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自然をうたう

 ( 詩投稿城2世(大人風味) )
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appa☆IszLALYaKJo ★jy5Y/xkYGps

冬を迎える


春に私は展開する

やさしい陽光を求め

少しばかりの産毛を生やして

五月の風に撫でられる



光線にはにかみながら

少しばかりの厚みと

日焼けを繰り返し

私は太っていくのだ



加熱された陽光は

蝉を呼ぶ

でも悪くはない

時折降る雨は皮膚に染み込む



重い粘着質な空気は浄化され

神々の呼気が満ち

澱んだ空間は粛清される



私は温度が下がるごとに老いてゆく

緑の愛を母に渡し

私は哀しく美しく染まる



北風の頃

母の間節に離層を作る

風が吹くと

ぷつんと□げて

私は静かに地に落ちる

母のために命を捧げるのだ









2010/01/28 03:45 No.0
メモ2013/08/29 17:12 : 山人★tuOnN6TpU5_jZ7

こちら詩2の「自然をうたう」は、詩1「自然をうたう二」に引っ越します。

。。。のつもりでしたが、このままこれはこれで生かしていきたいと考えています。

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山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

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3年前 No.1472

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

周りを見れば、公園の滑り台や、道路のガードロープに、それぞれ思いおもいの座り方で、神たちは眠るようにたたずんでいる。
特殊効果のように奇怪な動きをし、わざとらしく衣服は風になびいている。
 人々はどこに向かうのか、それぞれが口を結び、仮面の下の血液は静かに流れていた。生きるために日々を送るのではなく、死ぬ日のために如何によく死ねるかのために、人は道を歩いていた。

古い映画に出てくるような、町の一角に設けられた公園のベンチには、Yシャツの袖をまくり、静かに清涼飲料水を飲む男がいた。
足を軽く組み、いくぶん右側に重心が傾けられ、左手をベンチの隅に立てている。
清涼飲料水が空になると、男はまっすぐ座り、呪文のようにぶつぶつと独り言を言い始めた。
表情を変えることもなく、淡々と同じ抑揚で唱えている。
吐息とともに無機質に発せられ、体内から発せられた気体は空間で凝固し、やがて小石のように地面に落下した。
砂粒の少し大きいくらいの石粒が地面に落ちていく。
時間は穏やかに停止され、それぞれの場所から小さな小人の神たちが一心不乱にその石粒を籠に入れている。
小さく風が吹くとそれぞれの神は衣服を脱ぎ、有翅昆虫のように空中へ飛散し始めた。

それにしても、見えない神たちは多く居るものだ。神の人口すら誰も知らないが、おそらく人の数より多いのかもしれない。それほど実は神は多い。もちろん、今のこの世の中に神について語られた書物や研究論文は皆無で、いささか人が空想し奉ったものである。とされている。
それほど多い神は、日々無碍に過ごし、如何なるところにも佇み漂っている。神は働きたがっているようだ。

それにしても、現実と事実とは、似ていて実は別のものである。個々がつく上げてきたものが現実であり、事実は今この時の状態である。
何かを夢想し、言葉にし、念は深まる。ふくよかに肥った事実はとても強固だ。その硬さであっても、水がコンクリートや石を摩耗させるようにゆっくりと時間とともに、ひたむきに念ずるように溶かしていく。

口から放たれた言葉はもう自由だ。持ち主の体内から排出されたそれは異質の物質として神たちが持ち去ってくれる。
どこか知らない宇宙の一片に坩堝のような動力が動かされているとすれば、それは神たちの集合体なのか神たちのコロニーなのか母なのか。
あらゆるモノが攪拌され、やがて光を伴ったものが生まれ出る。

どれくらい経ったのであろうか。公園のベンチに居たあの男はふたたび座っている。携帯が鳴ると男は礼を言い、穏やかに口元から一つの言葉が発せられた。

2年前 No.1473

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

うねるように雨は立体的に風とともにうち荒れている
緑と緑の間を荒んだ風が雨をともない蹂躙している
私は疲労した戦士のように澱んだ眼をして山道をあるいている
ただの一人もいないこの孤独な空間を打ちひしがれることもなく
がしがしと太ることのみに命の灯を燃やし続ける草たち
風が舐めるように広葉を揺らしていく
廃れた林道には命をへばりつかせた脈動がある
人の臭さは無く、におい立つ草いきれだけが漂う
雨はすでに私の魂の中にまで入り込みあらゆる肉体が雨そのものになっている
私はもう、雨
ひとりの雨となって山道を歩き
狭い沢に分け入りこむ
すでに私は雨と同類となり道を歩んでいる
水同士がむすびつき小動物のように山道に流れ
私の行く方向に皆流れ始めている
他愛もない休日
私はふと雨になった気がした

