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【ALL】Chrono Crisis【戦闘/シリアス】

 ( なりきり掲示板(フリー) )
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時を巡る旅路 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_UxJ

進化と共に新たなる技術を生み出し、その活動域を地球全体へと広げていった人類。
彼らは常に自らの生活を豊かにすることを考え、革新的な発明を世へ送り出し続けてきた。
留まることを知らない人類の科学力は、やがて禁断の領域へと足を踏み入れていくこととなる。

西暦6990年、それまでの常識を、それどころか世界の法則さえも歪めてしまうような大発見が人類にもたらされた。
時間遡行……俗に言う"タイムマシン"を駆り、現在と過去や未来を繋ぐ手段。人は、その方法を確立した。
今まで文献を漁ることでしか様子を知ることの出来なかった過去と、思いを馳せることしか出来なかった未来。
それらへの道が開かれたことは、確かに衝撃的ではあったが、同時に新たなる問題も浮上することとなった。

タイムパラドックス。未来からやってきた人間が過去に干渉することによって起こり得る、歴史の改変。
たった一つの筋を辿るように紡がれてきた歴史に矛盾を生じさせてしまえば、世界そのものの崩壊を招きかねない。
不測の事態が発生することを恐れた時の世界政府は、直ぐ様会議を開き、"時間遡行法"を制定。
資格を持たぬ者の時間遡行を禁ずると共に、時間遡行中の行動に厳しい制約を設け、歴史の改変を未然に防ごうとした。
―――しかし、全ての人間が、その決定を黙って受け入れた訳ではない。何せ、これは空前絶後の大発見。
上手く時間遡行を利用すれば、世界を思い通りに操ることも可能……そんな邪な考えを持った人間が現れるのは、当然の流れであったのだろう。

時間遡行法の制定から数年が経過したある日、歴史の保護を目的に設立された組織、「時空防衛連盟」が、大規模な時空振動を観測する。
遙か数千年前より発せられし、時空の歪み。それは紛れもなく、今この瞬間に、"歴史の改変"が実行されていることを示していた。
改変を止めることが出来なければ、タイムパラドックスの連続によって、やがて世界は消滅してしまう。
時空振動の余波によって、世界線の境界そのものが揺らぐ中、時空防衛連盟の面々は、人類の歴史を護るための戦いに挑む。



【クリックありがとうございます。この物語の舞台は時間遡行技術が確立された未来と、能力のある者のみが人権を得ることの出来る古代、人類と魔族が熾烈な戦いを繰り広げる中世という三つの異なる時代です。歴史是正機構は禁忌である歴史の改変を実行しようとしています。彼らの思惑を阻止するべく行動する時空防衛連盟の面々と、何としてでも歴史を書き換えようとする歴史是正機構、更にはそんな両組織の戦いに巻き込まれた各時代の人々の姿を描くのが、このスレッドの主な目的です。

オリキャラでの参加は勿論、版権作品をあまり知らないオリなり民の方も歓迎ですので、オリなり民の方も、どうぞご遠慮なくご参加下さい。
なりフリー民とオリなり民、互いに協力しあうことで、よりよきスレを目指しましょう。

なお、合図があるまで書き込みは禁止ですので、ご注意下さい。まずはじめに、サブ記事の方を確認頂くようにお願いします。】

メモ2018/07/13 02:23 : 風神少女☆XQ6phrzcKMtR @infernus★F7MrHN45jw_ouC

―――現在は、最終章です―――


最終章:「Chrono Crisis」

激しい戦いの末、歴史是正機構に打ち勝った時空防衛連盟。晴れて時空を護り抜くことに成功したかに思われた矢先、それは始まりを告げた。

まるで世界そのものが崩壊するかの如く、ひび割れていく空。その向こうから現れしは、正しき歴史を紡ぐ使者。

彼らは、人類の捻じ曲げた歴史を修正するべく、この世へと降臨した。これこそが、時空断裂。積み重なった歪みが、限界に達した瞬間であった。

改変に改変を重ねた今の世界が正史に塗り潰されれば、そこに生きる者達は"もしも"の存在と化してしまい、歴史の闇へと葬り去られてしまう。

それは即ち、世界の崩壊といっても過言ではないだろう。時空断裂による時間の連続性消失を防ぐためには、彼らに戦いを挑み、勝利するしかない。

人類が罪を犯したのは、疑いようのない事実。歴史を変えるなどという禁忌を犯した種族には、当然の報いであるかも知れないが……そんな人類も、生きている。

生けとし生ける者、全ての願いは、今日を、明日を生きること。黙って死を受け入れるなどということが、出来るはずがない。生きたい、と願う限り。

これは、明日を手に入れるための戦い。自らの存在を世界線に、時空に刻み付けるため、時空防衛連盟は次元を超える。


ルール&プロフィール:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-1#a

役職一覧:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-2#a

世界観・用語解説:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-3#a

各陣営の目的:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-4#a

最終章のロケーション:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-286#a


・現在イベントのあるロケーション

狭間世界:最終決戦

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理”想”の騎士 @kyouzin ★XC6leNwSoH_ZB4

【狭間世界/大雪原/グランドナイト】

――余分は不要。
なるほど、確かに一理ある、戦場に在りながら冗長に会話を重ねると言うのは無駄の極み、幾ら並行世界の主に出会ったといっても、それは……そう、少しだけ、元の世界で積み重ねた武功の結果、油断していた、あるいは思い上がっていたからなのかもしれない。
しかし、あくまで自分は戦士であり、ゴーレムのような冷酷で合理的な兵隊にはなれないのだ。

さて、そしてその主の側と言えば、貴方の世界は大丈夫と声を掛けてきた、気遣う気持ちは嬉しいが、本当にそうだと言い切れるのならば、端からこんな誰にとっても無益な戦いなどするはずが無い、幾ら自分が戦うのを楽しみにしているとは言え、血に我を忘れる戦闘狂ではなく、付け加えて自分の主とある種同一人物を相手にするなど望んだ事ではない。

「……私は私をここに呼んだ者を信用していないので。 何時脅迫されるか分かった物ではない、そして私は私の世界を簡単に巻き込ませたりする訳には行きませんから」

だから、ここで完結させる、自分が仮に散る事となろうとも、最終的に自分の世界が巻き込まれないならばそれで良い。
だが、わざわざ命を捨てに来ている訳では勿論無い、勝負事には常に真剣であるべきで、相手を切腹の道具に使うような真似はグランドナイトは好んでいないのである。

無数の針が敵対者に降り注ぐ、しかし、それで倒せる相手ではなく、ソレミアは防壁を作り出して針だけではなく、追撃となる火炎の蛇も往なして見せ、ツバキは単純な脚力を使った回避だと、この雪の足場の中では不足と判断したのか、自分の能力で作り上げた水を足場代わりに使って、雪と言う足場に左右されず機動力を発揮して回避する。
そして跳躍、と同時に、足場に使っていた水が、まさにただの水へと変わり、地を這う火炎を消火する。

反撃は大波を思わせる水流を使った攻撃と、そしてソレミアが放った、上空から降り注ぐ大量の武器。
どちらかに対応すれば、どちらかの対処が疎かになる、単純ながら効果的な物と言えるだろう。

しかし、それは相手が一人であったと仮定した場合である。
おそらくは、水使い側はこちらの手の内を早めに見ておくために、あえてこのような"その氷の刀を使え"と言わんばかりの攻撃をしてきたのだろう。
そして、その通りになってしまうのは少し悔しいが、出し惜しみして無用な手傷を負うよりは良いとグランドナイトは判断し……氷の刀を大波に向けて投擲した。

それで対処は終わったと言うように、グランドナイトは上空から降り注ぐ武器をフレイムタンと一瞬の内に作り上げた大針を使って処理していく。
だが、投げただけで大波が止まる訳が無い、これは武器の対処に注意を割いたばかりに、大波が直撃するような流れである、しかし。

「こちらのフレイムタンはただの魔法剣、ただ"強力なだけの剣"ですが……アイスソードに関してはそうではありませんから」

グランドナイトが何か動いた訳でもなく、魔法を唱えた訳でもないのに、投げられた刀が地面に突き刺さった瞬間、凄まじい吹雪が吹き荒れる。
それによって大波は凍結、しかし、刀を手放してしまったため、武器を一つ捨てたような状態だった……だが、吹雪の中にその刀を掴む者が居る、それは間違ってもソレミア側に視線を向けているグランドナイトではない。

氷で出来た像、まるで刀に封印されていた魔物のような存在、それがアイスソードとグランドナイトが呼んだ刀を掴み、静かにツバキの方を見ていた。

「では、反撃と行きましょう」

グランドナイト、氷の像、両者が同時に標的とする者へと跳ぶように接近する。 狙いはグランドナイトがソレミア、氷の像がツバキだ。
グランドナイト側はフレイムタンに火炎を宿し、ソレミアに切りかかる、だが、おそらくは何らかの手段で防御されるだろう、しかし、彼女の周りには、凄まじい火炎が発生しており、ただ近づくだけでも、ソレミアに十分なダメージを蓄積させる事が出来るのだ。

氷の像にしろ、その点は同じと言える、強烈な寒さを身にまとうそれは、ツバキに接近した段階で一定のダメージとなる、だが、こちらはそれに加えて、接近時に相手の退路を塞ぐように氷の針を幾つか飛ばしており、その上で、刀でなぎ払っている点で異なっており、むしろこちらのほうが回避しづらい物だろう。

>ツバキ・オオトリ ソレミア・ラガルデール

1ヶ月前 No.1691

忠犬 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_ZB4

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟/ロコ】

時空断裂の余波は、未来世界だけではなく、他の時代にも及んでいた。大きな混乱に乗じて、何名かの者が、この狭間世界へと強制的に送り込まれる事態が発生していたのだ。
血塗られた島の入り口に立つ犬耳の少女、ロコもその一人である。彼女は魔帝軍との戦いが和睦という形で終演を迎えて以降、主である勇者アンナローズと共に、王国の復興に従事していたはずであった。
その日も特に変わったことはなく、眠りについたはずなのだが、どういう訳か、次に目覚めた時には冷たい地面に身体が横たわっていたのである。最初は困惑したものの、ロコはすぐに今の状況を理解した。
それが出来たのは、中世に時空防衛連盟と歴史是正機構の面々が現れていたからに他ならない。彼らを目の当たりにしていたからこそ、別の時空に飛ばされたのだろうという判断を瞬時に下せたのである。
とはいえ、万事解決……とはいかない。そもそもここがいつ、どの時代なのかは未だ不明である上に、何故ここへやって来ることになったのかも、定かではないのだから。

「……血の匂いがしますな。何が出てもおかしくないのであります」

優れた鼻を有するロコは、すぐに周囲に漂う血の匂いを嗅ぎ分けた。それも、少しではない。何十、何百、いや……それどこではない。何千、何万という者の血が流れ出た痕跡。
あまりにも強烈過ぎるが故に、他の臭いが全く分からないほどだ。自分が今、かなり危険な場所にいるのは間違いない。最大限の警戒を持って、彼女はゆっくりと前へ進んでいく。
それにしても、見覚えのある景色だ。つい最近、ここを通った気がしてならない。未知の場所であるはずのに、未知ではないという感覚、拭い去ることの出来ない既視感。
ある程度進んだところで、ロコはその理由を知ることになった。間違いない、これは魔帝城へと続く海底洞窟だ。異なる点があるとするならば、無残に転がる無数の死体のみ。
彼女とアンナローズはここを通る際、可能な限り戦闘を避けられるように行動していた。故に、これほど多くの敵を殺してはいないはず。では、一体誰が? 不自然な胸のざわめきを覚えると共に、彼女は暗闇の中に、二つの人影を発見する。

「そなたは……ゲイル殿でありますな。なにゆえ、このようなところへ? そもそもここはどこなのでありますか?」

二人の内の片割れは、王国騎士団に所属するゲイル・ベネルド。ロコも王宮へ出入りするようになって以降、何度か顔を合わせたことのある人物だ。
もう片方は知らない人物であったが、ゲイルと敵対している様子がないということは、味方であると判断してよいだろう。やがて彼女は、両者の視線が、同じ方向へと注がれていることに気付く。

「あ、アンナローズ殿っ!? いや、そなたのその匂いは……一体、何が起きているのか分からないのであります……!」

その視線の先に立っていたのは、自らの付き従うアンナローズによく似た女性。最初は本人かと思い、顔立ちからしても間違いなさそうなのだが、纏う雰囲気が違いすぎる。
たとえ洗い流そうとも絶対に落とせない、身体の深くまでこびり付いた血の匂い。それは、彼女がこれまでに数え切れないほどの他人を殺してきたことの、何よりの証だろう。
少なくとも、ロコの知るアンナローズからはこんな匂いはしない。何せ、彼女は、敵である魔帝軍に対しても心優しい態度で接し、戦いを平和的な解決へと導いた人物なのだから。
洞窟に横たわる彼らを殺した張本人は、この女性なのか。そもそも、彼女はアンナローズとどのような関係があるのか。頭が破裂しそうな感覚に襲われながらも、ロコは二人に合わせ、臨戦態勢を取る。

>ファントムメサイア、ゲイル・ベネルド、橋川清太郎

1ヶ月前 No.1692

リインカーネーション @genomirai ★xtwO2xCy4x_a2e

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1ヶ月前 No.1693

リインカーネーション @genomirai ★xtwO2xCy4x_a2e

【狭間世界/誰も居ない邸宅/フォルトゥナ・インテグラーレ】


「……落ち着いたころ、姉さんとよく話し合ってみる。姉妹の肩書に甘え過ぎていたんだろう、心の内を共有できれば、理解に近付ける。私がここで出せる、最大限の答えだ。」

漸く彼女は始発点に辿り着いた、ここからがインテグラーレの名を持った姉妹が本当の意味で心を通わせられることが出来る原点だろう。それが戦場の最中、敵性存在の影響と言うのもある種彼女らしいと言えよう。
全てを姉を止めるために費やし、戦いへと注ぎ込んでいた彼女が戦場で学ぶのもまた道理なのだろう。無論払った犠牲は小さくはない、得難い信用を大きく失った事は理解できている。それも姉の親友からのものをだ。
これ以上言葉で示しても好転は望めない、それで収まるにはとうに過ぎていたのだから。それだけの事をしていた、自覚は完全ではなくとも薄々理解はしている。ならば、これからの行動で示すほかはない。
まず一歩として人類の敵と称した存在の排除へと動いた、確かな感触、抵抗もなく彼女の蹴撃を受けたそれに違和感を覚える。ほんの僅か前、優しげな表情をしていたそれを見ていたことも、それに違和感を覚える。
吹き飛ばした先を見やる、落ちた絵画に目もくれず壁へ叩きつけられたその存在を観察する。成程と、彼女は大よそを理解した。与えた傷は一切ない事、顔の特の意味するところ、やけに此方を慮る言動、予測ではあるが結論は出た。
簡単な事だ、乱れた歴史を正す存在、形はどうであれ試練を与えるものだろう。だからただ殴り、蹴り飛ばしても倒せない。もし倒すのならばそれに特化せねば不可能、少なくとも彼女が持つ手段で対応できるのは僅かしかない。
どうすればいいかも大よその答えは出た、何も番人や試練と言えども力押しだけが正当ではないと言う事だろう。もし力づくで可能であれば先までで終わっている、そうなっていないのならばやはり彼女が足を引っ張っていた、と言う事だ。
現に戦闘態勢を取っておらず、反撃を行う様子も感じない。それどころか穏やかな顔で語り掛けてくるのみ、しかも彼女に姉との過ごし方の助言までしている。流石の彼女も戦闘を続ける気にはならない。
構えていた拳を降ろし、僅かに開き踏み込みへと備えていた脚幅も直立と同じように戻す。一つ息を吐く、溜息に近いが意味するところは同じだろう。ただ、自分に呆れたのと、気が抜けた、それだけである。

「ああ、片時も姉さんから離れない、何があってもな。それが理解に繋がり、姉さんも望むと言うのなら、私が行動しない理由はない。」

尤も、部外者で人間の敵に言われたくはない。そう思っても心の内に留めていた、確かな助言であることは嫌でも分かっていたからだ。ここでそれを零せば先程と何も変わらない、その程度の理解は冷静な彼女であれば問題なく出来ていた。
だから、何を示せばいいのかも何となくではあるが思い至っていた。きっと、彼女はよく覚えていないが母親のようなものだろうと。心配だから、この歴史を訪れたと。なら、もう大丈夫と言う事を示すだけだ。少しばかり、説得力は足りないが。それでもだ。

「だから、安心するといい。姉さんと、姉さんが信じた人々が乱れた歴史もより良くする。私も、まだ頼りないと思うが全力で手伝うさ。信じて欲しい、人間の敵、若しくは人への試練よ。」

少しだけ気恥ずかしそうにあの存在へと語り掛ける、予測と推測の延長線上にあった答えとは言え口にするには些か羞恥もある。こんな言葉を発する機会などなければ、それを言う相手もいなかった。
だとしても、伝えるべきだと彼女は思った。彼女自身の力は微力だ、姉が何を想っているかすら未だ分からない、ただ生きて帰ってきて欲しいとそう伝えられただけ。まだ、思うところはある。それも全部、姉に話してみようと思う。
そうすればきっと、本当の意味で助けることが出来るかもしれない。それを乗り越えてこそ、あの存在が求めた歴史へと繋がるのだろうとそう思い至った。その覚悟を、今は言葉だけであっても示したかったのだ。
まだ時間はかかる、それでも彼女は理解することを決断した。姉の為に少しでも出来ることがあるならば、と。

>>未来の影 ダグラス・マクファーデン

1ヶ月前 No.1694

アリア @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_keJ

【狭間世界/拷問部屋/アリア=イヴァンヒルト】


 どうやっても感情に振り回されてしまうのがヒトという生き物なのだ、と。
 かつて、わたしの知るだれかが言っていた。
 それが一番忌避するべきことであり、凡庸であり、ツマラナイことだ、と。
 いつか、わたしの知るだれかは言っていた。

 それと照らし合わせて―――どうだろう、今の自分は。


「それは―――どう、いう」

    どういう、も。なにもない。黄衣のヒトガタが騙って語った言葉の意味は飲み込める。
    言葉を飲み込むのと、理解する、では随分意味が違うが。
    少なくとも彼と呼ぶべき何某の言葉の通りにしたつもりは、自分にはなかった。

「………」

    息を整える。警戒は完全に無駄だったし、わざわざ対話の最中に仕込んだ罠も多分無意味だ。
    ―――目の前のそれは完全な未知ではなくなった、気がした。
    理解したつもりなだけかもしれない。事実、理解出来ない部分の方が多い。
    これは変わらずアンノウンだ。それでも害意の形態だけならば、すぐに分かった。


 頭の中は特に何かをされたでもないのに勝手にぐちゃぐちゃになっていて。
 気付けば叫んでいた自分は、構え自体崩していないけれど、戦う気で居られるかも怪しいが。
 ふと、考える。黄衣のヒトガタは表情と呼べるものを持たないから、今どんなことを考えているのか推し量ることも出来ないけど。考える。自分を精査するということは、何時になっても苦手で、慣れない行為だが。
 何かを知る前に、せめて自分が見えるように、自分を決められるようにはなっておきたかった。
 ただそれだけのことだ。

 ともかく。
 そんなザマだから、ああ………たぶん、今の自分は“だれか”に言わせたのなら落第で用無しだ。アリアという名前を持たされただけの空虚なわたしが、嘗て刻まれた役割を―――モノを殺すための道具という役割を―――微塵も果たせそうにないことなど、もう言わなくても分かっていた。
 だけど、その役割だって、わたしが何も知らないから拠所にしていたものだ。
 今だってこういうことを考えてしまう辺り、不安定に思える足場は不安定のままなんだろう。何も考えないでいることは楽だし、決まった役割を拠所にするのは思考がブレない。自分という境界<セカイ>の殻が壊れないで済む。
 停滞というのは楽だ。こんな滅茶苦茶な想いをしないで済む。
 進展がないというのは楽だ。先にどんな不安があるのか考えないで済む。
 逆上し掛けたり、頭の中がヘンになるような

 だからそうした弱音も未練も、あるのかも知れない。
 かも知れないだから正確な話ではない―――と、予防線を張るように付け加えておくが。ともかく。


   自分の道も、始点も終点も、そんなもの自分で決めろ、と。
   必要な分だけ手を差し伸べた彼女の言葉を、篝火のようだと思った。

「そんな気はします」

「でも、それを自分の理由にするわけには、行かない。自分で決めたいから、自分で決めたんです。
 ………さっきから本当に、調子が狂うけど。わたしがおまえに言えるの、きっとそれが全部です」

