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破壊から再生へ

 ( 本の掲示板 )
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REN ★qi9n1Ke9XA_6h7

6年前、私は上京し、とある競艇場で働いていたのだ。
私は文章を書くことを仕事にしたくて上京したのだが、現実はそう甘くはない。
夢を叶えるためには苦労が必要だ。そう思った私は、最低賃金の仕事をしながら貧乏暮らしをし、そして孤独に部屋で文章を書く生活を送るのだった。
いつか来る幸せのために。





スーツケース


あと三カ月でこの職場が終わってしまうと考えるとゾッとする。
私が働いているのは競艇場。
競艇場で働くことにしたきっかけは、藤井フミヤの影響だ。
藤井フミヤがデビュー前に警備会社でバイトしていたと、インタビューで言っているのを見たからだ。

シナリオ的に「アリ」だと思ったのだ。
そう思って警備会社に電話してみたら、競艇場に配属されたというわけだ。

給料は安いけれど居心地がよくて、しばらくこの場所にいたいと思っていた。

最低限度の生活でいい。そう決めて今の職場にいるが、それなりの生活は出来ている。
欲しいものこそ買えないが、酒も飲めるしタバコも吸える。
はっきり言って、生活自体にはそれほど高望みしていなかった。

無ければ無いなりに生活する事が出来る。
それが私のスタイルだった。
古着屋で激安物を探したり、自炊したり、古本屋へ行ったり、中古CD屋へ行ったり、そんな生活が私にとっては当たり前だった。

給料が10万円高いからといって、他の仕事をしたとする。しかし、ストレスが溜まり、その10万円はストレス発散と、ボロボロになった肌や身体のケア代と、疲労回復代など、そんなものに消えて行くのだろう。

結局私はこの程度の生活が出来れば十分なのだ。

贅沢は出来ないけれども、本を読み、酒でも飲みながら文章を書くことが出来る。

時折、痛烈な寂しさに襲われて自分を見失うことはある。
けれども、それほど高望みはしていなかった。

所持金2万円で仕事も家も無い状態から始まった東京での生活。
ちょうど1年前、私は会社勤めを辞めて上京した。精神の限界だった。
買ったものは、ターコイズのスーツケース。

それさえあれば、どこへだって行けるのだ。
無敵だと思っていた。
今でも、尚、そう思っている。

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