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【ALL】Chrono Crisis【戦闘/シリアス】

 ( なりきり掲示板(フリー) )
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時を巡る旅路 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_UxJ

進化と共に新たなる技術を生み出し、その活動域を地球全体へと広げていった人類。
彼らは常に自らの生活を豊かにすることを考え、革新的な発明を世へ送り出し続けてきた。
留まることを知らない人類の科学力は、やがて禁断の領域へと足を踏み入れていくこととなる。

西暦6990年、それまでの常識を、それどころか世界の法則さえも歪めてしまうような大発見が人類にもたらされた。
時間遡行……俗に言う"タイムマシン"を駆り、現在と過去や未来を繋ぐ手段。人は、その方法を確立した。
今まで文献を漁ることでしか様子を知ることの出来なかった過去と、思いを馳せることしか出来なかった未来。
それらへの道が開かれたことは、確かに衝撃的ではあったが、同時に新たなる問題も浮上することとなった。

タイムパラドックス。未来からやってきた人間が過去に干渉することによって起こり得る、歴史の改変。
たった一つの筋を辿るように紡がれてきた歴史に矛盾を生じさせてしまえば、世界そのものの崩壊を招きかねない。
不測の事態が発生することを恐れた時の世界政府は、直ぐ様会議を開き、"時間遡行法"を制定。
資格を持たぬ者の時間遡行を禁ずると共に、時間遡行中の行動に厳しい制約を設け、歴史の改変を未然に防ごうとした。
―――しかし、全ての人間が、その決定を黙って受け入れた訳ではない。何せ、これは空前絶後の大発見。
上手く時間遡行を利用すれば、世界を思い通りに操ることも可能……そんな邪な考えを持った人間が現れるのは、当然の流れであったのだろう。

時間遡行法の制定から数年が経過したある日、歴史の保護を目的に設立された組織、「時空防衛連盟」が、大規模な時空振動を観測する。
遙か数千年前より発せられし、時空の歪み。それは紛れもなく、今この瞬間に、"歴史の改変"が実行されていることを示していた。
改変を止めることが出来なければ、タイムパラドックスの連続によって、やがて世界は消滅してしまう。
時空振動の余波によって、世界線の境界そのものが揺らぐ中、時空防衛連盟の面々は、人類の歴史を護るための戦いに挑む。



【クリックありがとうございます。この物語の舞台は時間遡行技術が確立された未来と、能力のある者のみが人権を得ることの出来る古代、人類と魔族が熾烈な戦いを繰り広げる中世という三つの異なる時代です。歴史是正機構は禁忌である歴史の改変を実行しようとしています。彼らの思惑を阻止するべく行動する時空防衛連盟の面々と、何としてでも歴史を書き換えようとする歴史是正機構、更にはそんな両組織の戦いに巻き込まれた各時代の人々の姿を描くのが、このスレッドの主な目的です。

オリキャラでの参加は勿論、版権作品をあまり知らないオリなり民の方も歓迎ですので、オリなり民の方も、どうぞご遠慮なくご参加下さい。
なりフリー民とオリなり民、互いに協力しあうことで、よりよきスレを目指しましょう。

なお、合図があるまで書き込みは禁止ですので、ご注意下さい。まずはじめに、サブ記事の方を確認頂くようにお願いします。】

1年前 No.0
メモ2018/07/13 02:23 : 風神少女☆XQ6phrzcKMtR @infernus★F7MrHN45jw_ouC

―――現在は、最終章です―――


最終章:「Chrono Crisis」

激しい戦いの末、歴史是正機構に打ち勝った時空防衛連盟。晴れて時空を護り抜くことに成功したかに思われた矢先、それは始まりを告げた。

まるで世界そのものが崩壊するかの如く、ひび割れていく空。その向こうから現れしは、正しき歴史を紡ぐ使者。

彼らは、人類の捻じ曲げた歴史を修正するべく、この世へと降臨した。これこそが、時空断裂。積み重なった歪みが、限界に達した瞬間であった。

改変に改変を重ねた今の世界が正史に塗り潰されれば、そこに生きる者達は"もしも"の存在と化してしまい、歴史の闇へと葬り去られてしまう。

それは即ち、世界の崩壊といっても過言ではないだろう。時空断裂による時間の連続性消失を防ぐためには、彼らに戦いを挑み、勝利するしかない。

人類が罪を犯したのは、疑いようのない事実。歴史を変えるなどという禁忌を犯した種族には、当然の報いであるかも知れないが……そんな人類も、生きている。

生けとし生ける者、全ての願いは、今日を、明日を生きること。黙って死を受け入れるなどということが、出来るはずがない。生きたい、と願う限り。

これは、明日を手に入れるための戦い。自らの存在を世界線に、時空に刻み付けるため、時空防衛連盟は次元を超える。


ルール&プロフィール:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-1#a

役職一覧:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-2#a

世界観・用語解説:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-3#a

各陣営の目的:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-4#a

最終章のロケーション:http://mb2.jp/_subni2/19695.html-286#a


・現在イベントのあるロケーション

狭間世界:最終決戦

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罪の清算 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_m5I

【狭間世界/終末/ヘルガ・アポザンスキー】

狂気に堕ちた獣を始末した後、ヘルガはマリアと分かれ、一人狭間世界の深淵を目指していた。足が大地を踏みしめる度に、その振動が浅くはない傷に伝わり、痛みを発する。
はっきり言ってしまえば、この状態で戦いに赴くなど、以ての外だ。普通であれば絶対安静の身。それでもヘルガが歩みを進めるのには、彼女なりの理由がある。

「元を辿れば、これは私が招いた事態だ」

いずれの時代にも属さぬこの世界が生まれる切っ掛けとなったのは、時空防衛連盟と歴史是正機構の歴史を巡る闘争、そしてその果てに起きた正史の改変であることは間違いない。
そしてそれは、ヘルガが人類の昇華を目的とし、歴史是正機構を設立することがなければ、恐らく起きてはいなかったことだ。故に彼女は、全ての発端は自分にあると認識している。
決着を付けなくてはならない。自らが呼び寄せた世界の危機を前に、連盟の面々は今もなお、戦いを続けている。陣営は違えど、彼らも同じ世界に住まう者達。ここまで来たら、敵も味方も関係はない。全ての人員の力を結集し、立ち向かう時だ。

存在を消された悲しき者達の怨嗟の声が響き渡る中、終末へと足を踏み入れるヘルガ。黒き塊となって襲い掛かるそれは、立ち入った新たな標的をも察知し、彼女を取り囲むように迫り来る。
しかし、今のヘルガに迷いはない。閉じていた目を開いた彼女は、満身創痍の身体を引きずりながら一歩、また一歩と、そこへ君臨する時空神に近付いていく。
恐れは抱いていない。だが、後ろめたさはある。何せ、自分は相手からすれば最も恨み、憎んでいて当然の人物。最悪の場合、姿を見ただけで逆鱗に触れることすらもあり得るだろう。

「私は……人としてやってはならないことをした。今更、言い訳を並べるつもりはない。だが彼らは、そんな私にやり直しの機会を与えてくれた」

そう言って、時空防衛連盟の面々が並ぶ方向へと目をやるヘルガ。敵組織の頂点に立つ存在である彼女は、時空防衛連盟が勝利した時点で、命を刈り取られていても何ら不思議ではなかった。
勿論ヘルガ自身もそうなるであろうことを予想していたのだが、結果はご覧の通り。彼女は情けをかけられ生き延び、こうして最終決戦の舞台へと立っている。
連盟は彼女に、罪を認め償うことを認めた。そして、ヘルガ達歴史是正機構が目指してきた理想を、彼らが持っていた思想を人々に伝えるのだと約束してくれた。
それが果たされるためには、まず世界が存続しなければならない。だから、ヘルガは戦うのだ。正しいやり方ではなかったかも知れないが、本気で行く末を案じ、未来をより良きものに変えようとした世界のために。

「逃げも隠れもしない。私は、ここにいる。この場に立ち、彼らと肩を並べて戦うことこそが、私にとっての最大の覚悟だ」

クロノスに向けて啖呵を切ると同時に、地面を蹴って疾駆するヘルガ。その両腕に青い炎を纏わせ、彼女は飛翔。丁度、時空神を見下ろすような形で、それを解き放つ。
炎はとぐろを巻くようにして進んでいき、敵のすぐ近くの足元に着弾すると、巨大な竜巻となって、全てを焼き尽くす勢いで荒れ狂う。それはまるで、彼女が抱く覚悟の強さを象徴しているかのような、力強いものであった。

>時空神クロノス、ユーフォリア・インテグラーレ、シフォン・ヴァンディール、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー、クラスター、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア、ボルヴェルク
【これよりヘルガも参戦します】

6ヶ月前 No.1833

黒翼 @kyouzin ★XC6leNwSoH_2YW

【狭間世界/終末/Cluster】

「フン……裏切り者風情に掛ける言葉を僕は持ち合わせていないが。 ――及第点だと思いますよ、少なくとも僕は」

クラスターは空から見下ろすように戦局を観察しながら、フォルトゥナ・イングテグラーレが倒れたことを確認する。
それに対してクラスターが発した言葉は、あまりにも冷徹で、傲慢さを感じさせる物であった「裏切り者風情に」と言う言葉など、友軍に掛ける言葉ではない。
しかし、その後に呟いた言葉と言うのは、どれほど彼の中での「割り切り」だったり「計算」が入った言葉かなど本人にしか分からないが、とにかく彼女のことを「及第点」とだけ評し、それ以上彼は彼女について言及もしなければ、カバーに入る事も無い。 その必要性はおそらく無い。

クロノスからすれば、自分の登場は驚きだったらしい、だがクラスターはそれを誇ることはしない。
"最初"のように自分の正義のために? それとも"是正機構"のように思想のために? いや、どちらでもない、ただ自分は……自分と彼女のためにここに居るのだから、誇れるような物は無い。

だが、不思議な事に、そんな自分勝手極まりない考えで戦う今は、正義のために、はたまた思想で戦っていた頃よりも、ずっと負ける気がしない。 いや、相手が神だとしても"勝たせてやるものか"。

「背いてはならない、屍の上に、くっはっは。 違いないな」

クラスターは笑う、明らかに感情の篭っていない笑い声で。
そして彼は、襲い掛かるそれらを見て、ぎょろりと機械の瞳を向けた。 これに対応する者が他にも居ることも確認した、皆がそれらに掛ける言葉も無視している訳ではない、だがこの男は自分である事を崩さない。

「知ってるよ。 あと、五月蝿いよ愚図共、地獄で勝手に恨むのは勝手だが、僕と同じように屍の上で成り立ってきた、社会なんて物で人を弄ぶ「人間」の一種の分際で、自分が被害者になった途端神の力を借りて騒ぎ始めやがる。 逆の立場なら確実にお前たちもそうしたってのが、死んだ後に生者に干渉しようとしてる時点で透けて見える。 要約しよう、砕け散れ、"有象無象"。 僕は世界でこの"四文字"が一番嫌いだ」

古代、クラスターが実際に見た世界。
そこにある死を、自分たちの介入によって歪められた真実は忘れてはならない、背負っていかないとならない。
だが、それだけだ。

死者が一方的な恨みを生者に叩き付ける、神の力の下に現れれば我々のみが正義だと錯覚する。

あえて言うならば、クラスターが言う所の「強者」や「有能な者」がそれに混じるのが視界に映れば、彼の発言も幾分穏やかになっただろう、それこそ他の者のように。
だが、彼にとって有象無象と言うのは、こういう物だ。

今までよりも明らかな敵意を向けて、ミサイルをばら撒くように発射し、火の海を作り上げる、それは防御に専念した者のサポート程度にしかならないだろう。
そして、クラスターは徹底的に"それら"を駆逐しようとしたが、その時に、ある存在を見つけて本来の目的を再確認する。

「ヘルガ様……なるほど、あの方があぁするのならば、僕は。 ――僕が見るのは未来、過去を見て反省するべき事は多い、だが、それだけを見ろと言う過去に、構っていられない」

クラスターはその言葉を残して一気に加速、過去を振り切るかのように全ての攻撃を回避しつつ、クロノスに接近、すれ違いざまに彼女の腹部を引き裂くようにクローアームで攻撃を加え、そのままヘルガや他の者の攻撃に巻き込まれないようにその速度を維持したままクロノスの後方へと離脱しつつ、置き土産とばかりに複数の爆撃用の爆弾をばら撒いた。

>時空神クロノス ヘルガ・アポザンスキー 周辺ALL

6ヶ月前 No.1834

Scarlet Flame @zero45 ★pB1cyTl1jZ_TJc

【狭間世界/終末/レオンハルト・ローゼンクランツ】

 人と神を隔てる境界線が意味を失くし、最後の戦いは遂に佳境を迎える。枷から解き放たれた神の攻撃はより熾烈さを増し、牽制を魂胆とする一撃でさえも、人の視点からすれば、鮮明としている殺意の具現だ。真面に避ける事は能わず、防ごうにも為せる防御は須らく生半可の烙印を突き付けられる始末。五体満足で切り抜けるなど、正しく夢物語でしかない。
 それでも、傷付き、やがて朽ち果てる末路が待ち受けていようとも、最後の力を出し切るまでは耐え抜く。それがこの場に集った者達の背負う使命であり、果たさねばならない宿命だ。紅き血潮に濡れ、身体の熱を奪われ、魂さえも虚無へと誘われようが、突き進んで前進して行くのみ。

(白い、粒子……これが神にとっての血であり、肉と言うわけか)

 戦いの最中に援軍として姿を現したのは、機構の副将。彼の発射したミサイルの包囲を潜り抜けながらも、飛翔して宙へと逃れた神を追撃する形で接近すると、刃の切先を向けての刺突、間髪入れずに切り上げ、そして振り下ろす。その動作に匹敵する速度で神もまたロッドで迎え撃ち、的確に此方の攻撃を弾いて行く。
 余裕を崩さずに往なして見せるその姿、しかし単なる偶然か、刃が彼女の身体を掠め、僅かな傷を刻む。そして露わとなったのは、神が正真正銘、異質な存在である事実。単に切り裂いた程度では致命傷はおろか損傷にもならないと、元通りとなって行く姿がそう告げる。
 驚くには値しない。自分もそのような性質を、魔力によって模倣する事が出来るからだ。

「葬り去った者達の慟哭、憎悪、怒り……逃げるつもりはない。犠牲となった者達の想い、その全てを背負って見せよう!」

 白銀が支配する極寒の大地へと塗り替えられる戦場。氷雪の真下に埋葬された者達の怨嗟の慟哭が、黒い塊から人型となって襲いかかる。覚悟なき者の命を刈り取る憎悪を前に、男が保つは不動の構え。それが意味する物、それは避ける事も、拒む事もせずに、全てを受け止めるという意志。犠牲を強いた者に、自ら犠牲となった者。それらの想いを汲み取り、"明日"を築いて行く事こそ、己の果たすべき責務なのだ。
 かくして、怨嗟にその身体は呑まれて行く。叩き付けられる思念の数々、響き渡る慟哭、向けられる憎悪。それらの叫びを聞き届け、黒い塊が姿を消した時――精神を多大に消耗しながらも、その場に男は生きたまま立ち続ける。
 だが、すぐに反撃へと移る事は出来ずにいた。消耗した精神は、判断を少しだけ遅らせたのだ。

>時空神クロノス 周辺ALL

6ヶ月前 No.1835

究極一番星 @sable ★c1PKWYVyQN_TJc

【次のターンで投下予定でしたが、ここで出しちゃいます】

【狭間世界/終末/アルティメット・イアン】

 ひた走る。神格を相手取っての最終戦の舞台へ。既に力を残す者達が集っていると聞いたが、戦力が多いに越したことはない。
 やっと出来た仲間の無事を祈りつつ、終末の雪景色に足を踏み入れた。

「キャプテン!皆!」

 そこにはユーフォリア・インテグラーレを筆頭に、残存戦力の中でも上位であろう精鋭達がいた。
 しかし状況は芳しくないようで、皆等しく傷や消耗が見られる。中には倒れ伏して動かない者もいるほどだ。
 視線の先に佇む神の振る舞いからして、善戦しているのは間違いないが……やはり支援にきて正解だった。
 見れば戦ったばかりのヘルガに、彼女の腹心と思わしき部下も加勢しているではないか。
 世界の危機を前に立場を問わず肩を並べて戦う姿は、きっと神の怒りを収めてくれるはずだ。

「魔族も戦うぞ……究極の力で!」

 自分もまた、そんな彼らの生き方に人生を変えられた身。今こそ恩を返す時だ。
 ここでの身の振り方は、中世の影に学んできた。まずは覚悟の程を示すべく、恨みの波濤に身を委ねる。
 身体を苛まれることはないが、心を刃物で切り付けられるような感覚が襲い掛かる。
 次第にそれは強くなっていき、最終的に意識を失ってもおかしくない横殴りの荒波に変貌を遂げた。

 ここまで来れば出し惜しむ理由はない。周りを見れば、凌ぎはしたものの反撃に出る余裕の残らなかった者もいる。ならば彼らの分まで力を振るおうではないか。
 怨嗟の漆黒の只中に煌めく白銀。過去からの刺客を撥ねつけ、大空に瞬く究極一番星――アルティメット・イアンの登場だ。

「お前はカミ、オレ様はオオカミ!デカけりゃ覚悟も数倍なのさ!

今ここに爆誕する――『アルティメットだ一番星』!

スゥゥゥゥゥパァァァァァァァァッ!!!!!」

 猪突猛進。黒を掻き分け割り裂く様は、獅子より雄々しく、虎より荒々しい。百獣の王を自称するに足るというもの。
 その勢いのまま神の頭上へ躍り出るや、力を解き放ち白銀の大渦を生み出す。まさに巨大台風、そして中心にいるイアンはさながら台風の目。
 繰り出されるのは、あろうことか飛び蹴りの姿勢での急降下。竜巻もろとも降り注ぐ破壊の嵐だ。
 丞相の腹心が撒いた兵器の炸裂から間髪入れずに放つ大技は、未来を手繰り寄せる決死の一撃であった。

>>時空神クロノス、ユーフォリア・インテグラーレ、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー、クラスター、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア、ボルヴェルク、ヘルガ・アポザンスキー

6ヶ月前 No.1836

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_m5I

【狭間世界/終末/ユーフォリア・インテグラーレ】

これは、総力戦だ。もはや、敵も味方も関係ない。終末に集った全ての人類は、お互いを分け隔てる陣営のことを忘れ、ただ己の未来を掴み取るべく、奮闘する。
同時に熾烈さを増す時空神の攻撃は、まるでその前に立ちはだかる障害であるかのようであった。彼女を納得させるためには、それぞれが自らの持ちうる"覚悟"を証明しなくてはならない。
絶対に触れられぬ存在であった神は、人間と同じ領域へと降臨した。確かに威厳は以前にも増して強まったが、こちらの攻撃も相手に届くようになっている。今回の目的は神を倒すことではないが、少なくとも光明が見えてきたのは間違いないだろう。
戦いが進むに連れて、味方は消耗している。未だ衰える様子のないクロノスに対し、人間達は皆満身創痍に等しい状態。ここに至るまで誰一人として死んでいないのは、奇跡であるとしか言いようがなかった。

時空神に殺到する無数の攻撃。そのいずれもが、これまで何度も見せ付けられてきた的確な対処によって凌がれていく。しかし、激戦の中で、僅かではあるが彼女は手傷を負った。
クロノスの身体を掠めていくレオンハルトの刃。傷が刻まれた部分より流れ出しているのは人間と同じ血などではなく、白い粒子。これは、時空神という存在を構成している概念なのだろう。
完全に通常の生命体とは異なる構造をしているが、これでダメージを与えられない訳ではないということが分かった。それとも、彼女は敢えてこちらの覚悟を受け止めるべく、そうしているのか。
ならば、やるべきことは変わらない。勇気を振り絞り、覚悟を前面に押し出すことが出来れば、時空神はそれを見定めてくれる。勝利が、あと少しのところまで近付いてきている。そんな予感が、ユーフォリアの脳裏を過った。

だが、時空神もそう簡単に戦いを終わらせてくれる訳ではない。次に彼女が差し向けてきたのは、まさしく人類が弄び、滅茶苦茶にしてきた時代の声……古代からの、怨嗟であった。
白銀の世界と変わり果てた終末にこだまする、嘆き、悲しみ、憎しみ―――。本来あるはずであった歴史が消し去られたことにより、存在を許されなくなった者達が、復讐を果たすべく迫る。
真っ先に動き、攻撃を受け止めようとしたシフォンが、黒き闇の中に呑み込まれた。次に狙いを集中させるべく、魔力を開放したフォルトゥナの姿が掻き消えた。
その瞬間を間近で目のあたりにすることとなったユーフォリアは、"本能"のままに闇に突撃する。逃げてはならない。これは、自分達が犯してきた罪の象徴ともいうべき光景だ。
闇の中心で、彼女は渾身の力を解放する。彼女を包むようにして具現化した虹の魔力が、襲い掛かる怨嗟を払い、黒く染め上げられた終末の空間を明るく照らす。
ユーフォリアは決して、彼らから目を逸らすことはなかった。その声を無視することはなかった。無数の歴史を踏み台としてきた果てに、今自分達のいるこの時空は成立している。
時空神の言う通り、人類には生きることを許されなかった彼らの想いを背負い、生きていく責務がある。そのためにも、ここで死ぬ訳にはいかない。未来を切り開き、明日を掴むことこそが、彼らへの最大の手向けなのだから。
闇の濁流が過ぎ去った後、ユーフォリアは倒れ伏すシフォンとフォルトゥナの盾となるよう、クロノスに鋭い視線を向けながら二人の前に立つ。それは、"絶対に味方を死なせない"という、彼女の覚悟の表れでもあった。

>時空神クロノス、シフォン・ヴァンディール、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー、ヘルガ・アポザンスキー、クラスター、アルティメット・イアン、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア、ボルヴェルク

6ヶ月前 No.1837

時空神 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_m5I

【狭間世界/終末/時空神クロノス】

人類が自らの手で、葬ってきた歴史。それは、未来に進むに当たって、絶対に避けては通れぬ障害。彼ら消し去ったことの意味を理解しない限り、人類に明日は訪れないだろう。
一瞬にして空間全体を包み込み、この場に存在する者全員を呑み込んでいく怨嗟の波。背中を向けたくなる恐怖の中でも前進しなければ、闇はその生命を刈り取ろうと、一斉に襲い掛かる。
もしかすると、ここで脱落者が出てしまうかも知れないと、クロノスは考えていた。故に、この攻撃が過ぎ去ってもなお、命を落としたものが一人もいなかったことには、良い意味で予想を裏切られた。
どうやら、こちらの想像以上に、人類の覚悟は強固なものであるらしい。未来を切り開くために奮戦する彼らの姿は、神でさえも美しさを感じるほどに、尊いものであった。
だが、考えてもみれば、この展開は当然の成り行きであったのかも知れない。人は何かを成し遂げようという"意志"の元、歴史を積み重ね、今日まで繁栄してきたのだから。

決戦の舞台に、次々と降り立つ勇者達。古代からやって来たのは、とにかく派手さを好み、愛する男。ドライツ。しかしそれも一つの覚悟の形であると、クロノスは彼を嘲笑することなく、然とその目で見届ける。
彼は、現れるや否や、見ず知らずのフォルトゥナの命を救ってみせた。それは簡単なことではない。ただ、神を相手に自らを証明するためだけなら、他の者を無視する選択肢もあったはず。
にも関わらず、ドライツがそうしなかったということは、彼もそれなりの覚悟を持って、ここにいるということだろう。振り向けば、必ず何かをするのが人間……か。確かにそれは、人の持つ"強さ"の一つであろう。
最大限の覚悟を乗せて放たれた魔法は、殺傷力という意味ではあまりに物足りないものであった。咲き誇った一輪の花から舞い落ちる花弁は、たとえ触れたとしても僅かな痛みを感じるのみで、クロノスを足止めするという意味では無力。
しかし、彼が敢えてこの攻撃を選んだのだということを、時空神は理解していた。覚悟を示すために、過度な威力は必要ない。殺す必要がないのであれば、相手を痛め付ける必要もないということか。
思わず、感心させられてしまいそうになるその姿勢に、クロノスはその攻撃を"受け止める"ことを選んだ。落ちてくる花弁に対し、何もしない。それが身体に触れる度、ドライツの持つ彼なりの覚悟が感じられた。
続いて覚悟を証明しようとしているのは、時空防衛連盟と敵対する組織、歴史是正機構を率いていたヘルガ。彼女は一度は死を受け入れたものの、連盟の手によって生かされ……そして、最終決戦へと姿を現した。
たとえ勝利したとしても、それまでの所業から考えれば、何らかの処罰を受けることとなるのは間違いない。それを嫌がるのであれば、この戦いの隙にどこかへ雲隠れする選択肢もあったはずだ。
それをせず、こうして他の者と肩を並べて戦っているのは、言葉通り、彼女にとっての最大の覚悟なのだろう。逃げも隠れもしない。その発言に、嘘偽りはないと見た。
全てを焼き尽くす勢いで荒れ狂う竜巻に、クロノスは意趣返しの如く、光の竜巻を激突させる。ヘルガのそれとは逆の回転を与えられたことにより、竜巻はお互い打ち消し合い、虚空へ消えた。
ヘルガが動くのに続いて、過去を振り切るようにして加速したクラスターが、すれ違いざまに攻撃を叩き込んでくる。クロノスはロッドを突き出してそれを受け流すと、直ぐ様魔法障壁を展開した。
彼が置いていった爆弾は、起爆こそしたものの、その爆風は障壁に阻まれて届かない。怒涛の勢いで仕掛けられる攻撃を前にしても、時空神は一切動じる様子を見せなかった。
そして、この終末に、遂に魔族が姿を現す。生きとし生ける者全てが隔たりなく、唯一つの目標に向かって歩みを進める姿……クロノスはその光景に、彼らの築く未来を垣間見た。
白銀を纏いながら、決死の攻撃を仕掛けてきたイアン。最も確実な対処方法は回避であったが、時空神はその覚悟を身を以て受け止めるべく、正面から対抗。そして、これまでで最も大きな手傷を負った。
至るところに空いた穴、霧散する粒子。一瞬の内にそれらは再生されていくものの、痛みを感じていない訳ではないらしく、クロノスはここに来て初めて、その表情を歪めた。
―――覚悟を決めていたのは、人や魔族だけではない。神もまた、同じ理に立つ以上、"存在を消される可能性もある"ことを承知し、戦いに臨んでいたのだ。

