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【ALL】Chrono Crisis【戦闘/シリアス】

 ( なりきり掲示板(フリー) )
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時を巡る旅路 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_UxJ

進化と共に新たなる技術を生み出し、その活動域を地球全体へと広げていった人類。
彼らは常に自らの生活を豊かにすることを考え、革新的な発明を世へ送り出し続けてきた。
留まることを知らない人類の科学力は、やがて禁断の領域へと足を踏み入れていくこととなる。

西暦6990年、それまでの常識を、それどころか世界の法則さえも歪めてしまうような大発見が人類にもたらされた。
時間遡行……俗に言う"タイムマシン"を駆り、現在と過去や未来を繋ぐ手段。人は、その方法を確立した。
今まで文献を漁ることでしか様子を知ることの出来なかった過去と、思いを馳せることしか出来なかった未来。
それらへの道が開かれたことは、確かに衝撃的ではあったが、同時に新たなる問題も浮上することとなった。

タイムパラドックス。未来からやってきた人間が過去に干渉することによって起こり得る、歴史の改変。
たった一つの筋を辿るように紡がれてきた歴史に矛盾を生じさせてしまえば、世界そのものの崩壊を招きかねない。
不測の事態が発生することを恐れた時の世界政府は、直ぐ様会議を開き、"時間遡行法"を制定。
資格を持たぬ者の時間遡行を禁ずると共に、時間遡行中の行動に厳しい制約を設け、歴史の改変を未然に防ごうとした。
―――しかし、全ての人間が、その決定を黙って受け入れた訳ではない。何せ、これは空前絶後の大発見。
上手く時間遡行を利用すれば、世界を思い通りに操ることも可能……そんな邪な考えを持った人間が現れるのは、当然の流れであったのだろう。

時間遡行法の制定から数年が経過したある日、歴史の保護を目的に設立された組織、「時空防衛連盟」が、大規模な時空振動を観測する。
遙か数千年前より発せられし、時空の歪み。それは紛れもなく、今この瞬間に、"歴史の改変"が実行されていることを示していた。
改変を止めることが出来なければ、タイムパラドックスの連続によって、やがて世界は消滅してしまう。
時空振動の余波によって、世界線の境界そのものが揺らぐ中、時空防衛連盟の面々は、人類の歴史を護るための戦いに挑む。



【クリックありがとうございます。この物語の舞台は時間遡行技術が確立された未来と、能力のある者のみが人権を得ることの出来る古代、人類と魔族が熾烈な戦いを繰り広げる中世という三つの異なる時代です。歴史是正機構は禁忌である歴史の改変を実行しようとしています。彼らの思惑を阻止するべく行動する時空防衛連盟の面々と、何としてでも歴史を書き換えようとする歴史是正機構、更にはそんな両組織の戦いに巻き込まれた各時代の人々の姿を描くのが、このスレッドの主な目的です。

オリキャラでの参加は勿論、版権作品をあまり知らないオリなり民の方も歓迎ですので、オリなり民の方も、どうぞご遠慮なくご参加下さい。
なりフリー民とオリなり民、互いに協力しあうことで、よりよきスレを目指しましょう。

なお、合図があるまで書き込みは禁止ですので、ご注意下さい。まずはじめに、サブ記事の方を確認頂くようにお願いします。】

メモ2018/07/13 02:23 : 風神少女☆XQ6phrzcKMtR @infernus★F7MrHN45jw_ouC

―――現在は、最終章です―――


最終章:「Chrono Crisis」

激しい戦いの末、歴史是正機構に打ち勝った時空防衛連盟。晴れて時空を護り抜くことに成功したかに思われた矢先、それは始まりを告げた。

まるで世界そのものが崩壊するかの如く、ひび割れていく空。その向こうから現れしは、正しき歴史を紡ぐ使者。

彼らは、人類の捻じ曲げた歴史を修正するべく、この世へと降臨した。これこそが、時空断裂。積み重なった歪みが、限界に達した瞬間であった。

改変に改変を重ねた今の世界が正史に塗り潰されれば、そこに生きる者達は"もしも"の存在と化してしまい、歴史の闇へと葬り去られてしまう。

それは即ち、世界の崩壊といっても過言ではないだろう。時空断裂による時間の連続性消失を防ぐためには、彼らに戦いを挑み、勝利するしかない。

人類が罪を犯したのは、疑いようのない事実。歴史を変えるなどという禁忌を犯した種族には、当然の報いであるかも知れないが……そんな人類も、生きている。

生けとし生ける者、全ての願いは、今日を、明日を生きること。黙って死を受け入れるなどということが、出来るはずがない。生きたい、と願う限り。

これは、明日を手に入れるための戦い。自らの存在を世界線に、時空に刻み付けるため、時空防衛連盟は次元を超える。


ルール&プロフィール:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-1#a

役職一覧:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-2#a

世界観・用語解説:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-3#a

各陣営の目的:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-4#a

最終章のロケーション:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-286#a


・現在イベントのあるロケーション

狭間世界:最終決戦

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古代の影 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_ouC

【狭間世界/朽ちた村/古代の影】

次々に放たれる追求の言葉を前にしても、抵抗者達の意志が揺らぐことはない。その回答とばかりに返ってきたのは、古代の影の言葉に対する否定であった。
清太郎は反乱分子は必ず発見出来るものであると豪語してみせ、更には反対に、古代の影が決して語ることのない、改変によって世界が好転する可能性を述べてみせる。
そして彼は、古代の影の忠告に従ったとしても、新たな問題が起きないとは限らない点を突いてきた。そもそも、神が彼女を遣わしたのだとしたら、あまりにも回りくどいやり方なのだ。
人類にもはや改善の余地がないと考えているのであれば、直ぐ様その存在を消し去ってしまえばいい。にも関わらず、それをしなかったことには、何か理由があるのだろうか。
ここまで証拠が揃えば、抵抗者達もさすがに気が付くことだろう。影がしようとしているのは、人類に罪を認識させ、滅ぼすことではないということに。

三人の言葉を、動かずに聞き入れる古代の影。あくまで彼らには、黙って破滅を受け入れるという選択肢はないらしい。そして、現状を変えてみせるという気概もあるようだ。
決して自らが犯した罪を棚に上げず、受け入れた上でその先へと進む覚悟が出来ている。その事実を確認すると同時に、それまでの憂いを帯びたものから、古代の影の表情が一変した。

「世界は貴方達のような人間ばかりではない。この先、時空を破壊しようと企む人間が再び現れる可能性も零ではないでしょう。そうなった時、貴方達は己を見失わずに行動しなくてはなりません」

突如、敵意が消えたかの如く、そう語り出す古代の影。彼女は時空の破壊者が現れるのは今回限りではないとし、それが現実になった際に己を見失うことがないようにと告げる。
まるで彼女は人類に残されていた僅かな可能性を信じていたかのように、こうして現れた者達が、自らの目の前で、不退転の覚悟を示すことを望んでいたかのように。
清太郎の投げつけた幻影の刃が炸裂し、古代の影は大きく仰け反る。体制を崩したところに、ニケの呼び出した火炎が殺到、彼女の姿は灼熱の中へと消えていった。
炎の内側、雷撃をまとった三連撃が深々と身体を切り裂く。雷電の踵落としが、古代の影を激しく地面へと叩き付けた。身動きも取れぬまま、彼女は魔力弾をまともに食らう。
加速して突っ込んできたアランの刃を受け、大きく後方へと吹き飛ばされていく古代の影。しかし、これだけの連撃を受けながらも、彼女の身体には傷らしきものが一つも見受けられない。
これこそが、彼女が人ならざる存在であることの、何よりの証明だろう。ただし、ダメージそのものは入っているらしく、ふらついた足取りで立ち上がった古代の影は、再度眼前の三人を見つめ、口を開く。

「貴方達は今、正史の立場となった。この狭間に漂う、辿り着けなかったIFの嘆き、正史という立場を失った者の嘆き……貴方達はそれすらも背負う責務がある。決してこの運命から逃げないと、約束出来ますか」

二度と辿り着くことのない可能性世界の声。正史となった彼らは、それらの想いを引き継ぎ、未来を目指さなければならない。あり得たかも知れない世界の行き着く先を無視するようでは、人類はいずれ同じ過ちを繰り返すだろう。
三人の返答を待つ古代の影は、既に戦闘態勢を取っていない。彼らが彼女に、然るべき態度を示すことが出来れば……このまま戦いは終結を迎えるはずだ。

>アラン・レイクルード、ニケ・エタンセル、橋川清太郎

6日前 No.1588

Angel of Death @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_ouC

【狭間世界/廃城/玉座/アズリエル・ドリーマー】

全てを無に帰す一撃に、黒く染め上げられた空間。絶対者の姿はそこにない。代わりに聞こえてくるのは、暗闇のその向こう側で、足掻き続ける二人の愚かな凡愚を嘲る笑い声。
否、それすらもこの悪魔のような巨大な顔から放たれているのではないかと錯覚させられる。止むことのない攻撃は、徐々に敵の生気を奪い取っていく……かに思われた。
その後に起きた出来事は、正直に言ってアズリエルの予想を超えていたといっても過言ではないだろう。まず一輝はというと、まるで死など恐れていないとでも言うかの如く、捨て身の特攻を仕掛けてくる。
こんなことをすればすぐに命がなくなるのが落ち、であるはずだったが、彼は最小限の動きで後方から迫る弾丸を回避し続け、瞬く間に顔の目前まで到達してみせた。
放たれるは、肉体ではなく精神へ打撃を与えることに重点を置いた斬り上げ。至近距離からの攻撃は、しかしアズリエルへは届かない。手元に伝わってくるのは、空を切ったような感覚。
まるで、アズリエルはそこにはいなかったかのように、攻撃が当たらなかった。それでも、全く効果がなかったという訳ではなく、巨大な顔は苦痛にも似た表情を浮かべている。

一方の奇術師は、背後からの弾丸に対処することに集中していた。ダガーを突き刺し、飛来するそれらを的確に打ち砕いていく。一歩間違えば死間違いなしであるが、生き残るためには賭けに出るしかない。
確実に身体にダメージを蓄積させながらも、リプレイサーは一連の攻撃を耐え切ってみせる。彼が振り返った先、そこには、アズリエルが何事もなかったかのように、先程と変わらぬ姿で佇んでいた。
今出せる最大火力の攻撃を受けてもなお、現世に踏み止まる二人の姿を、アズリエルは感心したような様子で眺める。やがて彼は、余裕を漂わせながら不敵に笑い、ゆっくりと話し出す。

「今の攻撃を受けてもまだ倒れないなんて……やっぱりお前達は只者じゃないな」
「でも得意になるのはまだ早いよ。俺はまだ、ちっとも本気を出していないんだから!」
「お前達の"決意"も、俺の真の力には敵わない!」

刹那、光が辺りを覆い尽くした。禍々しい気がアズリエルの身体から溢れ出し、周囲の空気を重苦しいものへと変化させていく。視界が晴れ上がり、二人が目にしたものは……

背中から巨大な翼を生やし、"デルタルーン"を象った姿へと変貌したアズリエル。中心に煌めくハート。両手こそ健在だが、下半身に足の類は見受けられない。
もはや人から大きくかけ離れた何かへと変貌を遂げた彼は、圧倒的な力を持って二人の行動を封じ、その場に縛り付けようとする。神に不可能はないのだと、高らかに宣告するかのように。

「お前達の人生は、ここで幕を閉じる……誰も、お前のことを覚えていてはくれない」

両手を大きく開き、虹色の光線を大量に射出するアズリエル。光線は曲線的な軌道を描きながら、動くことすらも難しいであろう一輝とリプレイサーへ襲い掛かる。
ありとあらゆるものを超越する力を手に入れた彼に抵抗する手段は、もうないのか? 二人はこのまま、逃れようのない死の運命を受け入れ、諦めるしかないのか?





いや、決してそんなことはないはずだ。何故なら、そのような結末は―――"ここにいる誰もが"望んでいないから。
心の奥底、秘められた想いに、アズリエルという一人のモンスターの真実に耳を傾けることが出来れば……運命は必ず変えられる。希望の鍵を握るのは、他の誰でもない、剣士と奇術師だ。

>リプレイサー、黒鉄一輝

6日前 No.1589

リインカーネーション @genomirai ★xtwO2xCy4x_a2e

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6日前 No.1590

黒鉄一輝 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_a2e

【 狭間世界/廃城/玉座/黒鉄一輝 】

 手ごたえはない。
 しかし、山羊頭のナニカは痛みに呻いている――攻撃は通るということの証明。
 だが、一輝は獲れるという手ごたえを抱くことは決してない。寧ろその真逆だ。

(さっきの技は確かに強大だった。――だけど、これは本命じゃない!)

 受け流している間に感じていたのはある違和感だ。
 背部からの強襲という初見殺し染みた技は確かに強力ではある。
 しかし、絶対者を自称する者が「不意打ちで殺す」ことに満足を覚えることなどありえない。
 どんなに痛めつけようとも、最後は必ず己の手でトドメを刺しに来るはずだ。
 この手の輩は、仮初の心であってもそうしなければ悦楽を得ることは出来ないのだから。

   ・・
「――来る!」

 ならばこそ、次に襲い来るものは本番だ。
 圧倒的な力と才覚のみで捻じ伏せるという理<コンセプト>の下に運用される最大の存在。
 背部で対処を続けていた奇術師に短くそう伝えると同時、それは起こった。

 強い光が、周囲を白く染め上げた。
 ヒトのそれとは大きくかけ離れた気がアズリエルに集束していく。
 それはそこにいるだけで、周囲の全てを平伏させる絶対者の気迫。
 常人であればその場に立つことすら許されないであろう重圧が一輝達にのしかかった。

 そして、――神が完成した。

 巨翼をはためかせるそれは、デルタルーンの形状を思わせるものだった。
 両腕こそ存在すれど、足はもうそこにはない。
 そこにアズリエル・ドリーマーはいない。

「……」

 神が視線をやるだけで、大地全てに気のような重圧がのしかかる。
 体全体に一トンの鉛を突然乗せられたかのように、体が重くなった。
 気を抜けば地に這いつくばるのは間違いないであろう。
 体の軋むような感覚は、一輝でも初めて体感する現象だ。
 されど、――その表情に諦めや絶望の色の一切は浮かんでいない。

  、  ・
「――誰も君のことを覚えてはいてくれない、か」

 ぽつりとつぶやいたのは、アズリエル・ドリーマーの言葉の裏返しだ。
 両手を大きく開き、虹色の光を充填する神を前に一歩も引くことはない。
 静かに息を吐きだして呼吸を整え、迫りくる無数のレーザーを見据える。
 そこに襲い来る無数のレーザー。流星雨のように尾を引きながら、一輝を焼き尽くそうとして――。

 ――襲い来るレーザーの全てが、着弾せずに叩き斬られた。

 裂け、霧散し、あらぬ方向へと飛んでいく虹色の光。
 ただの一度も着弾することはなく、少しの傷も与えることは無い。
 ヒトの領域を超え、世界の領域すらも打ち破る神の威光。それに抗って見せたのはほかでもない、黒鉄一輝だ。
 、 ・・・・・
 彼はその程度かと神の威光を一輝は跳ね除けた。跳ね除けた上で、自由に動く手でもってレーザーを叩き斬った。
 かつて世界最強の剣士がやったように、そして己が己自身の限界相手にやったように!

  、 デスペラード
 そう、《魔人》には運命の加護がない。
 しかし、己の才能限界を自覚し、打ち破ることに成功した彼らに不可能はない。
 覚醒現象と同じように、諦めることなく、己を高め続けている限りは何者も阻めない。
 それがどうしたと蹴飛ばし、自らの意志で世界の運命を塗りつぶす。

 限界
 運命など知ったことか。俺は/私は/僕はその先へと行くんだ、と――。

 ――そう、それが神相手であったとしてもだ!

 黒鉄一輝は、ただの人間である。
 才覚もなく、超人的な力を行使することも出来れば、次元を渡ることも出来ない。
 目の前の神のように圧倒的力を振るうことも出来ないし、インテグラーレ家のように魔術に長けているわけでもない。

「君の出自は知らない。どういう境遇かも知らない」
「僕が人間である以上、そっちにはそっちにしか分からない苦しみがあるんだろう」

 物理攻撃は通用しないだろう。
 されど、知ったことかと言わんばかりに――静かに歩みを進める。
 そう、"知ったことか"。

 そうだ、黒鉄一輝はただの人間だ。
 本来神の前に立つことも許されず、立てば瞬時に消し飛ぶ脆い存在。
 紛れもなく、この場の誰と比較しても最弱である。
 しかし、素の肉体であればすぐに終わってしまうだけにしかすぎずとも、此処に立っている。
 ただの剣士が、神を相手に一歩も引くことなくその刀の切っ先を向けている!

「でも同情はしない、平服もしない、幕を降ろさせてもやらない」
「君の真の力、――いるとするならばまさしく神の力だけど、その程度の力は珍しくもなんともない」

 何処までも静かな瞳でアズリエル・ドリーマーを見つめながら、告げた。
 攻撃には移らない。返答を聞くまでの間は手を止める。それだけだ。

「確かに強力な力であるけど、それだけだ。
 僕は知っている。
 闇夜を地平の彼方まで照らす強力な魔術を用い、相手を綿密に追い込んでいく聖女を」

「神鉄すら融かす高熱を振るうことの出来る戦士を。
 嵐のような爆裂を操る指揮官を。
 万物を盗む風の旅人を。
 獅子すら昏倒させる猛毒を撃ち込む男を。
 吹き荒れる旋風で全てを薙ぎ払う傭兵を。
 世界を認識し、次元を渡る奇術師を。
 魔女の力を引継ぎ自在に行使する男を。
 器楽を奏で、戦場を支配する音楽家を。
 そのどれもが、君の力に勝るとも劣らない強力な人達さ」

「そして、そんな力を持つ人達がたった一つの未来――世界を目指して、死に物狂いで自分の可能性を突き詰め続けている」
「僕は曲がりなりにも彼らの背を見て、そして共に戦い、敵として戦った。
 元の世界でもそれは同じだ――そうして今、この場に立っている」

 ならば――。

「自分が何やりたいかすらも見えていない、
 ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・
 自分自身を知ろうとせず、勝とうともしない男に今更負けるわけがないだろう」

>アズリエル リプレイサー

6日前 No.1591

リインカーネーション @genomirai ★xtwO2xCy4x_a2e

【狭間世界/廃城/玉座/グレートメイガス】


「ふっ、それも手の一つだ。だが、絶対的な実力差を覆せるものではない。伯仲した均衡を崩す手にはなろう、しかしそれだけだ。」

ライドウが機を窺う傍らに話した後の先、幾らかの条件はあれどそれに徹すれば有利に事を運べる戦術だ。相手の行動を読み、それ以上の速度で、それを妨げるだけの攻撃を放つ。実力以上の効果を発揮出来る術である事には間違いはない。
態々口にした以上、それを狙う可能性は低い。公言するならば互いに手を出さぬ膠着が生まれるだけ、無用な警戒を抱かせる仕込みの可能性もあろう。だとしても、彼女は告げよう。その程度で覆らぬと、それだけの実力が己にあるのだと。
故に、機を窺う事を知っていようとも、例え後の先を狙っていたのだとしても行動は変わらない。自身の魔を打ち破れる存在など居るはずがない、その絶対的な自信は如何なる戦術も戦略級の魔法で吹き飛ばす。
虹の流れを彼女は見た、系統の違う魔ではあるがそれが何を意味するかは理解できた。身体能力の向上、それもライドウだけではなく周囲に使い魔も含めてだ。魔力の活性化によるものと予測を付けながら、違う体系の魔をその目に刻み込む。
凍てつく床を叩き、結晶を宙へ舞わせる雪だるま。ぐるぐる腕を回し、殴りつける姿に可愛らしさを覚えるもその表情に緩みはない。この状況をライドウがどう対処するか、そこからどう動くかを不敵な笑みを浮かべ観察を続ける。
放たれた銃弾により重力操作の影響を確認、黒猫の助言を受け剣を構える。雪だるまは氷塊へと突撃を行っている、氷の使い魔であるならば耐性を得ているのだろうと判断。被害増加を目論む破片も対処されるも、笑みは崩れない。
重力操作すら断ち切る剣気を纏う音速の突き、障壁に一穴を穿つ緑光。その孔に即座に放たれる五発の弾丸、狙いは全て致命。されど焦りもなく、首にある触媒から放たれた極小の魔力弾で寸分の狂いなく相殺する。
依然、頬杖を突き不敵な笑みを崩すことはない。そうだとも、ライドウの取った行動は彼女の予測の域を超えていない。全てに対処され、命を脅かす段階にあろうとも、それに対する手札は尽きることはない。
追撃を放たぬ理由、それを読み切っている訳ではない。だが、術士に対して距離を詰めぬという行為、使い魔を使役すると言う特殊性、この玉座に座った状態での死角、緻密な魔力操作による探知、その全てが合わさり次の手を定めていた。
ライドウの指示と共に雄叫びを上げる赤鎧の武士、彼女が知る由はないがそれは最強の名を冠する存在であった。その存在にライドウの強化魔法が合わさり、首を狙う二刀は首級を上げるだろう。

―――彼女が、ただの術士であったならば。

「言っただろう、チャンスを失ったと。」

その二刀は彼女の首を落とすことなく、否、薄皮一枚裂くことはなかった。刀を押し留めているのは黒、影が実体を持った、闇が這い出て来たそう形容できるような底無しの漆黒であった。それは彼女のドレスの内から触腕を伸ばしている。
黒きドレスに赤き紋様が浮かぶ、妖しく光るそれは彼女が生み出した術式の一つ。自律型防御術式、魔力を通すだけで発動し操作精度の非常に高い使い魔の様なものだ。怖れるべくはその堅牢さ、物理と魔術に高い耐性を得ている。
闇、影と形容するように光属性の魔術に非常に弱いもののそれを除けば非常に強力な防護性能を誇る。無論対になる術式もドレスに編み込まれてはいるが今明かすべきことではないだろう。

