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人形ごっこ

 ( ホラー小説投稿城 )
- アクセス(1026) - ●メイン記事(65) / サブ記事 (29) - いいね!(8)

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

流血シーンや、少し病んだシーンがあります。
苦手な方は戻ることをお勧めします。
また、仮に見たときに気分を害されても自己責任でお願い致します。
ですが、あまりグロテスクな表現はしないように気を付けます。
自分勝手なものですが、メインキャラと
会話をするサブキャラだけ名前をつけさせていただきます。
他のサブキャラの名前は適当になってしまうので
そこはご了承ください。

ープロローグー

此処は普通の学校と至って変わらぬ、穏やかな「鳴月小学校」
私達は6年間この小学校を通い、友と平和な日々を過ごしていた。


_____1か月前までは……ね?
親友に好きな人を取られて酷く裏切られるまでは………

でも、今はそんなのどうだっていい。
もう何も見たくないし感じたくもないから……。

それに、今はそんな場合でもないんだから……クスッ

~~~~~~~~~~~~~~~~~

「今から皆さんの卒業を祝してお人形ごっこを初めます。
皆さん、パートナーの人と協力てザー  ザーザー気をつけてくださいね?」

ーブツッー

~~~~~~~~~~~~~~~~~

§登場人物

・山崎 冷:やまざき れい[女]
‡親友の久八木溟に裏切られ、笑顔が消える。
・古沢 悠喜:ふるさわ ゆうき[男]
‡山崎冷の好きだった人。そして人形ごっこのパートナー
・久八木 溟:くやぎ めい[女]
‡山崎冷の親友だった人物。冷に対して隠し事がある。
・天原 将:あまはら しょう[男]
‡久八木溟のパートナー。普通すぎる人物

§重要人物
・謎の少年
‡まるで「人形」の様に美しい少年

4年前 No.0
メモ2013/08/03 15:59 : 闇ネコ @blood66★3DS-eaj47jMhDf

クラスメイト全員に名前を付けることにしました。

名前を知りたい方はこの記事メモを見てください。

また、生存者や、死亡者などを追記するので、記事メモはコマメに更新されます。


クラスメイト一覧


1【○】天原 将[男]

物語のメインキャラ。以外と重要な人物。

2【×】嵐山 唯乃[女]

>>3で死んだ女の子。

3【×】泡島 涼[男]

音楽室で犠牲となった。

4【○】植原 夜筱[男]

>>1>>2で出てきた少年Bのこと。

5【×】神木 優[女]

音楽室で犠牲となった。→前山啓一に身代わりとされ、殺された。

6【○】久八木 溟[女]

元、冷の親友。メインキャラの一人。

7【×】笹原 陽平[男]

>>2で死んだ少年A。

8【○】墨乃恵 桜[女]

神秘的な雰囲気を放つ、気の弱い女の子。

9【○】瀬川 一郎[男]

真面目過ぎて頭が固い。

10【×】園田 隼人[男]

音楽室で犠牲となった。

11【○】罪梁 春佳[女]

無口。何を考えてるか解らないポーカーフェイス。>>34で初登場

12【×】寺内 海人[男]

音楽室で犠牲となった。

…続きを読む(47行)

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闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

「ど………どうしたんだよ……?」
将が困った様な声で尋ねてくる。
不安の為か、少し声が上擦っていた。
「どうした?ん〜、楽しいからかなぁっ……フフッ」
可愛らしい笑顔だが、言葉と結び付かないその笑顔は
とても不気味だった。
「楽しいって……何が?」
「何がって………?こーゆーことだよ」
笑っていた顔は急に冷徹になり、
残りの人形の腕、足、頭のどれかを切り落としていった。
中には、体が半分になった物もあった。
「………フフッ」
冷徹な顔からまた愛らしい顔へと変化し、
軽い足取りで悠喜の所へ向かうとこう言い放った。
「どうしたのかなー?君の彼女を心配してあげないの?」
「え……?あ、ああ。溟……大…丈夫か?」
「あ、う、うん。大丈夫だよ。………心配しないで。」

そして冷は目で鋭く睨んでこう言った
「………本当に仲が良いんだね………。羨ましい限りだよ。
その幸せなんて、壊してしまいたい……。」
「あ………」
溟は言われて改めて思い出した。
自分が以前、冷を裏切ったことを……。
“本当の事を言ってしまおうか、悩んだ。
でも、言った後自分はどんな目で見られてしまうのだろう………
恐怖と不安で言えなかった。
が、しかし
「…………違う…。これは違うんだ!これには理由が……」
「止めて!!!!」
悠喜が言うのを遮る様に、鬼の形相をした溟が言った。
そして自分を落ち着かせる為にスゥッと息を吸った。
「………お願いだから言わないでください……。」

沈黙が走る。
呆然とした将が我に返り、
「みんな、落ち着けよ」と言う。
するとニタニタ笑っていた冷が急に笑うのを止め………

「……私、何してたんだっけ?」

4年前 No.16

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

「はぁ?」

将は、「頭どうかしたのか?」と言う言葉を飲み込んで
怪訝そうな顔で冷をチラチラと見た。
さっきまでの冷徹な目は虚ろで切なそうな目だった。

「まぁ、どーでもいいか……。」
将はそう言って、冷を一瞥すると音楽室の棚に目を向けた。
そこには、サブマシンガンとその弾丸が大量に置かれていて、
隣には怪しげな薬品とベレッタM-92Fが置かれていた。
「学校にこんな物……。何で置かれてるの……」
溟は試しにサブマシンガンを持ってみた。
サブマシンガンには意外と、
想像していたよりも重量や重さがあった。
将は薬品を見て持って、瓶に張られているラベルを見てみた。
そこには、「硫酸」とワープロで打たれた文字が書かれていた。
「りゅう……さん?ってこれ、ちょーあぶねぇだろ!?」

「いきなり悪いんだけどさ……」
悠喜が弛んだ空気を引き締める様に呟いた。
「俺達、これからどうすんの…?」

4年前 No.17

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

「そんなの………」
将が言う。
他の人には解った。将が何を言おうとしたのかを。
恐らく将は、「そんなの、知らねぇよ」
と言うつもりだったのだろう。
しかし、思い出した不安で次の言葉を言えなかった。

その時、数分聞いていなかったメロディーが放送から流れた。

ピーンポーンパーンポーン
「いい忘れてたよん♪
一緒に行動出来るのは、パートナーの人だけだよ〜
まあ、これは僕がドジしちゃっていい忘れてたからぁ〜、
今回だけは見逃してあ・げ・る☆」
「そうそう、会って喋る程度なら許してあげる。
でもぉ〜?行動を共にしたらランダムに誰かを殺すから
『覚悟』してね?………プッ………ククク」



「…………。」
「……………。」
「じゃ、じゃあな……」
「ああ、……気を付けて行けよ……」
将と悠喜が一言二言会話をすると
反対の方向へ4人は別れていった。



……………………………


「孤独に近い様な、たった二人という状況……
その世界では怒り、嫉妬、悲しみ、
不安、恐怖、裏切りの連鎖や交差がある。
その世界でこの『ゲーム』を行うんだぁ………。」
「きっと……楽しいんだろうなぁ……。
僕も、こんな体じゃなきゃ出来たんだろうけど……
でも……、ゆっくりと見物させて貰うよ……」

少年のシルエットをしたその人物は
瞳にエメラルドグリーンの輝きを放ち、
椅子を回してドアの方を向いた。


「さぁ、誰が此処『放送室』に来るんだろう……?」

暖かい太陽の光が当たったその顔は色白く、
闇の様な黒い髪は少年の白い肌を引き立たせた。

華奢な体で美しいその顔は、
憎悪の籠った不気味な笑みが浮かび上がっていた_____。

4年前 No.18

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

山崎冷&古沢悠喜 side

「………はぁ………。」
「ん……?どうかしたのか?」
最近、全くと言って良いほど喋っていなかった冷が、
「はぁ」と溜め息をついた。
何か重大なことなのか?何かあるのか?
声を出すのが珍しい位な冷だから
何を言うのかドキドキと、心臓の鼓動が高鳴っていた。
しかし、それも次の発言で粉々に砕けていった。