2年前 No.1474

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

体の奥にくぐもった化石のようなものに声を掛け、外に出してやる
空気はもう浮ついてきた、もう夏である
イカレタ蝉どもが堰を切るように声を張り上げているが
夏はただ、そこに重い体を広げているだけだ
すっかり粘液で固化したものを揺り起こし
アスファルトに放り投げ声を掛ける
その声に反応するでもなく微動だにしないものが居る中で
静かに少しづつ体制を変えながら動き出そうと試みるものもいる
ふと気づけばいつも季節は変わっていて
今日も明日も、季節は言いようのない焦りの中で変わり続けている
なにもかもすべてのものを
言葉にしなければならない
石仏のようなこの現実に言葉を投げかける
罪人として暗い牢のような場所に入れられた億千の言葉の数々を
今、揺り起こしている
やがて言葉は根を張るものもあるだろうと。

2年前 No.1475

熱帯屋 羽鈴 ★Android=fwORJxULVT


また寝苦しい夜になるだろう、

ふと冷えた桃をながめている。


皮を剥かないそのままのももの姿に

幼き私が両手で抱え、目をおおきくしてはしゃいでる。


桃の皮を剥くの母のすがた。何を思い買ってきてくれたのか分かる頃


私の娘は桃をフォークで上品に食べながらも、

口のまわりは幼きころに私がかぶりついたのとそう変わらず夏、

夕飯後の情景。



2年前 No.1476

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

熱帯雨林さん、素敵な詩をありがとうございます。


店の戸を開けると蝉がいた
蝉男に蝉女、子供の蝉と老人の蝉
みんな一様に人の姿はしているけれど
どう見てもおまいらは蝉なんだよ
何年も何年も土の中でうつらうつらと生きてきたから
下界のひかりや喧騒が嬉しくて仕方ないんだ
だからおまいらはその喜びを震わせてないている
一夜明ければ、おまいらはただの屍となって
表にかさかさと転がっている

2年前 No.1477

熱帯夜 羽鈴 @tropical10 ★Android=fwORJxULVT


山人さん、お久しぶりですね。

久しぶりに詩の投稿サイトを眺めていたら、かつて遊んでいたサイトがなくなってしまいました。

ここは末永く続いてほしいものです。


メルヘンと破壊という名の現実を詩から感じました。

アラ、山人さんてきこりみたいな人ネと思っていましたが、こんなメルヘンもお書きになるんですね。フフフッ♪さて、冗談はそこまで。


序盤から中盤のくだりにグッと引き寄せられました。
最後は山人さん流の終わらせかただろうとおもいますが、少し、もったいないなさや寂しさも感じます。

それは蝉の短い命を幻想的に想いをはせ、理解している立場から最後に続くくだりが少し、冷たいなと感じたからかもしれません。。

もし、それを際立たせたかったとおっしゃるのであれば、身勝手な感想を述べたことを申し訳なく思います。

最後の〆は何かもっと序盤中盤の力強さのままで、好き勝手におやりになった方が、詩の型としては、まとまらなくてものびのびとした作品になったのではないでしょうか?

という風にたまには、批評めいたことをしてみました(笑)。あまり真剣にうけとめず、ふーーん。ぐらいで読み流してもらえればこちらは勝手に安心します。





2年前 No.1478

熱帯夜 羽鈴 @tropical10☆qYE37hQxCjc ★Android=fwORJxULVT



夏の仲間の合唱の下


ぢめんを這う片翼の蝉よ。

かたむきながら歩くお前は

かつて夏がくることで

騒ぐ蝉であったか


片翼の蝉よ。

円をえがいて歩くお前は

秋が近づくからこそ

騒がざるを得ない蝉であったか


生まれ変わったせいで世界は

それは土のなかより残酷じゃないのか

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


未練なんて飴細工はサナギと供に

なくしちまったんだ

サナギのときから変わらぬ瞳(まなぐ)を

もう一度みておくれよ

サナギのときから大切にしてきたのさ

俺が飛ぶためにもってこれた

ただひとつの財産

それがこの瞳


俺にはいままでの殻がね

まるで飴細工にみえるよ。


翼をなくしたからってさ

飛べなくなったからってさ

それがなんだっていうんだ

飴細工とかわらないさ


まだ俺は木につかまれる

あれだけ掘って歩いてきたんだ

誰も聞かないかもしれないが

まだこの声でうたえるのさ。

もう一度俺の瞳をみておくれよ。

俺の瞳に未練がみえるのかい

飴細工に見えたかい?