「だがまあ、貴様が命を賭けて攻めていればその剣はこの胸へと突き立てられていたかもしれんな。」

ケタケタと意地の悪そうに嗤いながら、頬杖を突かぬ方の手で薄い胸をトントンと叩く。そうしていれば差し違えることは出来ていただろうと冗談交じりに語る、尤も本当にそう言った手を使ってくれば相応の対処を取ることは明らかだ。
ちらりと刀を振るったヨシツネを眺め、少しばかり物憂げな表情を浮かべたかと思えば再び不敵な笑みを湛える。

「さて、私様もライドウに習おうか。ほれ、次は炎だ。太陽擬きは止める事をお勧めする、死にたくないのならばな。」

奇襲にも拘らず声を発して堂々と攻め込んだことへの意趣返し、次に攻撃する属性を敢えて教える。単に、塩を送られたことが気に入らず、さっさと送り返しただけなのだが、釣り合いが取れているかは微妙なところだろう。
指を鳴らせば冷気で凍えた室内を熱く溶かすような熱気が溢れる、地を這う焔は先まで覆っていた氷を焼く。地に落ちた氷塊も関係なく延焼させる、氷と比べるのも烏滸がましい程早く広がるも、その熱量は軽度の火傷で済む程度でしかない。
そして、彼女の魔術がこの程度で終わる訳もない。まず一つ、ヨシツネを狙う火球を玉座の背後から数発撃ちだす。威力も速度もお世辞にも高いとは言えない、しかし追尾性能にだけ絞ればそのしつこさは巣を襲われた蜂を凌駕する。
次に偶発的に発生する火柱だ、玉座の間に広がる焔の一部に熱量が集まればそこから灼熱の奔流が噴き出す。地を這う焔とは桁違いの熱量、その幾つかはライドウの足元を狙い発生する、無論直撃すれば骨しか残らない。
そして、玉座の頭上にて存在感を発する超巨大火球。渦巻く灼熱は空気を焼き、散発的な爆発を繰り返す。徐々に、徐々に大きさを増しつつあるそれが放たれればどうなるかなど想像に容易い、それだけの威力が視覚だけで伝わってくる。
じわじわと苦しめる地を這う焔、行動を阻害し回避を迫る炎柱、尤も厄介であると踏んだヨシツネを狙い続け万が一を無くす、そして力を溜めて続けている超巨大炎球、全てに対処するならば使い魔と言う手札を切れるだけ切らねば難しいだろう。
そして自衛用の魔力罠も欠かさない、数は先より一つ減り二つ。彼女の近くへと迫れば発動する腐食性の魔力霧、そして継続的に魔力の矢を放つ固定砲台を玉座背後の空間へ設置した。防御と牽制を重視している、火力は十分と判断したのだろう。
さて、彼女がヨシツネを厄介だと判断したのは何故だろうか。それは簡単だ、一通りの対策もしてある、奇策や偶然に対応できるだけの実力もある、しかし使い魔が近接攻撃を仕掛けること自体が彼女にとっては不利だ。
そも、リソースは魔よりも近接への対処の方が必要とするのだ。故に数で攻められることも不利の一つだが、それ以上に代替えのある可能性が高い存在による近接攻撃は即効性のある対処が限られる。
もしも、この世界の理に従った魔であるならば使い魔の構造を把握して魔力へと即分解は出来よう。しかし、ライドウの操るそれらは全くの別物。魔の流れを読み効果を察せられてもそれ以上は不可能、可能にするにはまた研究が必要になるのだ。
それが分かっているからこその行動であり、余程の事がなければ追い詰められる状況に持ち込まないのが彼女だ。だが何事にも例外がある、それがいつ起こるかは不明ではあるが彼女にとっての鬼門は現時点ではヨシツネだ。
それを上手く扱う事が彼女を追い詰めることに繋がるだろう、それ以前に彼女が破壊方法を思い至らないことが前提であるが。
玉座から下る様子はない、炎に赤く照らされる笑みは不敵さに凶暴さが増しているように見えるだろう。それは間違いではない、彼女が厄介だと感じる存在が居たことに、心が躍っているのだから。

>> 17代目葛葉ライドウ(黒鉄一輝 リプレイサー アズリエル・ドリーマー)

6日前 No.1592

鮮やかに、ときに無慈悲に── @libragreen ★iPhone=eQgN9h77pV

【 狭間世界/幾何学都市・大通り/オーネット・ブラッドレイ 】

 こちらの存在に気づいた鷲鼻の青年は、過剰なまでに怯えた反応をするも、迷い人かという質問に頷きで肯定を示した。
 罪悪感が湧かずとも何だか申し訳ない心境に陥り、オーネットは気まずそうな面持ちで軽めに指で頬を掻く。

 (──…人造人間の類か?)

 機械のような特徴をもつ無機的なものか、 あるいは生物のような特徴をもつ有機的なものかは一見すると分からない。
 しかし遠くから感じとれた彼の曖昧な気配は、こうして間近にいれば人の物と似て異なる性質をしているのがよく感じとれた。

「ご名答っ! お宅が知らなかったのも無理ないけど、俺っちは連盟側についたばかりの協力者でね。 通りすがりの魔──”終戦屋”、オーネットとでも呼んでおくれよ」

 誰だと言われたからには、オーネット自身が何者なのかをしっかりと教えてあげよう。
 その代わり(母譲りの)女顔とはいえ、男性でありながら闇の従者および魔女の身を明かすのを今はやめておく。
 ずっと二人称で彼を呼ぶのも失礼だろうし、ついでに鷲鼻の青年の名前も知ることができれば尚よいが…。

「単刀直入に言うけど……お宅がこの”狭間世界”にいる以上、”通常世界”にある目的地に帰れる事はまずないぜ」

 確固たる意志をもった真摯な眼差し。
 それを伴い本題として語られた青年の希望──連盟本部への帰還は、己が”狭間世界”に飛ばされたことをまず自覚せねば、叶うことすら難しいだろう。
 そう判断したオーネットは自分や仲間のことで手一杯な青年に、いまの世界や己の身に何が起きているのかを把握させるべく簡潔な説明をしておいた。

「それでもあっちに帰りたいんなら二通りくらいやり様があるな。 そのついでに怪我、あらかじめ直しといた方が身のためだぜ」

 一つはオーネットが来た道を自力で辿り、”通常世界”に繋がる空の亀裂に飛び込むこと。
 もう一つは地球軍のものに救助してもらい、要件を述べて本部まで送迎させて貰うこと。
 外傷を抱えた彼の身を考えれば、後者の方がある程度は無難なはずだ。
 狭間から通常の世界へ戻るための手段として上述の提案をしておくのと同時に、片手に持ってた緑の秘薬用ドロップを投げ渡しておいた。
 葉っぱ型の飴玉『ドロップス グリーンハーブ』は治癒作用のあるエキスを配合したアイテム。
 味は美味しくないものの、服用すれば幾分かではあるが、たちまち青年の怪我を回復してくれることだろう。

 上空から風を切る轟音が都市に響きわたる。
 おどろおどろしく赤黒い空を仰ぐと、地球軍・航空部隊のものであろう戦闘機が複数飛んでゆくのが見えた。
 こちらに気づいてくれるか分からないものの、間がよいので彼の救援を目的とした空砲を上に向けて放ち終え──。
 ふと軍の部隊が飛び去り、向かっていったあの方向……たしかどのような場所だったのかを思い出す。

 ドス黒い太陽が居座り続ける混沌の地、スラム街。

 (まずいな、軍の奴さんら……。 あそこに人の形したおっかねえ災害がいるの、分かってんのか!?)

 苦い表情を浮かべて眉間をしかめ、歯噛みしながらスラム街のある方向の空、その向こうに君臨しているはずの黒い太陽を鋭い眼光で睨みつける。
 救援機がこちらに来てくれるはずだから青年の方はもう大丈夫だろうと信じ、しまっていた背中の翼を広げてもう一度空を飛ぶべく紅紫色のそれを羽ばたかせ始める。

 すでに手遅れかもしれないが、大統領邸宅で起きた先の戦いのように戦火が広がり、より悪い展開になるかもしれないのだ。
 その上、スラム街に向かった軍人たちがあそこにいる黒い太陽に灼きつくされる可能性だって捨てきれない。
 寄り道はこのくらいにしておき、本命の元に向かった方がいいだろう。

>>フレデリック・ショパン

5日前 No.1593

電子の詩人 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【狭間世界/幾何学都市/大通り/ショパン】

「……」
 ぱちくりとつぶらな目を見開いて、オーネットと名乗った青年の自己紹介を聞き終えると、小さな声で名前を言う。
「……フレデリック・ショパン」
 とりあえず敵じゃなくて良かったと、安堵していると帰れないと聞いて、さあと白い顔が一層青ざめる。
 あわわという擬音が聞こえてきそうな程、その態度は忙しなくどうすればいいのかと言葉を紡ごうとした途端、緑色のドロップを受け取り、元に戻る方法があると聞いて、曇っていた顔は晴れてくる。
 怪我を治すと言って渡してくれたので素直に葉っぱ型のドロップを口に頬張るが、あの採点をせがまれ試食した、紫色の餃子よりは変な味ではないが少し唸った後、痛みが引いていくのを感じ、効果は本物だと確証すると顔をひきつりながらも感謝の言葉。
「あ、ありが……」
 を紡ぎかけようとした途端、空砲に小さく悲鳴を上げたあとからの、空の風景、相手の深刻そうな表情、そして紅紫色の翼を出して飛び立たんとしようとする相手を見て、小さく声をかける。
「あ、その……一緒でも……大丈夫?」
 あの戦闘機と焦燥に満ちたオーネットの表情で察した、通り過ぎた戦闘機は自分の助けに来ない可能性がある事を。
 万が一、その先に潜む何かに墜落されたら自分は永久に狭間世界から出れない、ならば自分で動いて状況を覆した方がいいと、自分の危機に対してはいつもそうしてきた(といっても、関連しそうな物を隠したり懸命にこいて取り引きをし、皆に協力させた程度の物だが)ショパンだからこその決断だが、引き気味に頼むあたりがショパンという男でもあった。
 シエンタとキラーの未来の為に――――それが、立ち去るネット友達としての役目だと思っていた。
>オーネット・ブラッドレイ

5日前 No.1594

葛葉の一枚看板 @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_Zvo

【狭間世界/廃城/玉座/17代目葛葉ライドウ】

「ほざけ、仮にそうだとしても絡めとられていたのはヨシツネの薄緑が俺のヒノカグツチに変わっていただけだろう。
 しかし自立防御術式か、あるかもしれないとは思っていたが、態々防御結界を張っていたところを見るに万能ではないのだろう、一旦戻すぞ」

『ちっ!』

冷製にグレートメイガスの言葉を否定するとライドウは仲魔を自分の下に呼び戻す”召し寄せ”を行い舌打ちするヨシツネを隣に瞬間移動させる。
これが旧式である神道式悪魔召喚術の利点だ、電子式であるCOMPではこうはいかない、それにライドウさえ知覚していれば仲魔に攻撃が当たる寸前で呼び戻せるので各個撃破を取りにくくしてある。
ならばライドウを狙うしかないのだがライドウ自身もかなりの手練であるのに加えて仲魔という護衛を呼び寄せられるためそれもなかなか難しい。
戦闘時の指向は攻撃に寄っているが、一方で旧式の長所も潰さず立ち回る、それが『葛葉の一枚看板』の称号を得た所以だ。
次は炎か、態々教えてくれるとは親切な奴だ、通常なら氷銀属性のジャックフロストを戻して火炎属性の仲魔を呼び出すところだが……。

「行け、ジャックフロスト、ヨシツネは俺と来い」

『別にいいけど、ホントに行くホ?』

「俺は出来る奴にしか指示は出さない、お前も良く知ってるだろう?」

『諦めろ雪ダルマ、今代のライドウは先代と違って悪魔遣いが荒いんだよ、強ぇからいいけど』

ライドウの行けという言葉は読んで字の如く迫り来る炎に”突撃してこい”という意味である、見るからに炎に弱そうな外見をしているジャックフロストの弱点は火属性だ。
ジャックフロスト自身も火属性の攻撃には苦手意識を持っている、だからその指示に渋る様子を見せたが、諦めてライドウの前に立ち、冷気の波動を放ってライドウとヨシツネを守り、ヨシツネに追尾して来る火炎弾を『ブフーラ』によって相殺し、ライドウは足元に発生する炎の柱をジャックフロストが切り開いた前方に飛んで回避する。予兆にさえ気を付ければ回避自体は可能だ、失敗したら流石に死ぬが。
……と、ここまではよくある定石だろう、葛葉のサマナーならば二流の者でもこの程度はやってのけるが、ジャックフロストは突飛な行動に出る。
ジャックフロストは大きく跳ぶ、”玉座の上にある超巨大な火球目掛けて”。これもライドウの指示の内であり、ジャックフロストが渋った理由である。普通は死にに行けと言われても体をマグネタイトで構成されていて復活は可能な悪魔でも嫌がる指示だ。
だが今代のライドウはこと戦準備に関しては盤石だ、17代目葛葉ライドウを襲名してから3ヵ月後に出くわしてしまった『魔人』との戦いで手痛い敗北を機に学習しているのだ、ジュボッを音を立ててジャックフロストは太陽の如き火球に消えた、が。

『コキュートスホ!』

「分かりやすい弱点をそのまま残しておくほど葛葉のサマナーは甘くない」

太陽擬きの火球が内側から爆ぜて凍り付く、ジャックフロストには悪魔合体によって『火炎無効』のスキルが備わっているのだ、だからこそ躊躇いもなく死地に赴いたのだ。
仲魔の弱点を、それも見ればわかる程度の弱点を残しておくほど葛葉のサマナーは甘くない、必ず耐性や無効のスキルを付けるのが常識だ。それを行わないものは三流だ。
放たれるは絶対零度を上回る氷獄の氷、最高位の氷属性のスキルだ、外からちまちま削っても終わりが見えないので内部から火球を破壊したのだ。
妖精や鬼に始まり、神仏や英雄の分け御霊、天使に魔人をも従えるライドウには属性攻撃はあまり意味を成さない、致命的な隙でもできない限りは送還と召喚を繰り返すだけで大抵のモノには対処できるのだから。
その隙を埋めるのは仲魔の役目だ、上記のようなやり取りは多々あるもののライドウは仲魔の大半から最大限の忠誠を受けているのだから。

「ヨシツネは上から行け、俺は下から行く」

『はいよ、っと』

ヨシツネは甲冑の重さを感じさせない身軽さで横っ飛びに壁まで跳んで腐食の霧と固定砲台による魔力の矢を回避して、一直線にグレートメイガスへと跳躍する。
対するライドウはコルトライトニングに疾風属性の魔法が込められた衝撃弾を六発装填し、全弾床目掛けて発射することで腐食の霧を吹き飛ばす、霧の効果までは分かっていなかったがどうせロクでもない毒か何かだと咄嗟に判断して散らすことを優先した。
固定砲台より飛来する魔力の矢を刀で切り払いながらライドウは駆ける、タイミング的にはヨシツネとほぼ同時、息の合った連携行動こそがライドウの持ち味だ。

『ハッハー! 今日は大盤振る舞いだぜ!』

「合わせるぞヨシツネ! 煉獄撃!」

<八艘飛び>

ライドウは右手の刀で真正面から袈裟斬り・斬り上げ・突き・薙ぎ払いの連撃を放ち、ヨシツネは双刀にて四方八方からヒット&アウェイを八度繰り返すスキル”八艘飛び”を繰り出す。
そして左手で懐の封魔管に触れてジャックフロストを送還する、ライドウが同時に使役する仲魔は”基本は”二体まで、攻めに転じつつも次の魔法対策は怠らない。

>グレートメイガス、(黒鉄一輝、リプレイサー、アズリエル・ドリーマー)、ALL

5日前 No.1595

支えとなる道 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_ouC

【狭間世界/大雪原/旋風域/ヘルガ・アポザンスキー】

狂気の獣へ炎を放った直後、視界の隅に何者かの姿が映った。もしや、乱入者か? そう思い警戒していたヘルガであったが、そこにいたのは予想外の人物であった。
マリア・シャロムスキー。ヘルガとは再従妹の関係にある少女。彼女とは歴史是正機構壊滅後、連絡を取っていなかった。時間がなかったという理由もあるが、一番大きいのは、彼女を巻き込みたくはなかったという点だ。
しかし、マリアは何らかの形で時空防衛連盟に味方する立場となっていたらしい。恐らくは、行方の分からない自分を探しに来たのだろう。こうなることなら、素直に話をしておくべきであったか。
いや、たとえ止めたとしても、彼女は付いてきただろう。考えなければならないことが一つ増えてしまったが、戦闘能力という意味では、マリアの助力はむしろありがたい。

これならば、勝利も容易いかと思われたが、獣の実力は想像を超えたものであった。相手が動き出したのは、こちらが炎を発射する、まさにその直前。刹那の時間に、敵は割り込んできた。
ヘルガの前方より現れた炎と、彼女自身の隙間。あの一瞬で加速し、眼前に現れるなど、並の者の動きではない。それどころか、熟練者であってもこれが為せる者はほとんどいないだろう。
たまらず後方宙返りをし、相手の凶刃から逃れようとするヘルガであったが、野生の本能が彼女の戦闘経験すらをも上回る、脇腹に走る嫌な感覚。肉が裂かれ、鮮血が純白を染める。
片膝を付き、負傷した箇所を抑えるヘルガ。歴史是正機構本部での戦いの傷も癒えていない以上、出来る限り無駄に体力を消耗するのは避けたいところであったのだが……過ぎてしまったことは仕方がない。

あの場所で、この獣の原型となったであろう人物と交戦出来ているのが幸いといったところか。そのお陰で、攻撃の傾向自体は薄っすらとではあるが読める。
素直な攻撃は通用しない。どんな手法を用いようとも、飛び抜けた身体能力で振り切られる。ならばとヘルガが選択したのは、フェイントを入れることであった。

「私に合わせろ、マリア!」

ルナティック・ビーストから距離を取り、そう叫ぶヘルガ。彼女は地を蹴り、空中へ舞い上がると、前方に生成した巨大な火球を踵落としで撃ち落とす……ように見せ掛け、一度空振りをした後にそのまま一回転し、時間差で撃ち出す。
最初の動きで敵を釣り出し、突っ込んできたところに命中させるという狙いだ。野生の本能がどれほどのものなのかは分からないが、とにかく攻撃を当てるためには変化を付けなくてはならない。
マリアにもこの意図が伝われば、二方向からのフェイント攻撃という、これ以上ない形が完成するだろう。幾多の戦場を潜り抜けた経験値は、果たして野生を打ち破ることが出来るのだろうか。

>ルナティック・ビースト、マリア・シャロムスキー

5日前 No.1596

悪童 @prismriver☆kFuUk0otHg5u ★TZkXkdft22_7Bf

【狭間世界/大雪原/旋風域/マリア・シャロムスキー】

マリアが旋風の中に突入した時には、もう戦いが始まっていた。だが、そこに広がっていた光景に彼女は絶句する。あのヘルガが速度負けしているところなど、見たことがなかったからだ。あまりに衝撃的な場面を目撃してしまい、マリアに動揺が走る。自分は、とんでもないところに来てしまったのではないか、と。ヘルガですら反応が間にあわないような相手に、自分が何ができるのだ、と。どうしていいかもわからず、完全に固まってしまっていたマリアだったが、ヘルガの声を聞いたことでなんとか我に返って、冷静に状況を判断しようとする。

ヘルガが戦っているのは、理性を失った獣だった。獣であるならば早いのも納得だが、それにしてもあれは速すぎる。なぜあんな速度が出せるのかは、戦ってみなければわからない。とにかく今は、ヘルガからの指示を実行することを優先しなくてはならないだろう。上空のヘルガを見て、同じタイミングで攻撃を打とうとするマリア。だが、ヘルガが一度フェイントを入れたのを見て、彼女も目の前に出現させていた酸の球を一度叩き割って、二度目のかかと落としにタイミングをあわせて攻撃する。

「くそっ、目がかすむ。速すぎてついていけなくなりそうだ……どうにかなんないのかよ」

今のマリアの実力では、ルナティックビスートの動きを目で追うので精一杯だった。正確に狙いをつけることが難しい以上、彼女の攻撃の狙いはアバウトなものになる。実際、今の攻撃も、タイミングこそバッチリあっていたが、マリアの放った酸の球体は、敵の体の中心からは少し外れたところに飛んでいた。もし相手が動かなければどこかに命中しはするだろうが、そんなことはありえない以上、これはほぼ外れたも同然だ。まずは目をならさないと、どうにもならないと思ったマリアは、集中して相手の動きを見きわめようとする。

>>ヘルガ、ルナティック・ビースト

5日前 No.1597

緋焔 @zero45 ★h2BOlEz4kD_GOx

【王都ロンカリア/噴水広場/ヴァンレッド】

 痛みを引き離す薬の効力が切れ、意識の覚醒と共に負傷した部位の痛みの激しさが増して行き、呼吸もまた荒くなって行くレプティラの姿。眠りについていた頃の死人染みた姿に比べれば、今の姿は生きていると言っても良い。だが、その身に掛かる負荷の程は、寧ろ今の方が凄まじく、その様相は正しく瀕死その物。言葉を伝えるよりも、先ずは安静を保たせて回復を待つ、最良な判断に則るならばそれ以外の選択は凡そ間違いだ。
 然し、それでも敢えて、間違いな選択を選ぶ。辛苦の只中にある彼女に向けて、紡ぎ出して行く言葉。叛逆した魔大将を討ち、戦いは一先ずの終結を迎えた事実を告げる。
 僅かに安堵の色を表情に含ませながらも、掠れた細々とした声で言葉を返す彼女。チェルの名の後に付け加えられた一文字、それが誰を指しているのかは理解出来る。淡々と事実だけを連ねるならば、チェルと共に内乱を起こした一人の魔将軍――"塵殺剣"ニア。彼女が何を想って、自らの夢を叶えんとしたのかは、終ぞ知るには至らなかったが。レプティラはきっと、それを理解しているのかもしれない。

