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ブロードキャスティングクラブ!!「番外編」

 ( 中級者 小説投稿城 )
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アヤメ @2001010111 ★DSi=jtXOipCtkP

こちらは、前作の「ブロードキャスティングクラブ!!」の番外編です。
こちらの前に元作品↓
http://mb2.jp/_css/1247.html

を、見ていただくと嬉しいです♪


感想やアドバイスなど、サブ記事にバシバシ受け付けます☆

それでは、番外編スタート!!

2年前 No.0
メモ2015/06/22 23:07 : アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111★Smart-FhPF6U9xZt

★登場人物と目次★(後から増えて行きます♪)


☆森山 美夜子(もりやまみよこ)

 所属部活→放送部

スマホとヘットフォンをいつも持ち歩いている。宮部の彼女らしい。


☆宮部 直人(みやべなおと)

所属部活→放送部

 放送部の部長。


☆弓長 大気 (ゆみながたいき)

所属部活→放送部

放送部の副部長。宮辺の親友。変人(笑)


☆松岡理奈(まつおかりな)

所属部活動→放送部

身長が低いのがコンプレックス。語尾に「♪」がついて見える。


☆秋本蘭(あきもとらん)

所属部活→元陸上部、現在は放送部

美夜子に敵意を抱いていたが、裏を突かれ放送部に入部。前川と幼馴染み。


☆田咲実羽(たさきみう)

所属部活→放送部

ほんわかした印象の子。とにかく女子力はんぱない。


☆前川雄理(まえかわゆうり)

所属部活→放送部

一応男であるが、女の子のような可愛らしさをもっている。女子と言われると

性格が変わる。

…続きを読む(28行)

切替: メイン記事(33) サブ記事 (27) ページ: 1


 
 

アヤメ @2001010111 ★DSi=jtXOipCtkP

1.突撃!!雄理のリア充ストーカーw

僕は「前川雄理」。
身長は、あの松岡さんよりも低く、みんなからは「キャア!!ショタ最高…!!」などと叫ばれてしまうほどの幼児体型。

ま、それはさておき。
僕の所属している放送部には現在だけでも多数のリア充が存在している…

例えば…、最新だと、宮辺先輩&森山さん。とかね。


______そして舞台は日曜日に。

僕が道を歩いているとき、放送部員の中でも一番「アレ」と、言われているリア充を発見してしまった…!!


「「弓長先輩&松岡さん」」だ………!!!

2年前 No.1

アヤメ @2001010111 ★DSi=jtXOipCtkP

言うまでもない。
これはもう、松岡さんたちをストーカーしなきゃ!!

僕って……。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
AM10:30
南町の駅前で待ち合わせ。
松岡さんが先輩の姿を見つけると、大声で「大気〜♪」って叫んで手を振って……!!!

学校の外だから敬語じゃないのか…?
僕はその様子を、自動販売機の後ろに隠れてみていた。

PM12:00
カフェテリアに入る。
昼食かなぁ…?僕もお腹すいちゃった…〜

僕がカフェに入ったとたん、若い学生さんたちが、黄色い声を飛ばす…
「うわぁ、かわいい子!!」
「本当だ!!ちっちゃい…!」

うわぁ…勘弁してほしい…
松岡さんたちにバレちゃうから……(汗)

2年前 No.2

アヤメ @2001010111 ★DSi=jtXOipCtkP

うわぁっ…!!
危なかった…女子高生たちがキャーキャー言うから松岡さんたちに気付かれそうになった…
うぅ〜僕ってそんなに……(泣)
あっ、行っちゃう!!
ん?弓長先輩が何か言ってる…
「ここは俺が出すよ。」って、マジか!!
レディーファースト!!
弓長先輩カッコイい!!僕も見習わないと。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
しばらくすると、松岡さんと先輩は手を振って別れた。
どうやら、松岡さんが午後から用事があるらしい。
あーあ、2人別々なら追いかけてもつまんないし…
松岡さんでもつけよう。

って、ん?
「松岡、さん…?」
電柱の影に隠れて見てたら、衝撃的な現実がそこにあった。
松岡さんの隣に立っているのは……
背が高く、足が長い。キャップを真深にかぶっているから、顔がよく見えない。
……ただ、松岡さんの態度で分かる。
「弓長先輩ともハート飛ばし合ってるくせに、違うボーイフレンドがいると!!」

慌てて口を塞いだ。

2年前 No.3

アヤメ @2001010111 ★DSi=jtXOipCtkP

とりあえず、現実を整理しよう。松岡さんには弓長先輩がいるのに別な男の子を……!!
「うぅ……お腹いたいぃ________ 」
それでも真実が知りたくて後を追いかけた。



それからも、松岡さんと謎の男の子は2人で仲良く、町を回った。
途中でアイス買ったりしてさ。(今の季節冬だよ?あ、熱いんですねw)
弓長先輩が……
先輩が……………………!!

