛でミルグラムが後衛と言ったところだろうか。
 ポジションは決まった。共闘するのが癪だがこれも気持ちよくなる為の仕事だ。
 男は剣を振り下ろすと地割れと隆起が起きた、断末魔をあげて落ちる眷属を傍目にミルグラムは不機嫌な表情のまま不動。岩柱が脚元まで来ると、恰幅のいい筋肉質の眷属を出現させ飛び出る直前にその岩ごとを粉砕させようとさせる。
 この眷属を倒せば天空に打ち上げられる、倒さなければこちらの勝ち。それとも別の行動を取るのだろうか。
 防御ついでに、マロンの護衛に騎士の姿をした眷属を複数向かわせようとして。
>レオンハート・ローゼンクランツ マロン・アベンシス シフォン・ヴァンディール

9ヶ月前 No.178

クランの猛犬 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【誤チェストにごわすしないよ】

【ロンカ村/養鶏所/ランサー】

 ローブを纏った人間の返答は肯。
 けらけらとこちらをからかうように仮面はそう紡ぐ。
 その姿もそうだが、正体を掴みにくい性質の相手だとランサーは感じ取った。
 相手の後ろには少女がいる。もし、善意で助けたならばそれに免じて見逃してやるが、悪意で助けたと答えたならば真っ先に相手の胸を穿つ。
 顔を強張らせたままダウンジャケットから武装に切り替えると、魔力を感じ取ったのと同時に少女が消えた。
 成る程、魔術師か。おそらく結界の類いで少女を消したように視認させているのだろう。
 ルーン魔術も扱えるランサーはそう推測すると、敵である以上いつでも戦闘できるよう焚き火の光と共に炯々と赤い眼を光らせて朱槍を構える。
(腹ン中が読めねえ)
 そう未だに攻撃の素振りも見せない黄色いローブを纏った相手が、この鶏舎に入ってきたのと同じ不気味さを感じる。
 猛なる怪物とも違う、知性を持つ人間とも違う。
 もっと別の"何か"と対峙しているような気分だった。
 そう、眉を潜めていると警戒も殺意も動揺も見せない相手が見逃せと聞いてきたので、口調は重いまま先程の考えをぶちまける。
「は、お前が嬢ちゃんに変な気を起こさねえならなあっ!!」
 魔力を感じ取った――――――
 それと同時に風の刃は首元を狙いにやってくる。が、歴戦の戦士であるランサーは持ち前の俊敏さで半歩下がって体を仰け反って躱し切られた青い髪がはらりと落ちると、体を起き上がる反動で相手の腹部目掛けて突こうとして。
 考えが読めない正体が掴めない相手とは実に厄介だ。
 回りくどい方針が苦手なランサーにとって、相手とは方針の意味で相性が悪かった。
>黄衣なる者

9ヶ月前 No.179

エクセラ・ノア・アウラ @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=dgrb36F8Ll

『城塞都市ギリダン/宮殿外部/エクセラ・ノア・アウラ』

エクセラは古代の時代にあるギリダンの宮殿外部にやって来ていた。
彼女が来たときには周辺地域では戦闘が始まっており、エクセラは少々出遅れた形となった。

「(心:随分と出遅れてしまったか? いや、存外そうでもなさそうだ)」

エクセラ自身は出遅れたと思っているが、戦火は広がったばかりである。
現在彼女がいる場所は慌ただしい状況というわけではなさそうだった。

「しかし凄い数だな・・・あれを相手するのは骨が折れるが、やるしかなさそうだ」

エクセラのいる宮殿外部には数えるのも嫌になるほどのライフゴーレムがいた。
このまま何もせずただ見ていても状況が変わるわけではない為、
異空間(?)から自分の武器である龍吼魔笛グラビネットを出し、
エクセラは単身で乗り込み、武器や魔法などを駆使してライフゴーレムを殲滅しようとした。

>>ALL

9ヶ月前 No.180

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ロンカ村/広場/ユーフォリア・インテグラーレ】

簡単に受け入れてくれる訳がないことは、最初から理解していた。自分達は未来からやって来ました、貴方達に協力します、といわれて、はいそうですかと納得出来るような人間など、いるはずもない。
青年はユーフォリアに対し、何を目的としているのかを問う。正直に回答するならば、歴史の改変を阻止するため、ということになるのだが、それは同時に彼らの残酷な運命を曝け出す結果となる。
正史を検証する限り、ロンカ村は紀元前254年に、魔道帝国の将軍、ノエル・マッケロークによる焼き討ちを受け、村人全員が焼死するという結末を迎えている。
見た限り、どうやらまだそれは起きていないようだが、時空防衛連盟が歴史是正機構の干渉を防ぐように動けば、いずれその時が訪れてしまうことだろう。
彼らの信頼を得るためには、こちらの目的を正確に伝える必要がある。されど、この村の将来を話す訳にもいかない。悩んだ末に、ユーフォリアはようやく言葉を紡ぎ出す。

「未来からやって来たのは、私達時空防衛連盟だけではないわ。同じ時代からやって来た、歴史是正機構と名乗る者達が帝国に協力しているの。彼らは、歴史を塗り替えて、魔道帝国に世界を支配させようとしている。私達がこの時代を訪れたのは、それを阻止するためよ」

如何なる理由があろうとも、歴史を捻じ曲げることは許されない。時空防衛連盟と歴史是正機構の者達が古代へ現れた時点で、もう歴史は完全に元通りになることはないだろう。
ならば、せめて時空断裂や時空修復に繋がるような大改変だけでも未然に防がなければならない。これで信用してくれるかどうかは分からないが、ユーフォリアはありのままを、青年に話す。
もしも歴史是正機構が勝利し、魔道帝国が繁栄を続けるようなことがあれば、確実にその後の未来へ影響を及ぼす。最悪の場合、時空の捻れが限界を超え、世界そのものが崩壊してしまうかも知れない。
時空防衛連盟に課せられた使命は、この戦いを魔道帝国の勝利に終わらせないこと。この年の内に滅ぶ運命にある帝国が、以降も存続することのないようにする必要があるのだ。

青年の隣に立っていた少女は、未来人が現れるとの噂を聞いていたらしく、時空防衛連盟の申し入れを承諾してくれた。ユーフォリアは彼女に対し、被っていた軍帽を取って胸に当てながら深く頭を下げ、感謝の意を示す。
とはいえ、状況はまだ深刻だ。戦力だけれ見れば圧倒的に魔道帝国・歴史是正機構連合の方が優勢である上に、勢いまでもがあちらに味方しているときた。
何とか形勢を逆転するためにも、村を離れられない彼らに代わって、時空防衛連盟が敵国の首都、ギリダンを攻撃すべきか……などと、ユーフォリアが思考を巡らせていたその時、事件は起きる。
大声を上げながら突撃してくる銀狼の少女。凄まじい速度で草むらから飛び出した彼女は、そのままの勢いで、ユーフォリアに向かって両腕を広げながら突っ込んでくる。
直ぐ様反応した彼女は、飛び掛かった相手の勢いを利用して反撃を打ち込もうとするも、青年が捨て身の覚悟で間に割って入り、突撃を受け止めたのを見て、攻撃を中止する。
全体重を受け止めた青年の身体が、地面に押し倒される。直前の発言からして敵は、彼を喰らおうとしている。狐耳の少女が焔を放つと同時に、ユーフォリアも動く。

「離れなさい。この村の人々は、貴方の食欲を満たすために生きているのではないわ」

冷静な声でそう告げたユーフォリアは、両手に渦を巻きながら虹色の光を収縮させ、それを球体状に束ねて狼へ向け放つ。都合四つ放たれた攻撃は、青年に当たることがないよう、計算された軌道を描く。
予想よりも敵の侵攻が早いが、これも改変の影響なのだろうか。幸いにも、まだ彼女以外に帝国や歴史是正機構の者が攻め入ってくる様子はない。速やかに村の護りを固めるためにも、時間を掛けずに処理したいところだ。

>イアン・ガグンラーズ、アラン・レイクルード、山城瑤子

9ヶ月前 No.181

貴族将軍 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【ナコーン/市場/カシュタン・コルーカル】

ギリギリと歯を鳴らし、怨敵ソレミアを睨み付けるカシュタン。 何も知らないように良い子ぶって、そうやって周りからの同情を得てきて、こうして腐った家系の王族でありながら、ここまで生きて、そしてそんな顔をして自分の目に姿を見せたのかと、カシュタンは心の中で思いつく限りの暴言を撒き散らす。
少なくとも、カシュタンからすれば、それは間違いなく心の中で言っただけなのだが、実際は、ぼそぼそとした声で内容が漏れており、相手も聞こうと思えば、その暴言を聞く事が出来るだろう。