「……ああ、お休み。これからの平穏を共に護り抜いて行く為にも、今はゆっくりと休んでいてくれ……」

 自分が促したままに意識を手放して行く彼女に向けて、投げ掛けた言葉が果たして聞こえていたのかどうかは解らないが。とにかく、今この場で伝えるべき言葉は伝えた。後は、お互いにやらねばやらない事に取り掛かるだけだ。
 未来へと行く前に、ほんの少しの間、再び眠りについた彼女の姿を眺める。そんな最中にふと、断たれた尾の位置が僅かに此方に寄っている事に気付く。記憶の中の姿と照らし合わせて考えると、尾が健在であったならば、丁度自身の足に届いていたかもしれない。それが偶然か否かは置いておくとして、其処に自身が感じたのは、彼女の本心と言うべき物だろうか。
 これからはもう少し、彼女を支えてやるべきなのかもしれない――そんな思いを抱きながらもこの場を後にすると、再度連盟の構成員と会話を交わして、貰った時間遡行装置を起動させる。
 これまで体感した事のない感覚に襲われる中で、時間遡行は始まり――そして、異変が生じている"未来"へと飛んで行くのであった。

【→狭間世界/血塗られた島/深淵の間】

 降り立った未来の空に奔った亀裂。其処を通過した末に辿り着いたのは、血に染められた絶海の孤島。視界を覆い尽くす一面の赤は、紛れもなき魔族の血。此処はもう一つの魔帝城、改変によって葬り去られた"正史"の姿。
 その光景を目の当たりにした瞬間に、此処にいる生者は連盟の人員を除いて一人もいない事を確信する。此処にいた魔族は全員、総じて何者かによって惨殺された。であれば必然、最奥部がどうなっているのかも容易に想像がつく。
 最短の経路で深淵の間へと向かい、その内部へと侵入を果たす。先んじて辿り着いていた魔族の一人、銀狼の姿と、交戦をしている一人の少女。少女の身体的特徴からは、何故かはわからないが、魔帝に似た物が感じ取れた。

「……無惨だな」

 眼前に広がる光景を見て言葉を漏らしながらも、銀狼の援護に回る。地面を蹴り、強い風を引き起こす程の勢いで少女に接近を果たすと、焔を纏った双拳で瞬時の六連撃を放つ。先ずは小手調べ、敵の力量の程を見極めると言った意図の下に、攻撃を仕掛ける。

>中世の影 イアン・ガグンラーズ (レプティラ)


【遅れてしまいましたが、これで一旦絡みを終わらせて頂きます。お相手、ありがとうございました!】

>レプティラ本体様

5日前 No.1598

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【狭間世界/朽ちた村/橋川 清太郎】

圧倒的な運動エネルギーを付加された高速回転旋刃が影に直撃、とうとうこちらの攻撃が命中した。次にニケとアラン。二人の繰り出した灼熱、轟雷の二重奏は彼女を討ち滅ぼそうと飛来する。電光石火に等しい速度の体術を交えた猛攻、そして純金を思わせる輝きをもってせり上がる業炎。しかしそれらをもってしても彼女を完全に打ち倒すには至らなかった。どころか、端から見る限りでは外傷の類は一切ない。つくづく人間の常識が通用しないらしい。
だが気になるのは攻撃を受ける前の、急激な態度と言動の変化だ。こちらを不当に貶める厚顔無恥さは鳴りを潜め、随分と柔らかな物腰となっている。
彼女は今一度こちらを見据え、未来を生きる上での問いを投げ掛けた。こちらも戦闘体勢を解除して対話に応じるのが筋か。
グリップパーツ中継での刀身部操作により、投擲したMirageAttackが弧を描いて戻ってくる。それを片腕だけで難なくキャッチし、腰へマウントし直した。
対話に入る前に破損状況を調べる為、セルフスキャンを施行しておく。頭部65%、胴部58%、右腕部63%、左腕部60%、右脚部59%、左脚部67%、やはり数値上で見ても危険な状態だ。また装甲だけでなく武装もほぼ失っている。GAWND部分こそ大した損傷もなく健在ではあるものの、このまま戦闘を続けて勝てるかは怪しい。無論その場合は最期の瞬間まで戦い抜いて見せるが。
スキャン及び状況把握を数秒の内に済ませ、視線を影へ戻すと問いに答えた。

「出来るよ」

あっさりと、あたかもそうすることが当たり前であるかの様に軽々しく返答する。だがそれは軽蔑や悪意を含んだものではない。

「世の中ってのは元々、望んでもいないものを背負ったり相手取ったりしなきゃいけないことだらけだからね。今更それが一つ二つ増えるくらい、どうってことないさ」

頑強な自信作の鎧の下に存在する、醜い己の容姿。可能ならば今すぐにでも美麗なそれと交換したい、そんな思いは変わらないが同時にこのままでいるのも悪くないと、己自身を受け入れ馴染み始めている側面があるのも確かだ。住めば都、とは少し違うが生き続けていれば案外どうにかなるものである。

>>周辺all

4日前 No.1599

ルナティック・ビースト @sable ★Nu0sy7yXcR_keJ

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4日前 No.1600

支えとなる道 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_ouC

【狭間世界/大雪原/旋風域/ヘルガ・アポザンスキー】

正攻法が通用しない際に取るべき手は、大きく二つに分けられる。一つはそのまま正攻法で押し切る方法を探すこと。もう一つは、搦め手を使い、勝利を手繰り寄せることだ。
前者は自身や味方の実力が相手を上回っていない限り滅多に成立しない以上、今回選ぶべきであるのは必然的に後者、ということになるだろう。だからこそ、ヘルガは攻め方を変えた。
野性的な直感の間隙を縫うべく考え出したのは、フェイントを入れるという手法。最初の動きで相手を引き付け、前に出てきたところに攻撃を叩き込むという筋書きだ。
マリアにもその意図は通じたようで、彼女もこちらにタイミングを合わせて攻撃を放ってきている。完全に息の合った連携。しかし、獣はそれすらも、簡単に凌駕してみせる。

二人がフェイントを入れた瞬間、奴は待期に徹していたのだ。まるで、ヘルガとマリアが意図していたことを見通していたかのように。いや、実際見通していたのだろう。
ヘルガは口角を釣り上げた敵を見て確信した。ルナティック・ビーストの武器は、野生の本能だけではない。無数の人を喰らってきた"経験"に裏付けされた動きをしていると。
たかだか30年程度の経験で、あれを上回ることは不可能。雁字搦めに手足を縛られてしまったか。だが、何らかの打開策はあるはずだ。ヘルガは焦ることなく、冷静に獣の動きを観察する。

「……っ、消えただと……?」

その時だ。ルナティック・ビーストの気配が、一切感じられなくなったのは。辺りを包み込むのは、白銀に輝く雪と、未だ渦巻き続ける竜巻の音のみ。奴は、どこに潜んでいるというのか。
まさか、逃げたということはないだろう。突然奇襲を仕掛けられる可能性も考慮し、警戒を強めるヘルガ。そして、次の瞬間、獣はけたたましい咆哮と共に、姿を現した。
同時に黒く染まる竜巻。それだけでも危険極まりないというのに、あの獣は竜巻の風を加速装置として利用し、自ら爪による攻撃を仕掛けてくる。恐るべき速度で迫るそれは、ヘルガですらも激突の寸前まで視認出来ないほどのものであった。
単純に回避行動を取っても、先の二の舞になるのが関の山。そこでヘルガは突っ込んできた獣に向かって炎を放ち、気休め程度ではあるが敵を減速させた上で、大きく後方へと飛び退く。
今回は何とか無傷で切り抜けることが出来たが、次も同じ方法で対処するのは困難だろう。相手はただ理性を失っただけの獣ではない。積み重ねた経験を、戦闘に活かす力を持っている。
安全を確保したヘルガは、その場から右手を振るい、周辺を埋め尽くすほどの炎のカーテンを生成。それを迫り来る大量の竜巻へ向けて飛ばし、相殺する。
勿論、マリアへ迫っていた分もだ。これによって彼女は、爪による攻撃だけに集中することが出来るだろう。まだマリアはこの速度に目が慣れていない以上、こちらがサポートしなければならない。

「子供騙し程度の変化は通用しない……ならば」

ヘルガは意を決し、あろうことかルナティック・ビーストに接近していく。両手から放たれる炎、炎、炎。その数、数十。手数で押すつもりか? 否、それは短絡的過ぎる。
彼女は突進の直前、一瞬だけマリアに視線を送っていた。つまりヘルガは、自分を囮にしようとしているのだ。自らが注意を引き付け、その隙にマリアが敵を仕留めるという作戦。
絶対にマリアに気を割く余裕など与えまいと、猛烈な勢いで攻め続けるヘルガ。間髪入れずに噴出する炎が、空気を焼き焦がし、獣の意識を傾けさせる。問題は、この状況でマリアが正確な狙いを付けられるかどうかだが、今は彼女の力を信じるしかない。

>ルナティック・ビースト、マリア・シャロムスキー

4日前 No.1601

悪童 @prismriver☆kFuUk0otHg5u ★TZkXkdft22_7Bf

【狭間世界/旋風域/マリア・シャロムスキー】

呼吸はあっていた。タイミングに狂いはなかったはずなのに、敵はそれを予測して動いてくる。マリアはヘルガの作戦が通用していないことでまた動揺を覚えたが、動かずにいれば殺されるのは自分だという事実を前にして、なんとか自分を奮い立たせる。今の攻撃が失敗したのは、自分の狙いが正確でなかったからだと無理やり納得して、次は正確に狙おうなどと考えていた矢先、突然敵の気配が消えた。マリアだけがついていけていない、ということではなく、ヘルガも完全に見失ってしまっているようだ。

思わず、周りを見回すマリア。どこを向いても、あの獣の姿はない。あるのは竜巻だけ。一瞬の静寂が雪原を支配した後、叫び声が響き渡る。声のする方向を見てみれば、そこには真っ黒になった竜巻があった。それだけならまだ対処もできただろうが、マリアにとっては同時に放たれた獣の爪の一撃が脅威だった。片方だけならなんとかなっても、両方一緒にというのはあまりにも難しすぎる。とにかく、目の前に迫った敵に対応しなければならないと、身をかわそうとするが、間にあわないのは当たり前だった。

背中を斬り裂かれ、地面に倒れ込むマリア。悲痛な声が響く。体制を崩し、もはや竜巻を避けるのは絶望的かに思われたが、ヘルガが彼女に迫っていた竜巻も一緒に消し飛ばしたことによって、なんとか難を逃れることができた。だが、これによって獣は気づいてしまっただろう。ヘルガがマリアを守りながら戦わなければならないという、二人の大きな弱点に。

「ふざけんな……こんな野蛮人なんかに負けてたまるかよ!」

背中から血を流しながらも立ち上がったマリアは、ヘルガから送られてきた視線を読みとり、まずは相手の動きを見ることに専念する。絶対に狙いを外してはならないが、あまり待ちすぎればヘルガが持たない。なるべく早く、かつ正確に。マリアは獣が加速した瞬間を見計らって、ヘルガと敵の間に、強酸で作られた水球を飛ばす。敵がヘルガに向かって突撃すると、自動的にそこへ突っこむことになるだろう。どうにかうまくいった。あとはこれが当たるかどうかだが、嫌な予感がしてならない。

>>ヘルガ、マリア・シャロムスキー

4日前 No.1602

中世の影 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_ouC

【狭間世界/血塗られた島/中世の影】

心優しき獣の少女は、中世の影が投げ掛けた言葉に、不快感を示しながらも返答する。曰く、散った命を無駄であると称することは、皆に対して失礼ではないかと。
だが、そうなる原因を作ったのは、他でもならない改変を行った者達だ。彼らが余計な手出しさえしなければ、彼らの懸命に報いがなくなることもなかったのだから。
その機会を奪ったのは紛れもない自分達であるということを棚に上げ、語り始める銀狼。改変後の世界の方がマシであると言うが、結局それは彼らの感性でしかない。
事実、人類、魔族両方に和平を望まない人物はいた。そうした者達にとっては、この結末は害悪でしかない。一歩間違えば、彼らによる二次災害が引き起こされていた可能性すらあるのだ。

「お前はそう思っているのかも知れないが、他の者達も全員同じ考えだと言い切れるか?」

中世の影が指摘したのは、まさしくそこであった。イアンの考えは否定されるものではないし、彼女自身がそうした結論に行き着いたこと自体は問題ないだろう。
あくまでそれは個人的な意見であって、一般論ではない。人間にもいい者はいる? 確かにそうかも知れないが、魔族全員がそう考えていると断言出来るのか?
人間と魔族の違いは寿命だけ? 確かにそうかも知れないが、それを裏付ける証拠はあるのか? 口は開かずとも、心に語り掛けるかのように、中世の影は相手に鋭い視線を突き刺す。
どちらかが滅びるまで争う運命にあった人類と魔族。歴史が変わったことにより和平の道を歩んだ両者だが、その影で、敵の破滅を望んでいた者達の思いが踏み躙られたことは忘れてはならない。

尻尾で中世の影が放った火炎を掻き消し、反撃へ打って出るイアン。頭上に躍り出た彼女が放った真空波、続け様に襲い掛かる尻尾の一撃を前に、中世の影はぴくりとも動かない。
二つの攻撃が眼前まで迫ったところで、ようやく彼女はゆっくりと片手を前に突き出す。すると、どうしたことだろう。あれほどの勢いを保っていたはずの攻撃が、一瞬にして消え失せてしまった。
まるで、自分は倒せないと宣言するかの如き、余裕の態度。間髪入れずに飛来してくる、乱入者による炎の拳も、的確に闇を纏った拳を当てることで、六発全てを相殺してみせる。

「誰かにとっての理想は、誰かにとっての最悪かも知れない。お前達はそれを理解せず、安易に禁忌を犯した」

結局、理想は人それぞれ違う。時空防衛連盟にとって、もしくはもっと広く、未来の人間にとって理想の展開に、中世の歴史は作り変えられたのだとしても、それは単なる傲慢だ。
反対者の意見を尽く無視し、時空を捻じ曲げてしまった人類は死を持って償うべきである。中世の影は右手に闇の鎌を生成すると、それを構えて二人の敵へと斬り掛かる。
たった一度の横薙ぎから放たれる、無数の斬撃。そのいずれもが急所を正確に狙っており、どれか一つでも被弾すれば、即座に致命傷を負うこととなるだろう。
弄ばれた歴史、消し飛ばされた正史による逆襲。現世と断絶された空間にて行われる、時空を巡る戦い。凍てついた瞳で人類の罪を見つめながら、中世の影は何を思う。

>イアン・ガグンラーズ、ヴァンレッド

4日前 No.1603

奇術師は謳う @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=0JUFdW22qv

[狭間世界/廃城→…/玉座→…/【リプレイサー】]

ダガーと魔弾の乱打戦。賭けるは命、相手は鬼札《ジョーカー》。あまりに分の悪い賭け。それでも親の眼を盗み、異能【イカサマ】を捻じ込みカードを引いた。傷だらけのカードを片手、ダガーを賭場に叩き付け、戦闘続行《コール》の意思を示す。持ち金《ライフ》を擦り減らし、見上げた親の顔を見遣れば――


「……………おうよ。俺もソイツも、死地潜るのには慣れてんだ。」

――果たして、そこに“絶対者”の姿は無く。

“極彩色の神サマ”が、ただ独りで鎮座していた。
彼に玉座は必要無い。座る脚など持ち合わせぬ。王冠など必要ない。王座に収まってくれるほど、彼の力は矮小ではなかった。
剣も、盾も、彼には必要がなかった。そも、剣は敵を殺めるべく握る物。盾は身を守るべく握る物。であれば、何方も彼には無用の長物だった。後からガチャガチャ鳴るだけの“飾り”を付けるまでもなく、彼には最初から絶対の“権力”が宿っているから。

「力の前にゃ、“決意”なんざ無力ってか……。確かにまあ……こんなにされちまったら、否定もしにくいなあ……。

親は無法者《デスペラード》共に、避け得ぬ最期を宣告する。生命の暴利を振り翳し、如何にも得意げといった様子で、ただ冷やかに止めの追撃《レイズ》を言い渡した。もう残金《ライフ》は使い果たしたろう。もはや決意《ポーカーフェイス》を貫くのも其処までだ。親は勝負を降りはしない。

子たちを括る軛は無く、動きを塞ぐ重石も無い。それでも、何故だか、萎えた腕が動かない。草臥れた脚が動かせない。瞼が重い。四肢を釘で打ち付けられたように、身体の動きが縛られる。戦闘続行《コール》の可も不可も関係ない。神サマは、この勝負を降り《ドロップ》させる気すら無いのだ。暴利を暴利のままに貪って、完膚なきまでに打ち砕く気でいるのだ。

肉体は、既に脳の命令を受け付けなくなっていた。少しでもこの場で空で□き、無を掴み終えたなら、それだけで精も根も尽き果てて、地に臥すだろうことは必至だった。唯でさえ、先の魔弾で受けたダメージは回復し切っていない。殆どを無傷で越えた剣士ですらも、満足に身体が動いていないのだ。ましてこの奇術師に逃れられる道理があるはずもない。それは疑いようもなく、必然の結果だった。

死のビジョン。未来が現実に重なり、霞んで見える気がした。
光線に抵抗も叶わず、無惨な血肉の塊と化す未来。
記憶が消えていく未来。
過去への逆旅をする未来。

目と、口と、耳だけが、奇術師の使える部位だった。
握り締めた剣だけが、剣士の使える武器だった。

弾丸を避ける未来は、どうやってみても見出すことは出来なかった。


「けどな――――――」


ああ。勿論だ。この二人には。


「『 そ れ だ け だ っ て 充 分 だ。』」


動かぬ筈の肢体が動く。使命を宿し、“決意”を宿し、剣が空間を奔り抜ける。紫電一閃、剣士は己の宿命すらも斬り伏せるように、重く、重く剣を薙いだ。放たれた死の散弾は、決意の剣を破れはしない。七色の閃光は散り、無秩序な空を照らす。それはまるで、方舟を降りた者達の仰ぐ、希望の架け橋のように……。

只人が只人らしく、邪意を挟むこともなく、只管に鍛えた剣。最優の名を知り、その身に刻んでもなお折れぬ、弛み無き黒鉄の意志。彼は凡人であったから。彼は弱者であったから。彼は何処までも至高を目指し、彼は何者とも剣を交える。

だからこそ、彼は“知っている”。無知であることを知っている。千里の瞳など持たずとも、神をも相手取るだろう、強者達を知っている。極彩色の中に混じる暗闇を知っている。彼は、 知る/知らぬ からこそ、その暗闇を容赦無く斬り捨てる。“最強”の鬼札《ジョーカー》すらも殺し切る、“最弱”の切札《スペードの3》として、彼はこの世界に立っている。


ならば、奇術師はその暗闇を照らし出そう。切札を切る前に、相手の虚構《ブラフ》を見抜いてやろう。千里の瞳を、大言の口を、対話の耳を動かして、一つの真理《しんり》を暴いてやろう。
奇術師の心の臓は、止まるには時期尚早。奇術師が生きる限り、五感の全ては燃え尽きない。【異能】の鼓動も止まりはしない。ならば、その心理へと土足で踏み込んでやろう。それが、奇術師が奇術師なりに懐いた“決意”だ。


「……まあ、な。俺たちにゃ、俺たちの事を知る同胞だってごまんと居る。みーんな、断じて孤独じゃねぇさ。『世界を救いたい』……そんな意志を抱いた奴等は、みんな同じ“先”を見てるもんだ。」

「仮にお前みたいな神サマ紛いが、この世全ての命を消し去ったとしても……俺たちを憶えているヤツはいるさ。」

だから、奇術師は迷いなく謳う。孤独など、狭間を駆ける戦士には在りはしないと。同志達が立つ限り、己の記憶は閉じられない。そんな声が、虚空から不思議と響き渡る。
それは喩え、幕を下ろすカラクリの神サマが、全てを泡沫に帰してしまうのだとしても、決して変わることは無いのだと……。

そこまで語った奇術師は、その双眸を見開いた。瞳に宿る翡翠の光輝が、ダガーの一振りよりも遥か鋭利に、極彩色を貫き通す。

奇術師は、徐に口を開いた。

「そうさ。お前の力。お前の心。お前の“魂魄”。ソイツらは、まだ俺達を覚えている。まだ、『お前のことだって』忘れちゃいない。ただ、今は封じられているだけさ。何処かの、誰かの手によって。」

極彩色の神、アズリエル・ドリーマー。その莫大な権威を支えるモノが何か……剣士には知る由も無かったろう。だからこそ、奇術師は其処を突く。

アズリエル・ドリーマーとは、“魂”の器の名称だ。
彼の元いた世界における、モンスターと呼ばれた種族には、魔力で構成された肉体を保つための“魂”が存在した。人にもまた、人の“魂”が存在した。アズリエルもまた、その摂理に従うひとりだった。
だが、彼は“とある事件”をキッカケに、それを何処かへと喪った。彼を成り立たせてくれるモノは、もはや存在しなくなってしまった。


だが、彼は今、こうして此処に確かに存在する。何故か。道中のアレコレを無視してしまえば、その答えは至極単純だ。

彼は、“ 簒 奪 者 ”となったのだ。

「なあ、アズリエル。お前が手に掛けようとしてるのは、そういう記憶の繋がりだ、“魂”の繋がりだ。お前は今、お前の望むモノの為だけに、二度とは得難い代物を……生きとし生けるものの愛を、幸福を、壊れた秤に掛けてるんだ。その重みにすら気が付けない――いや、気付かないフリをし続けて。」

彼は、手始めに世界を“繰り返した”。幾度も、幾度も繰り返し、彼はとうとう、一つの“可能性”に行き着いた。かつてニンゲンたちが残した“ソウル”を奪い取った。かつて彼と共に生きていた、幾多の同胞たちからも奪い取った。彼は絶対にも近い力を得た。

それらは全て、彼を突き動かす強い“決意”によるものだ。それらは全て、ただ一人の友の為に。かつては同じ庭で過ごし、今は彼方へ旅立っただろう友の為に。ただ唯一の、彼の『理解者』のためだけに。

「それに……俺はな、未来を見通せる訳じゃねぇが、それでも分かることはある。」

「世界を“やり直した”先で、お前を待つのは“愛”じゃない。“後悔”、“慚愧”が大口開けて待っている。お前が心を喪ったとき、お前が愛を求めて彷徨ったとき……そのときの繰り返しが、其処には静かに待ってるぜ。」