「もう、ダメだよ…!!」
半泣きになりながらたまらず、僕は松岡さんと謎の男の子の前に飛び出してしまった。

(あぁ〜…!!やってしまったぁ(泣))

2年前 No.4

アヤメ @2001010111 ★DSi=jtXOipCtkP

飛び出してしまった……!!!
「あ、松岡さん……こ、こんにちは…」
「………?前川……」
僕はどさくさに紛れて、松岡さんの隣に立っている男の子に目をやった…(正確に言うと、見上げた……だか。)
しかし、真深くかぶったキャップが邪魔で顔が全然見れない。


「ま、松岡さん……そ、そのっ男の方は…」
顔を真下に伏せ、指を男の子に向ける。
「前川……見ちゃったかぁ…」
……………!!?
見ちゃったって…!?
「ははは。前川のバカ!あははは。見なかったら傷つかずに済んだのにねぇ、ははは」
……!?ますます理解が出来ないんたけど…
「いいよ。見せてあげる、ってゆうか全てを話すか。あんたにバレちゃあ厄介だし。」
厄介ってやっぱり弓長先輩と……!!!

「前川。あのね、この人……」
松岡さんがそういって、幸せそうな笑顔で男の子を紹介する。

「実はねぇ……」

あぁ、!!
松岡さん…!!先輩のことを…!!

2年前 No.5

アヤメ @2001010111 ★DSi=jtXOipCtkP

「この子。私の従兄弟。」
………………は?

「従兄弟の、「山梨華恋(やまなしかれん)」
……いいいいい、従兄弟ぉ…!?

すると、松岡さんの隣に立っていた男の子がキャンプを取った。
そこにあった顔は……………!!

「おお、女!?」
男と見間違えるかもしれない。
ショートヘアーに長い切れ長の目。
「山梨華恋。女だ。」

「どう?前川?傷ついたでしょ?」
松岡さんが、僕に傷つく言葉を告げた。
「女の子で!!はははははは!!」

止めろぉ(泣)
女の子って言うなぁぁぁ!!!

2年前 No.6

アヤメ @2001010111 ★DSi=jtXOipCtkP

僕はあの後、松岡さんたちと別れ、学校に寄った。
特に意味はないし、ちょうど制服だったしでなんとなく校舎にはいった。
「山梨さんかぁ…きっと僕みたいなつらい思いをしてるんだろうなぁ……」

ガチャリ…

気がつくと、放送室のドアを開けていた。
恐ろしい放送中部魂だ。
「……ん!宮辺先輩だ!」

と、言おうとして思わず足を止めた。
誰かと電話をしていた。

「「そうだよ。……うんうん。あぁ〜大変だねぇ〜」」

楽しそうな笑顔で。
一体、電話の相手は誰だろう。
「「じゃあまたね、森山さん。」」
前言撤退。

これはヤバい。ここにいたらいけないパターンだ。

僕は急いでドアを閉めた。
ドアの向こうから微かに先輩の声がする。
「今の、誰にも聞かれてないよな…聞かれててもマズいし、松上先生に見られても厄介。」

そんなことを聞きながら僕はそつと、放送室を離れた。


帰り道。
変かもしれないけど、僕にもし彼女がいたら…とか、考えていた。

フッと、頭に浮かぶ。
「うん…蘭ちゃん…かも…」

そんなことを考えて、自分で笑ってを繰り返しながら今度は家のドアを開けた。

「ただいまー、お母さん、夕飯なにぃ〜?」

2年前 No.7

アヤメ @2001010111 ★DSi=jtXOipCtkP

2.外周レース(ウィンターver.)

さて、こちら放送部には外周というものが存在します。
文化部に外周は不似合いで、しかも放送部だからか、全員体力の無いのなんの。(リナちゃんは別。ありゃ化け物級だ)

しかし、そこに元陸上部員が入って来たとしよう。
どうなる?

それはもう、陸上部員の体力におじけずいて、改めて運動部の凄さにビビることだ。

さぁ、そこで話題を変えよう。
私、「秋本蘭」は元陸上部員。
そして今、訳あって放送部にいる。

私が放送部の外周に入ったらみんなが可哀想な結果になるに違いない。
………そうだろう?

そこで、放送部の中で一番体力のある + 脚が速い奴が知りたくなった私は放送部員の中で外周大会をすることにした。

でも、まぁ、これだけは分かってほしい。

「陸上部員の私に勝てる訳がないだろう。」

2年前 No.8

アヤメ @2001010111 ★DSi=jtXOipCtkP

「さぁ、始まりました!!放送部員、外周レース!!私、実況の秋本蘭です!!」
「放送部員の中ですからね〜差がつくのではないでしょうかぁ?私は、解説者の松岡です!!」
「松岡さんは、放送部員なのに体力がありすぎて今回は外されたんですよね?」
「そうです!!みんな体力ないんですよ〜」

〜スタート地点〜
「直人…秋本さんと松岡さんに色々言われてるぞ?」
「あぁ?今、俺はそれどころではない。大気は黙ってろ。」
「ひえ〜怖い怖い。長年の友情でも歯が立たないよ。」
「フンッ、よく言うぜ。」


〜実況席〜
「お、準備が整ったみたいですよ〜!!松岡さん!!」
「はい、今回のスターターは陸上部顧問の須藤先生にお願いしました!!」

(須藤)「位置についてぇ〜よお〜おい」

パァァンッッッッ!!!!!!!

