Google
    
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▼レス(18) >>

ブロードキャスティングクラブ!!ーActionー

 ( 中級者 小説投稿城 )
- アクセス(149) - ●メイン記事(18) / サブ記事 (2) - いいね!(4)

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★iPhone=cJ4YLgaciQ

「 そいつはゼッタイに、USBを取りに戻ってくるって分かっていたわ! 」

十二月の凍り付く空気を裂くように、わたしは声を張り上げた。

スポットライトがカンッと音をたてて目の前の人物をうつしだす。
そいつは低い声で笑った。

「 俺がUSBを…?笑わせる話だな。証拠、あんのかよ 」
「 それならあるわよ。 」
わたしはひるまずに一歩前に出た。

そして、握りしめていたUSBをその人物の前に投げ捨てた。

「 ここにね。 」



ポーン。


そこまで言い切ったところで、ビデオカメラの停止音が体育館に響きわたった。


『シーン三十七!よーい…アクション!』






 ーーーーーーーーーーーーーーーー→→→

お久しぶりです!
受験勉強の息抜きに、とブロードキャスティングクラブ!!シリーズで新たなものを書きはじめました。
元ネタを知らなくても分かるようにつくっていますが、読んでいた方が若干おもしろいかもしれません…
(元ネタブロードキャスティングクラブ!!→ http://mb2.jp/_css/1247.html )
サブ記事にいつでも感想とか批評コメお待ちしています!

それでは、ブロードキャスティングクラブ!!ーActionースタートです!

(※更新ペースは相変わらずクズです)

メモ2016/12/03 11:21 : アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111★Smart-RjBS8XLyBn

★登場人物★

☆森山美夜子(もりやまみよこ)

所属部活→放送部

主人公。運動オンチとバカさ加減がちょうどいい。


☆松岡理奈(まつおかりな)

所属部活動→放送部

身長が低いのがコンプレックス。語尾に「♪」がついて見える。


☆秋本蘭(あきもとらん)

所属部活→元陸上部、現放送部

運動神経神。前川の保護者。


☆田咲実羽(たさきみう)

所属部活→放送部

とにかく女子力はんぱない。


☆前川雄理(まえかわゆうり)

所属部活→放送部

一応男であるが、女の子のような可愛らしさをもっている。


☆橋口日和さん(ひよりさん)

生徒会の学習専門委員長。できる女。


☆川東先生(かわひがしせんせい)

放送部顧問。新しいことに挑戦したがる。


[目次]

TAKE1…>>1>>10


…続きを読む(3行)

切替: メイン記事(18) サブ記事 (2) ページ: 1


 
 

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★iPhone=cJ4YLgaciQ


ーーー→→→TAKE1



「「「アマチュア映像コンテスト!?」」」
放送室にわたしたちの声が響く。
文字通りポカンとした表情のわたしたちを、「なにか?」という顔で見つめ返しながら理奈が淡々と説明をした。
「そ。ドラマとかドキュメンタリーとか何でも、テレビ番組をつくって応募するの♪」
彼女は「楽しそうでしょ〜♪」と屈託ない笑みを浮かべる。
だが、我々の頭には「?」ばかりが浮かんでいく。
「あたしたちが脚本も作って編集までするの?難しくない?」
蘭がわたしの心を読んだかのように、気になっていたことを言う。
「だぁーいじょうぶ!脚本はもう出来てるよ♪サスペンスドラマなんだけどね…」
そういうと理奈は自身のバッグからファイルを取り出して広げた。
ワードソフトで打ち出した文章が並んでいる。
「役割もバッチリ決まってるし……ほら!オチもいい感じっしょ?」

理奈の準備のよさにみんな感心してうなずく。
「編集は、前川がしてくれるっしょ?」
当然よね?、という視線におじけずいた前川くんは、かわいそうなぐらい震えて蘭の後ろに隠れてしまった。
それでも彼は蘭の背後でこくこくとうなずいていた。
編集は彼がしてくれるんだろう。
「ビデオカメラとかマイクとかライトとかはぜーんぶ揃ってるじゃん?だってほら、ここ。___放送部じゃん」

理奈の不適な笑みに、わたしの心臓は高鳴った。
「ちょっと、撮ってみたいかも。」
わたしのその発言にみんなの視線が集まる。
「いいじゃん、せっかく放送部なんだし、こういうことしてみたいじゃん。」