だが、だからこそ奇術師は、その暗がりを容赦無く暴き立てる。友を求める純粋な想い、だからこそ奇術師はそれを斬り捨てる。それはきっと、神となったその“少年”にとっては、決して救いの言葉ではないのだろう。
だが、奇術師は静かに、少年の抱いた願いを否定する。己もまた、出来ることなら、かつての過ちの“やり直し”たい……その痛みを知ってなお、彼は静かに否定を重ねた。

「いつかの質問に答えよう。俺は知っている。お前が求めている、友達って奴の居場所を知っている……。ハッキリ言って、ソイツは俺の敵さ。最悪の殺戮者、残酷な連中の一人だとさえ思ってる。」

「ソイツとお前の思い出までも、俺は否定するつもりはない。ヒトにはヒトの道がある。お前の友を想う気持ち、それは本物なんだろう。けどな、ソイツは世界を無に帰す道理になりはしない!」

奇術師の千里の瞳。それは、少年の“唯一無二の友”――キャラの動向をも捉えていた。盗賊王と組む最中、無辜の人々が惨殺されていく様も、確かに奇術師は知っていた。

だから、単に願いを否定するだけなら幾分か簡単だった。幾らでも罵詈雑言は思いついた。身体こそ縛られてはいたが、言葉だけなら幾らでも吐けた。

だが、奇術師はその道を選びはしない。
そうだ。少年には少年の願いがある。何人にも覆せない、決意が其処には存在する。ならば、幾ら部外者が知ったような面して拒絶の意志を示そうが、きっと彼は歩みを止めない。止められない。心の深層までは、決して止められはしない。

ならば、どうする。
勝負を降りる選択肢など、とうの昔に捨て置いた。
ならば、道はきっとこれしかない。

「俺にはお前を救えはしない。その役割は、俺が担えるようなもんじゃない。」

「だが、導くことなら俺にも出来る。目を逸らすな。耳を塞ぐな。 お前の中にある迷い……躊躇……そこから目を背けるな。心の痛みに、自分の“魂”に向き合え!!」

「俺たちは生きている!お前の躊躇い、お前の良心の証として!! そうだ、お前を救えるのはお前自身だ!! 目の覆いを取り外せ!!! お前の理解者は、“お前の中”に生きている!!!」

嗚呼、そうだとも。今の少年を救えるのは、少年自身だけなのだ。彼はなによりも先ず、彼自身をまだ知らない。彼の中では目的へと徹しきれない“良心”が息づいている。少年が、自分自身の矛盾と向き合えた時……極彩色は、初めて虹色の輝きを取り戻すのだ。

だから、奇術師は鋭く言葉《チップ》を投げる。彼の深層を揺り動かす。永い時に埋もれてしまった、少年の心を呼び起こすべく。夜の帳に覆われたその眼へと、光跡の一矢を見舞うべく。
耳を塞ごうと、身体を縛ろうと、声は空へと大いに響く。【異能】の力に乗せられて、神の御元へと響き渡る。声の先に佇むのは、傷だらけになりながら、尚も瞳に光を宿す男の姿。

さあ、カードは切った。チップは投げた。コールの宣言は終わったぞ。

――お前は今、どう立ち向かう。

>>アズリエル・ドリーマー、黒鉄一輝

4日前 No.1604

極炎 @sable ★Nu0sy7yXcR_keJ

【狭間世界/朽ちた村/ニケ・エタンセル】

否定されようと諦めない戦士達。三人が魂をぶつけた結果だろうか、遂に影の表情が和らぐ。
やった、とニケは思った。満面の笑みとまではいかないが、憂いの類は明らかに失せている。少なくとも第一段階はクリアした。
ここからが本番とも取れるが…間違いなく一歩前進できた。覚悟と想いが伝わっている。

「約束するよ」

即答する清太郎に続き、ニケも迷いなく約束を交わした。難儀な道のりに聞こえるが、要は帝国に反旗を翻したときと同じだ。
意志を貫き通す。大切なものを見失わない。例え平穏が訪れたとしても、絶対に忘れはしない。風化させない。
全てやり遂げてきたことだ。もう一度、と言われてできない理由はない。

「俺達は全てを背負って先に進む。正史も、IFも、皆一緒だ。

この世界が消えても。

無数の可能性は、俺達の中で生き続ける」

狭間世界が閉ざされると同時に、二度と顔を合わせることもなくなる正史。自分達以外のIF。それらを敗者と、落伍者と見做すことなく、背負って歩んでいく。
我々と同列の存在であることを念頭に置く。"最高"は無理があるかもしれない。だが"最善"は必ず尽くしてみせる。
その意気込みの証明として、ニケは『自分達の中で生き続ける』という表現を選んだ。真に歴史の重みを理解したことの表れだ。

思えば、ここまで長かった。努力とその報い、そして奇跡の連続だった。正史では死して雪に閉ざされたはずの自分達が、あろうことか生きて先の時代を見ている。
様々な因果の中で、仲間の存在は特に大きかった。常に助け合い、支え合い、時には正しい道へ引き上げてもらったこともあった。

運命とは数奇なものだ。

>>古代の影、橋川清太郎、アラン・レイクルード

4日前 No.1605

アリア @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_keJ

【狭間世界/拷問部屋/アリア=イヴァンヒルト】


 ………ハッキリ、しないやつ。

 小さく零しかけた言葉が、大気に乗って音として実を結ぶことはなかった。
 寸でのところでわたしが歯止めを掛けたからだ。
 そういう話じゃない、と否定してやろうかとも思った。なにしろ紡がれた言葉に意味を感じない、それは肯定でもあり正論でもあり、耳には聞こえの良い言葉であるが、そんな話を仕掛けた覚えはアリアにはない。今の話なんて、所詮“言って分からないようだから言ってやろう”という意味合い以上のものはない。
 ………それが事実だ。そこでわたしが耳を傾けたのは、その言葉の語りかけがだれかに似ていたからかもしれない。思考停止を餓鬼の所業だなんだと、好き勝手に□き乱して来た少女に―――決して認めたくないので、僅かに、微かに、似通う要素があったような気がしたからかも知れない。と、いうか、恐らくはそうだ。
 そうでないとするならば、その語りかけに思うところがあったということになる。
 何故? そのように自分を精査すれば、浮かび上がる解答は一つだろう。流れは進み続けるのに留まり続ける人間を構う存在など居ない―――そうヒトガタが語るように、わたしはきっと留まっていたからだ。
 始まりも終わりも見つからないから、中点とも言い難い放棄されたポイントで、小さな殻を作って閉じ籠るように。それはなんて安寧に浸るような気分で、それはなんて進展性のないことだろう。


「進むよりも、退くよりも、留まるだけの方が、楽だから」
「留まり続けるヒトがいるなら、それだけの話でしょう」

 そうだ。

 とどのつまり、不変を望む者、停滞を望む者がいるとするならば。
 それは単純に、そちらの方が労力を使わないからだ。
 進むにせよ退くにせよ、そこには心を動かすだけの労力が居る。始点を振り向くにせよ、終点に突き進むにせよ、そこには多少の痛みが生じる。それを許容するだけの拠り所と支えのある人間以外に、『未知』という暗闇は切り拓けず。塗り替えられない灰色の過去を振り返る度胸は持ち得ない。
 たった、それだけの話だ。そして、きっとわたしはそうなのだろうとも理解している。
 そこまで理解したのなら、欲しいものが何かは分かっている。
 ………だからそれを見つけて、納得するまでは、少なくとも死ねないというだけなのだ。応とも、そこに関して自分の道標が揺らぐ気配はない。わたしが何者でないとしても、何者かになるまでは死ねない。


 ………だから、だろうか。
    わたしが、少し怖気が走るような感覚を覚えたのは。

 これを、恐ろしい侵略者《プレデター》ではないと理解しても。
 これを、悍ましい侵入者《エイリアン》なのだと感じ取ったからか?




「………だから、」
「だから、なんです」

 興味のある対象が見つかったと、ヒトガタは言う。
 カタチを持たない正体不明、理解とは遠ざかった位置に立つもの。
 それが、此方を睨め付けるように見ている。

 わたしを先程から警戒させていた理由は、きっとそれだった。
 だって、このヒトガタはきっと何者でもない。
 何者でもなく、どんな型にもはまらない。どんな世界でも、これはきっと異物なのだ。
 特別なものが特別であることに、事情などないように。
 海の中に落ちて泳げる淡水魚が、どう見ても異形でしかないように。

 では。
 そう感じたならば排除していたはずで、だからこそ、わたしにはそれが出来ない理由があったわけだ。

 そうじゃない理由があったのは、単にこのヒトガタが………何かに似ていたからだ。それが“誰”と聞かれた時に解答を出すことは容易くとも、“何故”そう思ったのかということに対する解答は一切出せなかった。
 分からないものならば速やかに排除する。どうでもいいものなら尚更のことだ。
 そうしなかったのは、これを“正体不明”と言い切るには少し違った気がしたから。
 そうしたくなったのは、単純な話だ。………何も分からない分、これは“怖い”ものだったからだ。

 視点が違う。立場が違う。
 意識の在り方が違う。肉体の作りが違う。
 何もかも共感に値する要素を感じない、何もかも理解に関する安心を感じない。
 理解してはならないという警鐘が、これを真の意味で懐に入れてはならないと警告している。

  ・・・
  あの子とは、違う。
    理解と共感を感じて、だからこそ、懐に入れたならば壊れてしまうと感じた少女とは、違う。

「わたしを、どうしたいんです。さっきから、ずっとハッキリしない。
 おまえ、何が言いたくって、何が望み―――」

    ………それなのに。
    ………それなのに、それなのに、それなのに。

 浮かんだ疑問を口にする。
 ほんの少し乗った感情が、たぶん警戒を元にした苛立ちであると気付く。
 それを精査しようとする。―――より早く、死角からの不意打ちのようにそれは訪れた。


「………、………ぇ」


 ちらりと、見えた。

 黄衣の内側、正体不明なれども既視感《デジャヴ》を覚えたものの正体が。

 見たことあるからねえ、と。注釈付きで翳されたその腕には確かに覚えがあった。


「その、腕―――」


 それは異形の腕だ。
 ・・・・・・・・・・・・・ ・・
 人のカタチとは思えない者の、腕だ。


 それを確かにわたしは知っている。
 継ぎ接ぎだらけで、果てしなく歪だったけど。
 どうしても“理解してしまいそうだった”少女のものとひどく似ているカタチだった。
 しかし誤解を招かないように言うが、似ているのはどうしようもなく、カタチだけだった。

 外面だけが完璧に出来上がっていて。
 内側が、どうしようもなく違うもの。
 白と黒が人間の色ならば、これはそういう色合いじゃない。
 極彩色の………同じではあるが、致命的に、目をそむけたくなるほど違うものだ。


 走った感情は、動揺だった。
 一瞬だが、頭を白く塗り潰したような感情があった。

 それを精査する余裕はなかった。“そんな暇”を与えるわけにはいかないと、思ったからだ。


「―――ッ」

  ………だって、違う。こいつは、違う。


    ―――過去最大級の警鐘が鳴る/言葉が違う印象が違う“立ち位置”が違う!


  ………違う、違う、違う、違う、違う!


    ―――類似しているが、決定的に異なる部分があるのをおまえは理解している。


  ………違う違う違う違う違う違う違う!


    ―――これは真の意味で理解してはならないものだ。で、あるならば。



     、    、   分からないものは畏れるべきものであり、即ち排除するしかない。
     、    、   人間の共通思考であり、本能だ。


    傲慢な蜘蛛糸
「―――《Arachne》ッ!!!」



 ―――それは、間違いなく拒絶から来る防衛本能だった。
    そのヒトガタのカタチを読み解けば、狂いそうになることを自覚したが故の衝動だった。

 応答の代わりに、絶叫じみた“起動”の一節を口走っていた。
 返答の代わりに、青白いヒカリが走る。
 回答の代わりに、わたしは地を蹴り飛ばして後退していた。

 指元から糸のように展開された都合十本の光の糸線。
 陰惨な拷問部屋の空間/および黄衣の化外諸共周囲を切り裂くべく疾走するそれらは、彼女の指の動きに従って一帯を切り裂く極小規模の処刑刀。直撃すれば黄のヒトガタの腕を、身体を、滑らかかつ鋭敏に引き裂くことだろう。それでは足りぬと理解しているが、少なくとも心に襲い掛かって来た動揺を抑え込もうとするならば、ここは距離を取りたかった。

 かろうじて、わたしがこれを錯乱から来るものではないと言えたのは。
 その動機の中に、少しでも、“拒絶”以外のものが含まれていたからだ。
 理解してはならぬと警鐘が鳴っていて、それに従うことに間違いがないと判断したのに。


「おまえ―――」
「あの子の、なに!」


 その腕の持ち主であるおまえは、あの少女の何で。
 あの少女の何を知って此処に立っているのか。

 此処に関しての理解だけは、どうしようもなく譲れなかった。
 非効率だろうが不正解だろうが、矛盾していようが………知らねばならないと思っていた。
 答えないならば腕ずくでもいい。どれほど聞き方が乱雑でも構わない。
 このトリックスターからすぐさま逃げるべきであったとしても―――それだけは、決して。


>黄衣なる者

4日前 No.1606

削除済み @sable ★Nu0sy7yXcR_keJ

【記事主より削除】 ( 2018/07/13 02:49 )

4日前 No.1607

I& @infernus☆hqJtq.soPih1 ★F7MrHN45jw_ouC

【狭間世界/廃城/玉座/アズリエル・ドリーマー】

死をも超越し、絶対神となったアズリエルに不可能はない。今の彼にとっては、敵対者の行動能力を奪い、死に至らしめることなど、実に容易いことであった。
だが、それでも目の前の二人は足掻こうとする。無駄なことを。その気力も、いつまで持つものか。一輝が自らの攻撃を叩き斬ったのを見ても、アズリエルは余裕を失わない。
必死に生に縋り付く敵を見て嘲笑っていたアズリエルであったが、一輝がとある言葉を発した瞬間、それが掻き消える。―――誰も、"君"のことを覚えてはいてくれない、だと?
……それがどうしたというのだ。どうせ、こんな世界は滅ぼすだけ。誰も覚えていなかろうが、今の自分には関係ない。全てが終わった後に、新しい日々がやって来るのだから。
彼は必死に自らへそう言い聞かせるも、心が揺らいでいるのは明らかであった。ああ、そうだ。もう誰も、覚えてはいない。……死んだ者のことなど、誰も……

「お前に俺の何が分かる! 俺は世界をリセットしてやり直す、それだけだ!」

心を突き刺すような一輝の言葉を聞いて、明らかに動揺を覚えつつも、アズリエルはそれを打ち払うように叫び、再び両手に虹の光を宿して二人を攻撃する。
無視しようとしても、出来ない。自分がしていることと、本心の矛盾に、さすがの彼も気が付きつつある。それでも後戻りは出来ないと、意地を張っているだけ。
我儘な子供をあやすかのように、続いて奇術師の言葉が聞こえてきた。もう、先程まで漂わせていた余裕は、ない。彼は今の自分を肯定するという作業だけで、精一杯なように感じられる。

「は……? 何をするつもりだ!」
「やめろ、やめろ! 俺には誰の助けも必要ない!」
「やめろ、俺から離れろ! 聞いているのか! お前を引き裂いてやるぞ!」

アズリエルを正しき道へ導こうとするリプレイサーの言葉。それは、確実に彼の心を揺さぶっている。この態度こそが、何よりの証拠であるといえるだろう。
助けなど必要ない、と言い放つアズリエル。しかし、今更こんな言葉を投げ掛けたところで、奇術師が止まるはずもない。彼は、アズリエルの本心を見透かし、必死に説得を続ける。
己の中に眠る良心を、理解したくない。こんなことをしてはならないのだと止まりそうになる自分を必死に突き動かそうと、平常心を何とかして取り戻そうと、再び口を開く。

「まだ終わる準備が出来ていないんだ。ボクが大切に思う誰かに、またさよならする準備が出来てないんだ」
「だから、お願い、もうやめてよ……」
「ボ ク を 勝 た せ て く れ よ !」

両手に虹色の光が灯る。彼はそれを前方で交差させ、二人へ向けて空間全体を埋め尽くすほどの巨大なレーザーを放つ。文字通り、回避の余地などどこにもない攻撃。
これに呑み込まれた彼らは、まず生きて帰ることは出来ないだろう。攻撃が終わった時、そこにあるのは、破壊し尽くされ、誰もいなくなった空虚な景色のみだ。


―――アズリエルが、本心から二人を殺すことを望んでいるのならば。


「やめて!!! もうやめてよ!!!」

更にレーザーが勢いを増す。この空間どころか、世界すらも消し飛ばしてしまうかのように。それでも、二人が死ぬことはない。彼は、躊躇っている。自らの行いを。

「……すごく寂しいよ。すごく怖いんだ。……ボクは……」

やがて、攻撃は止まった。そこにいるのは、目を閉じ、涙を流すアズリエル。姿こそ変わっていないものの、彼自身の戦意が衰えているのか、徐々にその輪郭が薄れ始めている。しばしの静寂が辺りを包み込んだ後、再び剣士と奇術師の視界を、光が覆い尽くした。
―――そこにはもう、死を超越した天使はいない。代わりに聞こえてくるのは、子供の泣き声。あの頃の、少年の姿に戻ったアズリエルが、腕で目を覆い、泣いていた。
彼はようやく、理解したのだ。世界の破壊が、無意味であることに。そんなことをしても、大切な人は帰ってこないことに。帰ってきたとしてもそれは、虚構に過ぎないことに。
そして何より、心優しいアズリエルには、耐えられなかったのだ。自らの行いによって、沢山の人達を傷付けることを。無関係の人達を、自分の勝手に巻き込んでしまうことを。
ここが戦場であったことも忘れ、ただただ涙を流し続けるアズリエル。戦意の折れた彼は消えそうな声で一言だけ、二人に向けて呟いた。

「ごめんなさい……」

と。

>リプレイサー、黒鉄一輝

4日前 No.1608

健啖の銀狼 @sable ★Nu0sy7yXcR_keJ

【大事な部分がすっぽり抜け落ちていたので、許可を頂いたうえで再度投下させていただきます。レス数が残り少ない中、申し訳ありません】

【狭間世界/血塗られた島/イアン・ガグンラーズ】

中世の戦いの一部始終。その正否を問いながらの戦いが始まる。和平に持ち込むという行為が、勝利のため先立った者達の犠牲を無駄にした。
そう告げられ、銀狼は若干の不快感を示した。そんな物言いはおこがましいのだと。どのような結果を迎えようと、あくまでここまでの下積みの結果。
全てを否定し無意味と断言することこそ、犠牲者達に対して失礼だ。それがイアンの言い分であった。
それを聞き入れた上で、中世の影は否定する。改変後の世界が良いというのは、あくまで生き残った者達の感性。死人に口なしとはよく言ったものだ。
当然だが、和平を喜ばしく思わない勢力も存在する。この先、彼らが暴動を起こす可能性も否定できない。戦いの終結は、必ずしも真の平穏に直結しないのだ。

「言い切れるわけないじゃん。

きっと不満に思ってるヤツは沢山いるよ。人間なんか滅ぼしてやりたい、魔族なんか滅ぼしてやりたいって。

でもそれじゃダメなんだ!」

「戦争で得をするのは、ほんのチョビっとの偉いヤツ。

キミのいう"血を流す"人達には、何の得もありゃしないんだよ!

……だから戦いを終わらせてやった、なんて言うつもりはないけどさ」

真に種族のためを想い、怨敵の抹殺に心血を注いだ者もいたことだろう。しかしだ。本当に失礼な言い方になってしまうが、彼らも"踊らされていた"と言って差し支えない。
王国騎士団が命をすり減らす隣で、貴族達が何をやっていたかは聞き及んでいる。魔族側にも少なからずその気があっただろう。どんな理想を掲げようが、どんな大義名分を振りかざそうが、結局はこうなのだ。
あんこく
和平に舵を切ったことで犠牲を減らせたなどという、思い上がりも甚だしい物言いをするつもりはない。一見円満に見える決着にも、多くの陰と陽の面が潜んでいる。
それでも…いや、だからこそ。イアンは強く主張する。自分は、自分達の選択に、そしてこの結末に自信を持つと。言い放った言葉を取り下げもしなければ、今更積み重ねを否定することもない。
鋭くねめつける中世の影に対し、イアンもキッと強い眼差しを向けて応える。

「うぉうっ!?