 だから、今は自分でなにかを決めるようにして、此処に来ている。
 繰り返す言い方になるが、知るために生きて、知るまで死にたくないからだ。

 彼女のことを知りたくないのかと言われると、どうだろう。
 これをNoと言い切れるのかどうかは、正直なところ疑問が残る。そもそも、あの手を取りかけた理由だって、何を考えているのか、どんな想いで今なにを目指しているのか、それを一瞬気にしたからこそだ。
 ただ。それを手に取った時。あまり“欲しい”ものは帰ってこない気がした。
 それを―――このヒトガタに言わせれば、意思だとか、そうした言葉になるんだろう。

  未知を解き明かし、恐怖の根源を理解する。
   /知らないものを知る。分からないものを分からないままにしない。

  それがヒトという生き物だというのは、なんだか妙な気分だ。
   /わたしの知るヒトは、分からないものは分からないまま消そうとする。


 ………そして付け加えるなら。これはやっぱり、分からない。
 だってさっきの一瞬も、たった一つの共通項が“彼”を覗かせただけだ。
 覗いて来ているものに気付いたから覗き返したような、そんな些細な理解の仕方でしかない。

「そんなの答えに、なってない―――ッ」

 今だって、そう―――。
 両方そう思ってる、だなんて。わたしから見たら誤魔化しているような返答を最後に。
 それは訪れた。“彼”は、相変わらず未知のままに、再び道化の仮面をかぶりながら。

   風が吹いている。打ち付けるような、微風から強風へ。
   その方向に合わせて揺れる自分の髪が微かに目に入り、手で振り払う。


「………!」
「(風―――なんで、急に。いや、思い当たるものはある)」

 知ることを望むなら手を貸す。
 それ以上を知ることを望むならば、もう一度と口にする。
 おまえは知りたいから此処に来たのだろう、と、誘惑のようなことを宣う。

「………言いたいこと、増えましたけど。これだけ言います」

  最初は、分からないと思っていた。
  これは精神も肉体も、そのどちらも“つくり”が違うんだ、と。
  それを理解してしまったら何かが壊れかねないという警鐘は、今だってその通りだと思ってる。

  今も、そう思う。これは多分違う。
  人間と“同類”という言葉が全てを表している。生存の年月が違うなら、精神の年輪も違う。
  ただその癖に、あるひとつの話に関しては、ほんの少しの理解を得てしまったような気がする。

 ひどく意地は悪い、傍観しながら、脇から見て感情を弄ぶようなタイプだ。
 これは多分そういう“ヤツ”なのだとも思うが、この風が意図するのは、そうした害意ではない。


「おまえのこと、最初、ハッキリしないヤツだって思いました。
 今も、そうです」

   風が、強くなる。
   そこに、何者かの意思が混ざっているのは、見れば分かった。

「だけど………あの子について口を利く時だけ、おまえは趣味の悪い道化じゃなかった。
 おまえはそのことについて、多分ウソだけは言わないと感じた。違う、違わないは言わなくていいです」


 だから、そういう小さな糸口からでも、理解してしまったのなら―――だめだ。
 どうにも、どうでも良いものじゃなくなってしまうと、どうやって拒絶したらいいか分からない。
 きっとそれでさえ、このヒトガタからしたらほんの一部なのかもしれないけど。

 それのせいで、最初に口にしていた仕込みも、殺す算段も、全部水泡だ。
 となれば、今のように言葉を交わすだけだが、先ほど言った通りだ。

   風が、強くなる。
   踵を返せば、此処から何処かに飛び去ってしまいそうなくらい。


「だから………“もう一度”って言うなら、わたしは“二度言わせないで”と返します」


 少なくとも、わたしはヒトを知らない。
 だから、何かの間違いがあって触れるとしても、全てを知った後だ。
 自分がヒトなのか、ヒトだとして始点と終点がその枠組みの中にあるのか。
 そこに何も見出せなかったら、きっと手を取っていたかも知れないけど。今は、ダメだ。

 一歩後ろに下がる。
 風に身を任せる―――周りの空間を把握するようにして、じっと道化の仮面を見据えながら。

  ………こんなふうに思ったのは、このヒトガタが“もう一度”なんて言い出したのもある。
     まるで遠回しの忠告みたいだ。

 本当に………わからない、ハッキリしないやつ。
 小さくつぶやいたそれは、第一印象と全く変わりはしなかった。

>黄衣なる者


【了解しました〜。道中返信が遅れたり、こちらの対応がやや振り回す風になってしまって申し訳ないm(._.)m】

1ヶ月前 No.1695

全盛期 @kyouzin ★XC6leNwSoH_ZB4

【狭間世界/幾何学都市/中央区/マスターヴァルキリー】

「だろう? アタシはこの武器が大好きでね、もっとも、他の連中は理解しようとしないようだが」

ヴァルガスの言葉を聞いて、ミシャールは所謂優しそうな笑みではなく、狂戦士が歯をぎらりと覗かせる凶悪な笑みではあるが、少し嬉しそうに「だろう?」と返す。
とは言え、彼女の時代においても、主力は火器の時代であるのは間違いなく、その周りの環境を疎むように、理解しようとしないようだが、とため息混じりに語った。

さて、自分の放った攻撃に対する対処を見れば、攻撃だけではなく、防御面でもそれなり以上の物のようだ。
それでも、これはミシャールにとっては嬉しい話に過ぎない、まだまだ彼女には、強敵と相対しているという感覚は無く、ある種の余裕を持って、自分より少し弱いぐらいの獲物をいたぶる動物のような動きであった。

そして、相手がこちらの攻撃を止めたのを確認すれば、ミシャールは指をくいくいと動かして挑発する。 これに応える形であるのかは分からないが、とにかく相手は反撃に移った、まず女の方が飛ばすのは無数の虹色の玉、これを直接ぶつけてくるかと身構えたが、実際にはそうではなく、不規則に散らばって自分を包囲した段階で、レーザー砲のような物だと察した。
無数の虹色の光線が放たれる、これに対してミシャールが選択するのは単純な回避動作。 斧を使うまでも無いと言う事なのかと聞かれればそうではなく、これはむしろ"動く"事を目的とした物だ。 光線を回避するためのように見せかけ、実際に回避もしつつ大きく移動する。 その先にあるのは先ほど地面に突き刺したもう一本の斧があり、そこに近づけば、その斧を地面から引き抜いて、二本の斧で光線を相殺する。

だが、よく見れば、複数の水の塊が光線に混じっている、おそらくは弾幕の穴埋め。 しかし、それよりも問題なのは、この光線を撃ってきた女側が、次なる一撃となる火球の発射体勢に入ったこと、また、男のほうも巨大な水の塊を作ってることだ。

「悠長に防御し続ければ、武器の許容範囲を超えてジ・エンドってか? ハッ、アタシを舐められるのも癪だが、このアタシが使うツヴァイシューターを舐められるってのも癪な話だねえ!!」

正直な所、水の塊と光線については、防御に専念し続ければどうにかなると推測できた。
だが、狙いがそれであるのも分かる。 この大量の攻撃の中使い続けている斧を、さらに巨大な二つの攻撃に当てれば、確実に大きな隙が生まれる、と言うか、下手をすれば使い物にならなくなる、おそらく相手はそれを狙っているのだ。
それは間違いではない、だが、同時に、ミシャールが超人なのは言わずもがなであるが、彼女が愛用する武器もまた、並大抵の物ではないのだ。

一瞬だけ、ミシャールは防御の手を止めて、大斧を重ねるように構える。 勿論、その間は襲い掛かる光線と水弾を自力で回避することになる。 それは長くは続かず、幾つかが掠り、血と、焦げた服の切れ端が飛ぶ。

しかし、まさに相手が火球と水の塊を同時に放ってくる、最も大事な場面になった時、二つの斧からはガチャリと、まるで何かが接続されたような音が響いた。

「一本で駄目になるなら、二本使えば良いだけの話よ。 よく言うだろ、三本の矢ってなあ、アタシが使うんだから二本でも十分なんだがねッ!!」

そして、ミシャールは両手を使って、一本の斧を持つ。 いや、それは一本の斧ではない。 先ほどから使っていた二つの大斧を重ね合わせるように合体させ、一つの巨大な斧として使えるようにした合体武器だ。
それをミシャールは軽々と振り回して、周囲に電流を撒き散らし、敵を攻撃しつつも、火球と水塊をひきつける。

当たらずとも被害が出る、当たらずとも熱でオーバーヒートを狙える? 知った事か。

ミシャールはその二つの攻撃に突っ込むように、合体斧を構えて跳ぶ、そして……二つの攻撃を見事に叩き切って通り抜け、そのまま敵に接近した。

「これが、ミシャール様とその武器だッ!!」

そして、彼女は凄まじいエネルギーを蓄えた合体斧を二人にではなく、地面に思いっきり振り下ろした。
その瞬間、引き起こされるのは地面に衝突した衝撃で解放される莫大な雷エネルギー。 あえてそれを表現するならば「雷の爆発」と言える物だ。

当然、近づいてからこれを行っているので、何らかの抵抗をしない限り、武器に使用者で、ある程度の保護機能が働くミシャールはともかく、近くに居る敵対者二人は、雷に焼かれて死ぬことになるだろう。

>ユーフォリア・インテグラーレ ヴァルガス・スターン

1ヶ月前 No.1696

リインカーネーション @genomirai ★xtwO2xCy4x_a2e

【狭間世界→移動中/拷問部屋→移動中/黄衣なる者】


「……そう、それがいい。」

「君の答えが、君の選択が人間の内側であることを祝福しよう。あの子も、きっと喜ぶねえ。」

「―――願わくば、君とあの子が良き関係へ至る事を。」

尤も、祈る神は本体とは別の、人間を本当に思える神だけどねえ。いるかどうかは、また別の話。
この子の答え、それの返答を区切りに吹く風は更に勢いを増していくねえ。云わば、決別、なんてねえ。この子はザーシャに影響を受けただけで、何も態々手を加える必要はなかった。そういう事になるんだろうねえ。
そう、後は触れずに、傍観者としてその行く末を見るだけ。勿論、ザーシャともしばらくは会わないだろうねえ。だって、人間でない存在が、正確にはこの世の理から外れた存在が導くなんて面白くはない。
一つの世界を盤面に劇を始めるなんて、面白くはあっても所詮は手の入った養殖。思いもよらずに起こる物事に比べれば質が違うねえ、だからちょいとばかり人外連中は引っ込んでいるべきだねえ。ああ、ここの神は無理だねえ。少なくとも、これじゃあ勝てないねえ。
まあ、その辺りは人間の可能性を眺めることにしようねえ。鋭角の主を寄せ付けない、副王の理、若しくは偉大な種族に並ぶ業を生み出したんだからねえ。それこそ、介入する方が無粋だからねえ。
おっと、話が逸れたねえ。まだこの子が目の前にいるうちに他の人間の話は失礼らしいからねえ、よく分からないけどねえ。まあこの子は本当に見るだけでいい、ザーシャが嫌と言っても手を貸すだろうし、既に歩み始めているしねえ。
ま、柄でもない事を言ったのはご褒美でもあるし、少しばかりの意地悪だねえ。面子と言うか、分かられた悔しさと言うか、まあ何とも子供染みたものだけれどねえ。少なくとも虚心を混ぜたつもりはない、本当にそうなればきっと面白い。
表情があればきっと微笑んでいただろうねえ、まあそれを本当の意味で受け取れる人間は少なそうだけれどねえ。……なぜか、この子なら理解されそうで癪に障るねえ。嫌だねえ、人間に絆され過ぎたのかもねえ。

「さてさて、これから君は人間のまま生きて、多くを知り、そのうち死ぬだろうねえ。その中で君が望む何かを見つけられるかは、まあ知らないけどねえ。」

「それだけの好奇心があれば答えは見つけられると思うけどねえ、全く、少しでも理解されるだなんて想定外なんだから、ねえ?」

軽口で軽くこの子を攻める様に声を掛ける、対照的に風はさらに激しくなっていくねえ。目を開けるのもやっと、体格が良くはないこの子なら吹き飛ばされてしまうかもしれないねえ。まあ、そんな失態はしないけどねえ。
これ以上の失態はないような自尊心が砕け散ってしまうからねえ、いやあ、これはもう間接的にザーシャの反抗期と言っても良いねえ。ま、娘と仲良くしてくださいなんて人間の親みたいなことは口が裂けても言えないねえ、口、ないけどねえ。
まあ、これから口走るのはお節介だねえ。ザーシャが気にかけた人物、不遜にも理解外を理解した人物、それが下らない存在に陥れられるのは面白くない。ま、これを最後の介入としようねえ。本当に、最後、多分ねえ。

「そうそう、今度趣味の悪い道化とやらに出会ったら取り合えず攻撃してみると良いねえ。すると不思議な事に、大体は本性を出すか、警戒して取り込みをやめるからねえ。」

「君の目の前に居るのは例外中の例外、弱くて口が達者なだけの小心者だからねえ。絶対の強者で、道化を演じてたら厄介だからねえ。」

「―――じゃあ"三度目はないから"安心して生きて、知ると良いねえ。」

一際大きな突風を吹かせると同時に、隠密を使用して存在を消すねえ。するとあら不思議、この子が意識を逸らした間に姿も気配も臭いすらも消えるねえ、まあ実際にはまだいるんだけどねえ。温度を調べるもの、流石に持ってないと良いけどねえ。
念のため、罠を警戒しながらふわりと宙へと飛んでいくねえ。この空間は不出来なようで出来がいいからねえ、適当な場所から出ても適当な場所へ移動は出来るんだよねえ。さて、後は行く末を見守るだけだねえ。
この子が、眼下で小さくなっていくねえ。うん、多分、次に会ったとしても気付きはしないだろうねえ。きっと次は初めましてだ、何処からか来た面倒な連中は面白くなさそうだからねえ。見た目同じだと、不都合だしねえ。
今度は、傍観者でもなく、介入者でもなく、化け物でもなく、人間のふりをして紛れ込んでみようねえ。うん、それもそれで面白そうだねえ。ちょっとは強くならないと、すぐ死んじゃいそうなのが残念だけどねえ。
まあ、先の話はなる様になるねえ。今は、ザーシャが安心だと言う事実を喜んでおこうねえ。まあ、寂しさはあるけれども同時に喜びがあることには慣れたからねえ。こればかりは、仕方がないからねえ。

さてさて、これ以上は無粋だからねえ。本当の傍観者になろうじゃないか、少しの間だけれどねえ。
神と人間、何方が勝つなんて分かり切っているからねえ。だって簡単な事、少しでも見渡せば理解できるからねえ。
今の世界に神はいない、必要ないからねえ。だから封印されるし、追いやられるし、隠居する、それだけだねえ。
いいじゃないか、もう神の手から離れているんだ。後は、楽しむだけだねえ。

>>アリア=イヴァンヒルト


【これで撤退とさせていただきます、此方も返信が遅れてしまったり、分かりにくい文で申し訳ありませんでした。私としては、とても楽しく書けなかった部分を書けたので満足です、絡みありがとうございました!】

1ヶ月前 No.1697

解放 @sable ★Nu0sy7yXcR_keJ

【狭間世界/大雪原/旋風域/ルナティック・ビースト】

 経験。身体能力。努力と資質の融合が無限大の力を生み出す。故に野獣は無敵であった。帝王であった。ただ胃袋を満たすためだけに、生命を冒涜することが許された。気の遠くなるような時間をかけて組み上げられた、生態系という芸術に牙を立てることが許された。この一事は、旋風域に於ける戦いでも変わらないはずだった。ただ一つの結末。約束された勝利。
 だが不変の真理は覆された。蓋を開けてみれば、そこには見るも無残な姿の野獣が。常に敵対者を圧倒し続け、優位に戦いを進めていたはずなのにだ。挟撃。騙し討ち。囮作戦。全てを読み切り嘲笑ってなお、絶対に慢心しなかったルナティック・ビースト。その敗北の裏には、一つの単純な理由があった。
 それは即ち、経験則の外の出来事。女と小娘は連携を厳とした。野獣の裏をかくことの出来る手を探し、最後は酸の雨によって勝利を収めた。早い話が、想定外の手だったのだ。炎だけなら見切れる。酸だけでも見切れる。酸の雨を降らせようとしているとわかれば、例え数キロ先まで捉えようと逃れることができる。
 しかしだ。炎と酸を組み合わせて上昇気流を生み出し、そこから酸を降らせるなどという手は、野獣の経験にもなかったのだ。発想の秀逸さと幸運が勝因と言えよう。誰にでも勝利の可能性はあるが、いざ掴もうとなると果てしなく遠い道のり。この二人は求められる条件をそれなりに満たし、その上で運をも味方につけることが出来た。


 ドクッ。ドクッ。


 折り重なる白骨の下、強く脈打つ肉。野獣にたった一つ残されたもの、それは生。運ぶ血もないというのに動き続ける心臓が、千切れかけの命綱となって、野獣を現世に繋ぎ留めていた。もちろん、このまま背を向けてもよかった。敗北と死は確定しているのだから。だが女は、決着を付け切ることこそ責務と捉えた。骨すらも残さぬよう、過剰なまでの火力で以て、野獣を荼毘に付す。
 立ち昇る劫火。天を衝く火柱が、無数の犠牲者の魂を極楽へ導く。野獣の死、即ち彼らの解放。終わったのだ。本能のままに生き、殺め壊し続けるルナティック・ビーストの一生が。その魂に如何なる裁きが下るかは、命ある我々の知るところではない。それでも、一つだけ確かなこと――世界は救われた。


 風の止まない雪原。そこでは無数の雪の結晶が、竜巻に煽られ宙を舞っている。我々の罪を一手にうけて――


【ルナティック・ビースト(Chrono Crisis)@最強の武器たる経験則で戦いを有利に進めるが、経験の外からの攻撃を受け敗北。ある意味では策に溺れたとも言うべき最期であった。】

>>ヘルガ・アポザンスキー、マリア・シャロムスキー


【大変遅くなりましたが、お相手いただきありがとうございました!】

1ヶ月前 No.1698

Another Messiah @zero45 ★pB1cyTl1jZ_EjY

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟/ファントムメサイア】

 屍山から流れて地を伝う鮮血の上を歩む中で、骸達へと言い聞かせるが如くに紡いだ言葉。その瞬間に漏らした声と自らの風貌に憶えがあるのか、鉢合わせの形となった疾風の騎士は、とうの昔に呼ばれなくなって久しい名を呟く。その外見と記憶した情報に合致した人物の名は、確か"ゲイル・ベネルド"。王国騎士団の団長が敵方へと叛逆した後に団長代理を務めあげ、戦乱が終結して以降は正式に団長の座へと就いた――と、改変された歴史を記述した書物には記されていた。
 出会い頭早々に細剣を構え、臨戦態勢を取る彼。一定の間合いを維持しながら、此方がどう反応するのかと様子を窺っている様だ。それを前にして一つ、確信を持って断言させて貰うならば――意志さえあれば"詰み"へと持ち込める。戦意を抱きながらも、交戦へと踏み切る躊躇を抱いた事で生じている"隙"を、致命へと変える事が可能なのだ。敵の反応、思考、行動の速度、それらの総てを上回るのは造作もない事。その脆弱な命に引導を渡す為の努力は、不要である。

「出会い頭早々、有無を言わずに揃いも揃って敵意を向けて来るか……所詮は下等、野蛮な行動しか出来ないようだな」

 だが――"敵意"と言う挑発に乗る事は即ち、わざわざ愚かな下等生物の土俵に自ら立ちに行くと言う行為に他ならない。当然それは、自らの格を自分で貶めている事を意味する。仮に危機感を駆り立てさせる様な状況ならば、それを免罪符として実行に移しただろうが、この現況はそうするに値しない。
 それは続けて現れた、外見上では機械の兵士にも見える容姿をした人間。更に此処へとやって来た、"穢らわしき"魔族が一人。記憶が確かならばこの魔族は、もう一人の自分の従者――"ロコ"、だったか。
 とにかく、併せて三人と相対する形となっても変ずる事はない。

「協力だと? 随分と下らん冗談だな……元よりこれは愚か極まる貴様らの不始末。それに付き合わねばならない義理が何処にある?」

 自分達が犯して来た所業と言う物を全く理解していないのか。何の恥を抱く事もなく、此度の事態を収める事に協力しないかと持ち掛けてきた者の言葉を一笑に付す。何よりも自分達の都合だけを優先して歴史を弄んだ愚行が、この"時空断裂"を引き起こす事へと至った。歴史是正機構は勿論の事、時空防衛連盟も歴史を弄んだ一員である以上は、それを第一に自覚し、恥としなければならない。
 少しでも自覚があるならば、この不始末は自分達の手で清算すべき物であり――仮に力が敵わず、他者からの協力を乞うとしても、誠意の形を示すのは当然。それこそ土下座、それでも足りぬならば自害してでも、示すべきなのだ。

「歴史是正機構か、時空防衛連盟か……どちらに属しているのかは、私の知った事ではないが。
 愚行を重ねていながら、それを何一つ恥と思わない貴様は滅ぶべき愚物だ。その分際で明日を生きようなど、傲慢にも程があるという事を自覚しろ」