「分かる、分からない!? ひ、必要ない……お前達は私が殺す、殺してみせるから! お父さん、お母さん、怨敵を殺す力を私に!!」

もはや返答の体を成していない叫びを、ショコラが発言した途端にあげ、ダンダンと音が立つ程に強く地面を踏みつける。
はっきり言ってその意味合いを正しく理解していないだろうし、仮にショコラがどのような台詞を吐いた所で、あまりカシュタンは話を聞いておらず、今のように叫んだだけだろう。
だが、唯一つ言える事は、カシュタンはこの言動を悪人のそれとは感じておらず、むしろ自分が『正義』であると思い込んでるような言動が非常に目立つと言う点だ。

またカシュタンが巨大針を一本生成して攻撃に入ろうとするが、それより先にラガルデールについて、さらには姉についての情報を得るために話しかけると、カシュタンは口を何度かぱくぱくさせたかと思うと、苛立った様子でその巨大針を地面に突き立てて、ソレミアを指差して言った。

「お前だ、お前の王族が不甲斐ないから……ッ!! 私のお父さんやお母さん、それだけじゃない、色んな人が戦っていたと言うのに、お前達は後ろでのんびりとお茶会でも楽しんで!? 仮に包囲されても戦い続けた私の父は、最後には敵の刃ではなく、お前達の補給の怠慢で死んだ!!」

その言葉使いは所々おかしい点があるものの、少なくとも今までの物よりはよほど聞き取りやすく、また、内容も掴みやすい物で、ある程度脳内補完しながら聞けば、その全容は察する事ができるだろう。
彼女曰く、前線でコルーカル家は戦っていたが、ラガルデール王国が必要な補給を行わなかったから、餓えて負けた、概ねそんな所だ。

そこまで話すと、カシュタンは半狂乱で叫びすぎたためか、嘔吐く。
その間に姉のことをソレミアが聞くと。

「知った事かぁぁぁぁっ! そうだ、思い出せばアイツだ、アイツは私よりも背が高かった、仮にお前の父や母が死んでたとしても、アイツは責任を取らなくちゃあならなかった、ブールーンに王座を引き摺り下ろされればよかった、だがアイツは消えた、逃げ出したんだ。 私はアイツを絶対に許さない、アイツがさっさと降伏宣言でも何でも出せば、父は助かった。 全戦力を剥ぎ取られた状態で捕縛された私が、拷問染みた幽閉をされずにも済んだ、だからお前を殺す、お前の首を晒してアイツを引きずり出してやる!!」

ソレミアの求めた情報は返って来なかった、しかし魔道帝国将軍で三本の指に入るであろう彼女ですらもプーリッシュの所在は掴めていないという証明にもなった。
……プーリッシュは、ラガルデールが敗北した年は、七歳だったはずため、そんな少女に彼女は何を求めていると言う話になるだろう、もっとも、カシュタンはそれ以下の少女であったために、ここまで憎しみが溜まっているとも言い換える事ができるが。

カシュタンが土を蹴れば、こちらに向かってくるショコラを真下から突き刺すように無数の針が地中から伸びてくる。

それで止まるなり、刺し殺せれば及第点、だが、ほとんど錯乱状態の彼女であっても、回避の危険性など、戦いに関する部分ではまだ冷静さを保っていた。

そのため彼女は、少し前に出て、突き刺された針の先端部分を平たく変形させたかと思うと、それを足場にして空高く跳躍。
ちょうど、地上のこちらに向かってくるショコラとすれ違うように、伸びた針のせいで針山状態になっている箇所を避けて、二人の上を取った上で。

「死ね死ね死ねぇーっ!!」

その憎悪の言葉と共に、カシュタンは両手の先から大量の針を展開、先ほどよりも数を増やして、雨のように針を降り注がせる。

>ソレミア・ラガルデール ショコラ・ヴァンディール

9ヶ月前 No.182

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

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9ヶ月前 No.183

血に飢えた玉兎 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ナコーン/果樹園/雪葉】

雪葉がわざわざ自らの優位性を捨てるかの如く、敵を挑発しているのは何故か。その理由は極めて単純。相手の実力が、自分よりも遥かに下であると見ているからだ。
現状、彼女からすれば敵は、ただ攻撃の破壊力が常人離れしているだけで、こちらの能力を見破る術は持っていない以上、正確な攻撃を行えない状態にあると見えている。
いや……そもそもの性格からして、雪葉はそういう人物なのだろう。気付かれずに他人を殺害することを楽しむような輩なのだから、致し方あるまい。

「ひょえ? えっ、あっ、もしかしてこれやばいやつ?」

しかし、如何なる相手にも、慢心は逆転の隙を生む切っ掛けとなる。敵の両手に、白銀の光が満ちた。反撃の体制。今自分がいるのは、彼女の丁度真後ろ。
まさか、見えていたとでもいうのか? 否、そんなことあるはずがない。だって現に、奴はこちらの動きを目で追えていないし、気配を感じ取ることすらも出来ていない。
では何故、相手は正確に自分の位置を把握している。まずいまずいまずい、最大警戒警報。雪葉は、自らの頬を、冷や汗が伝っていくことを感じ取っていた。
どうする、どうやって窮地を脱する? そんなことを考える暇すらも、彼女には与えられなかった。何故なら、最初の衝撃が伝わってきたのは、ブラスターの引き金を引いた、その直後だったからだ。

「あいやーっ! ちょっ、ダメダメダメ、死んじゃう死んじゃう! あひぃーっ!」

顔面を狙った蹴りによって、雪葉が付けていた眼鏡が吹き飛ばされる。その直前、眼鏡の裏に仕込まれていたディスプレイには、相手の能力が危険領域であることを示すサインが出ていた。
攻撃はそれだけでは終わらない。逃げ腰になった彼女に追い打ちを食らわせるかの如く、無防備になっていた脇腹目掛けて、光の一撃が叩き込まれた。
宙を舞い、地へ叩き付けられる雪葉。ようやくここで彼女は、自分が敵を見くびりすぎていたことに気付く。手痛い一打を負わされる格好となったが、まだ身体は動かせる。

「やってくれましたね〜……でも打ちどころがよくて助かりましたよ。これならどうですか〜!?」

脇腹を抑えながら立ち上がった雪葉は、相手に悪態をつきながら、能力の作用方向を変える。すると、彼女の気配が増大し、今までになく強く感じられるようになった。
普通に考えれば、相手に位置を知らせるだけの愚策に見えるだろう。だが、その気配はあまりにも強すぎる。強すぎて、至るところに雪葉がいるかのように錯覚させられる。
ある意味これは、気配が消えている状態よりも厄介かもしれない。全ての方向に注意が引っ張られるため、本体がどこにいるのか、余計に判断しにくくなるだろう。
手始めにブラスターの引き金を引き、レーザーを発射した後に、再び彼女は高速軌道に入る。右、左、後ろ。あらゆる方向から弾幕が迫る。まるで、雪葉が分身しているかのように。
仕上げとばかりに、敵の頭上に現れた彼女は、その位置から真下へ向けて、威力を重視した爆撃弾を放つ。舞い上がる粉塵。少女は果たして、この空爆から抜け出すことが出来るのだろうか。

>蓼科祈

9ヶ月前 No.184

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【城塞都市ギリダン/正門/ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン】


眼前に広がるは堅牢な城塞、至る所に景観にそぐわない近未来的なものが備わり強固さを増したそれの正門。この地の反抗勢力と時空防衛連盟の兵士が巨大な門を占拠せんと押し掛ける、対抗する城塞都市側の兵士も負けじと押し返す。
その紋様が今変わった、一人の女性の登場によって城塞都市側の勢いが増し彼女を筆頭として攻勢へと出る。それもそのはずその女性は魔道帝国の将軍、前線へ出れば味方の士気は上がり敵の士気は下がる。
反抗勢力と時空防衛連盟の連合軍も態勢の立て直しを図るもこの場に率いる将なければ士気が上がることはない、そう上がることはなかったはずなのだ。
混乱を極め、各々が出鱈目な飛ばし右往左往する中一人の存在がこの地へとたどり着いた。軍勢の後ろから悠々と歩みを進めるその影は長身、肉体も逞しく歩く姿はまさに皇帝の行進。
黒の貴族衣装を身に纏い、極彩色のファーをあしらえた真紅のローブを羽織るその男。至る所に豪奢な宝飾品を身に着け、右腕なくともその威圧感が一切損なわれぬその男。

「ふぅむ、再び時空を超えたと思えばまた戦場か。此度は人間同士の戦争、状況を見るにまたも劣勢を強いられているようだな。」

ぽつりと漏らすその言葉、正確に言えばこの男は反抗勢力と時空防衛連盟のどちらにも属さない。時間遡行の影響によってこの地へと飛ばされたイレギュラー、しかし男の発する王の風格は確実に士気を挙げる要因になっていた。
少しばかりの思案の後、男は顎を撫でていた宝石が煌めく指を降ろす。その腕を上空に掲げる、同時に敵陣に一瞬の輝きの収縮、その後に花火の如き鮮やかな色彩を放つ大爆発が放たれる。