って、ええーっ…」

自慢の尾で以て攻める最中、唐突に増援が到着した。背後から吹き抜ける熱風、熾烈なる火炎掌六連打。
思わず見上げてしまう勇姿。緋焔の二文字を体現するドラゴンは彼を置いて他にいない。
かつての"龍炎公"、ヴァンレッドだ。魔帝軍に籍を置いていなかったイアンにとって、この聳え立つが如き威容は完全な初見。
だが畏れひれ伏している場合ではない。既に敵の反撃が始まっている。真空波はもちろん、ヴァンレッドの連撃すら凌がれてしまった。
討論も戦いも、一筋縄ではいかない相手。そう悟るや否や、イアンも本腰を入れて戦闘を開始する。

「しょっぱなから使わなきゃダメかあ…」

振るわれるは暗黒の大鎌。一薙ぎで命を刈り取る死神が如く、致命傷を約束する無数の斬撃が発生。
単純な回避では限界というものがある。相方の実力なら対処できる可能性は高いが、彼の手を煩わせないに越したことはないというもの。
故に出だしから全力の防御技を投入する。一度開いた手に魔力を溜め、ギュッと握り締めて駆けだす。
僅かに跳躍しつつ横へ一回転し、勢いを残したまますくい上げ。鋭い爪の軌跡が五本、銀の光を伴って防壁に変わる。
それらは斬撃を次々に受け止め、やや劣勢ながらも確実に数を減らしていく。六割ほどは削れただろうか。ここまでくれば、もう余裕をもって回避できるレベルだ。
一応油断はせず、しっかりと一つ一つを見切って回避。間髪入れずに攻撃へ移行する。

「おーりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃあ!」

ヴァンレッドの動きを模倣したのだろうか。お見舞いするのは、白銀のオーラを纏わせた拳による猛烈なパンチ。
連打と共に前進し、十二回を数えたところで、いったん区切りをつけて跳躍。上空からもう一度、尻尾を用いて真空波を乱打。
勝つためにはヤツを納得させる必要もありそうだが、戦いを拒むあまり討ち取られてしまっては意味がない。
和平を望み喜んだ気持ちは本物。その上で様々な負の側面を受け入れ、立ち向かっていく覚悟を示さなければ。

>>中世の影、ヴァンレッド

4日前 No.1609

イスマリア @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_a2e

【 狭間世界/血塗られた島/深淵の間/イスマリア・ザルヴァトール 】

「ええ、失礼です。まったくもってその通りだ。腹立たしくて仕方がない」

 降り注ぐ火炎の拳打。尾による強烈な打撃の応酬が繰り出される中。
 イアン・ガグンラーズのハッキリとした言葉に同調するように、黒雷が降り注いだ。
 血塗られた島に、散らばる遺骸を蹂躙していくかの如く地走り焼き尽くしていく。

「その叱咤、叱責、甘んじて受けましょう。屍の山を築き上げたのは我らだ」
「致し方ない犠牲と言えど、もっと良い手段もあったでしょう。もっと犠牲を減らせたでしょう。認めるとも」

 血塗られた屍の山を踏みしめて歩く。殺した者達の名を忘れない。
 より良き未来の犠牲となった者達を忘れない。畏敬を知らぬものほど、迷惑な者はいないのだから。
 だからこそ、イスマリア・ザルヴァトールは此度の異変により現れた障害に怒りを覚えていた。

「しかしそういうあなたこそ、何様です?」
「横から出てきて、積み上げた屍に、今を生きる人々に、唾を吐きかけるとは大層な身分だ」

 そう、彼女は怒っている。
 轢殺を続ける車輪の怒りの矛先は、影ただ一人。
 改変によって踏みにじられた正史の嘆き。
 この地に訪れた時から、イスマリアは影を睨みつけていた。
 その視線に重圧と共に絶対の殺意を込めて。

「踏みにじった未来を理由に立ち止まれだと? 笑わせないでください」
「それでは踏みにじられた者達が報われない。彼らの分までより良き未来を創るのが我らの責務」

 熱弁する彼女の頬は異様なほどに紅潮していた。増幅された電流が黒い糸の如くこぼれ出る。
 興奮を。怒りと喜びという背反する感情のままに叫ぶ彼女は、もはや正気ではない。
 この影は、せっかく勝ち取った「最良の未来」を叩き壊そうとしている。見るまでもなく、明らかだ。

 、  、・・
「燃やした誰かの分まで。積み上げた屍に報いなければならない――」

 だからこそ、イスマリア・ザルヴァトールはこの処刑刃を振り下ろさなければならないと決意した。
 決意したからこそ、相手の全てを聞き入れた上で、それでも糧にして進まなければならないと告げる。
 そう、何があろうとも。

「ですので宣告しましょう。宣告いたしましょうとも!」

 抜刀。
 以前のものとは違い、蜘蛛との戦いで放棄した腕は機械のものに挿げ替えている。
 そこに生体電流を増幅させて流し込み、戦闘態勢を整えた。
 振り切れた理想主義者。より良い未来を創りたいという思いだけを残し、あらゆる全てを燃やして突き進む者。
 そのためならば世界の理や神すらも恐れることはしない。

「私はずっと言いたくてたまらなかった、お前に言いたくてたまらなかった!」

 黒い稲妻が激しく光、轟音となって鳴り響く。
 これは彼らを称える祝砲だ。
 協調を覚え新たな位階に立った人狼を、魔帝の忠臣たる魔竜を。

 ・・・・・
「死ねよ外野、未来に生きる者達の足を引っ張るな――」

 これは死刑の宣告だ。反論も嘆きも許されない。
 ヒトの罪を裁こうとするために現れた影に対する判決だ。
 英雄と魔王、――彼らを体現したかのような"化身"へと、右掌を向けた。
 凡そヒトのソレではなくなった無機質なそれに、黒い雷鳴が収束する。

  ヒト        、
「『■■よどうか見ていてください』」
   、   、      、     、 アナタ
「『たとえ全てが私を見捨てたとしても』『私は■■を慈しむ』」

 バレーボール大の大きさにまで成長した雷電球。
 詠唱<ランゲージ>と共に、思いを力に変換し、自身の心を燃やして高めあげる。
 それは極限までに高めあげられた狂信の祈り。それがくべられることで、更に稲妻の魔弾は巨大化していく。
 強力な相手だと分かり切っている以上、自身を燃やすつもりでこちらも挑むのは当然のこと。

    Blitz Schwarz   、    Quadriga
「《黒雷よ、果てより来たれ》――《蹂躙する魔戦車》ァァァアッ!」

 射出されるは、人一人をゆうに飲み込む大きさを誇る黒い雷電球。
 イアンの攻撃に挟み込むように、漆黒の光が尾を引きながら中世の影へと突き進む。

>中世の影 イアン・ガグンラーズ ヴァンレッド

3日前 No.1610

黒鉄一輝 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_a2e


【 狭間世界/廃城/玉座/黒鉄一輝 】

 本心からの絶叫。アズリエルの両手に集うは、極彩色の光。
 それを交差させることで収束させ、何倍にもその火力を引き上げる。
 膨れ上がったソレが空間全てに広がった。玉座を、城を、何もかも飲み干さんがする勢い。
 されどそこに、先ほどまであったはずの殺意はない。
 制御も滅茶苦茶であり、結果だけで言ってしまえばリプレイサーと一輝には一発も当たることはない。

 癇癪のように勢いを増したとしても、ただの一撃も当たることはないだろう。
 殺人を望んでおらず、泣き叫ぶ子供のように乱射を続けるだけである以上、決着はついたも同然だった。
 不規則に吹き荒れる光の中、一輝はその場所まで歩いていく。

 そこに神はいない。
 いるのは、虚栄の内に封じ込めていた少年という自分自身。
 奇術師が己の瀕死と引き換えに、千の瞳と万の言葉でもって暴き立てた"本心"。

「――悔しいか、アズリエル・ドリーマー」

 ただ一言、一輝はその少年に問いかけた。
 泣き叫ぶ少年は、何処にも行けぬままこの袋小路で彷徨い歩いている。
 大切な誰かに何をすることも出来ず、力に溺れて暴走を繰り返す。
 何も出来ない己自身が、良心の呵責で何も出来ない自分自身が。

「大切な人に手を伸ばせないということが。自分が何にも覚えてもらえない最弱だということが」
「良心のままに生きることも出来ず、良心のままに生きても力に奪われることが」

 神の力は確かに強大だった。
 されど、アズリエルの力ではない。邪で、憑りつかれてはならないもの。
 己を高めることを忘れ、手にいれた力を世界に誇示する赤ん坊のようだった。

「悔しいなら、その悔しさを捨てるな」
「それはまだ、君が自分を諦めてない証拠だから」

 そして静かに告げた。

「勝利はあげない。僕の勝利は、今まで僕が相手にしてきたすべての人への礼儀。
 そして大事な人のものだ。だから、簡単には渡してやれない」
「だけど、君が本当に勝ちたいなら。分相応なんて都合のいい諦めに頼らないというのなら」
「己を高め続け、何時か此処に辿り着きたいなら――」

 木の枝を一本、アズリエルに渡す。
 剣の代わりだ。
 チャンバラごっこに等しいソレから――世界に通用する"男"になれという宣告。
 覚えていてもらえないというのならば、己が世界に刻み付ければいい。

   、  、 ・・・・
「――神じゃなく男として強くなって、また挑みにくるといい。僕は何時でも受けて立つ」

>アズリエル リプレイサー

3日前 No.1611

リインカーネーション @genomirai ★xtwO2xCy4x_a2e

【大統領官邸/廃墟/ザーシャ】


「はっ!いずれなる筈だったもんに怖れる道理はねえよなあ!多少の道筋が違っただけで、そうなるってんだったら運命って奴じゃねえのか!」

「だが、その賭けはちょいと危ういなあ?俺が、勝つ!勝たなきゃならねえからな!」

あの人がやってきた事なんざ知っているさ、だが忘れちゃいけねえのは俺はあれが居なければずうっと昔にそうなっていたんだよ。そうなったとして、俺がどうなったかなんざ微塵も興味はねえが、あの人の作品になることに違いはねえ。
だからあの人がやったことが一般論で悪辣で理解されないもんでも、俺に恐怖だとか嫌悪感だとか、ましてや拒絶などある訳ねえ。今回に限れば、もっと前にそうなってたか、この後そうなるかだけの違いなんだからなあ。
尤も、負ける気なんざさらさらねえがな。あの人の一番になり続けることが俺の意味の一つだ、今となっちゃあ意味が増えちまってるから唯一とは言えねえが。まあ、でも、全部大切な意味だからな。俺のものである以上、譲れるものかよ。
そういや、REDだったか、あの人が言っていたのは。どういう経緯かは知らねえが俺から見りゃあ姉妹みたいなもんだろ、俺が勝ったら顔を見に行くのも悪かねえな、言う事を聞かせるってのも一つじゃねえだろうし。……だよな?
まあ、それは置いておく。あの人は風の小刃を全て躱していた、一つも掠ることなく全部だ。牽制用の技ってのは基本的に当たっても問題ない程度の威力で、完全な回避をさせない為にばら撒くもんだ、今回も軽傷と回避の誘発が目的だった。
その例に漏れず、俺が放った風の小刃も広範囲に無作為にばら撒いたもんだ。パターンがある訳でもない、かといって偶然の穴が出来るほどの低密度でもねえ。その弾幕とも言えるそれを純粋な機動力のみで対処しやがった、それだけじゃねえ。
上を取った斬撃、それも子機からの援護射撃をぶち当てて逸らして避ける。問題は当てたのが俺の大曲剣ってことだ、それを当てる精度は脅威ではあるが今はそっちじゃねえ。連戦、無茶な使い方、それが祟って中ほどに誤魔化せねえ罅が入りやがる。
手入れする暇もねえから仕方がないとはいえ、この状況でそれは不味い。僅かなリーチも欲しいこの中で無手となるとかなりきつい、射撃戦も出来なくはないが特化した相手と同じ戦場に立つほど馬鹿なものはねえ。
一先ず、外したことを確認し左手の風の刃を解除、そのまま左手を突き、軸にした後勢いのまま地面に滑る。獣みてえな格好ってのがちとあれだが隙を出来る限り減らし、次の行動に移るには仕方のねえことだ。なんたって―――
―――銃口はこっちを狙ってんだからなあ!

「全く、酷いなあパパは。娘の愛の籠った一撃を躱すだなんて、悲しくて反抗期になっちまいそうだなあ?」

狙う脅威は二つ、触れちまえば燃え上がりそうな光線が正面から、そして地面そのものを弾丸とした土塊が四方八方。突破するだけなら簡単だ、直上に飛び上がればそれだけで回避可能だ、そして実現だって問題なく可能。
だがな、これが俺達の愛情表現だってなら避けられる道理はねえ。放たれるもの全てがあの人の愛ならば受け止めて、飲み干してこそだろう。だからただ回避なんて真似は絶対にしねえ、代わりに俺の攻撃全ても愛一杯だ、当然だろ。

「一方通行の愛ほど悲しいものはねえからなあ?まあ、俺はそんなもん気にしねえけどなあ!」

先に襲うは光線、燃えるっつう性質上触れるのは却下、避けんのも却下。じゃあどうするって?んなもん簡単だ、力場を手に纏ってそのまま腕を振るう、これで付与されてる火炎は逸らして土塊を燃やしてる。
残った光線、それはもう俺の身体を貫く。焼けると言うよりも溶けるほどの威力、また腹が風通しが良くなりやがる。傷を負い過ぎんのは限界を早めるだけだが、こと今回に限って俺に限界があると思うな。意識があるまで動き続けてやらあ。
んで、またも突撃。今回は馬鹿正直に真正面から、理由は単純だ。子機を潰すつもりがねえからだ、そうするなら距離を開ければ開けるほど不利が積み重なるからな。だから、最短距離を突っ切る。
子機は射撃戦をするならば確かな脅威だ、下手な近接戦も先のように対処されるだろうよ。じゃあ、誤射の危険性がある超至近距離にまで持ち込めばどうなる。確証はねえ、序でに言えば識別機能があるとか言われたら不利になるがまあいい。
その不利ごと引っ繰り返してこそあの人の最高傑作の名が輝くもんだ、中途半端な勝ち方じゃあそれを汚すことになっちまう。なら、どれだけ不利な状況であっても勝利の芽を掴めるだけの力量を示すことが一番だ。

「パパの愛、しぃっかりと、受け取った。受け取ったよ、パパ……くくっ、なら、ちゃんと愛し返さねえと、なあ?そうだろぉ!」

風を纏った上での砲弾の様に俺は突撃する、中途にある邪魔な土塊は頭突きやら殴りやらで片手間に破壊しながら突っ切る。額から新たな血が流れるだとか関係ねえ、俺は今、とても楽しい。ついでに言えば、昂ってる。
だが冷静さを失ってるわけでもねえ、距離が迫ると同時に風の槍を展開。貫通力に重きを置いたそれは牽制の名目で放つには馬鹿げた威力、主力に添えても良い程だ。だがまあ、作り出した十五本全ては牽制としてぶっ放す。
これは接近までの妨害の阻止が主目的、その間に俺は更に追い風を増やし速度を上昇させる。斬撃ってのは、いや最早打撃に近えが力があればあるほど威力は増す、速度もまた力、ならそこに全力で打ち込めば強いって訳。
大曲剣が狙うは胴の両断、だが一撃では躱せばお終いだ。だからこそ風の刃を俺とは別の二方向から放つ。この風の刃は鋭さに特化したもんだ、打ち合える程の質量はないが触れれば切れるほどの威力を誇る。
その三つの斬撃はあの人を真上から見た時に三角形を形作る様に迫っている、詰まる所逃げ場は空にしか作っていない。そうだとも、逃げられる場所は作ってあるとも。俺が愛を語った後でも、避けられるなら、なあ?
そう、愛だ。真っ当な親子とは違う、俺たちの愛だ。互いを傷付け、その力量を確かめ合う、愛だ。
さあ、まだ序の口だ。もっと、もっと、愛し合おうぜ?

>>Cluster E装備型


【お待たせして申し訳ありません、フォルトゥナ、グレートメイガス、黄衣なる者も順次返していきます】

3日前 No.1612

リインカーネーション @genomirai ★xtwO2xCy4x_a2e

【狭間世界/誰も居ない邸宅/フォルトゥナ・インテグラーレ】


結論は容易く導き出された、目の前の存在が許容できぬと称するに時間は必要なかった。最愛の姉の姿で、その声で、姉が発さぬ言葉を投げかけてくる。何一つ許容できるものはなかった、その発した言葉の意味でさえも。
だから、その存在自身が証明したそれを未だ姉と誤認し続けている。だから、姉の親友ですら肯定した己の非を聞こえないものとしている。姉がそんな事を言うはずがない、そんな言葉を発する貴様らは全て粗悪な偽物だと、彼女は乱れた思考の中でそう定めてしまった。
この場では味方と称していいはずのダグラスでさえ、今の彼女にとっては姉の親友を模した何かとしか見えていない。だってそうだろう、姉をよく知る親友が、姉の為に最善を尽くそうとしている彼女を失笑と称するはずがないのだ。
一つ、彼女を擁護するならば理解者が存在しない事を挙げよう。幼少期から今この瞬間まで彼女の理解者はいない、父は死に、母は行方不明、姉は先刻再会を果たしたばかりであり、親しい友人もインテグラーレの名と彼女自身の変化した性格も相まっていない。
唯一、理解者足り得る可能性があった存在はヴァイスハイトではある、がそうはならなかった以上は仕方がない。友人に関して言えば、彼女は全てを捨てなければこの領域にまで辿り着けなかったのだ、才能は確かに有る、しかしそれだけで力を得られるほどではなかったのだ。
そう、彼女は孤独なのだ。思考を矯正出来るほどの存在もなく、間違いを間違いと言えるだけの存在もいない、それでいて勉学に励む以上基本的な常識に関してだけは知識を得ているからそれが露見しなかった。私事を徹底的に排除したことも、結果的に孤立を深めた。
極端に言ってしまえば常人のふりをした狂人なのだ、心情の詳細こそ省くが彼女の思考に相手の感情は含まれていない。それどころか酷いものに及べば己の感情すら含まれていない、詰まる所冷徹な機械『だった』。
その機械を人間に戻したのは姉を含めた親族とその親友、不運な偶然が重なったとはいえもし彼女の兆候を見逃しさえしなければこの場でこうはならなかっただろう。ただ、間が悪かった。それだけなのだ。
その結果がこの様、正面からの奇襲と言う人間離れした技を以てしてもその存在は容易く対処をして見せた。それだけではなく毒に蝕まれることも意に介さず、彼女の脚を掴みその勢いのまま投げ飛ばす。
平常時の彼女であれば掴んだ腕をそのまま圧し折るだとか、例え投げ飛ばされたとしても最小限の飛距離で隙だらけの胴を穿つだろう。だが、今の彼女は体術にこそ曇りはないが判断力自体は低下している、それが示すのはこれだ。
邸宅の壁に勢いのまま突っ込む、壁自体は粉砕されるもそれ以上突き抜ける事はない。僅かに視界を塞ぐ土煙、その中に幽鬼の如く立ち上がる影が一つ。頭を振り何かから逃れるように、頭を押さえ、もがき苦しむ。

「黙れ……黙れぇ!!!」

血反吐を吐くかのように苦痛に喘ぎながら吐き出される拒絶の言葉、しかし誰も言葉など発してはいなかった。だが彼女の頭の中には言葉が、煩わしい戯言の数々が割れるほどに響いていた。
それがあの存在のものだと気付くのに時間はかからなかった、蹴る瞬間に僅かに交わした視線。その直後からずっと、うるさい程に聞こえてきているのだ。それが、最初を除き幻聴だと気付くこともなく。

―――ああ、これだから、あなたは妹失格なのだ。
   姉さんがそんなことを言うわけがない!―――

―――どうして、そこまでしようとする?
   姉さんが、大切だから、愛しているからだ!―――

―――どうして、自らを犠牲にしようとする?
   私はそうしなければならないほど弱い、このままじゃ護れない、追いつけない!―――

―――そんなことをして、果たして意味はあるのか?
   姉さんを守れる、役に立てる、それ以上の意味は必要ない!―――

―――それが妹としてあるべき姿なのか?
   妹…?あるべき姿?私の今の姿がそうだろう!―――

――――――姉は、あなたがそうなることを望んでいるのか?

  、  、そんなもの、知る訳がないだろう。私は、私しか知らない。――――――

幾度も繰り返される問答、同じ問いに同じ答えが宛がわれるだけの意味のない問答。幾度問おうとも彼女に疑問は生まれない、彼女の知る中に疑問の芽が出るどころか、種すらも存在しない。彼女は、それしか知らないのだ。

「私は、姉さんを護る、護れる。だって、姉さんの妹だから、出来る、そうだ―――」

直後、虹のエネルギーが彼女を襲う。顔を上げた瞬間に避ける間もなく直撃であった、大きさは彼女を優に超える虹の球体は彼女を飲み込んだのだ。だが、闇の魔力が、波打った。そこに立っていたのは、傷一つない彼女であった。
制御下に置いたことを意味するものではない、むしろ溢れ出る魔力は高まるばかりであった。それでも、虹のエネルギーを全て己が糧にするほどの効果を発揮していた。無論、それは彼女の身体を蝕むものを加速させるのだが。
そんな最中、彼女は満面の笑みを浮かべていた。口は弧を描き、頬は吊り上がり、慣れていない事が丸分かりの笑みであった。その笑みが意味するものは理解ではない、むしろより強固に思考を固めた狂信に近いだろう。
その笑み、表情だけを捉えれば満面の笑みと取れるその瞳は、紫の奥に昏く淀んだ闇を宿していた。理解のできない拒否、それは彼女の思い込みを強固にするには非常に容易い材料であった、だからこそ彼女は止まらない。

「―――私は、姉さんの為ならば負けない。」

「貴様に資格を問われる謂われもない、姉さんの親友であっても同様だ。『私の』姉さんの邪魔をするならば、皆排除する。」

放出される魔力は更に増す、その魔力だけで微弱な魔法は意味を為さない、例え強力なものであっても防壁となった魔力に阻まれ威力を落とすだろう。そしてその魔力を、彼女は一時的に右腕に収束させ、地へと打ち付ける。
闇の衝撃波が放たれるが、それは余波でしかない。瞬間、邸宅の床に巨大な魔方陣が描かれる。それはあの存在も、ダグラスも優に収まる広大なもの。本来ならば下準備が必要なそれを、瞬間的に発動させ、さらに詠唱すらも不要とした。
瞬間、魔方陣が巨大な淵へと化す。吹き出すは怨嗟の海、怨恨と憎悪に塗れた闇の奔流、天へと昇る神々しい光ではなく、むしろ天そのものを落とそうとする暗黒の柱。あの虹の輝きを見て、練り上げた速攻の大魔法。
見た光に殺意は込められていなかった、しかしこの暗黒にはあの存在とダグラスを排除するだけの明確な殺意が込められていた。彼女にとって、この場の己以外は姉の邪魔をする存在だと、定めてしまったのだから。

彼女は、決して良くない方向へと振り切った。姉の為ならば、そう思えたことならば彼女は全力で動くだろう。それが排除で、例え姉と親しい存在でも、姉の為と殺意を振りかざすのだ。
そこに、姉の意思と言う種は蒔かれてはいないのだ。

>>未来の影 ダグラス・マクファーデン

3日前 No.1613

鮮やかに、ときに無慈悲に── @libragreen ★iPhone=eQgN9h77pV

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2日前 No.1614

電子の詩人 @akuta ★Fwax7xTHaw_a2e

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2日前 No.1615

奇術師は謳う @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=H272aQmo4C

何処かの誰かが呟いた。

――『あたえられたもんをうけいれて いきていくってのも、わるくないぜ?』

それはきっと、とても辛いことなのだろうけど。
それでも、君は。


[狭間世界/廃城/【リプレイサー】]