 ――尤も、誠意を示された所で応える気はない。こう言えば、あたかも正史の座の奪還を狙っている物と勘違いされるだろうが。そもそも、今回の事態がどう転ぼうと、過去の軌跡の一部が喪失するか否かの程度の話であり、存在自体を維持できなくなる程の危機ではない。故に、わざわざ労力をかけて干渉しなければならない理由は、どこにもないのだ。

「……さて、確か……否、わざわざ穢らわしき魔族の名を呼ぶ必要などないな。
 単刀直入に、事実だけを伝えてやる。この魔族共を皆殺しにしたのは私だ……無論、城の奥へと行けば、魔帝の亡骸も見つかる」

 この凄惨たる光景と自身を前にして混乱を隠せない魔族へと、淡々と告げていく事実。この海底洞窟のみならず、この島全体に積み重なった魔族の骸の総てが、かつて自らの手によって引導を渡された者達なのだと。

「……こう言えば、愚鈍な貴様らでも、私が何者であるのかは理解できるだろう?
 もっとも、私は同じく否定された者達とは少々違って、存在し続ける為に、わざわざ貴様らを相手し、殺す必要はない……」

 自身の正体に纏わる答えを示していきながら、同時に示すのは、必ずしも"現時点では"敵として扱われる様な人物ではないという事。相当勘が鋭いか、魔族を皆殺しにしたという理由だけで一方的に敵と断定して来ない限りは、交戦する必要はない。

「だから、穏便に事を済ます事を提案しよう。
 剣を収め、早々にこの場を立ち去れ……それが互いにとって良い結果となる筈だ……」

 ――そう、交戦する必要はない。素直に忠告を聞き入れ、剣を収めたその瞬間に"詰み"へと追いやり、皆殺しにする。仮に聞き入れたならば、其処に生じた隙を突くようにして、右の手に魔剣を形成し、寸分の隙を見せる事無くたったの一振り、それに伴う魔力の斬撃波で三人を纏めて仕留める心算でいた。
 それとは逆に、挑みかかって来ようものならば、その時は力の差と言う物を証明した後に殺す心算でいる。その内容は、三人の行動次第ではあるが――いずれにせよ、その選択は、詰ませると同時に殺す事に変わりはない。

>ゲイル・ベネルド 橋川清太郎 ロコ

1ヶ月前 No.1699

中世の影 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_o1k

【狭間世界/血塗られた島/深淵の間/中世の影】

中世の影が何となく示唆した、次なる者の存在。反応は三者三様であったが、各々その正体には予測が付いているようだ。イアンは、如何なる相手が掛かってこようとも、恐れはしないという姿勢を露わにする。
一方のイスマリアはというと、言われるまでもなく、それに勘付いていたようだ。確かに彼女の言う通り、単に改変を重ねただけでは、このような事態は起こり得なかっただろう。
時空断裂と、それに伴う狭間世界の顕現。裏で糸を引いている者がいたからこそ、ここまで大きな混乱が生じた。歴史そのものを片手で操ることが出来る、神の如き存在。
今時、そういった者がいるということを信じている者は少数派だろうが……今回ばかりは、それ以外に説明しようがない事象が、当然のように降り掛かってきている。

「人の力は、神には通用しない。貴様らに残された選択肢は、ただ目の前に迫る破滅の運命を受け入れ、ひれ伏すことだけだ」

厚顔無恥な神、というヴァンレッドの言葉を肯定するかのように、中世の影はそう言い放つ。この返答からして、三人は正解を引き当てたと見て間違いないだろう。
いくら未来の人間が高い技術を有していたとしても、神は一瞬でそれを否定してみせる。時空を超える機械などなくとも、神は悠久に続く全ての時間に干渉することが出来るのだから。
逆に言えば、歴史の価値などその程度であるということを、中世の影は言いたいのかも知れない。人類が築き上げてきたそれは、神の都合で容易く塗り潰せるものであるのだと。

精霊魔法による三人の分断を目論んだ中世の影であったが、彼女達は的確にその攻撃への対処を見せる。まず、イアンは白銀の波動を周囲に解き放ち、纏わりつく風の精霊を吹き飛ばす。
イスマリアはとうに限界を迎えている様子であったが、自らの決意の力によって危機を乗り越え、覚醒を果たす。こんなところで負ける訳にはいかないと、意地でこの世に踏み留まった。
水の精霊に襲われたヴァンレッドは、最初無抵抗なままであったが、やがて紅蓮の結界を生じることによって水球を吹き飛ばし、窒息する前に脱出してみせる。
結果として、中世の影の攻撃は、三人にさしたる効果を与えることなく、その役目を終えた。となれば、次に始まるのは当然、彼らによる、彼女への反撃だ。

イアンの真空波の連打を、左手一本を突き出すことによって掻き消し、続くエネルギー塊、白銀の刃も、僅かに身をひねるだけで、余裕を見せ付けるように回避された。
雷速の移動で迫り来るイスマリアの攻撃は、それを超える光速移動によって躱される。中世の影の顔に宿る、余裕の表情。だが、それが保てたのも、ここまでであった。
真紅の剣による連撃を、一つ一つ丁寧に拳で受け止め、粉砕していく中世の影。ヴァンレッドに対し、一切速度負けはしていなかったが、徐々に彼女の表情が険しくなり始める。
上空より投げ付けられた火球こそ冷静にいなしたものの、真紅の剣が伸び、自らを斬り裂くということは考えられなかったのか、遂に彼女はその身に手痛い一撃を食らうこととなった。
完全に一刀両断されるような形になったにも関わらず、全く傷付いている素振りのない中世の影であったが、身体には確実にダメージが及んでいるらしく、彼女は思わず膝を付く。

「馬鹿なッ……! いや、お前達の覚悟はそれほどということか……!」

古代の影、そして未来の影との戦いがそうであったように、中世の影との戦いも本来は、彼女と戦闘の中で対話を進めていくことで、人類側が覚悟を示すことが求められていた。
だが、対峙した者の姿勢によってそれは叶わず、展開されたのは全力の殺し合い。こうなった以上、人類に勝ち目はないはずであったのだが、今の状況は明らかに違う。
絶対に起こり得ないと思っていた被弾に狼狽える中世の影。裏を返せば、三人の覚悟が彼女を超えるほどのものであるという証拠でもある。立ち上がり、挑戦者達の顔を然と見つめる中世の影。
対話など、必要なかったということか。最初から、腹は決まっていたということか。彼女は心の中でそう呟きながら、敵へ向けて全てを黒に染め上げる闇の超魔法と、万物の要素を持つ虹の精霊による魔法を差し向ける。
もし、これすらも彼らが乗り越えてみせるのであれば、自らの出る幕はないだろう。確かに感じた三人の覚悟が、本当のものであるかどうかを確認するため、中世の影が極大の一撃を解き放つ。

>アルティメット・イアン、イスマリア・サルヴァトール、ヴァンレッド

1ヶ月前 No.1700

鮮やかに、ときに無慈悲に── @libragreen ★iPhone=Dpuk4n8aqG

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1ヶ月前 No.1701

ダン・マッケーニ=バビロン @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_EjY

【 狭間世界/スラム・ムジーク空間/ダン・マッケーニ=バビロン 】

 降り注ぐ流星の如し拳――チェーンによって受け流されて回避される。
 ならばこそ、次に撃つ時は本気で"チェーンを破壊する勢い"で叩き込むことに決めた。

 続いて神速の乱打。ジャブの嵐の中に織り交ぜるストレートの砲撃。
 これもまた、オーネットは四丁拳銃の銃身で弾いていくことで直撃は避けるが、故にバビロンの本命に気づけない。
 片手のみでマグナムを正確無比に叩き込む。肩が外れるほどの反動が襲い来るそれですら、バビロンにかかれば容易いものだ。
 何故なら"本気で"やっているのだから。この程度の衝撃など、本気でやれば抑え込めるだろう?

「そうでなくてはなァ――体を鍛えることと、愛用の得物に妥協したことは一度もなくてね。
 どうだ、効いたろ。本気でチューニングしたんだ、お前も本気で挑まなければぶち抜いちまうぞォッ!」

 狂笑が木霊する。何処までも本気で、本気で本気で――かかって来いと。
 炸裂した凶弾は内部で受け止められたが、弾丸自体の衝撃を殺し切れていない。
 オーネットより吐き出された紅がその証拠だ。
 内臓に強烈なダメージが入り、大地が血に染め上げられる。

 先ほどのオーネットの弾丸を一切回避していないバビロンのダメージも相当なものだ。
 無数の銃弾に穿たれたスーツは穴だらけであり、染み出る血がじわりと広がっている。
 しかし、そう。だからどうしたとバビロンは痛覚もダメージも踏み倒す。"本気"なのだから。

「そうだ、その意気だ。ならばこそ俺も本気で邁進しなければなァッ」

 "本気"で戦っているのだから、降り注ぐ茨鞭の雨で己の血肉が引き裂かれようとも止まることはない。
 "本気"で戦っているのだから、それが何度降りかかろうとも止まることはない。
 "本気"で戦っているのだから、オーネット・ブラッドレイから視線を外すことはない。

 "本気"で戦っているのだから――。

  、 ・・・・・・・
「そら、俺にも出来たぞ。
 受け取ってくれ、麗しき次代の英雄よ!」

 ――単発式であるはずのマグナムから、四発の弾丸を同時に射出することが出来る。

 近距離に迫るオーネットに向けて放たれたのは、マグナムの弾丸。
 それはコンマ一秒で四発同時。そしてやはり、反動を押さえつけて正確無比な射撃を行っている。
 狙いは心臓。肺。右足。頭。直撃すれば即死相当のダメージとなるが、バビロンは更に追撃を叩き込む。

 一歩前へ踏み出す。
 オーネットの顔面目掛けて回し蹴りを撃ち込む。
 "本気"で放ったのだから、さきほどのいなしを上から叩き潰す勢いで。
 更に続けて、真上から拳を"落とす"ように脳天目掛けて撃ちこむ。
 "本気"で放ったのだから、四丁拳銃の銃身を破壊するほどの勢いで。

>オーネット・ブラッドレイ フレデリック・ショパン

1ヶ月前 No.1702

疾風 @sable ★Nu0sy7yXcR_keJ

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟/ゲイル・べネルド】

 鮮血沁み込む洞窟の最奥、躰の内外を真紅で染めた勇者が立ちはだかる。当然、我々の知るアンナローズではない。屍の山を築き上げ、生きとし生ける一切を踏みにじる、最悪の破壊者だ。彼女は語った。魔族共を皆殺しにしたのは、他でもない自分であると。狭間世界に於いては、少々異質な存在だということも。
 続く青年やロコの合流を把握しつつ、返答はせずに勇者へ意識を注ぐ。正史の座を奪い返そうと目論む者共とは、一線を画している。故にやるかやられるかの戦いに踏み切る必要もない。そう、衝突は回避できる。彼女は忠告した。武器を収めろ。踵を返せ。それが互いにとっての最善であると。

 その瞬間、疾風の騎士は飛び出した。全てを置き去りにして。

「ミストラルフィニッシュ」

 刹那、洞窟に流れ込む冷たい風。山々を乗り越え、凍れる河を吹き抜けたミストラルが、血の匂いを吹き飛ばす。深緑の風に身を任せる様、まさに隼。音も光も置き去りにする超神速は、魔道に堕ちた騎士に引導を渡した絶技と同じ。勇者の傍らを過ぎると同時に、胴体目掛けて細剣を振るい抜く。
 何故仕掛けたか。青年の言う"協力"とまでは行かないが、事を穏便に済ませる選択肢は示されていたというのに。勝ち目の有る無しに関係なく、回避できたはずの戦いに打って出るなど、お世辞にも賢い采配とは言えない。それでもなお、若き騎士団長が開戦に踏み切った理由――それは、隠せども滲み出る勇者の危険性。
 ヤツは痛烈なまでに魔族をこき下ろし、下等な存在と見下していた。誰もが知るように、中世に於ける戦いは和解で締めくくられた。その結果人間と魔族の関係は見直され、この未来世界にも少なからず影響が及んでいる。そんな中、魔族に猛烈に敵意を向ける人物を野放しにしてしまえば、何が起きるか分かったものではない。
 それに、口車に乗せられて剣を下ろしたが最後、騙し討ちを受ける可能性もあった。それほどまでに危険な匂いがするのだ。故に初手から総力を注ぎ込む。幸いこちらは数で上回っている。速攻戦術に惜しみなく火力を載せれば、早い段階での撃破も望めるはず。王国騎士団長としての最後の役目を果たすべく、隼は翼を広げた。

>>ファントムメサイア、橋川清太郎、ロコ

1ヶ月前 No.1703

電子の詩人 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【狭間世界/スラム(ムジーク空間)/ショパン】
 轟く銃声、倒れるオーネットを見て目を瞑るが、が足音が聞こえたので、ほっと胸を撫で下ろすショパン。
 バビロンに毅然とした態度でオーネットは返すと、しなやかな動きでバビロンを攻撃する。
 打つ、打つ、打つ。
 耐える、耐える、耐える。
 両者、接戦。ぶつかり合う。
「……!」
 びくんと体を跳ねてバビロンに気圧されそうになる。
 背中がざわざわする、段々とショパンの頭の中で警鐘が大きくなっていく。
 これはヤバい存在だ。
 世界を飲み込まんとする、力の塊だ。
 表情は強ばったままで、汗がだらだらと吹き出ている。
 ようやくショパンはバビロンの狂喜を理解し始めて来た頃。
 バビロンは言った、俺にもできたと。
 するとオーネットと同じ銃から4発連射してきたのだ!
「まねを……した?」
 あり得ない、明らかに人間離れな射撃を見ただけで4発撃ってきたのだ。
 初見で自分以外の曲は弾きこなした人物は実際いたというか、自分の友人で今もクラシカロイドとして同居している、性別は変わっているが。
 天性の才能かそれとも何かの能力か。
 ショパンは焦燥の表情で考え込む。
 そして、畏怖を抱く。
 もしかしてムジークを真似されるのかも知れないと、疑い始めたのだ。
「……」
 いや、いや。タクトごとムジークを奪われたりそっくりのロボットが現れた事はあるが、ムジークを真似された事はないと断言できる。
「どうしよう」
 その表情は不安に満ちていた。
>オーネット・ブラッドレイ ダン・マッケーニ=バビロン

1ヶ月前 No.1704

超覚醒 @sable ★Nu0sy7yXcR_keJ

【狭間世界/血塗られた島/深淵の間/アルティメット・イアン】

 影が匂わせる神格の存在。銀狼と肩を並べて戦う二人は、既に察しがついていたらしい。考えてみれば当然のことだ。歪められた時空の悲鳴によって、この狭間世界は生み出された。その中に、虚ろに漂う時の欠片……存在を否定された正史の数々。それらを大挙し我々に襲い掛かってくるなど、どこか作為的なものを感じずにはいられなかった。
 それだけ大それたことが出来る時点で、桁違いなスケールの持ち主であることは間違いない。それが神だろうと悪魔だろうと、今更驚くようなことではない。真に人智を超えた者との戦い。いくら名士揃いの連盟とあっても、万事休すかと思われるだろう。否。その不可能を可能に、窮地を好機に変えるのが我々なのだ。今日まで幾度も成し遂げてきたことを、数倍にしてぶつけるだけでいい。
 初めからその覚悟が出来ていた故か。並び立つ三人の顔に、一切動揺の色はない。ましてや恐怖など。究極たる銀狼に、最早その手の感情は存在せず。黒雷の主は、渦を成し神にすら牙を突き立てる処刑人と化した。そして、帝王の域へ踏み込んだ緋焔。彼の怒り。剣技。太陽をも焼き尽くさんばかりの灼炎。龍帝の何たるかを雄弁に語る一閃が、遂に影に致命的な一撃を叩き込んだ。

「言っただろうが。もう失望させねえって。

あるんだ!

覚悟も力も――全部なァ!!!!!」

 対話を棄て、やるかやられるかの殺し合いに発展してしまった影との戦い。正攻法を大きく外れ、本来ならば死が待ち受けていたはずの激闘は、影ですら予想できなかった展開へ縺れ込もうとしていた。初めて見せる動揺の色。崩れる体勢。その口から、否定や罵倒以外の言葉が飛び出すのも、思えば初めてのことであった。
 三人の覚悟を身を以て味わった影。明らかに狼狽えた表情が示すは、間近に迫った決着の瞬間。事実、彼女は極大の一撃を以て三人を試そうとする。天地万物森羅万象、一切合切を黒く染め上げる超魔法。その闇すらも内包する属性の覇者、虹の精霊魔法。これは最後の試練だ。乗り越えられた暁には、間違いなく我々は認められる。明日無き身でなおも生きることを。狭間の最奥に待ち受ける、神格への挑戦を。
 そう悟るや否や、銀狼は白銀の残像を残して駆けだした。踏みしめる床には亀裂が走り、砕け、抉り抜かれる。超魔法には超究極。虹には白銀。僅かに感じ取った覚悟が、夢幻(ゆめまぼろし)などではないことを証明する。その術とは、丞相戦を彷彿とさせる突貫。我が身も顧みない決死の猛襲。極速を以て大魔法へ突っ込んだのだ。当然無事ではいられない。

「超覚醒ェ……超回復ゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!!」

 見るも無残な姿の銀狼。しかし彼女の二本の足は、深淵の間を強く踏みしめていた。煌めき絶えぬ瞳は、未来を見据えていた。彼女にはまだ、生がある。可能性がある。ならばここで死ぬ道理などない。覚醒できない道理もない。闇を打ち払い、虹光すら切り裂く怒号は、覚醒を遥かに上回る"超覚醒"の発動を示唆していた。
 深淵の間を満たす白光。その熾烈さに耐えられず、天井や壁が崩落を始める。そして大爆発――爆心地の如く抉れた床に、究極の具現は佇んでいた。傷一つない身体。吊り上がった目。逞しくなった貌に浮かぶ、覚悟の二文字。超究極を名乗るに相応しい奥義が炸裂する。

「今ッ!ここに爆誕する!

アルティメットだ一番星ッッッ!!!

スゥゥゥゥゥゥゥゥパァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!」

 拳を握り締め、持てる力の全てを解き放つ極狼。両腕を大きく広げると同時に、彼女を中心とした超巨大竜巻が発生する。いや、ここまで膨れ上がれば台風と呼んでも差し支えない。白銀の暴風は止むことを知らず。台風の目と化した姿、まさに究極一番星。たからかに爆誕を宣言した後は、飛び蹴りの姿勢であろうことか台風ごと影目掛けて急降下する。

『アルティメットだ一番星』と銘打たれた究極奥義。その名に恥じない規模を以て、威力を以て、未来を切り拓く。

>>中世の影、イスマリア・ザルヴァトール、ヴァンレッド

1ヶ月前 No.1705

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟/橋川 清太郎】

構えた直後、未確認の生命反応が接近してくる。何かと思い視線を向けると、犬のような姿の女性だった。

(中世出身……名前はロコ、か)

バイザーのHDDがデータを自動照合し、彼女の簡易的な情報を表示する。
どうもロコはこの少女と面識があるらしく、ひどく驚いた様子だ。ただ、一連の言動を纏めると他人の空似という可能性も十分考えられる。
ロコは大きく戸惑いながらも交戦の構えを取り、少女との対峙を選んだ。

返ってきたのは明確な拒絶、余りにあからさま過ぎて清清しい位である。

「あーそうですかそうですか、聞いた僕が馬鹿だったよ」

頭部装甲越しに嘆息を漏らす。こいつといい前回の影といい、他人が大失敗した時だけ我が物顔でしゃしゃり出てくる習性でもあるのだろうか。

「って、おおおっと!」

さてどうしようかと思考に入ろうとした瞬間、凄まじい速度でゲイルが飛び出した。空気との摩擦で燃え尽きなかったあたり、少なくとも光速の域には達していないようだ。

(それでも、SwordPackの運動性で捉えられるものじゃあないか)

少し思考が逸れた、ここで彼に加勢し参戦するか、それともこの場所を後にして別のエリアへ向かうか。
選択は……前者。
話を聞くに、ここにある死体の山を築き上げたのはあの少女、しかもそれに対し全く悪びれることなくこちらに尊大な態度で接している。言うまでもなく危険人物だ、彼女を野放しにしておくのは大きな不安要素となるだろう。そして、戦う力を持っておきながらそんな人間から逃げ出すのはそれこそ偽善ではないのか。

「……行くかな!」

スラスターを起動、噴射炎で推進力を得ると同時に飛び掛かり、ゲイルに続く形で袈裟斬りを見舞った。大出力マッスルモーターによる恩恵がただの剣閃を重撃へ変える。達人業とは程遠いものの、その一振りは生半可な防御を許さない。

>>周辺all

1ヶ月前 No.1706

イスマリア・ザルヴァトール @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_EjY

【 狭間世界/血塗られた島/深淵の間/イスマリア・ザルヴァトール 】

 はじめから、何を選ぶかなど些事でしかなかった。
 大事なものは想い<カクゴ>の純度。その選択を貫き通すという不退転の意志であり、何処まで上り詰められるかということのみ。

 必要なのは――覚悟の証明。

 それが、迷い悩みながら出す覚悟<決意>であったか、想いの純度を重視する覚悟<決意>であるか。
 そのどちらも、差異はほとんどありはしない。
 求められていたものは最初からこれでしかなかった。ただ、完成されきった精神を持つ人間/怪物達が代弁者であっただけの話。
 故に刮目せよ、民衆よ。涙の出番は此処で終わり。
 たぎる灼熱が、走る銀狼が、降り注ぐ黒雷が、あの空に夜明けを齎す閃光<ヒカリ>を轟かせるのだ。

 此処に勝利の英雄譚を始めよう。
 あの先にいる神を、新世界の贄とするために。

 覚醒は果たされた。人智を超えた存在を相手に、英雄の如し輝きを放ちながらそれを乗り越えていく。
 そしてそれはとうとう、神の喉笛に食い掛ること成功する。
 超越者達の畳みかけるような攻撃の嵐を前に、中世の影が押されはじめている。
 ヴァンレッドの長剣が与えた僅かな傷。それが糸口となり、中世の影の態度が変化した。
 排すべき害悪から、試すべきれっきとした"敵"であると。

「何度も言っています!
 舐めるなよ神風情が――明日を求める人の光は、何者にも奪うことは出来ないとッ!」

 異能の出力を引き上げる。
 イスマリアはもはや、近づくだけで肉体がひしゃげるほどの強烈な引力を持つ惑星と化している。
 その処刑刃を手に、疾駆するは虹の極光と深き闇の嵐。極彩色と深黒が染め上げる視界の中、黒雷を纏った刀を振り降ろした。
 深淵の間に黒い雷霆が"墜ちた"。黒雲より降り注ぐ嵐のような塵殺の雷が地走り、二つの魔術と鬩ぎ合い蹂躙を続ける。

 マダダマダダマダダマダダマダダ
 更に更に更に更に更に更に――出力を引き上げること数千度。
 肉体が耐えられないとほざくな。精神<ココロ>が焼き切れるなど、些細なものでしかない。
      、      、     、 ・・
 虹と闇による万を超える消滅と蹂躙と凌辱を我慢しながら、異能<デュナミス>の出力限界を叩き壊すこと更に数億。
 生きながら引き千切れるような激痛と、己の体が己のものでないような感覚。それを踏み倒して、更に覚醒する。

 >>此処に改めて審判を下す。

 限界を超えた多重覚醒。
 イスマリアの狙いは唯一つ。
 アルティメット・イアンが深淵の間を叩き壊し、光を齎したように。
 ヴァンレッドが三千世界を焼き焦がす焦熱でもって暗雲を焼き払うように。

 >>革命の狼煙は上がり、此処に裁きが下された。

 まだだ、まだだ、まだだ――足りない。もっとだ、もっとッ!
 星を喰らう引力波。地上を超え、空を超え、次元を超えろ。

 >>処刑台は血に染まり、民衆の歓喜が木霊する。

 誓ったのだ――あの日、革命のためにこの身を捧げると決めたその日から。
 幸福も絶望も。兆を超える世界を何もかも踏み越えてでも、ただこの一つの未来を信ずると。

 >>故に! 此処に神の時代は終わり、人の時代が訪れる!

 アルティメット・イアンがブチ抜いた空の彼方。暗闇の空を突き破り、中世の影目掛けて落下する無数の光がある。
 それは紛れもなく――"隕石"。焦熱を纏った大小さまざまなそれらが、ただ一点を目掛けて飛来し叩き壊さんとする。
 イスマリア・ザルヴァトールの狙いはこれでしかない。
 光の速度、あるいはそれを超えた速度で回避できるのならば、最初から逃げ場など作らなければよい話。

 Execution Meteorite
「《新説・天の開拓者》――!」

 故に、身を蝕む激痛に歯を食いしばって耐え、"自身という星の引力のみで"スペースデブリをはじめとする外宇宙のそれらを捕えた。
 強烈な引力によってこの地球に引きずり込まれた星の雨。
 天翔けるアルティメット・イアンの飛び蹴りに追従するように――台風の目に吸い込まれるように、中世の影へと降り注ぐ。

>中世の影 アルティメット・イアン ヴァンレッド

1ヶ月前 No.1707

未来の影 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_o1k

【狭間世界/誰もいない邸宅/未来の影】

先程まで繰り広げられていた戦いが嘘であったかのように静まり返った、邸宅の室内。そこに佇む三人が織り成すのは、互いに傷付けあうことではなく、冷静なる対話だ。
未来の影が現れたのはそもそも、人類を粛清するためではなく、彼らが時空を乱したことの意味を知り、それを受け入れた上で進む覚悟があるかを確かめるため。
二人がそれを示した以上、彼女から積極的に仕掛ける意味はなくなったといえる。未来の影が向ける優しい視線は、まるで明日に挑む勇者達を見守るっているかのようだ。

「その通りだ。一つの視点で物事を捉えようとすれば、そこには必ず偏りが生じる。上に立つ者に求められるのは、少数派の意見からも良い点を取り入れ、生かす姿勢だ」

ダグラスの言葉を肯定し、語り掛ける未来の影。民衆を統べる者にとって、大きな参考となるのは多数派の声。その声に従い政治を行えば、大多数を満足させることが出来るだろう。
だが、それでは駄目なのだ、と彼女は言う。多数派の意見ばかりを採用すれば、そこには必ず、声を聞き入れられなかった少数派達の不満、不平といったものが募っていく。
それを放置し続ければ、いずれ爆発した彼らの感情によって、統治は崩れ去ることだろう。どんな小さな声でも真摯に受け止め、改善に務めることが、統治者に求められる資質なのだ。

「姉の求めているものは、貴方自身で探すことよ。心の距離を縮めれば、自ずとそれは見えてくるはずだわ」

フォルトゥナの言葉に対してはやや濁した返答となったものの、少なくとも否定はしなかった。ユーフォリアとの関わりを深めることは、確実に理解に繋がるからだ。
その中で、姉が求めているものが何であるのかを探していけばいい。幸いにも、二人はまだ若い。すぐに気付くことは出来なくとも、そのためには十分な時間が用意されている。
もう、あのような悲劇は決して起こらないといってもいいだろう。二人が姉妹である限り、その絆が切れることはないし、周囲の者達もそれを支えてくれるに違いない。

「貴方達なら、きっとどのような状況でも乗り越えることが出来る。どんな脅威が迫っても、絶対に希望を捨ててはいけないわよ」

そうとだけ言い残すと、未来の影は塵となり、虚空へ消えた。その瞬間、誰もいない邸宅の景色に変化が訪れる。荒れ果てていた室内が、途端に明るさを取り戻したのだ。
カレンダーは、現実世界と同じ日付。とはいえ、二人は未来世界へと飛ばされてしまった訳ではない。あくまでここは、先程まであり得たかも知れない可能性を映し出していた場所だ。
この現象が指し示すことは唯一つ。惨劇が起こる未来は、完全に排除されたということだ。フォルトゥナとダグラスの手によって、ユーフォリアが死んでいたという"正史"は消し去られたのである。
結果的に、改変が認められた形にはなるが、それによって幸せを掴める者がいるのであれば……それも、あながち間違った選択肢ではない、ということなのかも知れない。

>>未来の影@Chrono Crisis オリジナル フォルトゥナとダグラスの決意を認め、二人に助言を与えた後、消滅


>フォルトゥナ・インテグラーレ、ダグラス・マクファーデン
【お相手ありがとうございました!】

1ヶ月前 No.1708

リインカーネーション @genomirai ★xtwO2xCy4x_gaI

【狭間世界/時の墓標/魔剣士】


此の地は忘れ去られた可能性が集う場所、一つの土地として存在を保てるほどではなく、されど塵芥と等しくするには余りにも大きすぎる。この世界、統一されるは赤黒き空のみと言う中でも、より煩雑であった。
古代を思わせる巨大な木々が空と平行にその幹を伸ばしていれば、その先は薄暗い湿る洞穴へと続いている。僅かに視線を逸らせばとある機構の建物の残骸が見える。どれもこれも、古く寂れた遺された存在だ。
その一角、城塞の一部のみが聳え立つ残骸の頂点。そこに長剣を突き刺し、遥か遠くを眺める存在が居た。黒き重厚な鎧、僅かな傷すらない闇より昏きを身に纏う。血の匂いも、死の気配すら隠さずにただそこに居た。
風に流れる眩き黄金、混じる深紅すら霞むほどの輝ける金糸。常人に比べやや白い肌、それが朱き瞳を更なる美麗へと高めて尚、曇らせるものが魔剣士の身体を縛っている。それは鎖のようであった、無論ただのそれではない。
縛ると言う概念を表すに最も適当であるが故にそう見えているだけ、違う感性を持てばその身を縛るものはまた別のものに見えよう。そう、これは魔剣士を縛る為の物、この世界の主がそう定めたもの。
嘗ての匂いを辿りここまで来た、しかし此処に現るは時空の管理者、またはその手先。魔剣士がどれだけ飢えていようとも、この世界を管理する存在ならば幾らでも邪魔立ては出来てしまう。
それを防ぐが故にかの神の条件を呑んだ、その尖兵となり一部の力を封ずることを。己が力の一部を縛る事よりも、心昂ぶり悦に至る戦、まだ見ぬそれが余計な横槍で冷める事を魔剣士は嫌った。
更に言えば、力が削れた状態もまた一興。全力を出せぬ無念はあれど、全力を出して打ち合える歓喜に比べれば幾段も劣ると。若しや本当の意味で負けるかもしれない、あわよくば死ぬかもしれない、思えば思うほど悦が勝る。
魔剣士は強き者の血を求める、そこには自身も含まれよう。そしてこの空間が人間にとって、いや今を生きる存在にとってどれだけ有害かを理解している。ともなれば強者が集うのは道理、些細な条件などないにも等しいのだ。

「――――――感じる、が喰らうにはまだ惜しい。なれば、好き強きものを待つのみ。」

視線の先、嘗て負けたかの龍の匂いを魔剣士は感じ取っていた。勿論喰らうのは既定路線、為れどあの時から劇的に熟れている訳ではない。ならば今はまだ、待つべきだと判断していた。
それにこの世界の至る所で戦の匂いが漂っていることも感じ取っている、何処かへと襲い掛かるのも思考の内にはあったがあくまでも尖兵に過ぎない。その条件である以上、ただ待つのみが今の魔剣士に出来る事であった。
無論、癒えぬ飢えの中にいる魔剣士にとっては苦痛であることに変わりはない。だが同時に、まだ見ぬ強者の血に悦と昂ぶりを抑えられぬのもまた事実であった。僅かに微笑みを湛えている理由がそれだ。
仮に、仮にだ。この場に強者が現れなければ魔剣士が目指す先は一つ、この世界の主であり条件を言い渡した本人の下。間違いなく強者が集う、ならば格好の獲物だろう。魔剣士が抑える理由はない、それほど飢えている。

そう、その剣はまだ血を求めているのだ。

>>ALL


【ロケーションを捏造して配置ィ!敵が少ないと思い、それとなくね!】

1ヶ月前 No.1709

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_o1k

【狭間世界/幾何学都市/中央区/ユーフォリア・インテグラーレ】

量を重視した攻撃によって、敵の武器を機能不全に陥らせるというユーフォリアの作戦。成功すれば、一気に相手の戦力を削ぐことが出来たのだろうか、その考えは読まれていた。
豪快な啖呵を切ってみせたミシャールは、防御の手を一瞬止めたかと思うと、二つの大斧を重ねるようにして構えた。まさか、守りを捨てて特攻を仕掛けるつもりなのか?
自力で攻撃を回避し続ける相手であったが、次第に対応が間に合わなくなり、被弾する。変化が起きたのは、このまま火球と水塊が激突すれば大打撃を与えられるという、まさにその時であった。
接続音を響かせると共に合体した、二本の斧。ミシャールがそれを振るうと、周囲に雷が撒き散らされる。程度としては小さなものだが、ユーフォリアは被害を最小限に抑えるべく、虹のエネルギーをぶつけて雷を相殺する。

そうこうしている内に、敵はユーフォリアとヴァルガスの攻撃を叩き割り、一気に接近してきていた。身構えるユーフォリア。相手はそのまま斬り掛かってくる……と見せ掛けて、地面へと斧を振り下ろす。
衝撃と同時に解き放たれた、膨大な紫電。至近距離から放たれたそれはまさしく脅威であり、何らかの対処をしなければ、大きな痛手を負うことは間違いないだろう。
かといって、退避は間に合わない。ミシャールはそれをさせないために、接近してからの攻撃を選択したのだろう。残された手段は防御のみ。ヴァルガスは属性からして、恐らく相性が悪い。
ならばとユーフォリアは、敢えて一歩前に進み出てから、相手の攻撃を遮断するべく詠唱を開始する。当然、自ら攻撃へ接近したことにより、彼女の身体は雷に焼かれた。
肉が焼け焦げるような臭いが、辺りに漂う。雷に揉まれるユーフォリアは歯を食いしばり、耐えていた。そんな状態が数秒間続いた後、二人の眼前に巨大な土壁が展開された。
壁によって攻撃は遮られ、無力化される……が、彼女が受けたダメージは計り知れない。軍服のあちこちが焼け、口からは血を流しているその姿は、見るからに痛々しい。

「随分と自らの力に自信があるようね。けれど、行き過ぎた自信は、時に破滅をもたらす」

されど、闘志は失われてなどいない。雷が収まったことを確認した彼女は、一気にミシャールの懐へと飛び込んでいく。力と力の激突に、長期戦は不要。早い段階を決着で付けるべきだ。
地面へと魔力を送り込むユーフォリア。すると、ミシャールの足元から、無数の蔦が出現し、それらが彼女に絡み付いて行動を阻害しようとする。
とはいえ、強度は自然に存在する蔦と何ら変わりはないため、相手の実力を持ってすれば、対処するのは造作も無いことだ。しかし、この攻撃の狙いは、敵の注意を引き付けることにある。
ミシャールがそちらに気を取られた頃合いを見計らって、ユーフォリアが展開したのは虹色に光り輝く12本の槍。両手を広げた彼女の前に現れたそれの切っ先は、全て敵へ向けられていた。
ユーフォリアが片手を前へ突き出すと同時に、槍は回転し、複雑な軌道を描きながら、一斉にミシャールへと襲い掛かる。まともに全てを受けようものなら、一瞬にして串刺しにされてしまうことだろう。
足元の蔦に対応しつつ、槍も避けなければならないという状況。当然、蔦で自由を奪われればその時点で罪だ。余裕を誇示する敵の足を掬うべく、ユーフォリアは思考を巡らせる。

>マスターヴァルキリー、ヴァルガス・スターン

1ヶ月前 No.1710

緋焔 @zero45 ★pB1cyTl1jZ_gaI

【狭間世界/血塗られた島/深淵の間/ヴァンレッド】

 影が示唆する、"神"の如き超常なりし存在。時空断裂も、狭間世界の顕現も、総てはかの存在が引き起こした事象であると、結論は行き着く。所詮は人類の歴史も、厚顔無恥を極めた愚劣なる"神"とやらによって、塵の様に弄ばれる宿命にある。
 神の決定には何人であろうと逆らう事は叶わない、故に平伏す以外の選択肢はない。それが"現実"であると、全ては無駄な抵抗で終わるのだ、と。未来への歩みを止め、諦めさせるかのように、影はそう言い放った。

「通用するか否か、そんなクソ下らない"現実"など知った事かァァァァッ!」

 放たれる銀狼の真空波を掻き消し、エネルギー塊に白銀の刃を余裕の回避で影は躱して見せる。雷速の移動を為せば、それを遥かに超える光速で躱していく動作。未だ、その表情を塗り替える事は能わない。其処へと叩き込むのは、真紅色に輝く魔剣の連撃。一閃、また一閃と放つ斬撃は、しかし拳によって打ち消され、無力化されて行く。神はおろか、影にすら届かない、無情な証明が今、完了しようとしていた。
 だが、現実を打ち砕く一手が遂に行き届く。紅蓮の焔を囮に、引き伸ばした魔剣による一撃が、影の身体へと突き刺さり、一刀両断を為したのである。それでも尚、死に至らないのは、人外の為せる業か。大きく狼狽しながらも、膝を付いたまま、影は此方を見据えてくる。
 そして、次の一瞬に放たれた技が、間近となった決着を予感させる。森羅万象を漆黒に染める闇の力、森羅万象の具現たる虹の精霊。覚悟を試す最後の試練として此処に顕現したそれらを前にして、究極の銀狼は更なる"超覚醒"を巻き起こし、"超究極"の領域へと至る。人の意志を極限まで昂らせる漆黒の雷霆もまた、限界を払拭する覚醒を積み重ね、神の時代に引導を渡さんとする。

「そう言う貴様らは、"その程度"の様だなァァァァッ!」

 身を襲う激痛をも引き離す、一点特化の思考。ただ"敵"を打ち砕く、たったそれだけでありながらも、極めて剛き鋼の意志。枷を外し、限界を超える勢いで力を引き出した魔龍は、闇を跳ね除け、万物を司る虹すらも超越する真紅をその身に纏う。至る所から吹き出る鮮血は、死へと近づく身体の悲痛な叫び声。
 龍の両足は地を蹴る。刹那、爆心地の如くに大きく抉れる床。真紅の輝きが、轟音を響かせながら、一直線に影へと向かってゆく。そして、肉薄と同時に放つは、ただ一度の拳撃。
 そう、ただ"一度"。全身全霊を込めて放つ、究極の一撃に"二度目"はいらない。なぜならこれが、最も速く、最も剛く、最も重いのだから。

>中世の影 アルティメット・イアン イスマリア・ザルヴァトール

1ヶ月前 No.1711

水刃 @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【狭間世界/大雪原/ツバキ・オオトリ】

万象を呑み込まんと猛烈な勢いで剣士へ迫る激流。その激しさたるや、如何に歴戦の猛者であろうと、真っ向から受け止めるのは不可能。であれば自然、相対した者は迎撃に足る迎撃に出ねばならない。だが人数不利な状況で、一つに対しそれだけの意識(リソース)を割り振らねばならないと言うのは戦場に於いて致命的。故に、この悪条件の中、図らずも取れた二人の連携への対処で必然的に剣士の底力を推して知る事が出来るだろう。

――そして、剣士は氷の剣を"投げた"。文字通り、自身の得物の片割れを、あろうことか荒波目掛けて投擲したのだ。
剣は重力に従って放物線を描いて落下し、積雪に刃を突き立て深々と刺さる。そして次の瞬間、一際強い冷気と吹雪が"それ"を中心に吹き荒れた。
"それ"は迫り来る激流を瞬時に凍結させる。大波を写真に収め、一瞬を切り取ったかの様に、かの激流は瞬く間にその動きを止めた。
積雪に突き刺さった剣を引き抜き構える"それ"は、確かに敵対者としてツバキを認識し、静かに彼女を見つめていた。

「想定外だな」

眉一つ動かさず呟く。有利だった筈の戦況は、一瞬にして五分へと差を埋められる。
肌を刺す様な冷気は、近付かせるだけで体力を消耗する。手足の先が冷えれば技は精彩を欠き、致命的な隙を作り出す。そうでなくとも、体温を維持出来る許容範囲外の寒さと言うのは、ただそれだけで命を容易く奪うものだ。
余人ならば"それ"が放つ異様な冷気を警戒する筈だ。体力を奪わせないために近付かせまいと、遠巻きに戦うべきと思案するだろう。それが正答であるだろうし、そのための技術が無い者であるなら一度味方であるもう一人の女の元へ寄るべきだろう。――だが、彼女は違った。

「それだけだ」

退路を断つ様に放たれた氷針には目もくれず、"自から氷像目掛けて駆け出した"。振るわれる氷刃の一薙ぎ。それを、足先から水流を噴射する事で勢い良く跳躍し、刃の真上すれすれを掠めるように避けて見せる。氷像の頭上を、さながら滑氷の演技が如く舞う。
中空で身を翻し、左足だけを接雪させ氷像の背後に着地する。足首まで雪に埋め、それを芯に体を捻りぐるりと回転する。高々と右足を振り上げると、無防備な氷像の背目掛けて回転の勢いを乗せて大槌さながらに全力で踵から蹴り下ろす。


恐れは無い。悦びも無い。無私なる者へ手向ける感傷は、その女には欠片も無い。感じるのは目の前にいた獲物を遠ざけられた煩わしさと、彼の獲物が剥く牙の鋭さへの感心だけだ。

