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ギルド『クルトゥーラ』における不条理

 ( リレー・合作小説 投稿城 )
- アクセス(141) - ●メイン記事(11) / サブ記事 - いいね!(2)

クルトゥーラ。 ★Android=HILdIgOipp


参加者。
 + -
 織上。
 影都千虎
 ゆあみ
 梅雨街(予定)



ルール。
 ・登場人物はTwitterでタグから派生したキャラ達。
 ・不条理ギャグ、シュールギャグ、とんでもギャグ。
 ・勢いとノリと行き当たりばったり。
 ・細けえこたあいいんだよ!





投稿者は1人ですが、リレーしてます。うむ。



1年前 No.0
メモ2016/02/22 00:18 : クルトゥーラ。★Android-HILdIgOipp



アオイ ♂

 水属性の魔法を得意とする召喚士。竜や水の精霊などを呼び出す。水属性魔法による回復も可能。また水には滅法強く、水中で呼吸することや、水面を歩くこともできる。非力なので体術は苦手。

 一人称は「ボク」。年上はさん付け、年下は呼び捨て。基本的にはタメ口で話すが、怒ると敬語になる。

 竜人族。和の国の生まれ。人見知りするタイプ。掃除以外の家事は全くできない。


02(おーつー) 性別不明

 自称夢の配達人。時空魔法の使い手だが、本人はあまり使いたがらない。基本的にはギルドの受付をしており、戦闘には参加しない。機械仕掛けの4枚の羽を持っており、とても高く飛ぶ。

 口調・一人称ともに不安定で、その時の気分でキャラがコロコロ変わる。

 テンションは高め。永遠の厨二病。


シナツ ♂

 ハンデ持ちの格闘家。拳撃が中心。脳筋になるハチマキと、お腹がゆるくなるパンツを装備している。魔法攻撃に弱い。

 一人称は「オレ」。脳筋のわりに荒々しい喋り方はしない。敬語もちゃんと使える。

 本来は堅物。ハチマキを外すと魔法や武器の使い方を思い出すうっかり屋さん。


シャス ♀

 遠距離 / 中距離の攻撃を担当するアーチャー / ガンナー。状態異常負荷など、援護が主。低〜中レベルの炎魔法が使える。

 男勝りで、中性的かつ大人っぽい話し方をする。

 北の極寒地域出身。酒豪で、飲めば飲むほどスペックが上がる。喫煙者。


スカール ♂

 とある魔導士の村で育った赤魔導士。強烈な炎魔法に加え、少しならば防御や回復の魔法も使える。体力がないので体術は得意ではない。炎属性に特化しているせいか水が苦手で、一滴でも水がかかると気を失ってしまう。

 口調は若干キザっぽく、無意識に上から目線になりがち。興奮している時は捲し立てるようによく喋る。

 性別を問わず惚れっぽい性格で、ストーカー気質。目的のためなら手段は選ばないので、えげつないことも平気でする。


たーさん ♂

 盾職のたーさん。防御特化型。装備が重いせいもあり、あまり戦闘には参加しない。氷属性。少しであれば回復もできる。

 一人称は「私」。基本的には誰に対してもさん付けで、敬語。

…続きを読む(16行)

ページ: 1


 
 

クルトゥーラ。(+ -) ★Android=HILdIgOipp

「ひーまーだー」
「そんなに暇ならギルドに行くやつ集めて依頼でもこなして来いよ」
「幽霊ないならの依頼でもあるのー? ないならボクいーかないっ」

 発端は、退魔師の少年と、受付の男性のそんな会話だった。

「幽霊じゃねえけどこれならお前にも出来るんじゃね?」
「う〜ん、どれどれ、コモド、トン……?」

 退魔師の少年、千夜に差し出された依頼表を、横から覗き込む人影が一つ。

「コモドトンブリヌベスコォか、刺身にすると旨いんですよね」
「どういう名前なの!? というか食べるの!?」
「討伐依頼ってことは死体の扱いはこちらの裁量ですよね。今いるのは、俺と千夜君と、ユキカゲさんとスカールさんですか。十分ですね」
「ボクの発言は無視なの!? というかシナツしか前に出る人いないの不安しかないよっ!?」
「その面子なら問題ねえな。もちろん死体は食っちゃっていいぞ。腹壊すのは確実だが。じゃあ手続きするから呼んで来てくれ」
「なんか面白そうな話だな? オレも入れてくれよ」
「ラグ君もいたんですか」
「おう! 今北産業ってやつだ!」
「じゃあ他の人に声をかけるので一緒に来てくれますか?」

