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◆】―BAYONETTA―【◆―第三章

 ( なりきり掲示板(フリー) )
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版権+オリ/魔女/天使 @makita ★Android=QP7DgXg77L

《ラグナ信仰》の神話は語る――――




“かつて世界は神のもと《一つ》であった。
しかしファーストハルマゲドンにより世界は崩壊。
世界は《魔界》《人間界》《天界》その間を満たす《プルガトリオ》に分断され、神は永き眠りにつく”

謂わばそれは、《混沌の時代》の始まりであった……。
そんな時代の中、世界の観測者・二つの目は世を見守り続けた。

光の右目を所有する《ルーメンの賢者》
闇の左目を所有する《アンブラの魔女》



決して交わることを赦されぬ二つの一族……。

だが、二人の男女がその誓いを破ったことが引き金となり、長い争いが勃発。
両一族はこうして忽然と歴史から姿を消した。
不浄の子……《闇の左目の継承者》と共に――――――――




****






そして現代――――――――


500年の眠りから、《女》は覚醒した。
彼女の《目覚め》は偶然か?
それとも必然であったのであろうか?

彼女の憶えていることはたった一つ。
自身が《魔女》であるという事実だけ……。

記憶を失った女は《ベヨネッタ》として、襲い来る天使達の殺戮を繰り返しながら、その意味と運命に導かれていくのであった。



そして、同じく運命に導かれた者達が、あらゆる境界を越えて全てが始まった地《ヴィグリット》に足を踏み入れるのである――――――――――。






【原作はクライマックスアクションゲームBAYONETTA。超セクシーな変態魔女が天使を斬るっ!!

「あんた達を狩る理由が分かる? その顔がMU★KA☆TU★KU☆からよ!」

さあ皆さんもBAYONETTAの世界観でAllキャラを活躍させてみませんか?
BAYONETTAをあまり知らないという方でも大歓迎!スレ主がサポートいたします(*^_^*)】

2年前 No.0
メモ2017/08/17 20:01 : §三章§ @makita★Android-1ZJoxJicBJ

◇参加希望の方は此方をクリック!

http://sns.mb2.jp/makita/d-197-2#S2

◇楽屋裏ゲイツオブヘル

http://mb2.jp/_ztd/42514.html#S0

◇登場キャラクター

http://mb2.jp/_subni2/19462.html-126#a

◇ストーリー

§序章§

>>1

第一話「曰く付きの葬儀」>>2,6,12,14,15,17,18,23

第二話「掃き溜めの酒場」>>3,4,7,8,9,11

第三話「明けの明星と闇」>>13,20,21,22,24,28,33

第四話「エンジェルアタック」>>10,19,25,27,29

第五話「レオンハルトの疑惑」>>5,16

第六話「危険なハイウェイダンス」>>26,30,31,34,35

第七話「誘い」>>32,37,38,40,50

第八話「時の観測者」>>36,39,42,43,44,45,46,47,48

第九話「little devils」>>41,49,51,53,54,55,58,69,70,77

§一章§『天使の住む街』

>>52

第一話「白昼夢、或いは記憶」>>56,60,63

第二話「聖なる巨人達」>>59,62,64,65,66,67,68,71,72,73,74

第三話「ヴィグリッド入域」>>57,61,75,78

第四話「怒れる《勇気》」>>80,81,82,83

第五話「CelestialDragons」>>76,79,85,86,87,88,89,90,91,92

第六話「サピエンチア召喚」>>93,94,95,96,97,98,99

第七話「闇の少女達と三月兎」>>84,102,103,104,106,107,109,110,112,115,137,138

第八話「魔拳クライマックス」>>108,111,113

§二章§『奇縁の街ヴィグリッド』

>>114

…続きを読む(21行)

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§序章§ @makita ★Android=QP7DgXg77L

ヨーロッパの辺境ヴィグリッド。

そこには魔界と月の力を操るアンブラの魔女と、天界と太陽の力を操るルーメンの賢者と呼ばれる一族が数多くいた。
双方は「歴史の観測者の力を得る」とされる秘宝世界の目をそれぞれ所有していたが、お互いに不可侵の掟を課すことで世界秩序の均衡を保って共存していた。

しかし、その力を欲し、神の復活を望む一人の賢者によって抗争が勃発し、均衡は崩れ去った。
100年にも及ぶ戦いの末、抗争自体は魔女の勝利に終わったものの、魔女の力を恐れた人間によって魔女狩りが行われた結果、魔女と賢者の一族は滅び、彼らは歴史から姿を消した。



それから500年後の現代――――――。

2年前 No.1

ベヨネッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 アメリカ合衆国某州/古びた教会の墓地 】


 眠ることを知らない都会の光から遠く、対して此処は静かで優しげな闇に包まれていた。繁茂する雑草。崩れかけた墓石。錆び付いた柵。明かりのともらない古い教会……。そう、此処は墓地だ。裏社会で生きた人間もこの場所が生の終着駅として選ばれることが多い。彼らは決してその死をも知られてはならないのだ。そしてこの夜もそんな“訳ありの葬儀”がひっそりと行われようとしていた――。

「…………」
『……おい……いつまでそんな下らないことやってんだ?』
「…………」

 宵闇を仄かに照らす月明かりの下、“女”はある棺を前に聖書を広げている。白い衣装に身を包みベールを被る眼鏡の修道女。聖書の言葉を唱える口元の黒子は彼女から漂う艶やかさをよりいっそう引き立てている。
 そんな彼女が執り行う葬儀の最中にも、たった一人の参列者の男―エンツォ―は相も変わらず愚痴をこぼし続けていた。エンツォは情報屋であったが棺に眠る男―エッグマン―に相当の恨みがあるのだろうか。そんな男の葬儀のために時間を割いてあげるほどの暇は正直無かったといっても良いだろう。さらに今日はエンツォの誕生日だ。けれども修道女は一切聞く耳を持っておらず聖書を尚も読み続けている。

『――さてと、俺はもう帰るぜ』
 流石にその態度に呆れ果てたエンツォは早速帰る準備を始めた。あばよという呟きと共に、葉巻が棺のうえに投げ捨てられる。

「…………」

 そうしてエンツォは踵を返して、ようやく退場できると清々したような気持ちでいたが、突然あたりが明るくなったことに気づく。信じられないというような面持ちで動揺を隠せていない。
『まさか……お迎えが……!?』
 クズとまで批判した“あんな奴”にも天からの迎えが来るなどということはエンツォにとって許されないことであった。忌々しいと毒づきながら墓石の影に隠れようと急ぐ。その拍子に倒れた墓石で情けない悲鳴をあげながらも『あの光の中にいるんだろう? お前には奴らの姿が見えるんだろう!?』と震える声で意味深な質問を修道女に投げ掛ける。そしてエンツォが倒れた墓石を直したと同時に修道女は顔を上げて口を開いた。

「――はっきりと……………………暖かき祝福の光に包まれて天より降臨召された神の御使い――――」
 一旦間をおき、彼女はさらに光り輝く空を見上げて続ける。
「……光の主よ………………苦しみ迷える家族の御霊を、永遠の安息に導き給え――――――」

 光は優しく彼女達を照らし、それに導かれるように修道女の右腕は高くあげられる。その腕は円を描き、彼女の頭上に紫色の魔法陣を現出させた。
 そうして魔法陣に向かって飛び上がった彼女の身体は、ゆっくりと浮かび上がっていくのだ。普通であれば信じられないような光景である。重力を超越し、魔法陣に吸い込まれてゆく修道女。その様子をエンツォは目を丸くして眺めていたが魔法陣の向こうで何が起こるのか彼は具体的に知ることなど不可能であろう。知るのは修道女、そして光の中より現れた天界の者達のみだ。


>All

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2年前 No.2

Umbra Warlock @libragreen ★iPhone=dbiWpnLYbl

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2年前 No.3

カエルム @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 アメリカ合衆国某州/ハイウェイ 】


 夜のハイウェイを一台の車が走り抜ける。銀色の車体は外灯の橙の光を受け、運転席に座る者の顔を照らし出した。色白の肌にライトブラウンの髪色の若い男。その冷たい色をたたえた目が銀縁の眼鏡のレンズの向こうに見えている。
 男の名はカエルム。表向きは学者だが、実際は裏社会で生きる情報屋だ。カエルムは実名かはわからないが、情報屋としての通り名として使われている。彼のような人間は、この掃き溜めのような暗黒街では決して珍しい人種ではない。闇の仕事は闇の中では目立つことはないのだ。
 ただ、学者という地位を持ちながら情報屋を営む理由は誰も知る由もなく、推測の域で考えるのであれば一つの事柄に辿り着く。


 ――――イザヴェルグループ

 ヨーロッパのヴィグリッドに拠点を置く巨大複合企業体。その豊富な資金力、そして技術力は世の支配者と謳われるほどに世界に影響を与えており、その名を知らぬ者はいないと云われる。
 彼はずっと、そのイザヴェルグループの動きを探ってきたといっても過言ではない。街のマフィア達から“イザヴェルグループの事ならばカエルムに聞けばいい”と云われるほどには名が通っているという。
 また同業者達の間でも信頼は厚く、エンツォという一流の情報屋とはライバル関係にありつつも、休日には酒を酌み交わす仲にまでなっているという。実際に昨日はエンツォの行きつけのバーである「ゲイツオブヘル」という店へ共に立ち寄っていた。ただ者では無いであろうバーテンダー・ロダンの経営する店として有名な店である。



《昨日のこと》


〜ゲイツオブヘル〜


『……それで、とっておきの情報ってやつを教えてくれよ』
 煙草を吸いながら訊ねるエンツォ。サングラス越しでははっきりと見えないとはいえ、待ちかねていたように喜んでいることは、その雰囲気からでもカエルムは分かっていた。焦らすようにカクテルを一口口に含みながら漸く小声で語り始める。
「――――ブラックマーケットで光の右目という宝石が売りに出されたらしい……」
『光の右目だって……!?』
 何かを察して動揺を隠せなかったエンツォは、思わず声を張り上げたがカエルムは口元に一本指を立てて静かにするよう合図を送る。
『わ、わりぃわりぃ……。ついつい驚いちまったよ……光の右目といやぁ今まで姿を眩ましていた伝説の宝石じゃねえか…………。いったい売りに出した奴はどいつなんだ? まさかイザヴェルグループとか言わないよな?』
「そのまさかだ。法外な値段で一切買い手はつかなかったそうだが……」
 何かを考えているのかカエルムの眼差しは真剣そのものだ。
『ところで何故そんな情報を俺に?』
「さあな……」
『おい。教えてくれたっていいじゃねえか。……まさか、例の女のことも知ってたのか……? あまりあの女のことで深く突っ込むと良いことなんかねえぞ。ろくな奴じゃねえしな……500年の眠りから醒めた記憶のない魔女ってだけでぶっ飛んでんだろ』
 まるで笑い話でも始めるようにエンツォは話し始めたが、かなり苦労をしているのだろうという予感はカエルムの頭にもぼんやりと浮かぶ。






****



「アンブラの魔女……か……」
 アンブラの魔女……かつてヴィグリッドに歴史の観測者として存在していた闇の従者。ハンドルを握りながら、カエルムは何かを思い出すようにその名を呟いた。
 そしてしばらくしてカエルムは気分転換でもするかのようにラジオをつける。そこから流れる男性の落ち着いた声が言った。
『……さて、次の曲をお送りいたします。「fly me to the moon」……』

 今宵の美しい月を讃えるように、知った曲のタイトルが紹介されたかと思えば、流されたのはイメージとは違った軽快なテンポのアレンジ曲。穏やかなジャズとして知られるこの曲であったが、ゲームのBGMのように編集されたそれはドライブを楽しむには相応しいだろう。
 だが、この曲をゆっくり堪能する状況では既に無くなっていた。

「どうやら来たようだな……」


>All

2年前 No.4

レオ @acguyman ★iPhone=cGiXfViu22

【某国首都ミルヴァレン:連続殺人事件現場】

ミュータント、サイボーグ、ナノマシンが横行する某国の首都ミルヴァレン。
暗雲が空を覆う夜間だった。
1人の若きBPSの捜査官であるレオンハルト・ヴィクトリオン─レオは
息を切らして”殺/人現場へと走り駆け込む。
現場の警備ドローンが並ぶ中を掻き分けて、車両のサイレンが時折鳴り響きパトランプの光に照らされているシートのかかった無残な死体を目撃し、そして彼は絶望という感傷に打ち拉がれ煽られていた。
「オンディーヌなのか!!!」

”オンディーヌ”
かつて人徳と『サイブリッドアーツ』を教えた恩師、マキシミリアン・キャクストン─マックスの妻である何故そんな人間がこんな無惨な姿に…
彼は心底でそう嘆く。

「ー…落ち着けレオ」

自身の上司であるニコライの無情なる一言が彼の悲愴を煽り、
横で同僚の女性であるサーシャが無念の表情で頷く。

「誰が…こんな事を…?」

そんな中ニコライは告げる。
「──昨夜から”マックス”が行方不明だ」

「馬鹿な!マックスを疑っているのか?!」

「正気じゃない事は知っているだろう?
あれ以来アルコールにドラッグに全てを棄ててしまったのだろう、それに…」

瞬間に激しく動揺した勢いで瞬発的にニコライの制服の襟元をレオの両手が掴みかかる。

「なんだハッキリ言ったらどうだ!!?」

そう言い放つレオの両手を払い除ければ、

「オンディーヌの死因は、
”サイブリッドアーツ”だ」

サイブリッドアーツは確かにレオがマックスから学んだ技ではある、だがそれだけの理由で連続殺/人の容疑になどなるはずが…

「バカな…マックスがやったっていうのか?嘘だ!マックスが病気だからってそんなッ…あり得ない、何かの間違いだ!」

そうレオが悲愴と遣る瀬無い憤りを胸にする中、

ニコライの通信がBPSの本部から伝わり、
「…ええ、はい…確認しました。重大な不祥事です。所轄にはマックスの事は伏せて、緘口令を敷いて下さい。我々の手で処理します。

ええ”殺処分”ですね。」

その通信でレオの悪い予感が当たりかけたと察していた。…が

「レオ、お前に伝えることがある。本部からの命令だ。近日中にヨーロッパのヴィグリッドに迎え」

「何?今そんな場合じゃないだろう!」

「逃亡中のマックスの情報が掴めたらしい。イザヴェルグループという巨大企業が掴んだ情報だ。
無論イザヴェルグループはお前を指名し、ある外交任務に就かせ、報酬にその情報を提供すると言っている。
のるか?」

ニコライと本部を介して伝えられた言葉に彼はすがらずにはいられなかった……

2年前 No.5

ベヨネッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 アメリカ合衆国某州/古びた教会の墓地 】


 決してこの世の光ではない輝きの中に、翼を持ち神具を携えた者達の姿が修道女には見えていた。人々は彼等のことを“天使”と呼ぶ。だがしかし彼らの思い描くそれとは随分とかけ離れた神々しくも禍々しい姿。聖なる怪物と呼ぶに相応しい異形の者達。
 魔法陣を越えた眼鏡の修道女は今まさにそんな得体の知れない怪物達に近付こうとしていた。そして……

《ギァアアア!!》

 突然、天使の一体があげた叫びと同時にソレは真紅の肉片の華を咲かせた。衝撃によって急所を撃たれた天使は粉々となり光となって消滅したが、その犯人は他でもない眼鏡の修道女―――――。
 この白い服の女の周りはいつの間にか断末魔と金色の光、そして赤い華で彩られていく。戦闘能力は常軌を逸し、彼女が人間ではないことを暗黙に伝えるに十分だ。そう、彼女は人間ではない。かつてヴィグリッドに存在した闇の従者・アンブラの魔女の数少ない生き残り……500年の眠りから醒めた闇の左目(宝石)の保持者。

――――――ベヨネッタ。


《ギャァアアアア!》


 天使達は騒ぎ出し、一斉にベヨネッタに襲い掛かり修道女の衣服を切り裂いてゆく。彼女の絶対領域が露わになるかならないかという絶妙な状況だ。

「――――結構気に入っていたのに…………」
 やや不満そうに呟けば、ベヨネッタは一気に修道衣を破り捨てた。その時、しなやかで引き締まった女の裸体が光の中で曝されたかと思えば、彼女の漆黒の髪が白い肢体を包み込み黒のレザースーツへと変貌を遂げる。その奇抜で身体の輪郭を強調する魅惑的で官能的な姿はみるものを圧倒するに違いない。
「レディの服を破くなんて…………悪い子はお仕置きが必要ね!」
 魔法陣から取り出した二丁拳銃を手に取れば、再びベヨネッタのエンジェルハンティングは再開。連射可能なその銃は次々に天使を昇天させてゆく。そして一通り空中で暴れまわれば地上へと一気に二体の天使を衝突させ粉砕。
 常人が見れば嘔吐間違いなしであろう残虐な光景が繰り広げられたが、幸いなことにそこにいるエンツォはベヨネッタも、天使達の姿も見えていない。ベヨネッタ達がいるのは人間界とは別の次元。プルガトリオだ。

『ぅわああ!!?』

 とはいえ、全く人間界に影響しないというわけではない。見えない何かに怯え、その恐怖で逃げ惑うエンツォ。だが彼は天使に強い力で掴まれ上空へと引き上げられていく。自分はまだ死んでいないと暴れまくる彼をベヨネッタは横目で見やれば、救出のためにエンツォの後を追った。


>All様

2年前 No.6

カエルム @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 アメリカ合衆国某州/ハイウェイ 】


 夜のハイウェイが黄金の光で包まれ、カエルムの運転する車を二台の車が追いかけ始めた。だが明らかにそれらは普通の車ではなく、タイヤの部分には天使の生命力であるヘイロウが輝き、運転席には誰も乗っていない。
 アイレニックと呼ばれる天使は有史以前から存在した天界の伝令。その姿はまるで車のようであるが、その最高速度は人間界の物理学を超越している。
 そんな天使二体に一般自家用車が挟まれているという状況は最悪な結末を容易に想像できるであろうが、当事者であるはずのカエルムには一切そうした焦りが見られない。天使が見えていないからではない、焦る必要が無いからだ。

「しつこい奴らだ」

 だがそれらの天使以外にも空から鳥型の大きな天使が二体さらに巨大な管楽器を持った天使がアイレニックの上に乗る形で姿を現し、カエルムに襲いかからんと牙をむいた。その状況に対して呆れたように呟けば、彼は何かを喋ったのか口を微かに動かし、そのすぐ後に走行を続ける車の扉を開け放つ。そうして車の屋根にあがり二丁の拳銃を取り出した。
 それと同時に彼の眼前に魔法陣が現れ、それを通過するや否や、銃声が風の中で何度も響き渡った。狙ったのはアイレニック。攻撃を何度も加えられた車のような天使は散り、その上に乗っていた天使達も道路へと放り出されてゆく。
 だが安心するのも束の間、カエルムの車へと飛び移った天使が彼の背後を狙って神具を突き立てんとしていたのだ。しかし天使がそれを実行したときには目の前にターゲットの姿は無い。

《ギェェエエエ!!!!》

 不審に思いつつ辺りを見回す天使。だが無惨にもターゲットを発見する前にその頭部は粉砕された。血飛沫をあげて崩れ落ちる天使の背後には、いつの間にかカエルムが銃を構えた状態で佇んでいる。そして徐に腕時計に目を向け小さくため息をついた。

「ドライブを楽しむ時間は終わりか……。依頼人との約束の場所に急がなければ…………」







【 アメリカ合衆国某州/掃き溜めの酒場 】


 車内に戻りふたたび魔法陣を通り過ぎた時、彼を乗せた車はハイウェイではなく物寂しい街の路地に出た。人気は無く、夜のこの街はやけに静かだ。ゴミがその辺に廃棄されており異臭が漂う。
 治安はあまり良くないことで有名な街だが、こんな環境ならば悪行を働いても皆無関心でいてくれるため彼らからすると住みやすいのかもしれない。

「……そろそろ行くか」

 カエルムはしばらく車内で情報が書かれたファイルに目を通したあと、依頼主が待っているという酒場へと足を運んだ。いつも破落戸同士の喧嘩が絶えない何とも賑やかな店である。

《チリリリン》

 店内に入るとベルが鳴り、カエルムの目の前に賭博や酒、喧嘩を楽しむ客たちの姿が現れた。見ていて気の休まらない連中ばかりだと思いつつ、彼がふとカウンターの方に目を向ければ時代錯誤な衣装に身を包んだ客が目に入った。格好は凄いが周りの者達にはない上品さがにじみ出ている。

「ああいう人間もいるのか……」

 思わずカエルムはその客に対して感心したような眼差しを向けたが、鼻に傷を負った男が突然『あいつに関わらない方がいいぞ』とカエルムに耳打ちしてきた。酒臭く酔っぱらっていることも考えられたが、何処か疲れ切ったような感じが漂っており流石に理由があるのであろうと、「どうかしたのか?」と小声で男に訊ねる。

『虫一匹殺すためにナイフを使いやがるようなイかれた奴だぜ? ハァ……せっかくの酔いも醒めちまった』
「………………」
『今日はついてないぜ、全くもう……』

 愚痴をぶつぶつとこぼしながら店を去る男の背中を見送った後、早速依頼主のいるテーブルへと近付いていった。依頼主はカエルムを見るなり不適な笑みを浮かべ『約束のものを』と手を差し出す。それに応じるように無言で封筒を手渡せば依頼主の向かい側の席に腰を下ろした。

『よくやった。せっかくだから何か奢ってやろう……。おい、マスター! チェリーパイお願いするぜ!』
「……ありがとうございます。しかし何故チェリーパイを……?」
 何の迷いもなくチェリーパイを注文した依頼主に少し疑問を抱くと、彼は面白いものでも見るかのようにクスクス笑い出した。
『いやぁ、お前さんが来る前に、あそこにいる探偵が面白いことやらかしてくれてよ。それを讃えて彼が注文したものと同じものをとな』
「そうでしたか。なかなか興味深いですね」
 カエルムは微かに笑みをたたえると、注文してからすぐに出されたチェリーパイを口に運んだ。


>オーネット

>All

【変な絡み方になってしまいましたが、よろしくお願いします(・・;)】

2年前 No.7

当て無き人探し @izuma☆VNvX9naPtFo ★HhCfmmMzXU_iCW


【アメリカ合衆国某州/掃き溜めの酒場/ニック・バレンタイン、????(退出)】【モノクロなオルタナ(拡張現実)ってやっぱりレトロフューチャー】

検知――未登録架空元素…観測点空間座標2.8.9.0.88.011… 0.000 000 002 n/sに消失開始。

視界に浮かび上がる何処かしら表示系統が霞んだモノクロの幾何学模様や文字列のパターンが重なり合い複雑なベンチマークの舞いを演じ始めて――消える。同時に数値やら(注視せよ)の意を含んだ注目イメージも消失しつつ――(眼)の“機能”を速やかに(切り替えた)事により、(彼)だか(彼女)だかが投擲した短剣が突き刺さり中々悪趣味なシュルレアリスム(前衛芸術)めいた“ナニカ”が赤く爆ぜて“霧散”する一部始終もまた速やかに消える。――勝手にホップアップして来て見たくも無いモノをオートでズーミングしていた己のセンサー系列を強制的にオーバーライドして強制終了させる。あのM.I.Tのインテリ連中が(自分)を(造った)時に真空管と量子回路の詰まった己の頭の中にどんな余計な機能を仕込んだのかは知らないが…これまたうっとおしくて仕方が無い。

――聞いていましたか?Mr.バレンタイン

―職業柄、こういった場所は寧ろ馴染み深い。多少ちいさな街でも一つや二つはこういう(店)は在るモノだろう。とはいえ此処まで無頼映画宜しい面子ばかりがたむろし詰めているというのも珍しいと言えば珍しい。カウンターの最隅、時代錯誤なペンタゴンスタイルの山高帽にグレーのビジネススーツ姿の(依頼者)――と、ヨレヨレのボストン風トレンチコートに草臥れたフェドーラ帽という退廃的というか古風というかそんな格好尚且つ(人外)な見た目の(黄色い目)をした探偵。

「ああ、ちゃんと聞こえてたさ――随分と(でかい蝿)が飛んでたものでね。今し方トマトみたいに弾けたが」

心其処に在らずとも言えそうな生返事を返しながら――(人造探偵)は手元のグラス、バーボンのサンセット・サルサパリラ割りを呷る。意識としては(酔う)事は出来るが、生憎(生身)では無い身だけにあっという間に素面に戻るのは便利というか不便というか…そもそも機械が酒に酔う時点でおかしな話とも言える。

「特定の段階は通り越して…――資料だけ言えば随分とまあ、―ヒトの事を言えたもんじゃ無いがこいつはまた――常識と非常識が一緒くたになって古い下水管を流れていく様なザマじゃないか。」

―“我々”は“我々”で色々と手を尽くしましたが如何せん――サブジェクト(対象)の扱いその物が(グレーゾーン)でして。色々と(管轄的な制約)がぶつかるんですよ。

「つまり“あんたら”が直接(介入)するには少しばかし条件と情報が不足している。おまけに面倒な連中と揉めかねない事案な訳だ。いつぞやの列強のパイ取り合戦じゃあるまいし…ま、そういう依頼も偶にはいいかね。それで外注が一番都合がいい理由って訳だろう?。此処のところ暇を持て余していたし引き受けるとするか――老いぼれの痴呆予防には丁度いい刺激だ。」

――色良い返事に感謝しますMr.バレンタイン。やはりお互い持ちつ持たれつ――ですな。

(典型的日系人の眼鏡を掛けた人の良さそうな中年ビジネスマンor保険屋)というテンプレートそのままの男…エージェント・カサハラはそっと席を立ったと思えば、支払いの代金と(資料)を残して此方に意識させる間もなく立ち去った。まるで(最初から居なかった)かの様に

――(探偵)ニック・バレンタインにとって…仕事の(依頼)とは正しく“娯楽”と同義である。

即ち目的が行動という訳であり基本的に(料金)は受け取らない、婆さんの逃げ出したペット探しから暗黒街のヒクイドリの首根っこを捕まえる。そんな事を無償でやっている(タダでさえ彼自身の来歴や容姿がアレで怪しまれ放題なので、不審がって無理矢理金を掴ませた“依頼者”もいたとか)

―飲みかけの酒を引っかけつつ、退廃的で暗いがウンザリするぐらい馴染みのある猥々朗々とした活気に溢れる酒場を一瞥、タダでさえ街中では悪目立ちする雰囲気と格好をしている客ばかりの有様でも――違う方向性で(妖しさ)をある種の(艶かしさ)を有する中性的な誰か、ほんのつい先程、あの悪趣味な(妙な蝿)を弾けさせた張本人。――外見的な情報から勝手に保有するデータベース(記憶)に検索を掛けている己の視界表示に呆れつつ……


≫オーネット・ブラッドレイ 、カエルム、ALL


【絡んでるのか絡んでないのか我ながら分かり辛(殴、一般客に紛れて何か胡散臭い商業マン風のおっさんと、明らかに機械然とした人外なおっさんがちょっとしたやり取りをしてた程度の感じです(一応伏線予定)】

2年前 No.8

Umbra Warlock @libragreen ★iPhone=iDHVCcglJm

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2年前 No.9

カエルム @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 アメリカ合衆国/掃き溜めの酒場/奥のテーブル席 】


『そういや、お前さん……』
 チェリーパイを口に運ぶカエルムに依頼主の男は怪訝そうな表情を見せてきた。彼を不快な思いにさせた覚えはなく不思議そうに首を傾げれば『さっきから香水の匂いが凄いな……』と苦情を呟いてきた。

−−−−香水……?

『なんだっけな、この香り……「ローズマリー」

 依頼主が答える前に、カエルムはフォークを置き“香水”の香りを静かに答える。
『そうそうローズマリー。香水はいつもソレだよな? 会うときいつもお前さんからはその薫りがする』
「ええ……気に入っているものでして。匂いに慣れてしまって過剰につけてしまったのかもしれません。本当にすみません」
 カエルムは淡々と嘘を述べながら唇を拭いた。実際、彼はローズマリーの香水など一切使用していないのだ。ローズマリーは魔除けの香りといわれるがカエルムは魔をよける必要性も無い。その香水を使用しているのは別の誰か……。その事を彼は十分知っているし心当たりはある。
 彼がハイウェイで、つい先程殺害してきた天使達。彼らの血や肉は、そのローズマリーの香りが染み着いている。それを一身に受けてしまったのだから仕方のないことであった。

 だがその香が徐々に濃くなっていることを察した彼は流石に異常だと感じ初め、落ち着きが無くなっていく。そしてそれが天使降臨の前兆であると感じ取れば、この様な場所にまで天使にこられてしまったら厄介だと席をすぐさま立ち去ろうと腰を上げた。
「すみません。急用を思い出しまして……」
『そうか。報酬はどうするんだ?』
「次お会いしたときに−−−−」
 そう言って店の出口の方に視線を向けようとしたとき、カウンター席の例の時代錯誤な探偵が拳銃を召喚したのをカエルムは目の当たりにしてしまった。それも偶然に。彼は驚きを隠せず目を疑ったが、それと同時にあの探偵が何者であるのかを悟ることが叶った。

(闇の感覚………………アンブラの魔女? ……生き残りが−−−−?)

 あの探偵は魔女であった。動揺を隠せないカエルムであったが、今はそんなことに気を掛けている場合ではない。そうして敵がどこから現れるかを意識して周囲に目を配った。
 ただ、大勢の人間、ましてやアンブラの魔女までいる空間で下手に戦闘など出来ない。そう思った彼はそのまま何かが起こる前に逃げることを選んだ。だが……




《ギャァアアアアアアア!!》




 聖なる怪物のけたたましい鳴き声が店内に響き渡り、逃げるには時はすでに遅かったことを告げるのである。出口まで向かっていたが、その鳴き声をきき不意をつかれたカエルムは、プルガトリオの天使に羽交い締め状態で身体を拘束されてしまった。



>オーネット

>バレンタイン

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2年前 No.10

カラドボルグ @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_Gtr

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2年前 No.11

カラドボルグ @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_Gtr

【アメリカ合衆国某州/古びた教会の墓地】

「…ったく…がっつり迷子だよ…。あの上司…字だけは汚いんだから…お陰でこの様だ。
字が汚いことを除けば、まさに理想の上司なんだけどなぁ〜…若干暑苦しいけど。」

空色の髪をした長身の青年が悪態を吐きながら歩いてくる。
彼の名はクロウ・クルワッハ。日本の大手IT企業に勤めるアイルランドハーフの会社員だ。
出張でアメリカに来て指定のホテルにチェックインしたまでは良いものの、
上司が現地に行ったら調べて欲しいものをまとめたメモを片手に
調べもののある場所を歩いていたら思いのほか汚い字で書かれたメモのスペルを
彼は読み間違えてしまい(正確に言うと上司がスペルに致命的ミスをしている)、
どこで何を間違ったのか見知らぬ墓地にたどり着いてしまったのだ。

「…!…この気配…!」

彼は墓地から漂う異質な気配を感じ取った。気がつけば、気配のある方へ歩き出していた。

天上の気配…だけど、どこかが違う。母の気配とはだいぶ異なっている…。
見上げたその先に、とんでもないものが彼の瞳に映りこむ。
神々しくも禍々しい姿の異形の者達。これがアメリカの天使なのか?と彼は変な思い込みをしてしまう。
天使を見ても全く驚く素振りを見せない彼。と言うより、何故天使が見えているのか。
その答えは彼の中に流れる血と遺伝子にある。
彼は天上に住まうアイルランド(上の天界)出身のドラゴン“サファト”と人間との混血なのだ。
天使と戦う魔女のような闇の力を秘めた女性…暴れだす異形の天使。
逃げ惑う人間の男性。男性が天使にに強い力で掴まれ上空へと引き上げられていく。
女性がそれを横目で見つめ、その後を追っていく。
自分の出る幕ではなかったか…そう思ったのも束の間、気がつけば彼も天使に囲まれていた。

「お前ら、俺に喧嘩売ってるのか?……ははぁ〜ん。さてはお前ら、俺の知ってる天使とは違うってことだな?」

彼の知る天使は混血であろうと天界の聖竜“サファト”に楯突くものはいない。
天使たちは、サファトの逆鱗に触れたら彼らがどれほどの力を発揮するのか良く知っているからだ。
それ故に、自身を敵と認識して攻撃態勢に入った異形の天使が自身の知る天使ではないと彼は悟る。
彼は調べものリストのメモをポケットにねじ込むとその体に力を入れる。
すると、どうだろうか。凄まじい威圧感が嵐のように発生し、彼を包み込む。
翼が生え、爪が伸びる。尾が生える。鋭い角が生え、体が鱗で覆われる。

「後悔させてやるよ…聖竜サファトに楯突いたことをなぁ!!」

そう言うや否や、彼の姿は一瞬にして消える。いや、一瞬で天使たちとの間合いを詰めたのだ。
振りかざされる天竜の鉤爪は天使たちの体を容赦なく切り裂き、
鞭の様にしなる尾を背後から襲いかかってくる天使に抉るように叩き付け、弾き飛ばす。
魔女と天使の戦いの近くで、他の天界に住まう聖竜の血を引くものと天使たちの戦いが始まった。

>ベヨネッタ

【こっちでも絡みきれてないorzとりあえず成長したクロウ君を投下です!】

2年前 No.12

選ばれし《人の子》 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=KPu3zm3Unx

【アメリカ合衆国某州/ゲイツオブヘル近辺裏路地/モーニングスター】

「___な、笑えるだろ?これ全部ホントの話。でさ……あ、出来ればその火ィ頂戴な。」
『自分で倹約家って言う癖にタバコを買える余裕はあるんだな……ほら、これで満足か?』
「サンキューな。タバコについては後で話すわ。じゃあ話戻すけどさ……」

草木も寝静まった丑三つ時。紳士淑女は明日の夢を見るこの時間は、破落戸共にとっては享楽の時。ある意味では都会の喧騒を避けてきた彼らにとって、静寂なる闇は今宵の馬鹿騒ぎを上手いこと隠してくれる絶好の隠れ蓑だ。社会の輪の外れ方は各々異なる、太陽の下に曝されることも良しとする『大物』も数えればキリが無いが……。
さて、今この場で談義を楽しむこの二人は、闇に隠れることを望んだ『小物』たち。荒事を積極的に起こさない、割とまともな部類の無法者だ。

「でもよ……どうしても俺は、カミサマだとかそういう崇高な存在があるとは思えないんだよな。」
『おいおい、そんなこと言ったら胸の聖アンデレが泣いちまうぞ?』
「へっ、これも俺が買ったもんじゃねーっての。なんか金になりそうだったから、さ。」

建物の壁に凭れた一人の男が、首に掛かったチェーンを持ち上げた。銀製の十字架が月影を受け、持ち主の顔を照らす。黒みのある茶髪に、これまた茶の瞳。アメリカ人にしては少々変わった顔立ちの男は、タバコを外して煙たい息を吐いた。

『金になりそうって、そんな理由でかよ!?……いんや、アンタらしいっちゃらしいか。まあそんなこたどうでもいい。この世界には今も天使がいるんだ、って話があるみたいだぜ?目撃例もあるそうで。』
「何だそれ、それこそ『どーでもいい』話じゃねーか。馬鹿らしい。」

金髪青い眼無精髭、いかにもアメリカン、といった相方の話を聞いた男の眉がピクリと動く。しかし目立った反応はそれきりで、後は馬鹿にしたような口調で噂を真っ向から否定するばかり。

『じゃ、なんだ。例えば…もしこの場に天使が現れたら?な、どうするよ?それくらい答えてくれたっていいじゃねェかよー?』
「そうだな、もし天使がこの場に現れたとしたら___」

好奇心から来る何ら当たり障りのない問いに、何とも気怠そうな男の右手が懐へと伸びる。一体何が出てくるのだろう?もっとよく見ようと近付いた相方の耳元を、風切り音が駆け抜けた。
カァイーン! 快音と火花を辺りに散らし、ナイフが一本深々と街灯に突き刺さる。

「____こうやって、真っ白い額に『ご挨拶』をするだけだな。」
『!! おい、危ねぇだろーが!?テメェ正気か!?』
「悪りぃが俺はいつだって狂気さ。それに、実演した方が説明するより面倒も少ない。」