>>グランドナイト、ソレミア

1ヶ月前 No.1712

忠犬 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_o1k

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟/ロコ】

これは、アンナローズであってアンナローズではない。混乱する頭の中、ロコは必死にそう結論付ける。可能性世界、というやつであったか。未来からやって来た者は、歴史の改変についての話をしていた。
仮に今の自分達が、その上に生まれた産物であるとしたら……それが成される前の正しい歴史や、別の選択肢によって生まれていたかも知れない他の世界であってあるはずだ。
彼女は、そうした世界から紛れ込んでしまったのだろう。心を落ち着かせるべく、あれは自分の主人ではないのだと己に言い聞かせながら、ロコは相手の言葉に耳を傾ける。
アンナローズは、否、ファントムメサイアはロコの名前を知っているような素振りを見せるも、それを呼ぶことはなかった。それどころか、魔族を穢らわしい存在であるとまで言い切ってみせた。
それを聞いたロコは驚愕の表情を浮かべると共に、心の奥底で悲しみを覚える。目の前の彼女が生きていた世界では、やはり魔族は蔑まれて当然の存在であるのかと。
ああ、分かっている。中世においてもそうだった。ロコは、持ち前の明るさで、他人からのそうした視線を跳ね除けてきたに過ぎない。魔族は人類にとって、ずっと恐怖の対象であった。
だが、未来ではきっとそうではなくなっていることだろう。アンナローズの手によって、人類と魔族の間には和平がもたらされた。根付いてしまった感情をすぐに変えるのは難しいが、それは長い時間が解決してくれるはず。
ならば、自分のすべきことは何なのだろうか。ファントムメサイアにもそうした感情が芽生える可能性があるということに期待して、戦わずしてこの場を立ち去ることなのか?
いや、よく考えるのだ。ここは古代でも、中世でも、未来でもない狭間の世界。そこに呼び出された彼女に、常識が通用するはずがない。それを証明するかの如く、不意を突くかのように放たれる攻撃。

穏便に事を済ますと言っておきながら、ファントムメサイアはこちらが気を抜くであろう瞬間を狙ってきた。即座に石の要塞を作り出し、飛来する魔力波を防ぐロコ。
これで、覚悟は決まった。奴は自分の知るアンナローズとは、似て非なる者。故に、容赦の必要は微塵もない。ゲイルと清太郎も、反撃へと移った。自分も、行動を起こすべき時だろう。
とはいえ、どのように立ち回るのが正解なのだろうか。はっきりいって、自分の実力などたかが知れている。中級魔族程度の力では、敵に傷を負わせることすらも苦労するだろう。
無駄になりかねないことで時間を浪費するのであれば、確実に力になれる方法を選択するべき。ロコは自らの実力を弁え、攻撃に打って出た二人のサポートに徹することを選ぶ。

「お二人は私がお守りするのであります!」

彼女はそう叫ぶと、自分を含めた三人の前方に、淡く輝く防御壁を展開する。薄くとも、金剛石の如き堅さを誇る結界。それは、如何なる攻撃であろうとも受け止める絶対の壁。
これによって、ゲイルと清太郎は防御に時間を割くことなく、戦いに集中することが出来る。問題は、ロコが中級魔族であるが故に、その魔力で敵の攻撃を抑えきれるかどうかという点。
ファントムメサイアは、一人で魔帝城を血の海に変えてしまうような化物だ。生半可な心構えでは、確実に痛手を負わされることになる。力強い宣言をしたロコであったが、その内心は、緊張と重圧にまみれていた。

>ファントムメサイア、ゲイル・ベネルド、橋川清太郎

1ヶ月前 No.1713

エクセラ・ノア・アウラ @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=66hUEMgB70

『狭間世界/収容施設/エクセラ・ノア・アウラ』

空中に時空の穴が出来てからどれ程の時間が経ったのかは分からない。
エクセラが騒ぎを聞きつけて行動に移るが、彼女には飛行能力を持たない為、輸送機に乗り狭間世界に周囲より遅れる形で突入する。
突入に成功したエクセラはそのまま狭間世界を走り、駆けていく。
走っていくと、収容施設の様な場所にたどり着いた。
エクセラが以前任務で時間遡行装置を使って古代の時代に向かった時に見たものと、
今現在眼に映るものは何処と無くあの時代で使われていたものに似ている気がする。
あの時は観光気分とかではなく、現地に到着してすぐに戦闘に行った為、施設はしっかりとは見ていない。
そして今エクセラが見ているものは幻影の様で、彼女が触ろうとしてみるが触れることができなかった。
幻影とはいえ、数え切れない程の人間達が詰め込まれていたおり、離れた場所には見張りの者の姿もあった。
恐らくあの者達は以前古代の時代で二人の味方とエクセラを合わせて三人と戦った女帝がそうする様に命じたものであろう。
エクセラ自身も思い当たるものがあるのかそれとも別の何かか、彼女はどこか心苦しそうであった。手に少しばかり力が入る。

「(心:同じ事は繰り返させない。悲しむ者を出さないために)」

エクセラはそう心に決め、収容施設を進んで行こうとした。

>>ALL

1ヶ月前 No.1714

鋼鉄 @sable ★Nu0sy7yXcR_keJ

【狭間世界/幾何学都市/中央区/ヴァルガス・スターン】

 自慢の得物を称賛される喜びに、ミシャールの口角が吊り上がる。柔和な笑みなどではなく、好戦的な感情に満ちたそれは、覇者にのみ許された表情と言っていい。非常に悔しいが、我々は押されっぱなしだ。単純な力の面でも、技量に於いても、遥か上を行かれている。
 せめて何か一つでも、彼女を上回るステータスがあればいいのだが……ここはユーフォリアの考える策に合わせる他ない。属性的な相性の不利を抱えた自分が出張っては、連携の崩壊はおろか、最悪の場合敗北の原因と成り得る。現状には歯痒いものを感じずにはいられないが、ここは我慢だ。
 そうして手をこまねいている内に、頼みのユーフォリアが手痛い一撃を喰らってしまった。先程自分が受けた火傷とは比べ物にならない重傷。立ち込める匂いは、紛れもなく肉が焼き焦がされる時のそれである。武器を破壊し流れを手繰り寄せる作戦も、斧と斧を合体させるという奇策の前に潰えてしまった。
 そんな痛打の数々にも怯まず、築き上げるは大地の要塞。あらゆる属性を網羅しているというユーフォリアの優位性が、目に見える形で現れたと言ってよかろう。水属性の自分では手に余る電撃も、全て阻まれて消滅した。これ以上彼女の手を煩わせるわけにはいかない。年下の女性の世話になりっ放しなど、鋼鉄の名が廃るというものだ。故に、肉薄という禁忌を敢えて犯す。

「ならばこれが……ヴァルガス・スターンとその名刀!」

 ミシャールのセリフに呼応するかの如く、名乗りを上げて懐へ飛び込む。名刀とは名ばかり、連盟支給のレーザーソードに過ぎない。とはいえ未来の兵器、性能は十分なはず。本当の問題は"今この状況下で接近戦を挑んでいる"という点に他ならない。ミシャールに肉薄する危険性はもちろんのこと、ユーフォリアが放った虹の槍に被弾してしまう可能性すらある。
 だが、今を逃せば二度とチャンスは来ない。そう強く確信しているからこそ、危険を承知の上で動く。蔓とヴァルガスへの対処を同時にこなすとなると、より地上の脅威への対処に気を取られやすくなるはずだ。ユーフォリアの目論見が上手くいく可能性を高められる。決意と共に踏み込むや、プラズマの光刃を何度も振るって斬りつける。加えて超高出力の水流を幾本も差し向け、蔓の隊列に加勢させることで対処を困難なものとし、拘束を後押しする。
 失敗、即ち死。成功しても生還の保証はない。それでも構わない。結末を知らなければ魔道に堕ちていたこの身など、世界の平穏のためなら喜んで捧げよう。

>>マスターヴァルキリー、ユーフォリア・インテグラーレ

1ヶ月前 No.1715

中世の影 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_o1k

【狭間世界/血塗られた島/深淵の間/中世の影】

神が人に与えし試練。それぞれの時代で彼らが犯してきた罪を象徴する影。"大層なご都合主義"は、そうすることによって、人類が己の罪を認識した上で、消し去られた正史や可能性世界の重みを背負う覚悟があるかを試そうとした。
古代の影、そして未来の影は、まさしくその役割を果たしたといえるだろう。両者と対峙した者達は、僅かな心の乱れこそあれど、影を納得させる形で自らの覚悟を示してみせた。
しかし、中世の影は、もはやそのような展開など望めない戦いを繰り広げている。挑戦者達が選んだのは、彼女の話を聞き入れることではなく、徹底的に否定し、叩き潰すことであったからだ。
そうなった以上、本来であれば中世の影が負けることはないはずであったのだが、実際はどうだろう。現在、戦闘を有利に進めているのは挑戦者側であり、彼女は劣勢に立たされている。
何故、このようなことが起きているのかは定かでないが……一つだけ確実なのは、想定とは異なる形ではあれど、三人の抱く覚悟が、影の身にも伝わっているということだろう。だからこそ、中世の影は狼狽えつつも、方針を変更したのである。

全てを塗りたくる漆黒と、万物を象徴する虹の精霊が迫り来る中、まずはじめに動いたのは銀狼だ。彼女はこれだけの猛威を前に、自らそこへ突っ込むという行動に出た。
当然無事では済まされず、イアンは瞬く間に無残な姿となってしまうが、死には至らない。深淵の間を包み込んだ強烈な光と共に、銀狼は覚醒の時を迎えたのである。
究極の一番星がなす、白銀の暴風に、中世の影は為す術もなく取り込まれ、その身体を浮かせる。激しく地面に叩きつけられてもなお、彼女は立ち上がるが、その時にはもう、次の攻撃が迫っていた。

穴の空いた天井、その彼方にある空から降り注ぐ隕石。無数に飛来するそれは、全てが一点……中世の影の元へ結集する。イスマリアが呼び寄せた星の雨が、中世の影を焼く。
逃げ場など、ないも同然であった。膨大な質量のそれを身体一つで受け止めた中世の影は膝を付き、肩で大きく息をしている。傷は相変わらず一つもないが、明らかに体力は減衰し始めていた。

そこに追い打ちを掛けるかの如く、ヴァンレッドが迫る。高速で敵へと肉薄した彼が放ったのは、飾り気のない、たった一撃の拳。だからこそそれは重く、強い。
一切の無駄がない打撃に、中世の影の肉体はまるで紙であるかのように浮かび上がり、そのまま猛烈な勢いで後方の壁へと叩き付けられた。衝撃で城が揺れ、瓦礫が落ちる。
もはや立ち上がる力すらも残っていないのか、地面に倒れ伏したまま動かない中世の影。あれだけの攻撃を受けても、その身体に傷が刻まれることはなかったが……代わりに一部が、粒子となって消滅し始める。

「……そうか。試すまでもなかった、ということか。お前達は、疾うの昔に―――」

そこまで言ったところで、彼女の身体は霧散し、塵と消えた。今この瞬間、三時代全てを象徴する影が、消滅を迎える。
後に控えるのは、人類を遥かなる上空より見下す"神"、ただ一人。人類の歴史は、まだ終わらない。彼らが覚悟を持ち続ける限り、これからも続いていく。―――最後に残った最大の試練を、乗り越えられればの話だが。

>>中世の影@Chrono Crisis オリジナル 対話を放棄した三人がはじめから持っていた"覚悟"の力に敗北、消滅


>アルティメット・イアン、イスマリア・ザルヴァトール、ヴァンレッド
【大変お待たせしてしまいました。お相手ありがとうございました!】

1ヶ月前 No.1716

Another Messiah @zero45 ★pB1cyTl1jZ_gaI

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟/ファントムメサイア】

 否定する理由も、否定される理由もない。互いに刃を収めて衝突を避け、踵を返す事こそ最善の選択である。その忠告が意味している物、それは断じて相手を慮らんとする意志ではない。
 可能な限り、手っ取り早く相手を始末したいが為と言う、邪悪なる意志の表れだ。穏便に事を済ませられると結論付けて、一瞬でも気を緩めようとした愚か者を、嘲笑いながら死を授けてやれる瞬間を彼女は待ち望んでいる。
 果たして、目の前の三者が見せる反応はどうか。彼女の思惑通りに無抵抗の隙を曝け出すか、或いは口車に乗せられずに開戦へと踏み切って来るのか。真っ先にその答えを示したのは、若き疾風の騎士であった。

「……身の程知らずめが。その程度の攻撃、見切れないとでも思ったのか?」

 鮮血を思わせる真紅の魔剣を右手に顕現させ、薙ぎ払うと共に放たれる斬撃波。抵抗する意志が無い事を前提としての不意打ち故、威力は極めて抑え気味であり、石の要塞に防がれた事に何ら疑問を抱く事はない。其処へ間を置かずして、光を置き去りにする超神速の絶技が迫り来る。傍らを過ぎ去る刹那に振り抜かれる細剣。それは、疾風の極致を具現する一撃。
 されど、その領域を過日に踏破し終えた魔人にとって脅威には成り得ず。嘲る様にして笑みを浮かべながら、同等の速さに合わせる様にして魔剣を振り払い、迫る薄刃の軌道を逸らす。間髪置かずに続く、噴射炎による推進を伴いながらの剣閃。だが、袈裟の軌道が始まらんとするその刹那、魔力を帯びた左手で刃の動きを掴んで抑え、難なく左方へと移動して攻撃を退ける。

「結界か……だが、手を煩う程ではない。打ち砕かずとも、すり抜ければ良いだけの話だ」

 攻勢に加わらず、支援に徹する事を選んだ魔族の少女は、其々の前方に淡い輝きを放つ結界を展開した。強度を試した訳ではないが、破壊するには少々手を煩う代物である事は窺える。だが、それも魔人の前では無駄でしかない。
 全身に纏い始める淡き輝き。それは、奇しくも結界と完全に同一であり――刹那、一瞬の煌きだけを残して彼女の眼前へと躍り出る魔人。右手に握る真紅の魔剣が高く掲げられ、振り下ろされ……結界と接触を果たす。本来であれば、其処から始まるのは衝突、そして異なる力同士の攻防。脅威を結界の内に入れまいとして、激しく火花を散らすのが当然の成り行き。
 しかし、刃はいとも容易く結界を越え、少女の身体を切り裂くべくして軌道を描き出す。この時、彼女は既にその理由に気付いている事だろう。結界と同一の淡き輝きが、魔剣の刀身にも帯びている光景に。結界を維持している魔力との波長を合わせる事で、突破してきたという事実に。

「まずはお前から死をくれてやる……だが、安心しろ。すぐにお前の主人も後を追わせてやる、特別にな」

 一閃。それを合図に続くは五つの剣閃。結界を擦り抜けて放たれる斬撃は只管に速く、そしてほぼ同時と言っても過言ではない程の間隔で行われる。剣閃が三つ煌いた時、魔人は死を確信する。残る三つは、間違いを避ける為の念押しだ。
 六度目の斬撃を放ち終えるや否や、少女へと背を向ける。推測で彼女の生命が途切れるであろう寸前を見計らってから、これからの行動を宣言して。それから、緩慢とした歩調で残る二人の方へと歩いて行きながら、その視線を向ける。とうに不要と断じたのか、後方に対する警戒はせずに。

>ゲイル・ベネルド 橋川清太郎 ロコ

1ヶ月前 No.1717

全盛期 @kyouzin ★XC6leNwSoH_o1k

【狭間世界/幾何学都市/中央区/マスターヴァルキリー】

凄まじい電力を蓄えた大斧が地面に叩き付けられた雷が視界を染める。
幾ら相手がそれなり以上の実力を持っていると言っても、これを受けてはただでは済まないだろう。 少なくとも、この時代のミシャールはまさに負け知らずの無敵の存在であるために、その経験上これをどうこうできる者など世界に存在しない、そんな考えすらもあった。
その予想は、ある意味で正しいという事だろう、雷が視界から消える頃には、そこには服は焼け、皮膚を見れば受けたダメージの甚大さは明白だ。
それでも、その様子から、いや「死んでいない」時点で、ミシャールからすれば、直前に何らかの防御手段を使ったのは透けていた、今までこの攻撃を行えば、無防御であれば確実に蒸発していたと言う知識もそうではあるが、それ以上に後ろのヴァルガスがほぼダメージを受けていないのが大きな判断材料となっていた。

さて、そんな痛々しい姿であるが、それでもユーフォリアは戦意を失っていないらしく、挑発めいた言葉をこちらに掛けて来る。
ミシャールの眼球がぎょろりとユーフォリアの顔を見る、そしてミシャールは顔を抑えゲラゲラと笑う。

「当然だろうがよ、アタシの居た場所にはお前らの足元にも満たないような雑魚共しか居ないんだから、この程度の自信持って当たり前なのさ。 破滅ねえ、アタシはまだ追い詰められたなんざ一度も思っちゃあいないもんでね!!」

ユーフォリアの言葉に対して、ミシャールはそんな風に返答した。
一見慢心にまみれた発言に見れるが、それは事実でもある、彼女の時代には確かに、他に目立った能力者という者が居らず、ほとんど彼女がただ無双しているような状態であったため、このような性格が形成されるのは当然の事なのだ。
そして続けざまに放つ強気な言葉、そして再び撒き散らされる雷電。

だが、そこに飛び込んでくる者がいる、先ほどユーフォリアに守られたヴァルガスだ。

「はんっ! 良いじゃあないか、そういうノリは嫌いじゃあないよ、このミシャール・ルクセンが正面からぶっ潰してやる!!」

彼は何度も光剣をこちらに向けて振るってくる。
だが、ただの連続攻撃でどうにかなるほどミシャールと言う人物は弱くは無い、大斧と言う取り回しに難がある武器でありながら、長物と言う特徴を使って、柄の部分すらも受けに使って、何度も相手の攻撃を弾き、そして時には手に仕込んだ毒針を至近距離から発射して攻撃すらも試みた。

そんな斬りあいをしていれば、ユーフォリア側が無数のツタを展開して、こちらに絡みつかせようとし、ヴァルガスもまた、それを支援するように水による攻撃を仕掛ける。

「チィッ、小賢しい……!! こんなも――しまったッ!!」

その拘束を狙った攻撃に、ミシャールは容易く対処するが……ある一定の所で、一気に動きが鈍った。
ちょうどのその瞬間、水流の一つが直撃したのだ。

そして力が弱った所で蔦が絡みつくが、最初は簡単に振り払われるも、そこにさらに水流が殺到して彼女の力を奪い、結果として蔦に自由を奪われ、斧を落とすという醜態を晒すことになった。

まさに、相手からすれば千載一隅の好機。
既に彼女の腕や足はまともに使える物には見えず、武器も手元から離れ、詰みにしか見えなかった。 だから、ユーフォリアが放った槍は彼女に突き刺さり、勝負が決まる。

ように思えたその時。

「なんて思ったかこの馬鹿共がッ! こういう手を使わせたのは褒めてやるが、所詮そこまでだ!!」

彼女が触れても居ない大斧から電流が撒き散らされる、とは言え、それは普通の遠隔操作機能だろう。
撒き散らされた電流は、引き分けを狙うように敵に向かう……のではなく、まさに虹の槍が向かうミシャールの方へだった。

勿論、それは攻撃だ、ミシャールの体に電流が直撃し、小さくないダメージが彼女に入る。
だが……当然、かなり高出力な電気を流し込んだために、彼女を縛っていた蔦は、その効力を失った。

見える皮膚は焼け、それこそユーフォリア、あるいはそれ以上に酷い状態にありながらも、向かってくる12本の槍をあの大斧を使う事も無く、仕込んでいた鉤爪と言った暗器で往なしてみせる、だが、それも完全な物ではなく、一部は確かに彼女の身を裂いていた。

それでも彼女は動き続ける、そして、一通り捌き終われば、斧を拾う訳でもなく、超重量の武器を捨てて身軽になったのを生かして一気に敵に接近し、そして。

「吹っ飛びなあァッ!!」

服から撒き散らされるのは所謂手榴弾、彼女すらも爆風の範囲内にいるというのに、ミシャールは一切の躊躇無く、ヴァルガスとユーフォリアを巻き込むように大量の手榴弾を地面に落とし、そして、そのまま地面を蹴って離脱した。
勿論、この間相手も離脱する時間は少しだけある、しかし、それすらも彼女は許さず、二人の逃げるルートを予測して、クナイや毒針と言った投擲武器を使って敵を爆発の範囲から逃がさない。

そう、彼女は大斧など無くても、十分な戦闘能力を発揮できる身体能力と狡猾さがあった、"マスターヴァルキリー"など大層な名ではなく、彼女は手段を選ばず敵を抹殺する"狂戦士"なのだ。