 ギルドの建物に入ってきたところで話が聞こえたらしいウサギ耳の少年も加えて、ギルドに隣接した酒場に向かう一行。
 酒場の入り口に着いたところで、シナツが右手を頭の後ろに立て、左手と右のつま先を体の左側でくっつけるという謎のポーズを取って叫ぶ。

「あいねくらいねなはとまじーざす!!!」
「「「メイビーアシタブツメツ!!!」」」
「!!!???」

 その謎の呼びかけに対して、シナツのポーズの左右を逆にしたポーズでこれまた謎の返答を返す酒場にいた面々。

「おや、千夜君が中心でやるのかと思っていましたが、不参加ですか?」
「いやいやどういうことなの!?」
「どういうこともなにもコモドトンブリヌベスコォを狩りに行くときの誘い文句だろ?」

 平然と答えるラグにだんだんと自分が間違っているかのような錯覚を覚え始める千夜。

「しかし意外ですね。ユキカゲさんがここまで乗り気とは」
「気が向いた時の俺様は誰にも止められねえのさあ!」
「では、人数も集まったことですし出発、と言いたいところですが、少々お手洗いへ……」

 言うが早いかトイレに駆け込んでいくシナツを一同は見送るよりほかなかった。

「なあ、四人いれば十分だし置いてこうぜ? 千夜も行くだろ?」
「え、えっと、うん」

 斃れたシナツの想いを背負い前へ進むことを決意したクルトゥーラの精鋭たち。立ちはだかる困難にも決して彼らは負けはしない! どうなる次回!



1年前 No.1

クルトゥーラ。(織上) ★Android=HILdIgOipp

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1年前 No.2

クルトゥーラ。(千虎) ★Android=HILdIgOipp




 自主的に倒れた千夜が目を覚ますと、透き通るような青空と、陽の光に照らされた爽やかな緑が視界いっぱいに広がっていた。
「そ……と……?」
 確か自分の記憶にある限り外には出ていなかった筈なのだがどうしてこんな景色が見えるのだろう、と千夜は戸惑いを隠せない表情を浮かべながら辺りを見回す。
 見回そうとした。
 見回せなかった!
「う、ご、か、ねぇぇぇぇ!」
 全力で叫びながら、海老のように跳ね回るイメージで暴れるがピクリとも体は動かない。
「なにこれなにこれ、な、に、こ、れ! なんか巻き付いて……る?」
 首すら動かないほどがっちりホールドされてしまっているため確認がとれないというのは只の恐怖だった。
 しかし、そんな暴れまわる千夜を察知したのか、向こう側から千夜の視界に入ってきてくれた。
「ほッギャアアアアァァァァッ!?」
 現れたのは一つのリンゴ。
 目も口も何処までも深い闇のような空洞になったユキカゲのリンゴ。
 更に言えば、その三つの空洞から植物をずるりと生やしているリンゴだった。
「やかましか! そろそろコモドトンブリヌベスコォの住みかに着くんだから静かにしてろよな!」
「何勝手に出発してるんだよ! っていうかボク行きたくないって言ったはずなんだけど! じゃなくて、なにこれ! 何この状況! ボクどうなってんのこれ□」
「ユキカゲのリンゴで縛って運んでる」
「怖いんだよぉぉぉぉ□ なんでそんな運び方しちゃったのさ!」
「面倒くさいから」
「これから戦うのに体力の消費はちょっと」
「俺様のリンゴにケチつけんじゃねーよ」
 ラグ、スカール、ユキカゲの順で散々なことを言われて千夜は黙った。なんというか、返す言葉もなかった。
「そろそろ下ろしてやるよ。ほら、コモドトンブリヌベスコォも出てきたしな」
 ラグがそう言って何処かを指差した。それを、ワンテンポ遅れて解放された千夜が目撃する。
 コモドトンブリヌベスコォ。
 一メートルほどの魚の身体に、人間のようなムキムキの手足が生えている。顔までムキムキしていて、魚よりは人……否、鳥に近い。背中とおぼしき部分にはコウモリのような羽っぽいものがとても小さく申し訳程度についていた。
「キモッ!?」
 まあつまりそういうことだった。なんかどうしようもなく気持ち悪い生物だった。
「見た目はあんなんだけど、中身は低俗霊の集合体なんだよな。だからあんま大した思考能力もねぇし、千夜でもどうにか出来るんだ」
 スカールが丁寧な解説をいれる。確かに、「オオオォ……」と鳴き続ける声は亡霊っぽいが、見た目が全てを打ち消していた。

