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【メンバー限定】彼と彼女の日常録〜魔界編〜

 ( リレー・合作小説 投稿城 )
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玲鈴 @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★WiiU=I39OTXnMCF

 ――――昔々、人からは“悪魔”と呼ばれるような、人ならざる者たちが暮らしている世界、魔界を治める王族が暮らすお城で、一人の小さな跡取りが生まれました。
 雪のように白く美しい髪と肌、そして常に魔界を見下ろす夜空のように深い黒の瞳を持つ跡取りは、魔界の全ての住民に祝福され、次世代を担う王子様として、お城の中でとても大切に育てられ、世間をあまり知らずに純粋なまま成長していきました。
 お城の中でだけ育った王子様は、当然友達というものはいませんでした。

 その王子様が少しだけ成長した頃、魔界の城下町の郊外の墓地で、一人の少女が誰にも知られず目覚めました。
 彼女は、何故自分が此処にいるのか、今までどんな両親とどんな生活を送っていたのかといったことを、全く覚えていませんでした。
 但し、彼女が寝ていた場所のすぐ側にある、小さくも立派なお墓の下で彼女の両親が眠っていること、そして、彼女は両親の目覚めを長い間待っているということだけは覚えていました。
 少女は毎日両親のお墓の前で寝起きをし、毎日一人で町やお気に入りの丘に行って遊びました。ですが、友達は出来ていませんでした。

 ――――これは、二人の孤独な少年少女が出会ってから間もない頃の物語――――。



☆★メインキャラクター★☆

・ミロ
 魔界のお城で暮らす王子。父親は嘗て魔界を纏め上げた魔王である。雪のように真っ白な髪の毛と夜空のように深い黒目が特徴的。儚げではあるが整った顔立ちで、彼を見た者たちの中には密かなファンが存在するとか。城の外の世間に憧れを抱いており、ある日城を抜け出した際にファルディアと出会い、友達となった。
 『ミロ』とは魔王公認(というか彼が付けた)の愛称で、本名は余程のマニアか長く一緒にいる王族関係者くらいしか覚えられないほど長いらしい(とはいえスペイン出身の某画家ほどではない模様)。

・ファルディア
 ミロが出会った、ミロより幾分か年下の少女。ショッキングピンクの長髪と、頭に生えた二本の山羊のような小さな角が特徴。いつも明るく大食いで、毎日城下の市場で食べ歩きをしている。それ故か殆どのお店の人とは仲が良い。ミロからは『ファル』と呼ばれている。
 基本的に自分にも他人にも正直で、幼い故の率直な意見を述べたり容赦の無い突っ込みを入れることも。嘘は余程のことが無い限り吐かない。



【これは、玲鈴とみこしさん限定のリレー小説です。キャラクター設定は別のリレーである程度纏まっているので、申し訳ありませんが他の方々は読むかいいねを押して下さるかのみとなります>< 本当にすみません!】

1年前 No.0
ページ: 1

 
 

玲鈴 @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★uyAqirftNf_M0e

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1年前 No.1

みこし @mikoshi ★Android=rvVdeo2GUN

深紅の月光を浴びながら、少女――――ファルディアは魔王の血を色濃く継ぐ少年――――ミロと共に仲良く草原にお菓子を広げながら駄弁っていた。ファルディアはもぐもぐと次から次へとお菓子を口の中に突っ込んで食べていたが、自分に比べるといくらか食べるのが遅いミロの姿を見ると、すすっと近くにあったお菓子を彼の方へ寄せた。

「あ……ありがとう、ファル」
「いいのいいの!お菓子は分けっこして食べると美味しいって聞いたからね。ミロ兄と食べるときには美味しくなくちゃ嫌だもん!」

にかっと溌剌とした表情を見せるファルディアに、自然とミロの頬も弛む。いつも素直に感情をぶつけてきてくれるファルディアを見ていると、ミロも自然と表情を出すことができた。ファルディアはお菓子を再び食べながら、ふと思い出したように話し出した。