「しかぁし!私が来たからには安心するが良い!さあ!守りが得意なものは前へ!援護が出来るものと支援が出来るもの、治癒が扱えるものは前線の支援を!残った戦えるものは私と共に続けぇ!」

自身が放った派手な魔法と共に敵陣へと強襲を行う、敵の兵士は派手に輝いた大爆発によって戦列を乱され攻めるにはまたとない好機。残った障害は例の女性、将軍という地位である以上実力は確かだがこの男が止まるわけもない。
右腕無き場所に矢鱈に煌めく結晶の大刃を生成し、迫る敵兵士を叩き切る。しかし敵兵士は血を出すこともなくただ吹き飛ばされるのみ、それもそのはず。この男の使う魔法は全て非殺傷、当たれば全力の平手打ちを喰らったような痛みと重さがなくなったように面白おかしく吹き飛ばされるだけである。
この男が結晶刃を振るう度に敵兵士は彼方へと吹き飛ばされ、着実にその数を減らしていく。時折放たれる様々な属性の巨大槍を正門近くに集結している兵士に放っては吹き飛ばす。

「さあ!君が将軍と私は見たぁ!どちらが真に派手なのかを競い合おうではないかぁ!その目に焼き付けよ!私の輝きぃ!私の華やかさぁ!私のぉ!派手さをぉ!見るがいいぃぃぃいいいい!!!!」

右腕代わりの結晶刃にさらに魔力を籠め、その煌めきは現存する宝石など比ではなく太陽と見間違えるほどの輝きを放つ。狙いは件の女性将軍、日本刀を携えた彼女に対抗するかの如くこの男は右腕に刃を選んだのだ。
結晶刃の持つ輝きはそれそのものが魔力の塊であり、リーチと派手さを大きく上昇させた。そのとてつもない巨大さの魔力を放つ結晶刃を女性へ向けて薙ぎ払う、途中にいた兵士は皆空のお星さまになる様に吹き飛ばされていく。
そもそも結晶刃自体が巨大だからそのまま斬り合いをすればいいだろう、その疑問を彼に問えばどうなるか、彼は言うだろう。
―――――その方が派手で素晴らしいからだ、派手さこそ至高だ、と。

>>エスメラルダ・ナズクル


【派手男で絡ませて頂きます、ギャグっぽいのは仕様です、ご容赦くださいませ】

9ヶ月前 No.185

讐心名誉顧問 @sacredfool ★ujIB23kcPC_UxJ

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9ヶ月前 No.186

似非貴族 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ロンカ村/牧場/アルクール・サンドリンガム】

古代にはサンドリンガム朝バスケリアと呼ばれた国家がある。かのラガルデール王国崩壊に際して乱立した国家の内の一人で、当時の世界ではブールーン民主共和国に次ぐ領土を有していた。
曲がりなりにも民主主義ではあったブールーンに対し、サンドリンガム朝は絶対王政が敷かれており、そこでは多くの人々が奴隷として虐げられていた。
市街地には無数の死体が積み重なり、地獄のような光景が広がっていたが、後に魔道帝国によってサンドリンガム朝は打倒され、領主一族は処刑。民衆は圧政から解き放たれ、現在に至る。
しかし、不思議なことに、皆殺しにされた一族の末裔を名乗る者が魔道帝国にはいた。名をアルクール・サンドリンガム。如何にも上流貴族という出で立ちの女性だ。
その割には小さな身躯が特徴的であるが、彼女はサンドリンガム朝を代表する者として魔道帝国と"同盟"を結び、バスケリアの支配権を預ける代わりに帝国に協力している。

……というのは真っ赤な嘘。本人はあくまで真実であると主張し、他の者達に対してもそのように振る舞っているものの、実際はサンドリンガム朝で奴隷として使役されていた人物なのだ。
魔道帝国によって国が滅んだ時、新たなる支配者によって命を奪われることを恐れた彼女は、王宮に忍び込み、領主達が着ていた高価な服といくらかの財宝を盗み出した。
こうして外面を貴族のように取り繕ったアルクールは、旧姓を捨ててサンドリンガムの末裔を名乗り、最後の生き残りとして、魔道帝国の門を叩いたのである。
実力主義を貫く帝国において、彼女が近衛の地位を得られたのは、それだけの実力を有していたからに他ならないだろう。アルクールはいずれ将軍となることを夢見、今日も戦場を駆けるのだ。

「ふん、この程度の村、ノエル様が来る前に終わらせてさしあげますわ。お行きなさい!」

アルクールは引き連れてきたライフゴーレム達を散開させると、自分は村で一際目立つ牧場へと足を踏み入れる。こんなところに敵がいるとは……思えなかったが、いた。
出で立ちからして、これが噂の未来からやって来た敵というやつか。確か、時空防衛連盟とかいう名前であったはず。本当にいるとは信じ難かったが、歴史是正機構がいる時点で疑うのも野暮か。

「そこの御仁! 魔道帝国近衛、サンドリンガム朝正統後継者のわたくしが、お相手をして差し上げますわ! お覚悟!」

高らかに宣戦布告を行った彼女は、先制攻撃とばかりに、両手に仕込んでいたワイヤーを飛ばし、それを敵の四肢に絡み付かせようととする。
一見普通のように見えるワイヤーには魔力が込められており、一度絡み付かれれば、簡単に振りほどくことは出来ないだろう。
周りには牛や羊がいるが、まあ巻き込んでもいいだろう。どうせ食べられる存在だ。少しくらい減ったところで、困るなんてことはない。

>アベリィ・シルバラード
【ロンカ村へ本格的に侵攻開始】

9ヶ月前 No.187

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【グリア村/防護柵/クジャルナ・クオーク】


隙をついた拳は副総統の胴を打ち、吹き飛ばすに至る。されど男の表情が綻ぶことはない、この一撃で仕留めるつもりであり仮に耐えたとしても吹き飛ばす殴り方はしていなかった。男にとってこの結果は失敗した、それ以外の物はない。
背の痛みも動くには問題ないと判断、全身の軽火傷も自然治癒に任せて問題はない。確かな一撃こそ入れたが、此方も軽傷を負う結果となった。現状では相性も相まって優勢と言える、この流れを手放すには惜しい。
ならばと吹き飛んだ先で熱による煙幕を起こす副総統への追撃を狙う、踏み込んだ足をそのまま軸足にし再び間合いを詰めんと地を蹴り出す。煙幕で見えないのは互いに同じ、煙幕を利用し体勢を立て直すにしても、反撃を狙うにしても副総統はこちらの位置を把握できない。
対して男は煙幕の中にいるという情報を確実に持ち、尚且つ煙幕の発生地はあの熱された大剣。あれほど分かりやすい道標はない、ならば喀血する程度の隙さえあれば煙幕の背後に回れる身体能力を持ち得ている。
現に副総統から見て前方を払う、明らかに予備動作が必要な行動を選択していた。煙幕が晴れるまで迂闊な行動を仕掛けてこないと読んでの行動だろう、確かにあのまま様子を見ていれば避けようがない攻撃を受けていた。
だがこの男は相手が存命であると判断したならば追撃の手をやめることはない、その息の根が止まったことを確認するまでは油断も慢心もない。つまり自身の欠点を補うために戦略の選択を副総統は間違えたのだ。
赤熱した刀身から放たれた爆炎はこの地を防衛していた残り少ない近衛を黒く変えた、同時に雪も爆炎に飲み込まれ多くの水蒸気と共に副総統の前方を閉ざすだろう。しかしそこにこの男はいない、爆炎が放たれたと同時に副総統の首を取る為に踏み込んだ。
貫き手を防いだように雪の飛沫で襲来を感知することもない、己が放った爆炎による轟音で音で感知することもない、自らの隙を埋めるために利用した煙幕によって視界でも背後に回られたことに感知することはない。
間違いなく強者である副総統であったがこの男を見誤っている、見える隙を見逃すような男でも好機を逃すような男でもない。只管自身の目的のためにストイックなこの男は、ただ最適だと導き出した行動を取る。

「ええ、連盟は貴方をここで亡くすのを惜しむでしょう。」

言葉よりも早く男は敵を前方に見据えた副総統の背へと貫き手を放つ、隙だらけの背へと穿つ貫き手の狙いは心の臓、ひいては背骨。どちらを貫こうが戦闘続行は不可能な部位、最大限の隙に最高の一撃を。
この男にとっては確実に仕留めたと感じた一撃、しかし仮に、万が一に副総統がここまでを計算して誘っていたのであればこの男は嵌められたというしかない。確実に仕留めるための一撃とは、裏を返せば決まらなければ隙だらけなものだ。避けねば死ぬが、避ければ好機。最大のピンチの後には最大のチャンスが訪れる、そういったものだろう。