「お腹、空いた……。」

「……………はぁ?……」
こいつ何言ってんの?とでも言いたそうなその顔には
呆れた顔と、和んでいた顔が五分と五分であった。

それを見た冷は、何故か少し赤面をし、微笑を浮かべた。
偶然それを見た悠喜は、不覚にもドキッとした。
虚ろだった目には少しばかり光が灯っていて、
感情を露にしていたからだった。

……………こんな顔、久しぶりに見たな……。

二人周りにある空気が温かく、優しく感じられた。
まるで、1ヶ月前に戻ったような気分で
悠喜が何か言おうとした瞬間
冷が恥ずかしそうに微笑を浮かべ、此方を向き………


ザシュッ


その聞き覚えのある音に、一瞬放心して立っていた悠喜は
数秒後、ハッと意識を取り戻した。

状況を理解出来る範囲で説明すると、
冷が赤面しながら、悠喜の左肩に手を乗せ、ダガーナイフで
悠喜の後頭部のあたりに位置した人形の額を刺した____
ということになる。

冷が人形の額からナイフを取ると、心配そうな目を向けて
「大丈夫?怪我はしなかった……?」
そう尋ねた…。

____あぁ、そうか。馬鹿みたいだ
“あの頃に戻れるなんて思った自分が………。
だってもう、『あの頃』の冷は、もう居ないんだから____


「みんな……もう居ない。冷も……、もう、居ないんだ……」
悔しさと後悔。あのふざけた放送への皮肉をたっぷり込めて、そう呟いた。

此処に居るのは、もう冷じゃないんだ……。
僕が『好きになった』冷じゃないんだ……

歩き始めようと前を向く冷の後ろ姿に、
悲しさを乗せて、静かに銃口を向けた。

ごめん…………。

4年前 No.19

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

あれ?おっかしいなー…。
なんで引き金を引けないんだろう…
何を僕は躊躇ってるんだろう?

意味も解らず手が震えてくる。
本当は解っていた。
自分が納得出来ないから、我が儘を言ってるだけだって。
自分を騙して感情を押さえつけていただけだって。
本当はまだ好きだった。
誰がなんと言おうと大好きで、愛していて、
他の誰にも触らせたくない位に……。
でも、あの日以来、自分自身がそれを拒んだ。
周りの目?気まずい?
そんなの知るわけないだろ……

僕は拳銃を元に戻した。
それと同時に冷が怒りを込めた目で此方を振り返って、
顔をキスしそうな位に近づけてきて…。

「……やっぱり、君はちょっと演技したくらいじゃ
私を殺してくれないんだぁ……。あーあ、がっかり…。」
「……私はね、君のことが好きだよ。気が狂いそうな位に。
だから、死に方は愛する人に殺される…そう決めていたの。」

そう言って顔を離すとフフッと微笑を浮かべて
抱きついて
………赤い血
この血、誰のだろう?
背中が痛いの、気のせいか、な?

背中から何かを引き抜く音。
音の方を見ると、そこには僕の血で赤く染まった
ダガーナイフがあった。
冷は何か呟いた。

そこで僕の意識は____



完全になくなった。

4年前 No.20

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

「…………抵抗、しなかったね。」
私は悠喜の血で染まったダガーナイフを
目の前に持ってきて眺めた。

「…………今、死なれたら困るしね…。」

私はポケットから白いハンカチを出して
悠喜の背中に当てて、応急処置をした。
出血はあるが、致命的な攻撃ではない。
だから、この程度の傷なら止血すれば生き延びる事が出来た。

しかし、状況が状況なだけに、
あの人形共が襲ってくるかもしれない…。
当たり前のことだが、そう考えた冷は
一瞬、悠喜を何処に置くか悩んだが、
何か閃いたのだろう。
クスッと笑うと
静かに悠喜に唇を重ねた。
……体温はまだある。
そして、彼の生命力は……


冷は唇を離すと、
「……じゃあ、行ってくるよ。君が望んだ所へ…。」

冷は悠喜を放置し、一人静かな廊下を歩き始めた。

4年前 No.21

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

久八木溟&天原将 side

「………冷…。」
きっき、冷達と居たときまであった元気は何処に行ったのか、
縺れた足取りで廊下を歩いていた溟。

「そーいえばさ、お前、前まで冷と仲良かったのに、
どうしてあんな感じになったんだよ。」
「…………そんなの、どうだって良いでしょ……。」
「そんなのって……。お前と冷の仲は、それぐらいだったんだな…。」

将は普段とかけ離れた、静かで低い声で、
なんとも言えない気持ちを言葉で表した。

パシンッ

本気のビンタが頬に炸裂する。
頬が熱い、痛い、ヒリヒリする、痛い、痛い…
「いってぇええ!?」
赤く腫れた頬を片手で押さえると、
フラフラしている溟を見た。
溟は顔を伏せながら叫んだ。
「…あんたに何がわかんの!?何にも知らないくせに…」
「偉そうな事言わないで!!あんたは…あんたは…」
下に伏せていた顔を上げて、将をキッと見据え…
「……あー!もうっ!!!馬鹿!!!!」

そう言い残し、走り去っていった。

4年前 No.22

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

久八木溟 side

「はぁっ………はあっ……!」
息を荒くして私は走る。
何のため?
わからない。
冷に会いたい。会って、話をしたい。
私が貴方を裏切った理由を伝えたい……

会いた………

ゴキッ
「?……ヤバッ…」
足を捻ってしまい、
ドサッ
と音を立てて倒れそうになる。
すると、曲がり角から男性の影が見えて私を抱き止めた。

だいっきらいで、ナルシストなあいつが……

「おっとレディ…怪我は無いかい?」

4年前 No.23

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

前山 啓一___

クラス…いや、学年で、悪い意味で有名。
物凄い自意識過剰で、ナルシスト。相手の罵倒発言も、
「素直じゃないなぁ」と、あくまで自分を美化し続ける。
でその性格が故に彼にとって
友達といえる人がおらず、女子に自分から近づく。

成績は大変なほどに悪く、難しい問題を見ると、
「まったく…君は難しい子だね…でも、嫌いじゃないよ。」
という意味不明なセリフを放つ。
かといって、スポーツは万能かと思ったら、そうではない。
運動神経の良さそうな素振りをみせたかと思えば、
走るのが平凡並みのスピードで、その他は救いようがない。

4年前 No.24

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

________

「おっとレディ…怪我はないかい?」

そう言って、そいつは私を抱き止めていた。
私はこいつが嫌いだ。吐き気が出るくらい嫌いだ。
そんな奴に、私は抱かれているんだと理解すると、
気持ち悪くなった。
同時に、そいつの腕から離れ、思いっきりそいつを押した。
ドンッという音を立てて、そいつは壁にぶつかる。

「っ………!ふっ…いつも君は僕に対して素直じゃないね…。」
「煩い。」
ユラッと私はそいつの前に立ち、
ベレッタM92-F……拳銃を構えてみせた。
「き、君は本当に……度を越えたツ……ツンデレだね….」
撃たれるわけない。だって自分は格好いい。
そう訴えている表情が私を加速させた___。
チャッと音をたてて銃口を近づけた。
「冗談はそこまでにして。あんたみたいなやつのために、大事な弾を失いたくない。」

本気だ、と察したんだろう。みるみる顔が青ざめていく。
「や、止めたほうがいい…。ぼ、僕のこの美しい顔に
傷をつけるつもりかい…?それこそ、この世界の最大の罪だ…」
スマイルして誤魔化すこいつ。
発狂しそうなくらいに、我慢できないくらいに感情の制御が効かない。
こんな状況で、いつも通りのスマイルで誤魔化せると思ってるんだ、
馬鹿らしい。
何人も友達が死んだのに。

カタッ

険悪な雰囲気に、聞き覚えのある何処か刺激的な音が聞こえた。
私は、何故か冷静に音の方に何があるか考えられた。
やっぱり、人間風情のソイツが立っていた。
「こんにちは。」
微笑を浮かべて、私はソイツに挨拶をした。
隣には、馬鹿みたいに震える男がいる。

____人形が居た。

4年前 No.25

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

「ぅ……ぅあぁ……。」
隣にいる男は半泣き状態だった。
うざい
うざいうざいうざいうざいうざいうざい!!
私はそいつの襟を掴んで人形の方へ投げようとした。


………?