「そういえば、明日はあんまりお外に出ちゃいけないって、町の大人たちが言ってたよ。なんでも、地獄の人たちが総出でやって来るんだって。何百年か一度にある、話し合いがあるって聞いたよ。地獄の人たちは怖いから、みんな隠れちゃうみたい」
「たしかにそうだな。地獄にはいくつもの部署があると聞く。だから、大人数で来るんだろうね」
「でもボク、地獄の人たちに会ってみたい!きっとボクたちと同じくらいの人もいると思うよ!そうしたらきっと友達になれるもの!」
「……!?」

ファルディアがなにげなく発した言葉に、ミロは危うくビスケットを飲み込みそうになった。明日の地獄衆の会談のことは彼の耳にも入っている。魔界と地獄の友好な関係を再三確かめるほかに、お互いの地で起こったことを報告し合う重要なものと聞いている。お偉方だけでなく、各地獄の者たちもやってくるのが有名だった。平たく言えば全員集合である。ファルディアが言うことに間違っている部分がないわけではないのだが、もしも同じ年頃の者がいたとして、すんなりとこちらの誘いに乗ってくれるとは限らない。それにそんなことをしていてはミロが黙って外出しているのが知られてしまう。明日は王族が出払ってしまうので城を出る絶好のチャンスがいくらでもあるのだ。

「ねぇ、ボク、地獄について知ってみたい!暇な人はきっと城下に来るかもしれないんでしょ?だったらその人たちとしゃべって、お話を聞くのがいちばんだよ!」
「そ、そうだけどな、ファル……」
「大丈夫!ボクがついてるもん、ミロ兄は心配しなくていいよ!一度だけだし、地獄の人たちもそんなにすぐに怒ったりしないって!」

ファルディアが幾度もしきりにねだったために、ミロは仕方なく二つ返事を出してしまった。明日は城下に身分の低い地獄衆がいませんように、と祈ったが、同時に城下をゆっくり回ってみるのも存外悪くないとも思えた。

1年前 No.2

玲鈴 @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★uyAqirftNf_M0e

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1年前 No.3

みこし @mikoshi ★Android=rvVdeo2GUN

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1年前 No.4

玲鈴 @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★uyAqirftNf_M0e

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1年前 No.5

みこし @mikoshi ★Android=rvVdeo2GUN

「ところで、あなたたちは?魔界の人?」

銀髪の少女が突然話しかけてきたために、幼い三人はびくっとしてこくこくとしきりにうなずいた。特にスピカは怯え方が尋常ではなく、ずっとファルディアの後ろに隠れてしまっている。ミロには割りと普通に接してきたし、握手もしていたのにどうしてだろうか。ミロは少し訝しげに思ったが、地獄の者に緊張しているのかなと推測した。

「うん、そうだよー。君たちは地獄の人かな?」
「そうだけど……仕事に就いてるわけではなくて、うーんと……居候、みたいな……?とにかく、今は住まわせてもらってる……みたいな感じ」
「そうなんだぁ!ねねっ、やっぱり地獄の人たちって怖いの!?ご飯は美味しいの!?それと、その服可愛いね!どうやって着てるの!?」
「……ファル、その子困っちゃってるだろ。質問はひとつずつにしよう?」

ミロが言ってやらなければファルディアはもっと矢継ぎ早に質問をしていたのだろう。「むぅ、わかったよぉ……」と不服そうにしている。彼女の後ろに隠れていたスピカがおずおずと顔を覗かせて、目の前に立っている少年少女を見つめた。夜空のような瞳に二人が映る。ただ、その瞳も前髪とフードに隠れて見えづらいことこの上ない。ミロは最初なぜそんなに目の前が見えにくいのに自分たちについてこられるのだろうと不思議に思っていた。スピカは少し躊躇ってから、ごくりと生唾を飲み込むと意を決したかのように二人に尋ねた。

「……お名前は……」
「ん?なに?」
「……その……お名前を教えてほしい……んだけど」
「……ああ、そっか。たしかに呼びにくかったね。私はルミル。こっちは、弟のノールだよ。あなたたちこそ、お名前は?」