わたしも理奈に向け、不適な笑みを見せた。


7ヶ月前 No.1

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=cJ4YLgaciQ


「よーい、アクション!」




ポーン。













わたしは一人、うす暗い放課後の放送室でパソコンを開いていた。
ブルーの明かりがわたしの顔をアバターのように染め上げる。
『一個の項目をコピーしています。47%』
パソコンの画面には、そう表示されている。
わたしは放送室の外を誰かが通るたびに顔を上げ、警戒した。


___これは、許されない行為である。


放送部専用のパソコンの中に、「開くな!!!」という名の謎のファイルがあった。
過去の先輩たちが作ったものなのだろうが、開くなと言われて、はいそうですねとおとなしく開かない人間なんているだろうか?
無論、わたしは人間だからこのファイルを見つけてからというもの開きたくて開きたくて授業にも全く集中できていなかった。
(※元から集中していない)

…だからわたしは、“そのファイル”をコピーすることにしたのだ。

『コピーが完了しました』

「よし!」

わたしはUSBを引き抜くと大急ぎでパソコンをシャットダウンし、片付けた。
USBをポケットにすべり込ませる。
コピーの形跡も消したし、前川くんや顧問に気づかれることもないだろう。
跡はなにも残っていない。
残るのは…罪悪感だけだった。
「…ごめんね」
それが誰に、何に対してのごめんなのかわたしもよく理解していない。
ただ、なにかイケナイことをしたのは事実だから。

放送室を出て、できるだけ平然を装い職員室に鍵を返す。

それから__それからもう、ニヤニヤが止まらない。
はやく家に帰ってこのデータを見ることだけが脳を支配した。

中身はいったいなんだろう。

なんせ、開くな!!!とおおげさにするぐらいの内容なのだ。
重大なものに違いない。

わたしは靴を履き替え、家の帰路に立った。











はずだった_____






7ヶ月前 No.2

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=cJ4YLgaciQ


「シーン2、生徒会室、よーい…アクション!」




ポーン。


















「ない、ないないない!ないよぉっ!」
僕はただただひたすら、生徒会室に散乱する紙を掻き分けていた。
放送部と生徒会生活専門委員長を兼任している僕は、明日の定例会で使うUSBがポケットにないことに気がついたのだ。
「嘘でしょ?ついさっきまであったのに…」
あれには校門遅刻者の年、組、番号、氏名が記録されている。

___立派な個人情報漏洩だ。

「そんなぁ、今日はまだ放送室に行ってないから無くなるとしたらここのはずなんだけど……」

『H15体育大会・応援合戦計画』と書かれた紙を「これいつのだよ」とゴミ箱につっこみ、ひたすらUSBを探し続けた。
…しかし、どこをどう探しても見つからない。
他の役員が間違えて持っていったのだろうか?

「…ん?……森山さんだ」
靴箱から森山さんが満足そうな顔で出てくるのが見えた。
しかし、僕の視力なので人違いかもしれない。
今日の放送部の活動はお休みのはずなのだ。

それなのに森山さんは、ずっと残っていたのだろうか。
ちらりと時計を見やるとあと数十分で完全下校になるところだ。
こんな時間まで、部活もないのに何をしていたのだろう。

「森山さっ……!!」
彼女の名を呼ぼうとした僕はとっさに口をつぐんだ。

ポケットに突っ込みふたたび抜いた彼女の手には、小さくて黒い物体が握られていたからだ。

ここは二階だし僕の視力が悪いから見間違えかもしれない。
と、いうか絶対に見間違ったはずだ。

けれども、USBがなくて焦っていた僕は、森山さんが握っているソレがどうしても僕のUSBに見えて仕方がなかった。
あげくの果てに、彼女がこの時間まで残っていたことにすら疑いを感じる羽目になった。
「森山さん!」
窓から首を出し、名前を呼んだが、あろうことか彼女は視線の先に何かを見つけて走り去ってしまった。
…方向からして体育館だ。