至極真っ当な抗議も男は聞き入れずにタバコをふかす。『ったくよ…』_流石の悪党もこれには呆れるばかり。一つ幸いだったと言えるのは、この素敵な芸当を見ているポリ公がいないとこだ。
不満を漏らし続ける相方の眼前に男は腕時計を突き付ける。どうやら『定時』が来たようだ。相方は街灯を横目に見つつも、簡素な挨拶をして夜闇に消えた。恐らくは拠点兼塒への裏道を辿るのだろう。

「でもまぁ……天使なんて見えない方が気楽さ。奴らはよっぽど俺みたいな悪党がお好みでないんだとよ。」

闇に一人取り残され、独り言。『天使とは正義ではなく秩序をもたらす者である』、いつか通っていた教会で聞いたことがある。きっと冥土帰りの自分は秩序を乱すと見做されるのだろう……。
まあ、彼奴は正解だったな___男は考える。世の中には、知るべきことと知らなくてもよいこと、そして知らぬ方がよいものがある。話し相手はあれ以上の疑問を持たなかったから、少しでも幸せな道を選べたろう。だって、どう思う?《もしも天使が現れたら……》という問いに、実際に答えていたのだと知ったら?街灯の下、もがき苦しんだ末の天使が『散らばった』と知ったら?街を見下ろす月に問う男の瞳は、碧色の光を纏う。
タバコの副流煙が空で蜷局を巻く。いつの間にやら、街灯に刺さったナイフは消えていた。

____夜は、まだ明けぬ。

>>all

【あえて皆が居ない場所にキャラを投下する捻くれ者。みんな頑張れー(棒)】

2年前 No.13

ベヨネッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 アメリカ合衆国某州/古びた教会の墓地 】


「世話の焼ける男ね」
 ロリポップを口に入れて舌で舐め回しながら、溶けて出たエキスを喉の奥へと吸っていく。興奮剤入りのその棒付きキャンディーは、魔女の頬を紅潮させた。

「う〜ん、最高……火照った感じもたまらないわ……」

 そして崖の下へと連れて行かれたエンツォを追って高く跳躍した彼女の翼に、黒と紫を基調とした蝶々の翼が大きく開いた。さらに二段階ジャンプを決めて高い柵を優雅に飛び越えるその姿は一枚の写真に留めたくなる程だろう。そこまでは順調であった。そう、そこまでは……。

《ぅわぁああああああ!!?》

 大きな衝撃音と男の悲痛な叫び声が静かな夜の墓地に響き渡った。
『なんてことしやがんだ!!? 俺の車がぁあああ!』
 ベヨネッタの着地した場所、そこは運悪くもエンツォの車の上であった。綺麗だった車は無残な姿となってしまっている。最初こそ「やっちゃった」という焦りの表情を見せていたベヨネッタであったが、すぐ開き直るのも彼女の悪い癖であった。

「−−まあいいじゃない? まだ動くみたいだし」
『良いわけがないだろ!?って、ぅわぁああああああ』

 気付けば周りに沢山の天使。エンツォはもう勘弁してくれと車の中でうずくまる。
「いちいち喧しいわよ? そこでジッとしておきなさい。さて……私の興奮が醒めない内に、悪い子な坊や達を昇天させてあげなくちゃね」
 再び鳴り響く銃声に天使達の絶唱。それは彼女を襲う天使達が全ていなくなるまで続けられた。だがベヨネッタはまだ他にも気配がすることを察知した。凄まじいエネルギーを持った光の気である。

『最悪だ! 俺の誕生日なのにっ!!』
「落ち込む必要ないわよ。誕生パーティーに新しいお友達がきたみたいじゃない?」

 不満をこぼすエンツォを後目に、ベヨネッタはその“新しいお友達”がいるであろう場所へと急いだ。そこでは見たこともない竜と天使達の戦いが繰り広げられているではないか。彼女は飴を舐め回しながら、その様子を興味深げに観察した。

「あらあら……天使同士で仲間割れ? けどあの竜天使……ヘイロウが無いわね」
 天界には天使のみ。そういう世界で生きるベヨネッタにとってみればサファトなる聖竜も天使と同じカテゴリーだ。実際竜のような容姿をした天使も存在している。ただ彼らに共通しているのは必ずヘイロウ(天使の生命力)を戴いているという点だ。けれどあの竜には強い天界の力を感じるにも関わらずヘイロウが無い。
 そしてようやく聖竜の圧倒的勝利に終わるとベヨネッタはその竜の前に姿を現した。

「しばらく観察させて貰ったわ……天使にしてはなかなかの男前じゃない? で、アナタは何者なのかしら?」
 余裕を見せた口振りに態度。だが彼女の鋭い目はまだ警戒心を抱いていることの証だ。得体の知れない天使(クロウのこと)が現れたのだから当然だといえるが。


>クロウ

【絡みありがとうございます!】

2年前 No.14

カラドボルグ @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_Gtr

【アメリカ合衆国某州/古びた教会の墓地】

「……ったく…時間無駄にさせやがって…」

気がつけば、もう誰もいない。彼はそんな殺風景な墓地でため息一つ。
擬態しなおして上司の調べものの続きを…そう思った矢先、
先ほどのメガネの妖艶な女性が彼の目の前に姿を表した。

『しばらく観察させて貰ったわ……天使にしてはなかなかの男前じゃない? で、アナタは何者なのかしら?』

あの激戦の中でこちらのことも観察していたとは…この女、只者じゃない。彼の直感がそう告げる。
自分のことを天使と言っているあたり、天界の生命を人括りに見ているか、もしくは別次元の闇の者か…
何者なのかと言う女性の問いかけに、業務的笑みを浮かべて彼はこう言った。

「観察、お疲れ様。俺は…日本のIT企業に勤めてる…クロウ・クルワッハだ。
生憎だが、俺は天使なんて大層な者じゃない。天に住まう聖竜サファト…その血を引くものだ。」

女性の鋭い眼光はまだ警戒心を抱いていることを示している。
彼は広げられた指骨から皮膜の先端にかけて薄紫から薄橙に染まっている特徴的な翼をゆっくり畳みながら

「まあ、そう警戒するな。俺があいつらと同類だったら君の声に応じることなく襲い掛かってただろう…。
やれやれ…これで天界がまた質が違うって言うなら10年前を思い出すよ…。皆今頃どうしてるかな…
ま、何があったかは話が長くなりすぎるから省くけどね。ただ、今と同じように厄介ごとに巻き込まれたとなら言える。」

両手を挙げ、敵意がないことを示しながら先ほど天使に引っ張られていた男性のことも考慮して
長い尾や大きな翼、鋭い角や手足を覆う鱗を後退させていき、人間としての彼本来の姿に擬態する。

「君は…俺の中の天界の力を感じてきたのかな?俺も…微かにに感じるんだ。
闇の力を…君からね。だからって消し潰すとか物騒なことはしないよ。
光があれば闇がある。明けない夜がないように、昇らない日はない。
光と闇は互いの均整を保ち、番のように共に進む。闇の全てが邪悪と言うわけじゃない。光もまた然り…」

まるで光と闇がなんなのかを悟ったような口調で彼は話す。
擬態を終え、失礼。と短く言うと彼は腰に巻いていたウエストポーチの名刺入れから名刺を一枚を取り出す。
そして、ゆっくりと目の前の女性の方へ歩き、距離を縮めると両手で名刺を差し出して…

「一応、名刺を渡しておくよ。怪しいものではないって証拠だ。
会社も実在してるし、俺は出張でこの国に着たんだけど……ちょっと道に迷っちゃってね。」

そう言ったところで彼はハッとする。どうしよう。完全に迷ってしまって帰り道が分からない。

「すまないが…何か移動手段を持っているなら…このホテルまで戻りたいんだけど…」

そう言ってズボンのポケットからメモパッドを取り出し、
現在彼が宿泊しているホテルの名称が書かれたページを見せる。

「無理なら、近くの通りで構わない。本当に迷ってしまって帰り道が分からないんだ…」

あのスペル…絶対間違ってるよ…と小さく上司のメモについてぼやきながら
ホテル付近まで送ってもらえるか否か淡い期待を抱いてみる。

>ベヨネッタ

【ここでホテルに送るもよし、一回店に連れ込んで話を聞くのもよしです!】

2年前 No.15

レオ @acguyman ★iPhone=CedFB0vI2K

【ヨーロッパの辺境の街ヴィグリッド:市街地の一角】

洋館が建ち並ぶ辺境の市街地…
─”ヴィグリッド”─
その中でも人通りの少ない街の隅の一角に、BPSの専用航空機から降下する1人のサイボーグの人影。

彼が向かう先は、イスラ・デル・ソルと呼ばれる海上都市に位置するイザヴェルグループ本社。

何故本社から離れた区画にこうかしなければならなかったかといえば、
どういう訳か
従来のセンサーやレーダーで位置が解析できない程の”特殊”なジャミングの様な磁波が張られているからであった。
恐らく島に入れば通信も遮断されてしまうが、
ミルヴァレンのBPS最新鋭センサーシステムが搭載されたサイボーグやドローンもしくはナノマシンスーツであれば見通せる事が
ここからはぞんざいにも徒歩で本社まで向かうしか無い、
という仕組みである。

レオは薄々、そんな部分的に治外法権の通らない閉鎖的な都市区画でありながら、
外部への情報を隔離する技術と、何故か部分に現代的な技術だけはキッカリと備えているこの街に対しては、
あまり心地の良い感じはしなかった。

上から提示された任務にこそ忠実であれ、
例えそれが恩師の疑いを晴らす為であれど、
キナ臭い不誠実な背後があるのはあまり良くは思ってない男である。
最も、
そんな勢力や組織がどうしてBPSと交渉が出来、よりにもよってこんな時に自分を呼び出したのか、
その時点で…レオはこの任務に潜む”臭さ”を感じずにはいられなかった。

─「居たぞ!待てぇ!!」

騒がしい音声が聞こえる。
サイレンが鳴る辺り、旧仕様の”パトカー”はあるに違いない。
儀礼の修道服の様な衣服を来た1人の男がレオにぶつかれば、レオのサイバネティックスキャンが確り見通し、
直後に男はレオと追っ手から逃げ出す様に走り出す。─


男は今捕まる訳にはならなかった。
自身の父親の死の真相を…
魔女の存在が確立して真実なのだと世の明るみ出し、
忌まわしい”あの魔女”を自身のジャーナリズムの下で裁くべく、彼は奔走していた。

追っ手は恐らくヴィグリッドの役人。
だが、彼らの読みはそこまで鋭くはない。

男は建物の角を曲がったところで、まるでそこから居なかったかの様に姿を消し、追っ手は通りかかるも、男を見失い、別の路地へと探しに向かう。

「へッ…そう簡単に…」

と、男はその建物の角からはフックショットのワイヤーを吊るした状態で上から降り、
しめしめ、と追っ手が別方向に向かうのを察した…が…

「─…逃げられると思ったか?」

と、瞳に仕込まれた青く輝く”彼”のセンサーは、男を確りと捉えていた。

───「誰だ…!?」
そう驚く男の情報を、点滅して輝くレオのセンサーは解析していた。

「『ルカ・レッドグレイヴ:フリージャーナリスト。20年前の父親の怪死事件を目撃。本人は”アンブラの魔女”が怪死事件の犯人と証言』か…。ここに不法入国までしてやって来た理由は、父親の死の真相を暴く為か?」

”ルカ”…そう告げられた男は修道服の変装を、何故か鮮やかに脱ぎ捨てれば

「…便利だよなぁ、そのサイバネ機能…
”ミルヴァレンの治安管理局特有の装備”って奴か。俺も欲しいぜ」

察しはついたが相手にもこちらの情報を覚られつつあるとルカには見え、
じりじりと逃げる隙を探す。





─────が、次の瞬間だった。


レオは瞬発的に”何か”の”プレッシャー”に感知し、ルカの首を掴みソレを避ける。

「──ルカ・レッドグレイヴ。貴様は確か”魔女”やら”天使”やら”超常現象”を追っていたそうだな」

「─ぁ、あぁ…それがどうし……ッ!!?」

ルカには人通りがいつの間にか消えており、突如建造物が部分的に破壊されていた後しか見えていなかったが、

サイブリッドアーツによる”気”を感知する能力か
はたまた精度が極限まで引き上げられたサイバネティックセンサーか
レオには別の感覚でくっきりと…
異形の”プルガトリオ”が見えていた。

「お前…”あれ”が見えているのか?」

”そうか、こいつは情報は知っていても、見えてはいない”

レオはルカに対してそう察した様な表情を見せれば…
あさっての方向からレオとルカに襲いかかった異形を成す”天使”を、
レオは、相手の得物を拳で弾くと同時に肘から射出したポジトロンブレードで斬り裂く。

「なるほど…この装備なら”多少”通用するらしい…」

─言葉に反して、レオの蹴りと肘と五指から飛び出し蒼白く輝くポジトロンブレードと、俊敏なサイブリッドアーツの動きは
”思いの外”異形を一掃する威力を発揮した。

徐々に倒れる”天使”

その1匹を足裏で壁へと抑えつければ…

震えて逃げるか否か動揺をするルカの存在を近くに察知しつつ…

「”こいつ”を倒した後で貴様の処遇は決める。悪く思う…」

と声をかければ、
すぐさまに駆け出してしまったルカ。
”冗談じゃない、あんなのまるで或る意味魔女並のバケモノじゃないか!!”
彼はまるでそう言いたげな表情だった。

レオは慌てて残る1匹の異形をポジトロンブレードで斬り倒せば舌打ちし、
ルカを追おうとしたが…

『止せ』

と脳裏に声が聞こえる。

そしてレオが振り向いた先に、片面の金の仮面を被るそいつはいた。

『コソ泥1匹でさえも駆除の歯牙にかける
”獅子”の如きその誠意と志は良き事だ…
だが、お前にはまだ大いなる役目がある事を、忘れてはならない』

「…このミュータントとキルシーカー共を”嗾けた”のはあんたか、バルドル」

『…悪かった。
信頼できる相手である事は察した。』

「報酬の”情報”は確かなんだろうな?
こんな真似までして手ぶらで帰らせるなら、貴様も容赦はしないぞ?」

敵意の視線をバルドルに向けるレオ。
対してバルドルは告げる…

『無論構わん。ジュベレウスの加護に誓おう…”レオンハルト・ヴィクトリオン”』────

2年前 No.16

ベヨネッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 アメリカ合衆国某州/古い教会の墓地 】


 (ベヨネッタにとって)得体の知れない竜型天使は次第に人間の形へと変貌を遂げていく。とはいっても彼女の知る天使よりかは理性的で突然襲ってくるようなことは無さそうだ。
「まあ律儀に自己紹介までしてくれるんだから、あいつ等と違って比較的紳士のようね?」
 片足に重心を掛けて腕組みをしたベヨネッタは小さく笑った。己がクロウ・クルワッハという名前で日本のIT企業に勤めており、しかも天界の竜の血を引くという彼の自己紹介をきいても彼女自身半信半疑なところはある。とはいえ無駄に追求するほどでも無さそうだと判断したベヨネッタはその情報は取り敢えず事実として受け止め、彼が口にした意味深な言葉に首を傾げる。

「天界の質が違う?」
 初めてきく言葉に思考は追い付けない。いや、彼女が認識(現実)としていたことを超越したクロウの発言(真実)を実感としてイメージできないというのが妥当であろう。あまり納得のいかない状態で、ベヨネッタは「そんな場所がまだ幾つもあるなんて、それこそ厄介ごとね……所謂パラレルワールドから来たんだと言っているわけ?」と嘲笑気味に訊ねた。

「でもそれが本当だとしたら少し残念。だって、あいつ等にしつこくしてこないように貴方からいって貰おうと思っても、結局出来ないわけだし……。まあ襲われてる時点で無理なことは察していたけど」
 色々信じられないことばかりとはいえ目の前に異世界の竜人がいるのも真実であることに変わりはない。深く考えることに興味のない彼女らしく、そこは案外すんなりと受け入れていた。

「……。ふーん……生憎そういう哲学には興味がないのよ。私は必要だから殺しているだけ。そんなこと深く考えすぎたら、つまらない男になっちゃうわよ?」
 世界の観測者として存在していた闇のアンブラの魔女と光のルーメンの賢者のこともあってか一瞬クロウの光と闇の考察をきき何かが頭を過ぎった感覚を覚える。だが直ぐにおどけた感じで両手の平を上に上げ興味がないと茶化すように意地悪な微笑をたたえた。

「…………」
 そしてベヨネッタは完全に人間に擬態したクロウを興味深げに見つめながら、彼が何やらポーチから取り出すのを確認する。名刺だ。存在こそ人間ではないが、社会に順応しているというだけで人間だと錯覚してしまうのだから面白いものだ。
「ありがとう。受け取っておくわ。……あら、迷子だったの?」
 名刺を受けとった後道に迷っているときき腰に手を当て小さくため息をつく。
「世話の焼ける男が増えたわね……でもちょうど良かったわ。エンツォの車で送って貰いましょう。……このホテルまで送ればいいのかしら? 取り敢えずついてきなさい」
 受けとった名刺を豊かで形の良い胸の谷間に差し込めば、モデルのように腰を動かす歩き方でエンツォのいる車まで歩いていく。そして彼を覗き込んだベヨネッタは「このホテルまでお願いできない? 迷子の可愛いトカゲちゃんがいるのよ」と声を掛ける。

『ひぃっ!? な、なんだ脅かすなよ……トカゲちゃんって誰だよ?』
「それじゃあ乗らせて貰うわよ……?」
『お、おい……! まあいいけどよ−−−−』
「さ、貴方も乗りなさい?」

 助手席に座って長い足を正面の窓のところに乗せた彼女は、クロウに後部座席に乗るよう促した。


>クロウ

2年前 No.17

半竜クロウ・クルワッハ @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_Gtr

【アメリカ合衆国某州/古びた教会の墓地】

「パラレルワールド…まあ、そういうことになるのかなぁ…
あの天使?、こんなもの落としてたし。俺の知る天使はこんなものは持っていないからね。
まあ、そこは安心してくれ。俺の知る天界の者は100%とは言えないがあんな野蛮な奴らじゃない。」

ベヨネッタの問いかけを聞き、またパラレルワールドみたいな場所に引きずりこまれたかと苦笑いし、
そう言いながら彼は先ほどの大乱闘で天使たちが落としたヘイロウを拾って見つめる。
綺麗で複雑な形をしていると思いながらちゃっかりヘイロウをポケットに突っ込む。
どうやらメガネの女性は彼に天使たちへの説得を頼もうと思っていたみたいだが、
襲われている時点でアウトだろう。無論、彼女も察していたようだが。
だが、得意の哲学を軽くあしらわれてしまい、少しだけ彼は眉を下げる。

「つまらない男って…君は俺に何を求めているんだ…」

10年前ならこんな出来事になっていたらいつもの如く取り乱して泣いていただろう。
しかし、今の彼はそんな状況でも哲学的な考えをしてはそれをあしらわれても苦笑いするまで成長していた。

「ああ、送ってくれるのかい?ありがとう。助かった…ってどこに名刺入れてるんだ!」

まだまだ純情な面を持つ彼は女性の名刺を豊かで形の良い胸の谷間に差し込む光景に
赤面して目を逸らしながらもモデルのような歩き方をする女性の後をついていく。

『さ、貴方も乗りなさい?』

目の前には無残な姿になりながらもまだ動く車と動揺する先ほどの男性が。

「あ、すみません。ありがとうございます…てかさっき、トカゲって聞こえたけど…俺のこと?」

彼は自身の母でもある竜の血を誇りに思っている。
そこら辺のトカゲと一緒にして欲しくないと言うプライドはあるが、
ここはぐっと抑えて自分のことなのか聞いてみる。昔だったら「俺はトカゲなんかじゃない!」と怒っていただろう。

>ベヨネッタ エンツォ

2年前 No.18

当て無き人探し @izuma☆VNvX9naPtFo ★HhCfmmMzXU_iCW

【アメリカ合衆国某州/掃き溜めの酒場/ニック・バレンタイン】


――検索


自己データベースにはヒット無し、オフラインで自己の記録だけを漁くった程度では結果は知れている。電子の海(ネット)に浸かって外見的情報から断片的なモノを掻き集めては照会を繰り返して当て嵌めてジグソーパズルの様に汲み上げて事実でなけれど近しい(類似的要素を推論と無理矢理で当て嵌めて)情報は得られるだろう。勿論相応に時間は掛かるが…そんな仮面の彼だか彼女だか良く分からないが…少なくともどちらにとっても美人か美女に当て嵌まるのであろう(艶やか)且つ(妖しい)相手――チェリーパイを美味そうに咀嚼する…凝っているがそれでいて白を貴重としたシンプルで高価そうな(仮面)越しの視線に、ギョロリとした黄色のダイオードな光を放つ双眸を向けて…

「おやおや、確かに蝿にしちゃあデカくてやたらキラキラ光って丸々としてたし脚の数も不定数だったな。まあお前さんの愉快な(お仲間)が“どんなもの”かは知らないがそいつは悪かった、なんだ。“アレ”が(視えて)ちゃ拙かったのかね?」



―(来客)と同時に何処と無く漂う香料めいた香り。

同時に視界に成分表めいたモノが幾つか浮かぶが直ぐに取り消され…

――匂い、嗅覚や味覚、“プロトタイプ”なのを良い事に(量産品)に比べると人で言う五感に当たる部分(センサー)の精度は相当手が加えられている。まあコレは鼻炎持ちとかで鼻が効かない訳でないのなら嫌でも気付くレベルの(匂いの濃さ)だ。

「香水を香辛料と勘違いしてる手合いでは無さそうだが――中々強烈だな。」

理知的ながらも何かを秘めた眼鏡の男――学者肌な雰囲気だが、どうにも“それだけ”では無さそうな雰囲気だ。確か某複合企業に関して雇われてるのか…それとも個人的な理由なのでか非常に深く(探り)を入れている事で有名な(情報通)…とはいえ関わり得ぬのならば詮索する縁(ゆかり)も無い。勿論興味はあるが…だがそうこうしている内に事態は簡単に動き出した。

日常と非日常の(境目)は案外薄皮なモノなのかもしれない。――仮面の(同業者)が何処からとも無く古い型の黄緑カラーの自動拳銃――を手に取る様子を見て――更に急いた様子で…まるで追われているかの様な素振りで店を後にしようとしていたが…突然、ナニカに羽交い絞めにでもされた様に彼(カエルム)の動きが不自然に止まる。―視界表示のフィルタを先程の妙な存在(卵天使)を捕捉した際のパターンに切り替えて(視て)みると…

「成る程、これはまた興味深い。――正直何処から手を付けるべきか迷ってたんだが…この分だと案外手近そうだ。」


とか何とか言いながら一人で勝手に納得して頷いた(人造探偵)は椅子から立ち上がりつつそっと懐のホルスターに手を伸ばす。


≫カエルム、オーネット・ブラッドレイ


【返信が遅れて申し訳有りません】

2年前 No.19

洗濯蟻 @arinohito ★iPhone=n7Rebp7mCv

【アメリカ合衆国某州/ゲイツオブヘル近辺/ルーミア】


彼女が此方の世界に来て早数日が経過した。
時と場所が変わっても彼女が遣る事は変わら無い。適当にフラ付いて適当に人間を襲い適当に又フラ付く。

時たま出逢う人間でも動物でも無い存在。幻想郷で見て居た妖怪達とも似た異形の輩。奴等を遣り過ごす方法も身に付けた。

兎角、見る物全てが新鮮で刺激的で、不思議と退屈は仕無い。
現状には其れ為りに満喫仕て居たが、如何にも不満事が一つ。

「矢っ張り可怪しいわ此処。人間はみんな病気持ちで脂っこいし、彼方此方ピカピカ光ってるし、変な奴は沢山居るし。此れなら幻想郷の方が未だ平和だわ。」

宵闇に紛れる如く彼女は一人歩く。
月は出て居たしキラキラ光る絵や文字の明るさも有るが耐え切れ無い程でも無い。

表通りから一本奥まった路地為らば人も居らず其んなに眩しく無いので御誂え向きだ。
加えて此の迷路の様な壁の中は人を襲う事には困ら無い。

「………人間の匂いが仕る。近くに居るのかな?」

彼女は鼻は利く。血の匂いには殊更敏感だ。
此の街は其処等中から血の匂いは仕るが、新鮮な物は少ない。

月の光を受けて煌めく少女の目が少し細められる。大きく左右に腕を拡げてクルリと踊る様に一回転仕ると少女の姿は地面を離れ、文字通り闇に包まれて消えた。暗渠の中の黒い物体は其れこそ端から見る事は出来無い。

闇の中では目は視え無いが、声を聞き取る耳や匂いを嗅ぐ鼻は使える。
其れを頼りに視えない少女は人の匂いが仕る方向へとふよふよと進んで行った。


>>周辺ALL

【やっと投下出来るっ…!】

2年前 No.20

選ばれし《人の子》 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=KPu3zm3Unx

【アメリカ合衆国某州/ゲイツオブヘル近辺/モーニングスター】

月。光る月が美しいというのは全世界の共通認識だろう。その鋭く冷淡な灯りを頼りに、昔は夜の闇を恐れて歩いた。けれども、現代は違う。街を照らすものは街灯と“洒落た”ネオンの塊で十分に務まる。今の月明かりがもたらしてくれるものは、闇に蔓延る狂気だろうか。

「うーむ……どうもここは“ポイント”が悪いな……」

意味深長な言葉を足元に残して立ち上がる一人の男。その名を『明けの明星』という。彼が言った“ポイント”というのは、例の化け物__もとい天使のことを指す。その天使が、あまりに多いのだ。まるで『得体の知れぬ何か』を避けてきたかのように……。その証拠に天使の殆どは此方を見向きもしなかった。
何かがいる、それは明白だ。しかも『天使が混乱する』ような輩とくれば、関わっていいことは何もあるまいて。男は大通りへと繋がる道に足を伸ばし、口笛を伴って歩き始めた。が、そう歩かぬ内に男の足がはたりと止まった。

本能が告げる。行くなと。その先に行けば、待つのは滅びであると。感じるのだ。何も見えない、何も見えないのだが、確かに何かが居ると。
だが、仮にそうだったとして、今すぐに踵を返して走り抜ければ間に合わぬこともあるまい。今すぐに退けば、生きられる。

「でも、そんなんじゃ面白くないよな?」

好奇心は猫をも殺すとはよく言ったものだ。今、好奇心は男に取り憑いてしまった。男は光へ立ち帰ることを選ばず、闇へと進み行く道を選んだ。
____だが、この男は猫じゃない。

「闇に潜むは仔猫かい?それとも素敵な暗殺者?俺は何方でも構わんさ。」

男は何かを呟きながら、静かに“虚空から”二丁の刀を引き抜いた。一寸先も分からぬ中、碧玉色の眩き眼が闇を射抜く。

>ルーミア、他ALL

【この場所に現れたということは……絡みお願いいたします!】

2年前 No.21

洗濯蟻 @arinohito ★iPhone=n7Rebp7mCv

【アメリカ合衆国某州/ゲイツオブヘル近辺/ルーミア】


「残念でした。何方もハズレよ、人間さん。」


闇の中から響く声。
彼女には目の前に居る人物が視えて居ないが、その声色から見れば相手が男性だと云う事には気付いて居た。

「此んな夜中に外を歩いてるなんて、結構物好きな人間さんは結構居るのね。」

クスクスと闇の中から笑い声が響く。
闇の塊は一層色濃く為り乍らジワジワと声の出処へ接近為て居た。

「大体此の辺に居るかな?」

男性の声が聞こえた方に近付き乍ら問い掛ける。
相手には視える筈も無いが、彼女は柔かな笑みを浮かべ乍ら口端を少し舐めた。

「ねぇ人間さん、わたし、今少しお腹が空いてるの。だから少し齧らせてくれると嬉しいのだけど。如何かな?」

闇の中から問い掛ける声。
相手の答えを求め無い、一方的な問い掛けだった。


>>モーニングスター、周辺ALL

2年前 No.22

ベヨネッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 アメリカ合衆国某州/古びた教会の墓地/車内 】


「それなら無駄に乱獲せずに済みそうね? 地獄のお友達がどれだけ空腹かにもよるでしょうけど……私そっちの世界に興味が出たかも」
 クロウの知る天界の住人が突然襲ってくるような輩ではないときいたベヨネッタは不適な笑みを浮かべてそう述べた。呼んでもいないのに毎度毎度襲ってくるしつこい天使達にもうんざりしてきた彼女にとって大人しい天使がいる世界というのは魅力的であったのだろう。
 因みに地獄のお友達と彼女が呼ぶのは、彼女が契約する魔獣・魔人(悪魔)達のことである。
 魔女は古より魔界の悪魔と契約し特別な力を得ていた。それはベヨネッタとて例外ではない。ベヨネッタの影の背中に見える蝶の翼は契約している「マダム・バタフライ」という魔界の貴婦人のものである。
 しかし引き換えに、彼等に天使を捧げなければならない運命を持ち、死後魂は魔界へと引き込まれ苦しみ続けるという。

「――――ところで貴方の拾ったソレだけど、これはヘイロウ。魔界では重宝されている代物。天使が死ぬとヘイロウは金色の輪っかになるの。彼らの生命力の結晶よ」
 ヘイロウのことを知らないであろうクロウを見た彼女は簡単に説明をした。ベヨネッタは以前からこのレアメタルを集めゲイツオブヘルの店主、いや魔界の名工と謳われたロダンにそれを渡し、新しい武器を手に入れてきた。ただその彼女でさえ、何故ロダンがヘイロウを集めているのか知る由もない。

「ふふ……なにを求めているか? いえ、それは私からの忠告よ? みた感じ、女には不慣れなようね……?」
 谷間に名刺をいれただけで赤面していた相手をからかえば、ベヨネッタはエンツォに出発するよう促した。

『分かった分かった。ところで後ろの席のお前さんよ。この女は人を不幸にするから気をつけろよ? そしてたまに妙なあだ名をつけるのさ』
「人聞きが悪いわよエンツォ?」
『ああああああ、車……どうしてくれるんだよ!』
「仕方が無いじゃない。あのままあいつ等と一緒に天国にでも逝きたかったの?」
『はぁ』
 やれやれといったようにエンツォはため息をつき車を発進。教会を後にした。


>クロウ

>All

2年前 No.23

選ばれし《人の子》 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=UNqO5lS3cQ

【アメリカ合衆国某州/ゲイツオブヘル近辺/モーニングスター】

「人間さん、だって?その口ぶり、まるであんたが“物の怪”にでもなったようだなぁ、ん?」

声で判断すれば、相手は小さな子供……それも女の子だ。だが、それにしては余りに冷ややかだ。聞いたことはないが、まるで“死刑の執行”を宣言するかのような言葉の一つ一つ。只者ではない。そう判断するには十分過ぎる手掛かりの数々。

「ああ、そうだとも。好かずに出歩くヤツが多いのも残酷な話だがな。まあ……その言葉、『あんたにだけは』言われたくないものだけどな。」

右腕の刀、『レイザード』の調子を確認して気付いた。普段ならば煌々とした光を放つ刀身が“全く見えていない”ことに。返す言葉の毒を強めながらも、男は至って冷静であった。この闇は夜の闇などでは有り得ない。人ならざる者、【能力者】だ。
この男の元の在り方__『スズカゼ イトウ』は、包丁の他に刃物も握ったことのない、至って普通の男であった。喧嘩をすれば強かったのも少年時代の話、荒事もなく平穏な日々を過ごす男であった。だが、今は違う。『明けの明星』たる彼の胸には【能力】(チカラ)が宿る。かつてこの【能力】を操っていた少女の記憶も、彼には宿る。故に、男は知っている___“人ならざる者”と、如何にして戦うか。

「そうだなぁ……俺を喰ったところで美味くないし、腹も膨れないだろうけど、それでも齧りたいってんなら___」

男はもう一振りの刀『天上天下唯我独尊』を握り締めた左腕を、静かに前へと差し出す。自棄になった訳ではない、それはある予想に基く行動。〔大体此の辺に居るかな?〕__この言葉がヒントだ。約100%の確率でこの闇は特殊な闇、それも目の前にいるであろう少女が出現させたものだ。確かに獲物を逃さぬ狩りにはもってこいの能力だ。だが、恐らく、恐らくではあるが“相手もこちらが見えちゃいない”。
闇の奥、男の脚が僅かに硬直した。

「いんや、交渉決裂。そこら辺の天使でも喰ってくんな!」

刹那、男の目前に諸刃の剣が二つ現れる。見えこそしないが、火花を散らして鍔迫り合っている。凄まじく耳障りな音を高らかに奏でつつ。と、先程少女の声が聞こえた方向へと一気に突進を開始した。
同時に男の足が地を蹴る。目で追うのもやっと__と言ってもそもそも見えないのだが__の程のスピードで後方に飛び退いていく。
一連の行動の狙いは“闇”からの離脱である。目が見えない中、此方の姿を捉えるというのは難しかろう。それに、頼りとなるであろう“音”もまた、剣の鍔迫り合いで塗り替えられてしまう。状況を理解出来ずに避けれぬのなら、その胴を切り裂くというオプションもつけて。

男は後方に一回転し、着地した。完全とはいかないが、一先ず闇の塊からは離脱出来た。だが、退くことは選ばない。一度買った喧嘩だ、元を取るまでは動かねば。それに……この衝突が『天よりの使い』を刺激してしまったようでもあるし。

>>ルーミア、他ALL

2年前 No.24

Umbra Warlock @libragreen ★iPhone=iDHVCcglJm

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2年前 No.25

半竜クロウ・クルワッハ @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_Gtr

【アメリカ合衆国某州/古びた教会の墓地/車内】

「おいおい…地獄にお友達って…ってか興味がわいても行く方法が分からなきゃ意味がないだろ?」

女性の物騒な言葉におどけた態度で彼は返すが、自分がまたもや異世界に来てしまったこともあり、
自身の知る天界についてはこれ以上教えないこととした。母の故郷が地獄絵図になるのは見たくない。
そう言えば、先ほど拾った複雑な形の知恵の輪のような物体について女性から説明が入った。
彼女曰くこの物体は“ヘイロウ”なるものらしく、魔界と言う世界で重宝されているらしい。
詳しく説明するとヘイロウは天使の生命力の結晶らしく、天使が死ぬと物質化するらしい。
ふと、彼が自身の胸元に視線を下げる。幼い頃からずっと肌身離さず持ち歩いているお守りだ。
そのお守りが淡く発光しているのだ。ヘイロウをポケットから出して遠ざけると、光も弱まる。

「なるほど。こいつは天使の生命力が物質化したものと捉えていいみたいだな…お守りが輝いてる。
質こそ違えど、根本は変わらないってわけね。爺ちゃんの牙と鱗が共鳴してる…」

そのお守りとは彼の祖父、強大な老年のサファト“グィー”の折れた牙と剥がれた鱗だ。
ゲール語で“風”の名を冠する祖父の牙と鱗はとある地獄の竜との戦いで折れ、剥がれたものらしく、
戦いの跡地となった荒野に落ちたそれを友人の天使に回収させ、
当時まだ未熟であった母のためにお守りとして渡したものと聞いている。
そのお守りが今、サファトとして未熟である彼の元へと受け継がれたものである。
この牙と鱗は“グィー”の全盛期の力を宿しており、天界の者が近づくと共鳴し、輝きだすのだ。

ただ、何を求めているのかと言う問いかけに忠告と言われてしまい、
どう反応していいのか困惑していると女には不慣れのようだと言われ…

「……よく初心(うぶ)とは言われるけどね…。だが、積極的な女性も嫌いではないよ。」

確かに彼は初心なのだが、良く言えば奥手で慎重。悪く言えば消極的である。
そして、車の男性にこの女は人を不幸にする。妙なあだ名をつけると言われる。

「なあに、気にしてないさ。巻き込まれ体質なのは昔からだ。変なあだ名も慣れたものだよ…。」

と、軽く返しておく。しかしまあ、10年前の事件とは別とはいえ、また異世界のものに遭うとは思ってもいなかった。

>ベヨネッタ エンツォ

【白血球と分けます】

2年前 No.26

記憶を探す白い生き物 @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_Gtr

【 アメリカ合衆国某州/掃き溜めの酒場/記憶喪失の真っ白な青年(白血球)】

「っ!?」

メガネをかけた青年が突如現れた異形の生物に羽交い締めにする光景が視界に飛び込んだ。
同時に、褐色肌の人物がいつからかそこにあったのか分からない紫の魔方陣に飛び込み、
異形の生物と戦い始める。殺された異形の亡骸が古めかしいゲーム機に激突してゲームが起動する。
異形との殺し合いの地獄絵図が始まり、周囲の者たちはそれが見えないのか
不可視の恐ろしい現象が起きていると認識し逃げ惑い、店を出て行く。
ゲーム機の暑苦しいナレーショその掛け声と共に化け物と不思議な人物の大乱闘が始まる。
そして気が付けば目の前で某宇宙怪獣を彷彿とさせる中身をぶちまけながら吹き飛ばされ、爆発四散する異形。
何事かと驚きで数分固まってしまったがすぐさま口の中のチェリーパイを飲み込むと
褐色肌の人物が入って行った紫色の魔法陣の中へ彼は迷うことなく突っ込んだ。
メガネの青年は褐色の人物が助け出したようだが、異形は武器を構えて一斉に襲い掛かってきた。