ここに至るまで、人類の覚悟はもう十分なくらいに見せ付けられた。しかし、まだ彼らには乗り越えなければならない"過去"が残っている。人類が弄んできたのは、古代だけではない。
身体の再構築を完了した時空神は、目を瞑り、ロッドを地面に突き立てる。すると、先程まで白銀の大雪原であった終末は、一瞬にして元の姿へと戻っていた。

「貴方がたが行く先々の時代で残してきた爪痕は、計り知れないものです。一歩間違えば、取り返しの付かない事態を招いていた可能性もあるでしょう」
「今こそ、それらと向き合う時です。己の所業によってもたらされたもの……それを理解してこそ、道は切り開かれます」
「目を背けてはなりません。覚悟を持ち続けるのです。罪と向き合う"勇気"を振り絞るのです」

クロノスはそんな助言を彼らに与えると同時に、ロッドを水平に振るう。すると終末の半分、丁度相手側から見て正面の景色が、荒れ果てた島のものへと変化する。
聞こえてくるのは、戦乱の音。漂ってくるのは、血の匂い。人類と魔族の闘争によって、多くの命が失われた中世を象徴する光景が、そこに広がっていた。
人類と魔族、二つの種族の残留思念が勇者達へと纏わり付く。歴史が捻じ曲げられ、人類と魔族が和平へと向かったのは、本当に正しいことなのか。自分達の流した血が無駄になるのではないかと、彼らは耳元で囁くだろう。
そして、残りの半分……相手側から見て、背後の景色は、文明の発達した大都市へと変貌する。それは紛れもなく、世界政府首都、リヒトルザーンそのものであった。
未来もまた、改変の影響を受けているのだということを知らしめる光景。古代や中世で重ねられた改変は、遠き時代にすらも作用し、その姿を変えてしまったのだ。
殺された官僚達の怨念が、地の底より彼らの足へとしがみついてくる。本来起こるはずのなかった事件によって命を落とした者達の叫びが、深い地中より響き渡る。
勇者達の思い描く未来の前に立ちはだかる障害。それを乗り越えるにはクロノスの言う通り、覚悟を持ち続け、罪と向き合う勇気を振り絞ることが必要。全てを超えたその先に、明日はある。

>ユーフォリア・インテグラーレ、シフォン・ヴァンディール、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー、ヘルガ・アポザンスキー、クラスター、アルティメット・イアン、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア、ボルヴェルク

6ヶ月前 No.1838

ジークリンデ・エレミア @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=66hUEMgB70

『狭間世界/終末/ジークリンデ・エレミア』

続々と共に戦う仲間たちが集まっていく。連盟だとか是正機構だとかなど既に関係ない。
ここにいる皆が各々の覚悟を以て神と戦っている。これもある意味「人間の可能性」とジークは内心思っていた。
そして何より、神との戦いが始まって以来戦死した者がいない。

時空神クロノスの行動により、終末の景色が一面雪が覆う極寒の大地へと変えた。
そして宙に浮く黒い塊が人の形へと変わっていった。それは歴史の闇に消されてしまった人たちの怒り、憎しみであり襲いかかる。
その人の形となった黒い塊を見たジークは「そうか……あなた達も……」と悲しげに反応する。
再び射撃魔法の「ゲヴェイア・クーゲル」を使用。今回は20球展開し、その全てを膝、肘関節部分を部位破壊として狙って発射し、黒い塊を行動不能に抑える。
過去のエレミアの悲しみと無念を知り、未来に繋げる為に現在を生きるエレミアとして、ジークも死ぬつもりはない。
ジークの歴史はまだ始まったばかり。これから先しっかりと次の世代へといかなければならない。異世界の事も含めて全部。
未来を生きる顔も名も知らないエレミアと支えてくれる仲間たちの為にも、このまま大人しく死の闇の中に消えるつもりはない。
この命、憎しみの眼と心で誰にも奪わせない。
続いて時空神クロノスは景色を古代の雪景色から元の終末に戻し、中世時代へと変える。
多くの命が失われた時代。時間溯行装置を使い、ジークはこの時代に実際に行った。
人間と魔族の残留思念が纏わりつくように耳元で囁きかける。
人間と魔族の和平は悪くないとジークは思っているが、大勢の死者を出した上で成り立ったもの。
和平が無駄ではない、思いは消えてなくならないという意味で受け取ったジークは怯えや震えることなく、
「大丈夫ーーーあなた達の思い、絶対に無駄にさせへんよ」と優しい声色で残留思念に言う。
そして自分達から見て背後には未来都市の景色となった。
さらにこの時代で殺された者達の叫びが地中から響き渡り、怨念が足にしがみつこうとした。
ジークはジャンプ、飛行魔法を駆使して捕まらないよう動き回り、一旦後ろに下がる。
その後、ジークは攻撃形態であり、(実質的に)最終形態でもある魔法を発動する。

「エレミアの神髄ーーーーー」

「発動ーーーーー」

彼女のバリアジャケットや外見には変化はないが、魔力が高まっており、
雰囲気も殺人衝動や破壊的なものではなく、どこか優しい雰囲気を放っている。
何が起ころうとも、支えてくれる仲間と過去のエレミアーーーヴィルフリッド・エレミアが残したもので、
悲しき過去を背負い、現在を美しく気高く誇り高く生き、異世界での悲劇を未来に伝え繋げる為に前へと進むと決めた。
現在を生きるエレミアーーージークリンデ・エレミアの覚悟。

>>時空神クロノス、ユーフォリア・インテグラーレ、フォルトゥナ・インテグラーレ、シフォン・ヴァンディール、
キラー・テンタクラー、シエンタ・カムリ、ボルヴェルク、レオンハルト・ローゼンクランツ、
ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン、ヘルガ・アポザンスキー、アルティメット・イアン、Cluster

6ヶ月前 No.1839

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_Czx

【狭間世界/終末/ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン】


かの存在は全てを受け止めていた、痛みを多くは生じさせぬこの男の魔法だけではなく、この場に集う全ての現在を生きる者たちの想いを乗せた数々を。その身体に傷を負い、苦痛に顔を歪めようともその姿勢が変わることはない。
例えこの男は目の前の存在が神であると知っていようがいまいが、それを素晴らしいものだと感じる。人に何かを訴えるならば全身全霊でぶつかってこそだ、その方向性がどうであれ真摯であるならば間違いなく伝わるからだ。
ならばこの男も同様にする、何故かと問われれば派手さを同等だと感じたからとしか言いようがない。同等であるならば相手が先を行くならば追い付かねばならない、後塵を拝そうが最終的に上回ればいいのだ。
故に、一面の銀世界が消えたと同時に月を模した魔力球と大輪の華は粒子となって消える。己の想いを避けることなく受け止められたのだ、ならば耐えきって尚更なる派手さを見せねばならない。先のが魂を賭した派手さ?ならば超えれば良いだけの事!
僅かにも揺らぎを見せぬ仁王立ちでただ目の前の存在の想いを待つ、今のこの男は一人でありながら連なる城塞の如し。その存在感は人一人に収まる筈もない、その予兆に揺れる白銀から覗く紅き双眸はただただ煌めいていた。
そして、その時は来た。錫杖を水平に振るえば荒廃した島が現れた、さらに背後から感じる気配に僅かに視線を向ければこの男の全く持って知らぬ発展した街並み。何かを模していることにまで気付くも、想いを受け止めるには必要ないと思考から外す。
何故ならば、想いは既に訴えかけているからだ。血の、忘れがたき戦場の臭い。怒号、悲鳴、剣戟、魔力音、各々の想いがぶつかり合い命を容易く奪う、この男が嫌と言うほど味わった苦き味。何もかも違うが、命が多く失われたことには変わりはない。
現に聞こえてくる、忘れ去られることへの恐怖と怨恨が。耳を傾ければ戦いの末の終戦から和平へと変わったが故に、己達の犠牲を嘆く。その想いは正しい、だがそれだけではないはずだ。それだけならば、戦う理由など消えてしまうから。

「……平和を、平穏を望んだ。形は違えどな、支配でも融和でも戦いのその先を見ていた。己の死がその道を作るとも、失意のまま死を迎えたものもいるだろう。だが、それをなかったことにされ、誰からも忘れ去られるならば誰しもがそうもなろう。」

男は静かに語り始める、派手さを追い求める原点に近いが故にやや感傷的にも見えるだろう。しかしそれは心の弱さを見せる事には繋がらない、寧ろ耳に入る全てを聞き逃さぬようにただただ立つ。
王の気風は損なわれることはない、欠片の曇りも見せぬ男の魂の輝きは遍くを照らすだろう。そう、在ろうとした。そして、そう在ることが出来る様になったのだ。人の無念すら組み上げて、戦に散った者たちを救い上げようとするだろう。
それも、男が言う派手さの一つだ。全てを魅了する、そこに生者も死者もありはしない。

「だが!!!今の幸福は間違いなく君達が居たからこそ!戦乱で死したならば分かるだろうッ!!!争うよりも争わない方が良いと!ならば、それが正しくなくて何が正しい!命が容易く失われることが正しいならば!!!私は正しくなくとも良いッッ!!!!!」

纏わり付き、絶えずに言葉を吐く。その全てを拒絶することなく聞き入れながらただただ想いのまま叫ぶ、争いの中で命を失ったならば今ある平和の尊さなどこの男が語るべくもない程理解しているはずだ。
だが新たに地から這い出る怨念はまた違う事を語る、本来ならば死なずに済んだのだと地中深くから響く様に訴えかけてくる。それでもこの男の姿勢は僅かに崩れることもない、心が乱されることもない、ただただ悲しみを覚えるのみ。
命は尊く、かけがえのない物だと言うのにこうも簡単に失われてしまうのだと。

「何故ならば!命に貴賤はないッ!!!生きていい命は幾らでもあれど!死んでいい命など一つとして存在しない!だからこそ死者を弔う!失われてしまった命を惜しみ悲しむ!!!しかし、しかし!それこそ生きる者だけの想いッ!」

怨恨に、怨念に、真っ向からぶつかり合う。対立としてではない、理解するためのぶつけ合い。失われたものを大切にするのは遺されたものだからだ、失ったものがどう思うかなど分かり得ないと、この男は理解している。
死にたくないと言った人間が、死して英雄のように祭り上げられる姿を見た。果敢に散った人間に、あらゆる汚職を背負わせる姿を見た。生と死の境界は近くも遥か遠い、そこに人の情念を含めれば何とも複雑怪奇になろう。
故に、この男はこう叫ぶのだ。

「だからこそ!私は忘れぬッ!!!!!全てを覚えていようッ!!!君達全てを背負って見せようッ!!!派手さと言う煌めきと共に多くの人々の心に刻み込めて見せるッ!!!!!意味など伝わらずとも!その想いを忘れられぬものにする!それが―――」

大仰に隻腕を天へと掲げる、一筋の光が眩い光を放ちながら赤黒い空へと落ちて行く。その軌跡が見えなくなるほどに空深くまで落ちて行く、そしてこの男が天を見上げると同時に血を思わせる空の色は―――――色彩に包まれていた。
この一帯の空を極彩色の閃光が絶えず炸裂し、荒れ果てた島も文明の発展した街も、戦争に囚われた思念も有り得た生を失った怨念も、一つの例外も存在せずに色とりどりに照らし続けていた。最早、多色が交じり合う太陽が空を覆っているかの如く。
この光景は感情を持つならば、心に焼き付くだろう。美しさだけではない、鮮やかさだけではない、この光景には男が背負っている全てをただ一つの指標を以ってして示しているのだ。それは―――

「――――――私のぉ!!!派手さだああぁぁぁあああ!!!!!」

光輝く空から降り注ぐ色を閉じ込めたような光の雨、流星のように尾を引きながらこの終末を今を生きる人々の始まりへと彩る様に降り注ぐ。地に落ちて光が弾ければ穏やかな色で大地を彩り、思念に吸い込まれれば想いすら明るくなりそうな鮮明な色彩を与えていく。
無論、全てをそうするには足りない。だがこの男だけではない、立ち向かう勇者や英雄と呼べる人物は多くいるのだ。それぞれの方法で向き合うのだろう。しかしこの男は大半を引き受けた、そうすることがさも当然かのように。それが出来るからこそ。
光の雨はかの存在にも降り注ぐ、相も変わらず痛みなど多少しか生じないがきっと純潔だとか高貴を示す白を数多の色で染め上げるだろう。これこそがこの男の想いだから、想いを全て受け止めた上で再度ぶつけるだけの勇気は有り余っている。

何故、派手と言う言葉を選んだのかとこの男に問えばこう答えるだろう。
―――一目見れば忘れられぬもの、それを派手と言わずに何と言う!と。

>>時空神クロノス ユーフォリア・インテグラーレ シフォン・ヴァンディール ヘルガ・アポザンスキー Cluster キラー・テンタクラ― シエンタ・カムリ アルティメット・イアン ジークリンデ・エレミア リプレイサー レオンハルト・ローゼンクランツ ボルヴェルク

6ヶ月前 No.1840

黒翼 @kyouzin ★XC6leNwSoH_m5I

【狭間世界/終末/Cluster】

音速に達しようかと言う戦闘機相応の速度を持って、それこそ人間では反応が追いつかないほどの神速の一撃を持ってして尚、クロノスは的確にロッドを突き出して弾いてくる。 神と言うのは単純な破壊力、防御力だけではなく、優れた反射神経すらも持ち合わせている、つくづく、自分の機体はまだ天には到底届かない事を思い知らされる。
だが、それは絶望ではない、むしろ、これが終わったら何をするべきかと言う目標が固まったのだ、もしもザーシャとこの神とやらに会わなければ、自分は、悪い機体ではないが、同時に最強でもないこのクラスターやE装備と言う「器」で満足してしまったかもしれない。

だから勝つ、そして生き残る。 その後は機体の新規設計だ、根本的な構造から異なる機体、自分は最強への挑戦をせねばならない。

「――故にッ!!」

撒き散らされる爆弾の数々、それらは全て障壁によって阻まれる、しかしクラスターはまた武器の全てを使った訳ではない。
クラスターには"消耗"はあっても"疲労"と言う言葉は機械の身体と電気と化した脳を持つ以上存在しない、故に、苛烈に、何度も何度も繰り返し攻撃を仕掛けることで、クロノスと言う高い壁を突破する、それがクラスターの考えていた戦法である。
だが、相手もただ無抵抗でやられているはずが無い、当然反撃と言う物は飛んで来る。

しかし、その内容が問題だった、今まで、彼は様々な物を背負っていく覚悟の元戦闘を行っていたが、彼は同じ事を何度も言われる事は嫌いだ。
そして、有象無象が嫌いだ、しかし、その有象無象を嫌う理由とは何だと考えた時、真っ先に出てくる言葉は「官僚」だ。
彼は自分勝手な救済者であって、良心の元戦う戦士ではない、だから。

「くどいッ!! 自分勝手な怨嗟で我々が止められると! 少しは過去に代弁させるのではなく貴様の口で怨嗟の言葉を吐き捨てて見ればどうだッ!?」

激情と共に、クラスターは再度クロノスに攻撃を仕掛けるように反転して突撃を掛ける、しかしその際、その速度故に発生する残像が、少しずつ色と形を持ってついにはクラスターとは完全に別の動きを取る無人機へと変貌する。 自身の分身であり、そのまま同性能の武器を使用できるシャドウコルベット、それが全機展開されたのである。
彼が語った言葉とは印象が変わって、クラスターはそのままクロノスを攻撃する事もなくシャドウコルベット共に彼女の傍を通り過ぎて、湧いて来た残留思念を、単純なミサイルやレーザー兵器による破壊力と言う暴力的な手段で破壊しつくす。

それは全てをどうにかして、味方の負担を完全に消せるほどではない、だが、副将が行った全力殲滅の効果は、それなりの物となるだろう。

「この過去も、貴様が尊重する物の一つだと言うならば、自分の考えを口に出さず、ただ過去に代弁させるだけだとするならば、今すぐ僕が駆逐しつくしてやる!!」

飛び交うレーザーとミサイル、その中でクロノスはおそらくだが、クラスターに特別注意を向けないだろう、大言こそ言っているが、やっている事は味方の被害を減らすために攻撃手段を的確に潰しているだけ。
だが、見た目の酷似するシャドウコルベットが複数展開された以上、クラスターにとっては非常に不意打ちをしやすい環境だ。

「――そして、死んだ人間の魂をどんな正義のためとは言え、試練のためとは言え、利用するのはそこまでだ」

黒翼はクロノスの遥か頭上で人型形態に変形し、そのまま重力に任せて急降下、クローアームをその勢いのままクロノスに突き刺さんと突撃する。

>時空神クロノス 周辺ALL

6ヶ月前 No.1841

罪の清算 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_m5I

【狭間世界/終末/ヘルガ・アポザンスキー】

自らの放った竜巻は、クロノスが逆回転の竜巻を発生させたことよって打ち消され、霧散した。神を名乗るだけはあって、それぞれの攻撃への対処に迷いがなく、的確である。
しかし、彼女はこちらの攻撃を全て余裕で回避してみせるというつもりがないらしい。人類の覚悟を、その身を以て受け止めようとしているのか、時空神は最後のイアンの突撃に、真正面から向き合うことで応える。
結果としてクロノスはここへ来て初めて、その表情を歪めることとなった。神であるからといって、痛みから逃れられる訳ではないらしい。その気になれば、人の力で、彼女を消し去ることも可能なのだろう。
だが、今回の戦いの目的は、そのような野蛮なものではない。あくまで重要なのは、覚悟を示すこと。ユーフォリアの言葉を借りるならば、必要なのは殺意ではなく、覚悟だ。

「私は逃げも隠れもしない。そう言ったはずだ」

中世と未来で起きた事象を象徴するクロノスの攻撃が襲い掛かる中、ヘルガは改めてそう宣言する。相手からも言われた通り、ここで目を背けることこそが、最もやってはならない行為だ。
全ての発端となったのは、他でもない人類の所業だ。時空神が望んでいるのはそれに対する贖罪。それは、死によるものではなく、この事実を認識した上で、どうするかということであろう。
自らの足に纏わり付いてくる、死した官僚達の手を振り払い、次へ、未来へ歩み出そうとするヘルガ。だが、顔を上げた彼女の視界に飛び込んできたのは、ある意味予想通りともいえる光景であった。

クラスターが過去の出来事から、当時の世界政府官僚に人並みならぬ憎悪を抱いていることは、上司であるヘルガも認識している。だからこそ、クロノスがこのような試練を差し向けた時点で、彼があのような行動に出る可能性は高かった。
自らの研究を否定され、辛酸を嘗めさせられたクラスターの気持ちも理解出来ない訳ではない。だが、覚悟を示すべきこの瞬間においては、相応しくない行いであることもまた事実。
クロノスへと向かって飛翔していたヘルガは、直ぐ様軌道を変え、彼女の横をすり抜ける。そうして辿り着いたのは、クローアームを振り下ろす直前のクラスターの眼前。
明確な殺意の元に放たれたクロノスへの攻撃を、ヘルガは身を呈して受け止め、その軌道を変える。完全に停止させるまでには至らなかったが、力の方向を変えたことで、命中することはないだろう。
一方の彼女はというと、諸に衝撃が身体に伝わったことにより、そのまま激しく地面へと叩き付けられる。折角塞がっていた傷が開き、ヘルガが倒れ伏している周辺の地面が、赤く染め上げられていく。

「クラスター……お前が奴らに恨みを持っていることは知っている。だが、今はこの場ですべきことを考えろ。この世界が滅べば、お前の望みも叶うことはなくなる」

鮮血を滴らせながら立ち上がったヘルガは、頭上に滞空するクラスターに向け、そう言い放つ。それは、彼女なりに彼のことを思った上での発言であった。
ただ、今はユーフォリアに従え、などと説得したとしても、クラスターが従うことはないだろう。しかし、暴走のままにクロノスを殺してしまえば、世界が滅ぶことになるのは明白。
そうなれば、彼が望んでいるであろうことも、達成される可能性は消え去るのだ。同時に、今の彼にあるかどうかは分からないが、守るべきものも失うことになるだろう。
たとえ、納得出来なくとも構わない。それでも、今だけは殺意ではなく、覚悟を胸に戦って欲しい。そんな意味を込めた言葉を向けながら、ヘルガはクラスターを見つめる。きっと彼も、それを理解してくれるだろうことを信じて。

>時空神クロノス、ユーフォリア・インテグラーレ、シフォン・ヴァンディール、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー、ヘルガ・アポザンスキー、クラスター、アルティメット・イアン、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア、ボルヴェルク

6ヶ月前 No.1842

凡人は歩く @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【狭間の世界/狭間の最果て/ヴァイスハイト・インテグラーレ】

長く、長く、永遠に続くと思われた戦いにも、漸く終止符が打たれる。
誰よりも真摯に理想を追い求めた怪人が、遂にその終着点を受け入れた。
たった一人の凡人に敗れたその男は、最期に、己が懐き続けた夢を語り――そして果てた。
それが、かつて世界をも喰らう程の力を得たただ一人の男が得た、最後の答えだった。

「……そうだな。俺にその力は無いが、お前の願った世界はきっと叶うだろう」

相容れぬとしても、きっと、彼の理想は尊ぶべきものなのだ。辿り着く場所が異なるとしても、抱いた思いは本物だったのだ。
だから、もう眠れ――最後にそう言い残して、ヴァイスハイトは彼の骸に背を向けた。


「ぐっ……」

緊張の糸が切れた事で、それまで感じなかった痛みがどっと溢れ出して来る。思わず蹲りそうになるが、ヴァイスハイトはそれを堪えて歩き出す。
複数の銃創に無数の骨折、加えて内臓にもダメージがあるだろう。普通なら苦痛に倒れてもおかしくはない。
だがヴァイスハイトは、生きて帰ると決め、そして宣言の通り生きたのだ。ならばこんな所で倒れては、敗者に対しても無礼と言うもの。
だからこそ、傷の痛みに堪えなければならない。生きて帰ること――それを成さなければ、本当の意味での勝利ではないのだから。


突然、足元が大きく揺れ動く。余りに唐突な事でヴァイスハイトは転びそうになるも、ふらつくだけでそれを堪える。

「空間が崩れ始めたな……。ユフィ、フィル……きっと、お前達なんだろう」

彼には、ユーフォリア達が何と戦っているのかは分からない。だが、きっと彼女達ならば勝つだろうと、そう確信していた。

常人ならば動けなくなる程の苦痛を堪えて、崩壊し始めたその場を後にする。
光差す方へ、一歩、また一歩と、足を引き摺りながらも少しずつ歩んで行く。
もうすぐ、もうすぐだと自分に言い聞かせて、止まりそうになる足を進め続ける――。

>>(バビロン)

【長いこと間を空けてしまってすみませんでした!】

6ヶ月前 No.1843

水刃 @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【狭間世界/大雪原/ツバキ・オオトリ】

鋭く、何よりも素早い水の刃は確かに敵の体躯を引き裂く。
迎撃等間に合う筈も無いが、だがしかし、その手応えは彼女の望んだ通りとは行かなかった。
達人でさえ反応する事すら困難なその一撃を、しかし、女剣士は生き延びて見せたのだ。氷撃での咄嗟の防御を重ねた一瞬の回避は正しく神業。伊達にグランドナイトと呼ばれる訳では無いのだろう。

だがそれでも、女剣士は紛れも無い致命傷を受けた。其処に重ねる様に、ソレミアが荒れ狂う水銀の海を叩き付ける。
女剣士も負けじと勝利への意思を咆哮に乗せ、炎を呼び寄せ迎撃を試みる。
だが、捨て身の大技を放った事に加え、痛烈な一撃を受けた事もあり、その炎は僅かな抵抗を見せたばかりで水銀の波に掻き消された。
最期に、敗北は必然だったのだと受け入れた女剣士の声が響く。水銀の波が流れて消え去る頃には、その姿は消え去っていた。
猛々しいまでの戦意は最早無い。かくして、白雪の戦いは二人の勝利で幕を閉じたのだ。

吹雪は止み、雪原は一時の静寂を取り戻す。最早、此処には何も無いだろう。

「終わりか。悪くは無いが」

相も変わらずツバキは冷淡でいる。それどころか、何処か不機嫌な様にも見える。
手足や胴に浅くは無い傷を負っているが、彼女は少しも気に留めていない。

「さて、帰るか。後は、他がやるだろう」

此処での役目は終わったと言わんばかりに、ツバキは踵を返し歩き始めた。
ソレミアとすれ違った瞬間、ツバキはちらと彼女の目を見た。それは、共に戦った仲間への一礼だったか、或いは――。

