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Pocket Monster "ANOTHER CROSS WORLD"

 ( なりきり掲示板(フリー) )
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ツバサ ★kxhnMwovI2_kl8

Pocket Monster "ANOTHER CROSS WORLD"

この世には無限の世界がある。

世界が生まれる時、世界は消失する。
世界が消失する時、世界は生まれる。

世界は管理者によって成り立つ。
世界は管理者によって消される。

世界は常に変わりゆく。例外はない。
世界は常に変わらない。例外はない。

管理者が覚えている限り世界は存在する。
管理者が忘れている限り世界は消失する。

世界の記憶を保つには管理者の存在が必要である。
管理者の存在を保つには世界の記憶が必要である。

管理者は一人ではない。生きるものすべてが管理者である。
死するものすべてが管理者である。管理者は一人ではない。

複数の管理者が揃うとき、新たな世界が生まれる。
複数の管理者が離れると、新たな世界は消失する。

新たな世界が生まれる時、それまでの世界は崩壊する。
それまでの世界が崩壊する時、新たな世界が生まれる。

新たな世界とは管理者の所有する世界が融合した時、生まれる世界。
新たな世界の融合が解除された時、管理者の所有する世界ができる。


今、新たな世界が再び開演する。



【開始するまで、書き込まないで下さい】

2年前 No.0
メモ2014/11/15 18:49 : ツバサ★x6oODnGVv0_Kvj

Pocket Monster "ANOTHER CROSS WORLD" 本編

http://mb2.jp/_ni2/18595.html


Pocket Monster "ANOTHER CROSS WORLD" 設定や相談など

http://mb2.jp/_nrs/4018.html

ページ: 1 2 3 4 5 6


 
 
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なんか @onemass ★Android=Os5V5CdCuC

 身を刺す筈の氷雨の粒が、しかし奇妙な程に生温く。凍り付いた体内、急速に奪われゆく体温――――重い瞼は閉じかけ、今にも兄妹の「生命」の火は、灰燼を残すがままに消えようと――――

「…………ッ、……い、イエロー、?」

 パートナーと共に地へと伏せ、風前の灯であったエマが目を見開く。微睡みの中で手をこまねいていた死の気配は今はなく、代わり、自身の凍結を癒やすかのような光輝が包み。しかし、その波動の持ち主は対照的に「生命」を蝕まれ、ふらりとエマの胸の中へと倒れ込む。

「エマ! イエローは……!?」

「危険な状態よ……! 私達がくる以前にも、きっとこの子は!」

 酷使に次ぐ酷使、意図的にイエローを「消耗」させ、手を下さずとも彼女を絶望の淵へと追い詰める羅刹の狂気。ぜぇ、ぜぇ、と掠れた息を吐き、しかし少女の眼は、未だ光を失う事なく。

「エマ、。ヒメせんせ、も、げほッ。なおさ、ないと」

「わた、しも。みんな、まもら……なく、ちゃ」

 嗚呼。拭えぬ絶望の調、逃れられぬ悪意。イエローを抱き締め項垂れるエマ、そしてヒメを守るかのように、未だ震える脚で羅刹を牽制するルカ。再びフリージオを繰り出したパールが、凍り付いた地を踏み締める。

「健気でいい娘ですねぇ。自己犠牲精神と博愛。きっと人一倍争い事が憎いのでしょうね、彼女は」

「そういう弱者を無理矢理戦場に引き摺り込むとね。いやぁ……素敵な表情を見せてくれるのですよ、これが」

 きゅおッ、とフリージオへと集束される膨大な冷気。脳裏に危険が過るよりも速く――――しかし、間一髪でヒメを突き飛ばし、自身も弾道の直線上から逃れるルカ。



「 "ふぶき" 」



 瞬間。
 技の弾道上に在った景色が、「なくなった」。木々、イエローの自宅、或いは舗装された路。遅れて我々の鼓膜を劈いたのは、圧倒的な速度で駆け抜ける風の轟音。

 これは――――これはもはや、『ふぶき』という技の持つ特性ではない。ただひたすらに圧倒的なまでの威力による、「風の圧力砲」だ! もし、あれを喰らえば。まともに喰らっていたならば。自身もザングースも挽肉(ミンチ)のように原型を留めずに吹き飛び、悪夢の如き凍結効果も相まって、欠片もこの世に残らなかったであろう。加えて、奴が、パールが自身へと初めて「まともに」相対したのが――――このタイミングで、という点だ。究極護式さえも解禁し、エマとのタッグも揃っていた。全力であった。間違いなく。しかし、この女は、今まで「戦って」すらいなかったのだ! あしらわれ、ついでの如く命を奪われかけ、そしてこの二撃目をかろうじて避けていなければ――――。

 目を見開き、顔面を蒼白にし、改めて――――羅刹の戦力に慄き、がくりと膝を着くルカ。

「しかしねぇ。ヒトもポケモンも家屋も、ちと脆すぎやしませんかね」

「少し撫でてやっただけでこれですよ。いい加減、私も待ちくたびれたというものです」

 とどめのような女の台詞に、遂に、その心を折られたルカ。滲む脂汗、がちがちと鳴る歯、意思とは関係なく――――痙攣を繰り返し笑う膝。

「(無理だ。勝てねえ――――殺される)」

 まるで興味をなくしたかのように彼を通り過ぎ、イエローを抱くエマへと向くパール。その傍らで、がちゃりと向けられた銃口。

「やめろ……!! その子達に近寄るなッ!」

「まーたそれですか。私の勝手です、嫌なら止めてみればよろしい」

 歯を食い縛り、再び拳銃の引き金を引くヒメ。しかし、瞬間。どしゅッ、と背後の地面から飛び出した氷の杭に背を穿たれ、口から鮮血を溢れさせてうつ伏せに倒れ込む。闇を湛えた空模様、雷鳴、そして横殴りの風雨。からん、と地に落ちた拳銃――――それを手にしたモモカが、再び羅刹と対峙する。

「手が震えていますよ?」

 フリージオを従え、一歩、また一歩とエマとイエローへ歩み寄る。しかし、二人の前にて立ち塞がる。震える脚、恐怖にがちがちと鳴る歯。日常を謳歌していた一介の少女には、あまりにも酷な場面であった。腕をもがれ、両脚を砕かれ、それでも、それでも尚。

「……私だって……私だって皆を守る……! ……お前の、好きにはさせない…!」

 ぐったりと横たわったパートナーのふわもこ。そして、傷付き倒れた先輩や教師。首筋に噛み付けずとも、自身が――――「彼ら」の到着までの時間を稼がなければ!

「殊勝ですねぇ。で、撃たないのですか」

 にまぁ、と口角を上げ、モモカを弄ぶように見据えるパール。動悸は早まり、自身の手に収まった非日常が、尚更に少女を遠い場所へと駆り立てる。引き金を、引き金を引かなくちゃ。皆を、私が、守らないと――――

「――――退きなさい」

 ずば、ざしゅ、と鋭い音が雨の帳にて響き渡る。血の滴るフリージオの結晶、ストッキングを裂き――――血に塗れたモモカの両脚。草地を赤色で染め、感覚のなくなった脚では立つこともままならず、悲痛な叫びと共に地へ沈む。しかし、這いずり……モモカの掌が、羅刹の足首を掴む。

「行かせない。……行かせない……!」

「いよいよ虫ケラのようですねぇ。退きなさい、と言ったのです」

 ごッ、とモモカの頬を蹴り飛ばすパール。しかしその掌は、未だ強く彼女の足首を掴んだまま。白衣の背と、セーターの前面を真っ赤に染め――――震える脚でヒメが起き上がる。

「……殺るんなら、アタシからにしろ」

「私の教え子に……それ以上手を出すな……!」

 満身創痍にも関わらず、その眼光は獣の如く。皆は、待っている。強き「アイツら」の到着を。それまでに、この場はなんとしてでも守らねば。マサラの未来達を、自身の教え子達を――――!

「そんなに死にたいのですか。まぁ、いいでしょう」

 凍て付くような眼で言い放つや否や、指先をヒメへと向けるパール。それでも尚、教師は退かず、しかし――――凍結を有した光線が彼女を貫く



 よりも、速く。



 ―――― "よう、また会ったな"



 一迅の暖かな風。
 そして、莫大な光を以って迸った『エレキボール』!!



 "これ以上、このトキワで勝手な真似は許さねえ……! "

 "てめえはオレが倒す!! "



「…………ヴァドック……!!」

「――――へぇ」

 ばちばちと帯電する、フリージオの結晶の盾。彼の姿に安堵したのか、がくりと膝を着くヒメ。風雨に晒された赤きスカーフが、安心しろとばかりに激しく靡く。最中、羅刹の三日月の笑みが、裂けそうな程に吊り上がり――――

「いやはや、伝聞で聞いていた "サイヤ人" とやらを彷彿とさせますねぇ」

「彼らは怒りにて覚醒へと至るらしいですが、貴方はさしずめアレですか。トキワの森の襲撃事件」

「いやぁ、残念でしたねぇ。尤も、弱者が一方的に蹂躙されるのは自然の摂理ではありますが……ふふ」

 ヴァドックを挑発しつつも、舐めるように彼を、「力量」を視る羅刹。楽しめる――――そう言わんばかりに舌なめずりをする彼女であるが、目の前の彼の横に立つ存在を目にし、眉間に皺を寄せる。

「挑発に乗ってはいけませんよ、ヴァドック」

「今は――――冷静に対処するのです」

 羅刹とは対照的なカラーリング、幻想的な白き装い。奴のアナザーたるアコヤが――――遂に到着したのだ!

「遅いのよ、この馬鹿……ッ」

「……申し訳ないです、ヒメ。そして皆」

 自身のホルダーに収まったボールへと目を落とすアコヤ。先程、手元から離していたそれを謎のフシギソウに「細工」され、開閉スイッチを破壊されるというハプニングが起こったのが遅刻の理由であるが――――否。パートナーは此処に居る。

「今、とある事情でポケモンを使えないのですが――――」

「ヴァドック、貴方とならば」

 嗚呼――――グリーンに続く、最強のタッグが此処に結成を迎えた。ヒトとポケモンの『キズナ』により、その戦闘力は幾重にも累乗され、限界を超えてゆく。ふわりとヴァドックを、その金色のオーラを包むようにして纏う蒼きアコヤのオーラ。スパークする雷撃と、鋭く透き通る冷気の共演である。

「そいつは私のアナザーとやらですかね。気に入りませんね、2Pカラーの分際で」

「いいでしょう、ニセモノに超(スーパー)ピカチュウ」

「纏めて――――喰らって差し上げます」

 ずおッ、と羅刹とフリージオを包む黒く禍々しきオーラの奔流。ヴァドックへと頷き、彼の風上にて両掌を構えるアコヤ。



「 "定位置(ポジション)に就きなさい" 」

「――――ヴァドック!」



【VS黒き氷の羅刹 マサラタウン防衛戦】

【act3】

 "『ソリッドステート・ボルテッカー "コールドプレイ" 』"
(THEME:https://m.youtube.com/watch?v=IacaiXa_nIE)



【レッド/カントー地方 トキワシティ/グリーン、リュウトとの合流地点】

「――――ぷぎゃッ!!?」

 ごすッ、と鈍い音を立て、鼻血の軌跡を描き吹き飛ぶカメール。次いでレイジから放たれし、濃密且つ直線的な「殺気」を受け、ぞわりと背から冷たいものが這い上がるも――――

「ふ、ふん……! それでもオマエ達を行かせる訳にはいかないねッ!」

 顔面を拭い、よろよろと立ち上がり、そして宣言。今の彼らに立ち塞がるという意味を理解しているのか。しかし彼とて、レイジの言う「親玉」から命ぜられた使命があるのだ。

「オマエら、これを見なッ!」

 カメールの差す方向から現れたのは、彼の仲間であるフシギソウとリザード。しかし、フシギソウの蔦に巻かれ、その身を縛られている者は――――

「み、皆……ゴメン。ちょっとヘマしちゃってさ……」

 ぎり、と全身を締められ、申し訳なさそうに表情を歪ませるブルー。人質として彼女を盾にした三匹が嗤う最中、駆け付けたリュウトとグリーンが立ち止まる。

「あははははっ! 確かにオマエらには勝てないかもしれないけどさ、どうだ!」

「少しでも此処を動けば――――」

「お友達の首をへし折るって寸法さ」

 羅刹が彼らを使い、妨害を行う理由は判っている。力なきものを襲うべく、時間を稼ぎ――――戦況を絶望的なものへと変え、そして煽り、マサラの未来たる彼らの「怒り」を引き出す為。俯き、ポケットに手を突っ込むグリーン。翳りに隠されてはいるものの、その額には無数の血管が浮かび。

「聞こえなかったかな」

 ざッ、とレッドが一歩前に出るが、その表情を目の当たりにし、思わず竦み上がる三匹。

「退けって言ってんだよ」

 少年の肩から炎が立ち昇り、豪雨が地に着く以前に蒸発する程の熱量。フシギソウが更に蔦を締め上げると、苦悶の表情でブルーが呻く。

「うるさいッ! 僕達は本気だぞ!」

「オマエら、一歩でも動いてみろ! コイツ、死ぬからな!」

 嗚呼――――決戦を控え、あまりにも無粋。あまりにも姑息、あまりにも冒涜。

 許すまじ、眼前の三匹。
 許すまじ、黒き氷の羅刹!

>>レイジ、リュウト

3ヶ月前 No.423

なんか @onemass ★Android=Os5V5CdCuC

【フレア/カロス地方 ミアレシティ/プリズムタワー前 → 移動】

 僅かな時の中での遣り取りではあったが、達人二人。その濃密さは、もはや言葉では語れぬ程に。



 "全ての物には平等に終わりが訪れる……この戦いとて例外にあらず"



 "――――私の負けだ、フレア"



 俺は勝者――――なのか?

 いいや。
 間一髪、紙一重だった。
 少しでもアレが遅れていれば、少しでも気を緩めていれば。地に伏せていたのは俺だった。片膝を着き、すっかりとボロボロになった装いで、友の手を取るフレア。

「…………リュウト」

「お前に勝てた事、誇りに思う」

 千度の交戦よりも、遥かに価値のある勝利。かろうじてこの男から手に出来たのだ。古代を生き抜き、群雄割拠のカロスを纏め上げ、そして頂点へと君臨したこの男から。薄く笑うと、緩慢な動作で立ち上がるフレア。

「俺達にも、まだまだやるべき事がありそうだ」

「全てが解決した後――――もう一回やろうぜ」

「 "俺はまだまだ強くなる" 。だろ?」

 稚児の遊びが如く、存在する限り、男達は何度でも拳を交える。それは憎しみからか? 否――――

 嵐のように現れた男は、人が集まるよりも以前に、やはり嵐のように去っていった。
 ……ハヤトに押し付けたままの衣服は忘れていったまま。

>>ガイ




 さて。
 そんなやんちゃな彼が、今、何をしているのかといえば……。



【フレア/カントー地方 マサラタウン/マサラタウン境界付近】

「フュージョン……」

「はッ!」

 何とも文章にし難い奇妙な一連の動作を行い、翼を広げるスワンナの如きポーズで固まる彼。トーガの語る『フュージョン』とは一切合切関連性のない動きではあるが……。

「あれ、違ったか?」

「あ、あの。トーガさん、もしかして師匠の頭殴りまくったりしました?」

 げんなりした様子でトーガに目をやるソニア。いやいや、コイツはそもそもがこういう男、グーで殴られる以前からパーである。そんな責任を回されてもトーガからすればたまったものではなかろうに。

「あのさぁ! ふざないで師匠! こうしてる間にもクロームが何を仕掛けてくるのか判らないのに!」

「いでででで! いや、個人の力じゃ "別次元" に穴ァ空けんのは無理なのはマジだって!」

 ソニアを耳を引っ張られ、慌てて弁明するフレア。確かに最善が二人の力を合わせる事ならば、実践するに越した事はないが……。

「その通りだ。フュージョン……俺も "そっち" の世界で経験したけど、すっかり触りを忘れちまってな」

「ああ、もう」

「それともソニア、お前が俺と合体するか?」

 無表情で弟子を向いたまま、さらりと言い放つフレア。何を思ったのか、ぼッと顔を赤くし、自身の師匠の股間を蹴り上げる。

「トーガさん、お願いしますね」

 悶える師匠を放り出し、後ろを向くソニア。いや、別に如何わしい事をする訳でなし、目を逸らす事もないのだが。

>>トーガ




【ブラフマン/古代カロス地方 王都アマデウス/カロス貴族院 円卓の間】

 王の差し出す、議題の悩ましき当事者たる赤き異形の写し。それを受け取ったブラフマンが、陶磁のような顔に笑みを貼り付ける。

「我々は彼を、膨張(イクスパンション)という便宜的な名で呼んでいるが――――」

「間違いなく、このカロスに現れるような存在ではないね」

 膨張。
 その筋骨隆々な肉体に見合わぬ、口吻を携えた異形の姿。「既存」とは掛け離れた襲撃者に対し、レンブラントが写しを指差す。

「 "箱" には収まらぬが故、我々の識るポケモンではないと」

「どうかな。彼らもポケモンという括りなのかもしれないよ。少しばかり特殊なだけで、ね」

 曖昧な物言いで濁し、写しを王へと返す「教皇」。その様子から何かを悟ったのか、彼を睨むリナリア。この男は――――カロスを襲う怪物の一件に絡んでいる。確証はないものの、本能がそう警鐘を鳴らしているのだ。しかし公の場、此処でそれを問いただすのは不可能である。気味の悪さを含んだまま――――しかし円卓にて時は流れゆく。古代に生きる者達は、「現代」の彼らを識る由もなく。

>>ガイ

3ヶ月前 No.424

ユウキ @yuuki777 ★ALBZQvbWQp_yoD

【ヴァドック/カントー地方/トキワシティ】

おぞましい笑みを浮かべながらこちらを挑発するパール。
そんな彼女がこちらの横に並び立つ存在を見やり、顔をしかめた。

 “挑発に乗ってはいけませんよ、ヴァドック”

 “今は――――冷静に対処するのです”

相対する絶望の元凶たる『黒き氷の羅刹』と酷似した容姿ながらソレとは正反対の白き姿――ヤツの『アナザー』であるアコヤがこの場に到着したのだ。

「へっ……!」

「安心しろ、あんな安い挑発に乗るオレじゃねえ」

彼女の言葉に対し、そう言い返しながらも目の前の敵から決して目を離さず、その鋭い眼でパールを睨み続ける。

「悪いが、てめえの餌になるつもりはねえな」

「オレにはやらなきゃいけねえことがまだまだ残ってんだよ!」

ドス黒いオーラをまとうパールとフリージオに対し、ヴァドックが吠えるとアコヤの力により、こちらも『超ピカチュウ2』に姿を変える。
前回の『2』とは少し異なり、稲妻のような火花を散らす黄金のオーラに加え、それを包み込むかのようにアコヤの蒼いオーラが輝いていた。

「まさかこのオレが“こおり”の力を使うことになるとはな」

「アコヤ!てめえの力、貸してもらうぜ!!」

『宿敵』と同じこおりタイプの力を纏った自分に対し、ヴァドックは皮肉めいた笑みを浮かべると彼女の指示によって定位置(ポジション)に就く。

「いくぜ、パール」

「覚悟しやがれっ!!」

蒼い光を帯びた『かみなりパンチ』を構えるとアコヤの指示とともにパールに攻撃を仕掛けた。

>>パール



【レイジ/カントー地方/マサラタウン 移動】

目の前に立ち塞がる三匹のポケモンたちにブルーを人質に取られて身動きを取れない一同。

「そうかよ……」

こちらの『警告』にも退かず、卑劣な手段で時間を稼ごうとするポケモンたちに対し、怒りに震える拳を握りながら、そう一言だけ呟く。
レイジは一呼吸した後、レッドとグリーン、そしてリュウトにアイコンタクトを送るとその金色の瞳で真っ直ぐとポケモンたちを見据えながら口を開いた。

「……おまえらの覚悟はよく分かった」

「だがよ、オレたちにもおまえらと同じように譲れないモノがあるんだ」

「だからこそ、その覚悟にオレは全力で応える」

その瞬間、ポケモンたちを見据えていた金色の眼がギラリと輝く。
彼らにも譲れないモノがあるのはレイジにも分かっていた。
しかし、それはこちらも同じことである。

故にレイジは選んだのだ。

彼らの覚悟に全力で応えることを――

「界王拳……!!」

技の名前を叫ぶとともにレイジの全身に赤いオーラが滾り、人智を超えた凄まじいスピードによってその場から姿を消した。
上空から降り注ぐ雨粒さえ空中で静止する中、人間の――否、ポケモンの反応速度すら優に超えたスピードでブルーの全身を縛り上げていたツタを手刀で斬り裂いてしまう。
人質に取られたブルーを救うためにレイジが導き出した答えとは彼らの反応できない速度で彼女を助け出すことであった。

「――だりゃあっ!!」

そして、続け様に放たれる手加減なしの一撃が三匹のポケモンたちを吹き飛ばす。
ブルーの安全を確保するのはポケモンたちが彼女から引き離された今しかないだろう。

>>レッド、リュウト



【トーガ/カントー地方/マサラタウン 境界付近】

「知るか」

間違ったポーズを披露するフレアにソニアが冷たい視線を送り、こちらも濡れ衣を着せられそうになる中、それを上記の一言で切り捨てる。
そもそも幾多の戦闘を経験してきた彼にとって頭を殴られることなど、今更な話だと思うのだが、幸か不幸かこの場にそれを突っ込むものはいなかった。

「……いいだろう」

「気に食わん方法だがな」

トーガはなぜか後ろを向いているソニアに疑問符を浮かべつつ、あくまで気に食わない方法だと付け加えた上で彼女の頼みを聞き入れた。
誰にも頼らずに自分の力だけで強くなりたいと考えるトーガにとって誰かの力を借りる『合体』は戦士のプライドが許さないのだろう。
しかし、この状況を打開する方法はフュージョンしかないため、フレアとの合体を受け入れる以外に選択の余地はなかった。

「オレが本当のフュージョンを見せてやる」

「よく目に焼き付けておけ」

トーガはポーズを忘れてしまったフレアのためにお手本として正しいフュージョンのポーズを披露し始める。

「まずある程度の距離を置いて立つ……」

「そして、こうだ!腕の角度に気をつけろ」

「フュー……」 チョコチョコチョコ……

「腕を反対にしながらふたりが近づく」

「この時、動かす足は3歩分だ」

「ジョン!」 ばっ!

「手はグーに変える!やはり足の角度に気をつけろ」

「はっ!!!」

「こうしてふたりの指を合わせる」

「またまた足の角度に気をつけろ、特に外の足をピーーーンと伸ばすのを忘れるな!」

「……以上だ、これをオレと左右対称にやってみろ」

それにしても、このサイヤ人ノリノリである。
普段のトーガからは考えられないヘンテコなポーズをいつもと変わらない真顔でこちらに見せつけてくるシュールな構図が何とも言えない空気を醸し出す。
しかし、彼は至って真面目であり、真剣なのだ。

「よし、手本は見せてやった」

「この壁をぶち壊したらすぐにフュージョンを解除するからな」

「……いくぞ!」

この『境界壁』を破るためにフュージョンに応じたトーガだったが、あくまでクロームとは単独の力で闘うことを宣言し、フレアから距離をとるとフュージョンの準備に入った。

「フューーー………ジョン!!」

「はっ!!!!」

今まさに世界の垣根を超えた最強(サイヤ人)×最強(ベルセルク)による超次元のフュージョンが行われる。
溶け合えば奇跡のパワー!闘いの歴史を変える誰もまだ信じない凄い戦士が姿を現すことだろう。

限りのない
そのパワーに
神々も驚くだろう

復活のフュージョン!!トーガとフレア

>>フレア

3ヶ月前 No.425

aki @asynchro73 ★SDuZ9bwcdx_4qc

【リュウト/カントー地方 トキワシティ/レッド、レイジとの合流点】

 『黒き氷の羅刹』の元へと向かうべく、先ずはレッドとレイジの合流を果たした。
 そんな彼らの前にはパールの差金であろう3匹のポケモン達がその行く手を阻んでいた。

「どこでまでも下種なッ・・・!!」

 学友たるブルーを人質に取るフシギソウ。
 レッド達と同様に、その卑劣なやり方に怒りを覚えたリュウトはその震える拳を握りしめ3匹を睨みつける。
 彼らは一刻も早くパールの元へと急げねばならぬのだ、こんなところで足止めを食らう道理など無い――――

「(レイジ・・・!)」

 レイジから送られたアイコンタクトで彼の動きを察する。
 3匹に気付かれぬ様うん、と頷くと、レイジはその力を遺憾なく発揮する。

「すまない・・・レイジ!恩に着る!!」

 一瞬だった。
 その一瞬で、レイジが放った『界王拳』によってこの場にいる全ての反応速度を凌駕した一撃を加え、ブルーの捕えられたフシギソウの蔦を切り裂く。

「ッ・・・・!!ファイアロー!!頼む!!」

 彼が作ってくれたチャンスを無駄にはしない。
 即座にベルトに備えられたボールに手を掛けるリュウト。
 繰り出された彼のファイアローは、衝撃で宙に放り出されたブルーを掬う様に拾い上げ空を裂き、旋回するかのようにリュウト達の元へと戻ってくる。

 すっかりと倒れ伏した3匹をキッと睨みつけると、パールによる『殺気』の感じられる方向へと視線を移す。
 その視線は3匹へと向かれないまま、再度『警告』を促す。

「お前たちが何を企んでるのかは知らない」

「だけども・・・これ以上俺たちの邪魔をするのなら・・・・」



「"その時は、容赦なく叩き潰す"」



 冗談でもなんでもない。
 普段のリュウトからは想像も出来ないドスの利いた声色でその言葉が発せられる――――


>>レイジ、レッド、グリーン



【ガイ/カロス地方 ミアレシティ/プリズムタワー前】

――――「…………リュウト」

――――「お前に勝てた事、誇りに思う」

 戦友同士のギリギリの激闘、紙一重の攻防。
 その果てに彼らが得た物は、言葉では測り知れない程であった。

「フレア・・・いや、この場ではレッドと言った方が良いか。私もお前と一戦交える事ができたこの時間は、とても有意義であったよ」

 微笑みながら、差し出された手を取り立ち上がるガイ。

「どうやらお前の身の回りにも何か厄介ごとが起こってるみたいだな」

「・・・・私にも成すべき事がまだ山ほどある。彼らと共に友(サトシ)へと言葉を届けなければならない」

―――「 "俺はまだまだ強くなる" 。だろ?」

「ふんっ・・・・その通りだ。だが、これだけは忘れるな。次こそは私がお前を上回る」

 今日の彼らの『全力』は、明日の彼らの『全力』とは違う。
 日々の戦いこそが鍛錬そのものである2人は、1秒1秒ごとに進化していく・・・!それがどのように修羅の道であっても!