……あ


……一瞬、腕を掴まれた感覚がして、踏ん張ろうとしたが、
強い力で人形の方へ投げ飛ばされた。
体と一緒に宙に投げ出された、乱れた髪の隙間から
目を見開いて笑うそいつが居た。
「ギャハハハハ!!俺が泣くと思うか!?だっせぇ!
俺はなぁ!音楽室の時もパートナーを裏切って助かったんだ!!」



_____最低。

死ねば、いい。

4年前 No.26

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

また、そいつがニヤリと笑った。
「彼奴は幸運だよ!!格好いい俺の為に死ねたんだからよぉ!!!
よかったなぁ!?これでお前も神木と一緒だ!!」


こ い つ……!!
優を殺したんだ……!!
友達をっ……!優を……!!

「優を……」

「ぁあ?」

「優を返せっっ………!!!」

自分でも驚く位に声を出した。
やっぱりこいつは
死ね!!!!


「______え?」
「______え?」

二人の声が重なった。
二人の視線は、一ヵ所にあった。


だって、だって、
普通は私が殺される筈……だったのに、
そいつの、そいつの、そいつ……の?

「なんで……俺が殺されるんだよぉぉぉお!!!!」

そいつの胸を、人形が貫いていたから。

グチュッ

人形が手を引き抜く。
また貫く。
また引き抜く。
今度は…………グチャ
そいつの心臓を握り潰していた。


私は、呼吸を荒くして、目が飛び出そうなほどに開いて、
口元が、笑っていた。

4年前 No.27

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

私は、人が人で無くなった様な気になった。
なんで笑ってるんだろう?
友達が死んだ時は悲しかったのに、
そんなにこいつの事が嫌いだったのかな?

でも、どうでもいいや。

ギギ…と音を立てて首をかしげている人形に、
私はいつの間にか…
「ありがとう。弾が無駄にならないで済んだよ。」
そう言って、人形の額を撃ち抜いた。




___友達を殺す人形とか、人間はみんな、私が殺してやる。

4年前 No.28

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

カタッ

物音がした。
反射的に私は身を固め、素早く音の聞こえた方を見た。
「………なんだよ、これ…。」
__将?
どうしてここにいるの?
私はしばらくして理性を取り戻し、その場を眺めると
歪な形をした前山啓一だったモノと美しくそこに転がっている人形があり、
おびただしい量の血液がベッタリと壁、床に付着していた。
「これ…なんだよ、なんだよ、これ、啓一?、あ、ぇ?」
無惨な姿となった屍。


「啓一、違うよな?お前だけは、這いずってでも生きると思ってたのに…」
「…これ、お前、が殺ったのかよ?」
……どうして?
なんで、私をそんな目で見るの?
私、何もやってないじゃない
私、何も、何もやってないよ?
人形を殺しただけだよ?
どうしてそんな目で見るの?

____やめてよ。

4年前 No.29

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

「おい……嘘だろ?お前、何、やって……」
やめて、これ以上私を拒絶しないで……
「違う………私は、やってな…」
「うるせぇだまれ!!!なら何なんだよこれは!誰が殺したんだよ!!」
「……何を、言ってるの?そこに人形が………え?」

__そこに人形はいなかった。

そして、“人形に殺された前山啓一”
何か、忘れてない?私。
何か、ポッカリ穴が空いた様な、腑に落ちない…感じ
人形…殺された…死んだ?
「あっ!」

気づいた時は、もう出遅れ。
将の腕を人形が握っていた。
「……は?人形?な、なぁ、離れろよぉぉぉ!!!俺が何したんだよぉぉ!!!」

___やだ。
やだやだやだやだやだやだやだ。
これ以上友達を殺さないでよ。
ねぇ、啓一。今、人形になってどんな気持ち?
今すぐ、今すぐ……
「殺されるってわかってて、どんな気持ち?」

パンッ

渇いた、機械的な音が響く。
うるさくって、耳を貫く様な音さえ心地好く感じる。
私の感情の変化についていけない。
笑ったり、傷ついたり、……心地好くはったり。

4年前 No.30

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

「……将、大丈夫?」
何だか、ドキドキしてきた。
危険な環境でドキドキを共有し、それを恋だと錯覚してしまう__
つり橋効果って、こういうものなのかな?
「悪い……取り乱して。酷いこと言って、ごめん。」
「別に気にしてないよ。」

「………あのさ、私の話聞いてくれない?」
「え、何?」
「私が、何で冷にあんなことをしたのかを、ね。」
「………わかった。」

4年前 No.31

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

___あれは、6年生の始めのこと。

私は父親に犯された。
詳しい事情は長くなるから話さないけど、
恐ろしいくらいに気持ち悪かった。
憎しみと絶望。
私の心はそれでいっぱいだった。
だけど、ある日出会った。
冷に……。
冷はとても素直だった。可愛かった。
私なんかと違って、汚れてなかった。
汚れた私なのに、誰にも話さない相談、話題を聞かせてくれた。
“親友”だと言ってくれた。
冷と出会って、何故だか友達も増えた。
冷との毎日は新鮮だった。


けど、ある日からある男子の名前をよく聞くようになった。
「古沢悠喜」
怖かった。自分から離れると思って…
そして、許せなかった。
どうしてあいつが好かれるのか。
嫉妬に狂った私は、脅迫し、悠喜と付き合った。

今思えば、するべきことではなかった。
後悔だけ。悠喜にも悪いことをした。
虚しさだけしか残らなかった。

4年前 No.32

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

___________

__________

「短く済ませるなら、こんな感じかな…」
「そう、だったか…」
「…………」
「言ってこいよ」
「え?」
「一人で悩んだって仕方ねぇし。……それに…」
「謝りたいんだろ?伝えたいんだろ?なら言葉にしなくちゃわかんねぇよ」
「此処で悩んでたら…伝える前に死ぬかもしれねぇしさ」
「………」
「そ、だね。言う…ありがと」

チクリ、

将の得体の知れない何かがチクリと痛んだ。
チクリ、と言えば何だか少女漫画に出てくるような気がする。
でも、チクリ、と痛んでは
グチャグチャに掻き回されるのは不快でしかなかった。

_____お前と俺とじゃ、背負うモノが違うんだよ。

将の隠れた顔に、想像出来ないほどの凍てつく炎があることを
まだ、誰も知らない……。

4年前 No.33

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

? side__

足でまといで煩いパートナーも消えた。
やっと、自由にこのゲームを楽しめる……!

そう思うと、内に秘めていた“死”という快感の炎に身を燻られた。
軽やかな足取り、押し上がる興奮を押さえたポーカーフェイス。
こんな状況じゃ、きっと誰もが不審がる様子。

私は、このゲームで最高の地位を得た…

右手にライフル、左手に抱き抱えた人形。

こいつらも、もう私の言いなり…

歩くたび揺れる腰まである長い黒髪。

誰かさんの報告書のおかげで楽しめそうね…

「見ーつけた」

ゲームだもの。しっかり楽しまなくちゃ…

私は、廊下に横たわっている男子生徒を眺めていた。

4年前 No.34

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

山崎冷 side__

私は、走っていた。
ただ、走っていた。
最初の時に、“彼”がこのゲームを止めさせるって言ったから…
私は彼の望みに応えたい

溟には生きてもらわなくちゃ…

……裏切られたことを許した訳じゃない。
ただ、死期を延ばして生き残って、このゲームでもっと苦しませる…それだけ。
悠喜さえ助かれば、後の私やみんなはどうでもいい。
助かりたいなら、戦えばいい。…それだけ

なのに、何故、私は泣いているのだろう?
何故、私の喉が重たくて、なまりの様になっているのだろう?
何故、私の口から嗚咽が聞こえるのだろう?
何故……何故……?