「ッしゃらくっせェェェェ! あいね! くらいね! なはとま! ッジーッ! ザッス!」

 どこからかそんな奇声が聞こえる。困ったことに聞き覚えのある声だ。
 声のする方を見てみれば、置いていかれたはずのシナツが獣のように突進してきていた。そして、そのままの勢いでコモドトンブリヌベスコォを殲滅していく。
「あ、ああ、えっと……」
 ビチビチと揺れる山が築かれていき、千夜はそれを戸惑いの表情で眺めるしか無かった。

1年前 No.3

クルトゥーラ。(ゆあみ) ★Android=HILdIgOipp



 シナツの突撃攻撃で、コモドトンブリヌベスコォはあっという間に倒されてしまった。
「ねえ、ねえ! 一発で倒れちゃったんだけど! こんなことなら最初からシナツ一人で良くなかった!?」
 気持ち悪い図体のコモドトンブリヌベスコォの分裂体を見ながら、千夜は大きな声で言う。
「こんっな! 後衛ばっかの変なパーティ組まなくても! シナツ一人でできたよね!? シナツがッ、テッ、うええっ!! クサッ!!」
 ギャーギャーと一人騒ぐ千夜だったが、その口を閉ざしたのは、突然充満してきた強烈な生臭さだった。
「くっさ! くっさい! くっさいよ! ねえ! くっさい!! って!! ええええええええええっ!!!!」
 三日くらい常温で置いた刺身か握り寿司のような臭いが、コモドトンなんとかの住処に漂う中、千夜は他の面子の顔を見て驚いた。
 なんと、千夜以外の顔には頑丈なガスマスクが装着されていたのだ。
「千夜、この臭いの中でよく平気でいられるな」
「え、え、ええっ!? なに、なんなの!? おまえら用意周到すぎか!?」
「用意周到って、コモドトンブリヌベスコォを討伐する時、絶対ニオイ対策は常識だろ?」
 ガスマスクをしているので表情は窺えないが、スカールはしれっとした顔で千夜に言う。
 そんな情報、今初めて聞いたんだけど……! 千夜は長い袖で鼻をガードしながらそう思う。
「よし、持ち歩きやすい用に解体するぞ! ……解体の儀!!」
「「「バリバリッシュスルカイターイ!!!」」」
「さっきからなんなの!? その変な掛け声!?」
 千夜は知らないと思うが、コモドトンなんとかを狩りに行く時や解体する時、あと食す時は決まった掛け声をすることが通例である。もし、これを忘れてしまうと夢にコモドトンブリヌベスコォが一週間くらい出てきて、そのキモさに毎晩うなされてしまうのだ。
 ガスマスクをしながら、シナツ、ユキカゲ、ラグ、スカールはそれぞれ忍ばせていた刺し身包丁とプラスチックの使い捨てパックを取り出した。
「“三種の神器”は用意してきたか?」
「いぇす、ボス!」
「もう、もう聞くのしんどいけど、“三種の神器”ってなに……!?」
 いくらコモドトンブリヌベスコォを刺身にしたら美味しいとはいえ、倒した直後にみんなして刺し身包丁を取り出してさばいてくなんて……。千夜は、もう強烈な臭いもあってか目の前の光景に付いていけていない。
「“三種の神器”とは、まさにこれ!!」
 ユキカゲはポーズを決め、手に持っていたリンゴを鈍く妖しく輝かせる。すると、顔の付いたそれの口から、オボロロロロ、と、刺身に無くてはならない、からみ、つま、けんが現れた。
「ええええええええええっ」
 ほんのり、りんご液が付いた、ワサビとシソと千切りにした大根が、ボトボトッと用意していたボウルの中に入る。
「そして、ここにアオイからもらった清水を!!」
「「「かける!!!」」」
「いちいち声揃えなくていいから!」
 今回の討伐隊には参加しなかったアオイが渡してくれた水を、シナツが掛けた。すると、途端にあれだけ臭かった臭いが消えていく。
「はっ、臭くなくなった!」
 さすが、アオイからもらった水である。癒しの力というのは、こういうところでも発揮するのだな、と改めて感動した。
 しかし、そう感じているのは千夜だけで、他の面子はひたすらコモドトンブリヌベスコォをさばいていた。
「千夜はいらないのー?」
 パックにけんを敷き、からみとつまを添え、まるで売り物かのように綺麗にコモドトンブリヌベスコォの切り身を詰めていく面々に、千夜はただただ、引いていた。