「さぁ、放送部員の中での戦いが始まりましたぁ…!!」

2年前 No.9

アヤメ @2001010111 ★DSi=jtXOipCtkP

「まず、勢いよく飛び出したのは……田咲さんです…!!」
「田咲さんは、最初は陸上部に入りたがってたので、体力はあると思います。(私には劣るがなハハハハハハハ!!)」

〜外周中〜
「ふぇ、ふへぇ…みんな速いよ…はぁ…」
私は耐えられずに歩いてしまった。
……蘭&リナちゃんは鬼だ…。何でこんなことをするのかなぁ……。
足がもげる…。

「森山さんっ…僕も…だぁぁぁ……」
……?
………………!?!?
「前川くん!?」
そのまま前川くんは倒れこんだ。
その体だから体力がないのも当たり前だ…
「僕も…。蘭ちゃんは鬼だと思う…。キツいってゆうか…、死にそうだ…」
え?蘭が鬼!?
いやだ、私声に出してたの!?
きをつけよ……

「とにかく、先輩たちには負けられないよね…?」
「そうだよ!僕、少なくとも宮辺先輩には勝てると思う…!!」


〜実況席〜
「ただいま一周を終えて、スタート地点に戻って来た方が…!!」
「おぉー、やはり田咲さん、ペースも上等ですよ。」
「楽しめたになってきました!!先輩は一体何位でしょうか!?」

2年前 No.10

アヤメ @2001010111 ★DSi=jtXOipCtkP

〜実況席〜
「田咲さんが現在トップの2週目、それを追うように、弓長先輩が只今2週目突入です!!」
「いやぁ♪こうやって客観的に見るのも楽しいですねぇ♪」
「はい。陸上部の観点からすると、田咲さんも先輩もかなり良いペースです。」


〜外周中〜
「ぐっ……、もう無理!!あぁっ!!足がつった……!!!」
俺の情けなさMAX!!
大気のやつは、「これがオレのペースさ!」とか言って先に行っちまうし、前川は遅すぎるし……

……情けねぇ…………!!!!

「よし!!森山さんにバカにされないように…!!」


〜実況席〜
「突然ですがお知らせです。田咲さんが習い事で怪我した足の調子がよくないとのこと。無念のドクターストップです…」
「田咲さんが実況席に来ました♪」
「田咲です、どうも♪」
「無念のドクターストップと、いう訳ですが…」
「全然気にしてません!!私の頑張りは消えませんから…!!」

(秋本&松岡)「「かっけぇぇ……!!」」

2年前 No.11

アヤメ @2001010111 ★Smart=6pjlhAG9hy

〜外周中、宮部直人〜
「だぁあああ!!だりぃ!」
俺はそのまま道の途中にしゃがみ込んだ。
外周なんて俺には向いていねぇ!!
死ぬ!!
このままじゃ呼吸困難で死ぬ!!

ただ、俺には絶対一位でゴールしなくてはいけない理由があった。
『森山さんにカッコいい所を見せたい』



〜外周中、前川、森山〜
「ふへぇ………」
気を抜くと情けない声が漏れてしまう。
私は前川くんと二人でのっそりのっそり、カタツムリのように進んでいた。

ガチで理奈になりたかった。

それでも、私には絶対にゴールしなくてはいけない理由があった。
『部長にかっこ悪いと思われたくない』



〜実況席、秋本、松岡、田咲〜
(秋本)「さぁ!!ラストスパートでしょうか?」

その時、私の背後に恐ろしい影が近づいていた。

2年前 No.12

アヤメ @2001010111 ★Smart=6pjlhAG9hy

〜実況席、秋本、松岡、田咲〜
(松岡)「一位でゴールする人とは……」
(??)「松岡っさぁん?」
私の後ろにいやぁな声が聞こえて、恐る恐る振り向く。
そこには、私の担任でもあり数学教師でもある洋子先生が立っていた。
ぶっちゃけ、いや、ぶっちゃけ無くても私は洋子先生が苦手、嫌いだった。

(洋子)「松岡さん、課題のぉ提出っを〜」
(松岡)「やだあぁぁぁ!!」

私は実況そっちのけで逃げ出した。
(洋子)「あ、こらっ!!」


〜外周ラストスパート森山&宮部〜
(森山)「先…輩!!」
(宮部)「お、おぅ…、森山さん…」
俺に追い付いた森山さんを見て、驚いた。
こんなに早いとは………
と、とにかく森山さんよりも先にゴールして、「先輩カッコいい」って言わせるんだ!!!!
俺の視線は数十メートル先のゴールにロックオンされた。

1年前 No.13

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=6pjlhAG9hy

何が何でも俺は一位でゴールす……
「いやだあああああああ!!」

俺が森山さんに向かって笑顔をつくり、一位でゴールするはずだったのに。








抜いたんだな。俺を、松岡さんが。





「来ないで下さい先生ぇぇ!」


パァンッッ!!


その時、須藤先生がゴールのピストルを放った。

〜外周後〜
「みよちゃん、どうだった?♪」
外周が終わり、へとへとの私のもとに、一位のメダルを下げた理奈ちゃんがやって来た。
「疲れたよ……もう…」
「ふふふっ、部長抜いちゃったんだよねぇ」

そう。
理奈ちゃんは後ろからおってくる洋子先生から逃げるために走り回って、宮部先輩を抜いちゃったんだ。

そういやぁ先輩、すごく落ち込んでたな………

1年前 No.14

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=6pjlhAG9hy

「松岡さん………ちょっと恨むぞ…」
私の体力も少し回復し、放送室内に戻って来ると、ひとり放送機材に突っ伏して一位になれなかった事にうなだれていた。
「森山さんに……カッコいいところ…うぅ………」
「………先輩?」

「…ひ、ひゃあっっ!!」
私が声をかけると部長は文字通り驚いて跳び跳ねた。
「理奈ちゃんがゴールしたのは仕方ないことじゃないですか。」
私は言いながら部長の横にストンと腰かける。
「それに………」

視線を横の方にそらして言った。

「一位じゃ無くてもカッコいいですよ?」


窓の外にはチラチラと雪が舞った。
外周レースウィンターver.無事に幕を閉じたかな?