……血が飛び散る。
私は、人形を嘲笑う。
そうだった………いつも。
望んでいなかった、けれど体が動いてしまった。
いつもだ。いつも…
望まない結果を迎える……

「あぁ……またか…。」

4年前 No.35

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

天原将 side__

遡るこ数年前…

「うぅっ………くそっ…くそっ……!」
僕はいつものように、いじめっ子達からいじめられてた。
僕は内向的な性格だったため、いつも言い返せなくて、
相談することもできなかった。

父はとある研究をしているらしく、家にいることはほとんどなく、
母は体が弱く、その年の一年前に他界。
ちょうどクリスマスの日に死んでしまった。

そういえば、母が死んでから父は、進行中だった研究を中止。
別の研究を始め出したな……

そして、その頃から僕は研究の手伝いをされることがあった。
“この技術を知るのは、俺とお前だけでいい”とのこと。
楽しかったから、別に良かった。

父が中止した研究内容は、“瀕死寸前の人間をどうやって確実に再生させるか”
二度目の実験は、“遺伝子マップを利用したクローンの生産について”だった。



そして、僕は父から頼まれた。
今日、この日に2つの研究についての実験を僕の学校でやってくれ……と。

4年前 No.36

闇ネコ ★3DS=eaj47jMhDf

山崎冷 side____

私は歩く。
行く宛は、彼が言った放送室…
今日、学校に登校して、ゲームが始まってから何人、何十人と、
人形を殺したのだろう?
時間の感覚が狂ってしまったように感じた。
廊下にある時計を見ると、時計の針は規則的に針を動かし、
午前の9時46分を指していた。
流石に、精神は持っても体は持たない…
放送室に近づくに連れて、人形は数を増していくような気がする…。
私は区切りのよいところで少し休息を取ろうと、
壁に背中をつけ、いざというときに体をすぐ動かせるように
片足を抱え込むようにして座りこんだ。

数分経ち、体もそろそろ回復してきたので立とうとすると物音が聞こえた。

ズリ…ズリ……ズリ………

何かを引きずるような音がする。
音は、確実にこちらへ向かってきている。
慎重に…慎重に
私は壁から顔を少し出して……




真っ白な肌、
綺麗に切り揃えられた金髪
小さな体





0距離の、顔




ぐちゃ

4年前 No.37

闇ネコ ★3DS=eaj47jMhDf

私は、咄嗟の事に反応できなかった。
動こうとした時は手遅れで、人形に体を握り潰され、脇腹がなくなった。

これが、走馬灯というものなのだろうか___……?

遠い日の過去を私は見ていた。

…………………………………………

「痛いっ……!止めてよ、おとーさん!!」
体が、ジンジンする。
めちゃくちゃに叩かれ、蹴られ、呼吸するのが苦しかった。
髪を引っ張られるのが、痛かった。
寒くて、痛みさえも、麻痺しそうだった。

「おらぁ!!立て!!!そんぐらいでねそべんじゃねぇぞクソガキ!!!」

「止めて……止めてよぅ………ぅうっ…うぇ…」

「いちいち泣くな!ウザイ!黙ってろクソガキ!!」

バキッ!   バキッ!
体中が痛くて、痣が出来た。
私の隣には、殴り殺されてあちこち腫れた母の遺体がある。
この前、母は死んでしまって、部屋には錆びた血の臭いと
腐敗した刺激臭が漂っていた。

………父が満足するまで殴られ、
私は体中痛くて、まともに寝ることもできなかった。

次の日には、父は私を押し入れに閉じ込めた。
「ここから絶対出んじゃねぇぞ、クソガキ」そう一言言ってピシャリと閉められ、
押し入れの隙間から見えたのは、父が別の女の人とキスしているところ。

………私はその日の夜、ハサミで父を刺しまくって殺した。
…………………………………………



_____もしも、これが最期なら、
もしも、この世界に“神様” という存在があるなら_____

なんて、意地悪なんだろう…








視界がブラックアウトする

4年前 No.38

闇ネコ ★3DS=eaj47jMhDf

古沢悠喜 side____

深い水の中から顔を出すように、重い瞼を僕は開けた。
体が、異様にだるい。
「寝てた……?」
ぼんやりと、ハッキリしない頭で呟くと
今までのことがフラッシュバックの様に甦る。

そうだ……僕はあのとき…

器用に背中を触ると、そこには包帯が巻かれていた。

何で…?
誰が…?
どうして…?
気を失ってた間に何が起きた?
冷は?
生きてるのか?

わからない。
わからないけど、考えると背筋がゾクッとした。

4年前 No.39

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

僕はこのまま一人なのか…?
いいや、きっと…


冷ハ帰ッテ来テクレルヨネ……?

僕をほったらかしになんかしないよね?
「ごめん」って謝ってくれるよね?
ねぇ、隠れてるんだよね?


「うわぁあ“あ“ぁ“あ“あ“あ“あぁ“ああああああああ!!!!!!」


不安で堪らなくなって、
今すぐここを駆け出して、
がむしゃらに冷を探し回って、
狂ったままでも構わないから、

会いたい………







「悠喜くん」


ハッ、と我に帰り、顔を上げる



「もう、怪我は大丈夫なのかなぁ?」


ニタニタ笑っている






「それと____」









「パートナーの山崎さんはどうしたのかなぁ?」

4年前 No.40

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

僕の目の前に現れたそいつの名前は
「罪梁春佳」
常に一人。無口で愛想もなく、口を開けば生意気なことばかり。
話したのは今が初めてだ。





「パートナーの山崎さんはどうしたのかなぁ?」

そう言ってニタニタ笑うそいつは
僕が答えられると思って聞いてるんだろうか…

「知るかよ、うるせぇな…」

「ひどーい。包帯巻いてあげたの私なのにー」

「どーも」

疲れた体を無理矢理起こして歩き出すと手を掴まれた。

「……ねぇ、山崎さんは?」

見開いた目で僕と目線を無理矢理あわせてきた。
あまりの迫力に少しビビったが、すぐに僕は「知るか!!さっさと放せ!」
と怒鳴った。



しかし



それは間違った対処で、



罪梁春佳という面倒な人物の逆鱗に触れてしまった。

4年前 No.41

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

ゴスッ!!


腹に痛みを感じる…

今度は僕の頭を掴んで、僕の顔面に膝を入れた。

ガハッ
と腹の底から乾いた咳が、僕の口から漏れる。

あまりの衝撃で、僕が倒れて咳き込んでいると、
そいつは包帯の巻かれた背中をグリグリと踏んでくる

痛い!!
傷口が抉られる様に熱く、熱く、
どんどん血が…


「痛いいぃ"いい"ぃ"い"い"!!!」


「うあ"っ……あ"っ!……ぐう"……やめ……」


「はぁ?何言ってるの?貴方が答えないからこうしてるのよ?それとも何?こうして欲しいから答えないの?」

グリッ!