 男達の熱き誓いと共にその場から姿を消し去ったフレア。
 広場に残った戦いの痕跡と、ハヤトに預けられた衣装だけを残して―――

「ぐっ・・・ゼロ、ケンタ・・・このような無様な姿を見せてすまないな・・・」

 傷だらけの身体を必至に自身の膝だけで支え、手当を行う彼らの元へと向き合う。
 執行者と好敵手との連戦は、流石のガイと言えど身体に堪える物であった。





「しっかしなぁ・・・・」

 預けられた衣装をそのままに去っていたフレアに対して、譲り受けたハットを更に目深に被りながらハヤトはぼやく。

「あのガイの旦那を負けに追いやるあの男は一体何だったんだ・・・」

「だがまぁ・・・・次にあいつと会う時は、この服装に似合うような男になっていたいモンだな」

 フレア達と自身に生じるあまりにも果てしない実力差を悟ったハヤトは、あまりにも自分がちっぽけな存在であったと気づかさられる。
 だからこそ、ゼロ達のような信じた仲間と戦う。任務など二の次に、この先どれほどの困難が待ち受けようと、彼らと共に戦うことを決意したのだ―――


―――「ミライ、僕達も行こう。立てるかい?」

「ん…もう・・・平気。ありがとう、ユウ」

 ミライの元へと蘇った記憶の一部、そのあまりにも大きな情報量に衰弱しきっていた彼女だが、先程よりは回復した様子であった。
 ユウの手を取りながら立ち上がり、彼女達もガイの元へと向かう。

 彼女の記憶へと流れ込んできたあの情景が正しければ、ガイの放った輝きは『ミライ』という存在を決定づける程の何かが隠されているのかもしれないが・・・それはまた後の機会に"語られる"こととなる―――

>>タワー場一同


【ガイ/古代カロス地方 王都アマデウス/カロス貴族院 円卓の間】

――――「我々は彼を、膨張(イクスパンション)という便宜的な名で呼んでいるが――――」

――――「間違いなく、このカロスに現れるような存在ではないね」

 膨張・・・あまりにも的確な表現でその映し出されたその異質な生物について淡々とブラフマンは説明を行う。

「我々が認識し得るだけで、この生物が私たちが共存すべきであるポケモンという可能性もある・・・と」

 新種のポケモンが発見されるということは何も珍しい事ではない。
 世界各地に存在する地方ではまだ見ぬポケモンがあるとき突然姿を現すということはよくある話だ。
 ・・・だが、彼にとって不可解であったのは、怪物が現れる背景には必ず"空間の裂け目"の様な物が生み出されていることであった。

 そんな教皇の言い方に何かを察したリナリアは彼のことを睨みつける。
 彼女の言わんとする事をガイは理解したが、今この場で深追いすることは出来ない・・・・彼もなるべく遠回しな表現でブラフマンへと言葉を返す。

「貴重な情報を頂き、感謝する。・・・しかし、一国の王として、カロスの均衡を崩しかねない外来種は許容出来るものでは無いというのは事実だ」

「心苦しいが・・・この生物がポケモンであったとしても、その対策は講じなければならない」

 未知なる生物の襲来によって王都が受けた被害は計り知れない。
 むしろ、このまま放っておけば、恐らく事態は悪化の一方を辿るのみだろう。


「ふむ・・・欠席者も数いるが止むを得まい・・・。改めて・・・これより、王都に現れた"怪物"への対策についての議会を行う」


 国の存続をも賭けた"怪物"を巡った議会は、ガイの一言によって開始された―――

>>ブラフマン

3ヶ月前 No.426

ツバサ @th0md ★rdPQ363qXE_yoD

【ゼロ/カロス地方 ミアレシティ/プリズムタワー前】

「気にするな。お前の戦いは見ていて参考になる…。ケンタ!包帯は!?」

「今うちの団員に持ってきてもらった。リオ、波導で傷の治療よろしく」

(うむ)

「俺達は包帯で怪我したところを巻こう。ゼロ、そっちよろしく」

「ああ、これを…こう…。あれ?おかしいな。うまく巻けねぇ」

「なんで巻くだけで苦労するんだよ…これはこうすりゃいいのに」

「いや、真似してみてるけどさ…。ここを…うわ、血で…ここを深めに巻けば…」

「あ、ちょ、強すぎだから…違う!今度は緩みすぎだから!」

「はぁ…本当不器用だよね…ゼロは」

「う…ユウにミライか…。不器用なのは仕方ないだろう…」

「それにしても見るからに対照的だね。ケンタはきれいに巻けて、ゼロは…なんかボコボコっと変形した腕を巻いたような…」

「うるせぇ!」

「そういえば、ガイさん。先ほどの方はどなただったんでしょうか?あの様子では敵ではないようですが」

「確かに…ツカサさんが言うように敵という感じじゃなかったね」

「昔の知り合いとかそういう感じなのか?」

ゼロはガイに、彼が知り合いかどうか聞いてみた


>>ガイ、ミライ

3ヶ月前 No.427

なんか @onemass ★Android=Os5V5CdCuC

 花になる。
 土に捨て置かれた種が。
 翼を得る。
 孤児(みなしご)の雛鳥が。
 純粋なる昇華――――「併さる」という言葉の持つ意味合いとは、単純な理屈では計り知れない。あの美しき花弁の理由とは。あの何処へでも往ける翼の理由とは。

 真に優れた「二つ」は、理屈すらをも凌駕し。本能的に「最適解」を弾き出したのだ。

「補い合う――――というよりは、強力な個と個の累乗」

「喩えるならば優れた騎手に優れた馬。いやはや、屠り甲斐のありそうで」

 スパークする金色の稲妻と、それに寄り添う冷気のオーラ。ぼッ、とヴァドックの姿が掻き消えるものの――――『護式』によってそれに追従するアコヤ。獣を思わせる体勢の低さに、爪を剥き出すかの如き両掌。羅刹が、パールが、ヴァドックへと仕掛ける。

「究極護式(アルティメットスキル)」

「極点死凍(コキュートス・ゼロ) "ラグタイム" 」

 ぱきり、と乾いた音。
 周囲の「時」すらも凍結させ、その干渉は概念にまで及ぶという羅刹の奥義。黒くノイズがかったアコヤの視界――――しかし、風上より流れゆく彼女の「指示(サポート)」は、その干渉すらをもすり抜ける。

「極点凍結(アブソリュート・ゼロ)」

「―――― "解凍(リザレクション)" !」

 豪雨が顔を叩くものの、不可解な「時を凍結させた」ノイズは晴れ、周囲は再び動き出す。瞬発し、目にも止まらぬ速度で迫るヴァドック。落ちる雨――――その総てが羅刹の能力により、鋭利な殺意たる氷塊と化し小さき躯体を襲う。

「ヴァドック――――そのまま、そのままです!」

「貴方の力(パワー)を信頼します」

「貴方の道筋は私が作ります……その総てを、今こそ奴に!」

 高位の同調(シンクロ)によるテレパスが、ヴァドックの脳内へと響き渡る。「そのまま」――――この言葉の為せる技が、どれ程の信頼を有しているかは筆舌に難くない。背を預け、預けられ、そうして我らとポケモンは居る。嗚呼、そうとも。散らば諸共、さりとて散る腹積もりはなし、ならば勝つ――――!!

 神業であった。
 アコヤが自身のオーラを総動員し、羅刹の凶刃を悉く宙空にて止める。それを縫うが如く、ヴァドック、走る、迅る。降り頻る雨粒を避けるが如し、雷と冷気の共演。距離、縮む。まだ縮む。縮む。さあ、

 今や、射程圏内――――!!



 "いくぜ、パール"

 "覚悟しやがれっ!! "



 VS黒き氷の羅刹、ヴァドックの握り拳、射程内!!
 それがフリージオに触れた瞬間――――轟く雷鳴と劈く凍結が炸裂! 『かみなりパンチ』を受けたフリージオが、その結晶の大半を砕き割られ、崩れ落ちるする。超ピカチュウの有り余る力を目の当たりにし、マフラーの奥で舌なめずりをするパール。

「ふふ……素晴らしい」

「しかしねぇ」

 細められた目付きが、彼の後方のアコヤを差す。自身の手持ちが撃破されたにも関わらず、動じない羅刹の悪意――――そこには。

「ヴァドック……ごめんなさい」

「少しばかり――――やられてしまいました」

 脇腹から血を流し、膝を着くアコヤ。
 嗚呼――――司令塔(ブレイン)たるトレーナーを狙うという戦法は、リーグ戦を始めとする公式試合では唾棄されるべき行為に違いない。しかし、この場は。壊す者と護る者、掟なき無法の鍔迫り合い。獣を相手にした争いにて、あってはならぬ油断だったのか。

「(いや――――私は油断なんてしていない)」

「(それだけ、奴が)」

「(私のアナザーの力量が "高い" ――――!!)」

 あの超力の交差の最中にて、意識の外を縫うかの如き羅刹の指示能力。そして、それを寸分違わずに出力(じっこう)出来るパートナーの水準。姿形は似ていれど、こうも短な遣り取りで「差」を見せつけられるとは――――!

 ふらりと倒れ込むアコヤ。
 それに伴い、掻き消える蒼きオーラ。
 既にマンムーを背後に従えた羅刹が、ヴァドックへと向き直る。

「黙して聴くのです」

「闘争の旋律、渦中の音色」

「――――この場では、弱者の心音すらもが喧しい」



「最後に立っているのは、どちらなのか」

「単純(シンプル)なゲームの続きといきましょうか。ヴァドック」



>>ヴァドック




【レッド/カントー地方 トキワシティ/合流地点 → 移動】

 備えてきた。
 蓄えてきた。
 その期間に見合わぬ程の「量」を。
 その莫大を、男達は手にするだけの技量を身に着けた。

 故に、姑息さよ。
 如何に彼らなりの信念があろうとも、このマサラを襲う凶刃を男達が赦す筈もなく。

 "……おまえらの覚悟はよく分かった"

 "だがよ、オレたちにもおまえらと同じように譲れないモノがあるんだ"

 "だからこそ、その覚悟にオレは全力で応える"



 "界王拳……!! "



 奔流が、迸った瞬間。
 目を瞬かせる暇もなく、レイジが迅る。ばらばらと雨溜まりに落ちる蔦、高所にて舞うブルー。



 "ッ・・・・!!ファイアロー!!頼む!! "



 ボールから放たれる――――否、「射出」されたファイアローの背に乗せられ、事なきを得る。超速にて行われた遣り取りの最中、まるで忘れ掛けていたかの如く雨粒に気付き、その目を丸くするも

「あ、ふ、二人共……ありがと」

 内心、その急激な成長に対し、ただただ驚きを隠せなかった。

「ブルー、なるべくこの場から離れろ」

「――――用が済めば、また俺らで戻ってくる」

 羽織っていた革のジャケットを被せ、目元は翳らせたままグリーンが呟く。唇を引き結び、しかし、彼らへの信頼は厚く。振り返る事はなく、男達の無事を胸中で願い――――ブルーが駆ける。

「が……! くそぉ……!」

 レイジの強化された一撃を受け、割れた甲羅の痛みに呻くカメール。背中越しに突き刺さるリュウトの殺気に慄くものの、傍らで横たわるリザードとフシギソウが捨て台詞を吐く。

「……お前ら……とっととお嬢に殺されてこいよ……!」

「あはは……! キミらなんか、束になったって敵うもんか!」

 未だ張り詰めた緊張。彼らの挑発に耳を貸すレッドではなく――――見据える先は、トキワの閑静なイエローの自宅の方向。

「行こうぜ」

 静かに、しかし強く張った語気。
 嵐は勢力を増し、雷雨が男達を叩く中――――「戦争」は、今、佳境を迎える。

>>レイジ、リュウト




【フレア/カントー地方 マサラタウン/境界付近】

 超(スーパー)個人主義……青年、トーガの特性に関しては理解しているどころか、このフレアも同意見らしい。

「はっはっは。少しばかり裏ワザになっちまうからなぁ」

 あくまでも提示した『フュージョン』を裏ワザと称する辺り、やはり戦闘狂極まれりというか、手柄を始めとした名声や富の類には然程の興味もない割に、どうにも男二人は常人には理解し難い。

 "オレが本当のフュージョンを見せてやる"

 "よく目に焼き付けておけ"

 そして、件の『合体』に関する実践である。まずはトーガの一連の動きから学び……

 思わず目を「・・」の形にして固まるソニア、大真面目な顔でそれを頭に叩き込むフレア。

「ぜ……、Zワザ……?」

「いいや。フュージョンだ」

 らしい。
 ともあれ、こうして「型」は視た。
 仇敵の障壁を突破するべく、男二人はあくまで真面目にそれを実践する。

 "フューーー………ジョン!! "

 "はっ!!!! "

 阿吽の呼吸にて指先を合わせ、同時に叫ぶ二人。嵐は更に勢いを増し、それに併せるかの如く雷鳴が轟き。ハラハラしつつ二人を見守っていたソニアだが、ふと脳裏を過ぎった疑問を叫ぶ。

「あ、ちょっ……これ何!? 師匠がトーガさんになるの!? トーガさんが師匠になるの!?」

「さァな! 全く判らん!」

 全く、行き当たりばったりも大概である。

>>トーガ

3ヶ月前 No.428

ユウキ @yuuki777 ★ALBZQvbWQp_yoD

【ヴァドック/カントー地方/トキワシティ】

勝負は一瞬だった。
こちらの『かみなりパンチ』を受け、フリージオが崩れ落ちる。
しかし、パールは動じる様子もなく、こちらの背後を指差した。

「……なっ、アコヤ!?」

促されるまま、視線を移し、彼が目にしたのは脇腹から血を流すアコヤの姿であった。
倒れるパートナーの姿にヴァドックは声を上げると蒼きオーラの消失に伴い、超1の状態に戻ってしまう。

「くそったれっ……!」

あくまでスポーツの一種である本来のポケモンバトルにおいてトレーナーを狙うことは禁じ手である。
しかし、生死を賭けた本当の闘いであるこの状況においてはその限りではなく、そのことはアコヤも承知しており、彼女に油断はなかったはずだ。
それにも拘らず、もうひとりの自分であるアコヤを屠ってみせたパールの手腕はこちらに「差」を理解させるには十分すぎるものだった。

「へっ……」

絶望的な状況にヒヤリと冷や汗が流れる中、ふと笑みがこぼれる。
眼前に佇むマンムーはじめんタイプを持っており、こちらが得意とするでんきタイプの攻撃は一切効かないため、かなり劣勢を強いられることだろう。
それに加え、そのトレーナーであるパールは「時」を止める能力を持っており、アコヤの加護を受けていない今のヴァドックにはその力に対抗する手段は残されていなかった。

(笑うしかない状況ってのはこういうことなんだな……)

(だが、オレも勝負を諦めたわけじゃねえ)

(あいつらが来るまでなんとか耐え切ってやる……!)

『でんじふゆう』によってヴァドックの身体がふわりと宙に浮かび上がる。
これは強力な磁場を発生させることによって空中に浮かびあがり、じめんタイプの技を無効化する技である。

「さっきも言ったはずだぜ」

「てめえの餌になるつもりはねえってな」

「生き延びてやるさ……!」

超スピードで空中を翔けながら相手に接近しつつ、ヴァドックは拳を握りしめ、マンムーに向かって『かわらわり』を繰り出した。

>>パール



【レイジ/カントー地方/トキワシティ→移動】

捨て台詞を残すカメールたちに目もくれず、イエローの家がある方角を真っ直ぐに見据えるレイジ。

「ああ」

レッドの言葉に頷き、この場にいる仲間たちの顔を見回すと目的地に向かって走り出した。

(待ってろよ、みんな!)

(そして、パール!)

(てめえはオレが必ずぶっ倒してやる!!)

純粋なる怒りと闘志を胸に宿し、レイジは仲間たちとともに嵐の中を走り抜ける。
『黒き氷の羅刹』が待ち受ける決戦の場はもうすぐそこだ!

――――……

忍び寄る影。

足音が聞こえる。

何者かが近づいてくる。

「よう、おまえら」

「ザコのくせによく頑張ったじゃねえか」

暗闇で顔は良く見えないものの、黒い道着を着た男がこの場に取り残されたカメールたちを見下ろし、彼らに語り掛けてくる。

「安心しな、オレはおまえらの味方さ……」

そういうと男は道着の懐から気味の悪い“赤い果実”を取り出した。

「こいつを口にすれば誰にも負けねえ極悪な力が手に入るぜ。ただし、理性も多少ぶっ飛んじまうがな……?」

男が取り出した果実は本来このポケモンの世界に存在するはずのない異物――『神精樹の実』であった。
根付いた惑星を養分として育ち、星ひとつをまるごと滅ぼしてしまう危険性から神のみが食べることを許されるという禁断の果実。
彼が語るように一口でも食べれば強大な力を手に入れることができるという夢のような代物であり、元の世界ではとあるサイヤ人が悪用していた程である。
しかも、それは“ある者”によって込められた邪悪な魔力によって更なる強化を施されており、暗黒を思わせるドス黒いオーラを発しながら彼らを蠱惑(こわく)する。

「せっかくだから、おまえらにも恵んでやるよ」

「最期の最期くらいご主人サマのお役に立ちたいだろ?」

「せいぜい仲良く食べるこったな……」

三匹の元に『神精樹の実』が放り出される中、稲光とともに獰猛な笑みを浮かべ、牙を向き出しに笑う男の素顔が明らかになる。
その顔は先程、仲間たちとともにこの場から立ち去ったはずの男“レイジ”とそっくりであった。

>>レッド



【ガレア/カントー地方/マサラタウン 境界付近】

眩い光の中からひとりの超戦士が姿を現した。

「はは、どうやらフュージョンは成功したようだな」

「名前はトーガとフレアで“ガレア”ってところかな」

メタモル星人の衣装に身を包む『ガレア』と名乗った戦士は自らの掌を眺めながら不敵な笑みを浮かべる。

「さて、合体したオレたちの力がどれ程のものか少し試してやるか……」

眼前の『境界壁』を見据えながら両手に滾る炎を燃え上がらせるとかめはめ波のような構えをとる。

「見てな」

「今から“かめはめ波”に1兆年分の時間経過を与える」

ガレアは自信ありげに笑うと元から強大なエネルギーの塊であるトーガの『かめはめ波』にフレアの能力である“エネルギーの加速”を適用させるという荒業をやってのけた。

「いくぜ……」

「荷炎粒子かめはめ波ァァァァーーーッ!!!!!」

宇宙の創世から現代に至るまでの時間を遥かに凌駕する1兆年分のチャージとともに『荷炎粒子かめはめ波』が境界壁に向かって放たれる。
果たして、この想像を絶する威力を秘めた一撃によって今度こそ『境界壁』を突破することができるだろうか……!?

>>ソニア

3ヶ月前 No.429

なんか @onemass ★Android=Os5V5CdCuC

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3ヶ月前 No.430

なんか @onemass ★Android=Os5V5CdCuC


 呼吸。

 呼吸。



 微かに――――儚くも、そこには



 親友(とも)達の、息遣いが在った。



 風圧に、しなる街路樹。
 慟哭の雲が雨粒を、晒されたアスファルトへと叩き付ける。



 雷が一閃。
 闇夜に照らされたのは――――否。
 闇を引き裂いたのは、四つの「光明(ひかり)」だった。






【VS黒き氷の羅刹 マサラタウン防衛戦】

【act 4】



 "死闘、開幕"
(THEME:https://m.youtube.com/watch?v=qmqtiVgtMcI)






「おや、来ましたか」

「部下達に足止めを命じたのですが――――」

「大した役に立ちませんでしたねぇ」



 レッドが、先ず目にしたのは。
 傷付き、横たわる級友達の姿であった。



「…………ゆうす、い。それに、みんな、も」

「きてくれたんだね、」

「ごめん……、……せんせ、じゃ、まもれ」



「ヒメ先生、ヴァドック。遅れて本当に済まない」

「後は "俺達" に任せてくれ」

「――――何が何でも "繋いで" みせる」



 膝を着き、ヒメへと寄り添い、静かに呟くグリーン。ざあ、と風向きが変わり、横面を叩く雨風。その傍らを、ふらりと一歩、一歩、レッドが通り過ぎる。



「…………レイジ、さん」

 ひゅう、ひゅう、と掠れた息は、今にも消え入りそうに。しかし、モモカの瞳には、闇夜に聳える「希望」が、強き格闘の求道家の姿が映し出されていた。

「わたし、ちょっとだけ、……」

「ゆうき、……ふりしぼってみたんですよ」

 切り裂かれた脚からの出血が、赤き水溜りを生み、しかし――――



 "あ、ど、どうもおはようございます。私、マサラ第一高校のモモカという者です。はじめまして"

 "校庭でレッドさんと喧嘩しているのを観まして……その、あの〜"

 "お時間があるなら、私とデートなどして下さい。お願いします"



「ッ、う、ひぅッ。ぐす」

 目元に溜まりゆく、大粒の涙。



 "トーガさん、お願いします。……こんな私にも何か、レイジさんの為に出来る事があるのなら"



「うぁぁ、ぁ。ひッく、ぐす……ッ」

 血にまみれた頬に線を描き、それは流れ、



 "修行、お疲れ様です。毎度の事ながらトーガさん、めちゃめちゃ厳しいですね……"

 "んめめ、んめぇ"



「――――怖かった、…………」

 安堵からか、疲弊を隠していた彼女の心は堰を切ったかの如く、



 "あの、……。私に出来る事って、ほんとにこうして包帯を巻くくらいしかないんですけど"



「――――……うぁぁぁぁああ…………っ!!」

 溢れるがまま。



 "それでも――――何か力になれれば"



「怖かったよぉぉ……! レイジさん……!
ひッ、ぐすッ。うわぁぁあ……!」

 縋るがまま。

 レイジへと。
 マサラの未来へと!



 ふら、ふら、と覚束ない足取り。
 レッドが、レイジの傍らを通り過ぎる。



「……リュウト…………」

 地に伏せていたルカが、辛うじて顔を上げる。碧き瞳に映し出され、闇夜に於いて浮かび上がる「希望」の逞しく、いつでも頼れた親友(とも)の姿。



 "リュウトぉ! オレだ、ルカだ! あとエマもオッサンもいる! 返事しろーっ!"

 "おかえりなさい、リュウト"



「ざまあ、ないぜ。……へへ」

 出血に加え、イエローの治療が満足に及んでいない今、内部へのダメージも計り知れない。這いずりつつも、エマが親友を見据え。



 "空ってね、世界中で繋がっているじゃない。きっと私達、何処か知らない場所で共有はしていたと思う"

 "やっぱりそれでも、逢いたかったよリュウト。おかえりなさい"



「ごめん、ね。……リュウト。およばなかった、よ」

 翳る少女の表情。
 しかしその双眸からは――――包み込むような「安堵」から、止めどなく涙が溢れ。



 "カッコ悪ぃの。泣いてやがるよ、エマ"

 "そういう兄さんだって、酷い顔"



「……リュウトぉ……! 頼む……!!」

「アイツを……パールを……!!」

 少年の頬を伝う涙、そして引き結ばれ、噛み締められた唇。



 "お前も相当強くなったけどよ、エマと俺のタッグだって負けてねぇかんな!"

 "ま……まぁ、それでもよ、リュウト"

 "お前は――――本当に強ぇよ"



「――――お前に……繋いだ……!!」

「リュウト……、……どうか、気を付けて……!」

 自身らの実力が及ばない絶望。
 見出したのは、マサラの未来たる親友(とも)の実力(ちから)!