ただ、放送部に嫌なことが降り注ぐことになるとは………
誰も気がつかなかった……

1年前 No.15

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=6pjlhAG9hy

3.部活動対抗、合唱コンクール!!



ねぇ、あり得ると思う?

合唱コンクールは部活動対抗だって。
私はてっきり、クラスや学年で対抗するのかと思ってた。

年明けの三月。
三年生の公立入試が終わってすぐ、合唱コンクールがある。
私たち一年生にとっては初めての合唱コンクールってことになる。

それが部活動対抗なんてもっとも知らない話だ。

「大丈夫。俺らは声が自慢の部活だろう?」
部長はこう、得意気に言った。

みんなを元気付けてるんだ。

私はこの言葉をそうとらせて貰った(笑)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そんな事実を知って数週間後。

大した練習をしたわけでもないまま、合唱コンクールの本番は明日になった…

1年前 No.16

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=6pjlhAG9hy

「あーーっもう直人!!何かないの!?」

放課後、視聴覚室にて。
視聴覚室も第二の放送室ってかんじ!!
旧校舎にあるから誰も来ない。
「何か!?ないの!?案は!?

地団駄を踏みながら弓長先輩が部長に迫った。
「だって俺ら放送部だよ!?普通に歌っても他の部活に追い付けないって!!!!」
「あぁ。分かってんだけど…。放送部だって声を使う部活だろう?」
「肺活量では吹奏楽部に負けてますよ?」

蘭の鋭い一言に「っよねぇ〜?」と部長は冷や汗を流す。

私も、四角い頭を丸くして、難いアホな脳みそをフル回転して、他の部活よりもすごい合唱が出来ないかとかんがえていた。

「でも、この合唱コンクールは放送部はダメな部活じゃないって見せつけれるチャンスなんだよ………」


私は何かないかと視聴覚室を見回した。


1年前 No.17

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=6pjlhAG9hy

視聴覚室をぐるりと見回した。

「…………ん、!!」
視聴覚準備室?だったっけ?そんな所に、合奏部が置きっぱなしにしている物があった。
「失礼しまーす。」

話し合いは先輩たちに任せ、私は一人準備室に入る。

ずっと掃除なんかされて無いだろうし埃っぽい。まだ冬なのにムッとする熱気が私を包んだ。

「あっ、これなんか可愛い……」
独り言を言いながら、棚に並んだ“ハンドベル”に手を伸ばす。



キィーーン……………



空気を震わす音が準備室に広がり、儚く消えた。


「ふへぇ…いい音……」

私は気持ちが疎かになると色気もへったくれも無い声が漏れるようだ。
気を付けねば。

キィーーン………カァーーーーーン……


低い音高い音、大きいベル小さいベル……
私は夢中になってハンドベルをうちならした。

1年前 No.18

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=6pjlhAG9hy

「森山さん?何してんの…」

夢中になってハンドベルを打ち鳴らしていると、背後から苦笑気味に声が聞こえた。
一番高い音、赤いハンドベルを持って振り向くと、部長が、苦笑いで立っている。
「何って、これ!!使えますよね!?ハンドベル!!!!」

私は部長に向かってハンドベルをつき出す。
はじめは驚いた部長も、ハンドベルをまじまじと見つめたあと、面白そうと呟いてくれた。


「おーいそこ!!なぁにイチャついてんの!!」
「みよちゃーん!!そういうの反則♪」

準備室の入り口を見ると、弓長先輩と理奈が、リア充オーラ全開で立っていた。

(お前らに言われたかぁねえわ……)

部長の体からは、そんなオーラがだだ漏れだ。

______*_________。°___+°*_____


「てなわけで、私たち放送部の合唱には、このハンドベルを用いましょう!!!!」

円になって座っている放送部員を前に胸をはってハンドベル作戦を提案した。

「声だけでは、吹奏楽部や野球部に負けちゃいますし、合唱要素があればOKと参加規則にもあります!!どうです!?」

皆の顔を見回す。

「面白いかも♪」
「いいねいいねーーっっ!!」
「放送部らしさが際立つといいな。」

と、いう事で、早速私のハンドベル作戦は決定になったのだ。

「ピアノ伴奏は私に任せて?これでもピアノは四年間習ってるの♪」

理奈がグランドピアノに手をかけ、スラッと何かのクラシックを弾いて見せる。

「幻想即興曲……か……。」

弓長先輩が目を細めた。


「あっ、あの……!!」

ピアノの音をかき消して、前川くんの声があがった。

「どうせなら、合唱グループと合奏グループに別れませんか?」

「は?どうゆう事よ…雄理…?」
「あのね、僕みたいな歌が下手なのはハンドベル、蘭ちゃんや森山さんは歌を歌えばなって……」

し……ん…………。


一瞬の間の後、代弁するかのように部長が言った。

「なるほど。少しミュージカル系になって面白いんじゃないか?いい案だな前川。」

部長に誉められて、前川くんはあの人懐っこい笑みを浮かべた。


「うぅー!!やる気が出てきますね!!」
「あぁ。俺ら放送部で絶対、優秀賞をとろうな?」



1年前 No.19

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=6pjlhAG9hy



部活動が終わり、夕焼けの僕は昇降口を出た。
運動部たちが後片付けをしているのが見える。
さっきの提案が採用されて良かった。僕は嬉しそうに笑う。
「おう!!前川じゃん!!」