「失せろ化け物め!!」

彼はベルトにつけていたナイフケースからダガーナイフを取り出すと一瞬でナイフを構えて
何の躊躇いもなく、何の戸惑いもなく、異形の首を切り裂いた。
先程まで倒れそうなほど衰弱していたとは思えないほどの身のこなしで異形たちの武器の嵐を避け、
懐に潜り込んで急所を切り裂き、貫く。まるで、幼い頃からその身に戦い方を叩き込まれた殺し屋のように。
何故、彼は自ら戦いに身を投じたのか理解していない。ただ、襲われているものを見殺しにはできなかった。
異形の亡骸を踏み台にし、跳び上がって頭上から奇襲を仕掛け、脳天をナイフでぶち抜く。

《ギェェエエエ!!!!》

「!!」

背後から異形の叫び声が聞こえた。振り替えるや否や、胴体に強い衝撃を受けて店の隅へ弾き飛ばされた。

「がっ!?うぐっ…!」

店のテーブルやイスが障害物となって更なる衝撃を彼に与え、彼の体で薙ぎ倒される。

「くっ…うおおおおおお!!!」

数秒間、身動きが取れなくなるも彼は乱れる呼吸を整えて立ち上がると、
自身に向かって斧を振り下ろす異形に向かって走り寄り、
間一髪で振り下ろされる斧を回避してナイフを振りかざしてその首を切り落とす。
ホッとしたのも束の間、またもやメガネの青年に掴みかかろうとする異形が。

「―させるかっ!!」

彼は咄嗟に持っていたナイフをブーメランのように回転をつけて異形に投げつける。
それは見事な楕円の軌跡を描いてメガネの青年を掴もうとした異形の頭部を切り裂き、突き刺さる。
これでは丸腰だ…と思いきや、彼の服にあるベルトには4本の内3本のナイフケースにナイフがあり、
また、両太ももにもナイフケースに入ったダガーナイフが。彼は計6本のダガーナイフを持ち歩いていたのだ。
何故こんな大量にナイフを持っているのかは彼自身も分からない。
ただ、彼は気が付けばその大量のナイフを装備したまま見知らぬ場所にいた。
ナイフは握れば懐かしい感覚が体中を走り抜ける。
彼はこのナイフ達が己の消えた記憶と何かしら関係があると考え、肌身離さず持ち歩いているのだ。

異形と不思議な褐色肌の人物との戦いの傍らで、姿も記憶も真っ白な彼も異形に刃を向ける。

>カエルム ニック・バレンタイン オーネット

2年前 No.27

洗濯蟻 @arinohito ★iPhone=n7Rebp7mCv

【アメリカ合衆国某州/ゲイツオブヘル近辺/ルーミア】


「わたし知ってるよ、物の怪ってお化けの事でしょ?彼奴等は肉が無いし冷たいから嫌いなの。」

宵闇に潜む少女は然う云って腕を振り上げたる。一撃で倒して遣る積りだったのだが、不意に前方から耳障りな金属音が響き渡り、振り降ろそうと仕た腕を止めて仕舞う。

「………何か仕る積りね?全く最近の人間さんは人間離れ仕て……、」

その途端、弾かれたかの様に後退しつつ降り降ろし掛けた腕を横薙ぎに振るった。

何か拙いモノが来る。
彼の巫女が持って居た棒や彼の魔法遣いが持って居た八角形の小炉と似た『危険なモノ』を突き付けられた時の様な、そんな感覚。

闇を突き抜けて金属音が近付く。正に其れが自身の腹を掻っ捌く寸前に、横合いから思いっ切り大玉の弾幕で叩き弾いた。
脇腹の直ぐ横に空気を切り裂く感覚を感じる。

「刀…かな?でも変な感じ。」

ガキィンッ!!
路地の壁に金属が叩き付けられた音が響く。
相手の攻撃だろうか。其れに為ては身の無い攻撃だ。

視え無いし聞こえ無いけど、匂いは為て居る。
朧げ乍ら大体の位置は掴めたので、当て推量で大雑把に次の弾幕の軌道を思い描いた。

「矢っ張り齧るのは止め。変わりに弾幕を馳走為てあげるわ。」


キュウウウウン………。


拡げた両腕の先に魔力と妖力を蒐め、強く練り込める。
何等かの光学兵器の様にチャージ音が発せられ、其れから殆ど間を置かずに楔形に隊列を組んだ幾つもの薄緑色の小光弾が闇を突き破って射出された。
其れに因って纏って居た闇が一部晴れ、僅かに外の様子を伺い知る。矢張り其処に居たのは男性。割合何処にでも居そうな、しかし普通の人間とは違う雰囲気を帯びて居る様だ。

拡げた両手からの弾幕の射出を続ける最中、此の世界に来てから其処々々に感じ慣れた気配を察知した。彼奴等に眼を付けられたらしい。


>>モーニングスター、周辺ALL

2年前 No.28

カエルム @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 アメリカ合衆国某州/掃き溜めの酒場 】


 アフィニティに羽交い締めにされた程度ならカエルムにとって対応など簡単だ。誰もいない状況ならば。
 けれど今は違う。己のことは他者に知られたくない情報屋がこの状況で能力など発動できるわけがない。普通の人間しか周囲にいなければプルガトリオに入ってしまえば問題はないが魔女相手にそれは不可能だろう。

(あの探偵の男は天使が見えるのか?)

 カエルムの身体を引き裂こうとする天使の腕力に抵抗しつつ、彼はじっと赤い魔女とアンドロイドの紳士の方に視線を向けていた。
 探偵の男というのはアンドロイドの紳士のこと。今まで天使が見える者は魔女か賢者だけだと思っていたカエルムであったが、その思い込みが目の前で覆される。だが天使達はそんな彼らにも容赦なく牙をむいた。
 何も知らないカウンター席の客達の悲鳴を伴い、美しく強力な神具が木製のカウンターを破壊したときには既に戦いは繰り広げられていた。その幕が開かれたかのようにプルガトリオへ移動するための紫の魔法陣が妖しく輝く。そこを通過したのは勿論魔女オーネット。

 声からすると男性であろう彼は華麗に天使をさばき、倒した一体をまだ客(白い青年)の座る席の近くへと投げ飛ばした。その衝撃で稼動するクラシカルな機械は音楽を奏で、この酒場は多くの客人にとっては気味の悪い空間に、“見えるもの”にとっては赤い魔女の戦いぶりを盛り上げる舞台に見えていたことであろう。
 そして一発放たれた銃弾は見事非常ベルに命中し、高い音はほぼ全ての客をこの場から逃げ出させることに成功した。そして、カエルムが解放されたのは漸くこの後であった。
 彼の皮膚を掠るか掠らないかというスレスレの位置を魔女が放った銃弾がとび、そのすぐ後に背後で強いローズマリーの香りを放出させる。彼を束縛していた天使の頭がとんだのだ。その時解放された感覚を覚えたカエルムは即座に態勢を整え、店のカウンターの丸椅子を掴めば付近の天使を牽制した。
 プルガトリオにいる天使に影響を与えられるのは、人間界にも、プルガトリオにも存在する具対物だけであることを彼は知っていたからだ。

「……あの青年……」
 その様にプルガトリオにいかずに戦うカエルムに対して、大胆な行動にでるものが現れた。魔女の作った魔法陣を使ってプルガトリオへ侵入する白い青年。彼はなんと天使達をナイフで見事に狩っていくではないか。
 特殊な力を持った者がこの狭い空間に集まっているという驚きの真実がリアルタイムで展開されるのを呆然と眺めると今度はオーネットに向き直った。

「恩に着る」
 人間界からプルガトリオにいる恩人(オーネット)に礼を述べると、カエルムはその相手から自身の名前を確認された。“カエルムで合ってる?”と――――。
 それに対しこの界隈では有名な情報屋は特に動じることもなく静かに頷いた。だが、“魔女を知っているな?”と言われたときには流石に目を大きくし、頭の中でどう返そうかという地味な迷いを彼に齎す。しかしすぐに「ヴィグリッドのアンブラの魔女たちの情報など既に入手している。知っていて当然だ」と堂々と言い放った。何せヴィグリッドの歴史を探る学者としての顔も持つカエルムがアンブラの魔女を知らないわけがないからだ。

 その時であった――――。

『させるかっ!!』
「…………!?」
 少々油断していたのが徒となったのであろうか。白い青年のものと思しき声でカエルムはようやく自分に迫る危険を察する。だが奇跡的に間に合った。
 彼の周りの時間が停まったかのようになったのと、白い青年がナイフで天使の頭を砕いたのはほぼ同時であった。寸でで避けることで発動する能力が結果的にカエルムを守ったとはいえ、自分に危険を知らせてくれた白い青年には礼を忘れない。尤も“光の速さの世界”にいる今のカエルムの声は、相手には決して伝わらないだろうが――――――。

「アンブラの魔女とこんな場所で出会えるとは……。だが、此処での用は済んだ。私は先に帰らせて貰う――――」
 相手に聞こえないことを承知でそう告げたカエルムは、赤い魔女、白い青年、アンドロイドの紳士が面倒な天使達を全て一掃してくれることを願って酒場を一人後にした。魔力が発動しほぼ時間が止まっている中、カエルムの退店の瞬間に気付くものは此処には皆無であろう。さらに天使との戦闘に夢中になっているのだから尚更といえる。

 こうして潔くその場から離れたカエルム。だが、彼自身ヴィグリッドで滅亡した魔女一族の一人に全く興味がないわけではない。けれどあのままそこにいれば、必ず自分が何者か問い詰められたに違いない。そうして自身のことをむやみやたらと開示してしまえば何かと面倒だと判断した結果が、彼をそうさせたのだ。




****



 天使達との戦闘が繰り広げられたあの酒場が今どうなっているかは分からないぐらいには離れたことだろう。
 グレーのスーツに銀縁の眼鏡の彼は、しばらく暗い路地を進み、少し明るくなり始めた空を見上げた。ライトブラウンの瞳が朝の訪れを感じれば、乾いた唇を僅かに動かす。

「………………ゲイツオブヘルで飲み直すか――――――。いや、その前に……」

 ローズマリーの香りが染み着いてしまっていることを思い出せば、彼は目の前に魔法陣を現出させ、その中へと消えていった。




>酒場All

【カエルム、早くも退場w】

2年前 No.29

ベヨネッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 アメリカ合衆国某州/ハイウェイ/車内 】


「それもそうね」
 異世界の天界は実に魅力的であったが、クロウの言うとおり行けるかどうかも問題であった。軽く流すように生返事をし、彼女は自身の故郷を滅茶苦茶にされたくないであろうクロウの本心を汲み取ってか「でも安心して。何もしてこないいい子達を生贄に捧げるのは流石の私でも気が引けるもの。逆にしつこくて消したいぐらいの奴らがいる世界の方が私に合っているんじゃないかしら?」と続けた。

 さて、ヘイロウを疑問に思っていたクロウだが、ベヨネッタの簡単な説明だけで“天使の生命力の結晶”に納得できたのはクロウが実際に天界のものと関わりがある証拠であろう。彼は天界のエネルギーを知っているのだ。ただ気になったのは彼の身に付ける鱗と牙。これを見ながら彼は説明に納得したことをベヨネッタは見逃していない。
「綺麗なアクセサリーじゃない? どこで売ってるの? ……って言いたいところだけど貴方のお祖父さんから貰ったお守りなのね。天使が近付けば輝くから魔女のお守りにもなれそう」
 いつ来るか分からない天使達を相手にするベヨネッタは、天界のエネルギーによって輝く“お守り”を興味深げに眺めた。彼女の青い瞳がその僅かな光を反射して妖しく輝く。

「積極的な女性も好き? 天使といい貴方といい、天界の住人は魔女に苛められるのが好きなのかしら? じゃなきゃ奴等だって私に掛かってきたりしないもの……ふふ……変態な坊やたちの面倒を見なきゃいけないなんて、私もその気になっちゃうじゃない」
 ベヨネッタは後部座席の方を振り向いて、舐めるようにクロウの頭の先から爪先までをじっとりと見た。まるでどうして欲しいのかしら? と言うような眼差しで。だが後ろを見ているとき、同時に彼女は自分達に迫る危険をいち早く接した。先程までの遊ぶような眼差しから鋭いものに変わっている。

『なあに、気にしてないさ。巻き込まれ体質なのは昔からだ。変なあだ名も慣れたものだよ』
「巻き込まれ体質ね……確かに当たっているんじゃない? もう少し神様に祈った方がいいわよ?」
 自分達三人に迫り来る危機。それはハイウェイのほぼ上空を低空飛行する輸送機にあった。まだ此方に接近する気配はないがベヨネッタはあれが確実に此方へ突っ込んでくることを敏感に察知していた。

「エンツォ……」
『なんだよ』
 ふてくされたような声で情報屋の男が返事をする。彼はまだ危険を知らないのだ。
「スピードをあげなさい…………………………来るわ」
『――――――――――えっ?』



>クロウ

>All

2年前 No.30

半竜クロウ・クルワッハ @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_Gtr

【アメリカ合衆国某州/ハイウェイ/車内】

「ま、異世界には不干渉の方がいいぞ。…巻き込まれたのならそれは事故だけどね。」

彼は女性の言葉を聞いて少し安心したのか、ふと口元が緩む。
そして、彼女が祖父のお守りに興味を見せたので

「これ?ああ、俺の祖父にあたる聖竜サファトの牙と鱗だよ。
天使に限らず、天界の者が近づけば共鳴して輝きだす…
確かに、天使を狩る側の君にとっては光ればセンサーになるかもしれないけど…
これは天界の者の力を増強させちゃうから、君には少し不利な状況を作るかもしれない。
元々は祖父が当時若く力も未熟であった母のためにと作ったお守りらしい。
それが今、竜としてはまだまだ未熟な俺の元に受け継がれた…と言うことになる。」

俺の中にも、厄災から世界を守ろうとした気高き強大な聖竜の血が流れてるんだな。
と彼は心の中で呟きながらそっと祖父のお守りを握り締めた。

すると、天使といい貴方といい、天界の住人は魔女に苛められるのが好きなのかしら?と言われる。

「俺は苛められるのは好きじゃないな…。
ただ、俺は男は仕事、女は家庭とか言ってる国で生まれ育ってるから、
こうやって積極的に何かに取り組んだり行動する女性は魅力的に見えるのさ。
ま、現代になってやっと男女平等とか言って日本の女性も変わってきてるけどね。」

アメリカの女性は日本の女性と比べてかなり積極的に見え、彼はそれを魅力的に感じていた。
ただそれだけのことで、別にこの魔女に苛められたいとか言うわけではない。
そんなことを話していると、彼女の目つきが一瞬で変わる。
彼も目を見開いてシートに預けていた身を起こして擬態状態でかすかに動かせる耳をピクピク動かし始めた。
なんだろう、飛行機の音がする。胸騒ぎが止まらない。まさか、アレが突っ込んでくるんだろうか…。冗談じゃない。

“巻き込まれ体質ね……確かに当たっているんじゃない? もう少し神様に祈った方がいいわよ?”

女性の言葉からしても、何らかの危機が迫っていることは確かだ。

「神様ねぇ…いるんだったらもう少し俺に優しくしてくれてもいいんじゃない?巻き込み方が一々荒々しいっての!」

周囲を警戒しながらも神がいるならこんなに厄介ごとに巻き込まないでくれと言う意味のぼやきをする。
そうしてるうちに車の持ち主の男性に女性がスピードを上げるよう話しかけている。

「俺からもお願いする。胸騒ぎが止まらない…」

先程から嫌な予感が止まらない彼も運転する男性に向かってスピードを上げるよう促した。

>ベヨネッタ エンツォ

2年前 No.31

カエルム @makita ★Android=QP7DgXg77L

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2年前 No.32

選ばれし《人の子》 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=X3IxUr3m3R

【アメリカ合衆国某州/ゲイツオブヘル近辺/モーニングスター】

己の着地を認知すると同時に、闇の奥から異質な音が響き渡った。既に先程飛ばした二本との連携は取れていない。恐らくは弾かれた。相手は素手だった筈だが……。

「あー……その弾幕ってやつは“喰らえる”代物か? 返品可能だと有難いんだがねぇ……ッ!」

疑問は直ぐに解消され、新たな疑問をも齎した。SFものの映画にはもってこいのSEが漆黒の闇をどよめかす。自分は魔力というものは知らないし、見たことも無い。一体どんな肌触りがするのかは、【宝玉】の記憶すらも知りえない。だが__もしこの肉を不気味に撫ぜて鳥肌に変えてしまうこの感覚が魔力というのなら___決まっている。弾幕というヤツは“返品確定だ”。
闇を蹴破って現れたのは、見事なまでに規律正しく並んだ光弾の嵐。想定以上・威力も効果も不明な弾丸の前に少々足が竦んでしまう。何せ魔力というものには不慣れなのだ。慎重になってしまうのも致し方ない事だし……いや、言い訳を考えるのはよそう。幾ら経験が無いとはいえ、今目前に拡がる魔弾の嵐は“現実”なのだから。

「しっかし見事な攻撃だ……無駄弾が多いことに目を瞑ればよォ!」

弾丸は楔型を形造るように飛来してきている。闇の中で輝く弾丸、確かに美しい。だが、弾速はそこまででもない。空隙も目立つ。つまりは、やりようは幾らでもあるってことだ。
両の手に握られた剣を交差させ、男は隊列目掛けて跳躍した。先程とは比べ物にならない魔の圧力が襲い掛かってくる。だが、今度こそ男は止まらない。瞳の残光を置き去りに突進する。弾丸の無いにも等しい合間を縫って、何度も小刻みに方向を変えながら。剣に弾かれて頬を掠めた弾丸が僅かに皮膚を切り裂く。その血が頬を伝い地に落ちるまでにも満たぬ一瞬の隙、男の眼は確かに“怪物”を捉えた。
あろうことか、男は剣を前方に突き出しての錐揉み回転で跳躍を行ったのだ。弾丸の最後の列を薙ぎ払い、男は“怪物”の目の前に躍り出た。再び地を踏み締めた彼は、二振りの剣を振り翳す。剣は回転を伴って男の手を離れた。

《ギェアアアァァァァ!!》

もし彼女が一切動きを見せなかったとしても。剣は一切の害を与えることなく顔の横を掠めていくことだろう。そう、弾丸の雨を潜り抜けた男は、最初から背後〈うしろ〉の言葉の通じぬ怪物を狙っていた。
有難いことに彼女には天よりの御使というものが見えている。説明せずとも何をしたかは察知できるだろう。

「タダで貰えるもんは鱈腹“喰いたい”ところだったが……宴は中断した方が賢明だな。話が通じる分マシだが、同じ怪物のカテゴリだろ?こいつらのこと、何か知っちゃあいねぇかい?」

消費した刀剣を消去し、再び手元へと喚び寄せる。つい先程出会って即戦闘、数分も経たずに協力を求める……恐ろしく奇妙、かつ恐ろしい光景だ。だが、もし此処だけでも共闘出来るのならそれ程心強いことはない。先程の流れ弾、一部は天使達の臓物をぶち撒けてくれたようだ。尤もその大半が街灯やネオン灯を盛大にぶち壊して去ってったが……この際気にしない。
雲に隠れた朧月、天使の後光、火花を散らす街灯の数々。ショータイムには十分過ぎる小道具だ。

>>ルーミア、その他ALL

【無理矢理共闘へと持って行こうと奇行に出る星野郎。勿論ゲス顏で蹴っても((ry】

2年前 No.33

ベヨネッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 アメリカ合衆国某州/ハイウェイ/車内 】


 クロウが身に付けている御守りが天界のものが近付くだけで輝くということを知ったベヨネッタは、クロウの言うとおりセンサーとして使えるだろうという利点で興味がわいたものの、次の言葉でガッカリすることとなる。
「……それじゃダメね」
 どうも天界の者の力を増幅させる効果まであるというのだ。ベヨネッタは先程までの興味津々な眼差しから期待を裏切られたような表情へと変わった。
「天使にとっての御守りでも、私には意味のない代物というわけね」
 そもそも御守りというものは悪魔や魔女、そういった魔性のものから己を遠ざけるために存在しているものだ。

「ふふ……そうやって真面目に答えちゃうあたりが、可愛らしいわね? 日本という国は案外窮屈なのかしら? まあ古今東西、女というものは男に自由を奪われてきたわ…………そう、魔女以外はね? そしてこの私も魔女。それなら私のこの性格も、説明が付くんじゃない?」
 魔女の女は男に自由を奪われるなどということはなかった。彼女達は世界の観測者としての指名を担った特別な女達であったからだ。このベヨネッタという魔女も記憶を失っているとはいえ、彼女達の受け継いできた文化が根付いていたと言えよう。



****




「さて……どうやらあいつ等がまた追ってきたようね!」
 遠くに見える輸送機は此方へ突っ込む勢いであったが、どうも犯人は天使達のようであった。危険な飛行をする飛行機の周りを奴らは囲むように飛んでいる。
 そしてしばらくもしない内に輸送機は三人を乗せた車に急接近。このまま巻き込まれるのは目に見えていた……………………が――――――――――――。


 ウィッチタイム発動――――――――

 ベヨネッタの周りの時間は輸送機衝突間際に停止した。衝撃波で車が飛ばされ、普段シートベルトをしないエンツォも運転席から外へと飛ばされてしまっていた。
 此処は彼とクロウの乗る車を救うべきなのだろうが、今は妨害をしてくる天使達を一掃しない限り何も手を出せない状態だ。彼女は即座に魔法陣を現出させその中へと飛び込んでいけば、衝突してきた輸送機の上に着地。一気に天使達を滅していった。
 体術を繰り広げながら四丁の銃で射撃する――バレットアーツと呼ばれる戦闘スタイル、そして更に……

《PIADPH!!》

 ベヨネッタが何やら叫ぶと首吊りの機械が現れ天使を思い切り引き上げ処刑した。トーチャーアタックと言われる、魔力を集めて相手を拷問にかける技だ。
 かつて魔女狩りで使用された数々の拷問器具・処刑道具は無念の死を遂げた彼女達の呪いが掛かっている。天使を殺すには十分といえる力がそこには秘められているのだ。そうしてついに、天使達が片付いたわけだがまだホッと出来る時間ではない。

「今助けるわ……!」

 思い切り駆け出すベヨネッタ。このままではハイウェイの下へと落下してしまうであろうエンツォと車を、彼女はそれぞれ片手で道路へと戻した。その衝撃と同時に時間は再び正常に動き出し、運転席のエンツォは妙な悲鳴をあげて『ど、どうしたんだよ全く!』と焦りだす。

「……輸送機が突っ込んできたみたいよ? 天使もまた派手にやるようになったみたいね。けどもう大丈夫。ただ…………最近本当についていないわね」
『そりゃあ俺のセリフだろ!』


>クロウ

>All

2年前 No.34

半竜クロウ・クルワッハ @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_Gtr

【アメリカ合衆国某州/ハイウェイ/車内】

「サファトの牙と鱗はその個体から離れた時、その個体のその当時の力を宿すんだ。爪もそう。
聖竜サファトが恐れられる理由はその牙や鱗といった媒体で同胞や天使の力を増幅させる力があるからだ。」

無論、サファトそのものも強力な存在であり、怒らせたらそれでこそ唯ではすまない。
怒り狂ったサファトは巨大な翼で暴風を起こし、口から火炎や吹雪を吐き散らして大嵐を起こすのだ。
お守りの効果を聞いて期待を裏切られたような表情をする女性に彼は、

「お守りって元々魔除けだからね…。でも、魔女だったら魔界のお守り…なんてのも作れるんじゃない?」

そう、お守りが悪魔や魔女、そういった魔性のものから己を遠ざけるために存在しているのならば、
悪魔側のお守りは天使や天界の生き物から己を遠ざけるのではないかと逆転の発想をしてみる。
そして、積極的な女性について真面目に答える部分が可愛いといわれ、若干彼ははにかむ。

「確かに、礼儀正しいって評判もあるけど窮屈な部分もあるね…。日本って国は。」

日本は窮屈な国と女性は言っているが、あながち間違いではない。
そして魔女以外は女というものは男に自由を奪われてきたわと離す女性の言葉に彼は納得する。


―――――――――――――


『さて……どうやらあいつ等がまた追ってきたようね!』

空から輸送機がこちらに向かって突っ込んでくるのが見えた。これはどう考えてもやばい。
思わず角が生えてしまうほど彼は動揺を見せた。擬態を解くも衝撃波には間に合わず、吹き飛ばされる。

…その瞬間――

彼は何が起こったか分からなかった。時が止まったようにも感じた。
しかし、気が付いたらハイウェイの上で車は走っていて、
自分は衝撃波を受けて情けない格好のままシートに埋まった状態だった。

「?????」

運転席の男性も焦っている様子だった。彼は状況を話す為の言葉すら見つからなかった。

『……輸送機が突っ込んできたみたいよ? 天使もまた派手にやるようになったみたいね。けどもう大丈夫。ただ…………最近本当についていないわね』

その言葉を聞き、魔女である女性が何とかしてくれたみたいだったが、
本当についていない。迷子になって天使に襲われたら今度は輸送機に突っ込まれる…

「…全く…泣けるよ。」

と、彼は愚痴をこぼした。なんで10年前も今回もこうして異世界に巻き込まれるのか…

>ベヨネッタ エンツォ

2年前 No.35

洗濯板の蟻 @sentakuari ★pl3L5xkSi4_sul

【アメリカ合衆国某州/ゲイツオブヘル近辺/ルーミア】


「うーん、矢っ張り当てずっぽはダメダメね。ちっとも当たら無いし、当たら無くても良い所に迄当たるし」

もう少し愉しみたい所だが、生憎あの厄介極まる存在が居る。
愉しい弾幕ごっこの最中に横槍を入れられては今日も削がれると言うもの。

「ただの女の子を後ろから狙うなんてはしたないわよね、人間さん。」

闇を切り裂いての一閃。それによって散った闇から少女の顔が現れた。
顔の横を通り過ぎる剣閃に怯え竦む所か顔を背ける事も無く、ただ一連の動筋を見ていた少女は、目の前の人間をまじまじと見ながら呟くように言った。。

「怪物怪物って、あんた怪物呼ばわりされる人の気持ち考えた事ある?」


きゅるん。

少女の視線が自信の背後に移る。
目を細め、僅かに舌なめずりをして、そのまま殆どノーモーションで背後に魔力を放った。攻撃としてでは無く純粋な魔力の塊をぶつけて相手を退かせる目的だ。

「すっごく爽快な気分だわ。」

広げた両手に闇が集まる。
周囲を漂っていた闇を一点に全て集中させる。凝縮された闇は黒色の光線となって少女の背後に居た異形の者どもを射抜いた。

「あとこいつらとあたしは無関係。何の関わりもない奴等。食えない事も無いけどご飯のおかずにもならないの。」

広げていた両手を前にかざすと、其処から撃ち出された赤色の弾幕が直線状に重なりながらマシンガンの様に撃ち出された。
男を挟んだ向こうにも、忌々しい奴らが居る。

穴あきチーズの如き有様で地面に崩れ落ちた其れを見ながら少女は言った。

「あたしはルーミアよ。あなたの名前は?人間さん。」


>>モーニングスター、周辺ALL

【諸事情によりサブから投下します】

2年前 No.36

ベヨネッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【キリがいいので一旦蹴ってホテルの場面にいたします】
【 アメリカ合衆国某州/ホテル 】


 途中輸送機に突っ込まれるという事態に陥ったとはいえ、三人を乗せた車はあれから何事もなく無事クロウの向かいたかったホテルへと到着した。何処にでもあるような普通のビジネスホテルだが、掃き溜めのようなこの街のホテルにしてはなかなか立派で綺麗な建物である。

『さ、ようやく着いたぜ?』
 エンツォが車道のわきに車を停車させ、後部座席のハーフドラゴンの青年に声をかけた。その頃には太陽が地平線からすっかり姿を現し、辺りは朝の通勤ラッシュで人の往き来もあり賑やかだ。
「これでトカゲちゃんともお別れね。今日は色々あったとは思うけど、出会えてよかったわ。天使に襲われるようなことがないように気をつけなさい」
 黒いキャットスーツに身を包んだ魔女ベヨネッタは言われるとイヤであろうあだ名で彼を呼ぶと、別れの挨拶を始めた。そして続けて「私達は普段ロダンっていう男が経営するバーにいるのよ。ゲイツオブヘルっていう名前の店。私達に会いたくなったらいつでもそこにいくといいわ」と告げる。だがエンツォはそれに対して『だがしばらくはそうは行かねえぜ?』と口を挟んだ。

「どういうこと?」
『情報だよ情報。ある知り合いの情報屋から得た情報さ。……“世界の目”に関するなぁ』
「世界の目……。私の持ってる宝石のこと?」
 世界の目という言葉が出たときベヨネッタの表情が変わった。
『お前の持ってる宝石の片割れ、光の右目がブラックマーケットで競売にかけられたらしい。法外な値段で買い手はつかなかったらしいが、売り手はかの有名なイザベルグループと来たもんだ! お前の失った記憶に関する何かが隠されているかもしれねえ。ヴィグリッドへ行ってみて損はねえだろよ』
 突然動き始めた運命に戸惑うベヨネッタであったが「フーン。最近退屈してたから丁度良いじゃない? たまにはヨーロッパ旅行もいいかも」と挑戦的な笑みを浮かべ余裕を見せる。
『ただし……』
「あら何かしら?」
『どうもうまくいきすぎて妙なんだよな。知り合いの情報屋がこれを教えてくれたって言っただろ? あいつワザと流したような、そんな気がするんだ。――――まあ悪い奴ではねえんだがたまに何考えてるかわかんねえことあるからよ。特にお前には興味を持ってるようだしな』
 それを聞いたベヨネッタはまたもや不適な笑みを浮かべた。
「私に興味なんて……正々堂々出て来ればいいのに、消極的なお友達だこと。私をヴィグリッドに呼び出して何をして貰いたいのかしら?」
『何かしらの意図があるのは間違いねえ。そしてイザベルグループにもな。大方アイツはイザベルグループの動向を探りたくて奴らの思惑通りにことを運ばせようとしたんだろうよ』
「それはワクワクするわね……じゃあ私、今からヴィグリッドへ行ってくるからよろしく頼んだわよエンツォ。それとトカゲちゃん。そういうことだからしばらく会えなくなっちゃうわ」
 クロウとエンツォにそう言った彼女は、紫色に輝く魔法陣を現出させ“Bye”と言うなり別空間へと“消えていった”。ただ、見えるものからすれば、ベヨネッタが突然輪郭だけの透明人間になったように映っていることだろう。


>クロウ

>All

2年前 No.37

カエルム @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 アメリカ合衆国某州/ビルの屋上 】


 高層ビルの屋上で、大きな鷲が一羽羽を休めている。太陽の光を反射するその翼は黄金のような薄いブラウン。金色の双眼は真っ直ぐ、とあるハイウェイの事故現場を見下ろしていた。
 何台もの消防車や救急車が見えるその近くには、見るも無惨な姿となった輸送機がビルに突っ込む形で燃え上がっている。その上空には現場の様子を中継するヘリが大きなプロペラ音を響かせていた。事件発生からさほど時間はたっていないものの、世間を大きく騒がすような大事故は人集りを当然のごとく作っていた。

「……」

 そして当然のごとく、大きな事故は犠牲者というものを作っていた。輸送機から運び出された幾つもの焼死体。焼け焦げてよく見えなかったものの、彼等が纏う衣装はラグナ信仰の信者達のそれである。
 黄金の鷲はもっと近くで見ようと急降下。遺体の傍に降り立てば、その姿は見る見るうちに人間の青年の姿へと変貌する。鷲の正体は変化したカエルムであった。駅へ向かおうとしていた途中、何やら騒がしいのを感じて近くに寄ってみればこの有様だ。
 カエルムはそんな遺体を観察したが、その時彼らが炎が原因で死んだわけではないことがすぐにわかったのだ。遺体の状況を見たとき彼は確信した。彼等は全員出血多量で死亡したのだということを。

「狂った人間が他の信者を殺害したか、はたまた集団自殺か…………」
 ただ争った形跡もなく、皆腹部を目掛けて刺したと思われる傷が同じ様についている。つまりは……
「後者か」
 ラグナ信者の集団自殺。――――ラグナ信仰といえばヴィグリッドを始まりの地として栄えた宗教であり、現在でも何億人といわれる信者を抱えている。かのイザベルグループもその信仰と無縁ではない。この輸送機とてイザベルグループのものだ。この中で何が行われたのか、カエルムも実際に見ていない為何ともいえなかったが推測ならば可能であった。

 “主神ジュベレウスの復活”――――時期は既に復活祭の日を間近に控えている。天使達が騒々しいことや、バルドルがベヨネッタをヴィグリッドへと誘き出そうと動き始めたのも、この日に全ての理由があると考えられる。それだけ主神復活には大きな意味があるからして信者達の集団自殺もそのことと関与があると疑った方が納得のゆく答えが見つけられるだろう――――そうカエルムは考え、同時に主神復活はある条件を満たさなければ成し遂げられないのだという事実も把握していた。
 ベヨネッタという闇の左目の継承者である魔女が、主神復活に欠かせない鍵でもあるのだ。

「……」

 カエルムはそこまで考えたとき、一瞬何かが過ぎり思考が止まった。このままではいけないという嫌な予感である。だがそれがどういうものなのかわからない。理屈ではなく、直感が警告しているのだ。
「私は――――――」


 ――――――“私はあの時………………”

《…………頼みたいことが…………………………》




《…………………どうか………………》

《どうか………………私を――――――――――》






《もう時間がない………………早く……早く連れて行ってくれ………………》




 断片的なものであったが、何かの情景が頭に浮かび上がってきた。失った記憶の一部なのか。カエルムは記憶にないそれに眩暈を覚え、片手で瞼を閉じた顔を覆う。


>All

【ラグナ信仰や主神復活に関することなど自分の勝手な解釈が入っておりますので不備があれば御指摘を】
【“天空”という意味のカエルムなので、変身する動物は鳥類が相応しいと、鷲にしてみました。ちなみにベヨネッタはクロ豹やカラスに変身してた気がします。バルドルは狼です】

2年前 No.38

スナップ @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=zZsH0DKi39

【アメリカ合衆国某州/ゲイツオブヘル近辺/モーニングスター】

「“怪物”を“怪物”って呼んで何が悪いよ?それとも、“妖怪”の方がしっくりくるかい、ええ?」

 怪物だろうが妖怪だろうがどうでもいい、何にしろ目の前の『少女のような何か』が只者でないのは確かなのだから。だとしても、顔を気味悪く整形してもおかしくないというのに一切剣に怯まないというのはどうなのだろう……。

「まあでも___あんなぼんくら共じゃ、か弱い女の子一人“連れてく”のもやっとだろうし。ねぇ頭使って考えてんだ、背面攻撃ぐらいは許してやりな。」

 あんたに言っても無駄だろうけど___魔力をふんだんに使って行われる連続攻撃を横目に呟く。天使の群れは断末魔の声を出すことすら許されず、実に惨たらしい姿を晒してみせた。先程弾幕の代わりにこの一撃を放たれていたら……想像したくもない。冷や汗が頬を伝う。塩混じりの液体は傷口によく染みるものだ。

「無関係、ね。となると、益々わからなくなってきたな……あんたのことも、この化物共のことも。さて、俺もそろそろ出番かな。」

 想定より奴らの数が多い。先程の弾幕でお仲間がギッタギタにされたのも拍車を掛けていると見える。だが、今の自分には心強すぎる『仲間』がいるのだ、つまり___言わずとも、結果は明瞭。

「ルーミア、成る程、いい名だな。俺は……ジョン・ドゥってのも締まりが無いか。モーニングスター《明けの明星》、そう名乗っている。」

 明けの明星。奴ら天使が見えてから名乗り始めた名だ。“俺を天へ召してみろ 神にでも叛逆してやるから” そう挑発する為に。だが、幾ら強がってみたって所詮は人間だ。口惜しいが奴らに人の独力で敵うことは決してあるまい。

 なら、力を得れば良いだけのことではないか。

 手元の刀を空間に棄てる。消え去った剣に代わって現れるのは一振りの短刀。【グラディウス】の名を持つ剣だ。続いて、左手の中にも現れる。三本目が空に現れ、四本目も召喚され___一瞬にして男を囲むように十数本のグラディウスが空へと浮かび上がった。珍妙な光景を前に天使達も硬直して動けない。
 一発、豆の様なエネルギーの塊が天使をよろめかせた。間髪入れずに二、三発が叩き込まれる。天使が己が死を認知するよりも速く、弾丸の豪雨が放たれ始めた。

「【グラディウス】違いだったかね……ま、気にしなさんな。ルーミア、あんたの背後は俺に任せろや!」

 グラディウスの先端から放たれる特徴的な弾丸の数々……“美しさ”というよりかは“機能性”を重視した弾幕には、天使の通れる抜け道など在り得ない。人と妖怪による、天使の蹂躙が開始された__。

「んー……なんかバリアみたいなの張ってるのが居るな……。気持ち悪ぃ造形だな、オイ。周りのちっこいのごとぶっ壊してやれや!」

 今までの天使とは違う姿のものも混じっているようだ。楽しい激戦になりそうな気しかしない。

2年前 No.39

半竜クロウ・クルワッハ @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_Gtr

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2年前 No.40

当て無き人探し @izuma☆VNvX9naPtFo ★HhCfmmMzXU_iCW

【アメリカ合衆国某州/掃き溜めの酒場/ニック・バレンタイン】


「聞いただけの第一印象としては可憐な姫君と言うより手管多きふくよかなお妃様と言ったトコか――そうかね?そういう“有り得ない”事がまかり通ってる方がこの実に混沌とした世の中らしいが」

自由意志を持って私立探偵なんてやってるセラミックと合金製のヒトガタがまさにソレなのだから方向性が違うモノでも馬鹿げているとは思わないし、どこぞの誰かが提唱していた虚構存在論とかいう奴をどちらかと言えば支持している手合いでね。なんて事を冗談めかして口にしながら…

「ふははっそもそもおれがまともな人間に見えるのか?――成る程、生憎特定の神様にどうこうって訳じゃないんでね。この身体にガタが来てスクラップになった後の楽しみが増えた様なものさ、イイコトを聞いた。」

目に見て感じられ、実感出来るソレ(地獄)とはまた違うモノ(地獄)を――機械の身に封じ込められた(思念)から生じ、自己発展を続ける(自由意志)の塊は知っている。行き着く先が確約されているのならば煉獄だろうが地獄だろうが構うまい。―彼が本当に恐れ、そして忌々しく思っているモノ(地獄)とは、当の昔からその思考回路の中を巣食っている…得られない答えと、底無しの疑問の蓄積層、自我とプログラムの境目を行ったり来たりしている確固たる自信の無いモノ。消えるか消えないかの狭間で永久に解けぬソレに悶々としている事こそが…今のこの(人造探偵)にとって一番の悩みの種と言える。

―彼にとっての(地獄)は常に頭の中に在る。

ギィン!