傷口を強く、踏んできては踵を傷口に侵入させ、思いっきり抉った。


「痛い"!!痛い"痛い"!!!やめろ"!!!い"あ"ぁ"!」


「……あのさぁ、こっちは命かかってるのよ?」


「山崎さん見つけないと、私死ぬのよ?責任取ってくれるの?」


「………っ!本当に"しらねぇよ"っ」


「ふーん…あっそ」


背中を踏んでいた足を離し、蹴っ飛ばす



「役立たず、木偶の坊」


冷ややかな目で言い放って、去っていった。
倒れながら、僕は小さくなった背中を見続け、
背後から聞こえた物音と忍び寄る足音に覚悟を決めた。

4年前 No.42

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

背後から聞こえる足音は凄くゆっくりで、小さくて…
僕にはもう、想像がついたんだ。


______人形


僕はもう、なんだか疲れた。
将はまだ生きてるか…冷はどうなったのか…

モウ、ワカラナイ…

もう、疲れたんだ
みんな、みんな死んでいく
あの日々はもう、帰ってこないんだ。

疲れた……

疲れた……

………疲れたんだよ…


目を閉じて覚悟を決めた。

……何も見えない
目頭が急に熱くなって、鼻がツン…とした。
ツウ……と、涙が静かに零れる。

………違う

……………違うだろ?

ここで死んでたまるか……

まだ生きて…

生きて、生きて、

足掻き続けるんだ!!!



「うあああああああ!!!!!」



勢いよく寝返りを打ち、人形に向かって銃口をつきつける。


…………人形の顔を見て、僕は息が止まった。


この世界が、止まった様に思えた。


この人形に向かって、撃てるわけない…


だって、その人形は…


















冷の顔をしてたんだ。

4年前 No.43

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

嘘だ…

だって

冷は…冷は…

………どうなったんだっけ?



「ハッ……ハハハ……」


背筋に冷や汗が流れる。
僕の目は飛び出しそうな程見開いてた。
嘘だ、そう思いたい嫌な考えが脳裏をよぎる。

………冷が死んだ?

嘘だ、あり得ない
でも、この人形は…人形の顔は…
どう見ても…冷じゃないか…

でも…


こイツは冷ジャナイ


このは冷の顔をした人形なんだ…

冷じゃナイ

冷じャナイ

冷ジャナイ…



「偽物は死ね!!」



パーン…




人形が倒れる
何故かその光景がスローモーションの様に見えて、
僕はそれをじっと眺める。


そのとき__……


人形の眼孔がわずかに動き、目があった。


それが、冷に見えて…驚愕して…


人形の口が動いて…


笑ったんだ。


満面の、笑みで

4年前 No.44

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

山崎冷side__


ここは…何処なんだろうか…
視界がぼんやりとしか見えない
手足が動かない

此処は…廊下…?

何故?

私はあの時、人形に…脇腹が無くなって…

ああ、そうか…

『人形』になったのか…そっか…

………?

奥の方にいるのは…悠喜と…誰?

あぁ…罪梁、だったっけ…

何を話しているの?……近付くか…

……歩きづらい



あいつ…今悠喜を蹴った!?
許さない…ユルさなイ…
悠喜に傷をつけるのも、つけていいのも、悠喜の痛がる顔を声を知っていいのも、悠喜と一緒にいていいのも、悠喜の半径50cmに接近していいのも、全部私なのに……!
この体であいつを殺す…
この体だと何故か殺意が沸いてくる…

待ってて、今行くから

4年前 No.45

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

………あの女、私が行く前にどっかに消えた
許さないけど…今は悠喜の方が最優先。

恐らく静脈パターンから考察するに、やや衰弱気味。
目の焦点は少し外れている。
しかし死んでしまう程の怪我ではない。
………良かった






…………悠喜?
銃口を私に向けてどうするの?
……あぁ、殺してくれるのね、嬉しい。
有り難う。

ほら、早く撃って?

私も楽になりたいの。

こんな世界、地獄よ。




「偽物は死ね!!」




…………偽物、か…


そうなのかもね…いや、そうだよ…
みんな、覚えてないけど。




パーン…



あぁ、やっと死ねるんだ…

こんな生き地獄から、脱け出せるんだ…



頭の中に悠喜の笑顔が浮かんだ
私の名前を呼んでくれた…君が…




『冷!』




『ありがとうな!』




最期に思い出せたものが…君で…

最期を見てくれる…ひ、とが…君、で…





…………よかった…




ありがとう、



そして、ごめん…




『どうした、冷?』


意識が朦朧とする


でも


声は出ないけど、伝えたい…


















“大好き”








満面の、笑みで…

4年前 No.46

闇ネコ @blood66 ★3DS=eaj47jMhDf

謎の少年、とある少女の会話___

in 放送室


「さてと、今のところ実験は順調に進んでいる。」


「はい、そうですね。やはり043は実験のバランサーとして有能でした。おかげさまで例年にないくらいの盛り上がりです。」


「……そうだね。」


「もうちょっとしたら君も行かなきゃいけない…そろそろ準備した方がいい。」


「了解しました。」



「あ、言われた通り処理するだけでいいからね?無駄なことはしなくていいよ。」


「この仕事を何年してると思ってるんです?」



「アハハッ、そうだったね〜。ごめんごめん」


「でもね、」


「僕はむやみに人を殺したくないよ?勿論わかってるよね?」


少女のセミロングで隠れた横顔が、フフッ、と小さく笑う。


「……そうですね。」


ピピピッ ピピピッ
少年はアラームの鳴った携帯電話を素早く開き、
綺麗なグリーンの目を光らせながら真剣な顔付きになる。


「時間だ。」


弾かれた様に少女は立ち上がると、
飲みかけのコーヒーをそのままにして放送室を出ていった。


「…………行ってらっしゃい。…ぃ…」

寂しいのだろうか。
不安げに少年は少女の名前を呟くと、ソファーにドカッと座った。

4年前 No.47

闇ネコ @blood66 ★3DS=9epjvOFsHw

久八木溟&天原将 side__

〜同時刻〜

パーン…

先程まで、少し緩くなった空気が、
突然の銃声に一瞬にして元の様にはりつめた。


「銃声…?」

「…結構近くだったな」


僕らは意識を切り替え、聴覚をたよりに
銃声が聞こえた場所を推測する。



「こっちから聞こえたよな?」

「…うん…………」

「…冷じゃないと思うぞ?」

「…………………うん」

「でも、」

「まだ他の人は生き残ってるんだよね?」

「そうじゃないのか?」

「………なら、冷も…」

「…」


僕らは銃声が聞こえたであろう場所を目指し、
1階の渡り廊下を渡って、そこを曲がった。


そこには役目を終え、潰れた弾と、力なく床に座り込む男子と…

見覚えのある顔の人形だった

4年前 No.48

闇ネコ @blood66 ★3DS=9epjvOFsHw

古沢悠喜 side__

なんでだよ…
なんで笑ってるんだよ…
撃たれてるのになんで笑ってられるんだよ?
意識あるのかよ
ならなんで…
なんで…

なんで…


なんでだよ…

もう訳がわからなくなってきた

冷を撃たずに、

やっぱりそのまま死んだ方が良かった

はは…

はははは…ハ


















もう嫌だ









今からでも死にたい

もう嫌だ

こんなの嫌だ

なんで冷は笑えたんだよ?

