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【ALL】Chrono Crisis【戦闘/シリアス】No.1114 だけを表示しています。

シャプール @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★zLr78z7s8m_sgs

【歴史是正機構本部/監視室/シャプール】


 舞う風刃が槍兵を切り裂く。手応えあり、シャプールの口元がつり上がる。
『ソニックエッジ』の風を伴う振り上げの斬撃は見かけ以上の広範囲を切り裂き、同時に自身をその風に乗せて移動させる攻守において万能の剣術だ。加えて実体を持たない刃とは、それだけでも一方的な鍔競り合いにおいて優位に達するだけのアドバンテージがある。
 こうした戦い方は、シャプールが好むというよりは、彼の世界の片手剣使いが好むヒット&アウェイ。つまりは機動戦だ。相手に狙いを絞らせず、優位な状況を保ったまま戦う―――シャプールとしての好みがどういうものであるかはさておいて、彼は豪語するだけの戦闘のカンがある。わざわざ近距離戦闘の土俵に“今”乗ってやるほど、ウィザードの片腕は凡愚ではない。
 相手の身のこなしはこと白兵戦においては随一だ。あれほどの早さ、槍を扱う人間としては全く覚えがない。自分の記憶の中にいる粗野な槍使いと合致する部分は多々あるが、あれとは戦いの経験、そして速度という意味で比較にもなりはしない。唯一そうではない部分があるとすれば………―――考えるが、仮定には意味がない。必要なものは、目の前の敵の把握だ。


「(それにしても………しぶとい。その上、魔力ならば弾けるのか?)」
「(手練れだな………此処のクズが勝てなかったのも頷ける)」

「その通りだとも。なにしろ………これは閣下のための力だ」
「凡才に使ってやるものではありません、そこのところは光栄に思っていただきたいですね」


 軽口の一つに応じながらも、シャプールは目に映る青き槍兵を再認識する。
 思った以上にダメージは入ったが、思った以上にしぶとい。
 荒々しい言動と構え、満ち満ちた気迫は戦士というより猛狗の如し、だ。
 長期戦の覚悟はしておいた方が良いだろう―――何よりも“試し切り”と彼方が口にしたように、シャプールからしてみれば、この世界の戦いなど自分の力量を図るためのものでしかない。
 獅子は兎を狩るにも全力というが、ジョーカーは取っておくのがシャプールの主義だ。それゆえに、コアである黒い長剣をわざと振ってみせ、生身の状態で戦って見せている。生半可な凡愚に騎士の力は勿体無いと、つまりそういうことだ。………そしてその上で、この相手は再三繰り返した通りお眼鏡にかなう相手だった。
 シャプールは傲岸で不遜な男だが、狩る相手の実力を過小評価するほど見境がないわけではない。

 そう、ただの試し斬り。
 これは戦士相手への敬意ではない。ランサーに見せる態度は、あくまで彼の“力”への評価だ。
 素晴らしいものを持っている―――という、彼本人の価値観に当て嵌めた上での賞賛だ。
 戦いの中で高揚する点に関しては、赤枝の騎士クー・フーリンと似通う点があるだろうが………彼の高揚とは似て、しかしある部分だけが致命的に異なっている。


 風切り音と共に槍兵が掛ける。
 間合いに入ると同時に振り下ろされる槍―――だが、軌道は単純。
 膂力と速度で頭一つ分以上の差がある相手だが、この剣でも存分に凌ぐことの出来る範囲。

 むしろこの零距離ならば………迫るのを見た瞬間、シャプールは構えを変えた。
『魔刃の構え』………対魔法耐性に回している自身のマナを攻撃用に転じさせる、本来は遠距離用の形態。しかし、突撃して来たランサーの腹を撃ち放つには十分な攻撃の一手だ。


「(バカが………!)」


 振り翳す槍。赤と黒が衝突し、蒼と翠がにらみ合う。
 鍔競り合いの状況ともなれば分は槍兵にある。
 だが………2秒と持てば十分だった。彼は片方の腕でマナを収束させ―――。


「………何―――!?」


 ―――る、前にランサーが動く。受け止めた瞬間、梯子を外された。
    傾けていた剣が空振り、詠唱と構えそのものがそこで中断される。

 迂闊。そう、迂闊だ。
 シャプールはすぐさまそれが虚の一撃であることを理解した。
 槍の特性とは突きと払い。剣よりはるか優れたリーチにある………それゆえに槍とは、クロスコンバットにならない程度の近距離から、突きと払いで相手を延々と牽制するだけでも圧倒的な強さを発揮するのだ。
 まして相手は一流の使い手。一発一発が稲妻の如く鋭く、鉄槌の如く重い。
 シャプールが白兵戦闘を嫌っていた最大の理由がこれだ、だからこそ―――。

「ちぃッ!」

 この状況で、どれだけシャプールが歴戦の兵士だろうが回避は難しい。
 すぐに剣を持ち替えて致命傷を防ごうとした彼の判断力は一流と呼ぶべきものなのだろうが、この状況では横薙ぎを入れに掛かったクー・フーリンの一工程の方が遥かに素早い。
 故に彼はその横腹を勢いよく切り裂かれ、同時にその直前で止めようとした剣もろとも吹き飛ばされる。

 ………モニターに激突。同時に火花が散る。
    近距離の間合いによる邂逅は、クー・フーリンに軍配が上がった。


>ランサー


【わけます】

2018/04/04 17:49 No.1114

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