2年前 No.1479

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

熱帯さん、どうもありがとうございます。

******************************


2年前 No.1480

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

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2年前 No.1481

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

あらゆるものをすべて攪拌した液体は
その白濁から逃れるように
夜、静かに羽音を聞きながら眠る
朝、液体は分離し、沈殿物は過去へと去り
透明な液体が生成される
それを、朝と言う。

2年前 No.1482

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

闇が雨を連れてきた、すると闇は突然覚醒し雨を制止させる。
何かが変わる瞬間、ヒトデが裏返しになるように新しい日になる。
季節はゆっくりと勾配をつけながら下ってゆく。
雨は櫛で撫でつけるように季節を早めている。
頭蓋の奥には虫の呪文が説かれる。
夜半過ぎの雨はひどく、尿意もそれに駆られ目覚めた。
虫の羽の脂が水をはじくと、ふたたび別の朝が来る。

2年前 No.1483

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

私が立っているのはコンクリートブロックの塀の外だった。
一言二言何かを言い放ち、私はヒヨドリのけたたましい音の中へ歩いていった。
長いようで短かった二十一年。囚人生活から解放された日である。
ただの一人もいない迎えだったが、私はひとりで何ごともなかったかのように前を向き、駅の方向へと足を向けていた。
おびただしい群衆の中、どこからともなく昼近いからか揚げ物の匂いや香辛料の匂いが鼻をつく。
ビルの上部にはハイビジョンが埋め込まれ、けたたましく喧騒がうねっていた。
意味のないクラクションが音たちのオブジェとなって街を流転し、鳩が意味もなく舞い上がる。
償いのあとに残ったものは何だったんだろう。
私はただひとり、目を皿にように見つめ、現実味を帯びた臭覚と聴覚が嫌に哀しい。
地下工場で私は屍に螺子を巻き、苦しみの沼につかりながら目を点にして働いた。
脳に自己の名を刻印し、仕舞い込んだ。私は私であり続けることはできなかった。
劣悪な日々を一日一日と食い、次第に硬化し私の皮ふはすでに象膚病のようにがさついている。
これは確かに私が手にした空間というものなのだろうか。
街の直中に放り込まれた、もう、年老いた私の一体という置物のような不確かな存在。
この先私に残された道は美しく私そのものを空間の一部として昇華させることなのかもしれない。

2年前 No.1484

クレア @whitehorse ★Android=SmhdbNRVu8



私は誰?

ここはどこ?

お願い、教えて。

ほんの少しだけでもいいから教えて。

***

ぼやけた月が照らす深い森林へ身を静めるように歩いていく。

汚れた川の水の流れがとても綺麗に見えて心地がいい。

白い吐息を吐いて冷えた手を温める。
緑の葉脈が浮き彫りになって見える。

人間の腕の血管は葉っぱの緑色をしている。

ああ、静かな森の奥ってこんなにも落ち着く。

あのけぶる岡の彼方まで進んでいきたい。

登張の上は何があるのだろうか。

源にお休みを言ってここで眠ります。

大地よ、気流よ、木々よ、進化するその日まで。

2年前 No.1485

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

近寄りがたい森の静けさを
柔らかく解きほぐすように
小鳥が梢を動いている
めまぐるしく激しく小鳥は動き
そして世界は明るく染まる

葉は入念に時を紡ぎ
すべからく暑い隣人を見送り
乾いた秋空へ船を出す

夏 森は静かに唸り
激しく呼吸し
むせぶように泣いた
虫たちは夜ごと夜会を催し
木々の袂で逢瀬した

著しくその坩堝は達観し
日々空は遠く広がり
架空の絵空ごとのようによそよそしく
やがて森は秋を迎えた

***********************
クレアさん、こんばんは。
作品拝読しました。
とてもピュアな感性で描かれていますね。
ありがとうございました。

2年前 No.1486

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

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2年前 No.1487

ネオン ★NUUMSxHF73_KMC

メロンパン

おいしいね


あの子供のころのパンは

緑の宝石が輝いて


あの日にいた子供は

もう夢をみなくて

そしてあしたも消えていく


ああ

なぜあの記憶は いまも私を こんなにも 貶すのか

私は今 手に入らない物は ないというのに

この手は 名声を 財源を

そして いまは

2年前 No.1488

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

朝起きて、小屋から出ると放尿する。
朝日が未だ登らない森の小高い場所に立ち、ジッパーを上げ大きく背伸びする。
おはよう小鳥たちよ!
私があいさつするのは日課で、小鳥のみならず、木や草、虫にまで言葉を投げかける。
するとその生き物たちは喜んで一層素敵な声で鳴いたり、きらびやかな光を振りまいてくれるのだ。
小屋に戻り囲炉裏に薪をくべ、湯を沸かす。
湯が沸くまでのあいだ私は森でメロンパンをもぎに行く。
いつ行っても森にはたくさんのメロンパンが生っている。
その日食べる分だけもぎ取り小屋に持ち帰る。
藤の豆を煎じて、自家製の珈琲を入れる。
香ばしい匂いが小屋の中を充満すると、カモシカが訪ねてくる。
カモシカにメロンパンを一つ与え、おおきな椀を乳にあてがい乳液を分けてもらうのだ。
カモシカの乳液をごくんと飲み干しメロンパンを食べる。
メロンが変態してメロンパンが出来たのだという説はやっぱり正しかったのだ。
素敵だ、とても素敵だ、いつも朝は素敵に思える。
食べ終えると私には強烈な便意がやってくる。
べんだべんだべんだ私はこらえながら岩場を登り
大きくせり出した断崖の上から
ビッグベンをする。

