Google
    
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▼ページ下 >>
切替: メイン記事(1781) サブ記事 (316) ページ: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19


 
 
【ALL】Chrono Crisis【戦闘/シリアス】No.1134 だけを表示しています。

シャプール @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_8gk

【歴史是正機構本部/監視室/シャプール】

 あらゆる生物の“戦い”において。大きさとは即ち力であり、強さだ。
 物理的打撃の極致とは、要するに大質量の物体を高速で打ち当てることにある。身も蓋もない言い方をしてしまえばそれが物理の奥義であり、基本的な打撃のすべてに共通する“威力”を決定づける要素であるからだ。
 巨きいものは動きが鈍い、だとか。小回りが利かない、だとか。結局のところ、それは詭弁ないし錯覚に過ぎない。必然一つ一つの動作に齎される運動エネルギーも大きくなる以上、同じ挙動が生み出す結果はこうも違う。それはこの結果からも明白―――『シンナイト』の力を振るうシャプールの刃が、今まで白兵において相応に不利だったクー・フーリンの牙城を打ち崩したことからも、彼という人物がこの力を信仰していた理由が窺えるというもの。


「怪物、とは良くも言った。これこそ“騎士”の力………私の力だ」


 その風貌を見て“怪物”と呟いたのだろう蒼き槍兵の言葉。
 それを聞きながらも、戦いの中で彼はただ哄笑するのみ。
 猛禽類を思わせる鳥のような兜、その黒い翼。全長数mほどの巨躯を持つ騎士の姿を得たシャプールは、その言葉を否定しながらも満更ではなかった。人間の力と知恵では適わない絶対的なものを振るっている感覚は心地が良いし、現に『シンナイト』の力はまさしく怪物と呼べるものさえ一蹴するほどだ。
 それを見て怪物呼ばわりというのもむべなるかな。彼とて、目前であの騎士の力を見た時に何度も思ったもの。
 あらゆる知性と社会を持つ生き物は、自らの絶対上位に君臨し、あらゆる小細工も理屈もすべてを跳ね除けるほどの、揺るがない絶対の力を見た時に―――。


「そして、分かりやすいではないか。私の力が貴様の全てを食い潰せるなら貴様は死ぬ………。
 この世界の全てがそうだ! 戦い、負けたものの理屈は封鎖される。何故ならば―――」

 ・・
「弱いからだ! 弱い者は死に場所も選べぬ、意思も理屈も通せぬ! それが世の摂理だ!
 クク、だが私にはこの力がある―――この世界でも我を通すことの出来る、“騎士”の力が!」


 なんと素晴らしいものだろうか、と思うのだ。
 この世など所詮、強きものが正義。力あるものが理想を通し、弱きものは何も選べない。
 誇りがどうだの理想がどうだの、正しさがどうだの、そんな理屈を“説き通す”ことが出来るのは強者だけだ。まず揺るがぬ力を得た時、厳然なる力の差というものを思い知らせた時にこそ、それらは成る。

 だからこそ、シャプールが心の底から信奉するものがそれだった。
 如何なる神も存在も、ただ一人を除いて殉じるには能わず。
 自らの主である“閣下”の居ないこの世界では、彼という人間の今は力こそがすべて。

 小細工を理解して踏み潰す。
 細工と手練手管のすべて、読み切った上で驀進する。
 そうしたもので埋まる力の差ではないと、彼は騎士の力に酔い痴れながらも確信している。
 過信じみた感情を前提とするものだが、鋭利な刃物のように状況を鋭く切り開き、冷たい氷の計算機が如く状況を分析するのがシャプールという男のポテンシャルだ。故に―――二度の斬撃程度では勝利を確信しない。

 前提として、まず真っ向から突撃を掛ける。手を緩めることなどしない。
 相手の動きと読みを想定した上で、退路を与えぬ速攻戦術というわけだ。
 黒翼をはためかせた空の疾走は、当然、投擲される紅槍とかち合うが………。


「ハハハハッ………甘いぞ、甘い! 乾坤でも狙ったか!?」
「だとするならば、ああ確かに好機だとも―――」


 そこで加速を止め、急激に停止して翼の向きを変え、勢いよく落下する。
 当然、投擲された槍は黒騎士の持つ大翼を狙うからこそ天井へと逸れる。
 正確には“逸れた”だけで、かすめた部分ではダメージこそ受けたが………しかし多少ならば翼がダメージを受けたところで動きは鈍らない。―――そして、何も黒騎士の武器はその剣だけではない。単純にそれを振るうだけでも技と力を押しつぶすだけの自信はあるが、だからこそ此処でこう仕掛ける。
 彼は搦め手を嫌うわけではない。駆け引きと読み合いを拒否するような人物でもない。


「―――私の、だがなァッ!」


 であるに、此処で不意打ちのように“それ”が炸裂する。
 自分の正面広範囲を纏めて薙ぎ払うように、はためかせた黒翼が勢いよく暴風をまき散らす。物理的衝撃を伴うそれは例えるならばソニックブームと呼ばれるもの、音速を以て繰り出される不可視の刃だ。
 広範囲を纏めて薙ぎ払うその旋風、槍を投擲した今御せるとは言うまい。

「(あるいは………―――)」

 それで油断を誘った可能性も、なくはない。
 起き上がりは普段よりも遅い。損傷だけが理由だというには、あまりにも不可解だ。

 なにか仕掛けた、という可能性はあった。それを理解しないほど、彼は凡愚ではない。

>ランサー

2018/04/10 22:07 No.1134

【ALL】Chrono Crisis【戦闘/シリアス】No.1134 だけを表示しています。
切替: メイン記事(1781) サブ記事 (316) ページ: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19

 
 
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▲ページ上 >>
★必ず ローカルルールメビウスリングのルール をご覧ください。
 ▼スタンプ▲スタンプ
※スタンプはいちどに 3個 まで使えます  ×閉じる
注…進行相談・設定はサブ記事をご利用ください(テスト中)。