最も僕が苦手とする声が聞こえ、思わず足を止める。

「どうした?もしかしてサッカー部に入りたくなったのか?ww」

サッカー部の1年。
小林彰一(こばやししょういち)。

僕と同じ小学校だったのだが、彼はサッカー部のエース。
僕は放送部のただの部員。

中学校に入って辿る末路は違うのだ。

「何かやけに嬉しそうだなぁ?」
「が、合唱のっ…案が…」
「合唱?あぁ、合唱コンクールの事か。放送部も【一応】作戦立てんだな。」
「……え?」
「いやぁ、失礼失礼。放送部を馬鹿にしちゃいけないね。」
「別に……」

昔の彰一は優しくていつも僕と遊んでいたのに、何故か中学校に入って、彰一を恐れてしまう。

「放送部らしさ、見せてみろよ?w」
彰一はサッカーボールを脇に抱え、僕に指を向けた。

「文化部なんだから、優秀賞取んなよ?」


パキンッッ……


僕ははっきりと聞いた。
僕の中で何かが、いや、放送部のプライドが割れるのを。

「うるせぇなっ!!」

何が起きたか分からない。

今の僕は、女の子と言われるよりも放送部を馬鹿にされる方が嫌なのかもしれない。

僕の拳が彰一に飛んだ。

「あっ、ぶねぇ。文化部の攻撃もそれっぽっちかぁ?」

「黙れ!!」

顔面でも蹴り飛ばしてやろうかとしたが、出来なかった。

首が絞まり、苦しい。

「んだよ…止めろよ……」

首を回すと、森山さんの傘が僕の制服の襟首を引っ掻けていた。

「止めろって!!話せよ!!」

僕は暴れたが、力の強い森山さんは簡単に羽交い締めにする。

「おいおい。放送部で仲間割れ?w」

彰一は肩をすくめ、ボールを抱えてサッカーコートへ後片付けに戻った。

「くそっ!!待てよ……!ちょ、離せって!!」
「嫌よ!!暴力で見返しても全然すごくないの!!」
森山さんは僕を押さえつける。
とんでもない力だ。

「だって、悔しくないのかよ!!」
「悔しいわよ!?でも、ここで言い返しても、意味がないの。放送部全員でやり返せばいいんだから!!!!」

そのの言葉が心に往復ビンタを喰らわせる。

確かにその通りだ。


僕は何を勘違いしていたんだろう。

「ごめんなさい……」

気がつくといつもの口調に戻っていた。

「ううん。合唱コンクール…頑張ろ?」
「うんっ、僕も精一杯やってみせる!!」





1年前 No.20

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=6pjlhAG9hy

ーー*ー*ーーーーーー。°○-ーーーーー


そうこうしていると、全てがあっという間にやって来る。
「せせせせせせ先輩どうしましょう…?こここここ声がででで出ないかもですすす…」
「おおおおお落ち着くんだもももも森山さんんんんん!!!!」
「いや、美代ちゃんも部長も緊張しすぎだよ♪」

そういう理奈はピアノ伴奏担当なのに、緊張の色を出さず、カイロを握りしめている。

「手を温めると緊張がほぐれるし、指も動きやすくなるんだ♪」
ズラリと並べられたパイプ椅子。
そこに、各部活動ごとに座らされている。
(帰宅部は応援席に。)