2年前 No.1489

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

他愛もない日常を一喜一憂するでもなく車道の端の小石はじっと黙って座っている
みな孤独だ
かすかに芽吹こうとしている新芽ですら一人で春を待っている
そしてみたまえ。
このようにぼくも一人だ。
とても孤独で一人ぽっちだ。
この星にいつも僕はひとりで生きてきたし誰もかつて居なかった。
小石を手に取り、ぼくの目の前に運んでみる。
春めいたこの少し冷たい空間が僕と小石の間に生まれては死んでゆく。
ふたたび小石を転がしてあたりを眺める
まわりには一人ぼっちの群落が広がっている
そう、
たぶん春だって一人ぼっちのはずだ。

2年前 No.1490

初心 @syosin ★Android=XxiIfdI29A

木陰に入ると涼しくて
ほのかに流れた汗が心地よい
赤く日焼けしたとんぼが水辺に弧を描く
陽が沈むのがはやくなったのも気付くほどになった
旅人は秋が来たんだと了解する

木陰で休んでから
森の中へと足を運ぶ
しばらくすると足が体を運ぶようになる
新しい生命の誕生と徐々に削れる生命の声を聞く
旅人は森の恵みをいただき秋を確認する

儚い夕陽に瞼を細めながら
明日行くミチを模索する
見上げた木々はやや紅く染まり始めている
心地よい秋の後に並んで待つ冬が秋を押してくる前に
旅人は鳥のように暖かい場所に移動する

旅人には家も家族もない
旅人は1人森をさ迷い続ける

だけど旅人はそれでも幸せ
森は厳しいけれど優しくて美しいから

−−−−
こんばんは。ここでは初めまして。初心と申します。
素敵な詩ばかりで、楽しかったしわくわくしました。
下手くそながら、おじゃまさせていただきました。

2年前 No.1491

山人 @ookumo1310 ★z80q9lxKhR_jwI

>>1491
初心さん、こんにちは。
良い作品ですね。
とても素直です。
まだ初心さん独自の表現は無いみたいですが、描こうとするもの、目指そうとする部分は感じ取れます。
ありがとうございます。

2年前 No.1492

asitanoakari @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_iye

古代の翼竜の翅が動くように
重苦しい雰囲気は、うつむいた朝
ヒーターの無機質な音
pcに映ったUMAのような実像
走り書きのように鼓動は滑るように刻み
世界でたった一人の私は朝を迎える

思考の内面に浮遊する春虫が
ゆらゆらと漂う
それはすべての合理性を食い
勘違いの塊を製造した

きっと私はいくだろう
朝になり切れない漆黒の道を
失われた希望や欠損した魂を連れて





2年前 No.1493

asitanoakari @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_iye

立ってりゃいいんだよ
初老の人夫はそう言ってへらへらしている
廃屋となったホテルの前の駐車場の雪の塊を除雪するバックホウ
多目的ダムの原石山をくりぬいて作られた収容所のようなホテル
中国人料理人を雇い岩窟露天風呂として世に送り出した時代
その過去がざっくりと切り取られ、今は風しかとおらない廃屋ホテルとなっている
アームとバケットを手足のように、血が通っているかのように操るオペレーター
鈍重な春のよどみを切り分けるように疾走する10トンダンプ
バックホウのクラクションが鳴るとバケットから巨大な雪塊がダンプの腹にぶちまけられ
バスンと鈍い音を立てる
積まれた雪がいっぱいになるとダンプは走り出す
二体の案山子が棒を振る
誰も来ない通行止めの道路で棒を振る
案山子の魂は泣いていた
廃屋ホテルも風もすべてが哭いている

2年前 No.1494

asitanoakari @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_iye

そしてまた私は詩を書き始めた

朝はいつもこんな風に静まり返っている
聴覚を切り裂くように入り込むのは野鳥のさえずり
あらゆる事柄が一掃されたかのような朝
そう、朝はいつも新しい
ふと、まばたきを止めると
見たこともない思考の世界が現れ
ふっと消え、名もない、か細い羽虫となって横たわる

どこにだって詩があった
目の前には家屋があり、その横を車道が敷かれ
目的地を定めることがない車が疾走する
野鳥は風を友とし、草木は虫を待った

大きくせり出した突起物
どれほどの物語を吸い込み吸着し、栄養にしてきたのだろう
奇怪な風が舞う日
私の朝はこうして存在した

改めて私は詩を書き続けようと思った

2年前 No.1495

asitanoakari @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_iye

くねくねと這い回り、いたるところに付着を試みる幼虫
尻からヤジを出し、新緑のブナ林に垂れ下がる
それほど生きようとする執着があるのかどうか
たとえばそれは詩の依存症に羅漢した俺のようでもあり
もぞもぞと意味もなく、這い回る糞詩を量産する俺なのだ
野を見ろ
山野を見ろ
数えきれない俺がのたうち、這い回っている
おお、兄弟たちよ
俺のコムシよ、魂たちよ
あらゆるところに俺の恥部がさらけ出され赤面している