「…確かに神父が卒倒しそうな見た目だ。」

硬質な金属の衝突音――(天使)と呼ばれている異形の棹状武器による重い一撃を左掌を前に出す形で防ぎつつ、右手で引き抜いたコルト製の38口径スナブノーズ・リボルバー(ディテクティブスペシャル)を腰溜めで速射する。(着弾部位)のポイントから撃ち抜きまで数秒も掛からなかっただろう。だが如何せんパンチ力に欠ける小型拳銃のソレだけでは心許なく、(同じ箇所)に5発撃ち込んで姿勢を崩した(天使)に馬乗りになる形で床面に押し付けて、其処からコートから取り出し、引き伸ばした異様な改造が施されたスレッジハンマーを振り被って、殆ど床ごと貫通する様な超重量級の一撃で手早く確実に無力化する。件のローズマリーの強烈な匂いのする返り血やら肉片やらを浴びながらも、取り敢えず人造探偵は(天使)を撃って鈍器で粉砕するというシンプルな対処を取った訳である。

――あの仮面な彼(彼女)に関しては、ほぼ(目視)出来ない鬨の合間に異形(天使)の群れを派手に飛散させて、―レトロなゲームの小気味いいBGMが妙に合う様な立ち回りで鏖殺してみせていた。

「修繕代はこの連絡先でツケといてくれ」

と懐から取り出した容姿を手にカウンターへ声を掛けたが、現状それどころでは無いのは間違いなく…当然返って来る返事も無い。

あの白を基調にした容姿の衰弱した様な状態であった青年も刃物を手に慣れた手捌きで異形を屠って行った。一方で羽交い絞めにされていた眼鏡の彼(カエルム)は彼で二名の攻撃にて拘束から逃れたと同時に速やかにその場から退いて行った。何かしら訳ありなのだろう。元々訳が無い人間やら人間以外ばかりが此処に詰めていたのだから…

排莢しつつスピードローダーでリボルバーに弾薬を再装填し――この場の戦況的に此方から手を出さずとも蹴りがつくと判断した人造探偵は、まだ無事な
椅子の一つに腰掛けて、キャメルに火を点け一服と洒落込む。


≫白血球、オーネット・ブラッドレイ

【返信が遅れがちで申し訳ないです】

2年前 No.41

洗濯板の蟻 @sentakuari ★pl3L5xkSi4_dbt

【アメリカ合衆国某州/ゲイツオブヘル近辺/ルーミア】

「妖怪ね、うん。それならまぁいいかな。あの程度なら通常弾幕で十分戦えるし、あたしが前棲んでた場所の人達に比べたらあんなの野良妖精とおんなじよ。」

数推しには数推し。ルーミアの掌からコールタールの様な闇が滴り落ちた。


ヴォンッ!


横薙ぎに振るった手から飛んだ雫はその先に居た天使共の顔と思しき部分に当たって弾け、文字通り黒く塗り潰した。


ビチッ、ベションッ!


「やっぱりあんまり美味しくはないわね。」

『明けの明星(モーニングスター)』と名乗った男は無数の剣を召喚し一騎当千の立ち振る舞い。

「面白い手品ねそれ。あたしそれと同じような手品を使う奴を知ってるわ。」

円形に弾幕を重ね散らしながらルーミアは彼の紅い屋敷の瀟洒な従者を思い出す。
彼奴も何処からともなくナイフを取り出しては投げてきたっけ。


『んー……なんかバリアみたいなの張ってるのが居るな……。気持ち悪ぃ造形だな、オイ。周りのちっこいのごとぶっ壊してやれや!』


背後から聞こえる男の声。

「数が少ないからあまり使いたくないんだけど、また作れば良いか。」

ルーミアは何処からともなく一枚のカードを取り出す。
それには黒地に蒼い魔法陣と奇怪な文様が刻み込まれていた。

このスペルならあのバリアの様な物をぶっ潰すには丁度良いだろう。



___月符「ムーンライトレイ」___



ルーミアが高らかにスペルカード発動宣言をしたと同時にカードは滲み出てきた闇の中に融け消え、代わりに蒼い光が広げた両手に宿る。更に胸元から同心状に青白い光弾が撃ち出された。

そして放たれた二条のレーザー。広げた両手から一本ずつ直線状に繰り出されたそれはルーミアの手の動きに連動しながら、周囲の壁を削り飛ばしつつバリアを張っている天使の左右を挟み込むように移動してくる。


ギャガガガガガガッ!


レーザーとバリアが拮抗する。まるで石を断ち切ろうとする鋏の様に。
が、それも数秒して打ち砕かれた。

「普段は閉じないんだけど、この際良いかな?」

ぱちん、とルーミアが手を合わせた瞬間、レーザーの鋏はバリアの石を断ち切った。
それは余りにあっけ無く。更に攻撃は続く。
崩れ落ちた天使の元へ着地したルーミアは今一度地面を蹴り、宙に浮く。
そして再び広げて放たれたレーザー。

「近くに居ると危ないから三次元的に避けてね。」

空を踏みしめくるくると踊る様に廻るルーミア。胸元から発せられる弾幕が腕と連動したレーザーと共にバリアの周囲に居た小さい奴等を残らず穿ち尽くし、叩き圧し、挟み潰し、一掃せしめる。絢爛舞踏は数十秒続き、そこでやっとスペルの効果が終わったらしい。

「ふう、コレで何とかなったかな?まだ何とかなってないかな?そっちはどうなの?」

両手を広げた逆さまの状態で宙に浮かぶルーミア。
その髪や服は重力の影響を受けていない様だ。


>>モーニングスター、周辺ALL

2年前 No.42

時空の外にいる者 @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 アメリカ合衆国某州/ゲイツオブヘル近辺 】


 収束と発散、原因と結果が織りなす規則――――万人の間の認識の内に流れる一方行の時間――――から、私の時間はあの時の失態によって排除された。私は自分ではどうしようもならない混沌の中を漂いながら、その抜け道を探し続ける、謂わば救いを求める亡霊のごとき存在。
 残る自我は辛うじて私を認識し私を存在たらしめている。だから私は自分は生きていると言うだろうが、彼等の生きる世界とは全く異なる時間(の流れ)を持った私は彼等の認識の中では生を超越した永遠の命を持つ存在ということとなるのだろう。だが彼等の思う“永遠”の概念は彼等の時間認識(原因と結果の連続性)が語るもので、規則のない世界(不確定要素が存在しない確定要素だけで作られた幾つもの事象の狭間)に閉じ込められた私からしてみれば何とも無意味で虚しい単語だと思えてきて仕方がない。
 当然のことながら、あらゆる原因と結果を眺め、始まりと終わりを眺めてきた私でも自分自身の終わりは把握できないため実際に不死であるのかだって断定出来ないのだ。分からないが、確定要素しか存在しない事実は私という存在はこうなることが定めであったのだと暗に示唆しているようにも思えてならない。
 その仮説が事実であるとすれば、“彼”とて私自身でありながら、また別の確定要素に他ならず“彼”の運命(私の過去)を変えるように働いたところで私自身に何かが起こるわけでも無いのかもしれない。つまり私が因果に手を加えたとしても変えたという感覚は思い込みであり、実際はそれによって私が知らぬ間に別の事象軸に飛ばされているということとなる。私は“彼”でありながら絶対“彼”にはなれず、傍観者という立場からは逃れられない。
 それでも私が希望を抱けるのは、全知全能なる神でもない、一人間の私が編み出す推測など正確さにかけると思っているからだ。私が考えること全てが真実ではないと知っているからだ。それ故に私は尚も、救いを求め運命を変えようと働き続けている。それが偶然の出会いであろうと関係ない。
 天使達を屠る特別な能力を有する青年と少女を見つけたが、彼らの存在によって“彼の未来”が変わる可能性を感じるのであれば彼らを導かずにいるのは損というものであろう――――そもそもかの天使達が襲い掛かる存在であればある意味運命ともいえるかもしれない。
 尤も物理的な干渉が不可能な私は彼らと共に天使を倒すことはかなわないため、彼らが天使を全て倒し終わるまで待ち続けておく必要があった。だがなるべく早く『二人をヴィグリッドへと導かなければならない』。

「………………」

 そうして二人の周りが静かになったとき、影の中から足音など一切無く私は姿を現したのである。この世に実体として存在しない私の身体はその向こうを見通せるほどに透明で、そこに僅か色を帯びているだけだ。
 ブロンドに近いライトブラウンの髪に、それと同じ色の双眸。とはいえ目許はそれを覆うような眼鏡をしているため相手からは見えない。そして纏うのは金の装飾が施された純白の長衣にマント。胸元の懐中時計が淡い金色に輝く。かつて私が普通の時間の中を生きる人間であった頃の記憶(姿)である。

「天界の者達と戦えるようだな……。理性を持っているとは思えない醜悪な怪物だと思っているだろうが、彼等とて無意味に人間界の者を襲うような行為はしない。彼らはある目的のため、ある意思のもと行動する。お前達を襲ったのにも理由があるのだろう…………」
 そういって青年と少女に話しかけるが果たして彼らが私の声が聞こえるかは定かではない。常人には声はおろか私の姿さえ見えないのだから。



>モーニングスター

>ルーミア

>周辺All

【モーニング氏とルーミア氏がヴィグリッドへと行くきっかけが見つかるかどうか不明な点がありましたので、取り敢えず時空のオッサン(自称ホズル)を投下してきっかけ作り的な感じにしてみました。でも突然現れたどう考えても普通じゃない奴なため直接的なきっかけじゃなくても全然構いません。それと当レスの大半を占めるオッサンの独り言はスルーしてもおkなやつです】

2年前 No.43

選ばれし《人の子》 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=TpscyKo1Hz

【アメリカ合衆国某州/ゲイツオブヘル近辺/モーニングスター】

「不味いな……あれが盾になってるのが厄介だ……。ゲームじゃ周りのちっこいの撃ち墜としたら解除、って寸法でいけるんだけどな……ん?マジでそうか!?」

男は知らないが、敵対者の名は『ディア&デコレイションズ』。よくあるゲームと同じように周りの“支援衛星”を吹き飛ばすことでバリアは解除されるのだ。男は直感を頼りに弱点を探り当て、精密かつ大胆な一斉射撃を開始した。少々戸惑った様子の天使達を爆発四散させつつも、男は考えを巡らせる。
 展開されたバリアに隠れて“獲物”が疲弊するのを待つ天使。盾を破壊された今の戸惑い方。確実に此方を屠る為の連携だとしか思えない。明らかに“合理的”な選択だ。でも、それじゃあ何故俺らを___

 男の思考回路は、ここで一旦途切れることとなる。

「おい、ちょっと待てや!俺まで巻き込ま__よっと! ったく、どいつもこいつも! んでお前は逃げんな!」

 妖怪と呼ばれることを承諾した少女、ルーミアから警告が放たれる同時に、実体無き魔力の奔流が自分を包み込んだ。全身が粟立つ感覚を感じた瞬間、動物的な本能であろうか、既にグラディウスの一、二本は足下に滑り込んでいた。『三次元的に避けろ』って言われても、ナチュラルに人は飛べねぇ!__そうは言いたかったが、攻撃の合図がある以上は耳元で叫ぼうが響くまい。視界の端に移り込んだ姿を見るに“彼女は飛べる”みたいだし。
 決めるが速いか、すぐに足下のグラディウスを宙へと浮遊させ、高速に遥か上空へと離脱した。恐らく眼下の惨劇から逃げ遅れたのであろう、欠損部位のある天使を浄化させつつ。

 どれ程の時が経ったのだろうか。何十分、何分間、もしかすると一分にも満たぬ時だったのかもしれない。悪党どもの住処に大き過ぎる爪痕を残しながらも、天使は皆消し去られたようだった。上空でグラディウスの実体化を解除し、華麗に着地を決め込みながら応える。

「あー……“何とかなった”にはなったけど、多分ここら辺じゃもう湧かない。警戒態勢は解除しても良さそうだな。」

 男は“誰かさんに破壊された”路地を眺めつつも「危険分子は居るけど」……聞こえぬよう小声で呟いた。明日頃にはきっと《大規模な乱闘事件があった》とでも報道されるのだろう。取り敢えず、一年近く建てて築き上げた“『安住の地』でのんびり暮らすという”ビジョンが儚く崩れ去ったのは間違い無い。さて、新天地でも夢見て一服でもしようか……?

「って調子のいいこと言っといて何だが、悪い。俺の幻覚かなんかなら良いんだが……『なんか居る』ように見えるのは、俺だけか?」

 ポケットからタバコを取り出そうと躍起になっていた右手が、空の一点を指し示して止まった。その先に何かあるのかといえば、“誰も居ない”唯の虚しい街並みが続くばかり。けれども、男には『見えていた』。見えちゃいけない類いのものとかではなく、確かにハッキリと___否、ぼんやりとだが、それでも輪郭を持った男が見えているのだ。

「幻聴まで聴こえてきたか……。そろそろ俺も“潮時”なのかねぇ? そうじゃないことを祈りたいような、喜ばしいことってんで賛美歌の一つでも歌いながら“上げられたい”ような……。ま、んなことどうでもいっか。ん、いいのか?」

 戯けた様子で明後日の方向へと問い掛ける男。とはいえ、男の中では既に結論は出ていた。今のは確実に幻聴ではないし、お迎えが来るには早過ぎるだろう。口振りからして天使でもないだろうし__第三勢力というヤツだろうか? そもそも何者なんだ……。

「仮に幻聴じゃないとして……奴らにまともな理性があるってのはさっき感じた。正直天使とやらに襲われる心当たりも無いわけじゃない。でも、そういうアンタは一体誰だ? こいつら天使について何を知ってる? 悪いが俺は早いとこ『新天地』を探しに行きたいんだけどね。」

>>ルーミア、“時の傍観者”、周辺ALL

【安住の地すら喪った金欠気味の星野郎。何処に行く気なんでしょうね……】

2年前 No.44

洗濯板の蟻 @sentakuari ★pl3L5xkSi4_dbt

【アメリカ合衆国某州/ゲイツオブヘル近辺/ルーミア】


「変な奴とかお化けとかの類だったら、たまんないわ。」


目に見えざる何者かの声に反応し、きょときょとと周囲を見渡すルーミア。

「其処に何も無いって事象は在るし、実際誰かが居るのよね。気配はあるし匂いもするし。」

その目が路地裏の一点を捉え、注視される。明らかに気配の根源を察知している様だ。

「無色透明な物ほど色鮮やかに映え写るものよ、見えない人間さん。たぶんあたしが人間じゃないから。」

多分もう一人の人間…モーニングスターも厳密的な意味での純人間じゃないだろう。
天使とか言う奴らの行動理念は判らないがある一定の法則に基づいて行動しているのは確かだ。

両手を広げた逆さまのままでくるくる回るルーミア。回転する逆十字は天使を掃討した証だ。
最早周囲一帯にこれ以上自分たちに構ってくる輩は居ないだろう。
体の具合もさっき天使を齧った分で腹八分目ぐらいが丁度良い。

「見えない人間さんが見える人間さんを見ている見えない人間さんって、なんかあたまがぐるぐるするわよね。こういうのテツガクテキとか言うんでしょ?」

一拍置き。

「で、まさか何もしないで消えるわけじゃないでしょ?あたし達に声をかけたのならそれなりに理由があるものよ。……で、何か用かい?」


>>モーニングスターs、自称ホズルs、周辺ALL

2年前 No.45

時空の外にいる者 @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 アメリカ合衆国某州/ゲイツオブヘル近辺 】


「私が見えるようだな」
 声を掛けた相手は戸惑いながらも、最終的には私のいる場所にその四つの目を向けていた。反応からしてはっきりとは見えてはいないのだろうが、彼等は見える部類の者で間違いはなく、久し振りに他者と意思を疎通できる喜びに私も柔らかい表情を向ける。
 青年の方は幻聴が聞こえだしたのかと私の存在を否定するも、彼の感覚は私というものを捉えそれが事実である可能性をゼロに至らしめることは無いに違いない。そして少女の方も自身が人間でないことを明らかにしながら、私を“見えない人間さん”と独特な呼び方をして返してきた。

「私を人間と呼んだのはお前が初めてだ。確かに私はかつて人間であったが、今ではそう呼んでいいのかわからない。少なくとも一般的な人間の定義から、私は除外されることとはなるだろうが」
 少女の問い掛けに答えながら自嘲気味に、自身が人間であるなどと答えてよいのだろうかと微かに笑みを浮かべる。
「互いに見る見られるの関係になるときは互いに認識していることであると同時に、その空間と時間の同調を成し遂げられたことでもある。私は本来お前たちとは異なる時間の中で生きているが、必ず一定期間は同調する。だからこうして現実時間でお前達を見ることができ、こうして会話をすることが可能となるんだ」
 哲学好きと思われる相手がどの様な返答を待っていたかは別として、私は青年の私が何であるのかに対する返答も兼ね、彼らにありのままの事実を告げた。だが私にとって重要なことは次の質問にある。

『――で、まさか何もしないで消えるわけじゃないでしょ?あたし達に声をかけたのならそれなりに理由があるものよ。……で、何か用かい?』
 そう話しかけたのには理由があり、何もしないで消えてしまうわけには行かなかった。ただその前に、この世界の構造、世界の目、天使が何であるのかも伝えることとした。当然彼らの目的も――――
「お前達にはまず知っておいて欲しいことがある。この世界の構造について、そして世界の目、天使達とその目的について――――。信じがたい内容かもしれないがお前達に関わることだ。知っておいて損はない……」
 そこまで前置きとして述べれば、私は空中に大きな円の映像を見せた。原初の世界を表したものだ。
「かつて世界は神ジュベレウスを頂点とした一つの世界であった。だが、その統一世界は儚くも終焉を迎える。ファーストハルマゲドンにより世界は三分割され、魔界、人間界、天界、その間を満たすプルガトリオが誕生、同時に神は天界へと追われそこで眠りについた……。それが今の世界の姿だ」
 円を三分にしながら説明した後、一旦間をおけば世界の目に関して話し始める。
「――――そして世界の目に関して……。人間界には“闇の左目”、“光の右目”と呼ばれる世界の目が存在し、それぞれアンブラの魔女とルーメンの賢者が継承し彼らが歴史の観測者として世を見守ってきた。互いに不干渉の掟を守り光と闇の均衡を守ってきた彼らだが、ある日その禁が破かれ争いあい、ついには歴史から姿を消す。その裏には天界の天使達の存在もあった……三界統一に主神ジュベレウスの復活の為、世界の目を手に入れるために両者を破滅へと追い込んだ……。その天使達と結託し自らの野望を実現しようとしている者がバルドルという男。光の右目の継承者であり現代のルーメンの賢者最後の生き残り……。危険な男だ……」
 悪なるエーシルに染められ、彼は人間でありながら奴の意思を継ぐものとなってしまったのだろう。かつてはその実力を認められ人格者であった彼の面影はすでになく、私は複雑な気持ちを抱いていた。
「お前達はバルドルか、或いは天使達に不穏因子として目を付けられたのだろう。天界は最早人間の味方などではない。ましてや魔界、闇のものには容赦はしない」
 その時闇の力を持つ少女を見やった。この少女は悪魔や魔女ではないとはいえ、天使達からしてみれば邪魔な存在に違いない。
「――――その事を解決するまでお前達に一生安穏な生活など見込めはしないだろう。――――――ヴィグリッドへ向かえ。そこに真実がある」


>ルーミア

>モーニングスター

2年前 No.46

選ばれし《人の子》 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=XbRyushHAo

【アメリカ合衆国某州/ゲイツオブヘル近辺/モーニングスター】

 すぐ側の妖怪も何かを察知したようだ。これで幻聴という可能性は潰えた。改めて男は先程何かを見たポイントまで移動する。やはりと言うべきか、謎の存在は動くことなく此方を眺めていた。再び開かれた口に、腕を組み直しながら耳を傾けた。

「あー……今の説明で分かったのは、あんたが“俺たち”みたいな存在だってことだけかな……。説明下手って言われない?」

 敢えて皮肉と自虐を織り交ぜて返す。ここで言う“俺たち”というのは、人ならざる者__“人外”の事を指している。見てくれは人間と同種であっても、真の意味で人とは相容れぬ存在だ。頭の何処かでは必死に否定しているけども、男は目の前の“見えない人間”に親近感も感じていた。皮肉が咄嗟に出たのも細やかな抵抗だろうか……言ってみてから、彼は少し苦笑した。
 さて、目の前の“存在”は妖怪の方の質問にも答えるつもりのようだ。意味深な言葉と共に、“存在”は空間へと円形のホログラムを投影した。この世界の成り立ちと、ジュペレウスなる神への残酷な処遇、そして『とある目』に関する話。魔女と賢者という如何にも物語の動き出しそうな響きのある組み合わせ。天使と名乗るには随分と“ご立派な活躍”や、これまた名に似合わぬ賢者の“崇高な契約”……一度に聞くには少々頭痛のする構図が次々と飛び込んでくる。本当に説明下手なのではないかと疑ってしまう程に、あまりに突飛な内容だった。

「《天使は秩序を齎す者なり》ってのは本当だったのか……。そりゃ目障りだよなぁ、俺たちは。闇に染まるわ仲間を殺すわ、黄泉の淵から蘇るわ。主神様の秩序とは対偶に位置してるときたもんだ。」

 天罰が怖くて昼も眠れねえ___わざとらしく肩を竦めながら応える。態度からも分かるだろうが、全てを本気で聞いている訳ではない。何も無しにいきなり信じろというには、この話は奇抜過ぎるのだ。与えられた【記憶】にも〔聞くことを皆鵜呑みにしてしまえば、行き着く先に待つのは滅びだ〕とある通りだ。
 とはいえ、全く以て信じてないかと言えばそれも違う。今までだって天使からの襲撃は度々遭ったし、今日は妖怪と目の前の“存在”に遭遇した。そもそも自分が【宝玉】を宿して能力を行使すること自体、突拍子な現実というものだ。全く信じないという方が無理がある。
 何処までを信じておくべきか? 他に知るべきことがあるか? ……尽きぬ男の疑問を、一つの単語が一瞬で駆逐する。

「『ヴィグリッド』?今、お前ヴィグリッドに向かえって言ったよな?」

 男の両の目が見開かれ、“存在”の方向に再び視線を揃えた。ヴィグリッドといえば、前々からイザヴェルグループの抱えているモノを頂戴しようと海を渡ることを考えていた場所だ。今さっきの惨劇によって住めなくなるであろうこの地を棄てた時、真っ先に移り住もうと考えた場所でもある。今この言葉を受け入れたなら、二重で目的を果たすことが出来る。全ては仮定の上に成り立つ話だが、崩れる事を恐れては何事も成すことは出来るまい。男は決意を固めたうえで“存在”の方へと一歩歩み寄った。

「其処が関わってくるんなら、俺はすぐにでも向かう。安穏な生活なんか得られなくたってな。詳しいことは後で……んで、俺は独力で行かなきゃ駄目か?不思議パワーとかで飛ばしてくれたりする?」

飽くまで冷静に問い掛ける。早口になってなどいない。そう、決して。

>>ルーミア、“時の観測者”

2年前 No.47

時空の外にいる者 @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 アメリカ合衆国某州/ゲイツオブヘル近辺 】


 あんたが俺達みたいな存在ってことだけかな。――そう皮肉混じりに言う青年であったが、苦笑するその顔は自嘲しているようにも感じられる。私と同様に生物学的或いは社会的に人類という枠から外れてしまった己のことを。
 それは最初から“人ならざる者”である少女にはわからない気持ちであるだろうが、かつて人間であった私にとっては他人事ではない感覚だ。
「長い間、他者と関わることが叶わなかったためだろう。……私は私の中で考え、問い、答えることを選ばざるを得なかった」
 思わず彼の皮肉に対し自嘲気味に答える。

「――信じられないのも無理はない。だが事実は事実だ。あの天使達、そして500年の眠りから目覚めた闇の左目の継承者の女、女を導く何か……全てが関係しあい既に事態は動き出している」
 説明下手であると評されたばかりであったものの、だからといって用も済ませず消えるわけにはいかなかった。突拍子もない内容で最初から信じてはくれないということは想像しつつ説明したが、相手の態度は案の定といった反応である。
 だが“ヴィグリッド”という地名を出したとき、手に取るように彼の様子が先程とは明らかに変わったことがわかった。何かしらこの地に縁でもあったのだろう。明らかに違うその眼差しで彼は一歩私に近づき“俺はすぐにでも向かう”と確かな覚悟を持って言い切ったのである。

「独力でいってくれ。生憎人ならざる者であるとはいえ、私にはお前達のように力がない。だから交通機関を使って唯一ヴィグリッドと繋がっている鉄道に乗る必要があるが、そこでは特別通行許可証がなければ街に入ることは許されない……」
 復活祭を前にしたためか、イザヴェルグループの周囲は厳重体制がひかれており、人の出入りは制限及び管理がなされているという。通行許可証を手に入れるにしても面倒な手続きや費用は当然のこと、前々から予約しておかなければ今日中に手にはいるなどということは不可能でしかない。楽な方法があるとすればただ一つ――――
「プルガトリオに入れるのなら別だが」
 天使達が人間界と接触するために使用する狭間の空間プルガトリオ。そこは人間界と瓜二つでありながら異なる次元だ。天使と戦えた彼等にはプルガトリオへと侵入する素質はあるのだろうが、方法がわからなければ無意味である。私が人間であればすぐにでも彼らをプルガトリオへと送れたのだろうが、今はそれはできず歯痒い。ならばと、一人思い当たる者の名前を彼らに告げることとした。

「――――“little devils”という探偵事務所にオーネット・ブラッドレイという探偵がいる。彼は数少ないアンブラの魔女の生き残りだ。何かしら助けになってくれるだろう」
 オーネット。彼は私にとって特別な存在である。二人の助けになるということは事実だ。だが同時にこれから待ち受ける彼の運命を思い、彼自身の助けになるだろうと2人を彼に引き合わせることにしたのである。うまくことが進むのかわからないが、何もしないよりかは良かった。
「あまり時間はない。急ぎなさい……」
 そう言って私は彼らの前から消えた。正確に言えば時空と空間の同調が終わってしまったらしい。此ばかりはどうすることも出来ないのだ。ただ彼等をヴィグリッドへと向かわせることは果たせるかもしれない。


>モーニングスター

>ルーミア

>(オーネット)

2年前 No.48

洗濯板の蟻 @sentakuari ★pl3L5xkSi4_dbt

【アメリカ合衆国某州/ゲイツオブヘル近辺/ルーミア】

「Lumen(ルーメン:光)の賢者?なんか親近感を感じるわね。あたしの知ってる奴等に魔女も賢者もいるけどそいつ等とは関係無さそう。」

くるり、と逆位置から正位置にひっくり返って着地し、物珍し気に宙に浮かぶホログラムを見ながら言うルーミア。

「ともかく物凄くややこしくて難しい厄介ごとに巻き込まれて、物凄くへんな奴等に目を付けられちゃったって事なのね。あたしは特に行く所も無いし巻き込まれてあげてもいいけど。」

タダでさえこの世界が初めて見聞きする物ばかりなのにその上更に天使だのプルガトリオだのと言った込み入った事象が介入して来るとなると物臭なルーミアの頭では処理しきれない。なので単純に、人を探してヴィグリッドだかプルガトリオだかに行って天使を張り斃す、食べれる奴が居たら食べる。
そう考える事にした。

「……人間さん、見えない人間さんに言われた場所まで行ける?あたしこっちの世界の土地勘とか殆どないのだけど。」

ふわりと踵を返し、にこやかな表情で側のモーニングスターに問うルーミア。



>>モーニングスター

2年前 No.49

ベヨネッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

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2年前 No.50

選ばれし《人の子》 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=2CAZi2gOjO

【何故かサブ記事に別キャラのHNが出没するミス】

【アメリカ合衆国某州/ゲイツオブヘル近辺→“掃き溜め”Little Devils/モーニングスター】

「何だよ……戸籍も金もねーから行こうってんのに、侵入の時点でどっちも必須ときたか……。馬鹿みたいだぜ、ホント。糠喜びってやつ? いや、喜び勇んでって訳でもなかったし……。」

 またもあからさまにテンションが下がる男。理想と現実が違うというのはよくあることだが、入国さえもまともに出来ないとは考えもしていなかった。主神の復活に備えているとでもいうのだろうか。だとしたら必ず天使も待ち構えている筈だ。“誰にも悟られず”なんてことも出来そうにない。男は失意に頭を項垂れた。
 だが、一つの扉が閉まればもう一方の扉が開くというのが道理というもの。

「“little devils”……知ってるぞ、その探偵事務所! 何でも風変わり“過ぎる”探偵が事件を解決したりしなかったりする場所らしい、って聞いたことがある。そこに行けば連れてってくれんのか!?」

 結構な勢いで頭も振り上げて叫ぶように問い質す。白み始めた空の下に男の声が反響した。探偵事務所に関しての情報はツッコミどころ満載なのだがこの際どうでもいい。先程の説明にもあった、プルガトリオ。とにかく人間界と異なる世界に入り込むことが出来れば、天使以外には感知されることもなく侵入できるらしい。一種の通行手形とも考えられる。それを胡散臭い探偵さんとやらが授けてくれるというのは文字通り“有難い”話だ。
 本当ならばもっと詳細を聞いてから発ちたかったが、“存在”はヒントだけを残して“無”へと帰してしまった。右手を軽く挙げて別れの挨拶代わりにした後、『巻き込まれてもいい』と言い放った妖怪の方へと首を向ける。

「確かにややこしくて厄介なモンだけど、アンタほどの強者が居てくれりゃこっちもやり易い。ん、“ただの女の子”に強者なんて言うのは無粋だったか? ま、そんなこと後で考えるとして……探偵事務所の場所は大体分かる。普段は余り行かない“曰く付き”の場所にあるのがネックかな。奥さんの浮気調査には向かないね。」

 此方は小意地悪そうに右口角を吊り上げて語る。勿論これは信頼と親近感故の言動だ。その証拠に、茶に戻った目には温かみも内包した微笑みが浮かんでいる。「来るなら来い、案内してやる」__そうとだけ言葉を残し、男は裏路地の出口へとゆっくりとした歩調で歩き出した。


      ―――黎明の時は、刻一刻と迫る―――


__さて、男が辿り着いたのはとある事務所。旦那様の浮気までは調査してくれそうにない“little devils”である。名と風貌からして、歴とした会社では無さそうだ。恐らく自営業……それも法の秩序が護られているかも怪しい事業。そもそもまともな解釈にしては立地がおかしい。先程“奥様には向かない”と揶揄したのはその点だ。此処に来るまでの過程で既に数人伸した時点でお察しだったが。

「……で、どうしてこういう時に限って重要人物は居ないのかねぇ……」

 だが、生憎オーネットという探偵もとい魔女は空席のようだった。少々寒気も感じるこの場で目にしたものは、ハエが二匹と猫的な何かが一匹、“入った時は居なかった気がする”、デスク脇の洒落た椅子に腰掛けた人形が一体。中でも人形は遠くから見ても非常に凝った作りになっている。今にも動き出してしまいそうな程だ。独特な服装や備品からも魔女であるという主の嗜好が窺い知れる。とはいえ、探偵事務所の、それも自らが座るであろう椅子に代役を置いているとはどういうつもりなのだろうか……?