スピカに名前を尋ねられて、ルミルというらしい少女ははきはきと答えた。後ろにいたノールは小さく「……よろしく……」と消え入りそうな声でぺこっと深すぎるお辞儀をした。こちらの名前もなにかと聞かれてミロは一瞬迷ったが、誤魔化す暇もなくファルディアがミロとスピカの分まで自己紹介を済ませてくれた。ファルディアのこういうところには感謝せざるを得ない。

「ボクはファルディア!ファルって呼んでくれると嬉しいな!こっちはミロにぃ、ボクの友達だよ!家族ってわけじゃないんだけど、物知りでおにぃちゃんみたいだからこう呼んでるんだ!こっちはピカちん――――え、スピカでいいの?ええー、もっと面白くしようよ!……ちょっ、ごめんってば!お願いだからほっぺつねるののやめてよー!」
「……痛そうかも」

最後の方は「おねがいひゃひゃらほっふぇふへんのやめへよー!」と聞き取りにくい言葉を並べているファルディアに、ノールがくすっと小さく微笑んだ。それを幕開けのように、次第に他の面々にも笑顔が広がっていき、最終的には皆で大笑することになったのだった。

1年前 No.6

玲鈴 @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★uyAqirftNf_M0e

 ――――それから若干経った後。

「――――それでね、エン様はこう言ったの。『個人の素性なんてどうでもいい!大事なのは、相手が今どれだけ最低なことを最低な気持ちでしているかなんだ!』って」
「へぇ〜っ!そのエンサマって人、頭いいんだねぇ!ボクだったら何も知らない相手のフメーヨなところしか聞かなかったら、それだけでその人のこと、嫌になっちゃうかも!」
「ファル……ルミルちゃんが言った通り、少ない情報だけで人を判断しちゃ駄目だよ」
「……私も、そう思う……」

 4人は今、市場から少し離れた、しかし整備の行き届いた広場に備え付けられた木製のイスとテーブルに着いて雑談をしていた。その大半はルミルとノールが住んでいる地獄の話や二人を取り巻く人々の話で、今はルミルが自分たちを養ってくれている『エン』という管理者の話をしていた。
 その話の〆にエンから聞いた言葉を話したところで、ファルディアがそれに対する感想を述べる。しかしすぐさまミロとスピカに突っ込まれてしまい、頬を膨らませて顔を顰めてしまった。

「ムゥ〜……別にいいじゃん!今のがボクの素直な感想なんだから!それでそれで?他に何かお話無いの?ボク、もっともっと地獄のこと聞きたい!」
「えー?もう、仕方ないなぁ……。ノール、何かいいネタは無い?さっきからずっと聞いてばかりじゃない」
「えっ!?え、ええと……お、思い付かないよぉ……」
「そっかぁ……。それじゃ、そろそろ休憩しよ?たくさんお話し過ぎちゃって疲れちゃった」

 ミロとスピカに向かって膨れ面で文句を言いつつ、すぐ機嫌を直して次の話を求めてきたファルディアに、ルミルは仕方ないといった風な苦笑いを浮かべ、先程から黙って話を聞く側でしかないノールにも何か無いかと尋ねるも、ノールはただ思い付かないと泣きそうな顔になるだけだった。そのため、今度はそろそろ休憩しようとルミルは提案し、休憩時間となった。当然ファルディアは不服そうだったがミロに説得されて渋々了承した。

「……ねえ、ファル。ちょっといい?」
「んー?どしたのミロにぃ?」

 お互い広場で行きたい場所に散らばっていった頃、ミロはファルディアを呼び止める。先程ルミルが話したエンの言葉でとあることを思い出し、そのことで彼女に聞きたいことがあったのだ。

「ねえ……もし、僕が……もしもだよ?僕がファルたちとは違って、その――――すっごく地位が高くて、皆とこうして楽しくお喋りしたら、皆がお仕置きを受けちゃうくらい偉い人だったら……ファルは僕のこと、怖い?」
「え、何で?怖くないよ!だってミロにぃは優しいし、一緒にいると楽しいもん!例えマオーサマって人がダメって言っても、ぜーったいミロにぃに会うことは諦めたりしないよ!」
「……!!」