習作1

2年前 No.1496

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_iye

夜が明けるのが一番早くなる季節
心なし足元がしっかりしている今日のシロ
曇った早朝も悪くはないと尾を振る
すっかり人の足並みについていけなくなったシロを見る
すべてに、はざかいがあるのだと気付く

緑はこともなげに鬱蒼と茂り
濃い縁取りを演じている
真実は濃い緑に打ち消され
パズルのように暗喩されている

はざかいを歩いている私が居る
或る時、ふと生まれた生命体だったかのような目をし
一つの定められた境界線を歩き続けていたのだったと
大きく息を吐きだすと
ふしくれた手のひらで
顔を揉みしだくのだった

金属的な野鳥の鋭い声
すべてを切り裂くすさまじい音源は
朝の膨大な生を
一振り、書きなぐるように飛翔した

1年前 No.1497

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_iye

厨房の調理台に肘をのせ目を閉じる朝
久しぶりの雨のにおいが何処からか入り込んでいる
蒸す室内に換気扇と冷蔵庫が唸り執拗な音を響かせていた
室内に施されたステンレスの内壁に蛍光灯の光が白く反射する
それぞれに調理器具はカサリと音を立てることもない
脳裏の時間をさかのぼればまだ幼い子らが居て
調理場を走り回り私の声と妻の声が右往左往し
その喧騒がすべてを混錬し私たちはそこに生きていた

私は包丁入れから牛刀をとりだす
漂泊の匂いのついたまな板に冷水をかける
まな板の上には野菜が乗せられている
磨かれた包丁は無造作に菜の繊維を断ち切り息をする
煮る、炒める、味をつける、盛る、出す
合間に使用したボウルを洗い、拭き、格納しする
延々と作業は終わることなどなかった

私は料理人ではない、調理人だ
作業の一つとして調理をする、雑用をする
そのことに没頭することが仕事である
作業は増殖するいくらでも魔の谷のように抉られ埋没し、闇のように膨れ上がる
そして私たちは鬼となる
作業の中の鬼となり赤く染まり肉をそそらせ
私たちは作業の男根を突き立てる

1年前 No.1498

クレア @whitehorse ★Android=SmhdbNRVu8

【樹海】

視界がチカチカする

耳障りな街中

人混みに埋もれてホームで立ち尽くす夜

(姿を消したい、誰にも観られたくない)


決意した

日曜日には薬と荷物を抱えてあの樹海に行こうと

まるで心が疲れきって魂が抜けたような眼をした自分をような声が暗闇の樹海が呼ぶようだ

「おいで、こっちにおいで。」

聞こえる

呼んでいるのが解る


(今からいきます、、、、この薬を飲んで)

そう心で返事をし、ペットボトルの水を取り出して薬を一気に飲んだ

頭がふらつき、動けなくなっていく

(ここは一人、誰にも邪魔されなくて済む、今からいきます)

暗く 優しい森林の樹海に包まれて 安らかな聖地に誘われて お休みなさい


山人さん>

こんにちは、お世話になっております。
この頃心が疲れていますので、此方をお借りしました。自然に触れたくなりました。

1年前 No.1499

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_iye

歩く、歩いている、私は田の畔を言葉もなく、ただのひとりで。
神々の欠伸とともに夜は明け、定規で押し当てられたような一日が始まる。
かつて其処此処に多くの神が居て、それぞれがそれぞれに活動し、人のために働いた。
いつからだろうか、神たちに特殊なウイルスが蔓延し、多くの神々が命を落としてきた。
その神々は、また一人、また一人と、其処此処に死骸は点在し、私の歩いている土の上にすら死骸がある。
あの時少年だった私は、初老となり、こうして歩いている。
雨の日も、雪の日も私はこうしてナイフのような現実を受け止めていかなければならない。
私は何かしゃべり、満身創痍の神々たちを拾い集める。
声にならない声を発した小さな神々たちが、集う。


                     *
クレアさん、ありがとうございます。

1年前 No.1500

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_iye

ふるい黄昏が落ちている、窓の桟、ガラスの汚れ、あなたの後ろ姿。
アリが、失われた意思のもと、本能のまま、きちがいのように動き回っている。
坩堝のような大暑の中、アリは動き回ることしか許されていない。
私たちはそのように、温度さえ失われた世界の初めから今日までそのように、きちがいじみた日々を、呪文のように生きていた。
手枕で横たわるあなたという置物が居る。
セミの声すら失われた夕刻、家屋の中には数えきれない溜息が滞り、か細い体躯の蜘蛛がそれを齧っている。