なんでだよ…



『死に方は愛する人に殺される…そう決めていたの。』



本当、


訳わかんねぇよ…

4年前 No.49

闇ネコ @blood66 ★3DS=9epjvOFsHw

久八木溟 side


「悠喜?」

私がそう呼びかけると、虚ろな瞳でゆっくり振り向いた。


「…何」

顔に迫力がある訳じゃない。
鬼のような形相でもない。
なのに、何故か悠喜が怖い…
なんとなく、コレを聞いちゃいけない、そう思ったけど、聞かずにはいられなかった。

「えっと……冷、は…?」

蚊の啼く様な小さい声だった。
でも、聞こえたらしい。


シーン…


そんな擬音語がピッタリだった。
………沈黙。
私だって、何となくわかってる。
悠喜を見て、悟っている。
なのに、わかってるはずなのに…
私の考えを否定してくれるよね…?
違うよね…?
まだ、決まった訳じゃないのに。
だから、


















「ハハッ」


















「ハハハハハハハハハハハッハハハハハッッハハハハハハハハハハハハッハハハハハハハ、アハハハハハハハハハハッッハハアハアハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハアハッハハハハハハハハハハ」








あぁ…それが答えなのか。
目の前が真っ暗になったような感じがして、
ただただ、絶望を感じていた。


















______Have you ever seen a dead person?

4年前 No.50

闇ネコ @blood66 ★3DS=9epjvOFsHw

古沢悠喜 side


「悠喜?」

誰かに呼ばれた
……煩いなぁ、誰だよ
しばらくこのままでいさせてよ

怠さを我慢して左肩越しに振り返る
……溟と将か


「…何」

なんだよ、レズ野郎
お前があの時脅さなかったら……


「えっと……冷、は…?」


どうでもいいだろ
何で答えなきゃいけないの
何で?
ねぇ、
何で?
見ればわかるじゃん
言われなくちゃわからないの?
…………あぁ、煩い


もう、




ちょっと黙っててよ


















「ハハッ」










僕の口から笑い声が零れる








「ハハハハハハハハハハハッハハハハハッッハハハハハハハハハハハハッハハハハハハハ、アハハハハハハハハハハッッハハアハアハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハアハッハハハハハハハハハハ」









自然と笑い声が零れてくる
意味なんてない
でも、













笑ってると全部忘れられて、




全部考えなくて済むんだ










なんだ、







笑えば簡単じゃん







___________We cried and cried.

4年前 No.51

闇ネコ @blood66 ★3DS=9epjvOFsHw

天原将 side


僕の目の前には2つのモノしか見えない。
1つは、女の子の姿で悲痛な叫びをあげながら泣きじゃくってるモノ

2つ目は、男の子の姿で狂っているように笑うモノ



バカバカしいったらありゃしないw

女はキーキー、ヒステリックに泣くから、煩くてたまったもんじゃない。
自分で言っといてなんだけど、冷のどこが良かったのかわからない。
なんで?
どうやったら、あんなメンヘラ女を好きになるの?
…理解できないね
というか、したくもない。


男も男で、冷のどこがいい?
あのとき、女の脅しにノらなかったら幸せだったのに…
自分から不幸を選んだのは君だよ?
君があのとき冷を選んでたら…




この実験も起きなかったかもしれないのにね







ハハ…
モノのくせに…
一人前に、泣いて、笑って、狂って、怒って、悲しんで…


ふざけないでくれよ

4年前 No.52

闇ネコ @blood66 ★3DS=xB7VNzjGjA

本当に自分勝手な奴等だ。

どうしてそこまでする?

なぜ?なんで?
この選択肢を取ったのは君たちと…
僕じゃないか…






二人とも、笑う、悲しむ
たかが1つのモノに対して
ただ1つのモノに対して…
あんなメンヘラを思って、二人は笑ってる。泣いてる。


僕はその光景が、酷くイライラして、不快な息苦しさを感じる。

そうだ、この気持ちは______


















嫉妬。

4年前 No.53

闇ネコ @blood66 ★3DS=xB7VNzjGjA

古沢悠喜 side


喉が枯れるほど笑った。
喉が潰れるほど笑った。
僕の目には水分なんてないかのように涙が出てこない。

体の芯から、ドス黒い何かが、僕を侵食する。
どうだっていい。
彼女のいない世界なんて、どうでもいい。
彼女のいない世界なんて……

少しうつむいて、僕は自分の手をみた。
冷を撃った手を。




汚い




僕の手は、血なんてないはずなのに

今、僕の手が血でまみれている。

誰の血だ?


自分に問い掛ける。


『冷の血。』


無駄に冷静な脳みそが、僕を嘲笑ったように思った。




いらないよ。





いらないよ。



今まで大好きだった人。
どうして死んだんだ?
どうして?
僕に殺されたら、冷は幸せなの?
なら、僕は………?

僕はどうすればいい?
僕は______


















君と一緒に死にたかった。

4年前 No.54

闇ネコ @blood66 ★3DS=xB7VNzjGjA

脳がジクリ、と何かを蝕んだ。
ソレが何なのか、僕は知らない。どうでもいい。
ソレは“理性”と“人間性”だったのかもしれない。


でもやっぱり、どうでもいい。


僕があの時アイツの脅しにのらなかったら…
冷を選んでいれば…
冷の手を取ればこんな汚くならなかった
いや、最初からコイツがいなかったら…





いなかったら…



僕が悪いんじゃない、アイツが悪いんだ。

アイツは冷がまったく大事じゃないんだ。だからああやって僕を脅して自分のことだけ考えてそもそもアイツが僕を妬んで脅さなかったらこんなことにならなかったんだ全部アイツのせいだ全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部。アイツが全部の元凶でアイツが存在しなかったら冷も幸せでアイツが存在しなかったら冷を悲しませることがなくてアイツが冷から全てを奪ってアイツが、あああああああああああああアイツが悪い悪い悪いアイツさえいなければアイツアイツアイツアイツアイツああああああアイツのせいでアイツの我が儘で冷も僕も振り回されてアイツのアイツアイツアイツがアイツが全部悪くてアイツがいなけりゃ幸せでアイツがどうしてアイツのために皆振り回されてああ可哀想アイツが存在しなけりゃよかったアイツがいなけりゃよかったアイツが消えればアイツを殺せばアイツを殺して


















そうだ、














殺す



どうせ、もう汚れてる。
また汚れるだけだ。










………どうせ、




手の中にある拳銃を、僕は強く握る。
最高の笑みで、

4年前 No.55

闇ネコ @blood66 ★3DS=1ABtAAFRaa

天原将 side

つまらないなぁ…本当につまらない。
チープな人生劇場なんて、もううんざりだ。
__さて、そろそろ終わらせようか。



『[結果報告]

やはり今回も失敗のようです。
速やかに実験体の処分を要請します。』



たった2行の、名もない少女へのメール。
僕は静かに文章を打ち終えると、そっと送信ボタンを押した。


『10%…』

『49%…』

『70%…』

『100%』

『送信しました。』

僕にはその言葉が、
実験終了の合図と、破壊の合図に見えた。

僕はニンマリ笑うと、そっと、ポケットの中に携帯を隠した。



____遠くで、泣き声が聞こえる。
悲痛な、声が。

4年前 No.56

闇ネコ ★3DS=rFf9yPqieh

in 音楽室  side 吹雪未來


美しく光沢を放つグランドピアノ
色々な時代の、色々な音楽家の肖像
今も動く年季入りの時計
西日の入る、温かい部屋


この空間は、平和な筈だった。

私とお姉ちゃんの、思い出の場所は…


「……なんで?私、悪いことした?」

動かなくなったお姉ちゃんの人形を抱きしめながら、問う。


「………」
答えは、ない。
動かない。
大好きだった、私の憧れのお姉ちゃん。


「……起きてよ」
人形を揺さぶる。

「………。」
答えは、ない。

「いい加減にしてよ」
人形を叩く。

「……。」
答えは、ない。
人形はバラバラになった

異形の塊を、少女は集めて抱きしめる。
「………お姉ちゃん」
神を信仰し、犯した罪の許しを乞う罪人のように。


そして____




「うああぁあああぁあぁああああぁあああああっっっ!!!」



泣き叫ぶ罪人の魂を、処刑人が掠め取る…


未來の後ろに立つ謎の人影は、刃を降りかざし、吹雪未來を殺害した。

4年前 No.57

闇ネコ ★3DS=rFf9yPqieh

悠喜&溟&将 side

カチャ、
物音がして私は振り向いた。いや、自然と、ソレを見ていた。
悠喜が、私を見つめてこっちに何か__黒いモノ…を向けている。

「え…………?」
理解してるような、してないような、曖昧な状態。客観的な思考と主観的な思考がぐちゃぐちゃに、ぶつかりあって、混ぜて、壊れて___
わけがわからない。
「は………?何?」
私がそう言うと、悠喜は一瞬、目元に病的な痙攣を起こした。
そして、真顔で告げた。