>>シャル・ド・ノブリージュ

9ヶ月前 No.188

Lzh @lllllzh☆PvKD6UICUoMc ★TuwsMa7hHI_W3T

【ナコーン/森林/桐生戦兎→仮面ライダービルド】

「なるほど……よくわかった」
黒いジャケットとジーンズを着た男に教えられ、全てを把握する。
その後燃え盛る木々を見渡し、改めて決意した。

「……あんたを倒す!」
そう言ってフルボトルを取り出そうとした矢先のことだった――――

「!」
不意の襲撃。それは氷の槍。
まともに喰らえばただですまないのは明白。
とっさに『ラビット』フルボトルに持ち替えてそれを振り、身を翻して一つを避け、わずかの時間で変身ベルト『ビルドドライバー』をセットし、攻撃者である黒の貴族装束に薄手のロングスカートを身にまとった女を見た。
だがもう一つはそうは行かないようだ。軌道からするに追尾能力があるらしい。

「はぁっ!」
素早くドリルクラッシャーをソードモードにし、それを真っ二つにした。
かなり神経を使ったからか、少し息が上がった。

「……」
うごめく無数の屍を見ながら『タカ』フルボトルと『消防車』フルボトルを取り出し、両手に持つ。
そして勢いよく上下に振り、上部のロックを解除する。

『タカ!』『消防車!』
ベルトに先ほど取り出したフルボトルを装填する。
ガイダンス音声が流れた後、音楽が流れる。変身待機音だ。
ベルトについているレバーをまわすとそこからガシャガシャと音を立てながら半透明のパイプラインが出現、フルボトルの成分がその中を流れ、ビルドの装甲を構成していく――――

『Are You Ready!?』
「変身!」
戦兎が構えを取ると、構成された装甲が戦兎のほうに向かっていき、装着される。
軽快な音楽とともにオレンジと赤の装甲を身にまとった『タカ消防車のトライアルフォーム』への変身が完了した。

『ホークガトリンガー!』
タカボトルの能力で飛翔したあとホークガトリンガーを召喚する。

「さて……消火開始だ!」
どうやらこれで消火と敵の迎撃を同時にやるつもりのようだ。

>17代目葛葉ライドウ、魔大老エスト、イスマリア・ザルヴァトールとその周辺all

9ヶ月前 No.189

蓼科祈 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_ly4

【 ナコーン/果樹園/蓼科祈 】

 ――思った通りだ。相手は狩り慣れてこそいるが戦い慣れてはいない。

 もっと言うならば、己の絶対優位を信じて憚らない傲慢さ故に、己の能力を過信しすぎている。

 敵の異能の詳細は恐らく――自身の存在感の消失/操作。
 目の前にいるのに/目の前にいない。強烈な違和感の正体は恐らくこれだろう。
 雪葉のポテンシャルは圧倒的速度から繰り出される機動力。そして己の位置を悟らせない技術、あるいは異能にあった。
 そしてそれを扱いこなし、相手が捉えられない内に背面から忍び寄り瞬時に殺すことこそ――彼女の戦い方<スタイル>。

 見失う様子を前にせせら笑い、高みにいると声高に宣言し続けていたのもそのため。
 そも、聞こえた位置に撃っても攻撃は届かない。
 内面こそどうであれ、――そのままであればこれまでに戦った誰よりも苦戦していただろう。
 純粋な力比べではない上に、四方八方からの奇襲に常に警戒し気を張り詰めなければならなかった。
 そして、緊張が途切れたその隙間を狙われ殺されていた。
 彼女の力は、……磨きようによっては純然たる脅威と成り得る。

 幻想の塵殺兎、自在に己の存在の濃度を左右する雪葉を確実に捉え追い続けることはこの世の誰にも不可能だ。
 なら、最初から捉え追い続けることを放棄すればいい。
 相手の得意分野の上で真っ向から勝負してやるつもりなどどこにもない。

 こちらへ向けて度々行われた嘲笑。侮蔑。挑発。
   、   、   、   、   、   、   ・・・・
 彼女の行動、そして言動の一つ一つから悪意/快楽が滲み出過ぎていた。

 ――「気配を操る程度の能力」、視界に入れば捉えられる/視界から外れれば見失う。
   限界まで気配を希釈すれば、彼女はこの世の誰にも認識されなくなることだろう。

 だが過ぎた悪意は仇となる。
 最初の奇襲。そして二度目の高速移動による弾幕掃射。そのどちらも祈の背中を狙ったもの。
 そして再三の挑発。己を捉えることは絶対に出来ないという確信。
 何時しか彼女の攻撃は単調化していた。確実に殺せる定石<パターン>――背中からの攻撃に固執するという形で。
 だから罠を張った。無防備な背中/背面に意識を傾け、しかし限界まで引き付けてから捕まえて殴る。

「古今東西、逃げる兎は罠にかけて絞め殺せって言われてるのよ」

 たった、これだけ。
 横頬を狙って眼鏡ごと顔に傷を付けるべく突き刺した蹴打も。
 無防備な脇腹へ目掛け放たれた轟と唸る、触れればぱきりと世界を砕く拳打も。
 そのどちらも――出来過ぎているくらいに吸い込まれるように雪葉へと叩き込まれ、その勢いのままに宙へと舞わせ地面に叩きつける。

 依然気配は感じられない。
 だが視界にとらえ続けている。舞う彼女を。脇腹を抑えながら立ち上がる彼女を。
 そして悪態をつきながら異能を行使する彼女を。

「づッ……」

 ぐらりとした。視界がゆがむ。頭を抑える。
 強烈な違和感に襲われる。何が起きている。頭に霧がかかったような感覚。
 いや、違う。幻術の類ではない、――仮にそうであれば起点を探して破壊を叩き込めばいい。
 観察しろ、蓼科祈。目の前の敵を。彼女がどのような次の一手を叩き込んできたのかを。
 存在感の肥大化、――脳へ叩き込まれる情報の暴力。強すぎる存在感は感覚に麻痺<オーバーフロー>を引き起こさせる。

 四方八方、あらゆる方角。その全てに雪葉がいるような違和感。
 先程の状況と真逆。捉えているのに/捉えていない存在感の消失とは対を成す――捉えすぎて/脳が処理できない現象。
 何処にいるかを一瞬で把握できる以上の情報は負荷へと変貌し、何処にでもいるかのような状態を引き起こす力。

「これでハッキリした。アンタの異能は存在感の操作ってわけ……!?」

 先ほどの気配消失は純粋な技術ではない。意図的に存在感を下げていたとすれば辻褄が合う。
 雪葉は自身の存在感を過剰に引き上げることで、脳の情報処理を上回った。結果として正確な探知が不可能となる。

 人間の脳は少なすぎる情報は不要として捨ててしまう。
 逆に過剰な情報はそれだけで脳の容量を圧迫する。
 異能のタネが割れれば何てことはない。吐くべき言葉/やるべき事は――。

「ほんッと厄介!」

 悪態を吐いて両の手に異能の光を纏わせる。

 正確な位置を判別することは出来ない、だが、――不完全な予測でこそあれどやることを読めないわけではない。
 敵に正確な位置を知られないことの利点は一つ。反撃とカウンターを封じ、防御の手を追いつかなくさせることにある。
 まして相手は油断を完全に解いた。軽口こそ変わらないものの、排除すべき敵と認識されたのは間違いない。
 ただでさえ凶悪な力を万全に用いられれば、今度こそ危うい。

 だからその土俵には乗ってやらない。全方位を囲まれているとしか認識できない知覚は切って捨てる。
 ブラスターの射出音。連なり一つになって聞こえる波動音。
 大気を焼く熱量の乱射。前後左右。逃げ場などありはしない。

「破洸ッ!」

 ブースト
 出力増強。地砕く波動。両の手より炸裂する衝撃。
 瞬時に装填した球体を地面に叩きつけその勢いを利用して天高く。空へ、空へ、空へッ!
 落ちる祈。見下ろすは地。
 そして飛び上がり仕上げの爆撃を撃ちださんとしていた雪葉の無防備な背中。
 両手を伸ばす。集中。気の収束。破壊の力の充填。バレーボール大へ膨れ上がる白き光。

「ガラ空きよ――」

  、  、 、  オールグリーン
 充填完了、――照準固定。軌道制御無し。
  セット 、  ファイア
 砲撃用意、――発射。

「――壊雷ィッ!!」

 稲妻が落ちるような音が響いた。
 それは白き砲撃。砲弾とは違う破壊の熱量の照射。その防御ごと破壊するという意志の発露。
 祈の手から放たれた破壊のレーザー<熱線>は一直線に、雪葉の背中諸共刺し貫かんが勢いで大地へ向かって撃ちだされた。