1年前 No.4

クルトゥーラ。(+ -) ★Android=HILdIgOipp

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1年前 No.5

クルトゥーラ。(織上) @hasunon ★Android=HILdIgOipp




 放たれた魔法はSM−666 Mk2にどんぴしゃり。うおお、とあたりに歓声が響く。
 SM−666 Mk2は苦しみの声を上げて転がった。ケンマが忌々しげに千夜を睨みつける。
「クッ、貴様ァ! よくもSM−666 Mk2を!!」
「いやいやいや弱すぎでしょ! てかボクの魔法はおばけ相手にしか効かないからっ!! ロボに効くわけねーだろ!」
「SM−666 Mk2がやられたからには、貴方達をここで見逃す理由はなくなりましたね。お覚悟を」
「話聞けって!」
「やるじゃないですか千夜君。あのSM−666 Mk2を倒すなんて」
「おまえも話聞け! ていうかみんなえすえむろくろくろくまーくつーって言いたいだけだろ!!」
 残った2人が倒れ伏すSM−666 Mk2を庇うように立ちふさがる。合わせて、クルトゥーラ選抜メンバー(笑)も応戦するように姿勢を正した。
「ケンマ、おまえの技を見せつけてやりなさい」
「応っ。てめーら全員、俺様の剣技で沈めてやるぜ!」
 そう言ってケンマが腰に差した鞘から引き抜いたのは、太陽に照らされ銀色に光輝く細長いツルギ。
「それ、サンマぁ!!!」
「チッ……俺様とキャラがかぶってやがるじゃねーか」
「突っ込むとこそこじゃないから、ユキカゲぇ!!」
「名刀アキガタナか……。ちょっとばっかし厄介だね……」
 ケンマの構えるサンマを見て慄くラグを見て、スカールは呆れたような顔をして鼻で笑った。
 スカール……分かってくれるよね! と期待に満ちて視線を向けた千夜はそのまま前のめりに倒れることになる。
「名刀アキガタナの弱点は火属性……。つまりあいつはオレに任せといてよ」
「そうじゃない!!」
 さすがスカール!!! と盛り上がるユキカゲとラグ。
「こんがり焼いてやれ!!」
「おろしを添えてさっぱり仕上げてあげなさい!」
「任せといてー。ユキカゲ、おろしのほうは任せたからね」
 スカールの手慣れた? 目慣れた? ウインクがばちこんと決まる。
「ねえおまえらほんとは分かってやってるよね!? そうだよね?」
「どうした千夜、おろしは苦手か?」
「何回そうじゃないって言わせれば気が済むの!! もういいってば!」
 その間、ケンマは見せびらかすようにサンマを振っている。振られているサンマの目は、死んでいる。
 その様子を見ていたローコーが、やれやれというようにため息をついてケンマの横に並ぶ。そして自然に鼻をつまんで、クルトゥーラのメンバーへと手を伸ばした。