>ユーフォリア ヴァルガス


【次辺りで終わらせるので、トドメの攻撃、あるいは生かすなら拘束攻撃なりどうぞ!!】

1ヶ月前 No.1718

亡国の末裔 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_o1k

【狭間世界/大雪原/ソレミア・ラガルデール】

あくまで危機に陥っているのはこの世界である以上、ソレミアはグランドナイトの住まう世界に影響が及ぶことはないと判断を下したのだが……彼女はどうやら、この状況を作り出した者を信頼していないらしい。
無理もないだろう。あちらには、あちらの生活があったはず。それをいきなりぶち壊され、あり得たかも知れない理想の未来の形としての役割を求められたのだから、疑心暗鬼にもなる。
それを止めるのは、自分達の役目だ。巻き込まれただけの彼女に、そこまでの重荷を背負わせる訳にはいかない。だからこそソレミアは、この戦いに勝たなければいけないと強く認識する。

水流と大量の武具による攻撃。異なる性質を持つ二つの攻撃は、的確に敵を追い詰めていくかに思われた。しかし相手はまだ余裕だと言わんばかりに、アイスソードを投擲してみせた。
旗から見ればそれは、自分から武器を一つ捨てるという自殺行為だ。だが、あの剣の形状、そして氷という属性……どこかで見たことがあるような既視感に、ソレミアは不安を抱く。
そして次の瞬間、それは現実のものとなった。突如として吹き荒れる、強烈な吹雪。その中に佇む人影を見たところで、ソレミアは今まで抱き続けていた既視感の正体を知る。
あれは……間違いない。ギラードだ。あの剣は、彼の持ち物であったのだろう。徐々に劣勢に追い込まれつつある中、グランドナイトはそれを召喚することで、形勢の逆転を図ったのだ。

「分断……私も打って出なければならないようね」

ギラードはツバキを狙った。よって、ソレミアを狙って接近してきたのはグランドナイトだ。彼女はフレイムタンを構え、炎を撒き散らしながら斬り掛かってくる。
それ自体は対処の難しい攻撃ではないのだが、荒れ狂う炎がとにかく厄介だ。これがあることによって、たとえ防御したとしても、その身を焼かれることになってしまう。
同じ結果が待ち受けているならば、とソレミアが選んだのは、敢えて前進することであった。当然、負う傷はかなりのものとなるが、相手の虚を突き、奇襲を仕掛けることが出来る。
両手に作り出された、白金……つまりはプラチナの双剣。黄金を超える輝きを放つそれが、衝撃波を伴って襲い掛かる。防御を捨て、攻撃のみを考えた一撃。逃しはしない、確実に相手の体力を削り取るべく、亡国の末裔が迫る。

>グランドナイト、ツバキ・オオトリ

27日前 No.1719

疾風 @sable ★Nu0sy7yXcR_keJ

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟/ゲイル・べネルド】

 驚愕。とにかくその連続だった。『ミストラルフィニッシュ』は神速の極致。抵抗はおろか反応すら許さない超神速の一閃。不意打ち気味にこの絶技が炸裂したとき、言うまでもなく魔人の死を確信していた。細剣が肉を裂く感触を、深緑の風に舞う鮮血を、当然のことと捉えていた。
 慢心があったわけではない。シチュエーション、技の完成度、そして何より心構え。全てが完璧だったはず。その上でいとも容易く凌がれたとなれば――自ずと答えは見えてくる。

 単純に、魔人が"上を"いっていただけだ。

 鍛錬を重ねて手にした超神速も。魔道の剣士に引導を渡した絶技も。全て、魔人にとっては既知の領域。通過点に過ぎない。この瞬間、己にとっての信条たる速攻戦術は破綻した。

「くそっ……」

 続く青年の攻撃も通らない。噴炎と機器の後押しを受けた剣閃は、生半可な防御など意味を成さない、一撃必殺の重撃。『ミストラルフィニッシュ』と正反対の性質を持つ故、淡い期待を抱いていたのだが……やはり魔人が一枚上手であった。
 速度に重きを置けば動きを見切られ、一撃の破壊力を重視すれば、彼我の如何ともしがたい力量差を思い知ることになる。ロコが展開する結界に至っては、防御はおろか競り合いすらなしに突破を許していた。
 拍子抜けしてしまうような展開。だがロコに落ち度があったわけではない。魔人の剣閃に宿るは、結界と同一の淡い輝き。これが無力化の種明かしだ。
 張り巡らされた攻防の全てを一蹴するや、魔人はこちらへ緩慢とした足取りで歩み寄る。追撃の手を打つこともなければ、背後のロコからの反撃を警戒することもない。

「命取りになるぞ」

 圧倒的な力に緩み切った佇まい。他でもない油断がヤツを滅ぼす。そう信じることで、勝利への希望を棄てない。魔人が後方への注意を怠っていることに気付くや、次なる手を打つ。
 速攻が不可能と分かったのなら、直ちにもう一つの策に切り替える。即ち、数押しだ。防御の手薄な背後に魔法陣を複数展開し、無数の風属性弾で以て攻撃する。
 さらに自身も果敢に飛び込み、限界速度を以て幾度も斬りつける。自らの放った弾に被弾する危険性も孕んでいるが、今はなりふり構ってなどいられない。
 勝利の可能性が潰えてしまう前に、全力を尽くす他に道はない。共に戦ってくれた連盟のため。これから手を取り合って生きる魔族のため。そして何より、一生を捧げると誓った王国のために。

>>ファントムメサイア、橋川清太郎、ロコ

25日前 No.1720

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟/橋川 清太郎】

(……! 僕達を援護してくれるのか)

少女へ肉薄する途中、突如として出現した魔力反応に少し面食らう。どうやらロコが防護フィールドを作り出したようだ。これは心強い、如何にSwordPackが堅牢といえど限界はある、スーツが破壊されれば自分の戦闘力はほぼ皆無なのだ。その点において彼女の支援は有り難かった。

「ば、馬鹿な!?」

なんと少女は魔力を纏わせただけの素手で受け止めてみせた。てっきり回避や防御魔法やらで対処すると思い込んでいたため、呆気に取られてしまう。
次の瞬間、彼女はロコの目の前に神速で移動し、血液を思わせる色彩の剣で魔導障壁の突破を試みた。
ここでまたも驚くべき事態が起こる。障壁は防御ファクターとしての機能を果たさず、まるで存在しないかのように剣の侵入を許してしまう。一体どういうことか。答えはすぐにHUDが示してくれた、少女側の魔力素子の結合パターンがロコのそれと完全に同一なのだ。成る程それならば魔力素子同士を同調・中和させ、相互干渉による接触阻害を防ぐことができるだろう。

(って関心してる場合じゃない!)

今は奴を倒すことに集中しなければ。ロコへ注意が向いている間に少しでも何らかの準備をしておくべきだ。
手に持っているMirageAttackを格納、MirageBlowへ持ちかえる。比較的大振りなこれなら当たり負けの恐れは少なくなるが、同時に見切られ易くなる可能性も孕んでいる。しかし考え込む時間はない、多少のリスクは無視してでも攻勢に出るべきだ。
ナノマシンで制御された液体金属が刀身を形作る。その形状は、巨剣。長大かつ肉厚なそれは現行型機動兵器の装甲すら斬り潰せるだろう。
ゲイルの方も再び攻撃を行う。今度は風魔法……変性空気圧弾を交えての猛攻である。その挙動に若干焦りの色が見えるが、それも無理からぬことか。寧ろいち早く次の手を打った判断力の高さを称賛すべきだ。
空気弾は少女の後方から、彼自身は目にも止まらぬ連続斬撃で攻め立てる。ならば、

「僕は上から……っ」

言うが早いか、パワーに任せて高く跳びあがる。洞窟の天井に衝突しないようバーニアで微調整し、少女に向かって降下を開始。圧倒的な位置エネルギーの恩恵はそのままに、巨剣となったMirageBlowを降り下ろす。
今度はマッスルモーターだけではない、落下の勢いと質量を存分に乗せた剛撃。先程と同じようなやり方で防げば、たちまち腕がひしゃげるだろう。

>>周辺all

25日前 No.1721

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_o1k

【狭間世界/幾何学都市/中央区/ユーフォリア・インテグラーレ】

ユーフォリアの言葉に対するミシャールの返答は、まさしく傲慢を具現化したと称するのが相応しいものであった。彼女は、自分のいた場所には雑魚しかいないと語り、己の態度をあくまで正当化してみせる。
とはいえ、二人掛かりでも挑んでも、ここまで苦戦を強いられる相手だ。追いつめられたことなどないというのも、あながち間違いではないのかも知れない。
それでも、ユーフォリア達は勝利を掴み取る必要がある。ここで敗れれば、世界は正史の逆襲によって塗り替えられ、今この時を生きる全ての存在が消滅することとなってしまうからだ。
かといって、余計な時空改変を起こさないためにも、この場でミシャールを殺してはならない。何と、難しい条件なのだろう。思わず悪態をつきたくなるほど、制限が多すぎる。
如何にしてあの狂戦士を無力化するかをユーフォリアが思案していると、先にヴァルガスが動く。幾度も振るわれる光の剣、そして間髪入れずに飛来する高圧の水。
更に、足元からは彼女の動きを封じるべく、蔦が絡み付く。完璧と言っても過言ではない連携。連撃の果て、遂にミシャールの手から、斧が離れ落ちていく。
このまま行けば、虹の槍が敵の身体を貫くはず。そこまですれば、さすがのミシャールとあれども戦闘続行は不可能だろう。ユーフォリアとヴァルガスの元へ、勝利が転がり込む。家に思われた、その時―――

そこでミシャールは、捨て身の戦法に出た。遠隔操作で操られた斧から撒き散らされる電流。それは二人に向けてではなく、発動者である彼女自身へと向けられていた。
狙いは考えずとも分かる。敢えて自らの身体に攻撃を当てることによって、脱出を図ろうとしているのだろう。高圧の雷に焼かれた蔦は、瞬く間に力を失い、地面に落ちる。
自由を得たミシャールは、隠し持っていた鉤爪を用いて、迫り来る虹の槍を撃ち落としていく。全てを捌き切れた訳ではなかったが、大幅にダメージを軽減することには成功していた。
あのような行動に出た以上、当然相手も無傷では済んでおらず、かなりの重傷を負っているようであるが、戦意は衰えていない。あくまでミシャールは、こちらを殺すつもりで挑み掛かってくる。
身軽となったミシャールは急接近から、ユーフォリア達へと向けて手榴弾を投げ付けてくる。この距離で起爆すれば彼女も巻き込まれるのは確実だが、もはや形振り構わずといったところか。
離脱のための時間が残されていない訳ではない。されど、そのための道はミシャールが投擲する暗器によって塞がれている。安全を優先のであれば、まずは防御に徹するべき状況。
しかし、そのようなことをしていては、ミシャールに立ち直る余裕を与えてしまう。戦闘も終盤に差し掛かっているこの局面、僅かなチャンスであろうとも、無駄にすることは出来ない。
ユーフォリアは大量の手榴弾を前に突撃し、一気に敵に肉薄する。爆風によって、更に多くの傷が彼女の身体に刻まれ、口からも血が滴り落ちている。限界は近い。
もし、この一撃でミシャールを止められなければ、敗北は決定的なものとなるだろう。ユーフォリアは身体の中に残存する余力を結集し、膨大な魔力をその手に蓄積させていく。

「私達には、掛け替えのない、この時空を護る使命がある。それを果たす時まで、倒れる訳にはいかない」

刹那、溢れ出す光。暖かくも厳しい虹の光が、この場にあるもの全てを包み込んでいく。それは、ミシャールへの攻撃を行うと同時に、ヴァルガスを護る盾としても機能していた。
本来は、悪しき存在を完全に滅するための一撃であるが、今回は事情が違う。ユーフォリアは"敵であって敵でない"ミシャールを無力化という形で倒すため、殺意を込めずにそれを解き放った。
たとえ為す術もなくこの光の中に呑み込まれることになったとしても、相手が死ぬことはない。それでも、甚大なダメージを受けるのは間違いなく、成功すれば確実に戦闘不能へ追い込むことが出来る。
攻撃を終えると同時に、悍ましい量の血を吐き出し、片手と片膝を地面につくユーフォリア。もう一方の手は、自らの心臓がある部分に添えられている。呼吸は激しく乱れており、今意識を保っていることが不思議なくらいだ。
ミシャールを倒し切れなければ、詰むのはこちら。己の全身全霊を懸けた虹色の光が、無機質な狭間世界を極彩色に染め上げる。

>マスターヴァルキリー、ヴァルガス・スターン
【大変遅くなりました。最後の攻撃は、あくまで無力化を狙ったものです】

21日前 No.1722

鋼鉄 @sable ★wJJGLujVxp_keJ

【狭間世界/幾何学都市/中央区/ヴァルガス・スターン】

 狂戦士。それこそが若き戦乙女に相応しい肩書である。戦場を駆ける彼女は、間違いなく狂っていた。溺れていた。そうでなくては冷静さを保ってなどいられない。槍に身体を貫かれ、悲鳴をあげない者が他にいるだろうか。武器を失い、酷く傷ついた四肢を引きずってなお、底知れぬ恐怖と覇気を感じさせる威容。ミシャール・ルクセンの何たるか、口を開かずとも雄弁に語ってくれる。
 既に常識を覆すような攻め手の数々を味わったからこそ、規模こそ不明なれど"最後っ屁"があるだろうという読みがあった。その甲斐あって放出された電流には反応できたのだが――その用途までは図ることが出来なかった。
 あろうことか眼前のミシャールに電撃が命中し、心身共に強い衝撃を感じて後ずさる。奇行の謎はすぐに明かされた。肉を切らせて骨を断つとはこのことか、甚大なダメージと引き換えに絡みつく蔓は全て焼け落ちた。ユーフォリアも相当な痛手を負っているが、ミシャールはその比ではないらしい。いい加減に決着の瞬間が訪れてもいい頃だ。

「そうまでして……!」

 得物を手放し身軽になるや、一気に肉薄。巻き添えを食う危険すら省みず、手榴弾がばらまかれる。能力者同士の戦いの影に隠れているが、紛うことなき殺戮兵器である。一発でも至近距離で喰らおうものなら、肉を吹き飛ばされ死に至る殺傷力。そんな死の暴風に飛び込むユーフォリアの背中には、在りし日のラファエレ・インテグラーレと同じ覚悟の二文字が浮かび上がっていた。
 彼女が解き放つまばゆい光は、二極の効力を持つ完全無欠の布陣を築き上げる。敵には生殺与奪も自由自在。味方にもたらすは絶対の護り。厳しさと温もりを兼ね備えた防護が、あらゆる脅威からの遮断を約束する。しかし、安全圏から眺めているだけでは好転などするはずもない。己もまた彼女の後を追い、危険を承知で羽ばたかなければならないのだ。
 防壁の中、僅かな時間で策を練り、残る魔力全てを以て攻勢に出る。これで最後。泣いても笑っても決着となる。目的は制圧。それ以上でもそれ以下でもない。殺めることはなくとも、行動不能に追い込む。極めてシビアな線を攻めることになるが、今は己の力量と天運にかける他ない。ユーフォリアというこれ以上に無く頼もしい相方に恵まれ、本領を発揮するためのお膳立ても十分すぎるほど。

 ここでしくじれば、鋼鉄の名が廃るというものだ。

「ぐおおおおおっ……!!!」

 突貫。強行突破に身体が軋む。どこぞの司令官の水膜が"やり過ごす"ためのものなら、彼のそれは"和らげる"ため。如何に苛烈な責め苦であろうと、重厚かつ途切れることのない水を介せば失速するというもの。もし己の力量を遥かに上回る攻撃を受けたとしても、初めから和らげる狙いの方がダメージは少なく済ませられる。
 ただし飛び道具の数々に関しては、対処が追い付かず被弾を余儀なくされる。毒針こそ間一髪回避できたものの、クナイは背中や大腿に深々と突き刺さる。流れ出す鮮血は、あくまで致命傷を免れたに過ぎないことを物語っていた。そうして息も絶え絶えになりながら突破に成功するや、総力を結集しての一撃を叩き込む。

「アビサルインパクトォォォォォォッ!!!!!!!!」

 振りかざす右掌より発せられるは、深淵を彷彿とさせる蒼黒の波動。解き放つ。天地万物森羅万象、ありとあらゆる生命を飲み込む大海の怒りを。威力に関しては手を抜くまでもない。今の自分の全力で以て、やっと撃破に届くか届かないかだ。
 この大津波に呑まれれば、万に一つも反撃の機会は訪れない。押し流されないよう、溺死しないようにもがくのが精いっぱいのはずだ。今はただ成功と勝利を願い、出し惜しむことなく力を注ぎ込む。何よりも愛した未来世界のために。

>>マスターヴァルキリー、ユーフォリア・インテグラーレ


【大変遅れてしまいました。申し訳ないですT T】

16日前 No.1723

全盛期 @kyouzin ★XC6leNwSoH_o1k

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15日前 No.1724

理”想”の騎士 @kyouzin ★XC6leNwSoH_o1k

【申し訳ない! 完全に絡みを忘れており、投下が遅れてしまいました、次で終わらせます!】

【狭間世界/大雪原/グランドナイト】

想定外の氷魔の出現に、相手は改めて連携を取るために近寄っていく様子は無い、いや、それが合ったとしても、後ろから攻撃を浴びせれば良いだけなのだが……となると多少の問題が出てくる、あくまで自分が使役する氷魔像は"厳密には本人"でないと言う事だ。
既にアレは力を失いかけていた所を、残った力を自分に刀と言う形で託した物、故に、間違っても単騎でソレミア、ツバキのどちらかと渡り合える物ではない。
だからこそ、一箇所に集めるように仕向けて、最大の攻撃で一層するべき、そう考えていたのだが……仕方が無い。

氷魔を前にしてツバキは接近を選び、回避しつつも後ろに着地。 そして回転することによって発生した力を乗せて得物を叩き付けんとする。
しかし、それを食らえば厳しい物があるため、最初から防御など考えず「回避」のみに専念するようにグランドナイトは戦術を組み立てている、そのため、敵の攻撃を認識すれば、ほとんどその瞬間に、氷魔は自身の身体を霧に変えてその打撃を避けた。 ように見えるが……それよりもツバキの一撃が素早かったのか、一部は霧化する前に、その打撃を受けて物言わぬ氷塊となって地面に落ちていた。

もちろん、霧化した状態では攻撃にならず、ただ泥試合を長引かせるだけなため、グランドナイトはすぐにその霧を自分の下に呼び戻す。

一方、自分もまた、ソレミアに対して接近戦を挑んだ。

「来い……ッ!!」

"自分が出向く"と言う言葉に対して、彼女はそう強く応えた。
相手が選択したのは防御でも回避でもなく攻撃だ、グランドナイトはフレイムタンから発生させた炎を、ソレミアに絡みつかせ、炎症によるダメージの蓄積を狙う。

そして放たれる衝撃波に対しては、同じくフレイムタンと、目の前に幾つかの巨大な針を地面から出現させることで防ごうとするが。

「くっ……なるほど」

防御手段として役立ったのはフレイムタンのみ、針については、その衝撃波を防ぐ役割はほとんどもてておらず、呆気なく貫通し、二つの防御手段でやり過ごそうとしたグランドナイトは手傷を負うことになった。

氷魔は身体の一部が欠けた、今ならば問題ないが、何れ他の部位も欠けて戦闘能力が低下するのは目に見えている、一方こちらも致命傷を負った訳ではないが、やはり戦況に陰りが見える。
ならば、今の内に仕掛けるのが上策だろう。

「この辺りで終わらせましょう……来なさい!!」

掲げられた右手に霧が集まっていき、元のアイスソードの形へと戻る。
するとグランドナイトは自身、いや、この地を覆うように、空高い部分に無数の針を形成する。

さらにフレイムタンとアイスソードを空に掲げれば炎と氷の魔力が空へと上がっていき、ほとんどの針に、火か、あるいは氷の属性を付与する。
そして、グランドナイトが掲げられた二本の剣を振り下ろせば、空に展開された無数の針が一気に敵対者どころか、絨毯爆撃のように、ほぼ死角なくこの地に降り注いだ。

>ソレミア・ラガルデール ツバキ・オオトリ

13日前 No.1725

時空神 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_o1k

【狭間世界/終末/時空神クロノス】

狭間世界の最深部。そこには、終末と称される領域があった。未来世界で起きた時空断裂を想起させるかのような、ひび割れた空。その下に広がるは、僅かな草花のみが残る荒れ果てた大地。
まるでそれは、これから訪れるであろう世界の終わりを具現化したかの如き光景であった。夢も希望もない、絶望に満ちた世界。彼方の空には、あらゆる時代のノイズがちらつく。
そんな世界の中心に、形容し難いほどの神々しさを放つ存在が一人、佇んでいた。明らかに人ならざる者であると、一瞬で判別することの出来る女性。彼女もまた、あの影達と同じく、人間の罪を象徴する者なのだろうか?
否、彼女はそのような存在では断じてない。言うなれば、神。悠久の昔より紡がれし、時空を司る者。未来世界においてはほぼ、実在を信じる者はいないであろう、人間を超越した存在。
彼女は、自らが生み出した影達が消えゆくのを見届け、間もなくこの地へ人類が足を踏み入れるのだということを認識する。自らがすべきことは、唯一つ。神として、消すことの出来ぬ罪を犯した彼らと対峙すること。