 射出による慣性の制御。
 そのまま大地へと叩きつけられるように落下するも、受け身を取り致命傷だけは避ける。
 そして反撃が来る前に後退し態勢を立て直した。

>雪葉

9ヶ月前 No.190

爆炎 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【グリア村/池/ニケ・エタンセル】

土煙の向こうに親友の無事な姿を認め、胸を撫で下ろしながらも済まなそうに苦笑いを浮かべるニケ。彼女を想ってやったこととはいえ、それが原因で怪我をされては元も子もない。
ああいった状況に於ける"最適解"とは何なのだろうか?先程の様に突き飛ばしたり術によって守ったりすることか?それとも仲間の実力を信じて敢えて手を貸さないことか。
前者は仲間への愛情や友情から、後者は一種の信頼から生まれる行動だ。どちらにも明確なメリットとデメリットが存在し、一様にどちらが正義とは決められないようになっている。
もちろんパメラのことを信じていないわけではない。むしろ家族も友達も失った今、ニケが一番信頼を置くのは彼女と言っていい。ただ漠然とした表現ではあるが、ニケは"そういう選択"に踏み切れない性格の持ち主なのであった。
自分の身を危険に晒してまで他人を救おうとする姿は、相手方からすれば理解に苦しむものだろう。ただ一つ確かなのは、これはニケの大きな弱点であると同時に、最大の強みでもあるということ。

「ああ、当たり前だ!なんたって俺達は、反乱者の魁(さきがけ)なんだからな!」

パメラの心強い言葉を聞き、喜びの色を顔に浮かべて戦闘を続行する。言うまでもなく敵は強大であり、自分一人の力では越えられない高い壁として立ちはだかっている。
しかし忘れてはならない。自分は一人ではないということを。隣を見れば、常に励まし合い、時には守り合える友がいる。そうやって助け合って来たからこそ、ここまでこれたに違いない。
ならばやるべきことは一つ。いつも通り、全力で勝利を掴みに行く。ただそれだけだ。

燃え盛る火炎魔法による猛攻と、反撃による危険性を打ち消すが如き氷結魔法。属性を言えば真逆の組み合わせだが、相互補完のなんたるかを説くが如き見事なコンビネーションを実現している。
"この二人だから"為せる妙技。だが相手も一筋縄ではいかない。邂逅時のソレを遥かに上回るであろう咆哮。その脅威の前に二人の攻撃が掻き消されていく。
おまけに距離を空けているというのに鼓膜を打ち振るわさんばかりの爆音...思わず耳を塞ぐ。至近距離で聞かされれば聴力を失うのではないかと
すら思える強烈さだ。
しかし防御の手があるのはわかっていたこと、そのために追撃を出した。威力は落ちるが速度は炎弾を凌ぐ熱線、果たしてその成果は…

見事に命中。相手の肉体に確実にダメージを刻むことができた。第一歩を踏み出したことへの達成感と、勝利の可能性があると知れた安堵に喜びを隠せないニケ。
しかしその直後、彼女の心を戸惑いと焦りが支配する。自分の目に狂いがなければ、熱線によって焼かれた男の傷が、徐々に徐々に再生していっているではないか。
ならばもう一撃、いや二撃叩き込んで回復を許さず決着する。一見正しい判断に見えるだろうが、敵の反撃が予想される今となっては禁忌そのもの。そう、ニケは焦燥に駆られて選択を誤ってしまったのである。

「うあああっ...!」

敵に突っ込もうと単身飛び出したニケを、大地の脅威が容赦なく襲う。咄嗟に火炎放射を繰り出して相殺していくも、押し寄せる土煙のために目を開けていられない。
著しく動きを制限された獲物を目前にして、相手がどんな手に出るかは想像に難くない。狭視界ながらも必死にバックジャンプで再度距離を取ろうと試みる。
結果として、当たればよくて四肢欠損、最悪即死も有り得る男の剛撃は回避できた...はずなのにニケの顔は苦痛に歪み、その右足は細かく震えている。
足を捻ったのだ。ただでさえ悪い視界と緊張が重なり、着地に失敗したせいだろう。それでもパメラには悟らせまいと、平気な顔をして戦いを続けるニケ。
もし彼女がこのことを知れば、自分を庇って動くかもしれない。そうなれば彼女の動きにまで支障が出て、最悪の場合は共倒れになりかねないではないか。

「仕方ねぇ。"アレ"やるぜェ!」

戦場に響き渡る怒号にも等しい声。痛みと弱気を吹き飛ばすような一声の後に、極太の熱線が次々と地面から噴きだしてくる。計10本のそれらはニケの眼前で一つの巨大な火炎弾となり、頭上の太陽に勝るとも劣らぬ輝きを放ち始めた。
滾る炎熱の権化を豪快に蹴り出すニケ。痛めた右足があげる抗議の声も無視し、射出された炎弾が向かう先は強敵ならぬ狂敵...ではなかった。
なんと進路上にはパメラがいる。このままいけば彼女に命中してしまうのは"火"を見るよりも明らか。傍から見れば裏切りに等しい一撃。果たして親友は、その意図を汲み取り、逆転の一手として叩き付けることができるだろうか。

>>パメラ・エンドネル、カリギュラ

9ヶ月前 No.191

うつ獣 @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【ロンカ村/広場/イアン・ガグンラーズ】

ズシィィィィィン。受け止める側からすればなんとも痛そうな音がこだまする。最も、加害者側には悪意どころかその気すらないのだが。
飛び込んだイアンを受け止めたのは、ここの絶品牛乳の香を漂わせる青年。間近に迫ったその顔をまじまじと眺め、くんくんと匂いを嗅ぐ。やはり美味というのは胃袋に納められた後も美味なのだろう。その匂いに全く衰えはない。
肉もシチューも食べたいけど、やっぱり牛乳が最初かなぁ。いや待てよ、シチューなら一石二鳥じゃないか!鶏肉だけにね!そう次なる美食に想いを馳せるイアン。無垢(?)な銀狼に、突如として災難が降りかかった。

「ほぁっ!?アーチャチャチャチャチャチャ!

なんだよ急に!」

なんだか熱いような気がして振り返ってみれば、「かっこいい」という理由で盗んできた修道士服のお尻が燃えているではないか。たまらず飛び上がり雪の上でゴロゴロと転がる。
すぐに火は消えたものの今度はイアンの怒りに火がついてしまう...とはいえこれは当然の仕打ちであった。ここに来る前に彼女は許されざる行為に手を染めていたからだ。
それは食糧庫での暴飲暴食。悪意は無かったとはいえ、雪国の貴重な食料に手を付けた罪は決して軽くない。故に天罰が下ったとも言うべき状態である。
おまけに見ず知らずの人間に突然飛び掛かろうものなら敵意を持たれて当たり前。青年が両腕でなく武器を向けていればそれで、お陀仏の可能性まである。
残念ながらイアンにそんなことを考えられる脳ミソはなく、全身雪まみれのままプンスカした表情で立ち上がった。
そして雪だるまを思わせる風貌のまま三人組を見据える。どうやら犯人はあの狐っ子らしい。いいだろう、どっちが動物界の頂点か思い知らせてやる。
そう意気込んで身構えるイアンだったが、敵は一人ではなかった。彼女のメインターゲットの高身長の女性までもが敵意を向け、なんだか綺麗な飴玉の様なものを飛ばしてくる。
生憎キャッチして食べられるスピードではなさそうなそれを前に、ここまでピエロそのものだった銀狼の目がギラリと光る。

「なーるほど、ボクを捕まえて食べちゃうつもりなんだな。絶対そんなのやだぞ!」

...見当違いもいいところなのだが、この銀狼、真剣である。そんな彼女が次の瞬間に見せたのは、優雅という表現が何よりも相応しい宙返り。迫りくる光弾を回避し、更に近くにあった大きな枯れ木を壁代わりにジャンプ。
そして着地の衝撃など微塵も感じさせない身軽さで地面に降り立つ。多くの人間が彼女に抱く第一印象とは真逆の華麗な身のこなしを皮切りに、純粋で愚かな銀狼の反撃は始まった。

野生の獣そのものの勢いで前方へ飛び出すイアン。明らかに追おうと思って目で追える速度ではない。スピードを増すごとに彼女の周囲に銀色のオーラが漂い始め、その量もどんどん増えていく。
まさに荒野、いや雪原を駆け抜けるケダモノ。一種の美しさすら感じさせる装いから放たれるのは、冷たい空気を切り裂く豪速の真空波、三連撃。
イアンのふさふさとした見事な尻尾による振り抜きと、それに付随する銀色のオーラが形作るそれらは、鋭いながらも重厚な音を立てて三人組に襲い掛かる。