七色の光達が空を割く。七色の帯は、極彩色の背中に宿った最後の“決意”を搾り出すように。絶対者の心を引き裂くように、暗闇を呑んでいく。奇術師と剣士の二人をも、レーザーの閃光が呑んでいく。空間が軋む。世界が揺らぐ。絶対の力を以って、全てを《リセット》するように。揺らぎに揺らいだ少年の心を、並べて《リセット》するかのように。

今度こそ、一撃でも貰えば終わり。血肉は蒸散するだろう。“魂”までも砕かれよう。単純明快な理だった。然りとて避ける余地はない。防ぐ一手も在りはしない。待つのは死の一文字。死生有命の現実だった。

それでも、奇術師の口元には微笑みが浮かぶ。男はレーザーを前にして、静かに口角を引き上げるだけ。それはつまり、“無抵抗”の意志の表明だ。諦観がそうさせるのか。男は遂に、絶望へと溺れたか。

土煙が立ち込める。苔生した空城のヒビ割れた床が舞い散った。破壊の奔流が地を凪いだ。総てを壊し、無へ帰す。何人たりとも例外は無く、何人たりとも逃れはしない。その一撃が、確かに空間を埋め尽くした。

――その筈だった。


「ああ。それで……それで、いいんだ。」

猛撃の過ぎ去った跡、果たして二人は其処に居た。身体の何処も損なうことなく、魂の欠片ほども喪うことはなく。ただ一つ、白煙の先に映る影だけが、不思議と小さくなっている。

「吐き出すもん、全部吐き出したって顔だ。……いいぜ、嫌いじゃない。」

少年は、全ての言葉《チップ》を場へと出し、そして自ら勝負を降りた。勝ちを選ぶには優し過ぎた。敗けを認めるには幼過ぎた。“それでいい”――奇術師は瞳を閉じ、穏やかにそう告げる。
ダガーの鋒を向けるべき敵はもういない。男は、吹き飛ばしたもう一方の刃を吸い寄せると、腰元のシースへと差し入れた。袖を濡らした少年に、奇術の類は過ぎたもの。奇術の幕は閉じられる。歩み寄っていく黒鉄の背を静かに見据える。その瞳は、仄かな温もりを帯びた茶色へと戻っていた。


――剣士と少年の、“初めての”対面。そのやりとりの顛末を見届けた奇術師は、徐に口を開いた。

「……お前は、よくやったよ。身体を突き動かされながら、自分でもどうしようもなくなりながら……それでも、お前は踏み止まった。何度も、何度も傷付きながら。」

「何があっても、それでもお前はお前のままだ。お前は、“その日”からもう一度踏み止まれた。過ちに気が付けた。それで……それで、いい。」

少年は、寂しさに、虚しさに狂いながら、それでも自らの意志によって拳を降ろした。制御の効かない心を宥め、力の誇示を引き留めた。いつか、どこかの世界の中で、かつての彼がそうしたように。
ならば、それで“十分”なのだ。奇術師は語り掛ける。

「それとな。お前は今、孤独なんかじゃない。この世界には俺たちが居る。お前の世界にはモンスター達がいる。“ソイツら”だって許してくれてるさ。」

「だって、分かるだろ? 人間だって、モンスターだって、ひとりもお前から離れちゃいない。お前の中に、確かに残り続けてる。力を、“心”を与え続けてる。」

「それに……お前の知る“友人”も、きっと今頃コッチを覗いているだろうさ。」

少年を苛み続けた『孤独』。そんなものはもう何処かへ行ってしまっただと、奇術師は続けて語る。“希望”が、“夢”が、“ソウルたち”が、彼の中には燻っているはずだ。たとえそれが、一過性のものだとしても、後に残るモノはある――奇術師は、舞台の最後を飾るように、一つ一つの言葉を取り出した。
“舞台を見守ってきたヤツらもいる”……と、ほんの少しの装飾を付して。


「お前はまだ、染まり切っちゃいない。戻れはしない最後の線だけは、まだ踏み越えちゃいない。ならば、何度だってやり直せる。リセットじゃない。何度でも、お前はホントの意味でやり直せる。」

「その棒っ切れ一本片手に、最初から始められるさ。今からだって遅くはない。木の枝ほどの力でも、大きな奇跡は起こせるもんだ。“ソウル”たちが付いているなら、な。」

剣士が手渡した木の枝を指差しながら、奇術師はススだらけの顔で、ニッと笑ってみせた。ダガー一本程の力でも、時には神を討ち斃すことがある。木の枝一本だからこそ、世界の命運だって変えられる。正しく、強い“意志”があるのなら、出来ないことの方が少ないのだと、奇術師は謳ってみせる。


そこまで言った奇術師は、僅かに間を取ったあと、ポツリポツリと、静かに言葉を紡ぎ出した。

「……なあ。今のお前なら、きっと大丈夫だろう。お前は、お前の好きなように動け。今、此処は危険だからな、裂け目の外に退避する、それでも構わない。元の世界に戻れるんなら、今すぐに戻ったっていい。」

「けど――出来るなら、一緒にこの世界を救ってくれないか。ああ、自分から壊れていっちまった、どうしようもなく馬鹿な世界だけどよ――」

「それでも、確かに生きてる奴らはいる。どうやってでも救おうと、必死こいて戦ってる奴らがいる。ならば、俺もそいつらを助けたい――そういうもんなんだ。」

その言葉は、信用の証。その言葉は、赦しの証。
お前は“十分”なことをしてくれた。けれども、出来るなら、それを“十二分”にまでも広げてはくれないか。“やるか、やられるか”に留まらぬ力で、塞がれた道を拓いてはくれまいか。

「分かってる。待ってるのは苦難の道だ。お前の抱えた重責に、更なる重荷を重ねることになる。だから、無理強いをするつもりは無い。」

「でも、もしもだ。もしも、ちらとでも、この世界を想ってくれるのなら。この世界を壊したくない、そう思ってくれるなら――」

「 力 を、 貸 し て く れ 。」

“世界を救え”――手の代わりに差し出された声は、少年にそう告げた。

>>アズリエル・ドリーマー、黒鉄一輝

2日前 No.1616

ダン・マッケーニ=バビロン @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_a2e

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2日前 No.1617

全盛期 @kyouzin ★XC6leNwSoH_ouC

【狭間世界/幾何学都市/中央区/マスターヴァルキリー】

「いい加減飽きるんだよ、何回にも分けて出てきやがって、その度にアタシは撤退すれば見逃してやる、って警告してからぶっ殺す。 その繰り返し。 ……はぁ、お前らに言うのも同じだ。 死ぬか、押し通るか!!」

この地に展開した連盟の部隊が見上げる先には一人の金髪の女性が居た。
その両手には血に塗れた巨大な斧が二つ握られており、周囲に転がっている死体が、この場所で何が起きたのかを容易に想像させる。
さらに言うならば、信じがたい事に、周囲には誰も居らず、本当に彼女単独で複数の部隊を壊滅させたとしか思えないような状況である。

……連盟隊員ならば誰もが知っているような電気を纏う大斧に誰もが恐怖を思い起こされるも、説得が無駄なのは他の影やIFの存在と同じだ。 いや、問答無用で命を刈り取って来ない分、他よりはマシなのかもしれないが、戦闘力と言う意味では、他に現れている存在と大差ない。

女性の問いに答える声に、彼女はニィッと口角を吊り上げて笑う。
"さて、何秒持つかね?"

銃声と、弾丸を弾くような音が響く、だが、それは長くは続かなかった。


血と肉が焼ける嫌な臭いが漂い、死体がそこらじゅうに転がっている中、金髪の女性……いや、あえて"異名"で呼ぶとするならば、マスターヴァルキリーと呼ばれるそれは、涼しい顔をしてその辺の壁に持たれかかって、周囲の状態など気にも留めずにタバコに火をつけて、それを口に咥え、白い煙を疲労と共に吐き出す。

そして、ちらりと死体を見て、彼女はけらけらと笑う。

「楽しいねえ、楽しいが……相手が本気で掛かってくる分マシだが、少しは骨のある奴が欲しいもんだ。 他の奴らに獲物を取られてんのかねえ」

彼女にとって重要なのは、この場に呼び出した者の思想や、向かってくる者が何なのか、と言う者ではなく、自分の闘争心を満たすだけの物がここにあるかどうかだ。
少なくとも、今は無かったと断言できる。 何せ、逃げる敵を殺す事もあった元の世界の戦いよりはマシではあるが、結局吹けば飛ぶような木っ端を相手にしているのは変わらないからである。

時間が経ち、タバコを吸い終えてそれを捨て、踏みつけて火を消す
相変わらず、まともな奴は来ない、自分から動くべきなのか。

「マスターヴァルキリーねえ。 異名はどうだって良いが、このミシャールはある程度強い奴を殺すのが好きなんだが、どうにも理解されんようで」

そういって彼女はため息を付いた。
もうちょっと配置場所ぐらい考えてくれ「主様」よおと。

>ALL

2日前 No.1618

電子の詩人 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【狭間世界/スラム/ショパン】

 ぞくりとその男の口元に悪寒がした。
 お前の心臓をもぎ取って食ってやろうかと言わんばかりの雰囲気に、しゅっと素早くオーネットの背に隠れ、その肩から小さく頭を出してそっと伺い萎縮するショパン。
 自分(クラシカロイド)達以外『音』を発せぬ世界でもなく、少年が負の感情に溺れムジークを暴走させ作り上げた『城』とも違う、不気味な雰囲気に小動物の如く大人しく息を飲んでいた。
 憂さ晴らしとして描いてしまったウェブ漫画だが、それを読んで慕って来た漫画研究部員達をがっかりさせまいと行動したが裏目に出て、絶望に落としてしまった事に対して謝罪と憤りを感じたショパンからすれば、絶望に落とされた人の気も知らないでと呟き顔をしかめたのだが、ご覧の有り様である。
 そして相手からの自己紹介。
 ネットのニュース欄でよく見る名前だと黙って聞いていると、視線を向けられて問いかけられる。
 何と聞かれて、え?僕と指を指す仕草をして怯えつつも無言で考えると。
 魔的な勘もなく、戦士たる勘もない、人工知能の理論も用いられた楽器として造られた、同じ名を関する音楽家の記憶を受け継いでいる以外はネット弁慶である一般人のショパンが導き出す答えはこれしかない。
「……こわいけど……ネットのニュースでよく見るよね」
 実に率直な感想だったが、まさにショパンという男だった。
 これが大家だったり他のクラシカロイドだったら、いきなり『何』と聞かれても困ると言わんばかりの不服な表情で「知らない」とそっぽを向くのが通例だが、今は恐怖に支配されている為にそのような態度を取る余裕などない。
「……」
 絞り出した答えにつまらないと言われたら、これでこれで不服だと言っているかのようなよく見ると瞳孔の周りに円形の模様が入ったひわ色の目を伏せて、じとりと相手に視線を送り返すショパン。
 人間を嫌い信じないショパンからすれば、なぜ自分に興味を持ったのかよく分からないが、もし次で攻撃に入ったら、ムジークで何とかしよう。
 ショパンはそう密かに思っていた。
>オーネット・ブラッドレイ ダン・マッケーニ=バビロン

2日前 No.1619

リインカーネーション @genomirai ★xtwO2xCy4x_a2e

【狭間世界/廃城/玉座/グレートメイガス】


「分かっているじゃないか、真に受ける愚か者ではなく私様は嬉しいぞ。しかし、手の内を隠して上回れると思っているならばそれこそ真の愚か者だ。」

「残念な事に、私様は万人にとっての超えるべき壁なのでな。それをただ一人で超えようと言うのだ、命の一つ程度賭けて当然だろう?」

即座にヨシツネを下がらせたのを一瞥し、乾いた拍手でライドウを称える。彼女は心から褒めてはいるがそう受け取れる人物は少ないだろう、それもそのはずだ、未だにライドウは彼女の掌から零れ落ちていないのだから。
そう、あくまで彼女はライドウの戦術眼を褒めてはいるがそれが勝利に繋がるとは微塵も思ってはいない。彼女にとっては、目の前の悪魔使いライドウは少し持ち堪えるだけの凡人の域のままなのだ。
故に、彼女は玉座に依然座り続けたまま。黒きドレスから這い出た触腕は再び内側へと潜り込み、紅き紋様は黒い生地と同化しその光を散らす。拍手をしていた腕は、またも頬杖を突くために利用されている。
その最中彼女はライドウらの動きを眺める、雪だるまに超巨大火球に突っ込むように指示し、ヨシツネは同行を命令している。考えなしに突撃させると言う事を除けばどうにかできると語っていることと変わりはない、恐らくは防護か耐性か。
ライドウ自身も出来ない奴には命令しないと来ている、彼奴の事情こそ知らないが使い魔の扱いは悪い方であるらしい。詰まる所、可能ならば突撃させて特攻と言う手段も考慮するべきだろう、とは言え予想の範囲を超えるようなことはなさそうだと、彼女は笑みを深める。
さて、牽制代わりの炎柱は回避され、ヨシツネを狙う追尾炎球も雪だるまの妨害で消え去る。それに加え、冷気の波動で彼女に突撃するであろう二人の防護まで行う、可愛い上に有能とは欲しいものだと呑気な思考が混ざる。
しかしそれは些細な驚愕にて吹き飛ぶ、超巨大火球に飛び込んだ雪だるまはしばらくした後に炎を凍て付かせた。あれはこの空間を溶け落としても余りある威力を誇るものだ、それが今氷の破片となり降り注いでいる。
弱点に対する対策は万全、それどころか属性の相性を越えた力を発揮できると来る。そこまでの存在を彼女は己以外に知りはしない、もしかするとと言う希望も湧いてくるが、微かに感じた歓喜を落胆にさせぬために胸の奥へとしまい込んだ。
彼女が少しばかり意識を逸らした隙に襲い掛かる影は二つ、壁を蹴り禍々しい色をした霧と魔力の矢を回避し直線で此方に向かうヨシツネ、そして正面から霧を吹き飛ばし、矢を切り払って突き進むライドウ。
成程、確かに連携は取れている様だと感心する。速度は申し分なく、機を外すことなく双撃を仕掛けてきている。彼女にとって複数による連携は物珍しい、されどそれが知識を持たない事とはならないのだ。
彼女は爪先を軽くあげ、床を叩く。僅かな水音が響くだけで何かの魔法が発動する様子はない、これは迎撃のための仕込みではなく、必殺の為の引き金であったのだ。だからこそ、迫る二人が視界に映ろうとも彼女は不敵な笑みを崩さない。
ライドウが正面から放つ刀による四連撃、袈裟に合わせ影は流れ、刀閃に沿うようにして影が流れれば放たれる斬撃は全て受け流される。通常よりも損耗が大きい事に彼女が気付けば、刀に何らかの効果があると仮定していた。
そして同時に放たれたヨシツネによる二刀による変幻自在の連撃、斬れば離れ、離れれば斬る。相手に動きを捉えさせずに斬る事は状況さえ見れば有効な手だろう、だがこの場においてはむしろ下策であった。
一撃一撃は決して重くなく、何処から来るかが分からずとも攻撃の先は彼女でしかない。だからこそ、攻撃を探知し反応するこの防護術式がライドウの様に受け流さず、弾くだけで彼女を守り通せているのだ。
だが、一刀。その一太刀が彼女の首を狙う、速度に僅かに追い付けない影がその斬撃を見逃す。その剣戟が彼女の首に迫る刹那、堅い音と共にその致死の一撃を弾いた。彼女は頬杖を突かぬ方の腕を動かし、己の手でそれを防いでいたのだ。

「……ほう、これを抜いてくるとはな。ライドウよ、貴様が初めてだ。誇るが良いよ、私様の一部でも超えたことをな。だが―――」

さて、ここで彼女が行った魔法を振り返ってみよう。氷でこの部屋を覆い、その後に炎を用いて溶かそうとしていた。異なる属性を用いていた、単純に見ればそれだけ。使い魔の耐性を確認する、そう言った理由も確かに含まれていただろう。
しかし、最初に相対した使い魔は雪だるま。今でこそ姿は消えているが、彼女はその姿を見てから態々氷属性の魔法を使用していた。そして次に使用したのは炎の魔法、属性を理解している彼女であれば増幅させるものを使用してもおかしくはない。
その、僅かな疑問を理解していれば決して彼女に近付こうとは思い至らないだろう。対処の自信があれど、無駄な死地に挑むほど蛮勇であれば別ではあるが、今の彼女の周囲は比喩抜きに死の領域となっている。
張った氷は砕け飛び散ったものもあった、疎らである可能性もあっただろう。しかし降り注いだ氷塊を地へと放置し、剰え今しがた特大の氷が追加されたのだ。それらが炎の熱を受ければどうなるかは想像が容易いだろう。
そうだとも、熱により溶けだし水となる。そうなるように熱量を低くした、蒸発しない限界の焔を発生させた。今、この周囲は全て水に覆われている。そして、先に爪先を付けたことでその魔力で出来た水に特性を与えたのだ。
雷の魔力を、増幅し、変換し、放電させるように。

「―――少しばかり、読みが甘かったな。こればかりが、残念だ。」

凶悪な笑みを照らす迸る黄金、彼女の身体から発せられるは金色の触肢。破裂音を響かせながら、瞬き一つの間に膨れ上がり、周囲全てを焼き尽くさんと放出された。至る所に着弾する雷は水に触れればその数と威力を倍にし、絶大な威力を誇る。
逃げ場など存在するものか、地上は勿論の事、空に逃げようとしても幾重にも狙い打たれる雷がそれを許さない。余程の空中機動をこなさねば完全な回避は不可能だ、更に言えば彼女に近づけば近づくほど脅威は跳ねあがる。
そして、耐性による防御も不可能に近いだろう。彼女は広がる水に手を加えた、その際に雷の魔力を変換するように組み替えた。その変換とは、雷の見た目のまま内包する属性を全く違う物に変化させる理を捻じ曲げるが如き所業だ。
もし、ライドウが違和感に気付き距離を取っていれば傷を最小限に抑えられた可能性もあるだろう。もし、彼女に一切の手札を見せずにヨシツネでの奇襲に徹していれば違う結果になっただろう。
彼女は未知に弱い、知らぬものを対処は出来ぬし、知らぬものの理を知る筈もない。例えば、超常の現象によって不意を討たれたならばいとも簡単に傷を負う可能性だってある。勿論、生半可なものでは予想の範疇に留まるだろう。
だからこそ、彼女に手札を見せると言う事はそれだけ彼女が知ることに繋がる。使い魔に耐性がある、使い魔を使い捨てに出来るだけの理由がある、非常に強力な攻撃手段がある、それを知れば知るほど彼女の対策は堅牢になっていく。
ならばどうすればいいのか、とっておきを最大の隙に乗じて放つことがこの時点での最良だ。如何にそれを気取らせず、如何に彼女に隙を作らせるか、それが彼女と対峙して時間が経った今最も有効だろう。
さて、これまで至る仕込みの全ては彼女からの挑戦状でもあった。これを凌ぎ、前へと進む意志、刃を届かせるだけの力量、そうでなければ上回るなど夢のまた夢だと言う言外の圧力。そう、間違いなく彼女はライドウへと期待をしていた。
初めて、己と並べる存在が居たのかもしれない。未だ可能性でしかない、しかし前例がないその存在は彼女を人間としても、研究者としても惹きつけていた。今、彼女は楽しいのだ、嬉しいのだ。
それは初めて友達が出来た幼少期に似た感情だと、彼女自身すらも気付いてはいない。

>> 17代目葛葉ライドウ(黒鉄一輝 リプレイサー アズリエル・ドリーマー)

1日前 No.1620

リインカーネーション @genomirai ★xtwO2xCy4x_a2e

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1日前 No.1621

ルナティック・ビースト @sable ★Nu0sy7yXcR_keJ

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1日前 No.1622

亡国の末裔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_ouC

【狭間世界/大雪原/ソレミア・ラガルデール】

それは、突然の出来事だった。あの戦い……未来からの来訪者までもが参戦した、帝国への一斉蜂起。反帝国勢力が勝利を収めたことにより、古代の様子は一変した。
大陸の覇権を握っていた国の消滅によって、群雄割拠の時代が訪れたのだ。ギリダンの周辺やバスケリア地方においては、連日のように戦争が起きている。
しかし、雪に閉ざされた北の地方には、平穏が訪れた。自立を保ったロンカ村は、立地もあって敵国から襲撃を受けることもなく、その後アベンシス朝カルストンを建国したマロンの庇護下に入ったのである。
アベンシス朝カルストンは、どんな者でも受け入れる、いわば理想のような国家だ。武人のマロンはあまり政治に通じてはいなかったが、そこを盟友であるエストらが補い、民を守っている。
ソレミアはというと、彼女は戦争後も姉、プーリッシュを探す旅を続けていた。束の間の平和を満喫するべくカルストンを訪れもしたが、結局滞在したのは一週間程度であったらしい。

さて、それはさておき……ここはどこだ。
自分は先程まで、ロンカ村を後にしナコーンへと続く道を歩いていたはずであった。雪に覆われてはいるが、何度も行き来したことのある場所。迷う道理があるはずもない。
だが、今周囲に広がっているのは全く知らない景色だ。一面の雪こそ同じだが、明らかに気質が違う。まるでここは、何かが滅んだ後のような……そんな雰囲気が漂っている。

「あれは……?」

そんな中、ソレミアが見つけたのは、吹雪の向こう側で二人の女性が対峙している様子。お互い、まだ戦闘には突入していないようだが、どちらかが放つ殺気が感じ取れる。
ここがどこなのかを聞けるかも知れない、と思っていたが、どうやらそのような空気ではなさそうである。とはいえ、遭遇してしまった以上は、無視して別の場所へ向かうという選択肢はない。
十分に警戒しつつ、二つの人影へと近付いていくソレミア。何やら、片方はどこかで見た記憶があるような気もするが……恐らくは、こちらの勘違いであろう。

>グランドナイト、ツバキ・オオトリ
【遅れて申し訳ありませんでした……!】

1日前 No.1623

黒鴉 @zero45 ★h2BOlEz4kD_GOx

【狭間世界/朽ちた村/アラン・レイクルード】

 各々が語り掛ける言葉が、確かなる覚悟として伝わった。憂いを帯びた表情を崩し、一転した様子で語り始める古代の影。この先の未来、再び時空を乱して同じ過ちを繰り返す者が現れるかもしれない。仮にそれが現実になってしまった時、決して自分自身を見失ってはならないと言う、"これからを生きる者達"への助言。
 三者の一撃が炸裂して尚、傷一つない肉体を保ちながらも、ふらついた足取りのままに立ち上がり、紡いだ言葉を続けて行く。自分達はこの瞬間、"正史"の立場に座する者達となった。だが、忘れてはならない。有り得ざる物となった"IF"、失われた"本来の正史"が抱く、辿り着けなかった者達の声が有る事を。そして、それらの全てを背負った上で、未来を切り拓かねばならないのだと。