1年前 No.6

クルトゥーラ。(千虎) @hasunon ★Android=HILdIgOipp



「味わいなさい、これが名刀アキガタナの解放されし力です」
 ローコーはそう言うとクルトゥーラのメンバーたちに手のひらを向けた。すると、ある臭いが漂ってくる。
「くっさァ! 生臭いんだけど□」
 悲鳴をあげる千夜。他三人も顔をしかめている。
「これが、アキガタナの……」
「そうです。この刀の真骨頂は人を惑わす臭いにある。それを私の力で最大限に引き出したのです。どうでしょう、臭いでしょう?」
「なんでサンマでどや顔してんのこのひと……」
 鼻をつまみながらげんなりと千夜が呟くがそんな事は誰だって聞いていなかった。
「……へっ、臭いか。なら俺様にまかせとけよ。その代わり、あとのことは頼んだぜ、スカール」
「ああ、わかったよ。あれを使うんだね」
 ユキカゲの言葉に、スカールは覚悟を決めた顔付きでサンマを持つケンマに向き合った。その隣で、ユキカゲがローコーと向き合う。
「さあ、働けリンゴ! 『広がり行く花畑の世界《フローラル・ナ・カオリ》』!!」
 リンゴを構えたユキカゲが叫ぶ。するとサンマの悪臭が一瞬にして芳香剤のような香りに包まれた。
「よくやったユキカゲ! あとはこっちだ! 『インフェルノ』!」
「あっつーッ!」
 ユキカゲに続いてスカールが叫ぶ。すると見事に名刀アキガタナは焼かれ、丁度いい火加減で美味しそうな焼き魚へと変貌を遂げた。熱さの余り手を離してしまったケンマの代わりにラグが用意していた角皿でアキガタナをキャッチすると、それをケンマとローコーに突きつける。
「さあ、これでお前らは丸腰だぜ」
「格好いいけどダサいよ! なんでサンマの丸焼き装備してんの!?」
「ふっ……残念ですがまだこれからですよ……こちらにはまだ兵器が残っている。そう、史上最悪の爆薬と呼ばれた『シュールストレミング』とか、ね……」
「て、テメェ□」
 ローコーはそう言って懐から完を取り出した。そこには確かに『シュールストレミング』と書かれている。きっと本物だろう。
「やめろ、そんなものを使ったらお前もただではすまないぞ!」
「くくく……それはどうでしょう……?」
 不適に笑うとローコーは缶切りを取り出す。
「えッ!? ちょ、マジであけんの!?」
 この日、千夜は一番焦った。



1年前 No.7

クルトゥーラ。(ゆあみ) @hasunon ★Android=HILdIgOipp




 ――シュールストレミング。

 主にスウェーデンで生産、消費されるニシンの塩漬けの缶詰めで、その強烈な臭いから“世界一臭い食べ物”と評される。
 スウェーデン語で、“スール”は「酸っぱい」を、“ストレミング”は「バルト海産のニシン」という意味がある。

 中世ヨーロッパでは、肉の代わりに魚が主に流通していたが、保存に必要な塩がとても高価で貴重なものだった。
 それ故に、塩をギリギリまで薄めて保存するという方法が当時ではよく行われていたのだが、この方法は腐敗を防げても発行を防ぐことができなかったそうだ。
 そのため、発酵食品として王族の糧食として振舞われていた。ちなみに、保存食品ではなく、発酵食品なので食べ頃というものがあるらしい。

 缶詰めにするための技術が実用化されてからは、空港などのお土産屋等でよく見られる、缶詰のシュールストレミングが登場した。これが、大体十九世紀頃。それまでは樽などで保管していた。

 缶詰めというのは保存食なので、食品の中に含まれている菌は滅菌されるのだが、シュールストレミングは発酵が持続したまま缶に入れられるため、密封状態での発酵が要因となって出されたガスで、缶がパンパンに膨らんでしまう。

 これを開封する際、屋外で開けることが推奨される。何故かというと、ガスによって中の液体が噴出すると、臭いが一気に充満してしまうからだ。
 噴出を防ぐ手立てとして、水中で開けることもおすすめだが、やはり、缶を傾けることでガス溜りを作り、そこに缶切りを突き立てる方法が一番無難だろう。

 ちなみに、世界一臭い食べ物と言われてしまうシュールストレミングの臭いがどれだけひどいかというと、簡単に言うとクサヤの六倍の臭いがする。
 具体的に言うと、魚が腐った臭い、生ゴミを直射日光の下で数日放置したような臭い。
 もっと具体的に言うと、ハロアナエロビウムという嫌気性細菌の一種が発酵の段階で臭いを出しており、悪臭物質としてプロピオン酸、硫化水素、酪酸、酢酸を生成している。