『それでは、続いてバスケ部の発表です』

私たち放送部がセッティングしたマイクを使って、生徒会の人が進行していく。

1年前 No.21

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=6pjlhAG9hy

『バスケ部の皆さんお願いします。』

ガーーーーッと今にも壊れそうな音をたててステージカーテンが開かれる。

「………っっ!?」
すると隣で、前川くんが声にならない悲鳴をあげていた。
「へ?え?誰かいるの?」

問いかけても首を横に弱々しく振るだけだ。

私は仕方なくため息をつき、バスケ部の顔を順に見回す。

一人一人見ても、前川くんが苦手とする人物はいない。

「あっ♪花恋だ!!」

理奈がボーイッシュな女の子を指差す。
確か花恋さんて理奈の従兄弟だったかな。

「あの人……」

あ。
前川くんは花恋さんを見てるのか。

あれ?でも何か苦手とする理由なんかあるっけ?
まぁいいや。

「あの人同じ学校だったのか…」

前川くんが呟いた言葉は、私の耳には届いていなかったのだ。

1年前 No.22

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★cEk63O06Lt_Vjk

バスケ部のそれはそれは男前な合唱を鑑賞し、テニス部、水泳部、野球部、陸上部…様々な運動部が合唱や合奏を披露していった。
中でもサッカー部の時は会場が沸いた。

他の部活と気合の入り方が違う。
今年から顧問が変わったらしいから、きっとその先生の力だろう。

ちなみに、サッカー部が合唱をしているときも、前川くんの顔色は相変わらず悪かった。
きっと何かある_______。

私は直感でそう思った。

「小林…。アイツ小学生の音楽会の頃は真面目にやらんかったくせに…。」
すぐ隣で蘭が殺気立たせた声でつぶやいたのも私の耳には届かなかった。




「さぁ、今ので全運動部の合唱が披露されました。もう一度大きな拍手をおねがいします!!」

アナウンスに合わせて、会場のみんなは盛大に拍手する。

「さて、続く第二部では文化部の合唱となります。準備があるので20分間の休憩を……」


とたんに周囲は、トイレに行く人や外に出る人、友達とおしゃべりをする人たちでざわつく。

すると部長がパンパンと手を叩いた。
「ちょっと聞いて!」

放送部員の視線は宮部先輩に集まる。

「緊張してるかもしれんが、放送部が緊張して噛んだら放送事故だぞ。だからリラックスして全力で取り組め。いいな?」
「はあい!」

間の抜けた返事が返る。

それでも部長は笑顔でうなずく。

本当に能天気な先輩だと思うのは私だけではないだろう。

もちろん弓長先輩もセットだ。
「理奈ちゃん…。大丈夫?」

私はすっかりぬるくなったカイロを握りしめている理奈に声をかける。

「なぁに言ってんの〜?私が失敗するわけがないでしょお〜♪」
「…だぁよね。さすがだわ。尊敬する…マジで…」

理奈と話すと自然と顔がほころびる。
すごいパワーだと改めて実感するわ…

「ねえ。雄理どこいった?」

次は蘭が辺りを見回しながら尋ねた。
「さあ。あいつ運動部に友達いたっけ…?」

理奈がストレートにぶちまける。(※ただし正論なのでいいかえせない)

「あ……!」

私はさっき、サッカー部が出てた辺りから顔色が悪かった事を蘭たちに話した。

「サッカー部…!?」

蘭が大声で叫ぶ。

ほら。

やっぱりなんかあるんじゃん。



私の勘は当たっていたようだった。

1年前 No.23

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=FhPF6U9xZt

「い、今…サッカー部はどこに…?」
蘭も慌てて辺りを見回しながら尋ねる。
「わからんけど…サッカー部員全員いないから外じゃない…?」

私がそう答えると同時に蘭は体育館を飛び出していた。
「あ、ちょっと待っ……!!」




それからは、私の知らない間の話である。




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ジャリ………………。


上靴のまま、体育館裏の敷地に出る。
校舎の北側にあたるこの場所は、日の光は当たらんし、さらに風が強すぎてこの時期は特に寒い。
そのせいからか周りに人が全然いない。

ジャキ……

僕はさらに一歩踏み出して、数メートル先の人影に近づく。

「合唱……かっこ良かったよ……。」

僕は躊躇なくその人影に声をかけた。
かけられた相手も、ゆっくりと振り向く。

「びっくりしたよ…。いきなりなんだ?」

ポケットに手を突っ込んだ体勢のまま、その人______彰一は言った。

「すごい綺麗な声だったね…部員は皆、男なのに…。」
「なんだそれ。嫌味か…?」
「そんなんじゃない…!!僕は本当にお前の……彰一の合唱がかっこ良かったんだ!」

駄々をこねる子供のように叫ぶ。

彰一はしばし圧倒されたようだったがすぐにいつもの顔に戻った。


1年前 No.24

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★cEk63O06Lt_Vjk

「俺さ…ずっと嫉妬してたんだよ…雄理の天性の才能に…」

彰一は決まり悪そうに下を向いた。

「なに、が…?僕に…嫉妬?」
「小学校の頃は仲がいいねって他人に言われて嬉しかった。でも、中学校に入ってそれは変わったよな…?頭がいいお前はテストでとにかく学年トップをとり続けた。小学生の頃とは違う。学校は成績しか重視しないから…。」
「ま、待って!ちょっとまって!!」
「待たん!頭がいいだけじゃないし、行動力、洞察力、優しさ、すべてが揃っていて…。おまけに放送部って…」

彰一はとにかく全てを滞りなく話した。
「それなのに…俺はお前とお前の大事な部活を馬鹿にしてしまった。本当は…羨ましかっただけなのに…」

「……。」

北校舎から吹き付けて来る風が僕と彰一の制服をはためかせる。

「だから本当に悪かったと思ってる…ごめん…!」
「待ってってば!!」

彰一が頭を下げる0コンマ二秒前に僕は叫んだ。

「嫉妬してたのは彰一だけじゃない!!僕だってずっと彰一に憧れてた!」
「え………?」

思わず手が勝手に制服の裾を掴む。

「サッカー部かなんか知らんけど、彰一は運動神経がいいじゃん!僕なんて50mに9秒もかけるのにお前は7秒とちょっとで走っちゃうし…!それにモテるし!!」
「おい、それは…」
「僕も彰一みたいになりたかった…!なのに悪態突かれて勝手に怒ってごめん…!」

1年前 No.25

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★cEk63O06Lt_Vjk

少し、ほんの少しだけ傾いた日が、北校舎の陰から降りそそぐ。


「俺さ……また雄理と仲良くしたい…。お前が嫌ならいい。一生目の前には表れないからさ。」

彰一は微かに笑って言う。
________どうしてそんなにお人よしなの?
どうしてそんなに素直じゃないの?