>>グランドナイト、ソレミア

【大変お待たせしました……。】

6ヶ月前 No.1844

Scarlet Flame @zero45 ★pB1cyTl1jZ_TJc

【狭間世界/終末/レオンハルト・ローゼンクランツ】

 否定された亡者達の嘆きが木霊する。押し寄せる波は怨嗟の軍勢。存在を許されざる者へと堕とされた彼らが剥けるは復讐の毒牙。未来を、過去を、そして現在と、全てを奪い尽くした者達を死へと誘うべく殺到する。逃れる術は唯一つ、簒奪の果てに至るべき未来を掴み取らんとする覚悟の証明。各々がその決意を示す為に、ある者は闇を突き進み、在る者は虹の光で闇を払う。
 そして――獅子は、闇を身を持って受け止める。悲嘆を、憤怒を、憎悪を。一つ余さず知り尽くし、その上で強く心で宣言する。命を、未来を、理想を奪い、死を与えた罪に対する代価は、殺めた者達の想いを汲み取りながらも、辿り着くべき理想の明日を掴むに至る事。
 その道程はきっと険しく厳しい。非情な現実が心を挫かせようとする事もあれば、理想は夢のままに終わる物と心の中の諦観の声が語り掛ける事もあるだろう。これから先、立ち向かっていかねばならない障害は果たして幾つあるのか、誰もその問いの答えを示してくれる者はいない。
 それでも、雲隠れした壁達に向けて誓う、決して屈したりはせず、そして同じ志を抱く仲間達と共に突き進んで乗り越えていくのだと。それが、独りで理想を追い続けた過日のの己に対する別れの言葉でもあった。

「これが俺の……」

 闇を受け止め切ったその時、息を切らしながらもまだ立ち続ける。消耗し切った身体は今にでも倒れそうで、しかし彼の心は倒れる事を許さぬまま身体に鞭打つ。二つの眼で捉える世界、再び変貌していくその姿。露わとなるは二つ、血を血で洗い流した戦乱の時代と、歪みの始点である我等の時代。
 戦いの結末を否定され、流した血の全てが無駄になる事を恐れ囁く思念の群が纏わり付き、地底からは怨恨を募らせる官僚達の怨念が足へとしがみ付いてくる。地中から響き渡る叫びは、歴史を歪ませる最中で起きた事件で犠牲となった者達の声。
 纏わり付いた思念を振り払わずに、心で答える。断じて無駄ではなく、そして無駄にはさせないと。それが人であろうと、魔族であろうと関係はない。総ての死には、何かしらの意味がある物なのだと、己の信条を語り掛ける。
 そしてその最中にも、しがみ付いてくる怨念を振り払う。未来を歩む為にも、そのまま道連れにされる訳には行かない。聞こえて来る声を受け止め、満身創痍ながらも一気に前へと突き進み――

「……答えだ」

 未完の魔剣を手に、神の目前へと辿り着く。消耗した身体が為す動作は力に欠け、剣を振り上げるだけでも精一杯と言った風であり。こんな有様で叩き付ける一太刀は当然、呆気もなく防がれるのが関の山。
 だが、その結果は重要な事ではない。本当に大切な事は、叩き付けんとする一太刀に己の信念を込め、それを神に伝える事なのだ。故に躊躇はせず、そして消耗以外の要因で刃を鈍らせる事もない。
 今や神速から遠くかけ離れた刃の一撃が、振り下ろされる。目で追う事すら容易く、弱々しさすら感じてしまう程の物。しかし、獅子はこの一撃に対して全てを賭した上で放った。
 果たしてこれを神はどう受け止めるのか。そんな疑問を確かめる間も無く、一撃を放ち終えた彼の意識は遠のく。剣を手にしたまま、その場に倒れ込み――そして、遂にその意識は深い闇の底へと堕ちて行った。

>時空神クロノス 周辺ALL

6ヶ月前 No.1845

究極一番星 @sable ★YBxjZzuIqZ_keJ

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6ヶ月前 No.1846

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_m5I

【狭間世界/終末/ユーフォリア・インテグラーレ】

決戦が終局へ近づくに連れて、張り詰めていく終末の空気。そこにユーフォリアは、時空神クロノスの覚悟を見た。止まることのない、時空の守護者達の連撃。その全てを、彼女は正面から受け止める。
最後に突撃してきたイアンの攻撃によって、時空神は確かな手傷を負うこととなった。身体中に空いた穴が、何よりもの証明。神格でなければ、恐らく命を落としていただろう。
痛みに顔を歪めるクロノスを見て、ユーフォリアは人類が殺意を持って抵抗すれば、神であろうと存在を消し去ることは不可能でないのだということを悟る。だからこそ、クラスターの取った行動は、この状況においては危険極まりないものであった。
ともすれば、ここまで積み重ねてきたもの全てが水泡に帰しかねない事態に、彼女は咄嗟に間に割り込もうとするが、それよりも早くヘルガが反応していた。歴史是正機構で長らく彼と接してきたヘルガには、これも予想の内であったということか。
結果として彼女は多大なる代償を払いながらも、攻撃をクロノスから逸らすことに成功した。倒れ伏し、周囲の血の海を作っている様子はあまりにも痛々しいが、最悪の事態だけは免れたようだ。

時空神が次の一手として打ってきたのは、二つの異なる時代を模した攻撃。丁度、自分達から見て正面の景色は中世の魔帝城周辺を彷彿とさせる荒れ果てた島に、後方の景色は未来を彷彿とさせる大都市に変貌を遂げた。
人類と魔族の残留思念、殺された官僚達の怨念。あのクラスターを凶行に及ばせたのは、後者の方だろう。何せ、彼は自らを認めることのなかった政府に、尽きることのない恨みを抱いているのだから。
これら全ては、時空防衛連盟や歴史是正機構の面々が犯してきた罪の象徴だ。中世は正史よりも良い結末を迎えることが出来たかも知れないが、所詮それは未来に住まう者の視点。
彼らは、こうなることなど望んでいなかったかも知れない。それをこちらの勝手な都合で捻じ曲げてしまった以上、時空神からの批判を受けるのは当然の成り行きであろう。
そして、クロノスが攻撃に使用したということから、未来にも改変の影響はあったのだということが判明する。考えればすぐに分かることだ。過去の改変は、必然的に未来へも影響を与える。
古代や中世で改変を重ねている内に、未来すらも本来の姿からは外れてしまったのだろう。己の住まう時代すらも書き換えてしまったという、逃れようのない事実。時空神の突き付けた真実と向き合わなければ、明日は訪れない。

「私達は、二度と同じ過ちを繰り返さない。この時空の、全ての存在を護るために」

ユーフォリアは時空神に対してそう宣言し、地面を駆ける。いつまでもこの場に留まるだけでは、自らの抱く覚悟を示すことは出来ない。動くべき時が来たのだ。
味方全員の前へと躍り出た彼女は、大地をしっかりと踏みしめると同時に、両手を広げる。すると、解き放たれた魔力が虹の光となり、終末にいる者すべてを敵味方関係なく包み込んだ。
それは、敵には容赦のない裁きの光となり、味方には暖かな救済の光となる一撃。しかし、今回はクロノスを打ち倒すという意志がないため、攻撃としては作用しない。
襲い掛かってくる残留思念や怨念は、全てユーフォリアが展開した虹に阻まれ、味方に到達することなく消えていく。護るのだ、何としてでも。未来を掴み取るまで、もう誰一人として欠けさせはしない。皆で生きて、次の時代への一歩を踏み出すのだ。

>時空神クロノス、シフォン・ヴァンディール、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー、ヘルガ・アポザンスキー、クラスター、イアン・ガグンラーズ、ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア、ボルヴェルク

6ヶ月前 No.1847

時空神 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_m5I

【狭間世界/終末/→時空転移/時空神クロノス】

古代、中世、未来。人類が掻き乱してきた時代を象徴した攻撃を受けてもなお、彼らの覚悟が変わることはなかった。勇者達は不変の意志と共に、そこに在り続けている。
それぞれの口から放たれる力強い言葉、覚悟を示す行動。時空神はそれらを一つ一つ見届け、結論を下す。彼らであれば、過ちを糧に、次なる未来へと進んでいけるだろうと。
となれば、最後の試練を彼らに与えなければならない。これから訪れる、最大の恐怖を前にしてもなお、己を保つことが出来れば、懸念は完全に払拭されることとなる。
その一撃を放つ前に、これまでと同じようにクロノスは挑みかかってきた者達に対応する。真っ先に、全ての無念を背負うと覚悟したドライツの、派手さを極めた魔法が降り注ぐ。
相変わらず殺傷力には乏しく、その身体で受け止めたとしてもほぼ痛みはなかったが、それよりも大きなものを感じる。体内が、高貴なる白色で満たされていくような感覚。これが、彼の覚悟そのものなのだろう。
同時に後方で何が起きているようだが、敢えてクロノスはそちらへは目を向けなかった。あれは、自分が触れるべき問題ではない。たとえ見ずとも、彼ら自らの手で解決へ導かれるに違いない。
既に満身創痍にも近い状態のレオンハルトは、消耗した動作で未完成の魔剣を振り下ろす。弱々しい一撃を放った代償として、彼は意識を手放すこととなった。
神格を傷付けるにはあまりにも物足りない攻撃。これで、時空神が死ぬことなどまずないだろうが、そんな儚い攻撃の中に秘められた覚悟は、全てを圧倒するに相応しいもの。
故に彼女は回避することも、防御することもなく、ただ立ち尽くしたまま彼の渾身を受け止める。刀身が身体に触れた瞬間、彼女は全身が燃え上がるような感覚に襲われた。
他人を護る覚悟もまた、クロノスは受け止める。イアンは生まれ育った時代の無念を聞いたが故に、究極となる力を削がれてしまうが、それでもとばかりに、倒れ伏したレオンハルトの前に座り込む。
絶対に、彼に手は出させないという、彼女なりの覚悟だろう。最強の必殺技という言葉に、間違いはないかも知れない。その覚悟を汲み取ったクロノスは、決してレオンハルトを攻撃しようとはしなかった。
そして、全員を護るという決意を抱いて駆け出したユーフォリアは、終末全体を虹の光で包み込み、そして、自分達にとって脅威となるものの一切を、暖かな光の聖域で遮断した。
同時に、クロノスも攻撃の手を止める。彼らは如何なる事象を前にしても、決して逃げ出さなかった。揺るぎない覚悟に敬意を示し、こちらも最大の力を持って応えるのが当然だろう。

「……その覚悟、勇気。貴方がたの姿勢は、時空を乱さず保つことが出来ると、私に納得させるに十分なものです」
「故に、私も貴方がたの覚悟に、覚悟を以て応えさせていただきます。未来は、自らの手で切り開くもの。何が起ころうと、恐れず、怯まず、立ち向かうのです!」

時空神の声が響き渡ると同時に、終末に異変が起きる。突如、襲ってくる浮遊感。それは経験のある者であれば、時間遡行をする際の感覚と非常に似ていると気付くことが出来るだろう。
次々に、規則性なく移り変わっていく周囲の景色。唯一聞こえてくるのは、風の音。クロノスは時空神としての力を解放し、この場に集った者達を時空転移に巻き込む腹積もりなのだ。
このままでは、数分としない内に、彼らはそれぞれ全く異なる、未知の時空へと飛ばされてしまうことだろう。何ということだ、最後の最後に彼女は人類を見放したとでもいうのか?
否。彼女は、己が為せる最大の恐怖で、彼らを試そうとしている。クロノスの言葉に耳を傾けていれば、この攻撃の意味は分かるはずだ。重要なのは、"恐れず、怯まず、"立ち向かう"こと。
これまでと同じく、如何なる恐怖を前にしても逃げることなく、向き合えばよい。さすれば、時空の転移は止まり、彼らはこの地に留まることが出来るだろう。だが、仮に怖気付き、一歩でも引き下がることがあれば―――その瞬間、彼らの存在は時空から抹消されることとなる。
求めていた未来は、明日はすぐそこにある。それを掴み取るのは他でもない、彼ら自身。今こそ、最後の勇気を振り絞る時。覚悟を胸に、次なる時代への扉を開くのだ。

>ユーフォリア・インテグラーレ、シフォン・ヴァンディール、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー、ヘルガ・アポザンスキー、クラスター、イアン・ガグンラーズ、ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア、ボルヴェルク
【これで最後です。全てを次にぶつけて下さい―――!」

6ヶ月前 No.1848

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【記事主より削除】 ( 2018/12/14 03:21 )

6ヶ月前 No.1849

【 疾風怒濤 】 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=CiZW6oD4vs

[狭間世界/終末/【リプレイサー】]

 ――――或る詩人に曰く。“この世は舞台、人はみな役者だ”と。“この世は一つの世界、誰もが自分の役をこなさなきゃならない舞台なのだ”という。

 自分は日々を過ごすなかで、いつも考えてきた。己の負った役目とは、いったいどんなものだろうか。己が命の行先は、いったいどうなることだろうかと。


 思えば数奇な人生だ。とある世界に生れ落ち、物心もつく前から、既にこの身体には【異能】が巣食っていた。無数の異能者が暮らす街、能力の根幹を成す【宝玉】……ダイヤモンドよりも高価なソイツは、ヒトが生を喪ったときに転がり出てくるモノで。

 親も知らぬ間に消えていた。兄弟がいたのだったか、それもよく憶えていない。日夜迫り来る手から逃れ、ただひたすらに、生きることに精一杯だった。
 そしていつしか、“業者”に追われる子供たちを護ることが己の生き甲斐となっていた。何がきっかけだったか、きっと、ほんの些細なことだったろう。或いは、かつての己へ姿を重ねた同情からか……とかく、自分は子供たちを護り抜く決意をしていた。それは確かだ。

 けれど、その“生き甲斐”たちもすぐに消え失せた。護ったと思い込んでいた子供たちが、みんな手に掛かったと知ったとき……自分は一度目の“死”を迎えた。支えの糸がプツリと切れて、宙ぶらりんになった身体だけが、もう居もしない誰かを探してフラフラと遊歩道を動き続けていた。【宝玉】にチカラと記憶とを硬く硬く閉じ込めて。

 そして、それが何の拍子にか、世界の外に弾き飛ばされて。世界の放浪者と成り果てて、今も忘れぬ“相棒”と“少女”に出会い。心に遅れて身体が“死んで”、そうして二度目の“生”を迎えた。
 目を背け続けた“真実”と向き合い、その果てに“偽神”と対峙し。決意と覚悟を剣を掲げ、一つの世界を救ってみせた。

 ……自分の“生き甲斐”は、そこからもう一度始まった。二度目の生を授けてくれた、“世界”に対して御礼がしたい。手が届くだけの命を救い、未来を繋ぐ手伝いがしたい……それこそが世界を駆ける自分の役目だと、嘘偽りなく思ったのだ。

 それから幾つかの世界を巡った。滅びゆく世界に、荒涼とは縁もない世界。迷宮探索なんてしたこともあった。ああそうだ、どれも世界を救うために。顔も知らない誰かのことを、一人でも多く救う為に。


 そうして、奇術師はこの世界にやってきた。世界線の歪み、時空流の撓み。如何にも男の好きそうな環境だった。時を巡って人を救い、世界を崩壊から護り抜くだなんて、それこそ“浪漫”の塊だろう?
 ――少なくとも、あの時の自分の目にはそう映っていた筈だ。一抹の不安を抱きつつ、自分は時の方舟に脚を踏み入れた。

 …………まさか、その行先で“ヒトのエゴの塊”に出逢うとは。護るはずの人々の奢り、昂りをこの目にし、挙句の果てには“千里眼”。瞳に映る時空の嘆き。

 それらの全てを知ったとき、自分は二度目の“死”の訪れを感じた。嗚呼、この世界は“自らの意志”で壊れるのだ。いったいこの世界の人々に、命を賭けてまで護る意味があるだろうか。

 いっそこんな世界など、滅びてしまった方がいいんじゃないか――



「でも、まあ――――――」


 ――それでも、舞台を真っ直ぐ観続けていりゃ、新たな気づきもあるもんだ。
 怨讐たちの唸りの中で、この奇術師は褪せようのない覚悟の輝きを視た。死んだ心の奥底で、微かに戦ぐ息吹を聞いた。傷つき、斃れ、迷い、荒び、それでも掲げた戦旗を視た。ヒトそれぞれのカタチで以って、ヒトそれぞれの彩りを以って、織り成す旗の色模様を視た。

 そうしてようやく、自分は気がついたんだ。自分の望んでいたことは、根っこの部分じゃずっと変わっちゃいなかった。“当たり前の日常を、当たり前のように送ってほしい”――心の最奥に懐いていたのは、そんな単純で、素朴な願いだったということに。

 世界の危機だの、救う価値だの、過去への返礼だの――そんな御託はもう要らない。“助けてやりたい”、そう思った。“この命を賭けてでも、アイツらの覚悟を繋いでやりたい”……心からそう思えた。



だから、俺は。

━━…━━…━━…━━…━━…━━━━…━━…━━…━━…━━…━━

 流れることすらも許されなかった数多の血潮。それらを真っ直ぐに見据えつつ、時に否びを交えつつ、それでも勇士達の熱き鼓動は炬火の如く揺らめいて、闇路の行方を照らし出す。
 応えるは烈火の太陽。無明を晴らす閃光は、贖罪の日輪と憐憫の月影となりて、地上の英雄を迎え討つ。怨讐、そんな浅慮の一言では到底片付けられはしまい。神の所以を成すモノは、人の理解では遠過ぎる。それでも時空を統べるその瞳から、覗き見えるモノはある。冷厳なる慈愛が、闇路を仄かに指し示す。


――そして、その闇路の少し手前。

「……やれやれ。ま、こうなるんじゃねぇかとは思っていたが。」

 無銘の津波が過ぎ去った跡に、奇術師が立っていた。
 フゥと一つ小さな溜息を吐きながら、男は辺りを一瞥する。彼の瞳に映るのは、傷と泥に塗れたままの、勇士達の小さな背中。
 ああ、彼らとてこの世に生きる者たちだ。気丈に振る舞いこそすれど、身体は既に満身創痍。たとえ心が折れぬとしても、限界はいつか来る。

「でも、まだ折れてやるつもりはないんだろ? 諦めるにはまだ早い、まだまだ世界にゃ希望はあるって。ヒトには征くべき道があるって、そう言うんだろ?」

 それでも、この奇術師は笑い掛けるようにそう言った。知っているとも。主人公ってヤツは逆境にこそ輝くもの。その姿は何度も見てきた。騎士様、姫君、魔女、勇者――七色の輝きにその身を変えて、舞台を派手に彩っていく人々の姿を。
 だから、奇術師は迷いなくこう言ってやれるのだ。

「結構、上出来だ! 起きては転び、転んでは起き、それでも先を目指すなら!俺も手くらいは貸してやる。何度でも、何度でも……!」

 ――“俺も仲間に入らせてもらう”と、声高らかに謳うのだ。自分の役どころならばついさっき弁えた。男の役目は“トリックスター”、最後の最後まで見当もつかぬ、やりたい放題の擬人化だ。自信過剰? それで結構。名乗ったからには名乗っただけの覚悟がある。期待も不安も全部担って、悠久の彼方に飛ばしてやろうとも。



 ……しかし、この“トリックスター”、特別に防壁を築けるわけではない。特別頑丈な身体は無いし、魔導も拳法もからっきし。それじゃ、伽藍堂の身体には何が残ってる? 空に問えども答えは無く、地に聞けども印は無く。それでも奇跡を起こそうと言うのだから、そりゃ相当に大変なお話だ。


…………





ああ。そんなこと、初めから知っている。
・ ・ ・ ・ ・
だ か ら こ そ、全てを賭けるんだ。


 “トリックスター”の手元には、一つの得物が握られる。それは武骨な刃ではなく、語って聞かせる話術でもなく、奇術師が奇術師たりうる【理由】が握られる。
 それは望んで得たものではなく、それでも恨むことはなく、ただひたすらに鍛え上げられた、奇術師の【証明書】。いつ如何なる時も、奇術師と共に在った【風】。奇術師の懐いた【記憶】。そして……“【奇術師リプレイサー】そのもの”。

 己の生命を、異能を、余すことなく注ぎ込み。擬似的な【能力宝玉】を創り出す。心の最奥から引き摺り出した、【魂の飴細工】。己の生きた証を結晶として、生命の譲渡を再現する。たった一回きりだけの、本物の奇跡というヤツだ。
 ……当然、代償はあるだろう。異能を喪うか、生命を喪うか、或いは存在の抹消か。

「だからよ――――――」

 それでも、後悔は何も無い。たとえ、この身が砕け散るとしても。

「――も う い っ ぺ ん 、立 ち 上 が っ て や れ や あ ぁ っ っ っ!!!!」

 ここには、全てを託すべき仲間が居る!!!
 パリン、右手の中で音が鳴る。
 閃光。
 数コンマを間に挟み、光は真紅の奔流となり、疾風となって吹き抜けた――!
 紅風は目映いばかりの光を帯びて、波濤のように戦場を呻る。勇ましき者には追い風に、傷ついた者たちには活力を、魔力を、癒しを、覇気を、生命を――!!!

「さあ、迷うなよ――!此処が大一番だとも、真っ直ぐ、真っ直ぐに行ってこいッ!!!!!」


 ――一世一代の大奇術を以って、奇術師の覚悟は示された。

>>時空神クロノス、ユーフォリア・インテグラーレ、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー、ヘルガ・アポザンスキー、クラスター、ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン、ジークリンデ・エレミア、ボルヴェルク、アルティメット・イアン、シフォン・ヴァンディール、ゲイル・べネルド、アーケオルニ、コーマ・アンダルーシャ

6ヶ月前 No.1850

波濤を越えて @sable ★c1PKWYVyQN_TJc

【狭間世界/終末/→時空転移/イアン・ガグンラーズ→アルティメット・イアン、シフォン・ヴァンディール、ゲイル・べネルド、アーケオルニ、コーマ・アンダルーシャ】

 決着まで、残り僅か。誰もが命を燃やして戦っている。身体をすり潰すような無茶をして食い下がっている。
 力尽き倒れ伏した者。その後を追ってでも抗い抜こうとする者。ボロボロになっても覚悟を示そうとする姿勢は皆同じ。
 そう、誰もが最善を尽くしたのだ。神に媚びるでもなく、敵視するでもなく。罪を認め受け入れ、その上で新たな時代へ歩みだす覚悟を見せる。
 時の守護者である傍ら、我々は歴史を弄んだ咎人。踏みしめる土の下には、行き場を失った無数の可能性が眠っている。彼らに恥じない生き方をせねばならない。同じ過ちが繰り返されないよう、語り継いでいかねばならない。
 どうやら神は、その心意気を認めてくれたようだ。お前達は守護者を名乗るに足る存在だと。怒れる神の首をも縦に振らせると。
 思わず安堵の色を浮かべそうになる。こんなことを言われれば、誰もが終幕を確信することだろう。だが、最大の難関がまだ控えていた。
 神は言った。覚悟には覚悟で応えると。未来は己の手で掴んでみせよと。それを耳にするなり、弾かれたように立ち上がる。神も粋なことの一つや二つは言うらしい。
 全く、その通りだ。戦いが終わったところで、どの時代にも復興という一筋縄ではいかない課題が待ち受けている。紛れもない激動の時代。恐れず、怯まず立ち向かわずしては、ようやく勝ち得た期待と信頼を裏切るも甚だしい。

「うっぎゅううううう!越える……絶対越えるんだ……!