>>アラン・レイクルード、山城瑤子、ユーフォリア・インテグラーレ

9ヶ月前 No.192

指輪の女帝 @kyouzin ★XC6leNwSoH_D9v

【城砦都市ギリダン/玉座の間/パージルク・ナズグル】

「む……そうか、まぁ、そうだな。 ……だが、忘れてはならんぞ、父もまたそう思われていた中で死んだのだ、あの時はブールーン体制だったとは言え、お前にもそのような事が起こらないとは限らんのだからな」

死ぬはずが無い。 そう当然の事のように返答してきたエスメラルダに対して、パージルクは、それでも、と死んだ父、つまりパージルクの夫の話を始める。
どんなに優秀な者であっても、それに嫉妬した愚民や、腐敗した勢力によって殺される事は十分にありえる、この魔道帝国内ではそういった物は一掃しつくしたと考えているが、それでも今は戦争中、外部からその手合いが多くやってきている、万が一が起こらないとは限らないのだ。

などと警告していると、マロンは大事なのは今と語り、そろそろ悪いところにも目を向けるべきなのだと語る。
やれやれ、この場にノエルやカシュタン、他の将軍が居れば確実に面倒事になるような事をよくもまぁ言ってくる、とパージルクは内心笑う。
だが、意見を否定する事はあっても、パージルクはそういった視点を持つことについては一切の批判を加えない。 むしろ、異なる意見を持っているからこその重用と言う側面も無くはない程だ。

全てを自分の賛同者で固めれば、それこそ世を正しく把握する事が出来なくなる、事実として、奴隷関係は国家方針と対立するのでほとんどを却下しているが、第一人種や軍事面においては、イエスマンではない彼女の意見は大いに参考になり、それを取り入れた例もある。

しかし……こればかりは、素直に認めることは出来ない、エスメラルダの目を気にしている訳ではない、女帝と言う公人としてだ。

「第二人種を多く救いたくば多くの領土を自らの領地とするがいい、お前の領地に妾は干渉せん。 全体を変えたいならば、まず全体に影響できるような優れた人間となれ。 ノエルも、カシュタンも、そのようにして己の意見を押し通した。 今のお前の意見を採用する事は、つまり、今の魔道帝国を必要とする有能な将の幸福を踏み躙る事になる」

そのようにパージルクは冷酷に切り捨てた。
魔道帝国内でも、ほとんど規則を無視したような残虐行為が目立つ二人の名前を挙げて、それらが好き勝手にしているのは、実力と功績があったからだ、と。
今のマロンも十分な実力がある、だが、結局の所、自分の領地を自分が描くユートピアにするだけで、それを外に広げようとはしない。 それを広げたがるなら止めはしない、それは魔道帝国が描く発展に限りなく近い物を生み出してくれる。 しかし、他にも実際に成果をあげている将軍の利益までも阻害しかねない要求は、それらを全て潰すような実力が無ければ、通すことは出来ない。

パージルクと言う指導者はどうしようもなく部下本位に考える人物だった。 何よりも実力ある部下の自由と評価を最優先するために、部下の領分では好きにさせるが、他の部下ともかち合うような提案をされれば、途端に意思を頑なに曲げず、大多数の部下の自由と利益を守ろうとする。
故に、マロンの意見は、受け入れられない。

それだけ終われば、二人は戦場へと赴いた。

「……第二人種など存在しない方がいい、分かっているよ、マロン。 だが、一度誰かが二分してしまった世界は、そう安々と一つの世界にはならない。 だから妾が片方を殲滅し、お前のような優しい子が妾の死後、緩やかに……色々押し付けに掛かった老害の策だがね。 まぁ……途中で妾のようになっても、それはそれで良いさ。 妾が認めた者が世界を変えるなら、文句は無い」

そう彼女は一人呟き、侵略者を静かに待った。

>マロン・アベンシス エスメラルダ・ナズグル ALL

9ヶ月前 No.193

麗人? @sable ★8O0rjcH5GN_8gk

【ナコーン/市場/ショコラ・ヴァンディール】

相変わらず狂気にも等しい剣幕で吠えたてる敵の主将。しかし今回はこれまでと異なっている。唐突ながら姉の名を問う青髪の女性に対し、依然怒りに囚われたままとはいえ受け答えをしているからだ。
とはいえ彼女の求めるような解答でないのはショコラの目にも明らかで、むしろその怒りはますます激しさを増していく。それでも相手の言わんとすることが初めて明確に伝わったのに間違いはない。
この青髪の女性は亡国の末裔であり、ラガルデールは敵の女性に対して裏切りにも等しい仕打ちをしでかしてしまった。その結果彼女は羽をもがれた蝶の如く、陰々滅々たる日々に身を沈めることとなり、今に至る。
ただもう一つ確かなのは、背後の王女にその責任は無いということ。王国関係者としてケジメを付けろ、頭を下げろと言うのならギリギリ筋は通るかもしれないが、彼女に向けられているのはドス黒い怨嗟の凶刃。殺意そのもの。
本来ならショコラは二人の因縁になど一切関係ない第三者だが、ここまで来てしまった以上、その目で最後まで見届けるつもりでいた。

「ここは私が!」

大海が成す渦の如き激しい怒り。そこから放たれるは、天地挟撃、足元と頭上からの針による同時攻撃。前者に気を取られればヤマアラシも驚愕の風貌に、後者に気を取られれば剣山に留められた生花も同然に。
双方に的確な対処を求められながらも、ショコラは果敢に防御を買って出た。幸い大地を介する攻撃なら得意分野、余程のことがない限り抑え込める。
こちらへ伸びてくる無数の針への対抗策、それは魔力を撃ち込むことで味方に付けた大地を硬化させること。結果として鋼鉄と化した地表は針の侵攻を食い止め、下から串刺しの危機だけは免れた。
しかしだ。ショコラの得意とする術では、空からの攻撃を防ぎきるのは困難を極める。すぐさま地中から岩石を撃ち出して迎撃に充てるも、邂逅時と比べさらに規模が増したスコールの様な物量攻めには対応しきれない。
間隙を縫って襲い来る針の回避と岩弾幕の展開、そこに地表硬化の維持も加わり、ショコラは一切の余裕を失ってしまった。何かあと一つでもタスクが追加されれば限界を超え、崩壊を迎えるのは誰の目にも明らかである。

「ごめんなさい...今のうちに...ッ!」

当然反撃など出来るはずもなく、次の一手は完全に相方に任せる形となった。苦しげな表情で防御を維持しながらも戦闘続行を促す。
災厄も同然の殺意に立ち向かえるのは彼女しかいない。そこに加われないのが歯がゆいところだが、これが今の自分の限界であることは認めなければならない事実。
故に自分に出来ることを精一杯やり抜き、王国の末裔にバトンを渡す。

>>ソレミア・ラガルデール、カシュタン・コルーカル

9ヶ月前 No.194

“ナルカミ” @sacredfool ★ujIB23kcPC_UxJ

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9ヶ月前 No.195

豪腕剣士 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ナコーン/酒場/マロン・アベンシス】

人間の領域を逸脱した豪力によって打ち下ろされる大剣。相手も同じく大剣を駆使して応戦しようとしていたが、マロンはそれを破れる確固たる自信があった。
彼女と対峙した人間の死因の多くは、盾ごと貫かれるか、鎧ごと真っ二つにされるかの二択。実に恐ろしいことではあるが、マロンにはそれを可能にするだけの力があるのだ。
だからこそ、今回もその大剣ごと男を叩き割る……かのように思われたのだが、彼女の剣撃は敵に命中する直前、突如として現れた女性が展開した流水によって受け流される。
自身が苦手としている魔法での対処に、内心焦燥を覚えながらも、至って冷静にマロンは後方へと飛び退く。これで数は互角か。……この山羊を、味方として信頼していいかどうかは不明だが。

「これでお互い言い訳なしだな。私も気兼ねなく、本気を出せるって訳だ」

白い歯を見せながら、まるで戦いを楽しんでいるかのように彼女は笑う。如何にも余裕といった雰囲気を漂わせつつも、その裏では魔法への対処を必死に模索していた。
魔力を有してないマロンにとって、魔法は天敵だ。他の将軍であれば軽傷で受け流せるであろう威力であっても、彼女が喰らえば重傷や致命傷となりかねない。
しかも、こればかりは力で解決出来ないというのが最大の難点。人並み外れた体力を持っているマロンであっても、連続して攻撃を受け続ければ、いずれ倒れてしまう。
出来れば被弾は最小限に留めたいところであるが、接近しない限り攻撃の手段を持たない自分にとっては、それは非常に難しい問題となってくるだろう。
まあ、悩んでいても仕方がない。避けられない攻撃が来たら、潔く諦めるしかないのだから。重要なのは、そうした状況を作られないように立ち回ることである。