「バカだなぁ…」
「……?」
「僕はもとから彰一の事大好きだよ!!」

僕はそう言って彰一に歩み寄り、一言告げた。


「ありがとう…。俺も!」

彰一もまた、笑顔で答えた。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


さて、年頃の男子が、男同士が愛の言葉を告げ合うところを見てしまったあたしはどうしたらよいのか。

美代子に「サッカー部は外にいるかも」と聞いたあたしは光と負けない速さで体育館の外に出てきた。
雄理がサッカー部に用件があるとすれば唯一つ。

彰一の事だろう。

あたしと彰一と雄理は同じ小学校で仲がいい三人だった。
それなのに、彰一がサッカー部に入り、あたしと雄理が放送部に入ったのをきっかけに三人の距離は徐々に離れた。
いつからだっただろうか。彰一が放送部の事を馬鹿にしだしたのは。

放送部だけでなく、放送部員の事もけなした。
あたしもかつては放送部を馬鹿にした身。
気持ちはよく分かってしまう。
それでも、この部活、美代子には借りがあるんだ。

だからもし何かあったらあたしが責任を取るつもりだった。



それなのに________。


私はフッと笑い、北校舎の裏から去った。

恐らく雄理と彰一の二人にはもう何も心配はいらないよね。

大丈夫。

その二人なら、きっと小学校の頃みたいになれるよ。


私はもう一度微笑んで黙って体育館、放送部員が待つ会場席に戻った。

「あ、美代子!雄理ったら体育館のトイレが混むからって外のトイレにいたよ〜」

って、はにかみながら。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


1年前 No.26

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=FhPF6U9xZt


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


蘭は何食わぬ顔で戻ってきた。何があったかはあえて聞かない。
きっと、何か、何かがあったんだろうけど小学校も違う私が出る幕じゃない。
「長年の友情には歯がたたないよ……」
いつか、外周の時に弓長先輩が言っていた事を思い出した。
「ま、何もなくて良かったよ〜…」

私はとりあえず、笑顔をみせた。



「さて、そろそろお時間になります。吹奏楽部、英会話サークル、美術部、放送部の皆さんはステージ裏にお集まり下さい。」


それに合わせるように、いや。追い討ちをかけるように生徒会の司会は進行した。

立っていた生徒はバラバラと自分たちの席につき始める。

「あ!!おい前川ーっ!お前はよせぇ!」

私は、慌てて戻ってきた前川くんとその頭をパシッと払った部長を見て笑った。
「よし!放送部ステージ裏へ移動!!解散!!

「失礼しまーすっ!」





★ ★ ★


「あのさぁ、何で放送部を最後に持ってくっかなぁ?」
「いいじゃん直人!!トリだよトリ!!」
「だあぁぁぁぁぁ……そうゆう物かな…?」
「先輩もう黙ってください!ほら、吹奏楽部の始まりますよ…!!」
「あぁ!?聞いてられるかよ……!!」
「あっ、ちょっと理奈!!ハンドベル踏んでる!」
「ごめんごめん!!」
「皆…緊張してるね…」
「ちょっと森山さん!緊張とか言わないで!緊、『張』とか言わないで!」
「先輩?どうしたんですかぁ〜」
「蘭ちゃぁん…!!僕、僕はどうしたらいいの…?」
「うっさい!お前は黙って座っとけ!」




★ ★ ★


放送部……。
ってこんなに…。

ちょっと油断すると、ただのこんな光景が嬉しくて感動させる。
私の緩い涙腺を刺激して青春の一頁を埋めていく。
嬉しくて嬉しくて嬉しくて……。
今日何度目かの微笑みを溢すんだ。

1年前 No.27

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★cEk63O06Lt_Vjk

「プログラム32番、放送部の皆さんです!いよいよ最後の演目になりました…皆さん盛大な拍手を……」


あれからどれだけ時間が経っただろうか。

緊張しすぎて呼吸もまともにできない。
紹介アナウンスに合わせて我が放送部はステージ上へと入場。足がギクシャクとロボットのようにしか動かない。
セッティングされた台の上には色とりどりのハンドベルが並んでいた。

(う、あぁ…かぼちゃ…かぼちゃ…)

私は全身全霊をかけて会場の人々を『人間』と認識しないように努力した。
考えろ森山。
あれは皆、人ではない。かぼちゃだ。

「放送部の皆さんはハンドベルと合唱を融合させた素晴らしい………」

______________ 素晴らしい。




本当にそんな事思っているのだろうか。
放送部の合唱?ふーん。


それぐらいと思われていないだろうか。


これでもかと被害妄想が頭をめぐる。
考えすぎだ。ばかばかしい。

そんなくだらない事を考えてか、私の鼓動はますます速まった。

紹介アナウンスなんて耳にはいらない。

すると部長が指揮者台に上りぺこりと礼をした。
合わせて理奈が楽譜に手を添える。

『ぜ・ん・りょ・く・を…』

部長は【あの時】のように口パクで話す。

『だ・し・き・れ・よ・!』

そう伝えにっこりと笑うとすぐに真剣な顔つきになる。
ピアノ台の方に向き直る。



あ________________。


いよいよだ……。


ドクン…。
いまさらになって私の心臓は激しく唸った。


理奈が楽譜から手を下す。

ドクン…

私は、ハンドベルの一発目を鳴らすべく手を添えた。

1…2…3…4…

部長の手が滑らかな線を描いていくのがスローモーションのように見えた。

ドクン……!!




私はハンドベルを持ち上げた。






キィン………__________________!!!!