あっ、しれーかん!」

「一緒に乗り越えましょう。肩を貸すわ」

 最後の試練、それは吹きすさぶ時の風。叩きつける歴史の荒波。痛みはないものの、身体が宙に浮くような感覚には覚えがある。この濁流に呑まれれば、文字通りすべてを失うことになるだろう。
 やっと手に入れた友達。使命。安息の地。手放すわけはいかない。必死に乗り越えてきた戦いの数々。積み重ねてきた血のにじむような努力。棒に振るなど以ての外。
 そうはわかっていても、やはり時空の暴風は強烈だ。意識を取り戻したシフォンと肩を組み、僅かな前進を繰り返すものの、一歩進むたびに数歩分押し返されてしまう。身体の浮遊感も限界に達していた。
 決死の抵抗能わず、どこか見知らぬ地へ追いやられることになるのだろうか――そんな恐怖が頭の隅に巣食おうとしたときだった。

「今こそ借りを返すぞ!時空防衛連盟!」
「ここまでよく頑張った。もうひと頑張りしてもらうけどな!」
「ヒヒィィィィィィィィ!!!!!」

 凛と響く声。駆けつけたのは、逞しい馬に跨った二人の騎士。王国騎士団を背負って立つ勇者、ゲイル・べネルドとアーケオルニだ。中世は連盟のおかげで変わった。人と魔族が手を取り合い、真の平和がもたらされた。その恩を今返さずしてどうする。
 そして彼らを乗せていた馬は、雄々しくも猛々しい嘶きを終えるなり、愛らしい少女の姿に戻った。コーマ・アンダル―シャ。彼女もまた、連盟に生き方を変えられた一人。力になりたいという想いは強い。

「よぉし……オレ様のエンジンヒートアップだ!」

 これだけの心意気を魅せられて、黙って押し負けるわけにはいかない。思い出したように懐から取り出したのは、棒状の携行食品。イスマリアに渡された虎の子だ。胃袋に収めるなり、もう一度究極の力を振るう元気が湧いてくる。
 決起に乗じて、シフォンが上空に巨大な魔力の塊を生み出す。水、氷、雷、土、光、冥――今にもはち切れんばかりに膨れ上がった、希望の蕾。
 そこへゲイル、アーケオルニ、イアンの三人が飛翔し、各々の属性を纏って急降下する。風、火、究極。ありとあらゆる属性エネルギーを注ぎ込まれた蕾は、満を持して花開いた。
 神々しさたるや、まさに究極の虹。この壮大な最終奥義を締めくくったのは、再び迅馬の姿を取ったコーマであった。滾るような炎を纏い、虹の大輪の只中へと突き進んでいく。
 そう、彼女は"星"になったのだ。仲間達の想いを全身に乗せ、暴風を射抜く流星に。掻き消せなくともよい。僅かにその威力を削ぐだけでいい。後に続く者のため、未来へ駆け抜ける魁となる。

「いっけえええええええええ!!!!!!!!!!」

 銀狼の魂の叫び。黄金の流れ星が、最後の試練という名の波濤を穿った。

>>時空神クロノス、ユーフォリア・インテグラーレ、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー、ヘルガ・アポザンスキー、クラスター、ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア、ボルヴェルク


【勝手な都合で書き直しをお願いしてしまい、申し訳ないです。かなり自演入っておりますが最終レスになります……!】

6ヶ月前 No.1851

黒翼 @kyouzin ★XC6leNwSoH_az0

【狭間世界/終末/Cluster】

脳天をそのまま持っていくような必殺に近い一撃、しかしこれですらクラスターにとっては「必殺」に程遠い。
彼の周到さと言うのはそれなり以上の物で、両腕のクローアームでクロノスの頭を掻っ捌いたあとに、その中身にレーザーやクラッシュアンカーと言う破壊力の高い武器を叩き込んでこそ「必殺」であるとまで考えていた。
必ず倒す、このタイミングで、そういった物で、回避困難な一撃……だったはずなのだが、それに割り込む者が居て、その必殺は阻まれた。

何処の愚か者か、と考えるよりも先に、やはりクラスターはクロノスによる妨害を一番に考えた。 この程度の小手先の不意打ちでは殺せない、だが手など幾らでもある、そう即座に思考する彼であったが、その思考とは全く異なる物が視界には映っていた。
地面に叩き付けた物をクラスターは見下ろす。

――舌打ち。
それは二度行われた、一度は視界に映ったそれを認識した時、二度目はヘルガの言葉を聞いた時だ。

「覚悟ですか――必ず殺す、倒す、退ける、そんな気持ちが篭ってなくて何が覚悟だ。 殺す覚悟すらないママゴト遊びの如し貧弱な一撃に覚悟は無い、罪を清算するべき一撃を他人に委ねようとする軟弱者の拳に過ぎない」

最初の何か思う所がある台詞は、間違いなくヘルガと言う上司に向かって言われた物。
だが、その後の台詞は、彼の本心を語っているため、口調が明らかに異なっていた。 その言葉は、この場の誰とも異なる、だが一部分では交わり、一部分ではそうではない言葉。

怒りを持つ、憎しみを乗せる、それは間違いなくクラスターが誇る100%、もしかしたら殺してしまうかもしれない、世界が崩壊するかもしれない、そんな事にビビって"最終的には誰かが上手く倒してくれるだろう"と6割程度の力を出す事に「覚悟」は伴わないと。
結局のところ彼に覚悟は確かにあった、ただ怒りや憎しみを乗せた"今"こそが真の全力であり、その全力を出すことこそが、神に覚悟を伝える唯一の手段であると考えているだけ。
この場に全力を出さない者は居ない、故に、彼も本気で殺す気で挑む、ただ、それだけ。

その時彼は周りを見る、ユーフォリアの視線も感じた、故に。

「――なるほど、僕がこの時ばかりは間違いらしい。 合わせてあげますよ、この時ばかりは。 次はありませんがね」

この時ばかりは、連盟側のやり方に合わせると彼は言った。
皮肉が篭った言葉、不本意ながらも、しっかりと行動は取る、それが彼の最大限の譲渡なのだろう。 そしてその言葉は、何もヘルガに対してのみ向けられた物でもない。

クラスターは敵の攻撃と味方の支援を受け取るより先に、自身の左腕に搭載したクラッシュアンカーを取り外し、懐から取り出したロッドを何もなくなった左腕に取り付けた。
スタンロッド。
この状況を予想していたかどうかは定かではないが、クラッシュアンカーに使用する大量の電力を使用する電撃兵装、そして、唯一の非殺傷武装。 それでありながら、最後の一撃に相応しい大電力を使った強烈な兵器でもある。

彼はトドメはクラッシュアンカーかレーザーだと思っていた、それらが一番、殺せる可能性が高いから。

そして彼は有無を言わさず変形して、相手の懐へと突っ込む。 意識はしないが、味方の支援もある、不可能でないのは端から分かっている。

「逃げるなんて選択肢は最初から無い。 ……折角やり方を変更してまで来たんだ、届く届かないじゃない、届かせてやる。 出来なければ僕の末代までの恥だよ」

変わる景色、危険性、未知、それは彼に逃走の選択を与える事無く、彼は確かにクロノスに再度接近した。
そして、必殺の覚悟を持って放ったクローアームからのクラッシュアンカーではなく、オーバーヒート寸前になるほどに電力を蓄えたスタンロッドをクロノスに叩き付ける。

>時空神クロノス ヘルガ・アポザンスキー 周辺ALL

6ヶ月前 No.1852

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_Tbw

【狭間世界/終末/ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン】


この男は屈しない、己が信念を成し遂げる存在など己以外に存在しないと心から信じているから。
この男は折れない、自身が膝を突けばそれだけ救えぬ命と心があると傲慢にも思い続けているから。
この男は、勇気や覚悟から最も近く最も遠い存在だ。何故ならば、胸に満ち溢れるそれは一片の曇りなき覚悟と不可能だと理解していても立ち向かい続ける勇気であるから。それを当たり前の事のように振舞い、そして当たり前だと信じている。
この男が目指すは陳腐な物言いをすれば平和そのものだ、争わず、虐げられる存在も傷付けられる存在もない、まるで実現しえない夢物語。夢物語であるからこそ、誰もが思い描く理想郷。ならば夢を真に出来ぬ道理はないと男は語る。
―――何故ならば、夢は叶えるものだから。男は何の偽りもなくそう語るだろう、この男自身が夢の為に歩み続けているが故に。

一人の男が全てを賭した真実の奇跡、心から絞り出すような声援を以ってこの場の英雄全てを包み込む紅風。閃光を奔流に変えて駆け抜けた軌跡はこの男にもしかと届いた、背から突き抜ける神風、その想いに髪や外套を揺らし応える。
一歩、ただ踏み出す。かの存在が何かを行おうとしているのも事実、それが間違いなく世界の終わりに等しいものであることも事実。その中心へと歩む行為が危険であることも事実だ。だがこの男に限ってそんなものは関係ない。
一歩、踏み込んだ地に深紅の陽炎が揺らめく。不規則に、目まぐるしく映りゆく景色の中で共通するは風の声のみ。男にとっては覚えのある、幾度も世界を跨いだ理由の一つ。時空の歪みと言うに相応しい、その兆候だ。
一歩、足跡は焔となりて周囲を照らしながら燃え広がる。かの存在は本気だろう、この男や英雄たちの覚悟を受け止めた上での最大限の脅威を身をもって示そうとしている。ああ、しかし、かの存在は一つだけ失念している。
一歩、その灼炎は男を呑み込み薪とするようにその勢いを増していく。もう、恐怖も畏怖も存在しえぬと言う事に。この男は勿論の事、この場の誰もが逃げ出さずに立ち向かい続けている。それをたかが時空転移程度で崩すには、遅すぎる。
一歩、男を中心として燃え盛り続ける業火は優しき温もりを蓄え辺りを照らす。そして、あくまでこの男は何も知らぬ闖入者に過ぎない。無念を背負い、消えゆく者たちを忘れぬ事に変わりないが、この世界の未来を掴むはこの世界の者。故に―――
―――最後の一歩、かの存在に立ち向かうようにして立ち止まる。この男は移ろいゆく景色の中、ただ一つの不変の太陽としてこの世界の英雄を照らし続ける。浮遊感ですら落ち着ける、安寧の象徴、風が吹き荒ぶなら優しく照らすだけの希望の篝火。
そう、見る物の心に温かき灯火を授ける太陽が、そこには在った。

「私の想いは全て伝えたッ!一片の余すところもなくッ!!!そして背負い伝え行くものもこの心にあるッ!!!!!」

その熱量に違わぬ猛き声が響く、ただその場に仁王立ちの様相で立ち続けるかの男。見守ると言いながらも大人しく出来ぬのか、されど称える表情は優しき笑み。希望へと突き進む星が既に旅立った、何ともお節介であったかと思える程に。
しかし、そこで引き下がるのは派手さの化身の名折れ。主役はこの世界に生きる者たちだと言う事を想い、顕現させた太陽の中、舌の根も乾かぬうちに己こそこの舞台の華だと言う様に太陽の輝きは加速的に増していく。

「故にッ!!!!!この世界を担う者たちを私は照らそう!!!!!さあ!前を向けぇい!!怖れるな!!!私の輝きに、派手さに呑まれるようでは足りぃんぞぉ!!!!!」

深紅を超え、純白を超え、その輝きは白銀と黄金をかけ合わせてさらに派手にしたような、纏まりがなさそうにも拘らず、見る人全ての心を湧き立たせる派手さを秘めていた。そしてその光は平等に照らされる、かの存在にも当然の如く。
そして響くは鼓舞の声、お前に言われずとも分かっているなどと言う言葉など敢えて聞かなかったことにし、想いのまま叫ぶ。己の役目が終わったことなどは理解している、しかしそれでも何かしなければ落ち着かぬのがこの男。派手さの新時代、ドライツと言う男だ。

「さあ!!!さあ!!!!!最大級の派手さを以ってぇ!!!未来を紡ぐ者たちへの祝砲としようではないかぁ!!!!!見るが良い!私の、派手さ!!!!!その極致をなぁぁぁあああああ!!!!!」

何故、この男が派手なのかとそう問えば何の迷いもなくこう答えるだろう。
―――それが私であるからだ!と。


そして、最後へと臨むものはこの男だけではない。僅かに時を遡れば、その兆しは存在していた―――


【狭間世界/終末/フォルトゥナ・インテグラーレ】


―――彼女は俯瞰していた。
父が死に、幼さで訳も分からずに家族全てと引き離されたことを。叔父夫婦に引き取られるも、父の真実を歪められ認められることもなかったこと、学びの場ですら彼女の父を歪め続けられ孤独のまま信じ続けたこと、針の筵の中唯一の温もりと言える存在であり理解者がある日忽然と目の前から姿を消した事。この日からだったか、人を必要以上に信じることもなくなり、父の真実を歪んだままでいいと思ったのは。
死人のように生き行く中、姉を見つけた。父と同じであったと、そう思えた。許せなかったし、きっと嫉妬もしていたのだろう。家族を離れ離れにさせた父と同じ道に行くと言う、裏切り。そして信じられなかった誰かと信じ続けた画面越しの存在が、身を突き刺すような痛みと共に心に酷く濁った感情を呼び覚ました。そこからは何もかもを姉を止めると言う口実の為、全てを捧げた。多分、姉の存在を認めれば弱さを認めることになって許せなかったのだろうと今になって思う。そうして、ただ鍛錬と勉学に励む内に機構へとスカウトされた。
実際の所、生活は変わらなかった。より良い設備で鍛錬と勉学に打ち込めるようになった、それも計画が始まるまでの間であったが。その間、特に誰かと交流したこともなかった。それだけの余裕はなかったのだと思う、勿論そんなときは微塵も思わなかったのだが。……いや、あの純粋な彼だけは別か。あの時だけは、何故か幼い日を想うかのような心地であった。本当に、もう少し早く気付ければ良かったのだけれど。
俯瞰の風景は流れゆく、そして姉とその親友、あの人や小さな子供と対峙して―――私は任務を遂行していた。絆されていた、姉へと心は惹かれていた、ただ不意に撃った拒絶の一撃は余りにも呆気なく突き刺さり、そうなれば私の枷は外れたようであった。それが、この狭間で見た世界の可能性の一つ。
だが―――それを見せてどうなると言うんだ。あの呑み込まれた怨嗟が原因ではない、あれは消えた無念を語るもののはずだ。決して悪趣味な可能性を映し出すものではなく、ただ嘆きと恨みで命を枯らすだけのはずだ。
そうして俯瞰として演出された何かは掻き消え、身体に温かい何かが漲っていくのを感じる。昏い闇の世界が徐々に白く染まっていく中で、一つの声が聞こえた。
―――おやおや、残念だねえ。と中性的で人を嘲笑うかのような声が、遠くで響いていた。


薄っすらと開けた視界の中、彼女は紅の鮮風を一身に受けていた。呼応するように結晶の煌めきを放つ小鳥が囀り、彼女を慮る様に辺りを飛び跳ねている。傷ついた身体、その傷は僅かに塞がったのみだが身体の奥底から湧き上がる何かが彼女の意識を呼び起こした。
未だ残る痛みに耐え、浮遊感に抗いながら身体を起こし、どうにか立ち上がる。視界の端に黄色い何かが映るも、紅い波風が通る合間に消えていた。自身の血溜まりに染まり、引き裂かれた衣服が傷の重さを際立たせていた。
出血こそ止まったが未だに重傷、それだけではなく魔力が荒らした体内は依然傷付いたまま。他人の魔力が残っていたことで治癒を試みた形跡があることに気付くも命を繋ぐのが限度だったと言うところだろう。
最早立ち上がれることが不思議な状態であるが、この紅の光が身体を撫でるたびに何故か身体は癒え、立ち上がる気力が沸き上がり、死に体の身体が生者へと引き戻される感覚を得る。その奔流はこの場全てへと溢れ出していた。
その元へ僅かに視線を向ければ、シエンタの近くにいたのが最後の記憶として残っているあの男がいた。これだけの影響を及ぼせば男本人にも多大な反動が来るだろうにと思うも、それだけの覚悟を以ってやったことだと口を紡ぐ。
そうするだけの脅威が目の前にいた、意識を手放す前から健在のかの存在が時空転移を引き起こそうとしていた。僅かに感じる浮遊感はこれが原因だろう。だが、彼女は理解していた。己の想いではきっと届かぬことに。それが倒れ伏した理由であると。
ならばどうすればいいのか、姉の語っていた言葉は正しくも受け入れるには彼女はまだ幼かった。知り得ぬことに償いの想いは浮かばない、理不尽を呑み込めるほどの成熟はしていない、彼女は強くはあったがそれはただ強いだけであったのだ。

「私は、どうすれば……姉さん、私は―――」

ふっと、目まぐるしく映る景色へと視線を落とした時に彼女の耳に何かが届いた。それはあの怨嗟の声の残滓だったかもしれない、この紅の風が届けたものかもしれない、はたまた彼女の脳が創り上げた幻聴の可能性だってある。
だがしかし、彼女にとっては確かにその『声』が聞こえたのだ。言葉としてではない、その内容だってはっきりと理解できるものではない、それでも自信を持って言えることがあった。幼き日に聞いたきりの、懐かしい声―――

「―――父、さん?」

―――あの父の声であった。汚職の濡れ衣を着せられたと、後になって気付いたあの父の声。
言葉として成り立たぬ程の意志薄弱、何を伝えようとしているのかも理解できない存在希薄、だが彼女にとってそんなことはどうでもいいのだ。苦難に立ち向かった時、子へと投げかける親の言葉など懐かしき思い出の中でさえ残る。
そんなもの、背を押す言葉以外にある訳がないのだ。

「……ああ、分かった。私が出来る事が、漸く分かった。簡単な事だった、理屈だとかそんなものはどうでも良かったんだろう。」

そう言葉を紡ぎながら彼女は普段通りに身体を解す、目の前の脅威など取るに足らないと言う様に、意識を手放していた間に冷めた肉体を再び温めていた。痛みが走る、動かぬ箇所がある、そんなもの関係ない。彼女はもう答えを見つけたのだから。
そして魔力を肉体に通す、無論体内から抉られるような激痛が走るも僅かに顔を歪めるだけで中断するはずもない。溢れ出る魔力は深い闇から純粋な白き輝きへと変貌し、無意識下で最終的には煌めき瞬く虹の残滓を放っていた。
全ての準備は整ったと言う様にかの存在へと視線を向ける、その瞳に敵意は籠っておらず、表情すらも険の取れた柔らかいものであった。これまでの生活の影響からの刺々しさは残れど、齢二十らしさを取り戻していた。

「私は、姉さんの為に!姉さんと暮らす世界の為に退く事は出来ない!それ以上も、以下もない!」

―――大切なものの為に立ち向かいなさい、そう彼女に父の想いは届いていた。
動かぬ脚をもう一方の脚で庇いながら駆ける、せり上がる血反吐を吐き捨てながらも速度を微塵も緩めはしない、霞む視界も何もかも今の彼女を止めるには全てが力不足、僅かに言えただけの身体を滾る想いだけで突き動かし続けている。
背を押す紅い風、先を切り開く黄金の流れ星、温みを以って照らし出す太陽、そして飛来せしめん黒き翼。その一つに小さき虹の軌跡は入り混じる、速度も大きさも未だに未熟、なれどその力強さに至っては微塵も劣りはしない。
その軌跡は寸分の違いもなくかの存在へと流れ行く、血染めの身体からは無理をした代償が新たに赤く染め、その傍から満ちる赤い光によって癒される。それを幾度も繰り返せども決して止まりはしない、それが彼女の想い、覚悟であり勇気であるから。

「これが……私の想い!受け取れぇぇぇ!!!」

雄々しく猛き叫びをあげながら眼前に迫ったかの存在へと、虹を纏う拳を叩きつける。踏み込みなど出来る身体ではなく、拳の振り方などを正確に出来る傷でもない。ただただ、思いの丈をぶつけるための対話の拳、想いを込めた彼女の最大限の言葉。
口下手である彼女が言葉を尽くすことよりも、より想いを伝えられる手段。虹の残滓を軌跡としながら寸分の違いもなくかの存在、時空神の顔面へとその拳は吸い込まれていく。技術などない、全身全霊のただ全力で振りかぶっただけの拳。
そう、姉と父に背を押されて彼女が初めて一人で想いを振るった。未だに姉への依存はあれど、この瞬間にフォルトゥナ・インテグラーレは一人の人間として初めて立つことに成功したのだ。

これが彼女の想い、大切な家族をもう壊されたくはないと言う純粋な願い。それを守るために、余計な理屈や考えを捨て立ち向かった。
勇気、覚悟、勿論あるだろう。しかしてこの想いを言い表すならば、『愛』と名付けよう。
彼女は愛を以って、運命を変えるのだ。より良き運命に、完全なものへと。

>>時空神クロノス ユーフォリア・インテグラーレ シフォン・ヴァンディール ヘルガ・アポザンスキー Cluster キラー・テンタクラ― シエンタ・カムリ アルティメット・イアン ジークリンデ・エレミア リプレイサー レオンハルト・ローゼンクランツ ボルヴェルク ゲイル・べネルド アーケオルニ コーマ・アンダルーシャ

6ヶ月前 No.1853

Scarlet Flame @zero45 ★pB1cyTl1jZ_TJc

【狭間世界/終末→時空転移/レオンハルト・ローゼンクランツ】

 己の信念を込めて放つ、最後の一撃が振り下ろされる。紅い鮮血の色に染め上げられた、満身創痍も同然の身体で振り絞った力は、あまりにも弱い。それでも刻々と薄れ行く意識の中で彼はただ思う。これこそが自らの覚悟の証明。目の当たりにして来た数多の死と、それに伴う想いを汲み取りながら、真に望むべき未来を掴まんとする意志の表れ。それを伝えるべくして、この一撃に全身全霊を込めたのだと。
 そして、信念は確かに神へと伝わった。希薄となっていく彼の意識が遂に深い闇の底へと沈んだその直前、刃は彼女を引き裂き、その熱を強く実感させるに至る。だが、その事実を理解するだけの余裕はもう、残されてはいない。抗う事さえも叶わずに眠りに付き、その身体は大地に伏した。再び立ち上がる時は、戦いが終結した後か、或いは力を取り戻すきっかけとなる事が起こるかの二択。
 その二択に対し、最初の一択を神は否と示す。覚悟の証明は為されたが、最後の試練を彼等に授ける。それは、倒れた獅子であろうと例外ではない。浮遊している感覚を実感しないまま、様変わりしていく周囲の景色も捉えれぬまま、そして風の音さえも聞こえない状態で、彼は大規模な時空転移に巻き込まれようとしている。抗う事も儘ならない彼にとっては、一分耐える事はおろか十秒以上持ち堪える事さえ酷とも言えよう。
 しかし、決してこれは無理難題などではない。必ず乗り越えるであろうと信頼したからこそ、神はこの試練を人間に与えたのだ。そして、乗り越えられる事が真実である事を証明するかの如くに、後者の一択を正と示す事象が起こる。

 奇術師が齎した、吹き荒れる紅い風。その光を一身に受けたその時、闇に沈んだ筈の意識が徐々に浮上して行き、目覚めの時が訪れる。激しく傷付いた身体は幾らか治癒によって回復し、再び立ち上がる事を可能とするだけの力を取り戻した。同時に蘇る感覚、強く実感するのは、この一連の戦いの始まりを迎えた際に感じた、時を遡らんとする瞬間を示す"合図"。
 神の言葉は聞き届ける事叶わなかったが、それでもこれが何を意図した物であるかは十分に理解できる。明日を求める者達へと与えられた最終試練、絶対に乗り越えなければならないもの。乗り越えられないならば、明日の戦いに臨む資格はない。
 それならば、やる事も決まっている。迷う必要も、恐れる必要もない。ただ己の勇気と覚悟を信じて、道を切り開いて突き進んでいく、それだけだ。

「――始まりに辿り着く為にも、この刃で進むべき道を切り開く……!」

 再びその手に構える魔剣。未完の称号を打ち消す時は今。己に流れるありったけの魔力を、この滾る想いを乗せて刃に込める。纏う輝きは紅、世界の全てを照らし出すかの如き、荘厳なる光を湛え始めて行き――そして、天高く掲げる。至るべき究極に至った、烈しき焔の神剣を。
 吹き荒れる時空の暴風、その勢いで押し出さんとするならば、逆に押し返して退ける事こそ一興。故に、再び全力を込めて振り下ろす。刀身より放たれた、焔を宿した凄まじき烈風。魂の叫びを具現したそれを以てして挑み、迫る風を断って進むべき道を切り開いて見せるのだ。

>時空神クロノス 周辺ALL

6ヶ月前 No.1854

大災厄の残痕 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qi5

【狭間世界/終末→時空転移/キラー・テンタクラー】

今の今までキラーは後方に下がってシエンタに飛んで来る攻撃を迎撃する役割に専念していた。 それは単純に、彼自身が最も重要視する保護対象がシエンタ・カムリだからと言うのもあるが、決め手となる攻撃を使おうとすれば一定のタイムラグが発生し、隙を晒しやすく、逆に防御面は優れていると言う特徴があったからだ。
故に、自分が主役と言う想いを押し殺してここまで防御に徹してきた、しかし、状況がようやく動いた。

来るのは敵対者最大の攻撃、いや"試練"、周りを見ればどれもこれもここぞとばかりに一撃を叩き込もうとしている、ここでも自分はシエンタのフォローと言い訳をして防御に徹し続けるか、否、否である。
こういった状況になった彼に選択肢は二つ、恐怖が最高潮に達しての逃走と、一時的にではあるが、相手の絶え間ない攻撃が止んだのを良いことに、最大火力をここで叩き付ける事。
当然選択されるのは後者だ、今こそこの闘いを終わらせる時、先ほどから話を聞いていれば人間ではない自分が居るというのに人間の覚悟がどーだと、もう沢山だ、疎外感を感じさせやがって、イジメか? だが逃げない、自分の手でカーテンコールを実行してやろうと言うのだ!