「探偵には部外者に語る口も目もありませんってか。“いいセンス”だぜ、全く。」

 どうせ帰ってくるまで待つんだ、少し見物させてもらおう__そう思い、人形の椅子の側へと近寄った。しかし、本当に精巧な作りだ。どれ、少し手に取って見てみようか。
 男は何も知らぬまま、人形へと右腕を伸ばし_____

>>オーネット、ルーミア

 (“時の観測者”)

2年前 No.51

§一章§ @makita ★Android=QP7DgXg77L

 ブラックマーケットに《闇の左目―レフトアイ》の双子の片割れ、《光の右目―ライトアイ》が競売にかけられたという情報を掴んだアンブラの魔女の生き残りベヨネッタ。
 そして彼女を取り巻く“運命”を背負いし者達。

 それぞれの運命は絡み合い、彼等は全てが始まった地、ヨーロッパの辺境ヴィグリッドへ――――――――。

2年前 No.52

Umbra Warlock @libragreen ★iPhone=dSf10vz9SF

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2年前 No.53

洗濯板の蟻 @sentakuari ★pl3L5xkSi4_dbt

【アメリカ合衆国某州/ゲイツオブヘル近辺→“掃き溜め”Little Devils/ルーミア】


「随分ヒトを喰った様な言い方ね。まぁいいけど。その『Little Devils(小悪魔)』って紅い御屋敷みたいな場所だったりしない?」

案内してやるから来るなら来い、と言ったモーニングスターの後ろをいかにも子供めいた足取りでトコトコと着いて行くルーミア。

道中如何にも胡散臭い連中や破落戸共の相手をした後、どうせならと指の一本や二本は食っていきたいなと考えたところで目立つだけなので、闇に紛れてこっそり失敬した。
また、こういう場所に居る輩にはルーミアの様な幼気な少女を弄ぶ事に悦びを見出すような輩も居る。尤もそんな輩にもこっそり弾幕をくれてやったが。

「此処が小悪魔の事務所?やっぱり真っ赤じゃないのね。期待しなくてよかった。」

モーニングスターと共に事務所の中に入ったルーミアは、周囲に蔓延る淀んだ気の流れをなぞる様に周囲を見渡した。

ねこがいる。そして精巧な作りの人形、の様な何か。
あの人形遣いが見たら卒倒しそうだな、などと考えながら、ルーミアは人形に近づくモーニングスターに声を掛けた。

「人間さん、あんまり不用意にその辺の物に触らない方がいいと思うよ、なんかその人形さん変な感じだし……」

等と言い切る間もなく、果たしてその人形の様な何かが動き、喋る。

「凄い人形さんね、まるで生きてるみたいだわ。」

明らかに人形以上の存在を目の当たりにしてもルーミアは臆せず、まじまじとその動向を見詰める。

「あたし達、天使に会ったの。それでね、見えない人間さんに此処に行くよう言われて来たんだけど、うぃぐりっど?ぷるがとりお?って所についてちょっと聞きたいなって思って……そっちの人間さんがね。」

短絡的なのか面倒なのか、バッサリとそう言った後、後の事をモーニングスターに任せる。
ルーミア自身は付近で丸くなっている猫に興味を示した様子だ。
如何にも動物に触ろうとする子供めいた様相。

……舌なめずりしている事を除いては。


>>モーニングスター、オーネット

2年前 No.54

記憶を探す白い生き物 @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_Gtr

【 アメリカ合衆国某州/掃き溜めの酒場→“掃き溜め”Little Devils/記憶喪失の真っ白な青年(白血球)】

「はぁ…!はぁ…!」

息が切れる。体の動きが鈍る。衰弱した体で激闘しているのだから当然とも言えるだろう。
だが、いつの間にやら異形たちは姿を消していた。彼は安堵の表情と共にその場に崩れるように座り込んだ。
そう言えば、あの魔方陣を通ったことで自分の体には何が起こったのか…
彼はぼんやりとする頭を必死に回転させて考える。
自分には見えていたが、周囲の客はあの大乱闘が見えずに恐ろしい不可視の現象だと思って逃げていた。
もしかして、今の自分も通常の人間には見えない存在になっているのではないか…彼はそう考えをまとめた。

『…用事できちゃったから先に失礼しますかね。 ……あー…そういや白いお宅、巻き込んじゃってごめん。 そんじゃまたなアンドロの旦那!』

と、褐色肌の人物は彼に向かって緑の月桂樹型ドロップを投げ渡し、
紫の魔法陣を再び出現させてから、物が散らかりがらんどうと化した掃き溜めの酒場を急ぎ足で後にする。

「終わった…のか…?」

彼は壁を支えに立ち上がり、おぼつかない足取りで魔方陣へ向かい、魔方陣を潜る。
無事、元の世界に返った彼は瓦礫や埃が入り混じって
食べれるものではなくなってしまった自分のチェリーパイを見やり、
投げ渡された緑色のドロップへ視線を移し、そっと口に入れてみた。
正直言って、あまり美味しいとはいえない味だ。
だが、不思議なことに先程負傷したであろう背中などの痛みが和らいでいく感覚がした。
同時に、意識が薄れる。体中の力が抜ける。彼はその場に倒れこみ、そのまま意識を失った。



あれからどれほど時が経っただろうか。いや、厳密に言えば30分も経ってはいない。
しかし、激闘の末に意識を失った彼はまるで1日中その場で倒れていたような錯覚に陥った。

「夢……ではないみたいだな…。」

目を覚ませば閉店して客のいなくなった掃き溜めの酒場…なんてことはなく、
イスやテーブルが無残に転がり、そこらじゅうに穴が開いたり瓦礫が落ちている悲惨な状態の酒場のままだった。
彼は重い体に鞭を打って立ち上がるとそのまま店を後にし、現在宿泊しているモーテルへと去っていった。







――――――――――――――――――――



あくる日も、彼は己の記憶の手掛かりを探して街をうろついていた。
その時、ふと見上げたその先に探偵事務所の建物があった。“little devils”という名称のようだ。
もしかしたら…もしかしたら、記憶の手掛かりを探せる探偵かもしれない。
なにかの勘でそう思った彼は彼は事務所へと足を踏み入れた。
目の下にクマを作り、酒場の時よりも、明らかに憔悴した表情で。

中に入ってみれば、既に先客がいた。こげ茶色の頭髪をした血色の良い青年と、年幼そうな山吹色の髪の少女だ。
デスク脇には腰掛けた人形が一体。見覚えのある姿をしている。
そう、あの時酒場で見た中世的な褐色肌の人物…あの時、服の裾から見えた球体関節は見間違えではなかったのだ。
件の人形探偵が、何も知らぬまま手を伸ばそうとしていた男の右腕を、
自身の体に触れるより先に素早く掴んで顔を引き寄せる。

「あっ……遅かったか……。」

気安く触らない方が良い…と言おうとしたが手遅れだった。
彼は青年から要望を聞いている所長オーネット・ブラッドレイの姿を見て

「俺の要望は……そこの二人の後で良い。」

と告げてその場にしゃがみこむ。記憶探しで疲労が溜まっていることに加え、
昨日の惨劇の後、フラッシュバックのような悪夢を見て碌に眠れていないため、あまり体調がよろしいとはいえないのだ。

>オーネット モーニングスター ルーミア

2年前 No.55

カエルム @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 人間界/ヨーロッパ/ヴィグリッド駅舎前広場/(修道服で市民に変装) 】


 ヨーロッパの辺境ヴィグリッドの街を一般市民の質素な服装をした青年が歩く。唯一豪勢といえるのは彼の胸元につけられた太陽の形を模した金の懐中時計くらいだろうか。燦々とした光を反射するそれはみるものの目を惹いたものの、普段着の上から羽織るような、その簡素な修道服のフードを目深に被り、市民の間を歩く彼は一見すると他の者達とそう変わらない。
 けれど青年は此処の正当な市民ではなく、所謂“侵入者”である。近頃警戒が強まっているヴィグリッドにおいては数々の面倒な手続きや審査を終えなければ街に入ることさえ許されない。もし侵入などして見つかれば、武装した警備兵に捕らえられるか殺されるかするだろう。

 噴水の前で一旦立ち止まった青年はふと駅舎の方を振り返った。薄いブラウンの瞳が、その荘厳な雰囲気を持つ建物に向けられる。
 遠い昔――中世の時代、此処はルーメンの賢者達の修道施設であった。魔女狩りを経て闇への忌避と同時に光の世界ラグナへの憧れが強まったヴィグリッドでは、天界と通じる賢者達の存在は特別な存在だという。概にイザヴェルグループのある男はそのルーメンの賢者の末裔として人々から信仰のシンボルとして崇拝されているのだ。

「…………」

 青年は、観光でもしているかのようにしばらくその歴史的建造物を眺めた後、再び歩を進めた。

 だがその瞬間――――――
 彼の周りの景色は突然夜となり火災や人々の悲鳴が響く光景へと変貌したのだ。その景色を彼は知っているような、そんな気がしていた。何故ならこの景色は――――。
「あの夢の…………」
 白昼夢まで見るようになってしまったのかと思う反面、不安も湧き上がる。彼は何度もみるこの夢の内容を知っていたからだ。これが悪夢だということも。

《ゴホッ………………グヘェェエエエ……!!》

 突然吐き気を催した彼はその場にしゃがみこみ口元を手で押さえる。夢であるのにも関わらず、滑滑とした温もりのある何かが手のひらを満たし滴り落ちるのを感じ取る。そしてそっと口から離したとき、彼は得もいえぬ恐怖に苛まれた。
 白い手を濡らしていたのは、嘔吐物ではなく自分自身の赤々とした鮮血であったのだ。気付けば身体にも痛々しい傷があり、そこから血が噴き出しいつの間にか纏っている“立派な白い服”を汚していた。

「……!」

 そして、“紅い死神”が近付いてくるのを彼は察知したのだ。悪夢に登場する赤い服の誰か。何故か顔は思い出せないが、それが自分の命を狙っているということだけは分かっていた。あの死神から夢の中で何度逃げてきたことだろうか。

「私を殺すまで……お前は何処までも追いかけるようだな……!」

 “逃げなければ殺される”。その恐怖が重傷を負った青年を立たせ生存という一抹の希望を与える。彼は深い傷を負っているとは思えない勢いで走り、いつの間にか長い石畳を走っていた。
 炎上する家屋の間を抜けながら、視界の中に今にも息絶えそうな黒い服の女達が倒れているのが映り込む。彼女達は死神にやられたのだろうか、自分も彼女達と同じ様にされてしまうのだろうか、青年の抱える恐怖がより一層濃さを増す。

「!?」
 けれど彼女達に同情している余地などない彼は一気に路地を走り抜けようとした。そんな矢先であった。マントを掴まれた感覚を覚える。見れば倒れている女の一人が青年を引き留めるように掴んでいたのだ。女といってもまだあどけなさの残る少女。彼女の眼差しは強い悲しみに満ち、己のこの有り様を呪うように今にも消え入りそうな声で言ったのである。
 “死ぬのは嫌だ”と――――――――――。

 己の気持ちを代弁しているかのような少女に自身を重ねた青年は、彼女に手を伸ばす。が、突如少女のすぐ下から無数の禍々しい腕が伸び、悲鳴をあげる彼女の魂を暗くおぞましい穴へと引きずり込んでいったのだ。

「………………!!?」

 けれど気付いたとき、美しい鳥のさえずりが谺す昼の静かな路地に彼は佇んでいた。服装もあの質素な一般市民の変装に戻っている。燃え盛る炎も、倒れている瀕死の女達も、追ってくる死神の気配も、己から流れていたあの夥しい血も消えていた。
 やはり幻覚の類だったのだろうかとふと下に視線を落としたとき、悪夢の中で少女が倒れていた場所には粉々に砕かれている水晶の像があった。ベルティストン・クリスタロスという高純度の水晶で作られたその像は、本来二体一組である賢者と魔女の内の、魔女の像であった。

「まさか……魔女狩りの時の、記憶――――――――」
 水晶の欠片を拾い上げた青年は難しいことでも考えているような顔でそう呟いた。魔女像が破壊された時期を推測するなら魔女狩りの時代だろう。そこから連想したとき頭に浮かんだぼんやりとした答えであった。
「ならマリーは、無事だっただろうか」
 記憶と共にその行方も安否も分からなくなった“親友”マリー。いや、それ以前に彼女とは疎遠になっていたことを今更ながら思い出すと彼からは苦笑いしか浮かんでこない。例え相手が親しい友であろうとも、“どうしても越えられない壁”が彼の中には強く根付いていた故に――――――。
 とはいえ、彼女がこの街のどこかにいるような、そんな淡い期待が仄かに心の中を照らしていた。



>ヴィグリッド街中All

2年前 No.56

ベヨネッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 プルガトリオ/ヨーロッパ/ヴィグリッド/特急内→駅舎 】


 ――――はっ……?

《まもなく、終点、ヴィグリッドに到着いたします。当自治区の入域には当局発行の特別通行許可証が必要となります》

 何かに起こされたかのように朦朧とした意識が吹き消される。戻ってくる電車の走行音と終点を報せるアナウンスで自身が電車の中で眠っていた事実に気付かされた。その時何か夢を見ていたような気がするが、どんなものであったかよく覚えてはいない。

《お降りの際は特別通行許可証の携行をお忘れ無きようお気をつけ下さい。それでは皆様よい旅を》

 ようやく着くのかと組んでいた長い脚を戻し、長時間座り続けていたであるにもかかわらず、そう思わせないような滑らかな動きでその腰を上げた。
 そして腰に片手をあてポーズを取るかのように通路の真ん中に立てば、そのまま真っ直ぐモデルのような足取りで足を運んでいく。まさに怖いものも不安も何もないような堂々とした姿勢であったが――――――――

《やっと来てくれたんだね……“我が愛する娘”よ――――》

「………………?」
 突然車内が暗くなり、それと同時に知らない男の囁き声が頭の中に響き渡ったとき、ベヨネッタの足はピタリと止まった。周囲を警戒するような鋭い眼差しで辺りを見回す。

《これで“世界の目”が目覚めるときは目前に迫った》
 ゆっくりとした歩調で通路を進むも声は続く。
《恐れることは何もない――――――》
 さらに一歩一歩、足を運びながら得体の知れない声に耳を傾ける。
《美しく成長した“我が娘”よ……私がいつでも、見守っているからね》

「…………!?」
 思い切って背後を振り返ったが、そこには誰もいなかった。気のせいにしてもリアリティを帯びてきこえていた事に一種の気味悪さを覚えつつも、電車は何事もなかったように歴史的風情が残るホームへと入っていく。
 ベヨネッタは開かれたドアから降りて、その駅舎の内部を眺めた。

「此処がヴィグリッド……」


>All

2年前 No.57

選ばれし《人の子》 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=mTbOwZRabK

【アメリカ合衆国某州/“掃き溜め”Little Devils/モーニングスター】

「『変な感じ』って、んな気味の悪いこと言うな___ん?」

 笑い混じりの言葉を紡ごうと試みた男の腕が、急にグイと引き寄せられた。行き場を喪った言葉の行先を辿ってみると、どうだろう。男の瞳には『いいセンスした』『三角帽子に隠された』『強烈な眼光を持つ』人形がどアップで映り込んだ。

 探偵事務所の中を一瞬で駆け抜ける、沈黙の時。アンデレ十字が小気味のいい金属音を立てるのみ。

『あっ……遅かったか……』

 寸劇開始を告ぐテープは、諦観したこの言葉でバッサリ切り落とされた。とても文字には表せないような野太い叫びを上げながら、咄嗟に目の前の“脅威”から距離を取ろうと後方へ跳躍する。宛ら漫画のワンシーンだ。__が、“魔女”たる人形の驚異的な握力は右腕を留めて逃亡を許さない。そこを起点に空で逆立ちじみた姿を経て、これまたスタリと綺麗に着地した。舞い上がる埃の数々が視界を霞ませる。
 軽く咳き込みながらも、徐々に冷静さを取り戻していく。よく考えたら、あれだ。街中では天使に狙われ、人喰い妖怪とは共闘し、実体すらない“存在”には異国の地を踏むように告げられたのだ。今さら人形が動き出したところで何を驚くことがあるだろう? “常識”の範囲内ではないか!___とまあ恐ろしく強引な理由で、思考回路を必死に整理していたのだ。

「あー……いきなり叫んだりアクロバットしたりして悪かった、“探偵さん”。タネを知らないビックリ箱を開けるってんのは中々新鮮な気分を味わえるな……。ああ、俺は依頼者。手を離してくれると助かるしがない貧乏人さ。」

 脳内で“正気度チェック”のダイスを振りながら問いに応じる。色々と手遅れな気がする冗談を言うことで、より心を落ち着かせていった。男は知らない、目の前の《人形》が、自分に妙な懐かしさを覚えていることなど。【男の《記憶の持ち主》が、その正体に救われていることも。親近感の正体が絶対なる白き鷹を退けたことも……】
___さて、一つ勘違いを正さねばなるまい。てっきりこの人形は“魔女”の傀儡であると思っていたのだが、どうやらこの人形こそが捜し求めていた“魔女”であるらしい。それが分かった男は後方の妖怪へと本題を話すように促そうとし……見事なまでに返され、深く溜息を吐いた。とはいえ確かに連れてきたのは自分に違いない、では詳細は自分で説明せねば。そこで男は懐に手を伸ばし、デスク上にあるものを叩き付けた。

「……こいつを見てくれりゃ、大体分かるだろ。俺たちが漁ってんのは魔女というより天使の方。ザックリとした説明だけど、彼奴の言ってることが殆ど依頼内容だ。簡潔に言うと……俺たちをプルガトリオ、あるいはヴィグリッドまで導いてくれ。」

 デスクの上を神聖な光が満たす。“神性除け”の影響からか普段の日輪のごとき光はないが、それでも生命力の塊はその形を確かに保っていた。“自身が天使を認識できる”との宣言代わりの行動だった。

 男は、妖怪との出逢いや己の【能力宝玉】の存在、そして此処へと導いた“存在”が語った言葉の数々を知る限りで並べ立てていく。自身の記憶については、何故か語る気になれなかったので棄て置いたが。

「まあつまりだ……。俺たちは私利私欲によってのみでヴィグリッドに導いてもらいたい訳じゃない。この世界を混沌__いや、寧ろ“秩序”が統制することを恐れてるってことだ。アンタもきっとそうだろう、“魔女の生き残り”さん。 もう一度言う、俺たちをヴィグリッドまで導いてくれ。」

タロットのX《大アルカナ10番》の横に、自身の聖アンデレ十字の“X”をコトリと置いた。『これは皆、運命に導かれて動く』という暗示を示す為。ヘイロウの輝きを受けた銀の十字が爛々と輝いた。

>>オーネット,ルーミア,白血球

2年前 No.58

半竜クロウ・クルワッハ @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_Gtr

【ヨーロッパ/ヴィグリッド/旅客機→寂れた空港】

曇り空の中を飛び続ける一つの旅客機の中に一人の長身の男性がシートに座っている。
スカイブルーの頭髪に痩せ型で全体的に細長い体系…堀の深い顔に琥珀色の瞳。
色々と珍しい色彩であるのは確かだが、それ以外にこれと言った特徴はない。
彼の名はクロウ・クルワッハ。天界の竜サファトの血を引く男。

「しつけぇな…」

琥珀色の虹彩の中にある縦長の瞳孔がギロリと小さな窓の外を睨んだ。
射抜くような視線の先には…通常の人間には見えない異形の天使たちの姿が。

「うっとおしいんだよ…てめぇら…」

ため息混じりに彼は額に青筋を立て、視線の先を見やる。

“消えろ!似合いの場所へ帰れ!!”

彼が心の中で一際強く怒号を発すれば―――
まるで獲物を睨み殺さんばかりの形相の竜の幻影が見えそうなほどの
凄まじい稲妻が轟音と共に旅客機の周囲を迸り、旅客機を取り巻く天使たちを全て貫いた。
空の上は天界に近い場所だ。故に半分が天界の竜である彼の力が強まる場所でもある。
彼は天上に吹き溜まった穢れを打ち払うためにサファトが嵐を起こす力を使って落雷を起こしたのだ。

『えー…ただいま落雷が発生しましたが、機体に影響はございません。ご安心して空の旅をお楽しみください。』

CAの落ち着いたアナウンスと共に乗客のざわめきも静まった。

「うぐっ…」

いきなり暴走状態に近い形で力を使った彼は強い胸の痛みと倦怠感に見舞われる。
胸の痛みも倦怠感も一時的なもので力が回復すれば自然と消える。

『お客様、大丈夫ですか?』

近くを通りかかったCAが心配そうに彼に声をかけた。

「ああ…すまない。心配には及びません…少し疲れが溜まっているだけですので…」

飄々とした態度でCAに大丈夫だと伝えると、彼は束の間の眠りに入った。
シートベルト着用のアナウンスに目を覚ました彼はシートベルトを着用し、着陸を待った。
窓を見れば小さな空港の明かりが煌々と闇夜を照らしている。

「ここが…ヴィグリッド…」

川の流れのように旅客機を降りていく人々に紛れ、彼も新たな場所…ヴィグリッドへと足を踏み入れた。

>ALL(対象なし)

2年前 No.59

カエルム @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 人間界/ヨーロッパ/ヴィグリッド街中/路地/(市民に変装→正装) 】


 行き止まりの路地の前には、行く手を阻むように緑に輝く不思議な金属の《壁》。破壊しようと攻撃を加えてもびくともしないそれは、明らかに魔力の様なものを青年に感じさせていた。その所為なのか、壊れたと思ってもすぐ修復してしまう。
 その壁の両側には、破壊され足の部分しか残っていない《魔女像》と、隣にいる片割れが粉々にされている事実を知らぬかの様に威風堂々と佇む《賢者像》が侍る。

 当然、この水晶の二体の像は他の人間達が考えるようなただの飾りや芸術作品等ではない。
 かつてこのヴィグリッドの地に多く存在した《アンブラの魔女》、《ルーメンの賢者》は時間を操る特別な能力、光陰術を発動させる鍛錬として、これらの像を作り使用してきたのだ。此処にあるのも、時間を操った状態で壁を破りその向こうへ行かせるために違いはないが、片方が壊れている状態ではその効果はない。
 ただしこの青年にとってその様な問題は問題にもならなかった。修復の魔法さえ使用すればこの像は元通りの姿に戻るのだから――――――。

「……!」

 だが発動しようとした瞬間、それは突如出現した《光の結界》によって遮断されてしまう。周囲には幾つものヘイロウが浮かび上がり、《奴ら》の訪れを視覚と嗅覚が感じ取る。
 下級三隊エンジェルズ・アフィニティ。鳥人間の如き姿をした彼等が金管楽器を携帯しその姿をプルガトリオで現す。それを見て青年は魔法陣を潜り抜け、腕を組みながら言葉を投げ掛けた。

「生演奏で歓迎とは、天から祝福されている気分だな」
 冗談めいた事を真顔で呟くや否や、トランペットから発射された光の玉を走りながら避け、召喚された三対神徳の名を持つ二丁拳銃――スペス《希望徳》とカリタス《愛徳》を両手に、高く跳躍。
 上空にいるアフィニティ達を先ずは連続キックで攻撃し、背後からの錫杖による突きを背面宙返りで避け光陰術を発動させたかと思えば、逆さまの状態でその攻撃者の脳髄を連続射撃、飛散させた。
 光陰術が解けたと同時に先程のアフィニティは光となって消失、青年は既に次の対象の頸を太腿でへし折り両脇から襲い来る天使二体に弾丸を撃ち込みながら地上へと自由落下。そして見事着地を決めながら、華麗にトロンボーンからのレーザーをターンでよけ、召喚した錫杖を槍のように投げた……と思いきや錫杖はすれすれで敵に避けられてしまう。
 だが結果は予想外の展開となった。先程避けられてしまった筈の錫杖が、トロンボーン天使の身体を貫いていたのだ。その錫杖の先にはそれを握る青年の姿。なんと光陰術で、自分で投げた錫杖を受け止めていた。

「……遅いぞ」
 挑発めいた言葉を呟き、残りのアフィニティたちをフードの陰から覗かせた瞳で睨み付ける。かなりの数だ。彼を亡き者とするために集まっていることは容易に想像がついた。だがその理由だけは分からなかった。
「お前達はなにを恐れて私を襲う? 何が目的だ!」
 叫んで問いかけるものの天使達は聞く耳を持ってはいない。問に一切答えることなく容赦なく一人の青年に襲いかかったのだ。

 天使達は獲物の肉に群がるように青年を取り囲んでいたが、気付けばそこにはズタズタに引き裂かれたヴィグリッド市民の纏う修道服だけが残されていた。彼がいない。――――――――青年の姿が見えないことに今更気付いたアフィニティ達はあせって辺りを見回し始める。
 すると――――――――――――――。



《ギェェエエエエエエ!!!》
《ギャァアアアアアア!!!!》
《ギャァェエエエエエエ!!》




 断末魔の醜い不協和音が鳴り響いたかと思えば、アフィニティ達は天から降り注がれる光の矢で射抜かれ次々に消え失せていったのだ。
 残りの一体も、その攻撃の主の姿を見ようと顔をあげようとするが、見る間も与えられず踵の高い白いブーツがアフィニティの頭部を直撃しソレは呆気なく絶命。

 白のブーツの主は、白と金を基調とした長衣のマントを翻し光の結界に向き直った。金色の環状の冠に目許を覆う仮面のような眼鏡、ヘイロウを模したイヤリングに白孔雀の尾羽を模したストール。胸元には太陽を象る懐中時計。豪華だが荘厳さを失わない姿の彼は、先程の青年であった。手袋をした手には大天使アプラウドが使用する黄金の弓が握られている。
 彼は光の結界に照準を当てて矢を放つと、それは砕け散り、同時に破壊されていた魔女像を修復させた。


>All

2年前 No.60

ベヨネッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 プルガトリオ/ヨーロッパ/ヴィグリッド街中/駅舎 】


「天使の住む街……といったところかしら」
 ホームの中は比較的静かで人もそんなに多くはなかった。たまに擦れ違う市民達は皆フードを深く被り法衣のようなものを纏い、この地の信仰との深い関わりを感じさせる。だが黒衣の魔女が何より気になっていたのは彼らの天界との距離にある。
 どこの地域も天界魔界どちらかに近いということにはなるが、このヴィグリッドという土地は極端とも言えるほどに天界との距離が近いのである。そこに住む人間もまた然りだ。

「かなり警戒態勢が厳重のようね……」
 向かいのホームへと繋がる歩道橋を上がっていくと、武装した警備兵の姿が見えた。周りを見回してみてみれば、他にも何人かいるようである。
 空港の荷物検査場の如きホームの出入り口には、当然ながらセキュリティーが敷かれており、センサーが反応すると警報を鳴らす仕組となっているらしい。プルガトリオに入れない人間が入域となれば、かなりの困難を極めるに違いない。
 そしてベヨネッタがそこを堂々と通過し、何歩か歩を進めたときであった。

《ヴィーン ヴィーン ヴィーン》

 突如警報が鳴り響きセキュリティーシステムが作動する。この歴史的建造物の趣をぶち壊すようなシャッターが出入り口全てを封鎖し、外に出られない事態となる。
「どうやら私以外に“侵入者”がいるようね……。懲りないのかしら?」
 プルガトリオにいるベヨネッタをセンサーは感知することはない。つまり彼女以外の誰か、人間界にいる誰かが不法侵入したということだ。いったいそれが誰なのかベヨネッタの知るところではないが、ヴィグリッドに進入するということはそれなりの“目的”があってのこと。もしかすれば自分と関わって来る人物であろうと何となくは感じていた。
「さて……他のルートを探さないと」


>ヴィグリッドAll

2年前 No.61

半竜クロウ・クルワッハ @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_Gtr

【ヨーロッパ/ヴィグリッド/寂れた空港→宿泊所→広場】

「あー…疲れる……なんなんだあの警備の固さは。お守りの金具にすら反応するって…」

ウィグリッドについたと安心したのも束の間、ここは物凄く警備の固い場所のようで
彼は到着した午前から今の今まで空港の金属探知機に引っかかりまくり、繊細すぎる手荷物検査、
挙句の果てには職務質問のようなことまでされて精神的に疲れを感じるほど手間取ってしまった。
やっとのことで許可証を使って仕事で来たことを告げて解放され、現在に至るわけである。

「ふーむ…まるで天界みたいな空気だな、この場所…」

彼は一度だけ、母の背に乗って父と共に自身の世界の天界に訪れたことはある。
世界が違っても根本の性質は変わっていないらしく、彼はどこか懐かしい感覚に訪われる。
たまに擦れ違う市民達は皆フードを深く被り法衣のようなものを纏い、この地の信仰との深い関わりを感じさせる。
灰色の日本製のスーツ姿の彼は周囲からしたら確実に浮いて見えるだろう。

「確か…得意先の場所はイスラ・デル・ソルだったっけ…。そろそろ手続き終わってる筈なんだけど…」

問題の取引先はイスラ・デル・ソルと言う人工島にあるビルの一つだと聞いていた為、
そちらに行くにも手続きが必要とのことだったので手続きは済んでいるため、
さっさと向かおうとするも船着場のガタイのいい男に呼び止められた。

『おいあんちゃん!ここから先は特別な手続きがないと行けないぞ!』

彼はきょとんとした顔をした。手続きはもう済ませているはずなのに…何故だ?

「あの…俺は日本から仕事できたものでこちらに関する手続きは既に行っているのですが…」

その言葉を聞いた男はちょっと待っていろと船着場の小屋に入り、机に置いてあるノートパソコンをいじりだす。
10分ほど待たされた後、男が困った顔つきで小屋から出てくると…

『すまんなあんちゃん。手続きの確認をするためのパソコンが不具合を起こしてる。
そちらからの手続き申請は届いているんだが承認が上手くいかなくてね…
2日ぐらい経ってから、また着てくれるか?全く…あのパソコンもおんぼろだからなぁ。』

機械の不具合から手続きが遅れ、調査に迎えなくなった彼は船着場を後にすると、
人目につかない物影で携帯電話を取り出して会社に連絡を入れる。

「もしもし、クルワッハです。ヴィグリッドには着きました。
しかし、イスラ・デル・ソルに行くための手続きが遅れていて調査に迎えない状況です。
機械の不具合みたいで、修復と承認には2日ほど掛かると……はい、はい、旧市街地ですか。
すみません…出費を負担させてしまって…。出張が終わったらお詫びとして何か奢らせてください。」

手続きの不具合に関して上司に報告したところ、上司は何かあったときの宿泊場所まで調べてくれており、
彼は旧市街地のとある宿泊所にて手続きの完了を待つこととなった。
彼は上司に詫びの言葉と礼を込めて出張から帰ったら何か奢らせてくださいと声をかける。
通話を終える前にも、上司から激励の言葉を送られ、一段落ついたところで通話は終わった。
彼は再び来た道を引き返し、件の簡素な宿泊所で2日間を過ごすことにした。
チェックインを済ませ、部屋に邪魔な手荷物を置き、
もしもの時の滞在用に持ってきていた特注の私服に着替え、部屋に鍵をかけて彼は再び外に出た。

「ふぅ…広場で日光浴でもして気分転換するかな…」

と、彼は軽い気持ちで広場へと足を運ぶ。だが、同時に嫌な胸騒ぎがしてきた。
広場に近づけば近づくほど胸騒ぎは強くなる。引き返した方がいいのだろうか…?
しかし、同時にその場所に行かなければならない衝動にも駆られた。
彼は思い出す。あの墓場での出来事を。あのときに近い感覚だった。

>ALL(カエルム)

2年前 No.62

カエルム @makita ★Android=QP7DgXg77L

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2年前 No.63

半竜クロウ・クルワッハ @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_Gtr

【ヨーロッパ/ヴィグリッド/広場】

嫌な予感が募る中、彼は広場へと足を踏み入れる。
そこには巨人を髣髴とさせる姿の光の異形…天使ビラブトと一人の青年がいた。
しかもビラブトは三体もいる。その内の一人がこちらに気づいたのか地響きを立てながらこちらに向かってきた。

「はぁ…今回ばかりはこの体質を憎むね。さて…戦うにしても流石に広場で擬態解くのは不味いよな…」

そこで彼は思い出す。あのメガネの女性が紫色の魔方陣を通って透明化したことを。
あの魔方陣の質は自身の体に流れるサファトの血に含まれる成分に近い気がしていた。
もしかしたら…できるかもしれない。魔方陣を作り出すことが。

「グルルルルル……」

彼は俯き、唸り声を発する。同時に彼の右頬を中心に薄紫色の鱗が広がりだし、
鼻面が伸び始め、牙が生えて口が大きく耳元まで裂ける。竜化である。
彼は竜化するときの力を頭部に集中させる。熱い。全身を流れる聖竜の力が頭部に集中する。いまだ!

「ガルォォォオオオ!!!!」

彼が短く咆哮を発せば。竜の頭部を模った光のエネルギーが目の前の空間を噛み裂いた。
噛み裂かれた空間にはいびつではあるがあの紫色の魔方陣が出現した。やった。成功だ。
彼は魔方陣へと突進し、擬態を解く。長くしなやかな尾が生え、鋭利な角が頭から出現し、大きく力強い翼が広げられた。
同時に彼は邪魔なサンダルを脱ぎ捨てる。その途端、足の骨格は変形し、獣の足のように爪先立ちとなって
膝下から爪先まで滑らかな鱗で覆われ、肘下から指先までも同じように鱗に覆われ、爪の鋭さは一層増した。
これがハーフドラゴンである彼の本来の姿である。彼は自身に近づいてくるビラブトの前に立ちはだかると…

「グルルルルルル……グゥゥゥ…!!」

唸り声をあげ、大きく息を吸い込むと…

「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」

耳を劈くような恐ろしい咆哮を発した。それは突風のように吹き荒れ、ビラブトに向けて放たれる。
その咆哮から0.3秒ほど遅れて彼の咆哮が響いた場所が一気に扇状に発火した。
ビラブトの眼前は紅蓮の炎の壁に包まれていることであろう。
これは彼の母の種族である“サファト”の間で“テリブルロアー”と呼ばれる技法で
サファトが戦闘で数多の敵を目前にした時によく使用する技だ。
彼は10年前にもこの技法を使っていたがその時よりも威力は格段に上がっていた。
10年前は半径2m程の扇状の発火で範囲は今よりも狭く、炎の温度は1200℃と炎の生ずる最低温度程度だった。
しかし、人として生きながら人知れず竜としての力を磨き続けてきた彼の今のテリブルロアーの威力は
半径5m程までに範囲は拡大し、炎の温度はニトログリセリンが爆発する時と同じ4000℃まで上がっている。
サファトとしてはまだまだひよっこのテリブルロアーではあるが、人間からしたら恐ろしい脅威になるだろう。
炎でビラブトが怯んでいるうちに彼は大きく羽ばたいて飛翔するとビラブトの顔の前まで上昇する。

「大男…総身に知恵が回り兼ね…ってかぁ!?おらぁ!食らいやがれ!!」

彼はビラブトの眼球目掛けてその鋭利で巨大な鉤爪を振り下ろし、目潰しを行う。

《ギャァアアアアアア!?!?!?!?》

ビラブトが引っ掻かれた目を押さえて悶えているうちに彼はビラブトの方へ着地すると…

「首ががら空きだぜ!デカブツ天使さんよぉ!!」

そう叫ぶや否や、口が耳元まで裂け、鼻面が伸びた人面の竜と形容した方が正しいような
その面構えの裂けた口でビラブトの首に噛み付いた。
そして、そのままローズマリーの濃厚な香りのする肉を噛み千切ったのだ。
半分であっても竜である彼の噛む力は擬態時を除き、人間とは比べ物にならないほどの強さを持つ。
今の彼の顎の力は推定で2300Kg…ナイルワニとほぼ同じ力である。

《グゥオオオオオオオオオオオオ!!!》

頚動脈を噛み切られたビラブトは傷口を押さえ、悲鳴を上げる。
すかさず彼はビラブトから離れると再び息を吸い込み…

―――――ゴゥゥゥウウウウウウウウ!!!!!