3月の冷たいけれどどこか生暖かい。
そんな空気をハンドベルの鋭い音が震わせた。



もう…


 そこから先は緊張と焦りと、感動…。
いろんな混ざり合った気持ちで何がどんな感じだったか覚えていない。


でも、やっぱりこんな出来事だけにも感動してしまう 。

青春を謳歌している気分だった。








春________________。

一年の春。

放送部に入った私は…



もうすぐ立派な二年生になります。

1年前 No.28

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★cEk63O06Lt_Vjk


==========(春休み)====


メール>>新規作成>>

To, 宮部直人

件名:お元気ですか?

本文>>入力

『 先輩、お久しぶりです!
  春休みは満喫していますか?
  明日はいよいよ新学期がスタートする始業式ですね。
  また先輩や放送部の皆に会えるのが嬉しいです(*´▽`*)
  先輩方は3年生になってしまいますが、
  卒部までの間も頑張りましょうね!
  最近、蘭や理奈、実羽たちと遊びに出かけますw
  こうして新しい友達に出会えたのも、
  放送部に入部させてくれた先輩のおかげです。
  本当に感謝しています!

  それでは勉強も頑張って下さいね!
  また明日。                      』


From,森山美夜子

確定>>送信>>

送信中。


_____________送信を完了しました。


1年前 No.29

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★cEk63O06Lt_Vjk


5,新学期_故に悲劇




ピピ…ピピ…ピピ…



もう…何…?


ピピーピピーピピ―


何…よ。
春休みなんだから寝させてy…


ピ――――――――――――――――――!!!


「あぁっもう!うっさい!!」


私はスマホを掴んで画面をにらむ。
なんで春休みなのに目覚ましがセットしてあるんだろう…。

「……!?」


サッと血の気が引いていった。

無理やり首を回してカレンダーを見る。


【4月7日…始業式☆】






そこにははっきりと。

自分で書いていた…。


書いてるじゃん………!!!


「ぎゃああああああああああっっ!」





_____________森山美夜子、本日二年生になります。



……初っぱなから遅刻になりそうだけどね…!!

1年前 No.30

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★cEk63O06Lt_Vjk




「はぁっ…はぁっ…!!」

キ―――――ンコ―――――ン………


「はぁ…!!!!」


カ――――――――ン…

「セェーーッフ!!」

コ―――――ン!!


私はチャイムが鳴り終わると同時に校門をすべり抜けた。

「危なかった…」
「いや。アウトだから。」
「みよちゃんアウト―♪」

……!!


声を聞いて思わず振り返る。

「理奈!…と弓長先輩!!」

「「おはよう♪」」

いやぁ…夫婦そろっての登校だなんてご立派だ事。


新学期。
学年が一つ上がってまた少しだけ大人になった。
弓長先輩はもう3年生。受験生なんだ。
私だって来年は_________。

あと一週間後は入学式。中学校生活に心を躍らせる一年生が入ってくる。
懐かしいな……。
「じゃあ。また部活で。」

ラブラブの理奈と弓長先輩に手を振って、私は昇降口へと向かった。昇降口には我々生徒たちの運命をズタズタに分けるやつがいる。
「ああぁ…神様…どうか放送部の誰かと同じクラs……」


指を立ててクラス掲示板を食い入るように眺めたがそこに放送部員の名前はおろか、仲がいい子の名前はほとんどなかった。
私はガックリうなだれる。

「マジかよ_________________!!」


友達100人でっきるかなぁ♪


















なあんてばかばかしいんだよ!ばぁか!!


1年前 No.31

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=FhPF6U9xZt



[2-5]と書かれたプレートを見つけドアの前に立つ。
二年五組は本校舎の一番東側にあって窓側からプールが見える。
一年の頃と教室から見える違う景色に自然と心がおどった。


















だがしかし_______。







森山は二年五組のドアを開ける事ができない。
さっき予鈴のチャイムが鳴ったから早く席に着かないと遅刻になってしまう。
けれど……
(ふぁぁぁぁぃ…!!深呼吸深呼吸深呼吸深呼吸!!大丈夫、大丈夫…)
もとから人見知りの私にとって仲がいい子がいないというのは地獄とほぼ等しかった。
「うぅ……。でも早く入らないと…。」


1年前 No.32

アヤメ@空想爆裂ガール @2001010111 ★Smart=J7tYCYGeBL

ガラララララララッッ!


もう半ばやけくそ。

適当にドアを開け放つ。


しーん……。


物音のひとつ、何も聞こえてこない。
どういう事?

「………?」

怖かったけど恐る恐る目を開ける。

みんな、2-5全員の目が私の方を向いていた。
(ひっ、ひえええええええ!!)

「はっ、はじめまして…!!ほ、ほほ、放送部の森山美夜子と言いますっ…!!」




しーん…。



あぁ、もう死にたい。




そう思った時だった。



「森山さんってゆーの?ほーそーぶ?すげ、珍しーね!」
「てか普通挨拶してくっか?」
「よぉ森山!変なやつだな!?」
「美代子っていい名前だね!」
「よろしくねー」
「よろ〜」


………………!!


私、唖然。




なにこのクラス!



こんなにフレンドリーな人ばかりで……


「ありがとう、みんなよろしくね!」






大丈夫、大丈夫。



二年生、きっと楽しいよ。


















放送部が破滅するなんて、予想してれば心が楽だったのにね…。



1年前 No.33
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