自分の問いに対してシエンタが答える、"聞かなくてもわかるだろう?"と。

「無論だとも、そして天才であるこの私にはわかる。 シエンタ、一番の格好の付け所だ!!」

最終的にキラーの言った言葉と言うのは、やはりこの状況には似合わないような、いわゆる画面映えを気にするような物であった。
しかし、それ以上を彼に求めるというのは、酷な話だろう。
とにかく、彼は言動はともかくとして、戦術眼自体はすこぶるまともな物を持っている、だから、状況の変化も敏感に察知していた。

故に彼は防御を解いて、そして無数のドローンウィルスをまた別の形に変形させる。
触手とドローンが変形して作り上げるものは、時空防衛連盟本部で一度だけ使用しかけた「連結式対消滅砲」 今度は発電所から電力を奪うことはできないが、それはゲート展開に使っていた分のドローンを全て電力供給用のアンプに変形させ、自前で大電力を作り上げる事で賄う。

響き渡るは轟音、ネーミングとは裏腹に圧縮した電気弾を放つだけという単純な作りながら、まさに対消滅兵器の如き破壊力を持つ巨砲が、今、神へと向けられる。

「公開は二度目、しかし、記念すべき最初の発射対象は貴様だ。 誇るがいい! このキラー・テンタクラー最大の一撃をお目にかかれることを!」

そして、相手の抵抗という物を完膚なきまでに破壊せんとする弾丸が爆音と、冷却機能によって吹き出る水蒸気とともに放たれる。
青白く輝く電気弾が射抜く物はただひとつ、自分たちの敵であり、乗り超えるべきもの。

>シエンタ・カムリ 時空神クロノス 周辺ALL

6ヶ月前 No.1855

罪の清算 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【狭間世界/終末→時空転移/ヘルガ・アポザンスキー】

大地に血溜まりを作りながらも、何とか立ち上がったヘルガ。彼女は変わりゆく周囲の景色を見つめながら、クラスターの言葉に耳を傾ける。彼の言い分は暴論のようにも聞こえるが、実のところある意味正論でもある。
他人の覚悟の大きさを図るのは難しい。たとえ本人にとっては相当の覚悟であっても、周りから見れば大したことのないものであるように感じられることもあるからだ。
周囲を黙らせる最大の方法は、クラスターの話した通り。必ず敵を殺す、倒す、退ける。その姿勢を前面に押し出せば、きっとその者を嘲笑うものは消え失せることだろう。
そして、それこそが彼にとっては覚悟を示す近道であるということも、ヘルガは理解していた。しかし、この場においてだけは、別の方法を探すことを促さざるを得ない。

「……付き合わせてしまってすまない。お前には、お前のやり方があっただろうに」

ユーフォリアの視線を感じ取り、自らの覚悟の示し方を諦めたクラスターに、ヘルガは一言そう呟く。彼は本気で神を殺すつもりで、ここへ乗り込んできた。こちらの都合で、その覚悟を結果的に踏みにじることになったのは事実。
それでも、クラスターは状況を理解し、皆に合わせることを選んでくれた。あのクラスターが、だ。彼女は若干の申し訳無さを感じつつも、クラスターの心境にも多少の変化があったのだということを感じ取っていた。
何はともあれ、これで完全に足並みは揃った。相手を傷付けず、各々の覚悟を証明することで、最後の試練を乗り越える。その先に、人類にとっての明日があるはずだ。

クロノスが取った行動は、それまでの攻撃とは桁違いに大規模なもの。彼女は終末にいる全ての存在を時空転移によって、別の時代へ飛ばしてしまおうとしているのだ。
あまりの出来事に、一瞬ヘルガは困惑するも、すぐにどうすればよいのかを考える。クロノスは、何が起ころうとも恐れず、怯まず、立ち向かえと言った。恐らくあれは、自分達に向けたメッセージ。
となれば、答えに辿り着くのはもう簡単だった。逃げなければいい。時空転移という人智を超えた事象に対しても、今までと同じように、堂々と立ち向かえばよいのだ。
幸いなことに、他の味方もそのことには気付いているらしい。ならば、話は早い。彼女は両手に魔力を蓄積させると、それを眼前へと集中させ、膨大な熱を放つ小型の太陽を形成する。

「敵が何であろうと、焼き尽くしてしまえば関係はない……!」

ヘルガはそんな一言と共に、小型の太陽を上空目掛けて勢いよく蹴り出した。その斜線の先にあったのは、人類の行動を見据える時空神の姿……ではなく、時空転移という事象そのもの。
易易と破壊出来るものではないことは、分かり切っている。だが、何もせずに立ち尽くしているだけでは、状況は好転しない。僅かでも可能性があるのならば、そちらに賭けてみるのが上策だろう。
試練の先にある未来の景色に、ヘルガは吼える。罪人と称されようが、構いはしない。次なる時代の礎を築くことこそが、時代に選ばれた者に捧げる最大の敬意なのだから。

>時空神クロノス、ユーフォリア・インテグラーレ、シフォン・ヴァンディール、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー、クラスター、イアン・ガグンラーズ、ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア、ボルヴェルク

6ヶ月前 No.1856

中二病の覚悟 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【狭間世界/終末→時空転移/シエンタ・カムリ】

自らのフィールドを作り出して以降、裏方に徹していたシエンタ。彼女の力では、フィールドを維持するのが精一杯であり、他に何かをするほどの余裕がなかったのだ。
幸いにも、露払いはキラーがしてくれていたため、彼女はここまで大きな傷を負うこともなく来た。あの時空神の様子を見る限り、戦いも終盤。このまま耐えれば、その内全てが終わるだろう。
この分ならば、自分の出番はないかも知れない……シエンタは一瞬そんなことを考えるが、認識が甘かった。中世と未来を象徴する攻撃が過ぎ去った後に起きた出来事は、想像を遥かに超えていたのだ。

はじめに感じたのは、前にどこかで味わったことがあるような感覚。少しだけ考えて、すぐに何がそれであるのかを思い出した。これは、時間遡行の際の浮遊感だ。
何故今それが? と思ったのも束の間、彼女は周囲の景色が、次々と移り変わっていることに気付く。一体何が起きている、ここに時間遡行装置があるはずもないというのに。
だが、相手は時空神だ。奴ならばそんな機械を使わずともにこのようなことが出来るのも、当然といったものだろう。どうすればいい、見知らぬ時代に飛ばされるのは真っ平御免だ。
気付けば、足が震えていた。行き先の分からない時間旅行など、恐怖以外の何物でもないだろう。一度飛ばされてしまえば最後で、恐らく二度とここへ戻ってくることは出来ない。
思わず後退りしそうになるも、丁度そこでキラーの声が聞こえてきたことで、シエンタは踏みとどまった。そうだ、戦っているのは自分だけじゃない。みんな、こんな状況は初めてだろうし、怖いに決まっている。
それなのに、自分だけが何もかも放り出して逃げるなんて、出来る訳がないではないか。勇気を出すのだシエンタ、グレードAを名乗るのなら、友人の一人や二人くらい救えなくてどうする。

「試練だろうと、ボクの"友達や仲間"に手を出されるのは気分が悪いんだ! だから、これを早く止めろ! 止めないなら、ボクがこの手で止めてやる!」

かつてのシエンタからは、想像も出来ないような台詞を吐き捨て、彼女は今まで使わずに溜めておいた力を全て解き放つ。すると、フィールドを形成しているアンテナから、天へと向けて極大の電撃が射出される。
フィールドの最大目的はクロノスが展開する神の理を上書きするものであったが、当の本人が人間の領域から逃げ出す様子がない以上、これ以上維持し続ける必要はない。
それよりも、蓄えられた力を、もっと別のことに使った方が有益だろう。これだけの魔力を一度に発射すれば、時空転移を止めることだって出来るかも知れない。
他の友人や仲間のために。彼女は彼らをこの時空に留まらせるために、必死になっていた。それは、シエンタにとっての覚悟。自分ばかりで他人の気持ちを考えなかった少女は、もういない。未来は一人ではなく、皆の力で掴み取るのだ。

>時空神クロノス、ユーフォリア・インテグラーレ、シフォン・ヴァンディール、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、キラー・テンタクラー、ヘルガ・アポザンスキー、クラスター、イアン・ガグンラーズ、ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア、ボルヴェルク

6ヶ月前 No.1857

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【狭間世界/終末/橋川 清太郎】

「頼む、間に合ってくれ……!」

もう一つの救世主というべき少女との決着をつけた後、SwordPackの応急修理も終わらせ現在はこの異空間の最奥部へ向かっている所だ。その地点から計測される戦闘反応からして、最早戦争行為といっていい程の規模である。
各種推進系をフル稼動しての直進、これなら数分と経たず目的地へ到着出来るだろう。しかし、その数分が問題なのである。つい今しがたセンサー類が異常なエネルギー変化を検知、まさに目的地を中心として広がりつつあった。これは間違いなく時空系災害、こうなれば一刻どころではなく一秒一瞬が惜しい。何としてでも現場に辿り着かねば。

着いたとして、今更自分一人が加わったところで何が出来るだろうか。そもそも具体的にどんな手段で、時空災害が起こされようとしているのかも推測出来ていない。果たしてここでの現場急行に意味はあるのか。

(そんなの……どうでもいい!)

意味なんてない、あったとしても後で考えればいいだけのこと。作戦やら方針やらは二の次だ、自分は時空防衛連盟の一員で、これから時空災害が起きようとしている。向かう理由などそれだけで十分!!
背部の追加ブースター「SolidFeather」を起動、噴射口から更なる熱が排出され大気を青白く焼き焦がし、長大な尾のごとき軌跡として虚空に存在を刻みつけた。
急加速によるGが全身に重く伸し掛かる。戦闘の直接的な負担は全てスーツに任せるというやり方が裏目に出た、ロクな訓練も積んでいないこの肉体では急加速一つとっても負傷に繋がりかねない。

(く、そ……!)

だがまだ折れない、この程度で折れてなるものか。悲鳴を上げる体に鞭打ち、稼動限界までパワーを引き出す。

「!」

漸く戦闘地点が見えてきた。バイザーのズーム機能を使うと、連盟の見知った面子が何人か確認出来る。逆に見覚えのない顔も多数いるが、今は気にしている場合ではないだろう。

「……あれか」

時空変異エネルギーはとても長い白髪の女から発せられている。ターゲットは彼女で間違いないだろう。
Mirage武装を一気に三つ全て取り出し、白兵用の武器を生成する。ここで形作るは槍、長大な円錐型の刀身を持つタイプだ。三つ分の液体金属を使った円錐槍は、軽く2メートルを上回る。

(一撃に勝負をかけるしかない!)

既に時空災害が起きかけているこの状況で、呑気に攻防を繰り広げるわけにはいかない。ならば持てる手段の全てを一撃離脱に注ぐべきだ。
円錐槍を片手腰だめに構え、あの女へ切っ先を向ける。次に全バーニアをオーバードライブさせた。

「うぅおおおおおおおオオオオオオ!!!」

度重なる酷使によりとうとうバーニアが火を吹き、爆散した。だが加速は止まらない、推進機能自体はまだ生きている。少なくともこの攻撃が終わるまでは完全破壊に至らないだろう。
遂に女が眼前まで迫る。そしてクロスレンジに入ろうかという瞬間、腰だめにしていた円錐槍をフルパワーでもって突き出すことで、文字通りの最後のひと押しを行った。
これで、最後。泣いても笑ってもこれで決着。これが自分の思い付く最大最良の攻撃。これでも駄目ならば……
否、それを考えることすらもう億劫だ。
この瞬間は、ただ己の信念と全身全霊をぶつけるのみ。

>>周辺all

6ヶ月前 No.1858

ジークリンデ・エレミア @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=3aypDZ0Vq6

『狭間世界/終末→時空転移/ジークリンデ・エレミア』

時空神クロノスの声が響き渡ると浮遊感が突然襲ってきた。この感覚はジークは身に覚えがある。
彼女が時間溯行を行った際の感覚にとても良く似たものだった。
そして次から次へと不規則に周囲の景色が変わっていく。
このままではいずれは何処か分からない場所に飛ばされてしまいそうだ。
時空神クロノスの言葉と攻撃の意味にジークも理解した。何も恐れずに立ち向かい、何があろうとも怯まない。

「私(ウチ)は迷わない!まっすぐ行くと決めたんや!」

見たことのない明日を見たい、知らない明日を知りたい、その明日を大切な人と生きたいし歩いて行きたい。
過去の事も、異世界の事も全て未来に繋げる。その為にジークは前進する。
初めは歩きだったが、次第にダッシュとなり、時空神クロノスまで向かって接近する。
その途中ジークは自身の両手に魔力を込めていき、次第に薄紫色に光っていく。
やがてクロノスの元にたどり着いたジークは、
「殲撃(ガイスト・ナゲール)!!」の声と共にまず右手で相手の腹部にボディブローを行い、
ジークは続けて「ガイスト・クヴァール!!」と左手でアッパーを行う。
どちらもエレミアの神髄と鉄腕を解放した状態で放たれる強攻撃。
「イレイザー」と呼ばれる魔法で、普通の人間が受けた場合は大怪我は必至で相手を殺しかねない威力だが、
相手が神であること、ジークの覚悟を見せる為に全力で打ち込む。
しかしそれでもジークの拳には「殺し」といった概念はなく、その為に振るっていなかった。

>>時空神クロノス、ユーフォリア・インテグラーレ、フォルトゥナ・インテグラーレ、ヘルガ・アポザンスキー、
レオンハルト・ローゼンクランツ、アルティメット・イアン、シフォン・ヴァンディール、ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン、
リプレイサー、ボルヴェルク、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー、Cluster

6ヶ月前 No.1859

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【狭間世界/終末→時空転移/ユーフォリア・インテグラーレ】

激戦の中、唐突にクロノスの手が止まる。人類が掻き乱してきた時代を象徴する攻撃は過ぎ去り、終末には束の間の静寂が訪れていた。僅かな平穏の中で、時空神はこちらを見据えながら口を開く。
ここに至るまでの奮戦で、遂に彼女は人類の覚悟を認めてくれたようだ。クロノスは、ユーフォリア達ならば時空を乱さずに保つことが出来るだろうと、確かにそう語った。
しかし、これで戦いが終わり、という訳ではないらしい。時空神は、覚悟を示した人類に対し、覚悟を示すことで応えることを選んだのだ。済んだ声が響き渡ると同時に、終末の景色は一変する。
まず最初に襲ってきたのは、身体が浮遊しているような感覚であった。それは、時空防衛連盟としての責務を果たす上で何度も味わってきた感覚。時空転移を行う際に感じるものと、全く同じものであった。
そこでユーフォリアは、瞬時にクロノスの意図を察する。彼女は時空神としての力を用い、この終末に集いし者全員を、見知らぬ時空へ送り飛ばしてしまうつもりなのだろう。
クロノスの課した最後の試練を乗り越えなければ、未来を掴むことは出来ない。だが、どうやって? 次々に移り変わっていく景色、既に時空転移は始まっている。この状況から、それを止めることなど可能なのか?
……違う。可能か不可能かではない。やるかやらないかだ。行動を起こさなければ、希望が生まれることもない。時空神は言った。恐れず、怯まず、立ち向かえと。ならば人類は、その期待に応えるべきだ。

「私達の未来は……私達自身が創り出す。仲間がいれば、どんな困難であろうと乗り越えられる。今からそれを、証明してみせるわ」

ユーフォリアはクロノスへ向けてそう宣言すると、静かに目を閉じ、己の身体の中に宿る魔力全てを集中させていく。すると次の瞬間、その魔力が弾け、天に虹色の魔法陣が描き出された。
魔法陣から降り注ぐのは、全人類の夢と希望を背負った虹の光。流星を想起させるそれは、時空神の元ではなく、時空転移という現象そのものを打ち破るべく、次々と殺到する。

「一人として欠けることなく、全員で次の未来へ進む。何が起きようと、ここにいる全員を護ってみせる」

彼女がそう告げると同時に、周囲一面を覆い尽くすほどの虹の波動が放たれ、全てを包み込んだ。悪しき存在を完全に浄化する、神聖なる光。だが、悪の存在しない状況においてそれが作用するのは、時空転移に対してのみ。
絶対に、全員揃って未来へ行く。そんなユーフォリアの覚悟より生み出された、時空の夢"クロノドリーム"。虹の祝福の先に、彼らは見ることだろう。新たなる時代が、幕を開ける瞬間を。

>時空神クロノス、シフォン・ヴァンディール、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー、ヘルガ・アポザンスキー、クラスター、イアン・ガグンラーズ、ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア、ボルヴェルク

6ヶ月前 No.1860

Chrono Dream- @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【時空転移→狭間世界/終末→狭間世界(崩壊)/時空神クロノス】

クロノスの最後の試練。それは、挑む側からすれば理不尽と言われても致し方のないようなものであった。時空転移という、人の力では到底抗いようのない、神の領域の事象。
一度始まってしまった異なる時空への度を、途中で止めるなど、普通に考えれば不可能だろう。このまま彼らはどうすることも出来ないまま、異次元へと送られ、希望は潰える。それが、誰もが予想するであろう当然の結末だ。
しかし、彼女は人類に期待を抱いていた。ここまで降り掛かった幾多の困難を跳ね除け、前へと進んできた彼らであれば、必ずやこの試練を乗り越えてくれるだろうと。
これまで経験もしたこともないだろう、最上級の脅威に晒される中、人類は各々の持てる力全てを振り絞り、運命に抗おうとする。ようやく掴みかけた未来、それを確実なものとするために。
リプレイサーは、己の身を犠牲にしてでも、傷付いた味方の力となることを選んだ。その姿は、この場においては敵であるクロノスが、哀れみから慈悲を与えたいと感じるほどのものであった。
回復の力が空間全体に行き渡る中、イアンの元にシフォン、更には中世からここへ乗り込んできたであろう、ゲイルとアーケオルニ、その二人を導いたであろうコーマが姿を現す。
五人は力を合わせ、時空転移へ向けて渾身の一撃を放つ。"星"となったコーマの突撃で、事象が揺らぐ。また止まるには至らない、だが勢いは確実に削がれた。それが出来ることが判明しただけでも、大きな収穫だ。
勿論、時空転移を阻止する方法は、事象を打ち破るだけではないと彼らは考えている。これはクロノスが引き起こしたことなのだから、彼女を無力化すれば時空転移も止まるという発想に辿り着くのは、当然だ。
はじめにそれを選んだのは、クラスター。ヘルガの言葉を聞き入れ、今この瞬間だけは時空防衛連盟の方針に従うと決意した彼は、初めて他人を殺す以外の目的で攻撃を放つ。
溢れんばかりの電力を溜め込んだスタンロッドが、クロノスの身体に激突する。人間ならば確実に気絶、感電で死すらもあり得る威力の攻撃であったが、彼女は気を失うことなくその場に君臨していた。
それでも、ダメージがない訳ではない。クロノスは苦悶の表情を浮かべていたが、この程度で倒れていては、彼らの抱く覚悟に対して申し訳ないと、意識を保ち続ける。
続々と立ち上がる戦士達の攻撃は続く。戦いの中で亡き父の声を聞き取ったフォルトゥナは、自らのすべきことを見出し、大切なもののために拳を振るう覚悟を固めた。
真っ直ぐに振り出された拳。何の技術も込められていないそれは、避けようと思えば簡単に避けることが出来る代物だろう。しかし、クロノスは動けない。フォルトゥナの思いを、正面から受け止めるために。
思い切り頬を殴られ、その勢いで顔を横へ向けるクロノス。脳だけではなく全身を揺さぶられるような衝撃が、体内を駆け巡った。大きく体勢を崩すも、彼女はまだ倒れない。
間髪入れず、奇術師の想いで復活し、立ち上がったレオンハルトが、紅の神剣を振り下ろす。これにすらも、クロノスは抗うことなく、その全てを受け止めようとする。
彼女本人どころか、空間全てを焼き焦がそうかという勢いの攻撃、身体が溶け出してしまいそうなほどの熱さに、思わず時空神がよろめく。だが、倒れない。倒れる訳にはいかない。全員の覚悟を受け止めるまでは。
親友の問いに答え、キラーはある種余裕すらも感じさせながら、自身の最大の攻撃をクロノスへ向かって撃ち出す。乗り越えるべき存在へ向けて放たれた電気弾が、クロノスの身体を貫いた。
腹の部分に大穴を開け、二歩、三歩と後退しながらも、消滅する気配を感じさせない時空神。これほどの大損害を受けながらも生きていられるのは、さすが神格というべき所以か。
片膝を付き、反撃に移る余力は残っていない様子のクロノスであったが、時空転移はまだ収まっていない。それを維持するだけの力は残っているのか、あるいは既に神の手からは事象が解き放たれてしまっているのか。
ヘルガはならばとばかりに、事象そのものを焼き焦がそうと小型の太陽を蹴り出す。熱風が一切合切を包み込む中、これまでフィールドの維持という裏方に徹していたシエンタも、好機とばかりに動く。
アンテナ同士を電流が結びつけ、それが極大の雷となって時空転移を襲う。それでも止まらない。もはや、時空転移は絶対であり、人類は如何なる手段を用いても、この運命に抗うことは出来ないのか。
……否。恐らく、彼らの中には誰一人として、そのような後ろ向きのことを考えている者はいないだろう。最後の最後に間に合った清太郎が槍を構え、突撃してくる。ジークリンデがアッパーを打ち込む。
クロノスの身体に二つ目の大穴が開き、遂には身体が宙を待った。半分ほど消えかかっている身体で受け身を取り、着地するも、やはり立ち上がることはもう出来ない。
最後は、ユーフォリアが全人類の夢と希望を背負い解き放った時空の夢が、神聖なる虹の光となりて、空間全体を覆い、そして―――閃光が過ぎ去った先に、彼らは見たのだ。目指してきた未来が、切り開かれた瞬間を。

「―――究極の状況で発現する、人類の本領……決死となった人類の描き出す覚悟、決意の力……何と美しく、尊いものなのでしょう。だからこそ、私は貴方がたを愛さずにはいられない」

全ての攻撃を真正面から受け止めたクロノスは、優しい笑みを浮かべながら彼らへそう語り掛ける。しかし、その身体は既に……上半身を残して、ほとんど消えかかってしまっていた。
これが意味するのは、神の消滅ではない。ただ単に彼女は、激戦の疲れと傷によって、人の形を取り、この世に実体を保つだけの余力がないだけの話だ。姿は見えずとも、彼女は常に人類を見守っている。

「私が手を下さずとも、貴方がたがいる限り、二度と時空が乱されることはないでしょう。この私に、人類の尊い姿を見せてくれたことに、感謝を示します」
「……いずれ、この世界は崩れ去り、貴方がたは各々の住まう時代へと帰ることとなるでしょう。ですが、忘れないで下さい。一度結ばれた絆は、たとえ時を隔てようとも消えることはありません。過去も現在(いま)も未来(あす)も、全ては繋がっているのですから」
「私はこの奇跡(ゆめ)を忘れることはないでしょう。どうか、この美しき世界の時空を、遠き未来まで紡ぎ続けて下さい。それが、私が貴方がたに期待する、唯一のことです」
「―――どうやら、力を使いすぎたようです。私はしばし、眠りにつくこととしましょう。人類よ、またいつか会う日まで―――」

そう言い残し、彼女の姿は虚空へと掻き消えた。もう、誰もその姿を見ることはない。気配を感じることはない。しかし、この時空が消え去らないことそのものが、クロノスが消滅した訳ではない何よりの証拠であろう。
だが、狭間世界はそうもいかない。時空神によって作り出された世界は、彼女からの力の供給が途絶えると同時に崩壊を始めた。だが、彼らに危険が及ぶことはない。
狭間世界が消え去れば、彼らは元の時空へと帰還を果たすだけなのだから。そして生きるのだ、それぞれの明日を。自らの力を振り絞り切り開いた、かけがえのない未来を―――

>ユーフォリア・インテグラーレ、シフォン・ヴァンディール、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー、ヘルガ・アポザンスキー、クラスター、イアン・ガグンラーズ、ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア、ボルヴェルク
【……ということで、時空神クロノス戦終了、これにてChrono Crisis本編、完結となります!
 実に実時間において1年近くお付き合いくださり、本当にありがとうございました……!
 これより、エピローグを開始致します―――!】

6ヶ月前 No.1861

黒翼 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qi5

【狭間世界/終末→/Cluster】

「この場限りは、ヘルガ様の言う方が正しい。 そう思ったからこそ、僕は付き合うまでですよ。 貴方の判断のほうが合理的で優れているのですから。 私情を優先、と言うにも、もっと大事な事が出来たもので」

ヘルガの謝罪の言葉に対して、クラスターはそれ以上の謝罪は求めないと言うかのように"ヘルガ様の判断のほうが合理的で優れているから合わせるまで"と回答する。
厳密には連盟または、ユーフォリア・インテグラーレの物と言うべきかもしれないが、とにかく、そちらのほうが自分が考えていたプランよりもこの状況を打ち破るには良い判断であるのだ、もちろん自分が考える所も大いにある、しかし、私情を優先にするにしても、憎しみより、もっと優先すべき物が今の彼にはある。

故に、彼は自らの仕事のみを果たした。 結果は火を見るよりも明らか、自分の一撃だけではなく、数多くの大技が直撃して、耐えられるはずが無い。
彼女の体が粒子となって消えてゆく、それは完全な消滅を意味する物ではないが「退ける」と言う目標は明らかに達成されていた。
神はその存在に相応しいような微笑を浮かべる、そして言葉を紡ぐが。

「……」

クラスターはただ、その消滅を上空より見下ろし、沈黙する。
彼の瞳は赤い光、彼の頭部は戦闘能力のみに特化された複数のカメラアイを内蔵した兵器のもの。 クラスター、いや、ノイス・ヘルメラと言う個人がどう考えているかは、誰にも分かりはしない。
自分に発言権は無いと考えたか、あるいは神の消滅すらも彼にとっては研究テーマになりうるのか、ただただ興味が無いのか、それとも内心でクロノスの言葉に気の利いた返答でもしているのか。

クロノスが消えれば、当然主が居なくなったこの世界は崩壊を始める、だが、おそらく自分たちは戻されるのだろう、元の世界へ。
ただ、クラスターにとってはみんな仲良く同じ場所に戻る訳にもいかない。

ちょうどクロノスの言葉を聴き終わった後、彼はヘルガの下に降下し、赤い目を光らせながら語りかける。

「ここまでです、ヘルガ様。 是正機構亡き今、僕と貴方は過去に関係があるだけの他人、いえ、敵同士かもしれませんね――」

そんな不穏な言葉のみを伝えて、彼は飛行形態に変形し、空高く飛翔する。

「ここからは僕のやり方で事を進めましょう。 何度でも僕は言える、罪を犯していても、間違いは一つも犯していないと。 ……そこの連中と共にあると言う事は、僕自身の存在を否定されると同義、後悔する過ちなど無いのですから。 ……今までありがとうございました、では」

彼の考え方と歩み方は連盟と交わるものではない、そんな事を彼は言い残し、さらにヘルガのように過ちを「有象無象の法」に基づいて償うなどありえないとした上で、クラスターは最後に感謝の言葉を掛けた。
戻る場所も、彼らとは違う。

黒翼は一気にそのエンジンを噴かして彼らと距離を取り、崩壊する世界に紛れて消えた。 元の世界に戻る際も、幾分か違う場所に出る事になるだろう。
"それで良い"そうクラスターは考えていた。