「さよなら。」


「は?ちょっとなn」
パンッ
「………っ!?」


躊躇いもなく撃たれた。
むしろその躊躇いのなさに惚れ惚れとしてしまいそうでもあった。
まるで、テレビ番組の悪役のような、子供がちょっと見ちゃいけないような…
今、ここに有るのに無いような…
そんなデジャヴ。
そして、撃ったのが悠喜だということを再認識して、私の意識は引き摺り出された。

なんとか体を捻って直撃を防いだけど、銃弾がかすった右の頬は皮が剥がれて血が滲んでいた。
小さな怪我ほど痛く感じるなんて、嫌になる。
それと同時に、悠喜は私の頭を狙って撃ったのだとわかって、脳が一瞬拒絶反応を起こした。
この瞬間だけ、時間が止まったような気もした。

私はただ、正面の悠喜から目が離せなかった。

4年前 No.58

闇ネコ @blood66 ★3DS=rFf9yPqieh

「おまえさぁ、」

と、抑揚のない声。私は一瞬、ドキリとして怯んでしまった。
頬に冷や汗が流れる。

「なんで死なないの?」

「冷は死んで、なんでお前が生きてんの?」

「え」

「なんでお前が生きてて、冷は死んだんだよっ!!」

「っ……!!!」

納得した。
今さっきまで、冷が死んだことで頭がいっぱいだったけど、そうだ、私は悠喜を脅して冷を裏切ったんだっ!

私は、今更自分のことに激しく後悔していた。
耳がジンジンして、心臓の音が大きく聞こえる。
悠喜が、こっちを、私を強く強く強く睨む。
____怖い。
悠喜が、怖い……。

「ごめん…。」

「お前がいたから、こんなことになった!!なんで冷が死ななきゃいけなかったんだよ!
 お前が死ねば良かったのに!!お前がさぁ!!お前がいなかったら!!冷は幸せだったんだ!!僕も!!
 このレズ野郎…!お前のせいだ!お前のっ……!!」

「お前なんか、最初っから死ねば良かったんだ!!!!!」

「っ!!それはっ、そうだけど!!」

「ならっ!」



「でもっ!!」








「冷を殺したのは悠喜じゃん!!!!!」

4年前 No.59

闇ネコ @blood66 ★3DS=rFf9yPqieh

「…………。」

「………?」

さっきまでの怒声が、ピタリと止んだ。
私は、言ってしまった…という後悔で閉じていた目蓋をおそるおそる開けた。
すると、きっきまで睨んでいた悠喜が、真顔でこっちを見ていた。

「「……。」」

「ねぇ___」


「ハハッ」

「そうだよな、そうだよな?冷?僕が殺ったんだよな?うん、そうだ。」

「…?」
さっきとは違った意味、落ち着いた感じで悠喜はブツブツと言い出した。
怖くて震える唇を、私は噛んで落ち着かせた。

「どうしてかな…どうしてかな…?冷。幸せ?冷は幸せなんだよな?そうだよな?幸せなんだろ?でもやっぱり冷だってアイツが嫌なんだろ?そうだよなぁ…でもせっかく幸せな冷とコイツを死んだ時まで一緒だなんて虫酸がはしるよな。ずっと一緒なんて嫌だよな?だからどうしようか。僕も死ねば冷とずっと一緒で幸せだろうけど、でも、もう冷は僕なんて好きじゃあないんだろ?だったら僕になんて死んでほしくないよな。ていうか元々コイツが悪いんだ。死ねばいいのに。でも、冷もコイツと一緒になんていたくないだろ?コイツに生きてもらうしかないじゃないかでもコイツがこのままのうのうといていいわけない有り得ないコイツは絶対に苦しまなきゃいけない冷だってそう思うだろ冷はどうやってコイツを苦しめたいそっかわかんないよな答えられないよな僕が汚れてるからでも安心して絶対コイツには冷の倍の苦しみをやるからあっ、そうかわかった」

「生きるのが嫌になっても死ねない様にすればいいんだ。」

死んだ目を向けて悠喜はうっすらと微笑んだ。
あの目は、冷と一緒だ…深い、深い、底が見えなくて光もなにもない…
洒落にならない。
今すぐ逃げたいのに、なのに、どうして?
膝が震えて動かない……
動いてよ…動いてよっ!!
なんでこんなときには動かないの!?役立たず!!
ねぇ、もう…ちょっとくらい待ってってば。待ってくれてもいいじゃん。
____ねぇ、聞いてんの?

ていうかなんでさっきから黙ったままなの?
どうして?味方でしょ?友達でしょ?
助けてよ。どうして助けてくれないの?あんたも私のことそんな風に思ってたの?

________将!!

4年前 No.60

闇ネコ ★3DS=saaof247qj

「将____」

「あのさ、」

私が助けを求めようとしたとき、将はわざとらしく遮った。
そして、こう告げた。

「どうでもいいけどお前ら死ぬよ?」

「は?」 「え?」

「……プッ、あはははははははっ……ははは…ふぅ…」
「本当、笑っちゃうよね。今から死ぬ奴等がギャーギャー騒いでてさぁ。」

「将…?」

「今から死ぬのに格好つけてお前に苦しみを与えるとかさ、キメッキメで言うからもうっ…
 厨二病みたいにさぁ、狂人みたいにブツブツ煩く話してるからメッチャ鬱陶しかったわぁー。イタイわぁー
 あ、それとなんだけど、溟。お前さぁ、レズのくせに何こっちチラチラ見て助けてアピールしてんの?
 うざいから止めろ。なに可愛い子ぶってんの?うざい。どうせ他人がなんとかしてくれるって思ってんだろ?」

「…将」

「将将将将、うっせーな。アイツの名前でも言ってろよ。ブス。少しは自分で何とかしようって思わねぇの?お前みたいな努力しねぇ奴は助けてもらえなくって当然だろ?」

「なんでっ…!」

「『なんで?』はいはい、来ましたー。駄目人間は助けてもらえなかったらすぐこういうこと言うよね〜。
 何、俺が悪いの?俺ってなんでもかんでもハイハイ言わなきゃいけねぇの?お前にとって都合の良い人でいなきゃいけねぇの?
 自業自得なのにさ、助けてもらえなかったら、『なんで』って甘ったれたところ、ずっと前から見ててうざかった。」

「そうやって冷に甘えてたから、アイツもお前から離れたんだよ。」





「あ、」

「あ、ああ…あああああああ、ああ、あ…」

「うわあああああああああああ!!!!!!!!」

4年前 No.61

闇ネコ ★3DS=saaof247qj

___時系列不明

『あはははー××ちゃん待ってよ〜』
『え〜、やだぁ。待たなーい!』
『待ってよー2人とも。私まだ靴履いてないってば!』
『え〜、おっそーい』
『あははははっ』

……………。
今でも覚えてる。
誰にも声をかけてもらえなくて、仕方なく座っていた冷たい椅子の感覚。
一人ぼっちだった施設暮らし。

捨て子だから、笑われて、噂されていた。
そんなんだから、友達なんていなかった。

友達ってどうすればいいのか、
どうやって作れるのか、
どうすれば人と仲良くなれるのか。
幼い私にはわからなかった。知りたかった。
気がつけば、声に出していた。

「友達が欲しい…」

でも、行動するなんて、無理だった。
話しかける勇気なんてなかったんだ。
笑われるから。


「友達が欲しいの?」


気がつけば、目の前に真っ黒な女の子が立っていた。
独り言が聞かれて、私はとてつもない羞恥心を感じた。

「えっと…」
「友達はね、つくるものじゃないんだよ」
「え?」
「友達って言うのはね、できるものなんだよ。」
「えっと…?」
「友達っていう人をつくるなんて、すっごく難しいんだよ。
 でもね、少し勇気を出して話しかけて、一緒にいるようになって、いつの間にか友達になってるんだ」
「それって、凄いよねっ!」
不器用だけど、大人っぽい笑顔で、その子は笑った。
意味はよくわからなかった。
けど、なんだか凄く、安心した。
涙が出て、名前も知らないその子の前で大泣きしたんだ…。