「人類の勇気、それは確かに示された。ですが、十分ではありません。恐怖や怒りの前でも、同じ姿勢を取り続けられるかどうか。それは未確定……」

これまで人類が度重なる改変を行いながらも、時空断裂が起こらなかったのは、一重に時空神クロノスのお陰であると言っても過言ではない。彼女は、乱れた時空の辻褄を合わせ、世界の崩壊を防ぎ止め続けていた。
理由はない。それが、時空神の役目である以上、彼女は人類に忠告などの干渉を行うことなく、ただただその役目に徹した。世界を護るという、神としての務めを果たすためだけに。
しかし、全く態度を改める様子のない人類を眺める内に、神の怒りは遂に限界へと達した……愚かなる人類を消し去り、世界をあるべき姿へと戻すため、クロノスは"改変によって存在を失った正史"を、全ての時代へと差し向けたのである。

傲慢であると言われれば、否定は出来ない行いであろう。だがそれでも、このまま改変が際限なく行われ、時空の連続性が意味をなさなくなるよりはいい。
クロノスが時空のほつれを戻し、整合性を保ち続けることにも限界がある。弾かれた数多の正史と可能性世界は、狭間の領域へと降り積もり、やがては世界そのものを消滅させる時空振動を引き起こす。
そうなる前に、彼女は過ちを繰り返す人類をこの世から排除する腹積もりであるのだ。全ては、世界のため。彼らはまだ、失われた世界線の重みを知らない。

>ALL
【お待たせいたしました。これより最終決戦、開始です! 人が集まり次第、最優先で返していきます】

13日前 No.1726

麗人 @sable ★FyeeIHKD7M_keJ

【狭間世界/終末/シフォン・ヴァンディール】

 引き裂かれた空。餓え乾く大地の如くひび割れた空間の先には、狭間世界の果てが待ち受けていた。そこに生や光は存在しない。時計の針すら動きを止め、永遠の過去が繰り返されるのみ。他ならぬ人類の罪が生み出した戦場。その最奥に一人佇むは――時空神クロノス。時の番人にして、信仰の薄れた未来世界をも見守る神格。
 抗い抜いた人類に課せられる最後の使命。それは、時空神の眼前で己が覚悟を示すこと。決して揺るがない強固さを披露すること。正史からの刺客や影達に見せた信念を、数倍にしてここで叩き付ければいい。言うは易く行うは難し……されど、達成できなければ人類に明日はない。時代の壁は当然、連盟と機構の確執すら取り払った最終決戦が始まる。

「約束します。私達は悔いこそすれど、決して恐れはしない。

貴女が怒りの矛を収めるまで。

人類が再び信頼を勝ち取るまで」

 終末へと足を踏み入れるなり、微塵も臆することなく言い放つ。その佇まいは、力強さは、傲慢から来るものではない。許されざる罪を犯したが故に凛々しいのだ。罪人の責務とは、怯えひれ伏すことでも、逃げ回ることでもない。罪を償い、悔い改めることに他ならない。過ちを認め、試練を受け入れ、それらをこなした上で神の御前に立つ。他に贖罪の術は存在しない。
 間も無く他の仲間もここへ集うことだろう。気心知れた連盟の人員以外は当然、つい先刻まで敵だった是正の戦闘員が来てもおかしくない。文字通りの総力戦。

 その火蓋が切って落とされるまで、あと僅か。

>>時空神クロノス


【絡み失礼します!】

13日前 No.1727

ジークリンデ・エレミア @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=66hUEMgB70

『狭間世界/終末/ジークリンデ・エレミア』

狭間世界に突入してからどれ程経過したのか、飛行魔法を用いて内部を移動していたジーク。
こうなってしまった責任は自分にもあるとジークは考え、今の自分の気持ちや考え方に迷い、揺らぎが生じる。
何が正しいのかジークは分からなくなっていた。
だけど今は浮わついていても、必ず自分の眼と手、心でその答えを見つけだす。
ジークはその思いを胸にそのまま進み、
狭間世界の最深部と思われる場所に到達すると、ヒビ割れた空に、僅かに草花が残る荒れ果てた大地が広がっていた。
それだけでなく、はるか彼方にはこの世界における古代の雪原や山々、中世時代の城や民家等の建物らしきものが見える。
そしてこの大地には非常に長い白髪に白いドレスを身に纏い、背中には羽のある1人の女性が佇んでいた。
ジークは彼女がどの様な存在であるのか一目ですぐに分かった。「貴女は神様ですか?」と問いかける必要はない。
そしてもう1人、女性がいる。こちらの女性はジークと同じく連盟に所属しており、彼女は司令官であると聞いている。
ジークにも神と対峙する事には恐怖心や抵抗がない。

「私(ウチ)ら人間の奇跡、可能性を貴女にも見せてあげるんよ」

白髪で白いドレスの女性にそう言った後、ファイティングポーズをとり、相手の出方を伺おうとする。

>>時空神クロノス、シフォン・ヴァンディール、ALL

【絡みます】

13日前 No.1728

鮮やかに、ときに無慈悲に── @libragreen ★iPhone=Dpuk4n8aqG

【 狭間世界/スラム・ムジーク空間/オーネット・ブラッドレイ 】

 本来ならば基本的に勝負を決めるのは、戦力・戦術そして運の三つ。
 気合いでどうこうなるのは実力が相当近いときだけ。
 気持ちが人を強くすることはあれど、それだけで勝ち負けが左右されたり、戦力差がひっくり返ることはしない筈だ。

 …ダン・マッケーニ=バビロンという男の恐ろしい点は、そこだ。
 ただの人間でしかないはずのこの男は、下手をすれば全能の域に達する程に等しい”過ぎた力”を持ってしまっている。
 強く、それでいて重すぎる情動──”英雄”への憧れと、人類愛。
 ただそれだけの純粋な想いを己が力へと変換させ、力をある程度セーブしている状態のオーネットと充分あるいはそれ以上に渡り合っているのだ。

 世界を喰らう黒陽。
 もしもこの文字通りの怪物が、神域に等しい狭間世界の主──時の氏神と対峙しようものならば。
 ……確実に世界が滅び、地表が焦土と化し、全ての人の夢が食らい尽くされるのが明白に見えている。
 この命と魂に代えてでも、とまではいかないが…だからこそこの魔女野郎は、ここであの男を食い止める為の下準備をしておかなければならない。

「ヘいっショパン! …今から何が起ころうと、別の音楽を奏でてでも、お宅はちゃんと生き延びときな」

 こちらに導きの明星がついているとはいえど、ショパンの顔に浮かんでいる恐怖や焦燥、そして懸念は概ね間違っちゃいない。
 たとえ一度でもこちら側が手の内を明かしてしまえば、この男はほんの一瞬で模倣してのける。
 逆に考えれば、模倣されない方法など至ってシンプル──手の内を無闇に見せびらかさなければいい。
 まぁ不幸中の幸いといえるのは、あの男が無限にありそうなのが身体能力の面であり、対等に模倣できる異能面では次の戦いに引き継げる事が不可能であるところか。
 もしそれらも可能ならば、ここまで戦い抜き対峙してきた者たちの異能を既に発動しているはずだから。

 マグナムによる四つの弾丸の同時射撃。
 今のように例え一つだけでも技を視認してしまえば、バビロンは互角あるいはそれ以上の”本気”を引き出してより苛烈に攻めてくる。
 限界をあっという間に容易く超え、今まさに喰いつかんと迫るバビロンを前にしてもなお、彼と似ている意地と根性を張ったオーネットは”本気”を出さないでいる。
 もしこの男を相手として仮に”本気”を出してしまえば、敵の思う壺にハマることに等しいのでなんだか癪に触るし、奴と真の決着をつけるであろう味方の者を圧倒的不利にしかねないから。
 なので相手がいかに”本気”でオーネットに挑んだとしても、こちらはとことん”適当”にあしらってやる所存である。

       イケニエ
 (…この魔女野郎を”英雄”と一々呼び親んでくるのが、鬱陶しいったらありゃしない…! 嫌ァァ〜〜なこった!!)

 4つの凶弾が同じタイミングで、オーネットの肉体にくいこんだ──その刹那。
 本来ならば心臓と肺、右足と頭部を貫いたはずの風穴から徐々に、体が無数の蛍に変化・分離して再び収束した。
 内なる獣(ビーストウィズイン)の一環である“ファイアフライ ウィズイン”を行使して射撃の方は辛うじて回避できたものの、隙を生じぬ二段構えとして繰り出された蹴りと拳の二撃までは、…避けきれない。
 鎖や魔導器を破壊する程の”本気”をもって、膂力が重く増した勢いで来たのならば、自らの肉体で受け止めるのみ。

 叩き潰す勢いをもった回し蹴りに腕を這わし、バビロンの脚を軸として回転。
 真上からの隕石めいた殴りを、力を縛ったまま全身全霊で受け止める。
 身体能力をセーブした状態での防御ではバビロンの猛攻を殺しきれず、大きなハンマーで殴られたかのような重い一撃をくらい、体の所々から吹き出した血がハスの花弁を象り舞い散った。

「う”ゥッ!! ……手前ェはちょいと変な熱を吹かし過ぎてるみてーだな…。 …いっそのこと、頭を、冷やしてみたらどう、だい……? ──こ の よ う に!」

 しかしそれと同時に反撃として、両足に装備した凍棍〈グゥレイグ〉が悲嘆の吐息を噴射する。
 せめてもの一矢を報いるべく、冷凍ガスはバビロンが今までに負った傷口全てにめがけ凍てつく吹雪のように吹き出した。
 そしてバビロンにくれてやる最初で最後の”本気”として”ウィケッドウィーブ”を発動。
 ダメ押しにもう一撃と言わんばかりに召喚した魔人マダムベルゼバブの巨腕が拳を固く握り締め、オーネットの怒りや彼女自身の折檻をぶつけるかの如き一撃を、先ほどあの男が繰り出した拳撃と同質の強さのものを叩き込んだ。

 もう一度大きく吹き飛ばされたオーネットは体の打ち所が悪かったのか、死に至らずとも全身に力が入らず意識が薄れてきてしまう。
 どのような未来と結末を迎えるかは不明瞭なるものの、魔女野郎はこれで出来る限りのことを為せたはず。
 元から奴との試合に負けてでも、勝負を次の者の勝利に繋げるつもりで戦いに挑んだのだから悔いはない。
 あるとすれば、それは……仲間のショパンに心配をかけさせ、泣かせてしまうかもしれないところか。

(わざわざ付き合わせちまって、すまねぇなショパン…。 後は真打に、託すと…する……か………)

 戦友であるピアノの詩人への謝罪、バビロンと決着をつけるであろう者への依託を、声を発せずとも心の中で述べる。
 視界が少しずつ真っ暗になりつつも不敵な微笑みを浮かべ、やがて……オーネットは意識を途絶えた。

>>フレデリック・ショパン、ダン・マッケーニ=バビロン

12日前 No.1729

空腹一番星 @sable ★3zJ9n8Ip7k_keJ

【狭間世界/血塗られた島/深淵の間/イアン・ガグンラーズ】

 覚悟を示す術は、対話に非ず。熾烈極める戦闘の果て、三傑は遂に影を頷かせるに至った。その先に待つ試練への挑戦権を得たに過ぎないが――第一関門を突破したのは事実。

「ウォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!

……うぉん」

 信念を認め塵と消えた中世の影。勝利の喜びはもちろん、道が拓けたことに心躍る銀狼が繰り出すは、腹の底から響くような咆哮。魔帝城全体が激しく震動し、島を囲む海には大きな波が生まれる。まさに勝者の雄叫び。
 しかしそれも束の間、情けない声が漏れると同時に、元の姿に戻ってしまう。短時間とはいえ死力を尽くして戦い、究極の力を振るったともあれば当然の消耗。バタリと倒れ込んだ彼女の腹部からは、空腹を訴える強烈な音が繰り返し響いていた。

「あー……ボクは腹ごしらえしてからいくよ……

し、死にそ……」

 品性の欠片も無いシュプレヒコールの最中、やっと絞り出した声で二人の背中を押す。きっと彼らは、影の背後に控える何者かの下へ向かうはずだ。
 乗り遅れることを申し訳なく思うが、腹が減っては戦などできまい。必ず合流することを誓い、暫しの別れが訪れた。

>>中世の影、イスマリア・ザルヴァトール、ヴァンレッド


【返信遅れて申し訳ないですT T

絡みありがとうございました!】

12日前 No.1730

奇術師は謳う @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=BgG4rhjP5L

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10日前 No.1731

イスマリア・ザルヴァトール @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_gaI


【 狭間世界/血塗られた島→撤退/深淵の間→撤退/イスマリア・ザルヴァトール 】

 三者三様の覚悟/一撃、時空を統括する"影"へは言葉など要らない。信念と覚悟を込めた一撃でもって納得させ、それを以て証明とする。
 塵と化し消え失せる中世の影。あくまで第一関門でしかないが、それを乗り越えたのもまた、事実。その果てに、巨悪は待っている。

 簡易的な武装の点検だけを済ませたイスマリアは、無言で――イアンに簡易携行食のバーだけ投げ渡し――世界の果てへと、歩みを進める。

 とはいえ、イスマリアも準備無しに進めるつもりはない。
 一度、狭間世界の潜入口に置いてある自身のための薬を投与/義体の点検も済ませねばならない。
 過剰行使された肉体が、時空神との戦いを迎えるまえに消し飛ばないとは限らないのだから。

 故に――これが、最後の準備となる。
 同じく、しばしの別れを告げることとなった。

>イアン 中世の影 ヴァンレッド

【同じく、絡みありがとうございました〜】

10日前 No.1732

鋼鉄 @sable ★VUk5facTNU_keJ

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9日前 No.1733

紅焔 @zero45 ★pB1cyTl1jZ_gaI

【狭間世界/終末/レオンハルト・ローゼンクランツ】

 罅割れた空を駆け抜け、眼下に広がる荒れ果てた大地へと降り立つ一筋の流星。一身に纏う輝きは禍々しさを帯びた血の紅に非ず、熱情を示す鮮やかな真紅色に染まり。魔道との決別の末に誇りを取り戻した勇士は、最後の決着の舞台にその姿を現す。未来をこの手に掴み、新たなる夢を目指す戦いに挑むが為に。
 速度を減衰させながら着地すると、全身を覆うようにして展開を維持していた魔力を抑え込み、纏う輝きを消し去る。その双眸が見据えるのは、視界に入る戦場の光景。近くにあり、現に自らが立つ場所は僅かに草花の残る終焉の大地。そして遥か彼方には、乱雑にも人類の歴史を示した背景が広がる。

「俺がここにやって来た理由は、お前に対する感謝でなければ、謝罪でもない」

 戦場の中心に佇む、言葉として表し難き神々しさを放つ一人の女性。神の存在を空想上の物として片付ける時代に生まれた者から見ても、その人物を"神"という言葉に結び付けざるを得ない程の御姿を前にしながらも、相手から見れば傲慢にも等しい、対等という立場を前提とした態度で、臆する素振りも見せずに言い放つ。
 かの存在が、人類が歴史を歪める度に乱れた時空の解れを正し、世界を維持し続けてくれていた事は推測できる。だが、だからと言って感謝をする事はなく、そして自分達の行為を謝罪する事もない。結果はどうあれ、自分達はそれを正しいと信じて突き進んできた。其処を覆すだけの理由が無い以上は、悔い改めて、過ちを詫びるという選択はないのだ。

「示す為だ。否定した歴史を背負う意志を、過ちを二度と繰り返さない未来を築く覚悟を」

 言葉の一つ一つを紡ぎ出す傍らで、自らの身体の内側で爆ぜる勢いで増大し始める膨大な魔力。内から外へと溢れ始めるそれは、意識をせずともその一身に真紅の輝きを身に纏わせる。純粋にして強固なる意志が今、大いなる力を生み出したのだ。右手に携えた魔剣の切先を時空神へと向けるようにして構え、臨戦態勢を整えると、そこで静止する。
 自分のみならず、同胞から嘗ての敵に至るまでの総力戦。この場に集結している者達へと一人ずつ視線を向けながら、最後に再び神を強く見据える。

 ――必ず乗り越える。共に夢を追いかけて行く為にも。

 心の中で、そう自らの決意を固める。

>時空神クロノス シフォン・ヴァンディール ジークリンデ・エレミア リプレイサー

9日前 No.1734

命が彷徨う、行方を示さん @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【狭間世界/スラム/ショパン】

「オー……ネット?」
 掛けられた言葉も受け止めると、不安・焦燥に浸っている間に勝敗は決したのか、宙を飛ぶオーネットを見て、ぱちくりと伏せ目がちな目元は大きく開く。
 華麗に相手を屠っていた姿はそこにはなく、無惨に投げ捨てられた体がそこにはあった。
「オーネット!」
 敵の前だというのに、無我夢中で側に寄り添うショパン。
 最初はついていけば、シエンタとキラーとマシュマロを守る仕事ができると思いついて来たついでに協力した自分をここまで庇うなんてという、罪悪感に包まれた。
「……ごめん」
 聞こえないだろうが、ぽつりと謝罪の言葉を述べると、黒陽の男を真っ直ぐと見据える。
 生き延びろと託されたのは、『彼』の父以来だったか。
 先程の記憶を反芻し、オーネットの顔を焼き付ける。
 自分も『彼』も強大な現実の前では無力だった、『彼』はそれでも尚突き進んだが、ショパンはどうだろうか。
 あの強大な存在を、根暗で人に会うと拒絶しがちな繊細な自分はあれを打ち砕く事ができるのだろうか。
 ガタガタと体を震わせバビロンという強大な存在に恐怖し、ヒッと目を反らしてしまう。
 帰りたい、帰りたい、嫌だ、嫌だ、こんなの無理ゲーだ。
 ネガティブな感情が、紫の燕尾服を纏った細い体を犯していく。
 さながら、育て上げていない勇者と魔王の如くだとショパンは思った。
 逃げ出したい、引きこもりたい、この現実を断絶したい。
 オーネットを背負って逃げ出そうと考えたが、先程オーネットに掛けられた言葉を思い出し、自分が何故バビロンに立ち向かい『英雄ポロネーズ』のムジークを発動したかを思い出すと四人の為にもと意を決して、タクトの先端をバビロンに向けると次の曲へと変える。
『夜想曲第二番』のムジーク、退廃的でエレクトロニックな旋律を響かせると、ムジーク空間を解除し元の風景に戻す。
 このムジークはダンボールを形成する能力。
 先程のつい昂って出てしまった『英雄ポロネーズ』とは違って、こちらは応用が高いムジークでよく引きこもる時に使う。
 今までは防御の方に回していたが、中世で塔を築き上げた時、あの魔法使いがやった真似をしてみる事にした。
 顔から大量の汗をかき、矮小な心からくる恐怖にうち震える。
 赤茶の長い前髪で隠された表情は、絶望であったが、涙は流していない。
 息を整えるとバビロンを発射し吹き飛ばす為に、足元にダンボールの塔を形成しようと、ショパンはフリルをあしらった白い飾り襟に差し込まれた、羽ペンの羽根をたなびかせてタクトを振るわんとした。
>オーネット・ブラッドレイ ダン・マッケーニ=バビロン

8日前 No.1735

リインカーネーション @genomirai ★xtwO2xCy4x_gaI

【狭間世界/誰も居ない邸宅→終末/フォルトゥナ・インテグラーレ】


消えゆくあの存在、塵となりて虚空に溶け行く様を只眺める。彼女は試練と称した存在は確かに道を示した、違えそうになった己を手を貸す形で正していた。悪い存在ではなかった、尤も良い存在と手放しで決めつけることは出来はしないが。
要が消失した故か、あの存在が認めたのか、若しくはただの偶然か。彼女が断定するには些か要素が足りてはいない、しかし目の前に移る光景は凄惨な出来事を思い出すものではなくなっていた。
荒れた家が生活感のある家へと変貌した、それだけのことが多くの意味を持つことは想像に容易い。見渡せば、懐かしさすら霞むほどの思い出の残滓が呼び起こされる。月日がたった差異さえされど、嘗て彼女が住んでいた家そのものであった。
視界の端に移る写真立てに飾られた状態の良い光景、もしもこの場が未来世界と同一の物を再現しているのであれば、それはきっとそういう事だろう。嬉しさと、自身への後悔が綯交ぜになった感情が胸の奥で燻る。
姉が求めているもの、心の距離を縮めれば分かるもの、今はまだ見えぬそれに僅かな恐れを彼女は抱く。でも、それでも望まれているならば、その先が例え拒絶であっても進むしかない。そう、試練の答えとしたならば。
だから、まずは近くに居よう。もっと姉の事を知ろう、そして姉の自身の事も知って貰おう。別たれた時間は十五と二、人の世の中では短くとも二人にすればこれまでの八割近くを占める。思ったよりも、その溝は深い。