 実を言うと、シュールストレミングは目に良いらしく、白内障の治療に効果があったという民間的な医療の場ではよく言われるそうだ。まあ、医学的根拠は公式ではまだ発表も研究もされていないのだが……。


「……と、いうシュールストレミングを受けてみよ!!」
「すっごく長くわかりやすく丁寧に説明してくれたよね!! なんかありがとう!! でも!! やめて!! お願いだから!!!」
 ローコーのローコーによるシュールストレミング講座に、この場にいる面々は知っているようで知らなかった世界一臭い食べ物の知識を身につけた。
 まさか、過去には爆弾処理犯まで投入されたお騒がせ缶詰のことを、こんなにも丁寧に教えてくれるなんて……。誰もが想定外だろう。
 缶切りを突き立て、缶を斜めにしてガス溜りを作る。そこから、ギリギリと力を入れていく。
「あーーーーっ!! あーーーーっ!! あーーーーーっ!!! スカールあれ燃やしてええええっ!!! って、ええええええええっ!!!」
 千夜は今にも蓋が開こうとしているシュールストレミングを指差し、サンマを美味しくこんがり焼いたスカールに指示をするが、彼の顔にはガスマスクが付いていた。
「……何を燃やすって?」
 くぐもった声で彼は言う。よく見ると、コモドなんとかを退治した千夜以外の面々全員がガスマスクを装着していたのだ。
「おかしい! おかしいよ!! お前ら全員用意周到すぎかよ! そのガスマスクは一回限りじゃないの!? てか!! ボクの分はないの!!?」
「ケケッ、持ってこなかった千夜が悪いんだよ」
「キエエエェアアァイイイイクセエエエエェ!!!」
 怒る千夜にユキカゲはケタケタと笑う。が、すでにシュールストレミングの臭いが漏れ出てきているのか、彼の持つりんごは奇声をあげて泡を吹いていた。
「ウガッ!! ガアアッ!! スカール燃やしてよおおっ!! くっ、ぐざいいいいっ!! ってぇ!! もうアイツらも気絶してるし!!」
 涙を流し、今にもひん曲がりそうな鼻を必死で押さえながら千夜は訴える。気付くと、さっきまで戦闘を繰り広げていた相手の二人は、すでに白目を向いていた。そりゃあ、自分たちの方が悪臭物の近くにいるのだ。ダメージ加算は一番高いだろう。
「燃やしてもいいけど爆発したらもっと取り返しつかなくなるよ?」
「なんでそんなにも冷静でいられるの!?」
「シュールストレミングには二酸化炭素を主にした様々なガスが含まれている。その中にはもしかしたら発火作用があるものもあるかもしれない。そうしたらどうなる? 臭いと缶の破片が火をつけた途端に散らばって……せっかく! 売ろうとしてたあの刺身パックが台無しになる!!」
「なんでそこなの!!? 大事なこともっとあるよね!!?」
 千夜の訴えは、非情にも棄却されてしまった。しかも、彼の危機よりも先ほど作った刺身パックの方が優先されようとしている。
 こんなにも無茶苦茶で無情で非情で最低なことは無い、と千夜は思うが、残念ながらそう思っているのは彼一人だけだった。
 しかし、そんな時……。
「ワタシナラ、コノしゅーるすとれみんぐヲ、ドウニカデキルカモシレマセン」
 一番最初に千夜にやられたはずの、SMー666 Mk2が立ち上がった。
「えすえむろくろくろくまーくつー!!」
 仲間に見放された千夜の元に、差し伸べられた一筋の光……! 千夜の運命はいかに!