 もしも、という仮定の話に置き換えたものの、自分の本当の立場を目の前の友人に言い、たくさん迷いながら吐き出した問い。仮定としてでしかないが、もしも彼女が自分のことを恐れ多い存在として見てきたら――――自分は、どうしたら良いのだろう?そんなミロの悩みを、ファルディアはきょとん顔で一蹴した。
 そして浮かべた満面の笑顔に、ミロは大きく目を見開き、一瞬硬直する。頭の中は真っ白だった。何か感想を胸中に浮かべることなど出来なかった。ただ自分に残っていた感情は――――安心。
 彼女は、相手の地位ではなく、相手の本質を素直に見定め、自分が相手と一緒にいて楽しいかどうかだけで友達を作っていたのだ。例え友達が王族だろうと関係ない。一緒に毎日楽しく過ごせればそれでいい。ただ、それだけなのだ。

「……ミロにぃ、どしたの?目の前にカエルが飛び込んできたみたいな顔して……」
「えっ?あ、な、何でも無いよ!何でも無い…………ただ、ちょっと嬉しかっただけ」

 再び素直にきょとんとした表情を浮かべているファルディアに少しばかり慌てて取り繕った直後、ミロは今日一番の、心からの笑顔を浮かべたのだった。

1年前 No.7

みこし @mikoshi ★Android=rvVdeo2GUN

☆★☆

しばらくして、自然と全員がもとの場所に戻る形となり、再び雑談が再開されることになった。ルミルはノールに「なにか話したら?」と促しているが、彼はあまり話したがりではないのかふるふると首を横に振るばかりだった。すると話さないかと思っていたスピカがいきなり「……話す」と進み出てきたためにミロは少し驚いてしまった。なにかおもしろい話でも知っているのだろうか。ルミルとノール、そしてファルディアは彼女の話をわくわくして待っているようだ。

「……みんなは、城下町から離れたところに森があるのは、知ってる……?」
「あっ、"迷宮の森"でしょー?知ってるよぉ。あそこは迷いやすいし危険なものがたくさんあるから、近づいちゃいけないって言われてるよね!」

スピカの問いかけにファルディアがいち早く反応する。迷宮の森についてはミロも知っていた。迷宮の森と言えばまさに迷宮、一度入ったら目印などをつけておかなければなかなか出ることのできないという非常に深い森だった。ここを抜けると囚人を収容する魔界最大の監獄に繋がるが、たいてい遠回りするルートで向かう者がほとんどだった。しかも毒のある植物やら見たことのないくらい奇妙な生物が生息しているとの噂で、子供たちの間では魔女が出て子供を食ってしまうという話も語られていた。ミロはあまり信じていなかったが、ファルディア辺りは魔女のことも信じているかもしれない。

「……そう、迷いやすくて怖い森。そこにね、お宝が隠されているんだって……」
「お宝……?」
「地獄でも天界でも、ましてや人間界でも見られない未知の秘宝が眠っているって……。森の中に大きな遺跡があって、そこにかつて滅びてしまった民族がお宝を隠したらしいの……それも考えられないくらいの数のをね。未だに見つからないし、森に入った人は行方不明になるしで、お宝のことは知られていないみたいなんだけど……」
「じゃあ、探したら見つかるかもしれないの!?」

ルミルがずいっとスピカに詰め寄ったので、スピカは思わずのけ反ってしまっていた。しかしそんな状況でもフードが下がらないようにしているところがスピカらしいと言えばいいのだろうか。ぎゅっとフードを押さえながらスピカは続けた。

「……たしかに、まだ誰も見つけていないし……。頑張れば、できるかもしれないけど……けど、やっぱり危なすぎるから。やめといた方がいい……」
「ええっ、でもお宝だよー?すごいんでしょ!?」
「……見たことないから、わかんない……」
「ファル、スピカが困ってるよ……。あくまで噂だし、スピカもネタとして話してくれただけなんだからそんなに聞くのはよくないんじゃないかな」