 風に煽られ、雨に晒され。
 幾度も脚をもつれさせ、リュウトの傍らをレッドが通り過ぎる。

 辿り着いた、先には。



「…………。れつ、と」

 膝を着き、樹に背を預けていた少女の背中を抱き、右の掌を握るレッド。浅い呼吸、消え入りそうな熱。弱く繰り返す鼓動。

「いくらでも、わたし、が……」

「なんかいでも、なおしてあげ……る」

「……だから、れつと」

「しんぱい、しないでね」

「黄花(オウカ)」



「遅れてゴメンな」



 少女を再び樹に凭れさせ、静かに、ゆっくりと繋いでいた掌を離す。微かな体温が失われ、ぱたりと落ちるイエローの腕。しかしその口元に、少年を安心させるように笑みを携え――――

 よろりと身を起こし、次に見据えた先は。



「茶番は済みましたか?」

「弱者を庇うのも大概にしなさい。不幸の子にして絶対的強者よ」

「捨て置きなさい、そんな何も出来やしない屑共は」



 背筋を突き刺すかの如く、絶対零度を湛えた眼。しかし少年は何も答えず――――表情を翳らせたまま、羅刹へと一歩、また、一歩。

「さて、楽しませて下さいよ。此処までお膳立てをしてあげたのですから」

「極点死凍(コキュートス・ゼロ)」



「―――― "タイムアウト" 」



 凍結の顕現。
 概念すらも凍てつかせるその異能は――――瞬く間にレッドを包み込み、人間型の氷像を瞬時に創り出した。

「…………! レッド!」

 その凶悪極まりない護式に青褪め、アコヤが叫ぶ。自身のものとはあまりにも「格」の違う、羅刹の絶技。どすん、と地を踏み締めるマンムーが、その巨大な牙を、氷像へと突き立て――――



 瞬間。
 どうッ、と熱波が周囲を駆け巡り、少年の、レッドの止められた「時」が再び刻まれる。

 分厚い氷は瞬時に融解され、踏み締めた土が溶岩と化す程の圧倒的な熱量(エネルギー)。ぎり、と片手でマンムーの牙を掴みながら、緩やかに、その足取りは羅刹へと。

「…………!! マンムー! 何をしているのですかッ」

 掴まれた指先から亀裂が生まれ、必死に頭を振るものの――――少年の膂力から逃れる事が出来ない。ぶおう、と大鳴きし、暴れ狂うマンムーを軽々と薙ぎ倒し、その躯体は



 いよいよ、羅刹の御前に。



「お前だけは――――」



「赦さねェ」



 きゅどッ、と赤光が迸り、少年の拳が、莫大な炎熱を伴い「飛んだ」。
 みしみし、と羅刹の右頬を捉えた拳撃、瞬間的なスローモーション。「撃」として当たった攻撃は、押し込むがままに「圧」となり――――その総てを吹き飛ばす。

 ばきり、と大木をへし折り、コンクリート造りの民家の壁を穿ち、遅れて轟音――――羅刹の姿が我々の視界から消失した瞬間、辺りを地響きが突き上げた。

「…………すッご…………!!」

 驚嘆に目を丸くするアコヤ。
 轟、と炎を纏い、地と風を燃やしながら佇むレッド。
 横殴りの雨粒が、少年に当たる以前に蒸発を繰り返し、辺りは深い霧に包まれる。

「……レイジ、リュウト、……ユウスイ」

「……気を付けて…………!」

 しかし――――背後からの懸念の声。
 樹に身体を預けながらも、ヒメが羅刹の吹き飛んでいった方向を見据える。

 嗚呼、判っている。
 奴がこれでくたばるタマではない事など。しかし――――



 平静極めつつも、今はただ。
 鎮(しず)かな猛りがまま――――



 怒れ、戦士達よ!!



>>レイジ、リュウト、ヴァドック

3ヶ月前 No.431

aki @asynchro73 ★iPhone=WAXDwGGy0d

【リュウト/カントー地方/トキワシティ】

 降りしきる豪雨と嵐の中、少年達は『羅刹』の元へとたどり着く。
 辿り着いたその先で見た光景は……まさに死屍累々、強大な力に挑み散って行ったのであろう仲間達の姿であった――――

「みん……な……」

 言葉を失う。
 先日まで、彼らはこの家で平穏な朝を過ごしたのだ。
 それは今や見る影もなく、無残にも崩れ落ちた家屋に、飛び散った血に塗れている。

 リュウトは、真っ先に倒れ伏す親友達の元へと向かう。

―――「……リュウト…………」

―――「ざまあ、ないぜ。……へへ」

―――「ごめん、ね。……リュウト。およばなかった、よ」

「ルカ……エマ……!!すまない……俺たちがっと早く着いていれば ……!」

 深い傷を負い、衰弱しきった2人の手を握りしめながら必死に涙を堪える。
 足止めを食らっていたとは言え、自身の不甲斐無さに嘆く。彼らが少しでも早くこの場に付いていれば少なくとも、このような惨状は避けれた筈だ、しかし……。

―――「――――お前に……繋いだ……!!」

―――「リュウト……、……どうか、気を付けて……!」

「……みんなが繋いでくれたこの想いを、絶対に無駄にはしない……!!」

「ああ……誓う。俺が……俺達が……奴を……!!パールを……!!」


「――――討つと!!!」


 だからこそ、散って行った者達の想いを受け継がなければならない。
 皆の無念を晴らさねばならない。眼前に立つ『黒き氷の羅刹』を討たねばならない……!!

 親友へ誓いを交わしたリュウトは、パールへと一矢報いたレッドの隣に立つ。

「バンギラス」

 この世界にて様々な強敵を破ってきた相棒の名を呼ぶと、彼のベルトに備え付けられたボールからその姿が現れる。
 心なしか、主人の怒りに呼応したかのように、バンギラス自身からもただならぬ『怒り』が感じられる。

「加減なんていらない。容赦もいらない。持てる力の限界を使ってでも……あいつを全力で――――」



「潰せ」



 同時に、首に下げられた『メガペンダント』が眩い光を放つと、バンギラスはその姿を変え……『メガバンギラス』へと変貌を遂げる。
仲間達の想いに応えるべく、立ち上がった戦士達………最終決戦は、目前に――――

>>ウィンチェスター兄妹、レッド、レイジ、パール


【ガイ/カロス地方 ミアレシティ/プリズムタワー前】

「手当てまでして貰ってすまないな……しかし、案外不器用なのだな、お前は」

治療とは言い難い、ゼロの荒削りな包帯の巻き方にガイは驚愕する。
それとは対照的はケンタの巻き方は丁寧で、模範にするにはもってこいである為か、その差は余計に目立つという物だ。

「しかしまあ……この程度の傷なら、完治にも然程時間は掛からないだろうさ」

……側から見れば深傷を負ってるにもかかわらず、この男の余裕さたるや。
リミッター能力で自然治癒力も底上げされているとは言え、そんな涼しい顔して言えるような事じゃないぞ。

――――「そういえば、ガイさん。先ほどの方はどなただったんでしょうか?あの様子では敵ではないようですが」

「ん?……ああ、そうだな。お前達には話しておく必要があった」

先ほどまで戦闘を繰り広げた男について、ガイは語り出す。

「あの男は、フレア……私の"元いた世界"での、古き友人だよ」

「元いたって……旦那のいた世界ってのは、あの古代カロスのことだよな?」

話を聞いていたハヤトは、ガイに対して疑問を投げかける。

「いいや……古代カロスに来る前にも、私は故郷となる別の世界にいた……フレアという男と出会ったのも、そこでだ」

「……先程の戦いでも見ただろうが、あいつは相当な手練れだ、またいずれ共に闘いたい物だ」

「フレアだけではない……お前達の知る『サトシ』という存在に初めて出会ったのもその世界で、だ」

「サトシ、と……………」

その名前を聞き、ミライは今自分達がすべき事を再び思い返す。
執行者と戦い、失った仲間を取り戻すこと……記憶が戻りかけている彼女だが、それでも今は立ち止まってはいられない。

「さて、と……昔話はこれ程にしておくか。傷も癒したいところではある、一度休息をとって明日へと備えようか」

>>広場前一同

3ヶ月前 No.432

ユウキ @yuuki777 ★ALBZQvbWQp_yoD

【レイジ&ヴァドック/カントー地方/トキワシティ イエローの家】

ヴァドックの『かわらわり』がマンムーの額を穿つものの、それでもヤツは止まらない。

(ちっ、パワーが足りねえ……!!)

こちらの心臓を狙ったマンムーの一撃が容赦なくヴァドックに迫る。

「……?」

死を覚悟するヴァドックだったが、どういうわけか相手の攻撃は寸前のところで止まった。

「……お、おまえら!」

パールたちの見据える先に視線を向けると見慣れた四人の姿があった。
そう、パールが求める“真打”たる彼らがこの場に到着したのである。

「待たせちまったな」

レイジがこの場にいる全員にそれぞれ違った意味合いを込め、そう言い放つ。

――ピシュンッ!!

次の瞬間、風を切るような音とともにレイジの姿が消え去り、一瞬のうちにモモカの元へと現れる。

 “…………レイジ、さん”

身も心もボロボロと成り果てた彼女が、こちらの存在に気づき、弱弱しい声で彼の名前を呟く。

 “わたし、ちょっとだけ、……”

 “ゆうき、……ふりしぼってみたんですよ”

「ああ……」

「よく頑張ったな、モモカ!」

レイジはその場に片膝をつくと彼女に優しくニッと笑いかけた。

 “――――怖かった、…………”

 “怖かったよぉぉ……! レイジさん……!ひッ、ぐすッ。うわぁぁあ……!”

「ああ、分かってるさ……」

「おまえの仇はオレがとってやる!」

不器用ながら彼なりにモモカを安心させようと彼女の頭にポンッと手を乗せる。

「……やってくれたじゃねえか、パール」

「久々にぶちギレたぜ!!」

立ち上がるとともに金色の眼に純粋な怒りを宿しながら仇敵たるパールをキッと睨みつけるレイジ。
レッドの猛攻によって家の外に吹っ飛ばされたパールを目で追うと好敵手(とも)に加勢しようとする。

 “……レイジ、リュウト、……ユウスイ”

 “……気を付けて…………!”

「ああ……!行ってくるぜ……!!」

レイジはDr.ヒメの言葉を背に受けながらその場から飛び出すと決戦の場に降り立ち、仲間たちの横に並び立った。

「よう」

そんな中、グリーンの足元に歩み寄る小さな黄色い影がひとつ。

「もう一回、力貸せよ」

「グリーン、いや――ユウスイ!」

黄金の闘志(オーラ)を全身に滾らせながらヴァドックが言い放つ。
まだまだ彼の闘志は燃え尽きておらず、彼らと同じくパールに対する怒りに満ちた鋭い眼でグリーンを見上げる。
トキワの惨劇を経験したヴァドックにとってもパールの凶行は許せるものではなく――怒りに燃えるふたりの心がひとつになった時、金色の力は更なる壁を突破する!!

>>パール



【???/カントー地方/トキワシティ 足止め地点】

「くっくっく……」

「思う存分、暴れてこいよ」

「……命と引き換えにな」

黒い道着の男は不気味な一言を残しながら姿を消す。
神精樹の実を口にしたビリーたちの肉体に暗黒の魔力に満ちた禍々しいオーラがみなぎる。
青白く染まった身体と薄紅色に発光する眼、額に浮かび上がる“∞”にも似た『X』の文字。
異様な変化を遂げた彼らの身に起こった現象――それは命を削り、限界を遥かに超えた力を引き出すという危険な魔術――『極悪化』であった。
禁断の力を手に入れた三匹が絶望の渦中に齎すものとは果たして――

>>ビリー



【トーガ/カントー地方/マサラタウン 境界付近】

「ふん……、このオレがそんなくだらんミスをすると思っているのか?」

「たとえ世界を消し飛ばすほどの威力だろうと外さなければいいだけの話だ」

究極の合体戦士・ガレアの力によって見事に『境界壁』を突破することに成功したトーガたち。
そのパワーは一歩間違えれば、この物語の舞台である『ポケモンワールド』そのものを消し去ってしまうほどであった。
やりすぎだとソニアが注意するものの、本人たちはどこ吹く風であり、まるで反省していなかった。

「相変わらず、分別のないヤツだ。おまえも少しは大人になったらどうだ?」

場を弁えない発言によって弟子に頭を叩かれるフレアの姿を見やり、呆れたように呟く。

「安心しろ、勝負ならいくらでも相手になってやる」

「クロームとかいうヤツを片付けたらな……」

そういうとフレアたちのほうに目を向けるトーガだったが、その場に彼らの姿はなかった。

「……!?」

周囲を見回すとマサラタウンの代わりに見知らぬ異空間が広がっていた。

「なるほどな……」

「おまえがクロームか」

フレアたちと引き離されてしまったことを察する中、眼前に佇む黒いコートを纏った金髪の男を見やり、彼こそがこの異変の元凶たる男“クローム”であることを確信する。

「ほう……、貴様にオレの相手が務まるのか?」

その実力は未だに未知数であるクロームだが、トーガの実力に裏打ちされた自信が揺らぐことはなく、いつものように超然とした態度を崩さない。

「残念だったな、オレは貴様のお遊びに付き合ってやるほどお人好しじゃない」

「だが、貴様を倒さなければオレはこの空間から脱出することはできない」

「……違うか?」

単なる憶測でしかないが、わざわざ一対一で闘える舞台を用意し、こちらをこの空間に引きずり込んだのはそういう意図なのだろうと判断する。

「誂え向きだ」

「掛かってこい」

地球育ちと言えど彼もまた純粋なサイヤ人である。
未知の強敵を前に本能が喜びを隠しきれず、ニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
トーガは超サイヤ人に変身することなく、構えをとると相手の出方を伺うのだった。

>>クローム

3ヶ月前 No.433

なんか @onemass ★Android=Os5V5CdCuC

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3ヶ月前 No.434

aki @asynchro73 ★SDuZ9bwcdx_4qc

【リュウト/カントー地方 トキワシティ/イエローの自宅】

 レッドの怒りに燃え滾る拳を顔面に受け、致命傷を受けた筈であるパールは丸で痛みなど感じていないかのように彼らの前に再び姿を現す。
 力任せに傷ついた身体に処置を施すという、狂気に歪んだその様は端的に言えば"化物"そのもである。

「・・・・・・・・・」

 レッドと同様、パールの問いかけに答えることなく、ただ眼前に潜む敵を一点に見つめる。
 先手必勝、こちらから仕掛ける・・・・・・!リュウトはそう考えた、だがその矢先。


「レッド・・・・・・!?くっ……後ろか!!!」


 突如として消えたレッド。
 彼は、戦士達の背後からいつの間により出現した"何か"から放たれた棘の螺旋の一撃を一身に受け止めていた――――

 直後、爆散した棘により辺りは冷気に包まれ、降りしきる雨もそれに触れ霙の様に凍り付き、辺り一面に降り注いでいた。

 深い霧のなかから徐々に明らかになっていくその影に、リュウトは目を見開く。


「それが・・・・・・あんたのポケモンか」


 通常ではあり得ない巨大な姿をしたパルシェンが、俄かには信じがたいが、確認できた。
 外殻を覆うその鋭利な棘の数々は、直接触れようものならばこちらが串刺しになるであろうものであった。



「行くぞ――――バンギラス」



 リュウトが発動した護式"魂の昇華(ソウルアセンション)"により、彼らの視界を始めとした五感のすべてがリンクする。
 脳内で伝わる初期動作を先行入力し、それを共有することにより、バンギラスの挙動を限界まで引き出す事ができる・・・・・・・!!!


『――――――――!!!!』


 バンギラスは声にならない咆哮をあげながら、その巨体からは想像もできない程の軽い身のこなしで地を蹴り、パルシェンの周りを動き回る。


「・・・棘が邪魔だな」


 攻撃を与えようにも全身を覆う棘に阻まれてしまうだろう。ならば先ずはそれをへし折る。



「"きあいだま"」



 パルシェンの側面に周り込むと、バンギラスはその両手に力を集める。
 そしてその直後。集束した力の塊が、敵を覆い囲む強固な外殻を粉砕すべく放出された――――

>>パール

3ヶ月前 No.435

ユウキ @yuuki777 ★ALBZQvbWQp_yoD

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3ヶ月前 No.436

なんか @onemass ★Android=Os5V5CdCuC

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3ヶ月前 No.437

なんか @onemass ★Android=Os5V5CdCuC

【クローム/ポケモンワールド/異空間】

 きりきり舞い、宙へと放られる「四足」。次いで放たれし気功弾――――立ち昇る煙の中、その安否は不明瞭な中、男はそれでも口角を吊り上げ。

「嗚呼、それだ」

「そいつを見てみたかった」

 蒼き神域の向こう側――――様相を変えたトーガへと、目元を翳らせたまま笑みを以って呟く。出方を窺うべくして放たれた気功弾の数々は、男を覆う「境界壁」によって阻まれ。

「なら俺も――――行かせて貰うか」

「おい、 "ヌル" 」

『ヌル』。それがこの奇妙な四足の名称かは不明だが、体勢を立て直した彼と共有する、半透明の不可解なオーラ。風景を歪ませ、揺らめくそれと対峙せし蒼き戦士。

「行くぜ」

 四足が唸りを上げ、男と共に姿を掻き消す。超速の渦中――――未だ謎はそのままに。

>>トーガ

3ヶ月前 No.438

ツバサ @th0md ★rdPQ363qXE_yoD

【ゼロ/カロス地方 ミアレシティ/プリズムタワー前】

「泣くぞ…」

「ごめん、弄りすぎたね」

味方にフルボッコにされ軽くへこむゼロをユウは宥める。そんな時、ガイからフレア、そしてサトシの存在を知る。

「フレア…そしてサトシ…」

「僕の中にいるシャドーが知る…サクラギ…」

「いつか会いたいな。ガイが知るサトシに」

「そうですね。ですが、その前に」

「ああ、俺達が知るサトシとアオイさんを助ける」

「執行者を…倒すこと…ですね」

「じゃあ、此処で解散しようか。明日は何処で集まる?」

「そうだね、この前ホロンに行ったあの路地裏にしよう。あそこなら僕の力でなんとかなる」

「分かりました。では、そうしましょう」

「それじゃあ、また明日だ!」




ー翌日ー

「誰もいねぇ…」

早朝、俺…ゼロはすでに路地裏に来ていた。少し騒いでも問題ないくらいだ。これならユウにパルキアを呼んでもらっても大丈夫だろう。…だが問題は別にあった。よく考えたら集合時間なんて決めてなかったし、考えてなかった事だ。朝起きて身支度整えた後すぐに来たのだが誰もいなかった。いつ寝ていつ起きているのか分からないユウがいない事にも、二度驚いた。

「そりゃあそうですよ。まだ日が昇って間もないですから」

「うお!?ツカサ!?いつから!?」

「先ほどです。その様子では朝食もまだのようですね。これ、サンドイッチです。たべて力をつけてください 」

「ん?ああ。悪いな」

「それとお茶も、確か緑茶派でしたよね」

「そうだが…なんで知ってんだ?」

「転生する前にあったゼロは緑茶派でしたから」

「左様で、まぁ、頂くよ」

「私もいただきます」

俺とツカサはモクモクとサンドイッチを食べる。
朝飯食うの忘れていたから助かる。味もそれなりにいい。
食べる毎に心は落ち着き闘志が湧いてくる。食事は大事だなと改めて思い知らされた。
そして、少し落ち着いた時に俺はある一つの疑問をぶつけた…

「そういえばツカサ…」



……………………


「それでいいな?」

「はい、期待していますよ」

「任せとけ」



「ごめん、遅れたよ」

「待たせたな、ゼロ」

路地裏に戦士たちが集う。いよいよ執行者たちとの決戦が始まる…



>>ALL

3ヶ月前 No.439

ユウキ @yuuki777 ★ALBZQvbWQp_yoD

【レイジ&ヴァドック/カントー地方/トキワシティ】

ついに羅刹が従えし、ポケモンたちのエースたる存在――エンペルトが姿を現す。

「へっ、真打のお出ましってとこか……!」

「いいぜ、その黒い氷塊ごと粉々にぶっ壊してやるよ!」

漆黒に染まった禍々しい氷塊に潜む“存在”が発する凄まじい威圧感を肌で感じとったレイジの頬にヒヤリと冷や汗が伝う。

「なるほどな、こいつは今までのヤツらとは段違いのバケモノだぜ……!」

「とても同じポケモンとは思えねえな……!!」

その強大な力を感じ取ったのはレイジだけではなく、彼の隣で拳を構えるヴァドックも目の前の存在が自分と同じポケモンとは思えないと感想を呟いた。

「こいつら、さっきのヤツらか……!?」

「何があったのか知らねえが、かなりパワーアップしてるみてえだな!」

そんな中、パールに加勢する者が現れた。
道中で足止めをしてきたあの三匹のポケモンたちである。
この短時間で何があったのかは知らないが、異様な変化とともに凄まじいパワーアップを遂げた彼らの姿を見やり、レイジは驚いた様子を見せた。

「レッド!」

「たとえ身体は凍っても、魂までは凍っちゃいねえだろ!?」

絶望が加速する中、レイジの眼に宿る闘志はまだまだ燃え尽きておらず、右腕を凍結されたレッドを奮い立たせるように彼は叫んだ。

「リュウト!てめえも手を貸せ!」

「――“合体技”だ!!」

圧倒的な力にて襲い来る『羅刹』とそのパートナーに対抗するべくレイジが提案した手段――それは『合体技』であった。
たとえ個々の力は及ばずとも、三人の力をひとつにすれば、ヤツらに対抗できるほどのパワーを生み出すことも可能だと今までの闘いの経験からレイジは考えたのだろう。

「合体技だと?」

「へっ、面白えことを考えつくじゃねえか……!」

「いいぜ、ザコの足止めはオレたちに任せとけ!」

一方、ヴァドックはレイジの提案に不敵な笑みを浮かべるとビリーたちの相手は自分たちが引き受けると言い放つのだった。

>>パール、リュウト



【トーガ/ポケモンワールド/異空間】

不可解な半透明のオーラを身にまとい、肉眼では姿が捉えきれないほどのスピードでこちらに迫る『ヌル』と呼ばれたポケモンとその主人たるクローム。

「ほう……、なかなかのスピードだ」

「だが、そんな程度ではオレには追いつけんぞ」

その凄まじい速度にトーガは感嘆をこぼすが、彼の表情から余裕が消えることはなく、迫りくるクロームたちを迎え撃たんと身構える。

「神速拳!」

相手の攻撃がこちらに到達する瞬間、『神速拳』によって彼らの動きがスローモーションと化し、相手の視点からトーガの姿が消え去る。

「……いくぞ!」

神速拳によって加速化したトーガは相手の周囲を飛び交いながら超高速の攻撃を仕掛け、1秒という僅かな時間の中で四方八方からパンチやキックの嵐をクロームたちに繰り出した。

>>クローム

3ヶ月前 No.440

aki @asynchro73 ★iPhone=WAXDwGGy0d

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3ヶ月前 No.441

なんか @onemass ★Android=Os5V5CdCuC



 闘争の「美意識」。
 諸君らはどう捉え、実践するか。



 拮抗する実力。
 互いに殴り合い、或いは蹴り、まさしく血と体液を散らす死闘。

 相手方の手数を悉く撃ち落とし、アドバンテージを握ったまま一方的に打ち据える悦楽。

 どれも、大したものだ。
 闘争の甘味、醍醐味とすらいえる。
 ならば、三本目の道。
 上記二つとも異なる「美意識」とは、何か。



 抜かれた白刃。
 対峙する両者。
 まさしく、「サムライ」同士が立ち合うという特異なワンシーン。
 互いに鎧は身に着けず、しかし携えた凶器は、丸腰の生命を奪うには十分過ぎ。

 三本目の道。「美意識」。
 互いが力を有するからこそ、実現する境地。



 "勝機(けっちゃく)は、この刹那にこそ在る" 。



 永き須臾。
 伝う汗。
 先程まで燃え盛っていた生命が、ただの一度の交錯にて沈む。



 彼らの「美意識」は、羅刹の「狂気」は。
 まさしく、三本目の延長線上に在った。



 "レッド! "

 "たとえ身体は凍っても、魂までは凍っちゃいねえだろ!? "

「あァ――――」

「その通りだ、レイジ」

 轟音と共に「白」が咲き、ずっしりと地を捉えた体勢。臨界をも超えたレッドが、残った左腕で羅刹の横っ面を殴り飛ばし、その躯体を後方の巨大な黒氷へと激突させる。

「どうしたよ」

「まだ、左(こっち)が残ってるぜ」

 よろめきながらも立ち上がり、やはり、その表情は歓喜に満ちたまま。

「惜しいものです」

「力を有するが故、この遣り取りは永くは続かない」

 氷塊がめきめきと音を立て、その中央が砕ける。絶対零度の繭から現れたのは、全身を黒き氷で纏った氷河の帝、エンペルト。対峙せし戦士達は、自ずから直感したであろう。

 "刹那"

 "瞬間"

 "決まる"

 そして。



 "逃走は、赦されない"



 "最初(ハナ)から、選択肢にすらない!"



 "リュウト!てめえも手を貸せ! "

 "――“合体技”だ!! "



 "合体技……お前もなかなか洒落たこと考えるな…! "



 嗚呼、好敵手(とも)達よ。
 元よりその腹積もり。かつては火花を散らした同士。貴様と俺とは同期の桜、マサラタウンのレッドの返答は、決まっていた。



「あァ」

「俺達ならやれるぜ」



 右腕を失っても尚、にやりと吊り上がる口角。

 怖ェんだ。単純に。



 コイツらと組みゃあ、一体どんだけとんでもねェ技を繰り出せる――――!?