1年前 No.8

クルトゥーラ。(+ -) @hasunon ★Android=HILdIgOipp



 なんとかできるかもしれない。そう言ってのけたSM-666Mk2に千夜が希望を見出したのも束の間。クルトゥーラの面々からユキカゲがズズイと前に出た。
 またしても始まりそうな茶番の予感に、千夜は切実に願う。

(もうそういうの良いから倒れてる二人と一緒に回収してよそで処理してくれないかな……)

「ケッケッケッ。裏ギルドにもちっとは骨のあるやつがいるみてえだな。その勝負俺様が受けてやるぜ」
「アイテニトッテ フソクナシ」

 絶望。そんな二文字が千夜の頭をよぎる。

「勝負あるところに我輩あり! Mrジャッジここに推参っくっさあああああ!!!」

 そしてよく分からないのが登場してそのままダウンした。

「勝負テーマは芸術性」
「デハ ジカンハイチジカンデ」
「お題は当然シュールストレミングだ!」
「なんなのこれもう勘弁してよ……」

 とんとん拍子に何故か戦うことになっているがそもそもいつ勝負が挑まれたのだろうか。そんな疑問をよそに事態はさらなる加速を見せる。

「フム ヒトカンデハ ヤリヅライデスネ。 ヒトリ ヒトカンデ ショウブシマショウ」
「なんでだよおおおおおおお!」

 何食わぬ顔で悪夢の現況をもう一缶取り出すSM-666Mk2に、千夜の希望は完全なまでに打ち砕かれた。

「なるほど。開けるところから勝負はすでに始まっているという訳ですね」
「テーマが芸術性なら当然その過程も審査対象にすべきよね」
「ガスマスクのあるユキカゲに有利だね」

 シナツ、スカール、ラグの三人がコメントをしていくが、千夜はそれどころではない、一寸でも距離を取るべくじりじりと後ずさるのみである。

「『心』タルユエン トクトミヨ キュウカクセンサーオフ!!」
「それは心とかじゃないって言ってるだろ!」
「タキノウすちーむれんじテンカイ! めかにかるないふ イチバンカラヨンバン クドウカクニン! チョウリカイシスル!」

 変形。そう、変形としか言いようのない質量保存の法則を無視した動きで超未来システムキッチンそのものへと姿を変えたSM-666Mk2が、銃口を缶詰に向ける。

「やめっ! まって! ホントに待って!」
「ケケケケケケ、こいつは俺様も全力でやるしかねえなあ。リンゴォ! 『侵蝕する茨の厨《クレイジーキッチン・アップルソーン》』□」
「ユキカゲもマジで止めて! そっちの缶は無傷なんだからそのままフライアウェイファーアウェイしようよ!? っていうかなんで僕以外誰一人止めようとしてないの!?」

 そういって仲間たちに目を向けた千夜が見たものは、潜水服を身に着けたギルドメンバーたちの姿だった。

「まさか、オオコモドトンブリヌベスコォマッシブチョメチョメの対策装備の出番が有るとは思いませんでしたね」



1年前 No.9

クルトゥーラ。(織上) @hasunon ★Android=HILdIgOipp



「なに!? 今度はなんて!?」
 初めて聞く単語のオンパレードに、千夜は頭を抱えて反り返った。その反り返り様といえば、今にでも地面に頭がつくのではないかというレベルである。
「なんだよ、そのポーズ」
「美しさが足りないな、6点」
 スカールが赤いマントの下から、6点と書かれた木のプレートを取り出して掲げた。
 千夜の口からバイブ音のような呻き声が漏れる。それからツッコミを入れようと口を開いたところで、鼻を突き刺すような悪臭があたりに漂った。
「ごぶほォっ……」
 千夜の異臭に対する防御力は0である。言葉にできないいろんなものを口から吐き出しながらついに地に頭をつけた。
 ユキカゲは開缶したシュールストレミングを垂直に放り投げると、顔の前に左手を構えて笑う。
「さあ、ショータイムだぜぇ……」
 その言葉を皮切りに、ツッコミ不在の戦いが開幕した。

「はーーーーっくしょん!!」
「やだーっ、たーさん風邪?」
 一方その頃クルトゥーラギルド本部では某盾職の受付補佐がくしゃみをしていた。
 先程コモドトンブリヌベスコォ討伐隊を送り出したばかりの02が、頬に手を当てて妙なシナをつくりながら問う。
「いえ、どこかで誰かが私を求めてきるような気がして」
「えっ、たーさんってそんなキャラだっけ……?」
 キャラぶれに定評のある02が思わず心配してしまうほどに、その時のたーさんはいつもと雰囲気が違っていたという。
 関係ないけど正面の酒場では和の国から輸入されたというお酒の飲み比べ競争が開催され、クルトゥーラが誇る姐さんことシャスが圧倒的な差を見せつけて優勝していた。さすがに飲みすぎたシャスがたーさんと02に絡みにくることになるが、まあそんな話は置いておこう。