とんでもない思い込みなんだと分かっているが、僕にはその行動が、“僕に見つかってしまったから逃げた”ようにしか見えなかった。

7ヶ月前 No.3

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=cJ4YLgaciQ

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

7ヶ月前 No.4

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★iPhone=cJ4YLgaciQ






ポーン。










僕は呼吸を荒くしたまま、しばしその場に立ち尽くしていた。

…取り返しのつかないことをしてしまった。

暗幕から、力の抜けた細い腕がちらりと見えている。

僕のすぐ足元では、苦しそうな表情のまま意識を失った森山さんが倒れていた。

でも、ここまで来たからには後戻りはできない。
……あのUSBの中には、ゼッタイにゼッタイに見られてはいけない大切なデータが入っているのだから。

ここまで来たからには後戻りはできない。


何度も何度も、ぶつぶつとつぶやき、自分にそう言い聞かせた。
そうでもしないと、発狂しそうだった。

わずかに震える手でUSBを回収し、体育館をあとにしようとした。

…が、ふと足を止めた。


元の場所まで歩いて戻る。

「………。」
黙ってしゃがみこみ、倒れた森山さんを見下ろす。
そのまま僕は彼女の制服のブラウスを引っ張って数メートル引きずった。
体育館の入り口までつれてきたあと、若干抵抗しながら、お姫様抱っこのように抱え込む。

今まで散々女の子みたいだ、とからかわれてきたのだが、きちんと見てほしい。

僕はちゃんと、男なのだ___



完全下校が過ぎた校舎は真っ暗だ。

職員室にしか明かりがついていない。



僕は職員室の前を通らなくてすむ、北校舎を通るルートを使って、生徒会室まで戻ってきた。



「…ごめんなさい」


7ヶ月前 No.5

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★bGGQidQER3_8yY

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

7ヶ月前 No.6

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★iPhone=cJ4YLgaciQ


うすぐらい体育館に入ったのだが、わたしより先に入った人物は見当たらなかった。

直後に、体育館のドアが開き、刺さるような視線と尋常じゃない殺気を感じて…
そこまでを思い出してブルッと身を震わせた。
鳥肌が立った。
その人は___前川くんだった。

鉄製のマイクスタンドをぶら下げて、彼は体育館に来た。

マイクスタンドといっても鉄でできた重いもの。
立派な“凶器”になる。


それからすぐに、ドンッッという鈍い音がフラッシュバックした。
わたしのすぐ隣の暗幕にマイクスタンドが降り下ろされた音だ…
恥ずかしながら、その時の振動も、わずかにお尻のあたりに残っている。
そして……

首に有線マイクのコードを引っかけられて、
「…締め上げられた」
ぽつりと、そうつぶやいてみた。

一時的に意識を失ったわたしは、恐らく前川くんに運ばれて生徒会室まで運ばれてきたのだろう…

一体、なんのために……?


6ヶ月前 No.7

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★bGGQidQER3_8yY

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

6ヶ月前 No.8

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★bGGQidQER3_8yY

体育館のなかは、やっぱり、静かだった。

靴下で踏む床はひんやりと冷たくて、ペタペタ歩く私は、南極の氷の上のペンギンみたいになった。
「…あ、あのっ!」
暗黒の世界に声を投擲してみた。
…もちろん返事がない。

頼りなげに震えだす足を拳でガシガシ叩き、暗幕へと確実に歩を進めていく。
右から三番目のあの暗幕。
あそこだ。

背中がぶわーっと冷や汗で濡れ、足が接着剤で固まってしまったみたいだ。
のぞきたい、でも、怖い。
夏にある心霊番組みたいな感じ。

「だ、ダイジョブ…ですか?」

遠距離からの攻撃にうつる。
…返事がない。

もしかしたら重傷を負っているんじゃないか?
そう考えると余計に怖い…。
あの暗幕を取り払ったら、血の海なんじゃないか?
幼いころ、父に無理やり(?)見せられたスプラッター映画を思い出す。
あれは作り物、CGだと分かっていたけれど…今回は、作り物ではない。

でも、仮に血だらけならわたしが助けない限り、もしかしたら……______。

『正義感』に駆られて、わたしは先ほどとは比べものにならないほど勇敢に暗幕へと進む。
震えだす前に、と腕をのばしてシャッという音とともにカーテンを取り払う。
「……っ!!」
瞑っていた目を恐る恐る開けると、



そこには、誰もいなかった_________。




血の海などと想像していた自分が阿保らしい。
傷一つついていない床をみると、さっき前川くんに襲われたことすら夢だったように感じた。
なんだ、そうだ、夢なんだ。

帰ろう。

平和になった気分でポケットに手をいれて、いつもの格好で帰ろうとしたわたしは当初の目的を思い出して叫んでしまった。

「USB!!!!」


6ヶ月前 No.9

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★iPhone=RjBS8XLyBn




ポーン。




「カーット!OK、完璧だよ!」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



僕は鉄パイプでできたギシギシいうイスに座ってパソコンとにらめっこをしていた。

放送室には大爆笑の耳障りな笑い声と、僕の指先から鳴るリズミカルなダブルクリックの音が響く。
『だ、…ダイジョブ……カチッ…ダイジョブ…カチカチッ……ダイジョブですか…?』