>ヘルガ・アポザンスキー (時空神クロノス) 周辺ALL

6ヶ月前 No.1862

皇帝の意味 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qi5

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6ヶ月前 No.1863

各々の道へ @sable ★c1PKWYVyQN_Tbw

【時空転移→狭間世界/終末→狭間世界(崩壊)/シフォン・ヴァンディール】

 やり遂げた。時空の守護者達は使命を達成したのだ。神の怒りを収め。信頼を取り戻し。果てには愛さえも勝ち得た。
 罪を償い、潰えた無数の可能性の上に立っている自覚を持つ。その上で新たな時代へと踏み出す。神がそんな守護者達を愛してくれるというのなら、もう何も心配することはないだろう。
 歴史をめぐる戦いはここに決着した。それも非常に好ましい形でだ。新たな課題を抱えた者は少なくないが、それも平和あってこそ挑戦できるというもの。

「あの日――辞表を叩きつけた手で連盟の門を叩いたのは、やはり正しい選択だったのですね。

ありがとう、時空防衛連盟。愛しています」

 "黄金の流星"を創り出した五人の中で、最初に口を開いたのはシフォンだった。彼女が伝えるのは、これ以上になく率直な愛の言葉。
 激情家の割に口下手で、遠回しな物言いをしてきたからだろうか、少なからず恥じらう様が見られた。時空神の発言が無ければ胸の内に戻してしまったかもしれない告白。
 照れ隠しのつもりか、言い終えるなりその場を立ち去る。ほんの一瞬、親友に許しを請うような視線を投げかけて――

【地球軍本部/会議室】

 戦火を切り抜けた大都市・リヒトルザーン。そこに構える地球軍本部の一室で、大勢の野心家が議論を白熱させていた。
 彼らはいわば"二軍、三軍の腐敗"。一軍に分類される権力者の影に隠れ、己が時代の到来を今か今かと待ち望んでいた伏兵達。
 そんな彼らにとっての障害は、大統領官邸襲撃によって数を減らしていた。生き残りも怯えて息を潜めているか、この度の大戦に呑まれて命を落としたかのどちらか。
 故にこんな機会は二度とないと、長い地下生活を終えたセミのように太陽の下へ出てきたのだ。
 彼らが渇望するは元帥の座。もしくはその周辺の有力なポスト。やっと混迷を脱し指導者を求めている世界に君臨し、次期大統領をも圧倒する覇者となる。
 会議室はそんなドス黒い野望に満ち満ちていたが――不意に、彼らの頭上を光線が駆け抜けた。狙いは室内の監視カメラ全て。的確にレンズを射抜き、その機能を停止させる。
 会議室に走った緊張と動揺は、生半可なものではない。何故なら、先程の術の主と思わしき人物が、いつの間にか室内に侵入していたからだ。
 全身を覆うローブのせいで男性か女性かの判別もつけ難いが、そんなことは野心家共にとってはどうでもいいことだった。
 ローブの人物が手をかざすなり、全ての出入り口が麻痺していく。手動の扉はノブを回せないまでに凍りつき。自動の扉は強烈な電流によって故障させられてしまった。

 私利私欲に走り、民の上に立つ職を汚す輩に相応しいのは、富でも名声でもない。ただ、死あるのみ。

>>時空神クロノス、ユーフォリア・インテグラーレ、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー、ヘルガ・アポザンスキー、クラスター、ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア、ボルヴェルク


【完結おめでとうございます!楽しかったです。

こちらも自キャラの撤退レスとエピローグをば……展開に関してはスレ主様に許可を取ってあります】

6ヶ月前 No.1864

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【時空転移→狭間世界/終末→狭間世界(崩壊)/橋川 清太郎】

己が持つ総てを賭した攻撃は――――決まった。
これ以上ないほどに、まるで最初から受け止めるつもりだったかのように、円錐槍は彼女に深々と突き刺さり貫通した。そして後続の者による攻撃で彼女は飛ばされる。どうやらあのフィニッシュブローが決定打となったようで、肉体を構成する未確認物質が霧散し始めた。視覚面でもそれはすぐに現れ、体が徐々に消滅していく。そして彼女自身も戦闘態勢を解除し、人類を、時空防衛連盟を認める。やがてその姿は完全に消え、センサーでも何一つ感知出来なくなった。
彼女は死んだのだろうか、それとも言葉通り休眠状態に入っただけなのか。
まあ、どちらでも構わない。いずれにせよ自分の方針もやるべき事も変わらないのだから。
今回の戦績は一体どれ程のものになるだろう。失敗した場合の想定被害を鑑みれば単なる昇格だけでは割に合わない。しかしだからといって現状を急激に変えてしまうのもどうなのだと考えてながらバーニアを吹


ドォン



「うわっ!」

推進系の大部分が爆発。迂闊だった、勝利の余韻で気が緩むあまりスラスターの損耗をすっかり忘れていたとは。

「あー……」

やってしまった、と力無く漏らす。せっかく必死こいて平和を取り戻したというのに、これでは格好がつかない。

「!?」

落ち込む暇もなく事態は進む。彼女が倒れた影響か、この狭間世界も消滅しだしたのだ。これでは帰還出来なくなってしまう。

「って……あれ?」

肝を冷やすと同時に再び驚愕。時空座標関連のセンサーが、奇妙な反応を示している。
これはどういうことだろう、この数値変化は『自分達が元の時代に戻ろうとしている』としか思えない。
状況を飲み込みきる前に事象は終わる。目の前には時空防衛連盟本部があった、いつもの見慣れた我が職場だ。

「………………」

もしここで頭部装甲が破損でもしていたら、呆気にとられた間抜け面を惜しげなく晒していただろう。だが現実には健在であり、本体装甲と追加装甲でしっかり防護されている。

「帰って、来たのか……」

どのような巡り合わせか、実に都合よく帰還を果たす事に成功した。もうここまできたら疑う余地もない、自分達は先程の女性に認められ、褒美としてあるべき時代に戻されたのだと。


【時空防衛連盟本部/研究室】


――――数ヶ月後。


「橋川、お前まーた新しい装備作ってんのか。今でも十分な性能だろ?」

「ああ、今回はちょっと方向性を変えようと思ってね。それに、通常の戦闘方面だっていつまでも現状維持ってわけにはいかないし」

開発用機材のモニターとにらめっこしている最中に、職員の一人から声をかけられ少しだけそれを中断する。無論GAWNDは装着したままだ。

「ったく……どこまでもメカ狂いなんだな。仕事熱心なこって」

「自分でもそう思うよ」

時空崩壊――――その危機から見事世界を救った英雄の一人として、一気に数段階もの昇格を持ちかけられたりしたのだが、考慮の結果自分にはやはり今の環境が丁度いいと結論付けそれらを断った。しかし報酬を要求しなかったわけではなく、法外ギリギリの研究費を受け取ることで決着させた次第である。

じゃあな、と言い残し去っていく職員の背中を見送り、視線をモニターへ戻す。

『TravelPack』

Travel(旅行)の名の通り長距離、長時間の巡航をコンセプトとした追加装備である。最高速度と燃費に優れる大型ブースター、GAWND自体を容器媒体としたコールドスリープ装置、そして時空崩壊事件のデータと研究費の六割近くを使って開発された時空跳躍航行装置。跳躍装置の開発は予想以上に難航した。といっても技術的な面ではなく、時間遡行法の関係で開発行為そのものが中々認められなかったのだ。協議を重ねた末、最終的に『時空断裂が発生した際は、事態が収束するまで連盟の幹部クラス全体へ、所有権が移行する』という条件付きで特例として資格を取得した。

「まだまだ細かい改良の余地はあるけど……」

未だ設計段階であり、20%も書き終わっていないのが現状だ。しかし徐々に、確実に構想として進んでいるのもまた事実。将来的には更なる大規模増設を行い、母艦と変わらぬ運用も視野に入れている。新しい装備を開発するときというのは存外楽しんでしまうものだ、ある種童心に還るような心情ですらすらと設計を進めることが出来る。

「ふぅー……」

軽くガス抜きをするように深呼吸、半ば無意識の内に伸びまでしていた。どうやら気付かないだけで結構な疲労が蓄積していたようだ。シャワーの一つでも浴びて気分転換をした方がいいかもしれない。

「よいしょ……っと」

僅かな軋みを聞かせる椅子から気怠げに立ち上がり、歩き始める。
リフレッシュが終わればまたサービス残業よろしく画面と向かい合い、人類の技術発展に貢献していくのだろう。
そして発展を続けた軍事、開拓技術はいつしか文明の暴走となり自然や他の惑星をも脅かしていく。
遂にはかの時空神の怒りを買い、再び人類に対して牙を――――――

「いやいやいやいや!」

どんどん可笑しな方向へ行こうとする思考を振り払い、自らに一喝。
文明の暴走、人類の過ち。
確かに技術体系が進むということは他の界隈や在り方を壊す可能性が出てくるが、あくまでそれは可能性。四六時中恐れていればいいという話でもないのだ。仮に道を外れてしまったとしても、その時は自分達が全身全霊を以て修正しよう。



進化と共に新たなる技術を生み出す事は、決して罪ではないのだから――――



>>対象なし


【完結おめでとうございます、そしてお疲れ様です。三日に一回は顔を出せとのお達しでありながらこの体たらく……お許し下さい】

5ヶ月前 No.1865

野望 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qi5

【狭間世界→ヘルメラ研究所/終末→格納庫/Cluster】

あの戦いが終わった後、クラスターと言う男は自分の帰るべき場所に帰っていた。
とは言え、彼があれほど「守る」などと言っていた対象である人物との挨拶はそこそこ程度に済ませ、すぐに自分の作業に熱中し始めた。
結局、"約束"が有耶無耶になりかける程の時間が経った、数十日、または数ヶ月なのかもしれない、だが、その間にもクラスターは是正機構に入ってからはほとんど使われておらず、半ば放棄されていた自身の拠点を再稼動させ、大量のセキュリティビットや是正機構時に自身のクラッシュアンカーなどでAIを弄った無人兵器による部隊を組織し、最小限の人員ながら、突けば部隊一つは消し飛ぶほどの軍事力を確保していた。

そして、ある程度の抑止力が確保されれば、彼は安心して自身の計画を進め始めた。 実は、彼にしろ、彼について来る"彼女"にしろ、拠点が発見されればすぐに離脱できるだけの能力は持っているのだが、研究施設がある以上は防衛部隊と言うのも必要だったのだ、少なくとも研究施設を手に入れても尚連盟の損害が大きくなる程度の物は。

基地内を見ても、居るのは無人の作業機械ばかりで、人間の姿など見受けられない、それもそのはずだ、彼は一部の有能な人物と、忠実な一部の配下のみを信用するのであり、俗に言う「有象無象」が思想、資金、研究の全てにおいて一切関わって来れないように研究計画を立てているからだ。
彼はそんな環境下の中、格納庫に座する骨格だけの、まだまだ未完成と言った風貌ながら、2m以上あるクラスターでも尚見上げなくてはならないほどの巨体の化け物を見て、笑う。

「そう、マキナヒューマンを増やすと言う計画は頓挫した、ひたすらに非合理的な物は淘汰される、当然の話」

彼はその後、周囲を思考を巡らせながら歩きつつ、そんな事を呟いた。
酷い言い方ではあるが、その計画とは、間違いなく彼自身が立てた計画だ、REDのような例は世界政府が作った紛い物、犠牲者であるためまた別物であるが、完全な新人類、マキナヒューマンに人間を改造し、またその過程で適応しない物は破棄する、元を辿ればザーシャもその一人に過ぎない。

だが、彼はこの計画を破棄した、すでに実験体は解放されたのがその証拠。 とは言えそれは良心から来る物ではない。

「世界政府の虫けら共は粛清された、実に喜ばしい。 だが、有象無象の長が有能な物に置き換わったと言う事でもある、そして僕は有象無象の敵であり続ける」

そのまま彼は自分の周囲に是正機構で集めたデータのうち、特に兵器関連の物を宙に表示させる。

「今は問題ない、だが何れ連盟の軍事面は進化を遂げる。 あそこにはヘルガ様もある、それ以外にも憎たらしい事に有象無象のために有能な者が集っている。 僕はそれらを僕と言う個人で粉砕する力を持つ必要がある、敵にするか味方にするかは関係ない、中立でいると言う事は力が必要だ」

彼は推測する、連盟は、世界政府は何れ軍事面においては進化を遂げるだろうと、それは警戒故か、あるいは新たな敵を倒すためかは定かではないが、これはほとんど確実であろうとクラスターは認識していた、そして、そんな物を相手に「中立」または「敵」で居るには力が必要、そう、数よりも、質。

「故に、僕の目的は力だけでも神を超える事、無数のビーム砲の内臓――戦艦の主砲すら通さぬ分厚い装甲――無数の無人機を従えるコントロールシステム――即ち"個人艦隊"!!。 夢物語だ、何十年かかるか分かった物じゃない、だが、僕はこのG.G。 ギガント・ジェネラルを完成させる、それこそが僕を否定した有象無象へのカウンターアタック!!」

彼の目はすでに無いが、間違いなく彼の中では、ギラギラと光り輝いていた、それこそ、敬愛するヘルガが連盟側に行ってしまった事を帳消しにしてしまうほどに。
そんな風に彼は理想を思い浮かべながらも、兵器の開発を進める、何もG.Gを完成させれば良いという話でもない、周りを固める護衛機、砲撃機、制圧機などを完成させて、初めて自分は連盟のような優れた組織と張り合う事が出来るのだ。

すると、彼は後ろから足音を感知し、振り返る事も無く、それに向けて声をかけた。

「どうしたんだい? ザーシャ。 今日は何か頼んだ覚えは無いが……あぁ、例の約束の話かい? そうじゃなかったとしても、いずれ聞いておかねばと思っていた、あまり長い間僕のこんな基地に住まわせるのも悪いし、何でも言ってくれ」

彼はザーシャとのあの戦いの時、交わした約束を覚えていた。
正直なところ、それを聞くまで、流れでテロリストである自分と共に彼女を歩ませてしまっている、早めに決着を付けて、彼女が望む道を、彼はそう考えていたのだ。

>ザーシャ

5ヶ月前 No.1866

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_Tbw

【ヘルメラ研究所/格納庫/ザーシャ】


目が覚めてみりゃあ見覚えが僅かにある場所、あの人との始まりの場所で「私」が死んで『俺』が生まれた場所。正確に言えばあの糞親と出会った時だが、あの人の娘として『俺』が生まれた場所、朧げな記憶だが間違いはねえ。
でだ、俺が動けるようになった時には全部終わっていやがった。空に見えた裂け目は無事解決、中で何があったかは軽く聞いた程度だが、まあ俺の身体と同じくらいには突拍子もねえ出来事だったらしい。神様がどうとか、何ともそれらしい話じゃねえの。
あのガキの様子も見に行ったんだが、当然の如く救護室には居もしなかった。名前こそ知っていて、それを頼りに度々探しに回ったが出会う事はねえ。連日探そうとも見つかりやしなかった、ただ二度と出会えねえとは不思議と思わねえがな。
近くで守れねえのは言いだしておいて癪でしかねえ、あのガキが今一人でいて平気とはどうしても思えねえ。が、心配し過ぎと言われちゃあきっとそうだろうよ。それでも探す理由が消える事にはならねえ、何処かでふと出会いそうな、そんな気もしていた。
そんなこんなで世界は無事平穏、ついでに良い方向へ向かいつつあると来たもんだ。そんな中、俺はあの人の手伝いを過ごしている。手伝いと言ってもまあ物騒なもんだ、無人兵器や開発だとか平和をぶっ壊すようなものばかり、あの人なりの考えがあるんだろうよ。
その辺りは俺は踏み込まねえ、理解したいとも思うし力には勿論なるつもりではある、だが俺はあの人の事を思ってる以上に知らねえんだよ。だから、まずはそっちが先だ。拾われて、あれに送られて、戻ってきて、過ごした時間も檻の中じゃあ当然だがな。
そんな訳で時折会話をするくらいなもんだ、二人して食事の必要がなきゃ、究極的には睡眠だって必要ねえなら機会なんてもんはそれほどねえんだけどな。まあ、俺が文字やら機械の扱いを学ぶ傍ら付き合ってはくれている。最近じゃあそっち方面の手伝いもどうにかな。
生憎とこの身体は知識を詰め込むのにも優れているようで、僅かな間で非常に効率的に知識を吸収できている。これが肉体由来じゃなきゃあ素直に喜べるんだがなあ、あんなもんを散々見せられても平然な身体となりゃあ仕方ねえんだが。
さて、俺がこんな振り返りをしながら格納庫前をうろついてる理由は例の約束の件だ。目が覚めた当初は起きた状況の把握やら、あの人と一つ屋根の下って事実で色々と立て込んで、最近は学ぶことや手伝いでそれどころじゃなかった。
だが不意に思い出した、そしてあの後何かの命令が飛んで来ない以上はあの人は俺が勝ったとしたんだろう。少し不満があると言えばあるが、俺が最高傑作と認めて欲しいのがあの人当人な以上は何も言えねえな。大人しく勝者とさせて貰おう、うん、そうしよう。
……で、問題が幾つか。好きにする数は決めてねえからな、そこはまあいい。一つはもう決まってる、武器の補充だ。大曲剣は耐えた時に砕けちまった、傭兵やってた時に使ってた長い付き合いだがあれは市販品だ、良い物ではあったけどな。
俺自身の肉体も武器になると言えばそうだが、何分幅が狭い。武器一つあるだけで戦いの運びようは増えるもんだ、てなわけでどうせなら作ってもらいてえなと。漸く機械に慣れ始めたからその点も問題なしだ、性能に関しては疑う余地もねえ。
で、武器が欲しい理由にもなるんだが二つ目の願いってのがな、あー……その、こういう事で命令にするのもあれかとは思うんだが、多分あの人は気付いてねえ。いやまあ、落ち着いて考えりゃあ気付く訳ねえんだけどよ。
好き、っていうかなあ……初恋、だしなあ。うん、パパと娘の関係ってのも悪くはねえが正直方便みてえな感じは否めねえ。多分、好きだとか愛だとかの言葉を親子愛と思われてんだろうなあ、いや実際そういう意味で言ってはいたんだがな?それでもなあ?
だからこの機会にはっきりと言って、異性の関係に……いや、やめやめ、やばいなこれ。どう切り出せばいいのかわからねえ、そもそもあの人がそう言う対象として人を見るところが思い浮かばねえ。いや、だからこそ俺をそう見て欲しいと思うんだけどな?
まあ言っちまえば武器が欲しいのはあの人に何かあった時に足手纏いにだけは絶対ならねえため、で一緒に居る口実も作れるとか思いながらも関係を進めてえなと悶々してうじうじしてんのが今の俺。戦ってる時ならあんなに素直に言えんだけどなあ。
―――そんな折にあの人から声が掛かる。そりゃここでうろうろしていれば足音で気付かれるわ俺の阿呆、しかも丁度良く約束の話を振ってきやがる。気が合うなとかそんな事考えてる場合じゃなくて、いやまあこの基地に一緒に住めるのは嬉しいけどな?いやそうじゃねえってんだろ!?

「あー、まあ約束の話だ。あとこの基地に住むことは別に嫌じゃねえから、そこは気にすんな。」

不味い不味い、どう答えたもんか。いや一つは決まってるんだがな?もう一つがな?正直伝えてえ気持ちとこのままの関係を壊したくねえ気持ちが鬩ぎ合っててだな?寧ろ戦いを挑んで伝えてやろうか、いや待て何阿呆な事考えてんだ。

「んで、何でもとまで言われちゃあ俺としても退けねえなあ?そうだな……武器を作って貰いてえ、専門外だからどんなもんかは任せる。ま、性能に関しては心配ねえことは分かってるからよ。」

にししと笑いながらも俺の心は未だ混乱状態、正直動揺が出ねえこの身体がここまで有難いと思った事は、いや結構あるな。やべえなおい、言っちまうか?言っちまえば良ければ夢見た仲になれるんだぞ?俺の普段の度胸はどうしたんだよ?おい?
悪けりゃどうなるかなんて想像したくねえし、考えたくもねえけどな!?あーもう!こういう時に素直になれれば可愛げあるんだろうなあ!畜生、女としてどうすりゃいいのか分からねえしこの人が好きそうな女がわかりゃしねえ!
そして俺が出した結論は―――

「―――でだ、もう一つ。ここで一緒に住まわせてくれよ、パパの懸念してることは俺にとっちゃあ問題にすらならねえことだからよ。」

「そもそもだ、約束は絶対―――だったよな?」

―――完全にヘタレた、それでいて未練がましいクソみたいな答えだった。

>>Cluster

5ヶ月前 No.1867

顛末 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qi5

【旧コルーカル・リーヴス/コルーカル邸/カシュタン・コルーカル】

戦いは終わった、ひとまずは。
だからこそ、自分はここ、コルーカル・リーヴスにある都市の中に構えられた屋敷に戻ってこれている。
それでも、自分たちとはまた違う場所での戦い、それは終わったかどうかは分からない、ただ、女帝パージルクの帰還と言う極秘情報によって、少なくとも、今ここでの戦いは一応の収束を迎えたと言う事だけは確かだ。

実際のところ、帰還の報が入るまではカシュタンも約束を果たすようにソレミアと話すことはおろか、ギリダンに戻ることや余暇を満喫する事すら困難であった。
と言うのも、魔道帝国はこの戦いで全体の数割程度の損傷すら受けていない、総戦力だけで見るならば、まだ反体制勢力撃滅の名の下に、敗北を認めず戦争を何度も再開できる体力は残されていた。
もちろん、パージルクとノエルが居ない状況であるならば、それに次ぐ地位を持つ自分やエスメラルダが「撃滅」の一言を発しさえしなければ、大義を持った戦争は出来ない。

だが、戦争は出来なくとも、各将軍は私兵隊とある程度の国家運用の知識を持っており、女帝の名の下に団結していた複数の国家群と言う側面すらある魔道帝国は、女帝が居なくなり、統治者不在になった途端。
"復讐連隊"だの"リベンジャー"だの、そういった名前を語って独自に新体制に反抗する者や、魔道帝国将軍としてバスケリアに遠征または残党軍を追討する者などが出てくる、それを抑えるのが女帝不在時の自分や他の者の主な仕事であった。

「かといって、彼らも女帝の敗北は記憶に新しく、その女帝が戻れば派手な事は出来なくなる。 本当に、戻ってきてくれて良かった」

絶対権力者にして最強の代名詞、パージルクの敗北と言うのはどの勢力にしろ記憶に新しい。
それでも、本人が居ないので真偽に待ったを掛けたり、逆に昔の自分のようなパージルクの狂信的な信奉者たちは復讐を煽り軍を組織していた。 だが、彼らの大半は、女帝が戻ってくれば、その活動を停止、その後は連合を組んで別の国家となるか、あるいはパージルクとエスメラルダや、自分のような大領主に帰順すると言うのが一般化してきた。

第一人種と第二人種の溝は深い、これは一応の収束に過ぎず、きっと何か事件が起こるたびに野心や偏った思想がある各将軍は軍を動かそうとするだろう。
だが、それを防ぐのが自分だけではなく、勝者たちの役割である、ひとまずは、この平和を満喫しても問題ないだろう。

『カシュタン様、お客人です』

「えぇあぅ――通して、通して構わないわ、大事、そう、大事な客、お客様だから、失礼の無いようにね?」

この他人と話すときの言葉の詰まりも、ましにはなっているが、やはりまだまだ抜ける物ではない。
魔道帝国が戦いに敗れた後、多くの者がここを離れたが、同時に信頼できる者の多くのみがここに居るため、そう恥ずかしい物ではないが、やはり、不便だ。

>(ソレミア・ラガルデール)


【カシュタンのエピローグです】

5ヶ月前 No.1868

ある政治家の話 @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_keJ

 あの裂け目が掻き消えてから。
 目の回るような“クーデター”に区切りが付いてから、どれほど経ったのだろう。
 最近はそればかりを思う。終わったことを思っても先に立たぬというのに、そればかりを。

 あの底知れぬ力と世界を揺るがす大事件、西暦7000年のガイアを根本から揺り動かした歴史是正機構の起こした一連の事件が終結したと認定されるのに、どれほどの時間が必要だったのか………当事者たちはさておき、私からしたらあっという間だ。
 一般の市民たちからすれば、それは蚊帳の外で起きて、蚊帳の外で終結した出来事だ。
 首都から離れた者達からすれば、それは大事にすらならず、歴史の1ページに乗るか乗らないかの事変だ。
 人々は変わらず日常を送っている。
 決して何かをするでもなく、己の朝と昼と夜を繰り返し、新しい大統領が配るパンとサーカスに充足を覚える―――この出来事に正しい意味で関わることがなかったのだから、当たり前とすら言えた。

 何時だって民衆というやつは正直だ。
 己と身の周りの歯車を回すのに精いっぱいで、大義とか理想とか、そうしたものと縁が近い人間は少数派。
 今日と明日を生きていく糧があり、喜びがあるならばそれでいい。
 そこに大小問わない贅沢が混ざり、衝突が起こり、また元の環に戻る。世界は二桁ぽっちの時を重ねるだけでは変わらず、体制がなんであろうとも人の欲求は変わらない。人が火を起こして文化を覚え、エゴを知ったその時から。

 だから、異様な裂け目の消滅と歴史是正機構の起こしたクーデターの終結。
 それを政府が報じた時、彼らは何よりも先ず安心し、数ヶ月と経てば元に戻っていくのだろう。

 私もだ。

 何もしなかった。
 何かが出来たかも知れぬけれど、何かをすることはなかった。

 力を振るうことは政治家のする戦いではない。そう口にしたならば、前に立って立ち向かうべきではない。
 それは、良い。決して間違いではないだろう。少なくとも、自らの口から出た言葉を信用するならば。