「そんなんじゃ当たらねえよ!」

男が大地へと叩き込んだ大剣が、魔力を伴い、地面を隆起させる。定石通りに考えれば、ここは一度攻撃の範囲外、後方や横へと逃れ、身の安全を確保するところだ。
しかし、マロンはあろうことか、地面を蹴ってジャンプすると、そのまま敵の攻撃を飛び越した。山羊が護衛に付けた眷属を、完全に置き去りにする勢いで。
やがて攻撃が過ぎ去った後に、それらはマロンの元へと戻ってくるが、その頃には既に彼女は反撃へと移っていた。一瞬で間合いを詰め、まず男に超高速の袈裟斬りを放つ。
そのまま大剣を振り払った反動を利用して、横に立っている女性の眼前へと移動すると、何ということだろう。マロンは手に持った大剣を、"片手で放り投げた"。
綺麗な放物線を描きながら、大剣は軌道上にある女性を巻き込むような形で、地面へと突き刺さる。いつの間にか着地地点へ移動していた彼女は、得物を回収すると、再び自陣へと戻る。
一般的な考えが何一つとして通用しない、豪力を最大限に活かした挙動。恐らく、二人にとっては驚きの連続であることだろう。されとて、攻撃の一つ一つは研ぎ澄まされており、決して力押しなどではない。力と技を併せ持つマロンの剣技を前に、彼らはどのような対処を見せるのか。

>レオンハルト・ローゼンクランツ、シフォン・ヴァンディール、ミルグラム・ゴート
【折角護衛付けてくれたのに置き去りにしてすまない……ミルグラムさん……】

9ヶ月前 No.196

リインカーネーション @genomirai ★5PyZcP0Vz3_ly4

【ナコーン/森林/魔大老エスト(残り魔具9826個)】


「うーん?配慮感謝する、なら任された方はどうにかして見せよう。」

女性は簡単な指示の後に大剣使いへと迫った、ならば彼女は任された二人を相手取る為に懐から多数の白い輝きを放つ球体を取り出し、その全てを拳で握りこむ。
肌すら崩れかけの掌から吸収されたそれは、彼女の魂を魔力に変換したモノ。それを大まかに数えて100以上取り込んだ彼女の保有する魔力は現在百人分以上という事だ、何故魔力がそれだけ必要なのか、それは大魔法を連続で使用するからだ。
少なくとも大剣使いは女性に任せれば問題ない、であれば残る悪魔使いと鉄馬を操る男を倒せばいいだろう。悪魔使いの方は先程放った魔術に対して放置という対処を取ったが、鉄馬を操る男は奇怪な装備で氷槍を撃墜させた。
しかしそれ以上の追撃はなく奇妙な姿に変わっただけに留まる、時空防衛連盟の兵器か何かと判断した彼女は警戒度を高めることにする。さて、そんな折に聞こえた言葉は彼女にとっては決して心地よいものではなかった。
悪魔使いから放たれた滅ぶ国の将といった言葉、歴史是正機構と同じ技術力を持った時空防衛連盟の戦闘員がそういったならば信憑性は高い。だがそれが事実であっても、今この魔道帝国に住まう人間からすればどう感じるか、それは彼女の態度で明白だった。

「……うーん?成程、魔道帝国は滅びるか。そうか、女帝が居なくなれば何れとは思っていたが、……まあそれは別だな。」

記録書の頁を四つ同時になぞる、その内の一つは眩く輝き、彼女の周囲からは魔力の波動が発せられる。
一つ、此方に斬りかかった悪魔への対処に用いるは漆黒の闇。振り下ろされた剣の渾身の力などまるでなかったかのように勢いを弱め、周囲に散った闇で四方から襲う剣の勢いを消す。
この闇は触れたものの勢いを殺す、振り下ろされた剣は闇の中でふわふわと漂い、四方からの剣も小さな闇の中で漂っている。闇は消費する魔力に比例して大きくなるが、振られた剣はともかく飛来する剣は小さな闇でもすっぽりと覆えるため消費は少ない。欠点は大きさに限度があり、闇以上の大きさのものは勢いを殺せない事だが特性を知ったうえで使っている以上欠点はないに等しいだろう。
二つ、悪魔使いの地面を崩落させたが気にも留めない為に、さらに落ちてもらう。悪魔使いのいた地面は先に使用した魔術によって蟻地獄のようになっていたが、回避もせずどうやら埋まることが本望の様だ。ならば望み通り深く沈んでもらおう。先程であれば悪魔とやらの助けがあれば抜け出せただろうが、木々の高さ並みの地面の崩落だ、精々自力で這い上がってもらおう。
三つ、これが魔力を得て光り輝く頁。先程悪魔使いへ向かった氷槍を起点として発動、女性と大剣使いとこの場の三名の間に木々と同等の高さの氷壁を作り出す。ただでさえ荒れ果てている森林に配慮はもうなく、氷壁が出現した個所の木々は凍結された。二つに分かつ為に発動したため、女性へと向かった弾丸も空中で凍り付く。どれだけの威力を誇ろうとも当たる前に凍らせれば脅威ではない。
そして四つ、鉄馬を操る男改め奇妙な姿の男に放たれるは無数の火の玉。揺ら揺らと揺らめくそれはこれ以前の魔術に比べ、それほど脅威に思えない。実際その通りであり、悪魔使いへの警戒度と奇妙な姿の男への警戒度は雲泥の差だ、現状後者は攻撃への対処しかしていない。詰まる所これは小手調べであり、多数への対処を窺うものでもある。

「任せられた以上、此方を向いてもらおうか。さて、悪魔使い。この帝国が何時か滅びようとも、今こそは存在していると知れ。未来がどうなるか知ったことか、我々は現在を生きている。」

計四つ、悪魔使いと奇妙な姿の男へ向けられた魔術と大魔法。それは彼女の静かな怒りを表す大規模なものが含まれていた、少なくとも彼女は悪魔使いをそう易々と許しはしない。
何時かは滅ぶ国であろうとも今現在はその地に栄え、その国に暮らす大勢の人々がいる。その国が善であったか悪であったかは後世が決める事、だが後世の人間が滅ぶから滅ぼしてよい理由にはならない。
要するにだ、この悪魔使いは魔大老エストを珍しく怒らせた。老いた彼女ではあるがとある一点においては譲らない、悪魔使いが放った言葉はその一点を揺るがすに値する言葉であった。然らばその怒りを甘んじて受け止めるべきだろう。

>>桐生戦兎 17代目葛葉ライドウ (イスマリア・サルヴァトール ギギナ)


【過密が酷いため戦闘を二分割させて頂きました、また幾つか描写が見当たらなかったので対処していないものとして判断しました。】

9ヶ月前 No.197

Futo・Volde @nonoji2002 ★7KU5qNWZJU_D9v

【城塞都市ギリダン/城下町/スターロード】

「へえ、これが。ふーん」

城塞都市ギリダン。古代における時空防衛連盟の敵に当たる歴史是正機構の本拠地。
古代って聞いていたから、てっきり前時代的な古臭い装備や設備を想像していたけど、歴史の干渉はこういう形でも行われているとは。ちょっと前に見たテラ……地球のエジプトを舞台にした映画を思い出す。監督がボイコットしたことでも有名なアレだ。

しかし、敵の本拠地って割には意外と簡単に潜入できたわけだけど。ここからどうしようか、なんて。とりあえず中心にあるらしい、宮殿とやらに向けて歩いているけどやはり戦火の真っただ中とだけあってか、妙に“壁の中”は騒がしい。時折兵士らしき奴らが横をせわしなく駆けて行く。旅行者を装ってここへは来たわけだけど、意外とうまく行くものだ。

「にしても、城下町って言う割には、随分静かなところだな。もっとお店とかたくさんあって賑やかなところを想像してたよ」

今居るここは、城下町と呼ばれる地区らしいが、どうも想像していたのとは全く違う雰囲気だ。お店よりも圧倒的に多いのは、(俺が居た時代から見て)近代的な、高級住宅のような建物ばかり。日本のコミックなんかで見かける城下町はお店がたくさんあって、もっとこう、観光地みたいな、そんな感じの場所だとばかり思っていただけに少し拍子抜けする。とは言え、ここは“古代”。時代の差と場所の差っていう物かもしれないけど、少し期待していただけに残念なのは否めないな。

>ALL


【とりあえず配置だけして様子見て動かします( □ω□;)】

9ヶ月前 No.198

ワーロック @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_FR1

【ナコーン/中心街/ワーロック】

 掃射の直後、横殴りに奔る迅雷。
 制圧射撃の長所とは相手の行動を束縛することにこそあるが、しかし短所は火力の密度に欠ける点だ。
 物言わぬ芥と化した模倣体の辺りにこびり付いた血痕が垣間見える―――手傷を間違いなく与えたと判断できるが、あの傷ならば“致命傷”には至っていまい。