その翌日に、今の父親に引き取られて、何年か経って、私は……私は………







頭の中で、冷とあの真っ黒な女の子が笑った。

その笑顔は不器用に笑って、2つの顔は重なりあって、崩壊した。

4年前 No.62

闇ネコ @blood66 ★3DS=saaof247qj

「あはっ!あはははははははっ!!」
笑っちゃえ。笑っちゃえ、私。

笑う以外どうしようもない。
笑うしか忘れられない。
笑うしか楽になれない。
笑うしかできない。
笑うしかやってられない。
笑うしか逃げれない。
笑う以外方法がない。

それなら笑う以外方法がないじゃないか。
笑う以外どうしようもないじゃないか。
「ふふ、ふふふっ、ふ、あはははは、あはははははははっ」
ボタボタと、私の目からは情けなく涙が出てくる。
私も、もう終わりだ。
死ぬんだ、あっけなく。つまらないほどあっさりと。
そんな死への感情もあるけど、それよりもやっぱり、冷の存在が大きかった。
私がわがままで、駄目なせいで……
冷は………冷は…………


____ごめんなさい。
今謝ったってもう遅いけど、ごめんなさい。
ごめんなさい。
ただ、冷は私にとって希望を与えてくれた存在でした。
冷が悠喜を想うように。
私にとって、冷はそれと同じだった。
ただの嫉妬だった。
純粋に、私から離れて消えちゃうんじゃないか。
そんな不安だった。
ごめんなさい。冷。
冷が悪いんじゃないの。冷が嫌いなんじゃないの。
私の汚い、最低なわがままが悪かったの。
死んで償えるような簡単なことじゃない。
でも、冷。あなたのために私は………
私は…………、





突然、将に励まされたときの言葉がリフレインした。


「自分の、口で__」
気がつくと声に出していた。
真っ黒な女の子と会ったときと同じように。
調子が、虫が良すぎなのかもしれない。
でも、私にはこれしかできることがない。
私がするべきことは、苦しみを味わうことじゃない。

私は、冷のために必死に足掻いて、自分の口で伝えることだ。
だから、私は死なない。
冷に伝える事ができるまで…!


「私はっ…!!」

「絶対に死なない!!冷に会うまで!」


____死ぬ訳には、いかないっ!!

4年前 No.63

闇ネコ @blood66 ★3DS=r6aHMAgna3

side 天原 将

「…勝手にしろよ。」
めんどくせぇ。いちいちこんなのに構ってられるか。
僕にはまだ仕事がある。
だから、もう勝手にしてくれ。

「うん。…将、天原君。今までごめん。」

溟が僕を、「天原君」と言い直した。別に、「将」でもいいのに…。
なんか、気にくわないなぁ。
やっぱりコイツはなんかイラつくな。

「わかったからさっさと行けよ、出来損ない。面倒臭い____」

「はあ?冗談じゃねぇよ…ふざけんな…お前が殺した癖にっ…!なんで!!」

「悠喜…何言ってるの?冷は生きてるじゃない。」

「「は?」」

流石の僕もここまでぶっ壊れたのは見たことないぞ。おいおいおい…
でもコレ、本当に壊れただけか?それとも…まさか

「…何言ってるんだよ。冷は死んだんだよ。お前のせいで…」

「うん、そうだよ?でも、冷は生きてる。」
「……天原君?」




「私は死なないよ。…お前みたいに。」


純粋な憎悪と嫌悪を感じた。
でも、僕は確信した。コイツはもう思い出したんだと。
もうあの頃の溟は完全に崩壊していた。

でもまあ、やっぱりこんな風に反抗するパターンが、一番面白い。
観客は、常に面白いものを求めている。
このパターンの展開は、今回が初めてだから大丈夫だ。
前回みたいに飽きて、僕が処分される心配もない。

…そのはずなんだ。

去っていく溟の後ろ姿が、まるで僕の心を見透かしたような気がした。
それが物凄く苛ついたから、僕は後ろから溟の頭に向かって、硫酸の瓶で、何度も殴った。

「調子に乗ってんじゃねぇよ!出来損ないがぁ!!」

ガッ、ゴッ、ゴッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガゴッ、

リズミカルに殴ると、リズミカルに血も飛び散った。

ハハッ、なんか面白い。
僕に殺されているなんて、ね。

3年前 No.64

闇ネコ @blood66 ★3DS=Kxh4fUKqiK

「……はぁ、…はぁ、」

はっ、いいざま。
失敗作のくせに調子に乗って。
おとなしく処分されればいいんだ!

「……ふぅ」

目の前には息絶えそうに呼吸する、赤い頭をした人間が転がっている。
そして、僕の手と、手に持った瓶も同じ赤い色をしていた。
僕はおかしな事に、自分が行ったことに、少しだけ達成感を得ていた。
乱れた息を戻そうと深呼吸した。
その時だ…


「…………は、はぁ…?」
すぐそこに立っている悠喜は、驚きをはらんだ声を、情けない顔で出した。
なに、その呆けた顔。


「なに?」

「いや…は?え、ありえなくね?は、何これ?はぁ?」

「何言ってるの?普通じゃん。」

「いや…違う。」

「だから何言ってんの?」

「…………後ろ。」

最早会話にすらなっていないやり取りを中断し、
嫌な予感を感じて僕はすぐに後ろを向いた。




"おかしい"


心臓が、一際大きく聞こえると、
さっきまでの精神的興奮はすっかり覚め、目の前に釘付けになった。

はは…?なんだこれ…
"今まで"に"一度も"こんなパターンなんてなかったぞ?
こんな人形化の仕方なんてあるのか?
こんな変化なんて、いや、ちょっと待て
どうしたらそうなれるってどんな特殊メイクだよ、ソレ
僕はまだ殺してない筈…




*


「……簡単だよ。」
漆黒の髪にエメラルドグリーンの瞳を光らせ、少年は呟いた。
「…今までと同じじゃ、つまらないだろう?」
そう言うと少年はつまらなさそうに、ソファーにふんぞりかえった。
そして、目の前のモニターを見ると、鼻で笑った。


*


血が出ているところは赤色じゃなくて黒い何かに覆われて、右腕はミシミシと音を立てて、折れて軋んだ。
右半身が異様な程に震え、肌は陶器のような異様な白さで、あらゆる場所からミシミシと音がする。


「ぁ、あぁぁ……痛い、いた…い……」

溟は自分の状況が理解できないといった感じで、怯えた顔になった。

ああ、溟は多分、「死にたくない」と思ったんだろう。
良くても悪くても、純粋な程。
ごめん。
僕はさっき言ったことを、心の中で謝った。
僕みたいにぶっとんだ奴でも、この溟の姿をみれば、誰だってそう思うだろう。


溟は「死ななかった」。
そう、溟の願い自体は叶ったんだ…。
ただ、人形化は中途半端で、右半身は人形。
左半身は人間だった。
中途半端だから、体も動かせない。
本人自分と本人の人形が対立して歪みあって、精神がどれだけ葛藤していたとしても、
体は歩くどころか、指をうごかすことも、喋ることも、瞬きすることも、できなくなっていた。
そう、溟は死んでない。
でも、死んでいる。


美的センスも何もない。可愛さも全くない。
唯一人間の形をしていたから、それの人間らしさが、なんとなく伝わった。
本当に、人間の形をしただけだった。
本当に。
本当に、それはただの肉塊に過ぎなかった。

3年前 No.65
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