 "いいぜ、ザコの足止めはオレたちに任せとけ! "

 ヴァドックの決意を受け、彼の金色を見据え、こくりと頷くグリーン。ゆらりと立ち上がり、不屍の如き不気味な様相を醸す尖兵たる三匹。迸る雷撃、追従し、彼(ヴァドック)の潜在能力を極限まで引き出し、彼らを沈め、そして佇む。

 予め、近辺の高台へと待機させていたカメックス。
 少年の持つ『同期』の究極を受け、その水準は、二人のパートナーを同時に「視る」という芸当すらも可能にする。地に落ちる吐血、しかし未だ不安定な力の奔流。リュウトの持つ天賦、レイジの有する求道、レッドが咆哮(ほえ)る血。ただ、縫い、当てるのだ。

 コイツを。



「究極護式(アルティメットスキル)」

「―――― "凍牙の神槍(コキュートス・レイ)" 」



 かはぁ、と白い息を吐き出すエンペルト。
 氷塊そのものが彼を再び包み、その形状は――――より一点の突破に特化した、筒状の砲頭へ。

「――――判りますね」

「これが防げなければ」



「カントー地方が丸ごと滅びますよ」



 黒きとぐろが天を衝き、殺意はこの地をも飲み込み。
 しかし退かず、男達。



「(まだだ――――)」

「(コイツらと、全身全霊を合わせる)」

「(この後、ブッ壊れてもいい)」

「(どうなっても構わねェ)」

「(ただ――――)」



「レイジ、リュウト」

「やってやろうぜ」






「 "真化(リメイカー)" 」






 瞬間。
 マサラタウンのレッドを、白き灼熱が包んだ。
 顕になる全身を奔る紋様、どすんと地を叩く尾、そして粒子と共に蘇生する右の腕。



「おや…………」

「怪物よ」



 集束されゆく、莫大な熱。
 マサラタウンのレッド、お前はヒトか、ポケモンなのか、それとも。
 なけなしの腕に有したのは、『荷炎粒子砲』が織り成す圧倒的な破壊の力。

 今こそ。
 最期。
 否――――勝利すべく!

 三人の牙は、解放(はなた)れる!!

>>レイジ、リュウト、ヴァドック




【クローム/ポケモンワールド/異空間 → 移動】

 瞬間的な刹那にて、打ち込まれ、打ち込まれ、打ち込まれる拳と蹴り足の乱打。「一秒」が経過し、ふわりと地に降り立つクロームと四足。しかし、ぼたぼたと口の端から吐血を零し、そのざんばらに隠された眼がトーガを見据え。

「お前も、 "アイツら" も」

「予想外が過ぎるぜ」

 その驚嘆すべき速度と力に、軽く舌を打つ。荒い呼吸を繰り返す四足を制し、クロームの身体が半透明となり離脱すると共に。

「あばよ、トーガ」

「また逢おう」

 その不可解な異空は消え失せ、代わり、トーガの頬を叩いたのは、相も変わらず吹き荒ぶ雷雨。

「あ、トーガさん! よくご無事で……!」

「そりゃそうだろ」

 再びマサラへと現れた彼を出迎えたのは、彼の身を案じていたソニア、そして然程の心配もしていなかったフレアである。しかし、現在黒き氷の羅刹と交戦を続ける彼らの安否は如何に――――!?

>>トーガ

3ヶ月前 No.442

なんか @onemass ★Android=Os5V5CdCuC

【夕焼け、寂しいかい?】

【砂浜の足跡は儚げだけどね】

【此処ではみんなが陽気に、こう!】

【アローラ! ようこそ、常夏のアローラ地方へ!】

【大好きなポケモン達と一緒に、パイルジュースやマラサダはいかが?】

 "アローラ地方の旅行者向けパンフレット より"



【時間軸:いま!】

【気分:サイコー!】

【紅蓮/アローラ地方 アーカラ島/コニコシティ 桟橋】



 "フシギな留学生達!"
(THEME:https://m.youtube.com/watch?v=dqUdI4AIDF0)



「リューガクセイ?」

 紅蓮の素っ頓狂な声と共に、夕景を反射する海へと投げ込まれるヨワシ型のルアー。釣り竿を漫然と握りつつ、隣のチェストに腰掛けている少女が頷く。

「カントーのマサラタウンから来るらしいよ」

「最近あたいが転入してきたばっかなのに、ポケモンスクールも生徒不足なのかね」

「私達と同じ "特級" みたい。しかも三人」

 がたっ、とチェストを揺らす紅蓮。級友であり、このアーカラ島のキャプテンである少女『スイレン』の話題に対し、どうも魚よりも速く食い付いてしまったらしい。

「え、え。あの田舎のマサラから? どんな奴なの?」

「ククイ先生から聞いた話だと、その内の一人は "レッド" って呼ばれてるみたいだよ」

「えっえっ、うえええ!?」

『レッド』。
 かのポケモンを素手で殴り飛ばすお調子者の通称ではあるが、この紅蓮とて元の世界では『レッド』で通っていた存在である。ぴっ、と釣り竿を引くスイレン。食い付いていた大振りのアジを慣れた手付きでタモに移し、手間取る様子もなく片手で針を外す。

「あたい以外のレッドだって?」

「赤っぽいのが特徴の人なら、そんな仇名を付けられても不思議じゃないと思うけど」

「なんだよそれ。ならスイレンはブルーじゃん」

「スイレンはスイレンですから」

「あぁ、ならあたいもなんだかんだで紅蓮だな」

「だからってグレられても困るよ」

 しゅぱっ、と爽快にキャスティングされ、海面付近を泳ぐルアーとは対照的に、どうも紅蓮はモニョモニョと釈然としない様子である。暫くの沈黙が続くが、読んでいたポケモン育成論の月刊誌を閉じ、ふとスイレンへと向く紅蓮。

「そういやさ、あとの二人は何モンなの?」

「もう一人は、トキワシティのジムリーダーだって」

「じ、ジムリーダぁ? またあたいと一緒じゃないの」

 いよいよ目を丸くする紅蓮。
 釣り上げたボラをやはり慣れた手付きで大型のバッカンに放り込み、絡まったラインを片手間に直すスイレン。

「名前と経歴的に、今挙げた二人。丁度紅蓮を半分にしたような感じじゃないかな」

「な…………なんじゃそら」

「一人一人だとミニサイズの紅蓮なんだけど、合体して二人分になれば初めて元のサイズになるみたいな」

「あぁーナルホド。レッドって通称とジムリーダーって肩書き二つであたい誕生ってやかましいわ! なわけあるか!」

 紅蓮のノリツッコミに応える者はなく、ぴっ、と空を切り海へと投げ込まれるルアーの水音一つ。ぐぬぬ、と唸りつつ、涼しい顔で釣り竿を握っているスイレンを睨むレッド兼ジムリーダー氏だが、そういやもう一人。

「あ、じゃあ最後の一人は!?」

「元々はカロスのミアレ高校の子だってさ。マサラタウンに留学してる最中なのにこっち来るみたい。ちなみに出身はオーレ地方だって」

「さっき以上にツッコミどころ満載じゃねーか!! マサラに留学してるオーレのカロスのこうこ……何!?」

「カロス地方ミアレ高校のマサラの留学生がオーレ出身でアローラ留学だ」

「早口言葉みたいに言ってんじゃねーよ!」

 ぜぇぜぇ、と肩で息をする紅蓮。慣れないツッコミですっかり疲弊したらしい。その時、何やら強い手応えを感じたらしく、表情を険しくしたスイレンがチェストを立つ。

「きたっ、きたきたきた。でかいのきたよーっ」

「おっ、おおう。あたいも手伝う?」

「タモ用意しといて。美味しいのいっちょ食べさせてあげる!」

「わーい! 任しといて!」

 激しくつんのめるルアーロッドが、迸る水飛沫を相手に右へ左へと忙しなく動く。小柄なスイレンではあるが、釣りという勝負は体格(ガタイ)で決まる訳ではない。大物を相手取る為の技術、そして永き時間の中で敵を疲弊させる為の根性(スタミナ)! 今にも折れそうな程にアーチを描くロッド――――夕焼けに飛沫を描き、勝利したのはスイレンであった。が、

「はっ、ハギギシリ!? こんなでっかいの初めて見た!」

 桟橋に横たわり、びちびちと跳ねる色鮮やかな魚……否、ポケモン。その鋭い歯が特徴的なアローラの水ポケモン、ハギギシリであるが、驚くべきはそのサイズである。桟橋を埋め尽くさんばかりのそれへと、タモを持ったまま無防備に近付く紅蓮。未だハギギシリを見た事のない彼女はポケモンとはつい思わず……。

「ぎゃーっ!! いだいいいい!!」

 その尻を噛まれ、絶叫しながら振り回されるのであった。
 目にも止まらぬ速さでボールが奔り、しゅぱりと峰打ち一閃。スイレンのパートナーであるオニシズクモの一撃を受け、目を回したハギギシリがようやく紅蓮を離す。

「あーあ、大丈夫? あれはハギギシリっていって、凶暴な性質の水ポケモンなんだから気を付けないと」

「ひっく、ぐすっ。さ、先に言って……えぅ……」

「三人目の留学生について話した途端これだ。きっとその子、厄介な子だよ。月を見たら変身するオバケだとか、そういうのに違いない」

 何を根拠にそう言うのやら。尤も、その留学生達は今現在遠い異国にて取り込み中であるが。ホットパンツのケツに痛々しい歯型を刻まれ、さめざめと泣き出す紅蓮。ハギギシリをリリースしてあげたスイレンが溜息を吐くものの、突如鼻をくすぐった香ばしい匂いに、紅蓮ががばっと身を起こす。

「やっほー。釣れてる?」

 ワゴンに乗せられ運ばれる、クロッシュの被さった様々な料理皿。スイレンと同じく、『キャプテン』の証を腰に付けたマオである。彼女の後ろに続くのは、料理を乗せたワゴンを押すアママイコやオーロットといった手持ちのポケモン達。近場に彼女が看板を務めるレストランがある故に、スイレンが釣った魚を捌いて調理していたらしい。

「あたしも聞きたいなー、その留学生の子の話」

 桟橋に設置されたログテーブルに並べられてゆく、海の幸をふんだんに使った料理の数々。ワイングラスに注がれた「パイルジュース」が夕涼みの風景を演出し、専ら食べる役割である紅蓮が目を輝かせる。

「さーっすがマオ! この時を待ちわびてたぜ!」

「そうだね。予期せぬ大物にも出逢えた事だし、私も休憩にしましょ」

 クロッシュを開ければ、ふわりとした湯気と共に現れる海の幸の数々。白身魚のムニエルに、ドレッシングの香り豊かなカルパッチョ。具沢山のアクア・パッツァは視覚一つで食欲を誘い込み、血合い鮮やかなマグロのステーキのレア具合といったら溜まらない。火の点いた七輪に乗せられた、脂の乗ったサンマなんぞはもはや語るに及ばず……と、健啖家の紅蓮を加味しても、凡そ三人分の量ではないが。

「いやぁ……てっきりマオさんに料理を教えて貰ってた筈が、すっかり途中からお手伝いになっちゃって」

 ワゴンを押す彼女のポケモンの後に続いて現れる、線の細く中性的な、しかし『キャプテン』の証を有する少年。後ろ髪を掻きつつ照れ笑いをするものの、利き手の指には何箇所か絆創膏が貼られており。

「おーイリマじゃん! なになに、マオを手伝ってたの?」

「イリマさぁ、すっごいセンスあるのよ! 今日初めて教えたにも関わらず、包丁持たしちゃったもんあたし!」

「いいえ、まだまだ……道は険しそうです」

 利き手指を見せ肩を落とすものの、しょげんなとばかりに紅蓮に背を叩かれ、咳き込むイリマ。傍ら、釣り具を片していたスイレンが、何かに気付いたように目を細める。

「やー、今日は沢山釣っといてよかったよ。ね、カキ?」

 現場から少々離れた柱の陰から覗く、大柄で色黒なその姿。何の因果か、続々とこの会食には『キャプテン』が集う中……。

「カキ、出といで! 遠慮しないでさ!」

「……その。お邪魔させて頂く」

 頬を指で掻きつつ、体格に見合わぬ謙虚な様子で現れた『キャプテン』、カキ。部分的に刈り上げた頭髪は、紅蓮の専門とする炎を連想させるが――――

「あはははは、カキまで。マジでこれ、偶然にもキャプテン全員が揃うんじゃ」

「ばぁーっ!! アセロラちゃんもいるよー!」

「あっ僕も僕も! どのタイミングで出ようか計算してたのに!」

 びくーん、と硬直する紅蓮の背筋。
 ゴーストタイプよろしく、「おどろかす」で奇襲を掛けた幼げな少女アセロラに、同じく幼げな雰囲気を残しつつも頭の回りそうな少年マーマネ。キャプテンたるこの両者、一体何処に隠れていたのやら。

「マーさんから言われてさ、アーカラ島でポケファインダーの調整をしていたんだけど……」

「アセロラはそれをお手伝いしてたのでした!」

「お手伝い!? の割にはめちゃくちゃ楽しんでたじゃないか!」

「てへぺろ」

 全く、偶然と不意の驚かしとは怖い。
 先程は冗談で全員が揃うのではないか、と口にした紅蓮であるが、「超」珍しい最後の一人がやって来た姿に、いよいよ空いた口が塞がらない。

「う……嘘でしょ」

「まさかあの風来坊も来るなんてさ……。僕ら、計算違いもいいとこだよ」

 ぼけっとした半目に、全身を塗りたくる絵の具のカラフルな装い。最後の『キャプテン』、マツリカは、「よっ」とフランクな挨拶も余所に

「ねーねー。何でこんな勢揃いなの?」

「あっ、わかった。これが街コンってやつでしょ」

 実に一週間振りに逢う面々を、大いにズッコケさせるのであった。

「ナイスモチーフ」

3ヶ月前 No.443

なんか @onemass ★Android=Os5V5CdCuC

「へぇー、留学生ねぇ」

「そいつらは強いのか」

「トキワのジムリーダーも来るっていうし、実力はあるんじゃないかな」

「それでも結局アセロラが一番強くてすごいもんねー」

 長いログテーブルの食卓を囲み、ワイワイガヤガヤと「留学生」についての雑談に明け暮れるキャプテン達。併設のグリルキッチンでは、食材を持ち込んだマオが現地にて腕を振るいつつも、しっかりと輪の中で会話しているという熟練振りである。

 仲睦まじい様子で会話する彼彼女らではあるが、その実力はアローラという地を代表するに相応しきもの。まるでマフィアの卓を介した会合を目の当たりにするかの如く、『島巡り』を控えたホープトレーナーやポケモンスクールの生徒達が、それを遠巻きに見つめている。

「議題その1、マサラタウンのレッド」

「イリマ、聞いた事ある?」

「噂、程度ですけど。結構信じられないような話ですよ、本気にしないで下さいね」

 興味がある、といった様子でムニエルを口に運ぶカキ。その名からは炎タイプの使い手を連想させるが――――



「いや、ホント、噂ですけど」

「人間なのに素手で戦うらしいです。ポケモンと」



 …………。
 静まり返る卓。
 マツリカだけが考え事をしている様子で付け合わせのパプリカを咀嚼している中、ふとマーマネが拳を握るジェスチャーをし、それをカキの胸に当て、イリマへと向く。



「そう、そんな感じ……らしいです」



 …………。

 ……………………。



 瞬間、どっ、と卓に笑いが起きる。



「わっはっはっはっはっ!! あははははははは!! ひーっ!」

「すっ、素手ぇ!? マジで!? 素手で戦うの!?」

「た、多分。というか、噂ですから」

「おっ、おもしろ!! すごっ!! それ本当なら最高じゃない!!」

 あまりにも意図していなかったイリマの噂話に、思わず爆笑する面々。その傍らで、微妙そうな表情をする紅蓮。

「(ま、まぁ…… "ソラ" も、そんな感じだったけどさぁ……いやでもソラはフリーザーでしょ? だからノーカンだよなあれは)」

「その子、めっちゃ逢ってみたい。こっち来たら教えてよ」

「おお、マツリカが珍しく」

「珍しいのはマサラタウンのレッドでしょ」

 曲芸の如き手付きでフライパンを扱いつつも、未だ衝撃の余韻が抜けず爆笑しているマオ。これだけの人数である、料理の消える事早き事早き事。ちなみに、マサラタウンのレッド某の名誉を守る為に弁明させて貰うが、キャプテン達は決して彼をコケにしている訳ではない。この『世界』では、その行為そのものがあまりに異様極まりなく――――故に驚愕が、仲睦まじい者達の間で笑いとして溢れただけなのだ。ちなみに今の話題で、レッドはキャプテン全員の「標的」となった。似た者同士のレイジなんぞがこの土地を訪れれば、それは大変な事になるだろう。そうフォローしとく。

「マオ、マグロのステーキおかわりーっ」

「はいよーっ」

「議題2、トキワシティのジムリーダー」

「イリマ先生!」

「おほん。皆さん、そもそもトキワシティという土地はご存知……?」

 再び固まる食卓。
 紅蓮の目の前に置かれたマグロのステーキを、さっと奪うマツリカ。

「トキワ」

「トキワシティ……?」

「タイムイズマネー。トキワ金なり」

「計算云々抜いても今のスイレンは滑ってたよね」

「アセロラ、そういえば知らないかも」

「駄目じゃん」

「ならば、このトキワのジムリーダーとやら……」

「地味だね! この子は地味系だわ!」

「地味っ子にも優しい土地! アローラー!」

「いやいやそういう意味じゃなくてな! 俺が言いたいのは、こう底知れないという」

「カキ、あーん」

「むもがっ!?」

 さて……開始早々、カキを除き片田舎の「地味男(ジミオ)」として結論付けられた哀しき男が居る。グリーンことユウスイ。彼が現場で会話を聞いていたならば、こう憤っていたに違いない。

『さっきから黙ってりゃなんだぁテメェら!? 全員並べオラッ、派手に叩き潰してやるよ!!』

 想像の容易い事。
「ここで、オーキド博士の孫という事実を出してしまうのは面白くない」というイリマの気の利いた判断により、めでたく彼は地味男として片付けられたのであった。ちゃんちゃん。

「で、その3。スイレン」

「カロス地方ミアレ高校のマサラの留学生がオーレ出身でアローラ留学だ。はいっ、皆早口で言ってみて」

「か、カロス地方ミアレ高校にょまっ」

「アセロラちゃんの舌がー!」

「あっはっはっは! 何よそれ!」

 料理をつまみつつ調理の手は止めないマオではあるが、この難解な言葉全てが事実であるから驚きである。トレーナー、リュウト。かつては地元であるオーレ地方に安寧をもたらした英雄であり、カロス地方ミアレ高校にて学業に励みつつ、マサラタウンという田舎町への留学をこなしつつ、そしてこのアローラへの「二重留学」を達成しようとしている。

 もう滅茶苦茶である。
 いよいよキャプテンの面々の想像力が滾ってきたのか、思い思いの「リュウトの人物像」を口にしてゆくものの。

「まずこれは外せないよ。月を見たら変身するオバケ」

 何処ぞの盗賊社長よろしく、突拍子もない考察がスイレンの口から飛び出す。

「わっはっはっはっはっ、あーっはっはっはっ!! なっ何を根拠に!! ひーっ!!」

 フライ返しを扱いつつも、肩に乗せたアマカジと共に爆笑するマオ。器用なものである。

「ふふ……様々な土地の経験を取り入れた強者か。楽しみだぞ、俺は」

「あーっはっはっはっ!! わはははははは!! とっ、土地!! あははははは!!」

「ぐぬぬ……マオ、俺は真面目にだな!」

「うひゃひゃひゃひゃ!! ぎゃはははははは」

「ぐ! れ! ん! ってマツリカは何やってんだ!?」

「紅蓮と親睦を深めたくて」

 マツリカにくすぐられて爆笑する紅蓮。マオに至ってはスイレンの一言がツボに入り過ぎて、訳が判らなくなっている有様である。早くもリュウトの人物像がカオスになりつつある中、話は更に加速してゆき……。

「挨拶はこうかな。ハローエブリワンのボンジュール! からのコンニチアローラー! なんちゃって」

「なっ長っ!! 語呂悪っ!! ひーっマーマネ笑わすの止めて死ぬあははははは!!」

「カロスといえば古代貴族が有名だけど、アセロラ、心当たりは?」

「お友達のルカとエマって子が、なんかそんなようなお話をしてたような……?」

「マジで!? 貴族なの!?」

「んーん。お友達は古代貴族だけど、多分その子は平民……」

「平民か……そっか」

「何でお前はしょげるんだよ」

「オーレ地方出身という事なら、腕っ節は相当強そうですね」

「確かに。金髪で未成年なのにお酒とか飲んでそう」

「もれなくスカル団入りね」

「えーっ、それじゃアセロラ達の敵になっちゃう!」

「スカル団よりも怖い存在かもしれないよ。砂上船に乗る盗賊のお伽話があるでしょ、オーレって」

「えっ、あ、そういえば昔聞いた事が」

「どうしよう……あたい達散々噂しちゃったよ」

「おーい!! 噂の君ぃ!! どうかこっちに来る時までには真面目になって、俺と戦ろう!!」

「あはっははははは!! かっ、カキ!! 止めて!! ひーっ!!」

 バカ正直にも海の向こうへ叫ぶカキの姿に、いよいよ調理をほっぽり出して笑い転げるマオ。黙々と料理を味わっていたマツリカが、ふと自らの指先を唾で湿らせてそれを夕風に晒し、静かに語り始める。



「なんとなく、だけど」

「その子、悪い子じゃないよ」

「なんとなくそう思うな」



 根拠なき予想、百聞は一見にしかず。
 しかし何を感じ取ったのか、彼女は朧気ながらもそう言い切り――――

「まぁ、月を見たら変身するオバケってのは外せないと思うわ」

 お後がよろしいようで。
 やはり、全員がズッコケるのであった。

「ナイスモチーフ」






 一方、遠巻きにキャプテン連中の会合を覗く生徒達。

「 "特級" のキャプテン達が勢揃いなんてすげぇな……」

「俺、島巡りを控えてるんだよ。挨拶した方がいいのかな……?」

「バカッ、あそこに立ち入るなんてこわすぎるっつの!」

 一見は和気藹々としていても、アローラ地方を代表する「実力者」としてのイメージは固く。まさしくマフィアの食事会、内容は気になりつつも、とてもそこには踏み込めないと二の足を踏むばかりの彼らだが……。

「アローラー。何やってんのさ?」

「おわわっ!?」

 突如合間に現れた紅蓮の姿にひっくり返る。

「あっ、ああああんたは特級の!?」

「ひぃ! ゴメンナサイ! 見てただけです!」

「あのさぁ、見てないでこっち来なよ。マオの料理死ぬ程美味いよー」

 へ?
 クエスチョンマークを浮かべる生徒達。恐る恐る視線を変えてみれば、そこにはこちらを誘うように目を向けるキャプテン達の姿。

「あんた達ーっ、マオ姉さんが美味しいの作ったげるよ! おいで!」

「今ならカキの肉体美も見放題だよ」

「おい」

「早く来ないと、紅蓮って奴に全部食べられちゃうよーっ」

 嗚呼。強さへの畏怖とは、その実力だけに非ず。アローラ地方を背負う、という立場にあるべき者の持つ、分け隔てしない「優しさ」。

「いっ、いいんですか!? 俺らも!?」

「当たり前田のクイタランよ」

「わーい! いただきまーす!」

 数十の生徒、数十の未来(ホープ)。
 夕刻を迎えたアローラであるが、まだまだこの島は賑やかさを増し。マオを手伝うべく駆けようとする紅蓮だが、その傍らを通り過ぎる少年の姿。

「いーい匂いがするよー」

「おっ、ハウ。匂いにつられて来たね」

「おーす、紅蓮。アローラー」

「モネやリーリエは一緒じゃないの?」

「ううん。今来るよー」

 背後を振り向いてみれば、そこには友人であるリーリエと、とある「取り引き」で出逢った少女の姿。

「ハウさんにつられて来てみれば、なんだかすっごい事になってますね!」

「あははは。リーリエとモネも一緒に……」

「紅蓮」

 リーリエの隣の少女が、し、と人差し指を唇に付け、何かを促す。

「あ、ゴメ。こういう場ではムーンだったよね」

「面倒でごめんね。私とリーリエも、お邪魔させて頂こうかしら」

「おう! それがいいよ!」

 かくして、賑やかな島の賑やかなパーティはまだまだ続く。数十の生徒、やがてはアーカラ島の市民達をも巻き込みながら。

3ヶ月前 No.444

ソラ @renn723027☆MkgukgQOBCo ★YrZX7O8yn2_mgE


【ソラ/*kfjerpt mvtopuwap/『ウルトラスペース』?】

 ――――――フリーザーは、己の身体を凍らせ外敵を阻むことがある――――――

 青い鳥は、短いようで長い間、トキワシティに近くて遠い不安定な空間で、その身を己が生み出した氷の中へ閉じ込めていた。
 何時も模る人間の姿で、背中から青い翼を生やした状態で。

 彼女は迫る脅威・弟子であったらしいパールに備える為、アコヤと修行をしていた筈だった。
 確かに、修行は一段落ついたと言えたかもしれない。だがそれはギリギリ漕ぎ着けた、仮及第という強引な状態であった。
 何故そのような状態になってしまったかと言えば――――青い鳥の不安定な状態が原因だと言えるだろう。

 彼女はポケモン/トレーナーだ。しかも、記憶を取り戻せていないという、欠けた状態の。
 氷を司る鳥ポケモンであり、ポケモンと共に戦う人間(トレーナー)でもある2つの姿を持っているソラは――迷いが生じてしまったのだ。

 ポケモンであれば、トレーナーと共に絆を繋ぎ、力を発揮することができるだろう。
 トレーナーであれば、ポケモンと共に絆を繋ぎ、力を発揮することができるだろう。

 ポケモン/トレーナーである彼女は突き詰めればどちらもできる存在で、過去の彼女は『パール』と共に絆を紡いでいた例もある。
 しかし、記憶が欠けた状態である青い鳥は――ポケモン/トレーナーの状態で絆を繋ぐ方法も、欠けた記憶の中に置いてきてしまっていたのだった。

 故に、考える為に。一種の瞑想をする為に。

 その身を凍らせていたのだが――――今の彼女が何故、別の空間に行ってしまっているかは、誰にも分からないことだろう。

 けれど、些か時間を掛け過ぎたとも言える。
 さぁ、青い鳥よ、今こそその身を解放する時だ――――




【ソラ/*kfjerpt mvtopuwap/『ウルトラスペース』? → カントー地方 トキワシティ/イエローの自宅付近】


 ――悩んだって、結局のところ。俺は俺なんだ。

 ピシリ、と氷に罅が入る。
 それはまるで、新しい命が卵という殻を破って生まれるようにも見えるかもしれない。

 ピシリ、と空間に罅が入る。
 乗り遅れた闘争(たたかい)の余波が、空間を軋ませたと言えるのかもしれない。

 2重に割れ出すそれらは、まるでデュエットを奏でているかのようで。
 青い鳥――ソラの耳にも、しっかりと聞こえてきているのであった。

 ぐぐっ、と身体に力を込める。同時に氷が勢い良く砕けていき、冷たい拘束は解かれていく。
 ぐぐっ、と翼に力を込める。同時に空間がもっと軋んでいき、行くべき場所への道が開かれる。

 ばさり、と翼を動かした。蒼い羽根が、空間に舞う。氷を振り解き、蒼い鳥は――――空間を飛び出した。

 飛び出した先にあるのは――――黒き氷結と、白き灼熱。


「――――"劣化解凍(ディティリザレクション)" 」


 どのような戦いが繰り広げられ、経過しているかどうかを認識している暇はない。
 ただ、凍てつく黒き氷とそれに対抗する為の3つの牙を真っ先に認識すれば。

 青い鳥は、ソラと呼ばれしポケモン/トレーナーは言葉を紡ぐ。力を紡ぐための鍵として。
 その力は劣化を起こしてしまっているが、黒き氷を削り溶かす為の一手。
 及ぼす効果は少ないだろうが、妨害をし攻撃を遅らせるワンアクション。

 今の戦いにどう及ぼすか分からない解凍の一手が今、放たれた。

>>トキワシティのメンバー

3ヶ月前 No.445

ユウキ @yuuki777 ★ALBZQvbWQp_yoD

【レイジ/カントー地方/トキワシティ】

ふたつの禁忌(タブー)を犯し、二匹のポケモンとの同期を実現させたリュウト。
白き臨界を超え、「真化(リメイカー)」という新たなステージへと到達したレッド。

「……最高だぜ、おまえら」

己の限界を超えていく彼らの姿を見やり、レイジは感嘆する。
全身全霊を体現する彼らの覚悟にこちらも応えねばなるまい。

「ああ」

「超えてやるよ、このオレも……!」

界王拳によってその戦闘能力を倍加させ、紅いオーラを身にまとうレイジ。
本来は「2倍」が限度であった彼だが、限界を超えたふたりに呼応するかのようにその壁をぶち破る。
爆発的な勢いでそのパワーを増幅させていくレイジが指定した倍率を叫んだ。

 3倍か?