編集ソフト、ムービーメーカーマンの動画枠のなかでビビった森山さんが暗幕に向かって声をかける姿がある。
昨日、曇りの天気のため早く暗くなったのを利用して撮ったシーンだ。
こうエフェクトをかけると、本当に真夜中の体育館のように見える。

「…前川〜編集おわった?はやく次のシーン撮り行こうよ〜♪」
長机の回りに並べられたイスに座って駄弁っていた松岡さんがパソコンの画面を覗きこみながら尋ねた。

「は、はあ?僕の作業量とんでもないんだよ?松岡さんがやってよ!」

まったく、編集という作業がどれほど大変なのか…僕ひとりに押し付けないでほしいよ!
「まあまあ。がんばれ雄利!」
同じく駄弁っていた蘭ちゃんが幼稚園生に言い聞かせるように言った。
……不思議と、編集しようという気が湧いてくる。

蘭ちゃんが言うことはゼッタイで、御恩と奉公の主従の関係みたい。
でも、蘭ちゃんだから嫌な気はしない。
昔っから僕のお姉さんみたいな存在だからだろう。

「…わかったよ〜」
僕はそっと唇をとがらせ、パソコンに向きなおる。
カチッ。
『USB!!!』
再び、森山さんが画面の中で叫んだ。

「じゃ、前川。私たちは撮影しにいくからね♪」
「ん。いってらっしゃーい」
松岡さんたち女子チームはカメラやら三脚やらカンペやらを持ってぞろぞろと放送室を出ていった。


僕だけが残された放送室に、カチリカチリと静かなマウスの音だけが響く____。





6ヶ月前 No.10

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★iPhone=RjBS8XLyBn

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

6ヶ月前 No.11

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★iPhone=RjBS8XLyBn

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

6ヶ月前 No.12

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★bGGQidQER3_8yY


昨日おこったことが本当なら、なんで前川くんはあんなに平然としていられるんだろう…。
そして、あの殴られた生徒はどうなったんだろう…。

昼休みになっても、噂が耳に入ってくることも、先生たちが話し合うことすらなかった。
「ンー。じゃあわたしのUSBはいったいどこに……。」
「うぉっ!!」
階段を下りていると、踊り場で誰かとぶつかりそうになった。
「あ、ごめんなさい!考え事をしていて……」
パッと顔をあげるとまず目に飛び込んできたのは白いガーゼ。額に。
そして、遅れてその人物の顔が目に入る。
「…!日和さんじゃないですか!!」
「おお!美夜さん!」

水色のバインダーを抱えた彼女は生徒会役員の日和さん。
蘭に代わって、生徒会に入った前川くんの保護者役だ。____放送部にいるときは、もちろん蘭が保護者だが。

「日和さん、頭ケガしたんですか?女の子なのに…」
日和さんは前髪をいつも横に流しているため、額のガーゼはやけに目立った。
「家の階段ですっ転んじゃて〜。ズダダダッ!っとね。前髪おろせばいいんだけど、いつも流してるから型がついちゃって。」
家の階段で転んだ??…見かけによらず意外とドジだなぁ〜
真面目だし頭いいし、みんなに気配りできる人気者だから、ヤリ手の女社長みたいな空気出してるけど。
「おだいじにね!」
「お気遣いなく。それより美夜さんは?考え事って??」
わたしはすぐさま笑顔をつくった。
「え?あ、ううん。大丈夫、こっちの話だよ」
本当は『なんかあるんでしょ?』『話聞こうか?』と聞いてほしかったのだが、日和さんは「ふうん」と顔を階段の下に向けると黙ってしまった。
そして、見当もつかなかったことを言い出した。

「前川もさ、おかしいんだ。生徒会でもちょいちょいミスしたり先生に怒られたり。」
「____え。」
「今もさ、生活委員会の全データが入っているUSBを失くしたとかで、先生にズタボロにされてるんだ」