周囲の景色を真っ赤に染め上げるほどの業火を吐き出し、その炎でビラブトを包み込んだ。
ドラゴンが吐く高熱の炎、ファイアブレスである。この炎はテリブルロアーの炎の約1.5倍の温度で機動性に長ける。
一体のビラブトが混血の竜に片目を潰された挙句に頚動脈を噛み切られ、全身を業火に焼かれて倒れ伏した。
残りは二体。どうやら建物の屋上にいる人物を狙っているらしい。

「ったく…こいつらは何が狙いなんだか…」

彼は悠々と空中を舞いながら残された二体のビラブトの方と向かっていく。

>カエルム

【テリブルロアーの咆哮参照:https://www.youtube.com/watch?v=PnKRPGhKbtY

2年前 No.64

ルーメンの賢者カエルム @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 プルガトリオ/ヨーロッパ/ヴィグリッド街中/広場/(戦闘用正装) 】


 屋上に丁度飛び乗ったときであった。この青年は、これら巨大な天使達以外に大きなうなり声と共に光の気がこの広場に現れたことを感じ取っていた。また敵が現れたのかとその気配がする方へ視線だけ向ける。

「……魔法陣? アンブラの魔女か――――?」

 その時目を一瞬疑ったが、そこにはアンブラの魔女が作り出すものと同じ、紫色に輝くプルガトリオへの出入り口が浮かび上がっていたのだ。だがその向こうにいたのは魔女などではなく見たことのない竜型の“天使”。
 元々人型であったのであろうそれは、擬態を既に始めており、おぞましくも神々しい姿を顕わにした。巨大な竜翼に滑らかな紫鱗、その美しき部分とは対照的な禍々しい鋭利な爪や牙を持った怪物だ。
 しかも妙なことにその天使にはヘイロウが無く、同類であるはずのビラブトの一体は奇妙な竜型天使に襲いかかろうと近付いていく。その竜型天使もビラブトに対する殺意があるのか、全く動じることなく巨人の前に立ちはだかる。

「光の気はあるが……あれは天使では無さそうだ。ならばあれは何者なんだろうか……? そういえば――――」
 まだアメリカにいた際に依頼主へ書類を届けに行ったときのことを青年は思い出す。そう、破落戸達の集まる“掃き溜め”と呼ばれる街の酒場。そこで紅い服のアンブラの魔女は除き、白い服の不思議な青年、アンドロイドの私立探偵と一緒になったのだが、彼らは皆奴らが見えており各々の能力で駆逐していたのだ。魔女でも賢者でも、悪魔でも天使でもない者がだ。
 そこで違和感を覚えるべきだったのだろうが、青年はこういう者もいるのだろうという程度に流していただけであった。けれど考えてみればとてつもなく妙な事である。今まで生きてきて色々な者と関わったが、そんな存在はいなかったのだから。
 つまり、復活祭を目前にして三界が近付きつつあるが、それと同時に異空間との同調同化がこの世界に起こりつつあるのではないかという一つの仮説が浮かんだのだ。これはかなり異常事態であり、不安を与えるには十分なものである。
 そうした理由で現れた不思議な竜を天使ではないと見抜いた彼であったが、不信感は強く残る。


《ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!》

 竜は大きく裂けた口を開き、一帯を凄まじい咆哮を響かせ空気を震動させた。思わずその波動を感じるなり青年は耳を強く押さえたが、少し遅れてビラブトの周りが発火したのである。怯んだ隙を狙った竜はすかさず目潰しへと移り、ビラブトは激痛に耐える叫びを聞きながら背後へと回った。

「炎……焼ける、街……………………」

 その光景を青年は屋上から眺めていたが、竜の吐く炎で彼は喪われた記憶の一部をフラッシュバックしていた。既に彼の耳には、竜の声でもビラブトの絶叫でもない、人々の嘆き悲しむ声や街が燃える音、銃声が響いていたのだ。そして脳は彼の瞳に“街を焼き尽くす者”の姿を見せ付ける。

 ――――“フォルティトゥード”

 ラグナの火と勇気、忍耐を司る戦闘神。二つの竜の首に巨大な逆さまの人面。純白の翼。神々しく荘厳で禍々しい竜神の頭上には複雑な形状をしたヘイロウが輝いている。

「…………!?」

 けれどフラッシュバックは一瞬のことであった。我に返った青年はギリギリのところで、此方へ何時の間にか近付いてきたビラブト二体の攻撃を避け、光陰術のゆっくりとした時間の中でその背後へと回り急所を高速で殴打し続ける。
 それをしていくうちに魔力は高まり、それを放出するように、黄金の魔法陣から飛び出た鋭い爪を有した手がビラブトのコアを引き裂いた。装甲は殆ど剥がれ落ち赤い肉が剥き出しになった巨人は凄まじい衝撃に絶えられず地面に倒れた。
 それを待っていたと言わんばかりに、光陰術が解けたと同時に着地した青年は、エノク語で召喚呪文を叫び出す。彼は呪文を唱えながら、素早いが見事な三回転ピルエットを決めて、後方に置いた脚のつま先を伸ばした状態で前に置いた脚を深く曲げた。背を反って天空を仰ぎ見た彼は右腕を高くあげる。

《神に侍る天空の御座よ……!》

 呪文を言い終えたとたん空中に巨大な黄金の魔法陣が輝き、海蛇を彷彿とさせる赤と金を基調とした怪物が首を出す。長い身体にはひれの如く幾つもの白い鳥翼が規則的に並び、頭にはヘイロウを戴く。
 ラグナ位階論上級三隊座天使“インスパイアド”――青年の契約相手の内の一体である。

『殺せ』

 座天使インスパイアドは契約者の意思の通りに、その何本もの鋭利な牙が並ぶ口で瀕死のビラブトに容赦なく噛みつき、骨を噛み砕いた。血飛沫をあげるビラブトは、そのまま光となって天使の生命エネルギーの結晶を幾つも撒き散らし消滅する。と同時に用が済んだ座天使も契約者の意思によって元の世界へと返されていった。
 大召喚は強力な力を出せるものの、下手をすれば術者の命を奪いかねない危険な魔法だ。それ故、長時間異世界の住人を留めることは出来ないのである。

「残りは一体。お前が誰だかは知らないが、早く片付けるぞ……!」
 不思議な竜を横目で見やる――といってもレンズで青年の目は相手からは見えないだろうが――と、大天使アプラウドの弓を召喚した。弓にもなるが分解すれば剣にもなる強力な武器だ。


>クルワッハ


【ルーメンの賢者の儀礼用正装(聖職者と同じ格好なので私が勝手にそう呼んでます)と区別するために、カエルムのテンプレにある“正装”は今後戦闘用正装といたします】

2年前 No.65

半竜クロウ・クルワッハ @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_Gtr

【ヨーロッパ/ヴィグリッド/広場/クロウ・クルワッハ(擬態解除)】

『残りは一体。お前が誰だかは知らないが、早く片付けるぞ……!』

二体のうちの一体は青年の召還した赤く長い体の翼を持った蛇のような天使に噛み殺される。
その後、青年にメガネのレンズ越しに見つめられ、話しかけられる。

「自己紹介は闘技の後でな…くるぜ!」

そう返すが早いが彼は獣の如く四足で地面を蹴り、疾走した。その瞬間、彼のいた場所にビラブトの拳が叩き付けられた。
彼は四足で駆け回り、ビラブトを翻弄する。比喩するならばたかる羽虫とそれをを追い払う人のようだ。
彼はただ翻弄しているだけではない。次のブレス攻撃を行うにはタイムラグが生じるため、
時間稼ぎに青年に攻撃をさせないよう自身に注意を引かせていたのだ。
相手は天使…故に浄化の炎は意味を成さないであろう。ならば、次は凍てつかせてみせる。
冷気のブレス―アイスブレスは吐き出す呼気を瞬時に氷点下の温度に下げるため、事前動作がファイアブレスよりも長い。
しかし、その分の射程距離はファイアブレスよりも長いため、広範囲にわたって冷気の嵐を叩き付けられるのだ。
彼の裂けた口からは白く輝く冷気が尾を引くように流れ出ている。チャージ完了だ。


―――ビュオオオオオオオオオオオオ!!!!!!


次は木枯らしが吹き荒れるような風を切る音が轟き、彼の吐いた冷気が触れた場所を次々と凍結させる。
走り回りながら彼が吐き出す冷気の嵐は高密度の氷を形成し、ビラブトの足を凍てつかせて地面に縫いつけた。

《グォォォォオオオオオ!!!!》

ビラブトは凍りついた足を動かそうともがき、凍らせた張本人である彼を叩き潰そうと拳を振るう。

「どら…もういっちょぉ!!」

彼は魔方陣を作った時と同じく力を頭部に集中させ、短くも力強い咆哮を発する。
竜の頭部を模ったエネルギーが巨大な顎門を開き、ビラブトの拳に齧り付いて
そのまま大きく骨ごとビラブトの拳を噛み砕き、食いちぎる。

《オゴァァアアアアアアアア!!!!!》

片手を食い潰されたビラブトは足が凍り付いているのも忘れ、悲鳴を上げてもがき苦しむ。
この間にも足を包む氷はビラブトの怪力でヒビが生じていた。

「これで最後だ…!おい、青年!その矢をこいつに打ち込め!同時に仕留めるぞ!!」

彼は弓を召還した青年に語りかけると大きく羽ばたいて上空へと舞い上がり、
今度は左腕に聖竜の力を集中させてエネルギーでできたサファトの前足を作り上げる。

「食らいやがれぇぇえええ!!!!」

猛々しい竜の青年の咆哮にも似た叫びと共に強大な鉤爪がビラブトの頭部目掛けて振り下ろされた。

>カエルム

2年前 No.66

ルーメンの賢者カエルム @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 プルガトリオ/ヨーロッパ/ヴィグリッド街中/広場/(戦闘用正装) 】


 人語で青年に応えたところを見ると竜は理性を持った存在であることがわかり、ある程度その竜に対する警戒は緩められる。後に自己紹介もしてくれるのだから、その時に何者かを知ることが出来るであろうと青年は竜の言葉に対して頷いた。

 竜がビラブトを翻弄し己に注意を向かせている間、青年の方も黙ってみていることはしなかった。彼も遠距離から何度もビラブトに光の矢を射続け注意を分散させ、竜への攻撃を緩める。
 そうして時間を稼ぎ、力を温存したと思われる竜は今度は炎ではなく、此方にも冷気を感じさせるほどの強い冷気を噴射した。ビラブトの足を拘束するように巨大な氷が出来上がり、それから逃れようと暴れ出すビラブトは竜を攻撃しようとその拳を振り上げる。咄嗟に駆け出して相手を救出しようと考えたがその必要はなく、竜のその大きな顎でそれを骨まで食いちぎったのだ。

「分かった!」
 予想外の展開で一瞬動揺を隠せなかったが、竜の『その矢をこいつに打ち込め』という支持にハッとなり、氷の足枷を解かれる前に、ビラブトの背中で赤々と輝く急所目掛けて巨大な矢を放った。

《グゥァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!》

 急所には光の矢、頭には竜の鋭い鉤爪が脳髄にまで食い込み破壊されるその一瞬まで、ビラブトの断末魔はプルガトリオで大きく響き渡っただろう。
 残った巨大な聖なる怪物も光となって霧散。途端に一帯は静けさを取り戻した。市民たちもその場から逃げてしまったため静寂は本物だ。そして青年は一旦間を置いた後、白いマントを翻し竜の方へと向き直った。

「…………早速だが――――――――」
 広場に残るのは青年と竜だけである。得体の知れない竜を前に青年は左手に構えた“カリタス(愛徳)”の銃口を真っ直ぐ竜に向けた。
「光の気を感じる…………けれど“奴等”とは違う。お前は何者だ?」
 答えるまで、納得するまではこの銃を降ろしはしないという覚悟を感じさせるほどの態度で、青年は竜を凝視する。敵意は無さそうなこの竜と戦いあおうとは本気で考えてはいないが、銃を向けることで警戒しているということを相手に伝え、向こうが此方の警戒を解かせるため自ら名乗り出てくれるのを待っていたのだ。


>クルワッハ

2年前 No.67

半竜クロウ・クルワッハ @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_Gtr

【ヨーロッパ/ヴィグリッド/広場/クロウ・クルワッハ(擬態解除)】

急所には光の矢、頭には竜の鋭い鉤爪が脳髄にまで食い込み破壊されるその一瞬まで、
ビラブトの断末魔はプルガトリオで大きく響き渡った。
残された巨大な聖なる怪物は光となって霧散。そして、静寂が辺りを包み込んだ。
青年は一旦間を置いた後、白いマントを翻し、本性を現している彼の方へと向き直った。

『…………早速だが――――――――』

開かれた口から青年の言葉が紡がれ、こちらに左手に持った銃の銃口を向けて警戒の意を示す。

『光の気を感じる…………けれど“奴等”とは違う。お前は何者だ?』

答えるまで、納得するまではこの銃を降ろしはしないという覚悟を感じさせるほどの態度で、青年は彼を凝視する。
その態度に彼はやれやれと言った感じで両手を上げ、敵意がないことを示しながら
竜化で裂けた口を癒着させ、伸びた鼻面を元の人間の顔と同じぐらいに縮める。
鱗に覆われた鉤爪のある手と獣のような骨格の鱗に覆われた足に人と変わらぬ顔、そして口から覗く牙。
角が生え、翼を持ち、長い尾を備えたこの姿こそ、彼の真の姿だ。

「前にも誰かさんに言った気がするけど…俺は日本のIT企業に勤めているクロウ・クルワッハと言うものだ。
光の気と言うものは恐らく、俺の体に流れる聖竜サファトの血のことだろう。
俺は見ての通り、半人半竜…天に住まう聖竜サファト…その血を引くものだ。
この世界にある天界とはまた違う天界…パラレルワールドから来たようなもの…と言えばいいのかな?
この辺は俺自身にもまだ分かっていない。故に俺はこの世界の天使の持つヘイロウなるものを持っていない。」

彼はできる限りの自身についての説明を青年にする。そして、何かを思いついたような顔をすると…

「お前にとって聖竜サファトとは想像がし難い存在だろう…。なら、少しだけ見せてやる。
と言っても、見せられるのは幻影だ。竜の姿になれないこともないが、
いくら一般人に視認できないとは言え公共の場で裸にはなりたくないんでね…。」

そう言うと彼は上げていた両手を降ろし、その場に跪いて全身に回る竜の力を集積させる。
ジッと精神の方へ力を集中させ、魔力を蜃気楼のようなものへと変えて自身を包み込む。
そこに現れたのは朧月のように美しくも禍々しさを感じさせる一頭の巨大なドラゴン。
首の右側の側面と、左足の大腿部に三日月形の模様がある淡い紫色をした鱗に覆われた体…
翼の先に向かうに連れて紫色から薄いオレンジ色のグラデーションのある翼…
この姿こそが、彼がその血を引く天界の竜“サファト”の姿である。
彼は自身の聖竜サファトとしての姿を幻影として映し出した。

「これがサファトの姿。と言っても、俺と言う個体の姿だけどね。
サファトはこういう姿の竜だという認識をしてくれればそれでいい。
この幻影を出すには精神力をごっそり使うもんでね…見ておきたいなら今のうちに全身を見ておきな。
幻影を映していられるのは長く見積もっても4分前後だ。それ以上は俺が倒れてしまう。」

竜の幻影の中心にいる彼の口と連動するように竜もゆっくりと大きく裂けた口を動かす。
この幻影の利点は中心にいる彼の動きと連動することだ。
例えば、彼が腕を動かせば前足が、足を動かせば後ろ足が動き、尻尾を振れば幻影も尻尾を振るのだ。
もっとも、これを使う状況と言うものも殆どないだろうし、物体に触れられないのでこけおどしにしか使えないだろうが…

>カエルム

2年前 No.68

Umbra Warlock @libragreen ★iPhone=jkAw8qWvOR

【 アメリカ合衆国某州/“掃き溜め”Little Devils/オーネット・ブラッドレイ 】

 こげ茶の髪の青年と紅紫の魔女、互いの顔が近いまま静寂の舌舐めずりをしながら興味ありげに見つめてくる妖怪少女に恐れをなしたのかツェルが影に潜り込んでしまった中で、を破ったのは事務所へと新しくやってきた第三の客人…

「あれ? お宅、昨日の――」

 …酒場にいた頃より容態が悪そうだが、間違いなくあの白ずくめの青年であった。改めてその確認を行おうとしたところ、目の前でとんでもない悲鳴があがりオーネットの聴覚を揺さぶる。それと同時に力強く握っていた彼の腕を支点として不本意ながら見事なアクロバットが披露された。

「…おぉ! そのいい驚きようを見れただけでも依頼の受けがいがあるもんだ。 しかもお宅らから強い魔除けの香りがするし、それなりに腕があると見える」

 どうにか落ち着きを取り戻しつつも、自己紹介を行ってくれたの自称貧乏人こと依頼者である彼の腕を優しく手離しておく。天使の生命エネルギーでもあるレアメタル、ヘイロウ(間違いなく本物のものだ)をデスクの上に置いてから事のあらまし――三位一体世界の危機とヴィグリッドもといプルガトリオへと導くこと。
 それらを依頼してきた彼の真剣な眼差しを見て、オーネットは銀のアンドレ十字と運命の輪のタロットを見やりながらどこか感慨深くなった。紅紫の魔女はどういう訳だか、彼に教わる前からこの【宝玉】の存在を知っているのだ。…それもそうだろう。並行世界のオーネットは、偽の邪神に世界を蝕まれつつある異世界の聖戦にて【ガサツな雰囲気の奇術師】と共に闘っているのだから…。

「これもW運命Wのお導きってやつなのかねェ…。 いいぜ、今すぐプルガトリオへと案内してあげようか」

 あの夜は天使狩りの騒動が目立っていたものの、確かに有益な情報を得られたからだ。それはあのカエルムという男が執念深く追っている複合企業――イザヴェルグループの総帥が魔女の生き残りを探しているという噂であった。使命はどうあれ同じ目的地に旅立とうとしている彼らにとって、プルガトリオへの潜入は本拠地ヴィグリッドに旅立つための有効な手段としてうってつけである。

「この魔法陣を潜り抜けばあっという間にプルガトリオ行き。 あっち側に身を置けば他の人間は見ることも触れることもできないし、逆にこっち側からも干渉できないぜ。 ただしW物質Wだけは別! それぞれの世界でも同一に認識されてるから、あっちで壊したものはこっちでも壊されるのさ。 そこんとこ覚えたほうが後々役に立つ か も」

 椅子からゆらりと立ち上がり、右手を虚空にかざしてから紫の魔方陣――人界とプルガトリオとの短期的な境界線をつくりあげてみせてから、簡潔に説明を伝えておく。

「さて――そこの白いお宅も、何かご要望があれば承ろうじゃあないか」

>>モーニングスター、ルーミア、白血球

2年前 No.69

記憶を探す白い生き物 @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_Gtr

【 アメリカ合衆国某州/“掃き溜め”Little Devils/記憶喪失の真っ白な青年(白血球)】

『あれ? お宅、昨日の――』

向こうが問いかけようとした時、茶髪の青年がとんでもない悲鳴をあげて見事なアクロバットを披露。
同時に埃が舞い上がって視界を霞ませる。しゃがみこんでいた彼はダイレクトに埃を吸い込んでしまう。

「ゴホゴホッゲホッゲホッゲホッ!」

埃に噎せながらも彼は埃から逃れようと壁に手をつき、ゆっくり立ち上がる。
埃の少ない空気に一息つくと、彼は茶髪の青年が取り出した奇妙な物体に目が行った。
そう言えば、これは一体なんなのだろうか?あの化け物たちも殺すたびに落としていたような…
青年は天使と言う言葉を口にした。あんな化け物が天使と言うのならば、天国も地獄のように恐ろしい気がしてならない。
茶髪の青年はプルガトリオ、あるいはヴィグリッドと言う場所まで連れて行って欲しいとのこと。
疲労によって思考能力の低下した彼にとって、“この世界を混沌__いや、寧ろ“秩序”が統制することを恐れてる”
“魔女の生き残り”と言う言葉はなかなかに理解しがたいものだった。
だが、彼もまた考える。自分は何故記憶がないのか?何故常人には見えない天使が見えたのか?
もしかしたら、記憶の鍵は天使が握っているのかもしれない…
茶髪の青年と金髪の少女がプルガトリオへの入り口―紫の魔方陣へ案内されようと言う時…

『さて――そこの白いお宅も、何かご要望があれば承ろうじゃあないか』

そう声をかけられた。彼はこの時を待ちわびていた。彼はそっと重い口を開いた。

「俺は…いや、俺もプルガトリオと言う場所に連れて行ってくれ。」

端的に用件を述べた後、彼は深呼吸して緊張を僅かに解きほぐし、

「俺は自身に関する記憶がない…。名前も、生い立ちも、何もかもわからない。
俺は自分が何者なのかを知りたい。俺がどういう存在で、どのようなことをしていたのかを知りたい。
そして、何故俺は天使が見えるのか…知りたいことが沢山ある。天使がそのウィグリッドと言う場所や
プルガトリオと言う場所に関係があるのなら、調べておきたいんだ。
やつらが俺の記憶の鍵を握っているかもしれない。私用にはなってしまうが…どうか連れて行ってほしい。」

ただの憶測にしか過ぎない。しかし、彼は何の手掛かりもなく手探りで進むよりは、
憶測でもいいから関係がありそうなことから調べていきたかった。それに、魔女と言うワードも気に掛かる。

「運命の導きと言うものがあるなら…俺はそれに従いたい。先程から胸騒ぎがするんだ。
これ以上、天使たちに好き勝手させてはいけない…何故かそう思うんだ。」

運命に導かれるのなら、それに従いたい。もしかしたら、その過程で記憶を取り戻せるかもしれない。
それに、あんな理性のない化け物たちを野放しになんてできない。彼はそう思った。

>オーネット モーニングスター ルーミア

2年前 No.70

ルーメンの賢者カエルム @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 プルガトリオ/ヨーロッパ/ヴィグリッド街中/広場/(戦闘用正装→祭礼用正装) 】


 共闘した相手――謎の竜に銃口を向けつつ何者かと問う青年に対し、相手は一切怯える素振りも見せず、敵意がないことを上げた両方の手で示した。
 そして次第に人間の姿、とはいっても完全な人間というわけではなく爬虫類のそれを彷彿とさせる特徴を残しながら“人型”へと変化していく過程をレンズ越しで眺めて相手が何かを探っていく。
 二十代後半か三十ぐらいであろうか、見た目はそれぐらいの男性の姿となった半人半竜の相手は、自分自身が何なのかを事細かに語ってくれた。しかも、青年が疑問に思っていたこと全てに対して答える形で――――。

「……」

 続いて相手が何かを思い付いたような表情をしたのを見れば、青年は何か特別なことがあるのだろうかと更に緊張を強める。
 相手の半分を形成する聖竜サファトといわれるものの幻影を見せようという言葉に些か不信感を抱きつつも、青年はその口を一切開かぬまま、これから起こることを見届けることにした。

 その姿はやはり青年が見たことのないものであった。月を思い浮かばせる見た目をした天界の竜は、まるで“夜の使い”のようである。
 それに対し真昼の燦々とした太陽をイメージさせる荘厳で煌びやかな姿をしたこの世界の天界の天使たちとは異なる存在であることは明白だ。太陽と天界、月と魔界……はっきりと光と闇が存在し互いの領分がある世界観に居を据える青年には物珍しいものにも映っていたことであろう。

 そしてようやく青年が口を開いたのは幻影をみたその後のことであった。
「――――なる程……。推測は正しかったか……。この三界で形成された世界以外にまた別の世界が存在しているという事には驚いたが……お前という存在がそれを証明している故、信じざるを得ない」
 その時には既に向けていたカリタスを降ろして、腕を組んでいた。そして興味本位からなのか、はたまた真面目な思いからなのか、本気か否かわからない表情をした彼はこう続ける。
「……ただ仮にそうだとしてもお前が天界に、光に属する者なら、お前とは“契約”は出来るのだろうか……?」
 “契約”――要するに特別な力を有した人間が天界或いは魔界の住人と契約することをいい、契約した場合、戦闘時などに召還し術者の力となってくれるものだ。500年前に存在した闇の一族《アンブラの魔女》光の一族《ルーメンの賢者》は、一人前になるとそれぞれ魔界の住人、天界の住人と契約を交わしヴィグリッドを絶大な力で護ってきたとされる。
 だが普通に考えて純粋な天界の住人ではない彼と契約などそもそも馬鹿げた話だと思ったのだろう。「まあいい」と自分が先程いった言葉を取り消すように流した。

「クルワッハ。……そういえば、お前は自分が何者かを前に誰かに説明したと言ったな? いったいそれが誰に対してか憶えていないか?」
 初対面であったにも関わらず自分が抱いていた疑問に、いわれる前に答えた相手を、青年は“自分と似たような存在”がいるのだということを確信していた。少なくともその人物は天使を見ることができる。以前の彼ならば魔女と答えただろうが、アメリカで魔女でないにも関わらず天使を見ることが出来た者達を目の当たりにした今、手掛かりは薄れる。
「実は復活祭を目前に、この世界では妙な出来事が多発している。私の推測ではお前もそれに巻き込まれたのではないかと考えているが……。“天使を見ることができる者”が集中的に現れたこと、私が前々から探っている対象がベヨネッタというアンブラの魔女を誘き出すため策をこうじたこと、そして三界の接近だ――――」
 三界については相手は無知であるだろうと三界が何なのかという説明を加え、それから続ける。
「お前たちの属していた平行世界も、それに伴って接近してしまった可能性があるという事だ。ジュベレウス復活と三界統一を前にして。無論、私の憶測だが……。ところで――――」
 数歩、ゆっくり歩を進ませて一旦止まれば、顔だけを相手に向ける。
「日本の会社の社員がヴィグリッドにどういった用件で来たんだ? ……質問ばかりですまない。私も名乗るべきだな……私はカエルム。アメリカの情報屋だ……とはいえ此処に来たのはビジネスではなく私情からで、今は休業中ということになる」

 ちょっとした自己紹介を終わらせた青年は指を鳴らし、身にまとう衣装を変化させた。白と金を貴重とした大口袖の法衣である。胸元には変わらず太陽を象った懐中時計が光を反射し輝いていた。
「この街では逆にこの格好の方が目立たない。彼女が私に案内したい場所があるとせがむから、用が済み次第、私は人間界に戻らせて貰う。……お前はどうする?」
 足元に来た黒猫の頬を撫でながら青年は相手に訊ねた。既に青年の目の前には人間界へと通じる金色の円が空中に描かれている。


>クルワッハ

【カエルムが基本的に人間界にいるのは、逆に目立たなくさせるためですね。戦闘を好まない性格なので、よく逃げます(笑)】

2年前 No.71

半竜クロウ・クルワッハ @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_Gtr

【ヨーロッパ/ヴィグリッド/広場/クロウ・クルワッハ(擬態解除)】

やはり、この世界の住民には三界で形成された世界以外にまた別の世界が存在しているという事に驚いているようだ。
彼の住む世界も天界、人間界、魔界の三界から成り立っているが、あんなおぞましい天界の住民はいない。
幻影がバサリッと巨大な翼を羽ばたかせると共に乳白色の霧となって飛散し、
その中心から翼を広げた彼が再び姿を現し、ゆっくりと立ち上がった。

「ふぅ…これ、結構疲れるんだよね…」

と、彼は伸びをしながら周囲に漂う自身が発した乳白色の霧を吸い込んで力を再吸収する。
すると、銃の構えを解いた青年は腕を組み、興味本位からなのか、はたまた真面目な思いからなのか、こんな質問を彼に投げかけた。

『……ただ仮にそうだとしてもお前が天界に、光に属する者なら、お前とは“契約”は出来るのだろうか……?』

「まあいい」と自分が先程いった言葉を取り消すように流した青年に彼はこう言った。

「んー…純血のサファトなら実際に人間と契約した個体も何匹かいるけど…半分人間の俺は弾かれるだろうね…。」

曽祖父の知り合いに何匹か、賢者と謳われたり、聖人と言われた人間と契りを交わしたとは聞いている。
一応事実ではあるので、一応と思い彼は自論を交えて契約について話す。

『クルワッハ。……そういえば、お前は自分が何者かを前に誰かに説明したと言ったな? いったいそれが誰に対してか憶えていないか?』

その言葉を聞き、彼は墓場で会ったあの女性の特徴を思い出す。
長い艶やかな黒髪に白い肌、体のラインを引き立てる黒いレザースーツ、赤い縁のメガネ…

「赤いメガネをした長い黒髪の女性だ。肌は白く、黒いレザースーツを着ていた。彼女は自分のことを“魔女”と言っていたな。
彼女と出会ったのはとある墓場だ。と言っても、俺が単に迷い込んだだけなんだけど。
そこで初めてこの世界の天使を見たよ。あんな奴等の蔓延る天界なんて俺はごめんだね。」

そして、青年は復活祭、この世界では妙な出来事が多発している。と説明しだした。

「ふむ…巻き込まれ…はぁ〜…。またかよ。10年ぶりの巻き込まれって奴か?」

お前もそれに巻き込まれたのではないかと考えていると聞いた彼はまたかと言わんばかりにため息を一つ。
どうして10年前も今も厄介ごとに巻き込まれるのだろうか…。いくら体質と言っても度が過ぎている気がする。
青年の三界についての説明やジュベレウス復活と三界統一と言う妙なワードに引っかかりつつも
彼は黙って話を聞いた。こちらの天界や魔界もこちらの三界の接近と共にそれに伴って接近してしまった可能性がある。
そう考えれば確かに府に落ちる気がする。質が違うだけで根本が同じならば、引き寄せられてもなんら不思議はない。
青年は数歩、ゆっくり歩を進ませて一旦止まれば、顔だけをこちらに向ける。

『日本の会社の社員がヴィグリッドにどういった用件で来たんだ? ……質問ばかりですまない。
私も名乗るべきだな……私はカエルム。アメリカの情報屋だ……とはいえ此処に来たのは
ビジネスではなく私情からで、今は休業中ということになる』

またまた質問が飛んできた。そして青年も名乗ってくれた。アメリカの情報屋でカエルムと言うらしい。
ラテン語で天空を意味するその名は彼の中に小さな疑問を植えつける。あの能力といい名前といい…
このカエルムと言う青年も天界に関係があるのではないかと彼は憶測を立てるが、口には出さなかった。
さて本題に戻ろう。何故、日本の会社員がヴィグリッドにいるのか。彼は経緯を話すことにした。

「きっかけは一本の電話。ヴィグリッドにある取引先との連絡中、ホラー映画顔負けの現象が起こったと聞いた。
取引先との電話の相手は俺の上司。上司の話によると、話の途中に電話相手の断末魔のような悲鳴と
おぞましい化け物のような叫び声を最後に通話が切れてしまったらしくてね。
取引先がお得意様だったからなにかに巻き込まれたのではと言う憶測の元、調査に俺が向かったわけだ。
だけど、取引先のあるイスラ・デル・ソルへ行くための手続きが遅れて、2日間ヴィグリッドに滞在することになったわけだ。」

そして、黒猫と会話しながら人間界に帰る様子のカエルムがお前はどうする?と問いかけてきたため、
彼は角、翼、尾を格納し、鱗を後退させて足の骨格を人のものに戻しながら先程脱ぎ捨てたサンダルを拾い上げて履くと

「俺も人間界に戻るよ。一応、調査中といえども出張扱いだからね。ずーっと姿を消したままイスラ・デル・ソルに
向かったって良いんだけど、船着場の人の労力を無駄にしちゃ可哀想だからね。」

このままイスラ・デル・ソル行きの船に無銭乗船しても構わないのだが、
無銭で行くのもアレだし、必死に承認不可の不具合を直そうとしている船着場の人のことを考えると気が引ける。

>カエルム

2年前 No.72

ルーメンの賢者カエルム @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 プルガトリオ→人間界/ヨーロッパ/ヴィグリッド街中/広場/(祭礼用正装) 】


 幻影は乳白色の霧となって消え失せ、竜翼を背に携えた半竜半人の青年が再び姿を現す。疲労が溜まることをぼやきながら霧を吸った彼は、白い法衣姿の青年、カエルムの契約に関する質問にもわざわざ答えてくれた。
 やはり予想と同じ答えに相槌を打つ必要もないと、カエルムは黙って流したが、異世界に於いても人間が魔神或いは天使と契約を交わすことがあるのだと少々感心したような表情を見せる。

「……?」
 その後、半竜のクルワッハは彼が接触した“天使を見ることができる者”の特徴を並べたが、その特徴を聞いたとたんある人物の姿がまず頭に浮かび上がった。間違いない。その人物は……
「――――ベヨネッタに会ったのか?」
 黒猫を撫でる手が一旦止まる。ベヨネッタはイザヴェルグループの真の目的を知るための手掛かりであり、レフトアイの所有者。イザヴェルグループを探る情報屋カエルムにとって鍵となる存在であった。
「あの女は確かに魔女だ。かつて此処ヴィグリッドに存在した伝説の闇の一族アンブラの魔女の生き残りであり闇の左目“レフトアイ”という宝石を所有している。世間ではレフトアイ、そしてその宝石と対になるライトアイを手にしたものは“創造主の力”を得ると云われ、しばしば歴史の中で争いの渦中に存在していた……」
 よくネットで囁かれるような都市伝説めいた話を交えながら、相手が信じてるか否かさえ気にせず続けた。
「――そのライトアイがブラックマーケットで売りに出されたが、それはレフトアイ所有者であるベヨネッタを誘き出すためのイザヴェルグループ側の工作だ。詳細はわからないが、ジュベレウス復活と三界統一に、ベヨネッタ、そして“世界の目”が関わっているのだろう。そして500年前もきっと、この目が関連していたと推測している。500年前……両一族が歴史から忽然と姿を消した時代だ――――」
 どうしても思い出せない500年前の記憶。その時代に何があったのか、カエルム自身真実を知ることはかなわない。ただ、元々アンブラの魔女が闇の左目を、ルーメンの賢者が光の右目を代々継承し守ってきた時代が突如終わりを告げたのは、そこに何かがあったからだ。
 自分自身が現代へ来た理由とは、記憶から欠落した500年前の魔女狩りの真相とは、親友マリーはどうしているのか、消された記憶を補うように欠落した自分自身を補うように、カエルムはイザヴェルグループやヴィグリッドの歴史を探り続け今に至っている。

「――――――化け物のような叫び声……?」
 クルワッハがヴィグリッドへ来た理由を聞いてみれば、思わず眉間にしわを寄せて聞き返した。
「それは何かしら裏がありそうだな。化け物というのも……まさかな……。……その取引先はイザヴェルグループの傘下にある会社に違いないだろうが」
 イスラ・デル・ソル(太陽島)に会社を構えているという事はイザヴェルグループと強い繋がりのある会社である可能性は高い。さらにカエルムはその化け物は天使ではないかと踏んでいた。ただ仮にそうだとしても、その理由は不明である。
「私もイスラ・デル・ソルには用事がある。何せイザヴェルグループの総帥バルドルがいる場所だ。噂だと、その男は“光の一族ルーメンの賢者の末裔”としてヴィグリッドの人間からは崇拝されているらしい。この男こそブラックマーケットに例の宝石を売りに出した張本人、真相を握る人物だ」
 太陽島のある方角を見据えたカエルムは、彼がよく知るルーメンの賢者バルドルのことを思い出していた。彼はあのバルドルとは先祖と子孫の関係なのだろうか、或いは本人なのだろうか、カエルムにとって、失われた時代を唯一繋ぐ存在として興味深い対象である。

「なら、この魔法陣を通るといい。私は先に行く」



>クルワッハ

2年前 No.73

半竜クロウ・クルワッハ @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_Gtr

【ヨーロッパ/ヴィグリッド/広場/クロウ・クルワッハ(擬態解除→擬態中)】

『――――ベヨネッタに会ったのか?』

自己紹介をした人物の特徴を話していると、人名らしき言葉がカエルムから発せられた。

「…ベヨネッタ…あの人、そういう名前だったんだ…」

彼は名乗られていなかったため、名前が分からなかったがこれであの女性と
ベヨネッタと言う名前を脳の中で一致させることができた。

「あー…頭の整理が追いつかねぇよ。話が壮大すぎるって…」

彼とて竜と言えどもまだ二十数年しか生きていない若者だ。こう言った大昔の話には疎い。
母や祖父母、曽祖父母だったら何か知っていそうなのだが…

『――――――化け物のような叫び声……?』

ヴィグリッドに赴いた理由を話すと、カエルムは眉間にしわを寄せて聞き返してきた。
彼はその言葉に「どうもそうらしい」と返し、頷いた。
カエルムは取引先がイザヴェルグループの傘下にある会社に違いないだろうと言うが、まさにその通りだ。
イザヴェルグループが取引先の後ろにあることだけは彼以外にも上司含め会社の同僚も知っている。
そして、イザヴェルグループの総帥バルドルと言う男の情報。
“光の一族ルーメンの賢者の末裔”であり、ヴィグリッドの人間からは崇拝されているということ。
ブラックマーケットに例の宝石を売りに出した張本人、真相を握る人物であること。

「どんどんスケールがでかくなるな……俺、どんだけ巻き込まれるんだろう…
とりあえず、人間界に帰らないと…。書類も作らなきゃならないし。」

10年前より下手したら厄介なのではと彼は一人ため息をつく。これでため息つくの何度目だろうか。
そろそろ人間界に戻ってアメリカでの調査の報告書を作成しなければならない。
そう思っていると、カエルムはあの魔法陣を作り上げ…

『なら、この魔法陣を通るといい。私は先に行く』

そういい残して去って行ってしまった。彼もあとに続き、魔法陣を潜り抜けて人間界へと戻った。
誰もいない。ふわりと風が凪いだ。残された静寂の中で、彼は滞在先へと歩き始めた。

>カエルム

2年前 No.74

アンブラの魔女ベヨネッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 プルガトリオ/ヨーロッパ/ヴィグリッド街中/駅舎→地下遺跡 】