 4倍か?

 いや――

「10倍だぁぁぁぁぁぁーっ!!!!」

レイジの雄叫びとともに燃え盛る紅のオーラが天を衝き、暗雲に包まれた空を真っ赤に染め上げる。

「いくぜ、“さんみいったい”!!」

己の限界を遥かに超えた力を発揮し、炎の化身と化したレイジが『合体技』の名を叫ぶ。

「か」

「め」

「は」

「め」

「波ぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!!!!」

それぞれが今持てる最大限の技を全力で繰り出す中、レイジもそれに相応しい技で『黒き氷の羅刹』とそのパートナーを迎え撃つ。
彼の師匠たるトーガが得意とする亀仙流の大技『かめはめ波』――厳しい特訓の中で覚えた秘密の“切り札”を今まさにパールたちへと披露し、他のふたりの攻撃と合わせて一気に撃ち出した。

>>トキワシティのメンバー



【トーガ/ポケモンワールド→カントー地方/異空間→マサラタウン】

 “お前も、 "アイツら" も”

 “予想外が過ぎるぜ”

「当然だ」

「オレたちの力は貴様ごときが計り知れるものではない」

「おまえの予想など一歩も二歩も超えてやるだけだ」

こちらを見据えながら「予想外」と言い放つクロームに対し、トーガは当然の結果だと言い返す。

「ああ、いつでも来い」

「何度でも相手をしてやろう」

「次はお互いに“本気”でな……」

透けていく身体とともにその場から離脱するクロームに対し、トーガは不敵な笑みを浮かべると再戦を誓うようにそう言い放った。

「当たり前だ」

「オレを誰だと思っている?」

出迎えてくれたフレアたちの姿を見やり、トーガは元の世界に戻ったことを把握すると超サイヤ人ブルーを解除し、彼らのほうに向き直った。

「クロームと出会った」

「色々と聞きたいこともあるが、ヤツもこれで引き下がるタマではないだろう」

「今は先を急ぐぞ……」

そういうとトーガは決戦の場へと目を向けるのだった。

>>クローム他

3ヶ月前 No.446

aki @asynchro73 ★SDuZ9bwcdx_4qc

【リュウト/カントー地方 トキワシティ/イエローの自宅】

 己の限界の、その更に先を越えた3人の熱き少年達の一撃が、憎き『羅刹』へと解放されるのにはそう時間はかからなかった。

 戦場に姿を現した宙を舞う蒼き羽根の存在に気付いたリュウトは、その姿に目を見開く。

「ソラ・・・・・・!!!」

 エンペルトの生み出した『槍』を解凍すべくしてその能力を使用したソラは、満を持して彼らの元へと姿を現したのだ。
 彼女のおかげでパールの行動テンポも少しはズレた筈だ、攻撃への準備はこの猶予の内に決める――――

 直後、バンギラスの背中より発生していた『紅の粒子』が大量に展開されていていき、リュウトは・・・・・新たなる覚醒の時を迎える。


「この感覚……あの時と・・・・・・・。 ・・・・ああ、そうか、そう言う事なら・・・・バンギラス、お前もその限界の殻を――――」

「撃ち破れ!!」




「究極護式(アルティメットスキル)」

「――――"転生の翼(リンカーウィング)」


 この現象に、リュウトが初めて護式を発現した時の感覚と同じ物を感じ、その力に名前を付ける。
 背中より生み出されていく粒子の塊はやがて翼の様に形状を変化させていき、その日少年のバンギラスは"宙を舞った"

――――「いくぜ、“さんみいったい”!!」


「ああ!!レッド、レイジ!!!これが俺たちの・・・・・・全身全霊全力全開!!!」


 空中にて制止したバンギラス、その紅の翼は更に巨大になっていき、狙いを『羅刹』へと定める。
 2人が放つ技と同時にリュウトも、彼自身の大技を叫ぶ!!



「"ハイドロカノン"ッッッ!!!!そして―――― "天翔粒子波”ァァァァ!!!」



 粒子の翼は膨大な力を蓄えた波動の一撃へと変化し、パールの元へと解放され、彼女の背後へは高台にいるカメックスから砲撃が放たれる。
 厳しい修行と極限の戦いの末に辿り着いた、新たなる覚醒の力・・・それに合わさるようにして放たれた二人の一撃と共に、目の前の敵・・・パールへと牙を剥いた!!

>>トキワシティのメンバー

3ヶ月前 No.447

なんか @onemass ★Android=Os5V5CdCuC

 今こそ――――今こそ、交差の刻。
 単純な話、どちらが死に絶え、どちらが立っているか。



 "いくぜ、“さんみいったい”!! "

 "ああ!!レッド、レイジ!!!これが俺たちの・・・・・・全身全霊全力全開!!! "



 いつでも、壁を破ってきた。
 道を、切り拓いてきた。
 目の前の強大に対抗する為、勝利をもぎ取る為。今日も、同じだ。しかし、嗚呼。



 蕩けるような意識。
 しかしながら、今宵の「それ」は格別であり――――



「善き力の奔流です」

「しかし」



 固定砲台と化したエンペルト。
 銃身を象った黒き氷塊に集中(あつ)まるのは、時すらをも凍結させる羅刹の冷気と殺傷力。うねる漆黒のオーラは更に濃度を増し、嵐の闇にさえ溶け出す程となるが。

 突如。
 疎らに舞う蒼き羽根。



 ――――"劣化解凍(ディティリザレクション)"



『ウルトラスペース』の鱗粉を撒き散らし、放たれし異能。雨粒さえも、風景さえも凍り付かせていた羅刹の『時を止める凍結能力』が揺らぎ、雨晒しとなるその刹那。



「――――全く、何処で道草を食っていたのですか」



 呼吸は荒く、しかしソラの傍らに立つ白き存在。再び蒼きオーラを発生させたアコヤが、よろめきながらも羅刹へと対峙する。



「呼吸を合わせなさい、ソラ。これが――――最後です」

「極点凍結(アブソリュート・ゼロ)」

「―――― "解凍(リザレクション)" ッッ!!」



 ばきり、と歪み、その形状を保てずに崩れ始める氷塊の銃身。ぎり、と歯を結び、二人を睨み付ける羅刹。



「鬱陶しいですねぇ……」

「ならば、そのフリーザー諸共葬ってやりましょうか」



 羅刹が目を背けた刹那、
 その瞬間。



「 "火炎" ――――」



 びりびりと大気は震え、莫大な奔流そのままに。
 三人の牙は、少年達の「力」は。



「―――― "粒子砲" ォォォォッッ!!」



 穢れのない「白色」を以って、黒き羅刹を飲み込んだ。



 風は止み、吹き飛ばされた雲から覗く晴れ間の星達。
 地形すらも変えたその一撃の最中――――、砂煙の中から現れたエンペルトが、どしゃりと地へ沈む。



「――――――――……」

「貴方達は……本当に」

「面白い子達です」



 エンペルトの傍らに寄り添うように、膝を着き、うつ伏せに倒れ込むパール。喧騒のない夜、満天の星空。マサラを襲う脅威は、激戦区と化したトキワの絶望は、



 今宵を以って、去ったのだ。



「一体、何の騒ぎだ……!?」

「怪我人が多数! 保護の準備を!」

「はっ……。遅いのよ、バカタレめ」

 地域住民達と警察が場を賑やかす中、樹に凭れつつ、煙草に火を点けるヒメ。尻餅をついた体勢で、ルカが笑う。

「お前らさ」

「マジですげぇよ」

 人間(ヒト)を超越した、白き奔流は今はなく。ぼろぼろの装いながら、力なく呼吸するイエローを横抱きにし、立ち上がる。

「よォ。まだ生きてたか」

「……あたり、まえでしょ」

「医者行こ」

 澄み渡った大空は、さしずめ戦士達の祝福を唄う星のステージ。満身創痍、しかし、しかし――――

 彼らはあの脅威を相手取り、勝利したのだ!

「呑気なモンだぜ」

 足元のヴァドックへと笑いかけ、腰を下ろすグリーン。全力を出し切ったが故、もはや余力は残されておらず。彼らの集う陰で、それを見守る三人の姿。

「あ、あの子達……、本当に自分達で解決しちゃうなんて」

「はは、意外だったか?」

「……ううん」

 ふと振り向くと、緩慢に歩き始めるフレア。どうやら、輪の中に混ざる気はないらしい。

「じゃあな、トーガ」

「また戦ろうぜ」

「…………」

「ソラ」

「また逢おうな」

 やはり、今は「彼女」に逢う気はないようで。
 呆れつつも、その背中を見つめるソニア。そして星空の中――――少年達を見つめる不穏な存在(カゲ)。

「教皇。 "起源" の回収に乗り出しても宜しいか」

「いや、凄いねぇ。いいモン見させて貰ったよ」

 教皇、と呼ばれたローブの男が、その笑みを更に深めるものの――――

「導師アザーゼル。今日は帰るよ」

「……何故か」

「彼らを此処で摘むのはやめた」

「理解しかねるな」

 その姿は、闇夜に紛れ。
 暗雲は去り、場の喧騒に紛れるのであった。

>>ALL


【差し支えなければ、次回のレスにて数ヶ月後に場面転換させて頂きます】

3ヶ月前 No.448

ユウキ @yuuki777 ★ALBZQvbWQp_yoD

【レイジ&ヴァドック&トーガ/カントー地方/トキワシティ】

解き放たれた三人の一撃がパールたちに迫る中、遅れながらもこの場に駆け付けたソラとその師匠たるアコヤによる『合わせ技』がパールたちの意識を逸らす。

「界王拳!!」

「――20倍だぁぁぁぁぁーーーっ!!!!」

彼女たちが作ってくれた隙を逃さず、それに応えるようにレイジは更なる力を発揮する。
レッドの『火炎粒子砲』と並ぶように勢いを増した『かめはめ波』は二人の技と合わさるとひとつの白い光となり、パールたちを飲み込んだ。

「どうやら、オレたちのパワーが勝ったみてえだな……!」

紅いオーラが消失するとともに自らの限界を超えた反動が一気に身体へと押し寄せ、吐血とともに膝をつく。

「へ…へへへ……!」

「やったぜ……!モモ…カ……」

全身に激痛が走る中、モモカの仇を討てたことに安堵の表情を浮かべるとレイジは意識を手放し、その場に倒れ伏せた。

「ああ、オレもそう思うぜ……」

「……次はオレの番だな」

グリーンの言葉に同感し、こちらも笑い返すヴァドック。
己の限界を超え続け、ついには羅刹を打ち倒した少年たちの闘いぶりに勇気を貰ったのか、ヴァドックは覚悟を決めたかのように小声でそう呟いた。

「無茶をしやがって……」

「バカが……」

そんな彼らの様子を眺めながら呆れたようにトーガが呟く。
自分の言いつけを破り、界王拳の倍率を己の限界を遥かに上回る20倍にまで引き上げたレイジに対し、トーガは「やはりこうなったか」と言わんばかりにため息をついた。

「ああ……」

「オレはまだまだ強くなるぞ」

輪の中に混ざろうとせず、こちらに背を向けて歩き出すフレアに対し、トーガは振り向かず、そう返した。

「ふふふ……、なかなか面白いものが見れてよかったわ」

「大量の“キリ”も手に入ったし、あいつらの成長が楽しみね……」

その陰でうごめく悪しき存在はひとつではなく、杖を携えた青い肌の『魔女』が、勝利を分かち合う少年たちの様子を上空から見下ろしていた。

「この世界にサイヤ人がいるのは計算外だったけど、タイムパトローラーでない以上、相手にする必要もないわ」

「せいぜい潰し合って“キリ”を取るために役立ってちょうだい」

「暗黒魔界復活のためにね……」

青肌の女性は妖しく微笑みを浮かべると闇の中に溶けるように消えていった。

>>ALL

3ヶ月前 No.449

aki @asynchro73 ★SDuZ9bwcdx_4qc

【リュウト/カントー地方 トキワシティ/イエローの自宅】

 3人の放った強大なる牙は、ソラとアコヤの協力の元パールへと届き・・・・・・遂には彼女を屠るまでに至った。

 周辺の地形を抉る程の一撃に、エンペルトは倒れ伏し、またパールもそれに寄り添うように倒れ込む。
 この瞬間、戦士達は絶望に抗い、つかみ取ったのだ。マサラに迫っていた危機からの勝利を――――

――――「どうやら、オレたちのパワーが勝ったみてえだな……!」

「ああ・・・・・俺達の、勝ちだ・・・・・!」

 護式を解除すると共に、血を吐きボロボロになった身体を引きずりながら、親友であるエマとルカの元へと向かう。

「ルカ・・・・・エマ・・・・・誓いは果たした、ぜ……」

 その瞬間、足から力が抜け、2人の目の前で仰向けに倒れ込む。
 友への誓いを見事に果たし、安堵したからか、それとも単にダメージが蓄積されたからか、全身からも力が抜けていくのがわかる。

「あれ・・・・・・」

「おかしいな・・・・・・」

 それとは別に、自身の身体に生じた違和感を感じ取る。
 左腕に力を込めようとしても、まったく動く気配がないのだ――――


「ハハッ……」

「無茶しすぎたのかもな……」


 星に包まれた夜空を見上げながら、小さく笑う。

 無茶に無茶を重ねた様な戦いをしたのだから仕方ない、と心の内で納得する。
 だが、不思議と自身の行いに悔いは無かった。自分自身を越え、その代償として身体が蝕まれつつあるとしても、それでも友たちを守る事が出来たのなら――――

 騒ぎに駆けつけた、近隣の住民たちや警察がようやく姿を現し、戦火の跡は終息の一途を辿ることとなった。

 そして……少年達は気づかない。まだ複数の暗躍せし不穏な影が迫っている事を。

 彼らの戦いはまだ終わっていない、いや、まだ序章に過ぎないのかもしれない。

 だが、今だけは。
 今だけは仲間達と共に勝利の喜びを分かち合い、酔いしれたい。
 そう思ったリュウトであった――――

>>ALL

3ヶ月前 No.450

ツバサ @th0md ★iPhone=4oP04sFbTa

【ゼロ/カロス地方 ミアレシティ/路地裏】

「ああ、勿論だ。ケンタ達は?」

「行くよ、サトシは俺たちの団員だからな。ですよね、ユウさん」

「もちろん。親友を救うのは当然だよ」

「私は心配しないでください。自分の身は自分で守れます。」

「よし、行こう!ユウ、頼む」

「うん。来い、パルキア!空間をホロンへと繋げ!」

「ユウはカードからパルキアを呼び出し一つの空間を作り出す」

「よし入ろう!」




そして彼等はホロンへとたどり着く。始まりの森へと。しかしホロンは再び…燃えていた。

そして…凍りついていた。

これは…

「ポケモンの気配がありません。どうやらいるのは私達だけのようですね」

「だからってこの状況は…」

ホロンは燃えて…そして凍っていた。それはふたつに分けられていた。
以前サトシが向かったホロンの研究塔の方角は燃えており、始まりの湖の方角は氷付けとなっていた。しかしご丁寧に人が通れる道はできていた

「執行者の仕業か…?わざわざ別れ道まであるとはね…」

「二手に分かれようどっちに行く?」

「僕は燃えてる方に行く。あっちに断罪がいる気がするんだ」

「断罪と戦うのか?」

「うん、サトシもサクラギも知ってるのは僕だ。彼の実力は僕もよく知ってる。もし断罪がサクラギと同等の力があるなら…僕でもなんとかできる。むしろ氷結の実力が分からない。だからゼロ達はそっちを」

「分かった。死ぬなよユウ」

「お任せを彼等は私が」

「ガイ、ハヤト、ミライ。お前達はどうする」

>>ガイ、ハヤト、ミライ

3ヶ月前 No.451

なんか @onemass ★Android=Os5V5CdCuC

【 "黒き氷の羅刹" の脅威が去り、早くも数ヶ月】

【マサラ第一高校、ハイスクール・ライフの落ち着いた放課後……の筈であるのだが】

【そこでは、男達が互いに譲れぬ信念を懸け、死闘を繰り広げていた】



【戦闘区間/カントー地方 マサラタウン/マサラ第一高校 教室】

【 "神速の16連射" レッド】

VS

【 "FPS歴10年" ルカ・ウィンチェスター】



 "ゲームは一日一時間"
(THEME:https://m.youtube.com/watch?v=GFMpdT18kXU)


「あーっ!! テメェずりい今の!!」

「わっはっはっはっは!! 作戦作戦ンンンン」

「いやノーカン!! ノーカンな今の!! はい俺の勝ちいいいいい」

「ざけんなボケ!! 雑魚っカスっシスコンっ」

「ぬあああああ殺す」

 生徒達も疎らな放課後の教室にて、「モンテンドー3DS」に興じ大騒ぎしているバカが二人。ご存知バカとバカである。

「ちょっとさぁ、レッドもルカもうるさいんだけど!?」

「テメェがうるせえんだよレッド!! お前ちょっと黙れや!!」

「いやルカのがうぜェから!! コイツを注意しろ!! むしろ殺せ!! 粉砕しろ!!」

 同級生であるキリカに注意されてもますますヒートアップする有り様、もう知らないとばかりに去る茶道部の某。しかし、何もやかましいのはこのバカ二人だけではない。

「おーいレッド、お前またヒメちん先生に呼び出し食らったんだって?」

「うぜえええええっ黙ってろリッキー!!」

「俺さ、ヒメちん先生の気怠げなエロさいいと思うんだよ! な、どうよ!」

「知らねぇよ!! 黙れや!!」

 バカにちょっかいを出す3バカグループ。彼らの級友にして悪友であるリッキー、ナツ、クジローである。思春期特有の妄想力を大いに発散するバカスリーではあるが、バカ二人の方はそれどころではない。真剣勝負の死闘の最中、がらっと開く教室の扉。同じくヒメに呼び出しを食らったグリーンである。

「おー、ヒメちん先生に呼び出し食らったのがもう一人!」

「オメーは何したんだよグリーン」

「何もしてねえよ。で、コイツらは?」

 親指で差したのは、やはりピコピコと死闘に興じている二人。クジローが肩を竦めてみせると、ダブルバカのモンテンドー3DSを鮮やかに奪うグリーン。そのまま空いた窓へとそれを躊躇なくブン投げる。少し遅れ、グラウンドの地面にて何かが粉々になる音。

「おああああああ!!? おまっ、お前えええええええ!!?」

「わあああああ!! グリーンが俺の3DSこわした!! こわしたああああびええええええ」

「やかましいんだよテメェら!! これ以上騒いだら次はテメェらを突き落とすぞ間抜け共!!」

 ぐすぐすと嗚咽の声、さめざめと泣き始めるバカ。3バカが爆笑する中、不機嫌な様子でどっかりと着席するグリーン。今回の件ではリュウトも呼び出されているが、一体全体何なのやら。

>>ALL




【アスレイ・ローズマリー/カントー地方 トキワシティ/トキワの森】

 ――――この地を去りし、黒き氷の羅刹。
 しかし、氷河の脅威は依然として衰えず。

 トキワの森の入り口に建つ、亡くなったポケモン達を弔う慰霊碑。あの羅刹の仕業ではない、何者かによる襲撃。現在、厳戒態勢の敷かれている「ふたご島」から逃げおおせた存在が言うには――――

「悪寒、か」

「杞憂が現実になる。僕にとっては、何ら珍しい話ではないさ」

 コートを翻し、慰霊碑に背を向けて森を去ろうと歩き始めるアスレイ。レッドやグリーン同様、彼の力とて以前の比ではなく。着実に技量(ちから)を身に着けゆく彼の紫の双眸が、険しくも細められていた。

>>ALL

3ヶ月前 No.452

aki @asynchro73 ★iPhone=WAXDwGGy0d

【リュウト/カントー地方 マサラタウン/マサラ第一高校 コンピュータ室→移動】

パールとの戦いを終え、数ヶ月の月日が流れた――――

教室にてバカ達が馬鹿騒ぎしているのと同時刻……こちらのバカは人のいないコンピュータ室にてとある人物とのビデオ通話を行なっていた。

マサラに迫っていた"黒き氷の羅刹"からの脅威を退けた後に、リュウトはオーレ地方の実家である『ポケモン総合研究所』にて療養と新たに開花した力の研究の為にバンギラスを一時的に預けていた。
そして、画面に映る少し物腰が低そうな人物が所長たるクレインという男で、その通話相手でもあった。

『リュウトくん、左腕の調子はどうだい?』

「ええ、まっっっっっったく動きませんね」

『うん……まあなんというか予想通りの返事というか……』

「バンギラスと護式で繋がってる時は動くんですけどね……おかげで普段の生活が不便でならないです」

あの後、結局リュウトの左腕の機能は停止したままで病院やあちこちを回っても具体的な解決策が見つかることはなかった。
神経が完全に死んでいるとのことで、中々どうして治療も難しいのだとか。

『なるほど……意識や神経の共有をする事で関節的に君の腕も動くようになる、ということだね。僕の方も護式についてはわからないことだらけだから、それについても調査していきたいね』

「いやまあ使ってる俺も実態がわかんないんすけどね……急に使える様になったもんだから……。 ところで、あの翼みたいなのって結局なんだったんですかね?」

『その事なんだけど……どうやら、メガシンカの際に発生した過剰なエネルギーが形を成して翼の様になっていたみたいだね』

『学会でもこんな現象は初めてだって驚かれたよ。粒子物理学の観点で見ると、これは……』

「あ、あの、もうちょっと俺でも分かるような説明でお願いできません?」

『ああそうだね……ゴメンゴメン。例えば、君の目の前にあるコンピュータ。使い続けたりすると熱くなったりするよね?』

「はい(あんまりパソコン使わないからパッと来ないんだけどなぁ)」

『そうすると、溜まった熱は吐き出さないと熱暴走を起こす危険性がある。この場合だとデスクトップの裏側にある排気口から熱を放出する事になるね』

『君のバンギラスも同様で、溜まりすぎた力は身体に害をもたらす……それで背中から粒子状のエネルギーとして放出したんだ。 わかったかな?』

「わかるわけねーだろ……(なるほど!!とてもわかりやすい説明ですね!!!)」

『本音と建て前が逆になってない?』

「はっ……しまった!!」

『まあいいけど……とにかく、もうしばらく君のバンギラスは預からさせて貰うよ。それと、あまり無茶はしないでくれよ。今回の件は腕で済んだけど、もし身体の重要な器官が停止でもしたら……あれ?』

「ん?どうしました?」

『リュウト君、先生に呼び出し食らってるんじゃなかったっけ?時間結構ギリギリのような………』

「…………………………………」

ブツ切り。

そうだ、リュウトはヒメに放課後呼び出されていたのだ。
彼だけでなく、レッドとグリーンもその対象なのだが……何か説教されるような事でもしてしまったのだうか?いずれにせよ、真相のわからぬリュウトにとっては恐怖でしかなかった。

「やっべぇ〜〜〜……!!!い、急がねば……!!!!」

コンピュータの電源を切り、時計を見る。ギリギリの時刻だ。
とは言え急げば間に合う!顔が青ざめながらも、リュウトは颯爽とコンピュータ室から抜け出し、レッドやグリーン達の待つ教室へと走り出すのであった――――

>>ALL


【ガイ/カロス地方 ミアレシティ/路地裏→移動】

ユウがカードから呼び出したパルキアの力により作られた空間に入り込んだ一同は、ミアレを後にした。
そして、その目的地は――――

「なるほど……。 ここがホロン……なのか?」

「な、なんだなすげぇことになってねぇか……?」

一同の記憶には真新しいホロンの地ではあるが、初めて此処に訪れたガイとハヤトはその惨状に驚愕する。
燃え盛る木々が目に入る一方で、その真向かいには凍りついた森の姿が確認できる。
まるで異郷の地にでも足を踏み入れたかのよいな光景に二人は戸惑いを隠せなかった。

「これも……執行者達の仕業で……」

そんな中、ミライの心の奥底からは、怒りの感情が湧き上がっていた……。

――――「二手に分かれようどっちに行く?」

「文字通り、運命の分かれ道と行ったところか…。そうだな……それならば、私はユウと同行しよう」

「………じゃあ、私は……氷結の方に……ゼロ達と一緒に闘う……」

「え?あ〜、えっと……お、俺は……」

「……しゃーねえ、ミライ嬢ちゃん達の方に回るかね。そっちはガイの旦那もいるし、まあなんとかなるだろ」

「随分と評価されているのだな」

「昨日の戦いを見てりゃ嫌でもな」

一連のやり取りをして、2人はふっと笑うと、ハヤトは握り拳を差し出す。

「まあこっちは俺らに任せな。ユウちん、ガイの旦那……あんたらもどうか、無事でな」

ユウにも妙な呼び方がされたような気がするが、何はともあれハヤトにも何かと仲間としての意識が芽生えつつあった。

>>ホロン一同

3ヶ月前 No.453

ソラ @renn723027☆MkgukgQOBCo ★YrZX7O8yn2_mgE

【ソラ/カントー地方 トキワシティ/イエローの自宅付近】

 ――――――黒き氷を、白き炎が飲み込んだ。

 戦闘の余波によって雲が吹き飛び、星空が視界に映る。
 しかし、青い鳥の心はそんな星空とは逆に曇り影を落としていた。

 黒き氷、パールとの戦いは幕を閉じたと言えるだろう。
 だが、ソラは目にしてしまっていた。この戦いに巻き込まれた存在――黄花達の傷付いた状態を。
 赤に染まり、痛々しそうにしながらもどうにか生きていた彼女達。

 ――力になれたら、と。思っていたのは誰だった?