 この時空改変の事変に関わってこなかったのだから当然。そう口に出来るならば、自らの生活を守ることだけ考える。
 それは、良い。決して間違いではないだろう。少なくとも、自らが想ったことを正しいとするならば。

 だが………。
 何かが出来たかもしれないのに、私は何もしなかった。
 民たちとは違う。私は、リヒトルザーンの都市に足を下ろし、息を吸い、生活を続けていたというのに。
 何も、しなかった。いつもと変わらず傍観し、静観し、達観し、諦観して………息吐く間に、眼の前で歴史のページが刻まれる瞬間を見届けていただけだった。

 チェス盤の対局を思い浮かべて欲しい。
 アレを打つのは二人。駒は合計で幾つあっても、白と黒を動かすのは二人だ。
 私はそれを打つどちらにもなれない。ただ、外から対局を見つめ、終わりまでを見届けるだけ。
 だから………何もできなかったし、しなかった。もしかしたら、あの時あの場で何かが出来たかも知れないのに。


「(出来るはずだった、か)」


 またその手の後悔だな、と。
 男は息を吐いた。安楽椅子から立ち上がり、クローゼットを開けながらの追憶だった。
 もう袖を通さなくなったスーツを、ふっと見やる―――ついこの間までの、うだつの上がらない議員時代の名残。

 初めて袖を通した時は、まだ熱があった。
 ようやっと広がった視野に映る腐敗に対して、向こう見ずなほど大きな義憤があったのを覚えている。

 幾年か袖を通した時は、その熱は弱まっていた。
 広がった視野に浮かれていたのだ。
 だが少し手を探って広げてみれば、その腐敗は自分の足場まで広がっていたことに気付いた。
 切除しようとすれば一からやり直すしかなく。それは、私には出来ないことだと一瞬にして分かった。
 人間は自分の足場を切り崩して強い顔をしていられるほど剛<つよ>くはない………あるいはそれは、私だけの話なのかも知れないが。そして、その足場を崩す時に巻き込まれる他人が、何もしない道理はない。

 一人、歯車のことを良く知っているものがいた。

 ヒトの社会は、自分だけを抱いた輩の小さな歯車が、たまたま噛み合って完成するだけのものと。
 まだ若い自分に、突き付けるようにして冷や水を浴びせた者がいた。
 やがて崩れていくだけのものだからと、それを崩そうと僅かでも思った私に、痛烈な脅しという名前の冷や水を浴びせかけた者がいた………もう、20年は前の話だ。それを聞いた時に、私は自分の小ささを思い知った。
 気持ちだけで何かが変わることはないのだろうと、思い知った………それから何年も、変わらぬ日常を回した。
 私は、私という人生の歯車を回すことだけに専心し、小心者の正義を行使した。その腐敗と狂気が崩せないのなら、せめて身の周りで出来ることはと、探して生き続けた。どうしようもない妥協と堕落であることから、目を逸らして。

 最後に袖を通した時に、小さな熱が灯ったのを感じた。
 私のものではない。次の世代の小さな熱だった。
 私のように、途中で間違えて、時間だけを無駄に過ごして来た者を追い越すような若い息吹だった。
 アレを見た時に私は、薄々と勘付いていた。このクーデターが終わった時、待っているものの形に気付いた。

 だから―――。
 それに袖を通したのは、新しい大統領に彼女が就任した時が最後だ。

「(懐かしい………)」

 もう。私のように、時代に取り残された傍観者の仕事はないのだろうと。
 横目で羨まし気に見ていたから気付いたのだ。昔から、見たものの評価をすることだけはしていたから。

 西暦7000年XX月XX日。私は、政治家生命を自分から断った。
 惜しまれることもなければ罵倒されることもなく。
 根元から断たれるように浄化されたリヒトルザーンの議会において、それなりに悪事へと手を染めて来た自分の居場所はないだろうと理解していたからこそ、私は其処を離れた。

 それが“彼女”に言わせてみれば他人の歯車を思いやる事の、一番の手段だろうと、悲しいほどに理解したからだ。

 ノウハウやコネの類については言うまでもない。
 辞めるにあたって残すだけ残したが、不要だと思うか使われるかは彼方次第だろう。
 使わなくても良いかどうかは彼ら彼女らが判断することであり、私が判断することではない。

 財産は残った。今までが今までであったし、法に触れない程度に小狡いこともやって来た。
 家族を食わせていく分は十二分に残っているし、それを元手に今後をやっていく手段もある。

 後のことはなんら心配する必要はない―――だから、ふと。嘗てあの裂け目が消えた瞬間のことを考えるのだ。
 余裕が出来てしまったから。人間、余裕が出来ると要らぬことを考える。
 もうそれなりに月日が経過した頃。クーデターの傷も癒え始め、新体制が回り始めた頃だ。

 混迷に陥った世界は少しずつ、落ち着きというものを取り戻しつつあった。
 だから、日常を送る者達は変わらぬ様子を取り戻しているという話だった。

「(少し、外に出るかな………)」

 私は。
 何時もの癖でスーツに袖を通し―――かけたのでそれを止め、外出用の私服の方に手をかける。

 妻に何気ない外出の話を伝えると、日が暮れる前には戻ってくるようにと釘を刺された。
 何処までも私に似ることのなかった息子は、そこには居なかったが………部屋には外出の旨だけを伝えた。

 これからのことを心配する必要はない。
 だから、ふっとセンチメンタルが沸いたのだ。

 ―――本当に小さな、センチメンタルだ。

【わけます (1/3) 】

5ヶ月前 No.1869

ある政治家の話 @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_keJ

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5ヶ月前 No.1870

ある政治家の話 @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_keJ

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5ヶ月前 No.1871

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【時空転移→狭間世界/終末→時空防衛連盟本部/総統室/ユーフォリア・インテグラーレ】

長きに渡る激戦に、遂に終止符が打たれる。時空転移という超常の力に、全力を振り絞り抵抗し、それを打ち破った人類の姿は、時空神クロノスからの信頼を勝ち取るには十分過ぎるものであった。
彼女が最後に残した言葉を、ユーフォリアはしっかりと聞き届ける。これで、何もかもが終わった訳ではない。まだ、やらなければならないことが沢山残っている。
戦後の復興、時空の監視―――人類を信頼してくれたクロノスの期待に応えるため、より一層努力を重ねなければならない。同じ悲劇を繰り返さないためにも、この世に生きる全ての者が協力することが必要となるだろう。
課題は山積みであるが、それでも今だけは、勝利の余韻に浸っても良いのではないだろうか。自らの身体に刻まれた傷を摩りながら、ユーフォリアはこの瞬間の空気を噛み締め、そして口を開く。

「―――ここまで私達と共に歩んでくれて、本当にありがとう。貴方達がいなければ、今日の勝利が訪れることもなかった」
「時空防衛連盟の全人員に告ぐ。狭間世界における異常の喪失を確認。時空の危機は去ったわ。任務終了よ―――」

ユーフォリアが終末に集った者達全員への感謝、そして時空防衛連盟の全人員への報告を述べたと同時に、狭間世界は崩壊した。暖かな抱擁を受けているような感覚がしばらく続いた後、足裏に重力が戻ってくる。
気付けば彼女は、時空防衛連盟の本部にいた。そこに広がっているのは、いつもと変わらない、されど少しだけ慌ただしい日常の光景。あちこちから聞こえてくる歓声は、時空が護られたのだという事実を、色濃く現していた。



【時空防衛連盟本部/総統室/ユーフォリア・インテグラーレ】

世界に平和が訪れた後も、ユーフォリアは休む暇もない毎日を送っていた。未来世界では、歴史是正機構のクーデターによって大統領が死亡。世界政府の指揮を取る人間がいない状況となってしまっていた。
そこで、白羽の矢が立てられたのがユーフォリアである。今まで彼女を左遷し続けていたような腐敗がまとめて消え去ったことにより、国民の総意が反映された結果であるといえるだろう。
今のところは大統領代行という形にはなっているが、数週間後に迫った選挙において、正式に選出されることは間違い無しと見られている。責任は重大だが、期待されている以上、やり遂げるしかないだろう。

「……」

そんな彼女が頭を悩ませているのは、昨日起きたとある事件についてである。地球軍本部にて、次期元帥を選手通するための会議を行っていた軍上層部の者達が、何者かによってまとめて暗殺されたのだ。
彼らはありとあらゆる属性の攻撃によって殺されており、監視カメラが直前に破壊されたこともあって犯人の特定は不可能。世間では、歴史是正機構残党による犯行だろうとの見方が強い。
しかし、ヘルガが服役中の上、かつての将官や副将も皆戦死か潜伏かという状況で、残党に指示を出せるような人間が果たしているだろうか。恐らくこれは、歴史是正機構の仕業ではない。
だとすれば一体誰が? ユーフォリアは思考を巡らせる内に、一つの仮説へと辿り着く。"彼女"がそのようなことをするとは信じたくないが、可能性は零ではない。
とはいえ、仮に本当に彼女があれを実行したとするならば、それは彼女なりにこの世界の行く末を思ってのことなのだろう。そして何より、彼女が犯人であるということを裏付ける証拠は、一切ない。
これ以上、この件について考えるのは、やめにしよう。ユーフォリアはPCの画面に表示されていたニュースサイトの記事を閉じると、今度は机の横に置かれた報告書へと目線を移すのであった。

>(時空神クロノス、シフォン・ヴァンディール、レオンハルト・ローゼンクランツ、フォルトゥナ・インテグラーレ、シエンタ・カムリ、キラー・テンタクラー、ヘルガ・アポザンスキー、クラスター、イアン・ガグンラーズ、ドライツ・ユメイル・ファラレス・ロスリアン、リプレイサー、ジークリンデ・エレミア、ボルヴェルク)

5ヶ月前 No.1872

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_Tbw

【時空防衛連盟/→総統室/フォルトゥナ・インテグラーレ】


―――結果としてこの世界は守られた。
彼女自身はかの存在、時空神が告げた言葉を聞き終えた後に再び気を失い、元の世界に戻ると同時にそのまま医療機関へと搬送された。腸が見えるほどの重傷であったにもかかわらず、一週間程度で快方へ向かった生命力は流石の物だろう。
とは言え、意識を失っていた日数も同等であり、リハビリにも三日程度を要した。これもまた驚異的な回復スピードであるが、医療技術の発展と彼女の努力の賜物だろう。勿論のことだが、戦闘行為などは禁止されている。せめて一月は抑えろとのことだ。
その後は時空防衛連盟の臨時職員として忙しなく働くことになった、しかし彼女自身も歴史是正機構の一員であり、服役中のヘルガ・アポザンスキーと同様に罰せられるはず。なのだが、世界中の混乱によって明確な処置を行うには物的証拠も状況証拠も足りず、現状で有事の際に最も対処が出来るであろう時空防衛連盟預かりになっていた。
その為に業務も雑用が主となり、扱いもやや軽いものとなっている、彼女自身は姉の事で変に慮られるよりは気分が良いと扱いを妥当かそれでも足りぬ程度と受け止めている。この場も一時的なもので、何れ時期が来れば正式な処分が下されるだろう。
今日も彼女は書類からデータ転送など内容を確認せずに行える雑務を行っていた。各部署を右往左往する合間に、端末で纏められたデータを送信するなど手の空く時間は殆どない。特にこの日は一際忙しいものとなっていた。
原因は昨日の軍上層部の暗殺事件、彼女自身も昨晩の内に事実確認と歴史是正機構関連の取り調べのようなものを受けていた。生存していて身元がはっきりしている元将校となれば当然だ、尤も心当たりなどないに等しいのだが。
残党と言えど心当たりはない、機構内での交流も少なかったためだ。現場の状況にあらゆる属性による跡があり、姉と同じく様々な属性を扱える彼女も犯人として疑われたものの、予想犯行時刻には時空防衛連盟に居たことが確認され事なきを得た。
それでも元将官と言う立場は疑念が強く、世論も歴史是正機構残党の仕業を疑っておりやや肩身が狭い。彼女自身は歴史是正機構内部に詳しくはないが、現状その行動に出る理由など皆目見当がつかない
しかしながらそのせいで姉への負担が増えるのならば堪ったものではない、ただでさえ大統領代行に連盟総統まで兼任しており、更には僅か後に控えている大統領選挙の準備だって行っている。彼女自身休んで欲しいのはやまやまだが、姉しか動かせる人材が居ないのだ。
退院した後は共に住めるようになったとはいえ家に帰らないことだってある。帰るならば食事を用意し、帰らない場合は何らかの用意を差し入れに行くこともあるが真面に休めたのはいつ以来だろうかと考えるほど。
だが姉が居なければ今は世界全体が止まりかねない状況な為に、仕方がないと言えばそうなのだろう。だから寂しいだとか、ちゃんと話せていないだとかの我儘は抑えるべきだ。もう少し後だって構わないのだと、そう彼女は言い聞かせていた。
……いたのだが、総統宛の書類を渡しに行くことになってしまった。彼女自身は姉に会える時間が取れるだけでもうれしいのだが、疲れを隠そうとする姉の姿には心配が勝ってしまう。ともあれ、業務である以上は行かねばならぬのだが。

「―――姉さっ……総統、入ります。」

数度、叩く音を響かせたのちに入室する彼女であったが、つい癖で呼びそうになった呼び方を何事もなかったように訂正する。入った時には丁度報告書に目を通し始めたところのようだった。タイミングが良かったと思いながら書類を抱え近付く。
書類の山の中からどれが何の書類かを頭に入れている為、上から一纏めずつを手や魔法を扱いながら少しずつ分けていく。およそ要件ごとの纏まりがついた辺りで、説明のしやすさを頭で考慮しながら一つ、また一つと山を崩し、新たに積み重ねる。

「こちらが例の書類で、この書類も同件の―――」

渡された際の用件を伝えながら書類の積んであるスペースに別の山を作る、少しの世間話くらいとも思ったが件の暗殺の件もあり、また忙しくなるだろうと堪えた。少し一段落つくまででも大丈夫だろうと、心の中で笑みをこぼす。
何故ならば彼女と姉はもう離れる心配はないのだから、これからは家族として改めて暮らし始めることが出来るのだからと。ヴァイスハイトも、後で名前を聞いたあのアルカディアと言う子供も血縁上の親族だ、なら急くことはないだろう。
何れまた穏やかに過ごせる日々が戻る、その時には姉も落ち着いて話す機会が出来るだろうし、ヴァイスハイトとまた話すことも出来るし、アルカディアとも新たに交友を持つのも出来る。ならほんの少しの間くらいはなんてことはない。

―――――だから、今は姉さんの負担を少しでも軽くする。それが今、私に出来る事だろう。

想いを胸に秘めて彼女は書類を積んでいく、今更ではあるがこの書類の量はかなり多い。大統領宛と総統宛が全部合わさっている、それを何事もない様に運ぶ彼女を病み上がりだとは思いもしないだろう。
それほど、彼女の顔は晴れやかであったし、微笑みすら浮かべていたのだから。

>>ユーフォリア・インテグラーレ

5ヶ月前 No.1873

黒翼 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qi5

【ヘルメラ研究所/格納庫/Cluster】

どうやら、約束の話で正解だったらしい。 本来ならば自分から切り出すべきことだったのだろう、少なくとも自分の"連盟と道は交えない"と言う発言は現在実行している以上、彼女の要求も早急に聞く必要があった。
だと言うのに、G.Gの開発は必要な事だったとは言え、それにばかり熱中して彼女に気を回していなかったのは失態だ。
また、ここに住む事も嫌ではないから、気にしなくて良いと言う事だ。 事実だとするならば、それはおそらく喜ばしい事なのだろう。
二度戦った、そして、少なくともクラスターの認識では多く会話を交わした、その中で彼女が自身の思想、というよりは対国家、言わばテロリズムを持っている訳ではないと言うのは分かっていた、その状態であえて自分に追従すると言うのは、多少なりとも評価は良い方向にあると言う事だ。

この自分が、ヘルガ様以外からの評価を気にする事になるとは、とクラスターは内心笑っていた。
が、実際の約束の内容になると、どうも歯切れが悪い印象を受ける、いや、一般人から見れば十分早い速度、一切の違和感を持たない物であろう、だが、クラスターの目から見れば……

そして、最終的に飛び出した願い事と言うのは、"武器を作って欲しい"と言う物だった。
専門外だからどういう物かは任せる、との事だったが、その言葉を聞いてクラスターは「ふむ……」と考え込む。

「ザーシャ、僕は君のことを完璧だと思っている。 かと言ってただ良い物を作った所で、使い手に合わない武器を作ってもしょうがないんだよ。 ……軽い物が良いか、重い物か。 長さを優先するのか取り回しを優先するのか。 もちろん、どれを作るにしても最高の技術は使う、それでも、漠然としてても構わないから、指定は欲しい所だね、ただ前に使っていた大剣のレプリカを作って欲しい、っていう訳でもないだろう?」

ほとんどザーシャからすれば、次の質問が肝で、これについて深く考える余裕は無いのだが、そんな事は知らないクラスターは、この一つ目の質問に対して真剣に考えを巡らせていた。
そして、ひとまず彼は、漠然とした希望でも良いから欲しいと回答する、理由は簡単、使い手に合わない武器など作ってもしょうがないからだ。

そのときザーシャは色々と一世一代のチャンスに考えを巡らせていると言うのに、一つ目の願い事に対して考え、さらに質問するクラスターは、なんともタイミングの悪い人物である。
ザーシャは考え抜いて、もう一つの願い事を口にした。

だが。

「そうか、それは良かった。 君のような優秀な人物がそばに居てくれると言うのは、ありがたい事だ、さて、では本題に入るが……」

あまりにも悲惨。
ザーシャが可能な限り平静を取り繕ったせいで、クラスターは「本題が武器、一緒に住むと言うのは副目的程度」に処理したのだ。
その考えは「本題に入るが」と武器の話に移ろうとした時点で明白と言う物だろう。 ……人間の間も一切人と関わらずマキナヒューマン計画を進め、マキナヒューマンとなった後は、そういう関係になるなどと言う発想すら無いような彼故に起きてしまう、悲劇だ。

そして、約束は絶対、そういった彼女に対して。

「無論だ、最良の武器を君に提供しよう。 部屋も、欲しい家具があればいつでも言うと良い」

――その冷静さは、明らかにチャンスを前に「一緒に住む」で引き下がった彼女に対しては、あまりにも酷な物なのかもしれない。

>ザーシャ

5ヶ月前 No.1874

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_Tbw

【ヘルメラ研究所/格納庫/ザーシャ】


……分かっては、分かっちゃあいたんだけどよ。正面切ってしっかり伝えても伝わるかどうかすら怪しいてことはよ。それなのに誤魔化して安牌切ったようなヘタレているならばこうもなるだろうよ、いや本当に分かっていたはずなんだがよ。
実際になあ……動揺もなく流されちゃあ思うところはある、あるがまあ原因が俺である以上あの人に当たれる訳もねえ。そもそもこの好意だって気付けと言う方が無理な代物だろ、今まで父と娘の関係でやってきていきなり好きだなんて言われても親子愛にしか思わんさ。
脈、あんのかなあ。いや俺にもあの人にも脈はねえとかそんな洒落はいいんだけどな。まあ俺に女らしさとかねえし、あの人にそう言うのが残っているかすらも分からねえし、ない物だらけの現状じゃあないんだろうよ。自分で言っておきながら虚しいなこれ。
前向きに考えるなら、拒絶されないだけよかったんだろうよ。優秀な人物とか完璧とか言われた時にゃあ顔が緩みそうになったのは事実で、少なくとも大切に想ってくれていることが言葉から分かったのは嬉しい事だよ。本当、それくらいの事でも俺は満足できちまう。
当のあの人は重要なのは武器と考えているみてえだけどな、実際重要と言えば重要であるから何とも言えねえ。本題に据えられてもおかしくねえな確かに、一緒に話す約束事すら間違えてたなこりゃあ。もう少し、軽く済ませるもんで良かったか。
さて、武器の詳細と言う話だがその辺りはどうとでも対応できるちゃあ出来る。この身体なら重さ軽さは大して重要じゃねえし、間合いと取り回しの関係も触手の可動域なら考慮外で十分。とまあ、憎たらしい程に便利なこの身体のおかげで曖昧な要望となる訳だ。
勿論飛び道具よか近接武器の方が好ましいのは事実ではあるが、本当にそんな程度だ。そもそも扱いで言えばあの大曲剣の剣技だって独学だ、何だって使いこなせるだけの自信が俺にはある。だがまあ、強いて要望を挙げるならば―――

「指定ねえ……何が出来ようと使いこなせる自信はあるんだけどな、パパが挙げた問題だってこの身体ならどうとでもなるからよ。あー、うん、一つだけあったわ。
パパの得意分野、あのクローだとかアンカーだとか言うのと、電撃の奴とかだろう?ああ、後ミサイルもあったな。その辺盛り込んで貰えると嬉しい。」

言っちまえば、あの人の得意なものを使いこなしたいって所だ。俺はあの人の最高傑作のつもりではある、だとしてもあの人が作るような機械じゃねえ。得意分野くらい盛り込んで、その上で使いこなした方があの人の作品っぽくはなるじゃねえか。
何つーかな、パッと見てあの人の作品である証明が欲しいってか、あの人の物だって……これは違えな。ま、一目であの人が作ったと分かるような特徴が欲しいんだよな、だって例のあいつとあの人と俺が並んだら、なあ?見た目的にゃああいつと関連付けられるだろうよ。
俺は一つの個であって、あの人の最高傑作でもある。そして俺自身がそれを求めてんなら何ら問題はねえだろうよ、流石に身体を機械化ってなると食い合わせが悪すぎるから遠慮するが、武器程度なら障害にはならんよ。

「規格だとかその辺は優秀で完璧な最高傑作に丸投げしてくれよ、どんな武器だろうと使いこなして見せるからよ。」

漸く動揺だとか自己嫌悪を隠す必要のない笑みであの人へ応える、どんな武器が出てこようとも使いこなせる自信はあるし、使いこなせなきゃ最高傑作ですらねえとも思ってるからな。あの人と共に居る限りは、俺はその期待に応え続けて見せるっての。

「それに、武器の出来は心配してねえよ。だってパパが最高傑作の為に作ってくれるんだ、不安になる方が失礼ってもんだろう?あ、そういや部屋や家具については今のままで構いやしねえよ。その辺りの心配は必要ねえ身体だろ?互いにさ、なあパパ。

ま、まあ……パパが俺の為に選んでくれるってなら―――ごほん。いや、何でもねえよ。何でもねえ。」

挑発的な笑みを浮かべて武器に関しては完全に任せる事にする、序でに家具だとかは必要ねえから態々増やす必要はねえとも伝えておいた。……小さなぼそぼそと言うレベルだが口を滑らせた、だが咳払いして誤魔化した。うん、誤魔化せたな。間違いねえ。
―――まあ、何と言うべきか。俺は関係を進めたいと言いつつも、このもどかしい状況が気に入ってんだろうよ。言い訳にしかならねえし、ヘタレたことは事実に違いねえが今はこれで十分だ。認めて貰って、一つ屋根の下だ。千年越しの恋の結果なら上々だろう。
これ以上求めたら流石に欲深いってもんだ、今でさえ幸せで満足できてるんだからな。ん、詰まる所はこれでいいって事だろうよ。何よりも、こうして普通に話せるだけでも十分すぎるほどなんだからな。夢じゃねえかってたまに思うくらいには、な。

「まあ、あれだ……改めて言うのもなんだけどよ。―――――パパ、これからもよろしくな。」

気恥ずかしくて視線すら合わせらんねえけれども、頬を掻いて言った言葉に偽りはねえ。多分、これからはずっとずっと永いものになるだろうし、そうであってほしい。それでもこんな俺を拾ってもらった恩は、俺を俺にしてくれた恩は絶対に忘れねえ。

だから、これからもよろしくと。それでいいと俺は思ったんだ。

>>Cluster

5ヶ月前 No.1875

黒翼 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qi5

【ヘルメラ研究所/格納庫/Cluster】

指定はあくまでない、この身体なら何だって使いこなせる自信があるし、何より自分があげたような問題は起こりえない、と。
そこまで言われると、やはりここは自分がもっとも長けた武装の開発に着手するべきなのだろう。
正直な所、他人の武器を作るなんて事はほとんどしたことが無い、はっきり言うならば仮に剣を作ろうがレーザーライフルを製作しようが、最終的な完成品の差は微々たる物だろうと推測できる。
だが、その微々たる差であっても、全ての武器の中でも最もより良い武装を作ること、それこそが自分に求められている事なのだとクラスターは確信する。 そして"細かい指定をされるよりずっと厳しい仕事だ"と内心笑っていた、それでも、彼は一切の面倒臭さなどは感じず、むしろ完璧とまで評するザーシャに自分が作り上げた武器を付け加える事を楽しみにしていた。

しかし、ここで一つの要望を彼女は口にした、自分の得意分野であるクロー、有線兵器、電撃装備、あるいはミサイルなどの趣を加えて欲しいと。
これを聞いてクラスターはまず、ザーシャに負けず劣らずの喜びを覚えた、彼女がこの身体に備わる武器に似た物を欲しがると言うのは、つまり、自分の完成度を認められたのと同じ意味であるからだ。

「くくくっ、ふははは。 まさか背負い式ミサイルパックとアンカークロー、電撃鞭をそれぞれ持ちたいと言う訳ではないだろう? あえて僕にそれを頼むと言う事は、つまり欲しいのは複合武器だね? 正直、君であっても扱いには多少の慣れが必要だよ?」