「勿論だ」

 ただ簡潔に、そして力強い声で答える。無数にある可能性の一つ一つに、行き着く未来の形は存在する。それを鑑みずして、人は正しい未来を掴む事を、歴史を築く事は出来ない。何を持って"最善"の選択とするのか、その選択に伴う責任をどう取るのか。先も語ったように、全ての人類はこれからを生きて行く中で、それを認識しなければならない。
 その礎を築き上げる役割は、自分達にある。遥か先の未来に渡って伝えられる教訓を、自分達とその後代の手で築き上げて行くのだ。それが、古き時代に生きる者、人類の始まりに近しい者としての使命だと信じるが故に。

「選ばれる事のなかった可能性、その全てを背負って未来を築いて行く。道のりは険しいが、必ず成し遂げて見せる」

 他の二人の言葉に同調するように、アランは自分自身の決意を告げる。清太郎が言う様に、世の中には望まずとも背負わねばならない事、立ち向かわねばならない物が山ほどある。例えば自分には、第二の故郷たる村の今後であったりとか、同じく帝国によって滅茶苦茶にされた村の復興であったりと、とにかく数える事が億劫になる位には課題がある。今更其処に一つや二つ、新たな課題が加わった所で、大差はないだろう。
 だから、決意を最後まで貫き通して立ち向かって行く。数奇極まる運命の下、自分に新たな生を与えてくれた、大切な仲間達と共に、乗り越えて見せるのだ。

>古代の影 橋川清太郎 ニケ・エタンセル

14時間前 No.1624

理”想”の騎士 @kyouzin ★XC6leNwSoH_ouC

【狭間世界/大雪原/グランドナイト】

雪を踏みしめる足音が聞こえ始めた。
その距離はまだ遠いが、他にする音と言うのも吹雪の音ぐらいで、足音など悪目立ちしてしまっているために、グランドナイトはそれを早い段階で感知する事が出来た。
だが、先制攻撃は行わない、何故ならば自分は兵隊、あるいは単純な力として呼び出されたとしても、王家より受け賜った騎士の中の騎士と言う称号に恥じない戦いをしなければならない。 不意打ちなど、弱者や中流の者が行う事。 それでも、相手が行ってくる不意打ちについては警戒を緩めず、グランドナイトは"元の人間"よりずっと整っていて、美しい黒髪をなびかせ、相手の方へと視線を向けるに留めていた。

相手の容姿を見る、どうやら人外の類を相手にする事にはならなかったようで、その姿は自分と同じような黒髪を持つ、れっきとした人間であった。 服装は、明らかにこの極寒の大地には不釣合いな物ではあるが、おそらくあちらからすれば、ここがこのような寒さだと言う情報など無かったのだろう。
だが、"その時"が来るまでは、グランドナイトも、睨むだとか、敵意を向ける事も無く、もしも"敵でなければ"と思いたくもなる、優しげな微笑と共に彼女の言葉を待った。
所持している二つの得物も抜く事はしない、それは、余裕や、掛かってくるまではこちらも手を出さないと言うスタンスの証明でもあるが、仮にそれを見て不意打ちを掛ける下種であったとしても"能力"で迎撃できるからだ。

さて、彼女から来た問いと言うのは、単純明快な物であった。

敵か、あるいは。
グランドナイトは連盟と言う物を知らない、だが、それが意味する所は大体推察できた。

「そうですね、そう思って頂いて構いません。 このグランドナイトは、紛れも無く、この世界の主が召喚した存在ですから」

片目を開き、相手の顔を見ながらグランドナイトはそう回答した。
つまり、ツバキにとってグランドナイトは間違いなく敵である事が、この瞬間はっきりした訳だ。

グランドナイトは次の動作に入るまでに、少しの間をおいた。 仕掛けてくるならどうぞ? と。

しかし、即座に攻撃が実行されない事を確認すると。

「……武器を握らない者は倒しにくいですか? でしたら」

空を切る音と共にグランドナイトは二つの剣を抜刀し、構える。
一つはこの大地をも溶かす極炎の剣、一つはコキュートスを思わせる氷獄の剣。

その刃の先がツバキに向けられる、そして、始まると思われた時。 もう一人現れる。

だが、その姿を見て、グランドナイトは驚いた。 同時に、"本当に、性質の悪い"と、誰に向けた台詞かは分からぬ言葉を心の中で吐き捨てる。
まだ戦闘態勢には入っていない、その人物は紛れも無く我が主君であるが、同時に"違う"と言うのもすぐに分かった、故に。

「初めまして。 そちらのソレミア・ラガルデール様。 "貴方の世界の私"がどうであるか、あるいは関わりすらしていないかもしれませんが、カシュタン・コルーカルと言う者です。 本来、私は恩義、家柄、義務、様々な理由で貴方に刃を向ける事などありえない身ではありますが……今、私に求められているのは、グランドナイトという"称号"あるいは"力"のようでして。 申し訳ありませんが、退かぬと言うなら、討ちます」

そう彼女は、相手がこちらを知らない可能性も考慮しつつ名乗る。
失われたコルーカル家の火炎剣フレイムタンと、氷魔像を思わせる刀を併せ持ち、まさにソレミアが知るカシュタンとは違い、目の濁りも、噛み続けた結果ぼろぼろの爪も、痩せた身体も、どれにも当てはまらないグランドナイトが、だ。

しかし、自分は紛れもなくカシュタン・コルーカルである、だが……それを信じるか否かはソレミア次第であり、仮に信じたとして、彼女の世界の自分がどうであろうと、目の前に現れた以上、押し通ると言うならば、討たねばならない。

ぶぅんっと風を裂き、フレイムタンが振るわれる、その瞬間、炎で構成された蛇のような物が宙を舞い、ちょうどソレミア、ツバキ、そして自分の間に線を引くように火炎を撒き散らした。
それ自体は、相手が突っ込んでこない限り命中はありえない物だ。

だが、これ以上進むならば、次は当てる。

>ツバキ・オオトリ ソレミア・ラガルデール

13時間前 No.1625

緋焔 @zero45 ★h2BOlEz4kD_GOx

【狭間世界/血塗られた島/深淵の間/ヴァンレッド】

 銀狼の連撃に続く形で、地表を蹴り飛ばして加速し、前へと踏み込むや否や小手調べとして放つ火焔の六連拳。対する敵の闇を纏った拳による六連拳の威力は同等、真面に傷一つ与える事なく相殺される。最後の一打が激突したその直後に、地を蹴り加速すると、一度後方へと退いて距離を取り、更にそのまま上方へと向かって高く跳躍。
 踏み込みと共に放たれた、無数の斬撃を伴う横薙ぎの一撃が炸裂するよりも速く動く事で回避する。正確に急所を狙おうとも、回避が至難を極める程に、此方の速度に追い縋らない限りは、防御に力を割く必要性は全くない。
 そのまま宙で体勢を変えて天井を蹴ると、彗星の如くに地上へと落下。着地と共に認識するのは、新たなる乱入者の姿。その心に宿した怒りは、その視線に重圧と殺意を乗せて、"外野"たる影を姿を射貫く。

「……然り、だ。ただの傍観者に過ぎぬ身でありながら、いけしゃあしゃあと口出しして来て……
 身の程を弁えろ、部外者。貴様らの都合に付き合う道理はないと知れ」

 黒き稲妻を迸らせながら、熱弁する者の言葉。彼の者が死刑を宣告したその直後に、同調するかの如くに答えるは紅焔の魔龍。その眼差しが向ける視線の先、射貫いた影を龍は見下す。正しく傲慢、されどその態度を止める心算はない。突然現れては、自分達の都合の下、今回の一件に口を挟んで来た、眼前の存在に礼節を弁えねばならない理由など、はなから存在しないのだ。
 そして何より、この存在に抱いた感情、それは怒りだ。確かに人類は歴史改変を以て、正しい歴史で血を流した者達の目指した未来を踏み躙った。だが、踏み躙る事が即ち、無駄にする事には直結しない。
 乱入者が語った通り――踏み躙った代わりに、より善き未来を築き上げる事で、踏み躙られた者達の報いとする。その想いを知らずして、血を流した者達を"無駄"だと断言するその様は正しく厚顔無恥、断じて許してはならない物だと確信を覚える。

「人を憎み、滅ぼす事を願った魔族、魔族を憎み、滅ぼす事を願った人。その何方をも踏み躙った事は認めよう。
 そして、踏み躙ったからこそ、その犠牲を無駄にしない為にも、理想を掴まねばならん。
 それが奴らへの報い、果たさねばならない使命だ」

 和平を歩む事は即ち、滅びを望む者達の全てを踏み躙る事と同義だ。自分達の理想の為に犠牲を強いた事は忘れてはならず、そして報わねばならない。その犠牲の上で、今の理想が在るのだと意味を持たせる事。犠牲を決して無駄な物にしない事こそ、正しき"報い"であると信じているのだ。

「ここで俺達が滅びれば、積み重ねて来た犠牲がまた無駄となる。
 故に……邪魔をするな!」

 拳に焔の力を込めて、地を蹴り再度の接近。踏み込みと同時に放つは、先程と同様の六拳打。だが、その一撃一撃が帯びるは強烈な重み。二倍はおろか、三倍にも匹敵し得る破壊力を加えた連撃を解き放つ。"重量可変"、自身の重量を本来の龍としての状態に近づける事で、一撃の威力を向上させる術。従来のスピードを維持したまま、攻撃を炸裂させるには限度が存在するものの、現状の速度は低下が一切見られていない。
 そして六撃目を放つその瞬間に、拳に展開するエネルギー状の焔刃。拳の勢いそのままに刃で敵を貫き、其処から振り上げる事で手傷を負わせる魂胆だ。

>中世の影 イアン・ガグンラーズ イスマリア・ザルヴァトール

12時間前 No.1626

水刃 @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【狭間世界/大雪原/ツバキ・オオトリ】

女は自身をグランドナイトと名乗り、自分が連盟の敵であろうと言う事を認めた。であれば、この時点から二つは相容れないモノとなる。

「そうか」

目の前の人物が敵だと確定して尚、ツバキは淡々としている。まるで機械の様な無感情ぶりで、ただ目の前に立つ人物を見ていた。
相手は此方から動かないと判断したらしく、戦いの火蓋を切るべく二つの剣を構えた。一つは灼熱の刃、一つは極冷の刃。相反する双つを兼ねて備えるその姿は、今まで出逢った誰よりも強敵なのだろうと推測するに易い。

互いの緊張が高まり、いよいよ開戦――と思ったその矢先だった。何の物好きだろうか、新たなる人物がこの極寒の地に現れた。
それは妙に人の好さそうな女だった。意図しての乱入か、或いは無関係の迷い人か――どちらでも、敵で無ければどうでも良い話だ。
ただ、敵対者であるグランドナイトはその姿を見て驚愕している辺り、其方は其方で何かしらの縁があるらしい。……が、それも結局ツバキには何も関係の無い話だ。

「戦う意思がないなら去るが良い。あるのなら好きにしろ」

敵であれば倒す。味方であれば共闘する。どちらでも無ければ立ち去らせる。あらゆる物事に無関心なツバキと言う人間からすれば、それだけの事なのだ。
ソレミアと呼ばれた第三者へは必要な事だけを告げて、ツバキの視線は再びグランドナイトと名乗る敵対者へと固定される。彼女が灼熱の剣を振るうと、焔の蛇が尾を引いて空を這う。焔の軌跡が描いたのは死線――即ち、踏み出せば、命の奪い合いが始まる境界線。熱波が積もり積もった雪を溶かし、赤く視界を染め上げる。極寒の世界に、暫しの熱が灯された。

「御託は要らん」

それが開戦の合図だと見たツバキは、躊躇わず敵対者へ目掛けて駆け出す。中途半端に雪が溶けて近寄るには足場が悪い――そう考えて、″死線″に踏み込む直前に大きく跳躍する。
敵の頭上で多量の水を生成し、グランドナイトへ目掛けて滝の様にそれを放出する。その上を滑る様に走って一気に距離を詰め、斜め上から右、左と二連続の回し蹴りを繰り出す。

「少しは楽しませろ」

予測される相手の反撃に対しては水を一時的に壁になるように生成して目眩ましとし、自分が着地すると同時に水壁が重力に引っ張られて崩れるより早く駆け上がって剣の間合いから離れ、距離を開いて仕切り直す。
地面でしか動けない相手とは対象的に、ツバキは自身の能力を最大限に活かして立体的に動き回る。こと、炎の力に対してツバキは圧倒的に有利だ。瞬間的に多量の水を蒸発させられる程の熱量があるのなら話はまた違うだろうが、それを差し引いても差を少し縮められる程度。
問題はもう一つの剣だ。ほぼ間違いなく氷の力を持っているだろう片割れ。そちらの能力次第では、一人での攻略は骨が折れる事だろう。
で、あれば。第三者の動向に注視したいところではあるが――さて、どうなる事だろうか。とは言え、敵だろうと味方だろうと、どちらでも大差は無いが。

生成された水は積もった雪に染み込みそれらを柔らかく解かしてしまう。焔の熱を受けない位置に散った水は直ぐに凍り始めて行き、解けた雪と混じってただでさえ条件の悪い足元を更に悪くしていく。長々戦っては居られないな――と、ツバキはうっすらと考えていた。

>>グランドナイト、ソレミア

11時間前 No.1627

葛葉の一枚看板 @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_Zvo

【狭間世界/廃城/玉座/17代目葛葉ライドウ】

「見くびるな、伊達に葛葉最強を名乗っているわけではないのでな。
 業斗童子、アレの承認を寄こせ、コイツの力量は分かっているだろう?]

『うむ、致し方ないか、業斗童子のいの一番が17代目葛葉ライドウの切り札の使用を承認する』

彼女からの称賛を適当に受け流す、これが本心とはどうにも思いにくい
そして目付け役である黒猫、業斗童子にとあるものの承認を要求し、それは承認される。
今回のライドウは調査用の装備ではなく最終決戦用のフル装備できている、それ故に昔と違い何かと制約が多いのだ。
業斗童子の宣言で何かが変わった様子はない、それは制約こそ付いているが制限が掛けられるシロモノではないからだ。
煉獄撃は悉くが黒い影に逸らされ、ヨシツネの十八番である八艘飛びも一撃を除いてグレートメイガスの陰によって防がれた。
首に届くと思われた一撃も彼女直々に防がれたことで全ては無駄とはいかなくても満足のいく結果を得ることは出来なかった。

「誇るのは勝ってからだ、MAGを回せヨシツネッ!」

『あいよ!』

ライドウは左手を上げるとヨシツネはその手を取って距離を取りに掛かる、ライドウのマントにはあらゆる属性に耐性を持つ全問の守護が掛かっている。
だが次の攻撃ではそれは防げないと直感で悟ると距離を取るために跳んだのだ、着地地点には水たまり、そして放たれるは雷の魔法。
そして水たまりからも魔力を感じるということは複合属性魔法か、これはマントの耐性も無力化するだろう、だからとっておきを一つ切る。
ライドウは真打・秘剣ヒノカグツチを地面に向けるとヨシツネから回されたマグネタイトを刀に纏わせる。

「この俺を簡単に殺せると思うな! やるぞ!」

『応よ! 合体奥義!』

<震 天 大 雷!>

刀が地面に着いた瞬間、梵字のような字で書かれた魔法陣が展開し、ライドウを中心に全方位に雷の波動を放つ。
着地地点の水たまりは雷の放つ熱に耐えきれずに蒸発する、それはまさに天を揺るがす雷の如く、グレートメイガスの魔法と拮抗を続ける。
当然その代償は高くつく、マグネタイトとは生体エネルギーであり仲魔を現世に現界させるために必要な物、それを急速に消費していけばどうなるか。
その答えは”現界を維持できなくなる”だ。時間にして約三十秒急速に膨大な量のマグネタイトを使い切ったヨシツネはライドウの手により強制的に封魔管に戻された。
なんとか合体奥義でこの攻撃を凌いだが、ライドウの足元には巨大なクレーターが出来ていた。
ライドウ自身も真っ向からの力のぶつけ合いに多少消費したのか肩で息をしている、懐に手を入れてビン詰めの液体『チャクラポット』を喉に流し込んでマグネタイトの回復を図る。
状況は最初に戻った、奴は未だ玉座に胡坐をかいているし、自分はそれを見上げる構図だ、だが承認も下りたことだしそろそろ決めに行くとしよう。

「あちらも決着がついたようだし、俺としても長居をするつもりはない、決めに行かせてもらう。
 来い、ピクシー、ホワイトライダー!」

『ワタシが呼ばれたってことはアレをやるんでしょうけど、後で金丹もらうからね!』

『クカカカ、我ヲ呼ブトハ、余程コノ女ハ強イラシイナ』

その瞬間、世界が暗転するような悪寒がこの玉座に広まる、ピクシーは下級悪魔もいいところだが、問題はホワイトライダーの方である。
黙示録の四騎士が一人で、姿は白馬に跨った黒いローブを纏った骸骨の弓手、濃厚な死の気配を撒き散らすその存在は常人なら失神するほどのものだ。ライドウに最初の挫折を与えた魔人でもある。
対するピクシーは羽のついた小人でライドウの肩に座っている、だが”これからやること”を悟ったのかライドウにとあるものを要求している。
ライドウはそれに頷くと真打・秘剣ヒノカグツチを鞘に納めてコルトライトニングを引き抜き、両手で構える。

「矢をつがえろホワイトライダー。ピクシー、戻ったらたらふく食わせてやるからモミアゲを引っ張るな、あの女をいい加減玉座から引き釣り降ろしてやる」

『了解ダ』

『はいはーい』

ホワイトライダーのつがえた弓から強大な魔力が溢れ、一点に収束していく。
ピクシーは空の薬莢しか入っていないコルトライトニングにマグネタイトを込めていく。

「死にたくなければ玉座から降りることを勧める、放て!」

<ゴ ッ ド ア ロ ー!>

<メ ギ ド ラ オ ン・フ ァ イ ア!>

白馬の魔人が放つは万魔食らいし至高の魔弾、どの属性にも属さない万能属性に入るいかなる結界も意味を成さない白銀の神威の矢が。
対してライドウが放つは妖精の持つ膨大なマグネタイトを銃口に込めて放つメギド・ファイアの発展形、その膨大な力の代償はピクシー自身のマグネタイトだ。コルトライトニングから虹色の極光が放たれる。
白銀の神居の矢と虹色の極光が玉座で交差するように狙って放たれる、グレートメイガスは自分の魔法に絶対の自信を抱いているがこれならばどうだ、と言わんばかりに忠告する。
両者に共通するのはどの属性にも属さない万能属性に属していて普通の結界程度なら無力化してしまうこと、少なくともライドウの世界ではこの二つを組み合わせた技を凌ぎ切った防御魔法はない究極の初見殺し。
悪魔を私利私欲のために使う幾多のダークサマナーを消し飛ばしてきた、だがここは異世界だ、防がれたり避けられたりした場合を想定してライドウは次の手の布石を打つ。

ライドウは結果を見る前にマグネタイトを使い切ったピクシーを封魔管に戻し、コルトライトニングをホルスターに戻して両手で複雑な印を高速で組み始める。
ゴッドアローとメギドラオン・ファイアは確かに奥の手の一つだが、業斗童子の許可した切り札は”この二つではない”のだ。

>グレートメイガス、(黒鉄一輝、リプレイサー、アズリエル・ドリーマー)、ALL

9時間前 No.1628

Hopes and Dreams @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_ouC

【狭間世界/廃城/玉座/アズリエル・ドリーマー】

戦いは終わった。一人の犠牲も出さないという、望める限り最高の形で。全ての力を引き絞り、全身全霊で挑んでもなお、アズリエルは二人を倒すことが出来なかった。
否、"彼にその気があったならば"、それは造作もないことであっただろう。しかしアズリエルは、心優しき少年は、最後の一線を超える寸前、決意の力で踏み留まったのである。
溢れ出す涙は、自分の犯してしまった罪を意識してのものか、はたまた勝利を掴めなかったことから来る悔しさか。いずれにしても、彼にはもう、二人に対する敵意はない。
泣きじゃくるアズリエルに、ある意味追い打ちを掛けるかのような一輝の言葉を、彼は静かに受け止めていた。相手の言葉は痛いほどに、こちらの心を見透かしている。

「悔しいさ……ボクはここまでしても、大切な人に何もしてやれないんだ」

地下世界の住人のソウルを結集し、神に等しい力を得てもなお、自らの願いを叶えることは出来なかった。これほど悔しいことが、他にあるとでもいうのだろうか?
とはいえ、あのまま世界を破壊し、幸せを取り戻すことが出来ていたとしても……その後に残るのは、空虚さだけだっただろう。だから今は、これでよかったとさえ感じている。
過去に囚われたままでは、いつまで経っても前へ進むことなど出来ない。生きている限り、ずっと幸せでいることなんて不可能。大切なのは、辛いことがあった時、それをどう乗り越えていくかだ。
アズリエルには、その術がなかった。魂を失った彼は、他人と触れ合う楽しさも、暖かさも、何も感じることが出来なかった。長い時の中で彼の心は荒み、本来の姿を失っていたのである。
だが、今なら、あの頃と同じように感じることが出来る。皆のソウルが共鳴しているのが分かる。皆と一緒であれば、何か大きなことを成し遂げられそうな、そんな気すらもするのだ。

一本の木の棒を受け取り、彼は視線をそれへと移す。男として強く、か。どうすれば、強くなれるのだろう? 本当の強さとは、どんなものなのだろう?
その答えは、すぐには見つからなくても、いつか見つかる気がする。それを知った時にアズリエルは、"男としての"階段を、また一歩登ることとなるはずだ。

