モプシー ★VfDcp3Vtox_M0e 「光源」 8ヶ月前 No.0
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今までのものと、これからのものを載せていきます。どなたもご自由にお入りください。
モプシー ★VfDcp3Vtox_M0e 「光源」 8ヶ月前 No.0
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モプシー ★VfDcp3Vtox_M0e
「ニンフェット」
サナトリウムの暗がりは
吐けども球にはなれぬ、おんな
わななく映写機を飲み干せず
ひめやかな偏愛も黒ずんだ
「さあ、今まさに私の指をしっかと握り連れ去らんとする
この幼き五指こそがモラトリウムの幻影だと云うのなら?」
噂も事象も小指の先に塗り固め
ナボコフの影を微笑みで潰すの
ただ、ままならぬ少女でありたくて
モプシー ★VfDcp3Vtox_M0e
「ボーダーライン」
たかられる幸福に僕は
この身を差し出す
溢れ出ることが唯一の
表現方法だなんて
僕は
憂鬱が押さえつける線を
呆気なくぶつ切りする
狂気なんて高尚でない
愛らしい個性です
だから僕は
満たされた顔で今日も
葡萄酒と血を混濁する
モプシー ★VfDcp3Vtox_M0e
「石積み」
甲斐甲斐しく世話をする傍ら
人間になろうと、した
行為、が
ああ
終わり
鳴らす鐘のたびに
落ちる罪が
てのひらに溜まってゆくね
どうして
死体は進化と言えないのかな
こんなにもいっぱい、なのに
満たされた
中身
詰め込んだ、
こんなにも孕んだのに
僕はまだ、人の顔をしていた
モプシー ★VfDcp3Vtox_M0e
「てんつく」
星乞いの真似をして銀針で突いた空の一辺から、サアサアと冷たい琥珀糖が降り出した。
僕にはあれらを呼べやしない、とひとりごちながら、
涼やかな甘露にも似た川蝉の眼差しを、泡と消えぬうちに飲み干した。
モプシー ★Android=EOZWR90VPs
「養分」
子音の代わりに覗く潮騒の
残り香はシオン・ノーレを辿り
指先の硬質に噛り付いて猫の息は
ガリ、リ、リンとやっと淡く雨にけぶるので
耳をふさぎ横たえる僕の肢体に
誰も彼もが紙テープを降らすので
もう、生まれるようにまた閉じ込められたいと思いながら
九月の終わり、僕は繭になった
モプシー ★VfDcp3Vtox_M0e
「ノヴァ」
呻き声が降ってゆく
終わりある失意に用は無い
今生きて
黙ってしまった空を裂きながら
無音の中で
今死んだ、
君もまたたいた
わななく爪で夜を掻きむしる
ほうら、ほら
星が身投げする淡い朝だね
モプシー ★Android=EOZWR90VPs
「肉のエチュード」
豪雨と深海を同じ箱
埋めておいきよ
ナイフは嘘、個々逆子?
息遣いに紛れるマザーグース
エンドロール、歌唄いの豚よ
外れた、肉のでしゃばりしゃぶれども
題するに題はかくも小さくも、
月光のゾナダ、豚番いの舞台よ
初めての窒息は、無様よ
失するお前の刺繍の中
モプシー ★ZRG6dYqbGV_M0e
「ちぎり和紙」
千切っては濡らし
千切っては降らし
らしくもなく季節に抗う
貼るという行為は
不安定を欠き
不変を願う山に
芽吹きは要らない
一枚
二枚
はたり はたり
地べたを飾り
「春」と題する
モプシー ★kB4nqktpnH_M0e
「メソッド」
ライラック色の快晴が
夜を恐れて後ずさり
結果、僕を押しつぶす
相違ない、か?
赤いものは好きか
ぽっかりと開いた口へ
嗚呼、縄よ!くくって頂戴!
細腕の貴婦人、道具は不要
要は輪郭です
首から下が肝心なのです
薄紫の平静を摘み取って
人間の指は自決をうながす