ミロがたしなめてやったことによってスピカは追求するのをやめて、ルミルやノールとなぜか手押し相撲をしようと言い出してやり始めた。好奇心旺盛で飽きっぽいところがあるのもファルディアの性格のひとつである。お礼のつもりなのか、スピカにぺこりと頭を下げられたので、ミロも「どういたしまして」と返しておいた。

1年前 No.8

玲鈴 @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★uyAqirftNf_M0e

☆★☆


「……疲れた」
「議会のお務め、お疲れ様です」「お疲れ様でーす」

 魔界城や城下町から遠く離れた、城とはまた違った厳かさと堅牢さを醸し出す大きな会議所――その内部の一角にて。

「あんたたちも、見張りご苦労様。とはいえ……私より偉い連中はまだこっちの陛下とその側近たちと話し合うらしいけど」
「今回は数百年に一度の大事な会合――役人であれば欠席を許されない重要な行事ですからね。我々は今回で二回目程度の出席となりますが……」
「管理者の部下は議会終わるまでずーっと出入口の見張りやってなきゃいけませんしね。あ〜待つのに疲れた!早く帰ってのんびりしましょうよー!」
「「却下」」
「ちょっ、えぇ!?二人揃って言う!?つかあんたも10分に一回は暇だの疲れただの言ってたよね氷鷹!?」
「何のことかな?」
「はぐらかすな!!」

 二人の部下の口論を前に、一人の上司は深く溜息を吐き、呆れ顔で二人に対して口を開く。

「……氷鷹、一見真面目そうに振る舞ってても、見張りの仕事の途中で愚痴を言うのはあんたの悪い癖だよ。湯鞠も、上の連中の指示も無しに無断で帰ったら相応の罰が下るんだから、地獄の役人全員の議会が終わるまで我慢しな」
「……御意」「……はぁ〜い」

 自分らの上司からテンションの低いお叱りを受け、部下二人はそれぞれやや不満げな表情ながらも返事をする。二人とも性格は真逆のようだが、考えることはほぼ同じのようだ。
 ふと、上司は思い出したように部下らの足元や周辺を見回し、彼らに問うた。

「……ねえ、ところでさ、ルミルとノールは?」
「あぁ、あの双子ちゃん?あの子たちまだ子どもだし、ずっと一緒に議会終わるまで待たせるのも可哀想だったので、ちょいとそこらを歩き回らせてたんです」
「私は止めたのですがね……。此処は外に負けないくらい広いですし、もし迷子になったらと思うと……」
「でも結局許してくれたよね?」
「お前が二人を使って脅してきたんだろう……」

 彼らの言い分を聞き、そして彼らが再び口論を起こしそうな雰囲気の中、上司は約一時間前のことを思い出す。そしてゆっくりとした口調で、更に低い声音で、ある情報を耳にした時の内容を口にした。

「あのさぁ、私が議会での話し合いに本格的に参加する前のことなんだけど――――遅れて入って来た下位の役人の話だと、銀色の髪の女の子と、赤色の髪の男の子が、会議所の門を潜って走り去って行ったんだって」
「「……え……」」

 上司の話から何だか見覚えのある情報を耳にし、二人は上司に顔を向け、凍りついたように固まる。
 上司は続ける。

「因みに、その子どもたちは城下の方角へ向かって行ったんだと。そしてその城下は今、議会の影響で殆どの住民が外出せずにひっそりと過ごしているから、人が殆どいない状態だから大丈夫だろうかって言ってたよ。つまり――――分かるね?」
「「…………」」

 淡々とその時聞いた話を伝える上司の背後から、心なしか明王の憤怒顔がチラついているかのように見え、二人は内心戦慄する。
 分かるね、と聞いても何も答えない部下二人に痺れを切らしたのか、上司は普段の暗い表情からは想像もつかない程の形相で怒鳴った。