彼女は伏し目がちに話した。

USBと聞いた瞬間、口が三分の一ほど開いてしまった。
「…だからあたし、放送部でなんかあったのかなって。今美夜さんも様子おかしかったし。」
「………。」
日和さんがわたしの顔を覗き込んだ。「美夜さん?」
「…え、あ。なんでもない。前川くんはストレス、とかかな?日和さんも、ケガおだいじにね!」

今の笑顔はあきらかにつくれていなかった。
自分でも反省しなきゃいけない。あきらかに、“ぎこちない上辺だけの笑顔”になっていた。
だって、無理でしょう?
いきなり、物語の核心にせまっちゃうことを聞いてしまったのだから。



6ヶ月前 No.13

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★bGGQidQER3_8yY


「職員室前廊下、よーい、アクション!!!!」




ポーン。










「お前はなくなったものを管理する側の人間だろ!?本人がものを失くしてどうするんだ!…それも、それも大事なものなんだぞ!?わかってんのか!?!?」
「…はい。申し訳ありませ___」
「さっきから何回も謝っているみたいだけど、失くしちゃダメだって分かってるのにどうしてもっとちゃんと管理しなかったの?」
「そうだ!そうだ!だからこの前も議案審議書を失くしたんだろ!?」
「…ごめんなさい!僕の管理能力がなかったがためにおこったことだと理解しています。」

僕は今、生活専門委員の担当の先生二人にはさまれ、職員室前の廊下でお叱りをうけていた。
廊下を通る生徒はチラチラこっちを見たり、ガン見して通り過ぎたらくすくす笑ったり……。
(これじゃあまるで見世物じゃないか…)
「おい!聞いてるのか!?」
「……!すみません」
「前川くん?これは失くして『はい、仕方がありません』ってすませられるものではありませんよ。」
「…はい」

泣きそうだった。





だって、USBがないのは僕のせいじゃない!!
…森山さんのせいじゃないか!!
「とにかく今日もUSBを探したいと思います。」
「あたりまえだろ。見つからなかったらどうなると思ってるんだ…」
先生は僕をにらんで盛大にため息をついた。
「はい。」

先生は首を向こうにくいっとやった。
___どうやらもうお説教は終わりということらしい。
「失礼します」

僕は血が出るくらい唇を噛んだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーー


『さぁ、僕のUSBを返せっ!」』

『もし、前川くんに拾われてたら?』

『前川もさ、おかしいんだ。生徒会でもちょいちょいミスしたり先生に怒られたり。』

『家の階段ですっ転んじゃて〜。ズダダダッ!っとね。』

『USBを失くしたとかで、先生にズタボロにされてるんだ』



……前川くん?

6ヶ月前 No.14

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=RjBS8XLyBn



わたしはここで、ひとつの仮説を立てた。


前川くんは、生徒会で使う大切な大切なUSBをどこかでなくしてしまった。
わたしが放送室の開くな!!!のファイルをコピーした。
前川くんは何らかの方法でわたしがUSBを持っているのを知った。
『もしかしたら僕のUSBを森山さんが盗んだ!?あれには大事なデータが入ってるのに!!』
となる。
怒りのまま体育館に。
わたしの隣の暗幕には、誰かがすでにいた。
恐らくバスケ部かバレー部の生徒で、前川くんが入ってきたからビックリして暗幕の裏に隠れたんだと思う。
そして、前川くんはその生徒をわたしだと勘違いしてマイクスタンドで殴る。
気絶させるつもりだったのか?
だがそれはわたしではなかった。
そこでわたしが逃げ出そうとした。
『お前が…犯人か!』

……だから、だから前川くんはわたしの首をコードで_____絞めた。

そしてわたしのポケットからUSBを回収した。

なかなかな仮説だろう。

だが。

なぜわたしをわざわざ生徒会室に運びこんだのだろう。

隣の暗幕で巻き添えをくらった生徒は…………だれ??



5ヶ月前 No.15

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=RjBS8XLyBn



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「松岡さん!」
僕はパソコンの画面を彼女の方に向けながら声をかけた。
「なあに前川?あ、編集終わったの!?」
アナウンスの練習をしていたらしい彼女は、原稿用紙を片手に僕の元に歩み寄った。
「うん。昨日撮った森山さんと橋口さんのシーンまで。音声調整はまだだけどエフェクトつけて、映像はつなげたよ。」