 不法侵入者の存在を知らせる警報が鳴り響く駅舎で、アンブラの魔女ベヨネッタはそのまま階段を下りた。その突き当たりには不思議な共鳴音の響く怪しい壁があり光る球体が埋め込まれている。気になって近付くベヨネッタであったが、球体の光は強さを増した。

「ふーん。まるで私の“魔女の力”を待っていたかのようね……。まあ、こんなに存在感を放っているんだから、何もなかったら許せないけど」

 腕を組みながら独り言を呟いていたかと思えば、彼女は思い切り壁に強い蹴りを食らわした。蹴られた部分は不思議なことにその先の空間を覗かせ、壁の向こうに隠された場所があることを示している。
 そうと分かれば後は思い切り攻撃をするだけだ。それでベヨネッタは高速で蹴りやパンチを壁に与え、その先へと侵入していった。だが入ったとたん壁は修復し、後戻り不可能な状態となる。

「ジーザス……こんな場所が隠されていたなんて驚きね! ワクワクするじゃない?」
 両脇には天使と悪魔の像、大きな深い溝を挟み、向かい側にある大扉のところにも同じものが置かれている。何処か懐かしさを覚える空気と、冒険心を擽る遺跡の存在に、ベヨネッタも興味津々だ。
 だが、彼女は溝を見事二段階ジャンプで飛び越え、次の部屋へと続く大扉の前まで来たのはいいものの鍵が必要であることを知って面倒臭そうな表情を見せた。
「今更そんなことってアリなのかしら……? 鍵がないなんて……ゲームみたいに都合よく近くに落ちている、なんてことは無いとは思うけど……」
 本気ではなかったが探さないよりはいいだろうと、ベヨネッタは溝の底へと自由落下した。落下した際の衝撃波のように赤い光が足元から放たれる。

「――――あれは何かしら……? 箱のようだけど……」
 そこで見渡す手間もなく、金色のオブジェが彼女の視界に入った。黒い箱の上に太陽の紋章が刻まれた大きな蓋が乗っているのである。
「何かを封印してるようね」
 ベヨネッタの脳裏にはこの箱の中に鍵が入っているのではないかという考えが過ぎった。つまりこれを破壊することで分かるというわけだが、普通の神経をしていればよくわからない封印を解こうとなど考えないだろう。だが、この魔女だけは別だったのだ。彼女は何の躊躇もなく金色の蓋を破壊し、その中から飛び出したものを拾い上げた。巨大な剣ではなく、まるで大剣の如き大きな鍵だ。

「今日はついてるわね!」
 鍵が見つからなかったら待つ羽目になっていたことを思うと、ひとまずは安心である。ベヨネッタは鍵を持ったまま足場を使って再び大扉の前まで戻っていった。



>All

2年前 No.75

ルーメンの賢者カエルム @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 人間界/ヨーロッパ/ヴィグリッド街中/路地/(祭礼用正装) 】


 不思議な竜の青年クルワッハと出会いそして別れてから、カエルムはクルワッハが言っていた謎の叫び声の話のことを思い返していた。クルワッハの会社の取引先、イザベルグループ傘下にあるという企業で何者かに襲われたと思われる社員。その社員はいったい、何故襲われたのであろうか。
 イザベルグループが関連しているとなれば、自分の調査する事とも無関係ではないだろうが、何にせよイスラ・デル・ソルには向かわなければならない為、わざわざ他人に関わりにいく必要はないだろうと黒猫と共に彼は一人路地を進む。




「……?」

 人通りの少ない石畳の静かな路地。既視感のある風景。とてつもなく懐かしい心地がカエルムから溢れ出す。ふと見上げた十字路の中央にある看板には“この先 ヴィグリッド歴史博物館”と記されていた。
 カエルムはその懐かしい感覚を追い掛けて、そのまま路地を進み、巨大な石の橋が掛けられた渓谷までやってきた。橋の向こうには見事な歴史的建造物が聳えている。

「――――此処は…………」
 間違い無い。今では博物館として機能させている為に、安全面からかなり改築や整備がなされ、彼が生きていた500年前とは大分外観が異なって見えるが、カエルムにとって非常に馴染み深い場所であった。
「私が過ごした場所。まさか博物館になっていたとは」
 彼は複雑な表情でその建物を眺めた。自分が生きていた時代からは遠く離れた時代に来てしまったのだという寂しさが、素直に喜ぶことを妨げていたのである。
 現代に来てから20年以上は経っているが、元の時代へと帰りたい。そういう気持ちが無いわけではなかった。何のために此処へ来たのかわからない故に、余計にそう感じていたことだろう。

『その先へ進みなさい』
 眺めるだけで、躊躇から先に進めないでいるカエルムの背後から突然声が掛けられた。中年ほどの男性の声だが、よく知っている声のような気がした。

「…………!?」

 カエルムは一瞬驚き、無言で後ろを振り返る。陽光によって、その姿は光に色彩を吸い込まれ朧気にしか見えなかったものの、彼の目は、そこに白い法衣の男が佇んでいる姿を捉えていた。自分と同じライトブラウンの髪、胸元で輝く太陽の懐中時計、何処か憂いを秘めた眼差し。その光の幻影のような“何か”は驚くカエルムとは対照的な、実に穏やかな声で言葉を紡いだ。

『失った記憶を取り戻せるのは自分自身だけだ。真実と向き合いなさい……カエルム』
「……何故私の名を……? お前はいったい――――――」
 知らない者から名前を呼ばれ、本当にただ者ではないと感じたカエルムは、先ずは相手がどの様な存在かを訊ねる。それに対し声は“時の観測者”を名乗った。
 ただ、何故名前を知っているかは教えてくれず、代わりに忠告のような言葉を言ったのだ。

「“采配の者”……力を求め、お前を消そうとする者がいる。天界の者も、そして――――」

 だが最後まで言い終える前に、時の観測者は消えてしまった。呼び止めようとしても無駄であり、質問も出来ない。ただ意味深な単語を、カエルムはその意味を解せぬまま呟く。
「…………………………“采配の者”?」
 記憶にない言葉であり、その意味もわからない。ただ“天界の者”が己を消そうとしていることに関しては事実であり、仮に忠告が真実であるとすれば、その“力”が自分と関わりがあるということを示している。さらには天使たちの目的が何かを伝える手掛かりだ。

 目の前で信じられないような出来事があり考えることに夢中になっていると、横から小さな案内人がカエルムに声を掛けた。それで我に返りそういえばと足元を見下ろす。
「……この先に落とし主が?」
『ミャン』
 黒猫の鳴き声を合図としたかのように、一人と一匹は大きな橋を渡り始めた。橋の下は底がよく見えない渓谷であり、高所恐怖症なら欄干の外を見てはならないだろう。ましてや橋が破壊されるなどという事が起これば大惨事――――――

 メキリッ! バリリ……バリリリリリリリ…………!
《ギャァアアアアアアアアアアアアアア!!!》
 ガラガラガラガラ…………ゴロロロロロロ

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!


「……些か乱暴なやり方だな…………………」
 ……という具合で、不幸にも“天のご意志”によりその大惨事が橋の上を走る彼らに降りかかってしまう。何百年も街中と向こう側を繋げていた堅固な石橋は、この日を以て終わりを告げた。
「さあ急ぐぞ!」
『ニャァアア』
 崩れ始める橋をそのまま強行突破で渡りきろうとするカエルムであったが、突然火炎岩が此方に迫ってきた。その攻撃をもろに受けてしまった彼は黒猫、橋の瓦礫と共に真っ逆様に谷底へ向かって落下していく。


>ヴィグリッドAll

2年前 No.76

選ばれし《人の子》 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=VoXzMKUUDc

【 アメリカ合衆国某州/“掃き溜め”Little Devils/モーニングスター】

「へっ、話のわかる奴で助かったぜ。俺はモーニングスターって名乗ってる。どうせ本名は無いんだ、どうとでも呼んでくれや。あー、痺れが……イチチ……」

 アクロバットを決め込んだせいで、がっしり掴まれてた右腕に遅れて痺れが来た。独特の痛みを振り払うように右腕を上下に揺らしつつ、生き残っている左腕でアンドレ十字を手早く回収した。チャリという小気味良い音が気分を紛らわせてくれる。
 さて、目線を再び正面へと戻すと、如何にもというような魔法陣が空へと展開されていた。目の前の“人形”、色々とイメージとは違ったのだが一応は立派な“魔女”らしい。__先程から気になっていけれど、コイツ本当に魔“女”か?__んなのどうでもいいか。いいのか?

「あ、ああ……。サンキューな!覚えるのはタダだし、頭の隅っちょに置いとくぜ。んじゃ、少し試させてくれや。」

 言うが早いか魔法陣へと顔だけを突っ込み、すぐさま外へと引っ込めてから一本の【ダガー】を手元に召喚、魔法陣へと素早く投げ込んだ。数瞬遅れて、壁の一点が突然凹んだ。よく見ると、凹んだ部分に薄く靄のようなものがある。“物質”だから見えているのか、召喚した能力者自身だから見えているのか、それとも天使に干渉できるから見えるのか……自分では正直分からないけれど、取り敢えず魔法陣が本物であることは確か。こいつを使えば間違いない。
 魔法陣から少し離れると、“魔女”は他の依頼人に声を掛けていた。ああ、そういえばアクロバットした時に誰かが咳き込んでたっけ……。振り返ってみると、“完全に真っ白い”男が一人、佇んでいた。

「へぇ……記憶に運命__ね。“面白そう”じゃねぇか、なあ?俺だってぶっちゃけ私情たっぷりだ、そこらは気にしなくていいんじゃないか? 運命に導かれた以上仕方ない__それぐらいの心意気でいいだろ。」

 記憶がない、自分とは真逆の減少に悩まされている御仁のようだった。だから、その痛みはわからない。でも、身の上すらハッキリとしていない不安さというヤツは人より解っているつもりだ。だからこそ“面白そう”と表現した。人には味わえないこの状況、寧ろ楽しんでしまえ。でなきゃ、損をするだけだろう?__と、男なりの考えで以て放たれた言葉である。
 言葉を後方の白男に掛けた後、再び魔女の方へと向き直ってみせる。男はそっと軽い口を開く。

「で、さ……俺、外の方で絡んで来たのを数人伸してきちまったんだけど__なんか、結構な“お偉いさん”だったみたい。ってわけでさ、此処から早速プルガトリオ入りさせてくれ!頼む!」

 きっと魔女にも、記憶喪失気味の白男にもわかるだろう。流石“掃き溜め”というべきか、探偵事務所周辺は“いかにも”な漢達に囲まれていた。さっき格好良く台詞を決めた割に、何とも情けない依頼である。

>>オーネット,白血球,(ルーミア)

【返信に気付くのが遅れてしまいました……申し訳ありません!】

2年前 No.77

アンブラの魔女ベヨネッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 プルガトリオ/ヨーロッパ/ヴィグリッド街中/地下遺跡→駅舎 】


 大鍵を持っていた扉の前にやってきたベヨネッタであったが、先に行かせることを妨害するように突然ヘイロウが空中に現れ、下級三隊天使アフィニティが三体登場した。とはいえ彼らのプルガトリオでの滞在期間はとても短いものであった。ベヨネッタが大鍵を使って高速スピン連続攻撃を与えると、しばらくもしない内に彼等は三体とも仲良く昇天したのだ。
 一切この魔女に触れることもダメージを与えることも出来ず、降臨したことに後悔を込めた断末魔をあげて消えてゆく天使達の姿を、ベヨネッタは嬉しそうに「ピュアプラチナね!」と第三者から聞いたらよくわからない言葉を発してガッツポーズを取った。

「さて、次はどんな子が待ち受けているのかしら?」
 そうして鍵を開けて次の部屋へと足を踏み入れたベヨネッタは、不思議な感覚のする方へと顔を向ける。左奥には水晶の像があり、賢者の像の隣には魔女狩りの爪痕を残すように砕かれた魔女像が――――。

「ふーん、随分魔女に容赦がないようね。物騒な世の中だわ……。――――――はぁぁああああ……! ぃやあっ!!!?『ギャァアアアアアア!!!!』
 再び断末魔が響いたかと思えばベヨネッタは振り返り際に回し蹴りで長い脚を振り上げており、その衝撃をまともに喰らったアフィニティが消滅霧散した。
「背後から女を狙うなんて、いけない子!」
 口元に指を添えて、彼女が光の結界に投げキッスをするとそれは砕け散り、壊れていた魔女像を修復した。そして賢者像の方を見やれば「アンタも相方がいたほうが様になってるじゃない?」と冗談めいた言葉を零す。

「……それにしてもこの像……見覚えがあるような――――」
 はっきりとは覚えていなかったが不思議なことにどうすればよいのかははっきりと分かっていた。その感覚に従って契約悪魔マダム・バタフライの腕を召喚し像を持ち上げ、彼女は光陰術“ウィッチタイム”を発動させ水面を走って渡る。
 術が解けたときには既に向こう岸にたどり着いており、ベヨネッタは魔力で動く円形のエレベーターに飛び乗った。当然ワイヤーなどもないエレベーターは、地上にベヨネッタを送り停止。観賞用植物やベンチが並ぶ光の差し込む駅舎の中には市民達の姿が数人見られたが、突然上昇してきた丸い金属を見て皆動揺していた。
「市民達も、地下にあんな遺跡があるなんて知らないでしょうね……」



>ヴィグリッドAll

2年前 No.78

ルーメンの賢者カエルム @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 人間界→プルガトリオ/ヨーロッパ/ヴィグリッド/渓谷→上空/(祭礼用正装) 】


 石橋が何者かに破壊され深い渓谷の底へと自由落下していく一人と一匹。自分は大丈夫とはいえ、このまま行けば黒猫は即死が確定だ。
 その時金色の光がカエルムから放たれ、その背に天使を彷彿とさせるように大きな純白の翼が開かれる。下級三隊大天使アプラウドの翼。彼はその翼でバランスを整えながら、落下する黒猫の方まで急ぐ。

『…………』

 見れば黒猫は気絶していた。彼女をそっと抱き締めたカエルムは徐々に落下速度を落とし、落ちてくる瓦礫を紙一重で回避。光陰術“ライトスピード”を発動させ、宙に停まる幾つもの瓦礫の上を跳躍しながら橋の向こう側――博物館のある地面へと辿り着いた。と同時に光陰術は解かれ、瓦礫と化した石橋は一気に遥か下へと消えていく。
 それを見ていたカエルムは、思い出したようにまだ目覚めない黒猫を茂みの中に寝かせ、再び渓谷の方へと向き直った。

「…………この気配は――――――――?」
 凄まじいローズマリーの香りと、強い光の気が辺りに漂っている。橋を壊した犯人に違いはない。しかも天界の住人の中でもかなり高次な存在だ。
 カエルムは徐に二丁拳銃を召喚。その後プルガトリオへと進入し警戒を周囲に向け始める。

「隠れていないで出て来たらどうだ!?」
 気配はするのに見えない相手に彼はそう叫んだ。だが次の瞬間。上空から炎の岩が彼を襲う。
 咄嗟に回避したカエルムはすぐさま上空を見やり、そこで逆さまの人面を持った歪な巨竜の姿を捉えた。天界の偉大なる意思、伝説の存在“アウディティオー”の一柱フォルティトゥード(四元徳:勇気)だ。

 普通の人間が見たならば思わず恐怖してしまうだろうが、その厳つい強烈な姿を目にしたカエルムは、特に怯えてもいないような余裕綽々の態度で相手を凝視し銃口を向けた。

「天使のぶんざいで、ルーメンの賢者である私によくもその様な――――」
 彼は大天使の武器である大弓に持ち替え地面を強く蹴り上空へと跳躍した。その際に分解した大弓を剣のようにして思い切りフォルティトゥードを斬りつけ、そこで発動した光陰術を利用し大天使の翼を広げもっと高く飛び上がる。
 気付けばヴィグリッドの街がよく見える高さまで昇っていた。そんなカエルムを追い掛けながらフォルティトゥードは炎の岩を放ち、逆にカエルムは攻撃を避けながら天使の巨大な顔面に向かって矢を射続ける。
 フォルティトゥードを攻撃する度に魔力が高まっていくのを感じていた。


>ヴィグリッドAll


【イベントとして皆様にはフォルティトゥード戦をベヨネッタの回想の代わりにやっていただこうかと考えております!その際は上空にいるカエルムがフォルティトゥードを駅舎の方へとぶっ飛ばすので、メイン戦闘は別にありますから殺さない程度に戦ってください。よろしくお願いしますm(_ _)m】

2年前 No.79

半竜クロウ・クルワッハ @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_BDB

【ヨーロッパ/ヴィグリッド/宿泊所自室→駅舎(プルガトリオ)/クロウ・クルワッハ(擬態中→擬態解除)】

彼は宿泊所の自室で書類の作成を終えると、しばし横になる。
そして、ぼんやりと窓の外を見つめた後、再び気分転換にでも行こうかと起き上がった。
せっかくなら堅苦しい擬態は解いてありのままで歩き回りたい。
彼は部屋の中で広場でやったように頭部のみを竜化させ、再び空間を噛み裂いていびつな魔法陣を作り出す。
その中に飛び込んだ彼は一気に擬態を解き、スリッパを脱ぎ捨てて部屋をそっと出る。

久々に、空を飛んでみようか。子供の時と違って翼は大きくなっている。
飛べる時間も延びているはずだ。彼は外へと歩みを進め、宿泊所を出ると大きく翼を羽ばたかせ、飛び立った。
上昇気流を翼で捕らえ、時折円を描くように悠々と空を飛ぶが街の者には彼の姿は見えない。
久しぶりだ。なにも障害物のない大空をこうやって飛び回るのは。
彼は暫く飛び続け、駅舎の方まで赴いてみる。あの駅でも酷い目にあったな。
空港での厳しすぎる審査を通ったら次は鉄道でもっと厳しい検査。ヘトヘトになったのを覚えている。
すると、突然上昇してきた丸い金属に見覚えのある女性が乗っているのが視界に入った
彼はゆっくりと下降して女性に近づくと…

「やあ。またお会いしたね…ベヨネッタ…で合ってるかな?アメリカ以来だね。あの時は世話になったな。」

ホバリングをしながら少しずつ下降を続け、やがて爪先立ちの鋭利な鉤爪の生えた足を地に付ける。

>ベヨネッタ

【またまた絡ませていただきます。】

2年前 No.80

アンブラの魔女ベヨネッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 プルガトリオ/ヨーロッパ/ヴィグリッド街中/駅舎 】


 目の前に伸びる、光の差し込んだ長い廊下を見やると、そこに実体を持った見知った竜の姿を眼鏡越しに捉える。ラメ入りの紅を塗った唇の両端はあがり、魅力的な靨(えくぼ)が出来上がった。

「Hi! まさか此処でもアンタに会えるなんて、偶然とは思えないわ、クロウ」
 黒いキャットスーツの革に包まれた長い脚を交差させ、腕を組みながら小首を傾げる。
「――――しかもプルガトリオに? 誰の差し金でヴィグリッドに来たかは知らないけれど、そもそも誰がアンタをプルガトリオに送って、私の名前までわざわざ教えたのかしら?」
 クロウに名乗った覚えが無かったため、ベヨネッタはすぐさまおかしいことに気づき彼に訊ねた。それに、クロウが自分で魔法陣を作り出せることなど知らないベヨネッタには、別世界のクロウが魔女のようにプルガトリオに進入できたことも、誰かが裏で絡んでいるのではないかと疑わせるには十分過ぎることである。

「私のことを知っていて、しかも魔法陣を作れる……。まさか、あの時の情報屋が――――――?」
 空港で共闘した眼鏡の青年。きっと彼もヴィグリッドに来ているはずだ。自身とヒケをとらない能力、光陰術など同じ力に驚いたが、彼も自分と同じ生き残りの魔女なのだろうかとベヨネッタはたまに思い出しては考えることがあった。
「彼が魔女だったら、また会ってみたいものだけど。私の秘密を知っているかもしれないし」


>クロウ

【絡みありがとうございます!】

2年前 No.81

半竜クロウ・クルワッハ @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_BDB

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2年前 No.82

アンブラの魔女ベヨネッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 プルガトリオ/ヨーロッパ/ヴィグリッド街中/駅舎 】


 何気に大胆なことを言った目の前の竜をからかうような眼差しで見詰めれば「男はそれぐらいがいいんじゃない? ただ、やりすぎは禁物だけど。私の身辺を嗅ぎ回る悪い子な子猫ちゃんとか……」と色男を気取るジャーナリストの男のことを思い出しながら呟く。どうやら“口説いていない”と主張するクロウの言葉を、この魔女は敢えて聞き流しているようだ。

「――――なる程。それで偶然ヴィグリッドに来ていたという事ね? じゃあ“運命の出会い”というのは本当だったのかしら?」
 ふざけているようにも聞こえるが、この時のベヨネッタの表情は真剣なものであった。
「プルガトリオに入れたことについてはその情報屋を疑ったけど、まさかアンタに魔法陣を形成する能力が隠されていたなんて……だてに天界竜の血を引いているわけではないようね。少々手間は掛かるようだけど」
 正直自分が作り出したのを感覚だけで分析し空間を歪められたことに驚きを感じざるを得なかったが、クロウも一応半分は天界に属する者であることを思い出せば不思議なことではない。
 とはいえ自分や情報屋の青年が瞬時に魔法陣を作れたのに対しクロウのそれはやや手間を要することから、慣れているわけではないのだろうと予想する。

「――その情報屋で間違いない。私も空港で彼と共闘したわ」
 エンツォにイザヴェルグループがライトアイを競売に掛けたという情報を提供したのは、まさしくその情報屋であり、天使と戦えるならばクロウと共闘した男と空港で共闘した男は同一人物の可能性が高い。ただ、気掛かりな言葉にベヨネッタは眉間にしわを寄せ「――光……?」と聞き返した。
 彼は天使ではなく正真正銘人間であったはずだ。天使以外で光の力を操るとすれば……。その時ベヨネッタの脳裏に地下遺跡で見掛けた水晶の像、粉々にされていた魔女像とは対になる、光輪を頭に携えた聖人(賢者)の像が浮かび上がる。
「――――“ルーメンの賢者”……? 信じられない……」
 ゲイツオブヘルの店主ロダンから聞かされた話によれば、500年前、賢者一族は全て根絶やしにされたと聞いている。ベヨネッタからしてみれば、現代に絶滅したはずの生物が生きていたことを告げられたような驚きだ。また賢者であろう者が天使に襲われるとはどういうことなのだろうかと半信半疑だ。

「ライトアイがイザヴェルグループの手によってブラックマーケットの競売に掛けられたことは、私のお友達の情報屋から聞いているわ。実際には彼の知り合いの……例の“賢者の情報屋”から意図的に流されたものだけど」
 クロウも情報屋から同じ様なことは聞かされているらしく、いったいどういった意図があるのだろうかとベヨネッタの中で情報屋に対する不信感も募る。

「世に煌めくイザヴェルグループなら、それだけ深い闇があってもおかしな話は無さそうね……」
 光り輝くほど闇はその深さを増すとはよくいったものだが、イザヴェルグループもまさしくそのような存在だ。そしてその中核にいる人間の存在をクロウは知っているようであった。
「……売りに出した張本人?」



>クロウ

>ヴィグリッドAll

2年前 No.83

洗濯板の蟻 @sentakuari ★pl3L5xkSi4_dbt


【ヴィグリッド/駅舎近辺/ルーミア】


あの人形さんが作りだしたゲート。
それを潜り、なんか凄い乗り物に乗ってヴィグリットに辿り着いた。

あそこで一緒に居た人達とは移動中に逸れてしまった。
そも、普段から闇で体を包んでいるルーミアにはほとんど方向感覚と言うものが無い。
幻想郷に居た時もその辺をふよふよ飛んで過ごしていたのだ。

「……カラスって光るモノだったかなぁ?」

道端で木の実を啄んでいる、首に赤い宝石の様な物を付けたカラスをジッと見つめながら呟くルーミア。
幻想郷にもカラスは居る。ルーミアが会った事のあるカラスはカメラを持って新聞記者をやっていた。
あのカラスがここに居たらきっと新聞どころの騒ぎじゃないだろう。

「…………」

カラスはルーミアには気付いていない様だ。
ルーミアはそっと手に魔力を込め、弾幕を放とうとする。

が、いざ撃ち出す前にそれを察知されたのかカラスは飛んで逃げてしまった。
流石に宙に浮く黒い球体は目立ち過ぎた様だ。

「………カラスって美味しいのかなぁ。」

ルーミアは闇をかき消して地面に降りると、カラスを追って駆け出した。


>>周辺ALL

【うぐぅ、やっとできた。ヴィグリットから再開始です】
【急造文なので何か問題などありましたら直して再投稿します】

2年前 No.84

ルーメンの賢者カエルム @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 プルガトリオ/ヨーロッパ/ヴィグリッド/上空→駅舎付近/(祭礼用正装→アン・ブランクライマックスver戦闘用正装) 】


 カエルムとフォルティトゥードは海の向こうで輝くイスラ・デル・ソル(太陽島)が眺められる上空まで達したが、そこにはカエルムなりの意図が存在していた。
 何故なら、火を司るラグナの神フォルティトゥードは、大地と結び付くことで絶大な破壊力を表すが天空へ行くことで攻撃パターンは単純化するからである。地を裂きマグマを噴き出させる伝説が数多く残ることからも彼が最も力を発揮できるのは地上だ。ならばそこから離せば有利に立てるという単純な考えであった。

 するとフォルティトゥードが一旦攻撃を止めれば、エノク語でカエルムに語りかけてきた。
『采配の者を生かしておくわけにはいかない。そして生き残った哀れなルーメンの賢者、お前は此処にいて……ぐぁあっ!?』
 だがカエルムには全く記憶にないことで、それが気に入らなかったのか喋るフォルティトゥードの人面に有無を言わずに何発も銃弾を放ち黙らせた。
「――――演説の途中にすまないが、何のことなのか理解が出来ない。人違いじゃないのか…………?」
 そのカエルムの態度で業を煮やしたのであろう。フォルティトゥードが二つの竜の頭で突撃してきたのだ。
 それぞれで襲い来る龍の頭をかわしながらカエルムはそれらに蹴り技で攻撃を与え、ステイレットで右側の赤い竜頭の額で輝く、宝石のような部分を狙う。怯んだフォルティトゥードの隙を狙うように、分解した大弓を使い即座に連続スピンで継続的に攻撃を加えた。
 そのすぐ後に、左側の青い竜頭が反撃に出てカエルムを巨大な顎で噛み砕こうと噛み付く。けれどカエルムも負けてはおらず、強制的にフォルティトゥードの顎を開けさせれば、口腔内に弾丸を撃ち込んだ。

《グァァアアアアアア!!》

 流石に堪えきれずカエルムを外へと吐き出し、本体である巨大な人面がくぐもったような低い声で『どうやら記憶が無いようだな。用があるのは最初から別の人間だ。お前の始末は“生き残りの魔女の男”がやってくれるだろう』と言いながら、フォルティトゥードはカエルムの前から去っていこうとした。

「逃がすものか!」
 その時溜まった魔力が解放され、カエルムの身体を光が包み込む。その光の中に、不死鳥の尾羽を彷彿とさせるような半透明なエネルギー体が大天使アプラウドの翼とは別に現出。服装も戦闘用正装へと変化した。
 そして彼は逃げようとするフォルティトゥードの巨大な竜尾を掴んだかと思えば、そのまま自分の何倍もある天使を自身を回転軸に回し始める。

『!!!!!!!!!!!!!?』

 遠心力が掛かった状態で手を離れた瞬間、フォルティトゥードは地上へと勢い良く飛ばされていく。そして天使が飛ばされた先は、なんとヴィグリッドの駅舎であった。そこにはベヨネッタやクロウ、ルーミア達がいる場所だ。
 そんなことも知らずに、カエルムは無責任にも飛ばされていくフォルティトゥードの上に乗って、駅舎に激突する前を見計らって何事もなかったかのように飛び降りた。着地した場所は駅舎付近。逃げ惑う市民達でいっぱいである。

 上空から一気に激突したのだからフォルティトゥードもたまったものでは無かっただろうが、その天使はダメージを受けて無力になるどころか、怒りでエネルギーが漲っているようであった。


>フォルティトゥード戦参加者All

【レスは今日になってしまいましたがフォルティトゥード戦イベント開始です! 参加お待ちしています】

2年前 No.85

半竜クロウ・クルワッハ @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_BDB

【ヨーロッパ/ヴィグリッド/駅舎(プルガトリオ)/クロウ・クルワッハ(擬態解除)】

「……重要なところを聞き流さないでくれよ」

彼も少しはベヨネッタの態度に慣れたのだろう。
あえて聞き流されてからかうような目つきで見つめられても彼は苦笑いするにとどまった。

「ああ。まるで君と出会うように誰かに仕向けられてるみたいだよ…。
本当なら今頃は、アメリカで余った時間遊んでこいって言われてる筈なんだけどね〜」

この調査依頼がなければ、今頃調べものと書類の制作も終わって時間が余り、
「時間が余ったらその時間を有効に使ってこい。遊んでいいから土産も忘れずにな。」
と言う太っ腹な上司の言うとおり、ニューヨークで遊んでお土産を買っていただろう。
そして、彼がプルガトリオに入れたことに驚きを見せるベヨネッタに

「まあね。こう見えても半分は天界の竜だからな…君たちみたいにパッとは作れないけど。」

プルガトリオへの入り口の作り方は彼の独学で得たものであるため、
今のところプルガトリオに入れるサファトは彼だけであろう。
もっとも、空間を噛み裂くと言う荒業をしないとは入れないが。
情報屋についてはどこかの空港で彼女も天使との戦いで共闘したと言う。
光と言う言葉に眉間にしわを寄せて聞き返すベヨネッタの方を彼は見つめると…

「ああ。彼は光の気配を纏っていた。光の矢を射る不思議な弓も持っていたな…」

ベヨネッタの“ルーメンの賢者”と言う言葉に、
「俺はそこまではわからない。この世界の賢者や魔女についてはまだまだ疎い。ただ、情報屋が光の力を持っていたのは本当だ。」
と返す。ブラックマーケットについてはベヨネッタも友人の情報屋から聞いたと語る。
もっとも、その情報は例の“賢者の情報屋”から意図的に流されたものだと言う。
だが、売りに出した張本人のことをほのめかすと、ベヨネッタは聞き返してくる。

「ああ。例の宝石を売りに出した張本人は“バルドル”と言う男らしい。
その男は“光の一族ルーメンの賢者の末裔”としてヴィグリッドの人間からは崇拝されているらしい。
俺が知っているのはここまでだ。真相を握る人物とは聞かされているが、その真相までは話されていない。」

ベヨネッタに情報を提供した途端、物凄い衝撃が彼らを襲った。

「どわぁああ!?こんどはなんだ!?!?」

彼は思わず転倒しそうになり、四足になって尻尾でバランスをとることで転倒を防ぐ。
衝撃の轟いてきた方向を見れば、逆さの人面の胴体を持った相当の竜…の姿をした天使と思しき巨大な怪物がいた。

「……流石にこいつには敵いそうにないね…。戦うとしても竜化しないと太刀打ちできなさそうだ…」

今回に至っては彼も顔を引き攣らせて冷や汗を流した。唯一戦う方法と言ったら竜化するしかない。

>ベヨネッタ フォルティトゥード戦参加者ALL

【白血球と分けます】

2年前 No.86

記憶を探す白い生き物 @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_BDB

【ヴィグリッド/駅舎近辺(プルガトリオ)/記憶喪失の真っ白な青年(白血球)】

「……。」

プルガトリオを経由し、そこから列車に乗って無事ヴィグリッドについた彼は
他人には見えない状態のため、警備の重い駅もすんなりと通り抜けると駅舎周辺のベンチに座っていた。
甘いものが欲しかったため、自販機からホットココアを買ってベンチに腰掛け、
柔らかい日光を浴びながらココアに口をつける。もう少しここで休んでいこうかと思っていたその時…

物凄い衝撃と轟音が彼を襲い、彼はベンチから吹き飛ばされて石畳に倒れこんでしまった。
せっかく買ったココアも無残に宙を舞って中身をぶちまけ、ベンチ周辺に血痕の様に中身が広がった。

「…な…なんだ!?爆弾でも仕掛けられて……!?」

幸い怪我は無かったものの、彼は視界に入ったものを見て絶句した。
見たこともないような神々しくもおぞましい化け物。ドラゴンの名に相応しい姿に人面の胴体…
酒場で見た化け物ぐらいならばすぐに応戦できるだろう。
しかし、通常の人間と同じくらいの戦闘能力しかなく、しかも衰弱した状態の彼は始めて戦うことに躊躇いを見せた。
いつもならば果敢に前に飛び出してすぐに敵にナイフを突き立てる彼も、
今の自分では足手まといになると言うことは認識している。それでも彼の脳内の選択肢に“逃げる”と言う選択は無かった。

>フォルティトゥード戦参加者ALL 周辺ALL

【衰弱している白血球も一応参加しますが皆様のサポート程度に収まると思います。
足手まといになると感じた場合は気絶させて戦線離脱させておきます((殴】

2年前 No.87

アンブラの魔女ベヨネッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 プルガトリオ/ヨーロッパ/ヴィグリッド街中/駅舎 】


「それは災難だったわねクロウ。一社員が気味の悪い事件の捜査にわざわざ派遣されるなんて。もしかすると最悪な運命の前兆じゃないかしら?」
 やや脅かすような発言を冗談っぽく言いながら「エンツォも、お前といるとろくな事がない、って言ってくるもの! そもそも魔界とつながってる魔女なんだから幸運の女神とはほど遠い存在に決まってるじゃない?」と付け加える。

「ルーメンの賢者と思しき青年が裏社会で名高い情報屋をやっていたり、異世界のハーフドラゴンが日本のIT企業の会社員でプルガトリオにまで行けちゃうんだから、世の中いったいどうなっているのかしら?」
 手のひらを天井に向けながら、ベヨネッタはよくわからないわと溜め息を一つこぼして廊下の方へとゆっくり歩いていく。
 そのまま進んでいくかと思いきや、ライトアイをブラックマーケットに流した張本人の名前を聞いたとたん引き留められるかのように立ち止まった。

「……バルドル――――――――?」

 どこかで聞いたことがあるような、そんな気がしたのだ。けれど思い出すことなど出来なかった。
 クロウはバルドルという人物を“光の一族ルーメンの賢者の末裔”だと聞いているらしい。ヴィグリッド市民の信仰世界まで支配するためにでっち上げた設定だとも思われた為本当かは定かではないが、レフトアイを持つベヨネッタを賢者と魔女の伝説が残るこの辺境の地に誘ったのは事実である。情報屋が言っていたように真相を握る人物だと言うのなら、記憶を取り戻すのに会ってみて損はないのでは無かろうか。

「なら是非バルドルにはあってみたいものね」
 そう言った矢先のこと。ベヨネッタも想像していなかった事態が襲ってきた。

 凄まじい衝撃が駅舎全体に轟き、屋根や壁の一部が大きく破壊されている。ベヨネッタもクロウもその衝撃波を足を踏ん張って堪えたが、顔を上げた瞬間見えたのは巨大な人面を持った竜型天使であった。凄まじいエネルギーを放っているようだが、あの天使が怒っていることは一目瞭然である。
「どうやらあの“鳥頭”は誰かにやられたのか、かなりお怒りのようよ? 無闇に近付いたら八つ当たりされるかも」
 いつの間にか取り出したロリポップを舐めながら、攻撃を加えた張本人を探そうとするように、辺りを見回すフォルティトゥードを見つめた。
「竜化? 同じドラゴン同士お友達になれるんじゃない」


>クロウ

>フォルティトゥード戦参加者様All


【警戒せずに皆様どんどんかき込んでください!】

2年前 No.88

選ばれし《人の子》 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=wCAlPr2pIl

【 アメリカ合衆国某州→ヨーロッパ/ヴィグリッド/“掃き溜め”Little Devils→駅舎近辺(プルガトリオ)/モーニングスター】

 結局、事務所内の魔法陣を潜ってプルガトリオに侵入することにした。様々な交通機関を(もちろん無銭で)利用しまくり、無事に海も渡ることに成功。しかしまぁ……鉄道で移動してる最中も襲いかかってくるってのは、天使にしちゃ余りにモラルが欠けているんじゃないか?“秩序”の名が廃るというものだ。自分(を含む誰かさん)が処理してなきゃ、相当な事故になっただろうに。
 まあ、今はそんなことはどうでもいい。土埃を捲き上げながら、開いた扉から悠々と石畳に降り立つ。久しく差し込む陽光の眩しさに手を翳しながら。