 もし、もっと早く自分が駆け付けることが出来ていれば。もっと早く氷の中から飛び出すことが出来ていれば。もっともっと、自分が強けれ、ば。
 彼女達が大怪我を負うこともなかったのではないだろう、か。
 誰かに伝えれば傲慢と返されそうな考えが己の中に滲み始めていた。

 喉が乾いて張り付くかのように痛む。
 周りの音が耳で聞き取れなくなりそうなそんな予感を覚える。

 身体から力が抜けそうになりながら、一歩一歩歩いて――一緒に戦ってくれていたらしいピカチュウ・ヴァドックの傍へと向かった。

「借りっぱなしだったな、これ。貸してくれててありがとうな」

 そう言いながら取り出したのは彼から借りていた赤いバンダナ。それを彼の手に握らせれば、くるりと踵を返し彼の元を後にする。
 次に、力を貸してくれていたアコヤの傍へと向かった。

「――――遅くなって申し訳ありませんでした」

 一言、そう言いながら頭を下げた。

 その後、ちらりと黄花達の方を見る。恐る恐るといった様子で手を伸ばして、結局その手を引っ込めてしまい。
 倒れているパール達の傍へと歩いていき、エンペルトをモンスターボールに戻してやり、パールに己の羽根を一枚握らせて。

 それから。それから。


 ――――――――――――戦いの後処理が一段落つく前に、蒼い鳥はカントーから姿を消していた。

 >>ヴァドック、アコヤ、(パール)


【さてさて、姿を消した青い鳥は一体何処に行ってしまったのでしょう?】

【答えは――――】




【おい、蒼い鳥、そこはお前の生息地じゃないぞ】

【と、ツッコミを入れてくれる人はまだ居ない】


【ソラ/アローラ地方 ウラウラ島/ラナキラマウンテン】


 黒き氷がカントー地方のマサラタウン・トキワシティを襲い、白き炎が焼き尽くしてから暫くの時が経過していた。

 己の力不足を嘆いた蒼い鳥はカントーから飛び出して――現在、ウラウラ島と呼ばれる島のラナキラマウンテンという山にいた。
 そこはアローラ地方と呼ばれている場所の1つの島なのだが、青い鳥はウラウラ島なる場所で、不思議なポケモンが居るというぐらいしか把握していなかった。

 そもそもカントー地方を飛び出してがむしゃらに飛んでいった結果行き着いた島だったということもあり、帰るに帰れなくなっていたとも言える。
 それ以上に、どんな顔をして黄花達に会えば良いのか、ソラには分からなくなってしまっていたのだった。


 さて、そんな蒼い鳥がラナキラマウンテンに棲みついた理由は他にもある。
 それは、不思議なポケモンが生息していたからである。蒼い鳥が不思議なポケモン、と思ったのは――氷タイプのロコンやサンドのことだ。
 ロコンと言えばほのおタイプ。サンドと言えばじめんタイプ。そう記憶していた蒼い鳥は、タイプが変わっているそのポケモン達のことがとても気になったのである。

 記憶があれば“リージョンフォーム(リージョンフォルム)”のことももしかしたら知っていたかもしれないが、残念ながら今の蒼い鳥にそのような知識はない。

 とにかく、そんなタイプが変わり姿も変わったポケモン達のことを知るためと――蒼い鳥が棲みやすい場所だった、ということがこの島の山に居着いた原因と言えるだろう。

 そして、とあることをする為に――――現在、蒼い鳥は人間の姿を取ることなく、ポケモンの姿でその山に居着いているのだった。
 人間(トレーナー)としての姿ではなく、フリーザーの姿そのままで居着いている理由。

 それは――――野生(ポケモン)としての状態を思い出す為である。

 人間(トレーナー)の姿を取ることなく、フリーザーの姿のまま過ごすことによって野生としての状態を思い出せる――かもしれない、と、考えたのだった。
 効果が現れているかどうかは、まだ本人が掴めていない様子ではあるが。

 >>ALL

2ヶ月前 No.454

なんか @onemass ★Android=Os5V5CdCuC

【Dr.ヒメ/カントー地方 マサラタウン/マサラ第一高校 教室】

 あの激戦から既に数ヶ月、回復の兆しも早く少年達は過ごすものの――――留学生ことリュウトの怪我の具合は、未だ芳しくない。

「リュウトぉーーっっ!!」

 と、彼が教室に現れるなり、一目散に胸元へと飛び込もうとするバカ。言わずもがなルカである。そんな彼の足首を掴み、びたーんと床に叩き付けるレッド。

「リュウトぉーーっっ!!」

 代わり、ウィンチェスター家特有のノリでリュウトに抱き付く火炎マッスル。グリーンが呆れたように溜息を吐く中、リュウトの麻痺している左腕を持ち上げてはぶらりと垂れ下げ、きゃっきゃと遊ぶレッド。こいつは一見無邪気そうに見えるが、何気なく天然な鬼畜さを持っている。

「あのさ……男同士いちゃいちゃすんのは勝手だけど、センセ教室に入りたいんだけど」

 と、皆の不安材料であるヒメのご到着である。げしげしとレッドを蹴りつつ退かして教壇に立つヒメであるが、そこに乗せられた山積みの書類を処理しつつ、いつもの軽いノリで呟く。

「あんさー、レッド、グリーン、リュウト」

「アンタら、アローラ地方に留学する事になったから」

 ……。
 ……………。

「はぁ!?」

 グリーンが目を剥いて驚くものの、養護教諭は相変わらず難しい顔をしつつ、片手間に事務処理をこなすばかりである。

>>リュウト




【リーリエ/アローラ地方 ウラウラ島/ラナキラマウンテン】

「あひぃぃ!?」

 開口一番情けない声を発したのは、モコモコと過剰な厚着に身を包んだリーリエである。身体を丸め、ゴロゴロと山道を転がる『アローラリージョン』のサンドの群れ。その内の一匹がこちらに気付き、むきゅむきゅと鳴きながら近寄ってくるものの……。

「大丈夫。この子、敵意はないよ」

 付き添いであるモネ、もとい「ムーン」がサンドの頭を撫でてあげる姿を一瞥し、ようやくリーリエが安堵の溜息を吐く。

「リーリエねぇ。そんなんじゃ、アローラのロコンに遭っても仲良くなれないかもよ?」

「そっ、そんな事はありません! 今日こそロコンさんと仲良くなってみせます!」

 ずびしッ、と胸を張ってみせるリーリエだが、モネが抱いたサンドを差し出して見せると、びーびーと泣き喚き物陰に隠れてしまう。

「ピィは平気なのに。やーい、リーリエのびびり」

「びびりじゃありません! びびりじゃないもん! わあああ」

「ほら、このサンドすごくいい子だよ。撫でてあげなよ」

 差し出されたサンドの頭を撫でるリーリエだが、その挙動は恐る恐る、表情なんぞはまさしくこの世の終わりといった形相である。これでも出会った当初よりかは「ポケモン慣れ」し始めた友人である。モネがリーリエを褒めつつ、サンドに礼を言って離すが……肝心の彼女の格好は、アローラ特有の薄着である。極寒のラナキラマウンテン、どうしてモネがこの格好にも関わらず白い息一つ吐いていないのか。それは、彼女の持つ上位の『護式』にある。頭に乗せたズタ袋、もといミミッキュと共有するオーラ。「黒き氷の羅刹」がレッドの拳撃を生身で耐えたように、極まった護式には「パートナーとの体感度の共有」という技術が存在する。生物の体温を奪う事を得意とするゴーストタイプならば、それは尚更顕著であり――――一言で片付けるならば、現在のモネは「ミミッキュの健康状態を自身の肉体に反映させている」のである。

 群雄割拠のアローラ地方。
 最中、そんなモネが、目を見開いて足を止める。

「りっ、リーリエ。あれ……!」

「何ですか? また私の事を驚かそうとしているのでしょう! ふんだ。今回こそロコンさんと仲良ぴええええええ!!!!??」

 二人して飛び上がるのも無理はない。
 山頂付近、そこに佇んでいたのは、ロコン、サンド、果てにはケケンカニ、あらゆる現地の氷ポケモンを従えし――――本来ならば、此処には居る筈のない存在。

「ふ、フリーザー……!? ウソでしょ、なんで此処に!?」

「モネさん! 私、フリーザーさんともお友達になれるでしょうか……?」

「……リーリエってさ、こういう場面だと不意に強く見えたりするよ」

 驚愕すべきは伝説のフリーザー……もとい、ソラの存在だけではない。
 少し離れた場所にて、モネ同様に薄着のまま、しかしスパムおにぎりを貪るグランブルと『護式』のオーラを共有せし存在――――

「ああ、いいよ……」

「綺麗だよ。美しいよ。ナーイスモチーフ……」

 画材道具を走らせ、キャンパスに彼女の姿を描く風来坊。
 アローラの誇る強豪『しまキャプテン』の一人であるマツリカの姿が、そこにあった。

>>ソラ

2ヶ月前 No.455

ソラ @renn723027☆MkgukgQOBCo ★YrZX7O8yn2_mgE


【ソラ/アローラ地方 ウラウラ島/ラナキラマウンテン】


 ――どうしてこうなった。


『今日こそ勝ってみせる!勝負だ!!』

『いくらフリーザーとはいえ、数で掛かれば俺達が勝つに決まってる!』

『喰らえ!“あやしいひかり”!』

『“だましうち”!』

『“たたりめ”!』

『“じんつうりき”!』

『“ふういん”!』



        げ ん し の ち か ら
『――――――“集え力ある岩よ、相手を潰せ”』


『『『『『わーっ!?』』』』』


 山頂付近を陣取るようになってから、ある程度の時間が経った。
 最初は余所者である自分を襲うポケモンも多かったが、今では果敢に挑んでくる者はあまりいない。――そう、今襲ってきた5匹のロコン達は例外である。
 最初は1匹だけが襲いかかって来ていたのだが、挑む数が増えるにつれて、挑んでくるロコン達の数も何故か増えていた。
 それを生暖かそうな視線で見てる他のロコン達も居る為、多分こいつらが特別というべきか、懲りないというべきか、やんちゃが凄いというべきか。

 “あやしいひかり”にあてられ、若干頭をクラクラさせながらも、“げんしのちから”をロコン達にお見舞いする。
 氷タイプである彼らに、いわタイプの技は こうか は ばつぐん だ ! だろう。(炎タイプであったとしても効果抜群なことには変わりないが。)
 案の定、悲鳴を上げて地面に転がっていた。何匹かは今ので目を回してしまっている。

『うう、勝負は次に預けておいてやるよ!』

『首を洗って待ってろ!』

 ダメージを受けど倒れなかった2匹が、倒れた3匹をどうにか連れて行きその場を去っていった。


 ――いや本当に、何がしたいんだ……?


 縄張り争いに勝ちたいのか、ただたんに勝負を挑んできているのか、余所者の新参者が気に入らないのか。
 理由は教えてくれない為、ソラは彼らの考えが分からずにいた。

 混乱の解けた頭でちらり、と周りの様子を確認する。
 少し前に遭遇したグランブルを連れた画家は、相変わらず何かの絵を描いているようだった。
 流石に絵を描く事を邪魔する気は無かったため、放置を決め込んでいたが――何を描いているのやら。

 そしてソラの目に、二人のトレーナーの姿が映る。
 一人は薄着をして、頭にピカチュウ…?を乗せているようだった。もう一人は厚着をして完全に山登りの体勢であると考えられた。

 ――……この島のトレーナーは、どれだけの力を持っているだろうか?

 ふと、そんな考えが浮かんで。でも流石に、いきなり勝負を挑むのも良くないと思ってしまえば――――……

 ふわり、と翼を動かしてその場から飛び立った。目標は今、山を登ってきている二人のトレーナー。
 ばさりばさり、と音を立てながらトレーナー達の近くまで飛んでいくことにしたのだった。

>>リーリエ、ムーン

2ヶ月前 No.456

ユウキ @yuuki777 ★ALBZQvbWQp_yoD

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2ヶ月前 No.457

aki @asynchro73 ★iPhone=WAXDwGGy0d

【リュウト/カントー地方 マサラタウン/マサラ第一高校 教室】

リュウトが教室に入って否や、ルカに歓迎を受ける……と思いきや、レッドにそれを阻まれ、自身の身体を弄ばれる。

「レ、レッドさぁん……?何をやって……」

痛覚も消えている為、特別痛みを感じるわけでもないが、腕をブラブラと上げ下げされるのはなんとも不思議な感覚である。

そんな男達の営みの中、教室に現れたヒメ。
レッドを足蹴にしながら、教壇の前に立った彼女は、集まった3人に向けて本題を言い放つ。

――――「あんさー、レッド、グリーン、リュウト」

――――「アンタら、アローラ地方に留学する事になったから」

「………ぇ」

「えぇっ!?」

驚く。
にわかには信じがたいヒメの発言に、リュウトも同様に眼を剥きながらポカンとしていた。

「アローラって……あのアローラですよね?いや、てかそれ俺に至っては二重留学なんじゃ……」

もう既に遠いアローラの地でもツッコまれていた疑問ではあるが、当然ながら彼もそこのことはすぐに頭に浮かんだ。
オーレを出てカロスで暮らし、カントーに留学で出向き、その果てにアローラ行き――――

かくして彼の波乱万丈な旅(?)は新天地へと迎えようとしていた。

>>レッド、ヒメ

2ヶ月前 No.458

なんか @onemass ★Android=Os5V5CdCuC

【リーリエ/アローラ地方 ウラウラ島/ラナキラマウンテン】

 新参者を狙ってかどうなのか、定期的に訪れる可愛らしい襲撃者達。息つく暇もないとはこの事だろうが――――少なくとも、目の前に降り立った「あおいとり」からは、焦燥や殺気の類は感じられない。

「なんだか邪魔しちゃったかしら。ごめんね」

 食物連鎖に生きる野生のポケモン達。個体差こそあれど、緊張の渦中にて営む彼らを刺激するのは良い事ではない。幾らトレーナー側に敵意はなくとも、ただ、ヒトがそこに居るというだけで、ポケモン達にとっては不安材料になる事も多々である。邪魔をするつもりはなかった、とばかりに両手を上げ、一歩下がるモネ。……待てよ、フリーザーといえば。紅蓮がよく話題に出していた「ソラ」。未だ出逢った事のない(これが初邂逅であるが)その存在がふと脳裏に浮かんだものの。

「……まぁ、偶然よね」

 溜息を吐きつつ傍らのリーリエに目線をよこすが、はて。そこには誰も居ない。

「……そ、そうですよ。お邪魔をする気はなかったのです!」

 振り返ってみれば、パートナーのピィと共に岩陰に隠れ、ちらちらとこちらを窺っていた逃げ腰。

「フリーザーと友達になりたいんじゃなかったの?」

「も、ももももちろんです! ですが、フリーザーさんの意向も考慮してですね」

「はぁ。あの子も悪い子じゃないから、多目に見てあげて」

 呆れたように肩を落とし、ソラへと向き直るモネ。頭の上のミミッキュは、ケタケタと笑うばかりである。最中、とてとてとこちらへと走り寄ってくる一人と画材道具を抱えたグランブル。

「行かないでよー、せっかく描いてたのに」

 困ったように眉を下げ、ソラへと苦言を呈するマイペースなキャプテン。先程までソラの姿を描いていたマツリカである。モネと顔を見合わせ、困ったようにグランブルが笑う。全く、つくづく神出鬼没の風来坊か。

「今日はキャプテン同士の会合があるんじゃなかったっけ?」

「そうなの? そういえばそうだった気がするかも」

「ハプウさんに連絡しよっと」

「ままま待って! この子を描き終えるまではマツリカ、死ねましぇん」

 被写体に対する並々ならぬ執着。画家とはいえ困ったものである。彼女らの背後では、お目当てのアローラロコンに追いかけられ、ぐるぐると岩場を周りながら逃げているリーリエとピィ。こちらの方も、いざポケモンを目の前すると困ったものだ。

「キャー! 助けてええええ」

「ギエピー!!」

 ロコンの方に敵意はないようで、戯れるように追い回しているだけである。自身の隣では会合をサボってその場に座り、断固としてソラを描き始めるマツリカ。常識人であるモネは、ケタケタと笑うミミッキュを余所に呆れるばかりであった。

>>ソラ




【アスレイ・ローズマリー/カントー地方 マサラタウン/】

 ――――或いは。
 もしくは。
 考慮するならば。

 少年にとって、その杞憂が現実と為るのは。
 彼の生涯にて、何も珍しい話ではなかった。

「そう」

「今回も、な」

 ばさりとコートの裾が翻り、漆黒へと生まれる白銀の霜。
 マサラの海岸を極寒にて包む白き翼、吐息から漏れ出す圧倒的な妖気。



 "ごきげんよう、下等なポケモンたち"



 厳戒態勢の敷かれたふたご島から出(いで)し、戦慄の存在。思わず、咆哮を迸らせるヴァドックの傍らへと立つアスレイ。

「――――互いに、無駄話は好きではないと見た」

「 "いくぞ" 」

 この少年は、何者なのか。
 白き翼と対峙する、その目的とは。
 未だ名前すら知らぬ互いの関係。しかし――――両者は掴んでいる。



 双方の力量を!



「上位護式(エクストラスキル)」

「 "同調(シンクロ)" ――――」



「 "キズナバースト" 」



 轟、と白銀を裂き、紫電が乱れ舞う。
 ヴァドックの黄金に相乗するかの如く這い回るいかずちは、かつてのグリーンとの同調以上の上昇値を記録し――――

「白き翼。そういえば、挨拶が遅れたな」

「今の僕は機嫌が悪いんだ」

 鋭い眼光、鋭利に研がれたキズナのオーラ。
 見誤るな――――白き戦慄の翼よ。

 この町(ばしょ)は、少々落とし難いぞ。

>>ヴァドック、ポッチャマ、白いフリーザー




【レッド/カントー地方 マサラタウン/教室 → 移動】

 "アローラって……あのアローラですよね?いや、てかそれ俺に至っては二重留学なんじゃ……"

 いや、至極もっともな疑問である。
 あのアローラがどのアローラなのかは個人の見解によるものとして、留学最中に別の地方へ留学などというハードコアなスケジュールなんぞ聞いた事もない。

「そうだよ、二重留学だね」

 リュウトの疑問に肯定で返すヒメ。

 …………。
 いやいやいや!
 そうだよ、と言われてもアンタ!

「うるっさいわね、アタシが決めた事じゃないから知らないわよ!」

 ナレーションに迫るな!

「アンタら、まぁグリーンなんかはジムリーダーやってる訳だし、PWT(ポケモンワールドトーナメント)なんかも知ってるでしょ」

「あ、あぁ。まだ参戦経験はないが」

「なんかー、ああいう感じでカントーリーグとアローラとの交流って名目でアンタらが代表として送られるらしいよ。最近各地方同士の競争激しいからね」

 は、はぁ。
 待てよ、ならば尚更リュウトがカントー代表として留学するのは解せないというか、オーレ出身、ミアレ高校の学生がカントー留学に際しカントー代表としてアローラへ……余計こんがらがる。それにレッドのような特例中の特例を、果たして外部に送り出していいのかと

「アローラー!! アローラー!!」

「うるっせぇな!? なんだよ急に!」

「アローラ地方ってよ、こんな挨拶するんだろ? あとデカいナッシーがいたりよォ」

 ……まぁ、この脳天気な男からすれば、既に体のいい観光気分なのかもしれないが。

「つーわけで、また続報あったら連絡するから。解散ー」

「リュウトアローラ行くの!? なんで!? 俺も行く! 俺も行くうううう」

 再び書類に手を付け始めるヒメに、涙目でリュウトにすがるルカ。アローラダンスを踊り始めるレッドを無視し、帰ろうと席を立つグリーンだが――――



 直後、第六感を直撃する「白き翼の脅威」の悪寒。



「――――近ぇな」

「あァ」

 ばッ、と窓ガラスを突き破り、飛び出すレッド。ピジョットを繰り出し、その背に乗ったグリーンが続いて飛び出す。呆気に取られたかのように目を丸くするルカだが、物々しい様子のヒメに、ぴゃっと背筋を凍らせる。

「…………アンタも行くんなら勝手だけどさ」

「きちんと玄関から出なさいよ」

 顔を陰らせ、背後にゴゴゴゴという効果音を付けて呟く養護教諭。レッドが今までに割った窓ガラスをリサイクルし、何処ぞの芸術家が巨大なクレベースのオブジェをタマムシシティにこさえたという伝説は、実はあまり知られていない。

>>リュウト

2ヶ月前 No.459

aki @asynchro73 ★iPhone=WAXDwGGy0d

【リュウト/カントー地方 マサラタウン/マサラ第一高校 教室→移動】

リュウトの質疑に対し、あっさりとその答えを返したヒメ。
腑に落ちないというか、なんというか……とは言え決まったことだし仕方ないのかと割り切り、ポカンとしながらも彼女の話を聞く。

――――「アンタら、まぁグリーンなんかはジムリーダーやってる訳だし、PWT(ポケモンワールドトーナメント)なんかも知ってるでしょ」

――――「なんかー、ああいう感じでカントーリーグとアローラとの交流って名目でアンタらが代表として送られるらしいよ。最近各地方同士の競争激しいからね」

「な、なるほど……? って!!良いんですか?俺みたいな新参者がカントーの代表なんかで!?」

カントーでの生活には慣れたとは言え、まだ数ヶ月近くしか経っていない。
そんな彼が代表に選ばれるというのは裏がありそうではあるが、果たして……。

「ま、まあ………選ばれたなら仕方ないですね、うんうん、仕方ない」

しかしこの男、満更でもない様子だった。

ヒメの話も一通り終わり、リュウトのアローラ行きに嘆くルカを宥めながら帰り支度の準備をする。


――――その刹那、再びマサラに訪れた脅威を直感する。


「あぁ……行くか」

リュウトだけでなく、レッドとグリームもそれに気づくや否や窓を突き破り二人は外へと飛び出して行った。
腰にかけてあったボールに手をかけ、ファイアローを繰り出そうとするが――――

リュウトの背後から感じられる並ならぬ殺気が、彼の動きをピタリと止めた。

――――「…………アンタも行くんなら勝手だけどさ」

――――「きちんと玄関から出なさいよ」

冷や汗をだらだらとかきながら恐る恐る後ろを振り向き、コホンとわざとらしく咳払いをすると、ロボットのようにガチガチな動きで教室を出ようとする。

「お、俺はあの二人と違って、そ、そんな野蛮な事はし、しませんよ、ええ、決して……はい……」

「…………で、では行ってきます!!!!」

教室から出ると、全速力で逃げるように玄関へと向かい、そこからファイアローに乗り、空へと駆け上がった。

目的地は、マサラ南方の海岸。
再びこの街に忍び寄る脅威なる存在『戦慄の白き翼』、そしてそれに仇なすかつて共に闘った仲間の1匹であるヴァドックの元へとリュウトは急いだ――――

>>ヒメ

2ヶ月前 No.460

ユウキ @yuuki777 ★ALBZQvbWQp_yoD

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2ヶ月前 No.461

ソラ @renn723027☆MkgukgQOBCo ★YrZX7O8yn2_mgE

【ソラ/アローラ地方 ウラウラ島/ラナキラマウンテン】

 ――――「なんだか邪魔しちゃったかしら。ごめんね」

『いやいや、邪魔だなんてそんなこと。トレーナーは草むらや洞窟、山、海、空や深海に行くもんだろ?』

 降り立った先に居たトレーナーの一人に、両手を挙げられ一歩下がられてしまった。どうやら戦う気はないらしい。
 そしてもう一人のトレーナーは彼女の手持ちらしいピィと共に岩陰に隠れてこちらの様子を伺っているようだった。何故そんなにも逃げ腰なのかが分からない。

 ――――「フリーザーと友達になりたいんじゃなかったの?」

 ――――「も、ももももちろんです! ですが、フリーザーさんの意向も考慮してですね」

 ――――「はぁ。あの子も悪い子じゃないから、多目に見てあげて」

 どうやら、もう一人は己と友達になりたいらしい。けれども、岩陰に隠れたままでは相手の様子が見えにくいのではないだろうか、と思う。
 そろり、と隠れているトレーナーに近付こうとすれば、後ろから声が掛かった。
 その声は、画家の声だった。どうやら、自分が動いてしまったからか、後を付いてきたらしい。

『ごめんごめん。あまり動かないように――?』

 画家にぺこり、と頭を下げながら謝るが……画家は山を登ってきたトレーナーと知り合いだったらしい。
 何かの会合をほっぽり出して絵を描きに来ていたようだ。いやいや、流石にそれは駄目だろう。どんな会合なのか知らないけれど。
 このまま画家が自分を描いていたら、その会合に参加できないのではないだろうか、と思っていると――岩陰に隠れていた筈のトレーナーがロコンに追い掛け回されていた。

『僕を触りたいの?触っても良いよ!』

 ロコンの言葉を聞くに、ピィと一緒に居るトレーナーはロコンを触ろうとしていたらしい。
 相手が触っても良い、と言って行動を起こしているのならば、触れば良いのだが、何故か逃げ回っている。
 画家は絵を描く事を再開しているし、もう一人のトレーナーはピカチュウ…?のようなポケモンに対して呆れている様子だった。


 ――さて、どうしようか?