どれどれ〜といいながら松岡さんはマウスをカチカチッとダブルクリックした。

パソコンの中で森山さんが動き出した。

『…え、あ。なんでもない。前川くんはストレス、とかかな?日和さんも、ケガおだいじにね!』

昨日、階段で撮ったシーンだ。

「おー、なかなかいいかんじじゃん?えーと。あとは……もうすぐクライマックスだね!この天才監督、松岡理奈に任せたら完璧なドラマができあがるよ!」
「そうだね…放送部の名も上がる…フフフ」
背後から聞こえた蘭ちゃんのおぞましい笑いにブルッと見ぶるわせたあとで僕は再びパソコンを操作した。
「ここのシーンなんだけどさ…実は先生に許可とったんだ。」

ここで僕は松岡さんにそっと耳打ちする。


「…………。へぇ〜おもしろそうじゃん。それで撮ってみよう!」

彼女の不適な笑みに僕の胸はドクンと高鳴った。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーーー→→TAKE3ー→→





「放送室、シーン34、よーい……アクション!!!」




ポーン。




わたしは再び放送室のパソコンの前に正座していた。

たてた仮設の通りなら、USBは前川くんが持ってるということになる。
でも、日和さんによると、彼はまだUSBを探しているってことだった。

つまり、こうだ。

“彼が探しているUSBは、わたしから奪ったものではなかった” ということ。

わたしのUSBには、あの、『開くな!!』のファイルがコピーされたものしか入っていなかった。

前川くんは恐らく、生徒会で使うUSBを見つけたかったんだと思う。

だから彼は、まだUSBを探している。


生徒会、生活専門委員長が、USBの紛失なんてあってはならないこと。
彼は自分が生徒会役員から外されるのが怖くて怖くて仕方がなかった…
だから、あんな行動にでたんだろう。



「……これだ」

わたしはタンッとエンターキーを押した。

画面には、今わたしが考えた仮設がずらりと並んでいた。


だから、わたしには前川くんと真正面から話をする権利がある。

彼とわたしのUSBについて、きちんと話をする権利が。


わたしは再び指を動かす。
カタカタという音だけが防音設備の完璧に施された放送室に響く。

「前川くん……わたしに、会いに来て…」


タンッ_____!!

勢いよく叩いたせいで、


エンターキーが弾けとんだ。




2ヶ月前 No.16

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=RjBS8XLyBn



雨だ。







大粒の雨がバンバンと激しくトタン板の天井を叩く音が響く。



夕方五時。
本来ならば夕焼けがきれいな時間だろうか。
今日はこの雨のせいで真っ暗だった。


今日は、土曜日だから部活も終わるこの時間に生徒はほとんどいない。


先生も日直の先生しかいない。
しかもあの大雑把な洋子先生だから見回りなんて絶対しないから、ここ体育館で何かがおきていても気づかれることはまずないだろう。

……まさに最高のステージだ。


ステージ上に佇むグランドピアノにそっと触れる。
たいして弾けはしないが、そっと親指をおろしてみた。

飛び出た音は反響してユラユラとゆれ、雨の音に掻き消された。


「___そろそろ」



ピアノの蓋をしめてステージから飛び降りる。


深呼吸をふたつ。

メガネを押し上げる。



雨の音が不意に小さくなった。
その瞬間、

彼が、あらわれた。

わたしの胸が高鳴る。
彼はいっさい靴音をたてずわたしの元に歩み寄った。


「そいつはゼッタイに、USBを取りに戻ってくるって分かっていたわ」

凍り付く空気を裂くように、わたしは声を張り上げた。

「USBを…?笑わせるな、証拠あんのかよ」
「それならあるわよ」

わたしは無意識にニヤリと笑っていた。

「これよ」

彼の前に黒くて固いものを投げる。

それはスルスルと足元をすべり、彼の靴先にコツンと当たって止まった。

「証拠はそのUSBよ…!」
「…な」


パチンパチンパチンッッ


まぶしさに目が眩むがすぐに目を細める。
わたしは電気をつけた。









そこには予想通り、前川くんがいた。

「あなたは、前川くんは、生徒会の大事な資料かなにかを入れたUSBを、なくしてしまったんでしょう?前川くんは少しイライラすると人が変わったように攻撃的になるから、わたしがUSBを取ったと勘違いした。」

一歩、近づく。
対照的に彼は退く。

「あれは違うの。放送室のちょっとしたファイルをコピーしただけよ。」

「コピー……?」

「そう。わたしはファイルをコピーしたあと体育館に怪しい人影が見えたから追いかけた。そして前川くんもわたしを追って体育館へ。きっとわたしがUSBを持って体育館に逃げたと思ったんでしょ?
そして怒りに満ちたあなたはとっさに持ってきたマイクスタンドでその怪しい人影を殴った。
わたしもその人が誰か全く知らないけど、とにかくその人はUSBをもってなかった。
そして逃げ出そうとしたわたしの首も絞めた。」