「………………分かったらさっさと二人を探しに行かんかいアホーーーーーーーーーーー!!!」
「「ぎっ御意!!」」

 滅多なことでは声を荒げない筈の彼女の怒鳴り声に急き立てられるように、部下二人は大慌てで双子の捜索に向かったのだった……。


☆★☆


「……あっ!結構長く遊んじゃってた……。早く戻らなきゃ」
「そ、そうだった!きっとエン様たち、すごく心配してる……。お姉ちゃん、僕たち何処から来たんだっけ……」
「えっ?君たち、もう帰っちゃうの?」

 ファルディアらと一緒に遊んで暫く経った頃、ルミルとノールは自分らを養ってくれている人たちのことを思い出し、そろそろ帰ろうとする素振りを見せ始めた。ファルディアはまだ遊び足りないのか少々寂しそうだったが、スピカは何故か安堵しているように見える。
 ノールは初めて彼女らと出会った頃に比べて慣れてきたところだったため、若干残念そうにしているが、早く帰ろうという決意は固いようだ。

「うん。だって、私たちが早く帰らなかったら、エン様も氷鷹さんも湯鞠さんも、凄く心配するもの。だから、お別れは寂しいけど、今回はバイバイしよ?」
「……う〜……」
「……ファル、折角お友達が出来たのに、寂しいのは分かるけど、二人も帰るお家があるんだよ?きっとまた何処かで会えるかもしれないし、今日はもう帰らせてあげよう」
「……ファルディア」

 ルミルの言葉に顔を顰めつつ悩むファルディア。ミロも説得を試み、スピカもその背後からファルディアの名を呼ぶ。それでも彼女はなかなか諦めきれない様子だ。
 ミロがそろそろ困り果ててきた矢先、突然いいことを思い付いたように顔を輝かせて彼女は顔を上げ、「じゃあさ!」と一際明るい声を上げ、皆を驚かせた。

「お別れをする前に、一度行ってみたい場所があるんだ!そこに行ってから、ルミちゃんとノッくんと、改めてお別れしようと思う!ね、それでいいでしょ!?」

 突然の提案に、一同は呆気に取られたようにキョトンと彼女の方を見る。ノールは勝手に付けられていたあだ名に対して「の、ノッくん……?」と微妙そうな表情を浮かべながら呟いているが。
 2分ほど間を置いてから一同が仕方ないといった風に頷いて見せると、ファルディアは嬉しそうに「じゃっ、決まりだね!」と手を一度強く叩いて言った。ミロはそんな彼女を見つめ、彼女は本当に友達と一緒にいるのが好きなんだな、と改めて思う。

「それで、行ってみたい場所って何処なの?ファル」
「えっへへ〜、なーいーしょ!着いてからのお楽しみってヤツだね!」
「……お楽しみ……」
「楽しみだね、ノール」
「うん」

 それぞれが口々に思いを口にしてゆく中、ミロは内心胸騒ぎを覚えていた。それは先程、スピカが話したお宝の話にあるのだが、それがファルディアが一番良く食い付いたことも理由にある。

(ファルの行きたい場所――それはきっと、お気に入りの丘か、もしくは気になるが行きにくい場所のどちらかだろう。もしも後者だった場合、それはきっと――――)
「あれ?ミロにぃ、どしたの?今度は思い詰めた顔して」
「えっ!?な、何でも無いよ!ほら、早く行こう?ファルの行きたい場所に!」
「えっへへ〜、ミロにぃったらせっかちだなぁ!そんじゃ、出発しんこ〜う!」

 目の前の友達に話し掛けられ、ミロはきっと大丈夫だろうと考えを改め、心の中で描いていた推測を掻き消す。そして彼女を先頭に、スピカや双子の姉弟と共に一列になって進み出すのだった。
 未だ心の内にある嫌な予感が、杞憂であることを信じて――――。


【久し振りに続き書いたので、文章のレベルが下がっているかもしれない……orz】

1年前 No.9
ページ: 1

 
 
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