 流石に好意的なポケモンを追い払う、なんてことはしたくない。敵対している奴は確実に叩きのめしたいところだけれど。
 今は、ピィのトレーナーが追い掛け回されないようにすれば良い訳で。

        フ リ ー フ ォ ー ル
『――――――“空を舞え、そして落とされよ”! でも、攻撃じゃなくて……っ!』

 ばさっ、と翼を動かしてロコンに狙いを定めればをガシッ、とロコンを足で捕まえ、空を飛ぶ。
 そこから、『フリーフォール』そのままに叩き落としたり叩きつけたりせず、ゆっくり地面に着地した。
 ロコンは飛び上がった衝撃で若干目を回しているが、すぐに容態は良くなる……はず。たぶん。きっと。
 ロコンを足で捕まえたまま、ピィのトレーナーを見つめる。

「これで触れるだろ?こいつも触って良いって言ってたし、存分に触れば良いんじゃないかな」

 蒼い鳥はそこでミスをした。
 久々に人間(トレーナー)と触れ合う時間を持った故に――うっかり、野生(ポケモン)の言葉ではなく、人間(トレーナー)の言葉で話してしまうという、ミスを。

>>リーリエ、ムーン、マツリカ

2ヶ月前 No.462

ツバサ @th0md ★iPhone=4oP04sFbTa

《ユウ/ホウエン地方/ホロン》

「ありがとうガイさん。ハヤト達も気をつけてね」

「ミライとハヤトはこっちか」

「ユウ、ガイ。また後でな。よし、行くぞ皆!」

ゼロの合図に氷結がいると思われる始まりの湖の方角へ走り出した。

「僕達も行こう!サトシを助ける為に!」

ユウもまたホロンの研究塔へむけて走り出した

《ツカサ/ホウエン地方/始まりの森》


「しかし、ご丁寧に始まりの湖まで案内するんですね」

「何が?」

「氷結です。思い切り罠がありますよって言ってるようなものですから」

「確かにな。だが、行かねばなるまいて…」

「なぁ、なんか吹雪いてきてないか?」

「始まりの湖は近いはずだ…。氷結が近いとか…そのせいか?」

「見えました!」

始まりの湖…レオと戦ったあの場所に再びたどり着く。その湖の中心に奴はいた。

ー待ってたよ。君達の到着をー

「お前が氷結の執行者…」

氷結の執行者は仮面を付けており素顔は分からなかった。だが混沌のように実体を持つか否か。注意すべき点は彼の持つ凍った杖のようなものだ。アレで氷を操るのか、それともただの鈍器か。ツカサは一気に思考を巡らせた。

ーでも、此処で戦うのは少し『彼』に迷惑だからね。おいらの結界に招待するよ!ー

パチンと指を鳴らすと世界が鏡のように割れ、氷結の結界へと姿を変える。

氷結の結界はその名の通り結界の果てには氷のような結晶の壁があった。そして足元は走っても影響がないほどの水たまりが出来ていた…。

ーそれにしてもこっちは一人なのに君達は少し数が多いね…ー

ー少し、分断させてもらうよ!ー

ズガガガガガガッ!!

突如ゼロ達の正面に襲いかかる氷の柱。迎撃は間に合わない。右か左か、どちらかに避けるしかない!

「ケンタ!お前は左いけ!俺は右だ!」

「おう!リオ!左だ!」

「私は右に!」

氷結の攻撃をかわす。ゼロとケンタの間には大きな氷の柱で壁が出来ている。乗り越えるのは不可能であろう。とはいえ、互いの姿は見えるし声も通りそうだった。

「無事か!?」

「ああ、こっちはな!そっちは!?」

「見りゃわかるだろ?」

「そうみたいだな!」

互いに無事だとわかり安心する二人

しかし、ゼロはこの後…『あの時に連れ去られた彼女』と戦う運命にある事を彼は…誰もが想像していなかった。


>>ハヤト、ミライ





《ユウ/ホウエン地方/ホロンの研究塔》

「此処だね…」

≪待ってたぞ。ユウ、そしてガイ≫

仮面をはずし姿を見せる。人を見下すような目つきと威圧以外の顔はサトシそっくりだった。だが、ユウは断罪とサトシ…完全に区切りを付けていた。

「親友を迎えに来たんだ。そろそろショーが始まるからね」

≪ほう、この俺か?≫

「君じゃない。君の中にいる…僕が知るサトシを迎えに来た!」

自分の決意を断罪に伝えるユウ。

その目は静かに熱く燃えていた。

>>ガイ

2ヶ月前 No.463

aki @asynchro73 ★SDuZ9bwcdx_gu9

【ハヤト/ホウエン地方/始まりの森】

 ガイとユウ、そしてゼロ達やハヤトの二手にわかれ、彼らは別々の道を進みだした。
 凍り付き、森としての機能は停止しているであろう、始まりの森の奥へと一行は歩く。

「しっかしどんどん寒くなっていくな・・・ツカサ嬢の言う通り、罠の可能性も捨てきれないよな」

「でも…今更退けない・・・・」

「・・・・まあな」

 例え罠だろうが、どうにかして対処しなければこちら側に活路はない。
 しかしまあ、彼我の戦力を鑑みるに相手は1人、こちらは複数であろう。それならば問題はあるまい。
 ・・・・・・と、その時までは考えていた。

 一行は巨大な湖畔へとたどり着く。
 以前、彼らがレオとの激戦を繰り広げた"始まりの湖"である。


「へっ、待たせたな。テメーをぶっ倒す為に参上仕った」


 一行の目の前に現れた執行者の1人である、氷結の執行者。
 眼前の敵を挑発するかのように不敵に笑うと、懐から銃を取り出し、ハヤトは戦闘体勢に入る。

 その刹那、周りを取り囲む景色は、結界に包まれたかのように不穏な光景へと姿を変える。
 以前戦った混沌の執行者の行った空間転移に似ているのは偶然か・・・・・・果たして。

「分断……!?くそが・・・・!!!」

 彼らの目の前に襲い掛かる氷の柱、傍で茫然と立ち尽くすミライを右側へと突き倒し、ハヤト自身は左側へと逃げ込む。

「!?・・・・ハヤト」

「そっちも無事か!?なんだってんだ・・・この壁は!!」

 ドンッと拳を握り、氷の壁を殴りつける。
 ・・・・・・無論、壁に何の傷もつくことなく、自分達がまんまと分断されてしまったことを実感する。

>>氷結の執行者、ゼロ達




【ガイ/ホウエン地方/ホロンの研究塔】

―――≪待ってたぞ。ユウ、そしてガイ≫

 一方、ホロンの研究塔へとたどり着いた2人は、サトシ・・・・・・もとい、断罪の執行者と対峙していた。

「ふん・・・・・・わざわざ迎えに来たと言うのにな」

 ユウの隣で腕を組みながら、断罪の執行者を見据える。

「・・・・・・忘れるな、貴様には多くの仲間いるということ、そしてその一人一人が貴様の帰りを待っているというこを」


「共に行くぞ・・・・・・ユウ!!」


「究極護式(アルティメットスキル)」



「―――"極光解放(アウロラ)"!!」



 ガイは繰り出したヒトツキをその手に握る。
 そして、彼の究極護式により、ヒトツキの形状は巨大な翠色に輝く剣と化す。


 ―――今こそ、仲間を奪還するとき。


>>断罪の執行者、ユウ

2ヶ月前 No.464

ツバサ @th0md ★iPhone=4oP04sFbTa

【氷結の執行者/???/氷結の結界】

ーふふ…綺麗に分かれたねー

「こちらはミライさんですか」

「オラァ!」

ガンッ!

「ちっ…ぶん殴ってもこの壁は壊せねぇか」

「しかし、分断するっつうことは俺たち五人と一匹じゃあキツイってことだろう」

ーさて、俺様は野郎の方を始末しよう。そっちの始末は、君に任せよう。なぁに君の大切な人と戦うんだ。嬉しいだろう?ー

「な…に…!?」

ピキ…ピキ…

ゼロ達の正面から何かが凍る音が近づいて来る。そこにいたのは…

「………ゼロ君」

断罪に連れていかれたアオイであった。

「アオイさん!」

アオイを見て、思わず近づくゼロ

「来ちゃダメ!ゼロ君!」

突如、アオイの周囲に頭くらいの大きさの氷の塊が作られ、ゼロに襲いかかる!

「な…!」

「危ない!」

ツカサは瞬時にゼロを抱き跳躍し、攻撃をかわす

「すまないツカサ、アオイさん…何故…!?」

「違うのゼロ君…コレは私の意思じゃない!」

「なに…これは!?」

アオイの姿をよく見る

アオイは歩けなかった。それ故に立つことすらできない。だが彼女は直立していた。支えがあれば立つことは出来たのだ。だが、その支えになるものは…彼女の下半身を埋め尽くす氷の塊だったのだ…

>>ミライ、ハヤト




【ユウ/ホウエン地方/ホロンの研究塔】


「ああ、返してもらうよ!僕たちの友を!」

カードを持ちガイの前に出る

『もう遅い。やつはもう消えた。だが…貴様らの懐かしき友はまだご存命だがな』

「サクラギの事か!?」

『そうだ。奴は別空間に氷漬けになっている…』

「それはどうかな?」

『なに…?』

「その声…?」

突如響く男の声。そして断罪とユウの間に一つの空間が出現する

『その空間は…!』

「まさか…」

「エントリィイイイイイイイ!!!!」

「うわ、あぶな!」

空間から飛び出た男の蹴りが突如、ユウを襲う。ユウは咄嗟に身体を動かし避けたが、後ろには…
なんてこった!ガイがいた!

どげしっ!!

「あぁ!蹴りがガイの顔面に!」

「へーんしん!とう!」

ガイを踏み台にして高く飛び上がる男!

「説明しよう!サクラギサトシがへーんしんというといつもの和服から黒いコートを身に纏い、腰あたりになんかじゃらじゃらと赤いひし形の宝石を付けており、さーらーに!黒い魔法使いの帽子を被り!戦闘モードになるのだ!ちなみにここだけの話!別にへーんしんって言わなくても変身できるし、帽子はアクセサリーです。これマメな。来週のテストに出ません!着地!」

「全部自分で言った上にテストに出ないのかい!?」

「ふぅ…ようやく出られたぜ…久しぶりだなユウ!…なんかお前さん雰囲気変わってね?」

「あ、えと僕は君が知るユウとは並行世界の人間だよ。君の知るユウとは統合してるけど」

「あーなるほどね。ってあら、そこの前が見えねぇ状態になってるのは…なんか懐かしい感じがするがどちら様?誰にやられた!?そんなことしたやつを俺は許さないぞ!」

明らかに自分がやったのに怒りに燃えるサクラギだった…

>>ガイ

1ヶ月前 No.465

なんか @onemass ★Android=Os5V5CdCuC

「端的に言うとだな」

「少しっぱかり "やらかし" ちまった」

「ウチのボスと……あァ、まあ俺もな」

「 "理想郷(ポケトピア)" の連中との交渉は白紙だ」

「 "M(エム)" の奴、大したご立腹だったぜ」



「戦争になるかもな」



【時間軸:現代】

【世界線: "ポケモン" が、古代戦争を制した世界】



【ジャック・フレイム/旧イッシュ地方 現地名ローリング・ロックアイランド】



【中央都市 "ミリーズ・ネイバーフッド" 外れ 救助隊の酒場】



 蔦と錆に覆われた、「かつて」の人間達の遺産たる旧都の街並み。寂れたその最中を、革のジャンパーを纏ったピカチュウが往く。きこきこ、と乾いた音を立てる黄色い三輪車。揃い並ぶ大樹の遥か頂上からは、疎らに鳥ポケモンの鳴き声が微かに聞こえるのみである。やがて、太い蔦の隙間に見える扉へ辿り着くと、三輪車を降り、身体を捩じ込むようにして中へと入る。

「ジャックちゃん」

「顔も見てねェのに、よく俺だと判ったな」

「ンな寂れたバーに来んのはアンタだけよ」

 ムーディな照明の灯る木製の店内にて、後ろ向きのままこちらへと手を振るカウンターの美女。その化粧強い外見はヒトそのものであるが、各所にポケモン、イルミーゼの特徴を有するこの女。

「シャロン。少しばかり、この街を長く空けるかもしれねェ」

 ピカチュウ、ジャック・フレイムの思い詰めたような物言いにも、然程動じていない様子でグラスの中身を空ける。

「あっ、そ」

「連れねェな。こういう時、イイ女ってのは泣いて引き留めるモンだぜ」

「泣いて引き留めるぅ? キザな勘違い野郎が出てって清々するってのに」

 バーのマスター、シャロンから受け取った酒瓶から直接飲みつつ、カウンターに肘を掛けるジャック。

「端的に言うとだな」

「少しっぱかり "やらかし" ちまった」






【時間軸:現代】

【世界線: "白き翼の脅威" が襲う、我々のよく知るところ】

【アスレイ・ローズマリー/カントー地方 マサラタウン/南海岸】

 詳しい素性。重要である。
 双方の関係性。信頼へと直結するこれもまた然り。

 ならば、その両を知らぬ少年とピカチュウはどうか。不思議な事に、しかし二人は誂えであった。

 その理由の程は如何に。



 "……どこからでもどうぞ"



 赤光の双眸が有するは余裕。
 まるでこちらの力量を測るかの如き白き翼に対し、スパークする指先を向けるアスレイ。

「 "護式(トレーナースキル)" 」

「―――― "天雷剣(アメノイカヅチ)"」

 瞬間、ヴァドックの右掌に顕現する、巨大な雷状の刃。ただの武器化されたエネルギーではない。全身の筋肉、骨、果てには腑、ヴァドックの「全て」に迸るあまりにも莫大な電量が、右腕という四肢の先端にて、謂わばそこから「飛び出る」かの如く刃を為しているのだ。

 ばちばち、と乱れ舞う、凄まじい火花(スパーク)の群れ。脳の回路すらをも焼き切りそうな程に圧倒的な力の付与。どうやらこの少年、白き翼は勿論――――ヴァドックに対する手心すらないらしい。それは彼の、少々Sの入った性格に依るものなのか、パートナーに対する信頼の為せる技なのかは不明だが。

 その時、後方で砂を踏み締める音。
 彼らもまた――――この戦場へと間に合ったらしい。

「ヴァドックに……お前、あの時の!」

「知り合いか?」

「あァ、ちょっと前にな……」

 少年がレッドを襲撃したのは記憶に新しいものの、この眼前から発せられる凄まじい冷気に妖気。半ば本能的に構えるレッドと、ニドキングを繰り出すグリーン。

「どうでもいいが、足を引っ張るなよ」

 背を向けたまま、三人の戦士へ事も無げに言い放つアスレイ。ふん、と鼻を鳴らすと、両の掌をポケットに押し込んだまま、グリーンとニドキングの『キズナバースト』たる翡翠色のオーラが拡がる。

「そういうお前もな、チビスケ」

 めらめらと立ち昇る炎が如く、その熱量はあの脅威を融解せし狼煙となるか。ざッ、と地を踏み、レッドが白き翼へと対峙する。

「ヴァドックとポッチャマから聞いてるぜ」

「――――強ェんだってな」

 嗚呼――――マサラ防衛軍として、これ程頼もしい面子も他にあるまい。
 揃いし役者、今、決戦の刻!

>>白き翼、ヴァドック、リュウト




【マツリカ/アローラ地方 ウラウラ島/ラナキラマウンテン】

 伝説の三鳥の一角として数えられるポケモン、フリーザー。
 荘厳たる尾羽を連れ、霜を伴い飛翔するその姿は麗美そのものであり、雪山にて凍え迷う人間を救ったという記録もある。中には島を丸ごと本拠とし、世に仇為す脅威となる個体もいるものの……少なくとも我々ヒトからすれば、畏怖すべき存在には違いあるまい。しかしこのラナキラマウンテンで発見された個体は、なんというか、こう……割りと庶民派らしい。律儀にマツリカへと頭を下げたり、ロコンへの対処に四苦八苦するリーリエへと文字通り彼を「差し出して」あげたり、どうやらかなり人間慣れしているらしく、神格の類はあまり感じられない。微妙に脱力するモネ。

「あー、リーリエの為に捕まえてくれたのかな? 良かったね、リーリエ」

「あ、あああああありがとうございます! でも私だって出来ないわけではないのですよ、ちょっとその気になれないだけで……」

 "これで触れるだろ?こいつも触って良いって言ってたし、存分に触れば良いんじゃないかな"






 瞬間、ぴたりと固まるモネ。
 するりとソラの足から抜け出し、リーリエの腕に収まるロコン。外的要因により同じように固まってしまうリーリエ。

「えっ、あっ、……え?」

 思わずブンブンと頭を振り、目を丸くしてフリーザー……もといソラを、モネが見る。

「キェェェェエエエエアアアアア!!!!! シャベッタアアアアアアア」

 頭上のミミッキュがからかうように叫ぶ。何気にコイツも喋れるらしい。聞き間違いかな、と目を丸くしたままのモネ。ロコンに頬を舐められた状態で固まっているリーリエ。その時、ぶれずに絵を描き続けていたマツリカが、ふと立ち上がる。

「ここまで出来たけどさ、なーんか足りないなぁ」

 スケッチブックに描かれていたのは、ラナキラマウンテンの白に佇む写実的なソラの絵である。それを彼女へと見せながら、しかし不満そうに眉を八の字にする。

「そうだなー。キミの事気になるし、あれだ」

「ちょっと見せて貰おうかな、 "ソラ" 」

 グランブルをボールへと戻し、ゆらりと構えるマツリカ。まさか、という面持ちでソラに再び視線を移すモネ。どうやら、既に「こちら」は察しているらしい。ソラからすれば混乱するばかりであろうこの場だが、にやりと笑みを浮かべたマツリカの一言が、更に彼女の混乱を呼ぶ。

「 "紅蓮" の大事なトモダチなんだってね」

「私に勝ったら、イイこと教えてあげるよ」

 腰を落として構えたマツリカの頭上、或いは背後、左右――――いつの間に繰り出したのか、「何か」が目にも止まらぬ程に高速で飛び回っているらしい。黄色い残像を残しながら、ソラを牽制するように舞うそれと、極彩色の『キズナオーラ』を共有するマツリカ。気紛れな彼女であるが、どうやらソラを逃がしてくれるつもりはないらしい。

「ま、まさかとは思ったけど……!?」

「そうだ。私が勝ったら、代わりにキミが会合に出てよ」

 何なのだ、その滅茶苦茶な条件は。
 あわあわと慌てるモネを余所に、核心めいた呟きを残す『キャプテン』は、依然としてやる気満々なのであった。



【戦闘区間:アローラ地方 ラナキラマウンテン】

【 "意外なポケモン" ソラ】

VS

【 "意外なヒトを知るヒト" マツリカ】



 "一足お先のアローラ旅行"
(THEME:https://m.youtube.com/watch?v=NWLWVERtSbk)

>>ソラ

1ヶ月前 No.466

なんか @onemass ★Android=Os5V5CdCuC

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1ヶ月前 No.467

aki @asynchro73 ★iPhone=WAXDwGGy0d

【リュウト/カントー地方 マサラタウン/南海岸】

数ヶ月にマサラを救った英雄達、その内の三人はマサラ南方の海岸から漂う邪悪なる気配に勘付き、再び彼等は戦地へと赴いた。
……とてもメタ的な話になるが、筆者も数ヶ月ぶりに文章を書くというある意味で闘いに赴いているという事もあり、かなり手探りな状態である。

「…………あれはッ……!?」

赤き炎鳥、ファイアローに乗りながら海岸へと現れたリュウトは、その光景に思わず目を見開く。

相対するは氷の鳥……即ち、伝説のポケモン『フリーザー』
しかし、その姿は通常の個体には程遠く、白く輝きを放っている。
あまにも美しく、そして邪悪な輝きにその場にいる者達を圧倒しいた。

「ヴァドック……お前もここに!!それに、あいつは……?」

かつてマサラを襲った脅威を相手に共に戦った仲間であるヴァドックの姿も確認できた。
そして、たった今ヴァドックのパートナーとての役割を担う少年。
リュウトはその少年ことアスレイとの面識は一切無い、だが今この場に立っているという事は、考えられる事はただ一つ。

「あんたもよっぽどの猛者ってことだ……!」

右手でベルトに掛けられたボールを掴み、それを宙に投げ出す。
ボールから放たれた眩い閃光と共に、彼のポケモンの一匹であるブラッキーがその姿を現わす。

「仲間達が暮らすこのマサラの地を傷付けさせはしない……!!」

白き翼の前に踊り出たレッドの隣りにリュウトも並び立ち、そう宣言する。
再びマサラを襲った脅威に立ち向かう戦士達、その戦いの行方は果たして――――

>>マサラ海岸一同


【side:ミライ、ハヤト/氷結の結界】

「そんな……この壁は……!!なんなの……!!」

壁を壊そうと試みるゼロを横目に、彼女達は見事に分断されてしまった事を悟る。
大人数を相手にする際の戦法としては理に適っているが、まんまと罠に掛かってしまったと思うと不服である。

「……?なんの音……?」

直後、辺り一面に響く音。
何かが割れる音か?いや、それともこれは………。

「………アオイ!?そんな……その凍りは!!!」

彼女らの目の前には、氷結の執行者に連れ去られたアオイの姿が確認出来た。
そして、アオイの周りで生成された氷の塊がゼロに襲いかかる……!!

「くそっ………!!!何がどうなってやがるってんだよ!!壊れやがれ……この壁は!!!」

一方、壁の反対側でその一部始終を見ていたハヤトは銃を懐から取り出し、弾丸を込めると何発もの銃弾を氷の壁へと打ち続ける。
壁へ直撃した弾は見事に弾かれ、傷一つ作ることすら叶わずパラパラと地へ落ちていく。

「ダメか……!!しょうがねえ!そっちは任せたぞ!!!」

「うん……わかってる……ラン、お願い……!!」

ミライは、自身のパートナーであるランクルスをボールから呼び出し、戦闘態勢に入る。
このまま立ち尽くしていてはこちらがやられる……しかし、相手はあのアオイだ。
とは言えミライにとって大事な仲間の1人であるアオイに、彼女は弓を引くことは出来るのだろうか。
今、彼女の葛藤が心を蝕む。

>>ゼロ、ツカサ、アオイ


【side:ガイ/ホロン地方/ホロンの研究塔】

断罪の執行者と対峙する、ガイとユウの2人。
彼等の立つ戦場に、突如として1人の男の声が響く。

「………この声は!?」

それと同時に現れた空間から、男が飛び出してくる。
飛び出しきた人影を、目の前にいたユウはひょいと避けるが、その背後にいたガイは……顔面で受け止める!!!