1年前 No.1501

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_iye

私が詩を書くときは早朝が多い
雨が上がり、まだ薄暗い空間が
やたら静かに広がっている
その時々の野鳥に声や虫の音

誰のためにこの静寂があるのでもなく
わたしだけのためにあるのだと思う
数え切れないほどの朝を迎え
そのたびに何かを思った

風が川の流れを連れてくる
川の息が微細に空気に触れ振動し
私の耳腺に入ってくる

いつか詩など書かない時が来ればいいと
思う事もある
湧き上がるような日々を
過ごしていければ詩などいらないのだ

予報どおりに雨は上がり
集落の朝のチャイムが鳴る

私の骨を連れて
また詩のような一日が始まる

1年前 No.1502

クレア @whitehorse ★Android=GTYkBGZW1s


ああ、誰か悲しみを教えて。

ああ、誰か涙とはどういうときに出るのか教えて。

さわさわさわ

ひゅー、ぴゅー

草の薫りが心を落ち着かせる


優しく揺らめく月が切なく微笑んでいるように見えるわ。

感情をどこかに置いて行ってしまった私にできることは何かしら。

さわさわさわさわ
ひゅー、ぴゅー


山人さん、こんばんは。
御無沙汰しています。
心が疲れていましたので身を置かせていただきました。

1年前 No.1503

クレア @whitehorse ★Android=GTYkBGZW1s


運命が風向いているのだろうか。

それはまるで1日1日がワープしたように。

何故こんなことばかりなのだろうか。

大きく何かが揺れ動くのを感じる。

淵に立たされて眺める視野角、色彩が欺くようだ。

そして、始まりがここからたということを知らされる。


【始まり】

1年前 No.1504

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_iye

角がとれている
なにもかもの角という角がとれてしまって
なんか、みんな、有耶無耶だけれど
それがまた一つの秩序みたいになっていて
ま、どーでもいいやっていう気分なのかもしれないし
のほほんとした気分なのかも
ここにこうして自分がいることがとても可笑しくて
へらへら笑ってみた
今日もあっちこっちのいちいち角ばった
角をとってやろうか

***************
クレアさん、おはようさん。
詩投稿、ども。
タラーっと力抜いて一分で書きました。

1年前 No.1505

クレア @whitehorse ★Android=GTYkBGZW1s



森の中を馬に跨がって散歩して

景色を眺める

オレンジ色の太陽に澄んだ水色の空、青々と茂った緑

秋の訪れだ

土の薫り、草の薫り、空気の薫りは優しい自然の恵みの薫り

八の字にゆらゆらと揺れる温かい馬の背中に身を委ねながら馬と自然の中を行く


山人さん、おはようございます。
清々しい空気を求めてまたお邪魔させていたたきました。

書いて下さった詩で鋭い角が円みを帯びたようでした。

1年前 No.1506

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_iye

草どもの帝国があると言うが、此処がまさにそれだ!
草の中に草が生え、その草に蔓が絡まり
蔓は蔓で自分の体とは知らずに巻き付いている
脳という脳は排除された草ども
恋に落ちるでもなく思案するでもない
ただただ成長し枯れるまで伸びる
草は必ず花をつけみずみずしい葉を蓄えて
おびただしい虫どもがそこに集り
とにかくどうにもこうにも狂っちまってる
ありったけの生をぶちまけて宴を繰り返す
関係ないね
そうみんな言いたげに勝手気ままに行き急ぐ
その根っこの土は母である
土をつくるために命をつくるために
土はまた新しい草草を天へ向けて輩出するのだ。


クレアさん、御投稿ありがとうございます。
素直でクリアな作品ですね。
私のようにあざといものが感じられない文章です。

1年前 No.1507

クレア @whitehorse ★Android=GTYkBGZW1s



素肌に触れる風が冷たく、そして痛い。

満月の夜に激情に流される。

聳え立つ遠くの山脈睨み、紅い神社の鳥居潜り抜けて呪怨を唱えるの。

長い髪が宙に逆立つ。

痛い心と風が絡んで憎しみが神社の鳥居に蓄積されていく深夜0時。

ああ、大地よ、山よ、風よ、水よ、火よ、気流よ。
あの人が結ばれた後に不幸にしておくれ。

ザーザーと吹き荒れる風はまるで承知したかのようだ。
もう、耐えられない、留まれない。

私怨と共に激しく吹く風は聳え立つ山脈を破壊してしまうのかのように思えた。


魂が吸いとられるようだ。
ここで呪殺してもあの人が不幸で苦しめられるのならいいわ。

うふふ、あはは。

【私怨と風】


山人さん、おはようございます。
山人さんの詩には力強さを感じられます。
私は力量不足ですし、単に自分を表現したいだけです。
感を色々と使って書くことが楽しいのです。

1年前 No.1508

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_Xrr

畳の上にカメムシが死んでいる
おびただしい数十のカメムシが皆
腹を上に向けて
平らな背中を下にして死んでいる
山林に降り注いだ日照がぞくぞく卵を産んで
カメムシはむつむつと葉を食らい 太り過激に増殖した
稲わらのにおいが山村を仕切るころ
ピンの外れたカメムシ軍が越冬地を目指す
人家に張り付きいたるところの隙間からアタックし潜る
いかなる憎悪も執着も怨念も恨みも憧憬すらも愛すらもなく
古い記憶をたどり越冬地を目指す
途中で毒を食らいあるいは力尽き
糞おびただしいカメムシどもの死骸が黙々と湧き上がる
死を自覚することがない
からからと命の薄い膜が破られてただころがっている
みな横柄に仰向けになり
その方が死する安定となっているのか
当たり前すぎるカメムシの死は長い過酷な冬を連想させる
おどろおどろしい白魔の来襲を予言させる
膨大なカメムシの死骸
冬は近い