「……乗り越えて見せるとも、姉さんと共にならば超えられぬものはない。姉さんは私にとっての希望だ、共に在る限り私は屈しない。」

だが、幾ら深くとも埋めることは出来るのだ。一月、半年、一年、果てはそれ以上。どれだけの年月がかかるかは分からない、だが姉と彼女が歩み寄り続ける限り溝は深くなることはないのだ。
暖かな景色の中、僅かな名残惜しさに髪を引かれども次を目指す。この異常な世界、数多の時空が重なり合った無限の可能性、その先に何が待ち受けるかは未知数。推測や予想が役に立つはずのない世界。
なればこそ、進み続け時空断裂を止めねばならない。不明であることは方法も手段もない、だが逆を言えば何かが切っ掛けで解決の余地はあると言う事。今の彼女に出来る事は、ただ世界の奥底へと進み続けるだけ。
道がないなら切り開けばいい、障害があるならば排除すればいい、人類の危機であるならば止めねばなるまい。恐れはない、姉と言う希望があり、その姉から生きて帰ってと言われたならば、何を心配しようか。

「すまない、殴られるのは全部が終わってからだ。今は先に進む事を優先すべきだと、きっと姉さんならそうすると、そう思った。だから、先に行っている。」

「―――ありがとう、ダグラス。お前が居なければ、私はもっと深く堕ちていただろう。」

顔だけをダグラスへと向け、礼を言い終わると同時に窓を開け放つ。窓枠に足をかければ、その場を踏みしめ弾丸の如く彼方へと飛び立つ。踏み込んだはずの窓に損傷の後は無い、本物でなくとも壊すのは少し、憚られた。
未だ身体強化は最高潮のまま、最大限の力で天地も分からぬ空間を踏みしめ突風の如く駆け抜ける。僅かな不安はあれど最早些末事、姉との会話と言うある種の壁がある限りそれまでの障害など気に止めるべくもない。
口元に微かな笑みを浮かべる、その意味は彼女自身すら理解していない。それどころか微笑みを浮かべたことにすら気付いていないだろう、だが今はそれでいいのだ。幸せなど、過ぎた時に気付くのだから。

――――――

歩みを進めた先にそれは存在した。
今にも砕けんとする空、破滅の光景に似合わぬ僅かに存在する草花。遠き空に映るは数多の次元、揺れるばかりで視認にすら堪えぬもの。世界が終わる、そう告げられても信じてしまえそうな空間に、それはいた。
それは人の形をしていた、だがそれだけだ。真っ当な感性を持つものが見ればそれが人ではないと理解するだろう、敢えて陳腐な言葉で形容すればそれは神々しさ。人々の妄想の産物でしかない存在が、今目の前に存在している。
無論、彼女もそれが人ではない事は理解している。本能自身がそう語りかけていれば嫌が応にも理解せねばなるまい、嘗ての資料に残されていた与太話の類、その権化である神。そうであると、信じてしまえそうな威容であった。
それは只語った、人類の勇気は示されたと、だが恐怖や怒りの前でも変わらずに居られるかと。成程、神と思えるだけの傲慢さだ。システムに成り下がった存在、それが今更悲鳴を上げて癇癪を起している。
しかし彼女にとってはそんなことなどどうでもいいい、見れば理解できるこの異様な世界の元凶。それが分かればそれでいい、これが姉の道を阻むもので、これが人類の行く末を遮るもの、何と単純な事だろうか。
もっと簡潔に述べよう、目の前のあれは敵。それ以上でもそれ以下でもない、神であろうと何だろうと変わりはない。彼女たちの世界を脅かし、破壊しようとする存在、これを防ぐことに何の誤りがあろうか。

「貴様の怒りなど知らん、敵であるだけの存在に恐れも抱かん。ましてや、欠片も知らない貴様に思う情などない。」

一人、また一人と目の前の存在に挑む人間が集まる。語る言葉は様々だ、尊重する者、人間の輝きを見せる者、理解せども決して同情はせぬ者、己が覚悟を示す者。その中で彼女は、何と例えようか。
敵として対峙する者、少し違う。人類の滅びを止める者、相応しくはない。言うなれば一部分において彼女は同一視し、己に言い聞かせるようにしている。単純な事だ、目の前の存在は理解させようとしていない。
相対する今でさえ、目の前の存在の目的が分からない。怒りと語った、恐怖と語った、その根源が分からない。突如として時空断裂の予兆を発生させた、外敵としか思えない。きっと、嘗ての己もそうだった。

「言葉で語らずに真意が伝わるか、今の貴様など人に仇なす存在以外の何物でもない、少なくとも私はそう判断しよう。」

もし、姉と早くに言葉を交わせていれば確執はなかった。もし、姉に己の本心を隠さずに伝えられていたのならば先の失態はなかった。伝え、理解を得るには手間がかかる、そんな事すら漸く知ったのだ。
目の前の存在が何であるかなど知らない、人でない事だけが確か。だったら、人への理解を怠るのも仕方がないとも言えよう。だがその結果、滅ぼされては堪ったものではない。それが理解できるまでは、ただの敵でしかない。

「何にせよ、滅びを受け入れる存在などいない。全力で抗う、それだけだ。」

一歩、また一歩、止めることなく目の前の存在に歩みを進める。言葉を尽くそうと変わらぬ事実はある、人間を滅ぼそうとしている事だ。ならば倒す理由には十分、敵であることも含めればそれでいい。
身体強化の状態は維持のまま、負傷もなければ疲労も吹っ飛んだ、コンディションは万全。ならば、希望ある限り歩み続けるだけ。姉と共に歩む道、その確固たる障害は排除する。人の敵など、障害以外の何物でもない。
彼女は機を見る、連携、後の先、手の内、理由など幾らでもあげられる。だが共通するのはより確実に排除するための選択肢、人ならざる存在の力量を見極め、その上で生存を優先し、潰す。
僅かに足を開き、半歩右足を前に出す。拳を軽く握り、脱力を維持する。戦闘態勢は整えた、後は勝つのみ。

>>時空神クロノス シフォン・ヴァンディール ジークリンデ・エレミア リプレイサー レオンハルト・ローゼンクランツ

6日前 No.1736

大災厄の残痕 @kyouzin ★XC6leNwSoH_rxQ

【狭間世界/終末/キラー・テンタクラー】

――クソッ、クソッしくじりすぎたぞ私!!

電脳世界を動き回る者が一人、それはシエンタたちと和解した後、やるべき事があると格好を付けた事を言って離脱したキラー・テンタクラーである。
さて、彼が考えていた事は一つ「もう一人の友人の支援」である。 確かに親友たるシエンタだったり、新たに出来た友人と言うのは大事な物だ、それにシエンタと比較してしまえば、付き合いが希薄なのは単純にして明白、純粋にして明快。
だが、頭の中も単純明白純粋明快なキラーは思う、幾ら連盟の者と和解した所で、それは是正機構に残る友人を見捨てる事を意味しないと。

もしも友を傷つける者が居るのならば、連盟であろうと容赦はしない、勿論友人同士で戦うのは避けたいので、可能ならば、この知性で説得しようとしていた。
……要するに彼は、フォルトゥナ・インテグラーレを気にかけて、彼女の場所を探索していた。 だが悲しい事に、人に聞くよりも、自分の力を過信したドローンウィルスを使った人海戦術による捜索を行ったために、彼がもう一度現実世界に姿を現した頃には、シチュエーションルームどころか大統領執務室の戦いすら終わっていた。

だからその捜索方法はやめた、もっと理論的に考えを巡らせた、結果として出したのが「一番強いなのを叩き潰せば目立つし合流できるだろう」


閑話休題。

「――そんな上から目線でインテリジェンスを見せびらかした貴様の持論は知った事ではないッ! 人間が幾ら私より知性が低かろうと弱かろうと、その中に私の友人が含まれているのならば、お前が誰であろうと、"人ならざる"この私が地面に這い蹲らせてやろうと言うのだ!!」

シリアスなムードが包む中、それとはやや遠い声が周囲に響く。
そして幾つかの怪しく輝く青色のクリスタルが飛来したかと思えば、それらは四角形を描くように布陣し、その声の主を移動させるリンクを繋げる。

その中から現れたキラーであったが……正直な所、彼の裏切りなどこの場の誰も知らない。 その見た目と言動でキラー・テンタクラーと言う攻撃性の極めて強い是正機構のコンピューターウィルスなのは断定できるだろうが、少なくとも味方に見える見た目ではない。 だが、それは彼にとっても同じ事で。

「え……フォルトゥナ、幾ら何でも何故この状況に飛び込む? 私の計算が正しければ、周りに居るのは全て敵だ、しかも見た感じあちらの偉そうな奴も敵なのだが?」

彼にとって味方と断定できるのはフォルトゥナ、尚且つフォルトゥナはまだ是正機構だろうと踏んで出てきたため、神そっちのけで連盟に包囲されるような場所に飛び込むか? と半ば呆れ交じりに発言した。
彼から見て、味方は一、敵は五、少なくともキラーを萎縮させるには十分な物。 しかもその内の一人はどう見ても格上ときた。

「……えぇい仕方が無い! 見捨てて逃げるほど私も冷酷ではないッ! かかって来い虫けら共!!」

その途端、キラーは自身の腕部を変形させ四門の大砲を作り上げ、配下のドローンも各種攻撃形態に変形させて戦闘準備を整えた。
随分と酷い勘違いをした登場であったが……少なくとも友人のためならば、十分に彼は戦うだろう。
性根は"そういうもの"だ。

>時空神クロノス フォルトゥナ・インテグラーレ シフォン・ヴァンディール ジークリンデ・エレミア リプレイサー レオンハルト・ローゼンクランツ


【最終戦にギャグキャラ持ち込むな、と思った方は申し訳ないです、スレ主様から出せって脅されてました、嘘ではないです。 と言うのはさておき、次からまともに動かすので、なにとぞお許しを……」

4日前 No.1737

中二病でもハッキングがしたい! @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_rxQ

【狭間世界/終末/シエンタ・カムリ】

なんというか、こういうことがいざ現実になった瞬間というのは……とてつもなく反応に困る。空が割れるだなんて、自分はアニメの世界にでも迷い込んでしまったのか?
いや、勿論これが夢などではないことは承知している。それでも、心の準備というものはさせて頂きたいもので……急過ぎる展開に、さすがのシエンタも苦笑いを浮かべるしかなかった。
しかし、冷静になって考えてみろ。これは、ある意味チャンスではないのか? あの先に何が待ち受けているかなど知ったことではないが、ここで活躍出来れば、連盟に対しても良いアピールが出来る。
自分が如何に闇の支配者となるに相応しいかを、証明出来るではないか。緊急事態にも関わらず、そんなふざけたことを考えながら、シエンタは明らかに作った笑いを浮かべ、亀裂の奥へと足を踏み入れる。
……実際のところ、そうでもして自分を奮い立たせなければ、足が竦んで動けなくなってしまいそうだったのだ。恐怖していない、と言えば嘘になる。いつも気取っているとはいえ、その中身はやはり、10代前半の少女に過ぎなかった。

そんなこんなで、ようやく辿り着いた最深部。そこには、何人かの先客がいた。ほとんどが連盟の関係者で、名前も知らない者ばかり。まあ、状況からして当然だろう。
だが、それに混じって、シエンタの知っている、つまりは元是正機構の人間もちらほら見られた。連盟のボスとよく似た容姿の、というか血縁者のフォルトゥナも、その一人だ。
そこまではいいとして、何故こいつがここにいるのだ? と彼女は真顔になった。しかも、明らかに今の状況を正しく把握出来ていないと伺える。正直に言って、めちゃくちゃ浮いていた。
やれやれ、といった表情で、シエンタはわざとらしく両手を広げる。仕方がない、ここはこのシエンタ様が、無知なるコンピュータウイルスに真実を教えてやるとしよう。そんな思考を浮かべながら、彼女は件の人物へと近付いていく。

「一体、何を勘違いしているんだ君は。そもそも、歴史是正機構はもうなくなったじゃないか。つまり、ここにいる奴らは全員、仲間ってことさ。……約一名を除いてね」

時空防衛連盟との戦いに破れ、歴史是正機構は消滅した。居場所を失うという最悪のケースすらも想定されたが、それは直前に連盟の者達と和解していたことで回避されている。
こうして終末へとやって来ている時点で、彼らは味方であると考えていい。これは、人類の危機であり、この期に及んで内輪揉めなどしている場合ではないということくらい、シエンタでも理解出来た。
キラーに説明を終えた後、彼女は唯一の敵である時空神へと目を向ける。初めて目の当たりにする、本当の神。いつも神を自称しているだけの自分とは、明らかに格が違う。
直視しているだけでも、身体がわなわなと震え出しそうであった。だが、それでもこいつを倒さないと、部屋に籠もってゲーム三昧という最高の生活は戻ってこない。

「神だか何だか知らないけど、折角見つけたボクの居場所を奪われちゃ困るんだよ。それに、神はこのボク、GOD_SIENTA一人で十分さ!」

勢いよく啖呵を切ってみせるシエンタだが、その声は震えていた。よく見れば、いつの間にか、彼女の身体そのものも、小刻みに震えている。本物の神を目にした恐怖が、シエンタを蝕んでいるのだろう。
きっと、以前の彼女であれば、周りには目もくれず、一目散に逃げ出したに違いない。しかし、現実は違う。今シエンタが、恐怖を押し殺してこの場にいること自体が奇跡であり、彼女自身の成長の証であった。
勝つのだ。自分のため、そして人間のため。誰かのために戦うなんて柄じゃないし、力になれるかどうかは分からなかったが、奴に背中を見せることだけはしたくなかった。

>時空神クロノス、キラー・テンタクラー、フォルトゥナ・インテグラーレ、レオンハルト・ローゼンクランツ、シフォン・ヴァンディール、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア

3日前 No.1738

忠犬 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_rxQ

【狭間世界/血塗られた島/海底洞窟】

魔族と一緒くたに言っても、そこには様々な種類がある。種族による違いもそうだが、中世において彼らは、身に持つ魔力の量によって、大きく下級、中級、上級の三種類に分類されていた。
この内、人の姿を取ることが出来るのは中級魔族からであり、下級魔族はその性質からして、魔物と称するのが正しいかも知れない。一定以上の魔力を持つことで、彼らは初めて人形となることが出来るのだ。
しかし、上級魔族と中級魔族は同じ人形でも、その実力に大きな差がある。魔法が主体の戦いにおいて、魔力の小さい者が上位の者に勝利することは難しく、善戦すらも厳しいのが現実だ。
ロコは、自分の立場を誰よりも理解していた。たとえ攻撃を仕掛けたとしても、あれほどの敵が相手となっては通用しない可能性が高い。ならば、攻撃は味方に託し、自らは後方支援に徹することが、最善であると考えた。
支援であれば、息さえ合わせれば確実に何かをもたらすことが出来る。何の成果も挙げられないリスクを冒すことを避け、得意分野での勝負を選ぶのは、正しい判断であるといえるだろう。

だが、敵の実力は予想の遥か上を言っていた。彼女が必死に展開した防御壁は、魔力の波長を合わせるという、単純でありながらも高度な手法によって、完全に無力化されてしまった。
結界の内側から放たれる剣閃。それが、六度続いた。至近距離からの暴力に相応しい一撃は、ロコの身体能力を持ってしても避け切ることは困難で、彼女は為す術もなくその身を宙へと打ち上げられる。
当たりどころが悪ければ即死であったろうが、幸いにもそうはならなかった。脇腹から背中にかけて酷い痛みを感じるものの、まだ意識は失っていない。苦痛に耐え、立ち上がるロコ。
その頃ファントムメサイアはというと、もうこちらは息絶えたものだと判断したのか、ゲイルと清太郎に狙いを定めていた。油断、などではないだろう。あれは、余裕というものだ。

「アンナローズ殿には……指一本触れさせないのであります!」

自分の次は主人、つまりアンナローズを殺すという敵の宣言を聞き、ロコの中に眠る闘志に火が付く。自分は、勇者を守る従者だ。主人を危険に晒す訳にはいかない。奴は、何としてでもここで止めてみせる。
守ってばかりいては勝機が掴めないことを察した彼女は、攻撃へと転じる。ゲイルの風弾、清太郎の巨剣が炸裂する瞬間を見計らって、全身全霊の魔力を込めた一撃を放つ。
次の瞬間、ファントムメサイアを縛り付けるように、無数の茨が地中より姿を現した。暴れ狂う茨は敵を感知すると直ぐ様襲い掛かり、その身動きを封じ込めようとする。
まるでそれは、味方への支援は、攻撃をしながらでも出来る、とでも言いたげな代物であった。仮にこれで敵が自由を奪われれば、ゲイルと清太郎がその隙を突いて攻撃を仕掛けられる。
勿論、相手の実力からして、そんなことはまず起こり得ないだろう。一瞬、一瞬だけでいい。僅かな時間であってもこちらに注意を引き付けることが出来れば、あとは二人が彼女を仕留めてくれるはずだ。

>ファントムメサイア、ゲイル・ベネルド、橋川清太郎
【非常に遅くなりました、申し訳ございません!】

2日前 No.1739

水刃一閃 @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【狭間世界/大雪原/ツバキ・オオトリ】

鋭い踵の振り下ろしは見事、氷像の一部を抉り取った。氷像の霧散とほぼ同時だった為にそれは決して痛打にはならなかったが、軽くもない一撃だったろう。何よりも、女剣士自身がこのままでは氷像は破られるだろうと理解した筈だ。
だからだろう。もう一人が行った強烈な衝撃波を受けつつ、状況が不利になりつつある事を逸早く察した女剣士は、霧氷と化した氷剣を手元に呼び戻す。それは、即ち決着の瞬間が近い事を意味していた。

体制を整えた女剣士が天空に無数の針を作り出し、番の剣を天へ向け掲げる。炎と氷の入り雑じった魔力が空に満たされ、それを受けた針が大嵐の様に地表一帯を破壊し尽くさんと降り注ぐ。その光景は正に爆撃が如く。全てを終わらせようとする女剣士が放つ、最後の一手。

「そうか」

炎と氷の針嵐が降り注ぐ直前だと言うのに、ツバキは変わらず酷く冷静でいた。まるでベタ凪ぎの海面の様に――或いは、嵐の前の静けさとでも言う様に。
針の嵐が爆撃の様に地表に降り注ぐ。その瞬間、その刹那――その、ほんの僅かな一瞬だけ。

・・・・・・・・・
彼女が口角を上げた。

「なるほど。認めよう」

直後、ツバキの目の色が変わる。無関心さと煩わしさばかりが見て取れた眼差しは途端に消え失せ、狂暴な獣の色へと変貌した。

瞬間、彼女は猟犬が如く駆け出した。炎が肌を焼こうとも、氷が身を切ろうとも、鋭い針が幾つも手足に突き刺さろうとも、まるで意にも介さず降り注ぐ針の雨を一目散に駆け抜ける。

無差別の広範囲攻撃にも穴はある。それはたった一ヶ所、しかし致命的な弱点――つまり術者の懐。ツバキはそれを戦術的にではなく、戦闘者としての本能として知っている。
そして、今女剣士は両手を天へ掲げている。それは即ち、反撃される事を考慮していない証。だからこそ、其処へ全力を叩き込めば必然的にそれが最後の一撃になる。

手傷を受け白雪に鮮血を撒き散らしながら、それでも止まる事無く駆けたツバキは遂に無防備なグランドナイトの懐に潜り込む。
右手へ意識を集中させ、水を集めて圧縮させる。無刀でありながら居合いの構えを取り、抜き身の殺意を女剣士へと向ける。その眼は今正に獲物に食らい付かんとする肉食獣の如く、冷酷に敵対者を射抜いていた。

「――お前は、斬るに"値する"」

ふっと白い息を吐く。体を捻り、積もった雪を右足でぐいと踏み締め、右手を逆袈裟に振り抜く。超高圧まで圧縮された水流は鋼の刃が如く研ぎ澄まされ、解き放たれると同時にグランドナイトの胴体を寸断せんと牙を向く。
即ちそれは必殺の一撃。この世に於いて比類無き究極の殺人奥義。無感情のその女を象徴するただ一つ。

解き放たれた刃は速き事光が如く。敵対者の身を引き裂くには、刹那さえ必要としない。超高圧で噴出する水の勢いを前にしては、如何なる護りも紙に等しい。下がれど避けられず、守れど受けられず――故に相対した者は皆、全てが終わってから気が付く事になる。


水刃一閃。それは正しく、只管に磨き上げられた、不可避の死である。

>>グランドナイト、ソレミア

21時間前 No.1740
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