「なっ――――」

ガイの顔を踏み台に、謎の人物は高く飛び上がり口上を高らかに叫び出す。

「お前という奴は……!!」

その男の名を、彼は知っていた。
いや、知って然るべき存在であった。

「いや、そうか……何でもない」

だが、今の自身の姿を見たところで、彼が気づく余地は無いはずだ。
ならばこそ、今はその事は黙っておくべきか。

――――「あーなるほどね。ってあら、そこの前が見えねぇ状態になってるのは…なんか懐かしい感じがするがどちら様?誰にやられた!?そんなことしたやつを俺は許さないぞ!」

「ふむ………私はそこにいるユウの仲間の1人だが……そうだな、こんな事をやらかしてくれたのはこの様な顔の人物だが、心当たりはないだろうか?」

懐からカロス王家の紋様が象られた小さな手鏡を取り出すと、サクラギへと向けてその顔を映し出す。
目の前には断罪の執行者という敵が存在するのにも関わらず、ガイの怒りも何故だがすっかり明後日の方向へと向かっていた。

>>ユウ、サクラギ

19日前 No.468

ツバサ @th0md ★iPhone=4oP04sFbTa

【氷結の執行者/???/氷結の結界】

ー彼女はいまや僕の手駒…彼女に私の力を与えた…けど俺の能力は特殊だったようだね…。彼女に近づくと防衛しようとして力を使うらしい。けど力を使うたび身体が凍るみたいだねぇ…このままだと全身が凍っちゃうねー

「………貴様!」

「ゼロ!抑えてください!」

「く…!くぅうううううう!!」

ゼロの感情は憎しみと怒り、悲しみと何もかもがグチャグチャになっていた。そして彼は葛藤していた。アオイを救いたい。だがそれはアオイを傷つける事。だが何もしないのは助けない事と同じだ。ならば答えは…



「………。アオイさん」

アオイを見るゼロ。その表情は穏やかだった

「ゼロ君…」

「泣かないでください。…そんな顔をされたら決意が鈍りますから」

拳を握りアオイに突き出す

「俺は今から貴女を攻撃します」

「…ゼロ!?それはダメです!彼女を殺す気ですか!?」

「いや、そんなことはしない!」

「アオイさんを助け、共に帰るために。また貴女と笑う為に。そして…貴女と生きる為に。俺の拳はその為にある…。すまないアオイさん。少しばかり…耐えてください」

「…ゼロ君。………。分かったわ、信じてるからね」

「はい!ツカサ!ミライ!手を貸してくれ!!」

「はぁ、仕方ないですね。彼女の攻撃はできる限り私が防ぎます。ゼロ、ミライさん。彼女の攻撃は一種の防衛機能と考えたらいいと思います。なので眠らせるか気絶させましょう!」

「ああ、了解だ!」

ーふふ…面白い…やはりイレギュラーはこうでないとね…さてアオイ!君は彼らの相手だ…そして…ー

「ハヤト!来るぞ!」

ーさぁ、あたしと遊ぼうじゃあないか!?彼女の全身が凍る前に!まずは小手調べさ!ー

氷の塊を適当に生み出しハヤト達に向けて発射した。

>>ハヤト、ミライ



【サクラギ/ホウエン地方/ホロンの研究塔】

「ほう、この顔がその犯人か。誰だこの素敵イケメンは?」

「…サクラギ?ガイの顔面蹴ったの君だから」

「え?俺?」

「うん」

「アイ?」

「うん」

「マイ?」

「うん」

「ミー?」

「うん」

「マイン?」

「ノー」

「あー。うん。それはつまり…ガイがこんな顔になったのは…断罪!あいつが全部悪いってことだな!」

「全面的に君な気がするんだけど!?」

「な…!ちょっといいか!」

「え?何?肩に手を掴まないでよ…!」

「なんという…なんという的確なナイスゥツッコミィ…。ユウ…ヒロシが復活するまでの間、俺と漫才のスターダストを目指さないか?」

「目指さないよ!?というか星屑になってどうするの!?星になろうよ!」

「え!?死ぬ気なのか!?」

「そんな気ないよ!」

「やはり俺が見込んだ通りだ!お前には才能あるぞ!さぁ、行こう!俺たちの登り始める激しい漫才坂を!」

「わー!すっごく嬉しくないんだけど!?後それ確実に打ち切りフラグだから!」

断罪がいるというのにふざけるサクラギ。しかしご丁寧に漫才が終わるまで断罪は口を閉じていた。キリがいいところで断罪は口を開く。

『やはり貴様か…しかし…いったいどうやって抜け出した…?』

断罪に質問され、ニヤリと笑い断罪の方を振り向く

「簡単だ。お前言ったじゃないか?あの氷は『凶悪』な力程度では簡単に抜け出せないと。なら『論外』の魔力を持つ俺の空間術があればあんなの余裕で切り抜けられるぜ。いやーバレずに仕込むのは苦労したぜ」

『だが…俺はお前の全盛期の力を持って作り出された…それに、お前は監視者様に力を消失されたはずだが?』

「全盛期?ならお前は勝てねぇな」

「何…?」

「何故なら俺は…今も全盛期絶賛更新中だからな!さあてお前でリハビリさせてもらうかね!」

『ほうなら見せてみるがいい!』

「んじゃ、見せてやるぜ…本物の力って奴を…!よっしゃ!今度こそ構えな!」

「うん!」

「せっかく二つの異世界の友人との共闘だ…」

サクラギは空間から二つの銃を取り出す。それはヒロシが開発したサクラギ用に開発された銃。

その名はコンビクション

その意味は信念、確信、不退転

そして断罪

二つの銃を断罪に突き出す!

「さぁ、ショータイムだ!!」

その同時にサクラギはいきなりに断罪に目掛けて弾丸をぶっ放した!

>>ガイ

9日前 No.469

なんか @onemass ★Android=Os5V5CdCuC

【時間軸: "黒き氷の羅刹" の襲撃から、数週間が経過】

【未だ "白き翼" の脅威はなく、しかし――――不気味な静けさは拭い切れぬ、曇掛かった安息】



【レッド/カントー地方 ヤマブキシティ】

【ヤマブキ総合病院 203号室】

【イエローの病室】



 夕刻の茜射す病室にて、シャリシャリと軽妙に刃物を扱う音。

「見てみろコレ。コラッタだ」

「知ってる」

 かのマサラタウンでの騒動を解決した一人たる少年、レッド。そんな彼の掌に乗るのは、器用にも剥いたナナシの実でこしらえたコラッタのモチーフである。見事な出来映えであるが、今までに散々それを見せられた少女――――イエローこと黄花(オウカ)にとっては、特に感嘆すべき物でもないらしく、ぼふっと枕に後頭部を埋める。

「ソラさんは見つかったの?」

「いや。ヒメちんもわかんねェってよ。つーかアイツ、ポケギアとか連絡手段持ってんのか?」

「多分持ってないと思う。なんとなく」

「気にしすぎなんだよなぁ、アイツはよォ。パールの奴に勝ったんだからもっとこうさ、パーッといきゃあいいのによ。パーッと」

「あのさ、君はもうちょっと怪我人を労るべきだと思うんだけど」

「だからこうして見舞いに来てんじゃん?」

「じゃあレッドも気にしすぎなんじゃないの」

「ああ言えばこう言う奴だなオメーも」

 先程切ったナナシの実を食いつつ、ベッドに腰掛けているレッドがふと別の話題を振る。

「グリーンとかブルーは見舞いに来たのか? ルカとエマは?」

「手ぶらな誰かさんと違って、かなり豪華なお見舞いまで貰っちゃったよ」

「俺も持ってきただろ、ナナシの実」

「自分で消費してるじゃん」

「地産地消、自給自足ってヤツだ」

「絶対意味判ってないよね」

「へへ……まぁな」

「褒めてないし」

 結局自分で剥いたのを全部食ってしまったアホ。
 あの動乱から既に数週間が経過したが、どうやら「当事者」達は、あれからある程度顔を合わせているらしい。しっしっとイエローにベッドの端から追い払われるレッド。

「んだよ、何処行く気だ」

「売店」

「ついてこ」

 よろよろと緩慢に歩くイエローの後をちょこちょことついていくアホ。イエローがわざとらしく溜め息を吐いてみせる。

「おい、レイジは見舞いに何持ってきたんだよ? つーかアイツは見舞いに来たのか?」

「大体判るでしょ」

 彼女の指差す方向。
 売店近くのホールにて談笑しているのは、未だに傷跡痛々しく両脚に包帯を巻いたモモカ。そして噂をすればなんとやら、ブルーに……これはまた珍客。ニビシティの首領(ジムリーダー)にして「かたいいし」の男、タケシである。

「よォ、何なんだよこの烏合の衆は」

「うげげ、レッド先輩だ」

「うげげじゃねェよ」

 うげげ先輩でなくとも、この顔振れには随分な珍しさを感じる事だろう。ブルーへと視線を移すレッドだが、肩を竦めてみせる彼女。

「アンタの方は何ともなさそうじゃん」

「まぁな。つーか、タケシはどうしたんだよ?」

 よく見てみると、何やら物々しいというか、深刻そうというか。俯き、両掌を合わせたまま、ニビのジムリーダーはまるで懺悔でもするかの如く……

「レッド……俺は最低だ」

「ジムリーダーとしてマサラを襲う脅威に対し、出遅れた挙句――――無為な怪我人を出しちまった」

「駆けつけてみれば、事は全て終わっていた。笑っちまうな。何が規範たるジムリーダーだ。なぁ、そうだろう」

 ぽたぽたと涙の雫が彼の膝に落ち、普段の威厳は何処へやら。その逞しい肩は震え、男泣きに咽び泣くタケシ。ジト目のブルーが溜め息を吐き、イエローが額を押さえて首を振り、モモカが頬杖をつく。

 ……。

 …………。

 ……………………。

 レッドは……
 レッドは、ふと己を省みていた。

「(あ……あのさぁ……)」

「(なんつーか、俺が呑気すぎるだけなのか!?)」

 ニビジムリーダーのタケシとは、高潔な男である。それも高潔過ぎる程だ。その石の如き堅牢な精神性は誰もが評価し、彼のバトルスタイルにも如実に顕れている。現状、マサラ防衛に手を貸せなかった事を悔やみ、こうして心の底から涙を絞り出してしまう誠実、男の中の男。当の本人であるイエローやモモカは「気にしすぎだ」と言わんばかりに呆れるがままであるのだが、流石のレッドも彼の姿を目の当たりにし、何か思う所があったらしい。

「イエロー……痛いとことかないか?」

「えっ、何いきなり」

「モモカは?」

「レッド先輩がイタいです」

「ブルー」

「アンタ、自分の怪我の心配でもしたら?」

 あまりにも現金すぎる。
 やはりコイツは底なしのアホなのだろう。

「タケシさんもソラさんも気にしすぎなんだってば。死人が出たわけでもなし、私達ピンピンしてるもの。ね、モモカ」

「明日にも退院したいです」

 しかし、と言いかけ、再び俯くタケシ。
 終始暗い彼だが、よっこらせとブルーに腕を引かれて立ち上がる。

「アンタもさージムリーダーでしょ? しっかりなさいよ。済んだ事は済んだ事! ほら、挑戦者だって待ってるかもしれないし」

 マサラを代表するお節介焼きに引かれるがまま、院内を後にするタケシ。心配事の杞憂もいいところである。女性というのはかくも強かった。例え話ではあるが、仮に平行世界のタケシが年上の女性好みなナンパ男であれば、今回の件でああも悩まなかったのだろうか。全く、ヒトの心を知るというのは、時にポケモンを相手取るよりも難しくもあり。

「ところで、リュウトはまだ戻んねェのかよ」

「迷ってるんじゃないの」

 ふと、半ば引っ張り出すようにして無理矢理見舞いに付き合わせた級友の事を思い出すレッド。リュウトである。

「アイツ抜けてるからな。案外マジで迷ってんじゃねェか」

「君に言われたらおしまいだよ」



 病室に戻ってきた二人。結局リュウトは何処へやら。彼を待ちつつポケッチを弄っていたレッドであるが、うつらうつらと船を漕ぎ始めるイエロー。

「とっとと寝ろよ、怪我人」

「誰かさんが邪魔しなきゃ今頃寝てたんですけど」

「あー、わーったよ。少ししたら帰るからよ。つーかリュウト来ねェし」



 陽は更に傾き、夕雲に混じり始める闇の黒。



 静かに寝息を立てるイエローの傍ら、レッドが静かに立ち上がる。



「よォ」

「久し振りじゃねェか」

 囁くようなその声は、開いた窓の方向へと。
 静寂の渦中に走る緊張。レッドの身を貫いていたのは、紛れもない殺気であった。

「なーんか、大変だったみたいだね。マサラも」

「スゴいじゃん、君達。私も負けてらんないなぁ」

 サッシの部分に腰掛けるは、『起源』を狙う存在にして、かつて自身へと襲撃を掛けた者。謎多き少女、ヒガナは緩慢に窓際から降りると、レッドへと笑い掛ける。



 数瞬の静寂の後、ざッ、と構える両者。
 手の甲を見せ付けるようにして、少女の五指に挟まれた3つのモンスターボール。



「此処ではやらねェぞ。ダチ待ってんだ」

「その子」



 くい、と顎で指し示すは、安らかに寝息を立てているイエロー。



「君にとって、大事なヒトなんだね」



 貼り付けたような、満面の笑み。
 対象的に、少年の表情は険しさを増し。



 ふと、彼女の殺気がイエローへと向けられた瞬間――――



 半ば本能的に瞬発したレッドが、オンバーンを繰り出したヒガナへと飛び掛かっていた。



「テメェ――――」

「何のつもりだ」



 ばさりと翼が風に晒され、開いた窓から宙へと投げ出された二人。高度凡そ50m、しかしそれでも尚――――夕闇の渦中にて激突する両者。



【戦闘区間/カントー地方 ヤマブキシティ/ヤマブキ都市公園】

【マサラタウンのレッド】

 VS

【襲撃者 ヒガナ】



 "化物(モンスター)"
(THEME:https://m.youtube.com/watch?v=k9yQ_8aQs4I)



 ひゅう、と風が嘶いた後、刃よりも鋭いレッドの蹴り。それを紙一重で避け、オンバーンによる指向性の音の爆撃が少年へと炸裂――――するよりも速く、空中での躯体制御。くるりと前転でそれを避け、迎撃の右拳。

「護式(トレーナースキル)」

「―――― "同調(シンクロ)" 」

 瞬間。ヤマブキシティ上空にて、極光が奔った
 直後に響き渡ったのは、地よりの轟音。総合病院の傍らに位置するヤマブキ都市公園、人も疎らな噴水広場にて――――襲撃者とされる側の両者が、再び対峙する。

 ヒガナとオンバーンの共有する、蒼き奔流の『キズナオーラ』。

「やっぱり、あの時より遥かに強くなってる」

 その顔には、未だ底の窺えない笑みが貼り付けられたまま。
 目線を鋭く絞ったレッドは、立ち昇る炎を背負い構えた。

>>リュウト、(ワボン)

7日前 No.470

ゼロ @0xxx0jienx ★iPhone=DfXrsFFGsv

【ワボン/カントー地方 ヤマブキシティ/ヤマブキ都市公園】

夕闇、夕暮れ、薄暮時ーー日が沈み夜の空が顔を出すこの時の呼び名は様々だが、ある少年は決まって“黄昏時”と呼んでいた。黄昏ーーそれは光と闇が交錯する不思議な時間帯。その時に見たもの全てがまるで魔法でもかかったかのような、そんな雰囲気を放つ。ある時はオツキミ山、ある時はトキワの森。様々な場所を旅してきた少年は、今目の前の光景も新たに不思議な記憶として刻むのだろう。

少年ーー名はワボン。

132cmという見かけは幼い子どものようだが、こうみえて16歳。彼の傍らには常に彼を守るように一匹のオコリザルがいる。そのオコリザルも少年を後少しで抜きそうなほど普通より大きく、身体中に古傷があり、瞳は紅蓮色と通常のオコリザルとは違い異様な風貌だった。そんな1人と一匹の組み合わせはお互いに目を見合わせ、今眼前の光景について各々のリアクションをとる。

「……水と炎のお祭りみたいだね。ね、アイラ」

“アイラ”と呼ばれたオコリザルはコクンと頷き、ワボンに退がるように右手を彼の前に出す。その動作にワボンも頷き、少し退がって様子を見ることにした。戦いはまだ始まったばかりなのだろう。どちらもやる気満々というのが見て取れた。

「いやー、でも今日はこの公園で野宿しようと思ったのにね」

困ったなーと呟きながら、噴水広場からそう遠くない、それでも様子が見える位置にあるベンチにワボンは腰をおろした。そんなワボンにアイラは指を公園の外に向けながら「早く立て」と言わんばかりに鳴く。アイラはワボンが怪我をしないように言っているのだが、当の本人はそんなのお構いなしにへらへらと笑っている。

「大丈夫だよー。あの2人は2人でバトルしてるんだし、関係ないオレ達には危険はないよ。もし危なかったら、アイラが守ってくれるでしょ?」

ね?とにこりと笑うワボンにアイラも何を言っても仕方ないなと肩を落とした。アイラもいざという時はワボンを背に担いでこの場を去るくらいの技量は持っている。この能天気な相棒に付き合ってやるかというばかりに、アイラもワボンの隣へ腰かけた。「それにしても、あの人たち強いねーー」など、まるでスポーツ観戦をするようなコメントには脱力したが。


≫レッド、リュウト

7日前 No.471

aki @asynchro73 ★iPhone=WAXDwGGy0d

【リュウト/カントー地方/ヤマブキ総合病院】

時は『黒き氷の羅刹』襲撃事件より数週間後の出来事に遡る。

「な、何階だここ……?」

友人たるレッドに(半ば強引に)連れられ、件の戦いで負傷したイエローの見舞いの為にヤマブキシティ総合病院へと訪れていたわけだが……。
カントー随一の大都市の病院である為か、院内はこれでもかという程に広い、広すぎる。
リュウトは軽く自販機でジュースでも買うつもりでレッド達と別れたのだが、自販機を探しているうちに迷って廊下の片隅で立往生しているという次第だ。

「無駄に広いんだよここ……俺がこうやって迷ってること、ぜってぇあいつらには知られたくねえ……」

いやもうバレてるがな。

頭を掻きながら院内を散策する。
リュウト自身もパールとの戦いの末、機能不全に陥った右腕のリハビリの為に数回この病院に訪れたことがあるのだが、それでもまだこの広さには慣れないものである。

途方に暮れる中、リュウトの視界に白のルームウェアを着た少女の姿が映る。
恐らく、入院中の患者だろうか。髪は長く目は隠れており、肌も血行不良なのか真っ白である。

「(な、なんか不気味だなぁおい……)」

その少女の傍を何事もなく通り過ぎようとした瞬間、袖を掴まれ動きを止められ、恐る恐る後ろの方を振り向く。
少女はくいっくいっと指を指すジェスチャーをしており、まるで"こっちこっち"と言いたげな雰囲気であった。

「ま、まさかレッド達の所に連れてってくれるのか……!?」

アホである。

その少女に連れられるがまま廊下を歩いていく。
それにしても、不気味な程に人が周りにいないが何故だろうか?そう疑問に思いつつもそこまで深くは考えなかった。

目的の部屋に着いたのか、少女は立ち止まって部屋の扉を指差す。

「ここがイエローの病室か、いや〜わりぃな!案内してもらっ………」

ふと目に入った扉に書かれた表記を見て、リュウトの顔はみるみると青ざめていく。
慌てて少女の方を見るが、既にその姿はなく、人がいたという形跡すらなかった。

「こ、ここここ…………!!!霊安室じゃねえかチクショーー!!!!!!」

まさか自分の身に降りかかった心霊現象にリュウトは恐怖しながら、全力疾走でその場から逃げ去る。病院内で走ってはいけません。
無我夢中で走っているうちに、いつの間にやらエントランスへと辿り着く。
人がごった返す場所に着て安心したリュウトはふぅっと息を吐き柱に寄りかかる。

「はぁ………素直に受付で場所聞くかね………」

そう思い、よっこらせと柱から離れる……その瞬間、外から轟音が鳴り響く。
突然響いた轟音にエントランスにいた人々はガラス張りの壁越しになんだなんだ?と野次馬の様に外を見ていた。

「な、なんだぁ?一体……」

恐る恐る外へと飛び出る。
病院のすぐ近くにあるヤマブキ都市公園、恐らくそこが音の発生源だろう、というのも公園の周りには土煙が少々立ち込めていたからだ。

そして、公園の噴水広場の前に来たリュウト、その目に広がっていた光景は………。

「レ、レッド!?お前こんなとこで何やってんだ!?それに向かいのあいつは……」

オンバーンを傍らに携え、不敵に笑う褐色の少女。
彼女は一体何者なんだ?それに何故レッドと対峙している……?疑問は尽きないが、ともかく並々ならぬ様子であることはわかった。

そんな2人の激突を見て、公園にいた人々は既に避難をしている様子であったが、逃げようとする事も無く2人を見ている背の低い少年の姿が目に映る。
傍らにいるのはオコリザルだろうか……?遠目でよく見えないが、とにかくここから離れる様促した方が良さそうだが……。

「お、おーい!君達もここから離れた方が……」

ワボンの元へと駆け寄り、避難をする様促す……が、どうにもスポーツ観戦でもしてるかの様に呑気に2人の激突を見ている1人と1匹に呆然とする。
彼のパートナーであろうオコリザルの身体には古傷が至る所にあり、歴戦の猛者と言った雰囲気が見られた。

「いや……まあ、そのなんだ……程々にな」

この様子なら心配は無用だっただろうか。
リュウトはワボンの隣に立ち、対峙するレッドと謎の襲撃者を見つめると、これはまた何か厄介なことが起こりそうだぞと思いながら溜息漏らすのだった。

>>レッド、ワボン


【ミライ/???/氷結の結界】

目前に聳え立つのはミライにとっても大切な人であるアオイだ。
そして、ミライの隣で怒りと憎しみと言った憎悪の感情に囚われているのは……。

「ゼロ……」

ミライにとっても更に大切な仲間である、ゼロだ。
正直なところ彼女にはどうすればいいのか分からなかった。
ハヤトに言われ、なんとかする旨は伝えてたが、具体的な方法は無く手詰まりな状態である。
気概を加えるなんてもっての外である故、それ以外の方法を何とか模索する必要があるが……。

そんな考えを巡らせる中、ツカサの提案に一筋の光を見出す。

「気絶……眠らせる……なるほど……。わかった、私も出来る限りの事をやる。だから……アオイ、もうしばらく待ってて」

「直ぐに助けるから………!!行くよ……ラン!!」

――――――――

一方、視点は壁の向こうのハヤトへと移る。

――――「ハヤト!来るぞ!」

「あぁ……わーってるよ!!」

ハヤト達へと向けられる氷塊による"槍"
恐らく当たればただでは済まないであろう大きさであるが、先ほど壁へとぶっ放した銃にモンスターボールを装填し、氷塊へと向ける。

「こっちは任せろっつったんだ、今更後に退けるかよ!!!」

その叫びと共に、引き金を引く。
銃身から弾丸の様に飛び出したボールは、見事に氷塊の中心を捉えており、直撃する前にボールからピジョットが飛び出す。

「そのクソッタレに……"ブレイブバード"をお見舞いしてやれ!!!!」

弾丸としての勢いを殺さないまま放たれたブレイブバードは見事に巨大な氷塊を打ち砕きそのまま貫通し、氷結の執行者の目前へと迫る――――

>>氷結の執行者



【ガイ/ホウエン地方/ホロンの研究塔】

「現実から逃げようとするな、証言者もいる以上お前がやったのは明白だ」

身の潔白を証明(出来てはいないが)しようとてしいるサクラギに対し、ガイは厳しい一言を浴びせる。

「だがまあ……そうだな。確かに"広い意味で考えれば"断罪のせいである、とも言えるな」

なんとも強引なあてつけである。
断罪の執行者と対峙してる最中に、サクラギは突如として現れた。
断罪の力のせいなのか、それともサクラギ自身なのかはガイには分からないが、要はそもそも断罪と相対していなければ顔面キックをお見舞いされる事は無かった、という途方も無いトンデモ理論である。

「さて……この落とし前は、貴様につけさせてもらう」

再び、矛先を断罪へと向ける。

「折角の友の帰還だ、私も暴れさせてもらうぞ。ユウ、サクラギ、共に行くぞ!!」

サクラギが銃から弾丸を放つと共に、ガイもそれな続くかのようの地を蹴り、まさしく彼自信も弾丸のように断罪の懐へと距離を詰めて行く。

「極光解放(アウロラ)!!!!!!」

まぶゆい光を纏いしヒトツキは、ガイの一言により更に巨大な剣へと変貌を遂げる。
そして、サクラギの放った弾丸が断罪へと直撃すると共に追い打ちをかけるかのように、ガイの一閃が振るわれた――――

>>断罪の執行者、サクラギ、ユウ

4日前 No.472
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