クレアさん、いつもピュアな作品をありがとう。
とても素敵です。

1年前 No.1509

クレア @whitehorse ★Android=GTYkBGZW1s


淡い桜が舞う時期に私は今までのことをリセットするために旅立つの。

もう、コートを脱げば春に出逢えるのね。

そよ風が優しく髪をとかす。

陽射しが笑顔で挨拶してくるようで想わず微笑んで「おはよう。」と声をかけた。

背負っているリュックサックがリズムをとるように揺れる。

空気が澄んでいてとても気持ちがいい。


辺りを見渡して歩けばもう淡い桃色の桜が歓迎。

ひらひら ゆらゆら ふわりふわり

春を吟う桜は切ない笑顔なのね。

私もなのよ。

心では強がって本音は云わないけど声をかけてくれる自然には悩みを打ち明けているの。

分かってくれるのは自然ね。

自然の緑と桜が相談にのってくれている。

太陽はそれを受け止めて青空は明るく色を変えて、風は消してくれるわ。

こうして外を歩けば本当の自分が分かる。
そう想えた。

今の辛気臭い職場なんてやめて新しい自分になるために独立するわ。


【春に】


山人さん、こんばんは。
そして御無沙汰しております。
山人さんの文脈は力強くて拳があります。
模倣力もあってバス音階の伴奏にも感じられました。

1年前 No.1510

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_Xrr

三月という、ある種乾いた語感がぬるい
その実、今までとは違う三月を誰もが思い、つぶやいているはずだ
ワンツースリーと指を折り、中指を見つめる
思わず指を立てればfuck youってこと
これをいとも無造作に外に景色に向けてみれば
あたりは平然とたたずむのみで
中指はかすかにしなだれていくのだった

三つめの月に人の居る日と書いて
春と読む、そう勝手に考えてみるのも自虐だ
三月は、だから少し嫌いだ


********************
クレアさん、御返事が遅れてしまい申し訳ございません。
すっかり忘れておりました。
返詩とも作品ともつかない訳の分からぬ文体ですが、久々に更新させていただきました。
どうもごめんください。

1年前 No.1511

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_Xrr

安房トンネルは橙色の光源がともされ、広い空間が保たれていた
道なき道を進み、今はこうしてぽっかりと開いたこの広がりは何なんだろう

脆く作られた陶器を打ち割るように、その言葉はホールに充満していた
苦い塊を一呑みし、無言で車を走らせているのはまぎれもない私だった
それ以外の私など、もともとどこにもいなかったのだと

季節外れの雪がトンネルの向こう側の壁面にこびりついている
渓谷を削り取ったような地形に道路がつくられ
その年月を吹き飛ばすように車両が疾走していく

長野市の街はいつも混みあい、なかなか進まない
しかし喧騒があるわけでもなく、何かに従順に従うようにうごいている
そこに寡黙な失意が充満し、街ごと道路ごと覆っているかのようだった