閑話休題

「いや、長いよ!」
「あ、千夜が生き返った」
 ツッコミの使命感に駆られて生き返った千夜は、鼻をつまみながらユキカゲとSM−666 Mk2の戦いを睨みつけた。
 ユキカゲを囲うようにゲスリンゴから伸びた蔦が、あたりに伸びている。
「リンゴから……ぉえっ……蔦は……伸び、ウェっないからっ……!」
「ゲスリンゴはただのリンゴとは一味も二味も違うんだっつーの。……千夜、防護服を着てねーおまえは足手纏いだ。生身のままでいるつもりなら、どっかに隠れてな」
 スッと目を細め、真剣な顔でユキカゲは千夜に後ろへ下がるようにジェスチャーを送る。千夜は目を丸くするとハッとしてユキカゲを見つめた。
「……っユキカゲ」
「わかってる。黙ってな」
「うん……って、いや、なにもわかってないよね!?」
 この惨状はそもそもおまえのせいだろーっ! というツッコミは残念ながら言葉にならず、酸っぱくて茶色いなにかとなって世に出ていった。




1年前 No.10

クルトゥーラ。(千虎) @hasunon ★Android=HILdIgOipp




 最早突っ込むことすら出来なくなった千夜を無視して二人の調理は開始された。
 まずSMー666Mk2が向けた銃口が火を吹き、シュールストレミングを缶ごと弾けさせた。その姿には、夜空に咲く大輪の花火のような美しさと、弾け飛ぶ水風船のような無邪気さがあった。
「シュウソク カイシ。しゃぼんエキ せっとカンリョウ」
 そして、一瞬のうちにもう一つ用意されていた銃口からシャボン玉が発射され、飛び散ったシュールストレミングはシャボン玉の中へ閉じ込められた。
 ゆらゆらと揺れるシャボン玉にはシュールストレミングの全てが詰められており、その丸みで儚さと美しさを見事に表現している。
「くっ……これは素晴らしい……」
「シュールストレミング一つでここまで表現するとは流石ですね……」
「こいつは手強いぞ、どうするんだユキカゲ……!」
 審査員のスカール、シナツ、ラグが口々に言いながら『10点』と書かれた木の看板をあげる。
 一気に不利的状況に追い込まれたユキカゲ。未だに動かない彼は、しかし笑っていた。
「ケケケケ……俺様の相手なんだ。こんぐらい出来ねェとなァ……!」
「ソノヨユウ ナニカ ヒサクガ アルト ミウケラレル」
「秘策ゥ……? そんなもんねェよ。全部このリンゴが示すがままなんだからなァ!」
 ユキカゲが叫ぶ。すると一気にリンゴの口から出ていたツタが広がり、シュールストレミングを捕らえた。
「お楽しみはここからだぜ! 『鳥籠の中の幻想』《スイート・スイート・アップルタイム》!」
 シュールストレミングを捕らえたツタは形を変え、その名の通り鳥かごになる。そのかごの中で、シュールストレミングはツタに切られ、リンゴの汁で固められ、小鳥の姿になる。
「さぁ、羽ばたけ! そして舞い降りろ! 『混沌と林檎の天使』《カオスティック・レイン》!!」
 鳥かごから出て大空へと羽ばたいていった小鳥は光となった。そして光はやがて消えていき、雨へと変わる。
「グッ……イチレンノ ウゴキデ カンゼンナル ジユウト シゼンヲ ヒョウゲンシタト イウノカ……!」
「アァ……この缶に閉じ込められたシュールストレミングの解放、そして全ての還る場所自然。ソイツに勝るものはねェ!」
 シュールストレミングの雨が降る。それは勝負の決着を示していた。
「ぐっぎゃアアアァァァァッ!? あッ……ぐッ……」
 同時に、やっと復活した千夜がその破壊力に再び破れ、地に落ちていった。



1年前 No.11
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