明らかに声の高さが一段階上がったような声で、クラスターは笑う。
そして、確認するかのように、彼は顔を近づけて、まさか不恰好な事に「それぞれ一つずつを持ちたい」と言う訳ではないだろう? と問いかける、自分が最高の力で作れるのは、即ち一つで複数の機能を持っている複合武器だ。 もちろん、それは、整備面は自分がどうにかするから良いとしても、実戦の使い勝手は、少なくとも慣れや時間が必要な物だ。

だが、彼女は返してくる、"どんな武器だろうと使いこなして見せるからよ"、と。

「つまらない事を聞いたね。 確かにそうだ、僕の傑作である君が、僕のような科学者にも使える武器が使えないなどと! すまないね」

これではまるでザーシャの能力を疑ってしまったようではないかと、クラスターは頭の位置を彼女に合わせるように少し屈んで謝罪する。
自分が使える武器が、彼女に使えない訳が無い、戦闘スキルと言う意味では彼女のほうが明らかに上なのだから。

そして、出来も心配していない。 そこまで言われるならば、自分も十全の力を持って挑ませて貰おう。 と、最初からそう思っていたはずなのに改めて覚悟を決めるクラスター、その際にザーシャが言いかけた内容を彼は聞き逃さなかった。
言葉にされていない心は感知できない機械人間の彼でも、音声になっていれば聞き逃さないのが彼である。

何でもない、というならば、と彼はそれに言及する事は無かったが、後にクラスターは自分で選んだ家具を幾つかザーシャに与えるだろう。
これからもよろしく、その言葉で、会話はまさに終わりそうだった。

だが、クラスターはその時、ふと自分の上に聳えるG.Gの素体を見て思う。
そういえば、ザーシャの一部の言動がおかしかった

「これからも、これからもか……」

彼が呟く、そして、ザーシャにもう一度目を向けて言った。

「無論だ。 そしてザーシャ、一緒に住むなどと、そこまで言ったのなら、僕は君を手放すつもりは無いよ。 G.G、これは確かに僕の思いつく限りの"高性能"を詰め込んだ機体だ、完成すれば、単機で世界をどうこう出来る、僕はそう確信している。 ……でもね、君という最高傑作は君だけだ、どんなに優れたマシンでも、君の代わりになる事は無いんだ」

そこから出る言葉は、ザーシャの内心を見透かしたような「告白」染みた言葉。
まさか、そんな考えは、やはり間違いだったと次の言葉で発覚する、要するにクラスターは、ザーシャが「G.G」、いやそれだけではなく、各新型機に最高傑作の座を奪われるだとか、捨てられるだとか、そういった考えを抱いてしまったのかもしれない、だとしたら自分の大失態だ。 そういった思いで言葉を発していた。

異性への言葉とは程遠い、だが、クラスターは確かに、ザーシャと言う人物に向けている感情の一部を語って見せた。

>ザーシャ

5ヶ月前 No.1876

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_Tbw

【ヘルメラ研究所/格納庫→/ザーシャ】


流石と言うべきか、俺の思惑はちゃんと伝わった見てえだ。言葉足らずだとか、そういうわけでは決してねえんだけどよ。ごちゃごちゃと多くの武器を持つよりも、一つで多く出来る方が俺好みだ。事実、大曲剣一本で武器としてずっと戦ってきたわけだ。
だからあの人が顔を近づけて確認したような多くの武装を携行してえ訳じゃあねえ。と言うより急に顔を近づけられると本当に不味い、変に意識した後の話題だから尚更だ。……こうみると無機質な顔なのに、何でか愛おしく思えるんだよなあ。
どうにかこの高鳴りを悟られないようにしながら話を聞く、結論として複合武器ってのは想定の一つだ。多くの機能を一つに詰め込んで、尚且つあの人が作ったなら性能は何ら問題はない、なら後は使い手の技量だけと来れば俺がどうにかできるからな。
明らかに歓喜の声色で話すあの人は、俺の言った意気込みを疑うような事を言ったと言い謝罪した。基準が自分自身なのは何ともあの人らしい、その基準こそ常人から見ればぶっ飛んでいるだがな。身体を機械化して、意識を電脳化、それで漸く扱える代物ってことだろう。
戦闘と言う土壌の上では確かに俺は勝てるだろうと自負しているが、武器の扱いで機械となればあの人に軍配が上がるだろう。無論、そのままでいるつもりはねえしその武器が完成して一週間も経たずに使いこなしてやるつもりだ。
なんせ、あの人が俺の為に全力で作ってくれるんだぜ?声色だけで意気込みが伝わるほどに。それをいち早く使いこなせねえのは駄目だ、一週間だって生温い程で三日、いや一日で使いこなさなきゃならねえだろうよ。
それが俺があの人にした期待に応えてくれて、使いこなせると期待された最大の応えだ。その為にゃあもう少し手伝いを増やして貰って機械に慣れた方が良い、今の状態じゃあ本当に一週間使わなきゃ使いこなせねえ可能性だってあるんだからなあ。
てなわけで、手伝いがないと言われた今日は一人で出来る事をやろうと思った矢先だ。俺が締めのつもりで言った言葉をあの人は反芻している、例の新機体を見たかと思えば視線は俺の方へと向けられる。先程とは違う、何処か真剣味を帯びた視線に少し胸が締め付けられる感覚に陥る。
そして放たれた言葉は俺を混乱に陥れるに十分だった。いやな?あの人分かって言ってるんじゃねえんだよな?いや続く言葉から見て多分、安心させる言葉なんだろうけどな?もう少し言葉をなあ!勘違い!するだろうが!
まあ、な?うん、言いたいことは分かるんだぜ。傍から見れば十分に不審だった俺を見て、この新機体に最高傑作を奪われるからそうなんだろうと思ってるんだろうよ。実際、これが完成すれば俺は挑むだろうし負ける訳にも行かねえ。
そう、間違っちゃあいないのが余計になあ!でも少しだけ違うんだよなあ!確かに新機体が作られる度に、俺は最高傑作として挑んで、最高傑作であることを証明するだろうよ。負けるなんざ考えてもいねえ、俺はあの人の最高傑作なんだからな。
あー!もう!こっちが分かって何故この想いが分からねえかなあ!いや分かる訳ねえんだけどよ!あ、やべえ。あまりのあれで沈黙を作っちまう。いや、何を言えってんだよ!?顔色が変わる顔なら今頃真っ赤になってんだろうよ!

「へ、へへ……い、いやいや、確かに俺は俺だし最高傑作でもある。でもよ、『最高』傑作なんだぜ?俺を気にしてるんならそんなもんは必要ねえ、どんな新機体だろうとも最高傑作であり続けてやるからよ。
んで、俺にそれだけ言ってもらえるのは……まあ、嬉しいけどよ。『最高』を目指さねえで作ったそれが、高性能にすら届くと思えねえ。俺が最高傑作ってなら、それを超えてこその科学者―――じゃあねえのか?」

あー!あー!もう!ここで素直にありがとうも言えねんだよなあ!俺はよお!最初に気持ち悪い笑いが出たかと思えば!挑発交じりの侮辱に等しい言葉!ちょっとだけ感謝の言葉は言えたが、んなもん前後の言葉で帳消しだ阿呆!
でもな、でもあの人には科学者として在って欲しいんだよ。俺を最高と認めてくれるのは嬉しいし、これ以上ないほど幸せだ。だがそれであの人の科学者としての限界にはなりたくない、専門的な事は殆ど分からねえけれどもそれでもあの人にはまだ先を歩んでいて欲しいんだよ。
それと素直に礼すら言えねえことは全く持って関係ねえけどなあ!奇跡的ににやけ面してねえのだけが唯一の救いだ!にやけながらこれを言ってみろ?印象最悪だ畜生が!いやまあ、へらへらしてたような気はするけれどなあ!?
……うん、言っちまったもんは取り返しがつかねえ。多分、この人なら熱が入るタイプだ。少なくともこれまではそうだった。機を見て謝りてえけど、それはちょいと違うだろう。やべえ、どうしたらいいか分からねえ。

「まあ、パパにそんな心配が必要ねえことは分かってる。なんせ俺のパパだからな。そ、それにだ。離れるつもりもねえし、代わりが居て欲しくもねえ。……機体が変わろうと、パパの代わりも居ねえってこと、忘れんなよ。
―――武器、完成楽しみにしてる。」

そうやって俺は逃げるように格納庫の出口へと向かった、……取り繕えてねえよなあ。結局ありがとうも言えてねえ、それによく考えりゃあ支離滅裂な気もするなあ!あー、調子狂ってんなあ。こんなのでこれじゃあ、やっぱ早えんだろうなあ。
結局逃げるように立ち去ってるからな、時間が経てばいつも通りに過ごせるようになるだろうがその間はちと気まずい。あの人が気にするかと言われれば、……分かんねえ。まだ知らねえことの方が多いんだな、やっぱ。情け、ねえなあ。
そうやって自己嫌悪してるくせに、俺の頭の中はさっき言われた言葉が何度もぐるぐると回ってんだ。手放すつもりはない、君だけ、君の代わりになる事は無いんだ、都合よく切り取っているのは余程嬉しかったんだろうよ。

そうして格納庫から十分に離れたことを確認してから両手を頬に当てる、実際は感触すら分かりもしねえ。だが何となく熱っぽい気がした、顔色だって変わる筈もねえのに。なのに、普通の人間みたいに、普通の女みたいな事をしてる。
馬鹿らしい、何て感想が勝手に浮かぶ。あの人を傷付けたかもしれないのに、言われた言葉がただただ嬉しい。だって頬にあてた手で感触が分からずとも何となくわかる、俺の口は確かに弧を描いている、それもとてもだらしなくだ。

「手放すつもりはない、それに、君だけで君の代わりになる事は無い、へへへ……あー、もう。駄目だ。今日は少し、おかしい。」

心底気持ち悪い笑い声を発しながら、ついには自分の口で反芻する始末だ。あの人に見られていないと、分かった途端にこれだ。おかしいと自覚してんのに、やめられねえ。おめでたい奴だと自分でも思うさ。
でも、あの人が向けている感情を偽りなく語ってくれたのは事実で、それが堪らなく嬉しいんだ。
一つでも、何か知れたような気がしてな。

そんな事を考えながら自室へと俺は戻って、必要のねえ睡眠を取ることにした。
目が覚めれば、何時もの俺に戻れていると柄にもなく信じながら。

>>Cluster

5ヶ月前 No.1877

ジークリンデ・エレミア @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=3aypDZ0Vq6

『時空転移→狭間世界(崩壊)/時空転移→終末(崩壊)/ジークリンデ・エレミア』

終末に集った仲間達が放った覚悟の籠った攻撃により、ついに時空神クロノスは倒れ、戦いは人間の勝利で決着がついた。
時空神クロノスは優しい口調で此方に語る。
語り終わった時空神クロノスは自身の姿を維持出来なくなったからか、
徐々にその姿が消えていき、やがてこの終末から完全に姿を消してしまった。
彼女の力も、生体反応も何も感じることが出来ない。

「うん、いつか会えるその時までゆっくり休んでてな…」

ジークは空を見上げてそう呟く。
一息つく間もなく時空神クロノスが居なくなったことにより、終末が崩壊を始めた。
急いで脱出しなければ、と思ったのだが、巻き込まれて死ぬと言った危険な感じはしなかった。
崩壊する終末をみて「私(ウチ)も居るべき場所、居るべき世界に帰らんとな」と察する。
「みんなと会えて良かったよ。また会える日までさよならや」
短いが別れの挨拶を周囲に投げ掛けると、徐々にジークの姿が透明になっていき、消える様に本来の世界に帰還する。

『ミッドチルダ/ダールグリュン邸/ジークリンデ・エレミア&ヴィクトーリア・ダールグリュン』

「おわっ・・・と」

異世界から本来の世界に帰還するも、少しよろめいたが、転ぶことなくしっかりと立つ。
落ち着いて周囲を見渡すとそこは幼なじみであるヴィクトーリアの家と見知った景色だった。
「ここってヴィクターの・・・私(ウチ)帰って来たんやな」と言っていると、
「・・・? 私は何故ここに? 確か狭間世界に居たはず・・・」
先に帰還したジークからやや遅れてヴィクトーリアも異世界から帰還し、二人は合流することとなった。
ヴィクトーリアは何が起こったのかよくわかっていようで説明しようとしたが、
ジークの姿を見てヴィクトーリアは何があったのか察したようで詳しくは聞かず、「お疲れ様、ジーク」と彼女に伝える。
それに対しジークも「ありがとうな、ヴィクター」と返した。
異世界での騒動、戦いが終わり、今頃あちらの世界の情勢は大混乱していると思われる。
が、あちらの世界の人達の掲げた覚悟ならば心配いらない。きっと大丈夫。そう信じている。
二人は自身のバリアジャケットを解除し、私服の状態に戻る。
異世界に飛ばされていたヴィクトーリアとジークリンデだが、
時間や日付を確認すると此方の世界の時間では1日も経ってない様だ。
「今日は留まっていきなさい」とヴィクトーリア。「うん、そうさせてもらうよ」とジークは言う。
直後、二人のよく知る人物の声が響く。
「おーい! ヴィクター! ジーク!」と二人の名を呼ぶハリーの声が聞こえ、
ヴィクトーリアが視線を移すと、ハリーだけでなくエルス、ミカヤの3人が走ってきた。
ヴィクトーリアが「貴女達、何故ここに?」と聞くと、3人は口を揃えて何か異変、違和感を感じて来たと答える。
3人共、ヴィクトーリアとジークリンデの二人が異世界に行った事について無意識で気づいたか、感じたのだろう。
ハリーが「隠し事は無しだぜ?」と言い、「貴女に言われずとも分かってますわよ」とヴィクトーリアは返す。
「今回の事、これからの事について話は中でしましょう」とヴィクトーリアは4人を自分の家にあげ、起こりうる事も含め、皆で話し合いをするのであった。

>>対象なし


【完結おめでとうございます。此方も楽しかったです。】

5ヶ月前 No.1878

乾くばかりの世界で @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【時空防衛連盟本部/ツバキ・オオトリ】

歴史是正機構との戦争は終わった。戦後処理も着々と進んでいる。傷跡は幾つも残されているが、それも直に修復されるだろう。
ユーフォリア・インテグラーレは全く驚くばかりの才覚を発揮していて、さすが時期大統領と目されるだけの器と言える。順当に行けば彼女が大統領に就任し、その座に相応しい指導者になるのだろう。

……そう、戦いは終わったのだ。だと言うのに、否、だからこそ。私の心は、まるで籠の中の鳥の如くだった。


窓枠に腰掛けて、憎たらしいほどの晴天と、眼下の他愛もない雑踏ばかりを、私はただぼんやりと眺めている。

「――――」

白雲はゆったりと流れ去り、人々は忙しなく道を歩いている。未だ全ての混乱が収まったとは言い難いが、それでもこの光景は紛れもなく私達が守るべき人々の姿なのだろう。そんな事は、誰に言われずとも分かっている。だがしかし、やはり私にとって、それは――。

「……ああ」

空虚だ。ただ時間は過ぎ去るばかりで、私を満たす事は無い。この心はただただ流れる白雲のようで、何処かに寄る辺も見当たらない。
乾いているのだ。肺の奥から沸き上がる、ざらつく乾きだけが、私の全てを支配している。私にとって世界とは厭わしいもので、つまらない限りの箱庭でしかない。息をする度に私は乾きを実感し、心臓が動く音を聞く度にこの空虚さに憂える。まるで世界から切り離されているかのように、私とそれ以外は全く断絶されている。

「――或いは。"そう"なのかも、知れないな」

此処に私の居る場所は無く、この世に私が紡ぐべき紲はない。
私にとって此処は、私の内のけだものを繋ぎ留める鎖以外の何ものでもない。不快では無いが、それでも私が求めるものはほんの一握りも見当たらない。
私を満たし、この乾きを癒す事が出来るのは、ただ剣戟の激しさと、死線を斬り伏せた刹那だけだ。それはただ戦乱の中でだけ与えられる歓びで、穏やかな日常の中では決して得られない。

――ならば、この平穏の世で、私は何を糧にすれば良いのだろうか?

うっすらと浮かぶ自問への答えが出ないまま、ぼんやりと、私はただ窓の外を眺めている。白雲が揺れ往くように、私の心は揺蕩うばかりで、この乾きは少しも癒される事も無い。
外は憎たらしいばかりの晴天と、忙しなく道を行く雑踏ばかりが広がっている。それは全く平穏な光景で、ただただつまらない箱庭のようだった。

>>(対象無し)
【完結お疲れ様でした!今回は最後までいられて良かった……。/しかし最後の最後でやらかすってどうよ(自虐)】

5ヶ月前 No.1879

電子の詩人 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

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※警告に同意して書きこまれました (性的な表現)
5ヶ月前 No.1880

“夢”の夕凪 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=jBXCUi2NgL

――想起。
 想えば自分の隣には、いつでも“風”が共にいた。
 世界を巡る旅路の中で、いつでも“風”は吹いていた。
 時雨を運び、種子を運び、砂塵を運び、黒煙を運び。
 世界を超えて、時を超え、それでも“風”は悠久を廻り、大地に生と死を運ぶ。

 “風”の在り方は色々だ。
 目には映らぬ透明の風。
 そよ風ほどの小さな光風。
 黒雲を纏う暴風雨。
 灼熱を帯びた陽光の波動。
 冷血に凍える吹雪の破片。
 瘴気に朽ちた黒紫の吐息。
 生命に萌える新緑の息吹。
 黄金色の怒れる嵐。
 無機質に嗤う黒金の疾風。
 慈愛を宿す夢幻の厳風。

 そうして“風”が齎らすのは『変化』。
 時に烈しく天地を斬り裂き、世に変革の日を告げたなら、
 他方で平穏を奏でつつ、緩やかな時節の移ろいを麗らかに告げていく。
 やがては“風”は世界を巡り、束ねた極彩色の輝きは、大きな、大きな風車を廻す。


 そうやって、物語は動き続けてきた。


[狭間世界→−/終末→−/【リプレイサー】]


――――紅風が止んだ。

 氏神が崩れゆく……否、在るべきカタチへと還っていく。口に奏すは祝福の調べ。ヒトへの信頼と赦しの言葉。生きとし生ける全ての命に歓喜と賞賛の意を遺し、かの存在は虚空に溶けた。
 ――かくして、人類史の幼年期は節を迎えた。

 辺りを見回す。疲弊こそしていれど、この奇術師が知る限り誰一人とて欠けはない。
 氏神との邂逅果たし、無言の帰還は遂に無く。それぞれが、それぞれの道の生き証人。それぞれが、それぞれの輝きを迸らせ、真っ直ぐにゴールテープを突っ切った。それこそが希望だ。時代を次代へ永えへ、繋ぎ続ける種子となる。
 僅かばかり――とは思っていたが、前言撤回。誇るとしようか。
 “俺が賭けたチップの山は、ちゃーんと大当たり(ジャックポット)を戴いた”――とでも?
 いやいや、そんなんじゃ足りやしないか。カラカラ喉で笑った声が、ヒビ割れた空に反響する。
 ひとつ伸びでもしようか。なんてふと考えて力を込めるが、腕がうまく動かない。脚はブリキの人形のように、一歩踏み出すことすらひたすら拒む。

――嗚呼。どうやら、“此処まで”らしい。

 勝手に世界に入り込み、そいつを救うと意気込んで、時を飛び越え幾星霜。
 幾度となく人々と出会い、その度毎に存在を刻み込み、それでも事実だけは拭えない。
 この奇術師は『部外者』だ。奇術師が在るべき時代とは、奇術師が在るべき世界とは、既に壊れた世界の跡地。〇番街の〇-〇-〇。
 ――それが何の因果だか、『秘密のパスポート』を手渡され、暫しの渡航を赦されていただけの話であって。
 その『権利』も今しがた投げ棄てた。生命を宿した宝玉の、その輝きごと投げ出した。

 ヒビ割れた世界が壊れ、皆は各々の世界に戻るだろう。友との再会を祝い、或いは喪われた魂を悼み、時に過去を厭い、未来を憂うのだとしても、それでも待っている“次”へ向け、歩を進めるのだろう。
 しかし……奇術師がこれから還る場所は、完全なる“無”なのだ。

 狭間の裂目まで逃げ果せたなら、そこから戻れたのかもしれない。
 しかし残念無念、そいつはもう叶わない。十八番だった脱出奇術も、今じゃ【異能】を喪った、下準備が無くてはどうにもならぬ。
 目を落とせば黝んだ手足。生命の灯火が尽きるように、指先の感覚は消えていく。壊死を始めたこの肢体では、もはや流れることなど夢わのまた夢。
 奇術師は文字通り、命運ここに尽き果てたというワケだ。



――それでも、これでいい。

 後悔なんて微塵もない。奇術師は驀地に進み、博奕に出て、そうして希望を残せた。
 心から『護りたい』と思えたモノを、今度こそ護り切れたのだ。奇術師は立派に勝ったとも。だったら何を悔いようか。
……まあ、護ったモノの行く末を、遂に見届けられないことだけは心残りではあるのだが。
 欲張り過ぎは良くないだろうと、こうやって考えてみたりする。


悲劇、喜劇、劇中劇に会話劇。
どんな物語にだって起(プロローグ)があるもんだ。
惑い惑わせ第一幕、恋煩いに諍い挟み、二幕も終わらば承も過ぎ。
転じて第三を駆け抜けば、更なる転が第四に待ち、氏神を招いた最終幕。
それも過ぎたら満員御礼、終いにゃ結びを迎えよう。
御好評ならロングラン、拍手喝采大喝采。千客万来謳うなら、遥か時超え古今東西、記憶に確と刻まれて、後世伝わる物語。


 風よ、風よ。お前が凪いだその時に、結(エピローグ)は訪れる。
 朝焼けと夕焼けに照らされて、幕間はやがて訪れる。
 舞台が移ろい、時代が移ろい、役者が移ろい、それでも変わることない物語。
 奇跡と自然、舞台と日常。その夢と現の合間にも、夕凪は訪れる。


 だから、これで冒険譚はお終い。だって、風は凪いだのだ。夢は覚めては見られない。
 風と共に生きたなら、風と共に去るのが吉だろう?


「――――でもなあ……」


 狭間の世界は砕け、雄姿は静かに“次”へと飛び立っていく。

 ああ、今度こそ別れの時だ。


「願わくば、“次”も、見てみたかったもんだ――――」


 意識を静かに闇に落とす。



 ――その、最期の瞬間に。





 ――――氏神の顔を、見た気がした。


>>Chrono Apostle

5ヶ月前 No.1881

救いようの無い人 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qi5

【時空防衛連盟本部/休憩室/トエル・アイムニー】

さて、あの連盟本部の戦いから少し経ったが、結局のところ、トエルがあの厳重な拘束と苦痛から解放されるには多少の時間を要した。
もちろん、日を跨ぐ事は無かった、さすがにそこまでやってしまえば彼女は死んでいるだろうし、色々と威厳だとかそういった問題も出てくる。
ただし、空が裂けて、所謂有名どころ、というよりは助けてくれそうな人間が全て出払っていた結果として、彼女は蜘蛛の糸でぐるぐる巻きにされて体の上に色々な重量物を乗せられたまま放置される事になっていた。

「んぐっ……むぐううう!!」

無駄だと彼女とて分かっているだろう、それでも体を襲う苦痛だけはどうにもならず、時折ギシギシ、がたがたと音を立てて体を跳ねさせようとするが、もはやただ蜘蛛糸で拘束されているだけではなく、ベッドなどの下敷きになっている状態であるためそれすら難しく、また、時折角などが腹部に当たって激痛をもたらした。
それでも、苦しそうな女の子の声を聞いて誰かが駆けつけて来ないと言うのはおかしい話だ、部屋も異常な状態である以上、いくら多くの者が狭間に向かっているとは言え、誰かが気づく。 彼女が助けられない理由と言うのは、つまり……

「ふすー、ふすー……んっ!? もが、ぎいいいい!!」

確かに何人か人は通っていたし、そのたびにトエルも声を出してバタバタと暴れていた。
もちろん、最初は通りがかった人間も助けようとしたが、顔だけ見ると、いや、それどころか大破している機体を確認するとさっさと引き上げる者が大半であったのだ。 何せ彼女は間違いなく普段家柄を鼻に掛けて威張っているだけの女であり、さらに言うならば陰湿な虐めだとか、そもそもアイム家自体が汚職の話には事欠かないような状態にもある以上、酷い判断だとはあまり言えないだろう。
そしてそのたびに彼女は憎しみだとか、そういった物を感じる、さらに言うなら、彼女側からは相手の顔がほとんど見えないので、もしかしたらユーフォリアのような奴が自分の力に嫉妬してこのような真似をしているのではないかと言う根拠の無い妄想まで始める始末。

それでも、全員が全員彼女を無視するわけでは当然なく、一人が彼女を助けようとし、最後は彼女に関わりのある人間を呼んで、大型機械を使って大量の物を払いのけて貰った。
さて、助けて貰い、そしてまずは呼吸を、と言うことで口を塞ぐハンカチを取り除いて貰った彼女が荒く呼吸をしてから吐いた言葉と言うのは。

「遅い! どこで何をやってたわけ!? 使えない、本当にこの組織は!!」

そんなのだから今の状況がある訳で、結局最初に彼女を助けようとした隊員はどこかへ行き、周りを囲むのは何時ものコバンザメばかり。
結局、彼女はますます今後も孤立を深め、最後にはなんと並行世界管理協会に裏切ることになるのだが、それはまた、別の話である。

>ALL

5ヶ月前 No.1882
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