もう、この世界でやるべきことはない。あまりにも迷惑を掛けすぎた上に、何人かの人間からソウルまで奪ってしまった。まずは、彼らにそれを返さなければならないだろう。
それからは元の世界へ戻って……などと考えていたアズリエルであったが、リプレイサーの言葉を聞いて、少しだけ思案する。ほんの僅かな付き合いではあるが、自分を正しい道へと引き戻してくれた二人のいる世界だ。
ここで自分がいなくなって、その後に彼らが力及ばず敗北を喫するなどという結末が訪れるとしたら……そんなものは、見たくないな。アズリエルはそこまで考えて、覚悟を決めた。

「……今のボクにどこまでやれるかは分からない。けれど、やれる限りのことはしてみるって、約束するよ」

SAVE the World。夢と希望を胸に、少年はあと少しだけ、こちらへ留まることを決めた。世界を救うだなんて、ちょっと荷が重い気もするが、"みんなと一緒"なら、不可能でもないように思えるのだ。

>リプレイサー、黒鉄一輝
【ここからの動きはお任せします】

5時間前 No.1629

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_ouC

【狭間世界/幾何学都市/中央区/ユーフォリア・インテグラーレ】

時空の裂け目の向こう側で待ち受けていたのは、人類が改変の中で消し去ってきた正史、更にはあり得たかも知れない可能性の姿。それらが複雑に入り組んだ様は、さながら混沌と称するべきか。
歴史是正機構丞相、ヘルガ・アポザンスキーからもたらされた情報によれば、これを放置すれば正史によって世界は塗り替えられ、自分達は完全に消滅することとなるらしい。
言わば、乗っ取りに近い形だ。今はこちらが正史であちらがIFだが、その立場が逆転してしまうのである。この戦いに負けた方が、狭間世界へと放り込まれるという訳だ。
ようやく、あと一歩のところまで来ていた平穏が、一瞬にして遠ざかっていく。何もかもこれからだというのに、そんな勝手な都合で消されるのは御免であった。

狭間世界へと足を踏み入れたユーフォリアが目にしたのは、現実ではあり得ない構造の都市。幾何学的に建物が立ち並んだ景色は、見ているだけで気分が悪くなりそうだ。
既に各地から交戦の報せも入ってきている。中には現実世界とよく似た場所もあるらしく、一部の隊員達が混乱しているらしい。真実か虚構か、一概に判断を下すことが出来ないのが厄介極まりない。
ユーフォリアは各員を鼓舞するべく、通信を入れる。これは、世界の命運を握る戦い。負けてしまえば、その先に待ち受けているのは、逃れようのない死の運命。
同時に、求められるのは生還。どのような目的があろうとも、犠牲を払う必要はないのだ。それを伝えるべく、彼女はとある人物に向けて、静かな声で端末越しに語り掛けた。

『聞こえているかしら、フォルトゥナ。貴方に、一つだけお願いがあるわ。……"必ず"、生きて帰ってきて。それ以外は、何も求めない」

長い間凍り付いていた姉妹の友情は、遂に取り戻された。ここから二人の新しい物語が、幕を開ける。それを始めるためには、姉妹が揃って生還することが最低条件だ。
彼女ならば分かっているとは思うが、念のため、声を掛けておいた。どんな状況であってもフォルトゥナは、自分の声に対しては耳を傾けてくれるはずだから。

一つ、短く息を吐いたユーフォリアは通信を切り、探索を続ける。しばらく進んだところで、彼女の視界に、金髪をなびかせる女性の姿が飛び込んできた。
ユーフォリアの顔に、驚愕の色が灯る。当然だ。そこに立っていたのは紛れもない、ミシャール・ルクセンその人なのだから。これは一体どうしたことだ、彼女は今、病院で治療を受けているはず。
思わず困惑するユーフォリアであったが、注意深く相手を観察してみると、自分の知るミシャールとはいくつか異なる点が見受けられる。例えば、最初に目に入った髪の色だ。
ミシャールは長い時を生きていることもあり、髪は白色だった。対して、目の前の人物の髪は金色。顔に関しても、ミシャールと比べて厳つい印象を受ける。
まるで、彼女の若い頃を再現したかのような……そんな人物。周囲に転がっている死体に目をやりつつも、ユーフォリアはあくまで冷静に、彼女へ問い掛ける。

「随分と、力を誇示するのが好きなようね」

向けられるは、明確な敵意。彼女は誰であろうと、味方を殺した。それは事実。となればこれは、狭間世界側が送り込んできた刺客の一人と見るのが妥当であろう。
気付かれないよう、密かに両手に魔力を集中させながら、ユーフォリアは相手の返答を待つ。突然攻撃を仕掛けて来ても反応出来るよう、全神経を研ぎ澄ませながら。

>マスターヴァルキリー

4時間前 No.1630

未来の影 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_ouC

【狭間世界/誰もいない邸宅/未来の影】

容赦のない未来の影の言葉を突き刺され、更に暴走の度合いを強めていくフォルトゥナ。明らかに彼女は、悪い方向へ突き進んでしまっていると判断してよいだろう。
それは、ユーフォリアをよく知るダグラスをも失望させる出来事であったらしい。彼は味方であるフォルトゥナに対しても、容赦なく糾弾の言葉を紡いでみせた。
しかし、それは彼女の身を案じているからこそのもの。それが分かれば、苦労はないのだろうが……まだそれを理解するのは、余裕が足りなすぎるとでも言うべきか。
一旦、フォルトゥナを無視し、ダグラスに集中する未来の影。見方を変えれば、"お前など相手にもならない"という宣言のようにも聞こえる行動。冷たい瞳が、心の奥底を覗き込む。

「お前のその判断を、果たして何人が支持する? 世界を危機に陥れた奴を、民衆が受け入れるとでもいうのか?」

テロリストを生かす、ということがどれだけ危険であるかは想像に難くない。これは下手をすれば、時空防衛連盟の信頼そのものにも関わる、重大な問題である。
時空防衛連盟が最善だと思って選んだ道。だが、民意はそう簡単なものではない。彼らにとって、歴史是正機構は恐怖の対象であり、世界の破壊者でしかないのだ。
そんな組織の長が、よりにもよって時空防衛連盟の所為で生きているなどと知ったら、民衆はどう思うだろうか? 間違いなく、反感を抱く者がいることだろう。
敵は、そうしたところから現れる。未来の影が指摘しているのは、安易な行動により、平穏が後に乱される可能性が生じるという点だ。ヘルガが生きている限り、常にそれは付きまとうのである。

「ここまで言っても、まだ貴方には伝わっていないようね。貴方のその行動が、最愛の姉すらをも滅ぼすことが」

恐るべき魔力から生み出された怨嗟の闇。それは未来の影とダグラスを刹那の内に呑み込み、消し去るほどの規模であったが……未来の影が右手をかざすだけで、それが嘘であったかのように掻き消える。
フォルトゥナがあの姿勢を貫いている限り、彼女は絶対に倒せない。どれほど強大な力を持ってしても、今のように、いとも簡単に無力化される結末を迎えるだけだ。
とはいえ、ここまで誤った方向へと歪んでしまった以上、フォルトゥナにはもう期待出来ないかも知れない。それこそ、最愛の人本人からの言葉でも、聞かない限りは。
激しい戦いの中、唐突に鳴り響いた通信端末。未来の影の視線が、そちらへと注がれる。まるで、それを取れと言わんばかりに。フォルトゥナを、優しく導くかのように。

>フォルトゥナ・インテグラーレ、ダグラス・マクファーデン

4時間前 No.1631

古代の影 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_ouC

【狭間世界/朽ちた村/古代の影】

勇者達の返答が聞こえてくる。彼らは、迷いもせず、各々の肯定の言葉を返してみせた。それを聞いた古代の影の顔に、遂に宿った。万物を包み込むかのような、柔らかい笑顔が。
彼女は、まるでこの言葉を待っていたかのようだ。人間が自らの罪と向き合った上で覚悟を決め、明日へと進んでいくことを決意するその瞬間を、見届けるため。
世界とは、選択の連続で成り立っている。たとえ過去に戻って改変を行わなくとも、誰かが一つの選択をした時点で、選ばれなかった選択肢の世界線は消失してしまう。
IFとは、そうしたもの。あり得たかも知れない世界は、常に正史の傍にいる。何気ない言葉が、世界の姿を大きく変えてしまう可能性も、勿論存在しているのだ。

「貴方達がいる限り、消え去った世界線が軽んじられることはないでしょう。彼らは何も言いません。ですが、彼らもまた、同じ時空を生きていたかも知れない者達」

一つ事象が違えば、ある人の運命が激変することもあり得る。そこに横たわっている、銀髪の少女がよい例だろう。彼女はこうして焼け死ぬ運命にあったが……今の歴史においては、元気に雪国の村で生きている。
反対に、生きていたはずの人間が死んでしまうことも、当然あるのだ。死人に口なしというように、消えてなくなってしまった世界線が、何かを語り掛けてくることはない。
それでも、そこにいたはずの人達の想いは、時空の狭間にこだまし続ける。存在出来なくなってしまった者の分まで、与えられた生を全うする責務が、彼らには課せられているのだ。

「定められた未来など存在しません。貴方達自身の行動が、未来を描き出すのです。さあ、行きなさい、人の子よ。運命に抗い、希望を掴み取るのです」

最後にそう言い残し、古代の影はきらきらと輝く光の粒子に姿を変え、霧散した。
あとに残ったのは、焼け落ちた村に響き渡る風の音と、物言わぬ少女の屍のみ。三人の覚悟は、確かに古代の影に伝わった。だが、戦いはまだ終わらない。未来を、明日を手に入れる、その時まで。

【古代の影@Chrono Crisis オリジナル 三人の勇者達の覚悟を見届けた後、最後に彼らを激励する言葉を残し、消失】

>橋川清太郎、ニケ・エタンセル、アラン・レイクルード
【これにて古代の影戦は終了となります。お相手ありがとうございました!】

4時間前 No.1632

中世の影 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_ouC

【狭間世界/血塗られた島/深淵の間/中世の影】

「お前は損得で歴史を書き換えるのか? より多くの者が幸せになる方向なら、いくらでも時空を乱していいと、そう言いたいのか?」

イアンの叫びに対し、中世の影が返したのは素っ気ない返答であった。確かに、彼女の言うことにも一理あるだろう。だが、だからといって、歴史を変えることが肯定される、とでも思っているのだろうか。
どんなに残酷なものであろうと、正史は正史だ。それ以外の何ものでもない。今のイアンの言っていることは、人類の発展のためと言い張り改変を行っていた、歴史是正機構と同程度のものだ。

鋭い視線が、銀狼の身体を射抜く。空気が凍り付きそうなほどの威圧感が漂い始めた時、どこからかもう一人の声が聞こえてくる。その言葉は、実に挑発的なものであった。
中世の影の指摘を受け止めつつも、彼女、イスマリアは言う。所詮お前は、横から出てきたに過ぎないではないか、と。外野が余計な口を出すな、と。
イスマリアは、踏みにじられてしまった者達の分まで、よりよき未来を作り上げるのだと宣言してみせた。この段階でその結論に辿り着いていることに、中世の影は少なからず驚愕を覚える。
ああ、その姿勢は間違っていない。間違っていないが……どうやら、この女は、人類が犯した罪の大きさを自覚していないらしい。忠告も聞き入れる耳も持たぬ者に、そんな大層な目標が成し遂げられるものか。

「確かに、私は部外者に過ぎない。が……お前達は過小評価しているようだな」
「 歴 史 を 変 え て し ま う こ と の 意 味 を ! 」

稲妻を纏う女性と、紅の龍の言葉を聞いた中世の影は、激昂にも近い形で力を解き放つ。不遜な態度を取った二人に、存在を許されなかった世界線の怒りを伝えるために。
銀狼の超高速連撃を一つ一つ的確に防御し、相手が跳躍したところで反撃に鎌の真空波を放った後は、続けて飛んできた漆黒の光を、前方宙返りをしながら真っ二つに叩き割る。
更に、重量を変動させることで重みを増したヴァンレッドの攻撃を最小限の動きで回避し、最後の刃を鎌を突き出すことによって受け止めた中世の影は、遂に反撃へと移る。
集中していく闇の魔力。深淵の間全体を覆い尽くそうかというそれは、一定のところまで膨れ上がったと思うと、逆に収縮を始める。同時に、振動する大気。
中世の影が天を仰ぎ、咆哮したかと思うと、暴虐的な闇の嵐が、辺り一面に発生した。触れた者の肉体を、精神を、完全に破壊し尽くす冥き波動が、敵対者達へ一斉に襲い掛かる。
闇の中から聞こえてくるのは、彼らの行動によって消失することになった正史の嘆き。存在を抹消された者達の怨嗟の声が、三人に纏わりつくように駆け巡った。

>イアン・ガグンラーズ、イスマリア・サルヴァトール、ヴァンレッド
【中世の影おこだよ】

3時間前 No.1633

亡国の末裔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_ouC

【狭間世界/大雪原/ソレミア・ラガルデール】

それだけでは絶対にないだろうと思っていたことが現実になると、どのような形であれ困惑するし、反応に困るものだ。
何ということだろう。目の前にあるこの人物の名前は、カシュタン・コルーカル。先程、ソレミアがもしやと思い浮かべ、即座に否定した人物そのものであったのだ。
とはいえ、少なくとも自分の知る彼女、という訳ではないらしく、別の世界線からこちらへと呼び出されたらしい。この、意味の分からない世界によって召喚された、ということか。
出来ることならば、ゆっくりと話を聞きたいところではあったのだが、立場上そうもいかないらしく、戦闘は避けられそうにもない。やれやれ……違う世界の存在であるとはいえ、知り合いと戦うのは気が引けるが……やるしかない。

「随分と刺々しい。でも、嫌いじゃないわ。……本当は貴方と戦いたくはないけど、私も住んでいる世界を消される訳にはいかないのよ」

徐々に状況を理解しつつあるソレミアは、ツバキのあまりに単調な言葉に対して、少し冗談も織り交ぜながら返答した後、グランドナイトに戦う意志を表明する。
両陣営の間に炎の線が引かれ、最初に動いたのはツバキであった。非常に立体的な軌道を取る彼女は、速度においてはソレミアを大きく凌駕していると見て間違いないだろう。
同じ接近戦型ではあるが、彼女の方がより特化しているといったところか。こちらは遠距離からの支援を行うことも出来るため、そちらに専念するべきかも知れない。
何にせよ、まずは相手の能力を見てみないことには始まらない。相手がカシュタンであるという先入観は捨て去り、全く未知の敵と対峙しているのだと意識するべきだろう。
味方と敵、両方の動きを見ながら、ソレミアが遅れて行動を開始する。両手に黄金の剣を構え、疾走し、すれ違いざまに回転しながらの剣撃を浴びせる。が、これは牽制だ。

「果たして、あちらの私はどんな力を持っているのかしらね?」

相手の後方へと走り抜けたところで反転し、地面に手を付くソレミア。雪の更に下、大地の奥底に眠っていた金属が吸い寄せられ、グランドナイトの足元から唐突に噴出する。
そびえ立つそれは、鉄のメガリスとでも形容するべきか。鋭く尖った先端に突き刺されれば深手を負うことは間違いなし。たとえ回避したとしても、隆起した地面に打ち上げられれば大きく体勢を乱すことになる。
こちらは二人で戦う以上、味方との能力の相性も考えて戦闘を進めていきたいところだ。仮に、ソレミアの能力がツバキの能力に悪影響を与えるようであれば、戦い方を変えなければならない。

>グランドナイト、ツバキ・オオトリ

3時間前 No.1634

支えとなる道 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_ouC

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2時間前 No.1635

悪童 @prismriver☆kFuUk0otHg5u ★TZkXkdft22_7Bf

【狭間世界/大雪原/旋風域/マリア・シャロムスキー】

ヘルガがいるなら、楽勝の戦いだと思っていた。マリアは彼女が勝つところしか見てこなかったので、そう思うのも当然だろう。しかし、今目の前で起きてる戦いは、完全に自分たちが不利の状況で進んでいる。時空防衛連盟との戦いで負けた、というのは話に聞いただけで、どんな戦いだったのかまではマリアは知らない。だから、ヘルガがここまで追いつめられているのを見るのははじめてだった。彼女があんな様子になっているのを見ると、自然と自信がなくなってきてしまう。もしかしたら、自分はここで死ぬのではないかという妄想が頭を駆け巡って、思考を鈍らせた。

そして次に飛びこんでくるのは、またしてもマリアにとっては悪い光景。ヘルガがルナティックビストの爪に切り裂かれて、倒れていた。その周りに広がった赤色の液体を見て、彼女は叫ぶこともできず、ただただ口を手で覆って驚愕することしかできなかった。まさか、死んでしまったのか。悪い方向へとばかり思考が傾くが、最悪の事態だけは避けられたようだ。ヘルガは生きていた。それを見たマリアは、安堵してほっと一息をつく。体をを引きずってこちらへやってくるヘルガを見て、マリアは少しでも彼女の負担を減らそうと駆けよった。

「上昇気流? ヘルガ、一体何を考えてんだよ。……わかった、やってみる」

今はどうやって敵を倒すか考えなければならないときだというのに、突然あのようなことを言い出したので、マリアは一瞬困惑したが、ヘルガの表情を見て何か考えがあるのだということを気づいて、おとなしく指示に従う。ヘルガが灯した炎の少し上、丁度上昇気流が発生している場所に向けて、大量の酸を放ち続けるマリア。これで何が起きるのか。その答えは、少し間を置いて明らかになった。

ぽつりぽつりと、上空から落ちてくる液体。雨だ。それも、マリアの酸が原料となった、強酸の雨。ありとあらゆる物体を溶かしつくす酸が、雨となって降り注いでいるのだ。やがてそれはぽつりぽつりからしとしとへと変わり、最後にはザーザーになった。マリアは自らの酸を受けつけないので、この雨の中に立っていても一切影響を受けない。ヘルガはそうではないが、彼女も頭上に炎を灯すことで傘代わりにできるはずだ。つまり、酸の雨への防御手段を持たないのはルナティックビーストだけということ。

やがて酸がつきて雨がやむ。大雪原に降り注いだ酸性雨は、状況を動かす鍵となるのだろうか。

>>ヘルガ、ルナティックビースト

2時間前 No.1636

究極一番星 @sable ★Nu0sy7yXcR_keJ

【狭間世界/血塗られた島/深淵の間/アルティメット・イアン】

時空改変を肯定するわけではないものの、負の側面ばかりではないと訴えるイアン。
種族の繁栄のために散った者達には申し訳ないが、彼らの犠牲は決して無駄ではないのだと。
むしろ改変の罪に震え、せっかく掴み取った未来を捨ててしまう方が失礼だ。自分達の使命は、あくまで先へ進むこと。
どのような結末を迎えようと、その土台は先人たちの骸で築かれている。踏みしめる土には、彼らの血と汗と涙が沁み込んでいる。
如何なる未来も、過去の積み重ねの結果に過ぎない。

「ボクそんなこと言ってないよ…

お説教するなら、もっと賢くならなきゃ」

しかし、影の返答はあまりに冷酷なものだった。それどころか論理の飛躍も甚だしい。
確かに時空を乱してしまった罪は重い。見るに耐えない歴史と言えど、れっきとした正史。それを気に入らないからと否定するのは間違っている。
無知のせいにするつもりはない。発端たる歴史是正機構に罪を着せるつもりもない。
罪。期待。希望。理想。全て背負って歩んでいくつもりだ。その点に関しては、自分に続いて現れた二人も同意見らしい。
特に女性の方は凄かった。彼女の志は鎚で叩いてもヒビ一つ入らないだろう。ヴァンレッドも、この場の誰よりも強烈な気迫を魅せている。
ほんの少しだけ迷いはあった。このまま会話を放棄し、暴力に訴えてしまってよいものかと。
ただ、議論を続けたところで平行線を辿るだけにも思える。他二人が荒ぶっている中で、落ち着いて交渉など出来るはずもない。

イスマリアとヴァンレット、二人を交互に見比べながら思案。そんな隙だらけの困り顔に、暴圧にも等しい漆黒が殺到する。
その熾烈さ、息をすることもままならない。身体が激しく痛む。耳鳴りを強めたような嫌な音に、粗末な脳みそが悲鳴を上げる。
もうやるかやられるかだ、そう覚悟したイアンの選択とは。

「闇を祓うもの―――即ち。

オレサマ
究極だ」

深淵の間全体を覆いつくそうかという嵐の中、やけに通る声が存在を主張した。声の持ち主は闇の渦の影響を受けず、むしろ溢れ出す白銀の波動によって押し返していく。
間も無く波動は銀の輝きを伴って大爆発を起こし、残る漆黒を全て打ち払ってしまった。誰がやったかは言うまでもない。よりワイルドな容姿と口調が覚醒の合図。アルティメット・イアン、顕現である。
しかし、改変の罪深さを訴える嘆きは――正史達の怨嗟の声は、闇を打ち払った程度で消えてはくれない。身体に纏わりつき、口や耳から体内に入り込むかのように、その悲鳴を心に刻んでくる。

「…そうか、悪かった。でも安心してくれ。

オレ様は絶対にお前達を忘れねえ。約束だ」

正史達に言い聞かせるかのように、口の中で小さく呟く。どれだけ己の罪を認識させられようと、目指すところが変わることはない。
あくまで前進あるのみ。その過程で過去や正史にも思いを馳せ、決して風化することのないように努める。
それが罪深き自分達に出来る、唯一にして最大の罪滅ぼし。一生をかけて遂行しなければならない任務。時空を護った先で受ける、新たな使命だ。

「わりィな。突っ走ることしか能がなくてよ。

でもよォ…もう二度と失望はさせないぜ!」

宣言と同時に疾走。湧出する波動を抑えることもなく、風と本能に身を委ねて駆け抜ける。
そして両腕を振りかざし、掴みかかるような独特のポージングで急停止。銀のオーラが大狼を形成すると同時に、余りををエネルギー塊にして蹴りつけた。
空気を切り裂いて迫るエネルギー塊。巨体を以て挑みかかる大狼。丞相との戦いに幕を下ろした『覇者の牙』である。初っ端から飛ばしすぎのようにも見えるが、あくまで覚悟と決意の証明に過ぎない。

>>中世の影、イスマリア・ザルヴァトール、ヴァンレッド

1時間前 No.1637
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