飯山のはずれのラーメン屋に立ち寄る
老夫婦はしきりに相撲中継を気にしながらラーメンを作っている
応援していた力士の一人が負け、もう一人は勝ったようだった

栄村の大橋を渡ると新潟県となる
底に張り付きそうな燃料計が気になり、すぐさま給油所に寄った
垢ぬけた従業員が二名、律儀な応対をしている

やがて奥まっていくと見慣れた風景があちらこちらに舞いはじめ
私の瞳を通じて頭蓋へと吸引されてゆく
思考の都市はぐるぐると動き回りすべてがシャッフルを繰り返す

フロントガラスに雪が付着し始めた頃、家に着く
いくつかの発光した現実を見つめた私の瞳は
いくぶん熱く、ただ、
少しだけ鎮静するようなものが裏側に残っていた

1年前 No.1512

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_Xrr

六月の雨音が聞こえる
今は、だから空の上で
六月の雨が栽培されて
きっともう豊かに実り始めているのだろう

誰もが六月の雨を待っている
優しく皮膚に染み入り、
あらゆるものを平坦に均し
雨は果実のように地面に注ぐ

やさしさや安らぎは
雨から生まれ
やがて血液の中に混じり込んで
やわらかなあきらめともに
人ができてゆく

生へ羽交い絞めされた
生き物たちが雨をあびる時
ふと静かに虫たちのつぶやきが聞こえる
六月はもうすぐ

1年前 No.1513

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_Xrr

樹林帯の中の一本のブナの木に粘液の足跡を残しながらその大蛞蝓はたたずんでいた。
雨は森の樹冠から大木の幹をつたい流れている。
大蛞蝓にとって、雨は自分の分身のようでもあり、慈雨の恵みなのかもしれない。
大蛞蝓の思考は分散し、樹林帯の霧に混合されている。
この煙る霧雨はきっと大蛞蝓の思考によるものなのだ。
あらゆる湿気が凝固し、大蛞蝓を生んだ。
そしてその湿気の塊である大蛞蝓は新たなる、どんよりとした思考を漂わせ始めている。
指で大蛞蝓の背中を圧してみる、巨大な湿気を凝固させ、その生態を維持している大蛞蝓は逃げることもしない。
樹林帯を抜けると見晴らしの良い大地に着く。
やがて霧は失せ、にょきにょきと山並みが、□き出しの曲線を現し始めた。
膨大な湿気を樹林帯にまき散らかした大蛞蝓は、きっと今はいないだろう。

11ヶ月前 No.1514

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_Xrr

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10ヶ月前 No.1515

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

極相林

攪乱された台地にはいち早く太陽が光を照らし、眠っていた種子が、陽性草本や木本類が芽吹く。
太陽の熱をもろともせず、貪欲に浴びて太る。

7ヶ月前 No.1516

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

ふと、林内には、小さなシャクガが飛び交っている。僅か1グラムに満たないその脆い体を、この、林内で舞っている。
シャクガは多くの卵を産み、その多くは他の生き物に食われ、こうして林内を舞うのはほんの一握りなのだから、その嬉しさで舞っているのだろう。
林内はほどよく落ち着いた空気が収められ、雨も適度に遮られ、シャクガが飛ぶには最適な環境なのかもしれない。
林床には限りなく敷き詰められた落ち葉が堆積され、その下には無数の微生物が宇宙のように存在する。
古くは、侍が通った古道は巨木が立ち、その息を感じながら立ち続けてきたのだろう。苔生す木の内部を見たものはまだ居なく、その実態が壊れた時にのみ、腐った内部があらわにされる。そのt期にはすでに自らの分身が多く林内に立っているのだろう。

7ヶ月前 No.1517

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

山道に人気はなかった
十一月の肌寒い雨の日、男はのっぺりとした顔をして歩き出す
友、なく、鉛筆の芯のような思いだけで、歩を繰り出している
その時、男に足はなかった
有ったのは、たった一つの脳と心臓だけだ
脳と心臓からやがて手が生え、足が伸び
それらが男に足され、人になり
歩いているのだった
雨降りの山道は
一人姥捨て山への階段のようで
目的地に行こうとするあきらめに似た感情だけだった
息が上がり心臓は早鐘を打ち続けるが
かまわず男は登り続けた
やはり、頂きには誰も居なかった
霧に浮かんだ道標と祠が男を迎えた
たしかに男は何かを捨てた
いや、捨てなければならないのだと悟った
汗まみれの帽子を脱ぎ、合掌した

6ヶ月前 No.1518

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_KxC

大木の組織は、気の遠くなるような年月で出来ていて、例えばそれは立体都市のようなものである。樹冠から落下した葉の堆積物の下層には幾億の微生物が葉を分解し、食い、やがて無機物に変えていく。醜い線虫や、トビムシがひたひたと狂おしく食い尽くし、土が出来上がる。数えきれない生き物たちの死が植物の死が新しい土を生んでいる。
一粒のなにかの思考が種となり芽吹く。そこからすべてが始まっていった。木は一途で、日の光を端的に望んだ。


4ヶ月前 No.1519

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_gUY

いとも無造作に雪は降り、そこらじゅうに冬はころがっている
さぶいのぉ〜(※1)
さっつぁんなったて(※2)
言葉を失った山村の人々の唯一のことばが雪に吸い込まれる
祖先はみんな雪男や雪女になったのに
俺たちはまだこうして生きているんだと口をとがらせる

昔、朝の雪ごったく(※3)が終わると
男たちは隣家を訪問し、茶でも勧めるように酒を注いだ
外はきちがいのように雪は降り積むけれど
男たちのはらわたは煮え、脳は燃えていた

油の切れた男たちは今、燃えることがない
遥かな時間が皴となって硬化している


3ヶ月前 No.1520

山人 @ookumo13 ★bDJoqEzcCB_gUY

薄闇の西の空に赤みがかった月が浮いている
未だ目覚めない命の群落は音を立てていない
傍に立つ電柱の静けさとともに
小池にそそぐ水の音が耳から浸透してゆく

夜半に目覚め再び眠りに落ちて
めずらしく夜が明けてから外に出た
やわらかい空気が私を包む
包まれていると感じる
あらゆるものに理不尽さを感じながらも
四月に抱かれるように
すこしだけ腑に落ちる

新しい物語のために四月はおとずれ
感傷は三月に見送る
夢はまだ終わったわけではないよと
君に言いたい気がする
四月は少しだけそんな気持ちにさせてくれる

1ヶ月前 No.1521
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