 そして言い換えるならば。
 此方の兵装が通じる余地をあの稲妻じみた敵兵は残しているということにも繋がる。
 つまりは殺せるのだ。肉体強度という意味において、アンリエットはワーロックの想定範囲を出ていない。唯一想定範囲を出ているのは、現時点では反撃として撃ち込まれた拳の一撃くらいのものだ。
 遠心力が乗った、重力を乗せた、速度が速い、異能力がある―――だからなんだ。その事実だけならばワーロックは、わざわざイミテーションを複数盾にするという戦術パターンを組まない。これは警戒であり、これは脅威である………そう判断するだけの要素が、あの女には存在する。そのように機体のAIプログラムが判断を下したが故の行動だ。

 所在、ナシ。何処に姿を眩ましたのかも掴めない。
 センサー内への索敵を開始しようとして、しかしそれよりも早くに躍り出て来る。

 ………つくづく、この女は隠密、奇襲と言った言葉とは無縁のようだ。
 その荒ぶる闘志は確かに陰惨なる戦争の中に生きるものではない。
 むしろ、その徹底した前進振りは路地裏にて拳を振るう無頼の者を彷彿とさせる。
 荒唐無稽のほどは語るに及ばず―――そして、それは逆説として戦闘手段の著しい欠如を理解させる。

    、   、   、   、  、ステゴロ  タイマン
 つまり、アンリエット・エクレールは凡そ徒手空拳での近接戦闘しかしないし、出来ないのだろう。


 あるいは出来るポテンシャルがあるとしても、それをしないということか。
 戦闘には向くが、戦争には致命的に向かない。倒したところで尖兵以上の役割を持つことはないだろう。ワーロックが優先順位に合致しないと評した最大の理由はそこだ―――ただの一芸しか出来ない、突撃しかしないものなど、一兵卒以上の価値はない。統率者、複数の戦局を埋められる万能性。そうした“死なない立ち回り”が出来ることこそ戦場で求められるもの。
 しかし、それはこの戦いを戦争という最大単位で物を見た場合に限る。
 “ケンカ”という最小単位にて物を見た場合、一つ事だけを極めたものというのはむしろ脅威だ。

 千の技を修めたものより、一の技を極めたものをこそ恐れるべし。
 ワーロックとは只管に無縁にして対称の理屈であるが………しかし、だからこそ―――。

「被害、拡大」
「………アタック・パターンの修正………」

 その一芸特化の産物は。
 白兵、肉弾戦という状況において、高機動を誇るワーロックのポテンシャルさえ上回る。
 こと万能かつ、先のイミテーションを含めて幾つもの選択肢を持つワーロックが、しかし一手分の決定的な速度差によって、その手札を切り出す前に後手へと追い込まれるのだ。
 これほど短絡的で、しかし洗練された暴力もあるまい。
 光速を以て打ち出されたストレートに対して、反撃を差し込む猶予などワーロックにはない。出来たのは彼女の纏う雷電の熱エネルギーと拳の運動エネルギーを、その腕に搭載された特殊兵装によって吸引し、抑えること程度だ。それでも齎した結果は言うに及ばない。左腕部の損傷、ロケットパンチと白兵用クローの消失は格闘能力の損失を意味する。
 ワーロックの生体パーツと無機的な装甲パーツで覆われたボディが、その堅牢さを発揮しない。
 受け止めること自体がそもそも敵っていないのだ。
 なんという尖った戦闘センス、なんというセンスの無駄遣い。

「―――フォービトンフォース、起動」

 ―――アンリエットとは対照的に、ワーロックの行動たるや徹底している。

 再びバーニアを吹かしながら、右腕部を思い切り振り上げる。
 振り上げと同時に形成されたのは、ワーロックの機体すらも上回る巨大な光輪。目に毒な程度に明るい極彩色のリングは、触れたものをその熱エネルギーで焼き切り、崩壊させる投擲兵装。
 本来、愚直に突進して来た相手に対してカウンターで使う算段だった“飛び道具”だ。
 それを、至近距離で展開して即座に使用―――アンリエットを諸共溶断せんとする熱エネルギーの塊である光輪が縦に高速回転しながら彼女へと襲い掛かり、同時に再度ワーロックは距離を取る。
 接近戦が得意分野であるというならば、そもそも近距離の間合いで戦うことこそ愚行だ。故に………。


「イミテーション・タイプα」  、  、  ・・
「汝らに存続価値なし。諦観と理解を要求する。汝らに存続価値なし―――」


 再度のエネルギー消費と共に産み落とされた模倣体1機が、前方のワーロックをカバーするように出現。
 侵攻を止めるように立ち塞がりながら、今度は明確にそのバーニアを吹かし、
 重量をアームに乗せた上で容赦なく、進んで来るだろうアンリエットを吹き飛ばすべく疾駆し拳を放つ。もしも直線的にフォビドーンフォースの攻撃を抜けて来たのならば、回避の余地なく突き刺さるだろう。
 所謂防壁の展開とそれに伴う遠距離攻撃―――ワーロックが行っているのは“戦闘”ではなく“戦争”だ。得意分野に乗る意味は最初からない。それが自らを脅かす危険性を持っているというなら猶更のこと。
 故に繰り返される波状攻撃。加えて、彼女の予測パターンを再構築した上での行動ゆえに、ワーロックの戦闘パターンの精度は時間に比例して上昇していく。

 ………黒き処刑人《エクスキューショナー》に、戦いへのこだわりはない。
    無機的なそのAIプログラムは、ただ一つの至上命令のために戦っているのだから。

>アンリエット・エクレール

9ヶ月前 No.199

血に植えた玉兎 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_D9v

【ナコーン/果樹園/→撤退/雪葉】

雪葉は気配を消している限り、基本的に負けというものを知らない。相手は誰かに襲われかけているということすら認識していないのだから、それも当然だろう。
いつしか絶対に気付かれないのだということを悟った彼女は、人を殺すことに快楽を感じるようになっていた。ただ殺すだけではつまらなくなって、敵の驚く様を見てみたいと思った。
わざわざ大声で話し掛ける理由はそれ。声は聞こえているのに姿が見えないという恐怖。姿なき者に追われる相手の青ざめた表情が、たまらなく面白い。
慢心を抱くのも、当然の成り行きであっただろう。ただし、それが通用するのは有象無象相手に限る。自分と同等か、それ以上の実力者に、同じ法則は通用しない。

「やーっと気が付いたみたいですね〜。ちょっと時間掛かりすぎじゃないですか〜?」

ここに来て、敵の少女は雪葉の能力の正体に勘付く。気配消失の後の気配増大なのだから、気付かない方がおかしいともいえるのだが。
それを見た雪葉の口から漏れたのは、やはり煽りの言葉。見破るのに時間が掛かり過ぎであると敵を挑発し、平静を乱させようとしている。
尤も、そうした小細工が効かない相手であるということは、彼女自身もここまでの戦いで十分に理解していた。隙を見せれば、次にやられるのはこちらだ。
だからこそ、念には念を入れる。少女は今頃、脳に流れ込んでくる膨大な情報を処理出来ず、苦痛を味わっているだろうが、今回ばかりはその様子を見て楽しむことはしない。

四方八方より迫り来る弾幕の嵐。先程までの慢心しきった雪葉であれば、その時点で攻撃をやめていただろうが、相手が強者であると気付けば、対応も変わってくる。
最後に上空から仕上げの一撃を放ったのも、その一環だ。周囲を取り囲まれた以上、逃げ道は必然的に上だけ。だから、彼女は唯一の退路を塞ぐ作戦に出た。
だが、この状態から敵が反撃に出てくることまでは、さすがに予想出来なかった。膨れ上がる光。真下にいるはずの敵が、どういう訳か、自分の上を取っている。

「うっそ!? えげつなっ……」

破壊の熱線を、何とか身を捩ることで直撃だけは回避するも、右肩を焼かれた雪葉は、そのままの勢いで地面へ墜落する。直後、爆撃弾による粉塵が、辺りを包み込んだ。
霧が晴れ上がる。彼女は倒れ込んではいるが、増大した気配はそのまま。まだ、能力の維持が出来るほどには、体力が残っているらしい。

「うわ〜、もう勝ち目ないっていうか、相当まずいですねこれ。っていうことで、私帰りま〜す。それじゃさよならー」

しかし、相手が完全に自分の能力への対応策を見出していることから、これ以上戦いを続けたところでジリ貧になるだけと判断したのだろう。雪葉はそうとだけ言い残すと、今度は気配を消し、何処かへと消え去る。
能力に対応されたとはいえ、破られた訳ではない。まさか、追ってくることはないだろう。そんな希望的観測とも、慢心とも取れる気持ちを抱きながら。

>蓼科祈
【これにて撤退ですが、戦闘継続をお望みであれば振り返って長期戦に入ります】

9ヶ月前 No.200


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