もう一歩近づく。

が、前川くんは退かなかった。
じっとわたしの推理を聞いている。

「そしてわたしが持っていたUSBを回収したのね。でも、そのあとわたしを生徒会室に連れていったのは…「その怪しい人影が………思いの外やっかいな奴だったんだよ!!」

わたしの言葉にかぶせて前川くんは叫んだ。
思いの外、やっかいな奴?

「その厄介野郎と森山さんが鉢合わせたら面倒になるのは目に見えた。だから森山さんとそいつを離したんだ!」

……厄介野郎って?

わたしの追い付かない思考に鞭を打とうとしたそのとき、
フッと体育館の照明が落ちた。

慌ててスイッチの方を振り向く。


瞬間、
人影が動いた!!!



「…誰っ!?」



「…ッあ!!!」



ゴトンッッ



「誰!?何…?前川くん!?」




呼び掛けても返事がない。




待って、


わたしと前川くんの他に_____




もう一人いたことに、わたしは今ようやく気づいた。





1ヶ月前 No.17

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=RjBS8XLyBn

わたしは極めて冷静に踵を返し、スイッチがあろう場所に手をのばした。
指先はかすかに震えていた。


パチンパチンッッ


体育館に再び明かりが灯った。
わたしは震えを相手に悟られぬようにギュッと拳をにぎった。

そして、振り向きざまに声をかける……


















「気配を消すのがお上手ですね___日和さん」


















日和さんは“マイクスタンド”をぶら下げていない左手の方で前髪をかきあげた。
間からチラリと見えた白いガーゼに心臓が冷える。

「美夜さんこそ、ご立派な推理よ」
「前川くんはっ…!」
「大丈夫、ちょっと小突いただけ」
彼女は膝をついて肩を上下させる前川くんを一瞥した。
気を失ったりはしなかったようだ。
内心ほっとする。

「でも、美夜さんの推理じゃあまだ完成じゃないから。続きは、わたしに完成させてよね」

そう言って日和さんは前川くんの足元に転がっていたUSBを拾い上げた。

___雨がまた、一段と強くなった。




「このUSBはね、確かに美夜さんの言う通り立派な証拠よ。前川はこのUSBの中に生徒会の人間に見られたら困るデータを入れていたの。そしてそれをなくした。当然彼は焦る…だってそのUSBの中には『生徒会と一切関係ないもの』を入れてるんだから」
日和さんは前川くんの耳元で囁いた。
彼の肩がビクッと動いた。

どうやら、図星らしかった。
「誰かに見つかったらマズイ。処分を喰らってしまう。…それを恐れたあんたは死に物狂いで探した。そしてあとは___美夜さんの推理通りよ」


わたしはなるほど、と思った。

てっきり生徒会の大切なデータが入っているのかと思っていたが、違うのか。
生徒会に関係ないデータだから、取り返さなくてはいけなかったということか。

「待って、もしかして、っじゃあ、暗幕の裏で殴られた生徒は…」
「うん、わたしよ」
当然、というように答える。
わたしは驚かなかった。
それよりも疑問がひとつ増える。

「あそこで何をしていたんですか?…まさかとは思うけど、前川くんのUSBを隠してたとかじゃないんですか?」
日和さんの目が大きく見開かれた。
「すごいっ…美夜さんあなた探偵なれるよ!」

「……。ついさっき、あそこのグランドピアノの後ろにそのUSBを見つけたんです。『Yuri Maekawa』ってシールが貼ってあったから確信しました。」





『 USBを…?笑わせるな、証拠あんのかよ


『 それならあるわよ 』


わたしがあのとき投げたUSBは、ピアノの裏に隠してあった前川くんの物だった。

1ヶ月前 No.18
切替: メイン記事(18) サブ記事 (2) ページ: 1

 
 
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▲ページ上 >>
★必ず ローカルルールメビウスリングのルール をご覧ください。
 ▼スタンプ▲スタンプ
※スタンプはいちどに 3個 まで使えます  ×閉じる
注…感想・コメントはこの記事ではなく、サブ記事に書き込んでください。(小説カテゴリでは必須です)