「到着、っと!いいじゃんか、この駅舎。随分と洒落てんな!」

 新天地に降り立つ時は大抵気分が良くなってくる。理由や現状はどうであれ。長旅に草臥れた身体をグンと伸ばし、空気を吸い込んでみた__少々濁った空気に口元が歪む。気分まで濁ってしまっては仕方ないと、外部に続く検問所的な場所へと大股で一直線に歩いていった。勿論無銭で、個人情報の一つも持たずに。

ーーーーーーーーーーー

「__で、だ。俺はただ、公園のベンチにでも座って自販機の甘ったるいジュース飲んで、しぶ〜い顔したかっただけなんだけど……。何、天罰なのかこれ?」

 駅舎をすり抜けて約5秒後、とんでもない衝撃と強風に真正面から襲われた。突然過ぎる不意打ちに耐えられるわけも無く、駅舎入口兼出口っぽい場所へ逆戻りしたわけである。痛む首を無理矢理起こして“天罰”の方向を見遣れば……“なんか色々間違ってる”天使様が怒りを湛えて寝そべっていた。

「あー……これがジュぺなんとかなら直ぐに事は済むんだけどね。面倒に面倒重ねた奴としか見えねぇな、コイツはよォ!」

 即座に首跳ね起きの要領で立ち上がり、疾風を伴って駅舎を飛び出す。もう驚くのにも飽きてしまい、先に浮かぶのは街への影響に対する懸念の方だった。あの馬鹿でかい“逆さ野郎”の身体からは例のエネルギー的なものがビンビンに感じ取れる。恐らく、というか確実に強者だ。仮に見掛け倒しの能無しだったとしても、巨体が動くだけで被害も相当だろう。
 久しく出逢った強者に感じる、気怠さと若干の気分の高揚。迷うことなど何がある? 焔とか吐きそうなのはあれだけど__何とかなる、いやしてみせる!
 そうと決まれば突撃あるのみ。先ずは先程中断させられた“スタイリッシュなウォーキング”で怒れる人面(with龍頭×2)の前に出る。体勢を立て直しつつある天使の目前で、両の腕を拡げる。と、虚空から二振りの刀が出現して掌に収まった。愛刀【レイザード】と【天上天下唯我独尊】だ。天使の実力が分からない以上、最初はシンプルに行こうじゃないか。

「よぉー!あんたら天使もお忙しいこったな!鬱憤も溜まってるだろ!なら……此処で“遊んで”いこうぜ?」

鋒をそれぞれ龍の首に向けての挑発、はてさてどうなることやら……。少なくとも、嫌な予感しかしないが。

>>フォルティトゥード戦参加者ALL,周辺ALL

【“無謀”と“身の程知らず”の代名詞】

2年前 No.89

ルーメンの賢者カエルム @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 プルガトリオ/ヨーロッパ/ヴィグリッド街中/駅舎付近→上空/(アン・ブランクライマックスver戦闘用正装) 】


 突然のフォルティトゥードが落ちてきた衝撃により、駅舎付近で逃げ惑う市民達の群に紛れ、そこには何人か彼等とは明らか異質な存在をカエルムは目の当たりにしてしまう。何故ならこのプルガトリオにおいて、彼等は色と実体が伴っていたからだ。つまり、普通ならば人間が入れない場所に彼等はいるということになる。
 この時、彼はビラブト三体を共に倒した異世界のハーフドラゴンのことを思い出したが、彼等も同様なのだろうかと、そんな突飛な予想にさえ今なら信憑性を感じられるほど、彼は驚きを短期間の内に体験していた。
 今更驚くようなことでもないと、カエルムは再び一人間によって駅舎に叩き付けられ憤慨する、フォルティトゥードの方へと意識を向ける。かなり怒ってはいるがどうやら此方には気付いていない。

「高みの見物といくか……」

 ならばこの場にいる者達に奴を片付けさせようと、アプラウドの翼はそのままに自分は駅舎全体が見渡せる程度の上空へと飛んだ。そして自身の行為によって引き起こされた事態にもかかわらず、恰も素知らぬ振りでもするかのようにフォルティトゥード達のいる地上を見下ろす。
 勿論、地上にいる者達はカエルムの行いを目撃してはいないであろうから、隠そうと思えば隠せる行為であるかもしれない。ただ、“被害者”の人面竜天使はあの重低音の声で『身の程知らずなルーメンの賢者は何処へ行った!?』と怒り露わにエノク語で叫びだした。

『よぉー! あんたら天使もお忙しいこったな! 鬱憤も溜まってるだろ! なら……此処で“遊んで”いこうぜ?』

 そんな天使の目の前にスタイリッシュなウォーキングで現れたのは、二つの異なる種類の刀剣を携えた、茶髪に黒い革ジャケット、銀のアンデレ十字を提げたまさしく現代の都会の若者を彷彿とさせるような、ワイルドな青年である。あの巨大な図体を見ても一切怯えを感じさせないのは、あの青年が戦い慣れているという証拠であろうか。とにかくただ者ではない男をカエルムは興味深げに見つめていた。
 その彼の挑発めいた文句。ただでさえ怒り心頭であるのに、それに挑発を加えれば爆発することくらい誰でも分かるだろう。案の定、フォルティトゥードは目の前に現れた青年に対し二つの竜頭を突撃させようと物凄い速さで攻撃を開始した。


>モーニングスター

>All

2年前 No.90

聖竜クロウ・クルワッハ @forte10☆NeDCG1Klls. ★rP8kKWIe1e_BDB

【ヨーロッパ/ヴィグリッド/駅舎(プルガトリオ)/クロウ・クルワッハ(擬態解除→聖竜形態)】

「確かに俺は一社員ではあるが…上司は俺の真相を知っているほど親密な関係だ…。
同僚は皆普通の人間…なるべく部下に危険なことはさせたくなかったらしいが、
上層部からの命令で逆らえなかったってさ。だからこそ、上司は常人よりも頑丈な俺に調査を依頼したわけだ。
最悪の運命…俺は10年前も最悪な運命に導かれた…。だが、それを乗り越えて俺は今ここにいる。何度でも、乗り越えてやるさ。」

最悪の運命と言う言葉に、彼は10年前のあのおぞましく忌々しい出来事を思い出す。
だがその運命にも彼は仲間と共に立ち向かい、今ここに彼は運命に勝利し、存在している。
そして、ルーメンの賢者と思しき青年が裏社会で名高い情報屋をやっていたり、
異世界のハーフドラゴンが日本のIT企業の会社員でプルガトリオにまで行けちゃうんだから、
世の中いったいどうなっているのかしら?と言い、手のひらを天井に向けながら、
溜め息を一つこぼして廊下の方へとゆっくり歩いていく彼女の言葉に

「俺だって訳わかんないよ…」

と、一言呟く。そして彼女は彼の言葉に反応もせず、そのまま進んでいくかと思いきや、
ライトアイをブラックマーケットに流した張本人の名前を聞いたとたん引き留められるかのように立ち止まった。
バルドルにはぜひ会ってみたいと言う彼女の言葉に、俺も会ってみたい。と彼は返す。
その声は轟音と物凄い衝撃にかき消され、彼女の耳に届くことは無かった。
突如として現れた竜型の天使…酷くご立腹のようだが…

『どうやらあの“鳥頭”は誰かにやられたのか、かなりお怒りのようよ? 無闇に近付いたら八つ当たりされるかも』

ベヨネッタもいつの間にか取り出したロリポップを舐めながら、
攻撃を加えた張本人を探そうとするように、辺りを見回す竜型天使フォルティトゥードを見つめている。

『竜化? 同じドラゴン同士お友達になれるんじゃない』

と彼の発した竜化と言う言葉を聞いてそう聞いてきたベヨネッタに

「…いや、相手が怒り心頭+聞く耳持たずじゃ意味ないから…」

話が通じたとしても、今の状態では話も何もあったものじゃない。
これは傍観するに限るか…と思いきや、一人のこげ茶の髪の青年がフォルティウードに突撃するのが見えた。

「ったく…これだから無鉄砲は好きになれないんだよ!死ぬ気かあいつは!!」

彼は青年を見捨てて逃げるなんてことはできなかった。彼は次々と身に着けていた衣服を脱ぎ捨て始めた。
下着一枚になったところで彼は近くにいるベヨネッタに

「暫く俺から目を逸らしててくれよ…見られてたら集中できないからな。」

と忠告するように告げると下着をも脱ぎ捨て、駅舎付近のベンチの下に服を隠し、
広場になっている場所まで四足走行で移動する。そして、ぐっと体に力を込め、精神を集中させる。

「グル…グルルルルル……!!」

獣のような唸り声と共に、凄まじい威圧感が、暴風にすら感じられる勢いで彼から発生する。
それとともに彼の姿が変わり行く。口が裂け、爪が伸びる。身長が伸びる。鋭い角が生え、体が鱗で覆われる。
そこに現れたのは朧月のように美しくも禍々しさを感じさせる一頭の巨大なドラゴン。
首の右側の側面と、左足の大腿部に三日月形の模様がある淡い紫色をした鱗に覆われた体…
翼の先に向かうに連れて紫色から薄いオレンジ色のグラデーションのある翼…
彼は先程広場で出会った情報屋の青年“カエルム”に見せた幻影と全く同じ姿の竜の姿となる。
ただ、異なっていたのはその大きさだ。幻影の時は人一人がやっと乗れるような大きさだったが、
今の彼の体の大きさはフォルティウードより一回り小さいほどでなかなかのサイズである。

「グゥオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」

彼は猛々しい咆哮を発するとその巨大な翼を羽ばたかせて宙に浮かび、
茶髪の青年に突撃しようとする二つの竜頭の口内目掛け、灼熱の火炎を吐きかける。
ビラブトとの戦いで見せた放射状の炎ではなく、間歇的に吐き出すことで炎を球状にしていた。

>ベヨネッタ フォルティトゥード戦参加者ALL

2年前 No.91

アンブラの魔女ベヨネッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 プルガトリオ/ヨーロッパ/ヴィグリッド/駅舎 】


「力がある故の運命だったって事ね」
 クロウが社員でありながら危険な任務につかされた理由は、本人の口から聞くことが出来た。ロリポップを舐めながらきくその態度からは真面目に聴いている感じはさせないものの、この時のベヨネッタの表情は何時もより真剣さが漂っている。そして気掛かりなことがあったのか「けど可笑しいわね……」と呟き、その内容の説明を始めた。
「そんな危険な任務だったら、警察に投げればいいじゃない? アンタの上司はどうなのかはわからないけれど、取引先の幹部と関わり合いが強いであろうアンタんところのボスが、政府に知られたくないような何かと関与しているのだとすれば……考えられることかも。尤もイザヴェルグループの傘下にある時点で色々臭うのよね」
 私の想像だけど、という言葉を添えて、ベヨネッタは小さくなったロリポップを歯で噛み砕いた。

「あら? あの男は何のつもりかしら? 命知らずね」
 怒り心頭の巨大天使は怒らせた本人に始末させて貰おうと、クロウもベヨネッタも下手に手を出すことはしなかったが、突然その天使の前に剣を携え現れた一人の青年の姿を捉えたとき流石に動揺を示す。だがすぐにその動揺も消え、ベヨネッタは相変わらず呑気に天使と対峙する青年を眺めながら「無鉄砲な男もなかなかいいんじゃない? 彼が怒らせたのかしら」と言い始めた。
「……けど、あの天使。“ルーメンの賢者”って言ってたわね。じゃあ……」
 一瞬あの青年がフォルティトゥードを怒らせた張本人かと思って感心していたベヨネッタであったが、その天使が怒りながらエノク語であのルーメンの賢者は何処にいると叫んだのを聞き逃しはしなかった。青年が賢者なのか、それともあの情報屋が付近にいるのか。

「わーお!」
 他人事として呑気に構えていたベヨネッタとは反対にクロウはそうではなかったようだ。何とか無鉄砲なあの謎の青年を助けようとしつつ愚痴をこぼしている。そうして彼は衣服を脱ぎ始め、ベヨネッタの前で逞しい筋肉質な身体を顕わにさせた。当然ベヨネッタはそれを見て黙っているわけもなく彼をからかうような声をあげる。
 クロウが下着一枚だけとなったときは、彼は集中できないから見るなと訴えるが、ベヨネッタは「分かったわ」と言いながらこっそり横目で一部始終の観察を始めていた。

「素敵じゃない?」
 無防備な姿となったクロウであったが、その後の姿は全く違った。彼の身体は巨大化と同時にどうみても竜のそれであったのだ。紫の身体に三日月の模様、燃えるような橙色の翼は禍々しくも美しかった。
「天界の竜にしては魔界のような雰囲気ね。テカテカした太陽とは違う上品さがあるもの。それに威力も最高ね! 私の契約相手になってくれたら楽しそうだわ」
 物凄い咆哮をあげた後に力強く飛び立つ姿、そして灼熱の焔を吐き出す力はアンブラの魔女ベヨネッタにとっても魅力的なものに見えていただろう。

 けれど天界の意思であるあの天使も負けてはいない。攻撃を受けて怯んだもののエネルギーが漲っている今のフォルティトゥードは想像していたよりも早くに回復し竜の口から巨大な火炎玉をクロウ目掛けて吐き出したのだ。


>聖竜クロウ

>モーニングスター

>All

2年前 No.92

ルーメンの賢者カエルム @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 プルガトリオ/ヨーロッパ/ヴィグリッド街中/駅舎上空/(アン・ブランクライマックスver戦闘用正装) 】


 地上にいるフォルティトゥードは、宣戦布告した謎の青年と、クロウ・クルワッハというハーフドラゴンの正体と思しき巨大な竜に攻撃を始め、上空にいるカエルムには一切感づいていない様子であった。だが、その状態は長くは続かず、とうとう天使の竜の首が彼の方に向けられたかと思えば、その光る双眼で睨み付け有無をいわずに火炎を吐き出した。

「……見つかったか」
 真っ直ぐカエルムの方に放たれた炎の玉であったが、彼は発見されたことに特に動揺する感じもなく動きの遅いそれを容易に避けて駅舎の屋上へと着地。そしてエノク語で「生憎お前と戦う気分ではない。私は引き続き見物させて貰う」とフォルティトゥードに話し掛けた。
 だが聞く耳を持っていない相手が竜の首で襲いかかろうとしてきたため、カエルムは攻撃を避けたと同時に竜の頭を踏み台に飛び上がり、胴体である人面をアフターバーナーキック(高速突進蹴り)で怯ませる。

「聞く耳無しの獰猛な天使に宣戦布告とは、なかなかだな……。見物だけで済まそうとは思ったが、見つかった以上仕方がない」
 その間にカエルムはクルワッハ達のいる地上まで降りてきたが、彼はその場にいる謎の青年(モーニングスター)に向かって協力しようという意志を見せた。
 そして相手の返事が来る前に、片腕を高く上げたかと思えば召喚呪文を叫び出す。

《大海を統べる天の叡智 我に祝福を》

 そのダンスのような動きと共に金色の魔法陣が輝きだし、そこから“巨大な者”が飛び出してきた。
 一見蜥蜴のような見た目だが、そのメカニックな容姿は近未来の巨大な戦艦を彷彿とさせる。だがこれも歴とした天使であり、その四つん這いになり高く上げられた膝部分にはそれぞれ複雑な形状をしたヘイロウが浮かんでいた。

「あの竜天使の相手はお前に任せた」
 そう天使の言葉で召喚者である賢者に話しかけられた被召喚者は、フォルティトゥードと同様に天の偉大なる四つの意思として崇拝された智恵“サピエンチア”である。
 サピエンチアはカエルムに命じられた通りに、フォルティトゥードのいる場所までその巨体で跳び、前方にある巨大な顎で相手に食らいつこうとした。
 だがお互いの力が同じだからか、取っ組み合いでもしているかのような態勢となり勝負がつかない様子である。この状態であれば、サピエンチアに手を貸すことでフォルティトゥードが不利になっていくのだろうが、カエルムは見ているだけで特に何かをする様子もなく、また別の気配の方に意識を向けていた。

「この感覚…………」



>謎の青年(モーニングスター)

>フォルティトゥード戦All様


【オーネット氏の気配に気づいた感じです。約束通り、そのままカエルムに絡んでいただければと】
>オーネット本体様

2年前 No.93

選ばれし《人の子》 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=FF5sm5b6sk

【 ヨーロッパ/ヴィグリッド/駅舎近辺(プルガトリオ)/モーニングスター】

「H E Y! アンタ“遊び”っての知らねぇのか!? うわマッズッ__ッと!」

 どうやら、彼は今になって『喧嘩を売る相手を間違えた』のに気付いたらしい。男の言葉が終わるが早いか、神速の一撃が双頭より繰り出される。だが男だって負けちゃいない、咄嗟に【天上天下唯我独尊】を攻撃に対して振りかざし__ズシリと衝撃が走ると思われた次の瞬間、後方から飛来した火炎弾が龍達を悶えさせた。間近で停止した天使の“顔面”へと適当な蹴りをかまし、後方を確認する。

 もうそれはそれは__“今すぐ帰ってくれ”と言いたくなる程の神々しさに照らされた龍が見えてしまった__

「助太刀サンキュー!後で自動販売機からでも奢ってやるよ!ああ、でも二発放ってくれちゃったし……(ブツブツ)……」

 だがしかし、だ。既に彼にとっちゃ龍なんて在り来たりなものは見慣れてしまった代物。なんと現在進行形で敵対中の龍天使に完全に背を向けて、それも明らかに不釣り合いな自動販売機の報酬を提案する始末である。流石の天使もこれには呆れたか、指で所持金の計算まで始めた青年よりかはもう一体の龍が危険と見做した様である。口内に火炎を溜め、球体を成して放たんとする__高慢な“勇気”には見抜けまい、青年の瞳が緑碧色に輝いたことなど。青年の陰に隠れ、静かに【実体なき刃】が起動したことなど。

「……おらよっ!!俺みたいな紳士の扱い方、天界ででも叩き込んできやがれってんだ!」

 緋色の弾丸が放たれると同時に、彼は【レイザード】を携えた左手を振り抜いた。青白い粒子の数々を飛び散らせ躍動する刃。あろうことかそれは、意思を持つかのように光の鞭へと姿形を変え、天つ龍を堕とさんとする炎を包み込んでしまう。仕上げとばかりに青年が腕を振るわせれば、火炎は天使の“顔面”へと炸裂する。本日2回目の炎は高尚な天使をより怒り狂わせるには十分な“威力”を持っていた。
 彼は今度こそ素早い跳躍で遥か後方へと飛び退いて射程から一時的に離脱した。巫山戯ながらもハッキリとした声で上空の龍へと語りかける。

「これで俺も一発だ、ドリンクは一杯で勘弁してくれよな? 言葉、通じてるよな……ま、自己紹介は後でする。今はアイツを“地獄送り”にしてやろうぜ!__って、なんか増えてないか?」

 後方に下がってから気付いたが、味方側の龍の近くにまた誰かさんが追加されていた。もしかすると、先程上空へと火炎を放ったのは、怒り狂ったのではなくコイツが上空に居たからか?雰囲気的にはそんなことも出来そうな気がする__新たな協力者が“プルガトリオに居る”こと自体に青年が違和感を抱くよりも早く、協力者は魔法陣を空間に展開した。何が喚び出されるのやら……

「ん?オイオイ待て待て冗談だろ……!?」

 喚び出された者……妙にメカメカしいこれまた異様な外見だが__あの輝かしいモノは確実に、そう、確実に__天使だろ、アレは!!
 今のところは正直何方についていいのやら……一応“協力”してはいてくれるらしいのだが……
 完全な予測範囲外の出来事、流石の青年も硬直してしまう。何かしら切っ掛けがあれば良いのかもしれないが、少なくとも直ぐには動き出せない。かもしれない。

>>聖龍クロウ・クルワッハ,謎の協力者(カムエル)

 (ベヨネッタ,オーネット)

2年前 No.94

アンブラの魔女ベヨネッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 プルガトリオ/ヨーロッパ/ヴィグリッド街中/駅舎/(本気モード) 】


「よく見るといい男じゃない?」
 例の命知らずもクロウのお陰で双頭の攻撃を逃れることが出来たようだが、彼の動きをみる限りやはり彼も“普通の人間”ではないらしい。あの瞬発力、跳躍力などにしても、あの身体に強大なエネルギーが宿されていなければ実現不可能であろう。
 また彼の精神力と大胆さもこの魔女の興味を引くには十分である。助けてくれたクロウに飲み物を奢ろうと、敵に背を向けて自動販売機へと向かう姿勢はプライドの高い天使を虚仮にしているようで実に愉快であった。

「私も丁度のどが渇いてきたし、そこの色男(モーニングスター)に奢って貰おうかしら?」
 そう言いながら魔力を解放した姿でスタイリッシュなウォーキングで戦闘フィールドへと足を踏み入れたベヨネッタ。だがその時、ある気配を上空から察し咄嗟に天を仰ぐ。
 燦々と輝く白昼の太陽を背に地上へと落ちてくる何か。眩しい光でよく見えなかったが、見知った白い翼と孔雀の飾り羽のようなものを広げたソレはフォルティトゥードの攻撃を避けて、駅舎屋上へと着地した。一瞬彼女がよく狩っているアプラウドかと思ったがそうではない。人間の青年である。
「不思議の国に誘われたって感じね。竜に変身するエリートサラリーマンに、命知らずな色男の次は、天使の翼を持った妙な奴と来たわ」
 さらにその“妙な奴”がエノク語を叫びながら黄金に輝く魔法陣を空間に現したのだから、そこから巨大なメカニック天使サピエンチアが召喚されるまで呆気にとられて茫然と佇んでいた。

「あら……。此処は怪獣映画の撮影場か何か?」
 フォルティトゥードとサピエンチアの取っ組み合いを眺めながら、ベヨネッタは誰に問いかけるわけでもなく冗談めいた疑問を零す。だが実際に怪獣映画と表現してもおかしくないような光景がヴィグリッド駅舎前で繰り広げられているのである。
 その後、色男モーニングスターを横目で見やりながら彼女は彼に話し掛けた。
「ねえそこの色男さん? アンタが何者かは後できくけど、どうやら私達はルーメンの賢者と鳥頭の諍いにただ単に巻き込まれただけのようよ? ああでも、アンタも奴を怒らせたみたいだし……。ただまあ、喧嘩の仲裁をするのも暇潰しにはいいかも。あれぐらい大きい天使だったら、私の魔界のお友達が大人しくしてくれそうだし。勿論私にもその報酬としてジュース奢ってくれるわよね?」


>色男(モーニングスター)

>フォルティトゥード戦All

2年前 No.95

聖竜クロウ・クルワッハ @forte10☆NeDCG1Klls. ★I0OJO6Od8p_BDB

【ヨーロッパ/ヴィグリッド/駅舎(プルガトリオ)/クロウ・クルワッハ(聖竜形態)】

戦いの前にベヨネッタは任務について警察に投げればいいじゃないと言った。
まさにその通りなのだが、何故か会社が頼んでも警察から介入できないと何度も断れていたのだ。
なぜ、断られたのかまではわからないが、恐らくイザヴェルグループがなにかした可能性がある。
だが、今はそれどころではないので戦闘に集中する。
攻撃を受けて怯んだもののエネルギーが漲っている竜天使は
彼に向かって想像していたよりも早くに回復し竜の口から巨大な火炎玉を吐き出してきた。

「ガァァッ!!!」

対する彼も負けじと巨大な火炎玉を吐き出し、相殺を計る。
二つの火炎玉は互いに激突し、青年の放った光の鞭によって包まれ、二つの火炎が組み合わさった状態で
光の鞭によってフォルティトゥードのその“顔面”へと炸裂した。

《ギュアアアアアアアアアア!?!?》

まさか、フォルティトゥードも自身の火炎を体に炸裂させられるとは思いもしなかっただろう。
二つの竜頭が驚愕と痛みの混じった咆哮を発した。

“…見慣れぬ武器を使うな。まさか助ようとした本人に助けられるとはな…。自己紹介は後だ。早めに片付けてしまうぞ。”

竜形態となった彼は生態の作りも変わる為、己の口からは喋ることができなくなる。
しかし、高度なテレパシーを使うことが可能なため、青年に向かって礼を言いつつ眼前の敵を滅しようと更に上空を旋回する。

「…!?」

すると、突如として金色の魔法陣が輝きだし、そこから“巨大な者”が飛び出してきた。
一見蜥蜴のような見た目だが、そのメカニックな容姿は近未来の巨大な戦艦を彷彿とさせる。
フォルティトゥードと同様に天の偉大なる四つの意思として崇拝された智恵“サピエンチア”である。
サピエンチアはカエルムに命じられた通りに、フォルティトゥードのいる場所までその巨体で跳び、
前方にある巨大な顎で相手に食らいつこうとした。
だがお互いの力が同じだからか、取っ組み合いでもしているかのような態勢となり勝負がつかない様子である。

「グオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」

勝負がつかない状態ならば、こちらが補助に回る。
彼はそう考えたのか、ビラブト戦でも見せたテリブルロアーを発動。
こちらに狙いを定めてきた赤い竜頭の目を火炎でくらませ、奴の首元にその巨大な顎門で食らいつく。
人間の手に近い形状の前足でギリギリと鉤爪を突きたて、竜頭の首を締め付け、注意をこちらに引かせる。
まるで怪獣大戦映画のようなワンシーンと化す駅舎周辺。
そして、参戦の意思を見せつつあるベヨネッタに呑気に自販機へ向かう青年を尻目に
彼はフォルティトゥードの赤い竜頭を締め上げ続けた。

>モーニングスター ベヨネッタ
>フォルティトゥード戦参加者ALL

【臨時でフォルティトゥード役を任されたものです。
こうした動きが欲しいとか要望がありましたらアカウントの伝言板に気軽くご相談ください。】

2年前 No.96

四元徳《叡智−サピエンチア》 @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 プルガトリオ/ヨーロッパ/ヴィグリッド街中/駅舎付近/(被召喚) 】


 契約者である賢者に呼び出される天使は、彼の命令に従わざるを得ない。術者の能力が強ければ強いほど、契約できる天使の位階も上がり、より“祝福”を与えられるのだ。霊力の高い敬虔なる信仰者であれば天使や大天使、ルーメンの賢者ともなればラグナの神々として崇められた天界の意思でさえ従わせることができる。

 正直、天使達はカオスの人間達を蔑み、従うなど以ての外だと思うほどであったが、人間に“世界の目”が託されている以上、何もできない。
 四元徳サピエンチア《智恵》もその賢者と契約を交わしていた天使の一柱であった。まさか同胞である《勇気》と闘うこととなろうとは思ってもみなかっただろうが命令には背けず、彼は思い切り怒り心頭の《勇気》に噛みつこうと巨大な顎を開けた。
 それに抵抗する《勇気》。双方の力は拮抗しなかなか勝負がつかない状態となる。術者である賢者に関しては、《智恵》を召喚するだけで自分は何かをする様子もなく何処かを見つめている始末だ。

 しかし流石の賢者も術に集中しなければと《智恵》に意識を向け、彼がついている側の勢力の聖竜クロウによる凄まじい火炎攻撃から《勇気》と闘っていた《智恵》を避けさせた。
 その後、かの聖竜は《勇気》の赤い竜頭に噛みつき、さらには締め付け攻撃を開始。苦しそうにもがく《勇気》の姿がそこにある。その機会を待っていたかのように《智恵》も再び《勇気》に攻撃を始めた。脇腹から全20発のうち5発の追尾式人面ハープーンミサイルが発射され《勇気》に向かってとんでいく。


>フォルティトゥード《勇気》

>フォルティトゥード戦All


【クロウ本体様、フォルティトゥード役ありがとうございます!】

2年前 No.97

聖竜クロウ・クルワッハ @forte10☆NeDCG1Klls. ★I0OJO6Od8p_BDB

【ヨーロッパ/ヴィグリッド/駅舎(プルガトリオ)/クロウ・クルワッハ(聖竜形態)】

《ギャウオオオオオオオオ!!!!!!》

サピエンチアの脇腹から5発の追尾式人面ハープーンミサイルが発射され、
取っ組み合い状態になっていたフォルティトゥードの胴体にミサイルが直撃。
二つの竜頭はその傷みと衝撃に仰け反り、その反動で紫色を称える夜の使いのような聖竜を振り払う。

《ガギャアアアアアア!!!!!》

怒り心頭と言わんばかりにフォルティトゥードは青い竜頭でサピエンチアに頭突きと噛み付きを仕掛け、
赤い竜頭は真っ赤に燃え盛る火炎を球状に吐き散らして自分に攻撃を与えた青年に反撃し、
その太く逞しい竜尾を地面に叩きつけて地上にいるもの達へ物凄い衝撃を与えに掛かる。

「グルアアアアアア!!!!」

吹き飛ばされ、街路樹に激突して地に落ちた聖竜は大きなダメージは無かったようで
再び羽ばたいて地上に降り立ったフォルティトゥードのがら空きの腹部の逆さ人面に突っ込んで行き、
一番突き出た部分、人面の鼻にその強大な顎門で食らいつき、その濃厚な魔除けの香りがする肉を食いちぎった。

《ギュルアアアアアアア!?!?!?!?》

死角から不意に体を食いちぎられ、悶絶するフォルティトゥードは自身の胴体を食いちぎった
異界の聖竜にターゲットを変え、地上から飛び立ってその後を追い始めた。
聖竜の長く鞭のように撓る尾がフォルティトゥードに叩きつけられ、
対するフォルティトゥードも長い首の竜頭で聖竜の右前足と腹部に噛み付き、その動きを封じる。

「ギャウオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」

痛みに悶え苦しみながらも聖竜は決して諦めず、残された左前足で右前足に食らいついていた竜頭の口をこじ開け、
その口腔内にビーム状に集束させた己の光のエネルギーを叩き込む。

《グゲアアアアアアアアアア!?!?!?!?》

流石に脆い口腔をビームで焼かれてはフォルティトーゥドもたまったものではない。
聖竜に暗いついていた竜頭が口を離し、体の内側を焼く痛みにもがき苦しんでいる。

「グルルルルル…」

聖竜は腹部と右肩から鮮血を流し、苦しげに呼吸しながら地上に降り立ってその様子を見ている。
攻撃ならば、今がチャンスだ。

>モーニングスター ベヨネッタ
>フォルティトゥード戦参加者ALL

【過疎が酷いため、主様とのご相談で大怪獣決戦ならぬ大天使決戦を進行させていただきました。申し訳ありません】

2年前 No.98

四元徳《叡智−サピエンチア》 @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 プルガトリオ/ヨーロッパ/ヴィグリッド街中/駅舎付近/(被召喚) 】


 放たれた五発のハープーンミサイルは見事《勇気》の本体へと直撃、大きな爆発を起こした。その爆破音に混ざって《勇気》の苦痛の叫びが響き渡り、此方側が優位に立ったものだと賢者の方も思っていただろう。
 けれど思わぬ反撃が敵の天使から繰り出され、青い竜頭で以て《智恵》に頭突きし、その怯んだところを隙に噛みついたのだ。竜の鋭い牙が鱗に覆われた生身の腕に食い込み《智恵》はその痛みから逃れようと必死に《勇気》の竜頭を振り払おうともがいた。
 さらに《勇気》の反撃は続く。なんと巨大な尾を大地に叩きつけたとたん、衝撃で《智恵》は聖竜クロウと共に飛ばされ壁に激突した。
 体重の軽い賢者に至っては駅舎の壁に激しく叩き付けられる。とはいえ、そう簡単にやられることはなく、剥がれ落ちた瓦礫を押しのけ再び立ち上がる。

 聖竜クロウも吹き飛ばされ街路樹に激突したが、《智恵》が態勢を整えたときには既に《勇気》の懐へと突撃し、胴体にある人面の高い鼻を食いちぎった。
 そこからはもう《勇気》と聖竜クロウの竜同士の戦いである。上空へと飛び立った二体。お互いに攻撃を加え《勇気》は聖竜の右前足と腹部に噛み付いた。悶え苦しみ咆哮をあげる聖竜の姿に賢者の方は動揺するが、聖竜は《勇気》の口をこじ開け光線をその内部へと放ち反撃に出る。
 そうして解放された聖竜は痛々しい傷を負いながら地上へと戻ってきた。一方《勇気》は未だ上空にいるものの口腔内を焼かれ悶え苦しんでいるようだ。

 そして、その機会を窺っていたかのように今度は《智恵》が動きを見せ始める。《智恵》の頭部がキャップのように開き、その奥からグロテスクで生々しい四つの太い触手が姿を現したのだ。触手の先には目玉があり、その四つの目が上空の《勇気》を捉える。
 すると光のエネルギーがその目玉に集中し輝きだしたかと思えば、一気に強いレーザー光線が対象へと照射された。


>フォルティトゥード

>聖竜クロウ

>駅舎付近All

【フォルティトゥードさんは確か第四章で本番ですので、あまりボコボコにしないであげてくださいね(´・ω・`)というかフォルティトゥードさんを最強設定にしてください】

2年前 No.99

謎の少女セレッサ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 人間界/ヨーロッパ/ヴィグリッド市街地/ヴィグリッド博物館 】


 ――――――一時間ほど前


「チェシャ……どこに行っちゃったの……?」
 開館してから間もない博物館に、一人幼い少女の姿がある。少女の名はセレッサ。暗いピンク色のワンピースに身を包んだ、白い肌に美しい漆黒の長い髪、丸眼鏡が印象的な“可愛らしい”という言葉が似合う、まるで“真昼の太陽”のような少女である。きっと笑顔でいたら、より一層そう感じさせるに違いない。けれど、少女セレッサの表情は曇っており実に寂しげに親友の名前を呟いていた。
 チェシャとはセレッサが大切にしている猫のぬいぐるみであり、此処までくる途中に落としてしまったのだ。常にチェシャと行動を共にしていた彼女にとって、相棒がいなくなってしまったような孤独である。そして遂に大きな蒼い目に涙を浮かべ、ヒクヒクと声を洩らしながら泣き出してしまった。

「マミィ…………いつ来てくれるの…………独りぼっちイヤ………………うぅうっ……っ!」
 がらんとした館内には誰もおらずセレッサを慰めてくれるものはない。ただ気が収まるまで彼女はどうにもならないこの状況に対し泣き続けるしかなかった。
「ダディ……マミィ……チェシャ………………」
 そんなとき、只でさえ不安でいっぱいの彼女に追い討ちをかけるような事態が発生した。凄まじい破壊音と共に建物が振動したのである。何事かと焦りだし思わず悲鳴をあげたセレッサは外へと逃げ出そうとしたが、そこで巨大な人面を目の当たりにしてしまい息をのんだ。

「…………」

 言葉もでず、動くことも出来ず、ただ呆然と佇む少女の目と鼻の先に、“巨大なお化け”が破壊された石橋のところで空中で静止するように飛んでいる。二つの竜頭に逆さまの人面、頭上で輝くヘイロウ。フォルティトゥードである。
 セレッサは、そのあまりにも印象的な巨大な天使に目を奪われていたのだが、その天使の前で二丁拳銃を両手に堂々と構えている法衣姿の青年の存在にも気付いた。あんな恐ろしい怪物を前にしても一切怯える様子もなく、金色の大弓に武器を持ち替えた青年は高く跳躍し分解した大弓でフォルティトゥードを斬りつけ、さらにはその天使を引きつける形で背中に白い翼を広げ天高く飛んでいった。

「ぅわぁ……!」
 その勇敢な姿を見たセレッサは感動し、感嘆の声をあげて遥か上空を見上げた。そして自分もあの様に強くなれればとふと思うのである。けれどすぐに泣いてしまうような自分がなれるはずないと、幼いながら諦めが生まれていた。セレッサは落ち込んだ表情で橋の近くにある賢者の水晶像にもたれ掛かるように座りこみ「私も……マミィみたいに強い魔女になれたらなぁ。でも、私、なれないかも………………」と呟く。
 そう考えると悔しくなり、再び涙が零れ出した。そして壊された石橋を眺め、自分が市街地へ戻れないことを悟ると、さらに絶望感も混ざって今度は大きな声で泣き出したのである。


>All

>>79 のレスとの関係です】
【気軽に絡んで頂けると嬉しいです】

2年前 No.100


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